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戦国小町苦労譚

一五七六年 八月中旬

神體山騷動平息,時序轉到新的一個月,八月的現場復歸請求送到靜子那裡。

神体山騒動も落ち着き暦の月が変わった頃、静子の許へと八月の現場復帰要請が届いた。

因長期離開現場,復職前需確認的事項堆積如山,果然靜子忙得不可開交。

長らく現場を空けていた為、職場復帰を前に確認しておかなければならないことが山積みとなり、例によって静子は忙殺されていた。

「啊! 說起來我忘了還在等這個的實地試驗。怎麼辦……上樣要是知道了肯定會說想坐吧」

「あ! そう言えばこれの実地試験待ちだったのを忘れていた。どうしよう……上様に報告したら絶対乗りたいって言うだろうしなあ」

靜子苦惱的是關於熱氣球載人飛行實驗的核准。畢竟這是世界首例,愛新奇的信長不可能不舉手要求。

静子が頭を悩ませているのは熱気球による有人飛行実験に関する決裁だった。なんと言っても世界初のことであり、初物好きの信長が手を挙げない訳が無い。

熱氣球的原理非常簡單:受熱的氣體膨脹,體積增加、密度下降而變得較輕。

熱気球の原理は非常に単純であり、熱された気体は膨脹するため体積が増えて密度が下がり軽くなる。

當變輕的空氣上升,所排開的空氣重量若超過被吊掛物體的重量就會浮起。

軽くなった空気が上方へと上がる際に押しのけた空気の重量が、吊り下げる物体の重量を超えれば浮くというものだ。

關於排開空氣之類的,這與人把身體沉入浴池時,被自己排開的水體積成比例而受浮力的原理相同,應該比較容易理解吧?

押しのけた空気云々に関しては風呂に体を沈めた際に、自分の体で押しのけた水の体積に比例して浮力を受けるのと同じ原理であるため、比較的理解し易いのではないだろうか?

這個熱氣球並非為了興趣而開發;若與正在同步開發的另一項技術結合,將成為左右戰略的兵器。

この熱気球は何も道楽で開発したものではない。並行して開発しているもう一つの技術と組み合わせることで、戦略を左右する兵器となる。

不過熱氣球本身並非可以自由飛行的東西,僅是漂浮在高空,因此所需技術等級並不算高。

とは言え熱気球自体が自由自在に空を飛ぶという物ではなく、単に上空に浮いているだけという代物であるため、必用とされる技術レベルはそれほど高くない。

熱氣球可分為乘員登上的吊籃部分與包裹熱氣以獲得浮力的球皮(エンベロープ)。

熱気球は乗員が乗り込むゴンドラ部分と、熱された気体を孕(はら)んで浮力を得る球皮(きゅうひ)(エンベロープ)と呼ばれる部分に分けられる。

作為熱氣球中最大部分的球皮,由稱為帆布(はんぷ)的特殊織法布料構成。

熱気球の中でも最も大きな部分を占める球皮は、帆布(はんぷ)と呼ばれる特異な織り方をした布で構成される。

顧名思義,是用於帆船帆的布料,總之要求非常堅固耐用。

読んで字のごとく、帆船(はんせん)の帆(ほ)に使用される布であり、とにかく丈夫さが要求される。

這次使用多股捻合的粗棉紗,縱橫細密編織而成的布料。

今回の場合は綿の糸を複数縒(よ)り合わせた太い糸を使い、縦横の目を細かく編み上げたものを用いている。

這種帆布的特點是即便濕了,水會填塞布眼,難以讓水滲透到內部。

この帆布の特徴として濡れても水が生地の目を詰まらせてしまい、内部まで水を浸透させにくいというものがある。

然而即使編得再細,與氣體分子尺寸相比仍有過大的孔隙,通氣性反而良好,因此難以說適合要求氣密性的球皮。

しかし、幾ら細かく編まれているとは言っても気体の分子サイズと比較すれば大きすぎる穴が開いており、通気性はむしろ良いため気密性を求められる球皮に適しているとは言い難い。

於是靜子將先前研發的以麻與米製成的生物塑膠塗佈於帆布表面,成功提高了強度與氣密性。

そこで静子はかねてより開発を進めていた麻と米から作るバイオプラスチックを帆布表面に塗布し、強度と気密性を高めることに成功した。

至於燃燒器火口附近,因為生物塑膠的耐熱性只有約攝氏一百度,故該處仍為素胚的帆布素材(棉的著火點約攝氏五百度),但大部分仍以這種樹脂塗佈布料構成。

バーナーの火口付近に関してはバイオプラスチックの耐熱性が摂氏百度程度であるため素の帆布素材(綿の発火点は摂氏五百度付近)だが、大部分をこの樹脂塗布生地で構成した。

這類於帆布塗佈樹脂的素材,在現代也用於消防水帶,可見其防水性與氣密性之高。

こうした帆布に樹脂を塗布する形式の素材は、現代に於いて消防ホースにも用いられている事からその防水性能と気密性の高さは明らかだ。

熱源採用酒精燃燒器,將加壓的甲醇與乙醇混合液加熱成蒸氣噴出並點燃,以提高輸出。

熱源にはアルコールバーナーを採用し、加圧したメタノールとエタノールの混合溶液を加熱した蒸気として噴出させて着火することで出力を上げている。

已在無人飛行試驗中多次成功,因此難以說非常危險,但熱源裝置爆炸或從高處墜落等生命危險仍始終伴隨。

既に有人以外での飛行試験には何度も成功しているため、それほど危険とは言い難いのだが、それでも熱源装置の爆発や高所からの落下という命の危険が常に付き纏う。

靜子下定決心無論如何也要讓信長放棄登船,但她的願望並未實現。

何としてでも信長に乗船を諦めて貰おうと決意を新たにした静子だが、彼女の願いが叶う事は無かった。

「哼! 這便是所謂的氣球嗎。這般既像章魚(たこ)又像海月(くらげ)的東西竟然能在空中飛翔,實在令人愉快啊」

「ほう! これが気球とやらか。このような蛸(たこ)とも海月(くらげ)ともつかぬものが空を飛ぶとは実に愉快じゃ」

「上樣,您真要乘坐嗎?我們已盡力做好萬全準備,但若您有個三長兩短……」

「上様、本当にお乗りになるんですか? 万全を期してはおりますが、御身に万が一のことがあれば……」

「囉嗦!身為無翼之人首次在世上實現遨遊天際這等大志,若我不飛又如何?」

「くどい! 翼を持たぬ人の身で空を行くなどという大望をこの世で初めて叶えるというのに、わしが飛ばずしてどうする?」

靜子與信長在設於山間的飛行場仰望著正漸漸膨脹的氣球。

静子と信長は山間(やまあい)に設けられた飛行場で、膨らみつつある気球を見上げていた。

正如靜子先前所憂,人類首例載人飛行試驗一傳開,信長便抽空整頓公務,僅帶最少隨從匆匆趕來。

過日に静子が懸念した通り、人類初の有人飛行試験と聞きつけた信長は公務に都合をつけると、最低限の供だけを連れてここまで駆けつけたのだ。

因為這件新兵器本身須保密,不能曝露於眾,於是選在四面群山環繞的山谷試飛,靜子卻提心吊膽。

存在自体を秘匿(ひとく)される新兵器だけに、衆目に晒すわけにもいかず四方を山に囲まれた谷間での試験飛行と相成ったのだが、静子は生きた心地がしなかった。

唯一的安慰是用途接近觀測氣球,常以繫留繩與地面相連。萬一發生事故,除了靠成功率不高的降落傘,還可在繫留繩上掛上稱為ビレイデバイス的器具,藉助懸垂下降回到地面。

せめてもの救いとしては、用途が観測気球に近いため、地上と係留ロープで常に結ばれていることだ。万が一の事が発生した際でも、確実性の低いパラシュート装置に賭けるという手段の他に、係留ロープにビレイデバイスと呼ばれる器具を掛けて懸垂下降で地上を目指すことも出来る。

就在此時準備已就緒,主任技術員告知靜子一切已備。仍舊猶豫的靜子眼見信長從容點頭,邁大步走向氣球的登機口。

そうこうしている内にも準備が整ってしまい、主任技術者の男性が静子に用意が出来たと告げてきた。尚も逡巡(しゅんじゅん)する静子に対して、信長は鷹揚(おうよう)に頷(うなず)くと大股で気球の搭乗口へと歩んでいく。

「靜子你在做什麼! 你也不上來嗎!」

「何をしておる静子! 貴様も来ぬか!」

「欸!? 我、我也要上嗎?」

「え!? わ、私もですか?」

「既然是你做出來的東西,你不上去還能怎樣?你完全有資格享受成為世上首創偉業的榮耀啊」

「貴様が作り上げたものに、貴様が乗らずしてどうする? この世で初の快挙の栄誉に浴する資格は十分あるじゃろう」

靜子一想到再多言無益,便與信長一同登上氣球的吊籃。

最早何を言っても無駄だと悟った静子は、信長と共に気球のゴンドラへと乗り込んだ。

吊籃原本設計為四人乘坐,除信長與靜子外還有一名擔任操作的技術員,三人將以世界首例載人飛行者留名。

元より四人乗りで設計されているゴンドラは、信長と静子の他に操縦手として技術者の男が一人乗り込み、この三名が世界初の有人飛行をした者として名を残すことになる。

信長一邊饒有興致地看著操控酒精燃燒器的技術員,靜子與留在地面的技術人員解開綁在吊籃上裝砂重袋的幾條繩索,調整重量。

信長が興味深げにアルコールバーナーを操作する技術者を眺めるのを他所(よそ)に、静子と地上に残った技術者たちがゴンドラに括りつけられた砂の入った重り袋が結ばれた紐をいくつか解いて重量を調整した。

就在此時決定性的一刻來臨。氣球的浮力與重力達成平衡,吊籃下緣失去與地面的摩擦開始滑動,終於完全離地漂浮。

そうしている内に遂に決定的瞬間が訪れた。気球の浮力と重力が釣り合い、ゴンドラの下部が地面との摩擦を失って滑り始め、ついには完全に地面から離れて浮遊した。

一旦離地,氣球便迅速升向高空。當抵達距地約百公尺的高度時,繫留繩拉到極限,氣球的上升嘎然而止。

一度地面を離れてしまえば、気球は見る見る空の高みへと上っていく。地上から百メートルほどの高みに達した時点で、係留ロープが伸びきって気球の上昇がガクンと止まった。

「哈哈哈! 這就是從天上看世界嗎! 看啊靜子,地上的人們像芝麻(ごま)粒一樣!」

「はははっ! これが天から見る世界か! 見よ静子、地上の者どもが胡麻(ごま)粒のようだぞ!」

「是。正式試飛預計會到達這個高度的五倍左右。即便在這裡已覺得頗為寒冷,往上更是極寒世界。」

「はい。本番ではこれの五倍ほどの高みに至る予定です。ここですら随分と肌寒いと思いますが、更に上空は極寒の世界となります」

「到了那等高度,箭矢或火器確實無法抵達吧。從天上俯瞰大地,這傢伙(……)便能發揮其真價,難怪如此。」

「それ程の高みに至れば確かに矢も鉄砲とて届かぬであろうな。天より地を見下ろし、こやつ(・・・)がその真価を発揮するという訳か」

「是的,其有用性與革新性將在東國征伐中得到證明。獲得天之眼的我等不可能落後於武田」

「はい、その有用性と革新性は東国征伐に於いて実証致します。天の目を得た我らが武田に後(おく)れを取るはずがありません」

同時,技術人員那名男子完成了另一套機材的動作確認,並告知要返回地面。

そうしている内に技術者の男性がもう一つの機材の動作確認を終え、地上に戻る旨を告げてきた。

信長從籃艙確認四方眺望後點頭,技術人員用被稱為リップライン的繩索用力一拉,位於球殼上方的所謂リップパネル閥板就打開了。

信長はゴンドラから四方の眺望を確認すると頷き、技術者の男性がリップラインと呼ばれるロープを強く引く。すると、球皮上部に設けられたリップパネルという弁が開いた。

被加熱的氣體從那裡逸出,氣球逐漸降低高度。之後氣球平安下降,技術人員巧妙操作燃燒器,使其緩緩著陸。

熱された気体がそこから抜けることで徐々に気球が高度を落とし始める。その後は何事も無く気球の高度が下がり、技術者がバーナーを巧みに操作することで緩やかな着地を決めた。

完成了對靜子的胃造成巨大衝擊的有人飛行後,信長如同來時般唐突地返回了安土。

静子の胃へ甚大なダメージを与えた有人飛行を終えた信長は、来た時と同様の唐突さで安土へと戻っていった。

正當靜子彷彿體驗到颱風過後的心情時,等著她的是關於尾張全國投入的愛知用水的報告。

まるで台風一過とでも言うような気分を味わっている静子を待っていたのは、尾張が国を挙げて取り組んでいる愛知用水に関する報告だった。

「供水到知多半島的情況順利嗎?」

「知多半島への水の供給は順調か」

愛知用水,與現代的同名工程相似,從尾張丘陵部起始,延伸至知多半島南端,幹線水路總延長達112公里,規模驚人。

愛知用水とは現代に於けるそれと同じく尾張丘陵部から始まり、知多半島の南端まで続く幹線水路の総延長112キロメートルという途方もない規模を誇る用水路だ。

因建築資材調度跟不上,護岸工程被暫緩,調整池規模也從最初計畫縮小等處處有不如史實中愛知用水之處,但在「盡快供水」這一點上卻以異例的速度實現了。

建築資材の調達が間に合わないため、護岸工事は後回しにしていたり、調整池の規模を当初の計画から縮小していたりと随所に史実に於ける愛知用水と比べて見劣りする点はあるものの、とにかく水を供給するというその一点に於いて異例の早さで実現をしている。

此外還有水深問題。除了作為農業用水兼上水道之外,本來也打算用於水上輸送,但若要讓船舶通行,就必須確保大約一公尺的水深。

更には水深の問題もあった。農業用水兼上水道用という目的の他に、水上輸送にも用いることを念頭に置いて計画されていたのだが、船舶の通行を見込むなら水深1メートル程度を確保しなければならない。

但水深愈深所需工期會指數上升,於是靜子從一開始就放棄以水運為前提的用水路計畫,改為先把深度調整到能作為農業用水的最低限度。

しかし、水深を深くすればそれに伴って必要とされる工期は指数関数的に上昇してしまう。そこで静子は最初から水運を見込んだ用水路という計画を捨て、まず農業用水として利用できる最低限の深さに見直していた。

「總算水路工程告一段落,所以兼作導通試驗從木曾川引水過來了。支流水路當然不說,連幹線水路的品質也難以稱得上充足,但至少達成了提供可供灌溉使用之水的目的」

「ようやく水路の工事が一段落したから、導通試験を兼ねて木曽川から水を通したんだよね。支流水路は勿論、幹線水路すら十分とは言い難い品質だけど、一応は灌漑に使用できる水を供給するという目的は達成できたんだ」

因為知道完成形,靜子對現狀與理想的差距難掩失落,但對知多半島的居民而言,印象則完全不同。

完成形を知っているため、現在のそれとの差異に失意を隠せない静子だが、知多半島の住民たちにとってはその印象は全く異なっていた。

知多半島地勢整體緩傾、平地稀少,且無大河流,因地勢傾斜排水過快,常年受水源不足之苦。

知多半島は土地が全般的に緩やかに傾斜しており、平地が少ない。更に大きな河川も無く、傾斜によって水はけが良すぎるため、常に水不足に悩まされている地域だ。

農業用水幾乎全靠蓄雨的貯水池,且因半島地理,即便鑿井也多只能取得帶海水的水。

農業用水の確保はもっぱら雨水を溜めた貯水池頼みであり、半島という立地の影響からか井戸を掘っても海水混じりの水しか得られなかった。

儘管靜子推廣的經濟政策促進了農業外的產業成長,仍大多數居民以農業為業,生活得失由稻米收成決定。

静子が広めた経済政策によって農業以外の産業も成長しているとはいえ、やはり大部分の住民は農業に従事しており、生活の行方を左右するのは米の出来高となった。

於是靜子提出了將用水路引至知多半島南端的驚人計畫,居民起初並不相信這如夢似幻的構想。

そこへ静子が知多半島の南端まで用水路を通すという途方もない計画をぶち上げた。住民たちは当初、そんな夢物語のような計画を信じていなかった。

然而隨著歲月推移,親眼目睹用水路工程穩步南下的居民,逐漸抱有期待。

しかし、年を追うごとに着実に南下してくる用水路工事の様子を目の当たりにした住民は、徐々に期待を抱くようになった。

以往的為政者只是從本就稀少的收成徵收名為年貢的稅,對改善居民生活幫助不大。

今までの為政者というのはただでさえ少ない収穫から年貢という名の税を取るばかりで、住民の生活改善にはそれほど寄与してくれない存在だった。

既然尾張平原已確立為穀倉地帶,便無必要花費巨資將水路延伸至知多半島。

既に尾張の平野部が穀倉地帯としての地位を確固たるものにしている以上、莫大な費用をかけて知多半島まで水路を引く必要性が無いのだ。

儘管如此,信長與靜子仍完成了那看似魯莽計畫的第一階段。

それにもかかわらず信長と静子はその無謀とも言える計画の第一段階を成し遂げた。

這當然不是慈善事業,信長與靜子推動計畫,是預見未來將需要那樣的糧食生產量。

当然ながら慈善事業ではあり得ず、信長と静子は将来それだけの食料生産量が必要になると見越して計画を推進している。

這反映了只顧三代以內(包含自身)民眾與能為百年後之日本擘畫未來的為政者之間的差異。

それは長くとも自分を含めた親子三代程度までしか理解の及ばない民と、百年後の日ノ本を思い描いて計画を立てる為政者との差ではある。

即便如此,愛知用水對居民而言終於成為了希望。因優先開通,流量比最初計畫少,支流水路亦尚未整備。

それでも住民たちにとって愛知用水の存在はいつしか希望となった。開通を優先しているがために流量も当初の計画から比べれば少ない上に、支流水路なども手つかずだ。

對靜子來說遠非滿意之作,但對居民則映為延續生命的希望之路;南部居民提出以血判狀表示願意協力未來的工程。

静子にとっては到底満足のゆく出来ではないが、住民にとっては命を紡ぐ希望の道として映っていた。今後も続く工事に関して南部の住民たちは血判状を作って協力すると申し出た。

「既然要做土木工程,人手永遠需要,說實話真是幫了大忙。既然汽車尚未實現,人力搬運也不能小覷」

「土木工事をする以上、常に人手は必要だから正直助かるね。自動車が実現出来ない以上、人の手による運搬も馬鹿にならないからね」

目前僅完成計畫第一階段,要將支線水路像毛細血管般擴展,使所有居民都能理所當然地飲用真水、農業用水無虞,還需耗費龐大時間。

まだまだ計画の第一段階が完了しただけであり、幹線水路以外にも支線水路を広げて毛細血管のように張り巡らし、全ての住民たちが当たり前のように真水を飲むことができ、また農業用水に不安を抱くことがない状態まで持っていくには途方もない時間を要するだろう。

「到那時我是否還活著……就不知道了吧」

「それまで私が生きているかは……判らないか」

即便史實中亦需1957年動工、1961年完成的重大工程,能在四百多年前規模縮小下仍得以完成,原因之一便是工事用機械的存在。

史実に於いてすら1957年着工、1961年完成という期間を要した大事業を、400年以上も前の段階で規模を縮小しているとは言え成し遂げられた要因として工事用機械の存在があった。

從木製車床開始,經製鐵逐步整備出高級加工機具,且在史特林引擎實用化後工業化亦持續推進,雖然無法自走,卻完成了可稱作土木用重機雛形的存在。

木製旋盤に始まり、製鉄を経て徐々に高度な工作機器を整備し、スターリングエンジンの実用化以降も工業化は逐次推進された結果として、自走こそ出来ないものの土木用重機の走りとでも言うべき存在が完成していた。

採用蒸氣機關為動力、並配備油壓缸倍力機構的挖掘機「仁王(におう)参式」被導入後,土木工程效率飛躍提升。

動力として蒸気機関を採用し、油圧シリンダーによる倍力機構を備えたパワーショベル『仁王(におう)参式』が導入された結果、土木工事の効率は飛躍的に高まった。

初代仁王的基部是完全固定的土台僅附挖掘機,到了弐式才實現橫向回轉。

初代仁王の基部は完全に固定の土台にパワーショベルだけが付いた代物であり、弐式になって横方向への回転が出来るようになった。

經過更多改良的参式終於將基座置於台車上得以移動,從而投入實際的土木工程。

更なる改良が加わった参式は、ついに土台を台車に載せて移動することが可能となったことにより、実際の土木工事へと投入する事が出来たのだ。

然而並非沒有缺點。

とは言え欠点がないわけではない。

巨大臂節的重量會擾亂重心,移動時須每次拆解搬運,且帶金屬框架基座的台車過重,凡人力難以移動。

巨大なアーム部分の重量が重心を狂わせるため、移動に際しては毎回分解して運ぶ必要があるし、金属フレームの土台付きの台車は重すぎて到底人力では動かす事が適わない。

每次安裝都得在地面打入固定樁,蒸氣機關發出的震耳轟鳴使作業員彼此幾乎無法交談。

設置する度に地面に固定用の杭を打ち込み、蒸気機関が立てる爆音は作業員同士の会話もままならない程の音量に達する。

即便如此,能挖起並移動達數百公斤岩石的仁王,其存在仍成為掘削工程的一場革命。

それでも数百キロに達する岩を掘り起こし、動かせるという仁王の存在は掘削工事における革命となった。

實際投入工地後,仁王参式也接連出現各種不具合與因損耗引起的故障。

実際に工事現場に投入された結果、仁王参式にも数々の不具合や損耗による故障なども続出した。

然而技師們在現場建立簡易整備場以提供支援,持續進行維修與改良。

しかし、現場に簡易整備場を建ててサポートした技術者たちによって整備・改善が進められている。

如此累積的資訊反映於後繼機仁王肆式上,進而帶動更進一步的發展。

こうして蓄積された情報が後継機となる仁王肆(し)式へと反映されることによって、更なる発展が続いていくことになる。

閒話說,主要機種名稱及型式以數字遞增的命名方式,是受靜子那缺乏符合時代命名感的薰陶所影響的技術人員所為。

余談だが主要な機種名とその型式が数字で加算されていくという様式は、時代に則したネーミングセンスが欠如した静子の薫陶(くんとう)を受けた技術者によるものだ。

生活在外文字成為常態的時代的靜子,若不留神就會想取德語或英語系的名字,這對戰國時代的人來說實在難以親近。

横文字が当たり前の時代に生きた静子は、油断すればドイツ語や英語由来の名前を付けようとするため、戦国時代の人々にはどうしても馴染まない。

技術者們為了讓自己打造的機械能被使用者喜愛並接受,使出苦肉計訂出這套命名規則。

少しでも自分達が生み出した機械が、それを利用する人々に愛され受け入れられて欲しいと願う技術者たちによる苦肉の策がこの命名規則であった。

「這樣一恢復工作,就能體會到即便自己不在,世間也會持續向前啊」

「こうして仕事を再開すると、自分が居なくても世間はどんどん進んでいくのが判るなあ」

理所當然的是,即便靜子停下腳步,世間仍在穩健前進。

当然のことだが静子が立ち止まっていた間も、世間は着実に前進していく。

灑下讓事情成長的種子者正是靜子本人,一旦萌芽,縱使沒有靜子也不會停止生長。

そうなるように種を撒いたのは他ならぬ静子であり、一度芽吹いた種は静子が居なくとも成長を止めることはない。

讓人深刻感受到的是,即便沒有人預見成長結果並給予適當照料,生物仍有自我成長的力量,速度或許不同但會持續成長。

成長結果を予見して適切な世話をしてくれる人が居なくとも、成長速度の差はあれど生物は自分自身を成長させる力を持っているということを痛感させられた。

「我也不能被落下,要努力把遲滯追回來呢」

「私も置いていかれないよう、頑張って遅れを取り戻さないとね」

靜子打了一下氣,隨即像在說「從現在開始」似的伸手去翻那堆文件。

静子は一つ気合を入れると、まずはこれからだとでも言うように書類の山へと手を伸ばした。

偏偏越是在做得順手時就會捲入奇怪的騷動。靜子甚至覺得自己是不是有這種厄運?當下情況混亂到了極點。

勢いに乗って仕事をしている時に限って、妙な騒動に巻き込まれる。そんなジンクスが自分にはあるのでは? と静子が思うほどに現在の状況は混迷を極めていた。

她眼前坐著兩個雙手用粗繩從後綁住的少女。少女們腰間被繫上繩索,繩端由一名屈強的兵士握著並以眼神施壓。

彼女の前には荒縄で両手を後ろ手に拘束された少女が二人座らされていた。少女たちは腰縄を打たれ、その縄の先端は屈強な兵士が握って睨(にら)みを利かせている。

才蔵自認是靜子的護衛因此一直待在一旁,但聽聞騷動來圍觀的長可與慶次也加入了,甚至連來看復職前靜子情況的足滿也到齊了。

才蔵は静子の護衛を自認しているため常に傍に控えているが、騒動を聞きつけて野次馬しにきた長可と慶次も加わり、更には復帰前の静子の様子を見に来ていた足満までが揃い踏みしていた。

對少女們來說,光是被帶到領主面前就已近乎崩潰,再加上四面八方由名聲顯赫的武人施加無言的壓力,像快窒息的金魚般只能張嘴拍動,處境凄慘。

少女たちにとっては領主の前に引っ立てられたと言うだけでも恐慌に陥る寸前だと言うのに、更には四方から名立たる武人による無言の圧力を加えられ窒息しかけた金魚のように口をパクパクするだけの哀れな状況だ。

「嗯,整理一下狀況。那邊兩個人像藏在暗處交易,被認為帶入禁制品而闖入,結果出現了奇怪的文書所以把她們帶來了?」

「えーと、状況を整理するね。そこの二人が物陰に隠れるようにして何かを取引していたため、ご禁制の品を持ち込んでいるかと踏み込んだところ、妙な文書が出てきたので連れてきたと?」

對於以確認口吻反問的靜子,兵士們以直立不動的姿勢肯定。話說回來,即便真有禁制品被交易,也不可能為了處置而特地來請示靜子的判斷。

確認するように問い返す静子に対して、兵士たちは直立不動の姿勢で肯定する。そもそもご禁制の品が取引されていたとして、その処遇を巡ってわざわざ静子の判断を仰ぎに来ることなどあり得ない。

禁制品各有既定的處置與量刑,本來她們該在相當於町奉行的官員權限下接受訊問並被處決才對。

禁制品ごとに処置と量刑は定められており、本来ならば町奉行相当の役人の権限に於いて彼女達は取り調べを受けた上で処断されているはずだった。

既然跳過那些程序直接把案件送到作為領主的靜子處理,就可推測出現的文書相當棘手。

それらを一気に跳び越えて領主たる静子の処まで事案が持ち込まれているのだから、出てきた文書とやらが相当に厄介な品物だと言うことが予測される。

靜子本想在自己狀態不佳時別來麻煩她,但若有人說可能是間諜,從國防的角度也不能視而不見。

静子としては本調子でないときに厄介ごとは勘弁して欲しいと思うのだが、間諜の可能性があると言われれば国防という観点からも見過ごすことはできなかった。

「沒收的文書已詳細調查過,列著我從未見過的文字與圖畫樣式。推測是試圖從我國流出資訊的暗號,然而解讀迄今仍未進展」

「没収した文書を詳細に調査しましたが、見た事もない様式で文字やら絵やらが羅列されておりました。何らかの情報を我が国から流出させんとする暗号かと推測しましたが、解読は依然として進んでおりません」

「那麼奇怪樣式的文書?怎麼說……雖然以墨著色,但並非筆寫,看起來像用銳利之物刮刻出細小字跡……」

「そんな変わった様式の文書なんだ? なになに、墨で着色されてはいるが筆によるものではなく、鋭い何かで引っ掻いたような細かい文字が書かれていたと……」

現階段最普遍的書寫工具是毛筆。雖然庶民有時會在木片上直接以墨書寫,但報告指出文中的線條更加纖細精緻。

現時点で最も流通している筆記用具は筆である。庶民たちが木片に墨で直接文字を書き付けることはあるものの、報告によればもっと繊細な線で描かれているとある。

關於暗號,負責暗部的足滿親自召集有才之人教育,並將他所知的各種暗號方式傳授,連專門處理暗號的單位也完全摸不著頭緒。

暗号については暗部を担う足満自身が才ある者を集めて教育し、更には足満が知り得る限りの暗号方式を伝授した暗号取り扱い専門の部署ですら皆目見当がつかないという。

況且暗號本質上是當事者間依約定才能取出意義的東西,因此暗號的製作與解析總是相互追逐的無限循環。

尤も暗号というのは当事者間同士で取り決めた約束事に従えば、意味が取り出せるという性質のものであるため、どうしても暗号作りと解析はいたちごっこの関係となる。

即便是共享同一文化的日本人,能創造出異想天開暗號的天才也有限,大多仍沿襲前人建立的理論,因此至少能抓到解讀的端倪。

それでも同じ文化を共有する日本人である以上、突飛も無い暗号を作り出せる才能を持つ者は限られ、大抵は先人の作り出したセオリーに沿っているため解読の糸口ぐらいは掴めるものだった。

「那種到現在看不出內容的暗號很讓人在意呢,能讓我看一眼嗎?」

「そこまで内容が掴めない暗号ってのは気になるね。少し見せて貰えるかな?」

一談到暗號,靜子腦中只浮現附有狸貓插圖的去掉「た」的文字或去掉「せん」的謎語式文字等,她覺得自己看了也很難理解,但仍想讀讀話題中的暗號。

暗号と言えば狸のイラストが添えられた『た』抜き言葉や、栓抜きの『せん』抜き言葉など、なぞなぞの域を出ないものしか思い浮かばない静子が見たところで理解できるとは思えないが、話題の暗号を読んでみたいと思った。

靜子的請求很快得到滿足,該份暗號文書被呈上她面前。似乎也做過毒物檢查,文件有部分被切下後又貼回的痕跡。

静子の要望はすぐに叶えられ、件(くだん)の暗号文書が彼女の前に差し出された。毒物検査などもされたようで、文書の一部が切り抜かれた後で貼り直された痕跡があった。

提到文書,人們會想像一張紙片,但眼前放著的是裝幀精美的和綴本子。

文書という言葉から何となく一枚の紙きれを想像していたのだが、目の前に置かれているのは装丁の施された和綴じの本であった。

成書後文字量確實增多,解析自然會花較多時間,但正因素材變多,線索也反而會更多,這是理所當然的。

確かに本となれば文章量が多くなり、必然的に解析に時間がかかるというのも頷ける。しかしそれだけにヒントとなる素材も多くなり、手掛かりは逆に多くなるのが自然だろう。

正如兵士所報,能看出有與毛筆不同的筆跡以不規則方式書寫文字與圖畫,而那些線條與靜子熟悉的萬年筆筆跡極為相似。

そして兵士たちが報告してきたように、筆とは異なる筆致による文字や絵が不規則に書き込まれているのが見て取れた。そしてその線は静子の知る万年筆による筆跡とよく似ていた。

「嗯……確實像是在使用特殊的書寫工具。那麼內容是……」

「ふーむ……確かに特殊な筆記用具を使っているようだね。それで内容は……」

當靜子開始認真閱讀內容時,周圍的男人們也寄望於她的博學能有所發現。

そうして静子が本格的に内容を読み始めると、周囲の男性たちも博識な静子ならばと期待を寄せた。

眾人期待會有進展時,唯有被拘束的兩名少女露出彷彿世界末日來臨般的表情,仰天而望。

何かしら進展があるのでは無いかと皆が期待を抱いている中、拘束されている少女二人だけがこの世の終わりであるかのような表情を浮かべて天を仰いでいた。

「……」

「……」

靜子在戰國時代長期生活,已習慣縱書從右向左閱讀,但她發現這份文書似乎要從左向右閱讀,然後再從上往下讀。

戦国時代に身を置いて長く年月が経過し、文字は縦書きで右から左に読む習慣がすっかり定着していた静子だが、この文書はどうやら左から右へと読み進め、更に上から下へと読んでいくのだと言う法則に気が付いた。

她把書從最後一頁重新翻起,以那個順序閱讀,不久便察覺到自己的判斷錯誤。

本を最終頁から開き直して、その順序で読み進めていくと程なくして静子は己の失策に気が付いた。

(這不是暗號。只是十八禁同人誌而已。而且還是雙修……)

(これは暗号じゃない。ただの十八禁同人誌だ。しかも両刀……)

書以小說形式呈現,時代罕見地附有較大插圖,前半段閱讀來像是年輕武家當主因家破而離家,隨性遊歷日之本的記錄。

この時代には珍しく大きめの挿絵が添えられた小説形式の内容であり、序盤を読んだ限りでは年若い武家の当主がお家断絶を機に家を離れ、気ままに日ノ本を旅するというものだ。

以遊記般的方式描寫所見風物,但一旦到了宿場,內容便轉向色慾之事。

そこで目にした風物を楽しみ紀行文のような体裁で描かれているのだが、ひとたび宿場に着くなり色事へと内容が変わる。

有時與過路旅人共度一夜,有時描寫與茶屋看板娘的熱烈羅曼史,被強壯的牢人壓制,或反過來壓制美少年……乃至出現衆道式展開,雖然拙劣卻以驚人的熱度描寫。

行きずりの旅人と一夜を共にすることもあれば、茶屋の看板娘との熱いロマンスが描かれたり、屈強な牢人に組み伏せられたり、逆に美少年を組み伏せたりと……言った衆道的な展開までが拙いながらも凄まじい熱量を以て描かれていた。

靜子被徹底打了個冷顫,差點嘆出一口氣,但仍然在意能編織出那個故事的筆記用具。

盛大に肩透かしを食らった脱力感からため息を吐きそうになった静子だが、やはりその物語を紡いだ筆記用具が気になった。

「……這兩人的隨身物中有沒有用玻璃或金屬做成的細長棒狀物?我想應該是尖端帶刻槽的那種,還有一個裝墨汁之類的容器。去把那些找來。」

「……この二人の持ち物にガラスか金属で出来た細長い棒状の物は無かったかな? 恐らく先端が尖っていて溝が刻まれていると思う。後は墨汁のようなものを入れた容器。それを探してきて」

「是」

「はっ」

靜子出於一點憐憫,命令同性的彩去翻查兩人的私人物品。不久,彩便從兩人的行李中找出靜子指定的物品並拿來了。

静子はせめてもの情けとして同性である彩に二人の私物を探るよう命じた。程なくして彩が二人の荷物から、静子が指定した品物を探し出して持ってきた。

對不懂硬筆的彩來說無法想像那是用來做什麼,但在靜子眼裡一看便知。那裡是一支用玻璃做成、毫無裝飾、只有實用性的樸拙設計的筆。

硬筆を知らない彩には何に使うのか想像できないようだが、静子から見れば一目瞭然の代物だった。一切の装飾が省かれた実用一点張りの無骨なデザインのガラスで出来たペンがそこにはあった。

也許為了防止筆尖破裂,它被用布緊緊包裹著,但從墨跡可見已被使用的痕跡。

先端が欠けないように配慮してか、布でぐるぐる巻きにされてはいたが、使用された痕跡が墨の跡から窺(うかが)える。

「二位,從現在起請老實回答我問的事。」

「二人とも、今から私が訊ねることに正直に答えるように」

「是、是」

「は、はい」

「先說清楚,我知道這不是暗號而是怎麼一回事。先在你們保證不追究書籍的前提下我來問。你們可以不回答,但要有心理準備,讓我這個理解者變成敵人。」

「先に言っておくと、私はこれが暗号では無くどういうものか理解しました。書物について咎めない事を約束した上で聞きます。質問に答えないのは自由だけれど、私という理解者が敵に回るということは覚悟しておいてね」

稍微過度威嚇後直視兩人臉龐,兩人仍面色蒼白,顫抖著點了好幾次頭。

やや過剰に脅した上で二人の顔を見つめると、二人とも蒼白な顔色のままがくがくと何度も頷いた。

如靜子先前所明言,文件本身在倫理上姑且不論,並無問題;真正的大問題是作為書寫用具的玻璃筆的存在。

静子が先に明言した通り、文書自体には倫理的にはともかくとして問題はない。筆記用具として用いられたガラスペンの存在が大きな問題となるのだ。

「直說了,我問你們。這個是從哪裡得到的?」

「単刀直入に聞きます。これは何処で手に入れたの?」

問出話的同時,靜子把玻璃筆舉得讓兩人看清楚。

質問を口にしながら静子は、ガラスペンを二人に見えるように突き付けた。

玻璃筆是由風鈴匠人佐佐木定次郎在1902年發明的書寫用具。

ガラスペンとは佐々木定次郎という風鈴職人が1902年に考案した筆記用具である。

筆尖刻有溝槽,藉由毛細現象,浸入墨水瓶時墨水會自動補充。

ペン先に刻まれた溝によって毛細管現象が発生し、インク壺にペン先を浸せば自動的にインクが補充されるというものだ。

與擁有金屬筆尖的鋼筆不同,它能向上下左右任意方向書寫等,具有革命性的優點。

金属製のペン先を持つ万年筆とは異なり、上下左右のどの方向へもペンを走らせることが出来る等の利点もある画期的な発明品だ。

不需專用墨水,只要是像墨汁或水彩顏料等形成水溶液的任何液體皆可使用,在原子筆普及之前,於日本被視為珍貴的事務用具。

専用のインクというものも必要なく、墨汁や水彩絵の具など水溶液の体(てい)をなしていれば何でも利用でき、ボールペンが普及するまでの間、日本に於いて事務用品として重宝された逸品だった。

因為以玻璃為材質而易受衝擊損壞,筆尖若磨耗也不易修復,但其滑順的書寫手感極佳,現代也有可以更換筆尖的款式存在。

素材にガラスを用いているため衝撃に弱く、先端が摩耗すれば修理も容易ではないという問題があるものの、その滑らかな書き味は素晴らしく、現代ではペン先を交換できる方式のものも存在する。

靜子當然知道玻璃筆的存在;更確切地說,將其製法傳承給他人的正是她本人。

当然ながら静子はガラスペンの存在を知っていた。というよりもこれの製法を伝えたのは他ならぬ静子だ。

因此玻璃筆的實物出現在這裡並非特別奇怪,但考慮到玻璃筆尚未在市場上(・・・・・)流通(・・・・・・・)的狀況,情勢便改變了。

故にガラスペンの現物がここにあるのは別段不思議ではないのだが、ガラスペンは未だ市場に(・・・・・)流通していない(・・・・・・・)という状況を加味すると事情が変わる。

儘管已有完成度足以寫成一整本書的實物,卻未流入市面,其原因在於傳授玻璃筆製法的匠人並非立足於尾張,而是在長濱(今之長浜)。

本を一冊書き上げてしまえる程の完成度の現物がありながら、市場に出回っていない理由。それはガラスペンの製造を伝えた職人が尾張ではなく長浜に拠点を構えているためだ。

「因為回娘家辦事時造訪今濱(即現在的長浜),從一個可疑的路邊攤販那裡買了。那個攤販看起來很怪,但看著它像妖術般順滑地寫字,而且也不算太貴……」

「実家の遣いで今浜(現在の長浜)を訪れた折に、怪しげな露天商より買い求めました。怪しげな風体の商人だったのですが、まるで妖術のようにするすると文字が書ける様子と、それほど高価では無かったので……」

在顫抖著相依為命的兩人中,年長的少女開口說明了購買的經過。

震えながら身を寄せ合っている二人の内、年かさの少女が口を開いて購入した経緯を明らかにした。

不祥的預感常常應驗,聽完她的證詞後靜子以手覆眼仰天。她知道這已超出個人能獨斷處理的範圍,感到一陣輕微頭痛。

嫌な予感程良く当たるもので、彼女の証言を聞き終えた静子は目元を手のひらで覆って天を仰いだ。これは自分だけの裁量で済ませる範疇を越えてしまったと知って軽く頭痛がした。

「怎麼了,靜子?既然是禁物,不就把實物沒收,殺光牽涉流通的人就完事了嗎?」

「どうした静子? 禁制の品だと言うなら現物を取り上げ、流通にかかわった奴を皆殺しにすれば済む話じゃないのか?」

長可見靜子憂心,便脫口說出粗暴的解決法。被隨口說要把他們也殺掉,兩人聽了面色從青轉為蠟黃。

思い悩む静子の様子が気になった長可が乱暴な解決策を口にした。サラリと自分達も殺すと言われた二人は、青を通り越して蝋のような顔色になっている。

靜子重重嘆了一口氣,命人將兩名少女留下並驅散旁人。把她們交給足滿的士兵們離開後,室內只剩下近侍幾人。

一つ重いため息を吐いた静子は、二人の少女を残して人払いするように命じた。二人の身柄を足満に引き渡した兵士たちが立ち去り、室内には側近だけという状況になった。

在察覺周遭已無人跡後,靜子等著才藏點頭才開口。

周囲から人気(ひとけ)が絶えた事を気配で察した才蔵が頷くのを待って、静子が口を開いた。

「該說是好事還是壞事呢。我想這是羽柴大人打算當作今濱名產推銷的玻璃筆試作。」

「良かったというべきか、悪かったというべきか。これは羽柴様が今浜の名産品として売り出そうとしておられるガラスペンの試作品だと思う」

「……」

「……」

也許無法忍受靜子宣告的衝擊事實,兩名少女當場昏厥倒下。

静子から告げられた衝撃の事実に耐えきれなかったのか、少女二人は卒倒して倒れ込んでしまった。

足滿立刻將手放在兩人頸側檢查脈搏,見呼吸無異常便讓她們躺在原地,轉向靜子回報。

すかさず二人の首筋に手を当てて脈拍を診ていた足満だが、呼吸に異常がないため二人をその場に寝かせると静子の方へと向き直った。

「這段時間羽柴大人連連出紕漏,沒能向上意呈上好消息。播磨那邊還在為赤松氏的抵抗頭痛,考慮到戰費增加,今濱的經濟狀況也令人生疑。」

「ここしばらく羽柴様は不手際続きで、上様に良い報告が出来ていないんだよね。播磨では赤松氏の抵抗に手を焼いているし、今浜の経済状況も戦費が嵩む状況を考えると心もとない」

如靜子所言,近來秀吉處境不佳。在播磨侵攻中因急於求功反而招致赤松一族叛亂,連攝津也被反織田勢力吞沒。

静子が言うように、近頃の秀吉は鳴かず飛ばずという状況が続いていた。播磨侵攻では功を焦ったが為に赤松一族の反乱を許し、摂津すら反織田の勢力に取り込まれてしまった。

一度甚至出現荒木村重有呼應之嫌的可疑舉動,但幸好他沒有反旗。

一時は荒木(あらき)村重(むらしげ)も呼応するような怪しい動きを見せていたのだが、幸いにして彼が反旗を翻す事はなかった。

那多半是因為石山本願寺向信長屈服的情勢演變,並非秀吉的奮戰所致。

そこには石山本願寺が信長に屈したという状況の推移が多分にあり、秀吉の奮闘に依るものではない。

在播磨侵攻無所斬獲的秀吉,連帶使其領地今濱的經濟陷入困窘。

播磨侵攻に於いて何の成果も得られなかった秀吉は、彼の所領である今浜の経済状況をもひっ迫させてしまっていた。

本就靠借貸經營,卻為籌措戰費勉強硬撐,結果資金周轉陷入困境。

元々借金経営をしていると言うのに、無理を押して戦費を捻出したため資金繰りに行き詰まっていたのだ。

若非靜子力挺的玻璃製品,今濱可能已淪為織田領中最貧瘠的地區。

静子が後押しするガラス製品が無ければ今浜は織田領の中でも最貧地域へと落ちてしまっていたかも知れないほどだ。

焦躁的秀吉接連犯下更多錯誤,其中最明顯的是整修街道。領地的街道整修是織田家所推崇的工程,終究是不得不動手的一項課題。

焦った秀吉は更なる失策を重ねてしまう。その最たるものが街道整備であった。領地の街道整備は織田家が推奨する事業であり、いずれ手を付けねばならない課題ではある。

基礎建設例如道路整備無一例外都需要巨額費用,而要到投資效益顯現通常需要相當的時間。

街道整備といったインフラ事業は例外なく巨費を要するが、その投資効果が得られるようになるまで時間がかかる。

儘管如此,秀吉預見東國征伐後人員的移動,便著手整備由東國經關原、經今濱前往京城的主要路線。

それにも拘わらず秀吉は東国征伐後の人々の移動を見込んで、東国から関ヶ原を通り今浜経由で京へと向かう主要ルートの整備に乗り出した。

如果只有這一處還不會造成太大損失,但他在關原通往今濱的道路旁同時又動手開闢關原至米原的路線,這成了致命傷。

ここだけならばそれほどの痛手とはならなかったのだが、関ヶ原から今浜へ向かう道と並行して関ヶ原から米原へと向かうルートにも手を付けてしまったことが致命傷となった。

秀吉本以為從米原北上至長濱的人流會形成;可一旦關原到米原的路通了,反而出現了不經今濱直接南下至安土的動線。

秀吉の目論見では米原から長浜へと北上する人の流れが生まれるはずであった。関ヶ原から米原へと道が繋がった途端に、今浜を経由せずに直接安土へと南下するような流れが出来上がってしまったのだ。

花了大錢卻減少了流入領地的收入,犯下大失誤的秀吉透過秀長再次向靜子商議對策。

大金を費やした挙句に領地に落ちる金を少なくしてしまうという大失態を演じた秀吉は、秀長を通じて静子へと再び相談を持ち掛けた。

被逼到若不採取即效措施就過不了年的秀吉,靜子所贈的是玻璃筆。

何か即効性のある施策を講じねば年を越せないまでに追い詰められた秀吉に静子が授けたのがガラスペンだった。

今濱已有許多從事玻璃製品的工房,高級玻璃製品在京也頗受好評;能發揮那等技術力的劃時代商品便是玻璃筆。

既に今浜はガラス製品を手掛ける工房が多くあり、高級品のガラス製品は京でも好評を博している。その技術力を活かせる画期的な商品がガラスペンだ。

深知情報管理重要性的信長所接收的報告書,多數仍以毛筆書寫。

情報管理の重要性を理解している信長が手にする報告書の多くは未だに毛筆によって記述されている。

然而毛筆每字佔用的記錄面積偏大,導致報告書的頁數激增。

しかし、毛筆ではどうしても記録面積に対する一文字当たりが占有する領域が多くなり報告書の枚数が嵩むのだ。

考慮到能長期保存且品質夠好的紙張價格昂貴,其潛在需求量不可估量。

情報を記録して長期間保存できるだけの質を保った紙は高価であることを考慮すれば、潜在的な需要はどれ程になるか計り知れない。

「因此打算將實用品的玻璃筆與作為藝術品的最高級玻璃筆一併獻給上樣,並在織田領內大規模流通以圖經濟復甦。如果此時試作品流出會怎麼樣呢?喜愛日本第一的上樣會想要別人沾過手的商品嗎?嘛,實用品那塊或許還能取實利」

「そこで実用品としてのガラスペンと、芸術品として最高級のガラスペンを上様に献上し、それを織田領内に大々的に流通させることで経済の復活を図ろうとされていたの。そこに来て試作品が流出してしまったらどうなるかな? 日ノ本一番がお好きな上様は他人の手垢が付いた商品を欲しがるかしら? まあ、実用品の方に関しては実利を取られるでしょうけども」

靜子以帶有憐憫的目光望向仍未恢復意識的兩人,沒有人能說那種事是不可能發生的。

憐憫(れんびん)を含んだ視線を未だ意識を取り戻さない二人に向ける静子に対し、そんなことはあり得ないと言える者はいなかった。

對已處背水一陣的秀吉而言,這款玻璃筆是絕不能失敗的商品;因此試作品流出這種不祥事無論如何也不能容許。

既に背水の陣状態の秀吉にとって、このガラスペンは失敗することの出来ない商品だ。それだけに試作品が流出してしまった等という不祥事は何が何でも認めることが出来ない。

最壞的情況可能會設法滅口那兩人,甚至要求協力者靜子保持沉默,這並不難想像。

最悪の場合は二人を亡き者にしてでも口封じを図り、協力者たる静子に対しても沈黙を保つよう要請するだろうことは想像に難くない。

「照這樣下去我沒有能庇護兩人的名分。若被要求交出,除了承認別無他法吧」

「このままだと私には二人を庇うだけの名分がない。引き渡しを求められれば、応じる以外に手がないよね」

「……」

「……」

「可憐是可憐,但不能以不知道就帶過。試作品被私下流出確實是羽柴大人的不手際,這兩人並無過錯,但既然擋不住人言……」

「可哀想だけど知らなかったでは済まされない。実際に試作品が横流しされたというのは、羽柴様の不手際でありこの二人には何の落ち度もないけれど、人の口に戸を立てられない以上は……」

靜子所描述的兩人的下場無論如何都不會是令人愉快的景象;即便不是靜子,有人情者也不願見到一位衣著整潔的年輕少女白白喪命。

静子が語る二人の行く末はどう考えても愉快なものとはなり得なかった。身なりも小綺麗なうら若い少女が無為に命を散らす様など静子でなくとも人の情を持つ者ならば見たくはあるまい。

那兩人正昏迷不醒,覺得他們可憐的人也想不到救援之法,臉上盡是陰沉。

当の二人は気を失っているし、その二人を哀れに思う者は二人を救う手立てが思い浮かばず暗い表情を浮かべていた。

眾人都沉默、空氣凝重之際,靜子大力拍起柏手。

皆が押し黙ってしまい重い空気が満ちた処で、静子が大きく柏手を打った。

「總之作為最壞的情況會是那樣,但把能在從未見過的商品中看出價值並示範運用的才女就這樣讓她白白死去實在可惜。我有個似乎能辦到的辦法,大家要不要都參一腳?」

「とまあ最悪の状況としてはそうなるんだけれど、見た事もない商品に価値を見出し使いこなして見せた才女をむざむざ死なせるのは惜しいよね。何とか出来そうな手立てがあるんだけど、皆一枚噛まない?」

現場沒有人要阻撓靜子所說能打開窮途末路的秘策。

どん詰まりの状況を打開すると言う静子の秘策を遮ろうと言うものはこの場に居なかった。