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戦国小町苦労譚

一五七七年十一月下旬

織田信長下令的東國侵攻已進入最後階段。信忠突襲里見已快兩個月,但作為北條要塞的小田原城仍然健在。

信長が命じた東国侵攻は大詰めを迎えていた。信忠が里見を急襲してから二か月が経とうとしているが、北条の牙城である小田原城は健在であった。

就織田一方的戰果而言,已攻下位於小田原城周邊的大多數支城,穩步削弱北條的力量。然而,環境此刻倒向了北條。

織田側の成果としては小田原城周辺に位置する大半の支城を落とし、着実に北条の力を削いでいる。しかし、ここへきて環境が北条に味方した。

比往年更早到來的冬天帶來更嚴寒,已開始影響軍事行動。尤其在雨具未發達的戰國時代,寒冷的雨天足以奪去人命。

例年よりも早い冬の到来により寒さが厳しくなり、軍事行動に支障が出始めているのだ。特に雨具が未発達の戦国時代に於いて、厳寒の雨天は人命を容易に奪い得る。

信忠召集旗下諸將開軍議,並且透過電話與信長及靜子商議後,決定暫緩積極攻勢。

信忠は配下の諸将を集めて軍議を開き、また電話を通じて信長及び静子と相談をした上で積極的な攻勢を控えることを決定した。

但並非無所事事,而是對已奪下的支城進行重整,並改編軍隊以強化各地間的連繫。

しかし無為に時を過ごすという訳ではなく、落とした支城の再整備及び連携が取れるよう軍の再編成をも行っている。

這種情況在西國也發生了。雖然早早取得鳥取城,但一旦真正的冬天來臨並開始降雪,連軍需物資的運入都會變得困難。

そしてこの状況は西国でも発生していた。早期に鳥取城こそ入手できたものの、本格的な冬の到来と共に降雪が始まれば軍需物資の搬入すら難しくなる。

在織田領內有鋪設良好的街道,少許積雪並不會讓物流停擺;然而在屬於毛利勢力的西國,遇上深雪連街道都會被埋沒不見。

織田領ならば舗装された街道があるため、少々の積雪ぐらいでは物流が滞ったりはしない。しかし、毛利の勢力下である西国では深雪ともなれば街道すら見失うのだ。

因此秀吉軍對所切割的領地進行從神戶港延伸的補給線街道整備與標識設置,準備在積雪下也不致中斷物資供應。

そこで秀吉軍は切り取った領土について、神戸港から連なる補給線となる街道の整備及び標識の敷設を行い、積雪下でも物資の供給が途絶えないよう準備をしている。

話雖如此,也不可能把稀有的建設重機運到前線,而是鋪設碎石並以碾壓(指將地面加壓夯實)強化街道。

とは言え最前線に虎の子の建設用重機を運んで来るわけにもゆかず、砕石を敷き詰め転圧(地面に圧力を掛けて押し固めること)して街道を補強していた。

藉由這些準備,雖無法進行大軍壓境的行動,但可構築起以物流連結各據點的互助防禦態勢。

こうした準備により大軍を率いた軍事行動こそ不可能だが、各拠点間を物流で結ぶ相互連携の取れた防御態勢が構築されつつある。

另一方面,織田領內街道與宿場町的整備充足,冬季也不會大幅削弱人員與物資的流動性。

一方、織田領では街道や宿場町の整備が充実しているため、冬であろうとも人や物の流動性は大きく損なわれない。

鋪設良好的街道即便連續下了好幾天雨也不會受影響。且維修有定期進行,處處不會積水。

しっかりと舗装された街道は、少々長雨が続こうがビクともしない。整備後も定期的にメンテナンスが行われるため、随所に雨水が溜まるようなことも無い。

即便如此,寒冷確實減少了人們的流動性,比起春秋出行人數少,但與其他領地相比仍有明顯差異。

それでも寒さは確実に人々の流動性を減らし、春や秋と比べれば人出が少ないものの、他領とは一線を画す状況となっていた。

人動則物與金亦流動,商業活動被刺激,熱食銷售亦佳。特別是居酒屋出品的熱燗頗受好評。

人が動けば当然ながら物や金も動く。商業活動が刺激され、やはり温かい食べ物が良く売れた。特に居酒屋で出されている熱燗(あつかん)が好評を博している。

熱燗主要是清酒,但濁酒也能燗著喝;不過因為含有醪(もろみ),會有較重的風味。

熱燗はもっぱら清酒が飲まれているのだが、濁り酒の燗も可能ではあった。しかし、醪(もろみ)があるため癖が強く出てしまう。

口感黏稠的濁酒中有能經得起燗的,但大多數濁酒實情上是以冷酒方式飲用。

トロリとした飲み口の濁り酒ならば燗にたえる物もあるのだが、大半の濁り酒は冷酒で飲まれているのが実情だった。

提供溫熱湯物或鍋物的店家排起長隊,即便不賣酒的蕎麥或拉麵店也顧客盈門。

また酒と合わせて温かい汁物や鍋物を提供する店には人々が行列をなし、酒を出さないながらも蕎麦やラーメン屋が活況となっている。

這股潮流在靜子宅邸內也一樣。

そしてそうした傾向は静子邸でも同様であった。

「冷天就只要湯物!」

「寒い日は汁物に限る!」

長可一邊品嚐豚汁一邊說話。他吸一口豚汁,隨即扒下一大口飯。即便被畏懼稱為鬼武藏的長可,吃飯時也展現與年齡相符的表情。

長可が豚汁に舌鼓を打ちながら話す。豚汁を一口吸い、すかさず山盛りの飯を掻きこむ。鬼武蔵と畏怖される長可も、飯時は年相応の顔つきとなっていた。

「若有熱燗就完美了啊」

「これで熱燗があれば言うことはないんだがな」

「喔!白天就要喝一杯嗎?這話沒法放過啊」

「おっ! 真昼間から一杯やろうってのか? 聞き捨てならねえな」

慶次聽了長可的話也附和。然而因為重要的酒沒上桌,兩人只好嘆氣。

長可の言葉に慶次が乗っかる。しかし、肝心の酒が供されないため、二人してため息をついた。

「靜醬說不行,飯時也只好作罷了吧」

「静っちが駄目と言ったからには、飯時は諦めるしかないか」

「伊達家的小子已經元服了吧?結果靜子一問年齡就立刻禁止喝酒啊……」

「伊達家の坊(ぼん)は元服してるんだろう? なのに静子は歳を聞くや即飲酒を禁じたんだよな……」

「即使元服了,她也說要等身體長到一定程度才讓他喝」

「元服していても、体がある程度成長しきるまでは飲ませないって言っていたな」

靜子有交代,元服後數年應限制飲酒。於戰國時代,雖說元服即被視為成人,但多數情況下那年齡偏低。

静子は飲酒に関して元服後数年は控えるようにと申し渡していた。戦国時代に於いて、元服を済ませれば即ち一人前の扱いとなるが、その年齢は低いことが多い。

通常在虛歲十二到十六歲之間舉行,靜子認為元服後立刻飲酒對年輕人的腦與身體會有不良影響。

数え年で十二から十六歳の間に行われることが多く、元服直後の若者が飲酒をすれば脳や体に悪影響があると静子は考えていた。

因此靜子對受庇護者訂下飲酒限制;不過只是餐時不提供酒,若想喝仍有無數彎路可走。

故に静子は己の庇護下にある者に対し、飲酒について制限を設けることにしている。しかし、食事に酒が提供されないだけであり、飲もうと思えば抜け道は無数にあった。

「對孩子來說酒看起來是大人的特權。無論靜醬如何反對,總有很多人不會聽從這點」

「子供にとって酒は大人の特権と映るからな。幾ら静っちが止めても、コレばっかりは聞き入れない奴も多い」

「正因為被禁止,才更想嘗試,這就是人情。反正也沒什麼嚴重的懲罰」

「むしろ止められるからこそ、やりたくなるのが人情だろうよ。まあ、キツイ罰則があるわけでもないからな」

既然成了大人的一員,就想做小時候無法做的事。對於這年紀的人來說,飲酒是個容易嘗試的行為。

大人の仲間入りをしたからには、子供の頃出来なかったことをしてみたい。そういう年頃の者にとって、飲酒は手ごろな行為であった。

守護的成年人也因曾經經歷過那樣,對元服不久的頑童的惡作劇多半睜一隻眼閉一隻眼;當然,過分了就會挨打。

見守る大人たちも、かつて自分たちがそうであったからこそ元服したての悪ガキのやんちゃを黙認していた。勿論、度が過ぎれば鉄拳制裁が待っている。

「好!我打賭伊達家的小子會喝酒」

「よし! 俺は伊達家の坊が酒を飲むに賭けよう」

「喂喂,這算不上賭。我也押那邊」

「おいおい、賭けにならんぞ。俺だってそっちに賭ける」

兩人在笑鬧間吃完飯,拿著下酒菜一邊取出酒瓶。

談笑しながらも長可と慶次は食事を終え、二人はツマミを片手に酒瓶を取り出した。

他們想出一計:被靜子禁酒的藤次郎,要堂堂正正喝酒,需要個藉口。

彼らは一計を案じていた。静子から禁酒を告げられている藤次郎が、堂々と酒を飲むには口実が必要となる。

並非什麼誇張的藉口,只要是長可等人邀請的場合,若不喝反而失禮。

それほど大げさなものではなく、長可らが誘った形であれば飲まないというのも失礼にあたる。

於是長可與慶次故意把通往廊下的襖敞開,選了個適當的房間開始喝酒作樂。

こうして長可と慶次はワザと廊下へと続く襖を開け放ったまま、適当な部屋で酒盛りを始めた。

「聽到些歡快的說話聲,原來是森大人和前田大人啊」

「何やら楽し気な話し声がすると思えば森殿と前田殿でしたか」

不久路過的藤次郎被逮到。兩人對視示意,舉起杯子邀請他。

間もなくして通りかかった藤次郎が釣れた。二人は視線を合わせて示し合わせ、盃を掲げながら誘う。

「以染山際的雪作為下酒菜,來一杯如何?」

「山の端(は)を染める雪をサカナに一献(いっこん)いかがかな?」

慶次拋出誘導之言,藤次郎一度表示推辭。但接著長可遞上酒盃,藤次郎便接了過去。

慶次が誘い水を向けると、藤次郎が一度は遠慮してみせる。しかし、続けて長可が盃を差し向けると藤次郎はそれを受け取った。

「靜子大人已經下令禁酒,然如此盛情邀請反而不好意思拒絕。就讓我陪飲一杯吧。」

「静子様より禁酒を言い渡されておりますが、然(さ)りとてこうまでお誘い頂いて断るのも無粋。ご相伴に与(あずか)りまする」

「不必那麼拘謹。靜子只是擔心罷了,並非想要責備你。」

「そう肩肘を張らずとも良い。それに静っちは心配しているだけで、咎めようとしている訳ではないからな」

「是這樣嗎。那麼為了不讓靜子大人操心,就只喝一點……」

「然様ですか。ならば静子様にご心配を掛けぬよう、少しだけ……」

說著與言語相反,他興高采烈地加入了圍坐,長可斟的酒他道了謝後一口飲盡。

言葉とは裏腹にうきうきした様子で車座に加わり、長可が盃に注いだ酒を礼を言って受け取ると一息に飲みほした。

不符合年紀的豪飲讓兩人理解藤次郎相當能喝。然而,他們忽略了一個重要問題。

年に似合わぬ飲みっぷりに、二人は藤次郎が相当な飲兵衛であると理解する。しかし、二人は重要な問題を見落としていた。

靜子曾限制未達一定年齡者的飲酒,尤其對藤次郎是點名下達禁酒令的。

静子は一定年齢に達するまでの飲酒を制限したが、特に藤次郎に関しては名指しで禁酒を言い渡していたのだ。

因為身為歷史迷的靜子知道伊達政宗酒性極差、易怒衝動,曾多次惹出問題,所以如此行事。

これは歴女である静子が伊達政宗は酒癖が大層悪く、頭に血が上り易い性分であったため幾度も問題を起こしたことを知っていたためである。

兩人要親眼見到那個事實,還得等一會兒。

二人がその事実を目の当たりにするのは、もう少し後になる。

靜子的憂慮應驗了,不出所料藤次郎在酒席上出醜了。

静子の危惧は的中し、案の定藤次郎は酒の席で失態を演じた。

史實上他自知酒性,但在逝世前兩年仍因酒出過紕漏。

史実でも自身の酒癖を自覚していながら、亡くなる二年前になっても酒で失敗している。

即便如此他未被處死,是因為德川秀忠與家光對他極為信任,且有於戰國時代存活下來的實績,才得以勉強被寬恕。

それでも彼が死を賜らなかったのは、徳川秀忠や家光から絶大な信頼を寄せられており、戦国時代を生き抜いた実績が有ったからこそ辛うじて許されていた。

反觀現今的藤次郎只是單純人質,若在酒席上出錯即會成大問題。

翻って今の藤次郎は単なる人質であり、酒の席でとは言え失敗したとなれば大問題となる。

「所以,兩人在酒席上大打出手了?」

「それで、二人は酒の席で殴り合いの喧嘩をしたと」

聽完所有報告的靜子感到目瞪口呆。面對靜子帶著驚怒的聲音,當事人長可、慶次、藤次郎與四六齊齊低頭。

全ての報告を聞いた静子は呆れてしまった。そんな静子の呆れ混じりの声に、当事者である長可、慶次、藤次郎と四六は揃って頭を下げた。

「非常抱歉。」

「申し訳ございません」

藤次郎在道歉之餘把額頭貼向地面。守在他身後的片倉小十郎臉色已從青轉得蒼白。

藤次郎は謝罪の言葉と共に額を床に擦りつけた。藤次郎の背後に控えている片倉小十郎は、顔色が青を通り越して白くなっている。

從藤次郎之後加入酒宴、後來捲入打鬥的四六也垂下臉,臉上還留著青瘀傷。

藤次郎の後から酒盛りに加わり、その後に喧嘩をすることになった四六も青痣(あおあざ)が残る顔を伏せていた。

大概他們不知道藤次郎的酒癖會糟到這種程度。在伊達家時並不常酗酒,也缺少飲酒的機會。

恐らく彼らは藤次郎の酒癖がここまで悪いとは知らなかったのだろう。伊達家に居た頃はここまで深酒をすることもなく、また飲酒をする機会も少なかった。

即便如此,若主家的繼承人與人質大打出手、雙方受傷,事無簡單了事。

それでも主家の跡取りと人質が殴り合いをし、双方が怪我をする事態となればタダでは済まされない。

「確認一下,僅僅是互相扭打而已吧?」

「確認しますが、殴り合いをしただけですね?」

「是的,變成扭打起來,但在藤次郎倒下時就停手了。」

「ああ。取っ組み合いの喧嘩になってはいたが、藤次郎が倒れた時点で止めたぞ」

「如果勝蔵君和慶次先生也看到了,請你們應該早點制止……」

「勝蔵君も慶次さんも見ていたのなら、もっと前に止めて下さい……」

面對不由得一臉嚴肅的靜子,長可與慶次露出歉意。很容易想像他們把喧鬧當作下酒話題,還起鬨助長事態。

思わず渋面になる静子に対し、申し訳なさそうにする長可と慶次。恐らくは喧嘩すらも酒のサカナとして、二人が囃(はや)し立てたのは容易に想像がついた。

(向來會避免與人衝突的四六竟然堅持己見大打出手……)

(他人と衝突するのを避けようとする四六が、我を曲げずに殴り合うなんて……)

打鬥的經過是這樣:藤次郎加入酒席飲酒時,四六路過。這些發現新獵物的酒徒們立刻邀他進來一起喝。

喧嘩の経緯はこうだ。藤次郎が酒の席に加わり飲んでいると、四六が通りかかった。新たな生贄を見つけた飲兵衛どもは、早速彼を誘って引き込んだ。

四人邊談笑邊喝,酒意上來後便不再拘謹,人人都說出想說的話。

四人で談笑しながら飲み交わしているうちに酔いが回ると、言動に遠慮が無くなり皆が言いたいことを言い合う。

在那之中只有四六節制酒量,保持清醒,並對痛飲的藤次郎提出諫言。

そんな中でも四六だけは酒量を控え、素面を保ちつつも痛飲している藤次郎に苦言を呈した。

事已至此已無從確定起因,卻在你來我往中瞬間變成口角。大人們在一旁為爭吵的兩人起鬨。

もはや何が発端だったか定かではないのだが、売り言葉に買い言葉であっという間に口喧嘩となったのだ。口論する二人を囃し立てる大人たち。

「別說不識體統的話!要成熟一點,藤次郎!」

「聞き分けの無いことを言うな! もっと大人になれ、藤次郎!」

「所謂四六大人的成熟,不就是容易放棄的孩子嗎!我才不認為四六是何等大人!」

「四六殿の言う大人とは諦めの早い子供でしょう! 私は四六殿が大人などとは思えませぬ!」

「你說什麼!」

「なんだと!」

憤怒的四六竟先動手,藤次郎回擊,變成扭打成一團。儘管如此,長可與慶次仍在一旁大笑觀看。

激昂した四六が何と先に手を出していた。これを受けて藤次郎も殴り返し、取っ組み合いの喧嘩となった。それでも尚、長可と慶次はげらげら笑いながら見ていた。

四六與藤次郎互相扭打,衝破襖子,將桌上物品掃落,展開一場大混戰。

四六と藤次郎は互いにもみ合いながら襖を破り、机の上にあるものを薙ぎ倒しての大喧嘩を繰り広げる。

或許是年齡差,也或許是四六的一拳擊中要害,藤次郎倒地後,那兩名醉漢終於停手了。

それでも年齢差からか、四六が放った拳が急所に当たったのか、藤次郎が卒倒するとようやく酔漢二人も止めに入ったという事だ。

「嗯,既是赤手空拳的打架就算了。不過,鬧事雙方都要負責。壞掉的襖與家具的收拾、房間的打掃由四六與藤次郎去做。」

「まあ素手での喧嘩なら良いとしましょう。ただし、喧嘩両成敗です。壊した襖や調度の片付け、部屋の掃除は四六と藤次郎君でなさい」

「喔、就不追究嗎?」

「お、お咎めなしかい?」

「畢竟是男人之間,打架多少會有吧?要是變成刀傷之類的事就會處罰,但這種程度只好好提醒一下罷了。」

「男同士なんだから喧嘩ぐらいするでしょう? 刃傷沙汰になっていたのなら罰も与えたけれど、この位なら注意程度にとどめるよ」

靜子宣稱不會懲罰,小十郎臉色如死人般,細長而深地吐了一口氣。

懲罰は無いという静子の宣言に、死人の顔色となっていた小十郎が細く深く息を吐いた。

「不過既然知道酒癖不好,就再次宣告藤次郎禁酒。下次如果喝醉鬧事就會受罰,明白嗎?」

「とは言え、酒癖が悪いと知れたわけですから藤次郎君は改めて禁酒を言い渡します。次に酔って暴れたら罰がありますからね?」

靜子這麼說了一番釘清後結束談話,讓除四六外的三人退下。

そう言って釘を刺すと静子は話を打ち切り、四六を除いた三人を下がらせた。

「說起來,我真的很驚訝是四六先出手的。」

「それにしても四六が先に手を出したというのには驚きました」

「對不起,母上。血氣上頭,一回神就動手了。」

「すみません、母上。頭に血が上り、気が付いたら手が出ておりました」

四六露出滿是懊悔的表情。靜子稍感好奇,便想探究原因。

後悔しきりと言った表情を浮かべる四六。少し気になった静子は理由を掘り下げてみることにした。

「你心目中的大人形象,和藤次郎心中的大人形象不一樣嗎?」

「四六が思う大人像と、藤次郎君が思う大人像は違ったの?」

「是的……我認為成人應該抑制自我,重視與眾人的和諧與秩序。」

「はい……私は大人ならば我(が)を殺し、皆との調和や秩序を重んじるべきだと考えておりました」

「你用過去式說話,是不是已經悟到不一樣了?」

「過去形で言っているってことは違うと悟ったのね?」

「是的。雖與藤次郎互相扭打,但他還責罵我說我是個輕易就屈從於自己想做事的膽小鬼,我當場竟無話可回……」

「はい。藤次郎と殴り合いながらも言い合い、私が自分のしたいことを簡単に曲げる臆病者だと詰られて言い返せませんでした……」

「沒錯,和諧固然重要,但不必總是自己一人做犧牲。你看上樣,他不是走自己道路的典型嗎?即便如此,沒有人會說上樣是個孩子,你知道為什麼嗎?」

「そうね、調和も大事だけれど自分だけが犠牲になる必要は無いでしょう。上様を御覧なさい、我が道を征くの典型みたいでしょう? それでも上様を子供だと言う人はいません。何故だか判る?」

「……不明白。」

「……判りませぬ」

「那是因為上樣會為自己的言行負責。看似放蕩不羈,但上樣並沒有偏離要向大家展現統一日之本之世的主線。」

「それはね、上様がご自分の言動について責任を負っておられるからよ。一見破天荒に見えても、上様は皆に日ノ本を統一した世を見せるという本筋は曲げておられないの」

「對自己的言行負責就是大人嗎?」

「自分の言動について責任を持つのが大人なのでしょうか?」

「至少在無法負起責任之前,被稱為孩子也無可厚非吧。」

「少なくとも責任が取れない間は子供と言われても仕方ないでしょうね」

四六似乎從靜子的話中有所領悟,點了點頭,說要好好想想便告辭離開房間。

静子の言葉に何かを悟ったのか四六は頷き、ゆっくりと考えてみますと告げて部屋を辞した。

靜子一方面為四六的成長感到高興,卻仍對這次打鬥中被毀壞的物品清單嘆了口氣。

静子は四六の成長を嬉しく思いながらも、今回の喧嘩で破壊された物の一覧を見てため息をこぼす。

「雖說只是兩個孩子的打鬥,但果然是男孩子啊。」

「子供二人の喧嘩とは言え、流石は男の子だけあるね」

靜子把手中的目錄疊好,重新嘆息一聲。

静子は手にした目録を畳みながら、改めてため息をついた。

俗話說『酒は憂いの玉箒』,同時也有人說『酒は飲むとも飲まるるな』。對藤次郎來說大概正是後者吧。

『酒は憂いの玉箒(たまははき)』と言うが、同時に『酒は飲むとも飲まるるな』とも言う。藤次郎の場合は正に後者であっただろう。

因為藤次郎關於酒的失誤經驗數不盡,靜子本想暗中提醒他節制飲酒,但現實並非總能如願。

酒で失敗したエピソードに事欠かないだけに、静子はそれとなく酒を控えるように気を回したつもりだったが、現実はままならないものである。

如俗語『お神酒上がらぬ神はなし』,一到慶典或神事就必定會有酒。

『お神酒上がらぬ神はなし』とも言うように、祝い事や神事ともなれば必ず酒が出る。

在連「酒精騷擾」這類概念都不存在的戰國時代,被上位者敬杯是榮耀,沒有拒絕的選擇。

アルコールハラスメントなどと言う概念すら無い戦国時代に於いて、上位者から盃を勧められることは誉(ほまれ)であり、断るという選択肢はない。

靜子能免於飲酒只是因為信長親自下了禁酒令,且明言會懲罰勸酒者,周圍人才會有所顧忌。

静子が酒を飲まないで済んでいるのは、信長から直々に禁酒令が出されており、勧めた側も罰すると明言されているため周囲が注意を払っているに過ぎない。

「自那之後好像有在禁酒,不過他確實愛酒,總覺得還是會再發生吧。」

「あれから禁酒しているようだけど、お酒好きなのは確かだから、また起きそうな気がするよね」

人質的身分對藤次郎形成心理枷鎖,他因在酒席上出過錯而愈發謹慎多讓。

人質と言う立場が藤次郎にとって心理的な枷の役目を果たしており、彼は酒の席で失敗したことを挙げて遠慮することが多くなった。

但這並不代表他能徹底戒酒;若一個喝得爛的人說『沒關係,喝吧』並勸他,拒絕會被視為失禮。

だからと言って完全に酒を断つことは難しい。酔って出来上がった者が『良いから飲め』と勧めれば、これを断ることは失礼にあたるからだ。

目前即便有喝也克制量,因此還未釀成大事,但令人難以釋懷。

今のところは飲んだとしても量を控えているため、大事には至っていないものの懸念がぬぐえないでいた。

「那是屬於他本人的責任,母上無需過度掛心。」

「それは本人の責に帰するところです。母上が気を回される必要はございませぬ」

因為互相扭打過,彼此能更坦誠相待,四六乾脆利落地斬釘截鐵。

互いに殴り合ったこともあって、より腹を割って話し合える仲となった四六はバッサリと切って捨てる。

「雖然這麼說,但我還是很擔心……」

「そうは言うけれど、どうにも心配で……」

「感謝您的心意,但藤次郎也是伊達家的名代,若過度關照,會傷及他的自尊心。」

「お気持ちはありがたいのですが、藤次郎とて伊達家の名代です。余りに構い過ぎれば、あ奴の矜持を傷つけましょう」

「是啊,是這樣呢。」

「そうか。そうだよね」

被四六指出後,靜子點頭接受。

四六に指摘されて静子は納得した。

既然已教導須對己身言行負責,若再多加干預,豈不是在斷定藤次郎還是個孩子。

己の言動に責任を負うのが大人だと諭した以上、これ以上の口出しは藤次郎を子供だと断じていることになる。

因為史實中政宗的形象深入人心,難免令人擔憂,但從他本人看似有意改過的跡象。

史実に於ける政宗のイメージが強いため、どうしても心配してしまうが、本人からは更生しようとしている節が窺える。

靜子覺得再多關照可能傷及他的自尊,於是轉換心情,把資料放回文桌上。

これ以上の構いだては本人のプライドを傷つけかねないと考えた静子は、気持ちを切り替えることにして資料を文机に置いた。

「那麼,今年該做的事大致告一段落。預料將有嚴寒,東國與西國短期內應該都不會有動作了吧。」

「さて、今年のやることは概ね終わったね。厳しい寒さが予想されるから、東国も西国も当面動きが無くなるでしょう」

紡績業興盛的織田軍,比起其他國家的軍隊,防寒措施更為充足。

紡績産業が盛んな織田軍は、他国の軍と比較しても充実した防寒対策が為されている。

即便如此,一旦成為雪中行軍,仍會成為容易喪失人命的艱難事務。

それでも雪中行軍ともなれば、容易に人命が失われる難事となるのだ。

攻城時防守方光是潑冷水就能挫傷攻方的戰意,絕不可小覷。

城攻めの際に防衛側は冷水を浴びせるだけでも、寄せ手側の戦意を挫くことが出来るのだから侮れない。

「不想硬攻而招致損失。等到春天,到了夏天東國也能平定吧。四國由長宗我部控制,西邊毛利一旦處理完,剩下的應該就是九州了吧?」

「無理に攻めて損害を出すのは避けたいね。春を迎えて夏までには東国も平定できるでしょう。四国は長宗我部が支配しているし、西の毛利が片付けば残るは九州かな?」

「日本統一開始變得有現實感了呢」

「日ノ本統一が現実味を帯びてきましたね」

「不過直到現在上樣還沒宣佈要擔任何種官職。這也是朝廷混亂的原因吧」

「ところが今になっても上様は、ご自分が何の官職を得るのか宣言されていないのよね。だから朝廷も混乱していると思う」

隨著人們普遍認為信長即將成為天下人、織田的治世即將開始,反對者已成少數。

間もなく信長が天下人となり、織田の治世が始まるとの認識が広まる中、それに異を唱える者は少数派となっていた。

朝廷認為大勢已定,試圖以授官給信長套上枷鎖。

既に大勢は決したとして、朝廷は信長に官職を与えて首輪をつけようと試みている。

大概會授予征夷大將軍,但對於朝廷的這個提議信長暫未回應。

恐らくは征夷大将軍を賜ることになるのだろうが、この朝廷からの申し出に対して信長は返答を控えている状況だ。

「上樣在想些什麼呢?」

「上様は何を考えておられるのでしょう?」

「這只是我的看法,但恐怕上樣也難以決定。上樣想討伐北條,擊敗毛利,名實兼備地稱為武家的統領──征夷大將軍。朝廷的真心則是在上樣勢力壯大之前,用官職來束縛他。」

「これは私見だけど、恐らくは上様も決めかねていると思う。上様としては北条を討ち、毛利も下して名実ともに武家の統領たる征夷大将軍を名乗りたいのでしょう。朝廷としては上様がこれ以上力を付ける前に、官職で縛り付けたいのが本音だろうね」

「母上的官職決定了嗎?」

「母上の官職は決まっているのですか?」

「我?我大概會是名譽職吧?既然與近衛家結為猶子(ゆうし),體面在,應該是像權大納言那樣的職位吧。」

「私? 私は多分名誉職になるんじゃないかな? 近衛家と猶子(ゆうし)を結んでいる以上、面子もあるから権大納言(ごんのだいなごん)くらいかな」

「聽說有人向朝廷打聽要給母上更高的官職……」

「朝廷よりもっと上の官職を打診されたと耳にしましたが……」

對靜子來說對朝廷賜予的官職沒興趣;就算收下也希望是員額外的權官(權為臨時之意)。

静子としては朝廷から賜る官職に興味が無かった。頂戴するにしても員数外となる権官(権は仮の意味)が良いと考えている。

若受正規官職,就得承擔相應責任,甚至覺得麻煩。

正規の官職を賜れば、それに応じた責任をも背負いこむことになるため面倒だとすら思っていた。

但朝廷的打算,應是想把能牽制信長的人才圈養在側。

ただ朝廷の思惑としては、信長を牽制しうる人材として囲い込みたいという思惑が強いのだろう。

「四六所說的是,不久前曾打算任命為『左近衛大將』(主管宮中警備的長官)。上樣親自抗議並拒絕了,所以應該暫時不會再提了吧?」

「四六が言っているのは、少し前に『左近衛(さこんのえの)大将(だいしょう)』(宮中の警備を司る長官)に任じようとしたことだね。上様が直々に抗議して突っぱねたから、暫くは言ってこないんじゃないかな?」

因為讓靜子參與本願寺一事,朝廷對信長也落了人情債,現在無法強硬對待。

本願寺の一件に静子を参戦させたことで、朝廷も信長に対して借りが出来てしまい、現在強く出ることが出来ないでいた。

「朝廷想要母上的武力呢」

「朝廷は母上の武が欲しいのですね」

「現在的朝廷只有權威,會想確保一定程度的武力吧。這種明目張膽的離間手段從源義經公時代就沒變過。說來也是不可能的事,除非我的命斷了,否則我不會離開上樣身邊。」

「今の朝廷には権威しかないからね。ある程度の武力を確保したいと言ったところでしょうね。このあからさまな離間工作は、源(みなもとの)義経(よしつね)公の頃から変わらないよね。まあ無理な相談だよね、私が上様の許を去るのは命が潰えた時だけだから」

那是靜子與信長相遇時所訂下的約定。雖只是口頭承諾,卻是救了無名的她的重要承諾。

それは静子が信長と出会った際に交わされた約定だった。所詮は口約束に過ぎないが、何者でも無い自分を救ってくれた信長との大切な約束だ。

因此靜子不可能諂媚朝廷。

故に静子が朝廷に阿(おもね)ることはあり得ない。

「那個……」

「それは……」

「這是我的堅持。如果違背約定,至今我所做的一切都會變成謊言。」

「これは私のけじめなの。もし約束を違えれば、今まで私がしてきたことも嘘になってしまう」

四六從靜子的話語中了解到她非凡的覺悟,也明白朝廷的打算會惹惱信長。

四六は静子の言葉から、彼女の並々ならぬ覚悟を知った。そして朝廷の思惑は、信長の不興を買うことになるとも理解した。

「話題離題了。那麼改為確認現狀與春之後的行動計劃吧」

「話が脱線しましたね。それでは改めて、現状の把握と春以降の予定を確認しましょう」

四六重新振作,目光追隨靜子遞來的文件。

四六は気を引き締め直すと、静子から渡された書類を目で追った。

十二月將近,各地開始正式降雪。這樣一來織田軍的主要工作就變成在街道鏟雪,戰事陷入停滯。

十二月が間近に迫り、各地で本格的に雪が降り始めた。こうなると織田軍の主な仕事は街道の雪かきに終始し、戦況は停滞してしまった。

情報收集仍照常進行,但敵方也冬眠,沒有太多重要報告傳來。

情報収集については変わらず行っているものの、相手側も冬ごもりをしてしまっているため、大した報告が入ってこない。

無法讓寶貴的人手閒置,便要求他們定期回報各地流通物資的狀況等。

折角の人員を遊ばせておくわけにもゆかず、それぞれの地域で流通している物資の状況なども併せて定期報告をさせるようにしている。

就在各陣營行動鈍化之際,長可被信長授予了「代官」一職。

こうして各陣営の動きが鈍化するなか、長可は信長より『代官』の役職を与えられていた。

代官是代主君管理所領、徵收年貢的官吏,但關於長可情況有些不同。

代官とは主君に代わって所領を預かり、年貢を徴収する役人のことだが、長可については少し事情が異なっている。

特別賦予他不僅限於年貢的徵收權,還有代為追討債務的權限。

彼に関しては特別に徴収権が年貢に限らず、借金の取り立てをも代行できる権限が与えられていた。

因為長可以暴力著稱,常有給他領地的提議。

乱暴者として名を馳せている長可については、領地を与える話が度々持ち上がる。

期望他若有了所領、成為管理一國的立場,問題行為會消聲匿跡。

そこには所領を持ち一国を運営する立場となれば、問題行動も鳴りを潜めるのではないかと言う期待が込められていた。

然而繼承森家的是長子可隆,拋開長子而將領地給長可令人顧忌。

しかし、森家を継いだのは長男の可隆(よしたか)であり、長男を差し置いて長可に領土を与えるのは憚(はばか)られる。

此外他本人並不打算取得領地,即使被賜予也打算以森家名義運營,而非長可個人。

更には彼自身に領地を得るつもりが無く、よしんば賜ったとしても長可個人ではなく森家の領地として運営するつもりでいた。

作為給不貪領土的長可套上的枷鎖,諸將考慮由信長之外的人授予他職位以令其負責。

領土欲の無い長可に付ける首輪として、信長以外の諸将が彼に役職を与えて責を負わせることを考える。

「怎麼說呢……想得太天真了。」

「何と言うか……甘い考えだね」

收到信長的朱印狀後靜子苦笑:若只是給個職位就能改變長可的行為,我早就那麼做了。

信長からの朱印状を受けた静子は苦笑いを浮かべる。役職を与えた程度で長可が行状を改めるのならば、とうの昔に自分がそうしている。

靜子自己過去也有過同樣想法,但她偏好長可能自由行動,也曾因讓其自由反而能做出較大成就而取消了那些計劃。

静子自身もかつては同じことを考えたが、長可が自由に動ける状態を好み、自由にさせた方が大きな成果を上げるため廃案とした過去があった。

「過去也懲罰過那些偷年貢的蠢人吧?因此上樣才會被認為是適任的人,不是嗎?」

「過去にも年貢を誤魔化した阿呆を懲(こ)らしめただろう? それで上様が適役と思われたんじゃないか」

儘管是關乎自身之事,長可還是一邊啜茶一邊若無其事地喃喃道。

自分のことであるにもかかわらず、長可はお茶を啜りながら興味なさげに呟いた。

「日後會有正式任官之儀,到時請前往安土。若能儘量和平地進行徵收活動就太感謝了。」

「後日正式に任官の儀があるから、その折には安土に向かってね。出来れば穏便に徴収活動をしてくれるとありがたいんだけどね」

「那要看對方了。」

「それは相手次第だな」

當然,長可也不是無緣無故地去劫掠或破壞。但既然是賣武之事,被輕視了就做不成生意。

勿論、長可とて無意味に略奪や破壊活動をしているわけではない。しかし、武を売る仕事である以上、舐められては商売にならない。

「就算不賜代官這種職務,我也覺得勝藏君會照自己想做的去做吧。」

「別に代官なんて役職与えなくても、勝蔵君は好き勝手にやると思うけどね」

「喂,我也懂得講個體面啊!」

「おい、俺だって建前ぐらいは弁えているぞ!」

「回顧你至今的行為,還能這麼說嗎?」

「今までの行状を振り返っても同じことが言える?」

「我有個不回顧過去的原則。」

「俺は過去を振り返らない主義なんだ」

「那句話不會只是遇到不方便時用的台詞吧?」

「それは都合の悪いときにいう台詞じゃあないと思うんだけど?」

「別擔心,我也在成長。」

「心配するな、俺だって成長している」

「我總覺得每次都聽你這樣說,而真正成長的只是手段變得更巧妙而已吧。」

「毎回その台詞を聞いている気がするし、成長しているのは手口が巧妙化しているところだけだよね」

雖然會提出苦言,靜子對長可依然很寬容。

苦言を呈しこそするものの、静子は長可に甘かった。

長可並非無法之徒。只不過他心中的法與世間通行的法有落差,但他始終有自己的一套原則。

長可は決して無法者ではない。彼の中の法と、世間一般の法が乖離(かいり)しているだけであり、常に彼なりの筋は通しているからである。

因此靜子不曾拋棄他,並盡可能提供便利。世人認為這不過是所謂越笨的弟弟越讓人疼惜的心理罷了。

故に静子は彼を見捨てず、可能な限りの便宜を図っている。世間一般には出来の悪い弟ほど可愛いと言った心理だと思われていた。

「放心,只要他們沒做不正當的事,就不會有事情發生。」

「安心しろ。奴らが不正をしていなければ何も起きない」

「光是你這個惡名昭彰的人被派來,大家就會嚇得發抖,所以對沒有作不法之事的人要寬待些。」

「悪名高い君が派遣されてくるってだけで皆が震えあがるんだから、不正をしていない人には優しくしなさい」

「……知道了。」

「……分かった」

長可不情不願地點頭,靜子則向神佛祈求無辜之人別被吊打示眾。

不承(ふしょう)不承(ぶしょう)ながら頷く長可に、静子は無実の人が吊し上げられないことを神仏に祈った。

被那惡名在外的長可逼問時,即便沒做不正當之事也難免顯得行為可疑。

その悪名ばかりが先行している長可に詰め寄られれば、たとえ不正をしていなくとも挙動不審になることは避けられない。

一旦長可看出端倪,用所謂審問之名行拷問之實便是可想而知的事。

それを見咎めた長可が、尋問と言う名の拷問を行うのは目に見えている。

「啊,對了!有一個非常適合勝藏君的工作!」

「あ、そうだ! 勝蔵君にぴったりの仕事があった!」

靜子想到一項長可最適任的差事,翻找文箱取出一疊文件。

静子は長可こそ適任となる仕事を思い出し、文箱を漁って紙束を取り出した。

長可接過靜子遞來的那疊紙束翻看後,立刻明白這正是適合自己的工作。

長可は静子から手渡された紙束に目を通すと、実に自分向きの仕事であると理解した。

「是年貢的私曲(此處指挪用等行為)嗎?」

「年貢の私曲(ここでは横領などの意味)か」

「我的所領與上樣的直轄地監管得很周到,但其他地方卻常有挪用之類的事。我做了各種內偵,雖然花了些時間,但確實拿到確鑿的證據。」

「私の所領や上様の直轄領は目が行き届いているけれど、他では着服の類が多くてね。色々と内偵をして貰っていたの。時間は掛かったけれど、しっかり証拠が手にはいったよ」

「有不正之證據,根本無需多做調查。正是適合我的差事啊。」

「不正の証拠があり、取り調べをする余地が無い。正に俺向きの仕事だな」

「不是嫌疑而是罪已確定。這是因材施職吧?既然不可能有冤案,就只需施以懲罰。」

「容疑じゃなくて罪が確定したからね。適材適所でしょ? 冤罪はあり得ないんだから、懲罰を下すだけだし」

「哼。若是上樣已核准,派兵也行,但那麼一來會被視為已發生謀反,所以要我代為裁決。果然一向徹底,倒是懷念起曾經連奪敵性命都猶豫不決的時光。」

「ふん。上様の決裁済みなら軍を差し向けても良いが、それをやれば謀反(むほん)が発生していると思われるから俺が代わりに裁くのか。相変わらず徹底してやがる、敵の命を奪うのにも躊躇(ちゅうちょ)していた頃が懐かしい」

長可雙手抱臂回想起過去的靜子。當時的靜子甚至對意欲害她的敵人也猶豫不肯下手。

長可は腕組みをしながら過去の静子を思い返していた。静子は己を害そうとする敵ですら、殺めることに躊躇していた。

由於當時她所秉持的生死觀,比起戰國時代的常識,更受穿越前那個時代影響甚深,所以無論如何也難以下殺手。

当時は戦国時代の常識よりも、タイムスリップ前の時代で培った死生観が強かったため、どうしても人を殺められずにいたのだ。

之後在宇佐山之戰與過去決裂,為了守護重要之人殺了多人,投身於戰鬥之中。

その後、宇佐山の戦いに於いて過去と決別し、大切な人を守るため幾人もの人を殺め、戦いに身を投じてきた。

「因為猶豫會讓己方遭受損害我才學到這點。而且領導者若沒定力,下屬也會不安,對吧?」

「躊躇(ためら)った分だけ味方に被害が出ると学んだからね。それに上に立つ者の腹が据わっていないと、下の者も不安になるでしょう?」

「確實。在戰場上曾覺得她靠不住,但自宇佐山以後真是判若兩人。」

「確かにな。いくさ場では頼りないと思っていたが、宇佐山以降は見違えるようだったしな」

「不過現在基本上也沒再上戰場了。自武田之戰後,大家都變得多慮起來。」

「まあ、今はいくさ場に立つこと自体がなくなったけどね。武田戦以降、すっかり皆が心配性になったからね」

規定是只有在信長親自請求時靜子才會上戰場,其他情況大多由名代即可應付。

静子がいくさ場に向かうのは、信長から直接要請があった時のみと定められている。それ以外は殆どが名代で事足りる。

因為太少露面,曾有新來的人吹噓說『她因為是女人、生了孩子後變得膽小了』。

余りにも姿を見せないため、新参者が「女ゆえに子を得て臆病風に吹かれたのよ」と嘯(うそぶ)いたことがあった。

不巧那人當場遇到長可路過,結果被處置到再也不敢輕言,但信長並未因此責罰長可。

折り悪くその現場に長可が通りかかり、二度と軽口が叩けない体にされてしまったが、信長からはお咎めすら無かった。

當然對方親族曾提出抗議,然而長可率領全副武裝的兵士造訪親族宅邸,使得親族最終退讓。

当然ながら相手の親族から抗議があったのだが、長可は完全武装の兵を率いて親族の館を訪れたことにより、親族が折れた。

「並沒有非得你上戰場不可的情形。只要你在後方,我就能放心作戰,戰場就讓給我吧。」

「別にお前がいくさ場に立たねばならない状況などないだろう。お前が後方にいてくれれば心置きなく戦えるのだから、いくさ場は俺に譲れ」

「我覺得你已經讓了不少呢」

「結構譲っている気がするけどね」

「看起來在聊些挺有趣的事呢」

「何やら楽しそうな話をしているな」

另一個聲音插入了長可和靜子的對話。兩人尋找聲音的主人時,發現是剛洗完澡的慶次。

長可と静子の会話に別の声が割って入る。二人が声の主を探すと、そこには風呂上がりの格好をした慶次がいた。

從他手裡拿著酒壺可以看出,他剛才在澡堂裡喝了酒享受了一番。

手に徳利を持っているところから、風呂で酒を楽しんできた事が窺える。

「是在給還沒發洩夠的勝藏君一個發洩的場所啦」

「暴れたりない勝蔵君に、発散の場を与えていたところだよ」

「不要把人說得像頭暴走的馬一樣」

「人を暴れ馬みたいに言うな」

「你到處打架,自己說這句一點說服力都沒有啊」

「あちこちで喧嘩しているお前が言うと説得力が全くないな」

慶次一邊說著輕浮的話,一邊直接將酒壺裡的酒喝下。靜子覺得難得可以好好和兩人慢慢聊,便吩咐小姓再去準備些茶水。

軽口を叩きながら慶次は徳利を直接呷る。久しぶりにゆっくり二人と話せると思った静子は、お茶のお代わりを用意するよう小姓に命じた。