戦国小町苦労譚
1576年四月下旬
四月將至,正值春色正濃之時,信長向眾臣宣告舉辦賞花宴。
四月を目前に控え、春もたけなわと言った頃合いからか、信長は臣下の者へ花見の宴の開催を告げた。
雖然與本願寺的和談尚未有著落,但大家都認為這是為了獎勵有功的家臣。
本願寺との講和は未だ目処が立たないが、功を上げた家臣達を賞するものだろうと皆は考えていた。
另一方面,說到靜子,信長囑付她準備宴會相關的各種物品,從內容看來她已看穿信長以宴會為藉口想要吃甜點的心思。
一方静子と言えば、信長から酒宴に関する様々な物品の用意を仰せつかり、その内容から『酒宴にかこつけて、自分が甘いものを食べたくなった』という信長の思惑を見抜いていた。
因為ヴィットマン的事而不想長期離開,但狀況稍有穩定,加上彩(あや)等人的催促,於是她決定久違地現身於公開場合。
ヴィットマンの事もあって長期間の留守を避けたいという思いもあったが、少し状態が落ち着いてきたことと、彩(あや)達の後押しもあって、久々の晴れの場へと姿を見せることとなった。
信長手下日益龐大,名將們分散於日ノ本各地。除負責宴會物資調度的靜子外,以近畿為根據地的武將們都從容進入安土。
信長の配下も大所帯となった結果、名だたる武将は日ノ本の各地に散っている。宴に関する物品の調達を担う静子を除けば、近畿圏に本拠を置く武将たちは余裕を持って安土入りを果たす。
靜子在完成物資安排後,便先行前往安土。
静子自身は物資の手配をし終えると、一足先に安土へと向かうことになった。
目前主導與本願寺和談的是靜子的養父近衛(このえ)前久(さきひさ),靜子自己只在他提出請求時提供支援,故能輕便行動。
現時点で本願寺との和睦に関して音頭を取っているのは、静子の養父でもある近衛(このえ)前久(さきひさ)であり、静子自身は彼から要請があれば支援する程度の関りしか持っておらず身軽に行動できた。
「過去我看不出在衣裝上花錢的意義,但或許到了現在的身份,才了解社交場合服裝的分量。這件訂製的振袖(ふりそで)……雖然沒問價錢,但有種絕不能弄髒的氣場。」
「昔は衣装にお金をかける意義を見出せなかったけど、今の立場になったからか社交の場に於ける服装が持つ意味が解るようになったなあ。この特注の振袖(ふりそで)……いったい幾らするのか聞いてないけど、絶対汚せない雰囲気があるよね」
靜子這麼說著,從誇張的行李(こうり)中取出,從衣文掛(えもんか)上掛出的振袖投以注目。
静子はそう言って、仰々しい行李(こうり)から取り出され、衣文掛(えもんか)けから存在感を訴えかけてくる振袖を見やった。
此次宴會,彩與蕭(しょう)決定拿出為靜子準備的虎之子(裝飾)來展示。
今回の宴に際して、彩と蕭(しょう)は静子の衣装にと用意していた虎の子を披露することにした。
過去的靜子鮮少有打扮的機會,即使要體面著裝也採男裝,雖然材質與裁縫屬上乘,卻談不上華麗。
これまでの静子は着飾る機会など無く、地位相応の装いをする場合も正装となれば男装であり、素材や縫製などは一級品を用いているが華美とは言えないものであった。
然而信長主辦的賞花宴則不同,只要不失禮,稍微浮誇也不會遭人責難。
しかし、信長主催の花見となれば話は変わる。礼を欠いていなければ少々羽目を外したところで咎められる事もない。
得知此事後,彩等人的行動迅速。靜子把應該最華麗的少女時代大多耗在田間勞作和血腥戰事,雖未婚卻以義理擁有一男一女。
それを知った彩たちの行動は素早かった。最も華やいで然るべき娘時代の殆どを野良仕事と血生臭いいくさで費やし、未婚のまま義理とは言え一男一女を得ている。
彩等人認為若錯過此刻,靜子便無緣作為女性的光榮舞台,於是決心以這唯一一次的機會留下足以流傳後世的印象。
今を逃せば静子が女としての晴れ舞台に上がる事はないと考えた彩たちは、ただ一度の機会を以て永く後世にまで語り継がれる程の印象を残そうとした。
靜子本打算像往常一樣男裝,對於彩等人異常的熱心不置可否,但看到準備好的衣服後大吃一驚。
静子としては妙に張り切っている彩達を他所に、いつも通りの男装をするつもりであったため、用意された衣装を目にして仰天することになる。
果然她們呈現在靜子面前的是現代被視為未婚女性之第一禮裝、附五家紋的本振袖。
果たして彼女達が静子の前に差し出したのは、現代に於いて未婚女性の第一礼装とされる五つ紋付きの本振袖だったからだ。
順帶一提,振袖限定未婚女性是近年之事,戰國時代並無此等限制。
因みに未婚女性に限定されたのは近年の事であり、戦国時代に於いてはそういった制限は存在しない。
史實上據說江戶時代若過了十七至十九歲的花樣年華便不再穿振袖,但即便如此也不以已婚與否為準。
史実に於いては江戸時代、娘盛りである17〜19歳を過ぎれば振袖を着なくなったというが、その際でも既婚未婚は問われていなかった。
振袖被視為未婚女性象徵的原因有多種說法,一說為「揮袖」之舉與神事中巫女的神樂舞(かぐらまい)或魂振(たまふ)相通,因此在江戶時代演變為吸引心儀者或表達愛意的行為,即以「揮袖」示之。
未婚女性の象徴として扱われるようになった所以(ゆえん)は諸説あるが、一説には「袖を振る」という行為が神事に於ける巫女の神楽舞(かぐらまい)や魂振(たまふ)りに通じるため、江戸時代に意中の相手を振り向かせる、または相手に愛情を示す行為として「袖を振る」ようになったというものがある。
此習俗在年輕女性間盛行後,振袖逐漸定型為未婚女性的服裝,婚後則改穿袖短的留袖(とめそで)。
これが若い女性の間で流行した結果、振袖は未婚女性が着る衣装として定着し、結婚後は袖の短い留袖(とめそで)を着用するようになったという。
題外話,在時代劇等作品中常見夫人為出門伴侶敲響打火石以示送行的表現。
余談だが他にも時代劇などで外出する伴侶に対して、奥方が火打石をカンカンと鳴らして送り出すという表現が見られる。
此舉用以發出聲響震動空氣、噴飛火花以驅除厄運;衍生為今日仍見到的揮手送行等簡化儀式,脈脈相傳。
あれは音を鳴らし空気を震わせ、火花を飛ばして厄を払うという意味がある。転じて今日(こんにち)でも見られる手を振って見送るなどの所作として、簡略化されながらも脈々と受け継がれている。
「話說回來,赤紫(マゼンタ)的底色……雖然不如鮮紅,但也足夠獨眼奪目。花紋又用『蠟染』把吉祥草花精緻染成,特別醒目。」
「それにしても赤紫(マゼンタ)地って……赤ほどじゃないけれど充分ド派手だよね。絵柄も『ろうけつ染め』を使って吉祥の草花を精緻に染め上げてるから異様に目立つし」
材質使用正絹(しょうけん),底色非正式的黑而選了優雅的赤紫,且非單色,配合圖案在地色上做了漸層,乃可窺見染匠近乎執念的熱忱。
素材には正絹(しょうけん)を用い、地色にフォーマルな黒ではなく優美な赤紫を選ぶ。更に単色ではなく、図柄に合わせて地色もグラデーションをつけてあり、染物師の執念にも似た熱意が窺えた。
與偏白的圖樣相互襯托時,那份華麗令人目眩,卻不顯俗氣而收得高雅,實在是一件大膽出眾的振袖。
これが白みの強い柄と合わさった際の華やかさときたら目を瞠(みは)る程でありながら、厭味(いやみ)にならず上品にまとまっているという、実に攻めた振袖となっていた。
「穿了這種衣服,光是走路就會辛苦吧?」
「こんなの着こんだら、歩くだけでも一苦労なんだけど?」
「請放心,當日會乘輿出席的。」
「ご安心ください、当日は輿(こし)に乗って頂きます」
「嗯──身為已逾二十歲的老姑娘我穿成這樣……會不會很惹人憐惜?」
「うーん、流石に二十歳(はたち)を過ぎた年増の私がこの恰好は……痛々しくないかな?」
「除了上樣們,無人得以異議靜子大人的衣裝。靜子大人的風姿必定成為風潮。」
「静子様の衣装に異を唱えられる者など、上様たちを除いておられませぬ。静子様のお姿こそが流行となるのです」
靜子婉轉希望維持平日男裝,但今日的彩等人頑強且堅持己見。
静子はやんわりといつも通りの男装を希望したのだが、今日の彩達は手ごわく頑として主張を曲げなかった。
靜子察覺她們有自己的打算並認為這樣對自己有利,於是任由她們為所欲為。
彼女達も何か思惑があってこの衣装を推しており、それが自分の為になると思ってくれていることを察して、静子は彼女達の好きにさせることにした。
(啊,我還沒看過帶子呢。不過也罷,既然已經委任了就乾脆釋懷。)
(あ、帯を見せてもらってないや。まあ、いいか。一任した以上は腹を括ろう)
一旦放開心,反倒有餘裕期待會出現什麼雅緻別緻的帶飾。
一度開き直ってしまえば、むしろどんな趣向を凝らした帯が出て来るのか楽しめる余裕すら出てきた。
到了當日,穿著時所見的帶子雖也華美,卻圖樣配置半調子讓人覺得奇怪而歪頭。
当日となり、着付けに際して見せられた帯も華美なものではあったが、中途半端に柄が入っており奇妙だなと首を傾げることになった。
然而在穿戴完畢對著全身鏡確認時,她終於理解了其中的用意。
しかし、着付けが終わって全体像を姿見で確認した時に、その意図が理解できた。
「原來如此。振袖的畫樣與帶子結合後仍能成為完整的圖案。這是專為這件振袖做的帶子啊……」
「なるほど。振袖の絵柄が帯と合わさっても図柄として成立するようになっているんだ。この振袖専用の帯か……」
想到自己未來還有多少次機會穿這件振袖不禁心生恐懼,但帶與振袖所呈現的一體感令人讚嘆。
自分が今後、何回この振袖を着る機会があるかを考えると空恐ろしくもなったが、帯と振袖が一体感を醸し出しており、素晴らしい仕上がりであった。
若要挑毛病,便是這件為靜子身形訂製的單品,加上繁複細緻的圖樣,使得不容許走樣、穿著難度極高。
難を言えば静子の体型に誂(あつら)えた一点ものであり、また精緻な図柄が災いして着崩れが許されないという着こなしの難しい着物でもあった。
「準備已經萬全,輿馬即將到來,請再稍候片刻。」
「準備万端抜かりありません。間もなく輿が参りますのでもうしばらくお待ちください」
「嗯。動彈不得,抱歉我要先歇一會兒。」
「うん。下手に動けないから、悪いけど休ませて貰うね」
說著,靜子向忙碌奔走的彩與蕭揮了揮袖子。
そう言うと慌ただしく動き回る彩や蕭に向かって、静子は袖を振った。
那姿態優雅如草木隨風搖曳,讓好幾名侍女看得出神停下手中動作,唯獨靜子毫無所覺。
その様子は草花が風に揺らぐかのように優美であり、何人もの小間使いが見惚れて手を止める程であったのだが、静子だけが気付いていなかった。
「要是能帶上四六和器就好了,但這次名單挑得很精緻啊」
「四六や器も連れていければ良かったんだけど、今回は面子が厳選されてるからなあ」
此次被邀請參加宴會者,都是在與石山本願寺一連騷動中被認定有特別功勞者。
今回の宴に招かれたのは、石山本願寺との一連の騒動に於いて特別の功有りと認められた者であった。
因此光秀受邀,但秀吉沒有被點名,既無內助之功的四六與器當然也被排除在外。
故に光秀は招かれているが、秀吉には声が掛かっておらず、内助の功があった訳でもない四六や器も当然対象外となる。
賓客的選拔乃信長獨斷進行,標準不明,但或許有因在夫君外出期間協理家務而獲得內助評價,故有允許攜帶妻兒或親族者。
招待客の選考自体は信長が独断で行っており、その選考基準は不明だが、夫が留守中の家内を取りまとめたとして内助の功が評価されたのか、妻子や親族の帯同を許された者もいた。
在出發前不久有信長的使者到訪,準備妥當後,靜子在彩等人的攙扶下坐上了準備好的輿。
出立の直前に信長からの遣いが訪れ、その準備(・・)を終えた静子は彩達の介添えを受けて用意された輿に乗り込んだ。
平日習慣自己步行或騎馬出行,對於被人抬著移動的輿感到些許違和。
普段は自分の足で歩くか、馬での移動が常となっていたため、人力で担いで移動する輿に違和感を抱いていた。
但這感覺只持續了一小會兒,抵達賞花場所時已對那舒緩的步伐與細微起伏產生類似電車節奏的聯想。
しかしそれも少しの間だけであり、花見の宴席に到着する頃にはそのゆったりとした歩みと僅かな上下動に、電車のリズムにも似ているなと思うほどになっていた。
到達會場後輿被放下,簾幕被掀起,靜子在蕭的攙扶下踏上了地面。
会場に到着すると輿が下ろされ、御簾(みす)が持ち上げられると、蕭の手を借りて地に降り立った。
「一直在等候您,靜子大人」
「お待ちしておりました、静子様」
正如信長所說會有人引導,剛到達的靜子就有人向她致意。
案内役を付けるとの信長の言葉通り、到着した静子に声をかける者がいた。
她轉頭一看,穿著紋付裃的堀秀政從行禮的姿勢抬起臉,看到靜子那艷麗的模樣竟僵住了。
そちらへ目を向けると紋付の裃(かみしも)姿の堀秀政がお辞儀の体勢から顔を起こし、静子の艶姿を目にして固まってしまっている。
他如今以近習首位聞名,深得信長信任,因此常與靜子相見。
今や近習の筆頭として知られており、信長の信任を得ている彼は静子と顔を合わせる事も多い。
但此次靜子的裝扮顯然超出他的預想,出現了違背他素來禮節的表現。
しかし、その彼をして此度の静子の出で立ちは想定の範疇外であったようで、礼節に長じた彼らしくない振る舞いとなっていた。
被無言凝視而感到有些不自在的靜子主動開口。
無言で凝視されて少し居心地の悪い静子は、自分から声をかけることにした。
「堀大人親自迎接,深感榮幸。此次乃花見之席,或許有辱觀瞻,還請見諒,枯木亦為山中一景」
「堀様直々にお出迎え頂けるとは恐縮です。此度は花見の席とのこと、お目汚しかとは思いますが、枯れ木も山の賑わいと申しますしご容赦願います」
靜子帶著自嘲的笑容如是說後,堀像被彈開般俯首致歉。
そう言って自嘲気味に静子がほほ笑むと、堀は弾かれたように頭を下げると無礼を詫びた。
「請饒恕我的失禮。見到靜子大人美麗的風采,令我不禁失語。」
「ご無礼をお許しください。静子様の麗しいお姿を目にし、思わず言葉を失っておりました」
「若能得到像堀大人這般的男子如此稱讚,即便有違年紀也算值得了。」
「堀様のような殿方にそう仰っていただけるのなら、年甲斐もなくこのような恰好をした価値があるというものです」
靜子判定堀只是得體的社交辭令,輕輕帶過,然而堀內心卻是由衷驚嘆。
静子は如才ない堀の社交辞令だと判断し、さらりと流したのだが堀は心底驚嘆していた。
那也不足為奇,現今的靜子從腳尖到頭頂都被彩與蕭細心打點,習慣她男裝模樣的人看見差異更會驚訝。
それもそのはず、今の静子はつま先から頭のてっぺんまで彩と蕭の手によって磨き上げられ、いつもの男装の静子を見慣れている者ほどギャップに驚くことになる。
髮絲以混入山茶油的特製護理調整,受日光照射閃現光澤,肌膚以不含鉛的特製白粉等基礎化妝品打理,呈現現代所謂的自然妝感。
髪は椿油を配合した特製のトリートメントで整えられ、日の光を受けて艶やかな光沢を見せており、肌は鉛を含まない特製の白粉(おしろい)を始めとした基礎化粧品によって現代で言うナチュラルメイクに仕上がっていた。
所謂自然妝並非不化妝,而是以不易察覺的方式模擬自然之美而施妝。
ナチュラルメイクとは化粧をしないのではなく、それと判らないよう自然をよそおって化粧を施す事に意味がある。
在這方面,彩與蕭的手藝可說是一流的化妝師。
その点では彩と蕭の腕前は、一級のメイクアップアーティストだと言えよう。
「我堀發誓非虛與,也不能不向上様呈現這難得的風采。話不多說,且引領前往。」
「この堀、誓って世辞など申しませぬ。しかし、折角の艶姿を上様にご披露せぬ訳にも参りませぬ。早速ではありますが、ご案内仕ります」
聽見堀的話靜子點頭,隨即被引導至從主會場稍微離開處所搭建的涼亭。
堀の言葉に静子は首肯すると、宴席の主会場からやや離れた位置に建てられた四阿(あずまや)へと誘導される。
靜子心想主辦者竟將會場拋下去做這些事是何意,但既然場中無人抱怨,她便默許了。
主催者自身が会場を放り出して何をしているのかと静子は思ったが、会場の誰からも不満が上がらない以上は黙認することにした。
「上様,靜子大人到了。」
「上様、静子様が参られました」
涼亭中,席上鋪著緋紅毛氈的縁台上坐著信長,他仰望著盛開的櫻花。
四阿では緋毛氈(ひもうせん)の敷かれた縁台に腰掛けた信長が、花盛りの桜を見上げていた。
「辛苦了。退下吧。」
「大儀であった。下がって良いぞ」
「是」
「はっ」
「靜子,近前來。」
「静子、近う参れ」
「是」
「はっ」
堀應聲退到涼亭外,取而代之的是靜子進入其中。
信長の応(いら)えを受けて堀は四阿の外へと下がり、入れ替わりに静子が中へと進む。
信長仍望向外頭的櫻花,回頭時微微倒吸一口氣,含笑開口說道。
外の桜へと視線を向けたままの信長が振り返ると、僅かに息を呑んだあと微笑しつつ言葉を紡いだ。
「『君若不修飾,臣不致敬』這話說得好。你變得真是堂堂不同,看走眼了,靜子。好了,你也坐下吧。」
「『君(きみ)飾らざれば臣(しん)敬(うやま)わず』とは良く言ったものよ。見事に化けおったな、見違えたぞ静子。まあ良い、貴様も掛けよ」
「失陪了」
「失礼致します」
信長如是說,招靜子到自己就坐的縁台共坐。與主君同席實在令人敬畏,但既然被要求就座,靜子別無選擇。
信長はそう言って自分が腰掛ける縁台へと静子を招いた。主君と同席というのは畏れ多いが、本人が座れというのだから静子としては従うほかない。
理所當然地,涼亭周圍部署著護衛,堀也近侍左右;不過兩人距離此般接近,談話便不會外泄。
当然と言えば当然だが、四阿の周囲には護衛が配されており、堀も近くに控えている。しかし、二人の距離がここまで近ければ、会話が外に漏れることは無い。
「那麼,結果如何?」
「して、首尾はどうなった?」
「非常好。西至毛利、東至北條的主要地域都已掌握,沒有想要公開成為朝敵的國人。」
「上々です。西は毛利、東は北条まで主要な地域は掌握できました。表立って朝敵になりたい国人はおりません」
靜子這麼說著,微微一笑。朝敵是指向天子反抗的逆賊。在重視體面與名分的武家社會,被認定為朝敵是非常沉重的事。
そう言って静子はクスリとほほ笑む。朝敵とは天子に弓引く逆賊のことを言う。建前社会の武家に於いて、朝敵に認定されるということは非常に重い。
一旦被指定為朝敵,就會成為全國各地國人的攻擊目標。要避免這點,只有向朝廷請求降伏,或擊退討伐軍並以有利條件請求和議。
一度朝敵に指定されれば日ノ本中の国人から狙われることになる。これを回避するには朝廷に対して降伏を申し入れるか、討伐軍を撃退し、有利な条件で講和を申し込むしかない。
「稍微學到些腹中之術了嗎?」
「少しは腹芸も身に付いたか?」
「多虧有良好的先達指導。此外我也只是為了藝事保護做了必要之事(・・)」
「良い先達のご指導あってのことです。それに私は(・・)芸事保護の為に必要な事をしたまでです」
「胡說」
「ぬかしおる」
聽了靜子的話信長露出寬厚的笑容。作為靜子一生志業的藝事保護活動,在朝廷的支持下已廣為國中所知。
静子の言葉を受けて信長は太い笑みを浮かべた。既に静子のライフワークとして認知されている芸事保護の活動は、朝廷の支援もあって広く日ノ本中に周知されるに至った。
靜子將那些成果編撰成資料,定期獻上給天皇。自從相機實用化後,能送達任何人一看就明白的資料,正親町天皇因其實績而頒發了一道綸旨。
静子はその成果を資料として編纂し、定期的に帝へと献上していた。カメラの実用化以降は、誰の目にも明らかで判り易い資料が届くに至り、正親町(おおぎまち)天皇はその実績を賞してとある綸旨を発した。
那道綸旨內容為「靜子的藝事保護為朝廷事業,如有協力請求,應盡量提供便利」。
その綸旨とは「静子の芸事保護は朝廷の事業であり、協力の要請があった場合は最大限の便宜を図るように」というものであった。
也就是說,只要有為藝事保護的正當名分,靜子即便在敵對國人的領地也能獲得近乎通行無阻的待遇。
つまり静子は芸事保護の為という大義名分があれば、たとえ敵対する国人の領地であろうともフリーパスに近い待遇を受けることができるのだ。
當然在敵對勢力控制下會有監視,但若在其境內靜子一行出事,對方會被責問其失職,因此甚至有必要派手勢作為護衛。
当然敵対勢力下では監視も付くが、自国内で静子一行の身に何かあれば己の不手際を責められるため、手勢を護衛に当たらせる必要すらあった。
「為了排除萬難,也請近衛家的人多方出面,雖然花了一筆大錢,但這是為了換取安全」
「万難を排するためにも、近衛家の方々に色々と動いて頂きましたので、少々大枚を叩くことになりましたが安全には変えられません」
「以那個名義大致(・・・・・・・・・)涵蓋到了哪種程度?」
「その名目でどの程度(・・・・・・・・・)網羅出来た?」
「可以說是主要的街道沿線全部都包含了」
「主要な街道沿いは全てと申し上げておきます」
野心勃勃的信長不會放過這個突如其來的好機會,他曾想讓間者混入靜子藝事保護的人員中。
野心溢れる信長がこの降って湧いた好機を逃すはずもなかった。信長は静子の芸事保護の要員の中に当初間者を潜り込ませようとした。
然而這並不順利。果然一條道的人識一條道,間者能分辨出間者來。
しかし、これは上手くいかなかった。流石に蛇の道は蛇というべきか、間者は間者を見分ける事が出来る。
於是信長從另一方向著手,名為藝事保護的一環,將測量工具帶入器材中,用象眼儀等進行簡易測量四處勘查。
そこで信長は別の方向からアプローチを掛けることにした。それは芸事保護の一環と称して器材に測量道具を持ち込み、象眼儀等を用いて簡易測量をして回らせた。
那些與本時代檢地所用的原始測量器具外觀迥異,乍看不知在做什麼,正因如此得以不被打擾地到處測量。
この時代で検地などに用いられる原始的な測量道具とは見た目がかけ離れており、一見何をしているのか判らないことも相俟って、誰にも邪魔されずにあちこちを測量して回る事が出来た。
「那麼,把拜託你的甘味(・・)拿出來吧」
「では、頼んでいた甘味(・・)を貰おうか」
「好,這邊請」
「はい、こちらに」
靜子一邊回話,一邊從振袖的袖袂中取出好幾個信封展示出來。
返事と共に静子は振袖の袂(たもと)から幾つもの封筒を取り出して見せた。
擺在信長面前的信封上,表面自西方的『安藝(毛利的本據地)』至北方的『甲斐(武田的本據地)』、南方的『安房(北條的領土)』等一一列出。
信長の前に並べられた封筒には、表に西は『安芸(あき)(毛利の本拠地)』から北は『甲斐(かい)(武田の本拠地)』、南は『安房(あわ)(北条の領土)』までがずらりと並ぶ。
此外還有『播磨』、『堺』、『三河』、『伊豆』與『相模』等戰略要地,其中『三河』、『大和』、『越後』等甚至有我方領地的信封。
更には『播磨』や『堺』、『三河』に『伊豆』や『相模』と言った戦略上の重要拠点もあり、中でも『三河』や『大和』、『越後』などは味方の土地のものさえあった。
「另外,這是近衛家的名物『京便り』。做得相當有趣喔?」
「それと、こちらが近衛家の名物『京便(きょうだよ)り』となります。なかなか面白い仕上がりですよ?」
『京便り』指的是近衛前久發行、近似週刊報紙的刊物。可供訂閱者限於公家,內容從國內情勢到京中的流行、祭事與活動通知等,提供廣泛資訊。
『京便り』とは近衛前久が発行する週刊の新聞に近いものを指す。購読できる者は公家に限られ、日ノ本の情勢動向から京での流行、祭事や催し物のお知らせなど幅広い情報を提供する。
此刊原以促進所屬派閥資訊分享為名,現已成為京中公家必讀的物件,不閱讀者會被視為落後於流行,因而爭相索取。
自分に属する派閥の情報共有を円滑にするためと銘打って手掛けた情報誌だが、今では京の公家でこれに目を通さない者は流行から取り残されるとあって皆がこぞって求めるものとなった。
透過紙面也促成交流,刊載朝廷人事與弔唁等資訊,並設有讀者刊載自作和歌的專欄,內容豐富到難以置信且以低價提供。
紙面を通じた交流も図られ、朝廷での人事やお悔み等の情報、購読者同士が自作の和歌を掲載するコーナーを設けるなど、あり得ない程に充実した内容を低価格で提供していた。
當然這其中有門路,無論近衛家權勢多強,若要用耗錢的紙張印刷這項新技術並發行,沒有利潤是無法維持下去的。
当然これには絡繰りがあり、如何に権勢を誇る近衛家であろうとも金食い虫である紙を用いて、これも新技術の結晶である印刷をした上で送り出すとなれば儲けが無ければ続けられない。
資助這份情報誌的是商人。猶如現代企業會為電視廣告或網路廣告付費,只要有一點先見之明,誰都不會錯過在有力者頻繁閱覽的媒體上刊登商品的好處。
この情報誌に金を出したのは商人だった。現代に於いてもテレビCMやWeb広告などに企業が広告料を支払うように、少しでも先見の明があるものならば、有力者の多くが目にする媒体というものに、自分の商品を掲載できるメリットを見逃すはずがない。
而且最重要的是『京便り』保有自由。明明由與織田家關係密切的近衛前久主辦,即便是與織田家事業敵對的商人也能投稿刊登。
そして何よりこの『京便り』には自由があった。明らかに織田家と懇意にしている近衛前久が主宰しているにもかかわらず、織田家の事業と敵対関係にある商人であろうとも出稿する事が出来た。
不論是何人,只要支付與紙面比例相符的廣告費,便能在紙上刊登自己的主張,使『京便り』的社會面頗為熱絡。
何処の誰であろうとも、紙面に占める割合に応じた一定の広告料を払えば、自分の主張を紙面に掲載できるとあって、『京便り』の社会面は活気づいていた。
在這樣的風氣下,和歌交流欄也公開刊載嘲諷織田家的和歌,助長之聲與回歌也會在次號出現。
こうした気運が醸成されたこともあって、和歌の交流コーナーでも公然と織田家を皮肉る内容の和歌が掲載され、それを囃し立てる返歌も翌号に載る。
不喜織田家的宗教家們也在紙面上展開論陣,整個局面顯得混沌不堪。
織田家を面白く思わない宗教家たちが、紙面で論陣を張ってみたりと混沌(こんとん)とした様相を見せていた。
「他們難道不在意義父究竟在哪裡印刷『京便り』嗎?既然公然批評天下人也不會受到懲處,自然就安心地把這當成是內部之間的文字往來了吧」
「彼らは義父上(ちちうえ)が何処で『京便り』を印刷しているのか気にならないのでしょう。天下人を公然と批判しても、何処からもお咎めがないのなら身内同士の文のやり取りの延長上と安心してしまったのでしょうね」
前久只要不違法,就會刊登任何內容的稿件,也不會向任何人洩露那些內容。
前久は法に反さない限りは、どのような内容の原稿も掲載したし、誰にもその内容を漏らすことは無かった。
當然,當面指責天皇是不可被允許的,公家們也不會犯下批評皇室這種愚行。
無論、面と向かって帝を批難することは許されないし、公家達も自分達の屋台骨である皇室を批判するような愚は犯さない。
公家們因為只有內部人才可訂閱的性質,互相視作共犯者,錯誤地相信公家內的秘密不會外洩。
公家達は身内だけが購読できるという性格上、皆が共犯者であり公家内の秘密が外部に漏れないと思い込まされてしまった。
「聽說你在京的宅邸,被稱為關白大人常來光顧之所」
「京にある貴様の屋敷は、関白殿の立ち寄り所と呼ばれておるそうだ」
「在京有輪轉機的地方說起來只有我的別邸了。至於他們未必能理解,我在京的宅邸將所有的『京便り』一份不漏地保存著這點」
「京で輪転機がある処と言えば、私の別邸だけですからね。私の京屋敷には、全ての『京便り』が一部漏らさず保管されているという事までは理解が及ばないのでしょう」
靜子的京邸如今幾乎被當成前久的屋敷,甚至比去近衛的本宅拜訪,更有可能在靜子的京屋敷抓到前久。
静子の京屋敷は、今や前久の屋敷と思っている人の方が多いほどであり、近衛の本宅を訪ねるよりも静子の京屋敷を訪ねた方が前久が捉まる確率は高い。
「是誰促成會變成那樣的?」
「そうなるように仕向けたのは誰だったかな?」
「嗯,那種心術不正的君子,微臣並不認得。」
「さて、そのような底意地の悪い御仁は存じ上げません」
「那也無妨。如此一來那群吵鬧喳喳的麻雀行跡盡收眼底,本願寺一處理完就幫我做大掃除吧。」
「まあ良いわ。これで騒々しく囀(さえず)る雀どもの動向も丸見えよ、本願寺が片付き次第大掃除をしてくれよう」
若戰國時代最大武裝宗教勢力本願寺倒下,其他宗教家便無法成為能夠抗衡信長的勢力。
戦国時代最大の武装宗教勢力である本願寺が倒れれば、他の宗教家たちでは信長に抗する勢力とはなり得ない。
事到如今,既可在其成長為大宗教勢力前拔除萌芽,亦無適任者能扛起向信長反旗的神輿。
事がここに至れば、大きな宗教勢力に育つ前にその芽を摘むこともできる上に、信長に反旗を翻すだけの神輿(みこし)も適任者がいない。
那些擅長迂迴手段的公家動向,因前久之手已全被織田家得知,信長便先行謀劃將所有武家納入其支配之下。
搦め手に長けた公家の動向は、前久の手によって織田家に筒抜けとなっている現状、信長は先んじて全ての武家を己の支配下に組み入れようと画策していた。
為此,西方必須壓服毛利,東方則要降服武田與北條,方可自稱武家的統領。
その為には西では毛利、東は武田と北条を下さねば武家の統領を名乗ることはできない。
「真期待看見他們驚愕的表情。」
「奴らの驚く顔が楽しみだ」
那些不知自己所享的是敵人賜予的暫時自由而盡情歡享、在紙面上將信長蔑稱為鄙者(田舍人)的公家們,想到要在自己面前屈膝,信長便覺得無比期待。
敵に与えられた仮初(かりそめ)の自由とも知らず謳歌し、紙面上で信長を鄙(ひな)もの(田舎者の意)と蔑んでいる公家達が、自分の前にひれ伏す時を思うと楽しみで仕方ない信長だった。
在信長親自將靜子交來的測量圖等文書妥為嚴密保管後,兩人一同現身於賞花會場。
静子の渡した測量図等の文書を信長自らが厳重に保管したのち、二人は連れ立って花見会場へと姿を見せた。
作為主角的信長登場,加上靜子異常華麗的打扮,周遭的動搖像漣漪般向外傳播開來。
主役である信長の登場と、いつになく華やかな静子の装いに周囲の動揺がさざなみのように伝播してゆく様が見て取れた。
信長親自陪同靜子出現的舉動,昭示了靜子的立場已變得更加穩固。
信長自身が静子を伴って現れるという行為は、静子の立ち位置がより強固なものとなった事を周囲に知らしめていた。
「哼哼。你這打扮對你而言可真難得地進取啊。」
「ほほっ。そなたにしては珍しく攻めた装いではないか」
濃姬用扇子遮住口邊愉悅地低語,隨後在她的帶領下,靜子從男人的社會被帶進女性的社交場中。
扇子で口元を隠しながら濃姫が楽し気に呟くと、彼女の手によって静子は男の社会から女性の社交場へと拉致された。
「殿應該已經充分以靜子(・)玩過了。從此以後就由妾等以靜子(・)玩弄吧」
「殿は充分静子で(・)遊んだはず。これ以降は妾達が静子で(・)遊びまする」
不知是察覺到濃姬的意圖還是為了避免麻煩,信長嘆了口氣便丟下一句讓她們隨意去做。
濃姫の思惑を察したのか、それとも面倒ごとを避けたのか、信長はため息を一つ吐き出すと好きにせよと言い捨てた。
靜子被帶到的,正是離男士宴會場稍遠,沿櫻花並木所設的茶會席位。
そうして静子が連れてこられたのは、男達の宴会場から少し離れた桜並木の下に用意された茶会の席だった。
(啊,總算明白彩醬和蕭醬為何那麼拼命想讓她穿這套的理由了)
(ああ、ようやく彩ちゃんと蕭ちゃんが必死になってこれを着せたがった理由が解った)
靜子至今把活動重心置於男性社會之中,但此處是與男性權力關係切隔的女性之園。
静子はこれまで活動の場の主軸を、男社会に置いていた。しかし、ここは男の力学から切り離された女の園であった。
過去靜子因男裝而被視為有隔閡,但如今終於穿上與其身分相稱的衣裳,將登場於掌管內向事務的女性社交場。
今までの静子は男装をしていたため、どうしても隔意があると見做されていたのだが、ようやく立場に相応しい衣装を纏い、奥向きを取り仕切る女性社会の社交場へとデビューすることになったのだ。
以靜子的年齡來說的確晚了些,但以其立場而言,這是一次絕不能馬虎的首次亮相。若在此被輕視,便會被壓到序列下位,難以翻身。
静子の年齢を考えれば遅すぎるが、立場を考えれば絶対に手を抜けない初のお披露目である。ここで舐められれば、序列の下位へと押し込められてしまい、容易には浮上できない。
因此彩與蕭動用所能調遣的權力,利用所有可用的門路,必須準備出既最尖端又令任何人都無法不讚賞的逸品。
そこで彩と蕭はもてる権力を総動員し、使える伝手を全て使って、最先端かつ誰が見ても評価せざるを得ない程の逸品を用意する必要があったのだ。
多虧如此,與席的貴婦們目光全被釘在靜子身上。作為主家女主的濃姬對她寵愛有加,雖然表面上不會明說,但曾以粗野粗魯相譏的觀感,亦被靜子那柔弱女子的一面動搖了她們的價值觀。
その甲斐もあって、茶会に同席する貴婦人たちの目は静子に釘付けとなっていた。主家の女主である濃姫が寵愛しているため、表立っては口にしないものの、粗野でがさつと揶揄(やゆ)していた静子の手弱女(たおやめ)ぶりは彼女らの価値観を揺さぶった。
人人都想穿上那般施以鮮豔染色的和服,想知道平日被曬黑的靜子如何看起來白皙的魔法究竟為何。
自分もあのように鮮やかな染色の施された着物を身に着けてみたい。普段の静子が見せる日に焼けた肌を白く見せる魔法は一体何なのかを知りたいと誰もが思った。
在女性社會中,美麗即為正義,僅因被仰慕便能獲得一份尊重。沒有誰會輕視那位發信引領人人嚮往潮流的靜子。
女性の社会に於いて美しいということは正義であり、憧れを抱かれるというだけで一目置かれることになる。誰もが憧憬を抱く流行を発信した静子を軽んじられるものなど、ここにはいなかった。
靜子注意到周遭看自己的目光已經改變,但在這種場合不知該如何應對,動彈不得。
静子は己を見る周囲の視線が変わった事には気付いたが、このような場合にどう振る舞えば良いのか判らず、その場から動けずにいた。
當然在這情況裡伸出援手的,依然是濃姬等人。她們你一言我一語地讚美靜子的裝扮,向周圍爭取同意,自然而然地營造出歡迎的氛圍。
そして当然そうした状況下で静子に手を差し伸べるのは、例によって濃姫達であった。彼女らは口々に静子の装いを褒めそやし、周囲にも同意を求めてごく自然に歓迎のムードを作り上げた。
不熟場面的靜子並未直接與人交談,而是把較對她友好的女性居中,於是靜子的品評會便開始了。
場慣れしていない静子には直接会話させず、比較的静子に好意的な女性陣を中心に据えると、静子の品評会が始まった。
「靜子,在那裡轉個圈給我們看看。原來如此,透過地色的濃淡來呈現色調的幅度。這精緻的圖樣如何!這是出自你領內染物師之手嗎?」
「これ静子、そこでこうクルリと回ってみせよ。なるほど、地の色に濃淡を持たせることで色合いの幅を見せるのか。この精緻な図柄はどうじゃ! これはそなたの領の染物師の手によるものか?」
「啊、是的。這是我領新開發,利用蠟所做的『蠟染』。比起以往更不易暈染,圖樣能更鮮明地呈現。」
「あ、はい。我が領で新たに開発しました蝋を使った『ろうけつ染め』によるものです。従来のものよりも更に色の滲みがなくなり、くっきりとした図柄となるようです」
「原來如此。妾也來做一件如何?」
「なるほどのう。妾も一着仕立てようかの?」
濃姬露出只有靜子能看見的、略帶猥艷的笑容,藉由會話牽引了場面的流向。
静子にだけ見えるようにニマニマと若干いやらしい笑みを浮かべた濃姫は、会話で流れを誘導した。
作為此處女性權威的濃姬認可了那件衣料並欲求之,已可說是流行的發信了。
この場に於ける女性の頂点である濃姫が良いと認め、その品を求めようとしたのだ。既に流行は発信されたと言っても過言ではない。
若是靜子獨自一人,是否能如此巧妙地讓周遭盡皆認可,實在令人懷疑。
仮に静子が一人だった場合、これほど巧みに周囲に認めさせることが出来たかは甚(はなは)だ怪しい。
「如各位所見袖丈較長,使用的布料也更多,必然價格較高,並非隨便可大量供店鋪的商品。不過若向本店的御用商人提出需求,雖然需些時間,仍可將貨品送到各位手上。」
「ご覧のように袖の丈を長くしておりますので、使用する布も多くなります。必然的に、その分お値段が張りますので気軽に店に卸せる品ではございません。しかし、うちの御用商人にお声がけ頂ければ、相応のお時間を頂戴することになりますが、皆様のお手元にお届けできるかと」
靜子說罷,貴婦們便紛紛議論起來。提到靜子的御用商人即指『田上屋(たなかみや)』一門,那類店鋪的暖簾已在日之本各處分家開設。
静子の言葉を受けて、貴婦人たちは口々に噂をし合っている。静子の御用商人と言えば『田上屋(たなかみや)』の一門を指し、それこそ日ノ本中の何処にでも暖簾(のれん)分けされた店が軒を並べている。
有了這些背景,女眾的購買慾頓時高漲,而靜子攤開和服布樣本冊後,物欲立刻具體化。
そう言った背景もあって俄然女性陣の購買意欲が盛り上がったところへ、静子が着物生地の見本帳を広げたことで一気に物欲が具体化した。
「這塊布好漂亮」「這款花樣好可愛」等讚嘆之語,順著她而起的狂熱漩渦吞沒了周遭。
「この生地が素敵」「こっちの模様が可愛らしい」などと周囲は彼女を中心とした熱狂の渦へと飲み込まれていった。
「還有那些頭腦固執的傢伙需費些手腳,但如此一來在女社會裡靜子的地位便會穩固了吧」
「まだまだ頭の固い手合いが居るゆえ手が掛かるが、これで女社会でも静子の地位は確固たるものになるじゃろう」
濃姫對周圍的反應感到得意,暗自竊笑。
周囲の反応に気をよくした濃姫は、一人ほくそ笑んでいた。