戦国小町苦労譚
被遺忘的故事
信長的妹妹お市與她的三個女兒茶々、初、江一起住在靜子宅邸。
信長の妹にあたるお市は、娘である茶々(ちゃちゃ)、初(はつ)、江(ごう)と共に静子邸で生活している。
曾為信長正室的濃姫也曾在靜子宅邸逗留,但隨著義子信忠入城岐阜,她已將居所遷往岐阜。
かつては信長の正妻である濃姫も静子邸に逗留(とうりゅう)していたのだが、義理の息子である信忠の岐阜入城に合わせて、居を岐阜へと移した。
話雖如此,並未與靜子斷絕往來,她時常到尾張的靜子宅邸拜訪並使人手忙腳亂,周而復始。
とは言え、静子と没交渉となることなく、折に触れて尾張の静子邸を訪ねては振り回すという事を繰り返している。
順帶一提,濃姫入岐阜城的同時,她的弟弟斎藤利治也成為信忠的側近。
余談だが濃姫が岐阜城へ入ると共に、彼女の弟にあたる斎藤(さいとう)利治(としはる)が信忠の側近に着任した。
作為寄居者的お市一行並不覺得難堪,就生活便利性和衛生水準而言,她們在被譽為日本一的靜子宅邸裡過得無所缺。
居候であるお市たちは肩身の狭い思いをして過ごしているはずもなく、生活の利便性と衛生水準だけで言えば日ノ本一と名高い静子邸で何不自由なく暮らしていた。
「那麼,初啊,今天要玩什麼?」
「さて初よ、今日は何をして遊ぶ?」
茶々把手叉在腰上挺起胸膛,對妹妹初說話。靜子宅邸有許多外面沒有的趣味之物,但多半屬於大人取向,就連珍貴的書籍和名畫對她們來說也顯得沒那麼吸引。
腰に手を当てて胸を反らしながら茶々は妹である初に声を掛けた。静子邸には他所には無い興味を惹かれるものが沢山あるが、あくまでも大人向けのものが多く、貴重な書物や名画でさえも彼女達には色褪(あ)せて見える。
雖然靜子宅邸備有兒童用遊具和教育玩具,甚至能在中庭池塘放小舟,但凡有危險性的活動都需大人陪同,這些於她們來說仍然不合胃口。
一応静子邸には子供向けの遊具や知育玩具も存在し、中庭の池に小舟を浮かべることすら出来るのだが、危険が伴うものについては大人が付き添うことになっており、彼女達のお眼鏡にはかなわない。
「姊姊!玩かるた(紙牌遊戲)怎麼樣?」
「姉(あね)さま! かるた(・・・)はどう?」
「我和初的勝負早就看得出,知道會輸的比賽我不喜歡,我想玩不知道誰會贏的遊戲。」
「わらわと初では勝負が見えておる。負けると判っている勝負は好かぬ。どちらが勝つか判らぬ遊びがしたい」
「潛入圖書館的禁書庫如何?」
「図書館の禁書庫に侵入は?」
「比誰先悄悄潛入不被發現很有趣,但被罵到那個程度可不划算。」
「どちらが先に見つからぬよう潜り込めるかを競うのは面白かったが、あそこまで叱られるのでは割に合わぬ」
以前實行時,快成功之際被彩發現。除了被お市狠狠打到屁股發紅外,還被嚴厲懲罰一週禁食點心。
以前に実行した際、あと少しという処で彩に見つかってしまい。お市から尻が赤くなるほど叩かれた上に、一週間にも亘ってオヤツ抜きという厳罰が下された。
本來也該是她們能吃到的點心,卻只有別人在吃;看著別人吃而自己只能咬著手指觀望,這種事在幼小心裡刻成了創傷。
本当ならば自分達も口に出来たはずのお菓子を他人だけが食べる。その様子を指を咥えて見ているのは子供心にもトラウマとして刻まれている。
「姊姊,今天的功課做完了嗎?」
「それよりも姉さま。今日の課題は終わったの?」
「哼哼,姊姊很聰明呢!已經做完了(……)所以正在玩。」
「ふふふ、姉は賢いからの! 終わらせた(・・・・・)ゆえ遊んでおる」
「喔喔!不愧是姊姊。不過彩在找妳喔?」
「おおー! さすがは姉さま。でも彩が姉さまを探しておりましたよ?」
「咦……咦?有什麼事嗎?啊,應該沒什麼大事!」
「は……はて? 何の用じゃろう? まあ、大した用事ではあるまい!」
茶々明顯地移開視線,佯裝說道。她雖說做完了功課,實際上只是每格答案欄亂寫些東西,根本沒認真做,一眼便可看出。
露骨に視線を逸らして茶々は嘯(うそぶ)いた。茶々は課題を終わらせたとは言ったが、全ての回答欄に何かを書きこんだだけであり、真面目に取り組んでいないことは一目瞭然であった。
等到收功課、老師要批改時才發現她偷懶,等彩來找茶々時,她們兩人早已溜出學習室了。
課題が回収され、教師が採点する段になってサボタージュが発覚し、彩が茶々を探しにきた頃には二人とも学習室を抜け出した後だったという状況だ。
「與其說那些,我們在晚飯前要玩什麼?因為今天晚餐會有天婦羅,要先餓肚子才行!」
「そんな事より夕餉まで何をして遊ぼうか? 今日の夕餉には天ぷらが出るゆえ、腹を空かせておかねばならぬ!」
「姊姊怎麼會知道菜單?」
「どうして姉さまが献立を知っているの?」
「怎麼了,有一隻靜子那裡收到前所未見的漂亮大蝦。靜子跟廚房的人說不如做成天婦羅。那麼大的蝦,肯定非常美味!」
「なに、静子の許へ見たこともないような立派な海老が届いての。静子が厨房の者と天ぷらにしてはどうかと話しておったのじゃ。あんなに大きな海老なのじゃ、さぞ美味であろう!」
「果然靜子說的沒錯。我還以為又是姊姊偷吃了呢。」
「なるほど静子の言葉ならば間違いありませぬ。てっきり、また姉さまがつまみ食いをされたかと思いました」
「又、是什麼又!不是常常會這樣的!」
「またとは何じゃ! そう度々はせぬわ!」
茶々氣鼓鼓地輕輕扯了扯初那柔軟的臉頰。像剛搗好的餅般柔軟,任人捏扁變形,初卻任由擺佈。
茶々はぷりぷりと怒りながら初の柔らかい頬を軽く引っ張る。突きたての餅のように柔らかく、むにむにと変形する頬を弄ばれていても初はされるがままになっている。
「啊!姊姊,後面有彩!」
「あ! 姉さま、後ろに彩が!」
「嗚!初,快逃!」
「ひいっ! 初、逃げるぞ!」
「我看錯了,抱歉。」
「見間違いでした。すみませぬ」
「初真會鬧事……嚇我一跳。再學學妳這位姊姊,多點親切吧?」
「初は人騒がせじゃのう……肝が冷えたわ。それにもう少しこの姉を見習って愛想良くせぬか?」
「姊姊的本性就是這樣」
「姉さまの本性はこっち」
「說了什麼?」
「何ぞ言うたか?」
初用笨拙的詞彙指出姊姊只是表面親切,內心極為頑皮好鬧。
愛想が良いのは外面だけで、中身はわんぱく極まり無いということを初は拙い語彙で指摘する。
被戳中痛處的茶々用姊姊的威嚴壓住局勢,初也捂住嘴沉默下來。
痛いところを突かれた茶々は姉の威厳を以て封殺し、初も口に両手を当てて沈黙する。
兩人像演小品似的互動後,忽然想起原本的目的,手牽手在宅邸內開始四處探險。
そんなコントのようなやり取りをしていた二人だが、ふと本来の目的を思い出し、手をつないで屋敷内を散策し始めた。
雖然在大人的高處視線下她們早已暴露無遺,但府裡的人還是假裝看不見,放任兩個小孩自顧隱藏。
大人の高い視点からは丸見えなのだが、子供なりに隠れている様子の二人を家人たちは見て見ぬふりをしてくれる。
「有什麼好玩的東西嗎……嗯?」
「何ぞ面白いものはないかの……ん?」
尋覓能滿足興趣的東西時,茶々察覺到遠方飄來一股濃烈又甜的香氣。
自分達の興味を満たしてくれるものを探していると、茶々は遠くから猛烈に甘い香りが漂っていることに気が付いた。
靜子宅邸的甜點在這個時代充實到令人難以想像,但從產量來說砂糖仍是高級品。靜子能取得四季果實,那些大量使用砂糖的糕點成了令人垂涎的對象。
静子邸にはこの時代では考えられない程に甘味が充実している。しかし、それでも生産量的に砂糖はまだまだ高級品。四季折々の果実なども手に入る静子邸では、砂糖がふんだんに用いられた菓子は垂涎(すいぜん)の的だ。
「初啊,你有注意到嗎?」
「初よ、気付いておるか?」
「有的,姊姊。從那邊聞到了。」
「はい、姉さま。向こうの方から匂いまする」
兩人對視一眼,然後悄悄地朝香味的來源走去。那裡是從靜子私室隔著一扇襖緊鄰的側近待命室。
二人は顔を見合わせると、抜き足差し足で香りの発生源へと向かった。この先にあるのは静子の私室から襖一枚を隔てた側近の控え室である。
她們猜想靜子又想出什麼新甜點在試作,準備拿給側近們嘗。
またぞろ静子が何か新しい甘味を思いついて試作し、それを側近にでも振る舞おうと用意しているのだろうと二人は推測した。
待命室的主人才蔵並不太擅長吃甜食,平時喝著澀茶,即便是靜子賞給的糕點也得硬著頭皮吃下。
控え室の主である才蔵は、それほど甘い物が得意ではなく、普段は渋い茶をすすりながらそれでも静子から頂戴した菓子だからと苦労して食べている。
她們想,既然才蔵勉強吞下,不如讓超愛甜食的她們來吃,甜味也會更被珍惜。
無理をして食べるぐらいならば、甘い物が大好きな自分達が食した方が甘味も嬉しかろうと二人は考えていた。
「哦!」
「おお!」
茶々和初從襖縫往內窺視,看到房間中央放著一張矮桌,桌上堂堂放著一塊小麥色烤糕點。
茶々と初が襖の隙間から室内を覗き見ると、部屋の中央にちゃぶ台が置かれ、その上にでんと小麦色の焼き菓子が鎮座しているのが見えた。
她們無從得知,那是瑞士傳統甜點『エンガディーナ』。
二人が知る由もないが、それはスイスの伝統菓子である『エンガディーナ』と呼ばれるものであった。
它是將砂糖與麥芽糖低溫熬煮,拌入堅果和乾果冷卻凝固成的『ヌガー』包裹在餅乾麵團中烘烤而成,可說是卡路里炸彈。
砂糖と水飴を低温で煮詰めナッツ類やドライフルーツを絡めて冷やし固めた『ヌガー』を、クッキー生地に包んで焼き上げたカロリーの爆弾とでも言う存在だ。
剛出爐的小麥香撲鼻,裡頭的ヌガー與乾果散發幾近暴力般的甜香,催促著快點吃下去。
焼きたての小麦が香ばしく薫り、内包されたヌガーやドライフルーツの暴力的なまでも甘い香りが早く食えと騒ぎ立てる。
若冷靜下來本可發覺這擺放極不自然,但被甜香迷惑的她倆未察覺到任何陷阱。
冷静になれば不自然極まりない菓子の配置に気付けたであろうが、甘い香りに魅了された二人が罠に気付くことは無かった。
「我要吃了──哇!」
「いただき――うわっ!」
剛要伸手拿盤上的糕點,忽然上方有東西啪地覆蓋大面積落下。茶々與初因突發狀況無法應對,被壓住的重量讓她們跪了下來。
皿の上の焼き菓子に手を伸ばそうとした瞬間、真上からバサリと広範囲に何かが落ちて広がった。茶々と初は突然の出来事に対応できず、覆いかぶさってきた物の重さに膝をつく。
「是、是投網嗎!?」
「な、投網(とあみ)じゃと!?」
「姊姊,動不了!」
「姉さま、動けませぬ」
覆在她們身上的正是用於狩獵的投網。網邊綁有鉛錘,能迅速罩住目標,讓人沒空掙脫。
二人に覆いかぶさったのは狩猟用の投網であった。端々に錘が付けられた投網は、素早く対象に覆いかぶさり抜け出す暇(いとま)を与えない。
網本身頗有重量,加上頭髮被纏住,年幼的兩人幾乎完全動彈不得。
網自体がそれなりに重量があるため、幼い二人は髪の毛が絡まったこともあってまるで身動きが取れなくなっていた。
「沒想到會這麼容易就被逮到……還得鍛鍊些注意力才行呢」
「これほど容易く引っかかるとは……もう少し注意力を鍛えねばなりませんね」
「啊,彩!為什麼在這裡?」
「あ、彩! 何故ここに?」
「正如茶々大人所想的那樣。」
「それは茶々様がお考えの通りです」
當兩人亂搬亂掙,越來越動彈不得時,用冷酷的眼神注視她們的正是彩。
網から抜け出そうと闇雲にもがき、ますます身動きが出来なくなっていく二人を冷徹な目で見つめるのは彩であった。
「我乃織田家門的姬——!?」
「わらわは織田家に連なる姫なるぞー!?」
「我知道,但接到母親的交代,要好好教訓妳一頓。」
「存じておりますが、お母上より存分にお灸を据えるようにと申しつかっております」
彩也不想對幼童粗暴,但茶々屢屢利用身分惹事後又逃跑,已成習性。
彩とて幼子に手荒な真似をするつもりはない。しかし、茶々は己の立場を利用して度々問題を起こしては逃亡すると言う事を繰り返す。
初很少會主動惹事,但與姊姊一合,兩人就會一起去惹麻煩。
初が自発的に問題を起こすことは稀だが、姉と一緒になると二人で連れ立って問題を起こすようになる。
江本就不會單獨行動,只要能控制住茶々,三姝就能安分,因此お市和彩對茶々尤其不留情。
一人で動き回れない江は元より、茶々さえ抑えこめれば三人娘は大人しいため、お市や彩は茶々にだけ容赦がなかった。
「唔!母親的叛徒啊」
「くぅ! 母上の裏切り者め」
「お市大人希望把茶々教養成無論到哪裡都不會羞愧的淑女。若維持現狀,簡直像山地的野猴子一樣,連嫁人都談不到,更別說送往他家,這讓她非常痛惜。」
「お市様は茶々様を何処に出しても恥ずかしくない淑女にしようとされているのです。今のままでは山猿も斯(か)くやという始末、嫁はおろか他家にすら連れてゆけぬとお嘆きです」
「哼—!」
「むー!」
這個時代的女子是政治工具。最終要被嫁到他家,在孤立無援中求生。身為母親のお市欲讓女兒習得教養作為武器、掌握世故作為堅韌的本領。
この時代の女は政治の道具である。最終的には他家へと嫁ぎ、孤立無援の状況で生き抜かねばならない。母であるお市は、その為の武器として教養を、強(したた)かさとして処世術を身につけさせようとしていた。
「那麼,茶々大人。必須讓妳理解為何要學習。學問的好處在於一旦習得便無人能奪,與器物財貨不同,無論處於何種情況都能成為妳的武器。好了,先從重做課題開始吧!」
「さて、茶々様。貴女には何故勉強をしなければならないかをご理解いただかなければなりませぬ。勉学の良い処は、一度身につければ誰にも奪えない処にあります。道具や財貨と異なり、どのような状況であっても貴女の武器となるのです。さあ、まずは課題のやり直しからですよ!」
「下次一定要逃得掉!」
「次こそは逃げ切ってやるぞー!」
被彩拽走的茶々丟下一句狠話。她那不輕易屈服的心與不向逆境低頭的活力,似乎正被培養起來。
彩に引きずられる茶々は捨て台詞を吐いた。図らずとも折れない心と、逆境に負けないバイタリティーは育っているようだった。