戦国小町苦労譚
千五百七十八年三月下旬
進入三月後,靜子手下的事務人員逐漸開始變得忙碌。相反地,靜子的工作則日益減少。
三月に入り静子配下の事務方は、徐々に忙しくなり始めた。逆に静子の仕事はどんどん少なくなる。
因為已將日常瑣碎的裁決權下放,除了做出重大的決斷外,已無事可做。
日々の細々とした決裁に関しては権限を委譲してしまったため、重要な決断を下す以外にはやることがないのだ。
被細化為例行公事的工作,不再每件都向靜子請示,而是直接處理,僅把核可或駁回的最終判定回報上來。
ルーチンワークにまで落とし込まれた仕事は、いちいち静子の決裁を仰ぐことなく処理され、承認もしくは棄却の最終判断だけが上がってくるようになった。
本應以事務人員能支持靜子而感到欣慰,然而卻免不了心中生出一絲寂寞。
これらは偏(ひとえ)に静子を支える事務方が育ってきたことだと喜ぶべきなのだが、どこか一抹の寂しさを感じずにはいられない。
因為閒得無事可做,靜子便為了輔佐她的主君信長的事務而發起了諮詢。
余りにもやることが無いため暇を持て余した静子は、主君である信長の仕事を補佐するべく問い合わせを実施した。
「作為主君的你若不率先休息,下屬就會不好意思休息。好好地休息以身作則!」
「主君である貴様が率先して休まないと、配下が気兼ねして休めないのだ。しっかりと休んで範を示せ!」
「但、但是……大家都在努力工作,我不能獨自安然休息——」
「し、しかし……皆が働いてくれているのに私だけが安穏と休んではいられま――」
「閉嘴!不只是你的家臣,連領民都來請願要你休息。你首要要做的就是示人以休息的樣子,讓大家安心!」
「やかましい! 貴様の配下はおろか、領民たちからすらも貴様を休ませるようにとの嘆願が届いておる。貴様が最優先ですべきは休んでいる姿を見せて、皆を安心させることじゃ!」
說完後信長便不容置喙地掛斷了通話。這原本是利用尾張與安土間每日三次的定時聯繫所做的諮詢,卻被冷冷地敷衍了。
それだけ言うと信長は問答無用とばかりに通話を打ち切った。尾張と安土とを繋ぐ日に三回の定時連絡を利用した相談だったのだが、けんもほろろにあしらわれてしまう。
不過性情難以改變。經過思索後想到一計,於下次定時聯絡時再次申請與信長通話。
そうは言っても性分というのは変えられない。どうしたものかと思案した末に一計を思いつき、次回の定時連絡の際にまたも信長との通話を申し込んだ。
雖然有可能不會接聽,但信長果然應允了與靜子的對話。
通話に応じて貰えない可能性もあったのだが、果たして信長は静子との対話に応じてくれた。
「怎麼了,想出什麼正當理由了嗎?」
「どうした、何か大義名分でも思いついたのか?」
「談不上什麼正當名分。這是對我與上樣都有利的提案。」
「大義名分などとんでもない。これは私にとっても、上様にとっても利のあるご提案です」
「喔!那就說來聽聽。你啊,大概又是關於田地之事吧?」
「ほう! ならば申してみよ。貴様のことだ、土弄りに関することであろう?」
「呼呼,別小看我。我有件事非得讓上樣過目。早上被上樣責備,才想起被我以非我之事推諉而擱置的那件事……」
「ふふふ、見くびって頂いては困ります。是非とも上様のお耳に入れたいことがございます。まあ、朝方に上様から叱られて、私の領分じゃないと後回しにしていたことを思い出したのですが――」
時光稍稍回溯,先前於上上月末被派往遙遠相模國的華嶺行者已返回。
時は少し遡り、先々月の末ごろに遠く相模国(さがみのくに)へと派遣していた華嶺(かれい)行者が帰ってきた。
雖然是春初還帶寒意,僅僅與華嶺行者在室內相對,靜子便感到如猛獸就在身旁般的熱烈氣息。
春先とはいえまだ肌寒いにもかかわらず、静子は華嶺行者と室内で向き合っているだけで猛獣が傍にいるような熱気を感じる。
「靜子大人,我回來了。」
「静子様、ただいま戻りました」
「辛苦了。那麼,情況如何?」
「ご苦労様でした。それで、どのような状況でしたか?」
「如靜子大人所言,在遠江國與駿河國交界附近的沿海地帶,有股帶油氣味的湧泉。」
「静子様が仰られたように、遠江(とおとうみ)国(のくに)と駿河(するが)国(のくに)との国境(くにざかい)付近の沿岸部に油の匂いがする湧き水がございました」
說罷華嶺行者從懷中取出一個玻璃容器,遞出裡頭濃稠的琥珀色液體。
華嶺行者はそう言うと懐からガラス容器に入った濃い琥珀色の液体を差し出した。
「這是原油……本以為會更黏稠,沒想到這麼乾淨。確實有像煤油般的氣味。」
「これが原油……もっとドロッとしているのかと思っていたのですが綺麗なものですね。確かに灯油のような匂いがします」
「我不太懂所謂的『燈油』,但小僧曾在別處見過類似氣味的東西。」
「『とうゆ』とやらは良く解りませぬが、拙僧はこれと似たような匂いの物を他所(よそ)で見たことがございますぞ」
「诶!?除了相良油田之外還有原油湧出的地方?」
「え!? 相良(さがら)油田以外にも原油が湧き出す場所があるのですか?」
「是的。那裡較像泥土,更像是黑且黏稠的泥,氣味相近。當地人稱之為『燃燒之水』。」
「ええ。もっと泥土と申しますか、黒く粘つく泥のようなものですが匂いは似ておりますな。現地では『燃ゆる水』と呼ばれておりました」
「那、那是在哪裡?」
「そ、それはどこに?」
「越後國黑川山中有個被稱為油壺的、積著黑色之水的沼澤,拿來做火把出乎意料地好用。」
「越後(えちご)国は黒川の山中に油壺と呼ばれる黒い水が溜まった沼のようなものがありましてな、これが松明(たいまつ)を作るのに存外使い勝手が良いのです」
「――事情大概如此,我便聯絡了上杉大人,想調查『越之燃燒之水』。」
「――と言うことがありまして、上杉様に連絡をして『越(こし)の燃ゆる水』の調査をしようかと」
「嗯,是足滿所說為了出洋所需的燃料嗎。確實有趣,但你不必親自參與。」
「ふむ、足満が申しておった外洋に出る為に必要となる燃料か。確かに興味深いが貴様が関わる必要はない」
「然而正好有記載!朝廷有記錄越之臭水曾獻給當朝天皇,為了確認此事,沒有人比我更適合了。」
「ところがどっこいあるのです! 越の臭水(くそうず)が時の帝に献上されたとの記録が朝廷にあるのです、これを確認するのに私以上の適任者はいないかと」
「臨時想出來的倒也不錯,但細節還不夠周到。此等枝節可交給你的養父(近衛前久)去辦,你仍須好好休養。」
「咄嗟に考えたにしては上出来だが、詰めが甘い。そのような些事は貴様の養父(近衛前久(さきひさ)のこと)に頼めば済む話だ。貴様の休養は変わらぬ」
面對罕見堅決的信長,靜子黯然掛斷了通話。
珍しく頑なな信長の態度に静子は悄然として通話を切るのだった。
被信長責備之後靜子曾暫時安分,但半個月一過便又開始到處忙碌起來。
信長に窘(たしな)められて以降は暫く大人しくしていた静子だったのだが、半月も経つとあれやこれやと動き回り始めてしまう。
當然她被禁止插手所有公務,於是出於消遣開始著手一些優先度低的案子。
勿論、仕事関係の一切合切には関わらせて貰えないため、手慰みにと優先順位の低い案件に手を出し始めた。
那件事是為在尾張一帶流行的娛樂制定官方規則。
それは尾張一帯で流行している娯楽に関し、公式ルールを制定することだった。
雖說有所限制但兵農分離已成,尾張治安良好,領民可支配所得也高,庶民文化在此蓬勃發展。
限定的とは言え兵農分離がなされ、また治安に優れ領民の可処分所得も高い尾張に於いては庶民文化が花開いている。
即便是由織田家主導推廣的圍棋、將棋等娛樂,在傳播過程中也摻入了各式在地規則。
囲碁や将棋などの織田家主導で推奨している娯楽も、伝播してゆく過程において様々なローカルルールが盛り込まれる始末。
因為自始就有制定並流布規則,這些有官方規則,但像雙六或花札等則難以全部掌握。
当初からルールを定めて流布させていたため、これらについては公式ルールが存在するが、双六(すごろく)や花札などについては把握しきれない。
閒得無聊的靜子開始蒐集林立的在地規則,企圖將其系統化整理以尋求官方規則。
暇を持て余していた静子は、乱立しているローカルルールを収集し、体系立てて整理しなおすことで公式ルールを模索する。
乍看毫無生產性,但一開始做起來出乎意料地有趣,靜子目前正在制定『〇×(對錯)遊戲』的規則。
一見何の生産性も無いように思えるが、やり始めてみると存外に面白く、目下静子が取り組んでいるのは『〇×(まるばつ)ゲーム』のルール化だ。
圈叉遊戲的優勢就在於根本不需要準備。極端地說只要一根木棍在地上畫出格子就能開始。
まるばつゲームの優位性はとにかく準備が必要ないことにある。極論すれば棒きれ一本あれば地面にマス目を引くだけで始められる。
這些格子的數量怎麼定是關鍵;最小的三×三一瞬間就能分出勝負,而且先手會佔優勢。
このマス目の数をどうするかがキモであり、最小の三×三だと一瞬で勝負が決まり、かつ先手が有利になってしまう。
畢竟只要在中央格子下個記號,後手的勝路就會被限制。
何せ中央のマスに印を書き込めば、後手は勝ち筋が限定されてしまうからだ。
因此靜子把棋盤擴大,定了五×五或九×九的盤面作為規則。
そこで静子は盤面を拡張し、五×五や九×九の盤面をルールとして定めた。
在三×三的盤面中,任一記號縱、橫或斜任一方向連成三個即為勝利。
三×三の盤面では、それぞれの印が縦横斜めのいずれかで3つ並べば勝利となる。
然而,當盤面擴到五×五以上時,後手就無法阻止先手連成三子的局面。
しかし、五×五以上の盤面となると先手が3つ並べるのを後手が防ぐことが出来なくなるのだ。
於是對於五×五以上的盤面,加了規則:四子相連即為勝利。
そこで五×五以上の盤面では4つ印が並ぶことで勝利となるようルールを追加する。
別以為只是把盤面放大而已,這反而促成了新的定石開始被推演出來。
盤面が広がっただけと侮るなかれ、これによって新たな定石(じょうせき)が編み出され始めたのだ。
到了九×九的盤面,有時甚至會有人沒發現其實勝負已定,因而被視為上級者專用。
九×九の盤面に至っては、既に勝負がついていることに気付かないことすらあり、上級者用とされているほどだ。
在靜子主導制定並宣傳規則後,城下町與學校為中心的參賽人口增加,風潮就此興起。
ルールの制定と周知を領主である静子主導で行っていた結果、城下町や学校を中心に競技人口が増え、流行が始まった。
「娛樂有勝負才有意思。人總想較勁比拚切磋的手藝嘛」
「娯楽は勝ち負けがあってこそ面白い。切磋琢磨した腕前を競いたがるのは人の性(さが)だよね」
看著意外熱絡起來的領民們,靜子宣佈舉辦『第一屆靜子杯圈叉遊戲大會』。
予想外に盛り上がる領民たちを見て、静子は『第一回静子杯まるばつゲーム大会』の開催を宣言した。
由於三×三盤面即使後手盡出最善之招也只能逼成和局,因此在五×五與九×九兩個賽區,各設大人組與兒童組。
三×三の盤面に関しては後手が最善手を尽くしても引き分けにしか持ち込めないため、五×五と九×九の盤面の二部門それぞれに大人と子供の部を設ける。
每個組別頒獎至前三名,冠軍更有賞金下賜,實在是大方的安排。
それぞれの部門に於いて上位三位までを表彰し、優勝者には賞金までが下賜されるという大盤振る舞いだ。
此外,頒給前三名的紀念品也很豪華──本榧的棋盤配上有色玻璃的棋子,頗費心思。
また三位までに下賜される記念品も豪華であり、本榧(ほんかや)の盤面に色付き玻璃(はり)(ガラス)の駒という手の込みよう。
被這些獎品與賞金激起射幸心的領民們紛紛報名參加,原本一時興起的活動反倒以空前規模舉辦。
これらの賞品賞金に射幸心を煽られた領民は、こぞって参加を表明し、思い付きで始まった割に空前の規模での開催となった。
不過靜子本人仍在休養,秉持著有錢能出、不能插手的體制,將運營全部丟給手頭閒散的事務人員來處理。
ただし、静子本人はあくまでも休養中であるため、金は出せど口は出さずという体(てい)を貫き、運営は配下の手隙な事務方へと丸投げする。
收到比預期更受好評的大會結束報告後,信長說道。
予想以上の好評の内に終了を迎えた大会についての報告を受けた信長は言う。
「看起來是有趣的大會。不只有角力,若以我之名冠名在安土舉辦也挺有趣的」
「面白そうな大会だ。角力だけに限らず、わしの名を冠した大会を安土で開くのも面白そうだ」
說罷信長以要把活動帶到安土為由,將靜子的全部業務移交給他人,並把工作從她手中拿走。
そう言うや信長は安土へと持ち込むためと言う大義名分の下、静子から全ての業務を他の者へと引き継がせて仕事を取り上げる。
空閒再次增多的靜子試著推廣新的娛樂,或把既有娛樂做不同組合,作為一種抵抗。
再び暇を持て余した静子は、新しい娯楽を広めてみたり、既存の娯楽を組み合わせてみたりと抵抗を試みた。
每每如此都會遭到信長介入,然後被剝奪工作,這樣的攻防大約重複了一個月。
そしてその度に信長の介入を受け、仕事を取り上げられるという攻防を一か月ほども繰り返してみせた。
終於,靜子所恐懼的事成了現實,也就是──題材枯竭。
そして遂に静子の恐れていたことが現実の物となる。つまりはネタ切れだ。
「哇哈哈哈哈!」
「わっはっはっは!」
知道此事的慶次呵呵大笑。被如此乾脆地一笑置之的靜子撅著嘴抗議,慶次卻不以為意繼續說下去。
それを知った慶次は呵々(かか)と笑って見せた。清々しい程に笑い飛ばされた静子は、ふくれっ面で抗議するが慶次は構わず続けた。
「沒必要笑成那樣吧?」
「そこまで笑わなくても良くない?」
「不,我錯了。我常聽有人想做輕鬆點的工作,但第一次聽到有人希望把難以應付的工作交給他人啊」
「いや悪い悪い。少しでも楽な仕事をしたいという相談は良く聞くが、手に負えない仕事を回して欲しいというのは初めてだ」
「既然如此,若能幫忙處理其他人應付不來的工作,不是對誰都更有意義嗎?」
「どうせなら他の人が手に余らせている仕事を手伝えれば、誰にとっても有意義なんじゃないかと思ってね」
「說是閒得慌想做事的人,大概也只有靜子你吧。嗯,織田殿既然採取這麼強硬的態度,這大概是在表明不會再像以往那樣寬鬆應對了」
「手持ち無沙汰だから仕事をしたい、なんて言う奴は静っちぐらいだろうよ。ま、織田の殿様がここまで強硬な姿勢を取るんだ、これまでのような甘い対応はしないという意思表示だろう」
「嗚……」
「う……」
慶次的指摘讓靜子不由得抱頭苦惱。不管她如何動腦策劃,這次的靜子有致命的缺陷。
慶次の指摘に静子は思わず頭を抱えてしまう。如何に策を弄(ろう)しようとも、今回の静子には致命的な欠陥があった。
也就是缺乏盟友。大家因為關心靜子而團結一致想讓她休息。
即ち味方の欠如である。誰しもが静子を思いやるがゆえに一致団結して休ませようとしているのだ。
就算靜子孤軍奮戰,也因為許多人時時監視,她做什麼都會傳到信長耳裡。
静子一人が孤軍奮闘したとて、大勢の人間が常に目を光らせているため、何をしていても信長の耳に入ってしまう。
「偶爾放鬆泡泡溫泉,去旅遊散心怎麼樣?」
「偶にはゆっくり温泉にでも浸かって、物見遊山にでも出かけてみちゃあどうだい?」
「溫泉我天天都能泡,去旅遊也會掛念大家沒辦法玩得開心」
「温泉は毎日でも入れるし、物見遊山と言っても皆の事が気がかりで楽しめないよ」
「這是重症了呢」
「これは重症だな」
慶次笑著回應靜子的話。
静子の言葉に慶次は笑いながら言う。
(以她過去那種捨己為公的作為來看,就算稍微自私一點也不至於遭天譴,不願意有這種想法的地方才是靜子的特色)
(今までの滅私奉公ぶりを考えれば、少しぐらい自分本位に振る舞ったところで罰は当たるまいに、そんな考えをしないところが静っちらしい)
她或許會回答那是為政者的責任,但若所有為政者都理所當然地履行責務,世上就不會陷入亂世。
彼女はそれこそが為政者たるものの責務だと答えるだろうが、全ての為政者が当然のように責務を果たしていれば乱世になどなっていない。
把自己置於次要,為了天下與人民持續勤勞工作者如靜子這般罕見,正因為她是這樣的人,大家才更希望她能休息。
我がことを二の次にして、世のため人の為にと働き続ける静子は稀有な存在であり、そんな彼女だからこそ誰もが休んで欲しいと望むのだ。
「這裡換個想法吧。不要因為閒得無聊而覺得非得做點什麼,不如只做自己想做的事,如何?」
「ここは逆に考えるんだ。暇だから何かをしないとと思うんじゃなく、したい事だけをするってのはどうだい?」
「……考慮看看」
「……考えて見る」
與溫和的慶次相對,靜子沉重地嘆了口氣。
和やかな慶次とは対称的に静子は重苦しいため息を吐いた。
人果然是會適應的動物,無論什麼情況終究會習慣。
人間というものは良くしたもので、どんな状況にもやがて慣れてゆく。
一開始靜子因焦躁感坐立難安,但兩週過後已逐漸形成了日出而起務農、日落而眠的生活節奏。
最初は焦燥感から居ても立っても居られないでいた静子だが、二週間も経つと日の出と共に起き出して畑仕事に精を出し、日暮れと共に就寝するという生活リズムが出来つつあった。
吃過午飯後,靜子獨自在面向中庭的縁側上品茗一服。
そして昼餉を済ませた静子は、中庭に面した縁側で一人一服していた。
靜子宅最初因信長準備了圖面而擁有過於寬廣的地皮,細看之下發現中庭顯得冷清。
静子邸は当初信長が図面を用意したがために無駄に広い敷地を持っており、よくよく見てみると中庭が殺風景だと言うことに気が付いた。
「對了,來造一座回遊式庭園吧!」
「そうだ、回遊式庭園を作ろう!」
所謂回遊式庭園,是在廣闊土地上設置的庭園,沿著園內一圈行走便能一邊遊覽、一邊欣賞不同景觀。
回遊式庭園とは広大な土地に設営された庭園に対し、園内を一巡することで様々な景観を回遊しながら鑑賞できるというものだ。
被視為日本庭園的集大成,其中代表作是以中央大池為基礎,沿外圍再現各地名勝的池泉回遊式庭園最為有名。
日本庭園の集大成とも言われ、中でも代表的な造りとして中央に大きな池泉を据え、その外周に各地の名勝を再現する造園方式の池泉(ちせん)回遊式(かいゆうしき)庭園が有名だろう。
被譽為日本三大庭園的兼六園、後樂園與偕樂園,都是各大名打造的大名庭園,被稱為作庭技法的巔峰,但在這個戰國時代那樣的技術已不復存在。
日本三大庭園と名高い兼六園(けんろくえん)や、後楽園、偕楽園(かいらくえん)はそれぞれの大名が手掛けた大名庭園であり、作庭技法の頂点とも言われるが、その技術は戦国時代の今は存在しない。
靜子的思路是「沒有就自己造」,於是立刻開始調查建造回遊式庭園所需的一切。
無いならば作れば良いというのが思考の根底にある静子は、早速回遊式庭園を作るために必要となるものを調べ始めた。
但很快她就撞上了難關。造園與只追求功能性的土木建築截然不同,還需要美感與趣味性等要素。
そして直ぐに壁にぶち当たってしまう。造園というのは機能性だけを追及した土木建築とは決定的に異なり、美的センスや遊び心などが求められる。
而這些全都以經驗為基礎,絕非一朝一夕可習得。
そしてそれらは経験に裏打ちされたものであり、一朝一夕で身に付くものではなかった。
靜子自覺自己的品味不足以自豪,便想出要任用有優秀審美的人才。
更に自分のセンスが他人様に誇れるようなものでないことを自覚している静子は、センスに優れる人物を起用することを思いつく。
「……就是這樣,我打算做一座新的庭園。」
「……と、言う感じで新しい庭園を作ろうと思うのよ」
「請交給我吧義姊上,由我把義姊的願望融入其中,並打造出與凡庸庭園截然不同的庭園!」
「お任せ下さい義姉上、この私が義姉上のご要望を盛り込み、かつ凡百の庭とは一線を画す庭園を作り上げてみせましょう!」
靜子向她所知最有品味、對庭園頗有造詣的前久請教時,他推薦了自己的嫡子信尹。
静子が知る限りで、最もセンスが良くて庭園に造詣の深い人物であるところの前久に相談したところ、彼は自身の嫡男である信尹(のぶただ)を推挙してきた。
信尹確實有天才的資質,或許能做出超乎想像的庭園,然而他並無足以讓靜子放心推薦的實績。
確かに天才肌の信尹であれば想像以上の庭園を造り上げるかもしれない。しかし、信尹には静子に推薦できるほどの実績が無かった。
總而言之,大概是這樣:作為近衛家的嫡男,家長出於父母心想給他一個能夠誇耀成果的機會吧。
つまるところは、こういうことだろう。流石は近衛家の嫡男であると、誇れる成果を挙げる機会を与えたいという親心の発露と言ったところか。
實際上靜子的猜測相當準確,前久認為若信尹承擔並完成一座全新的庭園,那將是一大榮譽。
実際に静子の推測は的を射ており、全く新しい庭園を信尹が手掛けて完成させたとなれば、それは大きな名誉となると前久は考えていた。
常人可能會為何把一生一世的大業交給業餘者而氣惱,但對起因本來就像是消遣的靜子而言,這機會正是渡人之便。
凡人ならば一世一代の大事業を素人に任せるのかと立腹もしようが、発端からして手慰みの静子にとっては渡りに船であった。
再者,靜子親眼見過信尹非凡的天賦,並信任他那洗鍊的美感,對於任用信尹毫無異議。
更に言えば信尹の非凡な才能を目の当たりにし、洗練された彼の美的センスにも信を置いている静子としては、信尹の起用に否やは無い。
「這類東西本來就需要時間。不過白白耗時而看不到進展就令人困擾,請定期報告計畫整體以及進度。」
「この手のものは時間が掛かると相場が決まっています。ただ徒(いたずら)に時間を掛けて、進捗が見えないのは困ります。定期的に計画の全体像と、進捗を報告するようにしてください」
即便在這戰國時代,也已有以岩石與砂表現水的枯山水技法,延自平安時代的池庭與新興的茶庭等樣式亦已確立。
この戦国時代に於いても既に岩や砂を用いて水を表現する枯山水(かれさんすい)の技法は存在し、平安の世より続く池庭や、新しく生み出された茶庭などの様式が確立されている。
這些樣式的集大成就是前述的回遊式庭園,但並不代表其他庭園就遜色。
それらの集大成が前述の回遊式庭園となるが、それ以外の庭園が劣っているかと言われればそうではない。
回遊式庭園必然需要廣闊的地皮,在有限空間內造園的話,茶庭等反而更為適合。
回遊式庭園にはどうしても広大な敷地が必要となり、限られた敷地に造園するならば茶庭などの方が適しているとさえ言える。
「但是,若那樣……」
「しかし、それでは……」
「我明白。您是擔心若逐一公布會被人模仿、先行宣稱自己才是真正來源吧?但這不用擔心。我已經以您的名義大肆宣傳,剩下就是靠您的手藝回應期待。」
「解っています。逐次報告していれば誰かが真似をして先に我こそが本家だと発表してしまうことを恐れているのでしょう? それについては心配いりません。既に貴方の名で大々的に宣伝を打ちました。後は貴方が自身の腕前で期待に応えれば良いのです」
「『京便り』嗎?那確實能讓京中貴人知曉,我會努力不辜負義姊的期待。」
「『京便り』ですか。確かにアレならば京中(みやこじゅう)の貴人に周知できますね。義姉上のご期待に沿えるよう努力いたします」
「我們已搶先投放廣告、大張旗鼓地宣傳;不管願不願意都會吸引目光,所以要打造一座讓誰看了都驚豔的新奇庭園。」
「いち早く広告を打って大々的に宣伝をしたのです。否が応にも注目が集まりますから、誰の目にも新しく見事な庭園を造って度肝を抜いてあげなさい」
雖然契機是在尾張的靜子宅中庭,但這次的造園將會在靜子位於京的京宅進行。
切っ掛けこそ尾張にある静子邸の中庭であったが、今回の造園に於いては京にある静子の京屋敷で行われることとなっている。
現今朝廷風行的許多事物都是由尾張發出的,令許多公卿感到忸怩不安。
今や朝廷で流行している文物の多くが、尾張から発信されていることに忸怩(じくじ)たる思いを抱えている公家は多い。
若連被自詡為京中最先端的庭園文化,也被尾張所取代,公家們恐怕無法冷靜。
ここへきて更に庭園などの京が最先端であると誇っていた文化までが、尾張発の物に取って変わられてしまえば冷静では居られないだろう。
為了不輕率挑釁公家的矜持,政治上決定要給他們一些面子。
公家達の矜持をいたずらに刺激しないためにも、ここは花を持たせるべきだとの政治的判断が下された。
「執著於過去榮光、拒絕變化的人放著不管也會自取滅亡。反倒我為了要做何種庭園竟然難得地興奮不已。」
「過去の栄光にしがみつき、変化を拒む連中なぞ放っておいても自滅しそうなもの。それよりもどんな庭にしようかと柄にもなくワクワクしておりまする」
這次由信尹負責的將是一座達四公頃(前述後樂園為七公頃)的巨大庭園。若交由靜子親手打理,肯定會被整成平坦如停車場般極度冷清的庭地。
今回信尹が手掛けるのは実に4ヘクタール(前述の後楽園は7ヘクタール)にも及ぶ巨大な庭となる。これが静子の手に掛かれば、全てが平らに整地された駐車場の如く殺風景極まる庭になることは間違いない。
若完全夷平並以矩形劃區,確實能達到無浪費的高效率用地。
完全に均した上で矩形(くけい)に領域を区切っていけば、なるほど無駄の無い効率的な敷地利用が出来るだろう。
看到靜子親手繪的圖面後,信尹不由得抓起頭也不足為奇。
そうして静子自らが手掛けた図面を目にした信尹が、思わず頭を抱えたのは言うまでもない。
「資金不用擔心,先按你所想去設計看看吧。」
「資金については気にしなくて良いよ。とりあえず貴方が思うがままに設計して見なさい」
「充裕的資金固然令人感激,但還是想請您告知一個參考預算……」
「潤沢な資金はありがたいのですが、それでも目安となる予算を教えて頂きたいのですが……」
「就我來說,私財比減少更快的是增加,不把它花掉的話反而會出現貨幣不足。」
「私の場合、私財が減るよりも増える方が早いから使わないと貨幣が不足しちゃう」
「真想哪怕只說一次那種台詞啊」
「一度で良いからそんな台詞を口にしてみたいものです」
對嘆息的靜子,信尹表面上裝出羨慕的樣子。這大概就是信尹處事老練的地方吧。
ため息を吐く静子に対し、信尹は表面的には羨んで見せる。このあたりが信尹の如才無いところであろう。
靜子的情況下,即使不去諂媚也能直說心裡話,但成為習性的人際處世術仍會在無意識中編織出話語。
静子の場合は追従などせずとも本音を出して問題無いのだが、習い性となった処世術は無意識に言葉を紡ぐのだ。
「現在連過去所寫的作付日記,都有很多人願意付錢來一睹為快呢……」
「今では昔に付けていた作付け日記ですら、お金を払ってでも見たいと願いにくる人が沢山いるしねえ……」
「若能藉由支付些許謝禮縮短數年之久的時間,我想誰都會這麼做吧」
「多少の謝礼を払うことで数年にも及ぶ時間を短縮できるのならば、誰もがそうすると思いますよ」
靜子對於向織田家提供各種情報的組織都是公開的。
静子は実に様々な情報を織田家に与(くみ)する組織に対して公開している。
實際上利用那些資料取得成果的例子不勝枚舉,隨著資料可信度提高,借閱等待的排隊也開始出現。
それらを実際に活用して成果を上げた例も枚挙に暇がなく、資料の信ぴょう性が高くなるに連れて貸し出し待ちの行列が出来るようになった。
而那些因此獲得的數據,也會在不收謝禮的情況下自動送到靜子手中,形成使情報精度進一步提高的良性循環。
そうして得られたデータに関しても、謝礼とは別に静子の許へと自主的に寄せられることとなり、更に情報の精度が上がってゆく好循環が出来上がっている。
「話題離題了。來繼續談庭園的事吧」
「話がそれましたな。庭園についての話を進めましょう」
靜子微微點頭應對信尹的話。
信尹の言葉に静子は小さく頷いた。
委託信尹後數週過去,進入三月下旬時,在公家之間開始傳出關於信尹的話題。
信尹に依頼してから数週間が過ぎ、三月も下旬に差し掛かると公家の間で信尹の話が囁かれるようになった。
起初有人以為他會像年輕人般打造前衛奇特的庭園以博取新奇,但每次看到定期公開的圖面,明顯都顯示出不同的樣貌。
当初は若者らしく破天荒で奇抜な庭を造って目新しさを狙うかと思われたのだが、定期的に公開される図面を見るたびに様子が異なることが明らかとなった。
巧妙再現景勝地與名勝的嘗試,彷彿在京中就能繞行日本全土的設計,對造園學問造詣越深者越為著迷。
景勝地や名勝を巧みに再現する試みは、さながら京に居ながらにして日ノ本全土を一巡できるという設計が為されており、造園について造詣の深い者ほど深く魅了される。
當該領域的權威開始認同時,那些一開始嘲評過於賣弄奇巧的人們也紛紛翻手稱讚。
そしてその道の権威たちが認め始めると、一様に奇を衒(てら)いすぎだと貶していた者達が手のひらを反して褒め称える。
靜子聽到那些報告只能苦笑,因為已經進入連她也分不清好壞的領域,於是決定信任信尹交由他處理。
その報告を耳にした静子は苦笑するしかなかったが、既に静子では良いも悪いも理解できない領域へと差し掛かっているため、信尹を信頼して任せることにする。
「又開始覺得無聊了啊」
「また退屈になったなあ」
靜子抱持著毫無根據但稍感能參與造園的自信,然而遺憾的是她的美感與信尹無法對話。
造園であれば少しは関われるかもしれないという根拠のない自信を持っていた静子だが、残念ながら彼女の美的センスでは信尹との会話が成立しない。
理所當然地,靜子無法跟上與信尹的對話。對信尹而言即便只放一塊石頭也有其意義,但靜子認為放在哪都沒多大差別,無可救藥。
当然ながら静子が信尹との会話についていけないのだ。信尹にとっては岩を一つ置くだけでも意味があるのだが、静子にとっては何処に置いたところで大差ないと考えるのだから救えない。
她以為可以稍微排遣些悶悶不樂,結果計劃徹底受挫。
少しは無聊(ぶりょう)を慰められるかと思ったのだが、彼女の計画は見事に頓挫した。
「真的完全沒什麼正經事可做了啊」
「本格的にやることが無くなったなあ」
於是再次閒得發慌的靜子,最近越來越常整日晒太陽度過。
かくして再び暇を持て余し始めた静子は、近頃日がな一日日向ぼっこをして過ごすことが増えていた。
周遭也沒多說什麼,只是以一副『看妳好好休息,令人安心』的眼神打量著她。
そして周囲もそれに対して何を言うでもなく、『しっかりお休みをされているようで安心だ』と言わんばかりに眺めてくる。
靜子終於也厭倦了晒太陽,召集家人宣佈一件事。
遂に日向ぼっこにも飽きてしまった静子は、家人を集めて宣言するに至った。
「――所以說,既然閒著,就辦個角力(相撲)大會吧」
「――という訳で、暇だから角力(すもう)大会を開きます」
既然如此,想著不如觀賞體育賽事,靜子便招募參賽者舉辦角力大會。
こうなったらスポーツ観戦でもするかと思い立ち、静子は参加者を募って角力大会を催すことにした。
若大規模舉辦會很麻煩,故僅限於靜子宅內接受參加報名。
大々的にやると運営やら設営が面倒くさいため、あくまでも静子邸内に限っての参加受付とする。
結果,聚集的參加者有長可、慶次等靜子的近臣,上杉景勝與兼續等越後勢力,還有藤次郎與片倉小十郎等伊達勢。
その結果、集まった参加者の面々は長可や慶次などの静子の側近、上杉景勝や兼続などの越後勢、藤次郎や片倉小十郎など伊達勢であった。
他們平時也會共同練習,因此大致都知道彼此的實力,場面有些缺乏高潮。
彼らは普段から合同で練習をすることもあるため、おおよその強さを互いに把握しており、イマイチ盛り上がりにかけた。
於是靜子打起精神激勵大家。
そこで静子が発破を掛ける。
「優勝者將獲得以木桶贈送與獻給帝同款的酒。此外還會附上一箱去年釀製、評價為絕品的烏魚子!」
「優勝者には帝に献上したものと同じ酒を樽で進呈するよ。更には昨年仕込んで絶品との評価を得たカラスミも一箱付けちゃう!」
這番話讓參加者們頓時沸騰。若是獻給帝的酒,會從當年表現最好的酒藏中挑選出最上乘之品。
この発言に参加者たちは一気に沸き上がった。帝への献上酒ともなれば、その年最も出来の良かった蔵の中でも最高の物が選ばれる。
這不是靠出錢就能取得之物,對酒徒而言是終其一生都想嚐一口的垂涎之物。
それは金を出せば手に入るという物ではないため、飲兵衛ならばいつかは飲んでみたいと願う垂涎の的であった。
此外作為下酒菜的烏魚子,更是連來到尾張不久的伊達家眾人也為之著迷的絕品。
更には酒のつまみとして供されるカラスミについては、尾張に来て日の浅い伊達家の面々ですら魅了された絶品である。
說得庸俗些,若將這些折算成現金,絕對能稱得上是一筆巨款,毫無疑問。
下世話な話になるが、これらを仮に現金化したとすれば一財産と言っても過言ではない額面になることは疑いようもない。
就這樣,一場令眾人眼睛發亮的修羅們的饗宴開始了。
こうして俄(にわ)かに目をギラつかせる修羅たちの饗宴が始まる。
「一旦上了土俵,立場高低皆不相干。只要注意行為不令天道羞愧,便盡全力戰鬥吧」
「土俵に上がれば立場の上下など関係ない。お天道様に恥ずかしくない行いをすることだけを留意して、全力で戦ってください」
就這樣倉促舉辦的角力大會開幕了。角力亦分少年組與成人組,而少年組的黑馬正是伊達一方。
こうして急遽催された角力大会の火蓋が切って落とされた。角力についても少年部門と成人部門が分けられ、少年部門のダークホースとなったのが伊達勢であった。
伊達勢本來就來到尾張不久,誰會以何種形式出手仍是未知數,這反而成為有利因素。尤其是獨眼的藤次郎出場時,觀眾的熱情達到最高點。
ただでさえ伊達勢は尾張に来て日が浅い。誰がどのような角力を取るのか未知数であることが良い方に働いた。中でも隻眼の藤次郎の取り組みでは、観客たちの盛り上がりが最高潮に達する。
「開始!」
「はじめ!」
隨著行司的喝聲,藤次郎全力衝向對手。就在看似即將正面撞擊的瞬間,藤次郎的身影消失了。
行司の掛け声と共に藤次郎が全力で相手に向かって突進する。すわ激突するかと思われた直前に、藤次郎の姿が掻き消えた。
藤次郎在對手衝撞前一瞬繞到側面緊貼,抓住回し(腰帶)的一角,一掃腿部把對手連同勢頭一併往前推擠出場。
藤次郎は相手の体当たりを寸前で回り込んで側面に密着し、回しに手を掛けると足を払って相手を勢いのまま前方へと押し出す。
以為要承受衝擊的對手不由自主地踏了步(蹈鞴),向前踉蹌,差點就踏出土俵。
衝撃を覚悟していた相手は、思わず蹈鞴(たたら)を踏んでつんのめり、土俵を割りそうになる。
但對手也不簡單,竟然在土俵邊站穩抵住了。
しかし、対戦相手もさるもので、みごと土俵際に踏みとどまって耐えてみせた。
藤次郎趁對手重心後移,再以轉動之勢加力,將人推向場外。
そこで藤次郎は、対戦相手の重心が後ろに寄ったところを更に回すように勢いを付けて押し出した。
「真不錯!」
「やるじゃねえか!」
藤次郎只剩一隻眼睛有視力,比常人更難掌握與對手的距離感。
片目しか視力の無い藤次郎は、相手との距離感を測ることが常人よりも難しい。
儘管如此,他仍以近乎神業的精準掌握間合,彷彿實踐了「以柔克剛」,展現出精彩的取組。
それにも拘わらず神業とさえ言える精度で間合いを見切り、『柔よく剛を制す』を体現するかのように見事な取り組みを見せた。
那老成老練的技巧與他年輕的外表格格不入,卻令觀眾著迷。
年若い少年に似合わない老獪(ろうかい)な技巧に観客は魅了される。
「今後真令人期待啊」
「これは今後が楽しみだね」
坐在土俵邊特等席觀戰的靜子,也不由自主對藤次郎的表現露出笑容。
土俵際の特等席から観戦している静子も、藤次郎の戦いぶりに思わず笑みを浮かべる。
身形瘦小的藤次郎這場大冷門,成了體格較小少年的希望之光。
小兵(こひょう)である藤次郎の大金星は、体格に劣る少年たちの希望となった。
此後整場比賽氣氛高昂。與藤次郎形成對比的小十郎展現出正統派的強力,力與技的碰撞讓觀眾沸騰不已。
それからも終始大会は盛り上がった。藤次郎とは対称的に小十郎は正統派の強さを誇り、力と技のぶつかり合いは大いに観客を沸かせる。
「我贏了!」
「俺の勝ちだ!」
「精彩!接下來輪到我!」
「見事! 次は某が!」
少年組由小十郎擊敗其主君藤次郎奪冠,成人組則不知為何由臨時參賽的華嶺行者以壓倒性的身法奪得冠軍。
少年の部は小十郎が主君である藤次郎を破り優勝し、成人の部は何故か飛び入り参加してきた華嶺行者が圧倒的身のこなしで優勝を掻っ攫った。
儘管如此,興致高昂的人們熱度未退,賽後各自又開始任意切磋,想像中很快就會以此為話題一擁而入赴宴。
それでも盛り上がった面々は熱が冷めないようで、大会の後も各自が好き勝手に取り組みを始め、それを肴に大宴会へと雪崩込むのが容易に想像できる。
「請告訴廚師多準備些酒菜。這宴會應該會從洗澡後開始」
「酒と料理を増やすよう庖丁人に伝えて。これは入浴からの宴会になるだろうから」
「明白了」
「承知しました」
把要多備酒菜的話交給小姓傳達後,慶次在靜子身旁坐下。雖然全身沾滿泥土,但臉上掛著愉快的神情。
小姓に酒と料理を増やすよう言伝を託すと、静子の傍に慶次が腰を下ろす。体中土で汚れているが、その顔は楽しげな表情を浮かべている。
「我本來想辦頒獎儀式,但似乎沒有人在意優勝獎品呢」
「表彰式をやるつもりだったんだけど、誰も優勝賞品を気にしてないね」
「大家都被點燃了,熱度沒退前不會平息」
「皆火がついちまったからな、熱が冷めるまでは収まらんよ」
「我就是這麼想的,已經吩咐多準備酒菜了」
「そう思って酒と料理は増やすよう伝えておいた」
「不愧是靜子,懂事!」
「流石は静子、話が解る!」
靜子的話讓被華嶺行者輕視的長可回過神來。他也拍去身上的泥土,坐到靜子身旁。
静子の言葉に華嶺行者に軽くあしらわれた長可が反応する。彼も体中についた土を払ってから、静子の傍に腰を下ろす。
在土俵上,兼續傾盡全力的衝撞被行者以如風中落葉般不自然卻巧妙的動作躲過。
土俵の上では兼続が放った渾身の体当たりを、風に舞う木の葉のように不自然な動きで躱す行者。
當兼續的腳掛上德俵、以為就此結束時,華嶺行者的動作突然停了下來。
徳俵に足が掛かった兼続があわやこれまでかと覚悟を決めた時、唐突に華嶺行者の動きが止まった。
原來是廚房飄來誘人的咖哩香。行者面露陶醉之色、抽動鼻翼,兼續輕輕推了他一下。
それは厨房から漂ってくる香しいカレーの匂い。陶然とした表情で鼻をひくつかせる行者の背を兼続が軽く押す。
那自誇無雙、魁偉的巨僧搖搖晃晃離開土俵,朝廚房方向走去。
無双を誇った魁偉(かいい)なる巨僧はふらふらと土俵を出て、厨房の方へと向かっていった。
「果然如常啊,華嶺先生。那身板竟然連一點都碰不到」
「相変わらずだな華嶺の旦那。あの図体だと言うのにかすりもしねえ」
「話說回來,居然會被咖哩香打敗,真叫人無語」
「そうかと思えば、カレーの匂いに負けるのだから呆れてしまうな」
「也不盡然,大家應該也餓了,差不多該散場去吃飯了吧?」
「そうでもない。皆も腹が減ってくる頃合いだろ。そろそろお開きにして飯にしないか?」
聽了長可的話,靜子環視四周。正如他所說,處處可見有人坐著觀戰,顯得疲態畢露。
長可の言葉に静子は周囲を見渡した。彼の指摘通り、あちらこちらで座り込んで観戦している者が多く見受けられる。
角力雖然好玩,但大家明顯已疲憊不堪,看得出無法再多動了。
角力は楽しいが流石に疲労困憊(こんぱい)であり、これ以上は動けないという様子がありありと窺えた。
他們仍不離場,是因為主辦者靜子尚未宣布結束。
それでも彼らがこの場を離れないのは、主催者たる静子が終了を宣言しないからだ。
擊敗華嶺行者的兼續看向靜子;靜子隨即拍手兩下,吸引大家注意。
華嶺行者を下した兼続が静子の方へと目を向けた。それを受けて静子は両手をパンパンと打ち鳴らして全員の注意を集める。
「大家注意!差不多都滿足了吧?現在就解散去洗澡,之後再開始宴會」
「はい注目! そろそろ皆も満足したでしょう? そろそろお開きにしてお風呂に入ってきなさい。その後は宴会にしましょう」
「優勝之類的怎麼辦?」
「優勝とかはどうするんだ?」
面對慶次的吐槽,靜子輕輕嘆了口氣。此時再去讚揚優勝者已不合時宜,眾人一看就知道他想從靜子那裡得到某個(…)口頭承諾。
慶次の突っ込みに静子は小さくため息を吐いた。今更優勝者を称えるという状況でもないため、彼が静子からとある(・・・)言質(げんち)を取りたいのが丸わかりだった。
靜子明知道,仍決定接受。
静子はわかった上でそれに乗ることにする。
「現在再去說誰怎樣多不合時宜。酒菜都準備好了,想喝想吃就盡量吃吧」
「今さら誰がどうとか言うのは無粋でしょう。酒と料理は用意させているから、好きなだけ飲んで食べなさい」
「不愧是!」
「さっすが!」
靜子的宣言讓眾人歡呼。
静子の宣言に一同が快哉を叫ぶ。
「不過要先好好洗個澡。把滿身的泥弄乾淨再來吧」
「ただしちゃんとお風呂に入ってからです。泥だらけの体を綺麗にしてきなさい」
「好喔」
「はーい」
「(真是長得像大孩子們啊)洗完澡後就各自隨意開始吧。若宴會有上司在場會讓人顧慮」
「(でっかい図体した子どもたちだなあ)風呂を終えたら各自で勝手に初めて良いですよ。宴会に上役が居たら気を遣うでしょうし」
靜子對那些活力十足回應的男人心中覺得有些失禮。
元気よく返事する男たちに、若干失礼な事を思う静子だった。
「好啊!那就先從洗澡開始!」
「よっしゃ! ではまず風呂からだ!」
就在話音剛落,長可便全速奔向浴場;見狀的人也都爭先恐後就那樣朝浴場前進。
そう言うや否や長可が全力疾走で風呂場へと駆け出した。それを見た者達も我先にと、そのままの恰好で風呂場を目指す。
靜子宅的大浴場使用溫泉,雖然人多會稍顯狹窄,但不會有問題。
静子邸の大浴場は温泉を利用しているため、大人数でも多少手狭になる程度で支障はない。
然而,他們忘了一件重要的事。沒人注意到這點,靜子一邊無奈一邊吩咐近旁的小姓。
しかし、彼らは肝心なものを忘れていた。誰もそれに気が付かず、風呂場へと向かった事に静子は呆れつつ近くの小姓に命じる。
「把所有人的換洗衣物都搬到更衣室去」
「全員の着替えを脱衣所に運んであげて」
小田原城面向本丸的廣場上,響起了宣告新時代來臨的呼聲。
小田原城は本丸に臨む広場にて、新時代の到来を告げる産声が上がった。
「竟然會到這種程度……」
「なんと、これほどとは……」
從冒著火藥煙的槍口射出的子彈,精準貫穿了設置在遠到看不清射手面容的距離上的靶子。
硝煙の立ち上る銃口から吐き出された弾丸は、射撃手の人相すら確認できない程の距離に設置された的を見事貫いていた。
「這就是能與織田軍匹敵的新式火繩槍嗎!」
「これが、織田軍に匹敵しうる新しい火縄銃なのか!」
「射程與威力遠非舊式可比;若能大量備齊,縱使是所向披靡的織田軍也不足為懼!」
「従来の物とは比べ物にならぬ飛距離と、威力。これを大量に用意できれば、向かうところ敵なしの織田軍とて恐るるに足らずというものよ!」
「真是精彩,不愧為久負盛名的智者「高座的彌勒」!不論花多少金錢與人力都沒關係,務必儘速準備盡可能多的數量!」
「見事だ、流石は知恵者として音に聞こえた『高座(こうざ)の弥勒(みろく)』よ! 金も人もどれだけ費やしても構わぬ、これを急ぎ可能な限りの数用意せよ!」
「是!」
「はっ!」