戦国小町苦労譚
1577年 六月上旬
對遠藤基信來說,與信長的會談如同白日夢。彷彿雙腳未著地,他抱著信長親筆的約定書,夢一般踏上歸途。
遠藤(えんどう)基信(もとのぶ)にとって信長との会談は白昼夢のようであった。まるで地に足が着いておらず、夢心地のままに彼は信長直筆の約定書を手に帰途に就いている。
事先得到的情報說,能見到信長本身就很困難,即便獲得機會,若惹他不快也可能被中途打發走。
事前に得ていた情報では信長と謁見すること自体が難しく、仮に機会を与えられたとしても不興を買えば中座されることもあるという話であった。
然而,基信竟然受到了與他共進午餐這等破格優待。簡直是意外之喜。
しかし、基信に至っては昼餐(ちゅうさん)をともにするという破格の厚遇を受けてすらいた。まさに『瓢箪(ひょうたん)から駒(こま)』であったのだろう。
(這就是尾張……這就是天下人的生活……以及統御一切的織田大人嗎)
(これが尾張……これが天下人の暮らし……そしてその全てを統べる織田様なのか)
能有機會與信長同席用餐的基信,對於信長與尾張那超越日本常識的樣貌感到畏懼。
信長と会食をするという機会に恵まれた基信は、日ノ本の常識から隔絶した信長と尾張の在り様に畏怖を抱いた。
處於極度緊張中的基信,連品味上桌食物的餘裕都沒有。
極度の緊張下にあった基信は、供された食事の味など感じる余裕すら無かった。
即便如此,他仍能感覺到從擺設到器皿、傢俱一切都經過高度打磨與講究。基信繃緊神經,費盡心力模仿信長與同席的靜子進食,努力不露醜態。
それでも調度一つ、食器や什器に至るまでの全てが高度に研ぎ澄まされたものであることが感じられた。基信は神経を張り詰め、信長や同席していた静子に倣って食事を取ることに腐心し、醜態を晒さないようにすることで精一杯であった。
大概是當代一流的料理,但連味道、香氣與色澤都模糊不清,無法留在記憶中。
恐らくは当代一流の料理が供されていたのだろうが、味はおろか香りや色あいですら曖昧(あいまい)模糊(もこ)としており記憶に残っていない。
「雖然是人人羨慕的豪華筵席……但我再也不願參與。與其那樣,低首陳述意見的謁見反而讓人心安。」
「誰もが羨(うらや)むような豪華な一席だったが……わしは二度と御免被(こうむ)る。あれならば面を伏して意見を申せる謁見の方が心やすらかでいられよう」
信長不僅沒有護衛之兵,連小姓也沒跟隨,顯得毫無防備。若要問是否能向這樣的他揮刀,答案是否定的。
信長は警護の兵はおろか、小姓すら伴っておらずに無防備であった。そんな彼に刃を向けられるかと問われれば否である。
在基信眼中,信長披著令人難以靠近的威光,想像得到若惹其敵意,自己會在瞬間喪失首級與軀幹。
基信から見た信長は近寄りがたい程の威光を纏っており、敵意を抱いた瞬間に己の首と胴が離れているであろう事は想像に難くない。
「總之,總算完成任務。問題是,人質……」
「ともあれ、何とかお役目は果たせた。問題は、人質か……」
基信喃喃自語,隨之長嘆一聲。他手中的約定書上明確寫著,伊達家要以人質作為順從的證明。
そう呟いた基信は大きなため息を吐いた。彼が手にした約定書には、伊達家が恭順の証として人質を差し出すことが明記されている。
按理應該奉上作為人質的是嫡子梵天丸(後來的伊達政宗),但這位剛剛元服,改名為伊達藤次郎政宗的少年在性格上有些問題。
順当にいけば人質として差し出すのは嫡子である梵天丸(ぼんてんまる)(後の伊達政宗)となるのだが、元服したばかりで伊達(だて)藤次郎(とうじろう)政宗(まさむね)と名を改めた彼には性格に少々難があった。
「心性本直……但卻危險易惹事……」
「心根は真っすぐなのだが……しかし、危うい……」
政宗的性格像折竹般坦率,雖有些莽撞但大致無礙,惟作為人質交付他家卻有致命的問題。
政宗の性格は竹を割ったように素直であり、少々向こう見ずなところはあるものの概ね問題ない。しかし、人質として他家に預けるにあたって致命的な問題があった。
問題在於他的率直,會把心裡所想立刻說出口;在伊達家內部或許無妨,但對信長或靜子失言就會成為外交上的麻煩。
それは素直さ故か、思ったことを直ぐに口に出してしまうことである。伊達家の内部であれば何ら問題ないのだが、信長や静子に対して失言をしてしまえば外交問題となってしまうのだ。
也不是不能考慮出讓次男小次郎作為人質,但自從長子政宗得病成為獨眼後,生母義姫只偏愛弟弟小次郎,因此這辦法難以行得通。
他の候補として次男である小次郎を差し出すという方法も無いではないのだが、長男である政宗が病を得て隻眼になって以降、実母の義姫は弟の小次郎のみを可愛がるようになっているため難しい。
「無論如何,首先要向殿報告後再慎重考量。」
「いずれにせよ、まずは殿にご報告した上で勘案せねば」
判斷無法獨自下決定的基信,急速踏上返程,一路朝奧羽方向而去。
自分一人では結論が出ないと判断した基信は、一路奥羽(おうう)を目指して帰路を急いだ。
伊達家的事情了結後,靜子率領一軍上洛,並在京城的屋敷安頓下來。若她留在尾張,即便是朝廷的使者也難以接觸到她。
伊達家の一件が片付いた静子は、一軍を率いて上洛し京屋敷へと身を落ちつけていた。静子が尾張に籠っていると、如何に朝廷の使者といえど彼女と接触するのは容易ではない。
朝廷並非要對靜子行三顧之禮,而是希望把形式改為靜子接受朝廷的任命,以示體面。
朝廷が静子に対して三顧の礼を取ったのではなく、静子が朝廷の命を拝領した形式にしたいと言う思惑があった。
也就是說,為了保全面子,靜子上京等候使者。因為她已與信長有暗中協議,這不過是對外的姿態,信長雖覺得荒唐,仍命她給予他們便利。
つまり朝廷の面子を保つため、静子は上京して使者を待っているのだ。既に信長と密約を交わしているため、対外的なポーズに過ぎないのだが信長は呆れながらも彼らに便宜を図るよう静子に命じていた。
「歡迎,義姊大人,近來可好?」
「ようこそ義姉上(あねうえ)、ご機嫌麗しゅうございます」
為了增加與朝廷接觸的機會,靜子暫居近衛邸。正欲與前久會談,卻被一個棘手的人纏上。
朝廷と接触する機会を更に増やすべく、静子は近衛邸に滞在している。早速前久(さきひさ)と会談を持とうとしたのだが、厄介な相手につかまってしまった。
稱靜子為義姊的少年名叫近衛信伊,是前久的親子;史實上他曾引發被稱為『關白相論』的朝廷人事爭端,為秀吉在排擠公卿之後登上關白一位提供了藉口。
静子を義姉と呼ぶ少年の名は近衛(このえ)信伊(のぶただ)という。前久の実子であり、史実に於いて関白相論(かんぱくそうろん)と呼ばれる朝廷内の人事抗争を引き起こし、秀吉が公卿(くぎょう)を差し置いて関白に就任する口実を与えてしまった。
因此一夜之間摧毀了延續七百年的摂關家傳統而被公家社會孤立,最終心生病患、沉溺酒色,終致薨逝。
これにより七百年にも亘って維持してきた摂関家の伝統を一夜にして潰したとして公家社会から孤立し、やがて心を病み酒浸りになった挙句に薨去(こうきょ)した人物である。
在此世他本來也打算繼承前久而志在關白,但有一位人物令他興趣盎然、難以自拔。
今世に於いても当初は前久の後を継いで関白を目指していたのだが、そんな彼の興味を惹き付けてやまない人物がいた。
「此次實在恭喜您」
「此度はまことにおめでとう存じます」
「……為了確認,請問究竟有何可喜之事?」
「……念のために伺いますが、何が目出度いのでしょう?」
「那當然是關於義姊大人久違上陣這件事。」
「それは勿論、義姉上が久々に御出陣されることについてでございます」
面對信伊眨眼發亮斬釘截鐵的斷言,靜子只能嘆息。信伊自幼隨父前久在地方生活,與武家交往較多而非公家。
きらきらと目を輝かせて断言する信伊に静子は嘆息するしかなかった。信伊は幼少より父である前久について地方で暮らしていたため、公家よりも武家の人間と付き合うことが多かった。
自從前久與信長親近後,這一傾向更加明顯。在此情況下,前久以養女身分介紹靜子,她那宛如立身出世範本的生涯令信伊深深憧憬。
その方向性は前久が信長と昵懇(じっこん)の間柄になって以降、更に顕著になっていく。そんな中で前久から猶子(ゆうし)として静子を紹介され、立身出世の見本市であるかのような彼女の生き様に強い憧れを抱くようになった。
「我親自上陣的事態本不令人欣喜……不過也罷。不能讓義父久等,你要一同前往嗎?」
「私自身が出陣するような事態は喜ばしくないのですが……まあ良いでしょう。義父上をお待たせする訳にも参りません、一緒に来ますか?」
「務必!我已獲父上允許同席,必定隨行!」
「是非に! 父上からは同席の許可を頂いておりまする。お供いたします!」
信伊的話令靜子感到一陣輕微頭暈。在前往前久私室的途中,靜子被信伊連珠提問。
信伊の言葉に静子は軽く眩暈(めまい)がする思いであった。前久の私室に向かう道中、静子は信伊から質問攻めにあっていた。
若信伊只是個普通孩童,這些問題或許只是令人莞爾,但他年僅十二歲卻已在多方面展露出不遜於成年人的才華,是個天才。
信伊がただの子供であったならば、微笑ましいで済む話なのだが、彼は僅か十二歳という年齢にかかわらず既に多方面に対して大人顔負けの才を発揮している天才であった。
因此他的提問入微又刨根問底,令靜子為回應苦思,會談前就已感到疲憊。
それゆえに彼の質問は微に入り細を穿つものであり、静子をして返答に苦心させられるため、静子は会談前から疲労感を覚えていた。
(現在雖然偏重軍事,卻在書道、和歌、繪畫與音樂等文化領域亦顯露優異才能,天才真殘酷啊)
(今は軍事に傾倒しているけれど、これでいて書道に和歌、絵画に音曲(おんぎょく)といった文化面にも優れた才を示すんだから天才って残酷だよね)
史實上信伊在書道上的才華被列為『寛永三筆』之一;其餘兩人為本阿弥光悦和松花堂昭乘。
史実に於いて信伊は「寛永の三筆」に数えられるほど書道の才を示した。因みに残る二人は本阿弥(ほんあみ)光悦(こうえつ)と、松花堂(しょうかどう)昭乗(しょうじょう)である。
他們三人把平安時代等古筆昇華為新的書法。由此有人甚至認為日本書道史從重紀錄轉向重表現,迎來了近世書道的開端。
彼ら三人は平安時代などの古筆より、新しい書法へと昇華させた。これにより日本の書道史は記録よりも表現を重視した、近世書道の幕開けを迎えたとまで言われるようになっている。
即便在現階段也無遺憾地展現出書道才華,但對他本人來說僅是消遣罷了。再者他以靜子這種能開創一個時代的存在為目標,目標過於高遠,因而頑固地不接受他人的評價。
現時点に於いてすら書道の才を遺憾なく発揮しているのだが、本人にしてみれば手慰みでしかない。更には静子のような一時代を切り開ける存在を目標に掲げているため、目指すところが高すぎて他者からの評価を頑として受け付けない。
因他那無惡意的態度而放棄書筆的人數相當多。
彼の悪意無き態度によって筆を折った人間はかなりの数に上っていた。
「看起來有些疲憊呢,靜子殿」
「お疲れのようだな、静子殿」
一把靜子請入屋內,前久開口便慰勞她。她疲倦的原因顯然在於總是跟在她身邊的自己的兒子。
静子を室内に招くなり、開口一番前久は静子を労った。彼女が疲労している原因は、彼女に付いて回っている己の息子にあることは明らかである。
「每次交談,問題都變得越來越刁鑽,真讓人受不了」
「やり取りを交わす度に、質問がより高度になっていくので参ります」
「隨意應付即可無妨。好了,對於此次之事把彼此的認知對齊吧」
「ほどほどであしらってくれれば構わぬよ。さて、此度の件について認識をすり合わせよう」
前久整了整坐姿,靜子與信伊亦隨之模仿。但因事先已共享資訊,主要是互相確認認知上是否有出入。
前久が居住まいを正し、静子と信伊もこれに倣った。とはいえ事前に情報を共有しているため、認識に齟齬(そご)が無いかを確認し合うことが主である。
「這次一事,幕後操縱的應該是九條、二條、一條家左右吧?」
「今回の一件、裏で手を引いていたのは九条、二条、一条家辺りでしょう?」
信伊毫不遲疑地投下爆炸性發言。因已查明其底,並非錯誤,但靜子仍嘆息他如此直言不諱實在魯莽。
一切の躊躇(ちゅうちょ)なく信伊が爆弾発言を投下する。既に裏が取れているため、間違ってはいないのだが明け透けに発言するところが迂闊だと静子はため息を吐いた。
「抱歉。既然已脫口而出,再次詢問,是否有誤?」
「すみませぬ。既に口にしてしまった以上、重ねてお訊ねしますが間違っておりましょうや?」
「(只憑直覺便抓住本質,天才的可怕之處)不,正確。鷹司家是站在我方的,剩下的三家之一,甚至有可能全部勾結共謀策劃了吧」
「(直感のみで本質を掴む、天才の怖さだね)いえ、合っています。鷹司(たかつかさ)家は我ら側に立っていますので、残り三家のいずれか、悪くするとその全てが結託して画策したのでしょうね」
「你即便找到正解,似乎未掌握其背後脈絡。如此即便射中要害,也會被人設局絆倒的」
「お前は正解を見出しても、そこに至る背景を押さえておらぬ様子。それでは正鵠を射たところで足を掬われるぞ」
「是! 非常抱歉」
「はっ! 申し訳ございません」
受前久責備,信伊垂下頭。身為天才常得出旁人無法理解的結論,但若無法說明達到那結論的過程,便是寶貝徒然無用。
前久から叱責を受けて信伊は項垂(うなだ)れた。天才であるが故に余人には理解しえない結論に至るのだが、何故そこに至るかの過程を説明できないのでは宝の持ち腐れとなる。
前久說明世上大多數人是凡庸者,終究無法接受凡人無法理解的邏輯飛躍。
世の大多数は凡人であり、結局のところ凡人に理解し得ない論理の飛躍が世に受け入れられることは無いと前久は説いたのだ。
「失敗是年輕人的特權。把此失敗當作養分,活用到下一次就好」
「失敗は若人の特権です。この失敗を糧(かて)に次に活かせば良いのです」
「義姊大人!」
「義姉上!」
「不可在未反省何以失敗的情況下就繼續前進。你易於疏忽此點,務必切記莫可忘懷」
「何故失敗したのか反省しないまま進むのはいけません。貴方はそこを怠りがちなので、努々(ゆめゆめ)忘れないようにしなさい」
信伊滿心期待崇敬的靜子要搭救他而昂首,卻被靜子毫不留情地攤牌現實。
憧れの静子が助け舟を出してくれたと勢い込んで顔を上げるが、そんな信伊に静子は容赦なく現実を突きつけた。
「嗚嗚……義姊大人好嚴厲」
「うう……義姉上が厳しい」
「嚴厲些正好。確實,看來教如背後有那三家在操縱。就財力與權勢來說,能夠包攬那麼多反對朝廷主導和睦的勢力,其他人沒有那個本錢了」
「厳しいぐらいで丁度良いのです。確かに教如の背後には例の三家がいると思われます。財力的にも権力的にも朝廷主導の和睦に反対する勢力を、あれだけの数、囲い込める余裕が他にはありませんからね」
即便是被逼至絕境的教如,也不至於在毫無勝算下做出那種魯莽行為。靜子與前久對此意見一致。
追い詰められた教如であっても、流石に勝算なしであのような暴挙には出まい。これに関しては静子も前久も考えを同じにしている。
就此次騷動而言,能夠養活足以占領本願寺的僧兵的勢力有限,經過排除法便會縮限到那三家。
今回の騒動に於いて、まず本願寺を占拠できるほどの僧兵たちを養えるだけの勢力と言えば限られており、消去法的にも件(くだん)の三家に絞られてくる。
原本朝廷之威光係以武家所持的武力為後盾才能成立。攻擊自己立足的根基無非自殺行為,然而若有膽敢強行排除武家對朝廷的介入,也屈指可數。
そもそも現時点で朝廷の威光は武家が持つ武力を背景に成り立っている。己が寄って立つ土台を攻撃するなど自殺行為でしかないのだが、それでも武家の朝廷介入を排除せんと強行できる者となれば片手で足りる。
亦曾考慮宗教相關、佛門的介入,但景氣回升時宗教的凝聚力反而降低,故很快被排除為候選。
同じく宗教関連で仏家の関与も考慮したのだが、世の景気が上向いているときは宗教の求心力は失なわれるため早々に候補から外れた。
「關於那三家,派密探調查後,證據竟有趣地湊了上來」
「例の御三家ですが、密偵を放って調べたところ面白いように証拠が集まりました」
「那些證據在哪裡?」
「それらは何処(いずこ)に?」
「先把實物拍照保存證據,拍照後又放回原處。接著依照片製作精巧的贗品,完成後逐一換回真品。約八成已完成,若再給些時間就會全部到手。照片本身不廣為人知,若因此而讓證據效力遭到質疑可就糟糕了」
「現物の写真を撮って証拠を保全した後、元の場所に戻しておきました。その後、写真を元に精巧な贋物(にせもの)を作り、完成次第順次本物とすり替えております。八割方終わっていますが、あと少し時間を頂ければ全てが手許に揃うでしょう。写真自体がそれほど知られていないため、証拠能力を疑われては面白くありませんからね」
靜子如此說著,示意小姓拿來一個沉重的木箱。她從木箱中取出數封書狀遞給前久。
静子はそういうと小姓に合図して重量感のある木箱を持ってこさせた。静子は木箱の中より、何枚かの書状を取り出すと前久に差し出す。
接過的前久粗略瀏覽後,確信這些作為攻擊對方的證據已足夠。
受け取った前久はそれらをざっと流し見て、相手を攻撃するに足る証拠として十分であると確信できた。
「是血判狀嗎。彼此無法完全排除背叛的可能,正是只以利害相結的傢伙之致命弱點啊」
「血判状か。互いに裏切る可能性を排除しきれぬ辺りが、利害のみで結びついている輩の泣き処よな」
「幸好因此蒐證輕鬆了。不過被牽著鼻子走的教如也可憐,但竟然以如此稚拙的圖謀自編自導……」
「お陰で証拠集めが楽でした。しかし、まんまと踊らされている教如も哀れですが、このように稚拙な絵図で自作自演を企むとは……」
「自導自演嗎?」
「自作自演ですか?」
「沒錯。似乎是不滿武家統一日ノ本的局面,欲藉此向世人示意朝廷威光不減而策畫的一場戲。顯然未能洞察時勢,即便成功也無後續,毫無意義吧」
「そうです。武家による日ノ本統一が気に入らぬ御様子で、朝廷の威光は衰えぬと世に知らしめるために画策したようですね。明らかに時流が読めていない上に、仮に成功したとて後が続かないのでは意味が無いでしょう」
現階段反抗信長的公家有限。信長並非輕視朝廷,而是在扶持朝廷權威的同時提出共存方針。
現時点に於いて信長に反抗する公家は限られている。信長は決して朝廷を蔑(ないがし)ろにしておらず、朝廷の権威を盛り立てた上で共存の方針を打ち出している。
實際上信長在經濟上大量資助朝廷運作,無法輕忽他的意向,但仍有一定數量的人不以此為然。
実質的に信長が朝廷の運営に経済面で巨額を出資している以上、彼の意向を無視できないのは仕方ないのだが、それを良しとしない者は一定数存在する。
無法忘卻往日榮光、情緒性地不喜信長崛起的公家們聯手促成了此次騷動。
かつての栄光を忘れられず、感情的に信長の台頭を面白く思わない公家達が結託したのが今回の騒動だ。
然而武力上無法與信長抗衡,經濟上更是相差得羞於相比。為了打擊信長的顏面所想出的苦肉策,就是破壞織田家與本願寺之和睦。
とは言え武力で信長に敵うはずもなく、経済的にも比べるのも烏滸(おこ)がましい程に差が存在する。そんな信長の面目を潰すべく考え出された苦肉の策が、織田家と本願寺との和睦を潰すことであった。
其本質在於策畫所謂的「火上澆油再出手」:先製造問題,然後乘機抵達解決以博取恩惠。即便成功可能削弱信長一時的影響力,卻不是有助於根本結構改革的良策。
その後、おっとり刀で駆けつけて問題を解決して見せることで恩を売る、所謂(いわゆる)マッチポンプを画策したというのが今回の本質である。成功すれば信長の影響力を幾らか削げるかもしれないが、根本的な構造改革に寄与しない愚策であった。
「教如被煽動奪取本願寺,然後由公家主導編成官軍把教如從本願寺趕走。作為首謀的教如本人若被滅口處理,就不會有後患吧。看來牢人無法如願聚集,至今仍無法組成討伐軍。」
「教如を焚きつけて本願寺を乗っ取り、その後公家主導にて官軍を編成して教如を本願寺から追い払う。首謀者たる教如自身は口封じとして始末すれば後腐れもないという手筈だったのでしょうね。どうにも牢人が思うように集まらないようで、未だに討伐軍を編成できないようですが」
「人無法聚集是理所當然,但待在京都裡竟會對世局疏於了解到這種地步嗎」
「集まらないのは自明なのだが、京に籠っているとそこまで世情に疎(うと)くなるものか」
前久如此低語,瞥了靜子一眼。從近畿到中部一帶,想要聚集牢人組軍幾乎是痴人說夢。
前久はそう呟くと、静子をチラリと見やった。近畿から中部地方にかけての一帯では、牢人を集めて軍を編成しようなどとは夢物語に等しい。
因為織田領以驚人之勢進行土地開發,即便引入了土木工程用的重機,人力需求仍舊供不應求。
何故なら織田領が全世界を見渡しても類を見ないほどの勢いで土地開発を行っており、土木工事用の重機が導入されてはいるものの人足の需要は引きを切らない。
此外對出稼勞工的福利也相當充實,還以無息預支的方式發給整備衣食住的周轉金,因此不僅周邊地區,連遠方的出稼者也蜂擁而至。
更には出稼ぎ労働者に対する福利厚生も充実しており、利息の無い前借りとして衣食住を整える支度金も渡されるため、周辺地域は言うに及ばず遠地よりの出稼ぎ労働者が押し寄せている状況だ。
與其以牢人的身分冒死作戰,更多人寧可做安全的體力勞動以獲得穩定薪資。因為這樣的想法普遍存在,除非非常需要一大筆現金,否則很少人願意過像牢人那般不穩定的生活。
牢人として命懸けで戦うよりも、安全な肉体労働で安定した賃金を得る方が良い。そう考える者が多いため、どうしても大金が即座に必要という状況でも無い限り牢人のような不安定な生活を好むものは少ない。
「現在教如也該焦躁了吧。原本計畫是與那三家所牽制的官軍打一場後潰敗,然後由人保證讓他遁入隱居生活。」
「今ごろは教如も焦っているでしょう。予定では例の三家による息の掛かった官軍と適当に戦って敗走し、後は隠遁(いんとん)生活を保障して貰う手筈だったのでしょうからね」
「一切都背道而馳、八方受困,豈能不焦?現在他大概正拼命地祈求神佛相助。信仰正受到考驗。」
「全てが裏目に出て八方塞がり、焦らぬ道理がない。今ごろ必死になって神仏頼みをしておるだろうよ。信仰が試されるというものだ」
「間諜說他在吹噓『我受神佛庇護,敵人的箭與火槍射不著我』。門徒是否信以為真不明,但既然如此就把教如的話利用起來吧。」
「間者に拠れば『私には神仏の加護があり、敵の矢も鉄砲も当たらない』と嘯(うそぶ)いているようです。門徒が信じているかは判りませんが、折角なので教如の言葉を利用させて貰いましょう」
「呵呵。今日你的表情特別壞,教如果然判斷失誤了。」
「ふふ。いつになく悪い顔をしておるな、教如も判断を誤ったものよ」
前久對靜子的話淡淡一笑點頭,啜了一口已經涼了的茶,惆悵地低語。
前久は静子の言に薄く微笑みながら相槌を打つ。すっかり温くなってしまったお茶を一口啜(すす)ると、物憂(ものう)げに呟いた。
「細想教如也頗為可憐。那傢伙大概一生都被周遭人利用、隨波逐流到最後。最可悲的是他自信只有自己在貫徹己志。」
「思えば教如も哀れなものよ。あ奴は最期まで周囲に利用され流され続けた人生を送るのだろう。己だけが自分の意思を貫いていると信じているのが余計に哀れでならぬ」
靜子把對朝廷工作的經費交給前久,然後移回位於上京的京邸。她在那裡先好好休息,稍後接收間諜的報告並下達各種指示,然後再回到近衛邸。
静子は前久に対朝廷工作費用を渡すと、上京(かみぎょう)にある自身の京屋敷へと移動した。彼女はそこでゆっくりと体を休めた後、間者から報告を受けたり様々な指示を出したりしてから再び近衛邸へと戻る。
靜子的京邸由她直屬的兵丁把守,因此即便是朝廷派來的使者,若無事先通告也不得會見。朝廷方面必須以前久為主體,靜子僅維持其附屬的地位,因此不能設勅使或派先遣通知。
静子の京屋敷では彼女直属の兵が周囲を警備しているため、たとえ朝廷からの使者であろうとも事前に通告の無い者は面会できない。朝廷としてはあくまでも前久主体であり、静子はそのおまけという位置づけを貫かねばならないため勅使(ちょくし)を立てたり、先触れを遣わせたりすることも出来ないのだ。
雖覺麻煩,靜子仍盡量停留在便於接觸的近衛邸以保全朝廷面子。終於朝廷遣來勅使,命前久前往鎮撫本願寺。
面倒だとは思いつつも、静子は朝廷の面子を保つため接触を図り易い近衛邸に極力滞在するようにしている。そしてついに朝廷より勅使が遣わされ、前久に本願寺鎮撫(ちんぶ)の命が下された。
「從我向靜子殿請求這件事開始,朝廷會堅持不直接介入的姿態吧。真是迂迴的做法。」
「私から静子殿に依頼する分には、朝廷として関与しないという姿勢を貫くのだろうな。全く迂遠(うえん)なことだ」
前久苦笑著聳肩,感嘆重視體面的公家社會羈絆。朝廷名義上以關白前久為官軍總大將,暗中承認由前久的裁量去調動靜子。
建前が重要視される公家社会の柵(しがらみ)に苦笑しつつ前久は肩を竦(すく)めた。朝廷としては関白である前久を官軍の総大将とし、前久の裁量によって静子を動かす事を暗に認めている。
但前久也不會白被利用。他已取得口頭承諾,此次官軍編成動員人選由他全權決定。朝廷想將靜子作為引入官軍的方便之計,但這也意味著以朝廷之名,無論誰都可被動員。
しかし、前久もただでは利用されてやらない。今回の官軍編成にあたって、動員する顔ぶれは前久に一任するとの言質を得ている。朝廷としては静子を官軍に引き入れるための方便として使えという思惑なのだが、これは朝廷の名の下に誰であろうと(・・・・・・)動員できる事を意味する。
心懷一物卻帶笑的前久,周詳地進行了準備。數日後,上京一角聚起黑壓壓的人群,因傳聞征討本願寺教如的官軍將出陣,眾人都來湊熱鬧一睹風采。
腹に一物を抱えながら笑みを浮かべた前久は、入念に下準備を進めた。数日後、上京の一角に黒山の人だかりが出来ていた。本願寺教如を征伐する官軍が出陣すると知らされ、皆が一目見ようと集まった結果であった。
自從納入織田勢力以來,在京城看到武家甲冑的機會增加。反倒是公家男子的正裝束帶罕見,因此因為新奇而吸引了更多觀眾。
織田家の勢力下に組み込まれて以来、京では武家の甲冑姿を目にする機会が増えた。逆に公家の正装である束帯(そくたい)(公家の男子が身に纏う衣装)は滅多に見られないため、物珍しさから見物人が増えたという経緯がある。
也許是想博取京中民眾的注目,各公家紛紛精心著束帶以示氣勢。鮮豔的衣裝排列其中,有一位格外顯眼的人物。
公家達も京の民たちから注目を集めると思ってか、皆がめいめいに気合を入れて束帯を着こなしている。目にも鮮やかな衣装が並ぶ中、一際目立つ存在があった。
一名少年揚起染有五攝家首席近衛家家紋『近衛牡丹』的旗幟,身著比周遭更為華麗的束帶。
五摂家筆頭である近衛家の家紋『近衛牡丹』が染め抜かれた旗を棚引かせ、周囲のそれと比べても一層華美な束帯を身に纏った少年の姿がある。
一般公家的護衛數名而已,然而那少年周圍配有數十名全副武裝的武士,連一隻小貓都無法靠近。信伊看著這嚴陣以待的氣氛及其他公家遠遠觀望,不禁嘆息。
一般の公家に付く護衛は数名なのだが、その少年の周囲には完全武装の武士が数十名も配され、猫の子一匹近寄る隙すら無い有様だった。その物々しい雰囲気に威圧され、他の公家からは遠巻きに眺められる様子を見て、信伊は嘆息した。
「感覺像是在做給人看的表演。」
「見世物にでもなっている気分です」
「沒辦法啊,這次率領官軍的是您。警備森嚴是理所當然。若官軍總大將在京中被討死,那將成為近衛家子孫萬代的恥辱。」
「仕方ありませんよ、此度の官軍を率いるのは貴方なのですから。警備が物々しいのは当然です。官軍の総大将が京で討たれたなどとあっては、近衛家末代までの恥になりますからね」
「十分明白。但是義姊,何必選那種古拙的衣裳……」
「重々承知しておりまする。しかし義姉上、何もその様な古めかしい衣装を選ばれずとも……」
「這是我的嗜好。」
「趣味です」
信伊苦笑也無可厚非。靜子作為特例中的特例,身為女子卻穿上公家男子的正裝束帶,且是流行於平安時代的復古款式,在周遭公家中顯得格外突兀。
信伊が苦笑するのも無理は無かった。静子は特例中の特例として、女人の身でありながら公家男子の正装である束帯を纏っている。それも平安時代に流行していた時代がかったものであり、周囲の公家達から浮いて見えた。
若問她為何穿那麼大時代感的衣裳,那是故意引人注目、觸怒他們的做法。束帶本是公家男子的正裝,即便名義上成了猶子,也不應賦予靜子。
何故そのような大時代的な衣装を着ているかと問われれば、わざと目立って彼ら(・・)の神経を逆撫でするためである。本来、束帯とは公家男子の正装であり、猶子を結んだとは言え静子に与えられることは無い。
向來不喜出風頭的靜子刻意作出引人注目的舉動,正是為了挑動他們的神經。
普段は目立つことを嫌う静子が、敢えて耳目を集めるような真似をする意図はここにある。
「那麼,他們有在看嗎?畢竟我們費盡心力四處搜尋並找回了他們的寶物,總得讓他們慌一場才好。」
「さて、彼らは見て(・・)いますかね? 折角、方々手を尽くして彼らの宝物を探し出したのですから、慌てて貰わないと困るんですけどね」
靜子一邊輕拍腰間佩刀的柄頭低聲說道。她所指的當然是九條、二條、一條家的手下。由於是由公家編成的官軍,這些家門也派出幾人參陣。
静子は腰に佩(は)いた太刀の柄頭(つかがしら)をポンポンと軽く叩きながら呟いた。彼らとは勿論、九条・二条・一条家の手の者となる。公家による官軍の編成ということで、彼らの家からも何人かは参陣している。
話雖如此,被派出的雖屬嫡流,卻多為末位之人,顯然只是湊數而來。既沒有任何權限與自主,他們甚至不會離開官軍列內既定的位置。
とは言え派兵された者は嫡流ではあるものの末席に近い者であり、明らかに数合わせとして遣わされている。何の権限も自由をも与えられていないため、官軍の列内所定の位置から動こうともしない。
「我感覺到帶有敵意的視線,想必有人在某處觀看。不過他們會不會察覺義姊的太刀是『藤原三寶』之一……」
「敵意のこもった視線を感じますので、何処からか見ているのでしょう。ただ義姉上の太刀が『藤原三宝』の一つと気付くか否か……」
「包括義父在內,很多人都傾盡力氣幫忙,若沒被認出來就太不划算了。」
「義父上を含め色々な方に尽力して貰ったのですから、気付いて貰わねば割が合いません」
信伊所說的『藤原三寶』,指的是傳自名門中的名門藤原氏的珍寶三件:一為藤原鎌足(藤原氏始祖)的肖像畫『大織冠之御影』,一為惠良和尚所書的『紺紙金泥法華經』,最後則是『小狐之太刀』。
信伊の言う『藤原三宝』とは公家の名門中の名門である藤原氏伝来の宝物を指す。その名の通り三つを数え、一つを藤原(ふじわらの)鎌足(かまたり)(藤原氏の始祖)の肖像画『大織冠(たいしょっかん)の御影(みえい)』、一つを惠良(えりょう)和尚(かしょう)筆の『紺紙(こんし)金泥(こんでい)の法華経(ほけきょう)』、そして最後が『小狐の太刀』である。
史實記載藤原頼長佩帶小狐之太刀,於1152年八月參詣石清水八幡宮。其後傳至九條家,但在鎌倉時代前期失落,後據稱傳至鷹司家,亦在鎌倉後期失落。
史実に於いては藤原頼長(よりなが)が小狐の太刀を佩いて、千百五十二年八月に石清水(いわしみず)八幡宮(はちまんぐう)を詣でたという記録が残っている。その後、九条家に伝来するも鎌倉時代前期に失われ、後に鷹司家に伝来したとされるが、これも鎌倉後期に失われている。
之後曾由某寺所藏,卻又遺失行蹤不明。史實稱明治時期九條家曾買回,但是否為真品小狐之太刀則無從確定。
その後は、とある寺所蔵となっていたのだが紛失して行方不明とされていた。史実に於いては明治期に九条家が買い戻したとされているが、果たして本物の小狐の太刀であったか定かではない。
原因在於名為小狐之太刀的刀有多把傳世之物,甚至存在影打等仿製品。因此靜子現在佩戴的『小狐之太刀』也無法保證為真作;究竟小狐之太刀為何人所製,亦不得而知。
それというのも小狐の太刀は同名の刀が複数伝わっており、更には影打ちまでもが存在している。そのため、静子が現在佩いている『小狐の太刀』も真作である保証はない。何しろ小狐の太刀は誰の手によるものか不明なのだ。
(影打被認為是仿製的那把也已收回,已盡可能地搜尋,唯有硬說是真品了。太刀上附有與九條家有淵源的物件,或可解釋為偷走者的兄之子為證明是真品而所附。)
(影打ちとされる物も回収したし、出来得る限りの捜索はしたので本物と強弁するしかないね。太刀に九条家所縁(ゆかり)の物が添えられていたのは、盗んだ兄の子が真作の証拠として付けたとも考えられるか)
小狐之太刀從九條家失落的原因在於家督繼承。鎌倉時代前期,九條家有兩名兄弟,因長兄因病無法繼承家督,遂由弟弟繼承。
九条家から小狐の太刀が失われた理由は家督相続にある。鎌倉時代前期に九条家には二人の兄弟がおり、病で兄が家督を継げなくなったため、弟が継ぐことになった。
但長兄的子嗣對此決定不滿,據說曾某次偷走小狐之太刀而出奔(しゅっぽん)。
しかしこの決定に兄の子が不満を持ち、ある時小狐の太刀を盗んで出奔(しゅっぽん)したとされている。
走投無路的九條家請當時的名匠鑄造一把可替代的小狐之太刀,此後便以此代用。靜子這次發現的那把小狐之太刀,附帶有九條家家紋象嵌的懷刀,因此推測很可能是真品。
困り果てた九条家は、当時の名人に依頼して代わりとなる小狐の太刀を打たせた。以降、それを小狐の太刀として代用していた。今回静子の発見した小狐の太刀には、九条家の家紋が象嵌(ぞうがん)された懐刀が添えられていたため、恐らく本物であろうと推測している。
(偷走小狐之太刀後,究竟經歷了哪些經緯才會將其拋棄,真是令人好奇,但無論如何現在並非思考此事的時機)
(小狐の太刀を盗んで出奔し、どのような経緯で手放すことになったのか興味が尽きないところだけど、何にせよ今考えることではないかな)
總之,靜子搖了搖頭,決定先專注眼前之事。
いずれにせよ、今は目先のことに集中しようと静子は頭を振った。
「さてさて、お荷物……いえ、お神輿(みこし)を担いで大坂へ向かいますか」
「さてさて、お荷物……いえ、お神輿(みこし)を担いで大坂へ向かいますか」
「騙不了人的,義姊上!」
「言い繕えていませんよ、義姉上!」
「因為妳根本沒打算隱藏嘛」
「隠す気が無いですからね」
「請隱瞞些。雖然能理解義姊上的想法,但若帶著那行李父上行動也會比較方便;不過若上了戰場,連稻草人(かかし)都不如喔?」
「隠して下さい。義姉上のお考えは判りますが、父上も動き易くなりますからお荷物も連れて行きますが、いくさ場では案山子(かかし)にも劣りますよ?」
「不會派去戰場的。只要以守城為名讓他們駐守即可。」
「いくさ場には出しませんよ。城を守らせる名目で詰めさせれば良いでしょう」
「要他們上戰場或服從我等指示的話,他們大概會選後者吧。啊,我當然會一直陪同義姊上!」
「いくさ場に立つか、我々の指示に従うかであれば後者を選ぶでしょうね。あ、私は勿論どこまでも義姉上と共に参ります!」
「若不是被義父上任命為大將,本來會留他在某座城裡擔任城代的……」
「義父上から大将に任じられていなければ、何処かの城に城代として残したんですけどね……」
「不行!義姊上,我能幫上忙的!」
「そんな! 義姉上、私はお役に立ちますよ!」
靜子把手按在自己的臉頰上嘆了一口氣,信伊則雙手一攤表示抗議。靜子為他竟忘了自己是近衛家繼承人的事實而感到頭疼。
静子は己の頬に手を当てて嘆息すると、信伊が諸手を挙げて抗議した。己が近衛家の跡継ぎであるという事実を、彼が忘れていることに静子は頭痛を覚える。
「本來就不打算花太多時間,快點去把事辦妥吧。」
「元よりそれほど時間を掛けるつもりもないので、さっさと行って手早く片付けましょう」
靜子一邊巧妙應付著為討她歡心而百般搭話的信伊,一邊瞪向南方。
自分の歓心を買おうとあれこれと話しかけてくる信伊をいなしながら静子は南方を睨んだ。