戦国小町苦労譚
一五七七年 四月下旬
「那些奴僕們,一副一點也不懷疑自己會勝利的樣子啊」
「奴(やっこ)さんども、己の勝利を微塵(みじん)も疑ってませんってツラしてやがるぜ」
慶次拿著向靜子借來的望遠鏡望向敵陣喃喃自語。在這片幾乎沒有遮蔽物的廣闊平原上,上杉景虎的軍勢與慶次所屬的長尾景勝的軍勢正相對峙。
慶次は静子から借り受けている遠眼鏡で敵陣を眺めながら呟いた。遮るものの少ない広々とした平野部に於いて、上杉景虎(かげとら)の軍勢と、慶次の属する長尾景勝の軍勢が向かい合っている。
因為景虎突如其來地向景勝扔出挑戰狀,決戰才在既非尾張也非越後的越中成行。除了從尾張隨行的人質隊之外,還有從越後趕來的手勢會合,因此兵力上景虎約為六、景勝約為四的比例。
突如として景虎が景勝に対して挑戦状を叩きつけたが為、尾張でも越後でもない越中での決戦が実現する運びとなったのだ。尾張からの付き従っている人質組のほかに、越後から駆けつけてきた手勢が合流することにより、兵数に於いては景虎が六に対して景勝は四程度の比率となっている。
「原以為會更放手一搏,果然是將器啊。士兵身上看不出動搖呢」
「もっと捨て鉢になっているかと思ったのですが、流石は将器と言うところでしょうか。兵に動揺が見られませんね」
慶次將望遠鏡遞過去,四六同樣眺望敵陣回應道。慶次與四六所駐之處為景勝軍本陣,大將景勝在內,直臣兼續等人質俱在。
慶次から遠眼鏡を受け取り、同じように敵陣を見渡しながら四六が応えた。慶次と四六が詰めている場所は、景勝軍本陣であり大将の景勝をはじめ、直臣の兼続などの人質組が揃っている。
然而,謙信及其家臣並不在場。因為他們必須堅守中立立場,在上杉家中處於特殊位置。其他諸將則依派系分裂成兩派,親北條者投向景虎,親織田者則各自前往支援景勝的陣地。
しかし、謙信及び彼の家臣の姿はない。彼らは中立の立場を貫かねばならぬため、上杉家の中でも特殊な立ち位置となっている。それ以外の諸将は派閥によって二分され、親北条派は景虎へ、親織田派は景勝を支援すべくそれぞれの陣へと参じている状況だ。
即便如此,曾作為人質在尾張渡過數年的景勝派系已被切崩,許多有力將兵皆轉而歸附景虎一方。
それでも人質として数年ものあいだ尾張で過ごしていた景勝の派閥は切り崩され、有力な将兵の多くは景虎側に付き従ってしまっている。
在那種情況下仍選擇站在景勝一方的人,有的是被成為主流的親北條派冷遇的旁流,也有的是作為堅定的譜代舊臣而信奉景勝能復權,情形各異。
そんな状況下でも景勝側に付いた者たちは、主流派となった親北条派に冷遇された傍流であったり、筋金入りの譜代の臣ゆえ景勝の復権を信じていたものだったりと実に様々だ。
「彼我之勢力差明顯啊」
「彼我(ひが)の勢力差は明らかだな」
本就兵力不足的景勝一方還有另一個隱患,那就是因為是湊集而成的軍隊難以協調配合。
ただでさえ兵数で劣る景勝側には、更に不安要素が存在した。それは寄せ集めの軍隊ゆえの連携不能である。
在作為群體而非個體戰鬥的戰場上,必須反覆訓練才能步調一致。行軍至今已暴露這一事實,景勝軍連進軍速度都無法同步。
個では無く群として戦ういくさに於いて、幾度となく訓練を繰り返すことによって足並みを揃えることが可能となる。ここまでの行軍でも露呈した事実だが、景勝軍は進軍速度ですら上手く揃えることができなかった。
不過,這本來也非致命的問題。所謂像近代戰鬥那樣小部隊互相協同、有機執行作戰的情形多為空想,通常是靠陣太鼓等號令大致指示前進或後退,其餘則交由現場判斷。
しかし、これは元より致命的な問題とはなり得ない。そもそも近代戦闘のように小部隊同士が連携し合って有機的に作戦を遂行するなどというのは絵空事に過ぎず、大抵は陣太鼓などの合図で大まかに前進と後退を指示し、後は現場の判断に任せるしかないのだ。
「嗯……北條無法提供援助這事恐怕已被隱瞞了。說到底,被留在將沉沒的船上也太過樂觀了,士兵們的神情過於輕鬆」
「ふうむ、北条からの支援が望めぬことは伏せられておるのやも知れぬな。いくら何でも沈みゆく船に取り残されたにしては、兵の表情が楽観的に過ぎる」
表面上看似佔優勢的景虎軍,實際上只是如履薄冰般撐著。本來打算趁謙信不在之機奪取上杉家,並與武田家、北條家一同夾擊殘黨。
一見優勢に見える景虎軍だが、その実は薄氷を踏む思いで持ちこたえているに過ぎなかった。本来であれば謙信不在の隙をついて上杉家を乗っ取り、武田家・北条家と共に残党を挟撃する手筈であったのだ。
然而事實卻是,謙信以積雪為由留在越後不出兵,而與北條結盟的武田家則被織田家所滅。
ところが蓋を開けてみれば積雪を理由に謙信は出兵せずに越後に留まり続け、北条家と同盟を結んでいる武田家は織田家によって滅ぼされてしまった。
武田家一滅,向謙信的北條攻打之參陣請求便已抵達,親北條派的景虎等人立場在一刻刻惡化之際又疊加了更不利的條件。
武田家が滅んだ時点で謙信の許へと北条攻めへの参陣要請が届いており、景虎ら親北条派の立場は刻一刻と悪化する中、更に悪条件が重なった。
若照此發展,上杉家將與織田家一同攻打北條,處於兩難的親北條派勢必首先在最前線被消耗殆盡。
このままでは上杉家は織田家と共に北条攻めに加わることになり、板挟みとなる親北条派などは真っ先に最前線で使い潰されることが目に見えている。
於是景虎向本家北條密寄書信,請求派兵援助以協助推翻上杉家。
そこで景虎は親元でもある北条へと密書を送り、上杉家転覆に対する援軍を送ってくれるよう要請した。
然而北條始終沒有給出令人滿意的回覆。換言之北條家自顧不暇,意思是自己的屁股要自己擦。
しかし、ついぞ北条から色よい返答が戻ってくることは無かった。要するに北条家は自分たちのことで手一杯であり、自分の尻は自分で拭けという事である。
被逼入絕境的景虎作為乾坤一擲,提出了至今堅決避免的正面繼承者爭奪。
窮地に追い込まれた景虎は乾坤(けんこん)一擲(いってき)の策として、これまで頑なに避けてきた真正面からの後継者争いを突きつけた。
這是對日益惡化情勢匆促提出的權宜之策,卻產生了出乎意料的效果。
日毎に悪くなっていく状況に焦って打ち出した窮余の策であったが、これが予想以上の効果を生み出した。
諸將認為在此情況下仍敢堂堂宣戰,便是已取得北條的合作。
この状況下で尚、堂々と宣戦布告を行うということは北条からの協力を取り付けられたのだと諸将が判断したことだ。
更甚者,此舉亦成功挫敗了景勝雖兵少卻集合精銳試圖奇襲的先機。假設無意義,但若當初允許景勝等人進入越後,極可能連武裝暴起都來不及,早已被討滅。
更に言えば寡兵ながら精鋭を揃えての奇襲作戦を試みていた景勝の出鼻を挫くことにも成功している。仮定の話は無意味だが、仮に景勝たちの越後入りを許していれば、そもそも武装蜂起すら叶わず討ち取られていた可能性が高い。
「兵力不足,且練度又不如對方,究竟該如何作戰呢」
「兵数で劣り、しかも練度も相手が上と来ている。はてさて如何に戦ったものやら」
臨時拼湊的軍隊難以執行複雜的戰術。然而若以正面硬拼,因兵數與練度劣勢而敗亡是必然的結局。
急造の軍隊で複雑な作戦など実行しようがない。しかし、真正面から力押しをしては兵数及び練度で劣る自軍の敗北は自明であった。
因此景勝擬定以自己為誘餌、短期決戰為前提的作戰。此策連倉促成軍也能施行,且若時機恰當便可當場決出勝負的必殺計。
そこで景勝は己を囮(おとり)とした短期決戦を前提の作戦を立案する。急ごしらえの軍でも遂行でき、尚且つ上手くハマればその場で決着が付く必殺の策であった。
所以景勝承擔的風險極大。一旦出錯可能被斬首,敗北立即確定,但景勝仍認為值得一試。
それ故に景勝が負うリスクは極大となる。一歩間違えば大将首を取られ、その時点で敗北が決定するのだが、景勝はそれでも良いと考えた。
無論如何,若景勝不勝,上杉家便無明天。思索敗時之事只是徒勞。
いずれにせよ景勝が勝たねば上杉家の明日は無くなるのだ。負けた時のことなど考えるだけ無駄というものだろう。
「那麼,我也去前線駐守一番吧。既是決戰的要地,也可能是見證決著的特等席位」
「さて、それじゃあ俺も(・)前線に陣取らせて貰うとするかな。勝負を決する要でもあり、決着を見届ける特等席にもなりそうだ」
慶次如此說罷,右拳敲在伸出的左掌上,做出如中國武術常見的抱拳禮狀,激起一股氣勢。
慶次はそう言うと右手の拳を伸ばした左手の掌に打ち付ける、中国武術で良く見られる抱拳礼のような仕草で気合を入れた。
景勝的作戰並不複雜,將己軍大致分為三個部隊,重新編成左右兩翼與中央部隊。
景勝の作戦はそれほど難しいものではない。自軍を大きく三つの部隊に分け、左右両翼と中央の部隊に再編成する。
兩翼部隊主要以練度較差者為主,讓持較長槍的兵與以大盾幾乎覆蓋全身的盾兵並列,專心防禦。
左右両翼の部隊については、特に練度に劣る者たちを中心に構成され、通常の物よりも長い槍を持たせた兵と、体を丸ごと覆って余りあるほどの大盾を持った兵を並べて防御に専念させる。
前列僅由盾兵構成,後方的槍兵從盾陣的空隙出擊。全力的目的僅在將敵人釘住不動。
最前列は盾兵のみで構成され、その隙間から後方の槍兵が攻撃するという仕組みである。全力で敵をその場に釘付けにすることだけに専念するのだ。
後列由較有經驗者支援,承受敵方攻勢以防止戰列崩潰,並逐步強迫對方出血耗損。
後列からは比較的経験豊富なものが支援し、戦列が崩壊するのを防ぐという相手の攻撃を受け止め、じわじわと出血を強いることになる。
至於中央部隊,則集結全軍中精挑細選的精銳,由人質組及上杉家譜代的臣與其士兵團結守備。
一方中央の部隊はと言えば、全軍の中でも選り抜きの精鋭が集められ、人質組及び上杉家譜代の臣とその兵士たちで固められている。
儘管將兵練度極高,武裝上仍無異於兩翼,僅為長槍與大盾。
極めて練度が高い将兵が揃っているというのに、武装は長槍と大盾という両翼の部隊と代り映えのしないものとなっていた。
然而靜子親製的一整套鎧甲極為醒目。極彩色的陣羽織、鮮豔的朱紅大鎧以及鍍膜的兜前立皆反射陽光,耀目非常。
それでも静子謹製の鎧一式はひどく人目を惹いた。極彩色の陣羽織や目にも鮮やかな朱色の大鎧、兜の前立てもメッキが施されており、陽光を反射してまぶしく輝いている。
此外大量旗指物聚集一處,連笨蛋都一眼能看出大將在此,顯示出極度危險的招搖氣勢。
更には旗指物も大量に集められ、馬鹿でもここに大将が居ますよと一目で判る危険極まりない傾(かぶ)きっぷりを見せていた。
這種異常的陣勢似乎也立刻傳到景虎那邊,在真正交鋒前的口舌戰中便被視為挑釁,遭到激烈指責。
この異様な陣立ては、景虎側にも即座に伝わったようで、本格的に刃を交える前の詞戦(ことばだたかい)に於いても、挑発的と受け取られたようで散々に詰(なじ)られた。
景勝方面則更進一步挑釁那些卑鄙的傢伙,示意大將就在這裡,不要膽怯,來就來吧。
対する景勝側は卑怯者の貴様らにも、大将がここにいると示してやっているのだ、臆(おく)せずして掛かってこいと更なる挑発を重ねさえした。
既然事到如今,景虎也不可能坐視不管,敵方將主力集中於中央,佈下魚鱗陣欲以一點突破。
ここまでされては景虎としても捨て置くことなど出来ようはずもなく、敵も主力を中央に集めて一点突破を図る魚鱗の陣形を敷いた。
「好了,話已說盡。從今起我們就是修羅了。前田殿,我還想於戰後與你共飲一杯,千萬別死啊」
「さて、互いに言葉は尽きた。これより我らは修羅となる。前田殿、お主とはいくさの後も盃を交わしたいものだ、ゆめゆめ死んでくれるなよ」
「那可是難辦的事啊。生死全賴天意。反正終有一日大家都會赴泉下,先走的人就悠閒等著吧」
「そいつは無理な相談だ。生きるか死ぬかは天のさじ加減一つよ。なあにいずれ皆泉下に向かうんだ、先に逝った方はのんびり待てば良かろう」
「真是至理名言。那麼就讓我在前田殿的墓碑上刻上『天下無雙的傾奇者,酒瓶在手於泉下等候』吧」
「至言よな。それでは前田殿の墓標には『天下無双の傾奇者、酒瓶片手に泉下で待つ』と刻ませて貰おう」
「真不吉利。生死乃兵家常事,但願活著一起望見朝日。」
「縁起でもない。生死は兵家の常なれど、生きて朝日を共に拝もうぞ」
兼續與慶次如此互相戲謔幾句後,相擊拳頭一番便分頭離去。
兼続と慶次はそう互いに軽口をたたき合うと、掲げた拳を打ち合わせて分かれていった。
順帶一提,四六被置於本陣最後方,靠近輜重隊(負責後勤補給的運輸部隊)。不管武藝多麼高強,初陣絕不能讓他上前線。
因みに四六は本陣の最後尾、輜重(しちょう)隊(兵站を担う輸送部隊)の付近にとどめ置かれている。如何に武芸の腕を示そうとも、初陣で最前線に出すような真似は出来ない。
這是慶次認為讓他站在戰場、親身體驗生死氣氛即可之見。四六從未真正殺過人,也不覺得自己能在戰場上有用,於是欣然接受。
いくさ場に立って、生き死にの場の空気を体験できれば良いと言う慶次の考えに拠るものだった。そして己が実際に人を殺したことがなく、いくさ場に於いて役に立てると思っていない四六はこれを快く受け入れた。
當景虎軍與景勝軍相互對峙、緊張氣氛達到頂點時,不知從哪方先起,法螺貝吹響,隨著陣太鼓的聲音,景虎軍開始行動。
そして景虎軍及び景勝軍の双方がにらみ合い、張り詰めた緊張が頂点に達した頃、どちらからともなく法螺貝が吹き鳴らされ陣太鼓の音と共に景虎軍が動き出した。
面對橫成一線的景勝陣勢,景虎率領的本隊及一支部隊試圖向中央一點突破。
横一直線に広がった景勝側の陣形に対し、一点突破を図ってか景虎率いる本隊を含む一団が中央突破を試みた。
以騎兵為先、重視突破力的衝鋒,卻被布陣於景勝軍後方的鐵炮隊形成互相斜前方射擊而產生的十字火力區吞沒。
景虎軍の騎馬を先頭に据えた突破力重視の突撃は、しかし景勝軍後方に陣取った鉄砲隊が互いに斜め前方を射撃した結果生まれた十字砲火ゾーンに呑まれた。
但因未能準備足夠的鐵炮,仍讓出些許突破口,這股衝擊遂撲向景勝軍的前線部隊。
それでも十分な鉄砲を用意できなかったが為にいくらかの突破を許し、これが景勝軍の前線部隊へと襲い掛かった。
然而,景勝軍的應對近乎瘋狂:以能承受時速數十公里衝擊、總重逾三百公斤的大盾直立於地,並以長槍迎擊來襲的人馬。
しかし、これに対する景勝軍の対処は狂気じみたものであった。時速数十キロで突進してくる人馬含めて三百キロを超える重量を地面に打ち立てた大盾と、長槍で迎え撃ったのだ。
有些士兵當場被踏成碎屍,屍體慘遭曝露於野,然而可怕的是,大多數人被當場釘住或被彈開,衝勢因此被削減。
何人かの兵士はあえなく踏みつぶされ、無残な屍を野に晒すことになった。しかし、恐ろしいことにその大多数をその場に縫い留めたり、もしくは弾き逸らして勢いを削った。
這成果背後是對鋼鐵加固的大盾與長槍的巧思。大盾設有抽拉式支架,將其刺入地面並斜向支撐,即可構成堅固無比的壁障。
この成果の裏には鋼鉄で補強された大盾と長槍にこらされた工夫があった。大盾には引き出し型の支持架が存在し、これを地面に突き刺して斜めに支持することで堅牢かつ強固な壁とすることが出来た。
此外,長槍亦仿效西洋的矛列,將槍尖刺入地面後由士兵從上方踩住固定,形成以人力支撐的逆茂木,能刺穿馬匹或將騎兵連人掀下馬。
更には長槍も西洋のパイクに学び、石突を地面に突き立てた上に兵士が上から踏んで固定し、人力の逆茂木(さかもぎ)とすることで馬を貫いたり、馬上の将を落馬させたりしたのだ。
即便如此,或因承受了大質量衝擊,中央相較兩翼內凹,乘勢而起的景虎軍一舉猛攻上前。
それでも大質量の打撃を受けたためか、左右両翼に対して中央が内側に凹んだ形となり、勢いに乗った景虎軍は一気呵成(かせい)に攻め寄せた。
一旦陷入混戰,兩翼的火力支援便無從發揮,加上兵力差異,中央部逐步被往內壓迫推進。
混戦に持ち込まれてしまえば両翼からの火力支援も叶わず、兵数の多寡もあってか次第に奥へ奥へと中央部のみが押し込まれていく。
中部前線的將士雖以決死的奮戰拼殺,但仍被一步步壓退。不過景勝軍士兵其實在彼此協同下巧妙地持續後撤。
中央部隊の前線を支える将兵は決死の奮闘で善戦するものの、じりじりと押し込まれてしまっていた。否、景勝軍の兵たちは互いに連携しながら巧みに後退を続けていたのだ。
然而,當景勝的馬印就露在眼前時,自軍雖向前推進,卻未曾察覺敵兵實際並未遭受太多損耗。
しかし、目前に景勝の馬印を晒されては、自軍は前方に押し込んではいるものの、敵兵自体それほど損耗していないことについぞ気づくことが出来なかった。
「好!很好,就這樣。大將的頭顱就在眼前,誰若擒獲首級便賞你想要的獎賞!」
「よし! 良いぞ、この調子じゃ。大将首は目の前ぞ、首級を上げた者には望みの褒美を取らす!」
景虎也大聲鼓舞士兵,士氣高漲下隊伍更加積極攻擊敵軍。
景虎も大声を張って兵を励まし、その勢いに乗って兵士たちも盛んに敵を攻め立てた。
於是絕望的牢籠完成了,不知不覺間景虎軍被困於如章魚壺般入口縮小的包圍網中。
そして絶望の檻は完成した。いつの間にか景虎軍は蛸壷(たこつぼ)のように入り口を狭めた包囲網の中に閉じ込められていた。
再者,在景勝軍兩翼末尾埋伏的工兵之手,封死了那唯一的活路──壺口。
更に景勝軍両翼最後尾に伏せられていた工兵達の手によって、唯一の活路である壷の口は閉じられた。
以尾張引以為傲的製鐵技術打造的劃時代新裝備──纏於木樁上的鐵刺線被拉設成網,成了阻絕援軍與景虎等人從死地脫逃的鐵桶蓋。
尾張が誇る製鉄技術の粋で作られた画期的な新装備、木の杭に巻き付けられた有刺鉄線が張り渡され、援軍が駆けつけることも景虎たちが死地から逃れることも出来ない蓋となって立ち塞がる。
在史實中,鐵刺線於第一次世界大戰的壕溝戰被大規模使用並證明其效用,但對於這個時代的人來說,鐵刺線的威力遠超過他們所能輕易處理。
史実では第一次世界大戦に於いて塹壕戦で大々的に使用され、その有効性を証明した有刺鉄線はこの時代の人間の手には余るものであった。
細而強韌、同時具彈性的鋼線,不論用刀砍或以槍刺都無法輕易破壞;就算徒手欲撐開縫隙,尖刺也會刺入,敵人也絕不會放過那種無防備的模樣。
細いが強靭かつしなやかな鋼線は、刀で斬ろうが槍で突こうが大きく破損させることが出来ない。手で隙間を広げようにも棘が刺さるし、そんな無防備な姿を敵が見逃してくれるはずもない。
當景勝軍兩翼從左右夾擊施壓,而此前一直專注防守、緩慢撤退的景勝本隊轉為反擊時,形勢徹底逆轉。
そして景勝軍両翼が左右から圧を掛け、今まで防御に徹してじりじりと撤退していた景勝軍本隊が反撃に転じたことによって形勢は完全に覆った。
「這、這是什麼聲音!?」
「な、なんの音だ!?」
景虎注意到從後方傳來宛如用大槌將木樁敲入地面的咚咚聲。
景虎は後方から聞こえる木製の杭を大槌で地面に打ち込むようなガンガンという音に気が付いた。
但即使察覺也已為時已晚,四周的慘叫聲無情地告訴他,他已被逼入無可挽回的境地。
しかし、気が付いたところで既に手遅れであり、今更どうすることも出来ない状況に追い込まれた事が周囲から聞こえる悲鳴によって嫌でも知れた。
「啊、啊啊──!!別推!尖刺會刺進來!!」
「ぎ、ぎゃー!! 押すな棘が刺さる!!」
「我也被從後面推著,退、退開啊──!!」
「わしも後ろから押されておるのじゃ、下がれ下がれー!!」
被反轉攻來的景勝軍與兩翼部隊夾擊,縱長延伸的景虎本隊變成了逃竄士兵將其他同袍推擠到鐵條網上的地獄景象。
反転して攻めてくる景勝軍と、左右両翼の部隊に押しつぶされ、縦に伸びた景虎軍の本隊は逃げる兵士が、鉄条網にほかの兵士を押し付けるという地獄絵図のごとき様相を呈していた。
一下子便從優勢轉為被困死地。對景虎而言這就像噩夢,而那噩夢每一刻都愈發慘烈。
気が付けば優位な状況から一気に死地に囚われていた。景虎からすれば悪夢そのものの状況だが、その悪夢は刻一刻と凄惨さを増していく。
即便如此,景虎仍集結殘存兵力整頓隊形,欲向敵薄弱處突圍,此時血花濺在他側臉上。
それでも残された手勢を纏めて部隊を立て直し、敵の薄い個所を目指して一点突破を図ろうとしていた景虎の横顔に血飛沫が掛かった。
抬眼見到一名虎紋陣羽織染血的武士,揮舞著前所未見的巨大刀刃長柄武器,將士兵的首級斬飛。
見れば虎柄の陣羽織を血に染めた武者が、見たことも無い巨大な刃を持つ長柄の武器を振り回し、兵士の首を刎ね飛ばしたところであった。
那正是慶次,揮舞著在末端裝有厚重粗獷、如大砍刀般的刃的長柄武器。
それは長巻きと呼ぶには分厚く無骨な大鉈じみた刃を先端に具(そな)えた武器を振るう慶次の姿であった。
「喔喔,找到大將首了。敵將景虎就在這裡。你們給我撐住!」
「おっと、大将首を見つけたぜ。敵将景虎ここにありだ。お前ら踏ん張れ!」
說罷慶次大幅橫掃手中兵刃,旋風般的斬擊掠過,刃路上的士兵被捲入如保齡球瓶般飛出。
そう叫ぶと慶次は得物を大きく薙ぎ払った。旋風の如き斬撃が走ると、刃の進路上にいた兵士が巻き込まれてボウリングのピンのように飛ばされる。
衝入慶次開出的空隙後,景勝軍的士兵迅速進入,阻止了試圖封鎖通往景虎之路而湧上的景虎軍。
慶次の切り開いた空間へとすかさず走り込んだ景勝軍の兵士が、景虎へと通じる道を塞ごうと押し寄せる景虎軍を押しとどめた。
隨著事態發展,左右夾攻的壓力愈發增強,守護景虎的手勢接二連三被討ち取られていく。
そうするうちにも左右から掛けられる圧力は増し、景虎を守る手勢は次々と討ち取られていく。
終於,景勝軍的士兵逼近景虎,將槍指向他。被制伏的景虎軍士兵也投降,景虎的馬印被降下,景勝的旗幟被舉起。
そして遂に景勝軍の兵士が景虎へと迫ると槍を突きつけた。景虎を押さえられた景虎軍の兵士も投降し、景虎の馬印が下され景勝のものが掲げられる。
就這樣勝負已定,得知本陣被奪的其他部隊也紛紛棄械投降。
こうして勝敗が決し、本陣が落とされたことを知ったほかの部隊も次々と武器を捨てて投降していった。
被解除武裝並以腰繩束縛坐著的景虎面前,帶著兼續的景勝出現了。
武装を解除され腰縄を打たれた状態で座らされていた景虎の許へ、兼続を伴った景勝が現れた。
「勝負已定。處置稍後由御實城大人下達,暫且安分守己」
「勝敗は決した。沙汰は追って御実城(おみじょう)様が下されよう。今しばしおとなしくしておれ」
「哼……荒唐之語。夢想篡奪國土,若夢破碎,何必等待處置!」
「ふっ……戯言(ざれごと)を。国盗りを夢に見、それが破れたならば沙汰を待つまでもない!」
景虎為篡奪越後而起兵的夢想破滅了。景虎的矜持不允許他為保全身命而去忍受等待裁決的活生恥辱。
越後を簒奪(さんだつ)せんと蜂起した景虎の夢は破れた。我が身惜しさに沙汰を待つような生き恥を晒すことは景虎の矜持が許さなかった。
「那就切腹吧! 介錯由我來行」
「ならば腹を切れい! 介錯はわしが務めてやろう」
「惶恐」
「忝(かたじけな)い」
景虎只說了那句話便脫下鎧甲,掀開上衣,將景勝拋給他的刀刺入腹中。
景虎はそれだけ口にすると鎧を外し、上衣をはだけると景勝から投げ渡された刃を腹に突き立てた。
強忍將要洩出的苦鳴,口角流血,仍以一字刀將腹部割開示眾。
漏れそうになる苦鳴を押し殺し、口の端から血を零しながらも真一文字に腹を掻っ捌いて見せる。
「好樣的。後事交給我處理」
「お見事。後のことは任されよ」
說罷,景勝揮刀向景虎的首級斬下,命屬下淨洗其首,細心以風呂敷包好,收進已準備的木箱中。
それだけを告げると、景勝は景虎の首めがけて刀を振り下ろした。景勝は配下に命じて景虎の首を清めさせ、丁寧に風呂敷で包むと用意してあった木箱に収めた。
如此一來,決定越後之龍上杉謙信繼承者的戰役以景勝的勝利落幕。
こうして越後の龍こと上杉謙信の後継者を決めるいくさは景勝の勝利で幕を閉じた。
東國情勢瞬息萬變。被譽為戰國最強的武田家在短短一月內滅亡,而上杉家中爆發的家中騷動也被迅速平息。
東国の情勢は目まぐるしく変化していた。戦国最強と謳われた武田家はわずか一月で滅び、上杉家にて勃発したお家騒動もたちどころに鎮火させられてしまった。
本應與之命運共結的北條保持沉默。更確切地說是本欲採取行動,但在猶豫方針之際,一切已被決定。
これらに対して運命共同体であるはずの北条は沈黙を保っていた。正確には手を打とうとしていたのだが、方針を決めあぐねている間に決着がついてしまったのだ。
對於不知內情者而言,下一個織田家的目標明顯是北條,不見任何動作的北條因此愈發令人起疑。
内情を知らないものからすれば、次に織田家が目指すのは北条であるのは明白であり、何ら動きを見せない北条に対する不信感を募らせている。
其中蘆名、伊達、最上三家尤其焦慮。因為北條家牽頭並作為反織田的協力者,他們恐懼若維持現狀,不久便可能落入織田之手。
中でも蘆名(あしな)、伊達(だて)、最上(もがみ)の三家は焦っていた。北条家が音頭を取り、反織田として協力していたため、今のままでは遠からず織田の手が己に及ぶやも知れぬと恐怖した。
儘管如此,三家並非明確對織田舉旗反叛。他們只是站在看似能勝利的北條一方;既然北條已無勝算,便必須換乘下一匹勝利之馬。
それでも三家は明確に織田家に対して反旗を翻したわけではない。単に勝ち馬となりそうな北条に味方していただけであり、北条に勝ちの目が無いのであれば次なる勝ち馬に乗らなければならない。
也就是向織田家倒戈。然而三家都了解信長的苛烈性格,若不帶任何手土産就提出投誠,恐怕根本不會被接受。
それは即ち、織田家への寝返りだ。しかし三家とも信長の苛烈な性格は把握しており、なんの手土産もなしに寝返りを打診したとて到底受け入れては貰えまい。
各自為保留自己血脈,正在尋找生存之道。
各々が自分の血を残すため、生き残る術を模索していた。
「正如所料,同盟已經崩壞了呢」
「思った通り同盟が崩壊したね」
靜子一邊翻閱真田昌幸帶來的有關北條的調查報告書,一邊喃喃說道。不僅東北三家,里見與佐竹也顯得動搖。當然,我方也透過外交施壓,但那聯繫實在太脆弱。
静子は真田昌幸の齎した北条に関する調査報告書に目を通しながら呟いた。東北の三家に限らず里見や佐竹も動揺しているようだ。無論、こちらからも外交を通じて揺さぶりをかけているが、それにしても結びつきが脆すぎた。
作為反織田同盟支柱的武田、北條的一翼一旦喪失,這個僅靠利害維繫的同盟便立刻瓦解。
反織田同盟の要である武田、北条の片翼が失われた途端、利害のみによって成り立っていた同盟はたちどころに崩壊した。
脫離同盟之人各自為保身奔走,照此情勢,柴田所率的小田原之戰看來只需與北條一處對陣,靜子暗自竊喜。
同盟を脱した面々はそれぞれが保身に走っており、この分では柴田が率いる小田原攻めでは北条だけを相手取れば良いことになりそうだと静子はほくそ笑む。
「在我們攻入之前,別自己先死了,那可就麻煩了」
「俺たちが攻め込む前に勝手に滅ばれては困るぞ」
信忠啜飲茶杯低語。看到他如此悠然,靜子不禁頭痛。
湯呑から茶を啜りながら信忠が呟く。気楽に構えている信忠を見て静子は頭が痛くなった。
靜子對於信長與信忠的父子爭執向來不干預並保持距離,但處於風暴中心的信忠帶著松姬衝到靜子宅邸,讓她不得不被捲入。
静子は信長と信忠の親子喧嘩に関しては不干渉を貫き距離を置いていたのだが、渦中の人物である信忠が松姫を伴って静子邸へと押しかけてきたため、否応なしに巻き込まれてしまった。
雖說處於蟄居,但信忠都來到尾張了,不能只叫他回岐阜,於是靜子開了閉門,將他們迎入。
蟄居中であるとは言え、信忠に尾張まで押しかけられては岐阜に帰れとは言えないため、閉門していた門を開いて彼らを招き入れることになる。
出乎意料的是,信長沒有多說什麼而選擇靜觀,對靜子的詢問只是回了句「替我讓那個愚蠢的兒子冷靜一下」
これに対して意外にも信長は何を言うでもなく静観を保ち、静子からの問い合わせに対し「馬鹿息子の頭を冷やしてくれ」とだけ返していた。
得不到明確指示的靜子,暫且將兩人引入客間,作為客人招待。
明確な指示を得られなかった静子は、とりあえず二人を客間に通して客人として遇することにする。
如此一來,信忠一邊在尾張處理政務,一邊享受著難得的假日。現在他還靠在松姬的膝枕上,翻閱靜子讀畢的報告書。
そうして信忠は尾張から政務をこなしつつ、時ならぬ休日を満喫していた。今も松姫に膝枕をして貰いながら、静子が読み終えた報告書に目を通している。
「別逞強,向上樣道歉吧?在你做不到之前,討伐北條這件事沒有你的立足之地」
「意地を張ってないで上様に謝ったら? それが出来ないうちは、北条攻めに君の居場所はないよ」
「喂喂,那可不行。我是東國征伐的總大將啊?就算柴田來指揮討伐北條,我也不可能不參戰」
「おいおい、それはないだろう。俺は東国征伐の総大将だぞ? 北条攻めの指揮は柴田がとるにせよ、俺が参戦しないことはあり得ないはずだ」
「若有不滿就去跟上樣說吧。那是以朱印狀送達的正式命令。你既然挑起了動搖織田家根基的風波,或許因此被認為不宜任總大將」
「不満があるなら上様に言ってね。朱印状で届けられた正式な命令だから。織田家の屋台骨を揺るがす騒動を起こしたままの君には、総大将を任せておけないと思われたのかもね」
「這可怎麼辦……」
「なんてこった……」
信忠悄然垂首。他原本打算在討伐北條中立下突出戰功,以此向內外證明自己是信長的合適繼承人。
信忠は悄然と項垂れる。彼の目論見では北条攻めでも出色の手柄を立て、信長の後継者に相応しい人物であると内外に知らしめるつもりであった。
然而,那個機會被正是信長之手奪去了。要讓信忠在此情勢下參戰討伐北條,必須先對動搖織田家繼承問題的事端做出決斷。
しかし、その機会は他ならぬ信長の手によって奪われてしまった。この状況から信忠が北条攻めに参戦するには、織田家の継承問題を揺るがしたことに対して決着をつけねばならない。
「喂,你為何執著於正室之位?我觀察了幾日,不覺得松姬是自願想要正室之位的」
「ねえ、どうして正室に拘ったの? ここ数日様子を見ていたけれど、松姫が自分から正室の立場を欲したようには思えないんだけど」
「不要對外說喔?我是靜子所以才相信地告訴你。我手下的諸將建議要把松降為連側室都稱不上的妾……」
「他言するなよ? 俺は静子だから信じて話すのだ。俺の配下にいる諸将から松を側室ですらない妾(めかけ)にするよう具申されたんだ……」
就連靜子也不由得倒吸一口氣。雖說她是亡國的公主,但對於今後仍要治理的舊武田領民眾而言,她是深受信玄恩惠的遺孤。
さすがの静子も思わず息を飲んだ。亡国の姫とは言え、今後も統治を行う旧武田領の民にとっては大恩ある信玄の忘れ形見である。
把她當作側室接待,民心印象會大幅改善,統治也會更容易。真的有必要逼到那種程度去貶低松姬嗎?
彼女を側室として遇することで民たちの心証はぐっと良くなり統治もしやすくなるだろう。それを押してまで松姫を貶める必要があるのだろうか?
多年作為宿敵互相敵視,難免在兵戈相見中有人命往來,造成親人被害等摩擦是有的。
長年宿敵としていがみ合ったがゆえに、命のやり取りが生じた結果、身内を殺された等の軋轢はあるだろう。
然而既然從事戰事,生死本屬常事,我方也已殺傷相當數量的敵方;這種程度應該被當作戰爭的不成文規則接受。
しかし、いくさをする以上は生き死には当然のことであり、こちら側も相当数の敵方を殺傷している。その程度はいくさの不文律として受け入れているはずである。
「好痛!」
「いってえ!」
因為靜子陷入沉思,無事可做的信忠便想抽取靜子尚未看過的書類。
静子が考え込んでしまったため、手持無沙汰になった信忠は静子がまだ目を通していない書類を抜き取ろうとした。
然而,在信忠的手抓到文件之前,靜子不知何時拿出的扇子拍打了信忠的手背,阻止了他的冒失行為。
しかし、信忠の手が書類を掴む前に静子がいつの間にか取り出した扇子で信忠の手の甲を叩いて暴挙を阻止した。
「不要擅自碰!」
「勝手に触らない!」
「看你在沉思,我想說先幫你把事情推進一點……」
「考え込んでるようだったから、少しでも仕事を進めてやろうと思ってだな……」
「別說你沒打算做的事。我知道你有興趣,但在我看過之前偷看就是越權行為。只准做我判定可以的事。」
「思ってもないことを言わない。興味があるのはわかるけど、私が見る前に覗くのは越権行為だからね。私が良いと判断したものだけになさい」
說罷靜子收起裝有報告書的文箱,交給在後方侍候的小姓,讓他退到隔間去待命。
そう言うと静子は報告書の入った文箱を片づけ、背後に控えていた小姓に預けて隣室へと下がらせた。
「那麼,建議把松姬當妾的你是怎麼做的?」
「それで松姫を妾にするよう進言された君はどうしたの?」
「比我想的還多人,我覺得若就這樣放著不管松會有危險,於是反而表明要讓她成為正室,好讓父上也聽見這件事。」
「それが思ったよりも大勢いてな、このまま放置しては松の身が危ういと思い、逆に正室にすると表明することで父上の耳にも入るようにしたのだ」
「原來如此。把問題擴大反而讓暗中搞鬼的人沒法行動。但如果要那樣做,事前還是得先做些內部溝通才行……」
「なるほどね。問題を大きくすることで逆に暗躍できないようにしたんだ。でも、それならそうと先に根回しをしておかないと……」
「有迫在眉睫的威脅,連我都不敢離開松身旁一步。」
「差し迫った脅威があったんだ。俺が松の傍を離れることすら躊躇われるほどにな」
「是這樣啊。那我就替你向上樣說情,你就乖乖在大家面前道歉吧。」
「そうだったんだ。それじゃあ、私から上様に口利きをしてあげるから、素直に皆の前で謝罪なさいな」
「我不是說過別對外說嗎!」
「他言するなと言ったはずだ!」
「現在已經不是能說那種話的情況。照這樣下去,就算是上樣也會被逼到不得不廢嫡你的地步喔?」
「そんなことを言っていられる状況じゃないの。このままだと上様としても君を廃嫡しなくちゃいけない処まで追い込まれているんだよ?」
「雖然你這麼說,但男人一旦說出口的話,改口實在……」
「そうは言うがな、男が一度口にしたことを曲げるなど……」
「閉嘴!你低頭也不會讓你的價值降低,死撐到底有什麼意義?松姬也會被一起連累啊?」
「黙らっしゃい! 頭を下げたところで君の値打ちが下がるわけじゃなし、意地を張って死ぬことに何の意味があるの? 松姫も道連れになるんだよ?」
被這麼一說後,信忠也無言以對,懊惱地沉默。靜子見狀心情大好,輕拍自己的胸口,表示會承擔此事。
そう言われては信忠としても返す言葉がなく、口惜し気に押し黙った。それに気を良くした静子が、己の胸を軽く叩いて請け負う。
「這件事就交給這位靜子姊姊來處理吧。」
「ここはこの静子お姉さんに任せておきなさい」