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戦国小町苦労譚

一五七九年 六月中旬

秀吉軍翻越山嶺進展艱難。

秀吉軍の山越えは難航していた。

比起最初預想,植被更為險惡,需要比預期更多時間整地,才能讓載運物資的駝隊通行。

当初の想定よりも植生が険しく、物資を積載した荷駄が通れるよう整地するのに想定以上の時間を要するためだ。

其中最折磨秀吉軍的就是伐根作業。

中でも秀吉軍を苦しめているのが伐根作業だった。

所謂伐根作業,是指在砍伐樹木後將殘留於地面的根部連根拔起並清除,挖掘盤根錯節深入地下的根系並非尋常勞力可及。

伐根作業とは樹木を伐採した後に残る根っこを地面から引き抜いて除去することを言い、地下深くまで張り巡らされた根を掘り返すのは尋常では無い労力を要する。

早已預見伐根會是繁重勞動,遂向靜子申請機材,並使用多種提高效率的工具,但仍然耗時的原因並非單一。

当初より伐根作業が重労働になることを見越して機材を静子に要請しており、効率的な道具を幾つも用いているのだが、それでも尚時間を要しているのには理由があった。

其一是愈入長期無人干預的深山,植被進入極相狀態,高聳的柏樹、椎樹等闊葉樹形成樹冠,遮蔽了日光。

一つは長らく人の手が入っていない山奥に差し掛かるにつれ、植生が極相状態になっており背丈の高いカシやシイなどの広葉樹が樹冠を作り日差しを遮ってしまう。

因此地表附近常年幽暗,濕潤的腐葉土堆積成厚層,表面又被地衣類覆蓋著。

これによって地表付近は常に薄暗く、湿った腐葉土が厚い層となって堆積し、その上を地衣類が覆っていた。

這種植被使得白晝也顯得陰暗,泥濘的腐葉土會使人陷足,闊葉樹根上繁生的地衣又造成滑溜,人類在此為極為苛刻的環境。

こうした植生によって昼間でも暗い上に、ぬかるんだ腐葉土に足を取られたり、広葉樹の根の上に繁茂する地衣類によって滑りやすかったりという人間には過酷な環境となっている。

另一個因素是以栓子類與椎類種子──也就是橡實等堅果為主食而定居的大型動物威脅。

もう一つの要因としてカシやシイの種子であるどんぐり類を主食として住み着いている大型動物の脅威があった。

從野狗、狼到野豬甚至熊都在此棲息,尤以好奇心強且具攻擊性的熊的遭遇,令秀吉軍的斥候部隊苦不堪言。

山犬、狼に始まりイノシシや熊までが生息しており、とりわけ好奇心が強く攻撃性の高い熊との遭遇が秀吉軍の斥候部隊を苦しめている。

雖不同於北海道等地,山陰地方沒有棕熊,但就算是月輪熊(ツキノワグマ)對人類仍構成相當威脅。

北海道などと異なり、山陰地方であるためヒグマは生息していないもののツキノワグマであっても人類にはかなりの脅威となるのだ。

就這樣,秀吉軍本隊被伐根作業忙得不可開交,而先行的斥候部隊則因惡劣環境與野生動物襲擊而逐漸疲憊。

こうして秀吉軍の本隊は伐根作業に忙殺され、先行する斥候部隊は厳しい環境と野生動物の襲撃によって疲弊していった。

「もっと腰を入れて突き込まねえか! そんなへっぴり腰じゃ、根っこどころか蔓だって切れるか怪しいぞ」

「もっと腰を入れて突き込まねえか! そんなへっぴり腰じゃ、根っこどころか蔓だって切れるか怪しいぞ」

在秀吉軍本隊監督士兵的黑鍬衆喝著令。

秀吉軍の本隊に於いて兵士たちを監督している黒鍬衆が発破をかけた。

在靜子軍中,即便是黑鍬衆,熟練的漢子也被眾人稱作親方並深受倚重。

静子軍にて黒鍬衆でも熟練の男は皆から親方と呼ばれ頼りにされている。

受那位親方指揮的秀吉軍士兵們揮舞著發給的、稱為「根切り」的扁平而鋒利、類似鋤頭的工具。

その親方が指揮する秀吉軍の兵士たちは、支給された『根切り』と呼ばれる扁平ながらも鋭い刃を持った鋤(すき)のような道具を振るう。

所謂根切り,顧名思義是用來切斷樹根的工具,製造雖易,但非較為脆弱的鑄造品,而是如日本刀等以鍛造方式製成,因而堅韌。

根切りとは読んで字のごとく木の根を切断するための道具であり、製造が容易だが比較的脆(もろ)い鋳造ではなく日本刀などと同様の鍛造によって作られているため強靭だ。

砍伐出高達十餘公尺的栓樹後,為了伐根,士兵們將根切り迎向周圍根部,並以體重配合打入。

ゆうに10メートルを超える背丈を誇ったカシの木を伐採し、残った切り株を伐根すべく周囲の根に対して兵士たちは体重を掛けながら根切りを打ち込む。

為了便於作業,他們會先挖地露出根部,將土石清除後進行,該等工作困難非常。

作業がし易いように地面を掘って根を露出させ、土や石をどけた上での作業は困難を極めた。

腳下不穩便無法充分施力揮動根切り,腰便會往後縮,親方因此會大聲斥責。

足元が覚束ない状態では満足に体重をかけて根切りを振るえず、腰が引けてしまうために親方から怒声が飛ぶのだ。

即便如此,總算勉強切斷主要的根後,接下來登場的是技術街工匠所打造的精華──「チェーンブロック」。

それでも何とか主だった根を切断すると次に登場するのが技術街の職人たちが生み出した精髄たる『チェーンブロック』であった。

チェーンブロック是以齒輪與滑車纏繞金屬鍊條來捲起、提升重物的裝置。

チェーンブロックとは歯車と滑車に金属の鎖を絡ませて巻き上げることで重量物を持ち上げる装置である。

為防逆轉所設的棘輪機構、可用小力移動大重量的動滑車等,組成此裝置的數百件高精度零件彼此搭配,使得チェーンブロック成為港灣等處起重機也會使用的重要且昂貴的器材。

逆回転を防止するためのラチェット機構や小さい力で大きな重量物を動かす動滑車を始め、数百点にも及ぶ高い精度の部品を組み合わせて作られているチェーンブロックは、港湾などで活躍しているクレーンにも利用される重要かつ高価な装置なのだ。

チェーンブロック的外觀是像起重機的前端,下方掛著環狀的鍊條,鍊條兩端有金屬製的鉤子懸掛著。

チェーンブロックの外観は上下に金属製のフックが付いたクレーンの先端に環状になったチェーンがぶら下がっているというものである。

「よし、支持架を立てろ!」

「よし、支持架を立てろ!」

在親方的口令下,三根單管鋼管被搬來,裝上連接用的頭座組成三腳架。

親方の号令で単管パイプが3本持ち寄られ、結合用のヘッドを取り付けて三脚を構築する。

由於各腳端若仍為裸管會不穩,於是套上稱為三腳底座的管座,底座帶有防滑尖釘以確保穩定性。

各脚の先端がパイプのままでは安定性が悪いため、三脚ベースと呼ばれるパイプ受けに滑り止めのスパイクが付いた土台を履かせることで安定性を確保させた。

為避免各三腳底座向外撐開,彼此以繩索相繫施加張力固定住。

それぞれの三脚ベースが広がってしまわないよう、各三脚ベースをロープで結んでテンションを掛ける。

在此狀態下,眾人齊力向下壓三腳,確認其已被牢牢固定。

この状態で三脚に対して下方向へ全員で押し込んでしっかりと固定されていることを確かめた。

接著將チェーンブロック本體的鉤子穿過連接頭的金屬環懸掛下來,並把綁在切株本體與根部的繩索掛到チェーンブロック下方的鉤子上。

次にチェーンブロック本体のフックを結合用ヘッドの金属製の輪っかに通してぶら下げ、切株本体と根っこに結びつけたロープをチェーンブロック下部のフックに掛ける。

當準備就緒,幾名以蠻力自豪的兵士合力拉動鍊條時,深深紮根於大地的切株便開始緩緩被拉起。

そうして準備が整ったところで力自慢の兵士が数人掛かりでチェーンを引くと、しっかりと大地に根を張った切株が少しずつ持ちあがり始めた。

「チェーンの破断に気を付けろ! 鎖の隙間に軍手が巻き込まれないようにしろよ!」

「チェーンの破断に気を付けろ! 鎖の隙間に軍手が巻き込まれないようにしろよ!」

軍手是用粗棉線編成、沒有左右之分的手套,指腹與手掌處還以黏著劑貼附防滑樹脂。

軍手とは太い木綿糸で編んだ左右の区別が無い手袋であり、更に指の腹や手のひら部分に滑り止めの樹脂を接着材で貼り付けたものだ。

這也是由靜子軍提供給黑鍬衆的裝備,一方面保護雙手,同時以高摩擦力的防滑作用防止鍊條滑脫。

これも静子軍から支給された黒鍬衆の装備であり、手を保護しつつも高い摩擦力を活かした滑り止めによってチェーンがすっぽ抜けるのを防いでいる。

金屬互相摩擦發出嘎里嘎里的聲響,眾人持續拉扯鍊條數十分鐘後,終於有一株估計重達數百公斤的切株被提起到空中。

ギャリギャリと金属同士が擦れる音を立てながらチェーンを引っ張り続けること数十分、ついに数百キログラムはあろうかと言う切株が空中に持ちあがった。

被吊起的切株根部夾帶大量土石,先將其敲落以減輕重量,然後在懸掛狀態下將其分割為數塊,從行進路線上移除並拋置於不妨礙之處。

持ちあげられた切株は、根っこで大量の土や石を抱え込んでおり、これを叩き落として少しでも重量を軽くしてから吊るしたまま幾つかに分割され進路上から退けて邪魔にならない位置に廃棄する。

事後完成任務的三腳架被拆解為各零件進行檢查與清潔,伐根後留下的大洞則被回填並踏實,這樣一株的伐根作業終於告一段落。

この後役目を終えた三脚は各パーツに分解されて点検と清掃を済ませ、伐根跡の大穴は埋め戻された上で踏み固められてようやく一株の伐根作業が完了した。

因為需要耗費如此龐大的人力與時間,秀吉軍的行軍速度變得極為緩慢。

このように膨大な手間と時間を掛けて少しずつ少しずつ進んでいくため、秀吉軍の進軍速度は非常にゆっくりとしたものになってしまっている。

即便如此,若人數眾多且注意事故,本隊相對危險仍較少;真正處於嚴酷境地的,乃是作為本隊先遣、負責開路的斥候部隊。

それでも大人数かつ事故にさえ気を付けていれば危険の少ない本隊はまだマシと言えた。本当に過酷な状況に置かれているのは、本隊に対する先遣隊として進路を確保している斥候部隊であった。

秀吉軍的斥候為了在本隊前方確保通行路線,採三人一組的方式行動,數組斥候輪替出動以擴大偵察範圍。

秀吉軍の斥候は本隊に先行して進行ルートを確保するべく三人一組のスリーマンセルで行動し、数組の斥候がかわるがわる放たれて探索範囲を広げる。

他們在開闢無路之地的同時,一邊製作地圖一邊擴展範圍。

彼らは道なき道を踏破しつつ、地図を作りながらその範囲を拡げていた。

其中重要的是發現作為取水點的河川與溪澗。儘管隨軍的後勤部隊已確保充足糧食,但除了飲用水外各種用途仍需水源。

中でも重要なのが給水地点となる川や沢などを発見することだ。従軍している兵站部隊によって十分な糧食は確保されているものの、飲料水以外にも何かと水は必要となるからだ。

正如人類需要水,對野生動物來說水也是生存所需的資源,因此斥候們與野生動物相遇的機率必然提高。

人間が水を必要とするように、野生動物にとっても水は生きる為に必要な資源であるため斥候達が野生動物と遭遇する確率は必然的に高くなっていた。

正當如此,斥候部隊按時集合通報時,發現有一組斥候未歸。

そうこうしている間に斥候部隊が定時連絡の為に集結すると、一組の斥候達が戻っていないことが判明する。

考量可能遭遇變故而延誤,等了片刻但沒有返回。該組斥候平素無不良行為且逃亡可能性低,於是決定組成搜查隊。

不測の事態に陥り遅れている可能性を考慮して少し待ったが戻る様子はない。件(くだん)の斥候達については今まで問題行動もなく、脱走した可能性が低いことから捜索隊が組織されることとなった。

因為不能僅因一組斥候未回就延誤整體作戰,三組斥候在作為搜查隊活動期間,其餘仍繼續原本的偵察。

斥候一組が帰還しないだけで全体の作戦を遅らせる訳にはいかないため、三組の斥候が捜索隊として活動する間も本来の探索は継続して行われる。

搜索隊出發約二刻(約四小時)後,三組中有一組為報告而返回。

捜索隊が出発して二刻(約四時間)経過した時点で三組のうち一組が報告の為に戻ってきた。

「失去蹤跡的斥候們被找到了。疑似遭熊襲擊,情形極為慘烈……」

「消息が分からなかった斥候たちが見つかりました。恐らく熊に襲われたと思わしき、凄惨な姿でした……」

「是嗎,辛苦了。你們應該也聽聞熊的習性吧? 決不可以把遺體帶回去吧?」

「そうか、ご苦労であった。熊の習性については聞き及んでおろう? よもや遺体を回収してはおらぬな?」

「是!留在現場的兩組中一組正在警戒周邊,同時進行現場檢驗。之後會回收少量遺髮再返回。」

「はっ! 現場に残った二組は一組が周辺を警戒しつつ、現場の検証を行っております。その後に遺髪を少し回収して戻る予定となっております」

秀吉軍過山時,當地的樵夫及靜子已說明過附近大型野生動物的習性。

秀吉軍が山越えを行うにあたって、地元の杣人(そまびと)及び静子から付近に生息している大型野生動物の習性については周知されている。

除了成群獵捕的山狗與狼、以低姿態衝撞的野豬等危險,還仔細解說了熊類特有的習性。

群れで狩りを行う山犬や狼、低い姿勢で突進してくる猪の危険性と並び、熊全般が持つ特異な習性は念入りに解説された。

那就是熊對自己獵得的獵物極度執著。熊若吃不完獵物,會將其埋於土中離去,之後再回來食用,此事為人所知。

それは熊が己の獲物に強い執着を示すことである。熊は己が狩った獲物を食べきれなかった際に、土に埋めて残して立ち去り、あとで食べに戻ることが知られている。

若有人試圖從所謂土饅頭狀態的地方帶走遺體,熊會以比犬類高出七倍的嗅覺追蹤掠奪者到底。

その時に土饅頭(どまんじゅう)と呼ばれる状態から遺体を持ち去ろうものなら、犬の7倍にも達するという嗅覚で収奪者を何処までも追跡してくるのだ。

因此秀吉軍一再叮嚀,當士兵被熊襲擊喪生時,即便發現遺體也不可帶回去供養。

ゆえに秀吉軍には兵士が熊に襲われて犠牲者が出た際に、遺体を発見しても持ち帰って供養しようとしてはいけないと繰り返し言い聞かせていた。

地點轉至疑似受害斥候與熊爭鬥的現場,進行檢驗的斥候們正逐漸掌握事件概要。

場所は変わって犠牲となった斥候と熊が争ったであろう現場検証にあたっていた斥候たちは事件の概要を掴みつつあった。

變成無言遺體的斥候們並未被埋成土饅頭,而是被丟棄在曝露著慘狀的地方。

物言わぬ遺体となった斥候たちは土饅頭にもされておらず、凄惨な傷口を晒したまま放置されていた。

一人自肩膀處整隻手臂被撕掉,頸側似乎也被牙刺過,留有咬傷痕跡。

一人は片腕が肩口から欠損してしまい、また首筋に牙を立てられたのか咬傷(こうしょう)(動物などに噛まれた傷)がある。

另一人臉部疑被熊爪正面擊中,留下深刻的爪痕、臉皮大片剝落,似乎受了強烈衝擊導致頸椎斷裂,頭朝向不自然的角度。

別の一人は熊の爪が顔を直撃したのか、鋭い爪傷が刻まれた上で顔面の皮膚が大きく剥がれ、また凄まじい衝撃を受けたためか頸椎が折れて頭があり得ない角度を向いていた。

最後一人則橫躺在離另外兩人一段距離的地方,腹部似被熊爪撕裂,內臟外露死亡。

最後の一人は他の二人から大きく離れた位置に横たわっており、熊の爪による攻撃を腹に受けたのか臓腑をぶちまけて絶命していた。

雖然疑似為比棕熊小型的月輪熊所為,但受過戰鬥訓練且武裝的三名士兵竟被犧牲,令人不寒而慄。

ヒグマと比べれば小型となるツキノワグマの仕業と思われるが、戦闘訓練を受けた上で武装した兵士が三人も犠牲となったことに戦慄を禁じ得ない。

報告由現場遺留的足跡、血跡、樹上刻劃的爪痕以及最後一人緊握的新式火槍整理而成。

現場に残された足跡や血痕、木立に刻まれた爪痕と最後の一人が最後まで握りしめていた新式銃の存在から報告が纏められる。

報告書雖多為推測,但大致無太大差異,事件概要如下。

多分に推測が含まれるものの、そう大きな相違はないであろう報告書によれば事件の概要は次の通りだ。

斥候們在日暮前為在當地過夜而派一人去報告,其他人則準備紮營。

斥候達は日暮れを前にして現地で夜を明かすべく、一人を報告に遣わせて野営の準備を行っていた。

他們以熟練的手勢進行準備,用配給的便攜爐生火、燒水,準備餐食。

彼らは慣れた手つきで準備を進め、支給された携帯コンロで火を熾し、湯を沸かして食事の準備を整えていたようだ。

因為長年反覆執行相同程序而過於熟悉,無人察覺由此產生的鬆懈。

何度も繰り返された手順に慣れ切っていたため、そこに油断が生じていたことに誰も気が付いていなかった。

正當他們在加了高湯的味噌團溶入煮沸的湯裡做味噌湯、聞到誘人香氣而精神一振時,事件發生了。

沸かした湯に出汁入りの味噌玉を溶かして味噌汁を作りながら、その香しい匂いに鼻をひくつかせていた折に事件が起こった。

前往報告而離開營地的斥候,黑暗中傳來巨大的聲響。

野営地を離れて報告に向かった斥候が消えた闇から大きな物音が響く。

兩人慌忙拿著臨時的火把跑去查看,所見是被拍打在樹叢之中、流著血的男子。

慌てて即席の松明を片手にそちらに駆け寄った二人が目にしたのは、木立に叩きつけられて血を流す男の姿であった。

他們邊警戒四周邊欲扶助,黑暗中一道龐然、月輪熊現身。

周囲を警戒しながら介抱しようと屈みこむと、闇の中からのそりとツキノワグマが姿を現す。

「啊!」

「なっ!」

因為倒臥者為俯臥姿勢無法看見傷口,兩人起初以為是被野豬撞傷,驚訝地叫出聲。

地に伏した男がうつ伏せであったことから傷口が見えず、イノシシに撥(は)ねられたかと思っていた二人は驚愕の声を漏らした。

「這是怎麼回事,熊不是白天活動嗎!」

「どういうことだ、熊は昼間に活動するのではなかったのか!」

「別吵! 樵夫不是說過嗎?或許附近有燒炭的小屋,靠近人類生活圈的地方有時會在夜間活動。」

「騒ぐな! 杣人が口にしていたであろう? 恐らく炭焼き小屋でもあるのだろう、人の生活圏付近では夜に活動することがあると」

「真糟糕。」

「最悪だな」

提出疑問的男子冷冷地吐出這句話。期間熊發出沉重的鼻息,緩緩逼近。

疑問を呈した男が吐き捨てるように言い放つ。その間にも熊は大きく鼻を鳴らしながらじりじりと近づいてきていた。

兩名斥候背脊冒冷汗,慌忙後退,想到若轉身逃跑會引起熊的獵奇而遭追擊,於是一邊後退一邊緊盯熊不敢移開視線。

二人の斥候は背に冷や汗が流れるのを感じつつ、慌てて背を向けて逃げ出せば熊が興味を覚えて追跡してくることを思い出し、熊から目を離さないようにしつつ後ずさる。

因後退改變了光源角度,他們注意到倒地者的腸子從位置流出在地面上。

後ずさったことによって光源の位置が変わり、二人の位置から倒れた男の腸(はらわた)が地面に零れてしまっていることに気が付いた。

「熊公會放過我們嗎?」

「熊公は我らを見逃してくれるだろうか?」

「牠是警戒我們,但興趣更勝警戒,不會放我們走的。早知在紮營時不該放下武器……」

「我らを警戒してはいるが、それよりも興味が勝っているのだろう逃がしてはくれぬだろうよ。野営に際して武器を手放したのが悔やまれる……」

「他持有的火槍看起來能用,但他恐怕已無法獲救。只能借用他的槍與刀度過此刻。就算奔跑逃命,也敵不過熊的腳程。」

「彼が持っている銃は使えそうだが、彼はもう助かるまい。彼の槍と刀を拝借してこの場を乗り切るしかあるまい。走って逃げた処で熊の足には敵うまい」

意外地,熊的腳程很快,即使在崎嶇的山道也能以每小時約50公里的速度奔跑。

意外にも熊は足が速く、荒れた山道であっても時速50キロメートルにも達する速度で走ることが出来るのだ。

即便在平地上人類也跑不到每小時30公里,還穿著鎧甲去逃跑,結果可想而知。

平地であってさえ時速30キロメートルにも及ばない人間が、鎧を付けた状態で逃げたところで結果は火を見るよりも明らかだろう。

此時,那名原本應該失去意識倒下的男子發出低吟;聽見聲音的兩人本能地伸手要扶他起來。

その時、意識を失っていたであろう倒れた男がうめき声をあげる。その声を耳にした二人は咄嗟に倒れた男を引き起こすべく手を差し伸べてしまった。

沒有人會想到這個舉動會招致最糟的結果。

それが最悪の結末を引き起こすとは、誰も思わなかったであろう。

覺得自己的獵物要被搶走的熊吼了一聲,便撲向伸手去扶的斥候。

己が仕留めた獲物を横取りされると思った熊は、一声吼えると手を差し伸べた斥候に襲い掛かる。

「喔喔喔!」

「おおお!」

那名前傾著的男子一面向前翻滾躲過熊的咬擊,一面抓起掉在地上的刀站了起來。

前傾姿勢になっていた男は、前転しながら熊の噛みつきを避けつつ地面に落ちていた刀を掴んで起き上がる。

他從翻滾的姿勢站起回頭,勇敢向以後腿直立、已逼近眼前的熊揮刀猛斬。

転がった体勢から立ち上がって振り向いた男は、目の前まで迫る後ろ足で立ち上がった熊に向かって果敢に斬りかかった。

然而男子橫掃的刀刃被像沾了油、滑得像鐵絲的熊毛擋住,無從下刀。

しかし、男が横凪ぎに振るった刀は脂で滑る針金のような熊の獣毛に阻まれて歯が立たない。

站起的熊揮下的爪子從肩頭處撕裂了他的手臂。

一方立ち上がった熊が振り下ろした爪は、男の腕を肩口から引き裂いた。

被熊壓著推倒並咬住肩頭,男子發出慘叫。

そのまま体重を掛けて押し倒されて肩口に喰いつかれ、男は絶叫を上げる。

剩下的斥候拾起最先倒下者應該持有的短槍(約1.5公尺),把全身重量壓上,向正咬著同伴的熊刺去。

残った斥候は、最初に倒れた男が持っていたであろう短槍(1.5メートル程度の槍)を拾い上げると、今まさに仲間を食っている熊に全体重を載せて短槍を突き込んだ。

這拼死一刺插入熊的腹部,熊也發出痛苦的哀鳴,從倒地的男子身上放開了頭部。

決死の攻撃は熊の腹に突き立ち、流石の熊も苦鳴を漏らして倒れた男から頭を離す。

然而,因為刺入短槍而停住腳步的斥候遭到熊的反擊。

しかし、短槍を突き立てたことで足が止まった斥候に対して熊の反撃が飛ぶ。

他因為壓上體重而呈前傾,成了禍端;熊的一擊直擊斥候頭部,驚人的力道把斥候的頸椎擊碎折斷。

体重を掛けて前傾姿勢になっていたことが災いし、熊の一撃が斥候の頭を直撃すると凄まじい膂力によって斥候の頸椎は砕けて折れた。

那名因頸椎骨折而當場死亡倒下,同時響起一聲槍響。

頸椎骨折によって即死した男が頽(くずお)れる中、一発の銃声が轟いた。

最先倒地的男子恢復了意識,他見同伴正與熊搏鬥,竭盡最後一絲力氣,朝大幅露出的熊腹將槍彈打入。

最初に倒れた男は意識を取り戻し、仲間が熊と戦っているのを見て最後の力を振り絞り、大きく隙を晒した熊の腹へと銃弾を叩き込んだのだ。

「哼……活該你這畜生……」

「へっ……ざまあ見やがれ畜生が……」

早已受致命傷的男子吐出湧到口中的血邊說道,隨後抱著新式火槍直到最後斷氣。

とうに致命傷を受けていた男は口まで込みあがってきた血を溢しながら言い放つと、最期まで新式銃を抱えたまま息絶えた。

被從近距離以貫穿力強的新式火槍射中較柔軟的腹部,熊仍然活著。

比較的柔らかい腹部に至近距離から貫通力の高い新式銃の一撃を食らった熊は、それでも生きていた。

原以為是容易獵捕的獵物,卻遭三人激烈抵抗的熊,決定離開現場療傷。

容易く狩れる獲物だと思っていた三人から激しい抵抗に遭った熊は、受けた傷を癒すべく現場から立ち去ることにした。

從槍擊留下的貫穿傷流血,掛著插在身上的短槍遠去的身影證明了野性生命力的強韌。

銃撃で受けた貫通銃創から血を流し、突き立てられた短槍をぶら下げたまま遠ざかる姿は野生の生命力が如何に強いかを証明していた。

「是嗎……」

「そうか……」

回到斥候部隊的搜索隊向隊長報告,並將從遺體上剪下的遺髮交給他。

斥候部隊に戻った捜索隊は、部隊長に対して報告を行うと遺体から切り取った遺髪を渡す。

搜索隊為慎重起見檢查了周遭,但因未能確認到熊的屍體,只好放棄回收遺體而返回。

捜索隊は念の為周囲を確認したが、熊の死体は確認できなかったため、遺体の回収を諦めて戻ってきたのだ。

雖對無法為共患難的戰友送行感到遺憾,但為免置整個斥候部隊於險地,這是不得已的苦衷決定。

同じ釜の飯を食った仲間を弔ってやれないことを口惜しく思いながらも、斥候部隊全体を危険に晒すわけにはゆかず苦渋の決断であった。

隊長接過包在懷紙中的遺髮閉目片刻,指示搜索隊休息後便走回自己的帳篷。

部隊長は懐紙に包まれた遺髪を預かると瞑目し、捜索隊に休憩を取るように指示すると自分の天幕へと立ち去った。

如此慘烈的事件雖然罕見,但在這次翻山作戰中犧牲並非少數。

ここまで壮絶な事件は稀だが、この山越え作戦にあたって決して少なくない犠牲が出ている。

然而這些都是他們所侍奉的主君秀吉為成就功名所需的犧牲,他們只得說服自己接受,返回日常生活。

それでも彼らが仕える主君たる秀吉が立身出世を成し遂げる為には必要な犠牲であるため、彼らは心に折り合いをつけて日常へと戻っていくのだ。

另外,數日後一頭重傷且極度虛弱的熊迷走到距慘劇現場跨過一座山的村落,遭村民處理後成了他們的口腹之食。

余談ではあるが、後日惨劇の現場から山を一つ越えた里へと酷く弱った手負いの熊が迷い込み、住民の手に掛って彼らの胃の腑へと収まった。

當秀吉軍在翻山作戰苦戰時,從上月城出兵進入備前國(今岡山縣)的明智光秀也陷入困境。

秀吉軍が山越え作戦に苦労している頃、上月(こうづき)城を出て備前(びぜん)国(現在の岡山県)へと軍を進めた明智光秀も苦境に陥っていた。

在上月城與光秀軍交戰敗北的浦上宗景在天神山城固守,並命手下一面據守一面施行延遲戰術。

上月城で光秀軍と交戦して敗北を喫した浦上(うらがみ)宗景(むねかげ)は、天神山城にて籠城しながら配下に遅滞戦術を命じていたのだ。

與尾張、安土等地不同,西國的街道不過是踏實的山路,周圍的灌木與林地可隨處安置伏兵。

尾張や安土などの一部地域とは異なり、西国の街道は踏み固められただけのものであり、周囲の藪や林などに幾らでも伏兵を置くことが出来る。

兵力稀少的光秀軍在斥候前導下行軍,卻因此被事先潛伏的埋伏兵獵殺斥候,造成不少損失。

兵士数の少ない光秀軍は斥候を放ちつつ進軍してくるため、予め伏せられていた伏兵によって斥候を狩られ少なくない被害を出していた。

珍貴的大砲對付移動中的單個目標也難以命中,無用武之地只好拆解成行李負重的東西。

虎の子である大砲も、動き回る一個人に対して撃ったところで命中するはずもなく、活躍の場が無いため分解されて荷物に成り下がっている。

光秀軍一邊被零星攻擊困擾,一邊將軍隊推進到可望見天神山城的吉井川前。

光秀軍は散発的な攻撃に手を焼かされつつも天神山城を臨む吉井川の手前まで軍を進めていた。

擅戰的浦上利用延遲戰術爭取到的時間,在吉井川上游構築了大規模陣地。

いくさ慣れしている浦上は、遅滞戦術によって稼いだ時間を利用して吉井川の先に大規模な陣地を構築していた。

吉井川本就無橋可過,需以渡船運兵過河,然而一艘渡船的蹤影也沒有。

元より吉井川には橋が架けられておらず、船渡しによって対岸へと軍を進める必要があるのだが、渡し船の姿は一艘もない。

對岸的陣地可見疑似趕工建成的粗糙工事痕跡,寬闊的空堀若隱若現。

川向うの陣地には突貫工事で作り上げたであろう、荒い工事跡が見え隠れする空堀が広がっている。

在那裡派兵埋伏,並配備搜集來的火繩槍。

そこに兵を伏せた上で、掻き集めた火縄銃を持たせていた。

光秀用手中的望遠鏡觀察那情形,長嘆一聲,然後用手指揉開刻著深深皺紋的眉間。

手にした望遠鏡でその様子を眺めていた光秀は大きくため息をつくと深い皺の刻まれた眉間を己の指で揉みほぐす。

「能那麼快找到大砲的弱點並加以對應,浦上真是不可小覷的戰場能手。」

「早速大砲の弱点を見つけて対処してくるとは、浦上は侮れぬいくさ巧者と言えよう」

光秀軍也在吉井川兩岸佈陣,隔岸警視浦上軍,一邊舉行軍議。

光秀軍も吉井川を挟んで陣を張り、対岸の浦上軍を睨みながら軍議を行う。

因為已向靜子與足滿詢問過大砲的特性,光秀理解到若被挖掘塹壕,將陷入不利局面。

大砲の特性については静子や足満から説明を受けていたため、塹壕を掘られてしまうと苦しい立場になるというのは理解していた。

更何況若在一條需要渡河的河流兩岸對壘,兵力較少的光秀軍將無從應對。

更には渡河が必要な河川を挟んで陣を張られては、兵数に劣る光秀軍では対処のしようがない。

理想上應該準備大量渡船,一舉同步渡河以施行飽和攻擊,但秀吉與光秀的競爭心反而不利於此。

本当であれば数多くの渡し船を準備し、一斉に渡河を図って飽和攻撃を掛けるのが一番の対策になるのだが、秀吉と光秀のライバル意識が悪く作用する。

兩人都急於搶在對方之前逼近毛利,想要掌握『我先到、你來晚了』的主動權,因此匆促進軍。

互いに相手よりも先に毛利へと迫り、相手が遅れてくるのを待ってやったというイニシアチブを取りたいが為に進軍を急いでいたのだ。

吉井川是後世被稱為『東的大川』的岡山三大河川之一,光秀事先便知情。

吉井川の存在は後の世で『東の大川』とも呼ばれた岡山三大河川の一つであるため、光秀も事前に知ってはいた。

然而,親眼見到的吉井川雄威遠超想像,河寬河深根本不是徒渡(徒步或游泳渡河)能通過的。

しかし、実際に目にする吉井川の威容は想像を遥かに上回っており、到底徒渡(かちわた)し(歩くまたは泳いで川を渡ること)出来るような川幅と深さではなかった。

大概是被浦上全面徵收作為渡船的高瀬舟,軍議上始終未能提出解決方案。

恐らく浦上の手によって渡し船たる高瀬舟が根こそぎ接収されているため、軍議の場に於いてもついぞ解決策が提示されることは無かった。

「沒辦法了,只能使用作為塹壕對策之一而準備的秘策……」

「仕方がない、塹壕対策として渡されていた秘策の一つを使う他あるまい……」

光秀決定動用因成本而猶豫不決的塹壕對策。

光秀は費用面から使用を躊躇(ためら)っていた塹壕対策に手を付けることを決断する。

光秀軍把拆解運輸的大砲重新組裝,朝對岸浦上陣地配置,並從嚴密封存的軍用彈藥箱中裝填砲彈。

光秀軍は分解して運搬していた大砲を再び組み立てると、対岸の浦上陣地に向けて配置し、厳重に封の施された軍用弾薬箱から砲弾を装填した。

首先以一般砲彈向浦上陣地示意射擊;用測距儀估算大致距離後發射的砲彈不偏不倚落在空壕中。

まずは挨拶代わりに通常の砲弾を浦上の陣地に向けて発射する。測距儀にておおよその距離にあたりを付けて発射された砲弾は、狙い過たず空堀へと着弾する。

然而,正如浦上所看出的,砲彈僅刨出表面,無法取得顯著戰果。

しかし、砲弾は浦上が見抜いた通り表面を少し抉っただけで大した成果を上げることが出来ない。

經過數次觀測射擊後,以校正過的數據調整仰角的大砲齊發。

数回繰り返して観測射撃が行われた後、較正したデータを元に仰角が調整された大砲が一斉に火を噴き上げた。

那與以往砲彈不同,沿拋物線飛行,開始下降時爆炸,將無數小鉛彈廣泛撒播。

それは従来の砲弾と異なり、放物線を描いて飛翔した後、下降し始めた処で炸裂し、小さな無数の鉛玉を広範囲にバラ撒く。

這就是作為塹壕對策之一供給的『霰彈』,砲彈內包覆著裝有無數鉛丸的小型炸彈。

これが塹壕対策その一として支給されている『霰弾(さんだん)』であり、砲弾内部に無数の鉛玉を抱えた小爆弾が包み込まれている。

主砲彈發射時同時點燃,但靠內部導火線延時引爆,於空中灑下死亡之雨。

これは主となる砲弾が発射された際に同時に着火するが、内部の導火線によって時間差を置いて炸裂することで上空から死の雨を降らせるという仕組みとなっていた。

小炸彈爆裂所帶來的高溫,連同重力加速射出的眾多鉛丸,憑藉高溫與重量造成毀滅性傷害。

小爆弾の炸裂によって熱され、重力加速度を乗せて打ち出される多数の鉛玉は高温とその重量によって破滅的な被害を齎す。

「不……到底發生了什麼!?」

「な……一体何が起こったのだ!?」

在陣地後方監視對岸砲擊的浦上,對於自軍化為阿鼻叫喚的地獄畫面而目瞪口呆。

陣地の後方で対岸からの砲撃を見守っていた浦上は、阿鼻叫喚の地獄絵図となった自軍の様子に絶句した。

一開始浦上還鬆了一口氣,認為對岸零星射來的砲彈造成的損害在預期範圍內,因而大意以待。

当初浦上は、対岸から散発的に撃ち込まれる砲弾が齎す被害が想定範囲内であることに安堵し、油断しきっていたのだ。

如浦上所料,光秀軍的砲擊並未對伏於空壕中的士兵造成重大傷害。

浦上が目論んだように、光秀軍からの砲撃は空堀に伏せた兵たちに大した被害を与えられていない。

何況連火繩槍的彈藥都是稀罕之物,耗費遠超其量的大砲不可能持續無限開火。

そもそも火縄銃の弾薬すら貴重な中、それよりも遥かに大量の火薬を消耗するであろう大砲がいつまでも攻撃し続けられるはずがない。

他們估計,等到彈藥耗盡而慌忙強渡河時,便可從對岸以火繩槍與火矢猛攻,輕易擊退光秀軍。

弾薬が尽きてしまい焦れて無理やり渡河をしてきたところを、対岸から火縄銃と火矢で攻め立ててやればあっさりと光秀軍を追い返せると見込んでいた。

然而真相揭曉後,一齊遭受砲擊的自軍陣地各處起火,負重傷或致命傷的士兵呻吟不已。

ところが蓋を開けてみれば、一斉に砲撃を受けた自軍の陣地では至るところで火の手が上がり、重傷や致命傷を負った兵たちがうめき声をあげている。

浦上還未從衝擊中恢復過來,光秀軍的追擊已悄然抵達。

浦上がその衝撃から立ち直れない間にも光秀軍からの追撃が届く。

再次在上空綻放的地獄煙火化作驟雨(一時性強降雨),肆虐浦上軍。

再び上空で花を開いた地獄の花火が驟雨(しゅうう)(一時的に激しく降る雨)となって浦上軍を蹂躙した。

「撤退!各位,快撤退!!」

「退け! 皆の者、退くのじゃ!!」

浦上一喊,撤退的陣太鼓即被敲響,無恙者紛紛先來後到慌亂逃離。

浦上が叫ぶと撤退の陣太鼓が打ち鳴らされ、無事な者が我先にと算を乱して逃げ始めた。

因為在空壕中部署兵力,無法立刻撤離,受傷士兵無法獲救而喪生。

空堀を掘って兵を配したがために、即座に逃げることが出来ず、負傷した兵士たちは救助されることなくその命を落とすことになる。

「雖然戰鬥獲勝,但不划算啊……」

「いくさには勝ったが、採算が合わぬな……」

光秀站在高地,用雙眼鏡眺望對岸陣地的情形,低聲自語。

高台に立って双眼鏡で対岸の陣地の様子を眺めながら光秀が呟いた。

那因致命霰彈而驚慌逃竄的模樣,作為敵人卻也讓人生出憐憫之感。

必殺の霰弾が齎した被害に泡を食って逃げ出す姿は敵ながら哀れですらあった。

光秀面露不悅,看著手中文件上記載的霰彈價格,驚人地達到通常砲彈的20倍。

表情の優れない光秀が手にした書類に記された霰弾の値段は、驚くべきことに通常の砲弾の20倍にも達する価格となっている。

而那還射了二次齊射,實在稱不上輕易勝利。

それを二斉射もしてしまったのだ、とてもでは無いが快勝と評するわけにはいかない。

儘管如此,它仍遠比作為塹壕對策之二所備的砲彈便宜得多,光秀因此為未動用第二項對策而鬆了口氣。

それでも塹壕対策その二として預けられている砲弾よりは遥かに安いのだから、その二に手を付けずに済んだことに胸を撫でおろす。

「霰彈雖然確實有效,但若他們以綁束青竹在空壕上做成屋頂般的防護,便無法取得顯著戰果……」

「霰弾は確かに効果的だが、青竹を束ねて空堀に屋根を作られるだけの対策でさしたる戦果をあげられなくなる……」

光秀無法不祈禱浦上會因霰彈而心生畏懼,從而放棄壕溝戰術。

光秀は浦上が霰弾に恐れをなして、塹壕作戦を放棄してくれる未来を祈らずにはいられなかった。

在西國征伐的主力人物苦戰之際,久違來到安土城的靜子正與信長會談。

西国攻めの主要人物が苦戦する中、久しぶりに安土城を訪れている静子が信長と会談をしていた。

現在人人都說信長才是天下人,但仍有人堅決不肯承認這一事實。

今となっては信長こそが天下人であると誰しもが口にするようになっているが、その事実を頑として認めない人物が存在する。

那就是庇護足利幕府最後將軍足利義昭的毛利家,以及以毛利家為西國雄主而依賴的國人衆。

それは足利幕府最後の将軍であった足利義昭を庇護する毛利家であり、毛利家を西国の雄として恃(たの)む国人衆であった。

關於九州幾乎還是未動手的狀態,但大勢已定,現下再提出反織田旗號的可能性看來不高。

九州については殆ど手付かずの状態となっているが、既に大勢は決した状況であり、今更反織田を掲げる可能性は低いと思われる。

即便是志在統一九州的島津家,也不是為了向織田家反旗而統一,而是希望盡早整合九州,以便在更有利的條件下臣服。

九州統一を目指す島津家にしても、織田家に反旗を翻す為に統一するのではなく、いち早く九州を纏めあげることでより良い条件での臣従を目指していると言えよう。

「毛利那些倔強分子似乎還在嘰嘰喳喳」

「毛利の跳ねっ返りどもが未だに囀(さえず)っておるようだ」

即便聽到毛利家的頑固狀態,信長也並未顯露特別興趣。

毛利家の頑なな様子を耳にしても信長は然したる興味を示さない。

無論是秀吉軍還是光秀軍,雖然比預想慢了一些,但都在穩步執行作戰。

秀吉軍にせよ光秀軍にせよ、想定よりも遅れてはいるものの着実に作戦を遂行しつつある。

信長的判斷是,縱使比最初預估晚些,整體計畫不會大亂,並未發生重大問題。

当初の見込みより多少ズレ込むことはあっても、大きく計画が狂うことは無いだろうというのが信長の見立てであり、大きな問題は発生していない。

反觀以毛利為盟主的反織田勢力遭到市場排擠,經濟陷入困頓,卻拿不出任何有效對策。

翻(ひるがえ)って毛利を盟主と戴く反織田勢力は、市場から締め出され経済的に困窮しつつあるというのに何ら有効な対策を打てずにいる。

若能正確認識現狀,有勇氣捨棄下沉的船,跳入未知的大海,或許還有一線存活的未來。

現状を正しく認識し、沈みゆく船を捨てて未知なる大海原へと飛び出す勇気があれば助かる未来もあったかもしれない。

然而,他們忘不了往昔榮光,選擇與毛利共赴未來,從此關閉了自己的命運之門。

しかし、かつての栄光を忘れられず毛利と未来を共にする道を選んでしまった事で、彼らの運命は閉ざされてしまった。

「竟然還在依附毛利,他們真以為有勝算嗎?」

「未だに毛利に縋っておりますが、勝ち目があると踏んでいるのでしょうか?」

正在與信長會談的靜子應門外呼喚時嘆了口氣。

信長との会談中だが室外よりの呼び声に応じていた静子がため息を吐いた。

靜子向來指示無論何種情況都不可鬆懈、持續蒐集情報,但對以毛利為首的國人衆頑固態度感到厭煩。

どんな状況下でも油断せず情報を集めるよう指示している静子だが、毛利を筆頭とする国人衆の頑なな態度には辟易としてしまう。

讓帶來報告的間者退下後,靜子向信長道歉中座。

報告を持ってきた間者を下がらせると、静子は信長に中座を詫びた。

「以為是火急要務才中座,原來是西國征伐那兩位的請求」

「火急の要件かと中座しましたが、西国攻めのお二方からの要望でした」

「無妨。若有必要讓我久候也無妨,那正是你的強項。那麼,他們要求何事?」

「構わぬ。必要とあらばわしを待たせることも厭(いと)わぬのが貴様の強みよ。それで、連中は何を要求しておるのだ?」

「羽柴大人希望取得可驅熊的忌避劑,明智大人則要補充消耗的彈藥。若從現在下令,應能趕上下一次定期運送。另有與毛利勢有聯繫的商人似乎正秘密運送支援物資,數量不多,但一旦確認其運入路線,便會予以繳獲或焚毀」

「羽柴様は熊除けになる忌避剤を望まれ、明智様は消耗した弾薬の補充ですね。いずれも今から指示を出せば次の定期便には間に合うでしょう。それと毛利勢と繋がっている商人たちが秘密裏に支援物資を送ろうとしているようです。大した量ではないようですが、搬入経路が判明次第鹵獲(ろかく)もしくは焼却するようにいたします」

靜子發展各種事業,當然是為了振興經濟,同時也是為了對物流施加監視之眼。

静子があれこれと事業を興しているのは経済振興も勿論ながら、物流に監視の目を光らせる為でもあった。

一旦建成便利的基礎設施,敏於利的商人便會自然而然聚集搭便車。

便利なインフラを整備すれば、必然的にそこに相乗りしようと利に敏い商人が集まってくる。

靜子的立場是,只要遵守既定規則,不論敵我,付出對價即可使用基礎設施。

静子のスタンスとしては定められたルールを守るならば、敵味方を問わず対価を支払う事でインフラを利用させることにしている。

如此一來,舊有低效的物流方式逐步被淘汰,像現在這般秘密運輸物資也會被監視注意到。

これによって従来の非効率な物流手段は徐々に淘汰され、今のように秘密裏に物資を輸送しようとしても監視の目に止まることとなる。

於是形成了只有當事人不知情的局面。

知らぬは当人たちばかりという図式が出来上がっていた。

「不必特別去理會也無妨」

「別段放置しても構わんぞ」

「我等的物流路線是繞過毛利控制區來構築的。也就是說,他們必定會在某處轉入我等不知的運輸路線,而發現那條路線才是真正的目標」

「我らの物流経路は毛利の支配地域を迂回する形で構築されております。つまり必ず何処かで我々の知らない物流経路に乗り換える必要があり、それを発見するのが真なる狙いです」

「相當不留情面啊」

「中々に容赦が無いな」

「因為曾被敵人耍過把戲而吃過苦頭。若能靠努力避免那種事,這點辛苦算不了什麼」

「敵に裏をかかれて痛い目を見ておりますゆえ。努力でそれを回避できるのならば、この程度の苦労は如何ほどのこともございません」

「在宇佐山時你也曾把身子浸入死地……」

「宇佐山では貴様も死地に身を浸しておったな……」

聽了靜子的話,信長眼神彷彿凝視遠方。回首看來,那或許就是最初的轉機。

静子の言葉に信長が何処か遠くを見つめるような目をする。振り返ればあれこそが最初の転機だったのだろう。

「那麼,西國征伐進展如何?」

「それで、西国攻めはどうなっておる?」

「羽柴大人的越山行動大致順利,只要給些時間應能解決。由於伐根作業遇到難關,會追加調度鏈條滑車。只要越過山嶺,毛利便會猝然被刀刃抵住喉嚨,之後與明智大人協同一舉猛攻,毛利不久便會敗落」

「羽柴様の山越えは概ね順調であり、時間さえかければ解決するようです。伐根作業が難攻しているため、追加でチェーンブロックを手配するように致します。山越えさえ成れば、毛利は突如喉元に刃を突きつけられた状態となります。あとは明智様と連携して一気呵成に攻めることで、遠からず毛利は落ちましょう」

「那猿的軍隊人數眾多,只要有機具便能提升效率,果然如此嗎」

「サルめの軍は頭数が多いゆえ、機材さえあれば効率が上がるという訳か」

秀吉的越山行為即便在當地人看來也是近乎自殺的暴舉,當秀吉軍翻越險峻山嶺出現在眼前時,毛利勢必大亂慌張。

秀吉の山越えは地元民をしても自殺に等しい暴挙であり、険しい山々を越えて秀吉軍が眼前に展開した際には毛利勢はさぞかし慌てふためくことだろう。

「關於此事,我也不吝惜對羽柴大人的支援。務必請完成此事,一旦連通山陰與山陽的街道開通,整個中國地方都會活化起來」

「この件に関しましては、私も羽柴様への支援を惜しむつもりはありません。是が非でも成し遂げて頂いて、山陰と山陽を繋ぐ街道が開通すれば中国地方全体が活性化することでしょう」

「別太偏袒那猿了,日向守會吃醋的哦」

「余りサルだけに構い過ぎるなよ。日向守(ひゅうがのかみ)めが嫉妬しおるぞ」

在光秀看來,靜子的支援似乎偏向秀吉一方;雖然雙方有競爭心帶來的色眼鏡,但對當事人而言總覺得被輕視,心裡難免不快。

光秀からすると静子の支援が秀吉側に偏っているように見えるようだ。双方のライバル意識あっての色眼鏡込みではあるのだが、当事者にとってはどうしても己が軽んじられているように思えて面白くないらしい。

「兩位已回覆會出席四六的元服,故我會平均支援,力求今年內見到決著」

「お二人からは四六の元服にご参列頂けるとお返事を頂戴しておりますゆえ、今年中に決着が付くように均等に支援して参ります」

「我看起來像是借元服之名費心讓你受寵,這點實在讓人難以忽視」

「わしとしては元服に託(かこつ)けて貴様の覚えを目出度くする為に骨を折っておるように見えてならぬ」

「就我而言,兩方都是對織田家必要的人物,我只是給予便宜而已。即使無法參加元服,也不可能改變我的態度。」

「私としては、どちらも織田家にとって必要なお方ゆえ便宜を図っているだけです。元服にご参加頂けずとも態度を変えることなどあり得ません」

「儘管如此,俗話說有魚心,水亦有心吧?他們也因此才那麼拼命。」

「そうは申しても『魚心あれば水心』と言うであろう? あ奴らもそれだけ必死ということだ」

「我比起那些事,更想專注於改善東國的情勢。」

「私はそんなことよりも東国の状況を良くする方へ注力したく思います」

「總之,你能插手的也只有幾年。到時上杉與德川會開始自行應對,你只要留心,盯著他們別圖謀不軌即可。」

「いずれにせよ貴様が口を出せるのも数年だ。そのうち上杉や徳川が独自の対応を取り始めよう。貴様は連中が良からぬ事を企てぬよう目を光らせておれば良い」

「是啊」

「そうですよね」

謙信與家康雖然服從信長,但身為一國一城之主,他們也要顧到面子。

謙信も家康も信長に従ってはいるものの、彼らとて一国一城の主たる面子がある。

若對他們的每一舉手投足都加以指示,會招致不滿,那將意味著同盟的崩解。

一挙手一投足に至るまで指示をするようでは不満を抱くようになるし、それは同盟の崩壊を意味する。

即便作為主君的他們能接受,末端的家臣是否也會完全服氣又是另一回事;凡是壓抑大量不滿的主君終將被排擠,這是世間常理。

仮に主君たる彼らがそれを納得したとして、末端の家臣にいたるまでもが同じように納得できるかは別問題であり、多くの不満を抑えつけるような主君は排されるのが世の常である。

在適度釋放壓力的同時,將大方向引導向我方意圖,才是理想做法。

適度にガス抜きをしつつ、大筋ではこちらの思惑に従うように誘導するのが望ましい。

「只要方向一致,就不會要求細節。」

「方向性さえ合っていれば細かいことまでは求めません」

「那樣就沒問題,他們也算是一方的國人,應當理解自己言行的責任。」

「それで構わぬ、奴らとて一端の国人よ。己の言動に対する責は理解しておろう」

「我祈願不會出現那樣的未來。東國就按那樣處理,關於毛利平定之後的安排,能否請您說明?」

「そのような未来が訪れぬことを祈っております。東国はそれで良いとして、毛利平定後についてのお話をお聞かせいただけますか?」

討伐毛利已是既定路線,但靜子認為有必要事先決定後續的各種事項,於是再次與信長交換意見。

既に毛利討伐は規定路線であるが、その後について色々と決めておく必要があると考えた静子は再び信長と意見を交わすのだった。