戦国小町苦労譚
一五七八年 十一月上旬
信長的策略奏效,御馬揃え確定在十一月上旬實施。
信長の策略が功を奏し、御馬揃えは十一月上旬に実施することが確定した。
巧妙引導對織田家抱有叛意的公家心理,並以迎合他們荒唐要求的方式在日程上做出彈性,即便失敗也可強辯為公家們的過失。
織田家に叛意(はんい)を抱く公家の心理を上手く誘導し、彼らの無茶な要望を叶える形で日程に融通を利かせたため、仮に失敗したとしても公家達の過失と強弁出来る。
話雖如此,以信長為首以及負責幕後的靜子並不甘心就這樣坐視失敗。
とは言え、信長をはじめ裏方を引き受ける静子とてみすみす失敗してやる気などさらさらない。
但能事先防止在最後關頭的妨害就有其意義。已經以謠言方式周知:若輕舉妄動插手便會成為公家的責任,因此妨害御馬揃え等於自傷自敗。
それでも土壇場になってからの妨害を未然に防げるだけで意味がある。下手に横やりを入れようものなら公家の責任となることを噂という形で周知させたため、御馬揃えに対する妨害は自傷行為となるのだ。
就這樣,陷入自繩自縛而保持沉默的公家們讓信長頗為滿意,他愉快地等待御馬揃え之日到來。
こうして自縄自縛(じじょうじばく)に陥ったことで沈黙を守る公家達に気をよくした信長は、上機嫌で御馬揃えの日を待つことになった。
「結果,我的順序竟然在公家眾之前。」
「結局、私の順番は公家衆の前になったんだ」
御馬揃え相當於現代的軍事閱兵,其隊位配置牽涉政治考量。以下記述其陣容。
御馬揃えとは現代に於ける軍事パレードであり、その位置取りには政治的な思惑が絡んでいる。以下にその陣容を記す。
先頭由在史實中被信長評為「長秀既是友人亦是兄弟」的丹羽長秀擔任,繼之的是織田家中勢頭正盛的家臣們。
先頭には史実に於いて信長から「長秀は友であり、兄弟である」とまで評された丹羽長秀が務め、織田家の中でも勢いのある家臣達が続く。
其中亦有比較新來的明智光秀,可見光秀在織田家內的重要性。
この中には比較的新参者である明智光秀もおり、織田家家中に於ける光秀の重要性が窺い知れた。
接著是由信長兄弟及其子嗣所構成的連枝衆,其首位由繼承者信忠擔任。
これに続くのが信長の兄弟や、彼の子息たちで構成される連枝衆(れんししゅう)であり、その先頭には後継者である信忠が務める。
繼長子信忠之後的是屢惹事端而受關注的次男信雄、逐漸嶄露頭角的三男信孝,隨後配置了信長的弟弟信包,以此排列可見強調世代交替的意圖。
長男である信忠に続くのは、何かと不祥事を起こして問題視されている次男の信雄(のぶかつ)、めきめきと頭角を現しつつある三男の信孝(のぶたか)、これに続く形で信長の弟に当たる信包(のぶかね)が配され世代交代を強調する意図が見えた。
接著配置的是織田家的心腹、作為武家與公家之間橋樑的靜子。對於被排在連枝衆之後曾引發一番爭執,但最終被信長一句話壓下。
次に配されるのが織田家の懐刀であり、武家と公家を繋ぐ者となった静子である。連枝衆よりも後方に配されることに対してひと悶着あったのだが、そこは信長による鶴の一声で封殺されている。
在擔任東國管領這一高位的靜子之後,緊接著的是作為武家對應的公家眾。
東国管領という高い役職を抱く静子に続くのが、武家と対を為す公家衆であった。
公家衆首位由靜子的義父近衛前久擔任。其被承認為准三后(指非皇族但地位與皇族同等的身分),且身居關白之位,因此位列於此。
公家衆の先頭を務めるのは静子の義父に当たる近衛前久(さきひさ)である。准三后(じゅさんごう)(皇族以外で皇族と同等とする身分)を認められており、関白の座に就いていることからもこの位置なのだ。
公家衆內的排列大致按官位順,從此順序可看出在朝廷中的權勢。
公家衆内での並びは概ね官位順であり、この順番によって朝廷での権勢が判る。
公家之後是信長鍾愛的騎兵隊——赤母衣衆與黑母衣衆,隨後是小姓們。
公家に続くのが信長お気に入りの騎馬兵こと、赤母衣(ほろ)衆と黒母衣衆に小姓たちが続いた。
接著是被稱為越前衆的隊伍,由柴田勝家為首、負責越前攻略的武將們列隊而行。
これらに続くのが越前衆と呼ばれる集団であり、柴田勝家を筆頭とした越前攻略を務めた武将たちが並ぶ。
與越前衆同軍的越後衆則是由上杉謙信率領的武將們,他們以臣從織田家的形式結成同盟並肩而立。
越前衆と部隊を同じくするのが越後衆であり、織田家に臣従する形で同盟を結んだ上杉謙信率いる武将が肩を並べた。
再往後是些許異色的團體,出場的是在信長主辦的相撲大會中奪冠的力士們。
更に続くのは色物集団であり、信長が主催した角力(すもう)大会で優勝した力自慢の力士が務める。
最後壓軸出場的便是信長,形成如此陣容。
そして最後に大トリを務めるのが信長という布陣となる。
御馬揃え順序一確定,靜子便率先入京以準備接待諸將等事宜。
御馬揃えの順番が決まると、静子は諸将の受け入れ準備などがあるため先んじて京入りをした。
從遠方來的越前衆等預計在一週前入京,為避免現場混亂需與各相關單位協調。
遠地より訪れる越前衆などは一週間前に京入りを予定しており、現場が混乱しないよう関係各所と調整をする必要がある。
事先已選定接待地點並完成各方運作的根回し,但因為是信長親自操辦的御馬揃え,諸將常常會採取超出預期的行動。
事前に受け入れ場所などを選定し、根回しも済んでいるのだが信長肝煎(きもい)りの御馬揃えだけに諸将も予定外の行動をとり勝ちなのだ。
有人攜帶超過事前申報的人員,或為了震撼民眾而引發不必要的騷動。
事前に申告していた以上の人員を帯同していたり、民たちの度肝を抜こうとして余計な騒動を起こしたりする。
可以理解他們得到發揮機會而躍躍欲試的心情,但若因此玷污了御馬揃え就本末倒置了。
発奮の機会を得て意気込む気持ちは分からないでもないのだが、そのせいで御馬揃えにケチがついては本末転倒であった。
能夠在不傷和氣的情況下調整那些諸將的,除信長外只有靜子一人能勝任。
そして、そんな諸将らを角が立たないように調整出来るのは、信長を除けば静子しかいない。
信忠在東國征伐亦立下戰功,逐漸被認可為信長的後繼者,但因年輕仍常遭輕視。
信忠も東国征伐で手柄を立て、信長の後継者として認められつつあるが、それでも年若いことから軽んじられることが少なくないのだ。
「此次的御馬揃え是上樣親自主持。凡試圖潑冷水者,不論出身如何,一律以嚴罰處置。」
「此度の御馬揃えは上様が音頭を取っておられます。これに水を差さんとする輩はその出自如何に拠らず、厳罰を以て対処しなさい」
靜子為溫厚篤實之女性,因態度謙遜常被輕視,但織田家重臣皆認同她在必要時也能做出冷酷果斷的決策。
温厚篤実(とくじつ)な女性であり、控えめな態度を取るが故に静子も侮られることが多いのだが、必要だと割り切れば非情にもなれる人物であることは織田家重臣の間では皆が認めるところである。
就這樣當靜子下定決心發出治綱肅紀的號令時,最先以行動表態的是長可。
こうして静子が腹を括って綱紀粛正の号令を発すると、真っ先に行動で示したのが長可(ながよし)である。
以執行取締為名而得正當理由的長可,正如靜子所言,對任何挑起騷動者毫不猶豫地施以拳腳制裁。
取り締まりの為だという大義名分を得た長可は、静子の言葉通り誰であろうと騒動を起こす者へ一切の躊躇なく拳を振るった。
「人數一多,激動時總會冒出忘我之愚者。對那種人光說沒用,先用拳讓他閉嘴再談是最好的!」
「人は数が集まり、熱くなってしまえば我を忘れる阿呆が必ず出る。そういう奴には口で言っても無駄だ、先に拳で黙らせてから話をするのが一番だ!」
對於無論年紀甚至比自己父親年長也不留情的長可施以鐵拳制裁,家臣建議應留些手心,他的回應便是前述那番話。
己の父より年上の者だろうが容赦なく鉄拳制裁を加える長可に対し、家臣が多少の手心を加えてはどうかとの進言への返事が前述のものとなる。
他斷言對自己的所作無愧,且不論身分高低或男女老幼一律平等取締。
彼は己の行いに何ら恥じるところがないと言い切り、身分の上下や老若男女を問わず平等に取り締まった。
也許正因如此,想一睹御馬揃え風采的民眾及參與者們都冷靜下來了。
その甲斐あってか御馬揃えを一目見ようとする民たちや、御馬揃えに加わる者たちも一様に頭を冷やす結果となる。
然後在十一月十二日,信長期盼已久的御馬揃え終於舉行。
そして十一月十二日、遂に信長待望の御馬揃えが開催される。
信長當然如此,以靜子為首的多位家臣也為這一天做了各種準備。
信長は勿論のこと、静子を筆頭に多くの家臣たちがこの日の為に様々な準備を重ねてきた。
遺憾的是如史實所示,秀吉因毛利之戰的牽扯無法參加。
残念ながら史実通り、秀吉は毛利戦の兼ね合いで参加することが叶わない。
靜子收到了一封秀吉親筆的信,字跡紊亂到彷彿怨念已凝於墨中。
怨念が墨に籠っているのではと思うほど筆跡の乱れた、本人自筆の文を静子が受け取っている。
因為是西國進攻的前線,設有電信設備,信長與秀吉透過通信使聯絡,但秀吉要求歸還的陳情始終未被允許。
西国攻めの最前線であるため電信装置が置かれており、信長と秀吉は通信使を介して連絡を取り合っていたのだが、ついぞ秀吉帰還の陳情が許可されることは無かった。
秀吉原本熱切希冀參加御馬揃え,但若因他缺席而導致被毛利擊敗就無法挽回,於是他含淚決定放棄參加。
御馬揃えへの参列を熱望していた秀吉も、流石に自分が抜けたせいで毛利に負けたとなれば取り返しがつかないため、泣く泣く参加を見送る決断を下した。
為了彌補,他表明至少想要感受那份氣氛,懇請拍照並寄來給他。
代わりに雰囲気だけでも味わいたいとの要望があり、是非とも写真を撮影して送って欲しいと懇願されることとなる。
靜子欣然接受,決定比原計畫增派攝影班應付。
静子はこれを快く受け入れ、予定よりも撮影班を増やして対処することとした。
號稱記錄狂的靜子早已增產玻璃乾板式底片等記錄媒體,三人一組的攝影隊分布在沿道各處,向京中的民眾留下照片存在的印象。
記録魔と異名を取る静子だけに、記録媒体であるガラス乾板式フィルムの増産を既に行っており、三人一組の撮影班が沿道のあちらこちらに配置されて京の民に写真の存在が印象付けられることとなる。
「總算了呢。雖然在舉辦之前經歷過許多曲折,但讓我們為能平安迎來今天而歡喜吧」
「ようやくだね。開催までに紆余(うよ)曲折(きょくせつ)あったけれど、今日という日を無事迎えられたことを喜びましょう」
如靜子所言,舉辦之前私下流了許多血。被節慶熱潮裹挾而被肅清的那些還算小事,竟然有人在此時僱用流氓來妨害御馬揃え。
静子が言うように開催するまでに裏で多くの血が流れた。お祭り騒ぎの熱に浮かされて粛清された者などは可愛い方で、なんとこの期に及んでさえもならず者を雇って御馬揃えを妨害しようとした者さえいたのだ。
對此信長的處置極為苛烈,實施徹底的報復以讓人不敢再起反抗之心。
これに対する信長の対応は苛烈であった。二度と反抗しようなどと思わぬよう、徹底した報復が実施される。
以一罰百戒的肅清手段,曾舉反織田旗幟的公家們都被震懾。
一罰百戒を地で行く粛清に、反織田を掲げていた公家達は震えあがった。
信長的警告似乎深入人心,自此之後準備工作便能順利無大礙地推進。
信長の警告が身に染みたのか、それ以降は大過なく準備を進めることが出来ている。
信長如此重視的御馬揃え是時任帝——正親町天皇親臨觀禮的天覽之事,因此日本各地的有力者齊聚一堂。
それほどまでに信長が拘った御馬揃えには、時の帝こと正親町(おおぎまち)天皇も臨席される天覧のイベントであるため、日ノ本中の有力者が一堂に会することとなった。
不僅朝廷,武家甚至佛家也有許多要人到場。既然如此多的面子到齊,機敏的商人不會放過良機,平日不離堺的大商人們也紛紛蜂擁而至。
朝廷だけでなく武家、果ては仏家からも多くの有力者が集う。これだけの面子が揃うとなれば、機を見るに敏な商人がこの機会を逃すはずもなく、普段は堺から動かない大商人たちも挙って押し寄せた。
實際上操控日本事務的人物都到齊,在這樣的對手面前讓信長顯示已掌握天下,可見御馬揃え是多麼重要的活動。
実質的に日ノ本を動かしている面々が揃うこととなり、それだけの相手を前に信長が天下を掌握したと知らしめるのだから御馬揃えがどれ程重要なイベントであるかが理解できよう。
「嗯……能理解你的心情,但這也未免太浮誇了吧?」
「うーん。気持ちは判るけれど、流石にこれは派手過ぎない?」
靜子一邊抱怨一邊細細端詳自己的打扮。以騎乘用的馬乘袴為基底,但她的袴並非單色,而是有漸層設計。
そうぼやきながら静子は己の恰好をしげしげと眺める。騎乗するため馬乗り袴(はかま)をベースにしているのだが、静子の袴は単色ではなくグラデーションが施されていた。
以紫為基調漸變到鮮豔的緋色,變化美麗,紫色本易顯暗沉,但搭配得當反而顯得光艷動人。
紫を基調として鮮やかな緋色へと移ろう様は美しく、貴色とされるが暗くなりがちな紫を配しているのに、艶(あで)やかに見える。
袴從膝下一點處一直延伸到大腿中段,縫著許多小花。
また袴の膝より少し下あたりから太股の中ほどまでに亘って幾つもの小さな花が縫いつけられていた。
這些花並非簡單直線排列,而是配合色彩變化流動地佈置,且花心處施以所謂的亮片,在光線下反射極為吸睛。
しかも単純に直線に並ぶのではなく、色の変化に合わせて流れるように配されており、しかも花の中央には所謂(いわゆる)スパンコールが施されているため光を反射して大層目を惹く仕上がりだ。
這些亮片並非廉價的金屬片,而是在薄樹脂上施以螺鈿的高級品,雖然閃耀卻不顯俗豔。
このスパンコールも金属片などの安っぽい物ではなく、薄い樹脂に対して螺鈿(らでん)を施した高級品であるため、輝いて見えるというのにギラギラとした下品な印象にならない。
上衣方面,與袴上的小花意匠呼應,散布著大朵花的刺繡。
上着に関しては袴が小さな花の意匠に対するように、大きな花の刺繍(ししゅう)が散りばめられていた。
用來盤髮的簪子則豪華絢爛:以鼈甲為芯、以金屬製成的緋牡丹,數朵經小銀鍊懸垂而成。
更に髪を纏(まと)める為に挿している簪(かんざし)は、鼈甲(べっこう)の芯材から金属で作られた緋牡丹が幾つも小さな銀鎖でぶら下がるという豪華絢爛(けんらん)なものとなる。
本來覺得替她們準備衣裝的彩與蕭對花飾過於執著,但直到親臨御馬揃え當日才領會她們的用意。
今回自分の衣装を用意した彩と蕭(しょう)がやたらと花に拘っているなと思っていたが、実際の御馬揃え当日を迎えてみて初めて彼女たちの意図に気が付いた。
周遭人人都打扮得格外奪目,以金銀裝飾展現勇武與威猛的印象;相比之下,靜子的服裝在展現女性優雅的同時,如同盛大的花朵般吸引目光。
それは周囲の誰も彼もが挙ってド派手な恰好をしており、金や銀で彩られた勇壮さや猛々しい印象を与えるのに対し、静子の衣装は女性らしい優美さを示しつつも大輪の花が咲き誇るかのように目を惹く仕上がりとなっている。
御馬揃え作為軍事閱兵,本就帶有展示武威的方向,大家都想方設法彰顯自身存在,若主張不夠強就會被淹沒。
御馬揃えは軍事パレードであるため、己の武威を示さんとする方向性を持っており、皆がそれぞれに己の存在を誇示せんと工夫を凝らすことから主張が弱いと埋没してしまう。
靜子反其道而行,以截然相反的嫋嫋華麗服飾自然聚集周遭目光,可說是彩與蕭的面目躍如。
それを逆手に取り、真逆の方向性で嫋(たお)やかかつ華麗な装いが醸(かも)し出す異色さは自然と周囲の目を集め、彩と簫の面目躍如といった処だろう。
(從這個角度看雖然優雅,但恰好沒超出軍裝範疇,算是絕妙的平衡感)
(そういう意味では優美ではあるけれど、ギリギリ軍装の域を出ない絶妙なバランス感覚だよね)
雖不如振袖或和服那般華麗,但以鮮明色彩突出女性特質的好品味,讓靜子再次感謝她們的盡心盡力。
振袖や着物ほど派手ではないものの、鮮やかな色使いで女性らしさを主張するセンスの良さに、改めて静子は彼女らの尽力に感謝した。
想着御馬揃え結束後得想法子回報,她一邊等待自己的出場順序。
御馬揃えが終わったら何らかで報いないといけないなと思いつつ、静子は己の順番が来るのを待っている。
作為為活動盡力的第一人者,靜子既然親自出席,就不能在上場前輕率走動。
イベントの開催に尽力した第一人者となる静子だが、自身も参列する以上は出番が来るまで不用意に動き回ることが出来ない。
她正忍住想用自己的眼睛從正面觀賞隊列的誘惑時,忽然有人搭話。
撮影班に任せるのではなく、己の目で御馬揃えの隊列を真正面から眺めたい誘惑に耐えていると不意に声を掛けられた。
「義姊上,近來可好?」
「義姉上、ご機嫌は如何ですかな?」
搭話的是義父前久的嫡子、近衛信尹。
うずうずしている様子を隠せない静子に声を掛けたのは、義父こと前久の嫡男にあたる近衛信尹(のぶただ)であった。
他本人並不參加御馬揃え,但因其生父為公家首席,便以後學之名來臨席。
彼自身は御馬揃えに参列しないが、実父が公家筆頭を務めることから後学のためにと臨席している。
不過他的穿著與平日無異,在眾人爭相打扮之下顯得格外突兀。
しかし、その装いは全く普段と変わらないものであるため、皆がこぞって着飾っている中に於いては相当に浮いて見えた。
當然他根本不在意他人如何評價,仍泰然自若地行事。
尤(もっと)も彼自身は他者からどう思われているかなど意にも介さないため、泰然として振る舞っている。
「目前一切順利。應該很快就會輪到第一隊的丹羽大人等出發吧?」
「今の処順調だよ。もうすぐ一番部隊の丹羽様らが出発なされるんじゃないかしら?」
「據我所知,義姊上您屬於第六隊。若按計畫進行,出發應該會在午前之前。」
「義姉上は確か六番部隊に当たるのでしたね。予定通りに進行すればご出発は昼前頃になるかと伺(うかが)っております」
「希望能如預定進行就好了。」
「予定通りいくと良いんだけれどね」
靜子把視線投向遠方低聲喃喃。御馬揃え是一聲令下由主要武將齊出的大型活動。
遠くへ目線を投げながら静子は呟いた。御馬揃えは信長の号令一下、主要な武将らが総出で臨む大規模イベントだ。
經過周密準備並肅清叛逆者以維持紀律,但一旦在大觀衆的歡呼中情緒高漲,仍會有人越矩。
入念に準備を整え、跳ねっ返りを粛清することで規律を保っているが、いざ大観衆の歓声を浴びて高揚すれば羽目を外す者も現れよう。
對於可能出現此等行為的人事先查明,並在其旁配置能牽制他們的人。
そういった行動に出る恐れのある者は事前に調べ上げ、傍らに彼らを掣肘(せいちゅう)出来るものを配してある。
話雖如此,不測之事總會發生,身為主辦方的靜子十分擔憂。
とは言え不測の事態というのは起こるものであり、運営側となる静子は気を揉んでいた。
「正是連這等突發狀況也能享受,才稱得上御馬揃。這麼想不是比較輕鬆嗎?」
「そういった不慮の事態をも楽しんでこその御馬揃えでしょう。そう考えた方が気楽ではありませんか?」
「……要是能如此釋然就好了。但這是畢生一次的大舞台,想到我的失誤會被歷史記下,肚子就痛……」
「……そんな風に開き直れれば良いんだけれどね。一世一代の大舞台だからこそ、私の失敗が歴史に刻まれると考えたらお腹が痛くて……」
「義姊大人已盡了人事,若在此發生任何事故,義姊大人無需承擔責任。應由造成問題者負責。」
「義姉上は既に人事を尽くされておりまする。ここで何らかの事故が起こったとして、義姉上が責を負う必要はございませぬ。問題を起こしたものに帰するべきかと」
「話是如此……但既然都到了這一步,還是希望能平平安安結束啊」
「それはそうなんだけど…… ここまで来たら平穏無事に終わって欲しいよね」
「能體會妳的心情」
「お気持ちお察しいたします」
雖然離靜子等候的待機所很遠,她仍聽得見傳到這裡的喧囂,靜子吐了口氣。
静子が控える待機所から遠く離れているにもかかわらず、ここにまで届いてくる喧騒に耳を傾けながら静子はため息を吐いた。
諸將與其家臣毫不掩飾氣勢昂揚,從中可察覺他們對御馬揃的熱忱非同小可。
諸将やその家臣達も意気衝天(いきしょうてん)たる様子を隠そうともせず、御馬揃えに臨む意気込みが並々ならぬことが察せられる。
正如『好事多磨』的諺語,靜子擔憂正是在這種時候最易出事,便向神佛祈求一切平安結束。
好事魔多しのたとえにあるように、このような時こそ問題が起こると危惧する静子は、どうか無事に終わりますようにと神仏に願うのだった。
「平時不怎麼虔誠,心裡還覺得有些不好意思,但到了這種時候也只能向神佛祈求了吧」
「普段熱心に信仰していない身からすると憚(はばか)られるんだけれど、ここに至っては神仏にお縋(すが)りするしかないよね」
「祈願義姊的心願能被應允」
「義姉上の願いが聞き届けられんことを祈っております」
信尹對那番回應向苦笑的靜子行了一禮後,便告辭離開了。
そんな信尹の応(いら)えに苦笑を浮かべる静子に一礼すると、彼はこの場を辞した。
結束對話後,靜子再次確認進行狀況。已經出發到第三隊,第四隊前頭正焦急等待出發信號。
会話を終えた静子が改めて進行状況を確認する。既に三番部隊までが出発しており、四番部隊の先頭が出発の合図をやきもきしながら待っている状態だ。
心想原來談得意外地久,靜子仍在她所屬的第六隊前頭待命。
意外に長く話し込んでいたのだなと考えながらも、静子は自身の順番である六番部隊の先頭で待機していた。
這時,本應擔任第五隊前頭的信忠騎馬來到靜子跟前。
すると五番部隊の先頭を務めるはずの信忠が騎乗したまま静子の許へやってくる。
他臉上沒有緊張,反倒顯得有些無聊消磨時間的樣子。
彼の顔に緊張はなく、どちらかと言えば時間を持て余している様子が窺(うかが)えた。
「喂,靜子。陪我打發一下時間如何?」
「よう、静子。俺の暇潰しに付き合ってはくれまいか?」
「啊,若君,閣下可真是心情好。若是所願,當然樂意奉陪」
「これは若様、ご機嫌麗しゅう。勿論、お望みとあらば喜んで」
「別那麼拘謹,放輕鬆點」
「堅苦しい物言いはよせ。楽にせい」
照例相互重複過數次既定程序後,兩人才放鬆語氣。
お互いに何度も繰り返したお決まりの手順を経て言葉を崩す。
靜子與信忠交情已久,但信忠是信長的繼承人。
静子と信忠は長い付き合いながら、信忠は信長の後継者である。
作為家臣的靜子若對主君的繼承人說話隨便,周遭可能會誤解為信忠被她輕視。
家臣である静子が、主君の跡継ぎに対してぞんざいな物言いをしていると、信忠が静子に軽んじられていると周囲が誤解する可能性があった。
因此一開始會使用講究上下關係的措辭,然後由信忠下令去除禮節才放鬆語氣,已成為慣例。
それ故に、最初は上下関係を意識した言い回しを用い、信忠が礼を排するように命じて言葉を崩すのが常となっている。
雖覺得多此一舉,但若能因此避免麻煩,就認為這是必要的手續。
まったく迂遠(うえん)なことだと思いつつも、これで面倒が回避できるなら必要な手間だと考えていた。
「說起來聽到兩則有趣的消息,你知道嗎?好像發現了稀有礦石,足滿正前往土佐國;還聽說他用九鬼水軍準備遠洋航行,好像叫青ヶ島?」
「そう言えば面白い話を二つほど小耳に挟んだぞ? 何でも珍しい鉱石が見つかったとかで足満が土佐(とさ)国に赴いておるらしいな。他にも九鬼水軍を使って外洋航行の準備をしていると聞き及んだ、確か青ヶ島(あおがしま)と言うたか?」
「消息真靈通呢」
「本当に耳が早いね」
足滿前往土佐是連信長都還未被報告的極機密,令人好奇信忠是從哪裡聽來的。
足満が土佐に向かっているのは未だ信長にすら報告していない極秘の情報であり、何処から信忠が聴きつけたかが気にかかるところだ。
又知道足滿的目的,推測大概對礦山技師或鑽探機材技師做了監視。
また足満の目的までをも察知していることから、鉱山技師か掘削機材の技師あたりに見張りを付けているのだろうと察する。
靜子原本只是不想在計畫落空時讓人失望而暫時隱瞞,後來覺得並非特別需要保密便開口說了。
目論みが外れた折に肩透かしをさせるのも悪いと考え結果が出るまで伏せていただけで、別段隠すほどでもないと判断した静子は口を開いた。
「我對礦石不太懂,但足滿大叔很熱衷地說那是統一日之本時絕對必要的礦石。」
「私は鉱石とかは良く判らないんだけれど、足満おじさんが日ノ本を統一するためには絶対に必要となる鉱石だって張り切っていたんだよ」
「說是絕對必要,真是說得誇張。那是在這一帶採不到的東西嗎?」
「絶対に必要とは大きくでたな。それはこの辺りでは採れない物なのか?」
「如果不拘泥於量或品質,據說在很多地方都能採到,但四國因與本土隔離,位置最理想。」
「量とか質に拘らなければ比較的色々な場所で採れるとは言っていたけど、本土から切り離された四国が理想的な位置にあるんだって」
「那麼重要的礦物究竟是什麼?」
「それで重要な鉱物っていうのは何なんだ?」
「首先是錳。據說發現了一種叫クリプトメレン、形狀像一串葡萄顆粒般、暗黑色塊狀聚集的石頭。接著在附近持續試掘時,又成批出土了名為菱錳礦的紅色透明菱形石塊,所以要開始正式採掘。」
「まずはマンガンだね。クリプトメレンって言うぶどうの粒みたいな形をした黒っぽい塊がいくつもくっついた石が見つかったんだって。それで付近の試掘を続けていたら、菱(りょう)マンガン鉱って言う赤く透き通った菱型の石が纏まって出土したから本格的に採掘するらしいよ」
「克里普托梅倫……那是什麼?那個『錳』可以做什麼?」
「くりぷ……なんだって? その『まんがん』とやらは何が出来る?」
「老是問問題呢。嗯,據足滿大叔說,這是使比鐵更堅硬的鋼變得更堅硬且有韌性的必需物質。」
「さっきから質問ばっかりだね。えーと、足満おじさんが言うには鉄より硬い鋼をより硬くしなやかにするために必須の物質なんだって」
「原來是能使鋼更堅硬。確實在小田原之戰大砲因強度不足而裂開,強韌的鋼很重要。」
「なるほど、より硬い鋼か。確かに小田原攻めでも大砲が強度不足で割れたからな、強い鋼は重要だろう」
信忠這麼低語後似乎陷入沈思,閉上眼睛沉思著。
信忠はそう呟くと沈思黙考しているのか、目を瞑(つむ)って考え込んでいる様子だ。
實際上還有報告指出發現了含鉻的礦石──鉻鐵礦與灰鉻石榴石。
実は他にもクロムを含んだ鉱石であるクロム鉄鉱と灰クロム柘榴(ざくろ)石が見つかっているとの報告も上がっていた。
對於材料工學與地質學一無所知的靜子而言根本不明白重點,但據足滿所言,有了鉻便能製造不鏽鋼。
材料工学や地質学に関してはまるで知識を持たない静子からすれば、何が重要なのかサッパリ判らなかったのだが足満によるとクロムがあればステンレスも作れるそうだ。
不鏽鋼以極難生鏽著稱,其便利性就連靜子也能理解,因此她忍不住滿懷期待。
非常に錆びにくいことで有名なステンレスの利便性は静子でも理解できたため、期待に胸を膨らませずにはいられない。
足滿省略了詳述,認為一次塞太多人大概無法理解,但若以鎳與鉻合金化,就會成為以電熱線著名的鎳鉻合金;若能把它整合進高爐,能處理的金屬種類便會增加。
一気に詰め込んでも理解できないだろうと足満が説明を省いているのだが、ニッケルとクロムから合金を作れば電熱線で有名なニクロム合金となり、これを高炉に組み込むことが出来れば扱える金属の幅が増える。
若能取得鋁,亦可製造稱為康達爾合金的耐高溫發熱體;若以此繞成線圈並建造電阻爐,將擁有與他國隔絕的技術優勢。
他にもアルミを調達することが出来ればカンタル合金と呼ばれる高温に耐える発熱体を作ることも可能となる。これでコイルを作成し、電気炉を作ることが出来たなら他国とは隔絶した技術的優位性を持つこととなるだろう。
「喔,想得入神了。那麼讓九鬼那些人做些什麼?」
「おっと、考えこんでしまったな。それで九鬼の連中には何をやらせているんだ?」
九鬼水軍在織田軍中擔任海軍主力,但除此之外還有另一個重要的角色。
九鬼水軍は織田軍に於いて海軍の主力を担っているのだが、これとは別にもう一つの大きな役割があった。
那就是探索可作為遠洋航行補給據點的島嶼。
それは外洋航行に向けた補給拠点となる島の探索である。
縱使靜子等人帶來的技術提升了造船與食物保存技術,要像現代那樣無補給連續航行數月以上並不容易。
幾ら静子らが齎した技術によって造船技術や食料保存技術が向上しようとも、現代のように無補給で数か月以上もの航海を続けることは容易ではない。
因此,必須有作為中繼點的補給基地。
それ故に、必ず中継地点となる補給基地が必要となるのだ。
幸好靜子獻給信長的世界地圖在手,她便與信長緊密商議,一邊篩選出作為補給基地的島嶼候選。
幸いにして静子が信長に献上した世界地図があるため、彼女は信長と綿密な打ち合わせをしながら補給基地となる島の候補を絞っていった。
而成為第一個補給基地的是青ヶ島,那是一座距本土超過三百五十公里的孤島;在鎌倉時代成書的『保元物語』中有記載海難事故。
そしてその補給基地となる第一弾が青ヶ島であった。本土から離れること三百五十キロメートル以上という場所に存在する孤島であり、鎌倉時代に成立した『保元(ほうげん)物語』に海難事故の記述が存在する。
反觀戰國時代的青ヶ島,估計是無人島,因此目標是在沿岸建造簡易港口與物資集積據點。
翻(ひるがえ)って戦国時代の青ヶ島は、恐らく無人島と思われることから沿岸部に簡易的な港と、物資集積拠点を構築することを目指した。
理所當然地,計畫並未順利推進,第一次遠征僅五日便因旗艦發生引擎故障而返航。
当然のことながら計画が順調に運ぶはずもなく、一回目の遠征は僅か五日で旗艦のエンジントラブルによって帰投することとなる。
以此為基礎檢討問題並修正計畫,重新組隊的第二次遠征仍然超過預定日未返,遂派遣搜索隊,在航路上的御蔵島(みくらじま)救援了因擱淺而停滯的艦隊並帶回。
これを元に問題点を洗い出して計画を修正し、改めて船団を組みなおして行った二回目の遠征は予定日を超えても帰還しなかったため捜索隊を派遣し、航路の途上にある御蔵島(みくらじま)で立往生していた艦隊を救助して帰還する結果となった。
此後也多次遭遇麻煩,不得不一再修正計畫。
それ以降も幾度となくトラブルに見舞われ、何度も計画の修正を余儀なくされた。
雖然未能取得重大成果,被周遭指責為徒然浪費資源,但仍未停止挑戰。
大きな成果を上げられないまま、無為に資源を浪費するとして周囲から陰口を叩かれながらも挑戦を止めなかった。
靜子堅信經歷種種失敗之後才有榮耀,毅然不肯放棄計畫。
数々の失敗を乗り越えた先にこそ栄光が待っていると静子も頑として計画中止に首を振らない。
即便如此,每次航行都從航海日誌更新海圖,終於確立了往返青ヶ島的航線。
それでも航海の度に航海日誌から海図を更新し続け、ようやく青ヶ島への往復航路を確立するに至るという経緯があった。
從信忠的話可見他已掌握計畫的大綱,但外洋遠征的目的地與遠景不宜公開詳談。
信忠の言から察するに、彼は計画の概要を既に掴んでいることが窺える。とは言え外洋遠征の目的地や展望については大っぴらに語って良いものでもない。
然而靜子判斷若笨拙地隱瞞反而會刺激他的好奇心,恐怕會「捅草叢出蛇」,於是決定在一定程度上公開資訊。
しかし、下手に隠し立てして彼の好奇心を刺激しては『藪(やぶ)をつついて蛇を出す』事になりかねないと判断した静子は、ある程度情報を開示することにした。
「反正像你這種人若讓你保持沉默你也會自己去調查,我就只告訴你必要的資訊。」
「どうせ君のことだから黙っていたら勝手に調べるだろうし、必要な情報だけ教えるね」
「喂喂,別說得這麼不中聽。你到底把我當成什麼?」
「おいおい、人聞きの悪い事を言うなよ。俺を一体なんだと思っているんだ」
「是在好奇心驅使下主動把自己曝露於危險的貓嗎?」
「好奇心からすすんで危険に身を晒す猫かな?」
似乎被戳中痛處,信忠明顯移開對靜子的視線。她對他的態度不禁苦笑,但也認了好奇心旺盛大概是信長的血統。
痛い処を突かれたのか、信忠は露骨に静子から目を逸らした。彼の態度に思わず苦笑するも、好奇心旺盛なのは信長の血なのだろうと諦めることにする。
「不過,照你這樣的人我還以為你已暗中取得成功呢。」
「しかし、貴様のことだから人知れず成功を納めていると思っていたぞ」
「你把人當成什麼。再多的技術若沒有經驗,遠洋航行根本不行。航程越長就越容易發生不可預期的事。」
「人をなんだと思っているのよ。幾ら技術があっても、経験が無ければ外洋航行なんて無理だよ。航海期間が伸びる程に不測の事態が発生しやすくなるからね」
「就是那種踏實累積努力的吧。啊,等父上之後可以的話,我也想去外國(とつくに)(指日本以外的國家)看看。」
「地道な努力の積み重ねってやつか。あ、父上の後で良いから俺も外国(とつくに)(日本以外の国のこと)へ行ってみたい」
「……得等上樣的許可才行。」
「……上様の許可が下りたらね」
讓信長的繼承者同行去不穩定的航海風險太高。
信長の後継者を不安定な航海に帯同するのはリスクが高すぎる。
靜子除非得到信長的許可,否則不打算讓信忠上船。
静子は信長から許可が得られない限り、信忠を船に乗せるつもりはない。
海若動盪會沉沒,即便不至於沉沒,這種遭難機率高的航行也絕不該帶後繼者同行。
海が荒れれば沈没することもあるし、そうでなくとも遭難する可能性が高い航海に後継者を連れて行くなど論外だ。
(萬一船沉或遭難時是否也需要生存訓練呢?)
(船が沈没したり、遭難したりした際のサバイバル訓練も必要かな?)
即便船沉或遭難,只要有求生套件與相應的知識及技能,就能提高生還的可能性。
船が沈んだり、遭難してしまったりした際にもサバイバルキットと知識及び技術があれば、生存できる可能性を高めることが出来る。
有問題的是,靜子並不具備那種知識。
問題があるとすれば、そのような知識を静子が持ち合わせていないことだろう。
「真無聊。我倒是想親眼看看南蠻人居住的土地。」
「何だつまらんな。南蛮人の住まう土地を一目見たかったのだが」
「那可不是輕鬆的航海喔。」
「そんなお気楽な航海じゃないんだけどね」
「當然知道,但不就是想看看日之本之外的世界嗎!」
「無論知ってはいるが、日ノ本の外にある世界を見てみたいではないか!」
「首先還是要等上樣統一天下。」
「まずは上様の天下統一が先だね」
「說得也對……喔,差不多到了時間了。接應的人來了。那麼再見,靜子。」
「それはその通りなのだが…… おっと、そろそろ刻限のようだ。迎えがきてしまった。じゃあな静子」
信忠忽然移開對靜子的視線,這時從連枝衆的隊伍中出現了前來接他的近侍。
信忠が不意に静子から視線を外すと、連枝衆の部隊から信忠を迎えに来た近侍の姿があった。
他帶著些許慌張向靜子告別,便不等她回話就離去。
若干慌てた様子で静子に別れを告げると、信忠は彼女の返事を待たずに立ち去る。
靜子一時愣住,但確認情況後發現四番部隊已開始出發,作為五番部隊的信忠已沒有閒蕩的時間。
思わず呆気に取られていた静子だが、状況を確認すると四番部隊が既に出発を始めており、五番部隊となる信忠がゆっくりしている時間ではない。
由於各隊規模龐大,作為六番部隊的靜子出場還要一段時間,靜子便吩咐家臣該開始準備了。
それぞれの部隊規模が大きいため、六番部隊である静子の出番はまだもう暫く掛かりそうだが、そろそろ準備を始めるよう静子は家臣に命じた。
「那麼我們也——」
「さて我々も――」
「喲,原來在這兒啊」
「おや、こんな所にいたのですね」
正當靜子要回到部隊隊列時,義父前久像是刻意等候般開口招呼她。
静子が部隊の隊列へ戻ろうとした瞬間、狙いすましたかのように義父である前久が声をかけてきた。
靜子心想今天真是賓客盈門,便轉身面向前久。他隨行了許多公家,靜子見狀暗生疑慮。
今日は千客万来だなと思いつつも静子は前久に向き直る。彼は多くの公家を伴っており、それを見た静子は疑問を抱く。
以往前久來訪從未帶著一大群隨從一同到來。
前久が自分を訪ねる際に、ぞろぞろと取り巻きを連れて現れたことなど一度としてなかった。
何況作為關白的前久若願意,不讓任何人隨行根本輕而易舉。
そもそも関白たる前久が望めば、取り巻きの同道を許さないことなど造作もない。
然而偏偏今天帶著眾多隨從,讓人覺得其中定有盤算。
それにも拘わらず今日に限って取り巻きを引き連れているのは、何らかの思惑があるのだろうと察する。
但對方是能操弄朝廷中魑魅魍魎的人物,靜子這等程度根本無法窺見前久的真意。
しかし、相手は魑魅(ちみ)魍魎(もうりょう)の渦巻く朝廷を動かす人物、静子程度ではとうてい前久の真意は窺えなかった。
「哈哈哈。好像有點緊繃,不必那麼防備也好。」
「ははは。少し肩に力が入っているようだ、そう身構えずとも宜しい」
說罷前久走近,替靜子插上一支簪子在髮間。
それだけ言うと前久は静子に近づいて、彼女の髪に一本の簪を挿した。
那是以光澤的黑檀為芯,嵌有桃色瑪瑙雕成的桃花,從上方垂下來的是刻有近衛家家紋——近衛牡丹的精緻羅漢雕,隨之搖曳。
それは艶(つや)めく黒檀の芯材に、桃色をした瑪瑙(めのう)で桃の花があしらわれており、そこからぶら下がる形で近衛家の家紋である近衛牡丹の精緻な羅漢彫りが揺れている。
羅漢雕的材質大概是白檀,散出微甘的華麗香氣,帶著些許像線香般的雅致與高貴。
恐らくは羅漢彫りの素材が白檀なのだろう、少し甘さを感じさせる華やかかつ、どこかお線香を思わせるような上品で高貴な香りが漂った。
「這是對完成如此大事之女兒的父親心情啊。」
「これだけの大仕事を見事成し遂げた娘に対する親心だよ」
前久一邊輕拍靜子的肩告知。靜子看不見,但稍遠處候在那裡的才蔵皺著眉盯著前久。
静子の肩を軽く叩きながら前久が告げる。静子からは見えないが、少し離れた場所で控えている才蔵が眉根を寄せて前久を眺めていた。
前久毫不在意才蔵的目光,朝他揮了揮手。
才蔵の視線を気にすることなく前久は、ひらひらと彼に向けて手を振ってみせる。
「是、是。多謝您。」
「は、はい。ありがとうございます」
「不必那麼拘謹。原本想和你一同喝杯茶,但我也差不多該去準備了。」
「そう畏まらずとも良い。本来なら一緒に茶でも一服したいのだが、私もそろそろ準備をせねばならないようだ」
聽了前久的話,靜子不由得環顧四周,視線中映出一名正猶豫是否該上前喚她的小姓。
前久の言葉を耳にして静子は思わず周囲を見回した。すると彼女の視界に静子に声を掛けて良いものかどうか迷っている小姓の姿が映る。
他應該是該去催促靜子準備,但又無法插入前久的談話,顯得焦躁不安。
そろそろ静子に準備を促さなければならないが、前久との会話に割って入れるはずもなくやきもきしている様子だった。
「看來是如此。改日有閒時再好好一起吧。」
「その様ですね。またお時間のある折に、ゆっくりとご一緒いたしましょう」
「就如此吧。看起來我家女兒(……)肩負了許多事務。」
「そうしましょう。何やら我が娘(・・・)は多くの仕事を抱えているようですし」
前久極力強調「我女兒」這點,靜子卻無法理解其用意。
前久はやたらと『自分の娘』という点を強調して話していたのだが、その意図を静子は理解できなかった。
大抵只是因為她長期被指過於工作狂,於是以溫和方式提醒,靜子想不到會有更深的含意。
かねてからワーカホリックなことに苦言を呈されていたため、やんわりと注意をされていると考え、そこまで思い至らないのだろう。
「……我會努力稍微減少一些。」
「……少し減らすよう努力いたします」
靜子怕被對方抓住話柄,便匆匆結束談話、行禮後離去。
下手に言質を取られては敵わないと思った静子は、早々と会話を打ち切って一礼をするとその場を去る。
前久帶著溫和的微笑送她離去,對著不特定的人低聲喃喃。
前久は彼女の後姿を穏やかな笑みを浮かべて見送りながら、誰にともなく呟いた。
「那麼那麼,我家女兒的另一位保護者會怎麼做呢……」
「さてさて、我が娘のもう一人の保護者はどうでるか……」
那裡現身的不是向靜子示愛的父親,而是作為朝廷這座充滿爾虞我詐之地的主宰者——關白的身影。
そこにいたのは静子に対し情愛を示す父親ではなく、朝廷という生き馬の目を抜く伏魔殿の主たる関白の姿があった。
另一邊,匆忙回到自己隊伍的靜子拿起手鏡,想確認剛才前久給她的簪子。
一方、急いで自分の部隊へと戻った静子は、先ほど前久から貰った簪を確認しようと手鏡を取ろうとしていた。
正當靜子要走向放有行李的行李箱時,她的視線落到一個本不該出現在這裡的人物身上。
自分の荷物が入った行李(こうり)に向かおうとした静子の視線の先に、本来ここにはいない筈の人物を見つける。
看到信長帶著好像惡作劇得逞的笑容,靜子慌忙下了馬。
悪戯(いたずら)が成功したような笑みを浮かべる信長を見て、静子は慌てて馬から下りた。
因靜子的動作,周遭注意到信長存在的人也紛紛模仿她下馬,退至一旁。
静子の行動によって信長の存在に気付いた周囲も、彼女に倣って馬から下りて控えようとする。
「就那樣不用動。」
「そのままで構わぬ」
信長僅以聲音制止那些人,跟前久一樣在靜子髮上插了一支簪子。
信長はそんな彼らの様子を声だけで制すると、前久と同じく静子の髪に一本の簪を挿した。
信長所插的簪子與前久的形成對比,是一支古銀色的一體簪,鑲有一顆較大的透明玻璃珠,珠內浮現出織田家的家紋——織田木瓜紋,極為精美。
信長が挿した簪は、前久のそれとは対照的にいぶし銀の一本簪に、一点大きく透明なガラス玉があしらわれており、その内部に織田家の家紋である織田木瓜紋が浮き上がって見える見事なものであった。
簪子插在靜子視線看不見的位置,她對前久與信長的舉動感到困惑。
自分の視界からは見えない位置に挿されている静子は、前久と信長の行動に困惑する。
(兩人都送了簪子,是不是最近流行呢?)
(二人とも簪をくださったけれど、流行っているのかな?)
「賞賜給妳」
「褒美を取らす」
沒有回應靜子的困惑,信長豪爽地笑著離開了現場。
静子の困惑に答えることなく、信長は豪快に笑いながらその場を立ち去る。
留下的,是不明白兩人目的而感到困惑的靜子,還有從刻有家紋的簪子中隱約察覺到兩人心思的靜子的部下們。
後に残されたのは二人の目的が判らず戸惑う静子と、家紋が施された簪から何となく二人の思惑を察した静子の配下たちであった。