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戦国小町苦労譚

一五七六年 三月下旬

維特曼的病情因為及早發現異常並迅速處理,已經恢復到小康狀態。

ヴィットマンの容体は、異常の早期発見とその対処が早かったこともあり、小康状態を取り戻した。

靜子在此期間一直陪伴左右,恭敬地協助看護。

静子はその間ずっと付き添い、献身的に看護を手伝っていた。

根據既是醫師又是家畜專家的光男的診斷,維特曼的嘔吐與吐血很可能是肺炎,應對之道除了讓他補充水分與營養並安靜休養外別無他法。

医師及び家畜の専門家たるみつおの見立てによれば、ヴィットマンの嘔吐及び吐血は恐らく肺炎であろうと言うこと、対処としては水分と栄養を取らせ安静にさせるほかないという事だった。

或許也因為靜子孜孜不倦的看護,不久維特曼恢復了意識,但幾乎不碰擺好的食物和水,彷彿在凝視燈格子外可見的遠山景致。

静子の懸命な看護の甲斐もあってか、ほどなくヴィットマンは意識を取り戻したが、用意された餌や水に殆ど口をつけることなく、明(あか)り取(と)りの格子から見える山の遠景を眺めているようだった。

向大家說明維特曼行為意義的人是光男。

ヴィットマンの行動が意味するところを教えてくれたのは、みつおであった。

身為現代畜產業從業者,他比在場任何人都見過更多家畜與寵物生死的現場,因此熟知臨終犬隻的行為模式。

現代に於いて畜産業に携わる者として、家畜やペットの生き死にの現場にはこの場に居る誰よりも多く立ち会ってきただけに、死期を悟った飼い犬の行動を知悉(ちしつ)していた。

光男說,恐怕維特曼已察覺自己的性命將盡,開始為離世做準備了。

恐らくヴィットマンは己の命が潰えようとしていることを悟り、死出の準備を始めたのだろうと言うことだった。

以現在維特曼的體力,已經很難消化食物或攝取水分了。

今のヴィットマンの体力では、既に食物を消化することも、水を摂取することも難しい。

在嚴苛野外環境中生存的狼有一個習性:當個體衰弱到無法再擔當群體角色時,會選擇自行離開群體、悄然消失。

厳しい野生環境を生き抜くオオカミの習性として、群れの一員としての役割を果たすことができない程に衰えた個体は、自ら群れを去って姿を消す事を選ぶ。

光男平淡地對靜子說,理解她作為飼主、不,作為家人想要陪伴到最後的心情,但那是人類的自我,徒然只會讓他們更受苦。

飼い主として、いや家族としてその最期までを看取りたいと望む気持ちは理解できるが、それは人間のエゴであり、徒(いたずら)に彼らを苦しめることになると淡々と静子に言って聞かせた。

靜子一時情緒爆發,想要本能地張口反駁,但最終沒有發出聲音。

咄嗟に感情が爆発し、反射的に口を開こうとした静子だが、その口から声が発されることは無かった。

光男向靜子講述維特曼的去向時,那表情遠離平常爽朗的笑容,像是帶著哭笑不得的慚愧在咬著牙。

静子にヴィットマンの行く末を語って聞かせるみつおの表情は、いつもの朗らかな笑みとはかけ離れた泣き笑いのような慙愧(ざんき)を噛みしめるものだったからだ。

靜子因而明白光男也感到無比遺憾,吞下了要說的話。

静子はみつおも無念でならないのだと悟り、言葉を飲み込んだ。

看著那副模樣的光男,他詛咒上天:那個年紀幾乎如同自己孩子的女子在殘酷環境中奮力面對,卻仍被迫承受更多苦難。

その姿を見たみつおは、自分の子供にも等しい年頃の女性が、過酷な環境に懸命に立ち向かっている処に、尚も苦難を押し付けんとする天を呪った。

(其實我早就知道了。儘管早已有老化的跡象,卻不肯承認。我一直裝作沒看見……對不起,維特曼)

(本当は判っていたんだ。以前から老化の兆候はあったのに認められなかった。ずっと見ないふりをしてたんだ……ごめんね、ヴィットマン)

光男說依他判斷,考慮到年齡,維特曼從此要復原已很困難,早晚會消失不見。

みつおの言に拠れば、ここからヴィットマンが回復することは年齢的にも難しいため、早晩姿を消すだろうということ。

可能就是今晚,也可能是明天。然而考量到他能自行行走的時間已所剩無幾,讓他走或許是比較好的選擇。

それは今夜かも知れないし、明日かもしれない。しかし、彼が自力で歩ける時間はもう殆ど残されていないことを考えると、行かせてやるのが望ましいだろうとも。

靜子觸摸蹲在一旁的維特曼,他的身體冷得令人吃驚。恐怕已難以維持體溫了。

静子は傍にうずくまっているヴィットマンに触れた。ヴィットマンの体は驚くほどに冷えていた。恐らく既に体温を維持することも難しくなっているのだろう。

她至少要準備熱水袋,放在他的頸部、腋下、大腿內側等大血管集中的部位以保暖。

せめてもと湯たんぽを用意させると、彼の首やわきの下、太ももの内側などの太い血管が集中している部位に置いて温めることにした。

「我會知道的。來到這個時代後,看過現代難以想像的生與死,總會莫名知道生命之火正在熄滅。」

「判っちゃうんだ。この時代に来てから、現代では考えられない程の生と死を見てきたから。命の火が消えようとしていることが、なんとなく判ってしまうんだ」

覺悟自己能為他做的事不多,靜子最後像對待易碎之物般緊緊抱住維特曼。

自分が彼にしてあげられることは多くない事を悟ると、静子は最後に一度ヴィットマンをぎゅっと壊れ物に触るかのように大事に抱きしめた。

那曾經那麼強壯可靠的身軀已消瘦衰弱,不再回復往日充滿生命力的彈性,但仍確實有著還活著的溫度。

あれほど逞(たくま)しく頼もしかった体は痩(や)せ衰え、かつてのような生命力に満ちた弾力を返してこないが、確かにまだ生きているという温もりがあった。

維特曼任由她抱著,但費力地抬起頭,舔了舔抱著自己的靜子的臉頰,發出一聲鳴叫。

ヴィットマンはされるがままになっていたが、苦労して頭を起こすと体に抱き着いている静子の頬を舐め、一声鳴いた。

即便眼睛大概已不太看得見,他仍直直地望向靜子,用鼻子推了推她,示意要她離去。

彼の既に良く見えていないであろう目は、それでも静子を真っすぐに見据え、鼻面で静子を押して立ち去るように促した。

「是啊。我這樣子,你也會放不下,走不掉的吧……」

「そうだね。私がこんな調子じゃ、お前も心配で旅立てないよね……」

靜子用袖口粗魯地抹去臉上的淚,然後命令周圍的家人。

静子は袖口で乱暴に顔を拭うと、周囲の家人に命じた。

「從今以後,嚴禁任何人進入此房。不要落閂,木門保持開放。另外即便夜間見到狼的身影,也一律禁止接觸。把這個命令下達到領內所有村落!」

「これ以降、この部屋への立ち入りの一切を禁じます。閂(かんぬき)を下さず木戸は開けたままにするように。また夜間に狼の姿を見かけても、一切の接触を禁じます。これは領内全ての村に触れを出して!」

受主君之命的僕從們立刻行動,下達了從靜子邸到附近山間路徑的夜間外出禁止令。

主君の意を受けた従者たちが即座に動き出し、静子邸からほど近い山までの道筋については夜間の外出禁止が言い渡された。

其後靜子每天仍會去看望維特曼一次,交換幾乎沒動過的飯食與水,將已不再燙的熱水袋中身倒掉,換上溫熱的開水,成為日課。

その後も静子は一日一回ヴィットマンの処を訪れ、余り手を付けられていない食事と水を交換し、温くなった湯たんぽの中身を捨て、温かいお湯に入れ替える事を日課に加えた。

維特曼的末期將近。靜子下定決心,至少要成為能以他一生侍奉為傲的主君。

ヴィットマンの最期は近い。せめて彼が一生を仕えたことを誇れる主でいようと、静子は決意を新たにする。

「首先要向被打擾的人致歉,把積壓的事好好收尾才行。」

「まずは迷惑をかけた皆に謝って、滞っていた仕事をキッチリ片付けないとね」

正當靜子如此激昂時,伴隨喧鬧的腳步聲,一位生命力充沛如實體塊狀的人物來到她面前。

そう意気込む静子の許へ、騒々しい足音と共に生命力の塊のような人物が訪れた。

「許久不見了,靜子大人!」

「お久しゅうございます、静子様!」

那人擁有對日本人而言少見的宏偉體格,頭戴稱為頭巾的六角帽,魁梧的肉體包裹在墨染的山伏裝束中,彷彿要爆裂般健壯。

それは日本人には珍しい程の隆々たる体格を誇る人物であった。頭に頭巾(ときん)と呼ばれる六角形の帽子をいただき、はち切れんばかりの肉体を墨染の山伏装束に包んでいる。

在謁見之間,明明相隔了相當距離,靜子卻產生了彷彿緊貼著他的錯覺。

謁見の間において、かなりの距離を挟んで向かい合っているというのに、密着しているかのような錯覚に静子は陥っていた。

「並無什麼異狀……吧。華嶺行者。」

「お変わりは……無さそうですね。華嶺(かれい)行者(ぎょうじゃ)」

靜子被他散發的熱度影響,表情有些扭曲,但仍開口問候。

静子は彼の発する熱にあてられたかのように表情を引きつらせながらも声を掛ける。

僧侶來訪靜子邸本非稀奇,但他是與那些僧侶截然不同的存在。

静子邸に僧侶が訪れること自体はそれほど珍しい事ではないが、彼はそれらとは一線を画した存在であった。

相遇的起因,是因為信孝向她諮詢而起。

出会いの発端は、信孝(のぶたか)から相談を受けたことにあった。

所謂的內容是:「在前往伊勢參拜的路途中山野中出現天狗」,雖說朝拜者並未遭到襲擊,但有人傳言把行李放在樹蔭去喝水時行李被偷,或是在差點被野犬攻擊時被救了,結果被要求以味噌和鹽作為報酬。

曰く、「伊勢詣での道中の山野に天狗が現れる」と言うもので、参詣客達が襲われることこそ無いものの、荷物を木陰に置いて水を飲みに行ったら荷物を盗まれただの、野犬に襲われそうになったところを助けられ、代金として味噌と塩を要求されただのという噂だ。

雖然並未造成重大損害,但若就這樣放任不管,作為領主的顏面也會受損。

深刻な被害が出ている訳ではないが、さりとて放置していては領主としての沽券(こけん)にかかわる。

信孝這樣想著多次派兵前去,但全部都是空手而回。

そう考えた信孝は何度も兵を派遣するのだが、その全てが空振りに終わった。

若以大批人手做好萬全準備埋伏便不露面,若分散人手廣泛佈置,則被其壓倒性的身法玩弄得無從招架。

大人数で準備万端に待ち構えていれば姿を見せず、人数を分散して広く配置すればその圧倒的な身のこなしで翻弄されて歯が立たない。

束手無策的信孝忍辱向靜子低頭借來能幹的武藝者。也就是說,身為靜子隨從的慶次、才蔵、長可三人被派去討伐天狗。

ほとほと困り果てた信孝は、恥を忍んで静子に頭を下げて腕の立つ武芸者を借りることにした。即ち、静子の側近たる慶次、才蔵、長可の三人が天狗退治に駆り出された。

本來對於不曉得何時何地會出現的天狗討伐並不太熱衷的三人,正準備天黑露營時天狗卻突然出現了。

そもそもいつ何処に出るともわからぬ天狗退治にそれほど乗り気ではなかった三人だが、日が暮れて野営をしようと準備をしていたところに天狗は不意に現れた。

與傳聞相符的是牠有著異形、仰頭可見的巨軀,卻出奇地無聲無息地出現,步伐搖晃,看起來像是醉了似的。

噂に違わぬ異形と見上げる程の体躯(たいく)に比して、驚くほど音を立てずに現れた割にその足取りはフラフラとしており酔っぱらったようにも見えた。

看出那情形的長可未加詢問,便用剛修好的巴爾迪什斬向天狗。

その様子を見て取った長可は、誰何(すいか)することもなく直ったばかりのバルディッシュで斬りかかった。

天狗的反應如閃電般迅捷。似乎從夢中清醒,牠用手中的金剛杖巧妙敲擊巴爾迪什刀刃的內側將其彈開,隨即輕巧地將巨軀翻轉空中,划出一道轉身。

それに対する天狗の反応は電撃的であった。夢見心地から覚めたのか、手にした金剛杖で巧みにバルディッシュの刃の内側を叩いて弾き、巨体を軽々と宙に翻してトンボをきった。

趁著落地的空隙被看穿而發出的才蔵神速刺擊,被天狗以一隻下駄踩住刀尖,刺入地面。

着地の隙を見透かして放たれた才蔵の神速の突きは、刃先を天狗の一本下駄に踏みしめられて地に潜った。

確實是一個有如猿猴般的身法,且擁有可與熟練武人匹敵的動態視力的怪物。

正に猿(ましら)の如き身のこなしと、熟達の武人に匹敵する動体視力を持つ化け物だった。

當長可與才蔵戰慄之際,盤腿坐著一動不動的慶次一邊攪拌鍋裡的食物,一邊舀到碗裡向天狗遞上去。

長可と才蔵が戦慄する中、どっかりと胡坐(あぐら)をかいたままの慶次は鍋を掻き回し、中身を椀によそうと天狗に向かって突き付けた。

「是被那香味引來的吧? 你也要吃嗎?」

「匂いに誘われたんだろ? お前さんも食うかい?」

果然天狗的回應像是雷鳴般的肚子聲。被毒氣驅散了戒心的長可與才蔵也放下兵器,天狗也摘下面具重重坐下加入了圈中。

果たして天狗の応えは雷鳴もかくやという腹の虫であった。毒気を抜かれた長可と才蔵も得物を置き、天狗も面を外すとどっかと座り輪に加わった。

既然如此,同樣有兩下子的武藝者彼此投緣並不需要太多時間。

そうなってしまえば同じく腕に覚えのある武芸者同士が意気投合するのにそれほど時間はかからなかった。

天狗其實是捨棄塵世成為修驗者的行者,因長年隱居山中以致連自己的名字都忘了。

天狗は世を捨てて修験者となった行者であり、余りにも山暮らしが長引いた結果、自分の名前すら忘れたという。

讓他迷惑的是靜子親手調製、慷慨使用的咖哩粉熬成的咖哩鍋。

そんな彼を惑わせたのは静子謹製のカレー粉がふんだんに用いられたカレー鍋であった。

在那味道與香氣中見到天啟的天狗自命為華嶺,並以製造出令他心神為之傾倒的咖哩粉的靜子為主君。

その味と香りに天啓を見た天狗は己を華嶺と名乗ることとし、彼の心を惹き付けてやまないカレー粉を製造した静子を主君と頂くことになったのだ。

因此雖聘用時間未久,但其身體能力與隱形能力不僅超越熟練的忍者,甚至達到勝過野生動物的境界,遂擔任起外交僧的職務。

そうした経緯もあり、雇われてからまだ日が浅いが、その身体能力及び隠形(おんぎょう)能力は熟達の忍どころか、野生動物をも凌(しの)ぐ域に達しており、外交僧としての任を担うことになった。

即便摘下面具,那晒得紅潤的臉仍帶著天狗風貌,身高也輕易超過六尺(約一八○公分),但若融入人群就會立刻失去蹤影。

天狗の面を外していても日に焼けた赤ら顔は天狗じみており、身の丈も六尺(約180センチ)を軽く超えているというのに、雑踏に紛れれば即座に姿を見失ってしまう。

外表肌肉結實,反而學識淵博,年輕時曾渡明國學習治水與土木技術,是位學僧。

また筋骨隆々な見た目とは裏腹に学識にも明るく、若い頃に明へと渡り治水と土木技術を学んだ学僧でもあった。

「靜子大人,失禮相詢可否先給我那例の粉(ブツ)? 報告已經交給事務方了」

「静子様、不躾で済みませぬが先に例の粉(ブツ)を頂けまいか? 報告は既に事務方に渡しておりますゆえ」

「欸? 啊! 馬上就讓人準備」

「え? ああ! すぐに準備させます」

「多謝。剩下的令人不安,為了湊數我不得不減量將就度日,瞧! 手都在發抖了……」

「忝(かたじけな)い。残りが心もとなく、量を減らしてだましだまし過ごしておりましたゆえ、ほれ! ご覧のように手に震えが……」

「等一下! 別說得像什麼奇怪藥物似的。那只是單純的混合調味料喔?」

「ちょっと! 人聞きの悪い事を言わないで下さい。変なクスリみたいに聞こえるじゃないですか! アレは単なる混合調味料ですからね?」

他能無懼地踏破無路的山野,不必依賴街道便可以直線距離移動,作為傳遞情報的信使擁有難得的素質。

道なき山野を苦も無く踏破し、街道など必要とせずに直線距離で移動できる彼は、情報を伝達する伝令として得難い資質を持っていた。

然而除靜子以外沒有人願意用他,是因為他的儀表與性格帶來的弊端超過了能力本身。

しかし、静子以外の誰もが彼を用いようとしない理由は、その風貌と性格に能力を上回る難があるためだ。

「啊啊! 真是天竺的香氣。每嗅一回彷彿更近於悟道。不知該不該再次皈依佛道……真令人苦惱」

「嗚呼! まこと天竺の香り。一嗅ぎするごとに悟りに近づく気すらする。再び仏道に帰依するべきか……悩ましい」

「我記得給了你不少,究竟拿去做了什麼?」

「かなりの量を渡してあったと思うのですが、何に使ったんですか?」

「遇到冬眠剛醒的熊了。那頭也餓得性情暴躁,攻擊在所難免,無奈之下只好將牠殺了。山中的規矩是殺了就得吃掉。但因為突然遭襲,我把牠絞死,血流遍佈全身,於是根本不能吃。便用靜子大人給的那例の粉做成鍋來供養了」

「冬眠明けの熊に出くわしましてな。向こうも空腹で気が立っておったのでしょう、襲われたゆえ仕方なく殺(あや)め申した。山の掟に従えば、殺めたからには食わねばなりませぬ。しかし、唐突に襲われたが故に縊(くび)り殺してしまい、全身の肉に血が回りこれが食えたものではない。そこで静子様より頂戴した、例の粉を使って鍋に仕立てて供養致しました」

「聽說你徒手絞死了熊……好吧,那味道如何?」

「熊を素手で絞め殺したって聞こえたのですが……まあ、それは良いとして美味しかったのですか?」

「原本血腥無法入口的肉,裹上那例の粉便化為野趣十足的美味,成了拙僧的血肉。毛皮與肝臟也感激地領受,作為路銀使用。大自然真是懷抱深廣!」

「血生臭くて食えぬと思われた肉も、例の粉に掛かれば野趣(やしゅ)あふれる風味と化し、拙僧の血肉となりもうした。毛皮や肝も有難く頂戴し、路銀にさせて頂きもうした。自然とは実に懐が深い!」

「回到僧籍後就不能吃肉了啊……」

「僧籍に戻れば、肉食は出来なくなるんですけどね……」

從佛道轉入融合山岳信仰、佛教與密教等的修驗道的他,不會主動大開殺戒,但並不認同斷除生鮮之物的觀念。

仏道から山岳信仰や仏教、密教などが習合した修験道へ身を移した彼は、進んで殺生をすることはしないが、生臭(なまぐさ)を断つという考えは持っていなかった。

「精進潔齋固然是崇高的教義,但面對群山時肉與菜並無二致。既然都奪了其生命,能美味地享用就是拙僧的供養之道。拙僧向賜予我生機的一切奉上感謝,只是領受那糧食罷了」

「精進潔斎(しょうじんけっさい)はなるほど尊き教えですが、山を前にしては肉も野菜も何ら変わりありませぬ。どちらもその命を奪った以上は、美味しく頂くのが拙僧なりの供養の流儀。拙僧は己を生かして下さる全てに感謝を捧げ、その糧(かて)をいただくのみ」

「差不多是午餐時間了,要不要一同?是烤陶板的野豬肉……」

「そろそろ昼餉の時間だけれど、ご一緒されますか? 猪肉の陶板焼きなんですけど……」

「嗯,這香氣像是味噌燒焦的味道。既然奪來的命已不可復返,就心懷感恩地領受吧! 讓野豬也成為拙僧的血肉,喜悅其歸還山林」

「ふむ、この香りは味噌の焦げる匂い。既に奪った命は戻りませぬゆえ、ありがたく頂戴いたしましょう! 猪も拙僧の血肉となり、山へと帰れることを喜びましょうぞ」

「……聽起來有點詭辯,但那就準備吧」

「……なんだか詭弁(きべん)に聞こえるけど、じゃあ用意させるよ」

「山啊、諸神佛啊,還有靜子大人!今日也多虧諸位,飯特別好吃!」

「山よ神仏よ、そして静子様! 今日も皆様のお陰で飯が美味い!」

靜子心想與其說是天狗,不如說是破戒僧,但對於不把戒律放在眼裡的人說教也無濟於事,不由苦笑。

天狗というより破戒僧なのでは? と思わないでもない静子だが、戒律を屁とも思っていない相手にそれを言っても詮無きことと苦笑する。

「對了靜子大人,似乎有煩惱之色」

「時に静子様、何やらお悩みのご様子」

「……這麼明顯嗎?」

「……そんなに判りやすいですか?」

「稍有眼力者自會察覺。御身被那麼多人仰慕。無論,鄙僧也自認為是其中一人」

「少し目端の利く者ならば気付きましょう。それほどに御身(おんみ)は慕われておいでなのです。無論、拙僧もその一人を自負して居り申す」

「謝謝你。但這件事我必須自己解決」

「ありがとう。でも、これは自分で片付けないといけないから」

「靜子大人,若想依靠佛陀的教導,鄙僧可為您稍作指導。然而只聽佛的話並無意義。聽聞教誨之後,『思考並面對』才是關鍵」

「静子様、御仏の教えに縋(すが)りたくば拙僧が手ほどき致しましょう。しかし、仏の言葉は聞くだけでは意味がござらぬ。教えを聞いた上で『考えて対峙(たいじ)する』ことが肝要」

「……是啊」

「……そうだね」

「佛陀的教導如此:能改變自己的只有自己,自己願意改變並邁出那一步很重要。想幫助靜子大人的人很多,然而只要妳不伸手,他們因珍惜妳便不會越界」

「仏陀の教えにこうあります。己を変えられるのは己のみ、自らが変わろうと一歩を踏み出すのが大事だと。静子様をお助けしようと考える者は多くおります。しかし、貴女自身がその手を取らぬ限り、彼らは貴女を大切に思うが故に踏み込んでこないでしょう」

「是啊。即便如今也是一直受到大家的幫助。若不握住他們的手報答恩情,實在說不過去」

「そうだね。こうしている間にも、ずっと皆に助けて貰っているんだものね。彼らの手を取って、恩に報いなければ申し訳ない」

「經過思考與煩惱得出的答案,才會成為妳自身的基石。正如我先前所言,報告已交由事務方處理,説教般的勸導就到此為止」

「考え、悩んで出した答えこそが貴女自身の礎(いしづえ)になりましょう。先にも申しましたが、報告は事務方に預けておりますので、説教じみた差し出口はここまでといたします」

華嶺行者說了些不錯的話,但像牛叫般的肚子叫聲把一切都毀了。

割と良い事を口にしていた華嶺行者だが、牛の鳴き声のような腹の虫が全てを台無しにした。

「呵呵。肚子很誠實呢。有點輕鬆了。請先去用午膳」

「ふふっ。お腹は正直ですよね。いくらか気分が軽くなりました。先に昼餉を取っていて下さい」

「實在惶愧,鄙僧離證悟境界仍遙遠」

「誠にお恥ずかしながら、拙僧が悟りの境地に至るのはまだ遠いようです」

他身體一彎,深深低頭,然後以與他龐大身軀不相稱的輕盈動作無聲離開了房間。

一度体を折るようにして深々と頭を下げると、彼はその巨体に見合わぬ身のこなしで音もなく部屋から立ち去った。

靜子滿臉笑容地朝廚房走去,那模樣反倒讓人覺得清爽,她微微帶笑;然而隨著閱讀小姓帶來的報告書,表情變得嚴肅起來。

満面の笑みを浮かべて厨(くりや)へと向かう様は、むしろ清々しくさえあり小さな笑みを浮かべていた静子だが、小姓が持ってきた報告書を読み進むにつれて表情が引き締まった。

「終於到了結束的時刻了呢」

「遂に終わる時が来たのね」

掌握本願寺的頼廉終於為了與織田家和睦而開始行動。華嶺行者帶來的報告書上是這麼寫的。

本願寺を掌握した頼廉が、遂に織田家との和睦の為に動き出した。華嶺行者の持ち込んだ報告書には、そう書かれていた。

本願寺向織田家提出和議。這只意味著一件事:曾經為戰國時代一大勢力的本願寺將向信長屈膝。

本願寺が織田家に対して和睦を申し入れる。これが意味することは唯一つ。戦国時代の一大勢力であった本願寺が信長に膝を屈すると言う事だ。

這不是為了互相整頓態勢而做的短暫和議,而是承諾放棄自主獨立,完全納入織田家的庇護下的和議。

今までのような互いの態勢を整えるための一時的な和睦ではなく、自主独立を捨てて完全に織田家の庇護下に入る事を約束する和睦であった。

政變爆發數月後,頼廉掌握了本願寺的高層如年寄衆,並向朝廷請求為他與織田家斡旋。

クーデター勃発から数ヶ月を経て、頼廉は年寄衆などの本願寺首脳部を掌握し、朝廷に対して織田家との仲立ちを依頼した。

朝廷派遣勅使,經過數次交涉後,決定由朝廷正式促成此和議。

これに対して朝廷は勅使を遣わせ、数度のやり取りを経て、この度朝廷が正式に和睦を取り持つことが決まった。

然而,和議成立並不等同於本願寺勢力從石山本願寺撤退。

しかし、和睦が成立することイコール石山本願寺からの本願寺勢の退去とはならない。

既然是本願寺方面提出,信長所要求的石山本願寺讓渡就必須實行。

本願寺側が申し入れた以上、信長が掲げている石山本願寺の明け渡しは確実に実行されなくてはならない。

細節條件會在和議場合商討,主要議題將是曾為教主的顯如及其子教如的去向問題。

細々とした条件については和議の場で話し合われるが、主題となるのは教主であった顕如と、彼の子息である教如の去就についてであろう。

「這次的和議朝廷那邊由義父上(近衛前久)出面。我也被點名為相關人士,所以短期內會全力處理本願寺和議的事宜。我想最多不會超過一個月。在那段期間,才蔵先生請與我同行。其他人就準備第二次東國征伐吧」

「此度の和議には朝廷側として義父上(ちちうえ)(近衛(このえ)前久(さきひさ)のこと)が立たれます。私も関係者として声が掛かっているので、当分は本願寺和睦の件について掛かり切りになります。長くても一月は掛からないと思っていますが。その間、才蔵さんは私と一緒に行動して貰います。他は第二次東国征伐の準備をしておいてね」

和本願寺的和議公開後,靜子召集了側近們。平時駐守安土的高虎此時也回來了。

本願寺との和睦が公になると、静子は側近たちを招集した。いつもは安土に詰めている高虎も、この時ばかりは帰参していた。

安土城即將完成,很可能不久就卸任。他在土木建築與築城方面備受重視,但作為武士仍有想在戰場上立功的心理。

間もなく安土城が落成し、近くお役御免となる可能性が高い。土木建築や築城に於いて一目置かれるようになってはいるが、武士としては戦で功を立てたいという心理があった。

即便被承諾會給靜子創造立功機會,她也不是會張嘴等著餌掉下來就足矣的人。

静子が手柄を立てる機会を与えられるよう配慮すると約束してくれてはいても、口を開けて餌が落ちてくるのを待っているだけで済ませられるような性分でもない。

「用不上最好,但總之請足滿叔叔也準備火砲」

「使わないで済めば良いんだけど、一応足満おじさんは砲の準備もしておいて」

「是教如嗎?」

「教如か」

靜子點了點頭回應足滿的話。過去強硬主張對織田抗戰的教如,難以想像會順利接受這次的和議。

足満の言葉に静子は頷いた。これまで強硬に織田への抗戦を主張していた教如が、今回の和睦をすんなり受け入れるとは考え難い。

他的派系中有淡路、雜賀眾等,正因本願寺與織田家對立,他們才能維持生計的人也存在。

彼の一派には淡路や雑賀衆など、本願寺と織田家が対立しているからこそ生活が成り立っている者もいる。

若本願寺真的和議,則他們的口糧會消失,極有可能會想方設法阻撓和議。

本願寺が和睦などしようものなら、己の食い扶持が無くなってしまうため、何としてでも和睦を妨げようとする可能性が高い。

在那種情況下,很可能成為領頭的就是強硬派首領教如。

そうした状況で旗頭となるのは、強硬派の首魁(しゅかい)でもある教如だろう。

事實上,史實中當顯如放棄石山本願寺時,他無視顯如的退去命令,佔據了本願寺。

事実、史実に於いても顕如が石山本願寺を放棄した際、彼は顕如の退去命令を無視して本願寺を占拠した。

之後,本願寺被當權者如秀吉與家康持續利用,直到家康建立東西本願寺體制前,一直度過動盪時期。

その後、本願寺は時の為政者である秀吉や家康に利用され続け、最終的に家康が東西本願寺体制を確立させるまで動乱の時を過ごす。

(在東西本願寺體制形成時,他們為了宣揚自身正當性,添油加醋地說了許多話,結果把上様塑造成像是犯下惡行般廣為流傳並固定下來。這一點一定要避免,所以顯如的繼承者必須由我們指定……)」

(東西本願寺体制が出来上がる際に、彼らが自分の正当性を喧伝するために色々と話を盛った結果、まるで上様が悪行を為したように広めてそれが定着したんだよね。これだけは避けないといけないから、顕如の後継者はこちらで指定しないと……)

若本願寺作為武裝勢力瓦解,信長與靜子便無意過多介入。

武装勢力としての本願寺が潰えるのであれば、信長も静子もそれほど介入する気が無かった。

已經聲名狼藉的信長,不能被強加未犯的惡行。

現時点ですら何かと悪評が絶えない信長に、やってもない悪行を押し付けられては堪らない。

「從教如的角度看,絕不會服從篡奪主權的頼廉的話。連親父顯如的話都不聽。他會想盡辦法奪回實權,並主張在本願寺中堅守徹底抗戰。即便已沒有可動員的兵力,也沒有錢米養活他們……」

「教如から見れば、主権を簒奪した頼廉の言葉なんかには従わないでしょうね。実の父である顕如の言葉にすら従わなかったんだから。何とかして実権を握り返し、本願寺に籠城しての徹底抗戦を唱えるでしょう。最早動かせる兵も、彼らを食わせる銭も米も無いのに……」

「若要抵抗,就讓他們與本願寺共赴亡國;若不抵抗,則放任即可。老實說,本願寺已無力再進行抵抗了吧」

「抵抗するならば、本願寺と運命を共にさせれば良い。しないのならば放置で良かろう。正直、最早本願寺に抵抗するような余力はないだろう」

長可所言也有一理。近來表面上信長似乎沒有發動戰事,實際情況並非如此。

長可の言うことにも一理ある。近頃の信長はいくさを仕掛けていないように見えるが、実際はそうではない。

只不過沒有採取那種一目了然的武力衝突罷了,他們一直對本願寺發動名為經濟戰的攻勢。

武力衝突という判り易いいくさをしていないだけであり、本願寺に対して経済戦争と言う名のいくさをずっと仕掛け続けていたのだ。

不用等到武力衝突,本願寺已被經濟上壓制,無法再充分養活民眾,自然沒有勝算。

武力衝突を待たずして、経済的に抑え込まれて民に充分飯を食わせられなくなった本願寺に勝ち目は無かった。

正因為頼廉理解那個現實,他才向信長提出在還能保留體面時以和睦的方式投降。

頼廉はその現実を理解したからこそ、まだ恰好が付く間に和睦という形で降伏することを信長に申し出た。

「不論是否尚有餘力,現在的教如已經破罐破摔。這種人最麻煩,因為捨不得過高的自尊,無法正確認知現狀,甚至可能去咬那些絕對無法取勝的對手。正如『窮鼠咬貓』所言,把小人物逼得太緊很危險。」

「余力がある無いは別にして、今の教如は破れかぶれになっている。こういう手合いは一番厄介だよ。高すぎる自尊心を捨てられないがために、現状を正常に認識できず、絶対に勝てない相手にも噛みつく可能性がある。『窮鼠(きゅうそ)猫を噛む』の言葉があるように、小物は追い詰めすぎると危ないよ」

「不管他想咬誰,只要朝我們這邊來就直接把他打爛罷了。」

「誰を噛むつもりか知らないが、こっちに向かってくるなら叩き潰すだけさ」

「……嗯,也只能如此了。那種會無差別咬人的危險分子,只會帶來對任何人的損害。不過,對頼廉來說,他大概還想保住嫡子教如的性命。要找到落腳點可能會很難。」

「……まあ、それしかないかな。誰彼構わず噛みつく危険分子なんて、誰にとっても不利益しか生まないからね。でも、頼廉としては嫡子である教如を生かしたいだろうね。これは落としどころが難しいかもしれない」

「嗯,那一帶由織田的殿下決定就好。靜子在這裡煩惱也沒用。」

「まあ、その辺りは織田の殿様が決める事だ。ここで静っちが悩んだところでしょうがない」

靜子正在思索之時,慶次從旁插嘴。

考えを巡らせているところへ慶次が横から口を挟んできた。

事實上,如他所言,關於和談條件等一切具有決定權的,是信長。靜子即便進言,信長若說不便已定局。

実際のところ、彼の言うように講和条件などの一切合切について決定権を持っているのは信長である。静子が進言しても、信長が否と言えばお終いだ。

「……是啊,這件事我再怎麼操心也無濟於事。若沒其他事項,今天就此解散軍議。」

「……そうだね。これ以上は私が気を揉んでも仕方ない。他に話がないなら、これで軍議を解散します」

靜子環視參加者發話,眾人以沉默回應,軍議因此結束。

参加者全員を見やりながら静子が声をかけた。それに対して誰もが沈黙を以て応えたため、軍議はそれで終わりとなった。

各自率領部隊的慶次與長可離去,唯有作為靜子護衛的才蔵仍留在側。

それぞれに部隊を抱える慶次や長可は部屋を後にしたが、静子の護衛である才蔵だけは付き従っている。

(若頼廉與上樣在暗中有聯繫,就能看出除了上樣之外還有勢力在對本願寺施力。雖然目前尚無確證,但十之八九他就在武田或北條的背後。果然如史實所示,他不打算安分。)

(頼廉と上様が裏で繋がっているとすると、上様以外で本願寺に働きかけている勢力が見えてくる。今は確たる証拠もないけれど、十中八九武田や北条の背後に彼がいる。やっぱり史実通り、大人しくするつもりはないようだね)

以目前東國的情勢來看,武田與北條結盟是理所當然的選擇;反過來說,對於已走下坡、勢力衰弱的武田,北條與之結盟的意義並不大。

武田が北条と同盟を組むのは、今の東国状況を考えれば当然の選択肢である。一方の北条は、落ち目であり弱っている武田と同盟を結ぶ意味合いが薄い。

然而現實是北條與武田攜手,對織田家的東國征伐露出獠牙,令人不可解的不僅只有北條一方。

しかし、現実には北条と武田は手を結び、織田家の東国征伐に対して牙を剥いた。不可解なのは北条だけではない。

越後上杉家中親北條的派系,顯露出會配合織田東國征伐時機而行動的跡象。

越後の上杉家に巣食う親北条派が、織田家の東国征伐に合わせて動く素振りを見せた。

到目前為止各自為政,但明顯可見有人在揮旗號令,使步調一致。

今まではそれぞれが勝手に動いていたのに、明らかに誰かが旗を振って歩調を合わせている様子が窺える。

到了這步便好辦了。

ここまで見えれば話は早い。

策劃讓上杉與織田破約,促成與敗走武田利益相衝的北條結盟,並拉攏猶豫的毛利出面援助本願寺。

上杉に織田との同盟を破棄させるよう画策し、敗走した武田と利害が衝突する北条とを同盟で結び、渋る毛利を本願寺の援助に駆り出した。

一名竭力想打造第三次織田包圍網的人物。

第三次織田包囲網を作り上げようと血道を上げる人物。

(足利義昭,還放不下將軍之位嗎)

(足利義昭、まだ将軍の座を諦めきれないのか)

靜子在心中低語著那個到了這地步仍不肯放棄野心、運用所剩政治手段向信長獻牙之人的名字。

ことがここに至っても己が野心を諦めきれず、残された政治力を駆使して信長に牙を立てんとする人物の名を、静子は心の中で呟いていた。

軍議無甚進展後,足滿站在靜子宅邸中庭的涼亭(四阿),凝望著預感春意的池畔。

軍議が大した進展もなく終わった後、足満は静子邸の中庭にある四阿(あずまや)に立ち、春の訪れを予感させる池周辺を眺めていた。

表面上裝作在賞景,實際上他內心因憤怒而沸騰。

さも風景を楽しんでいるように装っているが、彼の内心は怒りで煮えたぎっていた。

(就算肢解也還不夠!)

(八つ裂きにしたとて、まだ足らぬわ!)

不自覺緊握到指尖發白的拳頭鬆開,足滿緩緩吐出一口氣。

無意識に指先が白くなる程に握りしめていた拳を開き、足満は静かに呼気を吐き出した。

他之所以將怒火表露無遺,不言自明,是因為他掌握到有人企圖加害靜子的情報。

彼がここまで怒りをあらわにする原因は言うまでもない。何者かが静子を害そうとしたという情報を掴んだからだ。

此事可追溯到去年。某日,位於京城附近一家旅館的主人向足滿通報了一則消息。

ことは昨年にまで遡る。ある日、京にほど近い場所に店を構える旅籠(はたご)の主人から足満の許へと一報が齎された。

那旅館雖收取相當的住宿費,卻發現申請連宿的客人衣著邋遢、人相可疑,便暗示店內人員偷偷注意他們的行跡。

主人の旅籠はそれなりの宿泊料を取っているにも関わらず、連泊を申し込んできた宿泊客の身なりや人相が悪く、それとなく様子を窺うように店の者に指示していた。

端菜的下女在廊上聽到男子們多次提到「靜子」這個名字,便向主人報告,事情由此展開。

料理を運んでいた下女が、廊下で『静子』という名を男達が何度となく口にする様子を聞きつけ、主人に報告したという経緯だ。

由於足滿已經把主要街道上的旅館經營者全都打點妥當,這些情報很快便送到了他手上。

主要な街道筋で宿を営む経営者には、全て足満が鼻薬を嗅がせているため、その情報は程なく足満の許へと届けられることになった。

對足滿來說,只要可疑就足夠,他立刻動員手下將那些旅客全數擄走。

疑わしいというだけで足満には十分であり、即座に手下を動員して問題の宿泊客の全員を攫(さら)った。

足滿毫不猶豫地施以拷問,將首謀者問得一五一十。

足満は一切の躊躇(ちゅうちょ)なく拷問を行い、首謀者に洗いざらいを話させた。

他們口中竟然脫口而出靜子的暗殺計畫,以及惡徒之間互相聯絡、計畫同時多點發動的陰謀。

彼らの口から飛び出してきたのは、あろうことか静子の暗殺計画であり、他にもならず者同士で連絡を取り合い同時多発的に仕掛ける計画だった。

那為了保命而說出這些話的首謀者其後遭遇何種下場,便不必多言。

我が身可愛さにここまで語った首謀者が、その後どういう運命を辿ったかは敢えて語るまい。

得知計畫後,足滿如烈火般將參與者逐一抹殺;同時從惡徒處套出情報與金錢,查出試圖暗殺靜子的幕後黑手。

計画を知った足満は、烈火の如き勢いで企てに加担した連中を抹殺していった。同時にならず者共に情報や金を提供し、静子の暗殺を試みた黒幕を調べ上げた。

對方透過多人掩護真實黑幕的行徑雖然狡猾,足滿卻像連鍊般一一鎖緊,最終查出黑幕所在。

何人もの人を経由させ、真の黒幕が誰なのか掴ませないようにしていた様子だが、足満はその全てを芋づる式に締め上げて黒幕に辿り着いた。

(義昭這厮!你可以懷敵於織田、圖謀包圍網,但若敢直接盯上靜子,縱使肢解把他丟給烏鴉啄食也不夠。)

(義昭め! 織田に敵意を持ち織田包囲網を作らんとするのは構わぬ。しかし静子を直接狙うとなれば話は別だ。その身を八つ裂きにして、鴉(からす)に食わせても尚飽き足らぬ)

在義昭看來,無論是阻撓他最倚重的武田信玄西上作戰,還是千辛萬苦築起包圍網欲緊逼織田,卻因靜子建立的體制讓織田絲毫未減,其存在於他眼中不只是障礙,而是足以稱為怨敵的人物。

義昭からすれば、己が最も頼みとしていた武田信玄の西上作戦を阻み、苦労して包囲網を作り上げて織田を締め付けても、織田家はやせ細るどころか小動(こゆるぎ)もしない体制を作り上げた静子の存在は、邪魔どころか怨敵と呼ぶに相応しい。

自從義昭成為毛利家的寄託之後,他仍舊在各種時機策劃並實行削弱織田勢力的計謀。

義昭自身が毛利家の預かりとなって以降も、事あるごとに織田の勢いを挫(くじ)く策を練っては実行していた。

然而,那些行動無一奏效,要麼未發,要麼雖然發動卻無法對其造成絲毫痛癢。

しかし、そのどれもが不発もしくは、仕掛けたのだが何ら痛痒(つうよう)を与える事が出来ないでいた。

對義昭來說,「欲射將先射馬」裡的那匹馬就是靜子。

義昭からすれば『将を射んとする者はまず馬を射よ』の馬が静子であった。

然而,因為信長本人深知靜子的要害,她的防護十分堅固。

しかし、信長自身が静子の重要性を知悉しているだけに彼女の守りは堅固であった。

首先,她的領地本身位於織田勢力多重防衛的核心區域,外來勢力難以輕易靠近。

まず彼女の領地自体が、何重にも周囲を守られた織田勢力の中心部に位置しており、外部の勢力がおいそれと近づくことすら難しい。

再者,靜子本人貫徹「君子不近危險之地」的方針,非必要絕不從防護圈內出面。

更に静子本人が『君子危うきに近寄らず』を徹底しており、余程の事が無い限りは守りの内側から出てこない。

在那樣的情況下,唯一一個靜子防備會變薄的機會出現了:情報顯示她會因新年拜訪而延後移動到安土。

そんな中で、唯一静子の警備が薄くなるチャンスが訪れる。正月の挨拶回りで、遅れて安土へ移動するとの情報を掴んだのだ。

對義昭而言,這是千載難逢的機會。

義昭からすれば千載一遇のチャンスであった。

然而問題浮現——選定襲擊靜子的行動者並不順利。

しかし問題が持ち上がる。静子襲撃の実行犯の選定が上手くいかなかった。

義昭認為,襲擊靜子最好由對她統治不滿、來自靜子領內的破落戶等人來執行。

義昭としては静子を襲撃するのは、彼女の統治に不満を持つ静子領内の破落戸(ごろつき)などが望ましい。

但靜子統治下的民眾並不對她抱怨,且有一套完整的渠道供申訴不滿與提出要求。

だが静子の統治下にある民は、静子に対して不満を抱いておらず、また不満や要望を上申するための経路が整備されていた。

因此在靜子領內,所謂的「無賴者」幾乎不存在。

従って静子領内では、所謂『ならず者』が殆ど存在しない。

不可能有一種統治能讓所有人都無不滿,當然會有人對靜子心生不服,但已有接納他們的制度框架。

全員が不満を持たない統治などはあり得ないし、静子に反骨心を抱く者は当然発生するのだが、それぞれを受け入れる枠組みが用意されていた。

粗暴或行為不端者會被視為適合當兵,編入後備役兵,納入一個以力量之理支配、對他們來說清晰明白的軍隊秩序中。

乱暴者や素行の悪い者は、兵隊の適性有りと言う事で予備役兵に組み込まれ、彼らにとって判り易い力の理(ことわり)が支配する軍隊という秩序に組み込まれる。

人若衣食住無虞、每日有事可做,為之努力且獲得回報,往往就不會去做壞事。

そもそも人間というものは衣食住が満たされ、毎日やることがあり、それに向かって努力して報われていれば案外悪さ等しないものである。

當然,也存在身負前科的惡徒或根本無可救藥的廢物。那樣的人會怎麼樣?被共同體排除。

勿論、中には札付きの悪や、どうしようもない程の屑という者も存在する。それらはどうなるのか? 共同体から排除される。

他們被排除後的下場,只有負責骯髒工作的那些人才知道。

排除された彼らがどうなったのかを知るものは、汚れ仕事を担う者しか知らない。

義昭構想的暗殺靜子計畫雖然周詳,卻因細節不夠周密而被瓦解。

義昭が考えた静子暗殺計画は良く練られてはいたが、詰めが甘かったため潰された。

得悉此事的義昭盛怒,對周遭發洩怒氣,卻未察覺自己踩到了虎尾。

それを知った義昭は怒り心頭になり、周囲に当たり散らしていたのだが、彼は虎の尾を踏んだことに気付いていなかった。

「雖然只是稍微報了點仇,但心頭的怒火絲毫不平息」

「軽い意趣返しをしてやったが、一向に腹の虫が治まらぬ」

足滿向義昭送上象徵性問候的贈禮,那是把參與襲擊靜子的人的一部分屍體端到他的晨餐上。

足満は義昭に対して挨拶代わりの贈り物をしていた。それは彼の朝餉に静子襲撃計画に加担した者の体の一部を供することであった。

甚至在他枕畔放了一封熱切的信,表示已掌握其暗殺計畫,必將讓他後悔自己的所作所為。

更には彼の枕元に、暗殺計画を企てたことを把握しており、必ずや自分の行いを後悔させてやるという熱意溢れる文が届いていた。

毛利一方為免義昭受害有失體面而加強警護,但彷彿在嘲諷這點,日復一日送往義昭的熱烈贈禮從未中斷。

毛利側も義昭が害されては外聞が悪いため警護を厳重にするのだが、それを嘲笑うかのように連日義昭への熱烈な贈り物が途絶えることはなかった。

「在他不明白自己犯了什麼事就殺了他毫無意義。要逼他面對所犯之重,逼到他求你殺了他為止。」

「自分が何をしでかしたか理解せぬまま殺しては意味がない。自分がしでかした事の重さを理解するまで突き付け、殺してくれと哀願するまで追い詰めねばな」

本就薄弱的同族情感,一旦有人要傷害靜子,那人便成了無論用何種手段都必須除掉的敵人。

元より兄弟であるという身内意識は希薄だったが、静子に害を為そうとした時点でどんな手を使ってでも葬るべき敵となった。

一旦開了關,他除了靜子之外無人能阻止;即便信長試圖掣肘,他也會賭上性命強行貫徹,這就是足滿這個人。

一度スイッチが入ってしまえば静子以外に彼を止められる人物はいない。たとえ信長が掣肘(せいちゅう)しようとしたとて己の命を懸けて押し通す。それが足満という男であった。

「哼,先把他的事放一邊。現在要先了結靜子的性命。」

「ふっ、奴の事はひとまず後だ。今は静子の命を果たさねばならん」

炮的準備需要時間。僅看發射一發炮彈所需的火藥量,就無法與新式火槍相提並論。

砲の準備には時間がかかる。一発の砲弾を発射するのに要する火薬の量だけを見ても、新式銃などとは比べ物にならない。

然而,即便耗費如此資源仍要使用炮,原因是它是容易被理解的力量象徵。

しかし、それほどの資源を費やしてでも砲を使用する理由があった。それは判り易い力の象徴だからだ。

不同於只攻擊單一目標的火槍,以拋物線彈道射入、對周圍一帶無差別攻擊的炮,其造成的傷害有天壤之別。

敵単体を攻撃するだけの銃と異なり、曲射弾道で撃ち込まれ周囲一帯を無差別に攻撃する砲では被害の出かたに雲泥の差がある。

不論多堅固的城牆築起避守,要面對從天而降的破壞之雨卻無可抵抗,這事實定會擊潰敵人的士氣。

どれ程堅牢な城壁に守られた要塞に籠もろうとも、天より落ちてくる破壊の雨には対抗する術すらないという事実は、確実に敵の心を挫くだろう。

問他們是選擇投降求生,還是無謂地張牙舞爪結果連屍體都不剩的屠殺,會選後者的瘋子幾乎沒有。

降伏して生を拾うか、無意味に牙を剥いた挙句に死体すら残らぬ殺戮を受けるかと聞かれて、後者を選択する狂人はそうはいない。

「恐怕在下次東國征伐中,織田會命令靜子『展示你們的餘裕』。」

「恐らく次の東国征伐では静子に『余裕を見せつけろ』と織田が命じるだろう」

在與信玄的三方原之戰中,憑藉全軍之力贏得了防禦戰的勝利。

信玄との三方ヶ原の戦いでは、自軍の総力を挙げて防衛戦(・・・)に勝利した。

外界可能有不同評價,但在靜子看來,她是將對手誘入己方主場,利用事前調查得知的地利,成功實施防禦的。

世間では違った評価が為されているようだが、静子の中では相手を自分のホームグランドに誘い込み、事前に調査した地の利を生かした防衛を成功させたと理解している。

但這次情形相反,由我們成為攻方。即便無法選擇戰場,能掌握攻擊時機與方式仍具重大優勢。

しかし、今回はその逆となりこちらが攻め手となるのだ。戦場は選べずとも、攻め時も攻め方も自分達が思うようにできるというのは大きい。

再者,相較以往已有長足工業化,軍備增強難以估量。

更に以前と比較しても、長足の工業化を成し遂げており、軍備の増強は計り知れない。

因為在最近一場戰役中敗北,所以下次征伐必須向世人展現壓倒性的戰果。

直近のいくさで敗北を喫しているだけに、次回の征伐では圧倒的な戦果を世に見せつける必要があった。

足滿想著,現在就期待靜子將達成什麼成就。

静子が何を成し遂げるか、今から楽しみだと足満は思った。