戦国小町苦労譚
一五七九年 六月中旬
在織田信忠擔任領主的美濃國一隅,聳立著一座四周被光滑無縫、令人仰視的高牆石壁所包圍、氣氛森嚴的建築。
織田信忠が領主を務める美濃(みの)国の一角に、周囲をツルリとした継ぎ目のない見上げる程に高い石壁で囲われた物々しい建物が存在する。
這座以罕見的混凝土牆覆蓋的建築,便是所謂的監獄。
戦国時代に於いても珍しいコンクリート壁に覆われた建物は、所謂(いわゆる)監獄であった。
一行看似貴人的人等,在獄吏引領下,經由厚重的鐵門進入這座出入嚴密管制的監獄。
重厚な鉄扉で厳重に出入りを管理された監獄へ、貴人と思われる一行が案内役の獄吏(ごくり)を伴って入ってくる。
隊伍中段那神情緊繃、低頭不語的,正是靜子的繼承者四六。
一行の中程にあって張り詰めた面持ちで俯(うつむ)いているのは、静子の後継者たる四六であった。
將外界與內部隔開的高外牆頂端繞以刺鐵絲網,昭示此地非屬日常空間。
外界と内部を隔てる高い外壁の上部には鉄条網が張り巡らされ、ここが非日常の空間であることを主張している。
與俗世隔絕的監獄內,排列著參照明治時期網走監獄所建、下部缺損、形似雪花結晶構造的建築。
俗世から切り離された監獄内には、明治時代の網走監獄を参考に作られた下部を欠いた雪の結晶に似た構造の建物が並んでいた。
四周矗立著監視塔俯視一切,可見身披新式火槍的士兵巡邏其間。
それらを睥睨(へいげい)するように八方に監視塔が立ち並び、新式銃で武装した兵士が巡回している姿が見える。
在這等嚴密防備的岐阜監獄中,收容著其他地方難以處理的重罪犯。
これほどまでに厳重な警備を敷かれている岐阜監獄には、他では扱い切れない重罪人が収容されていた。
例如企圖弑君的國人,或引進外敵、引發外患等足以顛覆國家之罪者,皆被關押於此。
たとえば主君である国人を弑逆(しいぎゃく)せんと企てた者であったり、外敵を引き込む手引きをするなど外患を誘致した者であったりと国家を転覆せしめる程の罪を犯した咎人などが対象となる。
(貞吉……你為何做出如此愚蠢的事)
(貞吉(さだきち)……何故こんな愚かなことをしでかしたのだ)
四六下意識地咬得嘴唇發白,思緒飄向曾同桌共讀的友人。
四六は無意識に唇が白くなるほどに噛みしめながら、かつて机を並べて共に学んだ友のことに思いを馳せた。
那位學友名為宇野貞吉,出自從中國來的宇野氏系譜,與販賣藥物的外郎氏有淵源。
学友の名は宇野貞吉、中国から渡来した宇野氏の系譜であり、薬を売買する外郎(ういろう)氏に連なる背景を持つ。
精明的貞吉之父貞次郎,從尾張源出的新藥——依症狀配方且不同於傳統漢方——中察覺到商機。
目端が利く貞吉の父である貞次郎は、従来の漢方に根ざした薬とは異なり、症状に応じて処方される尾張由来の新薬に商機を見出した。
他一手承擔此業,短時間內便崛起為堺市舉足輕重、聲名遠播的大商人。
そしてこれを一手に担うことにより、一代で堺にその人ありと噂される程の豪商へとなり上がった。
他藉由經商所得的人脈,將兒子貞吉送入靜子的學校,讓他學習尾張最先端的學問,作為再飛躍的契機。
商売を通じて得た伝手を使って息子の貞吉を静子の学校へ送り込み、最先端である尾張の学問を学ばせつつ更なる飛躍の足掛かりにしようとしたのだ。
為擴大原本順利成長的事業,貞次郎試圖增加尾張新藥的產量與銷售量。
順調に利益を伸ばしていた事業を拡大するべく、貞次郎は尾張の新薬取扱量を増やそうと試みる。
然而,作為新藥批發方的靜子並未同意。
しかし新薬の卸元である静子からは了承が得られなかった。
她回應說,新藥的製造設備僅在尾張,製造能力有限,因此暫時會維持既有的供貨量。
曰く、新薬の製造設備は尾張にしかなく、製造能力の限界があるため当分は従来通りの取扱量を維持するとの回答だった。
未達預期的貞次郎心生歹念。那來自尾張、製法不明的新藥以錠劑形式供應。
当てが外れた貞次郎の心に魔が差した。どのような製法で作られているのか解らない尾張の新薬は、錠剤という形で提供されている。
他想著若把藥錠碾碎用小麥粉等摻增、當成散劑(粉藥)流通,或可獲得比以前更多的利潤。
これを砕いて小麦粉等で嵩増しし、散薬(粉薬)として流通させれば今まで以上の利益が得られるのではないかと。
幸運的是,能夠處理尾張新藥的只有貞次郎,其中消炎鎮痛劑因其壓倒性的效用,甚至被稱為萬能藥。
幸いにして尾張の新薬を取り扱えるのは貞次郎のみであり、中でも消炎鎮痛剤はその圧倒的な効能から万能薬とすら称される程なのだ。
他認為稍微摻點雜質應該不會被察覺。
少々混ぜ物をした程度では解らないだろうと思ってしまった。
貞次郎付諸實行後,生意雖一度成長,但隨即招致顧客大量流失,迅速走向破產。
そしてこの思い付きを実行した貞次郎の商売は、一時的に売上を伸ばしたものの急激な顧客離れを招いて破綻へとひた走ることになる。
更倒楣的是,貞次郎的惡行為靜子所知,因觸犯了作為新藥取扱條件所提示的禁止改造條款,不僅被斷絕交易,還被要求賠償。
更に間の悪いことに貞次郎の悪事が静子の知るところとなり、新薬取扱いの条件として提示されていた改造の禁止に抵触したとして取引を打ち切られた上に賠償金を請求されてしまう。
這是個看似老套的故事:因快速成長而驕傲、貪婪致滅亡,但當事者們卻為了求生拼命掙扎。
急成長したが故に傲慢になり、欲をかいたが為に破滅するという何処にでも転がっていそうな話なのだが当事者達は生き残りに必死であった。
貞吉從父親貞次郎的書信得知家業陷入危局,便利用靜子學校這個聚集有力者子女的環境,策劃投資詐騙。
実家の商売が窮地に陥っていることを貞次郎からの文で知った貞吉は、有力者の子女が集まる静子の学校という環境を利用して投資詐欺を企んだ。
手法簡單:編造投資名目募款,然後攜款潛逃。
その手法は架空の投資話を持ち掛けて資金を集め、かき集めた出資金を持ち逃げするという単純なものだ。
貞吉過去以堺城中頗有勢力的大店之子身分生活闊綽,且與領主之子四六結為友好,他虛稱四六亦投資其中,從而得以籌得可觀的資金。
しかし貞吉は今まで堺でも勢いのある大店(おおだな)の息子として羽振りが良かったことと、領主の息子である四六と友誼を結んでおり、その四六もこの投資に出資していると嘯(うそぶ)いてそれなりの出資金を集めることが出来てしまった。
貞吉本欲伺機逃逸,卻因冒用四六之名惹禍,行動很早即被掌握,尚未消失便遭拘捕。
頃合いを見て逐電しようとしていた貞吉だったが、四六の名前を使ったことが災いして早い段階から行動を把握され、姿を消す前に拘束されるに至る。
就這樣,宇野父子被捕,以其罪刑之重被送往只關押凶惡犯的岐阜監獄。
こうして捕らえられた宇野親子は、その罪の重さから凶悪犯のみが収監される岐阜監獄へと送られた。
此時代對於國主之罪行以連坐為基本,當事人貞吉當然被捕,相關者亦無一倖免。
この時代に於ける国主に対する罪は連座が基本であり、当事者である貞吉は勿論のこと、関係者が全て捕らえられる。
其中被判定罪責最重的貞吉,遭與家人隔離,單獨囚禁於獨室,四六一行遂前往探視。
中でも最も罪が重いと判断された貞吉だけは家族と離されて独房に収監され、四六たち一行は彼の許を訪れた。
被稱為重犯罪者隔離房的貞吉房間,是一間冷硬的現澆混凝土房,並以厚重鐵門嚴密上鎖。
重犯罪者隔離房と呼ばれる貞吉の部屋は、コンクリート打ちっぱなしの部屋に重厚な鉄扉で厳重に施錠されている。
因特別允許四六面見,他未進入獨房,而是從鐵門上的格子小窗向內呼喚。
四六には特別に面会が許可されているため、独房への立ち入りではなく鉄扉に備え付けられた格子窓から内部へと呼びかけた。
「貞吉,我有事要向你確認」
「貞吉、其方(そなた)に確認したいことがある」
「哼!我沒有必要跟你這種人說話」
「ふん! 俺にはお前なんかと話すことは無いな」
雖然不習慣獨房生活而顯憔悴,但貞吉一聽到四六的聲音便出言不遜。
慣れない独房暮らしで憔悴しているようだが、貞吉は四六の声を耳にした途端悪態をついた。
對於看似毫無悔意的貞吉,四六嘆息一聲,隨即告知對貞吉關鍵之事。
まるで反省した様子の見られない貞吉に四六は嘆息すると、貞吉にとって重要な事柄を告げる。
「貞吉,你所犯之罪不僅止於你一人。如果你不肯申辯,整族世族將被根切(即全部殺害),你就甘心嗎?」
「貞吉、お前が犯した罪はお前だけではとどまらぬ。このまま申し開きをしないのであれば一族郎党が根切り(皆殺しのこと)となるが、それでも構わぬのか?」
「什麼……」
「なっ……」
貞吉沒有意識到自己所犯之罪的嚴重性,因而對眼前的一切語塞。
己が犯した罪の重さを自覚していなかった貞吉は、あまりのことに絶句してしまう。
他雖然已放棄抵抗,認為自己被處罰在所難免,但若連父母與弟妹也遭牽連,他便無法坐視不理。
自分が処罰されるのは仕方ないと諦めていたのだが、両親や弟妹達にまで咎が及ぶとなれば黙っていられない。
臉色瞬間煞白,開始顫抖的貞吉面前,四六以不帶感情的平淡聲線告知了更多事實。
一気に顔色が蒼白となり、震え出した貞吉に対して四六は感情を込めない平坦な声色で更なる事実を告げた。
「你父親違背了與尾張三位大人(指靜子)的約定,將劣質藥品偽稱新藥販售,因而被押到別棟拘留。如果你還指望父親會幫你,那就枉然了。」
「お前の父は尾張三位(さんみ)様(静子のこと)との約定を破り、粗悪な薬を新薬と偽って売り捌いた罪で別棟に捕らえてある。父親の助けを期待しているのならば無駄だと言っておこう」
「連父上也被抓了嗎……我們家完了……」
「父上までもが捕まったのか……もう我が家は終わりだ……」
「我受命來裁決曾經是你友人的你。若你懂得這話的分量,就給我交代為何做出這等事。」
「私はかつて友であったお前に対する処断を委ねられている。この意味が解るならば、何故このような真似をしたのか申し開きをしてみせよ」
一臉茫然失措的貞吉,聽到四六的話後,眼中泛起狡黠的光。
茫然自失の態(てい)であった貞吉は、四六の告げた言葉を耳にして瞳に狡猾な光を宿す。
貞吉大概認為為人端正、對誰都一視同仁且態度溫和的四六,必然好說話、能被各種手段哄騙。
品行方正で誰にでも分け隔てなく丁寧に接する四六ならば、如何様にでも言いくるめられると思ったのだろう。
「你不會懂的!身為大國尾張的繼承者,衣食無虞地長大的你,怎會體會到連一餐都難以為繼的窮困!」
「貴様には解らんよ! 大国尾張の跡継ぎとして何不自由なくぬくぬくと育った貴様に、その日の糧(かて)にすら事欠く貧しさなど知りえまい!」
「別說謊!你根本不懂何為食不果腹。況且就算窮,你也無權冒稱與領主有關之人名號!」
「虚言を弄(ろう)するな! お前こそ食に事欠くような貧しさを知るまい。それに貧しいからと言って領主に連なる者の名を騙ることが許されるとでも思ったか!」
貞次郎的買賣在與靜子結交後迅速擴大,但在此之前也經營越中產的煎劑與丸藥等生產販售,可說是頗為富裕的一家。
貞次郎の商売は静子と誼(よしみ)を得てから急拡大したが、それまでも越中で生産されていた煎じ薬や丸薬などを扱っており、かなり裕福な家庭だと言える。
貞吉以為四六是個不諳世事的二代目,但是四六因被父母遺棄而長期過著連一餐都不足的日子,對這類用悲情哀求的伎倆毫不動容。
貞吉は四六が世間知らずの二代目だと思っているが、彼こそ育児放棄によりその日の食に事欠く生活を長く過ごしたため、この手の泣き落としは通じない。
貞吉以為藉由提出與四六境遇的落差訴說困窮便能被收編,但失算後他轉而訴諸情面。
四六との境遇の差から困窮ぶりを訴えれば丸め込めると思ったのだが、あてが外れた貞吉は一転して情に訴えることにした。
「是啊……我害怕窮困的生活。收到父上的信說老家的生意傾頹,我一時鬼迷心竅。發誓再不幹這種事,你能替我向御領主陳情求情嗎?」
「そうだ……俺は貧しい暮らしが恐ろしい。父上からの文で実家の商売が傾いたと知り、つい魔が差してしまったんだ。二度とこのような真似はしないと誓う、貴様から御領主様に執り成しては貰えまいか?」
「我知道了」
「判った」
「多謝!此恩我將以此生相報——」
「忝(かたじけな)い! この恩は我が一生を掛けて――」
正當以為獲得赦免而開始滔滔不絕時,四六以冰冷的聲音打斷了貞吉。
赦されたと思い饒舌に話し始めた貞吉の言を遮って、凍えるような声音で四六が告げる。
「你在誤會甚麼?我說我知道,是說你根本沒有悔意。從此以後我並非以私人身份,而是以尾張領主繼承人的公人身分宣判。」
「何を勘違いしている? 私が判ったと言ったのは、お前がまるで反省する気がないということだ。ここからは私人としてではなく、尾張領主の跡継ぎたる公人として沙汰を言い渡す」
「什……什麼!」
「な……なにを!」
貞吉激昂之際,四六冷酷地宣告:
激昂する貞吉を他所に四六が冷徹に告げた。
「罪人貞吉,汝竟妄冒尾張領主之名,為私慾從學友處掠取金品,依此罪名,判處『打首獄門(斬首後公開示眾若干期間的刑罰)』。」
「罪人貞吉、其の方は恐れ多くも尾張領主の名を騙り私欲のために学友から金品を掠め取った罪により『打ち首獄門(斬首した後、一定期間晒し首とする刑罰)』に処す」
「你!對曾一同求學的我說要我死嗎!」
「貴様! 共に学んだ俺に死ねというのか!」
「你犯下了如此之罪,咎不止於你一人。你的雙親及直系親屬,減一等罪名後亦應處以死刑。」
「それだけの罪をお前は犯したのだ。その咎はお前だけでは済まされぬ。お前の両親及び直系の親族は罪一等を減じて死罪に処すものとする」
查獲之文書顯示,父親貞次郎涉入貞吉的詐騙,並有計畫攜帶貞吉所集之金品離開堺下向西國圖謀東山再起之往來記錄被押收。
父である貞次郎は貞吉の詐欺に加担しており、貞吉の集めた金品を手に堺を脱して西国へと下り、再起を図る計画だと言うやり取りが示された文が押収されている。
綜上,對於犯下足以牽連家族之大罪卻連反省都沒有的貞吉,施以更重之刑,並將押收之出資金返還予被害者。
これらを踏まえて家族に咎が及ぶ程の罪を犯しながら反省すらしない貞吉にはより重い刑罰が課せられ、押収された出資金は被害者へと返されることとなった。
對於曾同鍋而食的學友變得面目全非而生惻隱之心,四六說完最後一句話後便離開岐阜監獄。
かつて同じ釜の飯を食った学友の変貌ぶりを憐れに思いつつ、四六は最後の一言を告げて岐阜監獄を後にする。
「再見了,昔日的朋友。願你來世能正當地活著。」
「さらば、かつて友であった男よ。願わくは来世では真っ当に生きよ」
貞吉聽到四六冷酷的判決後所發出的怒號與絕叫,被厚重的鐵門隔絕,無人得聞。
非情な四六の断罪を耳にした貞吉の怒号と絶叫は、分厚い鉄扉に遮られ誰の耳にも届くことは無かった。
如此一來,貞吉作為重罪人被執行刑罰,布告與曝屍的過程中,四六對朋友毫不留情的嚴苛也成為眾人談資。
こうして重罪人として貞吉に刑が執行され、布告及び晒し首の過程で学友にも全く容赦しない四六の苛烈さが語り草となる。
當四六率護衛赴岐阜之際,靜子則以東國管領之職責在實施東國一帶的檢地與刀狩。
四六が護衛を連れて岐阜へと赴いている頃、静子は東国管領の仕事として東国一帯の検地と刀狩りを実行していた。
關於刀狩,與史實中秀吉所行相比稍為溫和,若有防範害獸等正當理由,得以在村內建立管理台帳並在管理下繼續保有刀具為條件予以許可。
刀狩りについては史実に於いて秀吉が行ったものと比べて幾分か穏当であり、害獣に対する備え等の正当な理由があれば村ごとに管理台帳を作って管理することを条件に継続して所有することが許された。
若被管理的槍刀劍類被用於犯罪,將對整個村落處罰,因此在遭竊或遺失時需盡速申報。
管理された槍や刀剣類が犯罪などに使用された場合は、村全体に対して罰が課されるため盗難や紛失などの際には速やかな届出が必要となる。
另一方面,檢地則被嚴格執行,測量隊被派遣,田畑何處、面積多少皆被詳盡記錄。
一方検地に関しては厳密に実施され、測量部隊が派遣され実際に田畑が何処にどの程度存在するかが克明に記録された。
憑藉在土木工程中培養出的測量與製圖技術,各村之精確地圖被繪製,並標示哪片耕地屬於誰,同時將農民設定為耕作者兼年貢負擔者(一地一作人的原則)。
土木工事で培った測量と製図によって各村々の正確な地図が作られ、どの耕作地が誰の所有物であるかも併記され、農民を耕作者兼年貢の負担者として割り当て(一地一作人の原則)た。
然而,先進測量器具所進行的測量對村民而言莫衷一是,從國人到他們使役的間者,頂多也只認為是以檢地台帳來管理而已。
しかし、先進的な計測機器による測量は村人たちには何をしているのか見当もつかず、国人や彼らが使役する間者に至るまで精々検地台帳で管理されるようになる程度の認識でしかなかった。
為了掌握東國的精確耕作面積與大致石高,並使今後檢地順利,亦實施了度量衡的統一。
東国に於ける正確な耕作面積及びおおまかな石高を把握し、また以降の検地をスムーズなものとするため度量衡の統一をも実施していった。
「看上來上來的報告說,要分發給各村的統一度量衡原器好像不夠,不過或許是事務方培養得好,還附了增產計畫書,我大概也只要簽批就行了。」
「上がってくる報告書を見るに、各村に配る統一度量衡用の原器が足りないみたいだけれど、優秀な事務方が育ったからか増産計画書まで添えられていて私は決裁ぐらいしかやることが無いんだよね」
靜子一邊抱怨一邊淡然地辦理文件簽批。
そうぼやきながらも静子は淡々と書類の決裁を進める。
為了培養下一代事務官所付出的努力,居然培養出超過她想像的優秀文官。因經驗不足面對非常事態時有些手忙腳亂,但他們已能依過去事例建立判斷基準、訂出優先順序並著手應對,團隊漸趨成熟。
次代を担う事務方を育てようと尽力した結果、彼女が想像した以上に優秀な文官が育ってしまった。非常事態に対しては経験不足からまごつくこともあるが、それでも過去の事例を元に判断基準を作り、優先順位を設けて対処できる集団が仕上がりつつあった。
基於這些背景,近來的靜子多半成為只負責簽批的人。雖然關心她過勞的側近們為此大喜,當事人卻因閒得無事而顯得不悅。
こうした背景もあって近頃の静子は専ら決裁するだけの人と化しており、静子のオーバーワークを懸念していた側近たちは大いに喜んだのだが、本人は暇を持て余してしまい不満そうだった。
現在除了非靜子不可處理的工作外,其他都已流程化而被剝離,只有靜子在哀嘆日益減少的工作量。
今では静子でなければこなせない仕事以外は手順化されて取り上げられてしまい、日に日に仕事が減っていく現状を静子だけが嘆いている。
「四六不被情所動而執法,長大後也不再來陪我玩……母親真寂寞啊」
「四六は情に流されず法を執行したし、器も大人になってからはすっかり遊びにきてくれない……お母さんは寂しいなあ」
對於依據信長制定之法而下出看似冷酷判決的四六,世間對比被認為是仁君的靜子而感到戰戰兢兢。
信長によって制定された法に則って非情とも言える判決を下した四六に対し、世間は仁君である(と思われている)静子との対比に戦々恐々としているようだ。
庶民常對上位者任意評說,靜子與四六本人都認為被人畏懼總比被輕視好,於是任其發酵。
往々にして民たちというのはお上に対して好き放題評するものであり、静子も四六本人も侮られるよりは良いと放置している。
親眼見到四六成長,作為父母的職責也多半只是守望,心中不免有一絲寂寥。
四六の成長を目の当たりにし、親としての役目が見守ることばかりになっていることに一抹の寂しさを覚えた。
想起牽著幼小的四六的手、在他閃亮的目光下教導的時候,不由得眼眶變得熱滾滾的。
幼い四六の手を引いて、きらきらとした目で見上げられながら教え導いて居た頃を思い出すと思わず眼がしらが熱くなる。
若大張旗鼓稱讚會被視為偏袒,因此特地囑咐廚房的料理人晚餐加上四六的愛菜。
大々的に褒めれば身贔屓と見られるため、厨房の料理人に対して夕餉に四六の好物を加えるよう言い添えた。
「伊達家和最上家陷入膠著嗎。因為雙方都無法指望他家增援,應該缺乏致勝的一擊吧」
「伊達家と最上家は膠着状態か。どちらも他家の援軍を望めないから決定打に欠けるんだろうね」
作為東國管領的靜子頒布禁止戰事的法令,導致新的戰端無法開啟。
東国管領として静子が発したいくさを禁じる法令によって新たないくさの開戦が出来なくなった。
利害相對時原則由當事人協商,仍解決不了時則將雙方主張書面呈交東國管領請求調停,等待裁決。
利害が対立した場合は原則として当事者同士での協議の場を持ち、それでも解決できない場合には双方の言い分を書面にして東国管領に調停を申し入れて沙汰を待つ。
之後若無法接受所提出的和解案,最終解決手段才會是開戰。總之不是要大家立刻動武,而是要按步驟來。
その後、提示された和解案を受け入れられないのであれば最終解決策としていくさとなる。要するにいきなり力による解決を図るのではなく、段階を踏めということだ。
然而東國管領若介入仲裁並拒絕所提和解方案,必然成為攸關家門存亡的戰事。
しかし、東国管領が仲裁に入って提示された和解案を蹴るということは当然ながらお家の存亡を掛けたいくさとなる。
此外東國整體蔓延厭戰情緒,與國人無關的情況下,靜子發布的禁令對他們而言可謂及時雨。
また東国全体に厭戦気運が広がっており、国人たちは別にして静子の発した禁令は彼らにとって渡りに船であった。
在此情況下唯一的例外是已經開戰的伊達家與最上家之間決定東北霸主的戰爭。
そんな状況下に於いて唯一の例外が、既に開戦していた伊達家と最上家による東北地方の覇者を決するいくさである。
依照前述禁令,當事者之間的戰事被束縛,其他家不得介入。
前述の禁令によって当事者同士でのいくさという縛りが設けられ、他家の介入が許されない。
「倒也沒人會當面去挑釁織田家吧。剩下的就看哪方勝了。」
「流石に面と向かって織田家に喧嘩を売る連中はいないか。後はどちらが勝つかだね」
由於禁令以當事人解決為原則,一旦發現第三者介入即認定違反禁令,織田家會以全力武力介入,並已向東國全體通告此一措施。
禁令によって当事者同士での解決を原則としているため、第三者の介入が判明した瞬間に禁令に反したとして織田家が総力を以て武力介入すると東国の全国人に対して通達が出されている。
因此有利害關係的他家只能乾著急地觀望,伊達家與最上家只得憑各自實力決出勝負。
これにより利害関係がある他家にとっては指を咥えて見守るしかない歯がゆい状態となり、伊達家と最上家は互いに独力のみを以て雌雄を決する必要があった。
雖然在禁令發布前處於優勢的伊達家多少不滿,但此禁令也有避免被趁虛攻入本國的好處,若欲成為奧州霸主便不得不接受。
禁令発布前に優勢であった伊達家としては多少の不満があるものの、いくさの隙を突かれて本国に攻め入られる恐れがなくなるというメリットもあり、奥州の覇者たらんとするならばこれを受け入れざるを得ない。
「好了,今天就到這裡吧」
「さてと、今日はこのぐらいにするかな」
處理完各地送來的決裁後,靜子大大伸了個懶腰,結束了工作。
各地から寄せられる決済を終えると、静子は大きく伸びをして仕事を終える。
時間大約是午前之前,對熟知靜子工作狂行為的人來說,上午就結束工作本是不可能的事。
頃合いとしては昼前であり、制限が掛かるほどのワーカホリックであった静子の働きぶりを知るものからすれば午前中に仕事が終わるなどあり得ない事態であった。
收拾好工作用具後,靜子帶著才蔵到庭院。靜子宅內有個圍繞小池的前栽,簡潔乾淨,靜子比起引景的正式日式庭園更偏好這種樸素的中庭。
仕事道具を片付けると、静子は才蔵を伴って庭に出る。静子邸の中は小さな池を囲うように前栽(せんざい)がある程度のこざっぱりとしたもので、静子は借景を取り入れた本格的な日本庭園よりも簡素な中庭を好んだ。
順帶一提,很少人理解靜子的喜好,作為主君的信長評價她「寒酸」極差。曾一度想以報復心態替她建個奢華庭園,但一想到維護其所需的工夫便打消了念頭。
因みに静子の好みに対する理解者は少なく、主君たる信長からは貧乏臭いとすこぶる評判が悪い。一時は意趣返し的に豪華絢爛な庭園を造ってやろうかとも考えたのだが、それを維持する労力を思うと二の足を踏んでしまった。
「說起來那些潛入尾張的間者,應該差不多已向上層回報,能處理他們嗎?」
「そう言えば尾張に潜り込んでいた間者は、そろそろ上に報告をしただろうから対処して貰える?」
靜子無意識的低語剛落,便有離去的氣息四起,這意味著隸屬靜子宅的間者們已接到命令開始行動。
静子が誰ともなく呟いた途端、何者かが立ち去る気配が起こった。これは静子邸付きの間者達が彼女の命を受けて動き出したことを意味する。
近來靜子故意放水不緝捕敵國的間者。這是因為秀吉有意讓情報被帶回的需求,她只是故意放行,且都加以監視。
近頃静子は敵国の間者をワザと泳がせていた。意図的に情報を持ち帰らせて欲しいとの秀吉の要望があったため見逃していただけであり、それぞれに監視の目がついていたのだ。
對於間者們的僱主毛利家而言,靜子是否會離開尾張是左右戰略的重大關切。
間者達の雇い主である毛利家にとって静子が尾張から動くか否かは戦略を左右する関心事である。
而據間者所知,儘管靜子完全沒有參與軍事事務,九鬼水軍卻在西國以萬全之姿現身。
そして間者達が知る限り、静子は一切軍事関連の関与をしていないにも拘わらず西国に九鬼水軍が万全の状態で現れたのだ。
雖然指揮體系名義上屬於信長旗下,但在整體軍備上若無靜子協力九鬼水軍無法運作,毛利家因此大為震動。
指揮系統としては信長の配下にあるとは言え、軍備全般に於いて静子の協力なしには九鬼水軍の運営は立ち行かないという認識であったため毛利家の動揺は計り知れない。
基於此等情勢,毛利家不僅盯著眼前的秀吉軍,也務必得掌握滯留尾張的靜子動向。
こういった事情から毛利家としては眼前の秀吉軍のみを注視しているだけではなく、尾張に滞在している静子の動向を是が非でも掴む必要性があった。
那些為潛入尾張付出不少犧牲的間者們,應各自已將靜子的動向回報國內。
決して少なくない犠牲を払って尾張へと潜入した間者達は、それぞれに静子の動向を国許へと報告したはずだ。
靜子判斷已將欲交付毛利家的資訊傳出,便下令剷除那些間者。
毛利家に対して流して欲しい情報は渡せたと判断した静子は、間者の駆除を命じたのだった。
「真要這麼做嗎?」
「宜しいのですか?」
才蔵對決定要一舉處分以往雖受監視但被放任自由的毛利間者們的靜子提出疑問。
今まで監視を付けつつも好きにさせていた毛利の間者達を一斉に処分すると判断した静子に、才蔵は疑問を口にする。
「人對於得不到疑問的答案就無法安心。暫時待在尾張沒問題,但若在移動途中被襲就麻煩了。既然已讓他們帶回一定量的情報,就沒必要再留著了。」
「人って疑問に対する答えが得られないと安心できないからね。尾張に腰を落ち着けている間は良いけれど、移動中を狙われたりしたら面倒だからね。一定の情報を持って帰って貰ったから、もう良いんだ」
「……我說過是留後路。」
「……差し出口を申しました」
先前定期提供情報的間者們突然全數斷絕聯繫,對毛利家來說足以誤以為靜子已開始行動。
今まで定期的に情報を齎していた間者達が突如として一斉に連絡が途絶えてしまう。毛利家にとって静子が動き始めた(・・・・・・・・)と誤解するには充分な状況だろう。
單單調整情報量的緩急,就會迫使毛利對靜子的動向採取一定的防備。
情報量に緩急を付けるだけで毛利としては静子の動向に対して一定の備えを強いられてしまうのだ。
實際上的靜子只是在縁側悠閒地喝茶,但非神明的毛利陷入猜疑也是無可厚非。
実際の静子と言えば暢気に縁側でお茶を啜っているだけなのだが、神ならぬ毛利が疑心暗鬼に陥るのは無理からぬことだろう。
「請告訴真田先生去對在城下町出入的商人散播適當的謠言。如果像『士兵正在動員中』這種謠言經由商人傳開,毛利那邊也會慌了手腳吧」
「真田さんに適当な噂を城下町に出入りする商人へ流すよう伝えておいて。兵たちが動員されているって言う噂が商人伝いで広まれば、毛利側も躍起になるだろうからね」
資訊化社會的現代不同,在以有限資訊治理國家的戰國時代,連謠言也能成為武器。
情報化社会の現代ならばいざ知らず、限られた情報で国家運営をしている戦国時代に於いて噂すら武器となり得る。
在突如其來無法取得一次資訊的情況下,商人帶來的謠言可說是難得的情報來源。
突如として一次情報が得られなくなった状況下に於いて、商人達が運んでくる噂話は得難い情報源と言えた。
對商人來說,謠言在某種意義上也是商品,說完全沒有可信度謠言的商人不會被信任。
商人達としても噂話はある意味商材であり、全く信憑性(しんぴょうせい)の無い噂話をするような商人は信用されない。
因此人們會判斷謠言有一定根據,要察覺那是對方設下的陷阱並不容易。
それ故に噂話にも一定の根拠があると判断してしまい、それが相手の仕掛けた罠だと気付くのは難しいのだ。
「那麼,毛利家會如何應對呢?」
「さてさて、毛利家はどう踊ってくれるかな?」
想到被經過渲染的謠言逼著作出判斷的毛利家,靜子暗自竊笑。
脚色された噂話を元に判断を迫られる毛利家を思い、静子はほくそ笑むのだった。
在上一場海戰中遭受單方面的敗北後,毛利已被逼到絕境。
先の海戦に於ける一方的な敗戦を受けて、毛利は追い詰められていた。
在紛亂的軍議場上,是否徹底抗戰或與敵和睦的意見分歧,無法統一。
紛糾する軍議の場に於いても、徹底抗戦するか和睦を結ぶかで意見が割れてしまい纏まる様子がない。
無論選哪一方,毛利家的衰落難以避免,為了爭取哪怕一點有利的處置,討論不斷空轉。
どちらを選んでも毛利家の衰退は避けられず、少しでも有利な立ち回りをしようと議論が空回りし続けた。
看過東國武田家與北條家的結局,主張徹底抗戰、讓織田家覺得毛利不可小覷以求得有利的和睦也有其道理。
東国に於ける武田家と北条家の結末を知るだけに、徹底抗戦をして織田家に毛利侮り難しと思わせて有利な和睦を結ぼうとする主張にも一定の理がある。
相反地,主張早早示弱與和睦的一派說法也說得通:與其繼續無謂戰鬥而疲弱,不如保留實力在織田的統治下謀求存活,才能維持毛利家的存在感。
逆に早々に恭順を示して和睦を結ぼうとする一派が主張する無駄な戦闘を続けて疲弊するより、勢力を保ったまま織田家の支配下での生き残りを画策する方が毛利家の存在感を示せるという理屈も納得できる。
兩方意見各有利弊,軍議無法做出結論。在北條家也是一樣,毛利的合議制透過討論集合意見,與由強力領導者帶頭的獨任制相比,行動緩重的缺點昭然若揭。
どちらの意見も一長一短が存在し、軍議は結論を出せないでいた。北条家に於いても同様に話し合いによって意見を纏める毛利の合議制は、強力なリーダーシップを発揮するトップが牽引する独任制と比べると動きが重いという欠点が如実に表れている。
並非哪一種優越,而是在被迫在有限時間內決斷的情況下,合議制的弱點暴露出來。
どちらが優れているとかではなく、限られた時間の中で決断を迫られるという状況に於いて合議制の弱点が露呈した形だった。
對於那樣的毛利家,進一步的試煉來臨。
そんな毛利家に対して更なる試練が訪れる。
長久未動軍的靜子在大坂設置大規模據點,許多將兵已開始向大坂移動的報告傳來。
長らく軍を動かさなかった静子が大坂に大規模な拠点を構えることとなり、多くの将兵が大坂へ移動を開始したとの報が届いたのだ。
在東國被安定、西國的要衝毛利成為風前燈火的情況下,這次動員引起各種臆測。
東国が安堵され、西国の要である毛利が風前の灯火となっている状況での動員は様々な憶測を呼んだ。
有人說那是為了當作一舉殲滅毛利的後援,也有人說是吞併九州的先鋒,類似的謠言四處飛散。
やれ毛利を一気呵成に攻め滅ぼすための後詰であるだとか、九州までをも併呑するための先駆けであるだとかの噂話が飛び交う。
在那種混亂情況下,唯一可以肯定的是,對西國的國人們而言,攻上京城成為天下人的路事實上被堵死了。
そんな混沌とした状況に於いて唯一確実に言えることは、西国の国人達にとって京まで攻め上がって天下人となる道が事実上閉ざされたということだ。
大坂是通往西國的玄關,如果在那裡建起大規模軍事據點,上洛就只能是夢中樓閣。
大坂は西国への玄関口であり、そこに大規模な軍事拠点など構えられては上洛など夢のまた夢でしかない。
原本採取觀望態度的西國國人們,也終於到了要決定是與織田一戰到底還是降而求存的時候。
今まで様子見を決め込んでいた西国の国人たちも、遂に織田家と戦って果てるか軍門に下って生き残るかの決断を迫られる時が訪れる。
對於周遭的這些情勢,靜子卻因久違的大規模工事而心潮澎湃。
そうした周囲の状況をよそに静子は久々の大規模工事に胸を躍らせていた。
在靜子軍中,構成兵站部隊核心的是承擔土木工程的黒鍬衆。
静子軍の中でも兵站部隊の中核をなすのは土木工事を一手に請け負う黒鍬衆である。
他們是包含土木工程在內的據點建設與維持專家,同時也是能勝任戰鬥的技術者群,若是要建造大規模據點,期待他們大放異彩。
土木工事を含む拠点構築及び維持の専門家でありながら、戦闘も熟せる技術者集団だけに大規模拠点の構築となれば面目躍如たる活躍が期待される。
「大坂城的建設是上樣親自督促的公共工程,資金不限額,盡量多用人,把錢好好花下去」
「大坂城建設は上様肝煎りの公共事業、資金に糸目は付けないから多くの人を雇って存分に金を落としなさい」
在大坂設置大規模軍事據點的理由,是要在曾有石山本願寺的舊址建立面向西國的要塞—大坂城。
大坂に大規模な軍事拠点を構える理由、それは石山本願寺があった跡地に西国を睨む要塞として大坂城を据えることにあった。
目前由丹羽長秀及津田信澄駐守石山本願寺舊址,但信長將此地視為壓制西國的關門高度評價。
現在は丹羽長秀及び津田信澄が石山本願寺跡地を守備しているのだが、信長は西国を押さえつける関門としての同地を高く評価していた。
石山本願寺靠近淀川的主流,是從海上通往京的陸上要衝,無論戰略或經濟上都是適合的良好地點。
石山本願寺は付近に淀川の本流を擁し、海上から京へと繋がる陸の要所として戦略的にも経済的にも適した好立地と言える。
信長不僅打算在大坂,亦有意在伏見設置同樣的軍事據點。
信長は大坂だけでなく、伏見にも同様に軍事拠点を構える気でいた。
伏見以南有巨椋池,是連結大坂與京的水運要衝,若壓住大坂卻不掌握伏見,就顯得不周全。
南に巨椋池を擁する伏見は、大坂と京とを水運で結ぶ要であり、大坂を押さえるならば伏見を押さえないのは片手落ちと言えた。
(上樣想到開發神戶、以及僅憑獻上的日本地圖便構思出巨大利水構想的發想,實在太超前時代了呢)
(私が神戸を開発することと、献上した日本地図だけで利水の巨大構想を思いつく上様の発想は時代を先取りしすぎているよね)
靜子聽完信長的一連串構想,理解了為何他不向周遭揭露這些想法。
静子は信長から一連の構想を聞かされ、彼がどうして周囲にそれを明かさなかったのかを理解した。
靜子有現代的知識,知道水運與海運發達的情況,因此能理解,但其他人恐怕無法理解信長為何要砸大錢開發石山本願寺舊址。
静子は現代の知識を持っており、水運及び海運が発達した状況を知識として持っているため理解できるのだが、他の者たちにとっては信長が巨費を投じてまで石山本願寺跡地を開発する必要性を理解できないだろう。
信長的構想是把大坂整備為日之本最大規模的港口,並規劃從大坂經四國到達九州的西迴航路,與繞行紀伊半島經尾張通往東國及東北的東迴航路。
信長の構想では大坂を日ノ本最大規模の港として整備し、大坂から四国を経由して九州へと至る西回り航路と、紀伊半島を回り込み尾張を経由して東国及び東北へと至る東周り航路を整備するつもりだ。
雖然海運航路本已確立,但信長打算透過對東西航路實施定期班輪,來掌控物流。
海運としての航路は既に確立されているものの、信長としてはこの東西航路に対して定期就航便を運用することで物流の支配を目論んでいた。
若如靜子所教信長學會了兵站概念並理解經濟與物流的關聯,他就能理解大坂作為水運樞紐的重要性,但被戰國常識束縛的人們則無法理解,產生隔閡。
静子を通して兵站の概念を学び、経済と物流の関連性をも理解した信長であれば水運の要である大坂の重要性を理解できるのだが、戦国時代の常識に縛られている余人には理解されないという隔絶も生まれてしまっている。
「不過也別一開始就放棄努力去爭取大家的理解……結果變成我得四處向各方說明了」
「だからと言って最初から理解を求める努力を放棄するのはやめて欲しい……お陰で関係各所に私が説明して回ることになったんだから」
信長從一開始就認為沒人會理解,於是放棄說明,與靜子分享計畫細節後便完全丟給她去處理。
信長は誰も理解できないだろうと最初から説明を放棄してしまい、静子に対して計画の詳細を共有した後は完全に彼女へ丸投げしてしまった。
因此靜子不得不把信長的計畫整理成讓家臣們也能理解的易懂資料,並帶著這些資料四處說明。
お陰で静子は信長の計画を家臣達にも理解できるよう噛み砕いた資料を作成し、それを持って説明行脚の旅を強いられる。
對此靜子向信長提出了一項要求。此事只有靜子能完成,進度掌握在她,若她不動就無法期待有進展。
これに際して静子は信長に一つの要求を突きつけた。それは静子以外に成し得ない仕事であるだけに、進捗は要である静子が動かないことには望めない。
因為目前對工作量施加了限制,不知道何時能前去說明,所以僅就此計畫取得了不設任何限制的口頭保證。
仕事量に対して制限を掛けられている現状では、説明に赴けるようになるのがいつになるか判らないため、この計画に関してのみ一切の制約を設けないとの言質を取ったのだ。
靜子就這樣成功談成,毋須多說,信長為首的靜子的側近們都帶著苦澀的表情,卻興高采烈地看著她投入工作。
こうして見事交渉を成功させた静子だったが、信長を筆頭に静子の側近たちが揃って渋い表情で嬉々として仕事に取り組む彼女を眺めていたことは語るまでもない。
從軛(くびき)中解放的靜子立刻開始繪製大坂城的設計圖。
軛(くびき)から解き放たれた静子は、早速大坂城の図案を描き始めた。
史實中的大阪城,在秀吉時代與家康時代呈現出不同的樣式。
史実に於ける大阪城(・・・)は秀吉時代のものと家康時代のそれとでは異なる様式となっている。
據說是為了抹去豐臣色彩,德川秀忠進行了大規模的改修工程,現代秀吉築城時的遺構已被掩埋。
これは豊臣色を払拭するため、徳川秀忠が大規模な改修工事を行ったためだと言われており、現代では秀吉が築城した際の遺構は埋没している状態だ。
作為歷史迷的靜子並無那種政治算計,便從各種圖案中取其所長繪出草案。
歴史マニアの静子としてはそういった政治的な思惑が無いため、それぞれの図案から良いとこどりをして草案を描き起こした。
以此為討論稿由專家補足細節,成為正式的大坂城圖面。
これを叩き台として専門家が細部を仕上げ、正式な大坂城の図面となる。
關於建設資材,為了回饋過去受苦的尾張豪商,會優先向他們下單,當然也不忘向各地商人宣告招攬。
建設資材に関しては今まで苦労を強いた分、尾張の豪商たちに還元すべく彼らを優先して発注するが、勿論各地の商人達にも声かけを忘れなかった。
在持續進行下準備之際,季節轉入六月中旬,靜子在與各地動員的黑鍬衆會合後,從尾張經安土、京抵達大坂。
下準備を続けている間に季節は巡って六月中旬に入る頃、静子は各地で動員した黒鍬衆と合流しながら、尾張から安土、京を経て大坂へと到着する。
她被派往義父近衛前久(さきひさ)處,前去會見在石山本願寺遺跡從事治水與開墾工程的黑鍬衆並交換情報。
義父である近衛前久(さきひさ)の許へと派遣され、石山本願寺跡地で治水と干拓工事に従事している黒鍬衆に面会に赴き情報交換を行った。
為了就地開發致意,靜子與黑鍬衆分別,與負責守備的丹羽與津田等有力者召開會談。
現地での開発に関する挨拶をするため、静子は黒鍬衆たちと別れて守備を担う丹羽と津田をはじめとする有力者との会談をもつ。
為了向已在進行大坂開發的前久說明,靜子在大坂停留約一週後回到京,但以密切與大坂聯繫為名選擇留在京中。
既に大坂開発を行っている前久に対して説明を行うため、静子は大坂に一週間ほど滞在した後京へと戻るのだが、大坂との連絡を密にするという名目で京にとどまることとなった。
「每次來京都會遇到朝廷的挽留工作,這次特別糾纏讓人厭煩。」
「京に来るたび朝廷の引き止め工作があるのですが、今回はしつこくて辟易します」
靜子定期造訪京城,但每回朝廷都會提出希望她多逗留一段時間的要求。
定期的に京を訪れている静子だが、毎回朝廷より暫くの逗留を要望する声が上がるのだ。
作為東國管領的靜子,期望將在京滯留的期間降到最低,原則上從尾張指揮調度。
東国管領の任に就いている静子としては、京に滞在する期間を最低限として原則は尾張から采配を振るいたいと考えている。
曾經荒廢的京已成過去,現今京的治安由巡邏隊維持。
かつての荒廃していた京は過去となり、今や京の治安は警ら隊によって維持されている。
儘管如此,想讓靜子長期滯留無非是朝廷拉攏她的作為,換言之是在離間她與信長的關係。
それにも拘わらず静子を長く滞在させたいというのは、朝廷による静子の取り込み工作にほかならず、言い換えれば信長との離間工作であった。
當然洞悉公家們盤算的信長帶著不屑的微笑回答道。
当然ながら公家達の思惑を把握している信長は不敵な笑みを浮かべつつ返答する。
「我放任可被視為敵對行為的舉動,交換我能貫徹我的要求。這會給你添麻煩,但請暫時應付他們。」
「敵対行為とも取れる行動を見逃す代わりに、わしの要望を通させる布石よ。貴様には迷惑となろうが、暫し相手をしてやってくれ」
對於靜子的抱怨,信長只是苦笑。
静子の愚痴に対して信長は苦笑を浮かべる。
靜子既不貪求地位、名譽或權力,絕無可能屈服於朝廷的調略,他們的干涉對她而言無非徒增麻煩。
静子としては地位も名誉も権力も欲していない為、朝廷の調略に靡(なび)く可能性が皆無であり、彼らの干渉はひたすらに面倒でしかなかった。
此外,朝廷以「為維持京的治安」作為挽留靜子的正當理由,這個說法令她感到不快。
それに加えて朝廷側が静子を引き止める大義名分として掲げる『京の治安維持の為』というお題目が気に入らない。
靜子曾參與京的治安巡邏隊的設立,並與他們保持長期良好關係,因此朝廷的說辭似乎輕視了他們的工作,令她難以忍受。
かつて静子は京の治安維持警ら隊の設立に関与しており、彼らとは長らく良い関係を保っているだけに朝廷のお題目が彼らの働きを軽んじているように思えて我慢ならないのだ。
「你們就不能接受現狀嗎?我怎麼可能背叛上樣……」
「そろそろ現状を受け容れられないのでしょうか? 私が上様を裏切る筈がないというのに……」
「縱然是一萬分之一的可能,對他們來說也如暗夜的燈火般耀眼。那份愚蠢反而帶來我之利益,所以就再玩弄一陣子吧。」
「万に一つの可能性であっても、奴らには闇夜の灯火のように眩しく見えるのだろうよ。その愚かさがわしに利を齎すゆえ、今しばらくは遊んでやろう」
「那麼,這次要求的是什麼?」
「それで、此度は何を要求されるのですか?」
「那並不困難。就是在開發西回航路時,讓朝廷發出宣旨,宣稱瀨戶內的支配者是我。」
「なにそれほど難しいことではない。西回り航路開発に当たって瀬戸内の支配者がわしであると宣旨(せんじ)を出させるのよ」
「那是長宗我部(ちょうそかべ)殿一直追求的地位,但以上樣的手筆,應該早有安排吧。」
「長宗我部(ちょうそかべ)殿が求めて止まなかった地位ですが、上様のことですから手回し済みなのでしょうね」
信長刻意不回答靜子的話,只是加深了笑容。
信長は敢えて静子の言葉に答えることなく笑みを深める。
武家本為暴力機構,其後盾需要藉由朝廷的權威來與無法者區別開來。
武家は暴力装置であるため、その後ろ盾は朝廷の権威によって無法者との区別がなされる。
換言之,只要有朝廷的宣旨,信長統治瀨戶內海就獲得保障,任何反對者便會被視為朝敵而遭討伐。
つまりは朝廷の宣旨さえあれば、瀬戸内海の統治を信長が行うことが保障され、これに異を唱えることは即ち朝敵として討伐されることになるのだ。
不過曾自稱西國最大規模的毛利水軍幾近慘敗,完全放棄了瀨戶內海的制海權,在這種情況下還會有人來對抗信長,恐怕未必會出現。
尤も事実上の西国最大規模を誇っていた毛利水軍が壊滅に等しい敗北を喫し、完全に瀬戸内海の制海権を手放した状態で信長に敵対するものが現れるかは怪しいところだろう。
「那麼就需要頒布私掠船取締令。雖已擊敗毛利水軍,但仍有小規模的海盜殘存。」
「となれば私掠船(しりゃくせん)取締令(とりしまりれい)の布告が必要ですね。毛利水軍を破ったとは言え、小規模な海賊衆が生き残っていますから」
「確實若定期航行的商船遭海盜襲擊,商人們不得不提高商品價格。那就讓朝廷頒布法令,取締的正當理由越多越好。」
「確かに定期就航予定の商業船に海賊行為をされれば、商人たちが扱う商品もその分の値上げをせざるを得ないからな。ならばそれも朝廷に出させよう。取り締まる大義名分は幾らあっても良い」
「關於上樣統治瀨戶內而遭西國國人的反彈,就讓朝廷站到最前線承擔吧。」
「上様が瀬戸内を支配することに対する西国の国人たちからの突き上げは、朝廷に矢面に立って貰えば良いですね」
「你也開始在政事上漸入佳境了不是?」
「貴様も政(まつりごと)が板についてきたではないか」
「還比不上上樣。」
「上様ほどではありませんよ」
對於如同時代劇反派般的對話,信長呵呵大笑。
まるで時代劇の悪役かのようなやり取りに、信長は呵々(かか)と大笑するのだった。