戦国小町苦労譚
一五七七年 五月下旬
東國征伐的兩大目標中,最後一項──對北條的征討被宣告大幅延期。原本因為天候不順屢次順延,但加上東北的情勢,整個計畫被重新檢討。
東国征伐に於ける二大目標、最後の一つである北条征伐は大きく延期することが宣言された。元々天候不順によって順延を繰り返していたのだが、東北情勢もあり計画自体を見直すことになったのだ。
當然這是延期而非中止。對北條一方來說彷彿是九死一生的好事,但對在生產力、經濟力與軍事力上均佔優勢的織田家而言,這也會反過來有利。
当然これは延期であって中止ではない。北条側にとっては九死に一生を得たかのような好事なのだが、生産力・経済力・軍事力のいずれもが上回っている織田家にとってもこれは有利に働いてしまう。
既然基礎能力的差距已決定性地拉開,不採取任何對策這差距只會繼續擴大。
基礎能力の差が決定的に開いてしまっている以上、何か手を打たない限りこの差は開き続けてしまう。
儘管如此,正如史實中被稱為『小田原評定』的典故那樣,北條一方不斷以無謂的爭論揮霍這寶貴時機。
それにもかかわらず、史実に於いて『小田原評定(ひょうじょう)』と呼ばれる故事となったように、北条側はこの値千金の時間を無駄な議論に終始することで浪費し続けていた。
此時靜子正在尾張地確認領地經營計畫。作為對越權處置天花對策的懲罰,她已繳納一成的年貢加增,事務方呈上的領地運營計畫顯示,即便面對這筆意外巨額支出,也有不動搖的餘裕可從數字上看出。
そのころ静子は尾張の地にて領地運営計画を確認していた。天然痘対策に関する越権行為の懲罰として、年貢に関する一割加増を収めた際の領地運営計画が事務方から上がってきており、想定外の巨額出費に対しても揺るがない余裕が数字として確認できる。
在這個時代,領主的私有財產與領地運營資金並未被明確區分。但在尾張則不同,領主靜子的私有財產與用於領地運營、由領主運用的資金被清楚分開。
この時代に於ける領主の私有財産と領地の運営資金は明確に区別されていない。しかし尾張に関しては異なっており、領主である静子の私有財産と、領地運営に掛かる領主が運用する資金が明確に分けられていた。
而靜子所擁有的龐大私有財產日益擴張,她打算以自己的私囊來支付此次的一成加增罰金。
そして静子が持つ莫大な私有財産は膨れ上がる一方であり、静子は今回の罰則金である一割加増分を己の財布から賄おうとしていた。
在靜子的理念中,長期閒置的財富不過是經濟的負擔,她甚至認為以負責任的方式釋放這些資金,恰如其時。
静子の感覚としては死蔵し続ける財産など経済に対する重しでしかなく、独断専行に対する責任を取る形で放出するのは渡りに船とさえ考えていたのだ。
然而,靜子的腹心們並不認同這做法。他們強硬反對,認為若只讓靜子一人承擔懲罰,將成為尾張百姓萬代的恥辱。
しかし、静子の腹心たちはこれを良しとしなかった。静子一人に罰を負わせたとなれば、尾張の民にとって末代までの恥となると強硬に反対した。
這次的決定雖由靜子作最終判斷,但腹心們也已同意並參與其中,他們主張應以尾張國的共識來處理此事最為妥當。
今回の決定は静子が最終判断を下したが、腹心たちも納得してこれに加担しているのだから、これは尾張国の総意として処理するのが妥当だと主張する。
另一方面,領民們從祖父母和父母那代多次聽聞天花這種喪命疫病的恐怖,因此甚至把靜子的判斷視為美談而支持。
一方で領民たちも天然痘という死病の恐怖は祖父母や両親から何度も繰り返し聞かされていたため、静子の判断を美談として支持してすらいた。
直白地說,連庶民都能顧念他人,正因尾張之富裕有此餘裕;而這一切正是經過長年累月由靜子一手建立起來的。
身も蓋もない話をすれば、庶民ですら他者のことを慮(おもんぱか)れるほどに尾張が富んでおり、それだけの余裕があるからこその結果なのだが、それら全てを長い年月をかけて築き上げたのは他ならぬ静子の手腕である。
於是大量資金自尾張流向他領,經濟一度看似停滯不前。對此,靜子為不辜負腹心與領民的善意,傾用私財在尾張全境推廣多項公共工程。
そうして尾張から巨額の資金が他領へと流出し、一時的に経済が停滞するかに思われた。これに対して静子は腹心や領民たちの好意を無駄にしないよう、私財を投じて多くの公共事業を尾張全土に広げた。
或許有人會認為投入私財只是回到原點,但單純的外流與投資結果不同。作為基礎建設的公共工程雖非即時獲利,卻能提升尾張民眾的生活基礎,最終又循環成為稅收回流。
結局私財を投じるのでは元の木阿弥と思われるかも知れないが、単なる流出と投資は結果が異なる。インフラ周りの公共事業であるため即時に利益とはならないが、これらは尾張領民たちの生活基盤を底上げし、それは巡り巡って税収となって戻ってくる。
這種在現代可能被嘲諷為撒錢的政策,與領民的奮起相互配合,使得尾張出現比往年更為活躍的經濟活動。
こうした現代であればバラ蒔きと揶揄(やゆ)されかねない政策と、領民たちの奮起が一致したことにより尾張は例年以上の活発な経済活動が行われることになっていた。
就這樣時間到了五月,散居各地的慶次、長可、才藏與足滿也都返回尾張。
そうしている間にも暦は五月となり、各地に散っていた慶次や長可、才蔵に足満も尾張へと帰還を果たした。
或許因旅途疲憊,歸來者無一例外地像泥般沉睡,向靜子報告已是隔日午後。
長旅の疲れもあってか帰還した者は例外なく泥のように眠り込み、静子の許へと報告に向かったのは翌日の昼過ぎになってのことだった。
關於長可,他被賜予領地,本可留在當地成為領主,但他將全權交由也是森家當主的兄長可隆繼承。
長可に関しては領地を賜っており、領主として現地に残ることもできたのだが、彼はその全権を森家当主でもある兄の可隆(よしたか)に引き継いでしまった。
長可留守只是因擔心叛亂可能發生,他對已恢復治安的領地毫無興趣。對於好戰的長可而言,與其過安穩的領主日子,不如投入讓人熱血沸騰的北條征討。
長可としては反乱が起こる可能性があるから留まっていただけであり、治安の快復した領地に興味が持てなかった。血気盛んな長可にとって安定した領主生活よりも、血沸き肉躍る北条征伐への参陣の方がよほどの関心事であったのだ。
「那麼,各位辛苦了。我想你們應該已聽說,北條征討已經延期。大概下次會在夏天,屆時就輪到才藏出場了。」
「さて。皆、お疲れさまでした。既に聞き及んでいるとは思うけれど、北条征伐は延期になりました。おそらく次は夏になるだろうけれど、その時は才蔵さんの出番だね」
靜子將歸來的人全部召集到一起慰勞,說明關於北條征討的情勢,並在事先說明這只是推測後表示下一次遠征大約會在夏季。
静子は帰還した全員を一堂に集めて労をねぎらった。北条征伐に関する状況を伝え、次回の遠征が夏ごろになるだろうことを推測だと前置いた上で話す。
有那樣的準備期就能充份整備補給,例如集結與調度軍需物資。儘管推動近代化後的織田軍以較少人數仍能擁有高戰力,但一旦進行長期遠征,所需物資仍然龐大。
それだけの準備期間があれば軍需物資の調達に集積など、兵站を十分に整えることができる。近代化を推し進めた結果、比較的少数でも高い戦闘能力を誇る織田軍なのだが、それでも長期遠征となれば莫大な量の物資が消費される。
正如史實中法國雄主拿破崙·波拿巴所言:「軍隊是靠胃袋行動的。」
史実に於いてフランスの梟雄(きょうゆう)ナポレオン・ボナパルトが語ったように「軍隊は胃袋で動く」のだ。
「陣中飯也不算難吃,但難免乏味。好久沒吃到尾張的美味飯了,真想大吃一頓。」
「陣中飯も悪くはないが、味気なさは否めない。久々に尾張の旨い飯を腹いっぱい掻き込みたいぜ」
「也要好酒。」
「旨い酒もな」
「你們……剛回來就說這種事嗎!」
「貴様ら……帰参早々に言うことがそれか!」
對於慶次與長可的話,才藏怒氣難抑。飲食乃生活之本,靜子也極為留心,免生不滿。
慶次と長可の言葉に、才蔵は憤懣(ふんまん)やるかたない様子を示す。食に関しては生活の基本であるため、不満が出ないよう静子としても細心の注意を払っていた。
即便如此,為了便攜與保存不得不妥協的軍用口糧仍有改進空間。配備以甲醇為燃料的便攜爐等,能讓士兵常吃到熱食已是長足進步,但若長期如此仍免不了積累不滿。
それでも携帯性と保存性を重視せざるを得ない軍用糧食の味は改善の余地があった。メタノールを燃料とする携帯用コンロの配備などで、温かい食事が常に摂(と)れるようになっただけでも長足の進歩なのだが、それでも長期間それが続くと不満は溜まるものだ。
靜子也持續研究糧食改良,隨著尾張電氣化與機械化的推進,減壓冷卻的實用化已可望成形。若能實現冷凍乾燥技術,軍用口糧的食況將會一舉改善。
静子としても糧食の改善に関する研究は続けており、電化と機械化が進められる尾張では減圧冷却の実用化が見えてきていた。フリーズドライが可能になれば、軍用糧食の食事事情は一気に改善する。
在此之前只能在各處設立據點,並以流通連結匯集物資;或反過來,在重要據點建造城鎮,將其轉為生產中心。
それまでは各地に拠点を設け、流通でそれらを結びながら集積をするしかない。もしくは逆転の発想として、重要拠点に街を構築し、生産拠点化してしまうという方法もある。
雖然預計有戰事的前線或邊境附近不可能如此,但靜子認為輪換回城鎮即可獲得充分補給的體系並非不可行。
流石に戦闘が予想される最前線や国境付近は無理だろうが、交代で街まで戻れば十分な補給が受けられるという体制は悪くないと静子は考えていた。
「對飲食有不滿也是無可奈何。好不容易回來了,好好享受久違的尾張滋味吧。我也準備了比平常更好的酒。」
「食事に不満があるのは仕方ないね。ようやく帰ってこられたことだし、久しぶりの尾張の味を楽しんで頂戴。お酒もいつもより良いものを準備したから」
「不愧是靜子,說到就做到!我要新鮮的肉,吃膩那種死鹹又硬得像石頭的鹽漬乾肉了。」
「流石は静子、話が早いぜ! 俺は新鮮な肉だな。塩蔵されたガッチガチの硬い干し肉なんて飽き飽きだ」
「喂喂,先是酒吧?若有乾貨以外的下酒菜就更好了。要新鮮的生魚片配辛口清酒!」
「おいおい、まずは酒だろ? 乾物以外の肴があると尚嬉しいな。新鮮な刺身に辛口の清酒だな!」
「兩樣都準備好了,盡情享用吧。不過先去洗個澡吧,你們自己可能沒發覺,但大家真的很臭。」
「どっちも用意しておいたから楽しんでね。それよりも先にお風呂を頂いてきて頂戴。自分では気付いてないだろうけど、皆すごく臭うよ」
慶次和長可身上沾染了酸敗似的臭味:汗垢、泥土與灰塵、悶熱盔甲與戰馬的獸味,以及排泄物等惡臭一同附著。
慶次と長可からは饐(す)えたような臭いが染みついていた。汗と垢に土や埃(ほこり)、蒸れた甲冑や軍馬の獣臭、排泄物等の悪臭が纏(まと)いついているのだ。
他們的嗅覺已麻痺,自無所覺,但同一房間的人只要在場就會被那刺鼻氣味嗆到。
彼らは既に嗅覚が麻痺しているため、自覚できていないが同じ部屋にいるだけで刺すような臭いが鼻を突く。
「嗯?我們真的有那麼臭嗎?」
「ん? 俺らってそんなに臭いか?」
「不至於那麼臭吧,但既然靜子說了,想必是如此。先把身體洗乾淨吧。」
「いんや、そんなに臭わないが静っちが言うならそうなんだろう。まずは身綺麗にするとしよう」
長可把手臂舉到鼻前聞了聞,露出納悶的表情;慶次則匆匆起身往湯殿走去,長可慌忙跟上。
長可は己の腕を鼻の辺りに持ち上げ臭いを嗅(か)いで怪訝(けげん)そうな表情を浮かべるが、慶次はさっさと席を立つと湯殿へと向かい、慌てて長可が後を追った。
長可洗去旅途的骯髒、換上準備好的衣裝後再回到靜子的私室,發現除了他之外的人已經都集合完畢。
旅の汚れを落とし、用意された衣装に着替えた長可が再び静子の私室に戻ると、彼以外の面々は既に集合していた。
看到足滿、才蔵不用說,就連四六都整裝後前來,長可對自己的漫不經心感到有些羞愧,卻對與自己同類的慶次也能面不改色感到不可理解。
足満に才蔵は言うに及ばず四六ですら身支度を整えてから出向いていることに、己の無頓着さに少し恥じ入る長可だが自分と同類の慶次までが涼しい顔をしていることが腑に落ちない。
「我看過大家的報告了。才蔵先生接下來會向我報告,其他人似乎也各自玩得頗為盡興」
「皆からの報告は目を通したよ。才蔵さんはこれから報告受けるけれど、他の皆はそれなりに楽しめたようだね」
「雖說他們起了叛亂、想顛覆我的統治,但說實話有點不過癮,倒是看到那種根植於土地的民眾作戰頗有趣。對了,與吉(就是藤堂高虎)沒看到身影,他還在西國嗎?」
「反乱を起こしてまで俺たちの統治を覆(くつがえ)そうとした割には物足りなかったが、地に根付いた民ならではの戦いが見られて楽しかった。そういえば与吉(藤堂高虎のこと)の姿が見えないが、奴はまだ西国だったか?」
「與吉君現在仍留守西國。看起來他在試驗引入新技術的部隊運用,所以應該還要一陣子才會回來吧?」
「与吉君は今も西国に詰めて貰っているよ。新しい技術を導入した部隊運用を試行錯誤しているみたいだから、もう暫くは戻ってこないんじゃないかな?」
長可環視眾人後注意到高虎未在,便問起此事。高虎是靜子側近中唯一前往西國的人,雖因此失去在戰場上活躍的機會,但本人沉迷於新技術,似乎不以為意。
長可は一堂に会した面々を眺めた末に、高虎がいないことに気づいてそのことを訊ねた。高虎は静子の側近の中で唯一西国に向かっており、いくさ場での活躍の機会を奪われているのだが、本人は新技術に夢中でそのような事は眼中にないようだ。
目前他是在支援秀吉攻毛利,雖有定期報告,但發電狀況不佳,因此電話使用被限制。
現在は秀吉の毛利攻めを支援している状況であり、定期的に報告がなされてはいるものの発電状況が思わしくないため、電話の利用に制限が掛かっている状況だ。
雖然暫時接了鉛蓄電池在運作,但日間的發電量跟不上消耗,已開始進行從河川引支流的工程以增加發電機數量。
一応鉛蓄電池を繋いで運用しているのだが日中の発電量が消費量に追いつかず、発電機を増やすために河川から支流を引き込む工事が始まっているようだった。
「電力會不夠嗎?」
「電気ってのは不足するもんなのか?」
「嗯。就像我們每天要吃飯才能動一樣,那些機器在運轉時也會一直消耗電力」
「うん。私たちが動くために毎日ご飯を食べるように、あの機械たちも働いている間中はずっと電気を食べ続けるのよ」
「邊吃邊工作啊!真有這麼個大胃口的勤勞傢伙」
「食いながら働くのかよ! 大喰らいな働き者も居たもんだな」
「但牠們會不眠不休地持續工作。我在佐渡也算玩得開心,接手現場的代官面色蒼白,但既然沒人說什麼,應該沒問題吧」
「その代わりに不眠不休で常に働き続けるぞ。わしは佐渡でそれなりに楽しんできたぞ、現場を引き継いだ代官が青い顔をしておったが、何も言ってこないのだから問題ないのだろう」
「足滿大叔姑且不論,大家也都充分發揮了力量呢。才蔵先生要等到參陣北條征伐才能上陣,不過大規模的兵刃相見或許不會有了」
「足満おじさんはともかく、皆も存分に力を振るえたんだね。才蔵さんは北条征伐に参陣するまで待って貰うことになるけれど、大規模な兵同士のぶつかり合いは無いかもしれないね」
「沒問題的。縱使沒有足以顯示將領榮譽的場面,即使只是殘黨掃蕩,也定會為靜子大人立下不辱其名的功績」
「問題ございません。将としての誉れを示す場がなく、たとえ残党狩りとなったとしても静子様の御名に恥じぬ活躍をしてご覧にいれましょう」
「才蔵真是太拘謹了。今後的戰場可是連大砲一響、敵兵就會瞬間喪命的時代了,這哪還有什麼風情,現在不大展身手什麼時候才行啊」
「才蔵はどうにも堅苦しくっていけねえな。今後は大砲がドンと鳴りゃ、敵兵がドバッとおっ死ぬっていう風情も糞もないいくさ場になるんだ、ここで一花咲かせずいつやるんだって話だぜ」
慶次打趣地插話,把才蔵的台詞混著說。才蔵對慶次近乎輕薄的語氣皺起臉,但慶次拍了拍才蔵的肩膀,拎著酒瓶迅速走出房間。
慶次が軽口を叩いて才蔵の台詞を混ぜっ返す。軽薄にさえ感じる慶次の物言いに渋面を作る才蔵だが、慶次は才蔵の肩を軽く叩くと酒瓶片手にさっさと部屋から出て行ってしまった。
見此情形的長可也覺得無事已了,便跟了上去。靜子對這一幕苦笑之後,轉向才蔵。
それを目にした長可も、用事は済んだとばかりに後を追う。その様子に苦笑しながら、静子は才蔵の方へと向き直る。
「雖不是慶次先生,但請別太勉強,盡情奔馳於最後一戰吧。我的名號與否無所謂,只希望你能隨從自己內心,享受討伐北條之事」
「慶次さんじゃないけれど、気負わずに最後のいくさを思うように駆け抜けて下さい。私の名などどうでも良いのです。己が心の赴くままに北条征伐を楽しんで欲しいの」
「承蒙關照。某人會以某人的方式,作出不負己名的戰鬥。さて、某はあの馬鹿二人が羽目を外さぬよう、様子を見て参ります」
「お心遣い痛み入ります。某(それがし)は某なりに、己に恥じぬ戦いを致しましょう。さて、某はあの馬鹿二人が羽目を外さぬよう、様子を見て参ります」
才蔵判斷忽視正處亢奮的慶次與長可有危險,便向靜子深深一禮後,腳步輕快地離開了房間。
いくさ帰りで気が高ぶっている慶次と長可を放置するのは危険と判断した才蔵は、静子に深々と頭を下げて一礼すると滑るような足取りで部屋を後にした。
房內只剩家中人足滿與四六,靜子感到肩上的壓力稍微放鬆了些。
残るは身内である足満と四六だけとなり、静子は幾分肩の力が抜けたのを自覚する。
「足滿大叔,佐渡島攻略辛苦了。代官有定期回報,說今日起開始對相川金銀山進行試掘。因為將由上樣直轄經營,替首鋒清場的大叔應該會獲得賞賜」
「足満おじさん、佐渡島攻略お疲れ様でした。代官から定期報告が届いており、今日から相川金銀山の試掘が始まるとあったね。上様直轄領として運営されるから、その露払いを果たしたおじさんには報奨が下賜されると思う」
「若要給就接過吧,但比起獎賞,我更想多調些苦力來。尾張用水確實重要,但既然要灌溉知多半島,不如順便建發電廠就好了……」
「くれるというなら貰うが、褒美よりも人足をありったけ回して欲しいものよ。尾張用水もなるほど大事だろうが、どうせ知多半島を潤すならばついでに発電所も造れば良いものを……」
「看來你對佐渡興趣不大。那邊會施行嚴格法規,防止有人以公餘私。至於大叔想要的那種大型發電廠,目前恐怕難以實現。因為送電網四處鋪設很難低調,當下只能以一定水量與落差就能發電的螺旋水車式發電機來應付」
「あまり佐渡には興味ないみたいだね。あちらは厳しい法が敷かれ、私腹を肥やす輩が出ないよう綱紀粛正を図るらしいけれど。あと、おじさんが望むような大規模な発電所は当面難しいかな。送電網を張り巡らせれば嫌でも目立つし、当面はある程度の水量と傾斜があればそれなりに発電できる螺旋水車式発電機で賄うしかないよ」
身為想要推動尾張電氣化的足滿,對於進度遲緩難免感到焦急不耐,靜子帶著暖意注視著他的模樣。
叶う事ならば尾張の電化を目論む足満としては、遅々として進まぬ計画に歯痒い思いを隠せないでいる。その様子を静子は生温かい目で見守っていた。
在匆匆接過各自的歸還報告後,重新召集了參加越後行的一行人;即慶次、四六,以及代表越後勢的景勝、兼續,四人到齊。
取り急ぎそれぞれの帰還報告を受けたのち、改めて越後行きに加わった一行が集められた。即ち慶次、四六と越後勢の代表として景勝、兼続の四名である。
「首先恭喜你們。你們忍受塗炭之苦,終於達成宏願」
「まずはおめでとうございます。塗炭の苦しみに耐えて見事大願を果たされましたね」
「多蒙厚愛。這一切也還得仰賴靜子大人的協助才成得了」
「勿体のうございます。それもこれも静子様のお力添えあってのことと存じておりまする」
景勝是真心地向靜子表達感謝,但靜子將景勝的客套話視為應酬,因此兩人的話略顯錯節。
景勝は本心から静子の援助に心からの感謝を伝えているのだが、当の静子本人は如才ない景勝の社交辞令だと受け取っており、微妙に話が噛み合っていない。
「而且御實城大人(指謙信)尚未宣佈繼承人」
「それに御実城(おみじょう)様(謙信のこと)は未だ後継者を宣言しておられませぬ」
景勝與景虎的繼承爭端以景勝勝出告終,但正如兼續所言,謙信仍未指定繼承人。
景勝と景虎との後継者争いは景勝の勝利に終わったが、兼続の言葉にあるように謙信は未だ後継者を指名していなかった。
然而事已至此,不可能不將嫡子景勝指定為繼承人,上杉家家臣已認定景勝為下一任當主。
しかし、ことここに至って嫡子である景勝を後継者に指名しないはずがなく、上杉家の家臣たちは景勝を次期当主であると認識している。
「上杉大人的用意難以揣度,但為了安定上杉領,必須向天下明示誰為繼承者。雖不希望如此,仍有可能有人再擁立旁系而起事」
「上杉様の御心は推し量れませんが、上杉領安堵の為にも誰が後継者であるかを天下に知らしめる必要があるでしょう。無いとは思いますが、またぞろ傍流の誰かを擁立して騒動を企てる輩が現れないとも限りません」
史實上被稱為『御館之亂』的上杉家內亂,乃因謙信未宣布繼承人便驟然駕崩而起。
史実に於いて『御館(おたて)の乱』と呼ばれた上杉家のお家騒動は、謙信が後継者を指名せぬまま急死してしまったことに端を発している。
時下謙信仍然健在,若他能指定景勝為次期當主,或可避免混亂。
当世に於いては謙信も未だ健在であり、彼が景勝を次期当主に指名すれば混乱は回避できると思われた。
然而謙信即便在景勝與景虎爭執浮上檯面時,仍未指名繼承人。靜子認為這是謙信深謀遠慮所致,但若混亂持續,織田家也不得不介入。
しかし、謙信は後継者候補であった景勝と景虎との対立が表面化しても次期当主を指名しなかった。静子としては謙信なりの深謀遠慮があってのことだと考えているのだが、今後も混乱が続くようでは織田家としても介入せざるを得なくなる。
「越後的安定對於北條征伐亦屬要事,甚至可能影響上樣的政局。倘若上樣催促亦非不可能,請與你們本家保持密切聯絡」
「越後の安堵は北条征伐に於いても重要であり、延(ひ)いては上様の治世を揺るがす要因にもなりかねません。ややもすれば上様から催促が飛ぶこともあり得ますので、ご実家とは連絡を密にされるようご留意下さい」
未來東國征伐為了無後顧之憂攻打北條,正調略中的伊達家與在越後替織田家守後方的上杉家,其存在皆為關鍵。
今後の東国征伐では後顧の憂いなく北条を攻めるために、現在調略中の伊達家及び越後にて織田家の背後を守る上杉家の存在が重要となる。
靜子推測景虎討死後,上杉家內的勢力版圖正逐步改變,事態平息前恐需相當時日。
静子の推測では景虎の討ち死にによって、上杉家内の勢力図が刷新されつつあるため、事態が落ち着くまで相応の時を要するのだろうと考えていた。
「多謝特別關照。在御實城大人發話之前,願繼續留在此處,學習尾張的文物」
「格別のご配慮ありがたく存じます。御実城様よりお声が掛かるまでは、引き続きこちらにお留め置きいただき、尾張の文物を学ばせて頂きとう存じます」
「是啊,被稱作人質大概有些奇怪的立場,但請當作我家一樣住下吧」
「そうですね、人質と呼ぶには些(いささ)か奇妙な立ち位置でしょうが、我が家と思ってご逗留ください」
「承蒙厚愛」
「ありがたき幸せ」
對於被稱作人質而微微吞吞吐吐的靜子,景勝和兼續露出淡淡笑容。他們的待遇遠非人質所受,反而接近賓客般的優待。
人質という処で僅かに言い淀んでしまった静子に、景勝と兼続は小さく笑みを浮かべる。彼らの待遇は人質扱いからはほど遠く、賓客に近しい好待遇を受けている。
畢竟是他國人,並不能完全自由,但只要衣食住獲得保障且能聯絡上,甚至可以短期外出過夜,與他人想像中的人質生活大相逕庭。
流石に他国の人間であるため完全に自由とはいかないが、衣食住が保証された上に連絡さえ付くのであれば短期外泊すら可能という、余人が想像する人質生活からはかけ離れた生活を送っていた。
不過,他們大半人根本不會外出過夜。主要在外活動的是兼續,他以監視之名與隨行的慶次一同闖入花街,打著情報蒐集的名義沉溺於遊樂之中。
ただし、彼らの殆どは外泊などするはずもない。専ら利用しているのは兼続であり、お目付け役と言う名目で同道している慶次と花街に繰り出しては、情報収集と銘打って遊興にふけっている。
「在慶祝大家平安歸來的宴席之前,先聽聽慶次先生與四六的說法吧?」
「皆が無事に帰還したことを祝う宴の前に、慶次さんと四六から話を聞こうかな?」
說罷靜子轉向慶次與四六。四六表情莊重,慶次則如常冷靜。
そういうと静子は慶次と四六へと顔を向けた。四六は神妙な面持ちを浮かべているが、慶次はいつもと変わらぬ涼しい顔だ。
靜子本該責罵擅自帶走繼承人的慶次,但她多少理解四六的想法與慶次的打算,因而不知如何處置。
静子としては勝手に跡継ぎを連れ出した慶次を叱責しなければならないのだが、四六の思いと慶次の思惑をある程度察しているだけにどうにも扱いに困ってしまう。
四六能平安回來是結果論,原本應該阻止四六的慶次卻將他帶上危險之旅,理應受罰。
四六が無事に戻ってきたのは結果論であり、本来四六を止める立場である慶次が危険な旅に連れ出したことは罰されねばならない。
但若處以過重的懲罰,當初央求慶次而跟隨的四六可能會自責,原本就有些畏縮的他行為恐將更為萎縮。
とは言え余りに重い処分を下せば、慶次に頼み込んで付いて行ったであろう四六が己を責めてしまい、ただでさえ遠慮がちな四六の行動が萎縮してしまう可能性があった。
靜子暗自警惕,此處拿捏分寸至關重要。
ここは匙加減が肝要であると静子は心を引き締める。
「那麼。若有申辯就說來聽聽吧」
「さて。申し開きがあるならば聞きましょう」
她本想先試探性地打一記輕拳,誘使他們自動做出申辯。
とりあえずは軽いジャブのつもりで彼らの方から自発的な申し開きを引き出そうと試みた。
然而,也許因慶次已有為自己行為承擔責任的覺悟,故未說半句藉口。
しかし、慶次は己の行動に対する責を負う覚悟があるためか、一切の言い訳を口にしない。
「我沒打算申辯什麼。從決定帶四六去的那一刻起,就已準備好接受處罰了」
「俺は申し開きなんざするつもりはないぜ。四六を連れていくと決めた時から処罰は覚悟の上だ」
「很好。那問四六,明知會連累慶次先生還逕自強行,為何不與我商量?」
「良いでしょう。では四六に問います、何故私に相談することなく慶次さんにも迷惑が掛かると解った上で強行したんですか?」
「是的,我想親身感受『死』。而我覺得只要活在母上的庇護之下,這點絕無可能實現。」
「はい、私は『死』について肌で感じ取りたかったのです。そしてそれは母上の庇護下にいる限り、決して叶わぬことだと考えました」
「嗯,意圖我已明白。那麼四六這次有沒有得著什麼?」
「そう、思惑は判りました。それで四六は今回のことで得たものはありますか?」
四六以相當的覺悟行事,就算慶次也會受牽連,他仍固執地堅持己見。如果什麼都沒得到,那就愚不可及。
四六は相応の覚悟を以て臨み、慶次にもその咎(とが)が及ぶとあってすら己の我侭を押し通した。これで得るものが無かったのであれば愚の骨頂だ。
「在被母上收養之前,『死亡』總是在我身旁。那時更為無力的我,只能看著掌握生殺大權的乳母的臉色,諂媚巴結,日復一日地掙扎以期遠離死亡。然而若如今繼承母上,我將成為強者,甚至有可能下令屬下就死。被母上的庇護那雙大臂包裹著的我,根本無法想像自己能夠做出那等事。」
「私が母上に拾われる前、『死』とは常に私の傍(かたわら)にあるものでした。今よりも更に無力であった私は、生殺与奪を握る強者である乳母の顔色を窺い、諂(へつら)うことで死から少しでも遠ざかろうと藻掻く日々でした。しかし、今や母上の後を継ぐとなれば私が強者となり、配下の者に死を命ずることすらある立場になるのです。母上の庇護という大きな腕(かいな)に包まれた今、私にそれができるとは到底思えなかったのです」
「嗯。你是說不能成為我的接班人嗎?」
「ふむ。私の跡継ぎにはなれぬと言うのですか?」
「不,並非如此。我想成為偉大母上的繼承者。但待在這個安全之地無法讓我下定覺悟。既然如此,我便置身於能再度近距離感受『死』的情境,希望對那黑暗冰冷死的嗅覺得以回歸,從而下定覺悟,故而行動。」
「いいえ、違います。私は偉大なる母上の後継となりたいのです。ですが安全なここに居ては覚悟が定まりません。ならば再び『死』を間近に感じられる状況に身を置けば、あの暗く冷たい死に対する嗅覚が戻り、覚悟が決まるやも知れぬと思い行動致しました」
「是嗎。做到那份上有收穫嗎?」
「そう。そうまでした甲斐はありましたか?」
對靜子的問話,四六默默點頭。
静子の問いに四六は黙って首肯する。
「明白了。我不知四六所掌握的是何,但若你已準備好以一生去證明那份覺悟,便無需更多言語。四六,你今後必須以畢生向他人展現它,那是一條修羅之路。現在還有回頭的機會,你仍要繼續前進嗎?」
「判りました。四六が掴んだものが何か、私にはわかりませんが己が一生を懸けて示す覚悟ができたのであれば、これ以上の言葉は不要でしょう。四六、貴方はこれから生涯を懸けてそれを他者に示し続けなければなりません、それは修羅の道です。今ならばまだ引き返すこともできるでしょう、それでも尚進むと言うのですね?」
靜子再次確認問道。四六直視靜子,堅決地點了點頭。
静子は再び念を押して問う。四六はまっすぐに静子を見つめ、決然と頷いて見せた。
「明白。那麼我要宣布對兩人的處分」
「判りました。それでは二人に下す沙汰を伝えます」
四六能憑自身意志行動並獲得學習成長,實令人欣慰。但這並不代表可以因此違反規矩,沒有人會追隨不守規矩的統治者。
四六が己の意思で行動し、また学びを得て成長できたことは素直に喜ばしい。しかし、だからと言って規則を破って良いことにはならない。決まりを守らぬ為政者に付いてくる者はいないからだ。
「不會給予過於嚴苛的處罰。四六在我允許之前禁足外出,期間每日在圖書室將此次所學寫成文稿提交給我。而帶走四六的慶次先生,自明日起禁足半個月並禁酒。」
「それほど厳しい処罰を下すつもりはありません。四六は私が良いと言うまで外出禁止。その間毎日図書室で今回学んだことを文章にしたため、私に提出なさい。そして四六を連れ出した慶次さんには明日から半月の外出禁止と断酒を命じます」
「那麼從明天開始,今天沒關係嗎?」
「明日からってことは、今日は構わないのか?」
「這是結果論,四六平安歸來,且據他自己所言也有所成長。換句話說慶次先生贏了賭注。但似乎有些不當之處,這部分得給我一個交代。再說今天還有宴會,我可不是會在慶祝平安歸來的宴席上禁止飲酒那麼狠的人。」
「結果論ですが、四六は無事に生還し、本人曰く成長もあったようです。つまり慶次さんは賭けに勝ったのですよ。ですが不正があったようなので、それについての落とし前だけは付けて貰います。何より今日は宴がありますからね、流石に生還を祝う宴で禁酒させるほど鬼ではありませんよ」
慶次與四六都以為靜子會反對,於是留了書便出發。然而即便不用這樣做,若四六主動表示想同行,慶次諮詢過後她也可能會同意。
慶次も四六も静子が当然反対するものと考え、置手紙を残して出発した。しかし、そんな真似をせずとも四六が同道したいと願い出たならば、慶次に諮(はか)った後に許可をしただろう。
由於出身特殊,無從確知四六的確切年齡。不過既已完成人生儀式(元服),在社會上便被視為成人。以現代人的觀念來說大概十多歲仍算小孩,但在戰國時代則被當作成熟成人。
出生が特殊であるため、四六の正確な年齢は判らない。しかし、元服を終えたことで社会では大人と見なされる。現代人の価値観で言えば十代半ばなど子供のうちだが、戦国の世に於いては一人前として扱われる。
對於一位成熟成人的決定,父母無需過多干涉。若被求教則給予忠告;若是其以覺悟作出的決定,父母該是輕輕推一把的存在。
一人前の大人の決断に、親があれこれと口を挟む必要はない。助言を求められれば与えるが、本人が覚悟を以て決めたことであるならばそっと背中を押してやるのが親というものだろう。
「懲罰也只是形式上的,沒必要那麼一本正經──」
「罰とは言っても形式的なものですから、そう四角四面に構える――」
靜子尚未說出口便止住了話,似乎慶次、景勝、兼續早已先行察覺,三人各自整裝待發,隨時可衝出。
必要ないと言おうとした静子の言葉は遂に発されることがなかった。静子よりも先に慶次と景勝、兼続が気付いたようであり、各自は既にいつでも飛び出せるよう身構えている。
唯獨四六一人未能跟上周遭變化,驚慌失措。察覺到粗重的腳步近了,四六與靜子一同退至慶次等人可以掩護的位置。
ただ一人、四六だけが周囲の変化について行けず泡を食っていた。それでも荒々しい足音が近づいてくるのに気付き、四六は静子と共に慶次たちに庇われる位置へと退避する。
「失禮了! 靜子大人,有緊急報告到了」
「失礼いたします! 静子様、火急の報せが届きました」
「沒關係,請報告。」
「構いません、報告なさい」
隔著一扇襖門那邊,隨從慌張的聲音傳來。帶著氣喘的嗚咽聲,可知是爭分奪秒的緊急情況。
襖一枚を隔てた向こうから、小姓の慌てた声が飛び込んできた。喘鳴(ぜんめい)混じりの声から察するに、一刻を争う事態なのだと理解できた。
「哈! 本願寺教如拒絕退去,起兵,並固守寺內!」
「はっ! 本願寺教如が退去を拒んで挙兵し、寺に立て籠りました!」
與粗重呼吸仍未平復的小姓相反,接獲報告的靜子保持冷靜。
荒い呼吸が収まらぬ小姓とは裏腹に、報告を受けた静子は冷静だった。
「知道了。可否清楚教如等的人數與武裝情況?」
「判りました。教如たちの兵数や武装は判りますか?」
「教如似乎率領無數僧兵,並帶入大量武具與箭矢。探視者的報告指出,堪比尚未解除武裝時的規模。」
「教如は無数の僧兵を率い、また多くの武具や矢を持ち込んでいる模様。物見の報告では武装解除前に匹敵するとのこと」
自教如行蹤不明起,靜子便料想他可能發動某種叛亂。為此她已採取各種對策,從未掉以輕心。
静子は教如が行方を眩(くら)ませた時から、何かしらの反乱を起こす可能性があると踏んでいた。その為に色々と手を打っていたし、警戒を怠ることはなかった。
事實上石山本願寺已被織田軍包圍,靜子軍亦派出大量人員。因此唯獨教如能在未突破包圍的情況下進入本願寺一事令人起疑。
実際に石山本願寺は織田軍の手によって包囲が敷かれ、静子軍からも多くの人員が派遣されている。ゆえにこそ、教如が包囲を破ったわけでもないのに本願寺内に入れたことのみが不審であった。
「本願寺周圍本應由上樣的軍隊包圍。是否發生了直接的戰鬥?」
「本願寺の周囲は、上様の軍によって包囲されていたはず。直接戦闘はあったのですか?」
「據說突如有一隊人出現在本願寺內,推測可能存在未被發現的暗道。」
「それが、突如として本願寺内に集団が現れたとのことです。未発見の隠し通路があったのでは無いかと推測されます」
石山本願寺由背叛前座主顯如的下間頼廉掌管,門徒的撤離亦已完成,按程序將交付給信長。
石山本願寺は前座主(ざす)であった顕如を裏切った下間(しもつま)頼廉(らいれん)の手によって管理され、門徒たちの退去も完了して信長へと引き渡される運びとなっていた。
在向信長投降時,由於曾向朝廷申請居間調停,故於交付前朝廷派遣的官員會先行檢查場地,確認安全後再交予信長。
石山本願寺は信長に降伏する際に、朝廷に仲介を申し入れた関係から引き渡しに先んじて朝廷から派遣された役人が敷地内を検め、安全が確認された後に信長へと引き渡される手筈となっている。
本願寺門徒與織田軍曾多次交戰,雙方同意在第三方朝廷的調停下進行交涉。
本願寺門徒と織田軍は直接戦闘を何度も行っており、第三者である朝廷による調停の下で交渉を行うことに双方が合意したためだ。
接獲門徒撤離完成的報告後,朝廷派來的官員請求織田軍解除包圍以便檢查內部,織田軍接受後解除了部分包圍,讓朝廷使者入內。
そして本願寺門徒の退去が完了したとの報告を受け、朝廷から派遣された役人が内部を検めるため包囲を解くように織田軍に申し入れ、それを受けた織田軍は一部の包囲を解いて朝廷の使者を本願寺内部に入らせた。
之後在接收數日定期報告並進行內部確認之際,眼看之際此次騷動便爆發了。
その後、数日の定期報告を受けながら内部確認が行われていた矢先に今回の騒動が勃発したのだ。
「已確認朝廷使者大人的安危了嗎?」
「朝廷からの使者殿の安否は確認されているのですか?」
「所謂教如派自稱的僧兵們閉門之後就杳無音訊,關於使者大人的安危亦未有任何情報。」
「それが、教如派を名乗る僧兵たちが門扉を閉ざした後は何の音沙汰もなく、使者殿の安否に関する情報も入ってきておりません」
「那麼就得以使者大人已不在人世或最壞情況被作為人質來行事為前提。可能的情況是,使者大人是否與教如派共謀而引其入內?」
「となれば使者殿は既にこの世におられぬか、最悪人質に取られたとして行動する必要がありますね。ありそうなのは、使者殿が共謀して教如派を招き入れたでしょうか?」
「什、別輕易說出那種話。若有人聽見並洩漏出去,便會成為責任問題!」
「なっ! 滅多なことを仰らないで下さい。万が一にもそのお言葉を耳にした者が漏らせば、責任問題となりましょう!」
靜子突如說出那句話,令小姓大為驚慌。作為主君的靜子理應在內室與越後的人質謁見,他拼命想阻止,哪怕因此惹怒主君也在所不惜。
唐突に放たれた静子の言葉に小姓は狼狽する。主君である静子は室内にて越後の人質たちと謁見しているはずである。臣下として不興を買ってでも止めようと必死になった。
「無妨,我十之八九認為使者大人與教如確有共謀關係。無論如何這實在太湊巧了。不過也不是僅憑此斷定,罷了,就如此辦吧。」
「構いませんよ、十中八九使者殿と教如は共謀関係にあります。いくら何でも都合が良すぎますからね。まあ、それだけで判断した訳ではないのですが、良いでしょう」
「那個……接下來該怎麼辦?」
「あの……それで、如何いたしましょうか?」
「我部下應當押住了顯如與頼廉的身分,應尚未交給神戶三七郎(即信孝)大人,速命他們將兩人的身柄搬運到我的京邸。神戶大人我會親自說明,首先要先確保他們的安全為最優先。」
「確か私の配下が顕如及び頼廉の身柄を押さえていたはずです。まだ神戸三七郎(信孝のこと)様に引き渡していないはずですし、早急に彼らの身柄を私の京屋敷へと移送するよう伝えなさい。神戸様へは私から説明をしますので、まずは彼らの安全を確保することが最優先です」
「是!」
「はっ!」
「請告訴護衛人員務必守護他們的性命。特別是若顯如被殺,對於上樣將會是不利局面,准許全副武裝出動以排除萬難。」
「警護の者には彼らの命を絶対に守るよう伝えて頂戴。特に顕如の命が奪われれば、上様にとって望ましくない状況となりますので、万難を排するよう全武装の持ち出しを許可します」
「承知。那我告辭了。」
「承知しました。それでは失礼いたします」
接到靜子的命令後,小姓說完便轉身離去。當腳步聲在走廊拐角處消失時,靜子長舒了一口氣。
静子の命を受けた小姓はそれだけ告げると、踵を返して立ち去って行った。足音が廊下を曲がり、聞こえなくなったころに静子はほっと大きく息を吐いた。
「真是惹出麻煩了呢。」
「困ったことになりましたね」
「倒不像是感到困擾的模樣啊。」
「全く困っておられるように見受けられぬのですが」
景勝見靜子口裡說著困擾,卻毫無慌張,情不自禁吐槽。慶次似乎已習慣這樣的靜子,根本不以為意。
困ったと口にしつつも、余裕の態度を崩さない静子を見て景勝が思わず突っ込んでしまう。慶次はそんな静子に慣れているのか、全く気にしていない様子だった。
「不不,是有些困擾。要是他們放棄野心,乖乖投頭就好了,至少能省一番功夫。」
「いえいえ、困っては(・)いますよ。野望を捨てて大人しく出頭してきてくれれば、一手間省けたなあと思うぐらいには」
「說得好。交給靜子大人處理,本願寺的叛亂也不過是小事一樁。那麼我們就不去煩擾大人,照常過日子吧。」
「これはしたり。静子様に掛かれば本願寺の反乱も一手間に過ぎぬと言うことか。ならば我らは御身を煩わさぬよう、今まで通り過ごさせて頂くと致しましょう」
「倒也不用避諱被聽見,但您也需要休息時間。啊對了,若對宴會有何期望,請現在說一聲,我要安排料理。」
「別に聞かれて困ることもありませんが、お休みになる時間も必要でしょう。あ、そうそう。宴に関する希望があるなら、今のうちに仰って下さいね。料理の手配がありますので」
「在這種情況下還要宴會嗎!真是剛毅。我等無特別要求,照常參宴就好。」
「この状況でも宴は催されるのですか! なんとも剛毅なことだ。我らからの希望は特にございません、いつも通りご相伴に与(あずか)りまする」
靜子本人看不出絲毫負擔,但景勝與兼續仍覺得有外人可能不便交談,便辭別出門。
静子自身にまるで気負った処が見られないが、それでも部外者が居ては話しにくいこともあるかも知れないと、景勝と兼続は部屋を辞した。
如靜子所言,即便兩人得知本願寺的騷動,這邊無任何瑕疵無需自恥。反而可成為證明本願寺違約的一方證人,反而是有利情勢。
静子が語ったように二人が本願寺に関する騒動を知ったところで、こちら側には何ら瑕疵(かし)が無いため恥じるところがない。むしろ約定を破った本願寺側に問題があったという証人にすらなるため、好都合とさえ言えた。
「正好。就當作四六的課題吧。」
「丁度良いですね。四六の課題としましょうか」
「是、是。」
「は、はい」
「不用太有負擔。這是個恰當的教材,只當作試煉練練手即可。」
「そう気負わずとも構いません。丁度良い教材なので腕試しに取り組む程度で良いのです」
四六曾說想成為靜子的繼承人。若是如此,能讓四六盡可能累積經驗,便是父母的職責。
四六は静子の後継となりたいと口にした。ならば可能な限り四六に経験を積ませてやるのが、親の仕事だろう。
在突發問題發生時,時常思考若是由自己來處理會如何應對,是為政者的訓練。若能養成此習慣,當意外發生時也能不致慌亂,並能客觀地面對自處處理。
突発的な問題が生じた際に、己ならばその問題にどう対処するかを常に考えるのは為政者たるものの訓練になる。これを習慣づけてしまえば、想定外のことが起こった際にもパニックになることなく、己を客観視しながら対処できるようになるだろう。
雖不願讓他受多餘苦難,但適度的試煉會成為四六的滋養,讓其生命得以延續。
余計な苦労をさせたくないが、適度な試練は四六の血肉となって生を繋ぐ糧となる。
「一點。我已指示將顯如與賴廉的人員拘押,四六你認為此舉的目的為何?」
「一つ。私が顕如と頼廉の身柄を確保するよう指示しましたが、これの狙いを四六はどう考えますか?」
「據聞教如是顯如的親生子。若拘束其父並讓教如呼籲投降,或可避免不必要的戰鬥。」
「教如は顕如の実子と聞いております。父の身柄を確保して、教如に投降を呼びかけさせれば余計な戦闘を回避できるかと存じます」
「教如早已與顯如分道揚鑣。現在再叫他呼籲投降大概不會應允。即便應允,也肯定會被賜死。」
「教如は既に顕如と袂(たもと)を分かっています。今更投降の呼びかけには応じないでしょう。応じたところで死を賜ることは確実ですしね」
靜子的指摘讓四六再次沈思。既然起義一旦發動,教如便無生路,戰鬥不可避免,便需轉換視角。
静子の指摘を受けて四六は再び考える。蜂起した時点で教如に助かる道はない、それならば戦闘は不可避であるため、視点を変える必要がある。
當他思索顯如活著有何利處時,腦中閃過一個念頭。
顕如が生きていることによる利点は何かと考えを巡らせると、閃くものがあった。
「……顯如若死,本願寺的門徒便無路可走,只能殉從教如。」
「……顕如が死ねば、本願寺門徒は教如に殉ずるしか道がなくなります」
四六說出之語,靜子露出彷彿在說「做得好」的微笑。
四六の発した言葉に、静子は良くできましたと言うような笑みを浮かべる。
「顯如的存在會成為本願寺敗北的象徵。無論教如如何發檄,厭戰情緒的門徒們都能以順從顯如的方針為藉口;然而若顯如死亡,若有人發出『顯如是被織田家誘騙暗算的,本願寺門徒們起來!』之類的號令,各地可能會爆發一向一揆。」
「顕如の存在は本願寺が敗北したことの象徴となります。教如がいかに檄を飛ばそうとも、厭戦気運の門徒たちは顕如の方針に順じていると言い訳ができるのです。ところが顕如が死んでしまえば、『顕如は織田家によって騙し討ちにあった、本願寺門徒よ立ち上がれ!』とでも号令を飛ばされれば各地で一向一揆が勃発しかねません」
「反過來,若能示於天下織田家在保護顯如,便會揭露教如毫無大義於天下萬民!」
「逆に織田家が顕如を保護していると示せば、教如に大義が無いことを天下万民に晒すことになりますね!」
「正解。若教如失去大義,我等便可隨意應付。若要避免我方出血,亦可讓顯如成為箭頭,使本願寺內部對立。」
「正解です。教如に大義が無くなれば、我々が何とでも料理できるのです。こちらの出血を避けるならば、顕如を矢面に立たせて本願寺同士で対立させるという手もあります」
「……那不會變成本願寺內部的血肉相殘嗎?」
「……それは、本願寺同士での骨肉の争いになりませんか?」
「只是,最好不要採取此選項。除非顯如主動聲言要征討教如,否則即便是我們暗中策劃,也會留下禍根。若是在遙遠的東國或許無妨,但問題在於他們據守的石山本願寺離尾張與安土都相當近,這正是敗因。」
「ただ、この選択肢は取らない方が良いでしょう。顕如が積極的に教如を征伐すると言い出さない限りは、我らが画策したとして禍根を残します。遠く離れた東国ならいざ知らず、尾張からも安土からも近い石山本願寺に立て籠ったのが敗因です」
「母上會如何處置呢?」
「母上ならばどのように処理されるのですか?」
「若事事直說就沒了課題的意義吧?由四六來思考何者為最佳方案。把我們手中的牌、對方的牌,以及朝廷的盤算一併考量後,提出你的答案看看。」
「それを言っては課題にならないでしょう? 四六ならばどうするのが最適かを考えるのです。我らが持つ手札と、相手側の手札、更に朝廷の思惑を加味して答えを出してご覧なさい」
慶次看著靜子如是說並溫和微笑,還有為了回應她的期待而拚命絞盡腦汁的四六,那一幕讓他感受到親子之間的羈絆。
そう言って穏やかにほほ笑む静子と、その期待に応えんと必死に知恵を絞る四六の姿に慶次は親子の絆を感じていた。