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戦国小町苦労譚

一五七六年 十月中旬

靜子明白列席之人正注視著自己,於是特別注意聲音的強弱才開口說話。

静子は居並ぶ面々が自分を注視していることを理解し、その上で声の強弱を殊更意識して言葉を発する。

「東國征伐總大將、織田勘九郎(かんくろう)様」

「東国征伐総大将、織田勘九郎(かんくろう)様」

「是!」

「おう!」

被點名的信忠挺然起身,以悠然的步伐走向大將之位。從他的舉止看不出任何因一敗塗地而氣餒的樣子。

名を呼ばれた信忠がすっくと立ちあがり、悠然とした足取りで大将の席へと向かった。その振る舞いからは、一敗地に塗(まみ)れたという気おくれは感じられなかった。

他的表情充滿了霸氣,看起來完全不懷疑自己的勝利。那並非虛張聲勢,而是由實力支撐的自負可見一斑。

彼の表情には覇気が漲(みなぎ)り、自分の勝利をまるで疑っていないように見えた。そしてそれは虚勢などではなく、実力に裏打ちされた自負が窺(うかが)える。

「下次我一定會讓你毫不掩飾地叫出那個名字」

「次こそはなに偽ることなく、その名を呼ばせてみせよう」

「拭目以待」

「心待ちにしております」

當信忠經過靜子身旁時,低聲喃喃,使只有她能聽見。靜子雖然面無表情,回應的聲音卻滲出期待。

静子の傍を通る際に、信忠は彼女だけに聞こえるよう呟(つぶや)いた。それに対する静子は表情こそ動かさないものの、声に期待を滲(にじ)ませつつ返す。

靜子在非公開場合稱呼信忠為「奇妙」一事,是公開的祕密。這並非因為靜子瞧不起信忠,而是依照信忠本人的希望。

静子が公の場以外で、信忠のことを「奇妙」の名で呼んでいることは公然の秘密である。これは静子が信忠を侮っているからではなく、信忠自身の希望に拠るものだ。

起初以信忠的元服為契機,靜子也把稱呼改為「勘九郎様」或「若様」。

当初は信忠の元服を契機に、静子も呼び名を「勘九郎様」や「若様」と改めた。

對此信忠帶著慚愧的表情,向靜子提出請求。

これに対して信忠は慙愧(ざんき)に堪(た)えない(己の行いを恥じる等の意味)といった表情を浮かべて、静子に申し入れた。

「我尚未立下繼承織田家下一任當主相稱的武功,沒有資格被作為織田家興盛功臣的靜子以那名字稱呼。在我立下讓任何人無可嗔怪的武功之前,請像以前一樣叫我『奇妙』。」

「織田家の次期当主を継ぐに相応しい武功をあげておらぬ俺が、織田家隆盛の立役者たる静子にその名で呼ばれる資格はない。俺が誰に恥じることのない武功を立てるまで、今まで通り奇妙と呼んでくれ」

「已完元服的您仍以幼名相稱有失禮節。若被他人聽見,可能會導致您遭人輕視。」

「元服を終えた貴方を幼名で呼ぶことは礼を欠いております。余人が耳にすれば貴方が侮られることにもなりかねません」

「我知道這點。當然在公眾場合並非如此,但在其他場合我想以此作為提醒自己仍是半吊子。我也知道這是無謂的固執,但若在這件事上妥協,我一輩子就無法與靜子平起平坐。」

「それは承知の上だ。無論公の場に於いてはこの限りではないが、それ以外では己が半人前であるという戒(いまし)めとしたいのだ。我ながらつまらぬ意地を張っているとは思うが、ここを曲げれば俺は生涯静子と対等になれぬ」

「您是說實在無法讓步嗎?那就說服上樣吧。如果上樣允許,我會遵從。」

「どうしても譲(ゆず)れないと仰(おっしゃ)るのですね? ならば上様をご説得下さい。上様がお許しになるのなら従いましょう」

「好,已取得口頭保證了!這件事說服父上比說服靜子容易得多!」

「よし、言質(げんち)を取ったからな! これに関しては静子よりも父上を説得する方が容易(たやす)い!」

經過這樣的交涉後,信忠向信長請求准許上述事宜。

このようなやり取りの後、信忠は信長に前述の内容に関する許しを願った。

信長因信忠的直率與不通融讓他想到年輕時,感到既羞澀又有趣,但作為同為男人,他體諒信忠的心情,於是准許了。

信長は信忠の真っすぐさと融通の利かなさに己の若い頃を思い出し面映(おもは)ゆくなったが、同じ男として信忠の心情を酌(く)み、許可を出した。

他也有意把信忠的缺點曝露出來,藉此揪出那些口是心非的臣子。

あえて信忠の瑕疵(かし)(きず、欠点の意味)を晒すことで、面従腹背の臣を洗い出せるとの思惑もあった。

「滝川彦右衛門様,繼續任命為勘九郎様麾下,協助東國征伐。」

「滝川彦右衛門様。引き続き勘九郎様麾下(きか)にて東国征伐の補佐を任じます」

「承知!」

「承知!」

「羽柴様,繼續任命為西國的播磨征伐總大將。」

「羽柴様。引き続き西国(さいごく)は播磨征伐の総大将に任じます」

「謹領命!」

「謹(つつし)んで承(うけたまわ)る!」

滝川一益繼續納入信忠麾下,擔任東國征伐的要務。此次東國征伐總大將的陣列與以往大相逕庭,故滝川所負之任務重大。

滝川一益は引き続き信忠の麾下に組み込まれ、東国征伐の要を担うこととなる。今回の東国征伐では総大将の布陣が従来とかけ離れた配置となるため、滝川の担う役割は大きい。

另外曾有謠言說秀吉可能會被排除在播磨征伐之外,聽到將繼續任命的命令時他才鬆了口氣。然而他也明白不能得意忘形,自己的進退將取決於此地的表現,因而慎重地回答。

また秀吉に関しては播磨征伐から外されるのではという噂が出ていたのだが、継続の命(めい)を耳にした瞬間胸をなでおろした。しかし、浮かれてばかりはおられず、ここでの働き如何(いかん)で進退が左右されることを理解し、神妙に返事をすることとなった。

「明智惟任(これとう)日向守(ひゅうがのかみ)様,同樣任命為西國的丹波征伐總大將。」

「明智惟任(これとう)日向守(ひゅうがのかみ)様。同じく西国の抑えとして丹波征伐の総大将に任じます」

「奉命承領」

「拝命いたす」

繼秀吉之後,光秀也被留任以牽制西國。光秀已逐步掌握丹波,不致令人擔憂,若此時更換人頭反而會讓現場混亂,故續任理所當然。

秀吉に続き、光秀も西国への睨(にら)みとして留任することとなった。尤も光秀の場合、既に丹波を手中に収めつつあるため不安はなく、ここで頭を挿(す)げ替えるような真似をすれば現場が混乱するための続投だ。

如同秀吉,光秀也遭受波多野氏與赤井氏的激烈抵抗,但光秀在化解之後還給予痛擊。光秀與秀吉明暗不同,關鍵在於各自的部隊運用。

秀吉同様に光秀も波多野氏や赤井氏による激しい抵抗を受けたのだが、光秀はこれをいなし(・・・)た上で痛撃を与えてすらいた。光秀と秀吉の対応で明暗を分けた原因は、それぞれの部隊運用にあった。

秀吉則將靜子軍所派的新式火槍部隊與狙擊隊以遊擊方式運用,光秀則將之編成為正規軍。

秀吉が静子軍から派遣された新式銃の部隊や、狙撃部隊を遊撃的に用いたのに対し、光秀は正規軍として再編成したのだ。

因此光秀軍有效利用新式火槍的長射程,打擊敵軍迎面之勢,或為處於劣勢的友軍提供掩護射擊,運用得當。

これによって光秀軍は新式銃の長射程を活かし、会敵した敵軍の出鼻を挫いたり、劣勢の軍への援護射撃をさせたりと効果的に運用して見せた。

當然新式火槍部隊雖有顯著成果,卻剝奪了構成光秀軍大多數的步兵部隊的表現機會。但光秀透過改變論功行賞的標準來調配,避免不滿滋生。

勿論新式銃部隊は目覚ましい成果をあげる反面、光秀軍のほとんどを構成する歩兵部隊は活躍の機会を奪われることとなる。しかし、光秀はこれを論功行賞の基準を変えることによって不満が発生しないように差配した。

評價不再以直接斬獲敵首為功,而是依據能否無滯礙地執行光秀的命令來決定。

直接敵の首級をあげることが手柄とするのではなく、如何に光秀の指示を遅滞なく遂行出来たかによって評価が変わるのだ。

換言之,為彌補新式火槍部隊在防禦上的弱點,即便只是爭取時間以阻止敵軍側面突襲,也被視為有功。

つまり新式銃部隊の弱点である防御力を補うため、敵の横撃を防ぐ時間を稼ぐだけでも成果とみなされるのだ。

對大多數士兵而言,功績決定報酬的多少,因此拼命行事;若能安全獲得報酬,便沒人願意冒生命危險去刀兵相向。

殆どの兵にとって手柄とは報酬の多寡(たか)を左右するため必死になるのであって、安全に報酬が貰えるのであればわざわざ命がけの斬り合いをしたいものはいない。

可以說,固守舊有評價標準的秀吉與能針對新兵器靈活建立評價制度的光秀,兩者的適應力差異顯現出來。

あくまでも従来の評価基準に拘った秀吉と、新しい兵器の登場に柔軟に対応した評価制度を構築できた光秀とで、適応力の差が顕在(けんざい)化したと言える。

之後布陣的傳達仍然肅然繼續進行。

その後も粛々と布陣の伝達が続けられる。

「神戶(三七郎)様,奉命追擊雑賀衆殘黨,並將從石山本願寺撤離的人們送至雑賀莊或十ヶ郷。」

「神戸(かんべ)三七郎様。雑賀衆の残党を追撃及び、石山本願寺から退去する人々を雑賀荘(さいかのしょう)もしくは十ヶ郷(じっかごう)まで送り届ける役目を任じます」

「承知。相談役殿,我可以問一個問題嗎?」

「承知。相談役殿、少し質問をしても良いだろうか?」

被點名的信孝在得到允諾後向靜子請求提問的許可。靜子看向信長,信長無言點頭,示意她回答。

名を呼ばれた信孝は承諾の後、静子へ質問の許可を求めた。静子は信長を窺うが、彼は無言で頷いて静子に答えるよう促す。

「沒關係。我去打聽。」

「構いません。伺いましょう」

「那麼。雖不反對所託之任,但抓不到追擊雑賀衆殘黨的意圖。雑賀作為武裝勢力已是殘破不堪。不必刻意追擊也會被厭惡麻煩的同族獵殺。若非要強行討伐不可,還請告知理由。」

「では。託された任に異を唱える訳では無いが、雑賀衆の残党を追撃する意図が掴めませぬ。既に武装勢力としての雑賀は死に体となっておりまする。わざわざ追撃など掛けずとも面倒ごとを嫌う身内に狩られましょう。それを押してでも討伐せねばならぬ理由があるのならお聞かせ願いたく存ずる」

「正如您所察,狩獵雑賀殘黨只是表面工夫。真正的目標,是將刀刃抵向那些意圖向主君起兵反叛之人的喉嚨。」

「ご賢察の通り雑賀の残党狩りは建前でしかありません。真なる狙いは上様に反旗を翻(ひるがえ)さんとする輩(やから)の喉元へ刃を突き付けることにあります」

「……原來如此。遵命。」

「……なるほど。承知仕(つかまつ)った」

信孝閉目片刻,從靜子刻意不明說的話與圍繞織田家的情勢,察覺到信長的企圖。

暫(しば)し瞑目(めいもく)していた信孝だが、明言を避ける静子の言葉と織田家を取り巻く情勢から信長の狙いに気付いた。

他察覺到,狩捕雑賀殘黨不過是派兵的名目,真心者在於平定紀州。然而既然靜子故意避而不明言,必有不宜外洩的理由,他也選擇沈默。

雑賀の残党狩りは兵を送る名目に過ぎず、本丸は紀州(きしゅう)の平定にあるのだと察する。しかし、静子があえて明言を避ける以上は秘するに足る理由があると考え、己も沈黙を選んだ。

史實上的紀州征伐,是指天正五年(1577)信長對雑賀的攻擊與同十三年秀吉對紀伊的侵攻。

史実に於ける紀州征伐とは、天正五年(1577年)に信長が行った雑賀攻めと、同十三年の秀吉による紀伊侵攻を指す。

之所以不只有信長,連名實已成為天下人之秀吉也攻打紀伊,是因紀伊居民根深蒂固的思想信條,與幕府志在中央集權的理念正面衝突。

何故、信長だけではなく名実ともに天下人となった秀吉までもが紀伊を攻めたのかと言えば、紀伊に住まう人々に根付いた思想・信条が幕府による中央集権を目指す彼らの思想と真っ向から対立したためだ。

在紀伊,一揆與寺社勢力以民眾團結來抗衡武家之思想根深蒂固。若放任這種不服從(不歸順)的思想,會再度向鄰國蔓延,成為撼動天下的大規模一揆而露出獠牙。

紀伊では一揆や寺社勢力による民の団結を以て、武家に反駁(はんばく)するという考えが強い。この服(まつろ)わぬ(帰順しない)思想を放置すれば、再び周辺国へと伝播し天下を揺るがす規模の一揆となって牙を剥く。

既然追求的理想如水火不容,雙方的對立不會停止,直到其中一方覆滅為止。

目指す理想が相容れぬ水と油である以上、どちらかが滅ぶまで対立が止むことはないのだ。

而交付給信孝的使命,是要向紀伊的民眾傳達「我等不會放過你們的存在」「若不服從就以武力平定」的意志。

そして信孝に課せられた使命は、紀伊の民たちへ「我らはお前たちの存在を見逃す気はないぞ」、「従わぬのならば武を以て平らげる」という意思を伝えることにあった。

這不是由正規軍掃蕩敗兵那種輕鬆的工作,而是一項在任何局面都不容許有絲毫失敗的重要任務。

これは正規軍による敗残兵の掃討という楽な仕事ではない。どのような局面に於いても一切の敗北が許されないと言う重要な任務であった。

「丹羽大人,請作為神戶大人的麾下協助討伐雑賀衆。」

「丹羽様。神戸様の麾下として、雑賀衆討伐の補佐をお願いします」

「明白了!」

「心得た!」

在此時未被點名的譜代家臣面色蒼白。除了已被任為方面軍負責地方安堵的數名之外,幾乎等同被宣判沒有資格參與武家最後一場風頭的機會。

この時点で名を呼ばれなかった譜代の臣は顔色を青くしていた。何故ならば既に方面軍として地方安堵の任を担っている数名を除けば、武家の最後の見せ場に参ずる資格が無いと断ぜられたに等しいからだ。

「接著,北條征伐的總大將,柴田大人。」

「次に北条征伐の総大将、柴田様」

「應!」

「応!」

柴田發出如破鐘般的粗野怒吼站了起來,近旁眾人雖被其大聲皺眉,卻一人也沒有人抱怨。

割れ鐘のような蛮声をあげて柴田が立ち上がった。近くにいる者は皆がその大声に眉を顰(ひそ)めるものの、不平を述べるものは一人としていなかった。

柴田那令人生畏、如同野獸般爆發的氣勢確實令人畏懼,但稍有眼力的人便知曉,柴田被任為北條征伐總大將的理由——他實質上是東國的控制者。

野生の猛獣もかくやという気炎を立ち上らせる柴田の気迫に気圧(けお)されたというのもあるが、少しでも目端の利く者ならば、実質的な東国の支配者である北条征伐の総大将に柴田が任じられた理由を知る。

雖然名為東國征伐,但既然武田已失去年代之勢,其最大目標仍然是北條的討伐。

東国征伐と嘯(うそぶ)くものの、武田がかつての勢いを失っている以上、その最大目標は北条征伐に据えられる。

也就是說,除了承擔東國征伐總指揮的信忠外,這人事顯示柴田在家臣中已居首位。

すなわち、東国征伐自体を指揮する信忠を除けば、柴田が家臣の中で筆頭となった事を示す人事であった。

正因他理解這一點,才振奮精神,以堂堂之姿踏步走向總大將之位。

彼もそれを理解しているからこそ奮い立ち、堂々たる足取りで総大将の座へと進む。

「佐々大人及前田大人請繼續作為柴田大人的麾下協助。」

「佐々様並びに、前田様は引き続き柴田様の麾下として補佐を願います」

靜子在此停頓一拍,接著開口道。

ここで一拍をおいてから、静子が言葉を発する。

「為使東國征伐成事,請佐久間大人與林大人負責鎮守東北。」

「東国征伐を確たるものとするため、佐久間様並びに林様には東北の抑えをお願いします」

話雖如此,靜子認為林秀貞恐難以從事戰場之事。因他比已過四十的信長還年長二十年,已入老境,能否上戰場令人懷疑。

そう言いつつも静子は、林秀貞にいくさ働きは出来ないだろうと考える。既に四十を過ぎた信長よりも更に二十歳も年上であり、老境へと至った彼がいくさ場に立てるかは疑問だからだ。

另一方面,林在政治活動上留有許多功績,靜子推測信長或許期待他能駕馭盤踞東北的那些野心家。

反面、林は政治活動に於いて多くの功績を残している。故に東北に巣食う野心家どもを御せると信長が期待したのではないかと推測した。

此外,作為實際發生亂事時的保險,可能將佐久間安置為協助以承擔武力的一方。

更に実際に荒事が起きた際の保険として、武力を担うべく佐久間を補佐に据えたのだろう。

(無論如何,佐久間大人會被左遷吧?)

(いずれにしても佐久間様は左遷人事になるのかな?)

他被逐出原本任國大阪,遣往通往「みちのく」的東北。

本来の任国であった大阪を追われ、「みちのく」へと通ずる東北へと向かわせられるのだ。

這其中或帶有因未能鎮壓本願寺而施加的懲罰意味,但對本人而言絕非能夠接受之處置。

本願寺を抑えきれなかったことに対する懲罰的な意味合いが込められているのであろうが、本人にとっては到底納得のゆく沙汰では無かったのだろう。

(即便在東國征伐期間成功鎮守東北,所能獲得的也大概只能是與東國相鄰之地。)

(たとえ東国征伐の間、見事東北を抑えきったとしても与えられるのは東国に隣接する地となるだろう)

即便向來對織田家內部權力結構不甚關心的靜子也能理解到這點;佐久間完全明白自己所處的立場。

織田家内の力学に無頓着だった静子ですらここまで理解が及ぶのだ。佐久間は己の置かれた立場を十二分に理解していた。

佐久間面色如蠟般蒼白,顫抖得像是得了瘧疾一般,正是明證。

その証拠に佐久間の顔色は蝋のように白く、まるで瘧(おこり)にでも罹(かか)ったかのように小刻みに震えている。

靜子與他並非陌生,因此也覺得可憐,但那是信長深思熟慮後所定的事,已無法推翻。

静子としては知らぬ間柄では無いだけに哀れにも思うが、信長が考え抜いた末に決定したことだけに覆しようがない。

就算是身手不凡的靜子,也無足夠理由為了救他而強行違背理路。

流石の静子とて、無理筋をおしてまで彼を救うだけの理由が無かった。

「主要陣容如上。接下來將召喚各自成為總大將旗下之人員。後方支援及兵站仍由我軍(…)負責。將為各軍派設窗口聯絡人,敬請各位知悉。那麼,作為織田勘九郎大人的麾下——」

「主要な陣容は以上となります。これ以降はそれぞれの総大将配下となる方々を呼んで参ります。なお従来通り後方支援及び兵站は我が軍(・・・)が担います。それぞれの軍勢ごとに窓口となる者を配しますゆえ、ご承知おきくださいますようお願いします。では、織田勘九郎様の配下として——」

主要人事的通達已結束,但這並不代表一切塵埃落定;反而有大批人在戰戰兢兢地注視,惶恐不安地等待自己要事奉誰為大將。

主要な人事の通達は終わったが、これで全てが終わった訳ではない。むしろ自分が誰を大将と仰ぐのかを戦々恐々としながら見守る者が大勢いる。

靜子深吸一口氣,再次開始朗讀名單上的姓名。

静子は大きく息を吸い込むと、再び記された名前を読み上げ始めた。

結束了一刻(兩小時)以上的軍議後,靜子以拖著殘疲的身體返回安土別邸。

一刻(二時間)以上にも及ぶ軍議を終えた静子は、這(ほ)う這(ほ)うの体(てい)で安土の別邸へと帰宅した。

「好累……喉嚨好沙啞啊」

「疲れた……喉がガラガラだよ」

靜子伏在被掀開被褥的掘炬燵天板上,像煮過頭的年糕軟爛般徹底癱軟。

掛布団が取り払われた掘り炬燵の天板に突っ伏した静子は、煮過ぎた餅がデロリと溶けるかのように脱力しきっていた。

與尾張本宅不同,別邸沒有溫泉,要洗澡就得燒水,但因為不清楚回家時間,無法事先交代。

尾張の本宅とは異なり、別邸には温泉がないため風呂に入りたければ湯を沸かす必要があるのだが、帰宅時間が判然としなかったため前もって指示が出せずにいた。

接待靜子回家的家人確實去燒了水,但要把這座不必要地大的別邸浴池注滿熱水,還是需要一段時間吧。

静子の帰宅を迎えた家人たちが湯を沸かしてくれてはいるが、無駄に大きな別邸の風呂を湯で満たすには今暫し時間が必要だろう。

「軍議已經結束,打算先向上樣請示後再赴京,與義父(父上)協商本願寺的收尾。那樣一來就能回尾張了,不過還得順道去坂本和今濱,真是麻煩啊」

「軍議は終わったから、上様の許しを戴いてから京に赴き、義父(ちち)上と本願寺の始末について打ち合わせ。それが済めば尾張へと帰れるんだけど坂本と今浜に立ち寄らなければならないのが難儀だなあ」

靜子軍屬於遊擊隊性質,且負責軍需補給,所以比其他武將更能自由行動。

静子軍は遊撃隊的な位置づけであることと兵站を担うため、他の武将よりも自由に動き回る事が出来る。

因此,隨軍移動到各處時,會被賦予讓當地領主盡力提供方便的特權。

それ故に、軍勢を伴って各地へ移動する際にも、現地の領主に最大限の便宜を図って貰える特権が与えられている。

這項特權對於沒什麼見不得人的人反而往往是恩惠,畢竟軍隊光是存在就會花錢。

この特権は後ろ暗いところの無い者にとってはむしろ恩恵となることが多い。何せ軍隊というのは存在するだけで金を食う。

靜子軍人數眾多移動時,會有相當的金錢落在地方,若還能協助治水或道路修繕等事,豈不歡天喜地地歡迎也是可以理解。

大所帯の静子軍が移動すれば相応の金が領地に落とされることとなる。更には治水や道普請(ぶしん)などの相談にも乗って貰えるとなれば諸手をあげて歓迎するというのも頷ける。

因此,想賺一點錢的秀吉所治的今濱,以及希望借靜子智謀的光秀所治的坂本,並非可以不順道停留的選項。

それ故に少しでも金が欲しい秀吉の治める今浜と、静子の知恵を借りたいという光秀が治める坂本へは立ち寄らないという選択肢を選べないのだ。

「嗯……嗯?」

「うーん……ん?」

正想不能再發呆,起身伸懶腰時,遠處傳來沉重粗暴的腳步聲。

いつまでも呆けてはいられないと起き上がって伸びをしていると、遠くからドスドスと荒々しい足音が聞こえてくる。

那腳步聲直直朝這裡來,正想起以前也曾發生過類似事時,襖門猛地被推開。

その音は真っすぐこちらへ向かってきており、以前にもこんなことがあったなあと思っていると勢いよく襖が開いた。

「靜子!這究竟是怎麼一回事!?」

「静子! これは一体どういう事だ!?」

以幾乎要破門而入的氣勢打開襖門的,正如靜子所想,是長可(ながよし)。

襖を破壊せんばかりの勢いで開け放ったのは、静子が思い描いた通り長可(ながよし)であった。

他大步朝靜子走來,雙手放在她肩上猛力搖晃。

彼は大股で静子に歩み寄ると、彼女の肩に両手を置いて激しく揺さぶった。

「明明是關乎天下的大事,說要我們專心做後方支援這是什麼意思!」

「天下を左右する大一番だと言うのに、俺たちは後方支援に専念すると言うのはどういう事だ!」

「冷靜冷靜……冷靜!頭暈得說不出話來……」

「おちおちおち……落ち着いて! 目が回って喋れない……」

靜子的頭大幅前後甩動,已努力忍住嘔吐,說話也變得微弱,無法傳到長可耳中。

がっくんがっくんと静子の頭が大きく前後に弧を描いて揺れるため、静子は既に吐き気を堪(こら)えるので精一杯となり、必然的に彼女の言葉は弱弱しくなって長可に届かない。

正在覺得自己可能會大吐一場、有點置身事外地想著時,靜子突然從劇烈的前後晃動中被解放。

これは盛大に反吐をぶちまけるかも知れないなと、何処か他人事のように思い始めたその時、唐突に静子は激しい往復運動から解放された。

有人扶起這個就那樣軟趴趴地倒下的靜子;抓著槍尖、用另一隻手護著她並投以銳利目光的,是才蔵。

そのままずるずるとへたり込むように身を横たえる静子の体を支え起こす者がいた。静子を支えるのと逆側の手で槍の穂先付近を掴んだまま鋭い視線を投げかけているのは才蔵であった。

「喂!這很危險吧!」

「おい! 危ないだろうが!」

「不用多說!竟敢對靜子大人動手,真是昧了良心的人!給我退到那裡,我要砍下你的首級!」

「問答無用! 静子様に危害を加えるとは慮外(りょがい)者が! そこに直れ、そっ首落としてくれよう」

才蔵像抱著易碎物般把仍在頭暈的靜子護在身後,一邊把刺穿板間的槍石突拉回,一邊把另一端的槍尖指向長可。

才蔵は壊れ物を扱うかのように、いまだに目を回している静子を己の背後に庇うと、板の間を突き破った石突を引き戻しつつ逆側の穂先を長可に突き付ける。

就連長可也不能空手擋下才蔵的槍,只得把視線轉向能救自己的靜子。

流石の長可も無手のままで才蔵の槍を捌けるはずもなく、自分を救える人物である静子へと視線を向けた。

但靜子卻盯著貫穿到地板下的大洞出神,心想這明明是新蓋的別邸怎會如此,顯得有些不合時宜地發呆。

しかし、肝心の静子は床下にまで貫通した大穴を見つめて黄昏(たそがれ)ており、新築の別邸なのになあと場違いな事を考えていた。

「呼……多虧了才蔵先生,我沒事,勝蔵君也不是有意的,能不能就饒了他,把武器收起來?」

「ふう……助かったよ才蔵さん。私は大丈夫だし、勝蔵(かつぞう)君も悪気があった訳じゃないから、ここは私に免じて矛を収めて貰えないかな?」

「靜子大人既然這麼說,我便不再反對。」

「静子様がそう仰るのならば否やはござらん」

在靜子請求下,才蔵仍緊盯長可、毫不鬆懈地散發殺氣,但還是乾脆收刀了。

油断なく殺気を放ちつつ長可を睨み続ける才蔵に、静子がそう執成(とりな)すと才蔵はあっさりと刃を引いた。

才蔵從懷中取出皮製的矛鞘套到槍上,然後靠在自己旁邊立好。

才蔵は懐から革製の穂鞘を取り出して槍に被せると、己のすぐ隣へと立てかけた。

從近在眼前的死亡象徵中被解放的長可,長長地吐了一口氣。

目前にまで迫っていた死の象徴から解放された長可は、大きく息を吐きだした。

看時機場面平靜,含著笑的慶次進來,足滿投來如看廚房害蟲般的冰冷視線,高虎還猶豫不決該怎麼表現,真田昌幸則帶著像能面小面般僵著的笑容走進屋內。

場が落ち着いたのを見計らって、含み笑いの慶次と、台所の不快蟲を見るかのような氷点下の視線を向けてくる足満、どういう態度を取れば良いのか決めかねている高虎、能面の小面(こおもて)のように張り付いた笑みを湛(たた)える真田昌幸が室内へと入る。

「如果你們已經到了,就該阻止勝蔵君啊。」

「既に到着していたなら勝蔵君を止めて欲しかったな」

「我聽說要傳達今後方針,大家本打算等人齊了再來集合,但似乎勝蔵搶先了。」

「今後の方針を伝えるって聞いてたからな。全員で揃ってから来ようと集合してたんだが、勝蔵が先走ったみたいだな」

「喂,你們看到了就該阻止啊!我差點就被串起來了!」

「おい、見ていたなら止めろよ! 俺は危うく串刺しにされる処だったんだぞ!」

「哼。要不是慶次擋下,我也會不是才蔵而是我自己把他的首給砍下來!」

「ふん。慶次が止めておらねば、才蔵ではなくわしがその首を刎(は)ねておったわ!」

長可向苦笑著說明情況的慶次發火,但想到竟然受到這樣的照顧,背脊不禁發寒。

苦笑しながら事情を話す慶次に食って掛かった長可だが、これでも配慮されていたという事実に背筋が寒くなった。

「好了好了,鬧夠了。大家可以都聚過來嗎?包含要向勝蔵君說明的事,我有很多要跟各位交代。」

「はいはい、じゃれ合いはそこまで。全員集まってくれるかな? 勝蔵君への説明も含めて、皆には色々と伝えたいことがあるから」

靜子輕拍手招呼大家時,斜後方左右就位的足滿與才蔵以外的人,各自在適當位置盤腿坐下。

静子が軽く手を叩きながら全員に声を掛けると、静子の斜め後方にて左右に陣取った足満と才蔵以外は、各々が適当な場所に胡坐(あぐら)をかいた。

靜子確認大家都準備聽講後,一邊從懷中掏出數張文件一邊開口。

全員が話を聞く態勢になったのを確認した静子は、懐から数枚の書類を取り出しながら口を開く。

「之前沒能事先說明,我就覺得勝藏會想當然,但沒想到會直接跑來跟我當面交涉。勝藏,不會生氣的,說實話吧?是跟那些嘲弄這次後方支援的人吵起來了嗎?」

「事前に説明できなかったから勝蔵君が早合点(はやがてん)しそうだとは思っていたんだけれど、直接私に直談判しに来るとは思わなかったなあ。勝蔵君、怒らないから正直に言ってね? 今回の後方支援について揶揄(からか)ってきた人と喧嘩した?」

「嗯……啊。有人在那種恐怕再也沒有第二次的大決戰中說我甘心做看守太沒骨氣了!既然被挑釁,只能應戰了!」

「む……ああ。二度とは無いであろう大一番で、留守番に甘んじるとは不甲斐(ふがい)ないと言われたんだ! 売られた喧嘩は買うしかあるまい!」

「嗯,果然是說得不夠清楚。我說的是我們軍隊負責後方支援,但並沒說要以全軍之力迎戰。」

「うーん、やっぱり言葉が足りなかったみたいね。後方支援を我が軍が担うとは言ったけれど、全軍(・・)で当たるとは言ってないんだよ」

「欸?啊!原來是這樣!」

「え? あ! そう言う事か!」

長可在靜子的話下發出驚訝的聲音,但似乎立即領會過來,拍了拍自己的膝蓋。

静子の言葉に頓狂(とんきょう)な声を発した長可だが、すぐに得心がいったのか己の膝を叩いた。

靜子從一開始就沒說要以全軍之力轉為後方支援。她過去也曾把自軍分為幾隊,派往織田家內的各軍,或作維持兵站的別動隊,進行有機運用。

はじめから静子は全軍で以て後方支援に回るとは言っていない。今までにも自軍を幾つかに分割し、織田家内の各軍に派遣したり、兵站(へいたん)を維持するための別動隊としたりと有機的に運用している。

也就是說只是由靜子親率的部隊擔任後方支援,並不需要把像長可這種在戰鬥上最能發揮的人才閒置起來。

つまりは静子が直接率いる部隊が後方支援を担うと言うだけで、長可のような戦闘にこそ適性を発揮する人材を燻(くすぶ)らせておく必要はない。

「直率的勝藏大概會想得太快,我是知道的,但軍議的準備把我忙翻了,結果就先擱置了。」

「直情的な勝蔵君辺りは早合点しそうだなとは思ったんだけれど、軍議の準備で忙殺されていて後回しにしちゃった」

「喂!」

「おい!」

「過去的事且不論,正如勝藏你也注意到的,我所率的本隊將專心於後方支援。不過,能讓個人武勇得以展現的大型戰事今後會減少。我不打算把大家牽扯進去。」

「過ぎたことはともかく、勝蔵君も気付いたように私が率いる本隊は後方支援に専念します。ただ、個人の武勇を示せる大きないくさは今後少なくなるでしょう。これに皆を巻き込む気はありません」

正如信長在軍議開頭所言,織田家將自此向日本全土的敵對勢力發動戰事。

軍議の場で冒頭に信長が述べたように、織田家はこれより日ノ本全土の敵対勢力に対していくさを仕掛ける。

首先會在東面對武田和北條,在西面則對上紀伊勢力與毛利,形成兩面作戰。如此一來就沒有閒置像長可這樣勇猛武將的餘裕。

手始めに東の武田と北条、西では紀伊勢力と毛利にぶつかる二正面作戦となる。そうなれば長可のような勇猛な武将を遊ばせておくような余裕は無くなる。

若能取勝初戰,吞併東西兩大勢力的織田家,能夠正面抗衡的恐怕只剩隔海的九州勢力吧。

そして緒戦を制してしまえば、東西の巨大勢力を併呑(へいどん)した織田家に対し、真正面から歯向かえる勢力は海を隔てた九州勢ぐらいとなる。

當戰火延伸到那個程度,個人武勇左右戰局的戰鬥會逐漸消聲息,受統制的群體以數量暴力掌控一切將成為常態。

戦火がそこまで及ぶ頃には、個人の武勇がいくさの行く末を左右するような戦闘は鳴りを潜め、統制された群による数の暴力が全てを支配するようになるだろう。

靜子希望那些將一生奉獻於武的武士,能盡情完成本懷,免得留下遺憾。

己の生涯を武に捧げた武士(もののふ)には、悔いの残らないよう存分に本懐を遂げて欲しいと静子は思っていた。

「我會盡量配合大家的希望。」

「出来る限り皆の希望に沿うつもりだよ」

「是啊,我想在有趣的戰場上打仗。」

「そうさな、俺は面白いいくさ場で戦いたい」

慶次率先自告奮勇。靜子認為這真是慶次的作風。

真っ先に慶次が名乗りを上げた。実に慶次らしいと静子は思う。

只要是勝負不易預見、看起來有趣的戰場,哪裡都行。

勝ち負けが容易には見えない面白そうないくさ場であるなら何処でも良いのだ。

既已踏上戰場,勝敗乃兵家常事。敗則喪命,但以性命賭注成就某事,正是他的所願。

いくさ場に立つ以上、勝敗は兵家の常である。負ければ己の命を失うが、命を賭(と)して何かを成し遂げることこそが彼の願うところであろう。

「那麼就以援軍給上杉家為名,去平息家中內亂如何?這要進入敵地,直接跳入對方懷抱,難保不會有變故,若有外力干涉,即便是上杉家也可能出現意外。」

「それなら上杉家への援軍という体(てい)で、お家騒動を鎮めてきて貰おうかな。これは敵地で相手の懐に飛び込むだけに、何が起こるか判らないし、外部からの干渉があれば上杉家といえども万が一があり得(う)るからね」

「那太好了。外人插手家中內亂會被嫌麻煩,正因如此才有趣!」

「そいつは上々。お家騒動に余所(よそ)者が首を突っ込むんだ、厄介がられもするだろう。だからこそ面白い!」

「嗯,去越後有一個條件。」

「まあ、越後へ向かうには一つ条件があるんだけれどね」

「條件?」

「条件?」

「那件事等回到尾張再說。我想就連慶次大人也想不到,會是個令人愉快的故事。」

「それについては尾張に戻ってから話すよ。流石の慶次さんでも想像出来ない愉快な話になると思う」

對於難得挑釁的靜子說法,慶次咧嘴一笑表示同意。接著靜子將視線轉向長可。

珍しく挑発的な静子の物言いに、慶次はニヤリと笑みを浮かべて了承する。次に静子は長可へと視線を向けた。

「勝藏你想怎麼做?」

「勝蔵君はどうしたい?」

「我是來對付武田的!上次的雪恥得洗掉,這次一定把武田狠狠擊潰!」

「俺は武田だ! 前回の雪辱を晴らさねばならん。今度こそ武田をぶっ飛ばしてやるぜ!」

「就知道你會這麼說。上樣也下令『徹底消滅武田』,以突破力聞名的你或許最適合?」

「そう言うと思っていた。上様も『武田を徹底的に潰せ』と仰せだし、突破力に定評のある君が適任かな?」

雖然靜子接受信長交付的任務是後方支援,但也被賦予了其他數項課題,其中之一即是對武田的殲滅戰。

静子が信長より任された任務は後方支援だが、それ以外にも幾つか課題を与えられていた。その内の一つが武田に対する殲滅戦である。

即便已衰落,武田仍象徵著日本的武之精神。換言之,只要武田存在,旗下仍會有人聚集,使織田家無法真正宣稱成為武士之首領。

衰えたといえども武田は未だに日ノ本の武を象徴している。つまり武田が存在している限り、その武の名の下に集う者が現れ続け、いつになっても織田家が武士の頭領を名乗ることが出来ない。

因此必須正面擊潰武田之武,要求一場無可質疑的壓倒性勝利。

ゆえにこそ武田の武を真正面から打ち砕く必要があった。疑問を差し挟む余地のない、圧倒的な勝利が求められるのだ。

若要徹底辦到,惹人注目的長可真是合適的人選。無論好壞,若長可軍活躍,吸引眾人目光,也有可能打碎『無敵的武田軍』幻象。

徹底的にやるのであれば悪目立ちする長可は適任と言えた。良くも悪くも人々の耳目を惹き付ける長可軍が活躍すれば、『無敵の武田軍』という幻想を打ち砕くことも可能であろう。

不過,也並非毫無不安。

ただし、不安が無いわけではない。

「哪來什麼不安!把那躲在山裡的武田軍給我拖出來,徹底收拾他們就行了!」

「何の不安があるって言うんだ! 引き籠りの武田軍なんざ、俺が引きずり出してとどめを刺してやるよ」

「我這裡收到許多抱怨說你和你率的軍隊常違反軍規。雖然上樣親自免除了處分所以大家都不敢說什麼,但並不是沒人對此不滿。」

「君と君が率いる軍は、軍規違反が多いって言う苦情が私に来ているんだよね。上様が直々にお咎(とが)めなしとされているから皆が黙っているけれど、良くは思われていないからね?」

「但是眼前勝機擺在那裏,若還等著步調一致才行動就會落後!」

「しかし、目の前に勝機が転がっているのに足並みが揃うのを待っていたんじゃ出遅れちまう!」

「我也不是不能理解你的心情喔。」

「君の気持ちは、判らなくもないけれどね」

靜子面對眼前的勝利,也覺得因內部爭功而錯失良機實在愚蠢;但她同時理解,既然武士以武為商品,誰來立下功勞自然成為最重要的課題。

静子も勝利を目前にしながら、身内で手柄を争って機を逸してしまうのは馬鹿らしいと思っている。しかし同時に武士というものが武を商品としている以上、誰が手柄を立てるのかというのが最重要課題となるのも理解していた。

話雖如此,首先必須取勝才有後續,因此讓長可不顧一切先奪下勝利,亦有其道理。

とは言え、まずは勝利せねば話にならないのだから、長可がなりふり構わず勝利を掴むことを優先するというのも一理あるのだ。

而且究極來說,信長承認長可即使違反軍規仍持續產生成果。由於違反軍規的部分被戰功抵銷,諸將也無法再多說什麼。

そして究極的には軍規違反を犯しても結果を出し続けている長可を信長が認めている。軍規違反をした分、手柄が相殺されているため諸将もそれ以上強くは言えない。

「和我一起行動的時候,不會做出會成為問題的軍規違反吧?」

「私と一緒に行動している時には、問題になるほどの軍規違反をしないよね?」

靜子從未親眼見過長可在現場違反軍規。抱怨總是以他人報告的形式送到她那裡。

静子は長可が軍規違反を起こす現場を見たことが無かった。いつも他者からの報告という形で、苦情が届くのだ。

每次她都會查證,因此或多或少確實有問題行為發生。然而,並非所有的投訴都是事實。

その都度、裏を取っているので多かれ少なかれ問題行動を起こしているのは確かだ。しかし、全ての苦情が真実という訳でもなかった。

也有因命令傳達的齟齬(食い違い)造成的誤解,還有試圖陷害長可的虛偽報告。

命令伝達の齟齬(そご)(食い違い)による誤解や、長可を陥(おとしい)れんとした虚偽の報告もあった。

「那倒也是……」

「そりゃ……な」

長可在心裡補充說,他不想死。

死にたくはないし、と長可は心の中でつけ足していた。