戦国小町苦労譚
一五七六年 九月上旬
「先把情況整理一下吧。賣那支玻璃筆的商人一開始就擺著它嗎?」
「先ずは状況を整理しようか。このガラスペンを売った商人は最初からこれを並べていたのかな?」
「不。當時他在賣作為今濱土產的小巧玻璃製品。我在挑選要送給家人的伴手禮時,他可能看到我出手闊綽,就特地拿出這種東西給我看……」
「いいえ。今浜土産として小ぶりなガラス製品を売っておりました。私が実家の者への土産を見繕っている際に、金払いが良いと見たのか、特別にこんなものがあると見せられました……」
「看起來並不是公開販售。他那個商人有多支玻璃筆嗎?」
「大っぴらに売っていた訳じゃなさそうだね。その商人はガラスペンを複数持っていた?」
「沒有,說是只有這一件獨一無二的……」
「いえ、一点物なので他にはないと……」
「嗯……若信商人的話,能帶出境的試作品只有一件。不過也不一定沒對其他人說同樣的話。這件事就拜託秀長殿費心一回吧?我們欠他差不多那個人情了不是嗎?」
「うーん。商人の言(げん)を信じるならば、持ち出せた試作品は一つのみ。でも他の人にも同じことを言っていないとは限らない。ここは一つ秀長殿に骨を折って貰うとするかな? それぐらいの貸しはあったよね」
說完靜子取起筆草擬文書。內容是關於作為今濱新名產開發中的玻璃筆試作品被帶出領外的事。
そう言って静子は筆を取ると文を認(したた)める。内容は今浜の新しい名産品として開発しているガラスペンの試作品が領外に持ち出されている。
靜子已尋回該玻璃筆,但懷疑可能已有外流,請求秘密地調查工房及相關人員。
それを静子が見つけて取り戻してあるが、外にも漏洩(ろうえい)している可能性があるため、工房及び関係者を秘密裏に洗って欲しいというものだ。
靜子取得的那支玻璃筆上未刻製造號碼,並註明恐為因某種問題被判定為失敗品的試作品。
静子が手に入れたガラスペンには製造番号が刻まれておらず、恐らく何かしら問題があって失敗作と判断された試作品であろうという事も書き添えておく。
「啊對了。妳記得那個商人的長相嗎?」
「あ、そうだ。貴女はその商人の人相を覚えているかな?」
「說起來,他鼻樑有一顆大痣,手背有燒傷的痕跡。」
「そういえば、鼻筋に大きな黒子(ほくろ)があったのと、手の甲に火傷(やけど)の跡がありました」
「喔,很有特徵呢。那能不能請妳把記得的模樣畫出來?把那個也附上交給秀長殿處理吧。」
「お、結構特徴的だね。じゃあ、覚えている限りで人相を描いて貰えるかな? それも添えて秀長殿にお任せしよう」
靜子將紙、玻璃筆和墨壺交還給年紀較長的少女,讓她畫出人相畫。
静子は紙とガラスペン、墨壺を年嵩(としかさ)の方の少女に返し、人相書きを作らせる。
等候之際又多方思索。眼下對一個不知有多少漏洞的鍋子而言,現在只是想堵住其中一個洞而已。
それを待つ間に更に思案を重ねる。現時点では幾つ穴が開いているか判らない鍋に対して、一ヶ所の穴を塞ごうとしているに過ぎない。
須藉由拜託秀長來查出漏洞總數,確認是否未向外洩漏。若果真還有其他被帶出,還需擬定因應之策。
秀長に依頼することで穴の総数を割り出し、外には漏れていないという事を確認する必要がある。更に万が一に他にも持ち出されてしまっていた場合の策も必要となるだろう。
也就是說得放棄當作高級藝術品的路線,轉為走實用取向,示出能獲利的途徑才行。
つまり高級な芸術品としての路線は捨て、実用一点張りの方向性で利益を生む道筋を見せてやらねばなるまい。
「喔,已經畫好了?真快。」
「お、もう出来たの? 早いね」
「喔!真不錯。給人一種有些陰鬱的混混模樣。」
「ほう! 見事なものだな。何処か陰のある小悪党といった感じか」
蹲在靜子旁邊偷看人相畫的足滿誇獎那少女。就像現代偵辦案件會畫出嫌疑人肖像一樣,強調特徵的素描有時比寫實照片更容易找出對象。
静子の隣で人相書きを覗(のぞ)き込んでいた足満が少女を褒めた。現代に於いても犯人捜しに際して似顔絵が作られるように、案外写実的な写真よりも特徴を強調した似顔絵の方が対象を見つけ易い場合がある。
靜子見到足滿的反應以及少女畫畫又快又有應變能力,靈機一動。一邊翻閱從少女那拿過來的書頁,一邊問她。
静子は足満の反応と、少女の作画の早さ及び応用力の高さを目にして、一計を思いついた。静子は少女から取り上げた本の頁(ページ)を捲(めく)りながら少女に訊ねる。
「這本書是左翻且橫排文字,並非常見的樣式;是因為一般書籍右翻且直排,反過來寫會比較不易被察覺秘密嗎?」
「この本は左開きで文字は横書きという普通にはない様式で書いてあるけれど、これは一般の書物が右開きで縦書きなのに対して真逆にすることで秘密が露見しにくくしたってことなのかな?」
「是、是的。正如您所說。我想藉由統一字體大小並盡量寫得方整,使得如果用直排閱讀就無法通順理解。」
「は、はい。仰る通りです。文字の大きさを揃え、極力四角く纏(まと)まるように書くことで縦書きに読むと意味が通らないようにと考えました」
「妳家裡是做什麼生意的呢?」
「貴女のご実家は何をしてらっしゃるのかな?」
「是……是的。我家在這裡經營和服生意。但請務必寬恕不要牽連到家人……」
「は……はい。こちらで呉服の商家を営んでおります。ですが、何卒(なにとぞ)家族への連座はご容赦下さいませ……」
「欸!?啊,不不是那個意思。我是說妳的才能實在太可惜被埋沒,不如把這當工作試試看?」
「え!? あ、違う違う。そうじゃなくて、貴女の才能を埋もれさせるにはあまりにも惜しい、これを仕事にしてみないかな? と思って」
「啊……是……」
「は……はあ……」
「當然這種樣式太新奇讀者不見得接受,文字要改回直排,並希望做成類似繪卷的形式,妳能做到嗎?」
「勿論このままの様式じゃ斬新過ぎて読み手がつかないから、文字は縦書きにして貰った上で絵巻物のような形にして貰いたいんだけど、できるかな?」
繪卷物是日本的一種繪畫形式,奈良時代就製作了被視為最早繪卷的『絵因果経』。
絵巻物とは日本の絵画型式の一つであり、奈良時代に最初の絵巻物とされる『絵因果経(えいんがきょう)』が作られている。
以橫長紙張連續描繪場景或故事,有時畫與作為說明的詞書交替出現。
横長の紙に情景や物語を連続して描写し、絵及びその説明となる詞書(ことばがき)が交互に現れるものもある。
若用繪卷形式,與少女小說的體裁相對接近,對公家們也較易親近。
絵巻物型式であれば少女の小説の形式に比較的近く、公家たちにとっては親しみやすい。
於是,靜子打算把它以四格漫畫般的方式刊載在義父近衛前久所發行的『京便り』的一角。
そう、静子は義父である近衛前久(さきひさ)が発行している『京便り』の紙面の一部に4コマ漫画のように載せようと画策したのだ。
當然這是剛想到的事,需事前斡旋,但作為具備基本教養的公家閱讀的新娛樂提供,他應該也願意。
勿論今思いついたことであり、事前に根回しをする必要はあるが、最低限の教養を備えた公家の読み物として新しい娯楽の提供は彼も望むところだろう。
「可以就這樣繼續寫下去嗎?」
「このまま書き続けても良いのですか?」
「筆記工具會改用毛筆,內容也會請妳保持得體,不過紀行文這種體裁就保留。這畢竟是工作,會支付相應稿費,也會去請妳家同意。」
「筆記具はガラスペンでは無く筆になるし、内容についても穏当なものにして貰うけれど、紀行文という形式はそのままで良いよ。勿論お仕事だから、相応のお給金を払うし、貴女のご実家にそのことを了承して貰えるようお願いに行くつもり」
「哪、哪有這等事!實在受寵若驚。獲得領主大人垂詢並非我所能拒,且我也想做。」
「そ、そんな! 畏れ多いことでございます。ご領主様に望まれて否やはございませんし、私もやりとうございます」
「妳要為面向京中公家的刊物提供稿件。到時用本名不方便,能先想好一個筆名嗎?」
「貴女には京の公家向けに作られている書に対して、原稿を提供して貰います。その際に本名だと都合が悪いので、筆名を考えておいてもらえるかな?」
「是、是嗎!?」
「は、はい!?」
突然被安排了就業去處,話就這樣迅速定下來。少女們互相靠攏,拼命消化如激流般湧來的資訊。
唐突に就職先を斡旋(あっせん)され、あれよあれよという間に話を詰められていく。少女たちは身を寄せ合って、激流のように押し寄せてくる情報を噛み砕くのに精一杯だった。
「這支玻璃筆,羽柴大人以為若獻給上(朝廷)會被加持而好賣,但我想那打算大概會落空。」
「このガラスペン、羽柴様は上様に献上すれば箔がついて売れると踏んでいるようだけれど、多分その思惑は外れることになると思うの」
在戰國時代,貴人親自書寫罕見。私人事務另當別論,公文則由稱為右筆的代筆專門人員代勞。
戦国時代に於いて貴人が自ら字を書くと言う事は稀である。私的な物はともかく、公的な文書ともなれば右筆(ゆうひつ)と呼ばれる代筆専門の人間が筆を取っている。
再者,雖作為工具很具突破性,但若以美術品來看,採筆形反而成為枷鎖,難免給人樸素不起眼的印象。
更に道具としては画期的ではあるが、美術品として見た場合筆の形をとることが足枷となってどうしても地味な印象が拭えない。
與同樣屬於玻璃製品、被稱為切子(きりこ)的玻璃容器相比,華麗度便稍遜一籌。
同じくガラス製品の切子(きりこ)と呼ばれるガラス容器に比べれば華やかさで劣ってしまうのだ。
另一方面,作為實用品來說,玻璃筆很有前景。除了耐久度足以用一支寫完一本相當厚的書籍外,還能以比毛筆細得多的字跡在高密度上書寫。
一方で実用品としてガラスペンは有望だ。一本でそれなりの厚みの書籍を一冊書き上げられるだけの耐久性に加え、筆文字よりもずっと細い文字を高い密度で書き込むことができる。
若作為實用品,握柄部分採用木製等材質,僅將筆尖做成可替換式,便能期待持續性的需求。
実用品であれば、持ち手部分を木製などにして、先端のみを付け替え方式にすることで継続的な需要を見込むことも可能だ。
此外,用於《京便り》的ガリ切り所需的鐵筆(てっぴつ)是金屬製的筆。若把用於ガリ切り前的稿件改用玻璃筆,或許能減輕ガリ切り的勞力。
更には『京便り』のガリ切りには、鉄筆(てっぴつ)と呼ばれる金属製のペンが用いられている。ガリ切り前の原稿をガラスペンにすることで、ガリ切りの労力を少なくすることも出来るだろう。
若是開明且有先見之明的前久,絕不可能忽視玻璃筆的有用性。畢竟這是前久親自關注的事業,若能拉攏他,毫無疑問會成為大客戶。
開明的であり先見性のある前久ならば、ガラスペンの有用性を見過ごすことなどあり得ない。何と言っても前久肝煎(きもい)りの事業だけに、彼を取りこめれば大口顧客となることは間違いない。
「嘛,世上沒有絕對的事,高級品形式的玻璃筆也有可能會賣得好。若只是杞憂就好了,但為了萬一不順利,還是有備無患比較好吧?」
「まあ、世に絶対はないから、高級品としてのガラスペンが売れることもあるかもしれない。杞憂(きゆう)で済めば良いけれど、上手くいかなかった時の備えはあるに越した事はないよね?」
對秀吉而言玻璃筆是珍愛之物,但重要的是能帶來利潤。
秀吉にとって虎の子となるガラスペンだが、重要なのは利益が出る事なのだ。
即便玻璃筆已在市面上流通、無法獻給上様,只要能預見可觀利潤,對於些微的瑕疵(缺點),也會選擇睜一隻眼閉一隻眼。
既にガラスペンが世に出回ってしまい、上様に献上できなくなったとしても、十分な利益が見込めるとなれば多少の瑕疵(かし)(欠点のこと)には目を瞑(つむ)るだろう。
「若妳的筆名賣得好,可以把文具從毛筆換成玻璃筆,透過紙面與作品來推銷玻璃筆。被更多人看見,想買的人也會越多。對於在《京便り》刊登廣告的商人們來說,也會成為令人關切的存在吧?」
「貴女の筆名が売れれば、文具を筆からガラスペンに切り替えて、紙面と作品を通じてガラスペンを売り込む事も出来るしね。多くの人の目に止まれば、それだけ欲しがる人の数も多くなる。『京便り』に広告を出稿している商人たちにとっても、気になる存在になるんじゃないかな?」
靜子的策劃在行銷領域被稱為品牌建立(branding)。
静子の策はマーケティング分野ではブランディングと呼ばれる手法である。
若在大眾媒體宣傳某件是著名作家所愛用,顧客便會認為那位作家使用的東西不會錯。
著名な作家が愛用している品だとマスメディアで宣伝すれば、顧客はあの作家が使っている物ならばハズレはないはずと認知する。
而事實上作為書寫用具的玻璃筆確實優秀。這種信賴會進一步提升她們的知名度,進而又生出更多信賴,形成良性循環。
そして実際に筆記用具としてのガラスペンは優秀だ。その信用がさらに彼女達の知名度を向上させ、更に信用が生まれるという好循環が始まる。
若她們的知名度提升,除了在《京便り》連載外,還會出現願意購買她們作品的人。如此一來,她原本擅長的作品也會更容易被接受。
彼女達の知名度が高まれば、『京便り』の連載以外にも彼女達の作品を買い求める人が現れるだろう。そうなれば彼女が本来得意とする作品も受け入れられ易くなる。
歷來人們的興趣總是集中在他人的情感糾葛或醜聞之上。
いつの世も人の興味は他人の色恋沙汰や醜聞に集中するものなのだから。
「彩醬,能不能把一間房間和當前的活動費交給她?」
「彩ちゃん、彼女に部屋と当面の活動費を渡して貰える?」
「是,知道了」
「はっ、承知しました」
「以上就是我要說的。另外一個妳,在我說可以之前能不能閉嘴?」
「話は以上よ。もう一人の貴女は、私が良いと言うまで口を噤(つぐ)んで貰えるかな?」
被徹底捲入此事的少女只能在靜子的話語下顫巍巍地點頭同意。
完全に巻き込まれた形となった少女は、静子の言葉にがくがくと首を縦に振るしかなかった。
靜子叫來小姓,交付了認可的密書,吩咐他策馬將其送往秀長。
静子は小姓を呼びつけると、認めた密書を渡して秀長へと早馬で届けるよう申し付けた。
不等秀長的調查結果或應對,靜子選擇備好第二支箭繼續推進事態。
秀長の調査結果や対処を待たずに、静子は二の矢を番(つが)えて状況を進めていくことを選択した。
洩露玻璃筆的人也許只是出於一時興起,但其結果不僅影響秀吉的政策,甚至扭曲了一名少女的命運。
ガラスペンを流出させた犯人はほんの出来心からだったのかも知れないが、その結果として秀吉の政策だけに留まらず、一人の少女の運命を歪めてしまうに至った。
靜子心中祈願著她的前途能夠光明。
願わくは彼女の行く末が明るいものであって欲しいと願う静子であった。
「……說起來,足滿大叔負責的商品傳來報告說賣得非常好耶?」
「……そう言えば足満おじさんが手掛けている商品、物凄い売れ行きだって報告が上がっているんだけど?」
「啊,是烤雞串。好不容易做出了啤酒,配上烤雞串也不會有錯吧?」
「ああ、焼き鳥だな。折角ビールを作ったんだ、焼き鳥ぐらいあっても罰は当たるまい?」
被靜子點到名的足滿鷹揚地點了點頭。足滿與みつお早已著手啤酒製造,但隨著事業規模擴大,他們著手進行增銷的改良。
静子から話を振られた足満が鷹揚(おうよう)に頷(うなず)いた。かねてより足満とみつおはビール製造を手掛けているが、事業規模が大きくなるにつれて更なる拡販を目指すべくテコ入れを行った。
在夏日炎熱時,用河水冰鎮的啤酒與毛豆讓庶民為之瘋狂;然而入秋漸涼時,人們會想要口味更重、更有衝擊感的下酒菜。
夏の暑い時期に川の水で冷やされたビールと枝豆は庶民を夢中にさせた。しかし、秋口に差し掛かり涼しくなってくるとガツンとパンチの効いたツマミが欲しくなる。
於是足滿與みつお兩個酒鬼所設計出的殺手級內容便是烤雞串。此處尾張養雞業興盛,產蛋結束的老母雞肉非常便宜。
そこで足満とみつおの飲兵衛(のんべえ)二人が考案したキラーコンテンツが焼き鳥であった。ここ尾張では養鶏が盛んになっており、採卵を終えた老鶏の肉は非常に安価で手に入る。
把那樣的肉塗上以砂糖、醬油、味醂與酒等尾張名產調製的醬汁烤成的烤雞串,成了主要勞動者們的福音。
その肉を砂糖と醤油、味醂と酒という尾張の名産品を使ったタレを塗って焼き上げた焼き鳥は、主に労働者たちの福音となった。
對於一日工作結束的勞工來說,醬油燒焦時散發的香氣與滴著油脂的烤雞串效果顯著。
一日の仕事を終えた労働者に対し、醤油の焦げる香ばしい匂いと脂の滴(したた)る焼き鳥は効果覿面(てきめん)であった。
「他們把道路整備與用水整備的人力鎖定為主要目標了吧。畢竟他們是日領工資所以帶著現金,且從事體力勞動自然也會餓。」
「道路整備や用水整備の人足をメインターゲットとして絞り込んだんだね。確かに彼らは日払いだから現金を持っているし、肉体労働に従事しているからお腹も空いているもんね」
「流了一身汗後喝的啤酒格外美味。若有便宜又好吃的小菜,當然不能不喝啊?」
「汗を流した後に飲むビールは格別だ。そこに安くて旨いツマミがあるならば、飲まない訳にはいくまい?」
對於經濟活絡不可或缺的就是基礎建設。正如史實中第二次世界大戰後的日本透過名為『列島改造論』的大型土木工程計畫重生一樣,以道路為代表的基礎建設能集聚人、物、金,帶來供需的良性循環。
経済活性化に欠かせないものがインフラである。史実に於いて第二次世界大戦後の日本が『列島改造論』という一大土木工事プロジェクトによって再生したように、道路に代表されるインフラは人・物・金が集まり需要と供給の好循環を生み出す。
雖然土木用重機開始實用化,但土木工程的主角仍是人力與家畜,視規模需要大量人手。
土木用重機が実用化され始めてはいるものの、未だに土木工事の主役は人間や家畜であり、その規模に応じて多くの人員が必要となる。
與機械不同,他們不消耗燃料,卻吃飯;工具會耗損,衣物與居所也成為必要。
機械と異なり彼らは燃料を消費しない代わりに飯を食う。道具も消耗するし、衣類も住居も必要となる。
也就是說,勞動者對靜子既是被雇用者,同時也可能成為顧客。即便多給他們一些薪資,只要他們在尾張多消費飲食,金錢仍會循環流動。
つまり労働者たちは静子にとって被雇用者であると同時に、顧客にもなり得る。彼らに多少多くの給金を支払ったところで、その分尾張で飲み食いして貰えれば金は回り続ける。
足滿與みつお本身就是酒徒,因此能精準掌握顧客的欲求,豐富烤雞串的品項。
足満とみつおは自身が飲兵衛であるため、顧客の欲するところを的確に掴んで焼き鳥のラインナップを充実させた。
把軟骨與肉拍成絞肉,纏在串上烤的「つくね」。位於雞尾附近、油脂豐厚的部位「ぼんじり」,現場處理才能提供的雞心「ハツ」,以及被稱為砂囊的「砂肝」。
軟骨と肉を叩いてミンチ状にし、串に巻き付けて焼いた『つくね』。鶏の尻尾付近にある非常に脂の乗った部位『ぼんじり』、その場で捌くからこそ提供できる鶏の心臓こと『ハツ』に砂嚢(さのう)である『砂肝』。
還有以肝臟為主的「肝串」,當然也少不了把腿肉與蔥交互串起的「ネギマ」。
他にも肝臓である『レバー串』や、何と言っても外せないのがモモ肉とネギを交互に刺した『ネギマ』だろう。
勞動者們被那豐富的商品種類和聽來有點老手味的菜單吸引,於是天天上門光顧。
労働者たちはその充実した商品のバリエーションと、何だか通(つう)っぽい品書きに魅せられ、連日通い詰めることになる。
起初只是一攤烤雞串的攤販,現在已發展成好幾攤並列,幾乎形成了一條烤雞串街。
初めは一軒だけの焼き鳥屋台だったのだが、今では幾つもの屋台が軒を連ねて、焼き鳥通りが出来上がる程になっていた。
「濁酒(どぶろく)はともかく清酒は高いからな。奴らの懐具合に収まるようビールを安くし、薄利多売を狙ったのだが焼き鳥が想像以上に当たったな」
「濁酒(どぶろく)はともかく清酒は高いからな。奴らの懐具合に収まるようビールを安くし、薄利多売を狙ったのだが焼き鳥が想像以上に当たったな」
現在,下班後的勞工喝啤酒吃串燒的風景,甚至被視為秋天的風物詩。
今では仕事上がりの労働者がビールと焼き鳥を口にする光景が、秋の風物詩として認識されるようにすらなっている。
啤酒用陶製容器盛裝,串燒則以竹籤插在木盤上端上,因此垃圾很少也是個優點。
ビールは陶製の容器で提供しており、焼き鳥は木皿の上に竹串に刺さった状態で出されるため、ゴミが少ないというのも利点だ。
「お陰で用水整備が捗っているよ。まだまだ支流水路を広げないといけないから、人々が気持ちよく働ける環境を整えてあげるのは重要だね」
「お陰で用水整備が捗っているよ。まだまだ支流水路を広げないといけないから、人々が気持ちよく働ける環境を整えてあげるのは重要だね」
靜子認為這是一種理想的相乘效果。整修道路與水路會創造就業,若有就業,他們的飲食需求會增加,當地農作物與畜產物會賣得出去,百姓也會因此受惠。
理想的な相乗効果だと静子は思った。道路や水路を整備することで雇用が生まれる。雇用が生まれれば、彼らが飲み食いする為の食料需要が増え、現地の農作物や畜産物が売れて民も潤う。
為政者用回收的資金規劃更多工程,一股將基礎設施鋪展到尾張全域的動向正逐步形成。
為政者側は回収した資金で更なる工事を計画し、尾張全土へとインフラが張り巡らされる流れが生み出されつつあった。
道路一通,人與貨物流動;水路整備則促使開墾田地以餵飽眾人。來自織田領內外的出稼勞工也紛紛湧入,經濟成長呈現持續上升的態勢。
道路が整備されれば人・物が動き、水路が整備されれば彼らの腹を満たすために田畑が開墾される。織田領内の他領から出稼ぎ労働者も集まってきており、経済成長は右肩上がりに伸びていた。
然而,大量金錢聚集也有負面。被開墾的田地會逐一檢地並記錄,但卻出現想要弄虛作假的代官。
しかし、多くの金が集まると言う事は負の側面も持つ。開墾された田畑は逐次検地が為され、記録されることになっているが、これを誤魔化そうとする代官が現れる。
對當事人來說也許只是想掙點小錢,但若縱容這種行為,對認真納稅的百姓就說不過去。
本人からしてみればちょっとした小遣い稼ぎのつもりかも知れないが、これを見逃せば真面目に税を納めている民たちに示しがつかない。
「そう言えば勝蔵。税収を誤魔化していると言う噂のあった代官を調べに行ったんじゃなかったか?」
「そう言えば勝蔵。税収を誤魔化していると言う噂のあった代官を調べに行ったんじゃなかったか?」
在正跟靜子與足滿談得投機的時候,閒著沒事的長可被慶次搭話。
話し込む静子と足満を前に、手持無沙汰にしていた長可に慶次が話しかけた。
「ああ、内偵していた奴が裏を取ったからな。ちょっと説得(・・)をしてきた」
「ああ、内偵していた奴が裏を取ったからな。ちょっと説得(・・)をしてきた」
聽到長可和慶次的對話後,靜子插話問道。
長可と慶次の会話を耳にした静子が問い掛けてくる。
「あ、そうだ勝蔵君! 君の部隊が提出してきた報告書に気になるところがあるんだけれど、どんな説得をしたのかな? 新式銃は判るんだけれど、野砲の持ち出しとその砲弾は何に使ったの?」
「あ、そうだ勝蔵君! 君の部隊が提出してきた報告書に気になるところがあるんだけれど、どんな説得をしたのかな? 新式銃は判るんだけれど、野砲の持ち出しとその砲弾は何に使ったの?」
被靜子追問的長可明顯移開視線並沉默,光是如此便能猜出他做了怎樣的『說服』。
静子から追及された長可は、露骨に視線を外して沈黙する。それだけでどんな説得をしたのかが察せられた。
「一応上様がお認めになっているから煩(うるさ)く言わないけれど、力押ししか出来ないと思われるから程々にね」
「一応上様がお認めになっているから煩(うるさ)く言わないけれど、力押ししか出来ないと思われるから程々にね」
「お、おう。上様から一罰百戒になるから派手にやってこいとお達しがあってな」
「お、おう。上様から一罰百戒になるから派手にやってこいとお達しがあってな」
起初只是打算懲戒代官本人,但偷稅肥私等同於向信長挑釁,必須讓天下百姓看清這點。
最初は代官本人だけを懲(こ)らしめるつもりだったのだが、税を誤魔化して私腹を肥やすという事は信長に噛みつくに等しいのだと天下万民に知らしめる必要が出てきた。
於是長可率領武裝手下前往代官宅邸,將代官及其家族與使用人拘束並帶到屋外,在他們眼前用砲將空著的宅邸轟成粉碎。
そこで長可は武装した部下を率いて代官の屋敷に出向き、代官及びその家族と使用人を拘束した上で屋外に連れ出すと、彼らの見ている前で空き家となった屋敷を砲で木(こ)っ端(ぱ)微塵(みじん)に吹き飛ばしたのだ。
對於這個除了性命外被剝奪一切的代官的處置,正如信長所策劃,達到了整肅紀綱的效果。
文字通り命以外の全てを失った代官に対する仕打ちは、信長の目論見(もくろみ)通り綱紀を引き締める結果となった。
「参考までに聞くんだが、静子ならば説得に応じない輩にはどう対処する?」
「参考までに聞くんだが、静子ならば説得に応じない輩にはどう対処する?」
「私? 説得に応じないなら時間を掛けるだけ無駄だよね? それならその人に渡るお金を差し押さえちゃうね。不正に得た利益を返せば良いってもんじゃないからね、しっかりと罪は償って貰うよ」
「私? 説得に応じないなら時間を掛けるだけ無駄だよね? それならその人に渡るお金を差し押さえちゃうね。不正に得た利益を返せば良いってもんじゃないからね、しっかりと罪は償って貰うよ」
「兵糧攻めかよ……」
「兵糧攻めかよ……」
也許比起長可的爆破手段看起來溫和,但靜子的做法是把代官逐出經濟體系,使其從社會上完全孤立,極為悽慘。
長可の爆砕と比べれば穏当に見えるかもしれないが、静子の手段は経済活動の輪から代官だけを締め出し、社会から完全に孤立させるという凄惨なものとなる。
因為不會有商人願意與被領主盯上的惡名之人交易,所以只好靠自己親手生產飯食與維生所需的一切。
領主から睨まれている凶状持ちと取引をしたがる商人など居るはずもない為、自分とその家族が生きる為に必要となる糧(かて)の全てを自分の手で作るしかないのだ。
對於體現「不勞者不得食」的靜子答覆,長可只能苦笑以對。
『働かざる者食うべからず』を体現する静子の答えに長可は乾いた笑いを浮かべるしかなかった。
成為維特曼與巴爾蒂墓所的神體山被命名為大神山,預定要在山頂建造的神社已在山麓開始興建。
ヴィットマンとバルティの墓所となった神体山(しんたいさん)は大神山(おおかみやま)と命名され、山頂に建立する予定の社(やしろ)が麓(ふもと)で造られ始めた。
因為整座山被列為禁足地,所以採取像組裝屋般先以零件單位製作後暫組,再拆解運上山頂,轉以堆石方式安置的程序。
山全体が禁足地となっているため、プレハブ建築のように部品単位で造った後で仮組し、最終的に分解して山頂まで運び石積みをした上で据え付けるという手筈となっている。
名聞一時的宮大工揮動鑿與鉋,雖不華麗但莊嚴的社殿日復一日地組裝起來。即便聽著「咚咚」的錘音,靜子仍為文書工作忙碌不已。
名立たる宮大工が鑿(のみ)や鉋(かんな)を振るい、華美ではないが厳かな社が日々組み上がっていく。かんかんという槌の音を聞きながらも静子は書類仕事に追われていた。
雖說規模較最初計畫大幅縮減,但仍需就名為愛知用水的國家工程第一階段成果向信長親自報告。
当初の計画より大幅に規模が縮小されたとは言え、愛知用水という国家事業の第一段階の成果を信長に直接報告する必要があるためだ。
以幹線水路供水為起點,新田申請接連提出,對能預期多少生產量一時只能概估的情況出現。
幹線水路に水が供給されたのを皮切りに新しい田畑の申請が相次いで提出され、どの程度の生産量を見込めるのかが概算でしか求められないと言う状況になっていた。
因此以截至上月底的申請為基礎算出的預估石高被整理成報告書,呈報到靜子手中。
そこで先月末までの申請を元に予想石高(こくだか)を算出されたものが報告書として静子の許へと上がってきているのだ。
靜子與事務人員協商整理報告書後,便攜帶文件前往安土。
静子は事務方と協議しながら報告書を纏めると、書類を携えて安土へと向かうこととなる。
抵達安土後,靜子在別邸安頓下來,並在兩天後與信長會見前休息。
安土入りを果たした静子は別邸に体を落ち着け、二日後に控えた信長との謁見を前に休息を取っていた。
靜子匆忙地拜訪各處間,兩天很快過去,終於到了與信長謁見之日。
静子が慌ただしく各所に挨拶回りをしている間にも二日が経ち、ついに信長との謁見の日となった。
登上安土城後,被信長的側近堀引領,不入謁見間而直接送入茶室。
安土城へ登城すると、信長の側近である堀(ほり)に案内されて謁見の間では無く、直接茶室へと通された。
「上様におかれましてはご機嫌麗しく――」
「上様におかれましてはご機嫌麗しく――」
「前口上は要らぬ。久しいと言う程でもないか? 少しは落ち着いたようじゃな。早速じゃが美濃と尾張とを結ぶ用水の成果を聞かせよ」
「前口上は要らぬ。久しいと言う程でもないか? 少しは落ち着いたようじゃな。早速じゃが美濃と尾張とを結ぶ用水の成果を聞かせよ」
打斷靜子的發言的信長向前探身,縮短與靜子的距離;靜子也在榻榻米上攤開資料,以膝對膝的距離開始報告。
静子の発言を遮った信長は身を乗り出し、静子との距離を詰める。静子も畳の上に資料を広げ、膝を突き合わせる距離で報告を始めた。
「先月末までの申請を取りまとめた結果が以上となります。現状の生産力は穀倉地帯のそれと比べると大きく劣りますが、支線水路が拡充されるにつれて伸びる余地はあり、開発特区として税率を低く設定しているため移住者も増えることが見込まれます」
「先月末までの申請を取りまとめた結果が以上となります。現状の生産力は穀倉地帯のそれと比べると大きく劣りますが、支線水路が拡充されるにつれて伸びる余地はあり、開発特区として税率を低く設定しているため移住者も増えることが見込まれます」
靜子向信長報告了一個小時。目前知多半島人口稀少,但預期若開發推進,會重生為能夠養活大量人口的土地。
静子は信長へ一時間に亘って報告を行った。現状では人口の少ない知多半島だが、開発が進めば多くの人口を養う事の出来る土地へと生まれ変わる事が期待される。
雖然說法極端,但若被視為不毛之地的知多半島變成穀倉地帶,尾張必將比現在更大幅發展。
極端な表現だが不毛の土地と見做されていた知多半島が穀倉地帯へと変われば、尾張は今以上に大きく発展する事だろう。
而且信長並不打算讓知多半島僅止於穀倉地帶。
そして信長は知多半島を単なる穀倉地帯で終わらせるつもりはなかった。
他的構想是,一旦確保足以養活充足人口的糧食生產力,就將知多半島作為工業地帶及重商政策的據點。
十分な人口を養えるだけの食料生産力を確保出来次第、知多半島を工業地帯及び重商政策の拠点とする構想を持っていた。
靜子與足滿帶來的工業化浪潮,已成功使信長的勢力飛躍增長。
静子と足満が齎した工業化の波は、信長の力を飛躍的に伸ばす事に成功している。
從製鐵、紡績、機械製作到土木建築,應用範圍廣泛,且取得了人力難以達成的成就。
製鉄に紡績、機械工作に土木建築とその応用範囲は広く、しかも人力では到底成し得ない成果を上げていた。
知多半島的工業化構想因其面向伊勢灣,擁有便於出海的天然港灣,加上用水系統可供給工業所需的大量水源,因而大躍進。
知多半島の工業化構想は伊勢湾に面しているため外洋へ出やすいという天然の港湾を擁する立地と、用水によって工業にも不可欠となる大量の水を供給可能となったことで躍進する。
「數年後令人期待啊」
「数年後が楽しみじゃ」
信長如此低語時,腦海中仿佛浮現一排排工廠、備有造船廠與大型船塢的港灣,以及停泊其上的外洋船。
そう呟いた信長の脳裏には工場が立ち並び、造船所や大型ドックを備えた港湾とそこに浮かぶ外洋船の姿が見えているようだった。
討論相當熱絡,信長親自點茶遞給靜子,兩人各飲一服後再重新開口。
かなり話が過熱したため信長は手ずから茶を立てると静子へ差し出し、それぞれに一服した後に改めて話を切り出す。
「那麼,你打算在即將到來的東國征伐中如何攻打北條?」
「さて、貴様は来たる東国征伐で北条をどう攻める?」
一開口,信長便丟出一句若旁人聽見會懷疑其神智的發言。
開口一番、信長は余人が耳にすれば正気を疑うような発言を投下した。
在此之前,一談到東國征伐,先清理武田是前提,攻打北條還被認為是遙遠的事。
それまで東国征伐と言えば、まずは武田を片付けない事には話にならず、北条攻めなどはまだまだ先の話と考えられていた。
然而,信長把攻打北條當作既定事項來談,靜子也將其視為理所當然。
しかし、信長は北条を攻める事を確定事項であるように話し、また静子もそれを当然のことと受け止めている。
再者,信長在發表意見前先徵詢他人意見這一點本就罕見;若堀或明智光秀也同席,情況甚至會讓人懷疑信長是替身。
更には信長が己の意見を述べる前に他者の意見を求めるという事が珍しい。もしもこの場に堀や明智光秀が同席していたのならば、信長の影武者を疑う程の事態だった。
「小田原城是堅固的要塞,難以一舉攻下;按理應逐一攻略支城,將其孤立後再攻」
「小田原城は堅牢な要塞です。一息に攻め落とすには難しいため、支城を一つずつ攻略した上で丸裸にするのが定石かと」
「哦。雖然迂迴但踏實。不過就算把支城奪下,光是小田原城一處也能相當長時間堅守吧?」
「ほう。回りくどいが堅実じゃ。しかし、いくら支城を落としたところで小田原城だけでも相当の籠城に耐えおるぞ?」
「那點我已預想到。我軍的砲一出,籠城戰術便已失去意義。再堅固的石垣,只要被擊中數發便會化為瓦礫。然而若從一開始就以砲火為前鋒攻擊,北條很可能會捨城而逃入海。故此縱使迂迴,也應先毀掉支城、將其逼至無路可逃的境地,然後一舉攻取,才是上策。」
「それは織り込み済みです。我が軍の砲を以てすれば、既に籠城と言う戦術は意味を為しません。どれ程堅固な石垣を築こうとも数発も撃ちこめば瓦礫になるのですから。しかし、最初から砲を前面に押し立てて攻めれば、北条は城を捨てて海へと逃亡する可能性があります。故に遠回りになろうとも支城を潰し、逃亡出来ない状態へ追い込んだ後に一気に攻めるが上策かと」
「確實。過去即便是武田或上杉,也未曾攻克躲入小田原城的北條。」
「確かにな。今までは武田や上杉を以てしても、小田原城へ籠った北条を攻めきれたためしはない」
「當然,武田與上杉攻城時由前主北條氏康(うじやす)指揮,與現主氏政(うじまさ)的指揮或有差異。然而,我認為不太可能不沿用那曾抵擋住武田的戰法。」
「勿論、武田や上杉が攻めた折には前当主の北条氏康(うじやす)が指揮を取っており、現当主である氏政(うじまさ)とは采配に差異があるかもしれません。しかし、かの武田すらをも退けた実績のある戦法を踏襲しない可能性は低いと考えます」
小田原城擁有廣大的佔地,內部不僅包含城下町,還把供給內部居民食糧的耕地一併包圍,周圍以空堀與土塁隔開,採取被稱為總構(そうがまえ)的構造。
小田原城は広大な敷地面積を誇り、内部に城下町をはじめ内部で暮らす人々の食糧を供給する耕作地までをも囲い込み、その周囲を空堀と土塁で隔てる総構(そうがま)えと呼ばれる構造を取っている。
這種所謂的城郭都市在西洋或大陸常見,但日本四周有海作天然防壁,且遭異民族襲擊的次數屈指可數,因此像城郭都市般耗費巨額成本的重裝備都市並未發展起來。
西洋や大陸などでは良く見かけるタイプの所謂(いわゆる)城郭(じょうかく)都市だが、日本では周囲を海という天然の防壁で守られており異民族の襲撃を数える程しか受けなかったこともあり、城郭都市のような莫大なコストを掛ける重武装都市は発展しなかった。
換言之,異民族的襲擊旨在佔領並統治包含領民在內的整個地域,因此為了保護領民城牆是不可或缺;而同一民族之間的爭鬥多為政爭性內戰,目標自然而然集中在政敵,領民雖會被納入征服者的統治之下,但往往不會被奪去性命。
つまり異民族による襲撃は領民・領地を含めた地域全体の制圧・支配が目的であるため領民を守るためには城壁が不可欠であるのに対し、同一民族同士の争いは主に政争による内戦となる。このため標的は必然的に政敵のみに絞られ、領民は征服者の統治下に組み込まれはするものの命までは奪われないことが多かった。
然而,鎌倉、石山本願寺、小田原城等地,或許因反映出群雄割據的戰亂時代,形成了周圍環繞防壁的城郭都市;結果設計可耐長期籠城,在有時間限制的遠征中,武田與上杉皆無法攻克。
しかし、鎌倉や石山本願寺、小田原城などは群雄割拠する戦乱の時代を反映してか、周囲に防壁を張り巡らせた城郭都市を形成している。その結果として長期間の籠城に耐え得る設計となっており、遠征という時間制限のある中では武田も上杉も攻めきれなかった。
北條軍理當已目睹織田一方大砲的威力,但因其多在平原對人使用,極有可能未料到砲火有到讓防壁失效的威力。
既に織田方の大砲の威力は身を以て知っているであろう北条軍だが、平野部で対人に向けて使用したため防壁が用を為さない程の威力があるとは思っていない可能性が高い。
「籠城這一戰法,是期待援軍到來從內外夾擊,或等待攻方持久作戰能力耗盡而獲勝。我軍在東國征伐也同樣屬於遠征之列,因此有可能一開始就放棄野戰選擇籠城。對我軍而言,將進軍路線上的支城奪下作為物資運送的中繼據點,並同時在海路建立補給線。」
「籠城と言う戦法は援軍が来る宛てがあり内外から挟み撃ちにする、もしくは攻め手側の継戦能力限界を待つことによって勝利を得ます。我が軍も例にもれず東国征伐では遠征となるため、最初から野戦を捨てて籠城する可能性すらあります。対する我が軍は進軍経路上に存在する支城を奪い物資運搬の中継拠点とし、また並行して海路でも補給線を確立します」
「非常有趣。為了支援精確砲擊,那個東西應該會大顯身手。不過這程度我也已經構想出來了。」
「中々に面白いな。正確な砲撃を支援するためにも例の物が活躍しそうじゃ。しかし、この程度ならばわしも既に立案しておる」
信長邊說邊從懷裡拿出一份戰略草案示範,雖未細寫精確數值,但大方向──讓北條選擇籠城再攻下──是一致的。
そう言いながら信長は懐から戦略の素案を出して見せる。細かい数値などには落とし込まれていないが、北条を籠城させて攻め落とすという大筋は一致していた。
「那麼為了更確實讓對方選擇籠城,當我們攻下支城時就故意放走敗軍往小田原城方向逃去。北條不會採取拋棄被敵軍追趕的領民的戰法吧。」
「それではより確実に籠城を選ばせるべく、支城を落とした際に敗残兵をわざと小田原城方面へと逃がしましょう。敵軍に追われている領民を見捨てるという戦法を北条は取れないでしょうから」
「總構え是為了守護領民,若有被驅趕的領民就不得不接納嗎。即興之作做得不錯,先算及格吧。」
「領民を守るための総構えゆえ、追い立てられる領民が居れば受け入れざるを得ないか。即席としては良く出来ておる、まずは合格といったところか」
靜子完全猜不出到底哪方面及格,但見信長笑得開心,她判斷大概已符合他的期待。
一体何に合格したのか皆目見当がつかない静子だったが、信長が機嫌よく笑っている処を見る限り彼の期待には応えられたのだと判断した。
但她不明白他出於何種一時興起設此試驗。或許那疑惑寫在臉上,信長苦笑著仍透露了內心。
しかし、何の気まぐれでこのような試験を課したのかが判らない。そんな疑問が表情に出ていたのか、信長は苦笑しつつも内心を明かして見せる。
「近來我們雖有局部敗北,但大局始終勝利。也因此有許多家臣抱殘守缺,死守過往榮光,無論譜代或新參,我都對他們各自所受任務施以試驗。」
「この処、我らは局所的な敗北はあれど、大局的には常に勝利しておる。それ故か過去の栄光にしがみついて守りに入る家臣が多くてな、譜代・新参に拘わらずそれぞれに与えた任に対する試験を課しておるのよ」
「看陛下的樣子,能及格的臣子應該不多吧。」
「上様のご様子を見る限り、合格を頂けた臣はそれほど多くはないのでしょうね」
「哼。就連你在內也不到一隻手的數目。我等必須常活在『今』,不斷探索奪取更好『明日』的道路。人不能活在過去。」
「ふっ。貴様を含めてすら片手に満たぬわ。わしらは常に『今』を生き、より良い『明日』を勝ち取るための道を模索し続けねばならぬ。人は過去では生きてゆけぬのだからな」
「確實我近期沒有顯著的武功,被家中懷疑資質也無可厚非。」
「確かに私はこのところ目立った武功を挙げておりませぬゆえ、ご家中から資質を疑われるのも無理はありませんね」
「你雖無武功,卻讓領地比誰都富饒。很多人看不見這點,甚至有人在背後說你一有繼承就決意安樂隱居。」
「貴様は武功こそ挙げてはおらぬが、誰よりも領地を富ませておる。それがひいては我が領の全てを豊かにしているという事が見えぬ輩が多いのよ。世継ぎを得た途端に楽隠居を決め込んでいると陰口を叩いておる者すらいるようじゃ」
「若能允許安樂隱居,那才是我的本願。」
「楽隠居が許されるのならば、それこそ本望なのですけれど」
「不行。我早已交代過,你離開我身邊只有在你命盡之時。」
「ならぬ。以前にも申し付けたはずじゃ。貴様がわしの許を離れるのはその命が潰える時のみじゃと」
信長並不認為靜子真的在認真考慮隱居。
信長とて静子が本気で隠居を考えているなどと思っていない。
雖然在與ヴィットマン與バルティ這兩位一同歷經苦樂的家人告別時露出脆弱,但即便在那時,她也是先交接完工作才請求休假。
ヴィットマンとバルティという苦楽を共にした家族との別れで弱みは見せたものの、その時ですら業務を引き継いだ上で休暇を願いでていた。
最重要的是,靜子無法放棄現在的立場。這或可說是她的本性(業)。一旦把某人當作家人納入心中,便難以輕易捨棄。
何よりも静子は現在の立場を捨てることが出来ない。彼女の本質とも言うべき業(ごう)なのだろう。一度(ひとたび)身内として取り込めば、それらを容易には見捨てられないのだ。
「再者,若無了你,這世間便索然無味。」
「それに貴様がおらぬと、この世がつまらぬ」
「能得到如此讚譽實屬榮幸,但上樣務必萬分留意身邊之事。雖然天下人的位子近在眼前,然事物在成就之前常在身邊隱藏陷阱。」
「そのように仰っていただけるのは光栄ですが、上様もゆめゆめ身辺にご留意なさってください。天下人の座は目前ですが、物事はことが成る直前にこそ身近(・・)に落とし穴があるものです」
「嗯。難道你會背叛朕嗎?」
「ふむ。まさか貴様がわしを裏切るというのか?」
「別開玩笑。我無王者之才。況且若要向天下稱霸,吾身懷太多重要之物,難以為此。」
「御冗談を。私に王の才はございません。そもそも天下に対して覇を唱えるには、大切なものを抱えすぎておりますゆえ」
「呵呵呵,我知道。圖謀背叛者不會顯露可疑的舉止。但我想看看,若你成為天下人,會造出什麼樣的世道。當然,我也會打造比你更令我愉快的世界給你看。」
「くくくっ、判っておる。裏切りを目論む者は、疑われるような素振りを見せぬものよ。だがわしは見てみたいのだ。貴様が天下人となれば、どのような世の中を作るのかをな。無論、わしとて貴様以上に愉快な世を作り上げて見せるがな」
「即便是玩笑也請勿如此言說。最適合成為天下人的人非上樣莫屬。」
「冗談でもそのような事を仰らないでください。天下人となるに相応しい人物は上様をおいておられませぬ」
「然而,這世上沒有絕對。若我在半途倒下,你打算如何?」
「しかし、この世に絶対はありえぬ。もしも、わしが道半ばにして倒れれば貴様はなんとする?」
面對若有所思地遠望的信長,靜子毫不猶豫地回答道。
何処か遠くを見るようにして訊ねる信長に対し、静子は間髪を置かずに答えた。
「首先會竭盡全力以避免那種事發生。即便如此若力有未逮,必定將背叛者的首級獻於墓前以供您瞻仰。」
「まずはそのような事が起こらぬよう全力を尽くします。それでも尚、力及ばなかった折には必ずや裏切り者の首を墓前に供えてご覧に入れましょう」