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戦国小町苦労譚

一五七三年六月上旬

五月下旬,宣告戰國時代終焉的歷史性事件在美濃的岐阜城揭開序幕。

五月下旬、戦国時代の終焉を告げる歴史的イベントが美濃は岐阜城で幕を開けた。

號稱戰國時代代表性大名之一的上杉謙信,在信長的居城岐阜城行了臣下之禮。

戦国時代を代表する大名の一人と言っても過言ではない上杉謙信が、信長の居城である岐阜城にて臣下の礼を取った。

由此越後被納入信長的支配之下。這其間所意味的,並非僅僅是一國淪陷而已。

これを以て越後は信長の支配下に組み込まれる。これが意味することは一国が陥落しただけで終わらない。

從美濃向東的諸國若要上洛,必須通過信長的勢力範圍,結果上洛變得不可能。

美濃より東国は上洛しようと思えば、必ず信長の支配地を通らねばならず、結果的に上洛が不可能となった。

織田、德川、上杉三家聯手堵住通往西國的道路。

織田、徳川、上杉の三ヶ国で以て西国へ通じる道へ蓋をした。

此事對信長有利,能減少對東國動員的兵力,並得以集中兵力處理西國問題。

この事実は信長にとって東国に対して動員する兵数を少なく出来、かつ西国問題へと集中対応できるようになるというメリットを齎す。

另一方面,勢力被分割的越中與越前的一向宗陷入窘境。

一方、勢力を分断された形となった越中や越前の一向宗は窮地に陥った。

陸上補給線被切斷,被迫面對織田與上杉的兩面作戰。武力上不及的一向宗,無論如何也贏不了這場對抗。

陸伝いの補給路は断たれ、織田・上杉の二正面作戦を強いられることとなる。武力で劣る一向宗では逆立ちしても勝てない図式が出来上がっていた。

周邊諸國為因應瞬間改寫的勢力地圖而奔走時,元凶之一的靜子卻被其他事情忙得不可開交。

周辺国が突如として塗り替わった勢力図に対応すべく奔走しているなか、元凶の一人たる静子は別件で忙殺されていた。

「怎麼會變成這樣?」

「どうしてこうなった?」

靜子無法理解究竟發生了什麼導致現狀。上杉謙信到訪信長並臣服本在預料之中,問題出在其後。

何がどうなって今の状態になったのか、静子をして理解できなかった。上杉謙信が信長の許を訪ね、臣従するまでは予定通りだった。問題はその後だ。

「為何我們的新居祝賀會,不知何時變成歡迎上杉家的酒宴了呢?」

「どうしてうちの新築祝いが、いつの間にか上杉家を歓迎する酒宴に変わったのかな?」

靜子自言自語地抱怨。新居雖已完工,但尚未辦新居祝賀會,原想招待親眷舉行小型家族祝宴。

静子は一人愚痴を零す。新居が完成したものの、新築祝いが出来ていなかったため、身内を招いて内輪だけの祝宴を開こうと思ったのだ。

只要主君信長與其盟友家康出席,她勉強還能接受。

その場に主君たる信長や、その盟友たる家康が参加するまでは、何とか納得も出来た。

然而竟被告知在她不知情的情況下,上杉謙信也要參加該祝宴,令她大為震驚。

自分が知らない間にその祝宴に上杉謙信までもが参加することが決まったと知らされ仰天した。

靜子心中有一個根本疑問:真能為上杉家臣服這件事而慶祝嗎?

そもそも上杉家が臣従することを、祝っても良いのかという根本的な疑問が静子にはあった。

「從今以後我們也成為靜子殿的一家人了。對於家人的慶事怎會有不滿?」

「これからは我々も静子殿の身内となる。身内の祝い事に不満などあろうはずがない」

然而謙信本人完全不介意,反倒對靜子府邸的建築興致盎然,並參加了祝宴。

しかし、当の謙信が全く意に介しておらず、それどころか静子邸の造りに興味津々で祝宴へと参加する始末。

「這便是尾張的今樣屋敷……處處可見巧思。」

「これが尾張の今様(いまよう)屋敷……随所に工夫が凝らされておる」

「御實城大人,經過短暫停留我已理解,新舊建築樣式巧妙融合!請看這裡。」

「御実城様、暫しの滞在を経て理解できましたが、新旧の建築様式が見事に融合しております! こちらをご覧ください」

「今日承蒙邀請,深感榮幸。此宅實在宏偉壯麗,靜子殿。」

「本日はお招き頂き、ありがたく存じます。実に素晴らしき邸宅ですな、静子殿」

「哎呀哎呀,靜子殿,實在是豪華的府邸。在下也希望有朝一日能擁有如此的宅第。」

「これはこれは静子殿、大層立派な御殿ござるな。某もいつかこのような屋敷を、持ちとうござる」

「嘎哈哈哈,善哉善哉!喜事連連,吾等的前途自是光明。」

「がっはっはっはっ、善哉(よきかな)善哉! めでたい事が重なって、我らの行く末も明るいと言うもの」

之後連她沒邀請過的人也紛紛到訪。

その後も誘った覚えがない面子までもが次々と訪れる。

或許是因為武田被擊敗、上杉臣服,暫時的威脅消失,織田家的重臣們也毫無顧忌地出席了新居祝賀。

武田を打ち倒し、上杉が臣従したことにより、当面の脅威がなくなったためか、織田家の重臣たちも気兼ねなく新築祝いに顔を出せるようになっていた。

意外的熱鬧幾乎考驗了收容能力,卻奇蹟般地讓所有參加者都容納進宴會廳。

予想外の大賑わいに収容能力が試されることとなったが、奇跡的にも参加者全員が宴会場へと収まった。

然而由於人口密度異常提高,除上座附近外誰在何處已無從辨別。

ただし異常に人口密度が上がっているため、どこに誰が居るのか上座付近以外は判らない有様となっていた。

「說不定也不必再當成我的新居慶祝了吧。」

「もう別に私の新築祝いじゃなくても良いのでは」

靜子一邊如此低喃,一邊完成為這日準備的甜點——所謂的草莓奶油蛋糕。

静子はそんな事を呟きつつ、この日のために準備してきたデザートの仕上げを行っていた。それは所謂イチゴのショートケーキだ。

雖稱為草莓,但並非現代的荷蘭草莓,而是使用日本古來自生的キイチゴ屬的野生草莓(クサイチゴ)。

イチゴとは言っても現代のようなオランダイチゴではなく、日本に古くから自生しているキイチゴ属のクサイチゴを用いている。

野生草莓在キイチゴ中屬於大型,雖不及現代品種,但具有濃郁的甜味。

クサイチゴはキイチゴの中でも大型で、現代の品種程ではないにせよ強い甘みを持っている。

與現代品種不同,帶有稍強的酸味,但做成果醬等加工後便無妨。此次為了柔和酸味,先以糖漿拌過並略微加熱。

現代の品種と異なりやや自己主張の強い酸味を持つが、ジャムなどに加工してしまえば気にもならない。今回は酸味をやわらげるべく、シロップを絡めて少し火を通してある。

附帶一提,把海綿蛋糕和鮮奶油層疊,並以鮮奶油裝飾再放上草莓等果實的短蛋糕源自日本。

余談だがスポンジとクリームを層状に重ね、クリーム飾りと共にイチゴなどの果実を載せたショートケーキは日本発祥である。

在英語圈稱為層狀蛋糕(layer或layeredcake),亦有類似的蛋糕存在。

英語圏ではレイヤー(あるいはレイヤード)ケーキと呼ばれ、似たようなケーキが存在している。

但所使用的體是非海綿,而是被稱為餅乾的紮實口感麵糰,夾入鮮奶油與果實是其特徵。

しかし、使用される生地はスポンジではなく、ビスケットと呼ばれるしっかりとした口当たりの生地を使い、クリームや果実を挟み込むのが特徴となる。

因此在日本成為生日或聖誕節定番的草莓短蛋糕,其實只有日本才有這種形式。

ゆえに日本に於いて誕生日やクリスマスで定番となるイチゴのショートケーキというのは、日本にしか存在していない。

「嗯——果然蛋糕真好。雖然吃太多會胖……不過現在活動量和以前不同,或許再吃一個沒問題……也可能。」

「うーん、やっぱりケーキは良いねえ。食べ過ぎると太るけど……いや、昔とは運動量が違うから、あと一つぐらい大丈夫……かもしれない」

靜子心想再來一個,但想像自己會變得圓潤便忍住了。她把幾塊短蛋糕擺在大盤子上,命小雜役把它送到濃姬那裡。

もう一つぐらい、と思った静子だが、丸みを帯びた自分を想像して自制した。そしてお膳にいくつかのショートケーキを載せた大皿を置き、これを濃姫の許へと運ぶよう小間使いに命じる。

隨後她去到另一室喚正自由自在、在屋主不在的情況下享受新居慶賀的濃姬等人,並向信長所在的上座走去。

その後、別室にて自由気ままに家主不在の新築祝いを堪能している濃姫達に声をかけ、信長のおわす上座へと静子は足を運んだ。

她一度多想,既然是受祝的人為何還忙得不可開交,但隨即想起信長等庇護者在她不在時會替她取捨政治交涉,於是振作起來。

祝われる立場の家主だと言うのに何故あくせく働いているのかと、一瞬余計な事を考えたが、自分が不在の間に信長たち庇護者が政治的なやり取りを取捨選択してくれていると思い直して立ち直る。

「諸位,今天就盡情飲酒吃食大鬧一場吧」

「皆の者、今日は大いに飲んで食べて騒ごうではないか」

之後,信長致了開場詞,靜子府新築祝宴由此開幕。

その後、信長が開始の挨拶をして、静子邸新築祝いの宴会は開幕した。

若要一句話概括初見的越後人,他們對酒毫不拘束。有越後人在的席位與沒有越後人的席位,酒桶的消耗量明顯不同。

初めて目にした越後人を一言で言い表すならば、彼らは酒に対して遠慮が無かった。越後人の居る席と、居ない席では酒樽の消費量が目に見えて違うのだ。

外人眼中他們喝酒的氣勢可怕,卻沒有人醉倒,個個都是酒量驚人的人。

余人からすれば恐ろしい勢いで飲んでいると言うのに、酔い潰れもしない蟒蛇(うわばみ)揃いであった。

親眼目睹了名不虛傳的越後人酒量之大,連信長與家康也難掩驚訝。

噂に違わぬ越後人の酒豪っぷりを目の当たりにし、流石の信長や家康も驚きを隠せなかった。

(我的禁酒令果然依然沒有被解除……唉)

(相変わらず私の禁酒令は解かれていないけど……ね)

酒像流水作業般從酒桶汲出、被裝入運走的酒壺,靜子一邊看著那些德利,一邊思索壓在自己身上的枷鎖。

流れ作業のように酒樽から汲み出されては、運ばれていく徳利を眺めながら、静子は我が身に架せられた軛(くびき)を思う。

她以防萬一準備了大量酒,並從酒屋大量購入,心想恐怕也不會剩餘。

念の為にと大量に酒を用意し、かつ酒屋からも大量に買い入れたが余ることは無さそうだと彼女は思った。

相較於上杉勢,家康等德川一方尚未習慣清酒,飲用節奏相對從容。

上杉勢に対して家康たち徳川勢は、未だ清酒に慣れておらず、その消費ペースはゆったりとしたものだった。

如今在三河和遠江也能見到尾張與美濃製的清酒,但似乎還未完全滲透到生活之中。

今では三河や遠江にも尾張や美濃で作られた清酒が並ぶようになったが、まだまだ生活に浸透するには至っていないようだ。

信長如常以自己的節奏飲酒。信長自是以下酒量聞名,並不貪杯;與其說,他反而偏愛甜食。

信長はいつものように、自分のペースで飲んでいた。元より下戸で知られた信長ゆえ、それほどの酒量を欲する訳ではない。どちらかと言えば、彼は酒よりも甘い物を好む傾向にあった。

(原本只是親朋之間輕鬆的宴會,不知怎地竟變成了盛大的酒宴啊)

(内輪だけの気楽な宴会が、なんだか大げさな酒宴になっちゃったなあ)

作為主角,靜子和信長同坐上座;環視四周出現的是信長、家康、近衛前久、上杉謙信等顯赫人物,令她無法放鬆片刻。

主役であるため、静子は信長と同じく上座に身を置いている。周囲を見渡せば目に入るのは信長、家康、近衛前久、上杉謙信という錚々たる面子であるため、少しも気が休まらない。

而且接下來還得與濃姬等人見面。

さらにこの後、濃姫たちとも顔を合わせる必要がある。

(心情沉重)

(気が重い)

若這種無法舒心的宴會持續,連靜子也會鬱悶。但就其身分而言,作為受祝賀的家主不參加是不可能的,因此她漸漸達到無奈的境地。

少しも寛げない宴会が続くとあれば、流石の静子も気が滅入る。しかし立場上、祝われる家主が参加しないという暴挙はあり得ないため、やがて諦めの境地へと達した。

「抱歉,我因事需中途離席」

「相済みませぬ。所用のため、中座致します」

覺得差不多是時候,靜子向信長告知要離席。明白此行與濃姬有關的信長,在輕拍靜子頭部後說道,

そろそろ頃合いかな、と思った静子は信長に席を外す事を告げる。濃姫たちの事だと理解している信長は、静子の頭をぽんぽんと軽く叩いた後、告げた。

「我會幫妳收拾善後」

「骨は拾ってやる」

「不,我又不是要去送死」

「いや、死にに行くわけではありませんから」

「平日就不容易對付的濃姬,現在又喝了酒,怎會有什麼正常結果呢」

「普段でも一筋縄ではいかぬお濃に、酒まで入っているのじゃぞ。まともな結果に終わるわけがなかろう」

聽了信長的話,靜子差點點頭,但在主君面前承認對細君的壞話也說不出口,慌忙收拾態度。

信長の言葉を聞いて静子は思わず、頷きそうになった。しかし主君の目の前で細君の悪口を肯定する訳にもいかず、慌てて態度を取りつくろった。

深深鞠了一躬後,靜子悄然離開宴會場。宴席正熱,會場已被醉漢擠得滿滿當當。

深々と頭を下げた後、静子は静かに宴会場を後にした。尤も、宴もたけなわとなり、酔漢であふれ返った会場である。

即便靜子明顯地退出,也少有人會在意。

仮に静子が分かりやすく退出したとしても、気に留める者は少なかったであろう。

「呼……好累」

「ふぅ……疲れる」

離開宴會場一段距離後,靜子輕嘆一聲。邊走邊揉著肩膀,轉角處彩的身影出現了。

宴会場から少し離れた場所に移動したところで、静子はふっと息を吐いた。自身の肩を揉みながら歩くと、曲がり角から彩が姿を見せる。

彩發現靜子後無聲靠近。靜子瞬間理解她似乎有不願讓人知道的事,便招呼彩進入附近的房間並先行進內。

彼女は静子に気付くと、足音を立てずに静子へ近づいた。何か人に知られたくない事があるのか、と瞬時に理解した静子は、近くの部屋へ彩を招いて先行する。

稍作停頓後,彩也跟著靜子進了房間。

少しだけ間をおき、彩も静子を追って入室した。

「已逮住潛入領內的真田間諜。但奇怪的是,那名間諜交代要把這封信交給靜子大人……」

「領内に潜り込んでいた真田の間者を捕縛しました。しかし奇妙な事に、その間者は静子様にこの文を渡すようにと……」

「竟然能混進來……不,正因為是現在吧。外人能混進這麼多人,也只有現在才可能。」

「よく入り込めたね……いや、今だからこそか。部外者がこんなに多く入り込むのは、今しかないもんね」

靜子察覺到,這正是自己曾用過的手段被人再度利用。

自分がかつて使った策を使われたのだと、静子は察した。

織田、德川、上杉的人一堂會集,就算能掌握受邀賓客,也難以逐一查到每位隨從。

織田、徳川、上杉の人間が一堂に会したのだ。招待客までは把握できても、付き人の一人一人に至るまでは流石に手が回らない。

「然而唯有『空番』似乎無法被矇混過去。本想秘密處理,但聽說那人持有真田的情報,現在只把他綁起來關入牢中。」

「しかし『空番(そらばん)』だけは誤魔化せなかったようです。秘密裡に処分しようとしましたが、真田からの情報を所持していると聞いて、今は縛って牢に閉じ込めているだけにしています」

「現在人數比那些把此宅當地盤的孩子還多。嗯,但若是『空番』的烏鴉們,數量倒是齊整。」

「今なら、この屋敷を縄張りにしている子よりも人数の方が多いしね。まあ『空番』のカラスたちなら数も揃っているけども」

ヴィットマン等與シロガネ等,將靜子邸宅視為地盤的動物有很多。但除此之外,還有其他把同一區域視為勢力範圍的動物。

ヴィットマンたちやシロガネなど、静子の邸宅を縄張りにしている動物は多い。だが、それ以外にも同じ空間を縄張と定めている動物はいる。

最多的是烏鴉家族。精確數目不明,但近百隻在靜子邸宅附近據守。

もっとも多いのがカラスファミリーだ。正確な数は不明だが100羽近くが静子の邸宅付近を根城にしている。

如同清道夫(拾荒者)的角色,烏鴉負責處理從靜子邸宅產出的生活垃圾。

掃除屋(スカベンジャー)の位置づけ通り、静子の邸宅から出る生活ゴミの処理をカラスたちは担っていた。

因此,若有間諜試圖潛入靜子邸宅,烏鴉們會將其視為搶奪食物的敵人,以驚人的數量撲向那些間諜,讓人不禁想問他們原本藏在哪裡。

その関係で、静子の邸宅に間者が入りこもうとすると、餌を奪い取る敵と認定され、どこに隠れていたのかと問いたくなるほどの数で、間者たちに襲いかかる。

只要把生活垃圾丟到指定地點,就是一個天然的間諜防範手段。

生活ゴミを指定の場所に捨てるだけで出来る、天然の間者対策だった。

「嗯……嗯」

「ふむ……ふむ」

靜子從彩那裡收到了真田的信,確認了信中的內容。越讀越感到臉色嚴峻,不由得也讓彩的緊張感升高。

真田からの文を彩から受け取り、静子は文の内容を確認する。読み進める程に静子の顔が険しくなり、必然的に彩の緊張も高まっていく。

「真是棘手啊」

「参ったね、これは」

「上面寫了些什麼內容?」

「どのような内容が書かれていたのでしょうか」

「簡單說就是家內鬧事。被送回去的武藤喜兵衛繼承了真田家,但似乎有人不滿他背離武田而投向織田,與他發生衝突。再者在合戰中,他在撤退命令下達前就率兵退卻,因此被追究責任。武田家的間者們也似乎處於相同情況。」

「簡単に言うとお家騒動。送り返した武藤喜兵衛が真田家を継いだけれど、彼が武田に背いて織田へと下ることを良しとしない連中と揉めているらしいね。更に合戦中、撤退命令前に軍を退いたため、責任を問われているみたい。武田家の間者たちも同じような状況みたいだけど」

信中記載了武田家的情勢與真田家的處境。首先武藤喜兵衛已正式繼承真田家,自稱真田昌幸。

文の中には武田家の状況と、真田家の置かれている状況が書かれていた。まず武藤喜兵衛は正式に真田家を継いで真田昌幸と名乗るようになった。

然而剛繼承真田家,他便因在三方原之戰中比信玄的撤退命令更早撤兵而被追究責任。

しかし真田家を継いだ途端、彼は三方ヶ原の戦いで信玄の撤退命令より先に兵を下がらせた責任を問われた。

說是追究責任聽起來還體面,實際上是為了彌補敗戰損失,作為懲戒而宣告沒收領地以儆效尤。

責任を問うと言えば聞こえは良いが、ようは敗戦の損失を少しでも補てんするべく、見せしめとして領地を没収すると言い渡されたのだ。

可以想見以昌幸為首,整個真田家都被輕視了。

昌幸をはじめ、真田家全体が軽んじられているという状況は想像に難くない。

被拿來示眾的還有武田的間者們。勝頼將信玄費心建構的間者組織斷定為「卑鄙無恥的人群」。

見せしめに使われたのは武田の間者たちも同様だった。勝頼は信玄が苦心して作り上げた間者組織を「浅ましい人でなしの集団」と断じた。

並把在三方原之戰未能蒐集到織田方情報的責任,歸咎於他們。

そして三方ヶ原の戦いにて、織田側の情報を集められなかったことの責任を彼らに負わせた。

因此武田親用的間者網絡幾乎受到滅頂性的一擊。

これにより武田子飼いの間者ネットワークは壊滅に近い打撃を受けることとなる。

事後這常被拿來作為勝頼一大失策來批評,但在戰國時代輕視間者的觀念相當普遍。

後に勝頼の犯した手痛い失態として度々取り上げられることになるが、戦国時代において間者軽視はごく一般的な考えであった。

即便如此,將那些以生命換來的情報在未經審查就丟棄,士氣自然無法維持。

だからとは言え、文字通り命懸けで集めてきた情報を、吟味すらされることなく捨てられるのでは士気は保てない。

昔日仕於武田的間者在信玄死後歸入真田旗下,正因新生的真田重視情報,不把間者當作棄子般對待。

かつて武田に仕えた間者たちが信玄の死後、真田の配下に収まったのも新生した真田が情報を重要視し、間者たちを捨て駒同然に扱わなかったからだと言える。

「是要示眾……嗎?」

「見せしめ……ですか?」

「簡單說就是把整個組織的問題推到特定個人身上以保全體面。這樣也能彌補損失。那種情況下就算真田沒撤兵也沒有勝算……說到底就是找藉口罷了。」

「端的に言うなら組織全体の問題を、特定の個人に負わせることで体裁を保ったんだよ。損失も補てんできるしね。あの状況じゃ、真田が兵を退かなくても勝ち目なんか無かったんだけど……まあ、難癖だよね」

「那不過是靠吃自己的手足來度日,等手足都沒了連田地都無法耕作……」

「それは、自分の手足を食べて飢えを凌いでいるだけで、手足がなくなれば畑も耕せません……」

「正是如此。武田不願承認作為一個組織的敗北,反而以個別怯懦者拖後腿為由自保。對我們而言這是好事,但一個容不下負責而又不承擔責任者的組織,遲早會崩壞。」

「そういう事だよ。武田は組織全体として負けたと認めたくなかった。それどころか、一部の臆病者が足を引っ張ったとして保身に走った。こちらとしては良い傾向だけど、責任を取らない責任者を抱く組織は、遠からず崩壊するからね」

靜子托著下巴沉思。歷史已經偏離已知的史實,今後各勢力不一定會依照所知史實行動。

さて、と静子は顎に手を当てて考える。既に歴史は既知の史実から外れている。これから先、知っている史実通りに各勢力が動くとは限らない。

想到這點,靜子希望真田昌幸能儘早返回,因為她認為從今以後情報將比什麼都重要。

それを考えると真田昌幸には早く帰参して欲しいと静子は思っていた。これからは情報が何よりも重要視されると、彼女は考えているからだ。

「先把間者再關一陣子。若讓他們隨意活動,知道情報的人越來越多,肯定會被抹除。為了避免那種事,先關牢中,日後再放出較為妥當。」

「間者はもう暫く牢に入れておいて。下手に動かれて、これ以上情報を知る人が増えれば確実に消される。それを避けるためにも、牢にいれて後日放つ方が得策よ」

「明白。已命令對間者保密,萬一被問起也會回說在蒐集情報中。」

「承知しました。間者については秘匿するよう命じておりますし、万が一知られても情報収集中と答えます」

「麻煩你了。今後的戰事情報會相當重要。必須比現在更積極蒐集情報,為此需要很多能幹的間者。」

「よろしくね。これからのいくさは情報が大事になる。今以上に情報収集しなければならないし、それには腕の良い間者が沢山必要になるからね」

說到此處彷彿話已經結束,靜子站了起來。

これで話は終わり、と言わんばかりに静子は立ち上がった。

濃姬撥弄著髮絲,低聲喃道「靜子還沒來嗎」。小間使們筆直回說尚未到來。

濃姫は髪を弄びながら静子はまだか、と呟く。小間使いたちは背筋を伸ばしながら、まだお出でになりませんと答える。

濃姬嘆了口氣,讓小間使們退下。

ため息を吐きつつ濃姫は小間使いたちを下がらせた。

「濃姬大人,靜子被兄上拘著吧,還需要一會兒時間。」

「濃姫様、静子は兄上に捕まっておるのでしょう。今暫く、時間は必要かと」

市安撫濃姬,但對濃姬效果有限。

市が濃姫を宥めるが、肝心の濃姫には効果が薄かった。

「殿也太使喚靜子了。難得是個喜慶之事,應該讓她輕鬆些……對吧,市。」

「殿も静子をこき使いすぎじゃ。せっかくの祝いごとなのだから、気楽に過ごさせるのが良かろうに……のう、市よ」

「妾無法理解兄上的想法,不知為何要設這樣的場面。」

「妾には兄上のお考えは理解出来ませぬ。それゆえ、何を考えてこのような場を設けられたのか」

「殿的想法看似難解卻直率。他大概是想展示靜子的影響力。不論對外還是對內。」

「殿の考えは難解に思えるが真っすぐじゃ。おおかた静子の影響力を見せつけておるのじゃろう。外にも、内にもな」

一邊說著,濃姬從面前的盤子夾了一塊點心。市覺得濃姬顯得有些不耐煩。

語りながら、濃姫は手前にあった皿に載せられた菓子をつまむ。市には濃姫が若干、苛立っているように見えた。

「但是,那種道理只在男社會通用。未曾為女子的殿不懂這點。在女子社會(おなごしゃかい)裡,成婚生子、整頓家內、料理夫人們的家務、培養嫡子,只有做到這些才被視為一個合格的人。從這觀點看,靜子未盡任何義務,簡直是個飯桶。」

「しかし、それは男社会でしか通じぬ理屈よ。女ならぬ殿はそこが分かっておらぬ。女子社会(おなごしゃかい)では、婚姻をして子を生し、家内をまとめ上げ、奥方(おくがた)を切り盛りし、嫡子を育て上げてこそ一人前と見做される。その観点で見れば、静子は何の義務も果たしておらぬ、穀潰しよ」

「確實靜子有家世,卻無婿無子。但那是遵從兄上,將心血奉注於天下統一。妾等生活得以富足,織田家能保有強盛勢力,也都是靜子盡力的結果吧。」

「確かに静子は家を持てど、婿も居なければ子もおりませぬ。しかし、それは兄上の許、天下統一に心血を注いでいるがため。妾たちの生活が豊かになったのも、織田家が隆々たる勢いを保てているのも静子が尽力した結果でございましょう」

「市啊。可悲的是,人並非都那麼通情達理。無論靜子成就多少難事,只要未盡女性的義務,便會有人單以此一事來譴責她。尤其是那些窩在『家』這狹小世界,只把養育子女視為唯一驕傲的無能之輩。」

「市よ。悲しいかな、人間とはそのように物分かりが良い者ばかりではない。静子がどれほどの難事を成し遂げようとも、女子としての義務を果たしていない、その一事だけを以て批難する輩は掃いて捨てる程におる。特に家という狭い世界に閉じこもり、我が子を育てたことだけを唯一の誇りとする無能(・・)どもにはな」

濃姬罕見地毫不掩飾情緒,口出惡罵,市心中大為驚訝;但若想到濃姬對市的信任,反而覺得有些羞澀。

珍しく感情を隠そうともせず悪罵を放つ濃姫に、市は内心驚いていた。だがそれも市を信用しているがゆえと思えば、それは面映ゆくすらあった。

如濃姬所言,在戰國時代武家社會的深處,女社會有明確的義務存在。

濃姫が語ったように戦国時代の武家社会の最奥、女社会には明確な義務が存在した。

即便與男社會密切相關,但若身處與其影響隔絕的領域,於男社會再如何有用,也不會在女社會得到任何評價。

男社会と密接に関りつつも、その影響から隔絶された社会にあっては、如何に男社会で有用さを示したところで、女社会では一切評価されることはないのである。

「所以,您才會時常讓靜子做些過分的事吧」

「それで、折に触れて静子に無茶をさせておられるのですね」

雖然未盡為女性的義務,卻得到作為女社會頂點的濃姬寵愛。下位的女子們自然不會感到高興。

女として義務を果たしていないにも関わらず、女社会の頂点たる濃姫から寵を得ている。当然下位の女たちが面白く思うはずがない。

但即便受到濃姬格外的提拔,若總被推去承擔麻煩事、每遇事都露出辛苦的樣子,會如何?

しかし濃姫から格別の引き立てを受けつつも、厄介ごとを押し付けられ、ことあるごとに苦労している姿を見せられればどうか?

雖然會對靜子嫉妒,但想取代她地位的女人會減少吧。

静子に嫉妬しつつも、その立場に成り代わりたいと思う女は減るだろう。

而靜子所發出的各種文物,若由濃姬代為廣傳,既不會被輕視而被接受;與靜子本人無關,大家會認識到靜子所創造的東西是有用的。

そして静子が発信する様々な文物を、濃姫が代わりに広めることで軽んじられることも無く受け入れられ、静子本人はともかく、静子の生み出す物は有用であると認識するようになる。

正是有了這些看不見的照應,靜子才能專注於男社會,且即便未盡女性的義務,仍被女社會接納。

これらの見えない配慮があって初めて、静子は男社会にのみ専念でき、かつ義務を果たしていないにも関わらず女社会でも受け入れられているのだ。

對女人們來說靜子是有用的,但不至於礙眼;她一身集寵,整體上卻顯得不遇,扮演著絕妙的角色定位。

女たちにとって静子は有用であるが、目障りなほどではなく、一身に寵を集めつつも全体として不遇であるという絶妙の配役をこなしているのだ。

「妾若只是單純地疼愛靜子、提拔她,那些嫉妒與偏見就會集中在靜子身上。無論對社會多麼有益,只因沒履行女人的義務便會被塑造成惡人。」

「妾が単純に静子を可愛がって引き立てれば、その僻みや嫉みは静子に集中する。どれほど社会全体にとって有益であろうとも、女の義務を果たしていないという一事のみを以て悪に仕立て上げられるのじゃ」

無論何處皆然,不盡義務卻僅取報酬者會被厭惡。即便成就再偉大,也會被視作投機取巧而得不到正面評價。

何処の世界でも同じだが、義務を果たさずに報酬だけ受け取る者は嫌われる。たとえどのような偉業を成し遂げようとも、ズルをしたとして評価されない。

例如股市出現誤發注,某人趁誤放的異常低價掃貨,然後以適正價格賣出賺取巨額財富。

例えば株式の誤発注があり、誤って異常に安く放出された銘柄を買い占めて、適正価格で売ることで巨額の富を得た者がいるとする。

世人會怎麼評價他呢?頂多被說是乘人之危、貪暴利,或單純只是運氣好而已。

世間は彼を評価するだろうか? 人の弱みに付け込んで暴利を貪っただとか、単純に運が良かっただけと評されるのがせいぜいだろう。

然而實際上,運氣的成分僅在於是否能在場;識別異常低價的眼光、立即盡可能買入的決斷力與資金力等,都是為能在場所做的看不見累積。

しかし、現実にはその場に立ち会えるか否かだけが運の要素であり、異常な安値を見抜く眼や、即座に可能な限り買い込むという決断力や資金力といった、その場に立つための見えない積み重ねが存在している。

能看出這些要素的人極少。以靜子為例,那寥寥數位理解者之一便是濃姬,保護她不被視為僅靠運氣上位,免於不必要的嫉妒與隔閡牽絆。

これらの要素を見抜ける人は非常に少ない。静子の例で言えば、その数少ない理解者が濃姫であり、運だけで成り上がった女として不要な嫉妬や隔意(かくい)に脚を引っ張られないよう守っているのである。

或許也正因如此,靜子在男社會中被視為織田家的重臣一員,在女社會中也確保了作為能帶來有益結果的苦勞人的地位。

その甲斐もあってか、静子は男社会では織田家の重臣として一目置かれ、女社会でも自分達に有益な結果を齎す苦労人という立ち位置を確保できている。

即便如此,牽扯的人越多,就越會有人對靜子生嫉妒。這無可避免,因此會在適當時候把靜子擺在眾人面前有所波動。

それでも関わる人間が増えれば増える程、静子に対して嫉妬を抱くものが出る。こればかりは致し方ないため、折に触れて皆に見えるよう静子を振り回しているのだ。

「到這裡為止,靜子完成了殿所交付的最大難事——討伐武田。」

「ここに来て、静子は殿に課された最大の難事、武田討伐を成し遂げた」

「的確。讓她去擊敗擁有眾多智勇兼備將領的武田,實在太過勉強了。」

「確かに。知勇備えた多くの将を抱えた武田を倒してこいなど、無茶にもほどがあります」

「但靜子做到了。至此在男社會的地位已穩固。那麼……你懂我的意思吧?」

「だが静子はやりきった。これにて男社会での地位は安泰じゃ。となれば……分かるじゃろう?」

濃姬以扇遮住口鼻,市便理解她接下來要說的話。市也效仿,掩口而低聲說話。

扇子で口元を隠した濃姫が、次に何を言いたいのか市は理解した。市も濃姫に倣い、扇子で口元を隠して声量を下げた。

(殿打算把我們的孩童作為養子送給靜子。這樣那些無能之輩就能被噤聲。)

「(殿は静子に我が子を養子として出すそうじゃ。これで無能どもは黙らせられる)」

(原來如此……靜子藉由把兄上的子嗣視為己子,可示忠於兄上。此乃一石二鳥。)

「(なるほど……そして静子は兄上の子を我が子とする事で、兄上への忠誠を示せます。一石二鳥とはこの事です)」

(嗯。殿也考慮過靜子的婿。可屢次與近衛殿商議仍無結論。再者,此事與其說是靜子有問題,不如說是那人的軍隊崩潰才是真正的大問題。)

「(うむ。殿も静子の婿は考えたそうじゃ。が、何度近衛殿と話し合っても結論が出なかったそうじゃ。もっとも、これは静子が問題というより、奴の軍が崩壊する事が大問題だからの)」

(兄上也曾言,因有靜子軍在,戰中需處理的麻煩減半。果然,若現在要求做兩倍的事,必會噴出不滿。)

「(兄上も仰っておりました。静子軍がいるお陰で、いくさで抱える厄介ごとが半分になったと。なるほど、今から倍の仕事をしろ、と言われても不満が噴出しますね)」

(不是嗎?但時機未明,故由我們這些妾來守護靜子才行。)

「(じゃろう? じゃが時期は不明ゆえ、こうして妾たちで静子を守らなければな)」

(濃姬大人的深謀遠慮,實在令人佩服。那麼,市也會盡微薄之力協助。)

「(濃姫様の深謀遠慮、誠に感服いたしました。ならば、微力ながらこの市もお手伝いいたします)」

(此事無須想得太複雜,就照平常做便可,照平常的樣子,明白吧?)

「(これ、難しく考えるな。いつも通りにすればよいのじゃ、いつも通りに、な)」

濃姬說罷合上扇子,這是秘密會話結束的信號。市也稍遲合上了扇子。

それを最後に濃姫は扇子を閉じる。秘密の会話は終了、という合図だ。市も少し遅れて扇子を閉じた。

與彩分別後,靜子前往濃姬等人所在的女子宴會廳。越靠近靜子步伐越沉重,但也不能置之不理。

彩と別れた後、静子は濃姫たちがいる女子用の宴会場に足を運ぶ。近づくほどに足が重くなる静子だが、無視する訳にもいかなかった。

「失禮了」

「失礼します」

所謂宴會廳並不如信長所在的大會場那般拘謹。主辦者濃姬厭惡過度格式化,因此氣氛反而極其輕鬆。

宴会場といっても信長のいる大会場ほど堅苦しくはない。むしろ格式ばった事は主催者の濃姫が嫌うため、酷く砕けた空気が満ちていた。

「哦,總算來了。來,過來這邊。」

「おおっ、ようやく参ったか。さっ、こちらへ来やれ」

最先注意到靜子的濃姬招手示意。靜子照著指示在濃姬指定的位置坐下。

いの一番に静子に気付いた濃姫が手招きをする。言われるがまま静子は濃姫が指定する場所へ腰を下ろす。

「設計階段就見過,真是相當氣派的邸宅。殿也太賣力了吧。」

「設計段階でも目にしたが、なかなかに立派な邸宅じゃの。殿も気合いを入れすぎじゃな」

「唉……確實成了過於豪華的宅邸。多虧如此,必須雇用各種人手才能應付。」

「はあ……確かに過分な豪邸になっています。お陰でいろんな人を雇わないと手が回りません」

「我聽說了。不僅松殿的女兒,連明智殿的女兒也被僱進來了,對吧。」

「聞いておるぞ。まつ殿の娘だけでなく、明智殿の娘も雇い入れたとか、な」

「不知道您從哪聽來的,但確實如此。為什麼大家都會問要不要把我女兒怎麼樣──真是的。」

「どこでお耳にされたか分からないですけど、その通りです。なーんでか皆、我が娘をどうだ、とか仰るんですよね」

明智光秀的女兒名為珠(たま)(有時寫作玉或珠子(たまこ),此處採用「珠」)。

明智光秀の娘、名を珠(たま)(玉だったり珠子(たまこ)の場合もあるが、ここでは珠を採用する)という。

但因在明治時期基督徒曾讚頌她,今日則以細川伽羅姬(細川ガラシャ)較為有名。

だが明治期にキリスト教徒が彼女を讃えたために、今日(こんにち)では細川ガラシャの方が有名だ。

新邸宅的規模無法與舊宅相比,僅靠彩與蕭已經手不從緖了。

新邸宅は以前のものと比較にならない広さのため、彩や蕭だけでは手が回らなくなってしまった。

於是靜子決定新聘人手,光秀聽聞後便推薦說「我的女兒如何?」

そこで静子は新しく人を雇う事にしたが、これを聞きつけた光秀が「我が娘はどうですか」と推薦した。

也許因為這個引子,其他武將也紛紛想跟進,幾乎掀起一陣騷動。

これが引き金となったのか、他の武将も我も我もと後に続こうとして、ある種の騒ぎとなりかけた。

認為比起雇用陌生人更妥當,靜子便以代為照管武將們女兒的形式來雇用。起初雖有不安,但那些女孩畢竟是受過良好教育的武將之女。

知らない人間を雇うよりは、と考えて静子は武将たちの娘を預かる形で雇う事となる。当初は不安もあったものの、そこは教育された武将の娘たちだった。

起初因為與自己平時生活隔離的環境,行動有些不穩,但很快就適應,開始麻利地完成工作。

はじめこそ自分達の暮らしと隔たった環境故に行動が覚束なかったものの、すぐに適応するや、てきぱきと仕事をこなしている。

不過他們在國語和算術等靜子宅內才需要的知識層面較弱,於是偶爾會補習以提升基礎知識。

それでも国語や算数と言った静子邸でのみ必要とされる知識レベルが低いため、時々それらの補習を行って知識の底上げをしていた。

多虧如此,各家都出現了有趣的狀況:從沒教過的女兒竟然收到用漢字寫的信。

お陰で何も教えていない娘から漢字で書かれた手紙が届く、という愉快な状況があちこちの家で起きていた。

「蕭醬很有精神,但珠醬好奇心旺盛呢——連我雇的南蠻人都不會怕。嘛,太衝動是珠的瑕疵」

「蕭ちゃんは元気だけど、珠ちゃんは好奇心旺盛ですねー。私が雇った南蛮人にも物怖じしませんからね。まぁ猪突猛進過ぎるのが、珠に瑕です」

「也不壞。那樣反而可……咳咳,愉快嘛」

「良いではないか。そちらの方がおも……コホン、愉快だからの」

「連掩飾都不做!」

「誤魔化そうとすらしない!」

原以為她會換個詞說,結果濃姬只是換了個意思相同但不同的說法。靜子聳然一肩,發出疲倦的嘆息。

言葉を言い換えるかと思いきや、濃姫は単に意味は同じだが違う言葉を口にしただけだった。がっくりと肩から力が抜けた静子は、疲れたようなため息を吐く。

說真的,要一直維持沒有敵意的笑容是很累人的事。

実際、敵意のない笑顔をし続けるのは疲れる事だった。

「累了吧。這種時候,盡情玩個夠最重要啊」

「疲れておるのう。そういう時は、遊び倒すことが肝要じゃぞ」

「這件事一結束就打算暫時輕鬆過日子」

「これが終わったら暫くは気楽に過ごします」

正這麼說著,從走廊那邊傳來匆忙的腳步聲。靜子剛轉頭看向門口,襖便被猛地推開。

そんな事を言っていると廊下側から慌ただしい足音が聞こえた。急な用向きがあったのかな、と静子が入り口へ顔を向けた瞬間、襖が勢いよく開けられた。

「到啦——!」

「とうちゃーく!」

「到啦——」

「ちゃくー」

襖那邊是茶々和初。兩人無視周圍的驚訝,掃視室內,發現目標靜子後,笑逐顏開地衝向她。

襖の向こうにいたのは茶々と初だった。周囲の驚きを無視して二人は室内を見回す。そして目的の人物である静子を見つけると、表情をほころばせながら彼女に突撃する。

「靜子——,新家恭喜你喔——」

「しずこぉー、あたらしいいえ、おめでとうなのじゃー」

「是喔——」

「なのじゃー」

兩人雖然是孩子,但承受整個體重的撲撞,即便是孩子也會吃不消。

二人は子ども、されど全体重の乗ったタックルは子どもでも堪える。

靜子這麼想著,接住了兩人的衝撞。兩人卻毫不在意,像小貓般在靜子的懷裡喵喵撒嬌。

そんな事を思いつつ静子は二人のタックルを受け止める。だが二人は意に介さず、子猫のように静子の懐でゴロゴロと甘える。

「好了,你們兩個。不要突然用力把門打開。東西要好好珍惜。」

「はい、二人とも。いきなり入り口を勢いよく開けてはいけません。ものは大切に扱いましょう」

「好——」

「はーい」

兩人精神奕奕地回應靜子,但還沒懂她想說什麼,因為在理解之前,她們的注意力已轉向別處。

静子の言葉に元気よく返事をする二人だが、静子が何を言いたいかまでは理解していなかった。理解するより先に、興味の対象が別に移ったからだ。

「靜子——,這個是什麼啊——?」

「しずこー、これなーに?」

茶々爬到靜子的背上,一邊指向放在膳桌上的點心。

茶々は静子の背中に乗っかりながら、お膳に乗せられている菓子を指さす。

「這是南蠻的點心。叫法有很多,但我習慣稱它為gateau(ガトー)(法語裡的『蛋糕』之意)」

「これは南蛮のお菓子よ。呼び方は色々とあるけど、私はgateau(ガトー)(フランス語でケーキの意味)と呼んでいるね」

蛋糕的歷史很久遠,有說法認為其起源是古羅馬時代製作的甜麵包。

ケーキの歴史は古く、古代ローマ時代に作られた甘いパンがケーキの始まりと言われている。

也出現過稱為 placenta 的古代起司蛋糕,但與今日的蛋糕風格稍有不同。

プラケンタと呼ばれる古代のチーズケーキも誕生しているが、今日のケーキと毛色が少し違う。

現代人所想像的蛋糕出現在近千年後的中世歐洲,而成為現代烘焙方式則是在再過數世紀後的十七世紀。

現代人が思い浮かべるケーキが誕生したのは、それから一千年近く経った中世ヨーロッパ時代、現代の焼き方になったのはそれから更に数世紀後を経た17世紀と言われている。

另一方面,在日本由戰國時代傳入的卡斯特拉被視為蛋糕的開端;再過數世紀後,大正時代的不二家開發並販售了現代的短蛋糕(ショートケーキ)。

一方、日本では戦国時代に伝来したカステラがケーキの始まりだ。それから数世紀経ち、大正時代に不二家が現代のショートケーキを開発・販売した。

靜子做的蛋糕是小口尺寸的海綿蛋糕,夾著奶油與水果,上方用奶油霜做了簡單的裝飾,是迷你尺寸的蛋糕。

静子が作ったケーキは一口サイズのスポンジの間にクリームと果実を挟み込み、上にバタークリームでちょっとしたデコレーションを施した程度のプチサイズケーキだ。

但因大量使用砂糖、雞蛋、鮮奶油與奶油,即便是迷你尺寸也成為只有有權勢者才能品嚐的超級高級點心。

しかし砂糖や卵、生クリームにバターをふんだんに使うため、プチサイズと言っても権力者しか味わう事が出来ない超の付く高級菓子となっていた。

「好甜——、好酸——、但還是好甜」

「あまーい、すっぱーい、でもあまーい」

「要慢慢吃喔——。之所以有酸味,是因為夾了野草莓。」

「落ち着いて食べるんですよー。酸味があるのは、クサイチゴを挟んでいるからです」

如前所述,野草莓稍帶酸味,但在野生草莓中屬於酸味較少、甜味較強的品種。

前述したようにクサイチゴはやや酸味が強いのだが、それでも野イチゴの中では酸味が少なく甘味が強い品種だ。

栽培也容易,只要注意乾燥和日照,就能輕鬆繁殖。

栽培も容易で、乾燥と日当たりにさえ気を使えば、手間いらずで増やすことができる。

不過若直接種在地裡,會藉由地下莖無限制蔓延,因此若要限制生長基質,使用盆栽栽培較為理想。

ただし、地植えにすると地下茎を伸ばして野放図に増殖するため、培地を限定できるプランター栽培が望ましい。

野草莓採收後會裹上糖漿以強調甜味,但對於孩子敏銳的味覺來說,酸味仍會顯得較強。

クサイチゴは収穫したてのものにシロップを絡めて甘さを強調しているのだが、子供の鋭敏な味覚には酸味が強く感じられるようだ。

「微微有點酸。但因為又甜,就不在意了」

「びみょうにすっぱい。でもあまいから、きにならない」

儘管如此,茶々和初還是很喜歡這些迷你蛋糕,將擺放的一個個吃光。

何だかんだと言いながらも、茶々と初はプチサイズケーキを気に入った。並べられているプチサイズケーキを次々と平らげる。

不過兩人都還是個位數歲數的孩子,很快就吃飽了。

しかし、二人とも一桁代の子ども、満腹になるのはそう遠くなかった。

「滿足——」

「まんぞくじゃー」

「喲——」

「のじゃー」

兩人邊揉著肚子靠在靜子身上。靜子一邊無奈,一邊命小僕拿來毛毯。

お腹をさすりながら二人は静子にもたれかかる。呆れながら静子は小間使いに毛布を持ってくるよう命じた。

但靜子很快就後悔了。因為蓋了毛毯,茶々和初正式睡著了,發現無法把她們移開的時候。

だが、すぐに静子は後悔する。毛布をかけた事で、茶々と初が本格的に寝入ってしまい、動かせない事実に気が付いた時に。

「全身都麻掉了」

「全身が痺れた」

看不下去為難著無法動彈的靜子,濃姫叫來了照顧茶々和初的奶母,把兩人帶走。靜子向濃姫道謝後,為了舒緩僵硬的身體,在附近走動。

動けなくなって困っている静子を見かねた濃姫が、茶々と初の乳母を呼んで二人を回収させた。静子は濃姫に礼を言った後、固くなった体を解(ほぐ)すためにその辺りを歩く。

她悄悄往酒宴場探頭一看,但裡面已經有很多喝得爛醉的人,靜子輕輕關上入口,靜靜離開。

宴会場をそっと覗いてみたが、既に出来上がった人が沢山いたため、静子はそっと入り口を閉じ、静かにその場を後にした。

「嗯——身體喀喀作響了呢」

「うーん、体がゴキゴキ言っているなあ」

靜子一邊噼啪作響地扳動關節一邊伸了個懶腰。如果一切順利,幾年內日本就會被織田家統一,靜子如此想著。

関節をボキボキ鳴らしながら静子は伸びをする。このままうまくいけば数年の内に、日ノ本が織田家によって統一されるだろう、と静子は考えていた。

當然,這都是在一切順利的前提下。相當有可能出現什麼問題而功敗垂成。但即便如此,織田家統一天下幾乎可說是既定路線。

無論、それは全てがうまくいけば、の話だ。何かしら問題が出て、とん挫する可能性は十分にある。だが、それでも織田家が天下統一するのは、ほぼ既定路線と言えた。

「嗯? 那是……」

「ん? あれは……」

「靜子殿」

「静子殿」

靜子遠遠看見了什麼,但還沒來得及聚精會神就被人叫住,她把注意力轉過去。看向那邊,發現有點有酒氣的光秀。

遠くの方で何かが見えた静子だが、目をこらす前に呼びかけられたため、彼女はそちらへと意識を向ける。顔を向けると、そこには若干酒臭い光秀がいた。

他見靜子注意到自己,便行了一禮。

彼は静子が自分に気付いたのを知ると一礼した。

「我家女兒受您照顧,卻遲來致意,失禮了。女兒有幫上忙嗎?」

「我が娘が世話になっていながら、挨拶が遅れて申し訳ござらぬ。娘はお役に立っておりますか?」

光秀問話時,靜子沒有用言語而是指向某處回答。光秀起初歪著頭,但看向靜子指的方向後,捂住了臉。

光秀の問いに静子は言葉ではなく、ある地点を指さして答えた。最初は首を傾げた光秀だが、静子が指さした方を見て、手で顔を覆った。

「很有精神喔。如您所見,過於有精神了些」

「元気ですよ。ご覧の通り、元気すぎますが」

靜子指的那邊,是光秀的女兒珠,手拿貓玩具和貓咪嬉戲。現在正是靜子的新居慶賀,小僕們勢必會更忙,但她卻在偷懶。

静子が指さした先には、光秀の娘である珠が猫じゃらし片手に猫たちと戯れていた。今は静子の新築祝い、小間使いたちの彼女も必然的に忙しくなる、のだが彼女はサボっていた。

靜子理解,大概是被貓吸引了注意力,才忘了工作。

おおかた猫が気になって、そちらに意識が集中したため、仕事を忘れているのだろうと静子は理解した。

光秀羞愧得像要被煮熟般,心裡很不安寧。

光秀にとっては羞恥の余り茹で上がりそうであり、とても心中穏やかではいられない。

「……抱歉女兒沒受好教養。若有失禮,請儘管責罵她。」

「……躾のなっていない娘で申し訳ない。粗相をしたら、遠慮なく叱って頂いて構いませぬ」

「平常她都好好做事,這種程度沒必要大驚小怪。」

「普段はきちんと仕事をこなしておりますゆえ、この程度で目くじらを立てる必要もないと思います」

「若您如此說我稍感安心。不過若放任她可能會得寸進尺。失禮了。」

「そう仰って頂けると幾分安堵いたします。しかし、放っておけば図に乗るやもしれませぬ。少し、失礼を」

話音未落,光秀就邁大步向珠走去。埋頭於貓咪的她沉迷於晃動貓玩具,沒有注意到光秀的存在。

言い終えると同時に、光秀は珠に向かって大股で歩み寄る。猫に集中している彼女は、猫じゃらしを揺することに夢中で、光秀の存在に気付かない。

光秀站在她正後方,珠才終於發現背後有人,但已為時晚矣。

光秀が真後ろに立って、ようやく珠は背後に誰かがいる事に気付いたが、遅きに失した。

「父、父上!這、這個……貓很可愛啦!」

「ち、父上! こ、これはその……猫可愛いですよ!」

「那我知道!珠!竟然忘了工作去和貓玩,你是怎麼想的!」

「そんな事は分かっておる! 珠! 仕事を忘れて猫と戯れるとは、どういう了見だ!」

「哇嗚!」

「ぎゃっふん!」

(啊,珠被打了一拳。我覺得與其辯解,不如早點道歉比較好啦)

(あ、珠ちゃんがゲンコツ喰らった。言い訳するより、早めに謝罪した方が良いと思うんだけどねー)

心中想到這個建議,但靜子絲毫不靠近光秀與珠的對話。被罵了約十分鐘後,兩人一起回到靜子跟前。

アドバイスを心の中で思いつつも、静子は決して光秀と珠の会話に近づかなかった。10分ほど叱られた後、二人は揃って静子の許へ戻ってきた。

看來拳頭很痛,珠不停地揉著頭。即使如此抱著貓的模樣,靜子也只能苦笑。

ゲンコツが痛かったようで、珠は頭をしきりにさすっていた。それでも猫を抱えている姿に、静子はもはや苦笑しか浮かばなかった。

「已叮囑她好好盡職了。下次若還做那種事,請儘管告訴我。我會親自處置。」

「しかとお勤めするよう言い聞かせておきました。次に、あのような事をしておりましたら、遠慮なくお申し付け下され。某自ら処断致します」

「靜子大人,因忘記工作感到抱歉」

「静子様、仕事を忘れて申し訳ございません」

先是光秀鞠躬,接著珠也低下頭來。

最初に光秀が、それに続く形で珠が頭を下げる。

「請抬頭,明智大人。如果珠ちゃん已經理解被責罵的理由,那就沒問題了。好了,珠,努力把落下的工作補回來喔。」

「顔をお上げ下さい、明智様。珠ちゃんが叱られた理由を、しっかり理解しているなら問題ありません。さ、珠ちゃん。遅れた分を取り戻すぐらい働いてね」

「是、是!」

「は、はい!」

她精神抖擻地回答後,小跑著離開。跑的時候仍沒放開貓,但可能中途膩了,貓踢了珠的手一躍而起。

元気よく返事をした後、珠は小走りに去って行く。走るときも猫を放さなかったが、途中で飽きたのか猫が珠の手を蹴って跳びだした。

珠愣了片刻,想起光秀的責罵,移開視線後慌忙朝廚房方向跑去。

一瞬、立ち止まった珠だが光秀の叱りを思い出したのか、猫から視線を外すと慌てて厨(くりや)方面へ走って行った。

「唉,雖然是孩子,但真希望她能再成熟一點。」

「やれやれ、子どもとはいえ、もう少ししっかりとして欲しいところです」

光秀為珠的慌亂嘆了口氣。

珠の慌ただしさに、ため息を漏らす光秀だった。

「老爺,進來啦……還是一如往常呢」

「じいさん、入るぞー……相変わらずだな」

慶次拿著酒瓶走進虎太郎閉門不出的房間。還沒等對方答話,他一踏進去就對屋內的凌亂露出苦笑。

酒瓶を片手に、慶次は虎太郎が籠もる部屋へ入る。相手の返事を待たず入った瞬間、部屋の乱雑さに慶次は苦笑いを浮かべる。

到處被亂寫亂畫、散落在地上的圖表和計算式,沒學問的慶次看不懂。即便如此,他還是覺得那樣隨處亂丟未免不妥。

あちこちに書き殴られては床に散らばる図式や計算式は、学のない慶次には理解できない。だからといって、その辺りに散らかすのは如何なものか、と彼は思った。

「……嗯?是小子嗎。託付的事已經處理好了」

「……んあ? 何じゃ若造か。頼まれた仕事なら片付いておるぞ」

虎太郎像是坐著睡著一般,睜著惺忪的眼說話。現在正需觀測星辰,他的生活已經日夜顛倒。

椅子に座ったまま寝ていたのか、寝ぼけ眼で虎太郎が言葉を口にする。今は星を観測する必要があり、虎太郎は昼夜が逆転した生活を送っていた。

「老頭,要不要喝一杯酒?」

「じいさん、酒でも一杯やらないか」

「你要是拒絕,大概就會在那邊喝吧。真是的,稍微照顧一下老人也好啊」

「断ったらその辺で飲むのじゃろう。全く、少しは老人を労ってくれても良かろうに」

「正因為在照顧你,才特地來,免得你鑽研過頭而倒下不是嗎」

「労ってるからこそ、根詰めすぎてぶっ倒れないよう、こうして足を向けているんじゃねぇか」

「嘛……這話也有幾分道理」

「まぁ……それは一理あるな」

虎太郎一邊撫弄著那蓬勃的鬍鬚,一邊把一張小桌子拉過來。路上桌角勾到旁邊的書堆,露出的地板又少了些,但他並沒有太在意。

立派なあごひげをしごきながら、虎太郎は小さなテーブルを引っ張る。途中、テーブルの角が近くにある本の山を引っ掛けて更に露出している床面積が減ったが、虎太郎はさして気にも止めなかった。

「研究進行得順利嗎?」

「研究は順調かい」

「順利……談不上,不過有良好的器材準備著,倒也不至於困擾」

「順調……とはいかぬが、良い機材が準備されているので困ってはおらぬな」

慶次替虎太郎的杯中斟酒後,一邊把自己的杯子也斟滿一邊問道。虎太郎的研究是要證明地動說(日心說)是否正確。

虎太郎の盃に酒を注いだ後、慶次は自分の盃にも酒を満たしながら訊ねる。虎太郎の研究とは地動説が正しいかを証明する事だ。

為此靜子給了他各種器材。望遠鏡(屈折式)當然,還有太陽投影板與專用日晷等。

その為に静子から色々な機材を与えられていた。望遠鏡(屈折式)は勿論、太陽投影板や専用の太陽時計などだ。

尤其是太陽投影板很優秀,多虧它虎太郎得以在不擔心失明的情況下觀測太陽。

特に太陽投影板は優秀であり、これのお陰で虎太郎は失明の怖れなく太陽を観測出来る。

雖然叫作投影板聽來頗為堂皇,但原理很單純,只是在天文望遠鏡接眼鏡的延長線上放置白紙或板子而已。

投影板と仰々しい名前はついているが、原理は単純で天体望遠鏡の接眼レンズの延長線上に、白い紙や板を設置するだけの単純なものだ。

因為觀測對象是太陽,所以用低倍率接眼鏡也能運作,但因為無法一邊觀測一邊微調,把太陽投影到投影板上這道工序會多花額外時間,這也是其缺點。

観測対象が太陽ゆえ低倍率の接眼レンズでも機能するが、対象を観測しながらの微調整が出来ないため、太陽を投影板に写す手間の分だけ余分な時間を必要とする欠点も持っていた。

「是嗎。我完全不懂那些東西,但你老頭看起來高興就是最重要」

「そうか。俺には何が何やら分からぬが、じいさんが楽しそうで何よりだ」

「我本來只是翻譯哥白尼的著作,原本沒那麼感興趣。但越了解越覺得有趣。而且若能證明這是正確的,就能讓教會那些人出洋相」

「コペルニクスの著書を翻訳しただけで、元はそれほど興味があった訳ではなかったのだがな。しかし、知れば知るほど面白い。それに、これが正しいと判明出来れば、教会の連中に吠え面をかかせることができる」

「看起來很有趣啊,老頭。不過,享受人生這事很重要」

「楽しそうだな、じいさん。だが、楽しむってのは重要だぜ」

「別再為上面那些人看臉色、卑微地活著了。人生只有一次,若要無悔而終,為了不後悔做自己喜歡的事也不壞」

「もうお偉方の顔色を窺って卑屈に生きるのは勘弁じゃ。どうせ人の生は一度きり、ならば後悔なく死ぬために、好きな事をして生きるのも一興じゃわい」

「對對,吃好料、曬著太陽躺著過日子也很愜意。今天是慶祝場合,順手拿些好吃的也容易」

「そうそう、旨いもの食って、日向で寝転びながら過ごすのも楽しいぜ。今日は祝い事しているから、旨いものを拝借するのも簡単だしな」

「還以為是什麼騷動,原來在做那種事。小子,你不去參加嗎?」

「何やら騒がしいと思ったが、そんな事をしておったのか。若造、お前は出なくて良いのか?」

「我才不要那種拘謹的場合。那種互相試探心思喝的酒哪有好喝的」

「俺はあんな堅苦しい席はご免だ。腹の底を探り合いながら飲む酒など美味くないだろ」

「沒錯」

「違いない」

兩人相視大笑,然後把杯中的酒一飲而盡。

そこで二人は笑い合い、そして盃の酒を飲み干す。

「一開始覺得味道奇怪,但習慣了這酒也挺好喝的」

「最初は奇妙な味と思ったが、慣れるとこの酒も旨いのう」

「嘿嘿,今天是慶祝,正好有很多好酒端出來。多拿一些也不會被注意到」

「へっへっ、今日は祝い事だからな。良い酒がゴロゴロ出てたんだ。ちょっと多めに失敬しても目に付かないって寸法よ」

「原來如此。不過我突然很想喝家鄉的葡萄酒。跟主人提起會引起興趣嗎……不過主人應該也知道怎麼釀葡萄酒吧」

「なるほどのう。しかし、無性に故郷のワインが飲みたくなる。主人に話せば興味を惹けるか……いや、主人ならばワインの作り方ぐらい知っていそうではあるな」

「如果是靜子知道也不奇怪。事實上這酒也是靜子主導開始釀的。嘛,但一讓靜子喝酒就會很麻煩,大家都盡量不讓她喝」

「静っちなら知っていても不思議はないな。かくいうこの酒だって、静っちが音頭を取って作り始めたんだぜ。まあ、静っちに酒を飲ませると色々と大変だから、皆静っちに酒を飲ませないようにしてるけど」

「是那種酒癖失常的類型嗎?那樣剛好。人若太完美會無趣」

「酒乱のたぐいか。それぐらいが丁度良い。人間、完璧過ぎるとつまらんからな」

「嗯——酒癖失常……吧。嘛,酒癖不好這點是一樣。不管是酒還是其他事,她應該知道很多東西,也許連做法也懂」

「んー、酒乱……かな。まあ、酒癖が悪いってのは一緒か。ともかく酒に限らず、色々な物事を知っているだろうし、もしかしたら作り方も把握しているかもな」

虎太郎對那含糊的回答感到狐疑,但並不太感興趣便不再追問。於是兩人談笑,偶爾呷幾口酒。

曖昧な返事を訝しげに思う虎太郎だが、それほど興味を惹かれなかったので聞き流すことにした。それから二人は色々と談笑し、時々酒を呷った。

「南蠻是什麼感覺?」

「南蛮ってのはどんな感じだ?」

「要我說怎樣……也說不上。我曾在一位學者手下工作。學者往往不諳世事,多虧如此,我也幾乎不懂世俗事就年紀漸長了」

「どう……と言われてもな。わしはとある学者の許で働いていた。学者というのは世事に疎くてな。そのお陰で、わしも世俗のことを殆ど知らぬまま歳を取った」

「那可慘了。人生不享受就虧了啊,有時候也得玩個痛快才行」

「そりゃあ大変だ。人生は楽しまないと損だぜ。たまには遊び倒さないとな」

「我這人只是開始玩得晚了一點而已」

「わしの場合は遊び始めるのがちと遅くなっただけじゃ」

「喔,說得不錯嘛,老頭」

「お、なかなか言うじゃねえか、じいさん」

慶次露出一抹笑容把杯中酒喝乾。不久虎太郎也把杯子乾了。慶次又為虎太郎斟酒,虎太郎雖然粗枝大葉但也回敬慶次。

ニヤリと笑った後、慶次は盃の酒を飲み干す。少し遅れて虎太郎も杯を乾す。慶次が虎太郎の盃に酒を注ぎ、ぶっきらぼうながらも虎太郎も慶次に返杯する。

「你說的南蠻,簡單說就是最糟。他們用宗教束縛人民,把社會帶回黑暗時代。我也跟主說過,我們是猶太人。對那些伴天連來說,僅僅是猶太人這身分就會被視為邪惡」

「お前の言うところの南蛮は、端的に言えば最悪じゃ。宗教で民を縛りつけ、暗黒時代を進んでおる。主にも言ったが、わしらはユダヤ人。伴天連どもからすれば、ユダヤ人というだけで悪とされる」

「真是無聊的話題」

「下らん話だな」

「啊,實在是荒謬的事。但若持這種想法的人聚集成國,並將其確立為國教,這種想法就會成為常識。話說回來,我們猶太人也帶有排他性,成為多數派後恐怕也不會改變吧」

「ああ、実に不条理な話だ。しかし、そう考える人々が集まって国が形成され、その国の国教として据えられたなら、その考え方が常識となる。まあ、わしらユダヤ人とて排他的なところを持つゆえ、多数派になれば変わらぬのだろうがな」

「奇怪的事。從我看來,信奉的神應該是一樣的吧?在日本也同樣崇拜同一位佛,卻分成各種宗派。然後把自己所屬宗派以外的都排斥為異端。教義本來相同,只是解釋不同,為了這種差異而爭鬥實在徒勞無益」

「妙な話だ。俺から見れば、信じる神は同じなのだろう? 日ノ本でも同じ仏を崇めながら、様々な宗派に分かれている。そして自分が属する宗派以外をやれ異端だと排斥する。教えは同じなのだから、解釈の違いでしかないのに争うのでは不毛でしかない」

「的確。不過在這個國家宗教人士沒有橫行倒是好事。被捲入奪回聖地、獵捕異端者那種愚蠢騷動,我可不想參與」

「そうだな。しかし、この国では宗教家が幅を利かせていないのが良い。聖地奪回だの、異端者狩りだの、そんな馬鹿騒ぎに巻き込まれるのは御免被る」

「我們這裡不會強迫別人信仰」

「うちじゃあ、信仰を強要することがないからな」

「對手下信仰什麼都不拘泥,這也是主人的方針嗎?說到這個,主人到底是何方人物?那個年紀還能那麼通達的人並不多,他似乎還有看不透的深層見識」

「己の配下が何を信じていようと拘泥せぬのか、それも主人の方針か。それで思い出したが、主人は一体何者だ? あの歳で、あれほどの達観している人間などそうはおらぬ。未だ奥底の見えぬ見識を持っているようだしな」

「誰知道呢?」

「さあ?」

「『誰知道呢』……這樣說?」

「さあ……って」

聽到慶次那聽來漫不經心的回答,虎太郎感到愕然。看起來他對主人一無所知,甚至毫無興趣。

慶次の投げやりに聞こえる返事に、虎太郎は呆れかえった。主人の事を何も知らない、それどころか興味もないという態度に見えたからだ。

察覺到虎太郎的表情後,慶次露出無邪的笑容開口說道。

虎太郎の表情に気付いて、慶次は邪気のない笑みを浮かべながら言葉を口にした。

「知道靜っち究竟是何方人物並沒有意義。我不感興趣。我們……至少我個人是這麼想的。那並不是因為我跟靜っち保持距離」

「静っちが本当は何者か、なんて知っても意味はない。興味もない。俺たちゃ……少なくとも俺はそう思っている。それは静っちに対して距離を置いているからじゃない」

「……」

「……」

「靜っち做的事很有趣,對他下一次會做出什麼事抱著期待與好奇而感到興奮。光是這樣就足夠了」

「静っちのやる事は面白いし、次にどんな事をしでかすか、期待と興味でわくわくする。それだけで十分」

「原來如此。確實,能讓人抱有期待是很重要。只是主人嘛,他涉獵太多毫無脈絡的事,想看清他到底想做什麼反而看不出來,這是個缺點」

「なるほどな。確かに期待できるというのは重要じゃ。まあ主人の場合、脈絡のない事に手を広げ過ぎていて、何をやりたいのか見えてこないのが難点だが」

「若連那點也能享受的話,爺爺也算是一人之輩了」

「それすらも楽しめるようになれば、じいさんも一人前さ」

「別把年長者當成不夠格的人!」

「年長者を半人前扱いするな!」

兩人這麼說著笑了起來。之後兩人一邊飲酒一邊享受交談。

そう言って二人は笑い合う。それからも二人は酒を交わしつつ会話を楽しんだ。