戦国小町苦労譚
一五七四年 六月中旬
四月。為採油而栽培、放眼望去一片的油菜花田進入最盛期,宣告了較晚抵達尾張的春天。
四月。採油目的に栽培されている見渡す限りの菜の花畑が最盛期を迎え、尾張に遅めの春が到来したことを告げていた。
隨著日益轉暖、人們活動也趨活躍之際,信長發布了數道新法令。那並非獲得帝的勅許的全國性法令,而是限定於織田領內、偏向內向的規定。
日増しに暖かくなり、人々も活動的になる頃を見計らって信長が幾つかの新しい法令を発布した。それは帝の勅許を得た全国的なものではなく、あくまでも織田領内を対象とした内向きのものであった。
當然以尾張與美濃為主,新納入的越前與近江也在適用範圍內,雖各領地有附則與細則,整體上仍由三大支柱構成。
尾張や美濃は勿論、新たに領地へ組み込まれた越前や近江も対象であるため、領地ごとに附則、細則を付け加えられてはいたが、大筋では三本柱からなる法令であった。
第一項是「樂市樂座令」。此在尾張與美濃已成常態,但考量戰災復興亦擴展到新領地。
一つ目は『楽市楽座令』。これは尾張や美濃では当たり前となっている内容だが、戦災復興を見込んで新領地へも拡大したのだ。
大意是「建立排除享有特權的商工業者之自由交易市場,並對妨害者施以罰則」。
大筋としては「特権を持つ商工業者を排除した自由取引市場の創設と、それを妨害する者に対する罰則」からなっている。
基於在信長掌控較近的尾張與美濃所累積的經驗,此亦帶有在非直轄遠地試行導入的實驗性質。
信長の目が届きやすい尾張・美濃で培われたノウハウを元に、直轄領でない遠地での導入という実験的施策という側面もあった。
第二項是所謂的「刀狩令」,即武具徵收令。此令在尾張、美濃已施行,現擬擴及新領地。
二つ目は所謂(いわゆる)『刀狩り令』と呼ばれる武具徴収令であった。こちらも尾張・美濃では施行済みであり、新領地へ向けた法令となっている。
當時若為有戰事經驗的農民,常會持有刀、槍等武器。當為爭取水利等發生村際紛爭時,這些武器便易被拿出,並容易發展成命案;犧牲者又招致更多犧牲,使紛爭擴大。
当時はいくさ経験のある農民であれば、刀や槍などの武器を持っていることが多かった。そして水利などを求めて村同士で紛争が起こると、これらの武器が持ち出され容易に人死にへと発展した。そして犠牲者が更なる犠牲者を呼び、紛争が拡大していく傾向にあった。
為扼殺這些端緒,令文規定除武士外之人應受限於武具所有。當然若以權力強行沒收恐招致反彈,故在有適當理由時仍允許所有。
これら端緒を挫く意味でも武士以外の者は、武具の所有を制限されるという内容であった。勿論、権力を以て無理やり取り上げれば反発を招くため、適切な理由があれば所有が認められた。
然而武具所有伴隨管理責任,倘若被盜用於犯罪,持有者亦將面臨嚴罰,這是一項不可忽視的風險。
しかし、この武具の所有には管理責任が伴い、万が一盗まれて犯罪に使用されれば、持ち主にも厳罰が課されるという看過できないリスクが付き纏った。
若早期配合解除武裝,則會以尾張式鐵製農具代替武具供給,因此少有人執著於保留武具。
早期に武装解除に応じれば、武具の代わりに尾張式の鉄製農具が支給されるため、武具の所有に固執するものは多くなかった。
最後一項為「政教分離令」。此禁制僧侶之間的法論,並禁止為政者偏向特定宗教。
最後の一つが『政教分離令』であった。これは僧侶に対する法論(ほうろん)の禁止と、為政者に対して特定の宗教への傾倒を禁止したものであった。
前者的法論(亦稱宗論)是指在教義有異的宗教間,圍繞彼此教義優劣與真偽所展開的論爭。
前者の法論(宗論とも呼ばれる)は教義の異なる宗教間で発生する、互いの教義の優劣や真偽を巡って行われた論争だ。
簡言之近乎口角,但若無法決着,訴諸武力便成自然趨勢。有如法華宗一類,自始挑起爭端以吞併對方,並以武力鬥爭擴張勢力的例子。
極論すれば口喧嘩であるが、決着がつかねば武力に訴えるようになるのは自然の流れであった。端から相手を併呑(へいどん)するため喧嘩を吹っかけ、武力闘争で勢力を伸ばした法華宗のような例もあった。
在欲終息亂世之際,如再播下紛爭火種則本末倒置,故此令不問是非,凡涉入者一律處以嚴罰。
乱世を終息させようという時に、新たな紛争の火種を撒かれては本末転倒となるため、この令に関しては是非を問わず、関与した者すべてに等しく厳罰が課せられた。
其次是排除為政者的宗教色彩,例如若召募僧侶等為配下,需遵循一定程序,這為義務。
次に為政者に対する宗教色の排除だが、一例として僧侶などを配下に召し抱える場合、一定の手順を踏むことが義務付けられていた。
並禁止為政者偏袒或為特定宗教斡旋,亦禁止對特定宗教的不當壓迫;例外則允許對宗教勢力政治介入的監視,以及必要時以武力鎮壓。
また為政者自身にも特定の宗教への肩入れや口利き、逆に特定宗教に対する不当な弾圧を禁じた。例外的に宗教勢力の政治介入に対する監視や、武力を以てこれを鎮圧することは認めていた。
不過武力介入須獲得為政者以外的目付批准,以限制恣意濫用強權。
但し、武力介入するに当たっては為政者以外の目付け役の承認が必要となり、恣意的に強権を振るう事が出来ないよう制限されてもいた。
若違反此令,即便為政者亦可能遭受根切(斬首)等嚴厲處分。
これに反すれば、為政者であろうとも根切りもあり得るという厳しい処分が記されていた。
此令也有利處:宗教人士只要不干預政治,即享有信仰自由,並能將為政者的介入降到最低。
この令によって宗教家は政治への介入をしない限り、信教の自由が認められ、為政者の介入を最小限に出来るという利点も存在した。
由於這些法令為限定織田領內的領國令,一旦發布並廣為周知便即刻施行,先對寺社勢力徹底解除武裝,接著擴及民衆。
これらの法令は織田領内に限定される領国令であるため、発布され周知が行き渡ると即座に施行された。まず徹底した寺社勢力への武装解除が行われ、続いて民衆へとその対象を移していった。
對於優待特定宗教的領主,則沒收其領地並予以流放。受惠者亦同樣適用,若涉入政治便被沒收所領,相關者全部自寺社被驅逐。
次に特定宗教を優遇していた領主に対しては、領地没収の上、追放された。これは優遇を受けた側にも適用され、政治介入していたとして所領を没収され、関係者全員が寺社から追放された。
當然產生了異議與反駁,然而信長不予採納;即便被駁回仍強辯者,亦一律處以流放。
当然、異論や反論で紛糾した。しかし、信長はその一切を聞き入れず、却下されても尚言い募った者に対しては、等しく追放処分とした。
信長明白若容許一個例外,其他也將被迫逐漸接受,最終形同虛設,因此他堅持斷然立場。
一つでも例外を認めれば、なし崩しに他も認めざるを得ず、最終的に形骸化してしまう事を信長は理解していた。それ故に、信長は断固たる姿勢を貫いた。
甚至連消極抵抗即破壞行為(サボタージュ)也不容許,要求定期回報進度,若無正當理由延誤處理,無論是誰皆會受罰。
さらに消極的な反抗であるサボタージュも認めなかった。定期的に進捗を報告させ、正当な理由なく対処が遅れれば、誰であろうと罰を下した。
反過來,倚仗信長威勢對宗教人士恐嚇或壓迫者,亦無一例外被斬首;對於仍堅守徹底抗戰立場的寺社,則施以焚燒討伐以求根絕。
逆に信長の威を借って宗教家に対する脅迫や弾圧を行った者は、これも例外なく斬首された。そして徹底抗戦の構えを崩さなかった寺社に対しては、焼き討ちを行い根絶やしにした。
公正而苛烈——這便是人們對信長政教分離令的評價。
公正にして苛烈。それが信長の政教分離令に対する評価となった。
法令施行一個月後,順從與反抗的實例皆已陸續出現,眾人開始認為即便有些不便,服從仍較為有利。
令の施行より一月も経てば、恭順した場合と反抗した場合の例が出そろい、多少の不都合はあっても従った方が得策だと皆が考えるようになった。
如此一來,解除武裝便順利推進,信長命閒置的家臣們去實施檢地。
こうして円滑に武装解除が進むようになり、手の空いた家臣達へ信長は検地の実施を命じた。
「黑鍬衆的測量班全員外出,都是因為這個緣故嗎……」
「黒鍬衆の測量班が、全員出払っているのはそのせいか……」
靜子看著各地寄來請求派遣黑鍬衆的陳情書低聲喃喃。織田家雖已確立檢地手續,但能執行迅速且精確測量的人員,除了靜子的黑鍬衆外無人可及。
静子は各地より寄せられる、黒鍬衆派遣の陳情を見て呟いた。織田家では既に検地の手順が確立されているが、迅速かつ正確な測量を実行できる人員となると、静子の黒鍬衆以外にはいなかった。
此外,信長所命的檢地包含拆除不必要的城郭,結果需要大規模土木工程;與其全自給自足,不如即使排隊也請靜子派遣人力更為省錢。
更に信長の命じた検地には、不要な城の撤去が含まれていた。結果として大規模な土木工事が必要となり、自前で全てを賄うよりは、順番待ちをしてでも静子に人材派遣を要請する方が安上がりとなった。
「優先度較高的地區為近江與越前。關於差配已請足滿大人確認。」
「優先度の高い地域は、近江と越前となっております。差配については足満様にご確認を頂きました」
蕭說明了在靜子不在時所推進的事項:受理陳情書、由蕭擬定基本計畫草案,並在取得足滿與信長的承認後派遣人員。
蕭が静子の留守中に進めておいた内容を説明する。陳情書を受け付け、蕭が基本計画の草案を練り、足満と信長の承認を得た後に、人材の派遣を行っていた。
起初,蕭以先到先受理方式接收請求,計畫不考慮測量地面積而均等派遣固定人數。蕭曾輕視人員派遣之事,但被出示計畫書的負責人一致表示不滿。
当初、蕭は先着順に要請を受け付け、測量地の広さを考慮しない一定人員を均等に派遣する計画を立てた。人材派遣程度と蕭が侮っていたこともあるが、計画書を見せられた担当者は一様に不満を述べた。
因為這種不顧派遣地實情的粗糙計畫,差點引發連領主也被捲入的政治博弈,足滿遂主導指揮並重新檢討計畫。
派遣先の実情を考慮しない杜撰(ずさん)な計画に、領主をも巻き込んで政治的な駆け引きが始まりそうになったため、足満が指揮を執って計画を見直した。
由於此事關係領地未來,蕭被迫理解須對派遣地情況、地理資訊乃至派遣人數規模等事宜審慎以待。
領地の将来を左右する重要案件であるため、派遣先の事情や地理的な情報、派遣人員の規模に至るまで細心の注意が必要であると蕭は否応なく理解させられた。
見到靜子手持資料彷彿早已將那些情況納入考量般,接連擬出草案,蕭對她廣博的見識與高超的實務能力驚嘆不已。
それらの事情は最初から織り込み済みと言わんばかりに、資料を片手に次々と素案を書き上げていく静子を見て、その見識の広さと実務能力の高さに舌を巻いた。
「看起來特別把人力分配到近江一帶,這是為什麼呢?」
「やけに近江一帯へ人員を割いているように見えるけれど、これは何故かな?」
「是為了安土周邊的調查,以及隨之而需的工程。」
「安土周辺の調査と、付随する工事のためです」
「原來如此呢」
「なるほどね」
作為信長居城的安土城,設計上更重視政治上的便利性,而非純粹軍事防禦設施。因此,安土城附近那些可能成為軍事據點的城郭幾乎都被廢棄。
信長の居城となる安土城は、軍事的な防衛施設というよりも政治的な利便性を重視して設計されていた。それ故に、安土城近辺にある軍事的拠点となる城は軒並み破棄するという。
由於火槍與火藥的出現,火力突出的戰國時代已不存在難攻不落的城堡。與其建造堅不可摧的防禦,不如把防禦維持在最低限度,並徹底摧毀周邊那些可以藏匿大量軍隊的據點,反而能確保安全。
銃や火薬の登場により、火力面が突出した戦国時代に於いて、難攻不落の城というのはあり得ない。ならばいっそ防御は最小限にとどめ、周辺地域に大量の軍を潜ませ得る拠点を軒並み潰した方が安全性も確保できる。
地理上也位處連結京師與堺、以及尾張與東國的要衝,可作為物流動脈的絕佳地點。不論朝向京都一帶或東國方向,一方可成為轉乘水運前的中繼據點,另一方則可作為越山前的補給地,安土因此吸納大量資金並非難以想像。
地理的にも京や堺と、尾張や東国とを結ぶ要衝に位置し、物流の動脈として機能し得る恰好の立地であった。京方面や東国方面のどちらに向かうにせよ、片や水運への乗り換え前の拠点となり、片や山越えを控えた補給地として機能し、安土に大量の金が落ちることは想像に難くない。
「堺的豪商們也會競相爭取進駐,想要開店吧。我總之已了解。工程開始後應該會需要運送資材,不過目前應該沒問題吧。」
「堺の豪商たちも鎬を削って、店を持とうとするだろうね。とにかく了解したよ。工事が開始されれば資材の運搬が必要となるだろうけど、今のところは大丈夫かな」
「好的。那麼,我就先告辭了。」
「はい。では、これにて失礼致します」
蕭得到靜子的及格評價後鬆了一口氣。蕭離開後,靜子轉而看向另行分類的文件,內容關於靜子所經營的學校。
静子から及第点を貰えたことに蕭はホッと胸をなで下ろした。蕭が去った後、静子は別に仕訳けられた書類に目をやった。内容は静子が運営する学校に関することだった。
起初只是針對在靜子宅邸工作的職員開辦的私塾,但獲得培養有能人材的評價後,其規模便不斷擴大。
当初は静子邸で働く者を対象に始めた私塾であったが、有能な人員を輩出するという評価を得てからは、その規模は拡大の一途を辿っていた。
有力者聽聞風聲後競相送子女來就讀,已不可能再侷限於靜子宅邸的場地規模內。
噂を聞きつけた有力者たちが競うように子女を送り込むようになり、到底静子邸の敷地内で収まるような規模で収まらなくなった。
身分較高的學生還會帶來侍從協助日常起居,因此急需興建與學校並設的寄宿舎。
身分の高い子弟は、身の回りを世話する人員をも連れてくるため、急遽学校と併設される寄宿舎をも建てることとなった。
由於缺乏廣大土地,無法在靜子宅邸附近取得足夠用地,只得開墾山麓一帶準備土地,預計以史上首見的全寮制學校於五月開校。
広大な敷地を有するだけに、静子邸付近に土地を確保できず、山裾にある一帯を切り拓いて土地が用意され、史上初の全寮制学校として5月から開校する見込みとなっていた。
「唉唉,我本想在學業上不分身分,讓所有人皆處於同樣的環境……但也沒辦法吧。」
「やれやれ、勉学に於いては身分を関係なく、全員一律同じ環境にしたかったけど……仕方ないか」
靜子一邊抓頭一邊嘆了口氣。本不打算弄得這麼誇張,但如今已無法回頭。
頭を掻きながら静子はため息をついた。ここまで大げさにする予定はなかったのだが、最早後戻りはできない。
以『本邦最高學府』之名招牌,織田家族與重臣們的子弟將並肩就座。當然,為了讓孩子建立人脈,送來就讀的家長絡繹不絕。
本邦最高学府という触れ込みで、織田家一族や重臣たちの子弟が机を並べることとなる。当然子供たちにコネを作らせるべく、送り込まんとする親が後を絶たない。
相對地資金充裕,學校預計可收約兩百名學生。至於寄宿舎則需能容納近五百人的規模,其設施之龐大甚至讓大寺院都相形失色。
代わりに資金は潤沢に集まり、学校の定員は200名ほどになる見込みとなった。一方寄宿舎については、500人近い人員が生活できる規模が必要となり、大寺院が霞むほどの設備が出来上がっていた。
「嘛,實際運作後才知道會不會有不便。就睜一隻眼閉一隻眼,對於比預定多的收容人數不計較吧。」
「まあ、実際に運用して見ないと不都合なんてわからないよね。予定よりも定員が多い事には目を瞑ろう」
靜子強迫自己接受這個理由,簽下決裁後收拾文件。時光流逝至四月下旬,接收來自遠方的入學申請者入住寄宿舎,學校提前開始運作。
無理矢理自分を納得させた静子は、決裁の署名を書き込むと書類を片付けた。やがて月日が流れ、4月後半。遠地よりの入学希望者を寄宿舎に迎えて、一足早く学校の運営が始まった。
到了五月,信長重視內政的方針仍未改變。他也著手做原先因優先順序而被擱置的森林整備,定期實施間伐與植樹,改善里山視野,藉此消除山賊與盜賊等潛伏之處。
5月になっても信長の内政重視の方針は変わらなかった。優先順位の関係で後回しになっていた森林整備にも手を付け、定期的に間伐と植樹を励行し、里山の見通しを良くすることで山賊や野盗などの潜伏場所を無くした。
因為有計畫的伐採與植樹,表土流失減少,流入河川的泥沙也變少。不僅限於山地,亦進行河川整治、防洪、港灣整備、街道修築、檢地,以及配發新領地戶籍、組織自警團並打擊犯罪,由此可見信長對內政的重視。
計画的な伐採と植樹が行われるおかげで、表土の流出が少なくなり、河川に流入する土砂も少なくなった。山だけに留まらず、河川整備に水害対策、港湾整備、街道普請、検地と並行して新領地への戸籍配備、自警団の組織と、犯罪の取り締まりを行った。如何に信長が内政に力を入れているかが窺える。
信長認為透過消除社會的不安,可以促進活躍的經濟活動,結果讓社會變得富裕。
社会から不安を取り除くことで、活発な経済活動を促進し、結果的に社会が豊かになるというのが信長の考えであった。
信長不僅自己如此,還命令家臣們投資並整備社會基盤。領主親自主導公共工程以創造就業,當民眾口袋變寬,新的需求便會出現,經濟活動遂會加速。
信長は自身だけに留まらず、家臣達にも社会基盤への投資を行い、整備をするよう命じた。領主自身が主導で公共事業を行うことで、雇用を創出する。民の懐が潤えば、新たな需要が生まれ、経済活動が加速すると説いた。
尤其重視的是街道整備。他反覆教導,促進流通正是帶動經濟活性的關鍵。
特に力を入れたのが街道整備であった。流通を促すことこそが、経済活性化に繋がると繰り返し諭した。
按戰國時代的常識,若要整備街道便會容易讓外敵侵入,是傾國之策。因此連在河川架橋都不做,道路也儘量設為蜿蜿曲折為宜。
戦国時代の常識としては、街道整備などしようものなら外敵の侵入を容易にする傾国政策である。この為、河川に橋を架けることすらせず、道も可能な限り蛇行させる方が良いとされた。
然而信長將改善交通之便、使國家致富的利益置於被敵人進攻的風險之上。
しかし、信長は敵に攻められるリスクよりも、交通の便を良くすることによって国を富ませる事を優先とした。
對此政策,原本密切關注織田動向的北條也感到極度混亂。考慮到與武田、北條之間不久將起的戰事,此舉似乎只會有利於敵方,因而難以揣測信長的真意。
この政策には織田の動向に注意を払っていた北条も酷く混乱した。遠からず始まる武田・北条とのいくさを考えれば、敵に利する行為にしかならないため、信長の真意が何処にあるか測りかねていた。
此外,隨之實施的「刀狩り」從可成為兵士的百姓手中收繳武器,更加劇了混亂。若人人持有武器,便可在緊急時刻迅速應變。
更に併せて実施された『刀狩り』によって、兵士となる百姓から武器を取り上げた事が混乱に拍車をかけた。各自が武器を持っていれば、緊急の場合に即応することができる。
無論如何看來似乎毫無利益可言,但對擁有常備軍的信長而言,這只是推進兵農分離的既定路線。
どう考えても明らかに利が無い行動に見えた。しかし、常備軍を抱える信長からすれば、兵農分離を推し進めているだけで、既定路線であった。
一旦戰端開啟,各地駐紮、受過戰鬥訓練的士兵即可趕來,其訓練與素人僅持武器者不可同日而語。
いざ戦端が開かれれば、各地に駐屯している戦闘訓練を受けた兵士が駆けつける。その練度は、武器を持っただけの素人などとは比ぶべくもない。
話雖如此,常備軍始終是持續消耗資金的耗金怪獸。擁有常備軍曾是無法想像的事。
とは言え、常備軍というのは常に資金を消費し続ける金食い虫である。常備軍を持つなどと言うことは想像の埒外(らちがい)であった。
過了五月中旬,信長依舊無明顯動作。不僅信長,作為後繼者的信忠也無軍事行動的跡象。每當織田軍有大動作時,總能建功的靜子這次也忙於幕後工作,沒有公開行動。
5月の中旬を過ぎても信長に目立った動きは無かった。信長だけでなく、後継者たる信忠も軍事行動をしている様子がない。織田軍が大きく動くとき、決まって大功を上げる静子も、裏方仕事に従事しており動きが見えなかった。
吸引外國注意的,只有對拒絕解除武裝的寺社進行放火襲擊的堀秀政而已。他被信長任命為大將,並向靜子借用長可四處奔走,使世間震驚。
他国の耳目を惹き付けるのは、武装解除に応じない寺社に対して焼き討ちを行っている堀(ほり) 秀政(ひでまさ)ばかりであった。信長から大将に任じられ、静子から長可を借り受けて東奔西走し、世間を震え上がらせていた。
與對寺社的處理同步,長可也在執行信長交付的任務,該任務是發現並摧毀領地內不正設置的關所。
寺社への対処と並行して、長可は信長から受けた任務にも従事していた。それは領地内に不正に設けられた関所の発見と破壊であった。
這些可謂綱紀肅正般的紀律收緊,阻止了謀反者結黨。通常無論造反或革命,都需要以譴責對方不正為大義名分。
これら綱紀粛正とも言える規律の引き締めは、信長への反抗を目論む反乱分子の結託を阻害していた。一般的に反乱にせよ、革命にせよ、相手の不正を糾弾するという大義名分が必要となる。
然而對於自他皆嚴於律己且明顯有成效的對象,本就難以生出怨恨。再者因為廣泛分配墾荒與修路等工作給民眾,閒得無事可做的人本身也減少了。
しかし、自他ともに厳しく律し、目に見えて成果を出している相手には恨みを抱くことがそもそも難しい。更に広く民草にまで開墾や道普請などの仕事を与えるため、暇を持て余している人間自体が少なくなっていた。
在儒家的經書《大學》中有云:「小人閒居則行不善」,這是說小人(無足輕重的人)在無他人監視時會做壞事。
儒教の経書のうち一つ『大学』に曰く、「小人閑居して不善を為す」これは小人(つまらない人物)は他人の目が無いと悪い事をするという意味である。
也就是廣泛提供工作、引導萬民積極參與社會,自然就能減少爭端。
つまり広く仕事を与え、万民が積極的に社会へ関わるように仕向ければ、自然と争いは少なくなるのだ。
信長在這些對外動作的同時,也徹底整頓內部。他過去多有軍事行動,常常不在領內,因此內部沾染了腐敗。
信長はこうした外向きの動きと並行し、内部の取り締まりを徹底した。これまで信長は軍事行動が多く、領内を留守にすることも多かった。このため内部に腐敗を抱え込んでしまっていた。
這些腐敗即是年貢的盜用。對於稅收盜用,過去在某種程度上被當作職務之利而寬待;然而在尾張,所有徵稅相關人員都發給相應俸祿,故信長以令明言禁止此行為。
それは年貢の横領であった。税の横領については、ある程度役得として見逃されていた。しかし、尾張に於いては徴税に関する人員全てに相応の俸給が支給されるため、信長が令によって禁止することを明言していた。
即便法律完善,若不實際執行監督,人性也會驅使人為了更多利益而涉足惡行。
法が整備されたとしても、実際に取り締まりが行われねば、更なる利益を求めて悪事に手を染めるのも人の性(さが)であった。
過去因沉浸於戰亂,信長自己對歲入歲出已擴大到難以掌握細節。有人乘機將不法得利隱藏於其他帳目之中,或偽造文件以肥私囊,這類人開始出現。
今までは戦乱に明け暮れ、信長自身も歳入と歳出が大きくなり過ぎて詳細まで把握しきれていなかった。目が届かないのを良いことに、他の書類に紛れ込ましたり、書類を偽造したりして私腹を肥やす者が現れ始めた。
終於信長本人冷靜下來,開始進行內部調查時,驚人地發現了大量的侵占行為。這些皆非一次性的大規模盜用,而是反覆多次每次約十石左右的慣犯。
ようやく信長自身が落ち着いて、内部調査に乗り出したところ、驚くほど多くの横領が発覚した。いずれも大規模な横領とは言えない、10石程度の横領を何度も繰り返す常習犯であった。
僅是十石看似微不足道,但十石亦非可任意放任的數目。若任由貪腐之芽長成,必然會蔓延成無法挽回的不正之事。
たかが10石、されど10石。横領を放置して良い理由にはならない。悪の芽は早期に摘まねば必ずや大きく育ち、取り返しのつかない不正となって顕在化する。
民眾對官府不正之事相當敏感,對官的不滿若累積,最終會轉而對織田家表現不滿。信長反省自身失策,決心揮下重刀,做好以流血為代價整頓的準備。
民と言うのは官の不正には敏感であり、官への不満が募れば、最終的に織田家への不満となって結実する。信長は己の失策を反省し、大鉈を振るうことを覚悟し、出血覚悟で取り組んでいたのだ。
「想盡各種手段來發肥私囊,倒是很會動腦啊」
「あの手この手と、私腹を肥やすことに関しては知恵が回ることだ」
長可帶著無奈的語氣吐棄道。
長可は呆れたように吐き捨てた。
以總大將堀為首,長可實施了領地巡視。名義上是臨檢,實際上是糾問侵占事實,並警告其立刻改正態度。
総大将の堀を筆頭に、長可は領地の見回りを実施していた。名目上は臨検だが、実際には横領の事実を糾弾し、即刻態度を改めるよう警告していた。
對於過去的侵占,只要改過便不究,並保證能保留現有職位,這是一種相對寬鬆的警告。因此仍有人不肯認罪,試圖各種托詞來搪塞。
過去の横領については不問とし、態度を改めるのであれば今の地位を安堵するという比較的優しい警告であった。それ故に罪を認めず、何とか誤魔化そうとする輩が後を絶たなかった。
然而這也是最後通牒。警告後若改過則罷,否則將以武力處斷。事實上,堀與長可已多次以實力更替領主之位。
しかし、これは最後通牒でもあった。警告を受けて改心すれば良し、さもなくば武力を以て処断されることになる。実際に堀と長可はこれまでに幾度も、領主たちの首を物理的に挿げ替えていた。
「嗯,這附近吧?沒有申報的關所在哪裡?」
「さて、この辺りだったか? 届け出の無い関所とやらは」
未申報的關所絕不可存在。堀與長可來到有人密告的隱藏關所所在地,但即便四下查看,連小徑也尋不見。
無届の関所など存在してはならない。堀と長可は、密告のあった隠し関所の所在へと到着した。しかし、周辺を見回してみても関所どころか、小径(こみち)すら見当たらない。
「是被誤報了嗎?」
「偽情報をつかまされたか?」
「不,不是……聞得出味道。那是想掩飾作為的小人物的氣息。」
「いや違うな……臭う。作為を隠そうとする小者の臭いがする」
與一眼看不出關所的堀相對,長可眯起眼打量周遭。他的直覺看穿了巧妙偽裝下的不自然之處。
一見して関所を見出せなかった堀とは対照的に、長可は目を細めて周囲を見回していた。彼の勘が、巧妙に偽装された不自然さを見抜いていた。
細心觀察後,長可抓住了違和感的來源。下層雜草的高度奇異地整齊一致。長可試著抓起一把雜草,往下拔。
注意深く周囲を観察していた長可は、違和感の正体を掴んだ。鬱蒼と茂る下草の背丈が奇妙に揃っていたのだ。長可は試しにと、一束の下草を掴んで引き抜いた。
幾乎不用力便整株從根處拔起,顯然是人為栽植的痕跡。他以腳撥開表土後,踏實且乾燥的小道露出來了。
さして力を入れてもいないのに、綺麗に根から抜けた。明らかに人為的に植え付けられたものであった。表土を足で退かせると、踏み固められて乾燥した道が姿を見せた。
「原來如此,從路寬來看稱不上主要道路,但足夠讓個人走私。平時就這樣隱藏,與圖謀走私的商人串通走這條後路。因為僅是小規模走私,難以被發覺。」
「なるほど、道幅からして主要道路にはなれねえが、個人が抜け荷をするには十分だ。普段はこうして隠しておき、抜け荷を目論む商人と結託して裏道を通すわけだ。あくまで小規模の抜け荷に留まるから、容易には発覚しない」
雖然打算在主幹道外的細道上默默賺點小錢,但事態並不止於此;還牽涉禁制品的運入、罪犯的流入與逃逸,可能導致重大犯罪。
主幹道路から外れた細道で、細々と小銭を稼ぐつもりだろうが、ことはそれだけにとどまらない。禁制品の持ち込みや犯罪者の流入や脱出、重大な犯罪に繋がる悪事であった。
「偽裝用的表土是濕的,但下面的路是乾的。換言之,做這事的人還在附近。」
「偽装に使った土は湿っているのに、下の道は乾いている。つまり、これをやった連中は、まだ近くにいるって訳だ」
長可露出一抹得意笑,舉起那把長長的巴爾迪奇。他的部下明白狩獵就此開始,個個解下武器覆蓋,拔出刀刃跟在長可身後。
長可はニヤリと笑みを浮かべると、長大なバルディッシュを構えた。彼の配下は、狩りが始まると言う事を理解した。各々が手にした得物の覆いを外し、抜き身の状態にすると長可の後に続いた。
「好,那就上吧」
「ようし、それじゃあ行くか」
長可以若要狩獵野兔般輕鬆的口吻下達號令,部下無言高舉武器,長可為先沿路深入。
野兎でも狩るかのような気楽な口調で長可は号令を下した。長可の配下は無言で得物を掲げ、長可を先頭に道の奥へと分け入っていった。
大概會成為山中追捕,堀絲毫無意阻止。為取證隱蔽作業,命士兵回收那些不自然栽植的土塊作為證據。
恐らく山狩りになるだろうが、堀は止める気など毛頭なかった。隠蔽(いんぺい)工作の証拠として、不自然に雑草を植えられた土を兵士に回収させた。
對此不僅要追究實行者,也必須追究幕後主使的責任。悲鳴已然傳來,但堀毫不理會,返回向領主報告。
これに関しては実行犯は勿論、元締めにも責任を取らせる必要がある。早くも悲鳴が聞こえてきたが、堀は気にも留めず領主の許へと引き返していった。
臨近六月,靜子多半在溫室內作業。原因在於已進入收穫期的可可樹。
6月を目前に控え、静子はビニールハウス内で作業していることが多かった。理由は収穫期を迎えたカカオにあった。
可可苗在兩、三年內會長成成樹。於1571年1月栽種的可可,除掉幾株枯萎者外,多數苗木已長成樹。
カカオの苗は2、3年で成木へと成長する。1571年1月に植え付けたカカオも、立ち枯れしてしまった数本を除いて、多くの苗が成木へと成長していた。
可可不同於一般果樹,花直接長在樹幹上並結果,這種生長方式稱為幹生花;可可的花為一朵同時具雄蕊與雌蕊的兩性花,僅靠昆蟲授粉。
カカオは一般の果樹と異なり、幹に直接花が咲き、そして結実するという植生を持つ。これを『幹生花』と呼び、カカオの場合は雄しべと雌しべが同じ花にある両性花であり、虫によってのみ受粉が行われる。
可可花全年綻放,不分季節;據說一棵樹一年可開出約五千到一萬五千朵花。然而每朵花壽命極短,僅一到兩日便枯萎。
カカオの花は季節を問わず年中咲き、1年を通してみると1本の樹で5000から1万5000もの花が咲くと言われている。しかし、花それぞれの寿命は非常に短く、僅か1、2日で枯れてしまう。
傍晚晚些時候才開始開花,翌晨至上午達到完全開放,到了開花次日全數凋落。換言之可受粉的時間極其有限。
午後遅くに開花を始め、翌朝午前に掛けて完全開花する。そして開花した翌日には、その全てが枯れ落ちる。つまり受粉が可能な時間が極めて限られるのだ。
再者因為不分枝或幹而開花,有時花會開在極高處而人難以觸及,很多情況下花在無人看見的情況下即凋落。
更に枝や幹の区別なく花をつけるため、場合によっては恐ろしく高所に花が咲くこともある。人目に触れることなく枯れる場合が非常に多い。
因此可可的結實率偏低:一萬朵花中,只有約一百到三百顆能結出果實。
これらの事から、カカオの結実率は1万もの花に対し、結実するのは100から300程度と低くなってしまう。
當然不可能對每朵花都進行人工授粉。此處大量養殖尤斯里卡以放出協助授粉。過去有西方人在栽培可可時把樹與周圍清理得過於乾淨,導致結實率低下的逸聞亦有記載。
当然全ての花に対し人工授粉を試みるのは不可能だ。ここでは大量にユスリカを養殖し、受粉の為に解き放った。かつて西洋人がカカオを栽培した際に、カカオの木と周辺を清潔にし過ぎたため結実に至らなかったと言う逸話もある。
靜子從可可樹第二年開始開花起,便投入各種昆蟲嘗試授粉。結果在此環境中放出尤斯里卡時授粉率較高。
静子もカカオの木が花をつけ始めた2年目から、色々な昆虫を投入して受粉を試みた。その結果、この環境ではユスリカを放った際に受粉率が高かった。
基於此,今年成為第三年,便只集中放出尤斯里卡一種。是與其相性較好,或是冬季沒有其他開花植物干擾尚待分析,但無論如何,許多可可結果了。
これを踏まえて3年目となる今年、ユスリカ一本に絞って放虫した。相性が良かったのか、冬の時期に花をつける植物が他に無かったのが良かったのか、詳しい分析はこれからになるが、何にしても多くのカカオが実をつけた。
從放虫至今約半年,多數可可樹上掛滿了所謂的可可果莢。
放虫から約半年が経った現在、多くのカカオの木に鈴なりにカカオポッドと呼ばれるカカオの実がぶら下がっていた。
收穫本身並不困難,非靜子亦能為之,但她禁止他人代為採收。
収穫作業自体は難しくなく、静子でなくとも可能だが、彼女は自分以外の収穫作業を禁じていた。
理由是若在收穫時傷及枝幹,那處自翌年便不再開花。故此靜子對手能及的範圍以小刀小心採摘,高處則使用特製的高枝剪。
理由は収穫の際に、枝や幹を傷つけてしまえば、翌年からそこには花が咲かなくなるためだ。それゆえ静子は、手の届く範囲は小刀などで注意深く収穫し、高所については特注の高枝切り鋏を使用していた。
因為無法期待鋁製品,該工具全為鐵製,因而相當沉重且難以操作,僅由靜子一人執行作業。
アルミなど望めないため、総鉄製であり相応に重量もあり、扱いが難しいため静子のみが作業を実施していた。
「好吧……應該沒問題了」
「よし……もう大丈夫かな」
靜子判斷眼前垂掛的可可果莢已可收穫,取出採收用的小刀,謹慎地只將果實部分割下。
静子は目前にぶら下がるカカオポッドが収穫できると判断し、収穫用の小刀を取り出すと、慎重に実の部分だけを切り離した。
採下的可可果莢被厚實而堅硬的外殼包覆,內部包著白色柔軟的果肉(因為具纖維性稱為果漿),在其中包裹著約三十到四十五顆的種子,即所謂的可可豆(beans)。
収穫されたカカオポッドは分厚く硬い殻に覆われており、その中に白く柔らかい果肉(繊維質であるためパルプと呼ぶ)に包まれた種子、所謂カカオ豆(ビーンズ)が30から45個ほど取れる。
這部分果肉也是可食用的,但成熟且半透明時會有微微的甘味與些許酸味,口感類似椰果。
このパルプ部分も食用可能なのだが、熟して半透明に透き通ってきたものならば僅かな甘みと、少しの酸味を持つナタデココのような食感をしている。
雖談不上特別美味,但因為是讓可可豆產生巧克力風味所需的部位,所以會連同果肉一起取出種子。
取り立てて美味しいものではないが、カカオ豆にチョコレートの風味を持たせるのに必要な部位であるため、パルプごと種子を取り出していた。
要讓可可豆帶有巧克力風味,需要進行兩階段的發酵工序。
カカオ豆にチョコレートの風味を持たせるには、2段階の発酵工程を踏む必要がある。
現代的一次發酵主要有兩種方法:一種是將收穫的種子用香蕉葉包裹發酵(堆疊法),另一種是在大型種植園採用木箱發酵(箱式法)。
現代に於ける一次発酵では、大きく2種類の手法が取られる。一つは収穫した種子をバナナの葉で包み発酵させるヒープ法。もう一つは大規模プランテーションなどで採用される木箱を利用したボックス法があった。
視可可品種而定,但基本上兩種方法都差不多一週左右發酵完成。靜子的情況規模不大,又能取得同時栽培的香蕉葉,因此選擇了堆疊法。
カカオ豆の品種にも依るが、基本的にはどちらの手法を採用しても一週間ほどで発酵が終わる。静子の場合は、それほど大規模ではなく、かつ同時に栽培しているバナナの葉を入手できたため、ヒープ法を選択した。
在這個工序中採用了堆疊法的延伸——籃子法:在大竹籠內鋪滿香蕉葉,將仍被果肉包裹的種子放入,再從上方覆蓋香蕉葉。
この工程では大きく作った竹籠に、バナナの葉を敷き詰め、その上にパルプに包まれたままの種子を乗せ、再び上からバナナの葉を被せるというヒープ法の発展形であるバスケット法を取り入れた。
現代為了重視產量常把病變的可可豆一併發酵,但靜子則仔細地進行了篩選。
現代では『質』よりも『量』を重視するため、病変したカカオ豆も一緒に発酵させてしまうが、静子は丁寧に選別を行った。
對於被病害侵襲而變黑的可可豆當然會剔除,極端尺寸不同的種子也被排除。此時把太大而被漏掉的種子取出,撕下一些包覆周圍的果肉嘗了一下。
病気に冒され黒く変色したカカオ豆は当然取り除くとして、極端に大きさの異なる種子も選外として取り除いた。この際に大きすぎて選から漏れた種子を取り、周囲を覆うパルプを千切って口に運ぶ。
「嗯——微酸微甜」
「んー、甘酸っぱい」
實行了作為一次產業從業者特權的偷吃後,靜子像是要滅證般把剩下的種子分出來做為品種改良用。
一次産業従事者の特権であるつまみ食いを敢行した静子は、証拠隠滅とばかりに残った種子を品種改良用にと取り分けた。
發酵可可豆有兩個理由:一是喪失萌芽能力,另一是製造風味物質的前驅物。
カカオ豆を発酵させる理由は二つある。一つは発芽能力を失わせるためであり、もう一つは香味物質の前駆体を作り出すためである。
發酵前的可可豆如前所述被黏稠的果肉包覆,豆之間黏在一起形成不通氣的厭氧狀態,活躍於此狀態的是「酵母」。
発酵前のカカオ豆は前述の通り粘性のあるパルプに包まれているため、豆同士がくっついて空気が通らない嫌気状態になっている。この嫌気状態で活躍するのが『酵母』である。
酵母以約15%的果肉糖分為養分,將糖分轉化為酒精。
酵母は約15パーセントあるパルプの糖分を糧に活動し、糖分をアルコールへと変える。
一次發酵進行後,果肉會分解並從豆上剝落,或被可可豆吸收其成分。
この一次発酵が行われる事で、パルプが分解され豆から剥がれ落ちるか、カカオ豆に成分を吸収される。
於是可可豆轉為接觸空氣的好氧狀態,接著進入可可豆自身發酵的二次發酵階段。
するとカカオ豆が空気に触れる好気状態へとなる。この後、カカオ豆自身が発酵する二次発酵へとステージが移る。
在二次發酵中,活動主體從「酵母」轉為「乳酸菌」與「醋酸菌」。二次發酵初期乳酸菌較多,但隨發酵進行醋酸菌會增加,且醋酸菌在此扮演重要角色。
二次発酵では活動の主体が『酵母』から『乳酸菌』や『酢酸菌』に代わる。二次発酵初期段階では乳酸菌が多いが、発酵が進むにつれて酢酸菌が増える。この際に、酢酸菌が重要な役割を果たすことになる。
醋酸菌以一次發酵產生的酒精為基礎生成醋酸,當醋酸滲入可可豆時會降低豆的澀味成分;另外酒精與酸反應會生成酯,產生獨特的香氣。
一次発酵で産出されたアルコールを元に、酢酸菌は酢酸を生み出す。この酢酸がカカオ豆に染み込むと、カカオ豆の渋み成分を減らしてくれる。更にアルコールと酸が反応するとエステルが生成され、これが独特の良い香りを生み出すのだ。
因二次發酵的菌類為喜氧性,通常會一天攪拌約三次以促進發酵。
二次発酵に於いては菌類が酸素を好む好気性であるため、1日に3回ほど撹拌をして、発酵を促進させることもある。
額外一提,可利用可可豆的酒精發酵釀製可可酒,這是在可可原產地中南美古早就有的飲品。
余談だがカカオ豆のアルコール発酵を利用してカカオ酒を造る事が出来る。カカオの原産地である中南米では古くから飲まれている酒である。
將靜子偷吃過的種子在內,挑選形狀較大且沉重的種子培育下一代苗木。把種子播種在事先準備的盆裡,慢慢地觀察其生長。
静子がつまみ食いをした種子を含め、形が大きく重い種子を選別して次世代の苗を育成する。予め準備していた鉢に種を撒き、ゆっくりと生育を見守っていく。
目標是栽培出適應日本氣候的可可豆,但大型種子是否會成為強健品種尚不得而知;若保持多樣性並持續交配,將來仍有機會表現出優良遺傳特性。
日本の気候に適応したカカオ豆に育てることを目標とするが、大きな種子が丈夫な品種に繋がるかは不明である。多様性を持たせて交配を続ければ、いずれ優れた遺伝形質が表出する可能性もある。
把種了可可種子的盆栽放在陰涼處後,靜子接著去確認咖啡樹。咖啡樹也是由她親自管理,但可可和咖啡之外的植物已經脫離她的照料。
カカオの種を植えた鉢を日陰に安置すると、次に静子はコーヒーの木を確認することにした。やはりこちらも静子が直接管理しているのだが、カカオとコーヒー以外については静子の手を離れてしまっていた。
對於其餘的植物,已指派專任的照料者並進行交接。原因是靜子太忙,外出次數不斷增加,若由她負責專任就無法取得足夠的資料。
残りの植物については、専任の世話係を付け引継ぎを実施した。それと言うのも静子は多忙であり、家を空ける回数も増加傾向の一途であり、静子を専任とすると十分なデータが取れなくなってしまったためである。
咖啡樹已長到約90公分;超過100公分左右便會開始結果,因此還需再觀察一段時間。
コーヒーの木は、樹高が約90センチにまで成長していた。100センチを超える頃から結実を始めるため、後しばらく様子を見守る必要があった。
即使在溫室環境中,生長依然相當緩慢,靜子邊想著邊觀察咖啡樹的狀態。
温室環境にあるというのに、随分と緩やかな成長だと思いつつ、静子はコーヒーの木の状態を観察した。
幸好沒有病害的徵兆,確認到健康成長的樣子。
幸いにして病気らしき兆候も無く、健やかに成長している様子が確認できた。
最後在發酵可可豆的竹籠上寫下編號與日期,靜子離開了塑膠溫室。
最後にカカオ豆を発酵させている竹籠に番号と日付を書き込み、静子はビニールハウスを後にした。
坐在附近的休憩長椅上,靜子把一連作業詳細記錄下來。
付近にある休憩用のベンチに腰掛けて、静子は一連の作業について詳細を記録した。
因為靜子老實地做記錄,所以交接相對容易,但若不把當時的意圖、發現等詳載,她自己也會忘記,故成為不得不為的措施。
静子が律儀に記録を作成するため、比較的容易に引継ぎが出来ているのだが、彼女自身その時どのような意図で作業をしていたのか、どのような発見をしたかなど詳細に記録しないと忘れてしまうため、必要に迫られての処置だった。
記憶力不會突然變好,雖覺麻煩仍寫下有關可可樹與咖啡樹的作業日誌。大致寫完時,透過半透明的帷幕看見有人影朝這邊走來。
今更記憶力が飛躍的に伸びる訳もなく、面倒だとは思いつつも、カカオの木とコーヒーの木に関する作業日誌を書き付ける。おおよそ纏め終えたところで、半透明なファクチス越しに、こちらへ向かってくる人影が見えた。
當她發現直直朝這邊來的人影是由幾個人組成的團體時,靜子仰天嘆道又有麻煩事找上門了。
真っすぐこちらへ向かってくる人影が数人からなる団体だと気付いた時、静子はまた面倒な話が回ってきたんだと天を仰いだ。
「靜子大人,有急事的客人來了……如果您身體不適,要我請他們改天再來嗎?」
「静子様、急ぎのお客様がお見えです……お具合が悪いようでしたら、日を改めて頂くよう、お伝え致しますが?」
「沒事,只是在想事。今天有來客的安排嗎?」
「大丈夫、ちょっと考えごとしていただけ。来客って今日の予定にあったかな?」
「沒有,今日並無來客預定。」
「いえ、本日の来客予定はございません」
蕭一臉困惑地回答。靜子確信若是臨時趕來的急客,會變成相當麻煩的事。
困惑した表情で蕭が答える。飛び込みで急ぎの来客となると、非常に面倒臭い話になると静子は確信した。
「那、是誰來了?」
「で、誰が来たの?」
「是。柴田大人、佐々大人,以及我的父親。」
「はい。柴田様に佐々様、そして私の父にございます」
「……確定是棘手的事了。」
「……厄介な話、確定じゃない」
靜子一邊低聲嘟嚷,一邊垂下頭雙手覆臉。流言聽來,他們因針對加賀一向宗的挑釁而在軍議上發生激烈爭執。
静子は呟くと同時に、項垂(うなだ)れると両手で顔を覆った。漏れ聞こえてくる噂によると、彼らは加賀一向宗への挑発に関して軍議が紛糾しているとのことであった。
各派勢力相互牽制的派閥之爭,靜子本想裝作旁觀者因不關心武功,但既然各派的首領親自到訪,就無法再迴避。
それぞれに勢力が拮抗した状態での派閥争いであるため、武功に興味のない静子は傍観者の立場を気取るつもりだったが、それぞれの派閥の長が訪ねてきたとあっては避けることも叶わない。
「嗯,不能就這副打扮見人……先把客人引到應接間,那段時間請你去換衣服並準備其他事項。」
「まあ、この恰好のまま会う訳にはいかないし……取りあえず、お客様を応接間にお通しして、その間に着替えとか諸々の準備をお願い」
「哈哈」
「ははっ」
行了深深一禮後,蕭便跑去準備。
一度深く礼をした後、蕭は準備の為に駆けだした。
匆忙換好衣服、洗浴後趕往應接間時,他們已經坐在準備好的坐卓旁。理應隨從靜子的慶次,不知是不是討厭和前田利家談得離題,竟一手拿著酒壺往浴室去了。
急いで着替えや、入浴を済ませ応接間へと向かうと、彼らは既に用意された座卓についていた。本来静子に付き従うべき慶次は、前田利家と絡んで話が脱線するのを嫌ったのか、徳利片手に風呂へと向かってしまっていた。
「讓各位久等了」
「長らくお待たせ致しました」
「倒是我們要感謝,沒有事先通報就來訪,還替我們安排了會議場所,謝謝。」
「こちらこそ、先触れも告げず訪問したにもかかわらず、会議の場を設けて頂き感謝致す」
帶著才蔵坐到上座的靜子坐定後,柴田代表致禮並致謝。
才蔵を連れた静子が上座に着くと、柴田が代表して礼を述べた。
「各位也都很忙,免了客套直說。流言已略聞,今天的事是關於加賀一向宗吧?」
「皆様もお忙しいでしょう、建前は抜きで申します。お噂は漏れ聞こえております、本日のご用は加賀一向宗の件ですね?」
「正如所料,我等在對加賀一向宗出兵之前,就從第一步開始絆倒,無法向前推進。」
「お察しの通り、我らは加賀一向宗攻めを前にして、第一歩から躓(つまづ)いて前に進めておりませぬ」
如今擁有稱作真田家的情報部隊,不只外部,連織田家內部的動向也會陸續傳到靜子的耳中。無需刻意蒐集情報,只憑定期送來的報告便能掌握大致趨勢。
真田家という諜報部隊を抱えた今、外部だけに留まらず、織田家家中の動向も逐次静子の耳には届くようになっていた。意図的に情報を収集せずとも、定期的に齎される報告により大よその動向が掴めるのだ。
關於對加賀一向宗的挑釁,聽說各方爭論誰來承擔。要如何挑釁、如何讓對方先動手,仍未決定。
加賀一向宗に向けた挑発に関しては、誰がそれを担うかで揉めていると聞き及んでいる。どのように挑発し、如何にして相手に手を出させるかが決まらない。
因為大家都認為,只有獲得征伐的大義名分者才能有第一武功,於是互相牽制。若獨佔武功便會招致周遭反感,所以提出中庸方案反而會被人反駁而否決。
征伐の大義名分を得た者にこそ第一武功があると皆が考え、互いに牽制しあっているためであった。武功を独占しては周囲の反感を買うことになり、それゆえ中庸な案を出しては周囲から反論が上がって却下される。
「照目前這樣下去只會徒耗時日,絕對無法符合上樣的期望。但我們之中誰主導都會引起紛爭,因此特來祈求第三者靜子殿的協助。」
「今のままでは時ばかりが過ぎ、到底上様のご期待に副(そ)えぬ。しかし、互いに利害の絡む我らの誰が主導しても角が立つため、第三者である静子殿のご助力に縋(すが)りたく参った次第」
「(嗯……並非做不到……)是啊,與其為了武功互相牽制,不如乾脆不把它定為特定個人的功勞……」
「(うーん、出来なくはないけれど……)そうですね。武功をめぐって互いに牽制し合うぐらいなら、いっそ特定の武功にしなければ良いのではないかと……」
「若不把誰的功勞說清楚,就會影響論功行賞。您對此有何打算?」
「誰の功かをはっきりさせねば、論功行賞に障(さわ)りまする。そこについては如何様(いかよう)にお考えか?」
在柴田開口前,佐佐插話了。他的指摘很有道理,責任與賞罰之歸屬若不明確,必成爭端之源。
柴田が口を開く前に、佐々が会話に割って入ってきた。彼の指摘は尤もであり、責任や賞罰の所在というものは、はっきりさせておかないと諍(いさか)いの種となる。
正因承認有功並有褒賞,人才願意賭上性命,也因此才可能下達多少冒險的命令。
功ありと認められ、褒美があるからこそ命を賭けるのであり、多少無茶な命令を下すことが可能となる。
「並非要取消武功,而僅針對此事(……)由全體負連帶責任,視為全員的武功。之後的武功則照舊個別評價即可。」
「いえ武功を無くすのではなく、この件についてのみ(・・・・・・・・・)全員の連帯責任であり、全員の武功とするのです。それ以降の武功については、従来通り個別に評価すれば良い話です」
「嗯……不太明白您所指的意思……」
「む……仰る意味が良く判りませぬ……」
「抱歉。依序說明。各位認為只要挑釁加賀一向宗並把他們引到戰場,便是第一武功吧。但對上樣來說,把他們拖到戰場僅是大前提。那屬於準備階段,故應將此定為全員必須完成的共同目標。只有完成這點,各人才有資格站上互相競爭的舞台。若做不到,那便是全體的責任。把加賀一向宗引到戰場後,接下來如何迅速殲滅,便由諸君盡情競爭即可。」
「すみません。順を追ってご説明いたします。皆さまは加賀一向宗を挑発し、いくさばに引き出せれば第一武功とお考えですね。しかし上様にとって、彼らを戦場に引きずり出すというのは、大前提に過ぎません。準備段階であるため、これを全員が成し遂げねばならない共通目標とするのです。これが出来て初めて、互いに競い合う土俵に立てるのです。それを為しえなければ、それは全員の責となります。加賀一向宗をいくさ場に立たせ、そこから如何に早く平らげるかを存分に競い合われれば宜しい」
聽完說明的三人低聲表示認同。信長已下令討伐加賀一向宗,亦即獲得足以攻打加賀一向宗的大義名分,理所當然成為必要條件。
説明を聞いた三人は唸る。信長は加賀一向宗の討伐を命じた。即ち加賀一向宗を攻めるに十分な大義名分を得るのは、出来て当然の要件となる。
反過來說,將那之前的階段視為不計入、僅作為參加資格,根據實際征伐加賀一向宗的戰績給予武功,反而較為公平。
逆説的に、そこまでの段階はノーカウントとして考慮せず、あくまでも参加資格と捉え、実際に加賀一向宗を征伐した実績に応じて武功を与える評価方式とする方が公平だ。
因為能以數字確認具體成果,也較容易從信長那裡爭取到恩賞。
具体的な成果を数字で確認できるため、信長からも恩賞を引き出しやすい。
「……確實。上樣說的是先挑釁把對方拖到戰場,再予以征伐。若僅以把對方拖出來大肆宣稱為武功,未必能稱得上榮耀。不如若能以超越上樣期待的速度制壓,反而更能獲得嘉賞。」
「……確かに。上様は挑発して、いくさ場に引きずり出してから、征伐せよと仰った。それを武功と騒ぎ立てても誉(ほまれ)とはなり得まい。それよりも上様の期待以上の早さで制圧すれば、覚えがめでたくもなろう」
「首先就合作到準備好競爭的土俵為止……嗎?」
「まずは競い合う土俵を用意するまで協力する……か」
「道理講得通。那不在場的羽柴殿與明智殿應該也不會有異議吧?」
「話の筋は通っておる。この場に居らぬ羽柴殿や明智殿とて異存はあるまい?」
三人各自找到能認同的說法後,互看一眼點頭。靜子鬆了口氣,在心裡撫了撫胸口,想著這樣軍議應該能成行。
三人は自分なりに納得する言葉を見つけると、互いの顔を見て頷いた。これで軍議は何とかなる、と静子はホッと胸をなで下ろした。
當然,後來她會知道事情絕不會那麼順利。
無論、そんなに都合良く行くはずがない、という事を彼女は後に知る事となる。