戦国小町苦労譚
1577年 八月中旬
圍守里見家本城佐貫城的里見義弘收到了噩耗。
里見家の居城である佐貫城に籠城している里見義弘の許に凶報が届いた。
消息稱作為里見水軍要塞的勝山城遭受織田軍猛攻,瀕臨陷落。
それは里見水軍の要でもある勝山城が、織田軍の猛攻に遭い落城寸前だと言う。
義弘聽報差點跪倒,為了掩飾這一幕,他跺腳站了起來。
報告を受けた義弘は膝から崩れ落ちそうになり、それを隠すためにも足を踏み鳴らして立ち上がった。
被浮島守護的勝山城自是難攻不落,如此輕易被攻破,彷彿是在做夢一般。
浮島に守られた勝山城は難攻不落の城塞であり、こうも容易く攻略されるとは悪夢でも見せられているかのようだった。
雖欲派兵救援以防勝山城陷落,但該計畫未能實行。
勝山城の陥落を防ぐべく救援を派遣しようとしたが、その計画が実行されることはなかった。
此後接連傳來報告,且每一則都在通報緊急情勢。
その後も矢継ぎ早に報告が舞い込み、その悉(ことごと)くが危急を報せるものである。
不僅勝山城,與之互為補完的金谷城與岡本城也遭受砲火轟擊,求援不斷。
勝山城だけにとどまらず、その補完関係にある金谷城と岡本城までもが砲火に晒されており救援を求めてきた。
禍不單行,偵查傳來最新報告,織田軍艦艇已在佐貫城近海的海岸現身。
悪いことは重なるもので、物見から最新の報告として織田軍の艦船が佐貫城近くの海岸に姿を見せたと言う。
甚至又派出小型艇來回運送,地面部隊正陸續登陸展開。
更には小型挺を繰り出して、地上部隊を続々と展開しているのだ。
情勢急迫,已無一刻寬限,義弘高聲命其部將阻止敵軍。
最早一刻の猶予もない事態に追い込まれ、義弘はこれを阻止すべく配下の将に叫ぶ。
「絕不可讓織田軍上岸!在他們整備完成前就給我擊退!」
「織田軍の上陸を許してはならん! 奴らの態勢が整う前に叩くのだ!」
義弘一聲令下,本已集結兵力駐守佐貫城的將士們紛紛整裝待發。
義弘の号令一下、元々兵力を集中させていた佐貫城に詰めていた将兵達が次々と出陣の準備を整える。
判定此地為決戰之處的義弘親自上前線,留下最低限防守後,率全軍出發攻向織田軍。
ここが勝負所と踏んだ義弘は、自身も前線に立つと最低限の防備を残して全兵力で織田軍を叩くべく、佐貫城から出立した。
織田軍仍在上陸的海岸,即今之千葉縣富津市新舞子海岸,距佐貫城近在咫尺,與其耍花招,不如強行以數量優勢壓制。
織田軍が今も上陸中の海岸は、現在で言う千葉県富津市の新舞子海岸であり、佐貫城から目と鼻の先にあるため小細工を弄(ろう)するよりも数的優位を押し付ける作戦だ。
「看!他們的船仍停在外海。正是良機!已登陸的部隊不多,讓里見武士見識你們的底力。諸君上!」
「見よ! 奴らの船は沖に留まっておる。今こそ好機! 既に上陸済みの部隊は僅かじゃ、里見武者の底力を見せてくれる。者どもかかれ!」
在義弘眼中,往返於母船與海岸間、登陸動作遲緩的織田軍盡收眼底,這使敵人陷入視野受限。
義弘の目には沖の母船と海岸を小型艇で往復し、上陸に手間取っている織田軍の姿が飛び込み、これが彼らを視野狭窄(きょうさく)に陥らせた。
僅論地面部隊,我方與敵方兵力差至少達五倍以上,處於幾乎不可能敗退的局面;若能將戰鬥引入與織田軍混戰,亦可阻止艦砲射擊,可謂一石二鳥。
地上部隊のみに限って言えば、彼我の戦力差は五倍以上に達する。これは負ける方が難しい状況であり、織田軍と混戦状態に持ち込めれば艦砲射撃も防げる一石二鳥の状況だった。
以當時常識,大砲雖然攻擊力強,但命中精度低,若射線上有我軍存在,根本無法放心射擊。
この時代の常識として大砲と言うものは攻撃力に優れるが、命中精度が低いため射線上に自軍が存在する状況ではとても撃てたものではない。
若越過我軍頭頂炮擊,視風向或火藥裝填量,極可能將自軍將士一併炸飛。
自軍の兵たちの頭越しに砲撃などしようものなら、風向きや砲に込めた火薬の量次第では自軍の将兵を吹き飛ばしてしまう代物だ。
簡言之即是放大版的火繩銃,砲彈為球形且過於沉重,落點多半靠運氣。
端的に表現するならば巨大化した火縄銃であり、砲弾が球形かつ重すぎるために着弾点が何処になるかは運しだいであろうと推測した。
義弘常命快腳騎兵騰挪,使我軍落在連結外海母船與上岸織田軍部隊直線的延長線上。
義弘は常に沖の敵母船と上陸中の織田軍の部隊とを結ぶ直線の延長線上に自軍がくるようにして脚の速い騎馬部隊をけしかける。
彷彿早有預見,停泊外海的織田艦艇齊齊開火。
するとこれを見据えていたかのように、沖に浮かんでいる織田軍の艦船が一斉に火を噴いた。
砲彈越過岸上展開的織田軍,飛向並炸毀自里見軍主力衝出的騎兵部隊。
地上に展開する織田軍の頭越しに砲弾が飛来し、里見軍本隊から突出した騎馬部隊を吹き飛ばす。
織田艦上所裝的炮不是義弘所想的舊式,而是後裝型且彈體包覆流線外殼的最新式火炮。
織田軍の艦船に装備されている砲は、義弘が想像したような旧式の物ではなく、後装式かつ砲弾も流線形の外殻に包まれた最新式の物だった。
砲彈不須在後方填塞火藥,因為炸藥已固定配備,故能掌握射程,無須懼怕誤射而穩定射擊。
砲弾の後ろに火薬を押し固める必要が無く、常に一定量の炸薬がセットされているため、砲弾の飛距離も把握しやすく、誤射を恐れずに砲撃出来るのだ。
當如雷般的轟鳴與揚起的沙煙漸息,映入義弘等人眼簾的,是大幅被掏空的地面與四處擴散的地獄景象。
雷鳴の如き轟音と、吹きあがる砂煙が収まったころ、義弘たちの視界に入ったのは大きくえぐれた地面と辺り一面に広がる地獄絵図だった。
死屍幾無保留原有人形,血肉碎片散落一地,無法分辨是人或馬。
およそ人の形をとどめている死体が少ないような有様であり、人の物か馬の物かも判らない血と肉片が散らばる有様だ。
在里見軍尚未從砲擊震撼中恢復前,織田艦又發出第二次炮擊。
砲撃のショックから里見軍が立ち直る前に、織田軍の艦船から第二射が叩きこまれる。
然而這次炮擊未達首發的效果,因里見將士驚慌僵立,砲彈落在他們前方相當距離處。
しかし、この砲撃は一射目程の効果を発揮しなかった。里見軍の将兵が竦(すく)みあがって一斉に足を止めたため、砲撃は彼らのかなり手前に着弾する。
儘管如此,著彈所濺起的碎片與揚起的土砂仍使最前線的里見兵受創。
それでも着弾と共にまき散らされる破片や、舞い上げられた土砂などに晒された最前線の里見兵が被害を受けた。
「嗚……撤退!擊鼓撤退!」
「ひっ……退(ひ)け! 太鼓を鳴らせ撤退じゃ!」
義弘幾乎喊破喉嚨,下令將全軍撤至丘陵後方避險。
義弘は喉が裂けんばかりに叫ぶと、全軍を丘陵地帯の後ろまで退避させるべく行動する。
織田軍並未發出第三次射擊;雖感受被刻意放過的屈辱,義弘等仍被迫逃回佐貫城。
それに対する織田軍側の第三射は無かった。わざと見逃されているような屈辱を感じつつも、義弘たちは佐貫城へと逃げ帰る羽目となる。
立於近海艦艙甲板、用望遠鏡觀察里見軍撤退的信忠發出讚嘆之聲。
沖合に浮かぶ艦の甲板にて、望遠鏡を覗き込みながら里見軍が撤収していく様を眺めていた信忠は感嘆の声を上げる。
「敵方倒是良將與好兵;雖被挫住銳氣,且遭追擊,仍能立刻收整部隊撤退。」
「敵ながら良き将と、兵たちだ。出鼻を挫(くじ)かれ、続いて追撃まで受けたと言うのに即座に兵を纏めて撤退してみせたぞ」
雖然先發制人之擊獲得成功,卻未能殲滅里見軍,但信忠並不在意。
先制攻撃こそ成功したものの、里見軍を壊滅するには至らなかったのだが、信忠はこれを気にしていなかった。
不僅造成一定損失,還鮮明地展示了雙方戰力差;今後里見軍行動必將對砲擊有所顧忌而遲滯。
一定の損害を与えた上に、彼我の戦力差をまざまざと見せつける事が出来た。今後は里見軍の動きも、常に砲撃を意識して鈍くなると言うものだ。
「地面部隊的部署進度如何?」
「地上部隊の展開はどうなっておる?」
「回話!以小型艇往返運輸需耗費相當時間,估計如計畫約需二日左右。」
「はっ! 小型艇による往復輸送ではかなりの時間を要します。恐らく予定通り二日程度かかる見込みとのことです」
「唔,或許該使用珍貴的突擊上陸艇。但藉由今戰暫時可阻止里見靠近。命令哨兵嚴加戒備,絕不可鬆懈。」
「ふむ、虎の子の強襲上陸艇を用いるべきだったか。しかし、今の一戦で暫くは里見も近づけまい。物見には警戒を厳にするよう伝えよ、決して注意を怠るな」
「哈!」
「はっ!」
正如「鎧袖一觸」所言,織田軍果然將里見軍驅逐出去,但里見軍本體仍然健在。
まさに鎧袖(がいしゅう)一触(いっしょく)の言葉通り里見軍を追い払った織田軍だが、里見軍本体は未だ健在である。
失去騎馬部隊固然令人痛惜,但仍在不擴大損害的情況下撤回了兵力。
騎馬部隊を失ったのは痛恨だが、それでも徒(いたずら)に被害を拡大することなく兵を退かせた。
信忠決定將對里見軍的評價再提升一個層級。現任里見家當主義弘多次與關東霸主北條家交戰,雖屢次爭奪領土,卻建立了里見家的全盛期,是個精明能幹的人物。
信忠は里見軍の評価を一段階引き上げることにする。現里見家当主の義弘は関東の覇者たる北条家と何度も戦い、領土の切り取り合いを繰り返しながらも里見家全盛期を築いた切れ者だ。
攻打里見本來只是攻北條的前哨戰,但他感到事態恐怕不會那麼容易順利推進。
里見攻めはあくまでも北条攻めの前哨戦という位置づけなのだが、そう簡単には事が運びそうにないことを感じ取っていた。
正如信忠所預料,之後里見軍對織田軍提高警戒,採取徹底的籠城態勢。信忠利用將里見主力釘住的期間,首先攻陷勝山城。
信忠が予想したように、その後の里見軍は織田軍を警戒して徹底した籠城の構えに入る。信忠は里見軍本体を釘付けに出来ている期間を活用し、まずは勝山城を陥落させた。
勝山城暫且放在一邊,最優先整備使勝山湊可用,並以確保的制海權為後盾,從尾張接連運來資材等物資。
勝山城は後回しにし、最優先で勝山湊を使用できるように整備すると、制海権を確保していることを盾に尾張から次々と資材等を運搬させる。
將勝山湊作為物資集積據點,並在原本什麼都沒有的佐貫城沿岸開始建造多處簡易防衛據點。
勝山湊を物資集積拠点として利用し、何もなかった佐貫城沿岸部に複数の簡易防衛拠点を構築しはじめた。
這是織田軍在火砲成為主力之前擅長的付城戰術,在展開地面戰時可說是極為有效的手段。
これは織田軍が火砲を主力とするまで得意としていた付城戦術であり、地上戦を展開する上では極めて有効な手段と言える。
義弘也不是眼睜睜看著敵軍在眼前構築據點而袖手旁觀。若里見一旦失守,與之同生死的北條氏及佐竹氏都會受牽連,他曾向這些勢力請求援軍,並向與織田家結盟的上杉家斡旋以尋求和睦之道。
義弘とて自分の目の前で、敵軍が拠点構築している間中ずっと手を拱(こまね)いて眺めていた訳ではない。里見が落ちれば一蓮托生の関係にある北条氏や、佐竹氏に対しても援軍を要請したり、織田家と同盟関係にある上杉家に働きかけ和睦の道を探ったりもした。
然而這些請求都未得到理想回應。就在此時,金谷城失守,城主正木淡路守率殘兵退至佐貫城求生。
しかし、それら全てに於いて色よい返事が戻ってくることなく、そうこうしている間にも金谷城が落城し、城主であった正木(まさき)淡路守(あわじのかみ)は残された兵を率いて佐貫城まで落ち延びてくる。
據他的報告,金谷城的情形與佐貫城相同,從沖合受到牽制性的艦砲射擊,無法進行稱得上有效的反擊便被逼入絕境。
彼の報告に拠ると金谷城の状況は佐貫城と同様に、沖から牽制の艦砲射撃を受けて満足に反撃らしい反撃を出来ないまま追い詰められたとのこと。
正木判斷若繼續固守非但無法改善局勢,反而只會消耗物資與兵力,於是自焚金谷城,轉而奔向佐貫城。
このまま籠城を続けた処で状況が改善するどころか、物資や兵を消耗するだけだと判断した正木は自ら金谷城に火を放って佐貫城を目指したのだ。
「嗯,金谷城主竟自行縱火。還以為會以城為枕討死,沒想到是精於算盤之人。無妨,金谷城就捨棄吧。岡本亦可如此處置。」
「ふむ、金谷城主は自ら城に火を放ったか。城を枕に討ち死にするかと思うたが、存外算盤(そろばん)勘定が得意な御仁と見える。構わぬ、金谷城は捨ておけ。岡本も同様に処置して構わぬ」
接到金谷城被焚的報告後,信忠做出了如前所述的決斷。考量里見軍與自軍之射程差異,金谷城與岡本城在運用勝山湊時雖礙眼,但即便確保也不足以令人分散戰力去部署。
金谷城が炎上したとの報告を受けた信忠は前述の通りの決断を下した。里見軍と自軍との射程距離の差を考慮すれば、勝山湊を運用する上で金谷城と岡本城は目ざわりだが、確保したところで戦力を分断して配置するほどの旨みは無い。
集中配置於勝山城周邊並一體運用會更有效率,於是斷定金谷城與岡本城在戰略上無價值。
勝山城周辺に一括で配置して運用した方がよほど効率的に動かせるため、金谷城及び岡本城を戦略的に無価値と断じた。
於是信忠以勝山湊為房總半島上的軍港與要塞核心,穩步在面向佐貫城的位置構築付城。
こうして信忠は房総半島に軍港及び要塞として勝山湊を中心に据え、佐貫城を睨む位置に付城を着々と構築していった。
信忠率領的織田軍攻打里見之際,關東盟主北條家則如史實中所謂的「小田原評定」般反覆軍議,無法達成結論。
信忠率いる織田軍が里見を攻めている間、関東の盟主たる北条家が何をしていたかと言えば、史実にあった『小田原評定(ひょうじょう)』通りに軍議を繰り返し、結論を出せずにいた。
織田所擁的九鬼水軍發動奇襲,早早奪得制海權,但之後九鬼方面並無顯著動作。
織田軍が擁する九鬼水軍の奇襲を受け、制海権を早々に奪われたのだが、その後九鬼側に目立った動きが無かった。
他們只在外海集結,凡出海者皆被擊沉,卻始終不向陸地伸手,這反而給了北條一種奇妙的從容。
沖合に集結して海に出るモノは全て沈めるだけで、一向に地上へは手を伸ばしてこないのだ。これが北条側に奇妙な余裕を与えることとなる。
正如「喉過則忘其熱」所言,這種刻意的從容使北條氏陷入軍議迷失的惡性循環,無法自拔。
『喉元過ぎれば熱さを忘れる』との言葉もあるように、この作為的な余裕によって北条氏は見事に迷走する軍議の悪循環から抜け出せなくなってしまった。
「嗯嗯。大致上如預想般發展呢。」
「ふむふむ。概ね予想通りに推移しているね」
透過電話傳來的定時聯絡,在地圖上重現最新勢力圖。金谷城的棋子被移除,勝山湊停泊著織田艦隊的棋子,勝山城遺址上的物見櫓棋子悠然眺望四周。
電話を通じて届けられる定時連絡から最新の勢力図を地図上に再現する。金谷城の駒は取り除かれ、勝山湊には織田艦隊の駒が停泊し、勝山城跡に物見櫓の駒が悠然と周囲を見渡していた。
自與里見家開戰後,因對方動向而使情勢易變,不確定性上升,故在地的詳盡情報蒐集變得重要。靜子命令情報統括真田昌幸,除定時聯絡外,一旦戰況有重大變動就以電話適時通報。
里見家と戦端を開いて以降は相手の動き次第で状況が変化するため不確定性が上がり、現地での詳細な情報収集が重要となる。静子は定時連絡以外にも戦況に大きな動きがあり次第、適宜電話連絡をするよう情報統括を担う真田昌幸に命じた。
(當然要掌握敵情,也要了解本軍的武器彈藥、醫藥品與糧食等配備情形。維持本軍能充分發揮戰力是我負責後勤的工作。)
(敵に関する情報は勿論、自軍の武器弾薬や医薬品に糧食などの配備状況を把握しなければならない。自軍が十全に能力を発揮するよう支えるのが兵站を預かる私の仕事だから)
靜子為許多事操心而緊繃,但因已處理了緊急課題,便走出辦公室想稍作休息。走在渡廊時,從緣側傳來一陣喧鬧聲打入她耳中。
何かと気を配ることが多く根を詰めていた静子だが、喫緊の課題に対処できたため少しでも休憩を取るべく執務室を出た。渡り廊下を歩いていると、縁側の辺りから騒がしい声が彼女の耳に届く。
「原來如此。那麼,為何施肥會讓作物長得比較多呢?」
「なるほど。では、何故肥料を与えると作物が多く育つのですか?」
「唔,又是那個問題嗎……因為施肥能補足作物所缺乏的營養。」
「む、またそれですか……肥料を与えることによって不足している作物の栄養を補うことが出来るからです」
「是這樣嗎,四六大人真博學。那麼,為何所需的營養會短缺呢?」
「そうなのですか、四六殿は博識でおられる。では、何故必要な栄養が不足するのですか?」
「唔……那、那個是……」
「ぐっ……そ、それは……」
從聲音判斷,似乎是藤次郎(後為伊達政宗)與四六在問答。靜子對四六罕見的吞吞吐吐感到好奇,於是從暗處偷看兩人的模樣。
声から判断するに藤次郎(後の伊達政宗)と四六が問答をしているようだ。珍しく四六が口ごもっていることに興味を覚えた静子は、物陰から二人の様子を覗き見る。
看來藤次郎向四六提出關於肥料對農作物所起作用的問題,四六回答後藤次郎又提出更深一層的追問,形成反覆的循環。
どうも農作物に関する肥料が果たす役割について藤次郎が四六に質問を投げかけ、それに四六が答えると更に藤次郎がそれを受けてさらに掘り下げた質問を投げかけるという循環が繰り返されているようだった。
這是孩子常見的連環發問景象,但亦與古希臘哲學家蘇格拉底所謂的「無知之知」相通。
これは子供特有の質問に継ぐ質問という良く目にする光景なのだが、古代ギリシアの哲学者であるソクラテスが行った『無知の知』に通じるものでもあるのだ。
「無知之知」的意義在於知道自己無知,像藤次郎無意識地重複問答,會自然讓人意識到自身知識其實相當膚淺。
『無知の知』の意味するところは、自分が無知であることを知っていることであり、藤次郎が無自覚に行っているような問答を繰り返せば自ずと自分の知識が実は薄っぺらいものであることに気付かされる。
實際上四六也知道作物生長需要營養來促進,但對於營養到底是什麼、在生長過程中為何會短缺等,知識尚未延伸到那裡。
実際に四六も作物の生育を促進するために栄養が必要だという事を知っているが、栄養とは一体何なのか、生育過程において何故栄養が不足するのかまでは知識が及んでいない。
換言之,四六大概只是從書本被灌輸那樣的知識,尚未達到真正理解。要回答這些問題,就需要了解各種養分如何作用於作物,養分的根源從何而來等。
つまりは書籍からそういうモノだと言う知識を刷り込んでいるだけで、真の理解には至っていないという事を四六はまさに痛感していることだろう。これに答えるためにはそれぞれの栄養素がどのように作物に作用するのか、また栄養素の根源は何処から来ているのか等を知る必要がある。
「你們在吵什麼?」
「何を騒いでいるのです?」
靜子佯裝不知地對四六伸出援手。四六與藤次郎聽見靜子的聲音,停止問答並一同回頭。站在藤次郎身後的小十郎露出因靜子介入而鬆口氣的神色,令人印象深刻。
静子は知らぬ素振りで四六に助け舟を出すことにした。四六と藤次郎は静子の声に気付き、問答を止めて揃って向き直る。藤次郎の背後に控えている小十郎が、静子の介入に安堵している様子を見せたのが印象的だった。
「在那種地方大聲叫喊,大家會起疑的。另外四六,不知道並不是可恥的事。既然不懂就查,您已經學會查詢的方法了,不是嗎?」
「そんな処で大声を出していると、皆が何事かと不審がりますよ。そして四六、知らないことは恥ではありません。判らないなら調べれば良いのです、貴方は既に調べ方を身に着けていますね?」
「是、是的。」
「は、はい」
見到四六點頭,靜子滿意地頷了頷。接着她把視線轉向藤次郎並開口。
四六が首肯するのを見て、静子は満足そうに頷いた。そして次に藤次郎へと視線を向けると声を掛ける。
「藤次郎殿,那種問答方式曾被南蠻的一位偉人廣為施行,結果招致眾怒而被囚入獄,最終獄中喪命。若改為不是向他人拋問,而是向自己發問,或可達致更深的理解」
「藤次郎殿、その問答方法はかつて南蛮の偉人が大々的に行った結果、人々の恨みを買って投獄され獄死しています。その方法は他者に質問を投げかけるのではなく、己自身に問うようにすれば深い理解に至れるでしょう」
「何等! 原來我所做的是讓四六殿感到不快的行為……四六殿,不知情還請恕罪」
「なんと! 私がしていたことは四六殿を不愉快にさせる行いだったのですね……四六殿、知らぬこととは言え申し訳ございませぬ」
被靜子的指摘後,藤次郎慌忙向四六低頭道歉。
静子の指摘を受けた藤次郎は、慌てて四六に向かって頭を下げた。
因此慌張的是四六;他覺得在人前被揭露自己的不足很困擾,但能自覺到理解尚未到位卻是有益的,於是回了話。
これを受けて慌てたのは四六であり、人目の有るところで自分の至らなさを暴かれるのは困るが、実際に理解が至らないことを自覚できたことは有益だったと考えた四六は言葉を返す。
「無需道歉。我也有下任當主的立場,若能在人前稍作克制便照舊無妨。反而這有助於自覺自己的不明之處」
「謝罪には及びません。私も次期当主としての立場がありますので、人目の有るところでは控えて頂けるならこれまで通りにして頂いて構いません。むしろ己の不明を自覚する一助になりました」
靜子一邊看着兩人互相道歉,一邊見話題繞圈,便拍手示意結束。
二人が互いに謝罪し合うのを眺めていた静子だが、話が堂々巡りになっているのを見てパンパンと柏手を打った。
「好了,話就到此為止。既然有這機會,四六就帶藤次郎殿去圖書室吧。那裏可以互相切磋,直到彼此滿意為止怎麼樣?」
「はい、話はそこまで。折角の機会ですから四六は藤次郎殿に図書室を案内して差し上げなさい。そこでお互いが納得するまで知識を深めあってはどうですか?」
「是,母上」
「はい、母上」
「多謝您,靜子大人」
「ありがとうございます、静子様」
兩人向靜子行禮後轉身,結伴前往圖書室。目送兩人離去時,靜子注意到只有小十郎還留在原地,便望向他。
二人は静子に一礼をすると踵を返し、連れ立って図書室へと向かっていった。二人が立ち去るのを見送っていると、小十郎だけがその場に残っていることに気が付いて目を向ける。
「我方主君給您添了麻煩,深感抱歉」
「我が主がご迷惑をおかけし、申し訳ございませぬ」
「沒關係。我不覺得是麻煩,對四六來說反而是很好的刺激」
「構いませんよ。迷惑とも思っていませんし、四六にとっても良い刺激となるでしょう」
小十郎向靜子道歉,卻似乎有話難以啟齒。察覺到這點的靜子便當作引子提出話題。
小十郎は静子に詫びつつも、何事かを言い出せずにいる様子だった。それを察した静子は呼び水として話題を振る。
「藤次郎殿是否思念母親呢?看他注視四六叫我母親時,眼神似乎有些羨慕」
「藤次郎殿は母が恋しいのでしょうか、四六が私を母と呼ぶのを何処か眩しそうに見つめておられますね」
小十郎像是被看穿了心思大為慌張,但隨即想起對方被評為信長的心腹大將,便重新鎮定開口。
小十郎は己の迷いを見透かされたようで大いに狼狽するが、相手は信長の懐刀と評される大人物だと思い直し口を開いた。
「正欲說此事而猶豫。主君自患病以來,不僅失去一目,也失去了母上的關愛」
「正にそれを言おうかと迷っておりました。主は病を得て以降、片目と共にお母上の関心をも失ってしまわれたのです」
小十郎帶著悔惜溢出話語。
小十郎は悔し気に言葉を漏らす。
藤次郎在數え年五歲時罹患天然痘,因而一度生死未卜,結果失去了一隻眼。如今雖然疱瘡(ほうそう)的痕跡已淡,容貌恢復正常,但康復初期想必極為醜惡。
藤次郎は数え年にして五つの折に天然痘を患い、それが原因で生死の境をさ迷った結果として片目を失明している。今でこそ疱瘡(ほうそう)の痕跡も薄れ、通常の容姿を取り戻しているが、回復直後は著しく醜くなっていたのであろう。
從那以後,藤次郎的親生母義姫便偏愛他的弟弟小次郎。父親輝宗(てるむね)在罹病前後並未改變態度,但本來溫柔的母親的變臉,給幼小的他投下深重的陰影。
それ以来藤次郎の実母である義姫は、彼の弟である小次郎ばかりを可愛がるようになってしまった。父である輝宗(てるむね)は罹患の前後で態度を変えなかったのだが、優しかった母の豹変は幼い彼の心に深い影を落とした。
不知不覺藤次郎對人畫起了界線,像是為心靈蓋上蓋子般不再示人真心。然而作為人質來到尾張後環境急變,被みつお的溫柔與包容所感化,加上年齡相近的四六在旁,或許使他原有的性格逐漸浮現出來。
いつしか藤次郎は他者に対して一線を引いて接するようになり、己の心に蓋をしたように本心を見せなくなった。しかし、人質として尾張に来た事によって環境が激変し、みつおの優しさや包容力に絆(ほだ)され、また歳の近い四六もいることから本来の性格が表に浮かんできたのかもしれない。
(在這裏沒有反藤次郎派的眼線,他封閉的心結或許鬆動了吧)
(ここならば反藤次郎派の目が無いし、彼の閉ざされた心の箍(たが)が緩んだのかもしれないね)
因幼時罹病,藤次郎大概一直渴求母愛。正因強行掩蓋了那份情感,長大後舉止才會在某處出現歪曲。
幼少期に罹った病が原因で、藤次郎は母親の愛に飢えていたのだろう。その気持ちに強引に蓋をしたがため、成長しても何処か歪な振る舞いをするのかもしれない。
再加上周遭環境巨變,接觸到無利害關係的みつお之溫情,讓他意識到那份飢渴;看到與自己無血緣卻深深相繫的靜子與四六母子,內心不免生出羨慕,小十郎如此描述。
そこに来て己を取り巻く環境が激変し、利害関係のないみつおの優しさに触れたことで飢えを自覚し、血の繋がりが無いというのに深く結びついてる静子と四六親子の様子に羨望(せんぼう)を抱いているのではないかと小十郎は語った。
「而且靜子大人曾責斥我主,這也是讓他開始敞開心扉的緣由之一吧」
「そして静子様が、我が主を叱って下さった事も心を開くようになった一因かと存じます」
聽了小十郎的話,靜子回顧過往。藤次郎失蹤的騷動幸而沒有演變成大事,但不論如何,未能掌握主君行蹤而給周遭帶來麻煩的責任,終究要有人負起來。
小十郎の言葉に静子は過去を振り返る。藤次郎の行方不明騒動は大事にならずに済んだのだが、それはそれとして主君の行方を把握できずに周囲に迷惑を掛けた責は誰かが負わねばならない。
當時伊達家的近習們為庇護主君,曾提出由自己代受懲罰,為此靜子一聲喝斥了他們。
その折に伊達家の近習たちは主君を庇って、自分が代わりに罰を受けると申し出たために静子がこれを一喝した。
「藤次郎殿今後會處於數次不公的處境。為他頂罪代受懲罰,等於剝奪了他面對不公並成長的機會。責任是為人所立者必須承擔的;若連這都做不到,就不應立於人上。近習諸位的責務,不是替主君受罰,而是站在旁邊以免主君因不公而挫敗,別搞錯角色」
『藤次郎殿はこれから先、幾度も理不尽な状況に身を置くことになるでしょう。彼を庇って代わりに罰を受けるということは、彼が理不尽に立ち向かう機会を奪い成長する機会を逸することを意味します。責任とは人の上に立つ者が負わねばならないのです。それが出来ないようでは人の上に立つべきではない。近習の方々は主の罰を被るのではなく、主が理不尽に挫(くじ)けぬよう傍らにあって支えることこそが責務です。役割をはき違えてはいませんか?』
靜子回頭望向因迷失而讓人擔憂,且被家臣庇護以至自責的藤次郎。
そして自身が迷子になった事で迷惑を掛け、また家臣に庇われることで己の不甲斐なさを噛みしめている藤次郎に静子は顔を向けた。
「藤次郎殿,汝身為伊達家的代表在此。汝的一舉一動會影響侍奉汝的近習,乃至遠方本國的命運,當自覺此點。我雖然言辭嚴苛,但當意識到若汝不成長會招致無謂犧牲」
『藤次郎殿、貴方は伊達家の代表としてここにいるのです。貴方の一挙手一投足が貴方に仕える近習、延(ひ)いては遠く本国の命運をも左右することを自覚なさい。酷なことを言いますが、貴方が成長しなければ無用な犠牲が生まれることを意識なさい』
靜子想起自己說過的話,一陣害羞而臉紅。那番話頗有居高臨下之感,而她自己是否能實踐亦未可知,竟向十來歲的孩子提出如此要求,實在有些不近人情。
静子は自分が口にしたことを思い出し、気恥ずかしさから赤面する。随分と上から物を言ったものだ、自分でも実践できているか怪しいことを十かそこらの子供に求めるのだから大人げないこと甚(はなは)だしい。
「我主自失去一目以來,便無人再寄予期待,因此也少有人責備他」
「我が主は片目を失って以来、誰からも期待を寄せられず、またそれゆえに叱られることもありませんでした」
小十郎的話讓靜子想起史實中政宗的一生。政宗之母義姫因生家最上家與嫁入的伊達家之間的紛爭,與成為當主的政宗關係一度惡化,但最終在適時以書信往來的程度上和解。
小十郎の言葉に静子は史実の政宗が辿った人生を思い出した。政宗の母親である義姫は、彼女の生家である最上家と嫁いだ先の伊達家との諍(いさか)いから当主となった政宗とも関係が悪化した時期があるものの、最終的には時期折々に文をやり取りする程には和解している。
戰國時代常有若有人擋在面前,即便是親母也會被排除在外的情形。儘管如此,沒有將她逐出家門、最終達成和解,仍可說是異例。或許其中有對母親的眷戀吧。
戦国時代の常として己の前に立ち塞がるのならば、実母であろうとも排除することは珍しくないのだ。それにも拘わらず家から放逐するでもなし、最終的に和解に至るなど異例と言っても良いだろう。もしかするとそこには母に対する慕情があったのかも知れない。
無論如何,既然史實情況已大幅改變,靜子對於四六與藤次郎會如何成長感到期待。
いずれにせよ、史実から大きく状況が変化している中、四六や藤次郎がどのような成長を見せるかが楽しみであった。
起初眾人皆以為接收伊達家的人質會困難重重,但事實一揭曉,自第一場迷子騷動之後便平穩無事地過去。
当初誰しもが難航すると思われていた伊達家の人質受け入れだが、蓋を開けてみれば最初の迷子騒動以降は平穏無事に過ぎていった。
伊達家的人最初確實對異質的尾張生活習俗感到不適,但隨着親身體驗其便利性,他們以驚人速度適應了過來。
伊達家の面々は当初こそ異質な尾張の生活様式に戸惑っていたが、その利便性を我が身で体験するに従って目覚ましい早さで順応している。
在人質問題暫時無虞的情況下,靜子拿起作為當務之急的報告書繼續閱讀。
人質に関しては当面問題ないとして、静子は喫緊の課題である報告書を手に取って読み進める。
「嗯,果然是里見,不會那麼容易棄守吧」
「ふむ。流石は里見、そう簡単には落ちないか」
一邊看着定期報告,一邊更新顯示戰況的立體地圖。里見家所據的多數支城已被攻陷,但居城佐貫城仍然健在,且儘管擁有大量人手,似乎也並未陷入困窮。
定期報告を目で追いながら、戦況を示す立体地図を更新してゆく。里見家が所持していた支城の多くは陥落しているが、居城である佐貫城は健在であり、また多くの人員を抱え込みながらも困窮している様子もないとのことだ。
此外,信忠有件令人憂慮的事,並請求探察其動向。那是選擇保持不干涉立場的佐竹氏的存在。
そして信忠が危惧し、動向を探るように要望を送ってきている案件があった。それは不干渉を決め込んでいる佐竹氏の存在だ。
佐竹氏是統治常陸國(現在的茨城縣大部分)的戰國大名,現任當主佐竹義重以辣腕著稱。
佐竹氏は常陸(ひたち)国(現在の茨城県の大部分)を支配する戦国大名であり、現当主である佐竹義重(よししげ)は辣腕(らつわん)で知られている。
他引進了當時最先進的冶金技術,成功獲得龐大資金,並以此資金為後盾組織起被稱為關東第一的鐵砲隊。
彼はこの時代では最新となる冶金(やきん)技術を導入し、莫大な資金力を手に入れることに成功しており、その資金力を背景に関東一と言われる鉄砲隊を組織するに至っている。
當然,佐竹氏所擁有的火縄銃比起織田軍採用的新式銃在性能上差了好幾截。然而再怎麼劣,子彈一中人便可輕易喪命。
無論、佐竹氏の擁する火縄銃は織田軍が採用する新式銃と比べると数段劣るものではある。しかし、如何に性能で劣ろうとも銃弾が命中すれば人は容易に死に至るのだ。
擁有大量鐵砲且有能運用它們的兵士,意味著是一股絕不可小覷的戰力。
多くの鉄砲を揃え、かつそれを運用できる兵士が存在するという事は決して侮れない戦力であることを意味していた。
「真田在查他們,可我不懂為何在這種情況下保持沉默。既然織田家在稱霸天下,若里見一旦被攻陷,他們完全可能出於自保而來協力,或是派使者來向我們臣服,這時機並不奇怪……」
「彼らのことは真田さんが調べてくれているけれど、何故この状況で沈黙を守っているかが判らない。織田家が天下に覇を唱えている以上、里見が落ちれば明日は我が身として協力するか、それともこちらに臣従すべく使者を派遣してもおかしくない頃合いなんだけど……」
因為對里見家一再大張旗鼓地廝殺,理當已派遣間者的佐竹氏,大概也已掌握大致戰況。
里見家に対してはかなり派手にドンパチを繰り返しているため、当然間者を放っているであろう佐竹氏とて凡(おおよ)その戦況は把握していると思われる。
「如果佐竹的沉默是為了觀察北條的動向那倒好,不知會如何發展呢」
「佐竹氏の沈黙が北条の動きを見定めているなら良いけれど、果たしてどうなることやら」
難以預測走向的戰事令人恐懼。嘴上說要做好任何情況都能應對很容易,但要付諸實行卻相當困難。
展開の読めないいくさは恐ろしい。何が起きても対応できるように備えると口で言うのは簡単なのだが、実行に移すとなると難しい。
即便以遠非史實可比的豐厚織田家財力,在東西兩方面同步出兵的情況下也無閒置物資的餘裕。
史実とは比べ物にならない程に豊かな織田家の財力を以てしても、東西の二方面を同時侵攻している状況下では物資を遊ばせている余裕は無い。
時光仍在流逝,八月已近中旬。不久便是收穫的秋季,接著嚴冬也將來到。
そうしている間にも月日は流れ、八月も中ごろに差し掛かっている。間も無く実りの秋を迎え、やがては厳しい冬が訪れることだろう。
對此信忠並不打算與里見家以速決收場,而是為了將損害降到最低,轉而採取包圍戰策略。
これに対する信忠は、里見家との決着を短期決戦とするのではなく、被害を最小限に抑えるためにも包囲戦へと舵を切っている。
信忠採用信長擅長的付城策略,在佐貫城周圍設置付城環伺。由於佐貫城有大量人員從周邊支城湧入,只要布置付城以切斷補給線即可形成兵糧攻勢。
信忠は信長が得意としていた付城戦略を用い、佐貫城の周りを取り囲むように付城を設けている。佐貫城へは周辺の支城から多くの人員が流入しているため、補給路を断つように付城を配置すれば兵糧攻めとなるのだ。
有報告稱在包圍佐貫城的同時正推進勝山湊的整備,重建勝山城並將其要塞化。勝山湊在對北條之戰中亦為物流與軍備的要衝,因此似乎在勝山城更往南的地帶(現在的千葉縣館山市附近)並行構築對北條的前線基地。
佐貫城を包囲しつつも勝山湊の整備を推し進め、勝山城を再建して要塞化を行っていると報告があった。勝山湊は対北条戦に於いても物流及び軍備の要(かなめ)となることから、勝山城から更に南下した位置(現在の千葉県館山市付近)に対北条の前線基地を並行して構築しているようだ。
「母上,可否給我一點時間?」
「母上、少しお時間を頂戴できますでしょうか?」
靜子沈思時,室外傳來四六的聲音。又聽見藤次郎和小十郎的聲音,判斷他們是一同前來拜訪。
静子が考えに耽(ふけ)っていると、室外から四六の声が聞こえてきた。藤次郎や小十郎の声も漏れ聞こえてくることから、彼らが連れ立って訪ねてきたと判断した。
「請稍等一下」
「少しお待ちなさい」
靜子回了一句便整理起室內所有被視為機密的物件。顯示戰況的立體地圖可收納於牆面,一推入牆中便與其他牆面無異。
静子は一言返すと、室内に存在する機密扱いの一切合切を片付ける。戦況を示す立体地図は壁面に収納できるようになっており、壁に押し込んでしまえば他の壁面と見分けがつかない。
把有關戰況的命令書與報告書等收進上鎖的收納箱後,把領內內政相關的文書箱並在桌上,佯裝正在處理公文,便允許四六入室。
戦況に関する命令書や報告書の類を鍵のかかる収納箱に収めると、領内の内政に関する文箱を机の上に並べた。そして如何にも書類を記しているような様子を取り繕うと、彼女は四六に入室の許可を出した。
推開隔開室內外的襖入內的,正如靜子的預測,是四六與藤次郎。隨從小十郎在走廊候著,只有兩人進入房內。
室内外を隔てる襖を開けて入ってきたのは、静子の予想通り四六と藤次郎であった。お付きの小十郎は廊下に控えており、入室してきたのは二人のみとなる。
「看起來有話要說呢?」
「何か話がありそうだね?」
「是的。我在與藤次郎討論東國征伐時注意到一件事。簡言之,佐竹是否已經背叛北條了?」
「はい。藤次郎と東国攻めに関して議論していた際に気になったことがございます。端的に申し上げて、佐竹はもう北条を裏切りましたでしょうか?」
不知何時變得如此親近,互相直呼名諱,靜子為此感到驚訝。
いつの間に仲良くなったのか、互いに名前を呼び捨てにするようになっている事に静子は驚いた。
而被問及自己也在關注的佐竹氏動向,更讓她驚愕不已,差點表情流露,卻在最後一刻仍維持無動於衷。
そして自身も気に掛けていた佐竹氏の動向について訊ねられたことも驚愕に拍車を掛け、思わず表情に出かけたがすんでのところで無反応を貫き通す。
「本來不會向外人透露戰況,不過這也不是特別需保密的事,就回答你們吧。不,沒有。」
「本来ならば戦況を余人に知らせないのですが、別段秘密にするような事でもないので答えましょう。否です」
「是嗎。我們的推測是他們差不多會背叛北條,向我們接觸,因而覺得意外。」
「然様ですか。我らの推測ではそろそろ北条を裏切って、こちらに接触してくるのではと予想しておりましたので意外です」
「為什麼那樣想?」
「どうしてそう考えたの?」
「這是我所知的情報與藤次郎所知情報交互比對的結果。就連『甲斐之虎』(指武田信玄)也向織田家屈服了。縱使城址再好,也難以相信單靠北條就能勝過織田家。而且以北條為盟主的同盟,不過是因為害怕一旦拒絕就會遭北條攻伐而維持的不可侵條約,並非人人真心服於北條。」
「私の知る情報と、藤次郎が知っている情報を擦り合わせた結果です。かの甲斐の虎(武田信玄のこと)すら織田家の前に屈したのです。如何に好立地に城を構えているとは言え、北条だけで織田家に敵うとは思えません。そして北条家が盟主となっている同盟も、断れば北条に攻め入られることを恐れての不可侵条約に過ぎませぬ。誰もが本心から北条に臣従している訳ではないそうです」
靜子對四六與藤次郎帶來的情報感到佩服。雖然年幼的他們所得結論缺乏充分證據,但也不是毫無根據,竟與靜子等人所做的判斷一致。
四六と藤次郎から齎された情報に静子は感心していた。幼い彼らが辿り着いた結論は、その裏付けこそ乏しいものの、まるで無根拠に言っているわけでもないというのに、静子たちが判断した結論と同じところにあったのだ。
而北條對於曾有合作關係的里見家窮困竟無法派出援軍,其影響力顯著衰退。事到如今,維持與北條之同盟幾乎已無任何利益。
そして北条の影響力は協力関係にあった里見家の窮地に対して、援軍すら送れない状況とあってその低下が著しい。ことがここに至っては、北条家との同盟関係を維持するメリットは無いに等しい。
既然連制海權都無法奪回,北條便無資格作為盟主,因此決斷解除同盟可說是顯而易見的道理。
制海権すら取り返せない北条に盟主たる資格はないとして、同盟を破棄することを決断するのは自明の理と言えよう。
「你們注意到很重要的一點。話雖如此,佐竹氏實際上仍保持沉默。你們如何判斷此事?」
「良いところに気が付きましたね。とは言え、実際に佐竹氏は沈黙を保っています。貴方たちはそれをどのように判断しますか?」
「我認為是彼此在探測對方的態度。雖說處於劣勢,里見家仍然抗戰,北條也保有兵力。換句話說,天平的兩端還未完全傾向織田,因此他們才保持沉默,或許是如此吧?」
「互いの腹を探り合っているのでは無いかと考えます。劣勢にあるとは言え、未だに里見家は抗戦しており、北条とて兵力を保っています。つまり秤(はかり)の皿が織田家に傾ききっていないため、沈黙を守っているのでは無いでしょうか?」
「四六殿說得太迂迴。要點就是他們會持續觀望,直到戰況明朗之前都會採取投機取巧的態度!」
「四六殿の言いようは迂遠(うえん)に過ぎる。要するに戦況が決定的になるまでは様子見を続け、日和見をしているだけでありましょう!」
「藤次郎,這裡是母上面前!說話要慎重!」
「藤次郎、母上の御前であるぞ! 口を慎め」
四六責備藤次郎突兀插話的無禮。向來對誰都保持一段距離的四六如此沒顧忌地說話,讓靜子看出兩人確已真正打成一片,暗自偷笑。
突如として話に割って入った藤次郎の無礼を四六が咎める。誰に対しても一歩引いた立ち位置を取る四六にしては遠慮の無い物言いに、静子は二人が本当に打ち解けたことが見て取れてほくそ笑む。
「你們感情很好呢,兩位」
「仲が良いね、君たち」
「並不是!」
「良くはありませぬ!」
「四六殿真是害羞得讓人頭疼」
「四六殿は照れ屋で困りまする」
看著兩人說著截然相反的話,靜子覺得兩人某種程度上頗為相似。
まるで正反対の言葉を口にする二人を見つめながら、何処か二人は似ているなと静子は思った。