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戦国小町苦労譚

四六と器の事業運営

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正月に静子から四六と器に対して出された課題、大きなお金の使い方について二人の出した答えが実を結びつつあった。

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最初は二人が別々に課題に取り組もうとしていたが、資金力を大きくした方が沢山の可能性があるとの結論に至る。

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そこで互いに共同事業を始めることとし、それぞれの得意分野で活躍できるよう事業計画を練った。

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かつて器は幼少期にネグレクトを受けていた影響から、実年齢に対して発育の遅れが見られていた。

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しかし、静子邸に引き取られ静子から愛情と恵まれた教育環境を与えられたことで、驚異的な成長を見せる。

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特に情緒面の発達が遅れてしまった代償なのか、数学に対して静子をも驚かせる適性を見せたのだ。

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この才能を伸ばすべきだと考えた静子は、経理に携わる事務方がやっている『MG研修』へ自分と共に器も参加させる。

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最初は見知らぬ大人だらけの環境で人見知りをする器だったが、MG研修中に提供される食べ放題のお菓子や、思いの外大人たちが優しくまた、自分を褒めてくれることでMG研修を好きになった。

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大人たちについても、最初は静子の養女であるため遠慮があったのだが、次第に懐いてくれて同じ課題に取り組む小さい仲間を大切に思うようになる。

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こうなれば全てが好循環で回るようになり、器は持ち前の数学系能力も相まってメキメキと実力をつけ始める。

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次第に静子が不在のMG研修にも参加できるようになり、自己肯定感がついたと同時に社交性をも身につけた。

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また器という前例ができたことで、『こどもMG研修』と称して関係者の子女が参加する研修も開催されるようになり、器もまた他人に教えることで理解を深める。

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更にはMG研修を機会に、器は経理に興味を持ち始め、簿記や財務諸表についても事務方と一緒に学んでいた。

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こうした経緯もあって、器は経理についての知識を深め、そこを起点に銀行というものに対して興味を持つようになった。

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しかし、この時代に於ける貸金業はすっかり衰退してしまっている。

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何故ならいくさに託(かこつ)けて略奪が認められており、貸す借りるといった面倒な約束事が守られなくなった為である。

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史実に於ける信長は、上洛を果たし三好三人衆と戦っている最中、堺の商人たちに対して矢銭2万貫(現在の貨幣価値に直せば二十数億円とも)を供出するよう要求している。

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こうした経緯から、この時点で曲がりなりにも銀行業を営んでいる『田上屋』を除けば、資金調達には伝手(つて)を頼って借金するしかない。

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そこに目をつけた四六と器は、貸金業を始めることにした。

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四六には静子の後継者としての仕事もあるため、主に武力を背景とした債権回収及び広報と資金提供を担ってもらう。

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器は経理及び財務に明るいことと、一緒にMG研修を受けた者たちから希望者を募り、金融業を始めることとなった。

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初めは独立した店舗などを持たず、静子邸の一角で始まった貸金業だったのだが、滑り出しはなかなかの好調となる。

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何故なら静子邸に出入りできる業者が仲介しての顧客ばかりであり、客筋も良く身許もしっかりとしている。

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また紹介者には仲介手数料が支払われること及び金利が安いこともあって、徐々に器の顧客が増えていった。

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余談だが鎌倉時代の借金にあたる銭の出挙(すいこ)は1年後に元金の倍額を返す利倍法がまかり通っていた。

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当初は静子邸に出入りできる業者からの紹介だった顧客も、顧客が更に紹介をするなどと仲介回数が嵩むに連れて客筋も悪くなってくる。

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それでも静子邸に間借りしていた頃は、流石に領主の邸内にて悪事を行う度胸は無かったのか、問題行動を起こすような客はいなかった。

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しかし、事業規模の拡大に連れて静子邸の一角では手狭となり、城下町に本格的な店舗を構えての営業が始まった途端に悪意が忍び寄ってくる。

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こうした背景から融資を執行するにあたって、器の持つ特殊な能力が真価を発揮することとなった。

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器は幼い頃より虐待を受けた経験から、他者からの悪意に対して敏感に反応する。

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つまり、悪意をもって金を騙し取ろうとする輩を恐ろしい精度で見抜くことが出来たのだ。

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「――と、このような計画で事業を展開する予定をしております」

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屋号を『尾張金融』と号した店舗の応接室にて、融資を依頼しにきた客から経営計画の説明を受ける器の姿があった。

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「ありがとうございます。お話は伺いましたので、ご融資の成否については後日連絡を差し上げます」

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「はっ! 何卒よろしくお願いします」

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男は恭(うやうや)しく一礼をすると応接室を辞した。残された器は小さくため息をついた。

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客の男は、担当者が年若い女であったことで器を侮っていた。

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それらしい話をしてやれば容易に騙せると思い込み、上機嫌で帰って行ったのだ。

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しかし、器は前述の感覚を以て男の悪意を見抜いており、最初から融資をするつもりもなかった。

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「器、今の客はどうだった?」

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別室に控えていた四六が顔を出して器に話しかける。

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「兄様(あにさま)、今の方はいけません。こちらを騙してお金を引っ張ろうという魂胆でしょう」

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「ならば融資をしないだけで、森様に仕置きを依頼するまでもないか」

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嘘つきは泥棒の始まりというように、犯罪は往々にして小さいことから始まり、徐々にその規模と凶悪さを増していく。

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虚偽の経営計画を以て融資を受けようとするのは、立派な詐欺(さぎ)に該当し、かなり取り返しの付かない悪事であると言えた。

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こういう手合いは他の悪事にも手を染めていることが多く、悪の芽を摘むべく介入する口実としても使えるのだ。

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四六と器は、そう言った荒事を長可に委託しており、彼及び彼の配下は小遣い稼ぎ感覚で嬉々として悪党退治に従事する。

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こうして表の顔には器を用い、与(くみ)し易いと思わせながらも悪意にはそれ以上の悪意で返す金融屋が誕生した。

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それでも金融業を営んでいれば不測の事態は発生し、顧客側に悪意が無くとも貸し倒れが発生することはある。

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これに対しては、四六自らが正規の法に則り債権回収を執行する。

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決して過剰な追い込みをせず、また生きていけない程の苛烈な取り立てもしないという温情をも見せた。

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それは事業目的が金儲けだけではなく、社会を円滑に回す潤滑油たらんとしたことに端を発しているからだ。

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こうして四六と器が始めた金融業は、需要を取り込み成長し始める。

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いずれ泰平の世になった折には、高利貸しや闇金融などが問題になるのだろうが、それはまだ先の話。