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戦国小町苦労譚

1576年 十月上旬

秋意漸深,到了能讓人感受到冬日將至的時節,各地收成的稻米陸續以稅米的形式被徵集起來。

秋が深まり冬の到来を感じさせる頃、各地から収穫された米が税として集まってきていた。

尾張自不必說,連美濃、近江一帶也都普遍豐收,因此為了慶祝五穀豐登,盛大舉辦了祭典。

尾張は言うに及ばず、美濃や近江なども軒並み豊作となったことから五穀(ごこく)豊穣(ほうじょう)を寿(ことほ)ぐ祭が盛大に催されている。

在尾張平原地帶,或許因為增加了持續需求高漲的尾張米的耕作面積,收成量記錄達到去年約兩倍。

尾張の平野部に於いては需要が高まり続けている尾張米の作付けを増やしたためか、前年に倍するほどの収量が記録されることとなった。

尤其熱鬧的是知多半島的居民。雖然插秧時期因需大量用水而水路尚未完全通到,收成量本身仍維持在往年水準,但相比於其他豐收的地區,當地居民反而更加振奮。

特に盛り上がりを見せているのが知多半島の住民だ。大量の水を要する田植え時期には用水路が開通していなかったため、収穫量自体は例年並みに留まっているにも関わらず、豊作だった他地域よりも住民たちは活気づいていた。

畢竟過去仰賴天候與雨水的日子已一變。曾有降雨稀少的年頭,為了水資源甚至流血的傳聞,如今得益於清澈水流滔滔不絕的用水路,仰天愁眉的日子已成過去。

なにせ天気任せの雨水頼りだった生活が一変したのだ。降水量の少ない年には水を巡って血が流れることすらあったというのに、澄んだ水が滔々(とうとう)と絶え間なく流れ続ける用水路のお陰で空を見上げて憂える日々は過去になった。

他們滿懷期待:明年必能享受如同豐饒糧倉地帶般的恩惠,這使得大家格外歡欣。

来年こそは豊作に沸き立つ穀倉地帯同様の恩恵にあずかれるという期待が彼らを陽気にさせている。

在這樣一片歡欣的氣氛中,靜子卻愁眉不展。原因是上月於茶室與信長的會談。

そんな明るい雰囲気が満ちる中で、静子は頭を悩ませていた。原因は先月に行われた信長との茶室での会談である。

「嗯……上次上樣所言,大概是叫我們開始準備,因為差不多要發動大型戰事了吧。」

「うーん。先だっての上様のお言葉は、そろそろ大きないくさを始めるから準備しろという意味だよね」

雖然並未明說,但從言語的一字一句中可感覺到信長正結束韜光養晦的時期,將迎來騰飛之時。

はっきりと言葉にされた訳ではないが、言葉の端々から信長が雌伏の時を終えて雄飛の時を迎えようとしていることが感じ取れた。

靜子預測信長可能很快會召集主要家臣宣佈開戰,果然數日後她便如預期收到召集令。

静子は近く信長が主要な家臣を集めて開戦を宣言するのではないかと予測していた。そして実際に予測通り彼女の許に召集令状が届いたのは数日後のことだった。

靜子已完成準備,將手頭的事務交接給彩,隔日便率領部下前往安土。

既に準備を終えていた静子は自分の抱えている業務を彩へと引き継ぐと、翌日には配下を率いて安土へと向かった。

行程順利,途中在美濃會合了信忠,使隊伍變得龐大,除此之外順利抵達安土。

道行は順調であり、途中に立ち寄った美濃で信忠が合流したため大所帯となった以外は問題なく安土へと到着した。

進入安土城下的別邸後,靜子派人通報信長她已到,因閒得無事可做,便行動起來想有效利用空閒時間。

安土城下にある別邸へと入った静子は到着を信長に知らせる遣いを出すと、手持無沙汰となったため持て余した時間を有効活用すべく動き出した。

「在其他家臣到達前還有一段時間,那就趁這段時間實地試驗酒精爐和飯盒吧!」

「私以外の家臣たちが到着するまで時間があるから、その間にアルコールストーブと飯盒(はんごう)の実地試験をしよう!」

靜子召集隨行的技術人員到庭院宣佈。

静子は随伴させている技術者を庭に集めて宣言した。

目前靜子領內有大量木酢液閒置。木酢液是燒炭時冷卻並液化排煙所產生的副產品,迄今主要用於殺菌、驅蟲與改良土壤等用途。

現在静子領では大量の木酢液が死蔵されている。木酢液は炭焼きをする際に出る排煙を冷却して液化することで副産物として発生し、今までは主に殺菌や虫除け、土壌改良等に使用されていた。

然而每日產量大於需求,若將排煙排放至大氣又會污染環境;且作為木酢液需長期靜置,並非一旦需要即可立即製成。

しかし日々生産される供給量に対して需要は少なく、かといって排煙を大気中に放出すれば環境を汚染してしまう。また木酢液として使用する為には長期間の静置が必要となるため、必要となったらすぐに作れるという性質のものではない。

基於此種情況,持續生產出看似過剩的大量木酢液,不斷增加的陶製貯藏甕佔滿倉庫成了苦惱的來源。

こうした経緯から過剰とも思える量の木酢液が作られ続けてきた。増え続ける貯蔵用の陶製甕(かめ)が倉庫を占有してしまうのが悩みの種になっている。

於是靜子想到將木酢液進一步加工生成甲醇。甲醇亦稱木精(英文為 woodspirit),是由木材產生的酒精成分。

そこで静子が思いついたのが木酢液を更に加工してメタノールを生成することだった。メタノールは木精(英語ではwood spirit)と呼ばれ木材から生じるアルコール成分である。

與飲用的乙醇不同,甲醇對人體有害,但作為燃料無妨,且不佔空間的液態燃料需求相當龐大。

飲料用のエタノールとは違い、人体にとって有害だが燃料としては問題なく使用でき、嵩張らない液体燃料の需要はいくらでもある。

其中一個消費用途即為酒精爐,簡單說就是便攜式爐具。

そしてその消費先の一つとして挙がったのがアルコールストーブ、判りやすく言うなら携帯用コンロであった。

即便稱為便攜式,材料仍以鍍錫鐵製馬口鐵為主,比起現代的鋁製品相當沉重。

携帯用とは言え材料は鉄に錫(すず)メッキを施したブリキ製であり、現代のようなアルミ製のそれと比べると相当に重い。

但若要搬運大量薪柴、每次煮食都得從頭搭建竈,這種便攜性便顯得無可估量的便利。

しかし大量の薪を持ち運び、煮炊きの度に一から竈(かまど)を作ることを考えれば、その利便性は計り知れない。

當然甲醇是高度揮發且易燃的劇物,運輸時必須小心;若裝入玻璃瓶,再置於木框分格之箱內,並填以木屑,可減少因碰撞打破的可能。

勿論メタノールは揮発性及び引火性の強い劇物であるため、運搬に際しては注意を払う必要があるが、ガラス瓶に詰めた上で木枠に仕切られた箱におが屑と一緒に詰めれば衝撃で割れる可能性も軽減できる。

「發放燃料時要注意發放人員不要大量吸入,但只要注意這點,就是非常方便的燃料喔。」

「燃料支給の際に支給係が大量に吸引しないよう注意しないといけないけれど、そこさえ気を付ければ非常に便利な燃料なんだよ」

既然甲醇屬危險物,不能大量放在單個士兵手中;採用每次使用時由受過操作訓練的發放人員供給,並回收剩餘部分的方式。

メタノールが危険物である以上、一兵士に多く預けるわけにはいかない。使用する都度に取扱の研修を受けた支給係によって支給され、余った分は回収するという使い方となる。

之所以不惜如此麻煩導入便攜爐具,目的在於改善陣中食。

ここまで面倒な真似をしてまで携帯用コンロを導入する理由は、陣中食(じんちゅうしょく)の改善にあった。

戰場上食用的陣中食重視保存性與便攜性,多為脫水後以鹽醃保存,稱不上可口。

いくさ場で口にする陣中食は保存性や携帯性を重視しているため、水分を抜いた上に塩蔵しているものが多く、お世辞にも美味しいものとは言えない。

若有餘裕生火炊煮便能吃到溫熱的飯菜,但在連炊煙都不敢讓人看見的情況下,常見強行以水吞嚥可生食的陣中食的場景。

煮炊きをする余裕があれば温かい食事を口にすることが出来るが、炊事の煙を見られることすら憚(はばか)られる状況では生食が可能な陣中食を無理やり水で流し込むという光景が繰り広げられる。

靜子軍也有類似現代所謂的脫水飯(アルファ米)作為陣中食。此物乃將正常煮熟的白飯沖洗後,以烤箱或石窯烘乾,或日曬至乾燥如乾飯。

静子軍では現代で言う処のアルファ米を用いた陣中食も存在する。これは普通に炊き上げたご飯を水洗いし、オーブンや石窯で水分を飛ばすか、もしくは天日干しでカラカラになるまで乾燥させたものである。

可說是類似即食保存食品,浸水數十分鐘即可回復成熟飯,若能用熱水再溶入味噌等即能成為溫熱粥食用。

これは言わばレトルト食品のようなもので、水に漬ければ数十分程度で元の炊いた飯となるため、お湯が使えれば味噌玉などを溶いて戻せば温かい粥として食べることが可能だ。

但若無法煮水,只能以冷水回復,屆時便得啜飲冷粥。

しかし、お湯を沸かせない場合は水で戻すしかなく、その場合は冷たい粥を啜(すす)る羽目になる。

靜子軍的陣中食變化多端,遠超其他國家軍隊,但仍遠不及現做的溫熱飯菜。

他国の軍とは比べ物にならない程のバリエーションを誇る静子軍の陣中食ではあるが、それでも調理したての温かい食事には遠く及ばない。

靜子的信念為『打仗是吃得飽吃得好的一方會贏』,因此她不停致力改良那些只重熱量與營養、口味不足的陣中食。

静子の持論として『いくさは旨い物を腹いっぱい食べている方が勝つ』というものがあり、カロリーや栄養価だけに偏りがちな陣中食の改良に余念がない。

然而行軍間炊事會冒起濃煙,易被對手察覺軍隊存在,因而需要不會冒煙的調理器具。

とは言え行軍中の炊事はもうもうと煙が立ち上るため、軍の存在を容易に察知されてしまう。そこで煙を出さずに調理できる道具が必要となった。

不可小覷所謂一縷炊煙,藉由炊煙甚至能判斷敵軍規模或行軍時程,留給敵人的情報愈少愈好。

たかが煙と侮ることなかれ、炊事の煙によって敵軍の規模がどの程度であるかや、行軍予定までをも見抜かれることすらあるのだ。敵に与える情報は少なければ少ないに越したことはない。

此處若想到酒精燈就容易理解,燃料用酒精燃燒時幾乎不生煤。視產品而定,燃料用酒精多為乙醇三成、甲醇七成左右的混合物。

ここでアルコールランプを思い浮かべて頂ければ判り易いのだが、燃料用アルコールは燃焼時にほとんど煤(すす)を出さない。製品にも依(よ)るが燃料用アルコールはエタノール3割に対してメタノールを7割程度混合している物が多い。

甲醇比例愈高則煤愈少,故靜子開發的便攜爐具幾乎不產生排煙,成為無煙炊具。

メタノールの割合を増やす程に煤は少なくなるため、静子が開発している携帯用コンロは殆ど排煙を生じない炊事キットという事になる。

「做得挺有趣的啊。不過,蒸氣還是照樣升起喔?」

「なかなか面白いことをしておるな。しかし、湯気は変わらず立ち上っておるぞ?」

「外界溫度與水溫有差,會冒蒸氣也是沒辦法。蒸氣是水蒸氣冷卻成小水滴而看起來發白,隨著擴散又會回復成水蒸氣所以很快就看不見了。而且若有人靠近到能看見蒸氣的距離,那根本無法隱蔽……就是這樣。」

「外気温と水温に差があるから湯気が出るのは仕方ないよ。湯気は水蒸気が冷えて水滴になることで白く見えるの、拡散するにつれて水蒸気に戻るからすぐに見えなくなるよ。それに湯気が視認できるほどの距離まで近づかれたら、隠蔽なんて出来っこないんだし……って」

對從背後拋來的疑問聲反駁的同時,轉身想知道是誰來澆了這場本來熱鬧的場子一盆冷水。

背後から投げかけられた疑問の声に反論しつつ、せっかく盛り上がっている処へ水を差すのは誰だと振り返った。

聲音的主人一入眼,靜子的聲音立刻縮小消沉。那個以惡作劇得逞的頑童表情站著的人,原本不該出現在這裡。

声の主が視界に入った途端に静子の声は尻すぼみに小さくなった。悪戯が成功した悪ガキのような表情で佇(たたず)んでいたのは本来ここに居るはずのない人物であった。

「唔、上樣! 何時到這裡來的?」

「う、上様! いつこちらへ?」

「何,你差人來通報我到達,所以我就親自來了」

「何、貴様が到着の遣いを寄越したゆえ、直接出向いたまでのこと」

靜子慌亂的話一出,在場的技術者們聽明白是信長臨席,便急忙伏地行禮。

狼狽(ろうばい)した静子の言葉で、臨席している人物が信長と理解した技術者たちが急いで平伏した。

「不用管我。你們各自做好本分即可」

「わしには構わずとも良い。其の方らは己の為すべきことを為せ」

因為信長意外到場而僵住的技術者們,在接到信長親自的指示後又恢復作業。

想定外の信長臨席という事態に固まっていた技術者たちだが、他ならぬ信長自身からの指示を受けて作業を再開した。

靜子覺得對信長的行動抱怨也無濟於事,便命小姓把兩張小矮桌搬來。

静子は信長の行動に文句を言っても仕方ないと諦め、小姓たちに床机(しょうき)を二脚持ってくるよう命じた。

信長一屁股坐到準備好的小矮桌旁,並示意靜子也到旁邊坐下。

信長は用意された床机にどっかりと腰を下ろすと、静子にも隣に座るよう促す。

「近來都不下田嗎?」

「近頃は畑にも出ておらぬそうじゃな」

「是的。為了讓我不在時大家也能照料,大家已能自理,所以我便開始著手其他事務」

「はい。私が居らずとも皆が世話できるようになりましたので、他のことに取り掛かっております」

「哦!在山中挖蓄水池養魚也是其中一環嗎?」

「ほう! 山の中に溜池を作って魚を飼い始めたのもその一環か?」

「您知道羅非魚嗎?還沒養到可以獻給上樣的程度,但稍後會帶來」

「ティラピアのことをご存知だったのですか? まだ上様に献上できる程の仕上がりではありませんが、後程お持ちいたします」

「嗯。我並非要催促,但既然說要準備,便收下吧」

「ふむ。催促したつもりは無いのだが、用意すると言うのなら頂こう」

雖覺得話題被相當露骨地拋給自己,但這種事還是沉默為美。靜子叫了小姓,讓廚房去準備羅非魚的料理。

割と露骨に話題を振られた気がしたが、そこは言わぬが花というものだろう。静子は小姓たちに声を掛けると、ティラピア料理を作るよう厨房へと連絡させる。

正如信長所言,近來靜子致力於養殖業。穀物和蔬菜供應穩定,養雞養豬養牛及狩獵的獸肉也已流入市場,蛋白質來源得以補足。

信長が指摘したように近頃静子は養殖業に精を出していた。穀類や野菜は供給が安定し、養鶏及び養豚、養牛や狩猟による獣肉も市場に流通し、たんぱく質も取れるようになっている。

但由於成本緣故,吃肉總是較昂貴,為求更便宜且穩定的蛋白質來源,開始養殖羅非魚。

しかしコスト面からどうしても肉食は高価になりがちであり、もっと安価で安定したたんぱく質の供給を目指してティラピアの養殖に着手したのだ。

「不過你到處想方設法弄來各種魚,拿來給我的是只有一種嗎?」

「しかし方々手を尽くして様々な魚を仕入れておるようじゃが、わしに出すのは一種のみか?」

「理由有許多,但羅非魚的調理法已找到可行方案,因此判斷可以讓上樣品嘗。目標是穩定供應魚肉,若只依賴一種,萬一爆發疾病便無法替代。我所入手的品種生命力都很強,能在些微惡劣環境下繁殖。終有一天會由我手中轉交民眾養殖,若需過度細心照料便行不通」

「理由は色々ございますが、ティラピアは調理法に目処が立ちましたゆえ、上様に召し上がっていただけると判断しました。魚肉の安定供給を目指すのが目的ですから、一種だけに頼れば病気が流行した際に代替することが出来ませぬ。私が仕入れている種はいずれも生命力が強く、少々の悪環境など物ともせずに繁殖いたします。いずれ私の手を離れ、民たちの手で育てるというのに繊細な世話が必須では話になりません」

「原來如此,你打算像對待稻米一樣,讓民眾用自己的雙手改善飲食生活,對吧」

「なるほど、貴様は米と同様に民たちの手で己の食生活を改善させようと企んでおるのじゃな」

「只是因為本非此地原生物種,恐會與在地種爭地盤或改變生態系。現階段透過隔絕的環境養殖以避免,但在交由民眾手中前仍需採取某些對策」

「ただ本来この地に住まう生物ではない為、在来種と縄張り争いをしたり、生態系を塗り替えたりする恐れがあります。現在は隔絶した環境で養殖することで回避していますが、いずれ民の手に委ねるまでに何らかの対処が必要でしょう」

易於養殖對於肉類供應是件好事,但一旦放出到自然中也可能難以挽回。

養殖し易いという事は食肉供給の面からは好ましい。反面一度世に放ってしまえば取り返しがつかない事をも意味する。

事實上羅非魚在世界各地被視為會破壞生態系的侵略性外來種。即便在現代日本,羅非魚類定殖也已導致生態破壞,使其他物種無法生存的情況被確認。

実際にティラピアは世界各地で生態系を破壊する侵略的外来種としても認識されている。現代日本に於いてもティラピア類が定着したが為に、生態系が崩れて他の種が住めなくなった環境が確認されている。

因此靜子建立以蓄水池為中心的封閉環境進行養殖,池邊還設置兔舍與雞舍,利用牠們的糞便與剩食來培養池中浮游生物的循環。

そこで静子は溜池を中心とした閉じた環境を構築し、そこで養殖を行うようにしていた。溜池周辺にウサギ小屋や鶏小屋も併設し、彼らの糞や食べ残しによって溜池のプランクトンが育つ仕組みだ。

問題在於蓄水池水流滯留,水質容易惡化。羅非魚仍能生長,但這樣養出的魚體會帶有惡臭。

問題は溜池の性質上、長く水が滞留するため水質が悪くなることにある。ティラピアはそれでも問題なく育つのだが、こうして養殖したティラピアは身に悪臭を宿す。

因此定期自河川引入新水,並讓混濁水經沉澱槽後只排放上層清水,以維持水質。

その為、定期的に河川から新たな水を引き入れ、また濁った水は沈殿槽を経て上澄みのみを排出することで水質を保つようにしている。

原本預定的是養殖在地種的鯉魚,卻因為意想不到的因素而失敗了。

本来予定していたのは在来種である鯉の養殖だったのだが、これは予想外の要因で失敗した。

雖然鼓勵為食用而養殖,但山區的民眾選擇把養好的鯉賣掉,並用收入購買其他食料。

食用目的で養殖を推奨したのだが、山岳部の民たちは育てた鯉を売却し、その収入で他の食料を買うという道を選択した。

羅非魚在日ノ本不被視為食用,因此目前幾乎沒有需求;但鯉自古被當作食物,能以相當價格交易。

ティラピアは日ノ本では食用とされていない為、現在の処需要が全くないが、鯉は古くから食用とされてきたためそれなりの価格で取引されるのだ。

禁止鯉的買賣雖簡單,但若因此把已改善的飲食生活扭回去就本末倒置了。

鯉の売買を禁止することは簡単だが、曲がりなりにも改善した食生活を戻すのでは本末転倒になってしまう。

於是下一步開始養殖羅非魚。因為沒人願意買,沒有價格,除了當食用別無他法。

そこで次の手としてティラピアの養殖に着手したのだ。こちらは欲しがる人がいないため値段がつかず、食用にする以外に利用法がない。

「你選的魚應該味道不錯。看你還收集了其他魚種,難道也為貴人準備了適合上桌的品種?」

「貴様が選んだ魚ならば味の方も期待できよう。それに他にも魚を集めておるところを見るに、貴人が食すに相応しいものも考えておろう?」

「被您看穿了,真是失禮了」

「ご賢察、恐れ入ります」

「『未雨綢繆』嗎,你一向以周到準備見長。那也拿出來讓我看看吧」

「『転ばぬ先の杖』か、貴様は常に用意周到に準備をするのが売りじゃからな。そちらも見せてみよ」

「確實已入手,但尚在增加數量的階段,無法端上。等採卵時我會再報告,請見諒」

「確かに入手はしておりますが、まだ数を増やす段階ですからお出しすることが叶いませぬ。採卵した折に改めてご連絡差し上げますので、ご容赦下さいませ」

如信長所指,靜子除了羅非魚外,還嘗試捕獲並養殖南國系的サバヒー以及生於東北沿岸的鱘魚。

信長の指摘通り、静子はティラピアの他に南国系のサバヒーや、東北沿岸に生息しているチョウザメを捕獲して養殖をしようと試みていた。

這些物種的棲息域都與尾張不同,是否能在此地養殖只能靠一步步地試驗。

いずれも尾張とは生息域が異なるため、この地で養殖できるかどうかは地道に試すよりほかはない。

說到鱘魚,人們以其鹽漬魚子醬聞名,但其魚肉實際上也有被列為高級食材的美味。

チョウザメと言えばその卵の塩漬けであるキャビアが有名だが、実は魚肉の方も高級食材に分類される程の味を持っている。

中國把花斑鱘稱為鰉(皇帝之魚),視為能上皇帝餐桌的珍饈。歐洲也稱其為皇家之魚,在加冕典禮或王侯舉辦的宴會上常供應鱘魚料理。

中国ではカラチョウザメを鰉(皇帝の魚)と呼び、皇帝の食卓に載せられる食材として珍重された。ヨーロッパでもロイヤルフィッシュと呼ばれ、戴冠式や王侯の主催する宴に於いてチョウザメ料理が供される程であった。

而重視魚子醬的主要是俄羅斯,回溯一個世紀左右,美國和法國常把魚子醬當作釣餌使用。

一方キャビアを重要視していたのはロシアのみであり、ほんの一世紀も遡るだけでアメリカやフランスに於いては釣り餌に使われることが多かった。

讓原本被忽視的魚子醬成為高級食材並廣為人知的,是在1917年二月革命期間從俄國集體遷移到法國的俄羅斯貴族們。

このように見向きもされていなかったキャビアを高級食材だと世に知らしめたのは、1917年の二月革命に於いてロシアからフランスへ集団移住したロシア貴族たちだ。

他們把製作魚子醬的方法帶到法國,在法國貴族間廣受歡迎後,便作為極品食材在世界各地備受珍視。

彼らはフランスにキャビアの製法を持ち込み、フランスの貴族たちの間で人気を博すと、極上の食材として世界中で珍重されるようになる。

說到鱘魚,貝爾加種最為著名,但雖屬不同種,日本也曾有特有的鱘魚存在。然如今已被環境省列入紅色名單,標示為「絕滅種」。

チョウザメと言えばベルーガ種が有名だが、種は異なれど日本にも固有種のチョウザメが存在していた。しかし、現在に於いては環境省のレッドリストに『絶滅種』として指定されている。

鱘魚首次出現在日本史上的記錄,是1717年松前藩以「菊とじ鮫」之名獻給幕府的記載。

日本の歴史上に初めてチョウザメが登場するのは、1717年に松前藩が『菊とじ鮫』として幕府に献上した記録となる。

此後直到明治時代末期,鱘魚作為夏日魚類曾熱鬧於市場;但由於接連的河川整治與因魚子醬盛行所致的過度捕撈,數量迅速銳減,進入昭和時代時日本的鱘魚已然滅絕。

それ以降、明治時代末期ごろまでチョウザメは夏の魚として市場を賑わしていた。しかし相次ぐ河川改修やキャビア人気による乱獲によって見る見る数を減らし、昭和の時代に入ると日本のチョウザメは絶滅してしまっていた。

靜子在現代也未曾見過日本的鱘魚,但她認為若回到未被人為干預的戰國時代或許能取得。

静子も現代に於いて日本のチョウザメを見た事は無かったが、人の手が入っていない戦国時代ならば手に入るのではと考えた。

然而即便作主意者是靜子,她也並不掌握鱘魚的詳細知識,目前仍處於反覆試驗與錯誤的階段。

しかし、発案者の静子にしてもチョウザメに関する詳しい知識など持ち得ておらず、現在は試行錯誤を繰り返している段階だ。

目前已知的是需要保持水質清潔、水溫在15至20度左右最為活躍、餌必須弄小否則不會吃、牠們似乎視力弱,對氣味淡的餌不會上鉤等。

現状判っているのは水を清潔に保つ必要がある事、水温は15度から20度ぐらいで最も活発になること、餌は小さくしなければ食べないこと、どうやら視力が弱いらしく匂いの弱い餌には食いつかないことなどだ。

相較於羅非魚(Tilapia)更難飼育,且若不費心力調整環境便會很快虛弱。

ティラピアに比べれば飼育が難しい上に、手間暇をかけて環境を整えてやらなければすぐに弱ってしまう。

絕非以平民能負擔的價格流入市場,她認為這是一項可走高級品路線培育的事業,因此奮力經營。

とてもではないが庶民の口に入る値段で市場に出回ることはないが、これは高級品路線として育てていける事業だと考えて奮戦している。

「嗯。那麼就期待那個幸運降臨的日子吧。」

「ふむ。ではその幸運が訪れる日を楽しみに待つとしよう」

不論信長是否知道靜子的辛苦,他都笑得很開心。

静子の苦労を知ってか知らずか、信長は楽しそうに笑っていた。

自信長的召集約過了一週,主要的家臣團已在安土集結。

信長の召集より一週間ほどが経つと、主要な家臣団は安土へ集結していた。

織田家方面,先是信長的兄弟信包(のぶかね)、長益(ながます),接著是後繼者信忠,以及他的兄弟信雄、信孝。

織田家からは信包(のぶかね)や長益(ながます)といった信長の兄弟に始まり、後継者である信忠、その兄弟である信雄、信孝が続く。

現在名列首席家臣之首的柴田勝家帶頭,還有池田恒興(つねおき)、滝川一益(かずます)、丹羽長秀、羽柴秀吉、明智光秀、前田利家、佐々成政、不破光治(みつはる)、林秀貞(ひでさだ)、佐久間信盛、金森長近(かなもり)、川尻秀隆等一干傑出人物齊聚一堂。

今や筆頭家臣との呼び名も高い柴田勝家に始まり池田恒興(つねおき)、滝川一益(かずます)、丹羽(にわ)長秀、羽柴秀吉、明智光秀、前田利家、佐々成政、不破(ふわ)光治(みつはる)、林秀貞(ひでさだ)、佐久間信盛、金森(かなもり)長近、川尻秀隆など錚々(そうそう)たる面々が集まっていた。

從靜子所處的位置看不見,但還有很多武將聚集,使得大廣間都顯得狹窄。

静子の位置からは見えないが、他にも多くの武将が集まっているため大広間が狭く感じるほどだった。

(胃好痛)

(胃が痛い)

在那樣的大廣間中,靜子坐在較高的一層位置,旁邊無人與她並列,而再上一層則是信長就座的情形。

そんな大広間の中でも一段高い位置に静子は座していた。隣に並ぶ者はなく、更に一段高い位置には信長が座しているという状況だ。

換言之,她與信長同列而坐,面對著其他家臣以傲視的姿態相對。

つまりは信長と横並びの位置に座り、他の家臣達を睥睨(へいげい)しつつ相対している。

(雖說我不屬於任何派閥,但這壓力相當沉重……。那時上樣特地親自前來,難道就是為了這件事……)

(私がどの派閥にも属していないからとは言え、これは中々の重圧……。あの時上様がわざわざ足を運んだのはこの為だったのか……)

信長親自前往靜子的別邸,一方面是視察她的生活,真正目的則是命她擔任軍議的進行者。

静子の別邸に信長が直接赴(おもむ)いたのは、静子の生活ぶりを視察するためでもあったが、本来の目的として静子に軍議の進行役を命じるためであった。

通常由信長自己主持軍議,但此次拔擢靜子的背後,是由於家臣間的權力鬥爭日趨激烈。

通常ならば信長が軍議を進行するのだが、ここにきて静子を抜擢(ばってき)した背景には、家臣達の間で繰り広げられる権力闘争が激しくなってきていることがある。

在此時若召集屬下下達大號令,連席次都可能成為爭端,於是信長想出一個計策,用比那更大的衝擊震懾眾人。

そんな折に配下を集結して大号令を下すとなれば、軍議の席次すら争いの種となりかねない。そこで信長は一計を案じ、それ以上のインパクトを以て皆の度肝を抜いてみせた。

靜子擔任「織田家相談役」這個聽來甚為堂皇的職務,但至今被視為名存實亡的榮譽職。於是信長決定賦予此職字面上對織田家當主提供諮詢的權責,並在公開場合傳達信長意見以強化其權威。

静子は織田家相談役という仰々しい役目を担っているが、これは今まで有名無実の名誉職と見做されていた。そこで信長は文字通り織田家の長に対する相談を担う役職であり、信長の意見を公の場で皆に伝えるという権威付けを行うことにした。

「諸位,遠道而來,辛苦了。」

「皆の者、遠路をおしてよくぞ参った」

信長發出的一句話讓會場弦緊,眾人聚精會神不敢錯過他的一字一句。

信長が発した一言で場に張り詰めた空気が漂う。彼の一言一句を聞き逃すまいと、皆が信長の言葉に集中していた。

察覺到全體的注意力都集中在自己身上,信長沉靜但有力地發言。

全員の意識が己に向いている事を把握した信長は、静かに、しかし力強く言葉を発した。

「時機終於成熟了。」

「ついに時は満ちた」

眾人隱約察覺到那話的含意,面對著興奮難掩的家臣們,信長站了起來。

その言葉が意味する処を皆は漠然と察していた。遂に始まるのだと興奮を隠せずにいる家臣を前に信長は立ち上がった。

「坊間似乎傳言,在日之本仍有能與我等分天下者存在。」

「日ノ本には未だ我らと天下を二分する者がいると人々は噂しておるようだ」

信長浮現出一抹傲慢的笑容,隨即擺頭示意那是錯誤的看法。

信長はふてぶてしい笑みを浮かべると、それは間違いだと言わんばかりに首を振って見せる。

他那種彷彿在說「真令人惋惜,不懂世道的愚者真叫人頭疼」的舉止,令眾人無不為之注目。

全く嘆かわしい、世の道理を弁えておらぬ愚物はこれだから困ると言わんばかりの所作に、皆が引き込まれていた。

「今川、本願寺、自稱天下無敵的武田也被我擊破。每每有人說『織田的天下也到此為止了』,但我屢屢顛覆其言!」

「今川に本願寺、天下無敵と称された武田すらも我らは破ってきた。その度に『織田の天下もこれまでよ』と言われながら、都度それを覆して見せた!」

如此一說,信長環視那些倒抽一口氣的家臣們。

そう言うと信長は息を呑む家臣達をぐるりと見回した。

「他們失敗的原因只有一:無法成為承擔天下的器。怠於準備,無法等待天意降臨。反觀我忍耐韜光養晦,終於迎來號令天下的時刻!武田?北條?算什麼東西!就連毛利也不足以畏懼!要讓天下萬民知道,無有能與我等並列者!」

「奴らの敗因は唯一つ。等しく天下を担う器足り得なかったのだ。準備を怠り、天意が訪れる機を待てなかった。翻(ひるがえ)ってわしは雌伏の時を耐え、ついに天下に号する時を迎えた! 武田? 北条? 何するものぞ! 毛利とて恐るるに足らぬ! 我らに並ぶものなど居ないという事を天下万民に知らしめるのだ!」

信長言語節奏抑揚有致,使家臣們深切感受到一場大攻勢即將展開。

緩急をつけ、抑揚の効いた信長の言葉は家臣達に大攻勢が始まる事を深く印象付けた。

並斷言即便是被稱為日之本東西雄者的舊豪強也不足為懼,以此激勵眾人的戰意。

そして日ノ本東西の雄と称される古豪とて相手にならぬと断じることで、皆の戦意を駆り立てる。

「諸位,我命令你們掃蕩一切敢在我面前阻擋的敵人。接下來由織田家相談役宣佈陣容,各位好好聆聽。」

「皆には、わしの前に立ち塞がらんとする敵の一掃を命じる。これより織田家相談役が陣容を伝える、各々心して聞くが良い」

「是!」

「はっ!」

接過信長的進行棒後,靜子手持卷軸站起,從臺上俯視的她吸引了眾多充滿殺氣的家臣目光。

信長から進行を引き継いだ静子は、巻物を手にして立ち上がった。壇上から見下ろす静子には殺気立った家臣達の視線が集中する。

眾人已明白,從現在起靜子將要說出的布陣如何,將大幅左右自己的命運。

今から静子が口にする布陣如何によって、己の命運が大きく左右されるであろうことを既に皆は理解していた。

面對柴田達等重臣當然,以及直到末席的武人們散發出的熱氣,以往的靜子恐怕早已退縮。

柴田達重臣は勿論、末席に至るまでの武人たちが発する熱気を前に、今までの静子であったならば腰が引けていたことだろう。

然而,維特曼與巴爾蒂這兩位親近家人的死,讓她決意在此地活下去。

しかしヴィットマンとバルティと言う身近な家族の死が、彼女にこの地で生き抜く覚悟を決めさせた。

「接下來我要向各位傳達的內容主上也已知悉,且我的言語等同主上的言語,請諒解。」

「今より皆様にお伝えする内容は上様もご承知であり、私の言葉は上様の言葉に等しいことをご了承ください」

如今蔑視靜子者已是少數,但根深蒂固的輕視女性風潮仍然存在。

今や静子を侮る者は少数派だが、それでも根強く女性蔑視の風潮は存在する。

這是對那些對由女性口中宣告可能左右自己生死的陣法感到反感之人所做的強調。

己の生死すら左右する陣立てを、女の口から告げられる事に反感を抱くものに対して念を押した形だ。

說罷,靜子環視列席的家臣,便見有些人惋惜地垂下臉。

そう言って静子が居並ぶ家臣を見回すと、口惜しそうに面(おもて)を伏せる者がちらほらと見受けられた。

正如諺語所說「喉嚨過了就忘了燙」,無論功績多高,過往終會被遺忘,且總會有人自詡也能做到,這是世情常態。

『喉元過ぎれば熱さを忘れる』の諺通り、どれほどの功績を挙げようとも過ぎたことは忘れ去られ、自分でも出来ると嘯(うそぶ)く輩が現れるのは世の常だ。

而這種傾向在血氣方剛的年輕人身上尤為常見。

そしてその傾向は血気逸る年若いものに多くみられる。

「那麼,現在被點名的人請到我面前集合。」

「それでは今から名を呼ばれた方は、私の前へとお集まりください」

說罷,靜子拆封展開卷軸,眾人屏息以待她的言語。

そう言って静子が巻物の封を切って広げると、皆が固唾をのんで静子の言葉を待った。