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戦国小町苦労譚

1575年 五月中旬

分為尾張勢與越後勢的相撲大會,似乎以微差由越後勢勝出。

尾張勢と越後勢に分かれた相撲大会は、僅差で越後勢に軍配が上がったらしい。

之所以說「似乎」,是因為比賽後不論勝負都蜂擁進入宴會,參與者全都酩酊大醉,導致大家記憶模糊,至多只能確定大概是越後勢贏了。

らしいと言うのは、試合後に勝敗関係なく宴会に雪崩れ込み、関係者全員がへべれけに酔った結果、皆の記憶が曖昧になっており、多分越後勢が勝ったのではないかという事しか判明しなかったためだ。

宴會喝不完的酒被作為勝者的權利交給越後勢,他們有的把酒作為尾張的名產寄回故鄉,有的在同伴間聚會設置酒宴,也有人獨自賞月小酌,各自消費。

宴会で消費しきれなかった酒は、勝者の権利として越後勢に引き渡され、尾張の名物として故郷へ送ったり、仲間内で集まって酒宴を設けたり、個人で月見酒と洒落込む者がいたりと銘々に消費していた。

「雖然是被煽動了氣氛,但酒藏整棟(ひとむね)就這樣消失,還真厲害呢」

「焚き付けたとはいえ、流石に酒蔵一棟(ひとむね)分が消えるって言うのは凄いね」

看著變得通風良好的藏內,靜子感慨地喃喃自語。因為寄放的鑰匙已被歸還,為了確認與清掃而開了藏的門,映入眼簾的是自棟上以來就空蕩蕩的藏內。

すっかり風通しの良くなった蔵内を見て、静子は感慨深げに呟いた。預けた鍵を返却されたため、確認や掃除のために蔵の扉を開いたが、棟上げの時以来となるがらんどうの蔵内を見渡すことになった。

大概是越後勢的人為表達謝意而打掃過,看到擦得發亮的柱子和一塵不染的地板,心情並不壞。

恐らく越後勢の面々が感謝のしるしとして掃除をしたのだろう、磨き上げられた柱や塵(ちり)一つ落ちていない床を見ると、悪い気はしなかった。

靜子再度為藏上鎖,並把藏的鑰匙託付給蕭。重新讓蕭確認藏的狀況後,下令將新的酒搬進來。

静子は再び蔵に施錠をすると、蕭に蔵の鍵を託した。改めて蕭に蔵の状況を確認した後、新しい酒たちを運び込むよう命じる。

「靜子大人,縱使是締盟的越後人,也未免太放任他們為所欲為了吧?」

「静子様、いくら同盟を結んだ越後の者とはいえ、流石に勝手にさせすぎでは?」

回到執務室後,正在整理文件的彩一句話提出了苦言。景勝等人的身分,是謙信向信長臣服的證明,說得更壞一點,就是針對謀反的質子人質。

執務室に戻ると、書類の整理をしてくれていた彩が一言苦言を呈した。景勝たちの身分は、謙信が信長に臣従した証であり、悪く言えば謀反に対する人質である。

彩認為不能草率對待,但也不適合像款待客人那樣待之。

粗略に扱って良い訳ではないが、客人のようにもてなすのも違うのではと、彩は考えていた。

「人質生活出乎意料地難以安心,有時放鬆一下也很重要。上杉的家督問題尚未解決,與他們結交是有意義的。」

「人質生活って言うのは意外に気が休まらないらしいからね、偶には気分転換も大事だよ。未だに上杉の家督問題が解決しないから、彼らと友誼を結んでおくことには意味があるしね」

「話雖如此也是有個限度。前不久雖然有慶次大人同行,但與六大人竟然斷了兩天聯絡。幸好查出他一直滯留在花街的遊郭,但若出錯一步,這也可能成為外交問題吧?」

「それにしても限度があります。つい先だっては、慶次様が付いていたとは言え、与六様が二日も連絡を絶ちました。幸いにして花街の遊郭にずっと滞在していたと判りましたが、一歩間違えば外交問題にもなり得る事件だったのですよ?」

「啊……那個著實讓人困擾呢」

「あー……アレは、流石に困るね」

回想起慶次與兼續一同從清晨出門,之後兩天毫無音訊,差點到了要封鎖街道派出搜索隊的地步。

慶次が兼続と連れ立って早朝より出かけ、そのまま二日間音沙汰がなく、あわや街道を封鎖して捜索隊を派遣する寸前までいった事を思い出した。

若只是一天,還算是朝回的範疇,沒特別當回事,但到了第二天卻完全沒有聯絡,就不是這麼說得過去了。

一日程度であれば朝帰りの範疇であり、特に問題としていなかったが、一切の連絡がないまま二日目となるとそうも言っていられない。

儘管是慶次,終究是人,若遭到突襲也可能失足。雖然不太可能,但也必須設想有人將慶次除去,並從上杉那裡奪走人質的情況。

如何に慶次といえど、人の身には変わりなく、不意を突かれれば不覚を取ることもあり得る。無いとは思うが、慶次を亡き者にして上杉からの人質を他者に奪われるという事も想定せねばならない。

眾人帶著焦慮等待決斷時刻,到了第二天傍晚,那兩人出乎意料地回來了。追問之下,兩人竟都說「以為對方會去聯絡」,就這樣了事。

皆が焦燥を抱きながら、決断の時を待っていると、二日目の夕刻にひょっこり二人が戻ってきた。早速問い詰めると、両名共に「相手が連絡をしているものと思い込んでいた」という始末。

也不能就此不追究,最後兩人都被處以半年禁止夜遊的處分。

流石にお咎めなしという訳にもいかず、二人ともに半年の夜遊び禁止を申し渡したという顛末があった。

「嗯、這也是策略之一。對人質給予此等自由並丁重對待,若越後發生政變,也會比較難對織田家做出不義之事……」

「ま、まあ、これも戦略の一つだよ。ここまで人質に対して自由を与え、丁重に扱っていれば、越後で政変があったとしても織田家に対して不義理を働きづらくなるから……」

「竟然想得這麼周到。我之前還以為靜子大人懶得管理人質便放任不管,說了輕率的話,請原諒我的淺見。」

「そこまでお考えでしたか。私は静子様が人質を管理するのが面倒で放置しているのだと思い込んでおりました。軽率な事を申しました、浅慮をお許しください」

「哪,別那麼拘謹。是啊,像彩醬說的,該收斂的地方要有收斂的姿態也很重要。但現在時機微妙,暫時請維持現狀吧。」

「いやいや、そう畏まらないで。そうだね、彩ちゃんの言う通り、締めるべきところは締めているという姿勢を見せるのも重要だね。でも、今は微妙な時期だから、当分は現状維持でお願い」

被看透了。表面上誠懇道歉,但半睜的眼神洩露了真心。靜子信任慶次無妨交付,因此認為只要有事願意承擔責任就足夠了。

見透かされている。表面上は殊勝に謝って見せているが、半眼になっている辺りに本音が垣間見える。静子としては慶次ならば問題ないと信頼して任せたのだから、何かあれば責任を取る覚悟さえしていれば良いと考えていた。

根本沒想過慶次所信任的人,會不會對他們懷有敵意。

そもそも慶次が心を許す相手が、自分達に敵意を抱いている可能性等、考えてもいなかった。

「靜子大人,滝川大人與丹羽大人一同前來,您要如何處理?」

「静子様。滝川様と丹羽様が連れ立ってお出でです、如何なさいますか?」

「嗯?沒接到先行通知吧?發生什麼事了嗎?知道了,我馬上前往。」

「ん? 先触れはなかったよね? 何か起こったのかな? 了解、すぐに向かうよ」

正當靜子因彩的視線感到尷尬時,小姓帶來了來客的報告。趁此躲開彩的追問,轉而去處理那邊的事。

静子が彩の視線を受けて気まずい思いをしている処へ、小姓が来客の報せを持ってきた。これ幸いと、彩の追及を躱し、そちらの対処をすることにした。

「讓您久等了。」

「お待たせいたしました」

進入應接室,靜子為讓二人久候道歉,並沒有坐上上座,而是坐到與二人對面的位子上。

応接の間へ入ると、静子は二人を待たせたことを詫び、上座ではなく二人の対面へと座した。

「反而是我們,未事先通報就突然造訪,實在抱歉。」

「こちらこそ、先触れも無く突然押しかけて申し訳ござらん」

滝川與丹羽也為不禮貌的造訪向靜子低頭致歉。

滝川と丹羽も、無作法な来訪を詫びて静子に頭を下げる。

「此行我與這位丹羽殿,共同前來向靜子殿通報一事,先由我方說明。」

「この度はわしとこちらの丹羽殿、共に静子殿にお知らせしたき儀があり、参った次第。まずはわしの方から」

致意完畢後,滝川率先開口。

それぞれが挨拶を済ませたところで、滝川が率先して口を切った。

「此前接旨,命我等參加東國征伐。接下來會整備出征,首先來行參陣之禮。日程緊迫,致意匆忙,特此致歉。」

「先だって、上様より東国征伐に加わるようにと命を受けました。これよりいくさの支度を整えますが、まずは参陣のご挨拶に伺いました。日取りに余裕がないため、慌ただしいご挨拶になった事をお詫び申し上げる」

「儘管是緊急的請求,仍能立刻應對,感謝不盡。有滝川大人的協助,令人心安。」

「急な要請にも関わらず、即応して頂きありがたく存じます。滝川様のお力添え、心強く思います」

在東國征伐軍的編成中,由滝川一益率領的滝川軍也被編入幕下(ばっか)。負責防衛播磨與毛利家等西國威脅的軍隊由秀吉與光秀擔任,負責北陸治安的以柴田為首,佐々與前田利家共同擔當。

東国征伐軍の編成に於いて、滝川一益率いる滝川軍も同じく幕下(ばっか)へと組み込まれた。播磨や毛利家など西国への脅威に備える軍には秀吉と光秀が、北陸の治安を預かるのは柴田を筆頭に、佐々と前田利家が担う。

也就是說東國征伐的陣勢以信忠為首,靜子與滝川支撐兩翼。同行的丹羽則為安土城普請的最高責任者,因此未被編入一連串的軍事行動中。

つまり東国征伐の陣立ては、信忠を筆頭に静子と滝川が両翼を支える形となる。なお、同行している丹羽に関しては、安土城普請の最高責任者でもあるため、一連の軍事行動には組み込まれていない。

順帶一提,靜子軍中除實戰部隊外,其餘皆被借調到各方面軍擔任兵站,因此她被視為於織田家內影響力最廣的將領。

因みに静子軍のうち実戦部隊以外は、各方面軍に兵站担当として貸し出されているため、織田家内で最も広範囲に影響力を及ぼす将として認識されていた。

如今要不是事先向靜子打招呼,無論是順暢的軍事運用還是物流、土木工程等大型事業,結果都會大不相同,就算是譜代重臣也不得不向靜子致意。

今や円滑な軍事運用は疎(おろ)か、物流や土木工事と言った大きな事業は、前もって静子に根回しをしているといないでは結果が大きく異なるため、譜代の重臣であろうとも静子への挨拶を欠かすことは出来なくなっている。

「我此行是要就安土城普請諮詢。日前因雷擊引發山火,檜材的製材所被燒毀,原定的材木調達無法實現。因此,冒昧請問能否將靜子殿所掌握的檜材調撥給我方?」

「私の用件は、安土城普請についてのご相談です。先頃、落雷からの山火事により、檜材の製材所が焼けてしまい、予定していた材木調達の目処が立たなくなりもうした。つきましては、誠に勝手ながら静子殿が押さえておられる檜材を、こちらへ回しては頂けませぬか?」

靜子所掌握的檜材,是指產自田上山的檜木。

静子が押さえている檜材とは、田上山から産出される檜のことである。

為抑制琵琶湖的水患,靜子與信長商議,將田上山的伐採改為輪番制的計畫性林業,由此起因,近江一帶的檜木供應便全由她一手掌控。

琵琶湖の水害を抑えるため、静子が信長に図って田上山の伐採を輪番制とする計画性林業へと変更したことが発端となり、近江一円の檜材供給を一手に担うことになっていた。

靜子並未限制流通,按需將所需數量流入市面;但若如這次需要緊急且大量的木材,能調度得來的,除了靜子再無他人。

静子としては流通に制限を掛けておらず、適宜必要とされる量を市場へと流している。しかし、今回のように緊急かつ大量の材木が必要となった場合、それを都合出来るのは静子を措いて他にはいなかった。

「請稍等。若是已製材的貨品,我們有相當數量的備庫。不過,若是玉切り(切成一定長度)後的原木材,就沒那麼多了。」

「少々お待ち頂けますか? 製材済のもので宜しければ、相当量の備蓄が御座います。ただ、玉切り(一定の長さに切断すること)後の丸太材となると、そう多くはご用意できません」

靜子吩咐小姓取來材木備庫資料,一邊確認書件一邊回應。木材自山中砍出並不能立即用於建築。

静子は小姓に命じて材木の備蓄資料を持ってこさせ、書類を確認しながら返答する。木材というものは山から切り出してすぐに建築に使える訳ではない。

加工成板材或木料之前,需要乾燥或去除灰汁等,費時費工。就算製成一定尺寸,若不讓其乾燥,水分散失時會開裂或變形,無法使用。

乾燥させたり灰汁(あく)出しをしたりと、板や木材へと加工する前の段階にも手間暇がかかる。一定の寸法へと製材した後にも、乾燥をさせない事には、水分が抜ける過程で割れたり変形したりするため使い物にならない。

這些不是臨時一說就能轉手準備的,但果然作為木材總管,已備有相當充足的存量。

急に言われて右から左へと用意できるものではないのだが、そこは流石に材木の元締めだけあって充分な量の備蓄が準備されていた。

「根據黒鍬衆與棟梁們的估算,這些資材足夠使用,我這裡有相關書件。」

「黒鍬衆や棟梁達の見積もりでは、これだけの資材があれば事足りるとのことで書類を預かっております」

丹羽從懷中取出書件,小姓接過轉交給靜子。因為靜子先前已將建築標準統一為MKS單位系,對非專業的丹羽而言資料僅能做概算,但靜子毫無問題地理解了。

丹羽が懐から取り出した書類を、小姓が預かり静子へと渡す。建築に関しては静子が以前MKS単位系へと基準を揃えたため、専門外の丹羽には概算でしか把握できない資料だが、静子は問題なく理解することが出来た。

「若是此規格的木材,完全可以調度。待會會製作正式的交付書,送達丹羽大人手中。」

「この規格の木材であれば、充分にご都合することが可能です。後ほど正式な引き渡し書を作成し、丹羽様の許へと届けさせましょう」

「哈! 不勝惶恐」

「はっ! 忝(かたじけの)う存じます」

兩人的事務很快辦妥。若是事畢就起身離席太過失禮,於是兩人便與靜子閒談近況。

二人の用件は早々に片付いてしまった。自分の用事が終わり次第席を立つのでは、余りにも失礼にあたるため、二人は静子と近況などについて話し合う。

「此次的東國征伐正想立下大功,但即便領得成為飛地的東國領地,如何治理也令人難以處理啊。」

「此度(こたび)の東国征伐でこそ、大功を挙げたいと考えてはおるのですが、飛び地となる東国の領地を拝領しても扱いに困るのが難しいところですな」

「目前東國的人、物、金多集中於美濃與尾張。奇妙大人若征伐成功,定會期盼能讓北條領的相模一帶也共享繁榮。」

「今のところ、東国は美濃と尾張に人・物・金が集中しております。奇妙様の東国征伐が成った暁には、北条領である相模辺りまで繁栄に浴せる事を願わずにはおられませぬ」

「正是!若被視為遠離京師的偏遠之地,家臣們也難以樂觀。但若能想像將來像現在的尾張一樣興盛,就能鼓舞大家奮發。」

「然り! 京から遠く離れた僻地と思うのか、家臣も良い顔をしておりませぬ。いずれは、今の尾張のように栄えると思えば、皆に発破も掛けられるというもの」

「說到京都,諸位可曾聽聞?去年上様中止的納涼御前煙火大會。今年他誓言一定要舉行。既然準備花了時間,就要辦得盛大,且將會有各種前所未聞的表演。」

「京と言えば、各々方お聞き及びか? 昨年、上様が中止された納涼御前花火大会。今年こそは必ずや執り行うと息巻いておられました。準備に時間をかけた分、盛大なものとすると仰せで、色々と前代未聞の催しとなりましょうぞ」

「啊,我也有耳聞。據說有一派公家圖謀妨害……既然我也聽到了,想必上様自是知道,那些惹怒上様的人如今下場如何,實令人關切。」

「あー、私も小耳に挟んでいます。一説によると公家の一派が妨害を企んだとか……私の耳に入っているという事は、当然上様もご存知でしょうし、上様のお怒りを買った彼らの去就はどうなっておりますやら」

「至少會被逐出京城吧。情況更差甚至連性命也保不住……要是因為天候或帝王身體不適尚可諒解,但若是權謀詭計卑劣的算計,上様決不會輕饒。」

「最低でも京を追われているでしょうな。悪くすれば首が繋がっているかどうか……。天候や帝の体調といった事であればまだしも、権謀術数の姑息な駆け引きとあらば上様が容赦されるはずもなし」

「想必如此。人言難防,何不認清自己也會被人論評呢……」

「さもありましょう。人の口に戸は立てられぬもの、何故自分達だけはその例に倣(なら)わないと思うのか……」

「僅以鄙見,那些喜好陰謀的人,大概無根據地自以為不會失敗。誤以為自己是智者的愚人,恐怕最無可救藥。」

「私見ですが、そう言った謀(はかりごと)を好む輩は、自分だけは失敗しないと無根拠に思い込んでおるのでしょう。自分を知恵者だと勘違いした愚者ほど救えぬものはおりますまい」

「打擾二位閒談,失陪了。」

「ご歓談中、失礼いたします」

正談得熱鬧時,入口那頭的小姓向靜子招呼。

京の噂で盛り上がっていると、入り口の向こうから小姓が静子に呼びかける。

「靜子大人,明智大人到了。」

「静子様、明智様がお見えになりました」

「今日真是接連有意外來客。很抱歉,現在正與兩位商議中,請告知他們稍等片刻或改日由我方前往拜訪。」

「今日は不意の来客に恵まれますね。残念ですが、今はお二人と協議しておりますので、暫くお待ち頂くか、日を改めてこちらから伺うと伝えて下さい」

「遵命。」

「承知いたしました」

聽到光秀之名,丹羽與滝川兩人當場皺眉。以中立為主的靜子假裝未覺,吩咐小姓。

光秀の名を聞いて丹羽、滝川の両名が露骨に眉を顰(ひそ)めた。中立を旨とする静子としては、気付かない振りをして小姓に命じる。

光秀遭人厭惡也無可厚非。畢竟在攻擊加賀一向衆時,他曾擅自強推當誘餌,距今尚不久。

光秀が嫌われるのは仕方がない。何しろ加賀一向衆攻めの折に、無断で囮役を押し付けられ、それほど時間も経っていない。

若人人都是能把過往一筆勾銷的大人物,誰還會辛苦至此。

済んだことよと水に流せる大人物ばかりならば、誰も苦労などしはしない。

從大局看,光秀挫其銳氣使戰局始終有利,結果減少了損害,但感情上的芥蒂仍難消解。

大局的に見れば、光秀が出鼻を挫いた事により、戦局を終始有利に進めることができ、結果として被害を少なく出来たとしても、心情的なしこりは如何ともしがたい。

「冒昧自抬身價一問,像這樣突然到訪的情況常有嗎?」

「我がことを棚に上げるようで恐れ入りますが、このように急な来訪というのは良くおありなのですか?」

「就上様而言鮮少事先派遣先達,但其他人則極少見到這種情形。」

「上様に限っては先触れを出される方が稀ですが、他の方は滅多にあることではありません」

對滝川的提問,靜子沉思片刻後答道。

滝川の問いに、静子は少し考えてから答える。

當時拜訪有力者,禮節是先派稱為先觸的使者事先通報行程與事由,協調好日程後另擇他日造訪。

当時の有力者への訪問は、事前に先触れと呼ばれる使者を送り、予定と用件を予め伝えた上で日程を調整し、日を改めて訪ねるのが礼儀である。

像信長那樣不確認對方時間便直接前來,即使是緊急事務也不該如此發生。

信長のように相手の都合を確認せず、直接本人が乗り込んでくるなどという事は、火急の用件であってもあり得ない。

雖然已交代對方事先通報以免打亂計畫,但不覺得信長會改變行為。

予定が狂うので事前に一報を入れてくれと伝えてはいるのだが、信長が態度を改めるとは思えなかった。

「屢次打擾,實在抱歉。我已轉達靜子大人的話,但…對方說是四國那邊有緊急要事…」

「度々申し訳ございませぬ。静子様のお言葉をお伝えしたのですが、その……四国の件で火急のご用とのこと……」

「知道了。可是,這可真棘手呢。」

「判りました。しかし、困りましたね」

從小姓支吾的樣子,靜子察覺對方並未讓步。

小姓が言い淀んだことから、静子は先方が折れなかったのだと察した。

(該怎麼辦才好)

(どうしようかなあ)

若是四國之事緊急,作為與信長仲介者的靜子也不能不理。然而,也不能將先來的滝川與丹羽兩人晾在一旁,等那與光秀不知何時能結束的事情。

四国の件で緊急となれば、信長との仲介役を果たした静子としても無視できない。とは言え、先に訪ねてきた滝川と丹羽の二人を、いつ終わるとも知れない光秀との用件の間待たす訳にもいかない。

靜子思索著,若優先接待並無先約的光秀而遣返兩人,是否太失禮。

先約があった訳でもない光秀を優先して、二人を追い返すのも失礼かと静子が思い悩んでいると。

「我們也是臨時造訪,若然急於事務也沒辦法。等就任時我會再行拜會,今日就先在此告辭。」

「我らも予定外にお邪魔した身、急ぎとあらば仕方ありますまい。着任の折に、また改めてご挨拶に参りますゆえ、本日の処はこの辺りで失礼いたします」

看著對方凝視空中陷入沉思,滝川伴隨一聲嘆息告辭。丹羽也表示贊同,同樣請辭離開。

宙を睨んで考え込んでいる様子に、滝川がため息と共に辞去を告げた。丹羽も滝川と同調し、同じく暇を乞う。

「抱歉,沒能多加招待。」

「すみません、大したお構いも出来ず」

「不必多禮。靜子殿已足以答謝於我等。那麼我等就先告辭了。」

「お気遣いは無用に願います。静子殿は十分に我らに報いて下さいました。それではこれにて失礼致します」

丹羽與滝川離開房間後,靜子命小姓取來有關四國的資料,並重新準備茶與茶點,然後傳話通報讓光秀入內。

丹羽と滝川が部屋を辞した後、静子は小姓に四国に関する資料を持ってくるよう命じ、改めて茶と茶菓子の支度を整えた上で光秀を通すよう伝えた。

「承蒙您成全,實在過意不去。在會見上様之前,實有一事非得先與靜子殿商量不可,故特來請教。」

「ご無理を叶えて頂き、申し訳ございませぬ。上様にお会いする前に、どうしても静子殿に話を通しておかねばならぬと思い、ご相談に参りました」

「才是我方對不起,讓您在匆忙中久候。時間也應該不早了,是否立刻進入正題?」

「こちらこそ、お急ぎの処をお待たせして申し訳ございません。時間も押しておりましょう、早速本題と参りませんか?」

被引入接待間的光秀在致禮後低頭,靜子回應後光秀才起身就座。隨從的家臣也效仿主君抬頭,隨後被引導入座。

応接の間に通された光秀が口上と共に頭を下げる、それに静子が応じてようやく光秀が立ち上がり席に着く。供の家臣も主君に倣って顔を上げ、案内されて席に着いた。

完成一連儀式般的交涉後,靜子催促進入正題,光秀開口說明。

一連の儀式じみたやり取りを済ませた後、静子が本題に入るよう促し、光秀が口を開く。

「是的。想必您知道四國統一的期限將至。關於那件事,過於執著三年限制而不斷勉強行動,若出差錯,非但無法統一,連現狀維持都恐怕難以為繼。」

「はい。四国統一の期限が迫っているのはご存知かと思います。その件について、三年の期限を意識する余りに無理を重ね、下手を打つと統一どころか現状維持すら叶わなくなりそうなのです」

與擔當長宗我部水軍的池氏會談時,曾提出以停止織田軍援助為交換,三年內完成四國統一的說法。

長宗我部の水軍を担う池氏と会談した折、織田軍からの援助を差し止める代わりに、三年で四国統一を成し遂げると話していた。

由於在軍事上佔有優勢,長宗我部的四國統一進展順利。不,實在是順利過頭。正如「好事多磨」所說,當四國制霸看似成為現實之際,問題便發生了。

軍事的に優位に立っていたこともあり、長宗我部の四国統一は順調に進んでいた。否、順調に進み過ぎていた。『好事魔多し』のたとえがあるように、四国制覇が現実の物として見えてきた矢先にそれは起こった。

他們立下三年內統一四國的目標,在為此奮進的過程中強逼周遭協力,結果遭到內部人員反擊,如今甚至差點演變成家中紛爭。

三年以内の四国統一を目標に掲げ、それに向かって邁進する過程で周囲に無理を強いた。その結果、身内に足元を掬われ、今やお家騒動にも発展仕掛けているという。

「……原來如此。確實是緊急之事。」

「……なるほど。確かに火急の用ですね」

聽完光秀的說明後,靜子將手扶在下巴上沉思。

光秀の説明を聞き終えた静子は、頤(おとがい)に手を当てて考え込む。

所謂三年期限,是靜子提出作為阻止織田軍介入長宗我部之條件,池氏接受後長宗我部也承諾的。因此,並非過了三年就會立刻發生重大問題。

三年の期限とは、長宗我部に対する織田軍の介入を止めるための条件として静子が提示し、池が引いては長宗我部が出来ると請け負ったものだ。ゆえに、仮に三年を過ぎたからと言って、すぐに大きな問題が発生する訳ではない。

信長自身並非一路順風,因此對於意外事態反而出乎意料地寬容。

信長自身が順風満帆な人生を送ってこなかった事もあり、彼は意外に不測の事態に対して寛容でもある。

然而那是熟悉信長性格的靜子才有的觀點,對多數人而言,他仍被視為嚴酷的主君。

しかし、それは信長の人柄を良く知る静子ならではの視点であり、多くの人々からは苛烈な主君だと思われていた。

再者若對此完全不加責備,會滋生那些大言不慚卻被委以重任,結果失誤並害及周遭的人,組織將無法維繫。

更に、これを全く咎めないでいると、大言壮語を吐いて仕事を任され、結果として穴を開けて周囲に被害を出す輩が蔓延(はびこ)り、組織が成り立たなくなる。

(既然已在上様面前豪言三年統一,恐怕難以直接說做不好,應該是想商量些能平和解決的方案吧?)

(上様に三年で統一すると啖呵を切った手前、駄目でしたとは言い難いから、何とか穏便に収める案を相談したいってところかな?)

若老實向信長報告,織田軍介入勢必重啟。欲在避免此事的同時維持自主與獨立,並排除三年限制。

馬鹿正直に信長に報告をすれば、織田軍の介入が再開されるのは自明の理。それを避けつつ、自主独立を保ったうえで、三年の制限を排したい。

靜子推測,光秀的目的大概是希望在保有餘裕的情況下讓長宗我部統一四國,同時強化自己的支持根基。

その上で余裕を以て長宗我部に四国を統一させ、自らの支持基盤をも補強したいというのが光秀の狙いだろうと、静子は推測する。

「雖將進行突如的政策轉換,但能在維持原有統治區域的同時,達成鎮靜家中紛爭嗎?」

「急な政策転換を行う事になりますが、支配地域は維持したまま、お家騒動の鎮静化を図ることは可能ですか?」

「若僅是那點是可行的。因為無力同時應付外患與內憂才陷入停頓,但若把對策集中於其中一方,便有相當勝算。」

「それだけならば可能です。外敵と内憂の両方へ対処する余裕がないため足踏みをしておりますが、対処をどちらか一方に絞れば十分勝算が御座います」

「嗯。那我有一個提案。不過這要以得到上様的裁可為前提。」

「ふむ。それならば、一つ案が御座います。しかし、これは上様にご裁可を戴くことが前提となります」

「要向上様報告嗎。但那個……」

「上様にですか。しかしそれは……」

一提到要向信長報告,光秀便沉默起來。

信長への報告という話が出た途端、光秀が口ごもった。

不知他是想在不通知信長的情況下私下處理,還是打算自己去向信長報告,但看起來他對靜子的介入擴大有所警惕。

信長には知らせず内々に事を済ませたかったのか、それとも信長への報告は自分でするつもりだったのか判らないが、静子の介入が大きくなることを警戒しているようにも見えた。

不喜暗中操作的靜子認為,與其透過他人使問題複雜化,不如當事人直接傳達以免生誤會比較重要。

腹芸を好まない静子は、他者を介して問題を複雑にするよりも、当事者が直接伝えて誤解を生まない方が大事だと考えた。

「(就算隱瞞,遲早也會傳到上様耳中)首先,現在就向您說明將要提出的內容。」

「(隠したところで、いずれ上様の耳に届くと思うんだけどね)まずは、どういった話を持ち掛けるか、今からご説明いたします」

然後靜子向光秀敘述了自己想到的方案。

そして静子は光秀に思いついた案を語った。

與光秀會談後,靜子寫了封信給信長,稱有關四國之事需商議,並派出快馬。五月初便收到信長回信,約定一週後在安土會面。

光秀との会談後、静子は信長に四国の件で相談があるという文をしたため、早馬を仕立てた。五月に入って早々、信長から返事が届き、一週間後に安土にて会談をする運びとなった。

到了當日,靜子與光秀及長宗我部屬下的池會合,一同入了安土。安土正大興土木,着手進行其當前最大工程——安土城的築城處理,處處可見揮汗的人夫身影。

当日となり、静子は光秀及び長宗我部配下の池と合流し、安土入りを果たしていた。安土では、目下最大の事業である安土城普請が進められ、至る所で汗を流す人夫達の姿が見られた。

斜眼看著人們工作的身影,靜子一行沿著被優先整備的街道一路急往信長的臨時御殿。

人々が働く姿を横目に、静子達は優先して整備された街道を、一路信長の仮御殿へと急いだ。

(啊啊!或許是因為難以約到與上様的面會,所以明智大人和池大人都在遲疑不前嗎?)

(ああ! もしかして、上様と面会の約束を取り付けるのが難しいから、明智様も池様も二の足を踏んでいたのかな?)

即便是臨時御殿,也乃被視為天下人的信長的居所。希望與信長面見之人所差遣的使者們,在等候室排起了等候的隊伍。

仮御殿とは言え、天下人と目される信長の御座所である。信長との面会を望むものが送り出した使者たちが、待合所で順番待ちの列を作っていた。

趁著旁邊那些為了預約面會而排隊等待的人們,靜子一行在小姓的引導下被帶入臨時御殿的一間房室。

面会の予約を取り付けるために順番を待つ彼らを横目に、静子達は小姓に先導されて仮御殿の一室へと通された。

在通往謁見大廳的候見室稍作等待後,有人喊出輪到靜子一行的聲音。

謁見の間に続く控え室にて待つこと暫し、静子達の順番を告げる声が掛かる。

「在閣下繁忙之時仍抽空接見,實在感激不盡。」

「ご多忙な折、こうして時間を割いて頂き、誠に有難く存じます」

「難得說得這麼客氣。那麼,你想向我諮詢的四國之事是什麼?」

「珍しく殊勝な事を申すではないか。して、わしに相談したい四国の件とは何じゃ?」

打斷成規定稿式的問候詞,信長立刻想要進入正題。語氣輕鬆,目光卻銳利地投向靜子、光秀,還有池。

定型句となっている挨拶の口上を遮って、信長は早速本題に入りたがった。軽い口調とは裏腹に、鋭い視線を静子と光秀、そして池へと差し向ける。

沒有耐性的池大幅抽動表情,但靜子察覺到信長正從三人的反應中獲得樂趣。

耐性の無い池は盛大に表情を引きつらせていたが、静子には信長が三人の反応を見て楽しんでいることが察せた。

(上樣也真是心機不良)是。上樣之前應該已經聽我提過,關於統一四國後的領地開發計畫,想要重新檢討。本來打算等統一之後再派人到四國,進行農產品與海產的研究以及港灣整備,但我認為有必要即便延後統一也要先派遣人手。

「(上様もお人が悪い)はい。上様には以前お話したかと思いますが、四国統一後の領地開発計画について、見直しを行いたいと思います。統一を待って人員を四国へ派遣し、農産物や海産物の研究や港湾整備を行う予定でしたが、統一を延期してでも先に人員を送り込む必要があると考えます」

「哦?」

「ほぅ?」

信長的聲音轉低。若要延後四國統一,當然會影響信長的天下一統。對於這種即便壓過那些影響也要提前推進計畫的必要性,信長產生了興趣。

信長の声が低くなる。四国統一を延期するという事は、信長の天下統一にも当然影響を及ぼすことになる。それを押してでも計画を前倒しにする必要性とやらに、信長は興味を抱いた。

(還好決定由我來報告。被上樣一怒之下把幕後攤開就麻煩了)就長宗我部殿的現狀來看,似乎多少有些統一過於急促,腳下被疏忽了。即便把四國的敵人驅逐出去,也可能在內部滋生敵人。四國是在攻略毛利與九州勢力時非常重要的地區。如果此處不穩固,根本無法完成西國征伐。

「(私から報告すると決めておいて良かった。上様に凄まれて、舞台裏を明かされても困るからね)長宗我部殿の現状を窺う限り、少々統一を急ぎ過ぎたきらいがあり、足元が疎かになっているように見受けられました。これでは四国から敵を追い払っても、身内の中から敵が生まれ出る事になりかねません。四国は毛利や九州勢を攻略するに於いて重要な土地。ここが盤石でなければ、とても西国征伐など成し得ません」

「我明白需要時間來鞏固基礎。然而,這並不足以成為急於入植的理由。把統一延後也要推進入植的目的在哪裡?」

「足場固めをする猶予が必要だというのは判った。しかし、それは入植を急ぐ理由とはならぬ。統一を先延ばしにしてでも、入植を進める狙いは何処にある?」

「若四國被統一,毛利就會像被刀架在咽喉上。眼下正準備東國征伐,此時與毛利開戰未免太過危險。如今故意避免統一,利用因此獲得的緩衝整備阿波國的港口。以此為據點推進四國的要塞化。」

「四国の統一が成されれば、毛利は喉元に刃を突き付けられた形となります。東国征伐を控えた今の時期に、毛利との戦端を開くのは余りにも危険でございます。今は敢えて統一を避け、出来た猶予で阿波国(あわのくに)の港を整備いたします。ここを拠点に四国の要塞化を進めます」

「要塞化是什麼意思?」

「要塞化とは何じゃ?」

「擴充阿波的港口,作為以軍港為視野的海運據點,推進包含港町在內的開發。與此同時利用從尾張派遣的人員以及當地居民,將四國的糧食生產量至少倍增。以軍港為中心在周邊築起衛星都市,並改善支撐其的農林水產業效率。以五年為目標推進此計畫,除了敵占的伊予國(今愛媛縣)外,僅憑其他三國就能在四國內部取得超越統一後的人力、物資、資金的調達。」

「阿波の港を拡充し、軍港を視野に入れた海運の拠点として港町までを包括した開発を進めます。それと同時に尾張から派遣した人員及び現地の人々を使って、四国の食料生産量を最低でも倍化させます。軍港を中心に周囲に衛星都市を築き、それを支える農林水産業の効率化を図ります。五年を目処にこの計画を推し進めれば、敵地である伊予国(いよのくに)(今の愛媛県)を除いた三国だけで統一後の四国を上回る人・物・金を四国内だけで調達できるようになります」

一邊默默聽著靜子的話,信長陷入熟思。

静子の言葉を黙って聞きながら、信長は熟考していた。

在不引起毛利警戒的狀態下,搶先取得超過統一後的生產量。雖然不華麗,卻像水滲入乾土般穩健的侵略方式。

毛利に警戒をさせない状態でありながら、統一後を上回る生産量を先取りする。派手さには欠けるものの、乾いた土に水が染み渡るかのような着実な侵略の形。

若此計畫成功,不僅可以在四國駐紮大軍,還能一舉發動大攻勢,不只完成四國統一,甚至可能一擊命中毛利的要害。

この計画が成れば、四国に大軍を駐留させることも可能となり、一気に大攻勢をかけて四国統一はおろか、毛利の急所を一撃することすら可能となる。

再者若整備能駐留軍船的軍港並大規模運用,亦可壓制在紀伊水道從事海運的雜賀衆。

更に軍船が駐留する軍港を整備して、大々的に運用を開始すれば紀伊水道(きいすいどう)で海運を営む雑賀衆を締め上げる事にも繋がる。

「……有趣的計畫。確實不壞。」

「……面白い話だ。確かに悪くはない」

信長邊笑邊低語。四國統一是長宗我部的宿願,但若依現狀硬推三年限定的統一,將如沙中樓閣般徒然崩壞。

笑いながら信長は呟いた。四国統一は長宗我部の悲願だが、現状のまま三年縛りの統一を推し進めれば、砂上の楼閣さながらに呆気なく崩れ去る。

這種程度的道理,當事者應無人察覺不到。在此之上,想出一計幫助因自己剛大言三年而無法提出延長計畫的長宗我部,替他謀取方便並作為與信長之間的橋樑。

この程度の理屈ならば、当事者で察せない者はいないだろう。その上で、自分が三年と大見得を切ったばかりに計画の延伸を言い出せない長宗我部に便宜を図り、信長との橋渡しをする一計を案じる。

恐怕靜子就是這麼提議的吧。然而,若靜子介入軍港與生產據點,就等同握住了長宗我部的心臟。

恐らく静子はそう申し出たのだろう。しかし、軍港と生産拠点に静子が食い込むということは、長宗我部の心臓を握り込んだに等しい。

在各處安排便利,讓所有相關者都獲利的同時,卻牢牢掌控要點。以三方共贏為旨的近江商人看了都會臉青的手腕。

各所に便宜を図り、関係者全員に利を与えつつも、要所はしっかりと押さえる。三方よしを旨とする近江商人も真っ青の手際であった。

(表面一副連蚊子都不殺的模樣,卻一如既往使出令人厭惡的手段。不直接強加,而是在拯救對方窘境的同時悄悄含入毒藥。還要畫出一幅沒人受損的圖景……)

(虫も殺さぬような顔をして、相変わらず厭らしい策を講じるものだ。自分から押し付けるのではなく、相手の窮地を救いつつもさりげなく毒を含ませる。それでいて、関係者は誰も損をしないという絵を描くか……)

不知是為了整理思緒,還是單純閒不住,信長用手中的扇子拍向另一手。每當啪嗒啪嗒發出悅耳的聲音,池便驚得縮起背脊,光秀則因思忖事情的發展而越發緊張。

考えを纏めるためか、単なる手持無沙汰からなのか、信長は手にした扇子でもう片方の手を叩く。ぱしんぱしんと小気味良い音が響く度に、池はびくりと背を竦(すく)ませ、光秀は話の行く末を思い緊張を深めていた。

靜子察覺到信長心中損得的天秤正在搖動,採取等待答案出來再行觀望的姿態。

静子は信長の中で損得の天秤が動いている事を察し、答えが出るまで見守る姿勢となっていた。

(本願寺先不論,要排除毛利還需要好幾年。若如此,遲延四國統一以引誘毛利鬆懈會更有利。再者若靜子能滲入長宗我部的基幹產業,就不用擔心長宗我部會反水,這點很重要。為了收穫更大的果實,不良的花就該間引,讓長宗我部內部的膿瘡盡數曝出較好。)

(本願寺はともかく、毛利を排するには未だ数年を要しよう。ならば四国統一を遅らせ、毛利の油断を誘った方が有利となる。更に長宗我部の基幹産業に静子が食い込めば、長宗我部の裏切りを考える必要がなくなるというのが大きい。より大きな果実を収穫するためには、不出来な花は間引くに限る。長宗我部の身内の膿は、出し切らせた方が良い)

此外在面向後方的九州時,有沒有堅固的補給基地戰略差異極大。若不僅能走陸路,也能從海路進攻,將對沿岸諸國造成巨大壓力。

更に後に控える九州を睨んだ際にも、盤石な補給基地があるのとないのとでは戦略が大きく変わる。陸路だけではなく、海路からも攻めることが出来れば、沿岸部の国に対して大きな重圧となり得る。

若由此切入瓦解九州勢力,即便毛利與九州某處結盟,也可將九州陷入戰亂,從而孤立毛利。

そこを突いて九州の勢力を切り崩せば、仮に毛利が九州の何処(いずこ)かと手を結んだとて、九州を戦乱状態に陥れ毛利を孤立させることが出来るだろう。

(無論如何都對我無損。即便延緩四國統一,推進要塞化的策劃仍然有用。)

(どう転んでもわしに損はない。四国統一を遅らせてでも、要塞化を進める策は有用だ)

啪的一聲特別響亮。在眾人屏息以待時,信長猛地合上扇子發出的聲響,藉此吸引眾人目光,開始說話。

パンッと一際強い音が響き渡った。全員が固唾をのんで見守る中、信長が扇子を強く閉じた際に発した音だが、皆の目線を集めた事を機会に信長が言葉を発した。

「可以。原本由長宗我部統一四國是你繪的藍圖。就照你想的辦吧」

「良いだろう。元より長宗我部による四国統一は貴様が描いた絵図面(えずめん)。貴様の思うようにするが良い」

「哈哈!」

「ははっ!」

靜子先應聲,其後光秀與池也跟著行禮。

最初に静子が応じ、遅れて光秀と池が倣う。

「以內政為主,確實鞏固基礎。戰事則視情況應對。可從伊予國撤手,但絕不可讓敵從伊予國向外溢出。」

「内政を主に据え、しかと足場を固めるのだ。いくさについては適宜対応せよ。伊予国からは手を引いても構わぬが、敵が伊予国より外へ出ることはまかりならぬ」

「遵命。」

「承知しました」

得到信長的裁可後,靜子鬆了一口氣。關於戰鬥,只要能維持現狀勢力分布,甚至獲准可以放棄已侵佔之地。

信長の裁可を得られたことに、静子はほっと胸を撫で下ろしていた。戦闘についても現状の勢力図を維持できれば、侵攻した地点を放棄しても良いとの許可さえ頂けた。

內政部分取決於長宗我部的治政治能,但既然光秀承諾出力,靜子樂觀地認為他會負責完成。

内政については長宗我部の政治手腕次第だが、光秀が出来ると請け負った以上は、彼が責任を以て成し遂げてくれる筈だ。そう静子は楽観視していた。

「可以退下了。」

「下がって良いぞ」

聽到信長的話,靜子等人深深低頭,離開了謁見之間。

信長の言葉に、静子たちは深々と頭を下げ、謁見の間を後にした。

結束與信長的謁見後,眾人再次被引導回待命室休息。

信長との謁見を終えた静子達は、休憩を取るため再び控え室に案内されていた。

「事情漂亮地談妥真是太好了。卸下肩上重擔時的一口茶格外美好。」

「話が綺麗に纏まって良かったですね。肩の荷が下りた時の一服は格別です」

完成一件差事模樣的靜子滿臉放鬆地啜茶。光秀與池也跟著,但沒有靜子那麼有解脫感。

一仕事終えた体(てい)の静子は完全に弛緩した表情で茶を啜(すす)る。光秀と池もこれに倣うが、静子ほど開放感を得てはいなかった。

「靜子大人。此次又蒙您大力相助,深表感謝。我主君也才能稍微安心了。」

「静子様。此度も一方(ひとかた)ならぬお力添えを賜り、誠に有難く存じます。我が主君も、これで幾分落ち着くことが出来ましょう」

安心下來的池向靜子道謝,接着也向替她轉達的光秀表達感謝。

人心地ついた池が静子に礼を述べ、次いで取り次いだ光秀にも感謝を告げた。

「那就太好了。對我們來說四國也必須穩固無虞,為此不惜費心費力。」

「それは何よりです。こちらとしても四国は盤石であって頂かねばなりません、その為の手間暇を惜しむつもりはありません」

對靜子而言,越早統一四國越好。但若因急促而造成政權不穩,像是需要時間才能見效的農業與水產研究就很難保障。

静子としては四国統一が早いに越したことはない。しかし、急いだ結果として不安定な政権となれば、結果が出るまでに時間を要する農業や水産業の研究などとても覚束(おぼつか)ない。

而且,在已確立支配的土地派遣人員作為同盟國,與受對方邀請從產業起步階段就參與,能施加的影響範圍差異甚大。

それに支配が確立された土地に、同盟国として人員を派遣するのと、相手の招聘(しょうへい)を受けて産業の立ち上げ期の開始時から携われるのとでは、及ぼせる影響範囲に大きく差が生じる。

「接下來的事您打算如何處理?」

「これからの事は如何様にお考えで?」

「聯絡網維持現狀。請繼續由明智大人與池大人負責統籌四國相關事務。我會在京留下一名聯絡員,如有事請透過那邊聯絡。」

「連絡網は現状を維持します。引き続き明智様と池様で四国に関する取りまとめをお願いします。私は京に連絡員を残しておきますので、何かあればそちらを通じて連絡をお願いします」

雖說要把計畫提前,但沒有必要變更現有的長宗我部、光秀與靜子的聯絡網。對靜子來說,將先前醞釀的方案改寫成執行計畫後,暫時就會忙不過來。

計画を前倒しにするとは言え、現状の長宗我部、光秀、静子の連絡網を変更する必要性はない。静子としては以前から温めていた案を、実行計画へと焼き直すことで当面は手一杯となる。

「明白了。今後也請多多關照、拜託了。」

「承知しました。それでは今後ともよろしくお頼み申し上げまする」

休息結束、離開臨時御殿時向光秀和池道別後,靜子即匆匆前往尾張。回家後立刻進入辦公室,開始審閱堆積的文件。

休憩を終え、仮御殿を出たところで光秀と池に別れを告げ、静子は早々に尾張へ急いだ。帰宅してすぐに執務室へ入り、溜まっている書類へと目を通す。

按優先順逐一閱讀文件後,發現農業方面大致上沒有大問題。不過,依靠人力的農作效率已近頂點,作為事業的成長空間變小了。

優先度順に並べられた書類に次々と目を通していくと、農業に関しては大きな問題もなく推移していることが判る。ただし、人力に拠る農作業の効率化は頭打ちとなっており、事業としての伸びしろは小さくなっていた。

另一方面,因為明年將開始搭載史特林引擎的耕耘機實用試驗,若成功則可望有更大飛躍。

一方、来年からスターリングエンジンを組み込んだ耕運機の実用試験が始まるため、これが成功すれば更なる飛躍が望めるとあった。

「首先是最需要動力的耕耘機,但若能將史特林引擎小型化,將來可用於插秧機,雖然聯合收割機的開發要困難得多,但總有一天可能會開發出來。有人對導入機械以圖省力抱持排斥感,但如果讓他們使用,就會理解其有用性。」

「まずは最も力が必要な耕運機だけど、スターリングエンジンの小型化が出来れば、いずれ田植機に、少し桁違いに難しいけど、いつかはコンバインが開発できるかもしれない。機械を導入して楽をすることに忌避感を覚える人も居るみたいだけど、使って貰えればその有用性は理解できるはず」

任何新技術一開始必定會有否定意見,若那意見有道理就會傾聽,但若只是情緒性反抗則不予理會,寧可訴諸權力也要推進機械化。

新しい技術とはどんなものであっても、最初は必ず否定意見が出る。その意見に理があれば拝聴するが、単なる感情からくる反発であれば聞くつもりもない、権力に訴えてでも機械化を推し進めるつもりであった。

「啊,對了,快得去向近衛大人和德川大人等各方面拜會了……」

「ああ、そう言えば、もうすぐ近衛様や徳川様、各方面にご挨拶に行かないと……」

五月預定要去向在京的前久、在遠江的家康等相關各方致意。雖無特別目的,但靜子認為維繫這類人脈很重要。

五月は京にいる前久、遠江にいる家康など、関係各所に挨拶へ赴くことが予定されている。これといった特別な目的があるわけではないが、こういったコネクションの維持は重要だと静子は考えていた。

五月中旬。梅雨來臨前,靜子開始各處拜訪致意。首先前往安土,試探主君信長的心情。

五月中旬。梅雨入りを前に、静子は各所への挨拶回りを始める。まずは安土へ赴き、主君たる信長のご機嫌を窺う。

在那時上繳了成批的軍資與軍需物資,以及其他作為贈禮的各種產物。這些產物在平時不過是壓在靜子倉庫裡的貨物,但落在擅長政治的信長手中,能產生超過鉛彈的戰果。

その際に纏まった軍資金や軍需物資、その他贈答品として用いられる各種産物を上納した。これらの産物は平時に於いては、静子の蔵を圧迫する荷物に過ぎないが、政治に長けた信長の手に掛かれば鉛弾以上の戦果を挙げる。

即便在尾張是司空見慣之物,運到京中也會被加上作為尾張流行品的價值。本就高價的物品,安土的地理位置最能有效運用,這一點理想無比。

尾張ではありふれた品であろうとも、京まで運べば尾張の流行品として価値が上乗せされる。ただでさえ価値の高い品々を、最も効果的に使いこなせる立地、その点安土は理想的であった。

「已確實收到你的忠義,辛苦了。」

「貴様の忠義、確かに受け取った。大儀であった」

短暫寒暄後,靜子離開安土,前往京城。

短い挨拶を交わした後、静子は安土を経ち、京へ向かった。