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戦国小町苦労譚

一千五百七十六年 一月中旬

迎來了天正三年的元旦。若以史實而言,這是發生了導致武田軍潰敗的歷史性戰役——「長篠之戰」的那一年。

天正三年の元旦を迎えた。史実ならば武田軍が敗走するという歴史的合戦である『長篠の戦い』が起こった年である。

雖是每年例行之事,但元日的靜子宅邸因將侍女和小侍們送回娘家,顯得冷清。

毎年恒例の出来事ではあるが、元日の静子邸は侍女や小間使いたちを実家に帰しているため閑散としていた。

留在靜子宅的面子,如今也只有那些為了正月勤務而領取各式賀禮與加班津貼的衛兵,以及像彩那樣成了天涯孤獨、沒有歸鄉之處的人。

今も静子邸に詰めている面子と言えば、正月の勤務にのみ支給される各種祝いものと割増手当を狙う衛兵たちと、彩のように天涯孤独の身となり帰省先を持たぬ者のみであった。

「新年快樂,今年也請多多關照。」

「新年あけまして、おめでとうございます。本年もよろしくお願いします」

靜謐包圍的靜子宅內後室,靜子的聲音響起。她難得露出一副肅然的表情,發表簡短致詞後向眾人鞠躬致意。

静寂に包まれた静子邸の奥の間で、静子の声が響いた。珍しく凛とした表情を浮かべ、口上を述べると皆に向かって頭を下げた。

「新年快樂,靜子大人。今年也請多多指教。」

「あけましておめでとうございます、静子様。本年もよろしくお願い致します」

對靜子的問候,正對面跪坐的四六回禮。隨後同席的大家也依次致意,靜子再開口道。

静子の挨拶に対し、対面に正座している四六が挨拶を返す。続いて同席している皆も、順に挨拶を述べると静子が声を掛けた。

「好!那麼這裡太冷,回客廳吧。」

「よし! じゃあ、ここじゃ寒いから居間に戻ろう」

話音未落,她率先回到客廳,套上半纏,把腳伸進炬燵裡。

そう言うや否や、真っ先に居間へと戻り、半纏を着込むとコタツに足を突っ込んだ。

事先已經生起火的炬燵十分溫暖,她享受那股熱度時滿面笑容,宛如童女,完全感受不到織田家重臣的威嚴。

事前に火を入れていたコタツは十分に暖かく、その熱を堪能しながら破顔する様は童女のようであり、とても織田家重鎮の威厳など感じられなかった。

繼靜子之後,彩、足滿、四六、器等也圍坐炬燵,雖然毫無血緣,但作為真正親近靜子的一家人齊聚一堂。

静子に続いて彩、足満、四六、器らもコタツを囲み、血の繋がりは一切ないが真に近しい静子の家族が勢揃いしていた。

「備有應景的賀肴和御神酒(みき),四六與器只要抿個嘴就好。這是為了祈求無病息災的吉祥寓意。」

「一応祝い肴と、お神酒(みき)が用意してあるから、四六と器は口だけつけてね。縁起物だから無病息災を願ってってことで」

靜子因禁酒令與孩子們一樣只是濕了下舌尖,彩和足滿則將杯中酒一飲而盡。

静子は禁酒令のため子供たちと同様に舌先を湿らせるのみとし、彩と足満は盃を一息に飲み干していた。

「那麼,來吃菜吧。不過只有元日能這樣吃了就睡。」

「それじゃ、お料理を頂こうか。でも、元日だけなんだよね。食っちゃ寝できるのは」

照往年,第二日要向主君信長與信忠致新年賀詞並參加酒宴,第三日以後還要在織田家內互相拜訪致意,在領內各城鎮祝賀新年,並參加由靜子主辦的各種事業初始儀式,年初便排滿了各種活動。

例年であれば二日目に主君である信長や信忠への年賀の挨拶と酒宴への参加、三日以降も織田家家中同士での挨拶回りをはじめ、自領の街々での年賀を寿(ことほ)ぎ、静子が元締めとなる各種事業の初出式にも参加するなど、年始からイベントが目白押しになっていた。

此外,因收養了信長之子四六與器為養子,周遭對靜子的態度顯著改變。

また、信長の子である四六と器を養子に迎えたことで、静子に対する周囲の対応が如実に変化していた。

過去因靜子未有子嗣,也未欲與任何世家建立明確聯繫,無論多麼榮達仍被視為一代興起的暴發戶。

今までは静子が子をもうけず、何処の家とも明確に繋がりを作ろうとしなかったため、どれほど栄達を果たそうとも一代限りの成り上がりとみられていた。

然而,因主君方面賜給後繼者,外界認為宗家已正式承認靜子之家系。

しかし、主君筋より後継ぎを賜ったことにより、主家が静子の家系を正式に承認したと認知された。

也就是說,靜子過世後,她的家仍會被視為織田家的譜代臣家,而且與宗家極為接近,掌握許多事業,成為顯赫有權勢的存在。

つまりは静子の没後も織田家譜代の臣として遇される家となったのだ。しかも極めて主家に近く、多くの事業を抱えた権勢を誇る存在ということになる。

若論此事利弊,兩面皆有,難以一概而論;但不論靜子心裡怎麼想,對世俗來說這被視為好事。

これが良いか悪いかと言えば、どちらの面もあるため一概には言えないが、静子の内心はともかく世間的には良い事と見做される。

「從明天起就會忙碌起來。僅是去年底已經收到的先期通知者,數量就比前年增加超過一倍,除此之外,為了和靜子大人結交情誼而臨時上門賀年的來客,不知道會有多少……」

「明日からは忙しくなります。昨年末に先触れを頂いている方だけでも一昨年の倍以上になりますし、それ以外にも静子様と誼(よしみ)を結ぼうと、飛び込みで年賀の挨拶に来られる方に至ってはどれ程になることか……」

一旦被認為權勢可續,便各式各樣的人開始想與靜子建立關係。毋須責其無節操,正如有句話說『投靠大樹蔭下』,他們為了求生也無從挑選手段。

権勢が続くと認識された瞬間から、実に様々な人間が静子と繋がりを持とうとし始めた。節操がないと言うなかれ、『寄らば大樹の陰』という言葉もあるように、彼らも生き残る為には手段を選んではいられない。

當然,靜子本無義務一一應付這些人,但或許因性格使然,她似乎打算接受這些關係。

尤も、静子にはいちいちそれに付き合ってやる義理など無いのだが、生来の性格故か彼女はそれを受けるつもりのようだ。

「傍晚蕭醬會回來,請幫忙做最終確認。到了當天我會像擺設一樣,實在記不住那麼多人。」

「夕方には蕭ちゃんが戻ってくるから、最終確認をお願いね。当日になれば、私は置物状態になるだろうし、流石にあの人数を覚えられるとは思えないからね」

「遵命。」

「かしこまりました」

靜子苦笑著吩咐彩。例年關於年賀致意的一切由彩掌管;但今年來客人數翻倍以上,且預計會有需要以家格應對的人物,因此不只彩,還需蕭一同參與。

静子が苦笑しつつ彩に命じる。例年、年賀の挨拶に関する一切を彩が取り仕切っていた。しかし、今年は人数が倍以上にも跳ね上がり、応対に家格を求められる人物が予定されているため、彩だけでなく蕭も加わる必要があった。

眾所周知,彩作為靜子的家臣為最資深者,且身為管庫之人,是最受靜子信賴的親信中之親信。

彩は静子の家臣としては最古参であり、金庫番をも務める側近中の側近として静子の信任を最も厚く受けているということは周知のことである。

即便如此,彩出身平民,幾乎沒有家格。過去亦有貴人來訪靜子府中,但他們都了解實情,並未對彩有過閒言。

それでも彩の出自は平民の出であり、家格など無いに等しい。今までも静子の家へ貴人が訪ねてくることはあったが、全員が実情を把握しており、彩に対して何かを口にすることなど無かった。

然而從今年起已不能再如此。若讓出身平民的彩站在箭頭前,來客會生不滿,她也將受到不悅的言行。

しかし、今年からはそうも言ってはいられない。平民出の彩を矢面に立たせれば、訪問客は不満を抱き、彼女も不愉快な言動を受けることになる。

靜子雖憤慨道無需與那等狹量之人見面,但彩提出因部下情況不能限制主君行動,於是急遽選定蕭為出面者。

そんな狭量な人物とは顔を合わせる必要はないと静子は憤慨するが、配下の事情で主君の行動を制限する訳にはいかないと彩が申し出たため、急遽蕭に白羽の矢が立った。

「今年我也會同席。與才蔵一同在後方侍立,盯著那些不識禮數的人,別讓他們多說話。」

「今年はわしも同席しよう。才蔵と共に背後に控え、不心得者が余計な口を叩かぬよう、睨みを利かせてやるわ」

敬過御神酒後,手斟熱燗的足滿加入對話。四六不插話,專心聽著,器因飽腹與溫暖的睡意,將臉埋在炬燵的桌面上睡著了。

お神酒の後は、熱燗を手酌でやっていた足満が会話に加わる。四六は口を挟まず聞き役に徹し、器は腹が満ちたのと温かさから来る睡魔に負け、コタツの天板に顔を載せたまま眠りに落ちていた。

靜子脫下自己所穿的半纏披在已睡著的器背上,換上另一件半纏後又回到自己的位置。

静子は己の着ていた半纏を脱いで、眠り込んだ器の背に掛けてやり、別の半纏を取り出して着込むと、再び自分の席へと戻った。

「請適可而止。若把我們的規矩強加給對方,若對方實在過分就拜託你了。足滿大叔看起來有股兇惡的臉色,視線裡像是帶著殺氣。」

「程々にしてね。うちの流儀を相手に押し付けることになるから、よほど目に余るようならお願いします。足満おじさんは凶顔と言うか、視線に殺気が宿っているように見えるから」

「……看對象而定。」

「……相手次第だ」

或許他自覺帶著殺氣,足滿對靜子的指摘移開目光。足滿出乎意料地童稚反應讓靜子微微一笑。

殺気を込めている自覚があるのか、静子の指摘に足満は顔を逸らす。意外に子供っぽい足満の反応に静子は顔をほころばせる。

察覺到這點的足滿清了清喉嚨,欲改變氣氛並轉移話題。

それに気付いた足満は、雰囲気を変えようと咳払いをして話題を振った。

「唉,應付拜年雖麻煩,但至少不像從前有人想娶靜子,這點倒是好一些。」

「まあ挨拶の応対は面倒だが、昔と異なり静子を娶(めと)ろうとする輩が居らぬだけでもマシか」

以往情況不知如何,現在的靜子是朝廷之巔、五摂家首位近衛家的女兒,並且靜子本人已獲官位,在織田家中亦是數一數二的重鎮。

以前ならばいざ知らず、今の静子は朝廷の頂点、五摂家筆頭の近衛家の娘であり、更に静子本人が官位を得ている上に織田家家中でも有数の重鎮に収まっている。

若依戰國時代的常識,靜子已算是年過不惑的人物,但其地位光芒四射,已難有人輕易上前搭話。

戦国時代の常識に倣えば既に薹(とう)が立っている静子だが、その地位は燦然と輝かんばかりであるため、最早おいそれと声をかけることすら難しい。

更不用說牽涉兩家聯姻的婚事,因為牽扯到主君信長與義父近衛前久(さきひさ)的意圖,若輕率動情,恐怕會喪命。

ましてや家同士の縁を繋ぐ結婚ともなれば、主君である信長や義理の親である近衛前久(さきひさ)の思惑も絡むため、下手に色気を出そうものなら命取りになりかねない。

「表面上不會明說,但每回都有想要靠上門婚姻坐享榮華的愚人,要不要今年就把他們揪出來?」

「表立っては言わないだけで、玉の輿に乗らんとたくらむ愚か者は毎回おりますが、今年は摘まみだしましょうか?」

「又擔心會被逆恨,那類人只要適當敷衍,他們就會悟出沒希望。」

「逆恨みされても困るからね、あの手の人間は適当にあしらえば脈がないと悟ってくれるから」

對彩的話,靜子苦笑著回應。當然,能夠如此適當應對也只是近年的事。

彩の言葉に静子は苦笑しながら返す。無論、適当にあしらえるようになったのは近年のことだ。

當年靜子被內定為綾小路家的下一任當主時,首要提出的就是婿選問題。誰才適合作為當主的配偶,現任當主——靜子的祖父、父親、叔叔們便開始討論起來。

かつて静子が綾小路家の次期当主と内定した際、真っ先に持ち上がったのが婿問題であった。誰ならば当主の配偶者となるに相応しいかを、現当主である静子の祖父や、父、叔父、伯父が議論し始めた。

然而,那件事很快為靜子的祖母知悉,祖母不但不滿把尚未成長的靜子推為當主,還責難說強行為家族利益指定配偶未免太不仁道。

しかし、その話はすぐに静子の祖母のしるところとなり、年端もいかぬ静子に当主を押し付けただけに飽き足らず、家の都合に良い配偶者まで押し付けようとは非道にもほどがあると非難した。

或許也因此,靜子的婿選被延後,僅剩男系親族在暗中尋覓合適人選。

その甲斐あってか、静子の婿選びは先送りとなり、男系親族が密かに相手を探すだけに留まっていた。

靜子畢竟也是凡人,並非沒有戀愛感情。她自然會對某人生好感,也會讀戀愛小說或漫畫,憧憬那種戲劇性、炙熱的戀情。

静子とて人の子である以上、恋愛感情が無い訳ではない。当然誰かを好ましく思う事はあるし、恋愛小説や漫画を読んで、その劇的で燃え上がるような恋に憧れる気持ちもあった。

然而,與十幾歲少女理所當然的情感相反,靜子卻有一個致命的問題。

しかし、そんな十代の女子として当然の感情とは裏腹に、静子には致命的な問題があった。

雖然毫無交往經驗,但幾個女孩一聚在一起談論戀愛是必然,當談到喜歡誰時,靜子所提出的名字竟讓朋友們一致說「別選他」。

交際経験は皆無だが、女が数人も集まれば恋愛が話題となることは必然であり、誰が好みかという話になった際に静子が挙げた人物の名は、友人が揃って「そいつはやめろ」と口にするほどであった。

就連靜子的姊姊也說到,「比起把他當男人看,作為一個人來看就有問題」。

静子の姉に言わせれば、「男と見る以前に、人間として見た時点で問題がある」と語った程である。

靜子是所謂會毀掉男人的女人典型,認為自己的存在可以彌補些許缺點(別人看來根本不只是些許)。

静子は所謂(いわゆる)、男を駄目にする女の典型例であり、多少の欠点(他人から見れば多少どころでは無い)は自分が一緒に補えば良いと思っていた。

每當她說出自己心儀的人選便遭全體否定,絕望的靜子在十多歲中期便達到了一種頓悟境界。

自分が良いと思う人物を口にする度、総がかりで否定されることに絶望した静子は、10代半ばにして悟りの境地に達していた。

也就是說,她開始抱持一種近乎諦觀的被動態度,想著「就與那些關心我的祖父母或父母決定的人談戀愛吧」。

即ち「自分の事を心配してくれる祖父母や両親が決めた人と恋をしよう」という、ある種諦観にも似た受け身の姿勢を持つようになっていた。

由於這樣的經過,當信長提出「把我家孩子收為養子」時,靜子並非出於義務感,而是想著「既然是最重視我的上様決定的,應該沒問題」,反而心生安慰。

このような経緯もあり、信長が「我が子を養子に」と話を持ち掛けてきた際、静子は義務感からではなく「私を最も高く評価してくれている上様が決めたのだから大丈夫」と、むしろ安堵さえ覚えていた。

靜子在戀愛上看不到缺點、只去發掘優點的笨拙,諷刺地在人才發掘與培育方面卻成了有利之處。

欠点のみを見ずに美点を探して見るという静子の恋愛音痴は、人材発掘・人材育成という点に於いては有利に働くのだから皮肉としか言いようがない。

「比起像我這樣牽涉家族的人,正值年齡的彩才更需要考慮對象呢。上様會為你找到好歸宿的!」

「家が絡む私なんかより、年頃の彩ちゃんこそお相手を考えないとね。良いお相手を見つけてくれるよ! 上様が!」

深知自己對男性的眼光很糟的靜子,打算讓信長替彩找婚配對象。但因為彩本人並不熱衷於結婚,這話便擱置著。

自分の男性観が酷いという事は重々承知している静子は、彩の結婚相手を信長に探して貰う算段を立てていた。しかし、当の彩自身が結婚に乗り気ではないため、話は宙に浮いたままとなっている。

「我沒有結婚願望。而且,看著現在的靜子大人,讓人擔心得根本無法結婚。」

「結婚願望はございません。それに、今の静子様を見ていると、心配でとても結婚などしていられません」

「哼哼!人是會成長的生物。別看我這樣,我其實有好好在成長!」

「ふっふーん! 人間は成長する生き物だよ。こう見えても私は、ちゃんと成長しているんだよ!」

「是這樣嗎。那如果我成家離開身邊,也沒問題吧?」

「そうですか。ならば私が所帯を持って、お側を離れても大丈夫ですね?」

「欸!?啊!會那樣嗎……不,等一下。還是有些不安,如果彩你願意的話能陪在我身邊嗎?」

「え!? あ! そうなるのか……いや、ちょっと待って。やっぱり不安があるので、彩ちゃんさえ良ければ一緒にいてくれないかな?」

「好,我知道了」

「はい、承知しました」

已經無法想像沒有彩的生活的靜子,雙手一攤認輸,毫無顧忌地挽留對方。

既に彩が居ない生活を想像できなかった静子は、諸手を挙げて降参すると、恥も外聞もなく慰留を持ち掛ける。

即便無視感情、僅從人力資源角度看,彩也成了靜子的命門般的存在。

心情を無視し、人的資源としてだけ見た場合でも、彩は静子の急所とも言える存在になっていた。

若彩離去,要找到能夠擔任掌管龐大財產、可說支撐織田家的庫房之人絕非易事。

仮に彩が居なくなったとすれば、織田家を支えていると言っても過言ではない程の財を誇る金庫番を任せるに足る人物はそうそう見つかるものではない。

雖有許多人信奉靜子,但若再加上面對足以撼動國家之財權仍能守住無欲的條件,難度就如同在沙漠中尋找一粒掉落的鑽石。

静子を信奉する者は多くいるが、国を揺るがす程の財と権力を前にして無欲を貫ける人間という条件付けが加われば、砂漠に落とした一粒のダイヤを探すに等しい難易度となる。

必須花幾年觀察其在各種情況下的行為表現,篩選後再給予相稱的教育,才能終於委以庫房重任。

何年も掛けて様々な状況での振る舞いを見定めた上で選別し、次いでその地位にふさわしい教育を施してようやく金庫番を任せることができる。

若要被這人欺騙,也能心甘情願認為是自己的錯——能被如此信賴的人,對靜子而言就是彩。

こいつに騙されるのならば、それは自分が悪かったのだと諦められる程に信用できる人間、それが静子にとっての彩であった。

「四六遲早會接任我的位置。要替她牽好姻緣,從現在起就確保真正能讓人信賴的人才。」

「四六はいずれ私の後を任せる事になります。良い縁を繋いで、心から信用できる人材を今から確保するようにね」

「是」

「はい」

對靜子的話四六堅定應答,望向仍在夢境中的妹妹,似乎更堅定了決心。

静子の言葉に四六は決然と返事をし、未だ夢の中の妹を見て、更に決意を固める様子だった。

靜子看著有些過度氣盛的四六,雖然心裡略感不安,但既然明白失敗也是一種經驗,便決定不再多加干涉。

静子はやや気負い過ぎに思える四六の様子を見て、少し不安に思わないでも無かったが、失敗も経験となると身に沁みて理解している以上、それ以上の干渉は控えることにした。

若真到了要垮掉的時候,她可以事前去支撐。像從樹上俯瞰一般,靜子不自覺地懷有符合「親」字意義的心情。

本当に潰れるようなことがあれば、事前に自分が支えてやれば良い。木の上に立って見る、静子は無自覚ながら「親」と言う漢字の成り立ちに副った心情を抱いていた。

「比起那個,應該先徵召四六的側近。我可不希望人們像說我那群側近一樣稱她們是奇葩集團。」

「それよりも四六の側近を募集しないとね。私の側近みたいに色物集団って言われなきゃ良いんだけど」

「被說成色物真讓人不服。」

「色物とは心外だな」

「你能胸有成竹地說自己是這個時代的主流嗎?」

「自分が今の時代の主流だって胸を張って言える?」

「……倒也算是忠義之臣。」

「…………忠義の臣ではある」

足滿沉吟良久才回答,但連想與靜子對視都不願,等同於承認自己是個異類。

たっぷりと間を置いて返事をした足満だが、静子と目線を合わせようとしない時点で、規格外の存在だと認めているようなものだった。

「雖然自己這麼說有點難為情,但是不是因為我是個奇特的人,才會有『物以類聚』大家才會聚在一起呢?」

「自分で言うのもなんだけど、私が色物だから『類は友を呼ぶ』で皆が集まったのかな?」

「又沒做什麼讓世人無臉見人的事,就算是小眾趣味也不必感到羞恥。」

「世間に顔向け出来ぬような事をしているでもなし、色物であったとして恥じる必要など有りはせぬ」

「嘛,說得也是。啊!對了對了,來比比新年的第一場吧!」

「ま、そうだね。あ! そうそう新年初勝負をしようよ!」

「又下將棋啊。我倒無所謂,但明明每次都知道會輸,還真能一再堅持啊。」

「また将棋か。わしは構わんが、毎度負けると判っているのに、良く続くものだな」

「你現在已經能在不讓子的平手局下棋了,總有一天我要讓你吃癟。」

「駒落ち無しの平手で指せるようになったんだから、今に吠え面かかせてあげるよ」

「呼……那可真令人期待。」

「ふっ……それは楽しみだ」

面對足滿那副宛如從容不迫的樣子,靜子盡力擺出一副虛張聲勢的樣子。

足満の余裕綽々と言わんばかりの態度に、静子が精一杯の虚勢を張る。

在足滿眼中,靜子顯得像個爭強好勝的孩子,反而讓人覺得可愛,因此他短時間內可能不會停止取笑她。

足満にとっては子供がムキになっているようで、むしろ愛らしいとさえ思えるため、彼が静子をからかうのをやめることは当面ないだろうと思われた。

「可惡!啤酒開始步上軌道就給你鬆懈了,可會被人趁機下手的!」

「くっ! ビール造りが軌道に乗ったからって油断していると足元を掬われるんだからね!」

覺得完全被忽視的靜子,決定從自己擅長的方向反擊。

まるで相手にされていないと悟った静子は、自分の得意な方面から攻めることにした。

比起日本酒更喜歡啤酒的足滿,和同樣愛酒的三夫(只要名為酒的東西通通喜歡)合夥,一心投入啤酒釀製。

日本酒よりもビールを好む足満は、同じく酒好きのみつお(こちらは酒と名のつくものは全て好き)と結託してビール造りに精を出していた。

與現代的酒稅法不同,就個人研究範圍內的釀酒並不屬於課稅對象。

現代の酒税法とは異なり、個人的な研究範囲に於ける酒造は課税対象とならない。

只要吹噓說是為了研究日後成為織田領特產的產業,就能無所畏懼、理直氣壯地投入啤酒釀造。

いずれ織田領の特産となる産業の研究だと嘯(うそぶ)けば、誰憚(はばか)ることなく堂々とビール造りに取り組めるのだ。

即便釀出的全部酒都只是自己消耗也是如此。

たとえ製造分の全てを、自分達で消費するだけの結果となっていてもだ。

對足滿那種不顧他人理解的態度感到危機的靜子,任命他為啤酒製造總責任人。就像所謂『地位造就人』,一旦擔起一定職位,應該會有對應的行為,這是她的期待所在。

他者に理解を求めない足満の態度に危機感を抱いた静子は、彼をビール製造の総責任者に任命した。『立場が人を作る』という言葉があるように、ある程度の地位に就けば、それに相応しい振る舞いをするであろうことを期待しての措置だった。

在配給了最新設備與人員,並附上預算、整頓成體面事業體後,他不知是恣意妄為還是想回應期待,突然轉向擴張路線,整備了啤酒花田與大麥田,並另起爐灶開始耕種大豆田。

最新の設備と人員を与えられ、予算も付いて立派な事業体としての体裁が整うと、開き直ったのかそれとも期待に応えようとしたのか、一転して拡大路線に舵を切ってホップ畑や大麦畑を整備し、それとは別に大豆畑にも手を入れ始めた。

「枝豆就只有丹波黑豆最好!」

「枝豆は丹波の黒豆に限る!」

看到他為了啤酒下酒菜而想吃枝豆,竟把本可成為戰略物資的大豆提早採收做成枝豆,靜子只好捧頭嘆息。

ビールのつまみに枝豆を欲し、戦略物資ともなる大豆を若いうちに収穫して枝豆にし始めたのを見て、静子は頭を抱えることになった。

足滿口中的『丹波の黒豆』就是稱為丹波黑的品種,豆子顆粒較大且圓,口感良好,表面看起來像覆了一層白粉。

足満の言う『丹波の黒豆』とは丹波黒とも呼ばれる品種であり、豆は大粒で丸く、口当たりの良い食感を持ち、表面に白く粉を吹いたような見た目をしている。

在現代嘗過之後,足滿愛上了丹波黑豆。他在圖書館裡查到的知識說,這種豆自古就在篠山一帶栽培,並曾作為年貢繳納。

現代に居た際にそれを口にした足満は、丹波の黒豆に惚れてしまった。古くから篠山地方で栽培され、年貢として納められていたと足満は図書館通いで得た知識を語った。

然而據說丹波黑的起源可追溯至江戶時代,為波部六兵衛與波部本次郎等人培育出的優良品種『波部黒』。

しかし、丹波黒のルーツは江戸時代に波部六兵衛と波部本次郎らが生み出した優良な品種『波部黒(はべぐろ)』にあると言われている。

靜子從祖父那裡接受了徹底的農業英才教育,因此她向大家說明,戰國時代並不存在所謂的丹波黑豆。

農業に関しては祖父より徹底して英才教育を受けていた静子は、それ故に戦国時代には丹波の黒豆が存在しないと語って聞かせた。

即便聽了這番話,足滿的熱情絲毫不減。他仍然主張應該有作為『波部黒』根源的在來種,硬要向明智光秀求得一些種豆,氣勢洶洶地說要自己培育出來,便毅然種到田裡去了。

それを聞いても足満の情熱が翳(かげ)る事は無かった。それでも『波部黒』の元となる在来種があるはずだと主張し、無理を言って明智光秀より豆を融通して貰うと、自分達で作り出すと息巻いて畑に植え付けてしまったのだ。

「雖比不上昔日的丹波黑豆,但這是我親手精心釀的啤酒與枝豆!我此刻正享受人生的巔峰」

「かつての丹波の黒豆には劣れども、手塩にかけたビールと枝豆! わしは今、最高に人生を満喫しておる」

在嚴寒中,他特意把杯子放在冰室裡冰到透徹才倒入啤酒,將秋天收成後冷凍保存的枝豆解凍、鹽煮後大口塞進嘴裡。

厳しい寒さの中、わざわざ氷室(ひむろ)の中でキンキンになるまで冷やした湯呑にビールを注ぎ、同じく秋口に収穫して冷凍しておいた枝豆を解凍し、塩ゆでした枝豆を頬張る。

一邊窩在被爐裡取暖一邊啃枝豆、灌著冰啤酒。堅持毫無疑問的老男人風格的足滿,讓靜子嘆了口氣,作為最低限度的反擊說了句酸話。

コタツで温まりながら枝豆を食べつつ、冷たいビールを流し込む。まごうこと無きおっさんスタイルを貫く足満に、静子はため息をついて、せめてもの反撃に嫌味を言った。

「足満大叔,很像中年耶」

「足満おじさん、中年っぽいよ」

「中年……」

「中年……」

靜子這句話的效果超乎預期。平日那副板著臉的足滿竟悵然垂下了頭。

静子の一言が予想以上の効果を上げた。普段の仏頂面が嘘のように足満は悄然と項垂(うなだ)れてしまった。

看他小聲念念有詞說著『我沒有大腹便便,也沒禿頭,應該也沒什麼年齡味』,可見足滿心中對中年的印象已被現代定型化了。

わしは腹も出ていないし、禿げてもおらぬ、加齢臭も漂ってはおらぬはずなどと小声で呟いている様子を見るに、足満が抱く中年のイメージは現代のそれに固定されているようだった。

靜子心想對男人來說『中年』這詞是不是禁忌,同時撫著受到致命精神打擊的足滿的背,對他每句小聲自我安慰都回應『沒事』以示安撫。

男性にとって中年という言葉は禁句なのかなと思いつつ、静子は致命的な精神的ダメージを負った足満の背中をさすりながら、彼の小声にいちいち大丈夫と追認することで慰める。

彩和四六看著第一次見到的足滿醜態,彷彿在盛夏看見雪落一般目不轉睛。

彩と四六は初めて見る足満の醜態に、真夏に雪でも降ったかのように見入ってしまっていた。

大家對足滿的印象是質樸剛健且冷酷無情,必要時甚至能對嬰兒毫不動容地斬除。

皆が抱く足満のイメージと言えば、質実剛健かつ冷酷非情であり、必要とあらばたとえ赤子であっても眉一つ動かすことなく斬り捨てる人物だ。

甚至連該不該的判斷標準也不是以自身為依歸,而是以是否對靜子有利來決定;即便是信長的命令,只要判定對靜子有害也會毫不猶豫反抗。

その要不要の判断ですら基準が自身になく、静子にとってメリットがあるか否かで決定している節があり、たとえ信長からの命であろうとも静子にとって害となると判断すれば躊躇なく反抗する。

與本性善良的靜子不同,足滿是那種即便是其他人避之唯恐不及的行為,只要必要也會率先涉入,擔當暗面的角色,這是旁人的看法。

基本的にお人よしの静子と異なり、他の人々が忌避するような行為であっても必要ならば率先して手を染めるなど、暗部を担う人物と言うのが余人の抱く足満像であった。

為政者不能只講漂亮話,願意主動承擔『糖果與鞭子』中鞭子的足滿,填補了靜子所欠缺的部分,是不可或缺的存在。

為政者と言うのは綺麗ごとだけでは務まらず、飴と鞭の鞭部分ばかりを進んで引き受けてくれる足満の存在は、静子の不足を補う不可欠のものであった。

因此,一向不在意他人惡評的足滿竟如此喪氣,已超出眾人所能想像的範疇。

ゆえに誰からの悪評をも意に介さぬ足満が、こうまで意気消沈している様など皆が想像できる範疇を超えていた。

「我一直叫你『大叔』,難道你也討厭那個稱呼嗎?」

「私はいつも『おじさん』って呼んでいるけど、もしかしてそれも嫌だった?」

「那倒無妨。我理解你是帶著敬意叫我『小父さん』的。但『中年』就不一樣了。我在電視上看得夠多了:垂墜的大肚子、油膩的皮膚,連女兒都會說因為臭所以要把衣物分開洗的那種人。我絕不會變成那樣!再說,一談到中年,難道不像是三夫那樣的形象嗎?」

「それは構わぬ。『小父さん』と慕ってくれていると理解しているのでな。しかし、中年は違う。わしはテレビで嫌と言うほど見てきたのだ、だらしなく突き出した腹に脂ぎった肌、娘からも臭いから洗濯物を別にしてくれと言われる存在。わしは決してあのようにはならぬ! それに、中年と言えばみつおのようなイメージだろう?」

「啊啊!五郎也會叫三夫『大叔』啊。鶴姬有時會用厲害的眼神瞪他,但他本人卻不知道嗎?」

「ああ! 五郎さんもみつおさんを『おっさん』って呼ぶもんね。たまに鶴姫ちゃんが凄い目で見ているけど、本人は気付かないものなのかな?」

「五郎遲鈍。而且被叫的人三夫自己也不在意,所以就沒關係吧。比起這個,更讓人受不了的是三夫的家族自誇。」

「五郎は鈍い。それに言われている本人のみつおが気にせぬのだから構わぬのだろう。それよりも、みつおの家族自慢の方が辟易するわ」

「我也在縁側從後頭看著在聊天的みつお他們,那真是厲害。既佩服他們每天注意到那麼多細節,又被那滿溢的愛意與用來表達愛的華美詞藻弄得有點反胃。」

「私も縁側で話しているみつおさん達を後ろで眺めていたけど、あれは凄いよね。良く毎日そんな細かいところまで見ているなって感心するのと、溢れんばかりの愛情とそれを表現する美辞麗句で胸焼けしそうになったよ」

「雖然一句也不曾說一模一樣的台詞,但整體上又不斷重複同樣的內容,被拖著一起聽的人真受不了啊。」

「一度として同じ台詞を口にせぬのに、全体としては同じことを繰り返し述べるのだから、付き合わされる方は堪ったものではないがな」

「鶴姫現在也成了有一男一女的母親,真令人驚訝。看起來身體也變得相當健壯了。」

「鶴姫ちゃんも、今や一男一女の母になっているんだから驚くよね。随分と身体も丈夫になったみたいだし」

靜子在安心話題順利轉開的同時,因為提到みつお的名字而忽然想起一些往事。

順調に話題が逸れていることに安心しつつ、みつおの名が挙がったことで静子はふと思い出していた。

みつお的妻子鶴姫在生下長女後,隔了數年才生下長男椿丸(つばきまる)。因為鶴姫渴望嫡男,但頭胎生的是女孩,於是みつお把讓自己恢復體力健康放在首位,才達成再度懷孕的結果。

みつおの妻である鶴姫は、長女を産んだ後、数年を空けて長男、椿丸(つばきまる)を出産している。嫡男を望んだ鶴姫に対し、授かったのは女児であったため、再び妊娠を望んだ鶴姫に対し、みつおが体調を戻すことを最優先した結果であった。

本來因為生產年紀太輕,對母體造成極大負擔,若非靜子建立了醫院,毫無疑問她早已不在人世。

もとより若齢出産過ぎて母体に極度の負担が掛かったのだ、静子が病院を作っていなければ天に召されていただろうことは疑いようもない。

然而,對鶴姫而言,能生下一位體面的世繼才是自身存在意義的首要,那種觀念幾乎成了強迫性的信念,難以接受改變。

しかし、立派な世継ぎを産むことこそが己の存在意義の第一であると、強迫観念にも等しい程に刷り込まれている鶴姫にとっては、なかなかに認めがたいことであった。

因此,みつお每天陪在鶴姫身邊,一再說明自己有多在乎她,低聲呢喃愛語,並殷勤照料了三個月,終於讓鶴姫勉強讓步,接受設置療養期間。

その為、みつおは毎日鶴姫に寄り添い、如何に自分が鶴姫を大事に思っているかを説き、愛を囁き、献身的に世話をすること三か月。ようやく鶴姫が自分を曲げて、療養期間を設けることを受け入れた。

然而,副作用也出現了,鶴姫對みつお的愛已達到偏執的程度。

しかし、その折の副作用も発生しており、鶴姫が抱くみつおへの愛情は偏執の域に達してしまった。

若放在現代,或許會因佔有慾變成病嬌,但她受過含蓄的良家教育,沒有演變成異常的過度干涉,而是仍保持退一步的姿態。

現代ならば独占欲からヤンデレにでもなるのだろうが、そこは奥ゆかしい教育が施された良家の子女、異常な過干渉とはならずに一歩引いた立ち位置に踏みとどまっている。

而且,みつお自身也有足夠的胸襟承受妻子那過於沉重的愛。若是同齡人絕無可能,但他年長兩輪,擁有包容一切的大人從容。

そして、みつお自体も重すぎる妻の愛を受け止めるだけの度量があった。同じ年ごろであったなら到底成し得ないことだが、二回りも年上であるため、全てを包み込む大人の余裕があった。

在誰眼裡都是恩愛的鴛鴦夫妻,但帶著現代價值觀(外露得像義大利人般)的みつお的示愛方式,對戰國時代的人而言刺激過於強烈。

誰の目にも仲睦まじいおしどり夫婦だが、現代の価値観を引きずっている(イタリア人なみに露骨な)みつおの愛情表現は、戦国時代の人々には刺激が強すぎた。

「みつお大人……那個……是個很熱情的人。」

「みつお様は……その……情熱的な方ですから」

「彩醬。不用勉強去誇他啦。那種行為誰看了都覺得過頭了……對吧?」

「彩ちゃん。無理に褒めなくても良いよ。あれは誰が見ても行き過ぎているから……ね?」

看來彩也曾見過みつお與鶴姫同行,難得臉頰泛紅、皺起眉頭。

彩もみつおと鶴姫が連れ添っているところを見たことがあるのか、珍しく頬を染めて眉根を寄せていた。

在這個時代,武家女子的職責是生下世繼,掌管主人不涉入的內務,以守護家門為任。

この時代に於ける武家の女と言えば世継ぎを産み、主人が踏み入らぬ奥向きの一切を取り仕切って、家を守るのが役目である。

男主外、女主內的分工明確,他們之間的關係與其說是男女,不如說更像搭檔。

男が外、女は内へと分業が為されており、その関係性は男女と言うよりも相棒に近い。

當然,也有如淺井長政與お市、豐臣秀吉與おね、前田利家與お松等,彼此相愛而成為夫妻的例子。

勿論、浅井長政とお市、豊臣秀吉とおね、前田利家とお松のように、お互いに好き合って夫婦となった例もある。

然而,那些事跡能被流傳至後世,是因為它們本身罕見,才會被記錄下來。

しかし、それらが後世にまで伝わっているのは、珍しいことであるからこそ記録に残っているという側面があった。

而更勝一籌的則是みつお與鶴姫。鶴姫每天帶著手作便當前往畜產試驗場探望在那裡工作的みつお。

その上で、それらを遥かに上回るのがみつおと鶴姫であった。畜産試験場で働くみつおに、手製の弁当を持って日参する鶴姫。

天氣好的日子常見鶴姫坐在樹蔭下、靠在みつお膝上親手餵他吃食的樣子。即便放在現代也會讓人膩得要命,對於當時的人更不用說了。

天気の良い日には、木陰でみつおの膝に座った鶴姫が、みつおの口へ手ずから料理を運ぶ姿が見受けられる。現代であったとしても、流石に胸焼けするような光景であるため、この時代の人々にとっては言わずもがなであろう。

「不是親馬鹿,是嫁馬鹿啦!就是那個啦。」

「親馬鹿ならぬ嫁馬鹿よ! アレはな」

「那說得太過了,應該說是愛妻家才對。」

「流石にそれは言い過ぎ、愛妻家って言わないと」

「那種說法太溫和!曾經看過所謂《刑事コロンボ》,覺得那人很會誇老婆,可是みつお的程度實在太過頭了。」

「そんな生ぬるいものか! かつて『刑事コロンボ』とやらも、えらく嫁自慢の長い男だと思ったが、みつおのそれは度が過ぎる」

看著疲憊地重重嘆氣的足滿,覺得因為把他拉去釀啤酒而讓他淪為這些賣弄恩愛話題的犧牲者,有些可憐。不過自己可沒打算替他頂上什麼。

疲れたように重いため息をつく足満を見て、彼をビール造りに誘ったばかりに惚気話の餌食となった足満を少し哀れに思った。尤も代わってやる気などさらさらないのだが。

「那麼厲害的人嗎?那位叫みつお的大人是這樣的人?」

「そんなに凄い方なのですか? そのみつお殿というお方は」

唯一沒親眼見過みつお與鶴姫情形的是四六,他歪著頭提出疑問。

唯一、みつおと鶴姫の関係を目の当たりにしたことのない四六が首を傾げつつ疑問を口にする。

「嗯……人品也不差,又有優秀的技術,作為家庭人來看應該是理想的父親,但……」

「うーん。人品も卑しくないし、優れた技術も持ち合わせ、家庭人として考えた時には理想的な父親なんだろうけど……」

靜子罕見地語塞了一下,但還是勉強擠出下一句話。

珍しく静子が言いよどむ。それでも何とか次の言葉を絞り出した。

「身為母親,是否該讓孩子看見那樣的場面令人苦惱,但凡事都是經驗。如果要去見みつお先生,記得選個之後沒行程的日子去。」

「母親として、あれを見せても良いのか悩むところだけれど、何事も経験だよね。みつおさんに会うのなら、その後に何も予定の無い日にしなさいね」

「知道了。我會找個時機上門拜訪,靜……母上。」

「判りました。いずれ時機を見て伺うことにします、静……母上」

四六差點脫口叫出『靜子樣』,趕緊改口。四六開始稱靜子為母,是年末在慶次的慫恿下去拜訪靜子的寢室時開始的契機。

四六は静子様と口にしかけて、慌てて言い換える。四六が静子を母と呼ぶようになったのは、年の暮れに慶次にそそのかされて静子の自室を訪ねたのがきっかけであった。

四六猶豫良久,提出想盡一點力量回報他們所受的恩情。於是靜子說,若他能稱呼自己為母,那將是對她最好的禮遇。

四六は長く逡巡したのち、これまで自分達が受けた恩を少しでも返したいと申し出た。そこで静子は自分の事を母と呼んでくれるのならば、それが最高の礼となると伝えた。

若要說奢侈的希望,是希望他能像容器般自發地稱呼她為母,但考量到他是不同性別的男孩,覺得應該會很難,於是作了這樣的安排。

贅沢を言えば器のように自発的に母と呼んで欲しいのだが、性別の異なる男の子であり、難しいだろうと考えた結果であった。

她也有擔心自己連生孩子、甚至連戀人都沒有,是否能勝任母親這個角色,但認為與其不做而徬徨,不如去做再來煩惱,於是下定決心。

子供を産むどころか、恋人すら居ない自分が母親の役目を果たせるのかという不安もあったが、やらずに迷うよりはやって悩む方がマシだと割り切った。

「在去見みつお先生之前一定要先來告訴我。比想像的還要辛苦喔,我會為你準備熱飯和澡。」

「みつおさんに会いに行く前には、必ず私に声を掛けること。予想以上にきついからね、温かいご飯とお風呂を準備しておいてあげる」

靜子這麼說著笑了。守望孩子行為、為接下來的事操心的模樣,真是名副其實的『母親』。

そう言って静子は微笑んだ。子供の行動を見守り、その後のことに心を巡らせる様はまさしく『母』の姿であった。

一家人天倫的過年氣氛畫上句點,正月第二天一早就開始瀰漫著緊張忙碌的氣息。若是下層百姓除了最基本的拜年外無事可做,能好好休息,然而身為織田家數一數二重臣的靜子只有一天休假。

家族水入らずの正月気分は終わりを告げ、正月二日目は早朝より鉄火場の気配となっていた。下々の身分ならば最低限の挨拶以外はすることもなく、ゆっくりと体を休める事が出来るのだが、織田家有数の重臣である静子に与えられた休暇は一日のみであった。

過去因為信長在岐阜城,所以前去拜年不需花太多時間便能到達。

今までは信長が岐阜城に居たため、それほど時間を掛けずとも年賀の挨拶に赴くことが出来ていた。

但今年信長在安土,因此必須帶著最少的隨從,跨上載滿行李的馬,花上一整天以上才能前往。

しかし、今年は信長が安土におわす為、最低限の供を引き連れ、荷物を積んだ馬に跨って丸一日以上を掛けて出向く必要があった。

因此考量到靜子本人在第二天會被應對忙得不可開交,雖然向來都是在第二天向信長拜年,但這次改為在第七天去拜訪。

こうした経緯もあり、静子自身が二日目の応対に忙殺されることも加味し、例年信長へ二日目に挨拶をしていたのだが、七日目にすることとなった。

對外宣稱是對東國征伐結果的懲罰,但內情其實是為了稍微減輕靜子的負擔的體貼安排。

対外的には東国征伐の結果に対する罰とされているが、内実は静子の負担を少しでも減らすための配慮であった。

如往年一樣,到了第二天靜子的家臣們也陸續返回。他們向靜子行過年禮後,就忙著準備接待來客。

例年通り静子の家臣達も二日になると、次々と戻ってくる。彼らは静子へと年賀の挨拶を済ませると、来客を迎えるための準備に奔走することになる。

織田家的主要重臣從前一日就已入安土,這天前來拜訪靜子者,除附近的有力者外,還有公家派來的使者等排成隊伍。

主だった織田家の重臣は、前日から安土入りしており、この日に静子の許を訪ねてくる者は近隣の有力者の他、公家達の遣いなどが列をなしている。

雖說從去年就開始準備,但若有任何不妥會玷污靜子的名譽,侍從們為此變得劍拔弩張。

昨年より準備していたとはいえ、何か不手際があれば静子の名誉に傷がつくため、侍従達は殺気立っていた。

如同戰場般的第二、三天過後來客會告一段落,這時靜子便收拾行李啟程前往安土。

戦場さながらとなった二日、三日が過ぎると来客は一段落するため、今度は静子が荷物を纏めて安土へと出立することとなる。

尤其是正月三日,織田家關係者在向信長致意後會直接前來或遣名代,使得不得鬆懈的接待讓靜子疲憊不堪,她一邊打包一邊靠著柱子歇息。

中でも正月三日に至っては、信長への挨拶を済ませた織田家の関係者が直接赴いたり、名代を遣わせたりするため、気の抜けない応対で疲労困憊となった静子は、荷作りをしながら柱にもたれ掛かって休息を取る。

早年靜子被信長告知要把據點遷至安土時,便決定在尾張本宅之外,為各據點另設別宅。

かつて静子は信長から拠点を安土へ移すという話を聞かされた際に、尾張の本宅以外に各拠点に対して別宅を構えることにした。

她下令在信忠勢力所在的岐阜、天皇所在的京城且義父前久也會使用的京屋敷,以及作為主君信長據點的安土等地興建屋敷。

信忠のお膝元である岐阜、帝のおわす都であり、義理の父である前久も利用する京屋敷、そして主君たる信長の拠点たる安土にも屋敷を作るよう指示を出していた。

在此活躍的是一位意想不到的人物。早年便與靜子結交並取得信任的商人久次郎,已成為近江知名的大店舖老闆。

ここで意外な人物が活躍することとなる。早い時期から静子と誼を結び、信用を勝ち得た商人として、久次郎は近江でも名の知れた大店の主となっていた。

為了應對經營各種事業的靜子,他採取不限定特定商品、從各領域調貨的現代所謂綜合商社型態,這家異例的商會店號稱為「田上屋(たなかみや)」。

さまざまな事業を扱う静子に対応するため、これという商材を定めず、様々な領域の商品を調達する現代で言う総合商社のような業態を取った異例の商会、屋号を『田上屋(たなかみや)』と称する。

他成為以店號來源的田上山檜材的一手代理,透過他的調度建立起供應優質木材的體系,由此獲取龐大利潤。

彼は屋号の由来となった田上山の檜材を一手に扱う静子の総代理店となり、彼の差配によって良質な木材を供給する体制を作り上げることで、莫大な利益を上げた。

凡涉及靜子相關產品、若要進行達到一定規模的交易,便必須經由田上屋才能取得。享有此等特權的久次郎依然不曾鬆懈。

静子に関する産品で、一定以上の規模の取引をしようとすると、田上屋を通さねば調達できない。こうした特権に浴しながらも、久次郎は手を緩めなかった。

遵守賣家好、買家好、世間好──三方良好的教誨,建立以自己為頂點的組織並進行再分配,從而一躍成為整區的名士,成功將周遭攏為己方。

売り手良し、買い手良し、世間良しの三方よしの教えを守り、自分を頂点とした組織を作り上げて再配分することで、地域一帯の名士として成り上がり、周囲を味方に付けることに成功した。

聽到靜子要進軍安土的消息後,這種人絕不會坐視不管。他立刻自我推薦,宣稱要包辦靜子的安土屋敷一切事務。

そんな男が、静子の安土進出の報を聞いて放っておくはずがない。早速名乗りを上げると、静子の安土屋敷の全てを自分が賄うと宣言した。

大量使用田上山的檜材,施工期間一路豎起旗幟,成功將田上屋的名號傳遍織田家及其所屬勢力的每一個角落。

田上山の檜材をふんだんに用い、建築中もずっとのぼり旗を立てて、田上屋の名前を織田家に与(くみ)する勢力の隅々にまで知れ渡らせることに成功していた。

藉由成為注目焦點靜子的現代意義上的贊助者,他得以宣傳自己的名聲、商業及其蓬勃景象;靜子則把久次郎所說的「報答恩情」當真,認為他是個義氣深重的人。

静子と言う注目の的に対して現代で言うスポンサーになることで、自分の名前と商い及びその隆盛ぶりを喧伝してみせた訳だが、静子は久次郎のご恩返しと言う言葉を真に受けて義理堅い人だと思っている。

事實上靜子免費得到了華麗的屋敷,久次郎也能宣傳自己是個對於給予便宜的織田領各地有力者會感恩並回報的可信賴商人,並透過雇用周邊地區的人力創造就業,完美地體現了三方良好。

事実として静子は無償で立派な屋敷を得て、久次郎は織田領各地の有力者に便宜を図れば恩義を感じてお返しをしてくれる義理堅い信用できる商人だと宣伝でき、周辺地域の人々を人足に雇うことで雇用を生み出し、見事三方よしを体現してみせたのだった。

靜子一行抵達那座帶有諸多傳聞的安土邸宅時,已是五日的黃昏時分。

そのような曰く付きの物件である安土の邸宅に、静子達一行が到着したのは五日の夕刻になろうかと言う時であった。

「那麼,後天中午要去拜見,先好好休息到那時吧」

「さて、明後日の昼から挨拶だから、それまではゆっくりしようか」

靜子這麼低聲說著,但實際上她能好好休息的時間只有四半刻(30分)而已。

そう呟いた静子が、実際にゆっくりと休息を取れたのは四半刻(30分)だけであった。

「打擾您休息了,實在抱歉。有人前來想向靜子大人致年賀之意,應如何處理?」

「お休みのところ、申し訳ございません。静子様へ年賀のご挨拶をしたいとお申し出の方々がいらっしゃっております。如何いたしましょうか?」

「……果然現在去已經不行了,能請你記下他們的姓名,並告知我們會再聯絡他們嗎?」

「……流石に今からは無理ですが、お名前を控えてこちらから連絡を差し上げると伝えて貰える?」

面對出乎預料的大批訪客,使用人們大為慌亂。最優先的是後天下午預定與信長的謁見,其他則必須依優先順序處理。

予想だにしていなかった大勢の訪問客に、使用人たちは大慌てすることとなる。最優先は明後日の午後に予定されている信長との謁見であるため、それ以外については優先順位を付けて対応する必要がある。

靜子原本沒有想到會在別宅接待訪客,所帶的使用人也只有最少數,多數為當地聘用的住居傭工。

別宅でも挨拶を受けるとは考えていなかった静子は、使用人たちも最低限しか連れておらず、多くは現地で採用した住み込みのものだけである。

一邊估算能夠不失禮地應對的人數,一邊查看訪客名單時,發現名單上記載著一個不可能出現的人的名字。

失礼のない対応ができる人数を想定しつつ、訪問者の一覧を眺めていると、あり得ない人間の名前が記されている事に気が付いた。

「咦!? 為什麼會有這個人的名字?」

「え!? 何でこの人の名前が載っているの?」

在訪客名簿的中段,上面這樣寫著:「神戶三七郎」。

訪問者名簿の中ほど、そこにはこう書かれていた。神戸三七郎、と。