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戦国小町苦労譚

千五百七十八年 四月下旬

真壁氏幹震驚不已。作為織田軍的應對,他理所當然地以為會為了防止奇襲把城門關閉並質問進入者。

真壁(まかべ)氏幹(うじもと)は驚愕していた。織田軍側の対応としては騙し討ちを封じるため、当然のように門扉を閉ざして誰何(すいか)されると考えていたのだ。

然而,掌管支城的才蔵不但把門敞開,甚至沒有帶護衛兵就站在那裡等候。

ところが支城を預かる才蔵は、門を開け放つだけに飽き足らず護衛の兵すら伴わず待ち構えている。

以槍術聞名的「笹の才蔵」竟然如此行事,即便有「鬼真壁」綽號的氏幹也只能接受挑戰。

槍の名手として名を馳せた『笹の才蔵』にここまでされては、『鬼真壁』と渾名(あだな)される氏幹とて受けて立たざるを得ない。

「在下看來就是可児殿吧。我乃為佐竹常陸介之臣,名為真壁。首先謝過您肯應戰與我一騎相向!」

「そこにおわすは可児(かに)殿とお見受けする。我こそは佐竹(さたけ)常陸(ひたちの)介(すけ)が臣、真壁と申す。まずは一騎打ちに応じて頂いたことを御礼申し上げる!」

「既被傳為『鬼真壁』之名者挑戰,若不接招便有辱武人的名聲。此一騎打之勝敗不論,除真壁殿之外諸人之安全在下保證。請先好生休息,整備完畢後隨時前來!」

「音に聞こえし『鬼真壁』殿に挑まれて、受けて立たねば武人の名折れよ。この一騎打ちの勝敗如何に拠らず、真壁殿以外の安全は保証致そう。十分に休息をとられたうえ、用意が整い次第いつでも参られよ!」

「多謝過分的關照,但無需過慮。此真壁,立刻便與君過招!」

「過分なご配慮痛み入る、されどお気遣いは無用。この真壁、すぐにでもお相手仕(つかまつ)らん!」

「有此氣概甚好!那麼從今起四半刻(約三十分鐘)後決勝。其間稍作休息,若有需要之物請吩咐,汝等方便即可。」

「その意気やよし! ならば今より四半刻(約30分)後に勝負致そう。それまで暫し休まれよ、必要なものがあれば我らに申しつけ頂きたい、都合致そう」

才蔵說罷,抱起在側的折椅,向舞台東側退去。於是必然地,真壁一行在舞台西側就位。

そう言い放つと才蔵は腰を下ろしていた床几を小脇に抱え、舞台の東側へと引き上げていった。必然的に真壁一行は舞台の西側へと陣取ることになる。

東西兩陣間環繞設置的觀眾席上,織田軍士兵紛紛湧來,臨時的鬥技場瞬間熱鬧起來。

東西に分かれた両陣営を取り囲むように設置されている観客先へ、続々と織田軍兵士が詰めかけてきて即席の闘技場は一気に熱を帯び始めた。

真壁一行被敵兵包圍,卻本就做好赴死的覺悟,不但不畏縮反而坦然自若。

周囲を敵兵に取り囲まれることになった真壁一行だが、元より死地に踏み込むのは覚悟の上であるため萎縮するどころか開き直る。

織田軍士兵也未全副武裝,城門亦敞開著,場面像是被奇怪的緊張感籠罩的比武會場。

織田軍兵士も武装しておらず、また城門も開いたままであるため奇妙な緊張感に包まれた試合会場のような雰囲気となっていた。

果然先踏入舞台的是氏幹。他在不到四半刻時就入場,揮舞著手中的樫木棒試試手感。

果たして先に舞台へと歩を進めたのは氏幹の方であった。四半刻を待たずして舞台に入り、手にした樫木棒を振るって手ごたえを試す。

才蔵則等到靜子手製的沙漏(30分計)沙落盡才悠然站起身來。

対する才蔵は静子手製の砂時計(30分計)が落ち切るのを見届けてから悠々と立ち上がった。

「さて、刻限となったが用意は良いか?」

「さて、刻限となったが用意は良いか?」

「早已準備妥當。且看公正一戰!」

「疾(と)うに出来ておる。いざ、尋常に勝負!」

氏幹怒吼,將樫木棒架在肩頭;才蔵則把槍架於下段,幾欲刺向氏幹的脛部。

そう吼(ほ)えると氏幹は樫木棒を肩口に構えた。それに応じて才蔵は手にした槍を氏幹の脛を狙う程の下段に構える。

(可……真難對付)

(く……、やりにくい)

兩人擦步向前,氏幹一邊思索一邊慢慢縮短距離。

互いにすり足で距離をじりじりと詰めながら氏幹は思った。

氏幹手中的樫木棒比才蔵的槍粗大數倍,憑氏幹的剛力打下去,對手難以防禦。

氏幹の手にする樫木棒は、才蔵の槍に倍するほどの太さを備えており、氏幹の剛力から繰り出される打ち下ろしは相手に防御を許さない威力を誇る。

若樫木棒與槍正面對轟,從重量與威力來看槍方不利,根本打不成勝負。

樫木棒と槍とがまともに打ち合えば、重量的にも威力的にも槍側が不利であり勝負にならない。

因此才蔵以防止對方踏進射程為由,把槍擺在下段牽制。無論脛甲如何護著,若槍尖刺穿腳背便動彈不得。

そこで才蔵は相手が間合いを詰めるべく踏み込むのを牽制するべく槍を下段に構えたのだ。如何に脛当てをしていようとも、槍の穂先で足の甲を貫かれれば動けなくなる。

這樣一來,氏幹也不能把樫木棒舉至上段,只能把棒端垂下以便應付下段的槍。

こうなれば氏幹も樫木棒を上段に構えるわけにはゆかず、下段の槍を捌けるようにだらりと樫木棒の先端を下げるしかない。

樫木棒一旦不在舉起狀態,因其重量揮動會變慢,長所被封殺。這就是高手僅憑一個架勢就壓制對手的行動。

振りかぶった状態でなくなった樫木棒は、その重量ゆえに振りが遅く、長所を殺されてしまった。ただ構え一つだけで相手の動きを封じてしまう達人の行動であった。

「しっ!」

「しっ!」

先發制人的是才蔵,他把槍揚起,像從下往上勾掠一般朝腳踝到膝蓋方向斬擊。

先に仕掛けたのは才蔵であった。手にした槍をしならせて足首から膝へ向けての下から掬い上げるような斬撃を放つ。

氏幹不願因閃避而被拉開間合,反而踏前將樫木棒當地刺以撥開才蔵的斬擊。

これに対する氏幹は、回避することによって間合いを離されることを良しとせず、逆に踏み込んで樫木棒を地面に突きたてるようにして才蔵の斬撃を弾いた。

預料到會被彈開的才蔵旋轉槍身,同時用反腳施以後旋踢。

弾かれることを予想していた才蔵は槍を旋回させつつ、軸足とは逆の脚による後ろ回し蹴りを放った。

氏幹因為在撥槍時被打亂的姿勢而沒能察覺來襲的踢擊,肋部被一記尖銳的踢擊擊中,踉蹌後退。

氏幹は槍を弾いたことにより流れた体勢の死角から襲ってくる蹴りを察知できず、胴体を打ち抜くような鋭い蹴りを受けてよろめく。

踢擊將雙方再次拉開大距離,觀眾席上爆出歡呼。

蹴りに弾かれて双方が再び大きく間合いを離したところで観客から歓声が上がった。

「什……竟是踢招!?」

「なっ……蹴りだと!?」

在使用長兵器對決時,踢擊既不易縮短間合也非絕對致命,還要承擔單腳離地的風險,於是令氏幹常識震盪。

槍と樫木棒という互いに長物を用いての勝負に於いて、より間合いが狭く決定打にもなり得ない上に片足を地面から離すというリスクを背負ってまで放たれた蹴りは氏幹の常識を揺るがした。

雖非典型的槍術套路,才蔵以體重發力的踢讓氏幹焦躁不安。

槍術の定石からは外れた行動だが、体重の乗った才蔵の蹴りは氏幹を焦らせる。

氏幹為先手發力,橫掃樫木棒,憑借其長距離與重量發出如暴風般的一擊。

そして氏幹は先手を取るべくして樫木棒を横殴りに振るい、その長大な間合いと重量を活かした暴風のような一撃を仕掛けた。

才蔵判斷出樫木棒的間合而閃避,並在棒過之後從後方用槍敲擊,重創氏幹的姿勢。

対する才蔵は樫木棒の間合いを読み切ってこれを回避し、更に通り過ぎた樫木棒を後ろから叩くように槍で払って氏幹の体勢を大きく崩す。

被躲過的大振一擊又被槍勢補上,氏幹暴露出致命的破綻。

大振りの一撃を躱(かわ)された上に、更に槍で勢いを上乗せされた氏幹は致命的な隙を晒してしまった。

「はっ!」

「はっ!」

才蔵在手中轉回槍,把石突——即與槍尖相反的一端——銳利地刺入氏幹的胸腹。

腕の中で槍を返した才蔵は、穂先とは逆の石突(いしづき)を泳いだ氏幹の胴体へと鋭く突き込んだ。

身為高手的才蔵一擊迫近那曲面漆塗的胴甲,胴甲為了散開衝擊而龜裂開來。

達人である才蔵の放った一撃は、衝撃を逃がすべく曲面で構成された漆塗りの胴へと迫り、これに大きく罅(ひび)を生じさせる。

被從腹部貫穿的衝擊迫使氏幹大幅後退以拉開間合,並舉棒以防才蔵追擊。

腹から背中へと突き抜けた衝撃に氏幹は大きく後ずさることで間合いを取り、才蔵の追撃を防ぐべく樫木棒を前面に構えた。

(嗚哈……何等一擊,若無鎧甲腹部恐已裂開……)

(ぐはっ! なんという一撃、鎧が無ければ腹が裂けておったわ……)

氏幹吐出從喉頭湧出的鮮血,拭去口邊血跡,不由得戰慄。

氏幹は喉から口へとせり上がってきた血反吐を吐き捨てると、袖で口元を拭って戦慄する。

短短兩合的對打便讓彼此力量差距顯而易見。雖心有不甘,才蔵已到氏幹難以企及的高度,單靠技藝無勝算。

たった二合の打ち合いだけで互いの力量差は理解できた。口惜しいが才蔵は氏幹の及ばぬ高みにおり、技量での勝負では勝ち目がない。

但氏幹並未放棄。此一騎打不僅關乎武人的自尊,亦攸關主家命運的重擔。

それでも氏幹は諦めなかった。この一騎打ちには武芸者としての己の矜持だけでなく、主家の行く末を左右するだけの重みを背負っている。

若技不及人,哪怕捨身也要奪取勝利。

技で及ばぬのならば、この身を捨ててでも勝利をもぎ取らねばならないのだ。

氏幹決意之際,才蔵如雷光般急促刺出一連串鋭突。

氏幹が覚悟を決めると同時に、才蔵が雷光のような鋭い突きを放ってくる。

氏幹縮短握距以把重心後移,易於操控,用腰力防住才蔵連發的突刺。

氏幹は樫木棒を短く持つことで、重心を後方に下げて扱いやすくし、才蔵が矢継ぎ早に放つ突きを防御した。

「喏!如何,光是防守是摸不到在下的!」

「そらっ! どうした、防いでばかりでは某(それがし)には届かぬぞ?」

才蔵口中挑釁氏幹,但內心對氏幹的耐打與不屈之志感到驚愕。

口では氏幹を煽っている才蔵だが、その内心では氏幹の打たれ強さと折れない心に驚愕していた。

即便在靜子軍中被稱為槍術一絕的才蔵,能夠與之打到這地步的人本來就稀少。

槍の名手として静子軍一とさえ言われる才蔵と、ここまで打ち合える人間がそもそも稀なのだ。

即便在意識之外受過踢擊,或被渾身之力的突刺擊中仍不倒,氏幹如生根於地的軀幹令人才蔵感到戰慄。

意識の外から蹴りを受けても、渾身の力を込めた突きを受けてすら倒れない、地面に根が生えたような氏幹の体幹には戦慄を覚える。

再者,當間合被拉開時,才蔵以手中旋轉的連突加速攻勢,那以較少手數的樫木棒能完全擋下,技量令人讚嘆。

更には間合いが離れたことを受け、手の中で扱(しご)くようして放たれる回転を加えた連突きを、手数に劣る樫木棒で受けきった技量には賞賛の念を抱いた。

(可……此刺何等沉重。若再持續下去難以全受……那麼,死中求活!)

(くっ……何という重い突きだ。これを続けられれば受けきれぬ……ならば、死中にこそ活有り!)

雖以重量取勝的樫木棒在彈開槍招之際,才蔵的突刺仍帶來足以令手麻的衝擊,氏幹無不心驚。

重量で勝っているはずの樫木棒で弾いているというのに、手に痺れが残る程の衝撃が伝わってくる才蔵の突きに氏幹は舌を巻いていた。

下定決心的氏幹故意未能接住才蔵的突刺,佯裝姿勢崩壞。

意を決した氏幹はワザと才蔵の突きを受け損ね、体勢が崩れたフリをしてみせる。

不放過氏幹露出的破綻,才蔵從斜上方發出如擊打般的下劈。

氏幹の晒した隙を見逃さず、才蔵は斜め上段から叩きつけるような打ち下ろしを放った。

不懂武術的人或以為被槍敲擊不會致命,但這是錯誤的認知。

武術の心得が無い人は、槍で叩かれたところで死にはしないと思うだろうが、これは誤りである。

確實若槍尖刺入即可一擊致命,但在高速移動中以點攻擊突刺命中目標極其困難。

確かに穂先が刺されば一撃で相手を死に至らしめる突きは強いだろう。しかし、激しく動き回る相手に点の攻撃である突きを命中させるのは至難の業だ。

相比之下,依靠離心力與重力的線性攻勢──即敲擊──即便素人也能從盔甲上擊出腦震盪,甚至可能造成頸椎骨折的一擊。

対して遠心力及び重力の恩恵を受けた線の攻撃である叩きつけは、全くの素人であっても兜の上から相手を脳震盪に陥らせたり、ややもすれば頸椎を骨折せしめる一撃となった。

事實上才蔵以槍敲擊的力道足以凹陷金屬鎧並令對方骨折。

実際に才蔵が放つ槍での打撃は、金属製の鎧を凹ませて相手を骨折させるだけの威力を秘めていた。

「喝!!」

「喝(かつ)!!」

若有一失便可能喪命的才蔵一擊,氏幹毫無防護地上前以腰化解並承受之。

一歩間違えば死に至る才蔵の一撃を氏幹は全く防御せずに前に進み出て腰で受けた。

隨即氏幹如雷鳴般噴發氣勢,拿命一擊砸向才蔵的槍柄,那一擊把本應堅固的槍柄從中折斷。

そして雷鳴の如く気炎を吐いて渾身の一撃を才蔵の槍へと放った。氏幹の命を賭した一撃は、恐ろしく丈夫なはずの槍の柄(つか)を半ばからへし折った。

然而,代價絕非小事。

しかし、その代償は決して小さいものでは無かった。

被如此高手的一擊不用防守直接承受,雖然打點稍有偏差,氏幹從腰以下已經麻痺,甚至不確定自己是否還能站立。

達人の一撃を防御せずに受けたのだ、打点をずらしたとは言え氏幹の腰から下は痺れてしまい、果たして自分が今立っているのかすら定かではない。

恐怕腰骨已斷或粉碎。但他仍奪下敵器,並縮短距離,把才蔵拉入樫木棒的射程內。

恐らく腰骨が折れるか砕けるかしているのだろう。それでも相手の武器を奪い、かつ間合いを詰めて才蔵を樫木棒の射程内に捉えていた。

那是一個千載一遇且必殺的間合。氏幹乘著將倒下的勢頭打出最後一擊,從上段斬下。

千載一遇かつ必殺の間合いであった。氏幹は己が倒れる勢いをも載せた最後の一撃、上段から打ち下ろしを放つ。

這是無法防御也無法躲避的必殺一擊。

防御も回避も出来ない必殺の一撃であった。

若用「嬌滑」形容也說得過去。才蔵以近乎武術極致的無拍子動作——完全沒有預備動作的奇異動作——躲過了這致命一擊。

ぬるり、とでも表現すべきか。武術の極致である無拍子のような、予備動作の全くない奇妙な動きで才蔵はこの必死の一撃を回避してみせた。

此招是從在靜子軍內被傳為天狗般人物華嶺行者那裡偷學來的。雖未完全駕馭,但面臨死亡時的集中力使不可能成為可能。

これは静子軍に於いて天狗とも噂される人物、華嶺(かれい)行者から盗んだ動きだった。未だ十全には使いこなせないものの、死を前にした集中力が不可能を可能とした。

在前踏避開如瀑布般的一擊後,才蔵踏壓氏幹的樫木棒將其釘在地面,並以半折卻仍執不放的槍石突再次刺向氏幹。

前に踏み込みつつも瀑布のような一撃を避けた才蔵は、氏幹の樫木棒を上から踏みつけて地面に固定し、半ばから折られて尚手放さなかった槍の石突を再び氏幹へと突き込んだ。

才蔵的出手毫無留情,是真正能奪人性命的一擊。

才蔵の一撃は手加減など全くない、掛け値なしの命を奪う一撃だった。

然而,命運有時弄人,正崩落的氏幹姿勢微妙地改變了打點,加上鎧甲的胴被砕落,反而分散了衝擊。

しかし、如何なる運命の悪戯(いたずら)か、崩れ落ちつつあった氏幹の体勢が打点を微妙にずらし、また鎧の胴が砕け散ることで衝撃を散らしたのだ。

氏幹像被鑽轉般向後飛出,倒下後再未起身。

氏幹は錐揉(きりも)みをするように後方へと吹き飛ぶと、起き上がることは無かった。

短暫的寂靜後,觀眾發出爆發般的歡呼。氏幹的家臣們衝上前察看他的情況。

一瞬の静寂の後、観客の歓声が爆発した。氏幹の方は家臣達が駆け寄り具合を見ている。

才蔵看到氏幹被扶起仍能答話,心中一陣鬆了口氣。

才蔵は氏幹が介抱されながらも受け答えをしているのを見て、ほっと胸を撫でおろしていた。

旁觀者或許覺得才蔵壓倒性勝出,但實際上那是一場如履薄冰般驚險的勝利。

傍目に見る分には才蔵が圧倒したように見えただろうが、その実薄氷を履むが如く際どい勝利であった。

在才蔵漫長的武藝人生中,從未有槍被打斷的經驗。

才蔵の長い武芸者人生に於いて、槍を叩き折られた経験など一度も無かった。

無論樫木棒如何沉重,或氏幹多麼剛猛,竟有人能瞄準槍柄用力折斷,那經驗即便親身見到也難以置信。

如何に樫木棒が重く、また氏幹が剛力であるとは言え、しなる槍の柄を狙ってへし折ることが可能だとは体験しても信じられない思いだ。

才蔵既為不能輸的對決贏得勝利而鬆一口氣,又因為作為武人的追求想與氏幹再戰而邁步前行。

才蔵としても負けられない一騎打ちで勝利を掴んだと安堵すると共に、武芸者として更なる高みを目指す為にも氏幹と再戦したいと言う思いが才蔵の歩を進ませた。

「不負傳聞的『鬼真壁』之戰法,精彩。以目前傷勢恐難立刻行動,請暫留療傷。」

「噂に違(たが)わぬ『鬼真壁』の戦いぶり、見事であった。その傷では直ぐに動くことは叶うまい、しばし逗留し傷を癒されよ」

「敗者在下,承蒙厚情。便借君之言稍作逗留。」

「敗者たる某に、ご温情痛み入る。お言葉に甘えさせて頂こう」

兩位盡了全力相戰的武人彼此心領神會。此役過後,佐竹一方或將轉向和睦之策。

互いに死力を尽くし、戦いあった武人同士で通じ合うものがあった。これを切っ掛けに佐竹は和睦へと舵を切ることだろう。

如今分作敵我兩方,或許將來會有並肩作戰的一天。

今は敵味方に別れ合っているが、いずれは肩を並べて共に戦う日が来るやもしれない。

「等真壁殿傷癒,若有機會在下必再向君請戰。」

「真壁殿の傷が癒え、機会があればいずれ某から再戦を申し込もう」

「竟要賜我雪恥之機會!那便朝那日努力勤練吧」

「なんと、雪辱の機会を頂けるのか! なれば、その時を夢見て励みましょうぞ」

互相認可的武人們便少言而散。

互いに認め合った武人は、多くを語らずに別れることとなる。

靜子前往尾張的技術街,與研究者們面對面討論。

静子は尾張の技術街へと出向き、研究者たちと向かい合っていた。

研究對象是俗稱『越之燃燒之水』的原油。

研究対象となっているのは『越(こし)の燃ゆる水』こと原油であった。

原油是多種物質的混合物,利用各組成物不同的沸點蒸餾即可取得各種萃取物。

原油とは様々な物質の混合物であり、それぞれの物質の沸点が異なることを利用して蒸留すれば様々な抽出物を得ることが出来る。

因為本就研究過酒精的蒸餾裝置,對於原油的蒸餾設備,足滿竟也擁有莫名其妙的豐富知識,並已試作出小型裝置。

元々アルコールの蒸留装置を研究していたこともあり、原油の蒸留装置に関しても何故か足満が多くの知識を持っており、小型の物を試作する段階まで漕ぎつけていた。

「唔──果然要把這放大就會變成非常巨大的設施啊……」

「うーん、やはりこれを大型化しようとしたら物凄く巨大な施設になるよね……」

靜子與技術者們苦思的是石油精煉裝置一旦放大會變得極為龐大。

静子や技術者たちが頭を悩ませているのは、石油精製装置が途方もなく巨大な施設になりそうだと言うことだった。

其規模超越一般所謂蒸餾裝置,俨然應稱為蒸餾塔的大型設施。

その規模は蒸留装置などという範疇(はんちゅう)を超えており、最早蒸留塔と呼ぶのが相応しい大きさとなる。

目前靜子等人面前的試作品高約30公分、直徑約5公分左右。

現在静子たちの前に存在する試作品は、高さ30センチメートル、直径5センチメートル程度のものだ。

但若要從越後大量運入原油,並生產足滿所需之凡士林等石油產品,所需設備的規模遠超想像。

しかし、本格的に越後から原油を搬入し、足満が要求しているワセリンなどの石油精製物質を大量生産するための設備は想像を絶した。

以現有可得材料的強度來看,按同等比率建造被視為不可行,設計階段便推估出高度30公尺、直徑10公尺,幾可匹敵城池的設備規模。

用意できる素材の強度的に、同じ比率での建造は不可能と見込まれており、設計段階に於いて高さ30メートル、直径10メートルという城に匹敵する施設となる。

「而且副產物或排煙也是問題吧……亞硫酸氣體好像就是四日市氣喘的致病物質吧」

「それに副産物というか排煙が問題だよね……亜硫酸ガスって確か『四日市ぜんそく』の原因物質だったよね」

與原先預想的相良油田不同,從黑川油田採出的原油含硫量高,試作蒸餾裝置排出的廢煙散發強烈刺激性氣味。

当初見込んでいた相良(さがら)油田の原油とは異なり、黒川の油田から採れる原油は硫黄分を多く含むことから、試作の蒸留装置から排出された排煙は強い刺激臭を発していた。

向足滿確認後,恐怕含有大量亞硫酸氣體(二氧化硫),若任其排放恐將招致公害毋庸置疑。

これを足満に確認したところ、恐らくは多くの亜硫酸ガス(二酸化硫黄)を含んでいるとのことであり、垂れ流しにすればいずれ公害を招くことは疑いようもない。

不過足滿亦提出了對應方案:在試作品規模下以活性碳製作過濾器即可充分去除硫分(以下稱為脫硫)。

しかし、同時に足満からこれに対する解決策も提示されており、試作品の規模ならば活性炭でフィルターを作成すれば充分に硫黄分を取り除く(以降、脱硫すると呼ぶ)ことが可能であった。

且吸附之硫可透過再處理活性碳回收為稀硫酸等形式,當下便以此方式進行研究。

また吸着した硫黄は活性炭を再処理することによって希硫酸などの形で回収が可能であり、当面はこの方式で研究を進めている。

「若利用氨可以連窒素化合物也吸收,效果很好,但運用成本沉重啊……」

「アンモニアを利用すれば窒素化合物も吸収出来て優秀なんだけど、運用コストが重いんだよねえ……」

作為活性碳原料的炭,因庶民主要燃料即為炭與薪,故取用容易。

活性炭の元となる炭自体は、庶民たちの主な生活燃料が炭や薪であることから容易に手に入れることが出来る。

然而要將其加工成活性碳需繁複工序:洗淨、粉碎、乾燥,之後還需進行所謂的「活化」處理。

しかし、これを活性炭へと加工するには面倒な加工が必要となる。洗浄して粉砕し、乾燥させた後に『活性化』という処理をする必要がある。

即便在前置準備階段就有三個工序,活化還需用到氯化鈣或次氯酸鈉等藥品。

事前準備の段階でも3工程があり、活性化には塩化カルシウムや次亜塩素酸ナトリウムなどの薬品が必要になってくる。

若不要求精度,檸檬汁等或可替代,但要供工業用途的檸檬汁根本難以大量準備。

精度を気にしないのであればレモン果汁などでも代用できるのだが、工業用途に使用するほどのレモン果汁など到底用意できない。

而製造上述藥品又不可或缺電解,甚至必須建造大型發電設施,反而產生本末倒置的問題。

また前者の薬品を製造するには電気分解が必要不可欠であり、本格的に大型の発電施設を建造する必要まで出てくるという本末転倒ぶりを見せる。

儘管如此,從石油精製出來的各種物質仍極具吸引力。

それでも石油から精製される様々な物質は魅力的であった。

輕油、重油、煤油與汽油不必多言,連殘渣的瀝青與柏油也有用處,令人遐想無限。

軽油や重油、灯油にガソリンなどは言うに及ばず、残渣(ざんさ)であるタールやアスファルトですら有用なのだから夢が広がるというものだ。

雖需專門設備,但若能將蒸餾過程獲得的乙烯氣體進行加成聚合,甚至可製造聚乙烯(俗稱塑膠袋)。

専門的な設備が必要になるが、蒸留工程で得られるエチレンガスなどを付加重合することが出来れば、ポリエチレン(いわゆるポリ袋)も製造できる。

若能進一步加工至聚對苯二甲酸乙二酯,大家熟悉的 PET 瓶也不再是夢想。

ポリエチレンテレフタレートまで加工できれば、皆様もご存じPETボトルも夢ではなくなる。

「或許得計畫從尾張到越後的鐵路運輸吧」

「尾張から越後に通じる鉄道を計画する必要があるかもね」

靜子如此說著,目光投向研究所一角陳列的蒸汽機車模型。

静子はそう言って、研究所の一角に展示されている蒸気機関車の模型へと視線を向けるのであった。