戦国小町苦労譚
一五七八年一月下旬
戰況雖然陷入停滯不前,仍然在戰亂之中迎來新年。
戦況が停滞しているとはいえ、いくさの渦中にて新年を迎えることとなった。
前往東國征伐的武將已有通達稱新年問候免了,但不赴前線的靜子不在其列。
東国征伐に赴いている武将については、新年の挨拶は無用との通達が出されているのだが、前線に赴かない静子には適用されない。
因此對靜子來說,今年的正月三日依舊忙碌且不得輕鬆。
故に今年も静子にとって正月三が日は、慌ただしくも気の休まらないものとなっている。
眾人侍奉在側,她必須從容大度地應對。
多くの人々に傅(かしず)かれ、鷹揚(おうよう)に振る舞う必要があった。
「尾張三位大人(指靜子)來了」
「尾張三位(さんみ)様(静子のこと)がお見えになりました」
靜子的先鋒向守衛安土城正門的衛士通報。
静子の先触れが安土城正門を守る衛士に告げた。
話音一落周圍便一陣喧鬧,見到靜子所乘的輿,眾人立即靠邊讓道並低頭行禮。
その途端周囲が一斉に騒がしくなり、静子の乗った輿(こし)が見えると一様に端に寄って道を空け、頭を下げる。
看著人群如摩西十誡般分左右而開,靜子的表情不由得抽動起來。
モーセの十戒が如く人々が左右に分かれていく様を見て、静子は表情が引き攣(つ)っていた。
她本就以重鎮著稱,而朝廷賜予的正三位更催動了她的威望。
元より重鎮として名を馳せていたのだが、更に朝廷より賜った正(しょう)三位が権威に拍車をかけたのだ。
在武家中,正三位是僅次於征夷大將軍一步之遙的官階,位列成為從二位兼右大臣的信長之下。
武家に於ける正三位とは征夷大将軍一歩手前の官位であり、従二位で右大臣となった信長に次ぐ立場となる。
(正因為討厭這種排場才躲在尾張啊……)
(こういうのが嫌だから尾張に引きこもっているのだけどね……)
被這般隆重相待讓靜子心力交瘁,她感激能以輿入城以遮擋他人的視線。
大仰に遇されて気疲れしてしまった静子は、他人の視線を遮ってくれる輿での入城が許されたことをありがたく思った。
入城後在僅允許重臣進入的候見室稍作等候,特別驅散了旁人後得以與信長單獨謁見。
城内に入ると重臣だけが立ち入ることを許される控えの間にて暫く待機し、特別に人払いが済まされ信長と二人きりで謁見することとなる。
「御慶奉り(正式的賀年致意)」
「御慶(ぎょけい)奉り(新年を祝う正式な挨拶)ます」
「不用那麼拘禮。聽說你們家都是說「明けましておめでとう」就帶過,我也這樣即可」
「そう畏まるでない。何でも貴様の家では『明けましておめでとう』で済ませるそうではないか、わしもそれで良い」
「那麼改正說一聲……上樣,新年快樂」
「それでは改めまして……上様、新年明けましておめでとうございます」
「嗯,實在可喜。能有此機會慶賀新年,全賴你的勤勉。」
「うむ、実にめでたい。こうして新年を言祝(ことほ)ぐことが出来るのも、貴様の精勤あってのことよ」
「受您如此讚賞,讓人有些害羞。」
「そうまでお褒め頂くと、少々こそばゆい気がします」
「何妨,新年一開始就想請你多多助力,所以說這些話也無妨。」
「なに新年早々に貴様には尽力して貰おうと思うゆえ、これぐらい言ったところで罰は当たるまい」
在空蕩的大廣間兩人密談,既然無人偷聽,便談及左右東國征伐走向的各種事宜。
がらんとした大広間にて二人きりの密会である。他人の耳に入らないのを良いことに、東国征伐の行方を左右する様々な内容が語られた。
雖然寒暄出乎意料地冗長,但信長也被安排要向他人致意,細節便由信長微服到尾張再談。
予期せず長い挨拶となったが、信長も他の面々への挨拶予定が押しており、詳細については信長がお忍びで尾張を訪れて話すことになる。
向作為年初一大盛事的主君信長致意完畢後,靜子放下心來,讓人抬下輿,僅帶最低限度的隨從徒步下城。
年始の一大イベントであった主君たる信長への挨拶が済んだ静子は、安堵から輿を下がらせ最低限の供だけを連れ徒歩(かち)にて下城することにした。
因信長的安排得以先行致意,靜子本想悄然無人發現地回家而心情大好,但她的打算沒能如願。
信長の計らいで真っ先に挨拶を済ませたことにより、誰にも見つからずにひっそり帰宅できると上機嫌だった静子だが、その思惑は淡くも外れる。
「真是奇怪的地方相遇啊。靜子大人,恭賀新年」
「これは妙な場所でお会いしますな。静子殿、御慶申し入れまする」
結果遇上了本就眼細如線的光秀。
元より細い目を糸のようにした光秀と出くわしたのだ。
「明智大人,還請今年也多多關照」
「これは明智様、こちらこそ本年もよろしくお願いいたします」
御慶字面即為祝賀之意,靜子因此照此回應;她未以例行的答禮回敬,正表明她有些驚訝。
御慶とは読んで字の如く、『お慶(よろこ)び』を告げられたため、静子は上記のように返す。形式通りの返礼でないのは、彼女が面食らった証拠と言える。
在信長的眾臣中靜子是最先觸見者,因此在她下城之必經路上遇見原本該輪到致意的光秀,實屬不自然。
信長の臣下では静子が真っ先に目通りしたため、下城の際に通る順路でこれから挨拶をする必要がある光秀と遭遇するのは不自然なのだ。
但光秀在社交上向來老練,若考慮他事先在背後作了鋪排,這種相遇也非完全不可能,難以斷定。
とは言え光秀は社交に於いて如才ないため、裏方へと根回しをしていた可能性を考慮すればあり得なくも無いのが難しい。
若他是埋伏靜子,那麼他就先於信長向靜子致賀,連帶聯想到史實中的背叛,令人不免動搖。
もし仮に静子を待ち伏せしていたとすると、彼は信長よりも先に静子へ新年の挨拶をしたこととなり、史実での裏切りも相まって動揺してしまった。
不過正因為靜子下了輿徒步,才會有人向她搭話,就算是老謀深算的光秀,也不會叫停她的輿來致意。
それでも静子が輿を降りて徒歩でいたため声を掛けられたのであり、流石の光秀とて輿を呼び止めてまで挨拶は出来ない。
她選擇徒步純屬一時興起,因此決定斷定這次遭遇並無人為安排。
彼女が徒歩を選んだのは気まぐれであり、この遭遇に作為は無かったと判断することにした。
「過去一年承蒙您協助改善我領內的流通,謹致衷心感謝。多虧如此,百姓得以不飢餓地迎接新年」
「旧年中は我が所領の流通改善にお力添えを賜り、心より感謝申し上げまする。お陰様で民たちも飢えることなく新年を迎えられております」
光秀的領地為丹波、丹後,其中丹波以食材寶庫著稱,且位於京城西北,被視為重要據點之地。
光秀の所領は丹波、丹後であり、中でも丹波は食材の宝庫として知られており、また都である京の北西に位置する重要な拠点と見做されている土地であった。
史實上此地在江戶時代也有被幕府重視的丹波亀山藩,光秀受命管理,可見信長對他的信賴程度。
史実では江戸時代でも幕府に重要視された丹波亀山藩があった土地であり、 その管理を任されている光秀は、信長からどれ程の信頼を寄せられているかが窺える。
而被命令對丹波、丹後地區整備提供技術支援的,正是靜子。
そして丹波、丹後地域の整備に対して技術支援を命じられたのが静子であった。
「不必這樣客氣。我也樂見丹波的名產流通到各地。」
「お気遣いは無用です。私としても丹波の名物が各地へと流れるのは望むところですので」
光秀素來對承擔自領流通的幹道不滿;他在京一帶能發揮實力,卻少有機會見識尾張的整備情況。
光秀は予(かね)てより自領の流通を一手に担う街道に不満があった。光秀は京一円に於いて真価を発揮する武将であるため、今まで尾張の整備具合を知る機会に恵まれなかった。
然而,隨著安土城及其城下町的整備,令他不得不驚愕。
しかし、安土城とその城下町が整備されるにつれて驚愕せざるを得なくなった。
面對豪雨也不致泥濘、即便滿載重物的運載隊通過也毫不動搖的鋪道路面,顛覆了他的常識。
豪雨を受けても泥濘化せず、重量物を山と積んだ荷駄が通ってもびくともしない舗装路の存在は彼の常識を覆した。
接著,接受光秀懇請的信長下令對靜子提供技術支援。
そして光秀の嘆願を受けた信長は、静子に対して技術支援を命じることとなる。
在既有的馬卡丹鋪面之外,亦併用最新的瀝青鋪面,流通的便利性顯著提升。
従来からのマカダム舗装に加えて、最新のアスファルトを用いた舗装も併用することにより格段に流通の利便性が増した。
看著那條鋪好的道路從京城逐漸延伸過來的光秀,不得不再次重新評價靜子。
その舗装路が京から徐々に伸びてくるのを眺める光秀は、静子に対する評価を更に見直さざるを得なくなる。
「東國征伐的後方支援,還有羽柴殿的有馬開發,以及某人在丹波的事務必定讓您繁忙,本年也請多多協助。」
「東国征伐の後方支援、更には羽柴殿の有馬開発に某(それがし)の丹波へとお忙しいとは思いますが、本年も何卒ご協力のほどお願い申し上げまする」
光秀這麼說完便向靜子深深鞠躬。能對仍為女子的靜子毫不猶豫行禮的武人少之又少。
そう言うと光秀は静子に対して深々と頭を下げた。未だに女人である静子に対して躊躇なく頭を下げられる武人は少ない。
靜子認為光秀是個理性的人,只要確定對己有利便能毫不猶豫壓抑自尊心。而同時她愈發困惑:如斯理性之人,史實上為何會背叛信長?
己に利があると判れば一切の迷いなく自尊心を抑制できる光秀は理性の人だと静子は思った。そして同時に何故ここまで理性が働く人物が、史実に於いて信長を裏切ったのか謎が深まる思いであった。
(嘛,我對男性的微妙心思並不了解,史實上他是否真的背叛也還是個謎……)
(まあ私に男性の機微は判らないし、史実でも本当に彼が裏切ったかは謎なんだよね……)
即便如此,靜子仍無法不祈願:「請不要背叛信長。」
それでも静子は『どうか信長を裏切らないで欲しい』と願わずには居られなかった。
與光秀的對話不到一小時,靜子仍承諾了不變的協助。
光秀との対話は一時間にも満たなかったが、静子は変わらぬ協力を約束した。
其背景在於她知道光秀打算除了現有領地外,還要支配但馬。
その背景には光秀が現在の領地に加えて、但馬をも支配しようと目論んでいることを知っているからだ。
無論是實力面上,還有不欣羨秀吉崛起者的推波助瀾,似乎他的但馬統治已成定局,因此靜子決定從一開始就參與但馬的開發。
実力的にも秀吉の台頭を面白く思わない面々の後押し的にも彼の但馬支配は確実と思われるため、静子は最初から但馬開発に一枚噛んでおくことにする。
這樣一來便能容易掌握但馬的詳細地圖與經濟狀況,並對領地運營擁有一定影響力。
こうしておけば但馬の詳細な地図や、経済状況を把握することも容易となるし、領地運営に対して一定の影響力を持つことが出来るためだ。
「這只是以防萬一的保險,但我祈願這保險永遠不用派上用場。」
「万が一に備えての保険なんだけど、これが活躍する日が来ないことを祈るよ」
靜子所準備的保險多如繁星,除了技術支援與土木工程等無形的保險外,還有目前由足滿主導、所有人皆可見的明顯保險措施。
静子が準備している保険は数多く、技術支援や土木工事などの見えない保険の他にも、今は足満主導で実施されている誰の目にも明らかな保険もある。
其中之一是終於建立起量產體制的無煙火藥。原本對粗獷事務不感興趣的靜子,曾天真地認為只要能自己供應黑色火藥便能稱霸天下。
その一つがようやく量産体制が整った無煙火薬であった。元々荒事に興味が無かった静子は、黒色火薬さえ自前で調達できるようになれば天下を取れると甘く見ていた。
但足滿直言那想法太過幼稚,黑色火藥因為不完全燃燒會產生殘渣,因此只能製造單發火槍。
しかし足満に言わせればその考えは甘いの一言に尽き、黒色火薬は不完全燃焼による燃えカスが出るため単発銃しか作ることが出来ないのだ。
即使是用於有膛線的新式槍的褐色火藥亦同理,要實現連發槍便必須開發無煙火藥。
これはライフリングが施された新式銃で使用されている褐色火薬にしても同じであり、連発銃を実現しようと思えば無煙火薬の開発は必須であった。
單發槍與連發槍最重要的差異,在於連發槍能推翻古典戰爭中論述兵力理論的「蘭徹斯特一次法則」。
単発銃と連発銃の最も大きな違いは、古典的戦争に於ける兵数の理論を説いた『ランチェスターの一次法則』を覆せるものという事だ。
連發槍的存在使得一名士兵能壓倒多數敵兵,帶來技術性的突破。
一人の兵が多数の兵を相手取って圧倒できる連発銃の存在は、技術的なブレイクスルーを齎すのだ。
而在開發無煙火藥時,作為核心物質的竟然是出乎意料的綿花。
そしてこの無煙火薬を開発するに当たって、核となる物質は意外なことに綿花であった。
一般稱為棉絮漿,是將包覆棉籽周圍的纖維(lint)加工後,利用硫酸與硝酸進行硝化,便成為火藥。
一般にリンターパルプと呼ばれ、綿の実の周囲にまとわりついている繊維(リント)を加工したものに硫酸及び硝酸を用いてニトロ化することで火薬となる。
與靜子會合的足滿,從早期便注意到靜子與德川家共同栽培棉花,特意雇人持續收集那些因纖維短而被丟棄的lint。
静子と合流した足満は、静子と徳川家との綿花共同栽培に早い時期から着目し、繊維が短いため捨てられていたリントを人を雇ってまで集め続けた。
隨著工業化進展,能大量使用硫酸與硝酸,那些努力終於開花結果,終於孕育出無煙火藥。
そうした努力は工業化が進んだことによって硫酸や硝酸を潤沢に使用できる状況を迎えて実を結び、遂に無煙火薬という花を咲かせた。
然而,無煙火藥並非沒有缺點。與穩定性高的黑色火藥相比,無煙火藥為不穩定物質,遇到強烈衝擊也會爆炸。
しかし、この無煙火薬についても欠点が無いわけではない。安定性の高い黒色火薬に比べて、この無煙火薬は不安定な物質であり強い衝撃を受けても爆発してしまう。
極端而言,只要薄薄灑上一層無煙火藥粉末,再用金屬鎚狠狠敲擊便會爆炸。
極端な話、薄く無煙火薬の粉末を撒いて金属のハンマーで思いっきりぶっ叩くだけで爆発するのだ。
於是曾在現代學習製法的足滿,透過加入乙醇與二乙醚揉合無煙火藥,製造出較為穩定的「B火藥」。
そこで現代で製法を学んでいた足満は、無煙火薬にエタノールとジエチルエーテルを加えて練ることで安定した『B火薬』を製造するに至った。
但由於乙醇與二乙醚具有揮發性,長期保存後仍會再次變得不穩定。
それでもエタノール及びジエチルエーテルに揮発性があるため、長期間保存しておくと再び不安定となる欠点を抱えている。
對於能解決此問題的「科爾代特火藥」的製法亦有所知,但因無法取得作為核心的凡士林,故現階段無法推行。
これを解決出来る『コルダイト火薬』についても製法は知っているのだが、核となるワセリンを入手する術がないため諦めているのが現状だ。
換言之,這意味著構築防衛據點後的固守防禦會變得極具優勢。
つまりこれが何を意味するかと言えば、防衛拠点を構築しての籠城が飛躍的に優位になるという事を意味する。
假如要攻下配備了類似馬克西姆機槍等級連發槍的城池,即便集結相當於防守方十倍的兵力也會非常困難。
仮にマキシム機関銃レベルの連発銃を配備した城を攻め落とすには、防衛側の十倍に達する兵力を集めたところで難しいという状況になるのだ。
萬一發生本能寺之變,若有數百名準備充足彈藥的士兵,也能將數萬敵軍阻擋數日之久。
万が一本能寺の変が起こったとしても、充分な弾薬を準備した数百人程度の兵士であっても、万に達する敵兵を数日程度食い止めることが出来るのだ。
「會從根本顛覆戰爭常識、成為類似『鐵砲傳來』再來的連發槍……希望能不必使用它。」
「いくさの常識を根底から覆す、『鉄砲伝来』の再来となる連発銃……使わないで済ませて欲しいよ」
靜子已被足滿展示達到實用等級的左輪手槍以及連發式步槍。
静子は足満から既に実用レベルに達したリボルバー拳銃及び、連発式のライフル銃を見せられている。
靜子既非善戰之人,個人戰力亦低。雖在指揮上略有可取之處,但一旦無法靠突襲取勝的泥戰便會露出短處。
静子はいくさ上手でも無ければ、本人の戦闘能力も低い。指揮に於いては多少見るものがあるが、初見殺しを封じられた泥仕合となれば底が露呈する。
越是長期侍奉靜子的重臣越了解她的本性,反而會懇求她不要上戰場。
長く静子に仕えている重臣であればあるほど、彼女の本性を知っているため、いくさ場には立たないで欲しいと懇願される始末だ。
雖然她對此多少感到遺憾,但認為即使不上戰線也能透過內政減少戰爭犧牲,因此投身於內政。
それについて口惜しいと思わなくも無いが、前線に出なくとも戦争で命を落とす犠牲者を減らすことが出来ると内政に力を入れることにしている。
自從遇見信長以來,靜子的方針始終如一。
静子の方針は信長と出会って以来一貫して同じだ。
首先透過充分供給食糧來創造餘裕,對男女老幼一視同仁地施以教育,然後將其送往適合發揮之處。
まずは食料を充分に供給することで余裕を生み、老若男女を問わず教育を施しては相応しい活躍の場へと送り出す。
她在戰國時代持續實踐明治政府所提出的國家口號「富國強兵」。
明治政府が掲げた国家スローガンである『富国強兵』を戦国時代で実践し続けているのだ。
多年來反覆如此,最終變成了類似巨大人才派遣公司的形態。
長年に亘ってこれを繰り返した結果、いつしか巨大な人材派遣業者のような形態を取るようになった。
農林水產業更不必說,就連建築土木業和商工業也無一不受靜子的薰陶,已經沒有哪個行業沒有人受過她影響。
農林水産業は言うに及ばず、建築土木業や商工業に至るまで静子の薫陶を受けた者がいない業界など存在しない状態になっている。
不只織田家統治下的地區,甚至有人說在日之本的任何地方都能感受到靜子的影響力。
織田家の支配下の地域は言うに及ばず、日ノ本の何処であっても静子の影響力が存在するとまで言われるようになった。
光聽到這些,人們難免會猜測靜子是否獨占巨額財富。
これだけを耳にすれば、静子はさぞや巨万の富を独占しているのだろうと邪推するものだ。
然而,實際上她個人能動用的資產並沒有那麼多。
しかし、実際に彼女が個人的に動かせる資産はそれほど多いわけではない。
當然在織田家內除了信長之外她無疑位列一、二名,但即便如此,若想到她經營的事業規模,就能理解數量其實相當有限。
当然織田家内でも信長を除けば一位、二位となることは疑いようもないが、それでも彼女が手掛ける事業規模を思えば随分と少ないことが理解できる。
這是因為靜子將自己所得利益的一半以上拿去回饋社會並再投資。
これに関しては、静子が己の得た利益の半分以上を社会に対して還元するべく再投資しているからに他ならない。
她認為不應只有自己富裕,整個社會共同富足才是最好,所以根本沒有發財私囊的想法。
彼女としては己一人が富むのではなく、社会全体が豊かになってくれるのが一番と考えているため、私腹を肥やすという発想が無いのだ。
「縱然說是奢侈,但能吃到美味的飯、早晨能泡溫泉的環境就足夠了呢」
「贅沢と言っても美味しいご飯が食べられて、朝から温泉に入れる環境で充分だよねえ」
連歪頭思考也想不到自己過着豪奢日子的模樣。
首を傾げて悩んでみても、自分が贅沢三昧をしている姿は想像できない。
身為從事第一產業的人,糟蹋食物是絕對不可能的,而且對現狀已經十分滿足。
一次産業に携わる身として、食べ物を粗末に扱うことなど論外であるし、現状で十分満足できている。
因為投資各種產業,連服飾等最先端的東西都容易取得。
様々な産業に出資しているため、服飾なども最先端の物が容易に手に入る。
花最多錢的嗜好是受朝廷委派的藝能保護,然而這甚至被事業化並開始帶來利潤。
一番金を使う趣味が朝廷から命じられている芸事保護だが、これすらも事業化してしまったがため利益が出ている有様だ。
「對了!自己用不完的話,就投資有前途的年輕人吧!」
「そうだ! 自分が使えないなら、未来ある若者に投資したら良いんだ」
靜子突然拍了拍手,決定實行她想到的妙策。
唐突にポンと手を打った静子は思いついた妙案を実行することにした。
因正值新年期間,靜子將四六與器召到自己的房中。
正月中ということもあり、静子は四六と器を自室に呼び出す。
兩人一起被召見並不常有,四六與器對望一眼後仍與靜子對面而坐。
二人揃って呼び出されることなど滅多にあることではないため、四六と器は互いに顔を見合わせつつも静子と相対する。
「我想該讓你們兩個開始學習如何使用金錢了。」
「二人にはそろそろお金の使い方を学んで貰おうと思うの」
聽了靜子的話兩人都歪頭。即便說是學習用錢,他們平時也在打理零用錢過生活。
静子の言葉に二人とも首を傾げる。お金の使い方と言われても、彼らは日常的に小遣いをやり繰りして生活している。
他們其實可以不用花太多錢也能過活,但為了在固定預算內取得想要的東西,每月都有固定金額由靜子給予。
別に金を使わずとも生活できるのだが、決まった予算内で欲しい物を都合するため、毎月決まった額を静子から与えられていた。
換言之,兩人都理解金錢的存在及如何運用這有限的資源。
つまりは二人ともお金の存在及び、その限りある資源をどのように使うかは理解している。
他們不禁想,還有什麼比這更需要學的呢。
これ以上に学ぶことなどあるのだろうかと思ったのだ。
「錢啊,當聚集到一定程度就會變得有力量。所以我要讓你們學著處理稍大一點的金額。」
「お金はね、一定以上集まると力を持つようになるの。そこで二人には少し大きいお金を扱う事を学んで貰います」
「……原來如此。個人裁量使用的金額和領主身份下使用的金額,真的是位數不同呢。」
「……なるほど。個人の裁量で使用する金額と、領主の立場で使用する金額では文字通り桁が違うのですね」
「我從來沒有想過要錢……」
「私は、お金が欲しいと思ったことがありません……」
對於積極思考的四六,器則顯得畏縮,形成鮮明對比。於是靜子如此勸誡。
前向きに考える四六に対して、尻込みをする器と対照的な反応が返ってきた。そこで静子はこう諭す。
「不用想得太複雜。首先要有經驗,無論失敗或成功,不踏出一步就無從開始。」
「難しく考えなくても良いのよ。まずは経験することが大切。失敗も成功も踏み出さないと始まらない」
靜子一邊溫柔地把手放在兩人的肩上,繼續說道。
二人の肩に優しく手を置きながら静子は言葉を続ける。
「要經歷成功也要經歷失敗。那些經驗會成為你們的養分。」
「成功も失敗も経験しなさい。その経験が貴方たちの糧となりましょう」
「是的」
「はい」
「用被給予的預算去探索你自己賺錢的方法。你們應該能真正理解金錢的價值與可貴。」
「与えられた予算を使って、自分がお金を得る方法を模索してみなさい。真にお金の価値とありがたみを理解できるはずです」
對於兩人的回應,靜子滿意地微笑了。
二人の返事に静子は満足げに微笑んだ。
新年氣氛過了松之內就會回歸平常。
正月気分も松の内が過ぎれば平常へと回帰する。
儘管還受積雪影響而有停滯,但東國征伐重啟的準備正穩步進行。
未だ積雪の影響があって停滞しているものの、東国征伐の再開に向けて着々と準備が進められていた。
不知是不是視為開年契機,到了⼀月中旬,東國各地的國人便陸續向靜子送來文書。
年が明けたことを契機と見たのか、一月中旬に差し掛かると東国各地の国人から文が静子の許へと続々と届き始める。
幾乎全部內容都是為了向信長表示效忠,請求靜子居中斡旋。
そのほぼ全てが信長へ恭順を示すため、仲介をして欲しいと言った内容であった。
「充滿了保身的味道呢」
「保身の匂いがプンプンするよね」
他們大概是認定既然織田家的勢力已延伸到北條本據小田原城周邊,卻無法有力反擊,就該認清形勢了。
北条が本拠地である小田原城周辺にまで織田家の手が伸びているのに、反撃らしい反撃を出来ずにいることに対して見切りをつけたのだろう。
靜子的推測實際上是正確的,寄信者無論主君是北條或織田,只要能保住領地就沒問題。
実際に静子の推測は正しく、文を送っている者は己の仕える主君が北条であれ織田であれ、己の領土が安堵されれば問題ないのだ。
其中也有為了報答北條家的恩德而示忠心者,但那只是少數。
中には北条家から受けた恩を返さんと忠誠を示す者もいたが、それは少数派にとどまっている。
「聽說里見家傾向於投降路線,不過佐竹的一部分似乎在反抗呢。」
「里見家は降伏路線に傾いたらしいけど、佐竹の一部は反発しているようだね」
靜子預測,不久之後會和對陣里見與佐竹的才蔵軍交鋒。
近いうちに里見と佐竹に相対している才蔵軍とぶつかるだろうと静子は予測していた。
當然,親身感受前線氣息的才蔵也有同樣的預測。
当然、前線の空気を肌で感じている才蔵も同じ予想をしている。
監視里見・佐竹兩家動向過年後,才蔵認為自己的任務大概不會再拖太久就結束。
里見・佐竹両家の動向を監視しつつ年を越した才蔵は、己の役目がそう遠くない内に終わるだろうと見ていた。
兩家的疲弊顯著,再繼續戰事已看不出有足夠的士氣與物資可支撐。
両家の疲弊は著しく、これ以上いくさを継続する士気も物資も無いのが透けて見える。
對於始終不出援軍的北條心生不滿,並疑神疑鬼地懷疑彼此是否在暗中向織田家探詢和議。
一向に援軍を出してこない北条に不満を抱き、互いに織田家に対して和睦を打診していないかと疑心暗鬼になっていた。
在極度混亂與疲憊之中,仍繼續反抗織田家是否還能獲得什麼,這讓人產生迷惘。
混乱と疲弊の極みにあって、それでも尚織田家に反抗し続けることで得るものがあるのだろうかと言う迷いが生じている。
「兩家若有任何藉口,恐怕會立刻歸附織田。那是北條的敗北,或是……」
「両家ともに何か口実があれば、すぐにでも織田家に下ることだろう。それが北条の敗北か、それとも……」
才蔵的判斷是兩家其實都想趕快投降,但因無能為力就投降這點令他不悅。
才蔵の見立てでは両家ともさっさと降伏したいのだが、何も出来ずに降伏するというのが気に障る。
因此他預測他們會先報以一箭以守住矜持,然後在那之後投降。
故に一矢報いて矜持を守り、その上で降伏するという筋書にしたいのだと予測していた。
「關於佐竹,聽說真壁(まかべ)氏正強硬主張抗戰。」
「佐竹については、真壁(まかべ)氏が強硬に抗戦を訴えているそうだな」
「是的。他好像多次向變得軟弱的佐竹氏抗議,稱不戰而認輸是武家所不應有的行為。」
「はい。弱腰になっている佐竹氏に対して何度も抗議しているようです。戦わずに負けを認めるなど、武家にあるまじき行いだと」
在才蔵的確認下,部下回答道。所謂真壁是指真壁氏幹(うじもと)。他早年便仕於佐竹,與北條為敵時曾擔任最前線。
才蔵の確認に対して、部下が答えた。真壁とは真壁氏幹(うじもと)の事を言う。彼は早くから佐竹氏に仕え、北条と敵対した際には最前線を務めた人物である。
他有『鬼真壁』之異名,為了體現鬼的名號而揮舞長達二公尺的櫸木棒,令人畏懼。
彼は鬼真壁との異名を持ち、鬼の異名を象徴すべく長さ二メートルにも及ぶ樫木棒を振り回すことで恐れられていた。
他以傑出的武勇參與了佐竹氏大多數的戰事,但並非忠臣的典型。
突出した武勇を以て佐竹氏が手掛けたいくさの殆どに参加していたが、忠臣という訳でもない。
只要有利於自身或真壁一族,他甚至不惜與為主家的佐竹氏對立。
自身や真壁一族の利となるのであれば、主家たる佐竹氏と対峙することすら辞さない姿勢を持っていた。
「對真壁的牽制可能快要失效了。他或許會等不及,單獨向我方發起攻擊。」
「そろそろ真壁に対する抑えが利かなくなっているのだろう。しびれを切らせて単独でこちらに仕掛けてくるやも知れぬ」
「就算是了不起的真壁,也難以在這樣的積雪中發動攻勢。他大概正數著手指盼望雪融吧。」
「流石の真壁とて、この積雪の中攻め寄せるすべはありますまい。雪解けを指折り数えて待っていることでしょう」
「不,先入為主很危險。應假設敵人會從既有觀念之外來突襲並加以備戰。警戒心不可放鬆。」
「いや、思い込みは危険だ。敵は常に固定観念の外から急襲してくると考えて備えよ。警戒心は解くべきではない」
「是,遵命。」
「はっ、承知しました」
才蔵諫責那位顯出驕傲之色的部下。
慢心が見えた部下に対して才蔵が諫める。
「話說回來真冷。這寒冷到關鍵時刻身體會動彈不得,平日就要做好充分的防寒對策。」
「それにしても寒い。この寒さではいざという時に体が動かぬ。常日頃より寒さ対策は十分に行うように」
「目前為止,尚未有特別的不滿。」
「現在のところ、特に不満は出ておりません」
「靜子大人也下令要嚴格做好防寒措施。不遵命而敗陣,將無顏見人啊。」
「静子様からも寒さ対策を厳にするようにとご指示があった。言いつけを守らずに負けたとあっては顔向けできぬからな」
「明白。我們不只注意直接的寒冷,連防疫也已做到萬全。」
「承知しております。直接的な寒さだけでなく、防疫についても万全を期しております」
在織田軍中,靜子軍的防寒措施甚至做到每名士卒皆有配備。當然將官與士卒有所不同,但基本理念相同。
織田軍の中でも静子軍は、防寒対策が一兵卒に至るまで行われている。無論、将官と兵卒では異なるが、基本理念は一緒だ。
腳下穿著經過防水處理的軍靴並填塞棉絮,盔甲下的內衣與腳絆(きゃはん)等也以厚實布料製作。
足元は防水処理の施された軍靴に、綿の詰め物。鎧の下に着こむ下着や脚絆(きゃはん)なども厚手の生地で作られている。
此外,若是武將還會配發以酒精為燃料的白金懷爐。
更には武将ともなればアルコール燃料の白金懐炉までが貸与される。
並備有類似風衣的防水外套,可覆穿於甲冑之外以備雨天。
また雨天に備えてトレンチコートのように甲冑の上からでも着こめる防水布による外套が配備されていた。
「那就好。」
「それで良い」
聽到家臣的話,才蔵露出笑容。
家臣の言葉に才蔵は笑みを浮かべた。