戦国小町苦労譚
1579年 十一月中旬
當日,將為四六舉行元服式的本滿寺(ほんまんじ)瀰漫著異常的緊張。
この日、四六の元服式が執り行われる本満寺(ほんまんじ)は異様な緊張に包まれていた。
基於警備上的考量與表面上天皇將親臨的體面,作為近衛家所縁的寺社,本滿寺被指定為元服式的會場。
警備の都合と帝の臨席を賜るという建前から、近衛家所縁(ゆかり)の寺社である本満寺が元服式の会場となっている。
本滿寺是位於上京的日蓮宗本山,據說由南北朝時代的關白近衛道嗣(みちつぐ)之子日秀(にっしゅう)上人創建。
本満寺は上京にある日蓮宗の本山であり、南北朝時代の関白、近衛道嗣(みちつぐ)の子である日秀(にっしゅう)上人(しょうにん)によって創建された背景を持つ。
因此與近衛家關係密切,境內種植了大量作為近衛家家紋的「牡丹」。
こうしたことから近衛家と強い関係性を持っており、境内には近衛家の家紋である「牡丹」が数多く植えられている。
然而未經品種改良的牡丹盛開期在春天,若四六的元服式因時程不明而拖到秋冬,便有可能呈現冷清的景象。
しかし、品種改良されていない牡丹の旬は春であり、開催時期が不明な四六の元服式が秋や冬にずれ込むと寒々しい光景を晒してしまう可能性があった。
自從四六的元服式被提起後,就借助義女靜子的知識,透過溫度管理努力調整開花時期。
そこでは四六の元服式が話題に挙がった頃より義娘である静子の知識を借り、温度管理を行うことによって開花時期をずらす努力を積み重ねてきた。
或許正因如此,儘管已是十一月中旬,供舉行元服式之本堂前仍移植了從受溫度管理的農場調整為晚秋至初冬開花的牡丹,綻放出潔白而美麗的姿態。
その甲斐あってか元服式を行う本堂の前には十一月中旬であるにも拘わらず、晩秋から初冬に掛けて開花するよう調整された牡丹が温度管理された農場より移植され、白く美しい姿を見せている。
順帶一提,藉此契機,史實上原本要到江戶時代才盛行的植物品種改良開始活躍,進而開發出秋冬開花的寒牡丹等。
余談だがこれを機に、史実では江戸時代に入ってから行われるようになった植物の品種改良が盛んになり、秋から冬にかけて咲く寒牡丹等が開発されることになる。
本滿寺境內為防止無關人員進入而嚴加戒備,寺外的土塀上駐紮著全副武裝的靜子軍士兵。
本満寺の敷地内は関係者以外が立ち入れないよう厳重に警備されており、寺の外構にあたる土塀には重武装の静子軍兵士が詰めている。
有人認為此事可作為攻略一向不願出現在台面上的靜子的切入口,連以耶穌會為首的海外勢力也紛紛查詢,卻因為這是僅限內部的儀式而全部被拒絕。
決して表舞台に出ようとしない静子を攻略する足掛かりになると、イエズス会を筆頭とする海外勢力からも問合せが殺到していたのだが、身内のみの儀式であると全て断られていた。
即便如此,為了看一眼在京內貴人齊聚的元服式,群眾仍在土塀外側的石垣周圍聚集成一片人群。
それでも京内の貴人が一堂に会する元服式を一目見ようと集まった群衆が、土塀の更に外側にある石垣を包囲するように人だかりを作っている。
對此,警備兵用樁與繩子設置管制線,並發布警告說絕不可靠近,士兵們也向群眾呼籲配合。
これに対する警備兵たちは杭と縄を用いた規制線を張り巡らし、その内側には決して近づいてはならないという警告を布告及び、兵士らが群衆に呼び掛けていた。
負責警備的靜子軍士兵配備了連發式新式火槍,並裝上刺刀等配件隨身,營造出一股嚴峻的氛圍。
警備に当たっている静子軍の兵士たちは連発式の新式銃を支給され、更にアタッチメントで銃剣まで装着した状態で携帯しているため、物々しい雰囲気を醸し出している。
而作為人群出入口的山門兩側各架設了一門加特林砲,形成防止以人海強行突破的鐵壁陣勢。
また人々の出入り口となる山門にはガトリング砲が左右に一門ずつ据え付られており、数の暴力による強行突破を防ぐ鉄壁の布陣となっていた。
在如此嚴密的戒備之下,身處風暴中心的四六極度緊張。
そんな厳戒態勢の中、渦中の人である四六は極度の緊張状態にあった。
參加者們說若能在此時此刻炸毀本滿寺,實際上能左右日之本的人物大半將喪失,這讓四六氣勢受壓,腳步不穩。
名実ともに現時点で本満寺を爆破出来れば、日ノ本を動かす人物の大半が失われてしまうという参列者に四六は気圧されてしまい足元がおぼつかない。
靜子屏息凝視著像初生小鹿般的四六。
生まれたての子鹿さながらの様子を見せる四六を静子は固唾を飲んで見守っていた。
(是不是應該再讓他經歷多一些場合才好?)
(もう少し場数を踏ませておくべきだったかな?)
一般武家舉行的元服式通常按以下程序進行。
一般的な武家の元服式は次のような手順で進行する。
第一、會場布置與參加者就座;第二、舉行「理髮之儀」,將元服者的童髮(わらわがみ)重新結成成年人的髮型。
第一に会場の設営と参列者の着座、第二に『理髪の儀』、元服する者に対し童髪(わらわがみ)から成人用の髪に結い直す。
第三、由稱為「加冠之儀」的烏帽子親為元服者戴上「烏帽子」,最後與出席一連儀式的參加者舉行祝宴,宣告元服者被迎入成年之列。
第三に『加冠の儀』と呼ばれる烏帽子親が元服する者に『烏帽子』を被せ、最後に一連の儀式に立ち会った参列者と共に祝宴が行われ、元服者が大人として迎え入れられることになる。
然而四六的情況稍有不同。因為今上帝(きんじょうのみかど)將親臨,於加冠同時還會被敘授「五位」。
しかし、四六の場合は少々事情が異なった。今上帝(きんじょうのみかど)にご臨席を賜るに際し、加冠と同時に『五位』が叙されることとなっていた。
表面上是由近衛家分家的、在室町時代一度斷絕的鷹司(たかつかさ)家在信長的支援下復興,二條晴良(はれよし)的兒子信房(のぶふさ)重新振興家名。
建前としては近衛家から分家し室町時代に一時断絶していた鷹司(たかつかさ)家が、信長の支援を受けて復興し二条(にじょう)晴良(はれよし)の子である信房(のぶふさ)が家名を再興する。
當時信房獲信長賜予「信」字,可見與織田家關係密切。
その際に信房は信長より「信」の一字を賜っており織田家との関係性が深いことが窺えた。
此番敘授被說是為表彰四六對這個剛復興、經濟基礎尚不穩定的鷹司家提供融資,並為莊園經營及產業振興規劃出路的功績。
この再興したばかりで経済基盤が不安定だった鷹司家に融資を行い、また荘園運営及び産業振興の道筋を立てた四六の功績を評しての叙任とされたている。
在戰國時代,五位是允許進入內裏的昇殿官位,無論武家或公家,雖屬下級卻被視為貴族的地位。
戦国時代に於ける五位とは内裏への立ち入りを許される昇殿の官位であり、武家・公家を問わず下級とはいえ貴族と扱われる地位に相当していた。
在這種情況下,四六雖面色蒼白,仍努力堅持履行自己的角色。
こうした状況の中、四六は蒼白な顔色をしつつも懸命に役割を果たそうと踏みとどまっている。
即便四六如此,儀式程序仍穩步進行,向眾人展示後便開始了「理髮之儀」。
四六がこんな状態でも式次第は着々と進み、皆へのお披露目の後『理髪の儀』が始まった。
擔任烏帽子親的義祖父前久(さきひさ)為四六淨頭,解開原本像總髮一樣在頭頂高處綁著的繩索。
烏帽子親となる義祖父の前久(さきひさ)が四六の頭を清め、総髪のように頭の高い位置で結んであった紐を解く。
前久為變成長髮垂至背中中段的四六梳理髮絲,從中央將頭髮分向左右。
背中の中ほどまで届く長髪姿となった四六に対して前久が櫛を入れ、髪を中央から左右に分けていった。
接著使用以尾張名產著稱的理髮剃刀(かみそり)從頭頂將頭髮剃落。
次に尾張名物として有名になっている理髪用剃刀(かみそり)を用いて、頭頂部から髪をそり落としていく。
當前髮及頭頂的髮絲全數剃淨後,四六的模樣宛如時代劇中出現的落武者或河童(かっぱ)。
前髪及び頭頂部の髪がすっかりそり落とされると、四六の姿はまるで時代劇に登場する落ち武者か河童(かっぱ)のような姿になった。
將剩下的後髮從左右束起,在正後方開始綁成一束髷(まげ)。
残った後ろ髪を左右から束ねて、真後ろで一本の髷(まげ)に結い始める。
此時使用同為尾張名產、曾進獻給天皇的椿油將髮絲整理光滑,再用稱為元結(もとゆい)的細紙繩綁牢。
この際にこれも尾張名物として帝にも献上された椿油を用いて髪を纏め上げ、元結(もとゆい)と呼ばれる細い紙紐を用いて結ぶ。
把變成長尾狀的髮束在中途折回重疊,再以元結綁好固定,剩餘髮絲向前撥流,髷就完成了。
長い尻尾状になった髪を途中で折り返して重ね、更に元結で結んで固定した上で残りを前に流して髷が完成した。
剃光的部分在日光下顯出青青的月代(さかやき),與以椿油光澤閃耀的髷形相映成趣,出現了四六的身影。
剃り上げられた事により日の光を浴びて青々とした姿を晒す月代(さかやき)と、椿油で艶やかに光る髷姿の四六が現れる。
順帶一提,靜子軍的兜透過樹脂與金屬骨架保有通氣同時確保強度,並非一定要綁髷,但為遵從世間通俗的常識,四六自行決定採用此髮型。
因みに静子軍の兜は、樹脂や金属製の骨組みを用いることで通気性を保ったまま強度を担保しているため、必ずしも髷を結う必要はないのだが世間一般の常識に倣(なら)ってこの髪形にすることを四六自身が決定していた。
接著前久舉起烏帽子,拉出內側名為小結(こゆい)的繩索,在四六髷的根部綁上固定烏帽子。
次に前久が烏帽子を持ち上げ、内側についている小結(こゆい)と呼ばれる紐を引き出し、四六の髷の根元で結んで烏帽子を固定する。
前久完成所有流程後行了一禮退下,四六站起身挺直背脊、挺起胸膛,讓周圍眾人看見他的模樣。
全ての工程を終えた前久が一礼して下がると、四六は立ち上がってその姿を周囲の皆に見えるよう背筋を伸ばして胸を張った。
圓滑的前久在為四六梳髮以放鬆他的緊張時,悄悄地與他交談,讓四六完全恢復平日的神色,得以展現堂堂的若武者風采。
如才ない前久は、四六の緊張を解すよう髪を梳(と)かしている間にこっそりと話しかけてくれたお陰で、すっかり四六も日頃の顔色を取り戻しており、堂々とした若武者の姿を披露することが出来たのだった。
四六再次就座後,信長向他的上手走上前來。
再び四六が着座すると、その上手へと信長が進み出てくる。
對著仍然站立、低頭的四六,信長響聲說道。
立っている信長に対して頭を垂れる形となった四六に対し、信長は声を響かせて告げた。
「從今以你的諱為『長門』,以新名侍奉於我。」
「ただいまより貴様の諱(いみな)を『長門(ながと)』とする。新しい名と共にわしに仕えよ」
隨著信長的聲音,侍立在旁的小姓森蘭丸展開一張大幅和紙,鮮明的墨跡揮毫出『長門』兩字示眾。
信長の声と共に脇に控えていた小姓である森蘭丸が大判の和紙を広げ、墨痕(ぼっこん)鮮やかに揮毫(きごう)された「長門」の文字を見せつける。
在戰國時代,作為實名的諱,是從主君或父母賜字,稱為偏諱;在此情況下,特意避開織田家直系所用的『信』字,而取用『長』字。
戦国時代に於ける実名にあたる諱は、主君や親から文字を賜ることを偏諱(へんき)と呼び、この場合は織田家の直系が継ぐ『信』の字をあえて避け、『長』を頂戴していた。
此時代視呼喚實名為失禮,平時以通稱自居;四六在通稱上繼承了靜子之『静』字,名為『静之』(讀作しずゆき,以下記作靜之)。
この時代では実名を呼ぶことが無礼として避けられるため普段は通称を名乗っており、四六の場合はこの通称に於いて静子から『静』の字を引継ぎ、『静之(しずゆき)』(以降は四六を静之と記す)と名乗ることとなる。
由於此事無前例,靜之將按照前久所作的調整行事。
ここからは前例が無い為、前久に調整して貰った通りに静之が立ち振る舞うこととなっている。
首先,靜之向位於貴賓席之外、更為隔離的帝之特別席邁進。
まずは貴賓席から更に隔てられた特別席におわす帝の前へと静之が進み出た。
由於四周被御簾隔開,靜之無法得見帝的容顏。
四方を御簾(みす)によって隔てられているため、静之からは帝の姿を見ることが叶わない。
帝的特別席稱為高御座,較周圍為高,故靜之脫去履物登上壇階,在如同踞臺的中腹處俯伏下拜。
帝の特別席は高御座(たかみくら)と呼ばれ周囲より高くなっているため静之は履物を脱いで壇上へと上り、踊り場のような中腹で静之は平伏した。
在御簾一旁侍候的前久向靜之開口。
御簾の脇に控えていた前久が静之に向かって声を掛ける。
「冒昧地蒙今上陛下賜言。」
「畏れ多くも今上(きんじょう)様より御言葉を賜る」
從放置帝位的御簾深處,淡淡的香木氣息飄出。面對這甚至不允許抬頭的絕對威嚴,他吞了口氣。
帝の玉座が置かれた御簾の奥から、微かに香木の香りが漂ってくる。顔を上げることすら許されない絶対的な威厳に、彼は息を飲んだ。
在寂靜中,微微可聞的衣擦聲讓他的全身感官為之一振。
静寂の中、かすかに聞こえる衣擦れの音に全身の感覚が研ぎ澄まされる。
似乎難以承受那股壓力,他的視線緩緩落向地面,頭更深地垂下。
重圧に耐えかねたように、その視線はゆっくりと床へと落とされ、一層深く頭を垂れた。
「嘉汝對鷹司家之貢獻,授予五位,今後當更加勉勵。」
「汝が成した鷹司家への貢献を嘉(よみ)し、五位を授ける。今後とも大いに励むべし」
隨著那莊嚴的宣告,前久在靜之面前放置了被稱為三方(亦稱三寶)的朱漆臺座。
厳かに告げられた御言葉と共に、前久が三方(三宝とも)と呼ばれる朱塗りの台を静之の前に置いた。
其上擺放著由帝所下賜的扇子與白金懷爐。
そこには帝から下賜された扇子と白金懐炉が載せられている。
散發高貴香氣的扇骨使用白檀香木,貼著的和紙及整體骨架皆被染成深藍色。
高貴な香りが漂う扇子の骨組みは白檀(びゃくだん)の香木が用いられ、貼られた和紙及び骨組み全体が濃い藍色に染められていた。
雖然避用為貴色的紫色,但深藍接近紫,亦屬高貴之色,並有『勝色』之稱,寓意勝利,故為武家特別偏好。
貴色である紫色を避けてはいるものの濃い藍色は紫に近い高貴な色であり、また『勝色』とも呼ばれ勝ちに通じるとして特に武家に好まれている。
由此亦可見朝廷對靜之寄予非比尋常的期待。
このことからも朝廷が静之に寄せる並々ならぬ期待が現れていると言えた。
此外,代表皇室紋章的『十六葉八重表菊』以閃亮的金色浮雕,其本體應為真鍮製,而足滿自土佐帶回的鉻鍍層覆於其上,使得這件白金懷爐呈現厚重耀眼的存在感。
また皇室のご紋である『十六葉(じゅうろくよう)八重(やえ)表菊(おもてぎく)』が輝く黄金で浮き彫り(レリーフ)され、真鍮(しんちゅう)製であろう本体に足満が土佐より持ち帰ったクロムでメッキが施された白金懐炉が重厚な存在感を示している。
此物為受帝之委託、尾張匠人打造的獨一無二之作,鉻鍍與金色浮雕相映,兼具奢華感與功能性,提升了下賜品的格調。
こちらは帝から依頼されて尾張の職人が作り上げた一点ものであり、クロムメッキに金のレリーフが映える高級感と機能性が下賜品の格式を高めていた。
此鉻鍍乃極為高級的技術,需在底層施以鎳鍍再行形成等,工序繁複耗時。
このクロムメッキは非常に高度な技術であり、下地にニッケルメッキを施した上に形成するなど手間も暇も掛っている。
靜子軍將領於冬季配給的白金懷爐,為鐵體上鍍錫的馬口鐵製,存在鍍層過薄的缺陷。
静子軍の将が冬季に支給された白金懐炉は、本体が鉄に対して錫メッキを施したブリキ製となっておりメッキの厚みが薄いという欠点があった。
基體的鐵會因燃料用酒精而腐蝕,故若容器內面稍有刮痕,便會從該處開始腐蝕。
地金である鉄は燃料用アルコールで腐食してしまうため、容器の内面に僅かでも傷が付けばそこから腐食していくのだ。
反觀靜之所獲下賜品由雙重鍍層保護,加上鉻本身具有極高強度,除非遭受相當程度的損傷,否則可無虞使用,此點亦顯示其卓越。
翻(ひるがえ)って静之が下賜されたそれは二重のメッキ層に守られ、またクロム自体が非常に高い強度を誇ることから、相当に損傷しない限り問題なく使用できるという点でも一線を画していた。
總之,集當代最頂尖的技術、材料與工匠之手藝於一身,成為世上無二的極品。
要するに現時点で望む限りの技術と材料と最高の職人の腕が注ぎ込まれた、この世に二つとない最高の逸品となっているのだ。
靜之雙手伸出,恭敬地將三方舉至頭頂。
静之は両手を伸ばして三方を恭(うやうや)しく頭上に掲げる。
他仍維持俯伏姿勢,承受其重量,一步步小心地後退。
彼は平伏した姿勢のまま、その重みに耐えつつ、一歩、また一歩と慎重に後ずさっていった。
那動作明顯生硬,離優雅遠矣,然而其所流露的畏敬與感謝之情,卻已傳達給眾人。
その動作は、明らかにぎこちなく優雅さからは程遠い所作であったが、それだけに畏怖と感謝の念は皆に伝わっている。
至此元服式那僵硬繁文縟節的儀式告一段落,接著雖非完全無拘束,但轉入祝宴之流。
これを以て元服式の堅苦しい儀式が終わり、ここからは無礼講ではないものの祝宴へとなだれ込んだ。
湊在人群中暗中注視著參加元服式之人等向祝宴散會情形的耶穌會宣教師,悄然離開現場。
元服式に参列していた人々が祝宴に向けて散会する様子を、群衆に紛れて見守っていたイエズス会の宣教師はそっとその場を離れる。
那位以巾蒙面、用炭粉將髮染黑的宣教師回到同伴處,解下偽裝時深深嘆息。
頬かむりをし、髪を炭の粉で黒く染めた宣教師は仲間の許へと戻ると、変装を解きながら深く嘆息する。
(那正是卡布拉爾大人的所憂:織田家的武力……火繩銃傳入日之本僅三十餘年,如今竟擁有比祖國更優秀的武器!)
(あれがカブラル様のご懸念にあった織田家の武力…… この日ノ本に火縄銃が伝来して僅か三十余年、今や祖国よりも優れた武器を持つに至るとは!)
那位在人群中偷窺靜之元服式的宣教師,對靜子軍擔任警衛者的裝備感到驚愕。
群衆に紛れながら静之の元服式を盗み見ていた宣教師は、警備に当たっていた静子軍の装備に驚愕していた。
士兵們攜帶的新式火槍,即便與祖國所持的最新型滑膛槍相比也遠為精良,槍口附近甚至還裝有鉤狀刀刃。
兵士たちが携帯していた新式銃は、祖国が持つ最新式のマスケット銃と比べても遥かに洗練されており、銃口付近には鉤型の刃物まで装着されている。
此外,安置在山門旁那威風凜凜的大型火器散發出難以言喻的迫力,令他背脊一陣發寒。
更には山門脇に設置されていた物々しい大型の銃器からは言い知れない迫力を感じて、背筋に冷たいものが伝った。
他意識到,早已不能輕視日之本為極東的島國,必須改變評價,認為它足以與在歐洲爭雄的列強匹敵,成為一方強國。
最早日ノ本は極東の島国と侮って良い存在ではありえず、ヨーロッパで覇を競う列強に比肩し得る強者足り得るのだと評価を改める必要があると思い至る。
宣教師們趁著印象尚未淡去,開始著手將所見撰寫成圖文並茂的報告書。
宣教師たちは記憶が薄れない間に、今見てきた様子を図入りの報告書に纏め始めた。
「哈——」
「はぁー」
回到為靜之租借的僧房後,他脫下烏帽子,放鬆衣襟,癱坐在原地。
静之の為に借り上げしている僧房へ戻ると、烏帽子を脱いで衣服の胸元を緩めて彼はその場にへたり込んだ。
此刻靜之才意識到自己比想像中更疲憊。
今更ながら静之は、己が想像以上に疲弊していることを自覚する。
可能是因為放鬆下來,雙腳伸出坐著時,突然雙腿開始小幅痙攣。
両足を投げ出すようにして座り込んで気が緩んだためか、突如として己の両足が小刻みに痙攣(けいれん)し始めた。
像在對抗不受控制的身體,他雙手緊握膝蓋,壓抑腿部的顫抖。
思うようにならない肉体に抗するように、膝を両手で握りしめて足の震えを押さえ込む。
「靜之,元服之儀式你做得很出色呢」
「静之、元服の儀式を見事やりきりましたね」
「母上,對不起,讓您見到這般難堪,實在抱歉」
「は、母上。見苦しいところをお見せして申し訳ございません」
「靜之,不必勉強也沒關係」
「静之、無理をしなくても構いません」
當靜之急忙想起身時,靜子用手制止了他。
急いで身を起こそうとした静之を静子が手で制する。
在絕對不能失敗的場合,面對比自己地位高得多的人完成重大任務,靜子為此感到驕傲。
絶対に失敗が許されない場面で、己よりも遥かに格上の人々を相手取って大役を務めて見せたことを静子は誇らしく思った。
「距離祝宴還有一段時間,現在好好休息吧。若勉強撐著出差錯,反倒本末倒置」
「祝宴までには暫し時間があります、今はゆっくりと体を休めなさい。無理を押して粗相をしたのでは、本末転倒になってしまいます」
「好,我就不客氣地接受您的好意」
「はい。お言葉に甘えさせていただきます」
接下來舉行的祝宴並非單純的慶祝場合。
この後に行われる祝宴は、単なる祝いの場ではない。
這更像是靜之以大人身分融入武家社會的露面活動,能否在此建立與有力諸將的關係將大幅左右他的未來。
大人として武家社会へ組み込まれる静之の顔見せの性質が強く、ここで有力な諸将との関係性を構築できるか否かによって彼の将来は大きく左右される。
「看起來能出席祝宴嗎?」
「祝宴には出席できそうですか?」
「會去!絕不會在這種程度就說要休息」
「出ます! この程度で休むなどとは口が裂けても申しませぬ」
靜之尚未以大人身份立下武功。雖然在政治上已透過金融業取得一定影響力,但對多數武家來說並非值得稱道的功績。
静之は未だ大人として武功を挙げていない。政治的には金融業で影響力を持つに至っているが、大多数の武家にとって評価される功績ではなかった。
換言之,現階段的靜之僅被確定為靜子的繼承人,僅是以信長為首的武力集團的末端成員而已。
つまり現時点での静之は静子の後継者と確定しただけであり、信長を頂点とした武力集団の末端構成員に過ぎないのだ。
主動前往交流場合、打響臉面與名號是成為大人的第一步,僅因疲憊便休息是不可的。
積極的に交流の場へと赴き、顔と名前を売ることが大人としての第一歩であり、疲れた程度では休んでいられない。
「既然是你決定,我就不多說了。萬一有事,上樣會出手相助,但別一開始就抱持那樣的期待哦?」
「貴方が決めたのならば私は何も言いません。いざとなれば上様がお助け下さるでしょうが、最初からそれを期待してはいけませんよ?」
「是,我知道了」
「はい、承知しております」
既已成為大人,就被要求對所有言行自行負責。
成人した以上は全ての言動に対して、自らが責任を持つことが求められる。
因為這是人人都會走過的路,暫時不會因失敗就被嚴厲追究責任吧。
誰もが通過してきた道だけに、暫くは失敗に対しても厳しく責任を追及されることはないだろう。
然而,不可永遠依賴那份寬待。
しかし、いつまでもその温情に甘えることは許されない。
因為父母會先於子女離世,子女終將成家立室並被期待成為父母。
親は子よりも先に天へと召され、子はやがて所帯を持って親となることを期待されるからだ。
「別忘了明日還有『具足始め』的行事」
「明日には『具足始め』が控えていることを忘れぬよう」
聽到靜子的聲音,靜之不由得身體僵硬。
静子の声を耳にした静之は、思わず体が硬直してしまう。
看出他完全忘了這件事後,靜子既覺得有些可憐,便再三叮嚀。
その様子から完全に頭から抜けていたのだと察した静子は、少し可哀想だと思いつつも言葉を重ねた。
「在祝宴上可能會有人勸你喝酒。記得明天還有事,要自己斟酌節制喔?」
「祝宴ではお酒を勧められることもあるでしょう。明日があることを念頭に置いて、自分で調整するのですよ?」
靜子再三叮嚀後,便靜靜離開了現場。
念を押すように静子は告げると、静かにその場を立ち去って行った。
室內一片寂靜,靜之臉朝地板撲倒下去。
室内に静寂が満ちた中、静之は顔面から床に突っ伏してしまう。
「啊……明天、不,今天能平安度過嗎?」
「あ……明日、いや今日を無事に乗り切れるかな?」
隔日,在二條城舉行了靜之的具足始め。
翌日、二条城にて静之の具足始めが執り行われた。
西國征伐已結束,天下無大規模戰事的徵兆,但作為武家之人仍不能不舉行具足始め。
西国征伐が成された今、日ノ本で大きないくさが起こる気配などないのだが、武家の人間としては具足始めを行わない訳にはいかない。
儘管昨日的疲勞尚見明顯,靜之仍在信長親自的協助下,穿上信長賜予的一套具足。
昨日の疲労が色濃く見える中、それでも静之は信長直々の介助を受けつつ信長から賜った具足一式を身に纏っていった。
本來具足始め是由父親或主君穿戴祖傳的具足一式,在此過程中傳授具足各部的含義以及家族的歷史與家訓等。
元々具足始めとは、父や主君等が伝来の具足一式を身に付けさせ、その際に具足の各部がどのような意味を持つのか及びその家の歴史や家訓などが伝えられるものだ。
作為新興之家,靜子不可能有祖傳的具足,且過去靜子所穿的那套具足也因體格不同無法傳承。
新興の家である静子には先祖伝来の具足など有る筈もなく、またかつて静子が纏った具足一式も体格の違いから継承することが出来ない。
因此,生父信長為他量身製作了一套具足,甚至承擔了為其穿戴的助理之責。
そこで実父である信長が具足一式を仕立て、それを身に着けさせる介添え人までを引き受けたのだ。
信長命靜子定做的新式具足,外觀與一般無多大差別,但內裡卻完全改良成另一番樣貌。
信長が静子に命じて新調させた当世具足は、外見こそ通常のそれと大差ないのだが、中身はまるで別物に仕上がっている。
為了讓靜之擔任大將時不會明顯突出而成為目標,這套甲胄在外觀上被巧妙處理,乍看之下不會顯得革新異樣,做了各種巧思設計。
静之は大将を務めるにあたり、明らかに周囲から浮いて目だって狙われる訳にはいかないため一見しただけでは革新的な甲冑に見えないよう様々な工夫がなされていた。
靜之的甲冑由木製部位、金屬部件與強化樹脂等多種材質複雜組合而成,雖然重量僅相當於傳統具足的八成左右,強度卻超過兩倍。
静之の甲冑は木製部分と金属部分、強化樹脂製の素材などが複雑に組み合わされ、重量は従来の具足の八割程度にもかかわらず、その強度は倍以上にも達している。
尤其是稱為大袖(守護肩部至手臂的部位)處,疊層了數片以樹脂固化玻璃纖維並裝甲上櫸木薄板的結構,其強度足以偏轉新式火槍的射擊。
特に大袖(おおそで)と呼ばれる肩から腕を守る部位には、ガラス繊維を樹脂で固めて樫の薄板を装甲したものを複数枚重ねており、その強度は新式銃の銃撃すら逸らす程である。
凡是容易造成致命傷的部位無一不用強化材,連各部件連接的纖維亦編織鋼線,使之難以輕易斷裂。
致命傷を負う可能性の高い部位には漏れなく強化素材が用いられ、各部品を繋ぐ繊維も鋼線を編み込んで容易には切れないよう仕上げられていた。
隨著靜之逐步披上甲冑,信長自然而然的呼喚逐漸減少。
着々と静之が甲冑を纏っていくにつれ、自然と信長の声かけは少なくなっていった。
既然已由織田家過繼給靜子,即便是親生父親也不得對其過度干涉。
織田家から静子へ養子に出した以上、実父であろうとも必要以上に口出しをすることは許されない。
在這場儀式期間,才是父母子女最後被允許相互接觸的時刻。
この儀式の間だけが親子に許された最後のふれあいの時間であったのだ。
(四六,不,現在是靜之啊……實在長得又高又壯了。雖曾度過我無法照顧、頗為不遇的童年,卻仍直率地成長了過來)
(四六、いや今は静之か…… 実に大きく逞(たくま)しくなった。わしの目が届かぬばかり不遇な幼少期を過ごしたというのに、真っ直ぐに育ってくれた)
對於突然沉默的信長,靜之並未感到疑惑,而是在細細品味父子時光。
不意に黙り込んだ信長を訝(いぶか)しむこともなく、静之は親子の時間を噛みしめていた。
信長絕非溺愛子女的父親,但仍能感受到他對家人的情感。
信長は決して子煩悩な父親では無かったが、それでも確かに家族に対する愛情を持っていたことが伝わってくる。
靜之也察覺到他因身份無法言說、強忍於心的情感,於是以無言的時間回應。
彼が立場上口に出来ずに噛み殺している想いを察した静之もまた、無言の時間で以て答えた。
雙方在沈默中繼續穿戴,那不是因為尷尬,而是一段奇妙而重要的時刻,彷彿以手掌傳遞的體溫交談一般。
互いに沈黙を保ったまま着付けが進んだが、それはお互いに気まずいからではなく、直接触れ合う手などから伝わる体温で会話するような奇妙で大切な時間であった。
靜之穿戴整套具足後,信長無言離去,接著靜子向靜之走上前。
静之が具足一式を身に纏うと、信長は無言のままその場を離れ、次に静子が静之の前へと進み出た。
她手中持著一振太刀,並告知將把它交給靜之。
彼女が手にするのは一振(ひとふり)の太刀である。彼女はそれを静之に手渡すと告げる。
「這是我贈與你的護身之刀。當你必須拔刀之時,想必大局已成。祈願那樣的事不會發生,因此請你收下這把由我所命打製之刀,銘為『天墜兼定』,接受吧」
「これは私から貴方に贈る護身の刀です。貴方がこれを抜かねばならない時は、既に大勢が決しておりましょう。そのようなことが起こらぬことを祈って打たせました。銘を『天墜(あまつち)兼定(かねさだ)』、受け取りなさい」
靜之恭敬地從靜子手中接過太刀,拔出刀鞘讓人看見那挺拔的刀身。
静之は静子から恭しく太刀を受け取ると、スラリと鞘から抜きはなって見せた。
那刀身如鏡般光滑,波紋般的紋理閃爍著如天際游弋之龍般神秘的光輝。
その刀身は鏡のように滑らかであり、波紋のように揺らめく模様は天を泳ぐ龍のように神秘的な輝きを放っている。
正如『兼定』之名,這是委由美濃刀匠兼定鍛造的一振,使用了足滿從土佐帶回的新型素材,成品與傳統日本刀不同。
兼定の名があるように、美濃の刀匠兼定に依頼して打って貰った一振であり、足満が土佐より持ち帰った新素材が用いられ従来の日本刀とは異なる仕上がりとなっていた。
因為技術尚未完全累積,僅試做數把,其中最優者即在此。
技術の蓄積が出来ておらず試験的に数振り打って貰った中で、最も優れた一振がここにあるのだ。
靜之將那散發妖冶美感的刀身再度納入鞘中,繫於腰間佩戴。
静之は妖しい美しさを醸し出す刀身を再び鞘に納めると、それを腰に佩(は)いた。
至此具足始典禮告一段落,接著將連續舉行為期兩日的宴會。
これにて具足始めの式典は終わり、二日続けての祝宴が始まることになる。
「好累……」
「つ、疲れた……」
好不容易脫下整套具足的靜之,仰面躺在地上張開四肢。
何とか具足一式を脱いだ静之は、床に大の字に寝そべってしまった。
從昨日起的疲勞累積,明明之後還有宴會,他卻一時無法動彈。
昨日からの疲労が蓄積し、この後宴会が控えているというのに暫く動けそうにない。
(原來成人與孩童差別竟然如此)
(ここまで違うのか、大人と子どもは)
坦白說,靜之對元服多少抱有些輕視。
本音を漏らすならば、静之は元服を若干甘く見ていた。
他曾多次在公眾場合露面,甚至習慣了來自他人的壓力。
公の場に出ることは何度も経験していたし、他者から重圧を受けることには慣れてすらいる。
然而那些都是因為他還是孩子而被寬待的結果,如今作為真正成熟的大人,不能再有任何縱容,所承受的壓力難以言喻。
しかし、それは静之が子供であったことで手加減されていたものであり、最早一人前の大人として甘えを許されない立場での重圧は筆舌に尽くしがたいものがあったのだ。
靜之一直以為身為靜子的接班人,便被周遭賦予高度期待,比同齡人承受更多苦勞。
静之は今まで静子の後継者ということで、周囲から大きな期待を寄せられ同年代の者より苦労をしていると思い込んでいた。
然而因元服之後,他成為將掌握實權的繼承人,周遭對他的待遇明顯改變。
ところが元服をしたことにより、今後は実権が伴う後継者となった為、明らかに周囲からの扱いが変わったのだ。
比他年長數倍的武將們,接觸時流露出若他露出破綻便會斬其喉的野心。
自分よりも倍以上にも年を重ねた武将が、隙を見せれば喉笛を狙うと言わんばかりに野心を滲(にじ)ませて接してくる。
這比預想更加令人難以承受。
これが予想以上に堪えたのだ。
「唉……難怪母上把事業交給我時,從未讓我觸及核心業務」
「はあ…… 母上が私に事業を任せても、決して核心的な事業に触れさせようとしなかったのはこの為か」
靜之已逐步從靜子處接收其事業與特權的一部分,但那僅是靜子權益中的周邊部分。
静之は静子から彼女の事業や特権の一部を段階的に譲渡されていた。だがそれは静子が持つ権益の中でも、周辺部分に過ぎない。
對核心部分,即使是靜之也不被允許參與。
核心部分については静之であっても関与を許されないのだ。
此外先前她宣告,是否以靜之為主君,將由家臣各自判斷決定。
更に先日、家臣達に静之を主君と仰ぐかについては各自の判断に任せると宣言している。
這表示靜之尚未掌握靜子軍的實權,因此靜子仍為靜子軍的最高司令官。
これは静子軍の実権を静之は掌握していない状態であり、故に静子軍の最高司令官は静子のままとなっていた。
對此他並無不滿,反而感謝靜子不把軍權完全交予己方的英斷。
それについての不満はない。むしろ一部でも軍の実権を己に委ねなかった静子の英断に感謝しているほどである。
「喂——還活著嗎——?」
「おーい、生きているかー?」
閉目雙臂交叉躺著之時,一個熟悉的聲音傳入靜之耳中。
瞑目(めいもく)したまま腕組みをしていると、静之の耳に聞きなれた声が届いた。
在已命人遣散旁人的靜之待命處,會無預警前來的人物只有一人。
人払いを命じてある静之の待機所へと、先触れもなく訪ねて来るような人物は一人しかいない。
匆忙起身,眼前的襖子猛地被推開了。
急いで体を起こすと、目の前の襖(ふすま)が勢い良く開け放たれた。
襖外如靜之所料,慶次帶著微笑站著。
襖の向こうには静之が予想した通り笑みを浮かべた慶次の姿がある。
「還以為你會累倒,沒想到你看起來意外地還挺有精神的」
「力尽きているかと思ったが、案外元気そうじゃないか」
「……累到甚至想就這樣一直睡下去」
「……いっそこのまま寝ていたいぐらいには疲れました」
靜之確實疲憊不堪;若能允許,他真想就這樣睡到隔日,這話一點也不假。
実際に静之は疲労困憊(こんぱい)であった。許されるならばこのまま翌日まで眠っていたいという言葉に嘘はない。
他不由自主閉上眼沉思,想到自己差點就那麼睡過去的可能性,背脊忽然一陣發冷。
思わず目を瞑って考え事をしていたが、下手をするとそのまま眠っていたかも知れない可能性に思い至り、背筋が寒くなった。
為了驅散襲來的睡意,他把身子回正,面向慶次開始交談。
忍び寄る睡魔を追い払うためにも、しっかりと慶次に向き直り会話を始める。
「你全身用力過頭了。那樣只會更累,動作反而會僵硬。要把力量蓄在臍下,其他地方放鬆就行了」
「お前さんは無駄に体に力が入り過ぎだ。あれでは疲れるだけで、むしろ動きは硬くなる。臍(へそ)の下に力を込めて、他は脱力するぐらいで良いんだよ」
「記住了」
「肝に銘じます」
「嘛,光我說也沒用。只能靠你自己找到適合的方法」
「ま、こればかりは俺が言っても仕方ない。自分なりのやり方を見つけるしかないもんだ」
「是啊。我會努力學習,讓下次能活用您的忠告」
「そうですね。次の機会にはご忠告を活かせるよう学びたいと思います」
聽到靜之的話,慶次挑了挑眉。
静之の言葉を耳にした慶次の眉が上がる。
通常靜之會注意到慶次氣質的轉變,並意識到自己的失態,但疲勞鈍化了他的思緒與判斷。
普段の静之ならば慶次の纏う雰囲気が変わったことに気づき、己の失態を悟るのだが疲労が彼の思考や判断を鈍らせていた。
因此他沒注意到慶次不是平日那種漫不經心的模樣,而是換成了要在生死相搏中作戰之人的表情。
ゆえに慶次がいつもの飄々(ひょうひょう)とした雰囲気ではなく、命のやり取りをするいくさ人の表情へ変わっていることに気が付かない。
慶次收起笑容,在垂首的靜之旁邊單膝跪下。
慶次は表情から笑みを消すと、項垂(うなだ)れている静之の傍に片膝をついた。
「別說些天真的話!」
「甘い事いってんじゃねぇ!」
一邊喊出那句話,慶次便一掌扇在靜之臉頰上。
そう叫ぶと共に慶次は静之の頬を平手で張った。
靜之一時不知所措,但看見慶次那嚴肅的表情後,終於明白慶次是因他的言行而生氣。
静之は何が起こったか判らなかったが、慶次の真剣な表情を見て、ようやく慶次が自分の言動に対して怒りを覚えていると悟る。
然而他無法理解那怒氣究竟是針對何事,仍帶著困惑的表情用手捂著發熱的臉頰。
だがその怒りが何に対するものなのかを理解できず、困惑の表情を浮かべたまま熱を持った頬を手で押さえた。
慶次語氣嚴厲,耐心地再三說明給他聽。
そんな彼に噛んで含めるように慶次は言葉を重ねる。
「你要是普通一兵,那天真的期待『下一次』無妨。但你是靜っち的繼承人,絕不能有『理所當然會有下次』這種嬌縱!一有那種想法,馬上就會被人算計」
「お前が一兵卒ならば無邪気に次を当てにするのは構わねえ。だがお前は静っちの後継者だ、当たり前に『次』があるなんて甘えは許されねえ! 甘い考えをしてりゃ、あっと言う間に足を掬(すく)われるんだぞ」
「……是」
「……はい」
在慶次的斥責下,靜之理解到自己竟抱著多麼天真的想法。
慶次の叱咤(しった)によって静之は自分が如何に甘い考えを持っていたかを理解した。
他已習慣於被賦予機會,自負地認為自己理所當然會有下次可以彌補。
与えられることに慣れてしまい、自分には当然次に挽回する機会が与えられると慢心していたのだ。
如果總以為還有下次而行動,對第一次的認真度將會消失。
次があると考えて行動していれば、初回に対する真剣さは失われてしまうだろう。
作為大人,靜之必須時刻認真活在『現在』,並處於應該把『下一次』機會給予下屬的立場。
大人として静之は常に『今』を真剣に生き、『次』の機会を配下達に与えるべき立場になったのだ。
「靜っち曾說過,成人會被強加不合理的工作,或因荒謬的事被逼負責。但正因為能忍受那些、履行責任,才稱得上成年人。只有能夠累積這些的人,才能贏得信任」
「静っちが言っていたがな、大人ってのは理不尽な仕事を押し付けられたり、不条理なことで責任を取らされたりすることがある。だが、それらに耐えて責任を果たすから大人なんだと。それらを積み重ねられる者だけが信用を得られるのだと」
「……是的」
「……そう、ですね」
「輕視『現在』的人沒有『下一次』。對失敗要真心反省,『下一次』的機會只能由你自己爭取。對剛成年的你來說這或許聽起來不公,但成年人就是把這當成理所當然——應當做到,不做就是奇怪」
「『今』を軽んじる者に『次』はない。失敗に対しては真剣に反省し、『次』の機会はお前が勝ち取るしかないんだよ。元服したてのお前には理不尽に聞こえるだろうが、大人ってのはそれを当たり前にやっているんだ。出来て当然、出来ないのはおかしいってな」
「尤其我還自稱是母親的繼承人……」
「特に私は母上の後継者を名乗っているから……」
「沒錯!靜っち能做到的,你當然也能做到。別人會覺得你不應該做不到。面對那種人若抱持『還有下次,現在不行也沒關係』的態度,立刻就會成為別人的獵物」
「そうだ! 静っちが出来たことは、当然お前も出来る。出来ないなんてあり得ないと思われる。そんな連中相手に『次』があるから、今は駄目でも仕方ないなんて気構えじゃ、あっという間に食い物にされるぞ」
一理解過來,他便覺得被慶次掌掴的臉頰正在作痛。靜之擦掉嘴角裂開而滲出的血,整理了一下坐姿,向慶次深深鞠躬。
理解が及んだ途端、慶次に張られた頬の痛みを意識した。静之は口の端が切れて溜まっていた血を拭うと、居住まいを正して慶次に深く頭を下げた。
「我還不夠成熟,謝謝您的即刻指導」
「私が未熟でした。早速のご指導ありがとうございます」
靜之對被打並無怨言,反而對能被指出自己無意識中的驕傲心懷感激。
静之には叩かれたことに対する不満などなく、むしろ己が無意識に宿していた慢心を指摘して貰えたことに対する感謝すら抱いていた。
「我沒資格對別人擺出一副了不起的樣子,但那份驕傲只會導向毀滅」
「俺は他人を偉そうに言えるほど、ご立派な人間じゃねえが、その慢心は破滅へ繋がるぜ」
看到靜之的反應似乎讓慶次有些害羞,他抓了抓臉頰移開視線,微微一笑後便離去。
静之の反応に面映ゆくなったのか、慶次は頬を掻きながら視線を逸らし、小さく笑みを浮かべるとそのまま立ち去る。
他的離開迅速得令人驚訝,但靜之情不自禁微笑,反覆回味著他說的話。
呆れるほどに素早い退出だったが、静之は思わず笑みを浮かべて彼の言葉を反芻(はんすう)していた。
他的話雖然嚴厲,但靜之覺得那正是把自己當作「一個合格的大人」看待的證明。
彼の言葉は厳しいものだったが、それこそが静之を『一人前の男』として扱ってくれている証左だと感じたからだ。
「我還很不成熟,但要努力讓大家把我當作一位有擔當的大人來看」
「まだまだ未熟ですが、一角(ひとかど)の大人として見ていただけるように頑張らないと」
靜之握緊拳頭低聲喃喃。
拳を握り締めながら静之は呟いた。
隨後舉行的祝宴上,以足滿從土佐帶回、用醬油醃製的鰹魚炊成的「鰹魚飯」廣受好評,成為一種新的吉祥物並成為定番,但那又是另外一個故事。
その後に開かれた祝宴では、足満が土佐から持ち帰った鰹の醤油漬けを炊き込んだ『かつお飯』が好評を博し、新たなる縁起物として定番になるのだが、それはまた別の話。