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戦国小町苦労譚

千五百七十三年 五月中旬

靜子以為自己理解織田信長這個人。不,應該說她只是自以為理解了。

静子は織田信長という人物を理解したつもりでいた。否、理解したつもりになっていたと言うべきか。

在告知收到上杉謙信同意投降的書信時,靜子以為信長最早也要到翌晨才會回應。

上杉謙信からの降伏受諾を伝える書状が届いたと一報を入れる際、信長の反応は早くとも明日の朝になるだろうと静子は考えていた。

然而,接到消息的信長一旦掌握內容就中斷政務,決定動身前往靜子處,親自取得更精確的情報。

しかし、報せを受けた信長は内容を把握すると政務を中断し、精度の高い情報を入手すべく静子の許へと出発する決断をした。

他拋下忙於準備的馬廻衆,獨騎先行。

準備に手間取る馬廻衆を置き去りにして単騎で先行した。

剛毅果斷,無人能及其行動之速。

剛毅にして果断。最速で行動する信長に追いつける者はいなかった。

本該半日路程,他換馬疾馳數小時便抵達靜子處,時值日落入夜的暮色時分。

通常半日はかかる距離を、馬を乗り継ぎ、僅か数時間で疾駆した信長が静子の許へと辿り着いたのは、日が沈み宵闇へと変わる時間帯だった。

「對於上杉家的書狀有疑義。我要與使者直接對話。」

「上杉家からの書状について疑義(ぎぎ)がある。使者と直接話がしたい」

雖說他應如疾風迅雷般移動,但看不出絲毫疲態,反而被澎湃的霸氣震懾。用遞來的手巾粗暴拭去流汗,率先開口詢問要事。

疾風迅雷の如く移動したはずの信長だが、彼からは疲労感など見えず漲る覇気に圧倒されそうだった。流れる汗を渡された手ぬぐいで乱暴に拭い、真っ先に用件を切り出した。

靜子被信長的氣勢嚇了一跳,卻立刻理解其要求,向兼續說明情況並安排會見。

静子は信長の剣幕に呆気に取られていたが、即座に彼の要望を汲み取ると、兼続に状況を説明して会見の段取りを整えた。

兼續或許也預料到會見信長,立刻整理儀容赴見。

兼続自身も信長との謁見を予期していたのか、すぐさま身嗜みを整えて謁見に臨んだ。

「問問使者大人,為何當下即作出決斷?」

「使者殿に問おう。即断した理由とは何か」

即便對方還是孩童,信長也當作上杉家的使者看待。兼續雖然會見比預期早得多,仍然答得堂堂有度。

相手がたとえ童であったとしても、信長は上杉家の使者として扱う。兼続も予想よりも随分早い謁見にもかかわらず、実に堂々とした受け答えを返していた。

「這是御實城大人深思熟慮的結果。」

「御実城様が熟考された結果でございます」

「上杉家臣可有不滿?」

「上杉の家臣に不満はないのか」

「無論有無不滿,家臣當遵從御實城大人的決定。當然我無任何不滿。」

「不満があろうと無かろうと、御実城様の決断に従うのが家臣。無論某に不満などございません」

「上杉所欲為何?」

「上杉が望む要望とは何か」

「關於那點我未被告知。只是御實城大人說,終結亂世、給予百姓足夠的生計正是此時。」

「それについて、某は何も聞かされておりませぬ。ただ、乱世の終焉と民に十分な食い扶持を与えてやれるのは今だと、申されておりました」

在連靜子都為之震懾的信長面前,兼續毫無畏懼地發言,這讓信長十分中意。

静子すら圧倒される信長を前にして、臆することなく言葉を述べる兼続を信長は気に入った。

他露出深深的笑容,繼續發問。

彼はニヤリと笑みを深めると、質問を続けた。

「你被賦予的任務是何?」

「貴様が課された役目とは何か」

「在御實城大人向臣下行禮之前,身為人質留在此。如若御實城大人違背約定,請隨意取此首級。」

「御実城様が臣下の礼を取るまでの間、人質となることにございます。もし、御実城様が約定を違えようなら、この首お好きになさいませ」

「以你這年紀能有這般覺悟,令人佩服。嗯……大致了解你方情況,任務辛苦了,下去吧。」

「その歳にしては見上げた覚悟よ。ふむ……概ねそちらの事情は把握した、お役目ご苦労。下がって良い」

「是」

「はっ」

「夜已深,外出恐不方便。特別為你在靜子家準備房間,暫且好好歇息。」

「夜も更けた、出歩くには不案内であろう。特別に静子の家に部屋を取らせる、しばしその身を休めるが良い」

「過於周到,十分感激。」

「過分なご配慮、痛み入ります」

兼續本人也有未被告知之事,但信長並未顯出在意。質詢結束後,信長讓兼續退下,獨自喃喃自語。

兼続自身が知らされていない事もあったが、信長は然して気にした風も無かった。質疑を終えた信長は兼続を下がらせると独白する。

「呵呵呵,如此皆按計畫行動,真是令人畏懼。」

「くっくっくっ。こうまで狙い通りに動くと、そら恐ろしいものがあるな」

人都散去後,獨處房內的信長發自內心地笑著。理所當然,他已擊敗武田信玄,甚至使與之齊名的上杉謙信也屈服。

人払いが為され、独りきりの室内で信長は心底楽し気に笑っていた。それもそのはず、武田信玄を打ち破り、双璧を為す上杉謙信をも屈服させたのだ。

能在短短半年內達成這些,換作誰也會喜不自禁。

それらを僅か半年で成し遂げたのだから、信長でなくとも笑いが止まらない状況だろう。

「浮現出淺井與朝倉因焦慮而驚惶的模樣!那些愚蠢之徒當初踢掉了我的文書,如今定是追悔莫及。愉快愉快!」

「浅井と朝倉の焦慮に駆られる姿が目に浮かぶわ! 愚図共が、わしの文を蹴った事を臍(ほぞ)を噛む思いでいることじゃろう。愉快愉快!」

信長見上杉早早判斷時局,與相對愚鈍的淺井、朝倉行為形成對比,發出高昂的笑聲。

いち早く時流を判断した上杉と、対照的に愚鈍な浅井朝倉の行動を鑑みて、信長は高らかな笑声を上げる。

記載當時信長情形的書籍以「格外的滿足感」來形容,可見他有多愉悅。

この時の信長の様子を記した書物に「格別の満足感」と表現されているところから、どれほど信長が喜んでいたかが窺える。

上杉的臣服對他而言是不可或缺之事,足以成為其稱霸之路與統一天下的試金石。

それほどまでに上杉の臣従という出来事は、彼の覇道に於いて欠かせぬ出来事であり、天下統一の試金石となり得る一事であった。

「靜子!把酒藏打開,分酒招待眾人!」

「静子! 酒蔵を開け、振る舞い酒よ!」

之後,與終於趕到的馬廻衆與小姓等稍作聚集,舉行了小型宴席。平常不嗜酒的信長,此刻也與眾共飲,連續乾杯。

その後、ようやく駆け付けた馬廻衆や小姓たちを交えて、ささやかだが宴が催された。普段は深酒をしない信長も、この時ばかりは皆と杯を交わし次々と杯を乾(ほ)していった。

翌晨一早,伴隨日出起行,如來時一般如疾風般返回岐阜。

そして翌日早朝。日の出と共に出立し、来訪と同様に突風のように岐阜へと戻っていった。

雖然這次未再無謂獨騎,但人人都吃力地跟隨著信長突如其來的行動。

流石に不要な単騎駆けはしなかったものの、誰もが信長の急な行動について行くのがやっとの思いであった。

信長來襲數日後便未再與人接觸,也未見備戰,四周彷彿籠罩著較為平靜的氣氛。

信長の襲来から数日が経ったが、その後の彼からの接触はなく、またいくさ支度をするでもなく、比較的穏やかな空気が感じられた。

兼續雖被視為人質,慶次卻毫不在意帶他出門遊逛。寧靜的氛圍令人放鬆,靜子也久違地專注於農務。

兼続は人質という扱いだったが、慶次は気にすることなく彼を連れ出し、街を遊び歩いていた。長閑(のどか)な空気に気も緩み、静子も久々に農作業に精を出していた。

可可樹已成樹,咖啡樹也長到約70公分,胡椒株數穩定增加、量產步入正軌。荔枝與山竹果(マンゴスチン)等南國果樹生長亦相當良好。

カカオの木は成木となり、コーヒーの木も70センチ程にまで成長し、胡椒は順調に株数を増やして量産に勢いがついた。ライチやマンゴスチンなどの南国系果樹の生育も順調だった。

靜子推測,雖然栽培環境並不理想,但肥沃的土壤與氣候等造成適度壓力,刺激植物的生存本能,使牠們加速生長以傳宗接代。

育成環境が最適でないにも関わらず、順調な成長をしている理由は、肥沃な土壌と気候条件などで適度にストレスが掛かる環境にあることが植物の生存本能を刺激し、早く成長して子孫を残そうとしているのではと、静子は推測していた。

因為成為織田家的重臣,無法只專心從事農務,所以將每種作物分派負責人,從實作上抽身。

自身が織田家の重臣となった事で、農作業だけに関われる時間が減ったため、各作物ごとに担当者を割り振って実作業から身を引いていた。

雖然對無法親自處理辛苦採購來的作物感到不滿,靜子仍為作物生長順利而高興。

苦労して仕入れた作物に関われない不満はあるものの、生育が順調であることを静子は喜んでいた。

「差不多該挑戰香蕉的三倍體了吧。大概像別的作物一樣,組合二倍體和四倍體就能培育出來吧。畢竟香蕉還是要無籽的才行」

「そろそろバナナの3倍体にも挑戦してみようかな。多分、他と一緒で2倍体と4倍体を組み合わせれば、作れると思うのだよねえ。やっぱりバナナは種なしでないと」

在自然環境下三倍體香蕉偶發產生的原因至今仍不明,但靜子認為和無籽西瓜一樣,是由二倍體與四倍體的雜交產生三倍體香蕉。

自然環境下で偶発的にバナナの3倍体が発生した理由は現代でも不明だが、静子は種なしスイカ等と同様に2倍体と4倍体の交配によって、3倍体バナナが発生したと考えていた。

作為能人為穩定製造三倍體的藥劑──秋水仙鹼(コルヒチン)在羅馬帝國時代就已作為治療痛風的藥物存在。

人為的に安定して3倍体を作り出す薬剤であるコルヒチンは、ローマ帝国時代において痛風用の薬として既に存在していた。

但因副作用強烈,現代很少會把秋水仙鹼用來處方治療痛風。

ただし副作用も強いため、現代では痛風に対してコルヒチンが処方されることは稀である。

「反正都是試試看,先從挑戰四倍體香蕉開始……要到達三倍體恐怕還要好幾年吧」

「まあものは試しだから、4倍体バナナ作りの挑戦から始めているけど……3倍体に辿り着くまで数年は掛かるよねえ」

如同現代製作無籽西瓜的方法,對香蕉的芽處理了估計能萃取出的秋水仙鹼萃取液。

現代の種なしスイカの作り方と同様に、バナナの芽に恐らく抽出出来たであろうコルヒチン抽出液を処理した。

不過不知道這樣是否成功,甚至不確定秋水仙鹼是否真的被正常萃取出來。

ただし、これが成功しているのか、そもそもコルヒチンが正常に抽出しているのかもわからない。

秋水仙鹼本身應可由進口的秋水仙(イヌサフラン)種子或鱗莖以乙醇熱處理萃取,但要再結晶則需要乙酸乙酯,因此無法以肉眼判斷。

コルヒチンの抽出自体は輸入したイヌサフランの種子や鱗茎をエタノールで熱処理すると抽出できているはずだが、再結晶化するには酢酸エチルが必要となるため、目視で判断できないのだ。

因此採取相信已經萃取成功再進行處理、把結果交給天命的方式。

故に抽出出来ていると信じて処理を行い、結果は天に任せるという方式だ。

本來就算能得到四倍體的機率也頂多約十%左右,無籽香蕉短時間內還吃不到。

そもそも4倍体が得られる確率自体が多くとも10パーセント程度なので、まだまだ種なしバナナは口に出来そうもなかった。

「嗯——能毫無顧忌專心做田間工作真令人愉快啊」

「うーん、気兼ねなく畑仕事に専念できるのは楽しいなあ」

從溫室(嚴格來說並未使用塑膠)走出來,靜子用力伸了個懶腰。

ビニールハウス(厳密にはビニールを使用していない)から出ると、静子は勢いよく体を伸ばす。

今天天氣也很好,她想著把工作做完後到縁側乘涼,一邊吃西瓜一邊休息。

今日は天気も良いし、仕事を終わらせたら縁側で涼みながらスイカでも食べようと、考えていた。

這時,突然想到一件事。

その時、ふとあることを思いつく。

「啊,對了。差不多大家也安頓下來了,來辦個新居賀宴如何?」

「あ、そうだ。そろそろ皆落ち着いた頃だろうし、新築祝いでもしようか」

靜子日後會為這番話感到後悔。

この発言を後に静子は後悔することになる。

靜子要舉辦新居賀宴的消息,轉眼就傳到了信長和信忠(奇妙丸)的耳中。

静子が新築祝いの宴を催す。その情報はあっという間に信長や信忠(奇妙丸)の耳にも届いた。

與此同時,消息也傳到了織田家的舊臣們,稍晚又流向德川家和其主要家臣。

時を同じくして、織田家譜代の家臣たちへも、少し遅れて徳川家と主要な家臣たちへも情報が流される。

靜子原本打算辦個只邀親眷的簡單宴席,但出乎她意料,各方送來的新居賀禮堆得像山一樣。

静子としては身内でこぢんまりとした宴席を考えていたのだが、彼女の予想に反して多方から新築祝いが山のように届いた。

匆忙編寫參加者名冊的蕭,將按氏族整理的名單交給靜子,靜子看到那厚厚的一疊名簿還以為是玩笑。

急いで参加者名簿を作った蕭が、氏族ごとに纏められた名簿を静子に渡したのだが、静子は渡された名簿の分厚さに冗談かと思ったほどであった。

「嗯……為什麼會收到這麼多祝賀呢?話說我除了上樣之外並沒有把新居的消息通知別人啊?」

「えーと、なんでこんなにお祝いを頂いているのかな? というか私、新築の報せを上様以外には出していないよ?」

「那個……因為是靜子大人的事,所以也沒辦法吧」

「それは……静子様のことですから仕方がないかと」

「不,蕭醬我完全不懂你的意思。總之食材和器具應該都不夠,去把能買的都買齊吧。把這個拿給彩醬看,她會先墊錢的」

「いや、意味が判らないよ蕭ちゃん。とにかく食材も什器も足りないだろうから、目一杯買い込んできて。これを見せればお金は彩ちゃんが用立ててくれるから」

「是!那我會準備必要的購物清單,先告辭了」

「はいっ! では、必要な買い物一覧を準備しますので、私はこれにて失礼いたします」

「嗯,拜託了」

「うん。よろしくね」

蕭精神抖擻地一禮後離開房間,她走後靜子又翻了一遍名冊。

元気よく一礼した後、蕭は部屋を後にする。彼女が去って静子はもう一度名簿に目を通す。

參加者人數擴增,從上頭的信長與家康,到下頭讓人懷疑到底是誰的人都有。

上は信長や家康に始まり、下は本当に何処の誰だと尋ねたくなる人まで、参加者の数は膨れ上がっていた。

靜子有些警戒,懷疑資訊是否從哪裡外洩,便叫來慶次。

どこからか情報が漏れたのか、と少し警戒心を抱いた静子は慶次を呼ぶ。

「那當然是靜酱啊。現在的靜酱勢如破竹,大家都在關注她的一舉一動。宅邸又顯眼,沒法藏得住。」

「そりゃあ静っちよ。今や飛ぶ鳥を落とす勢いの静っちの動向。誰だってその一挙手一投足に目を払っている。屋敷は目立つから隠しようがない」

知道被叫來的理由後,慶次半是無奈地說出答案。

呼ばれた理由を知った慶次は、半ば呆れながらも答えを口にする。

無論好壞,靜子都在被監視。她平時性子遲鈍可能沒察覺,但只要她有明顯行動,至少在織田領內就會全被知道。

よくも悪くも静子は監視されている。本人自体が通常時は鈍いため、気付いていないが、彼女が目に見える形で何かを行えば、少なくとも織田領内では全員に筒抜けとなる。

消息傳到其他領地的德川家,應該是有人刻意洩漏的結果。

他領である徳川家にまで伝わったのは、誰かが意図的に流したのであろう。

「唔——本來只是個小小的聚餐計畫,結果變得這麼大事了啊」

「うーん、単にちょっとした食事会の予定が、随分と大事になっちゃったなあ」

「只能認了。武藤那老頭也說過,想投靠靜酱的人會盯著這種機會,對那些赤裸裸靠近的人要小心」

「諦めるしかない。武藤のおっさんも言っていたが、静っちに取り入ろうと思う奴は、こういう機会を狙っている。露骨にすり寄ってくる輩には気を付けないといかん」

「真希望別來這套。權力是必要的,但過度的權力鬥爭只會把國內搞得支離破碎」

「勘弁して欲しいね。権力は必要だけど、過剰な権力闘争は国内をボロボロにするだけだもん」

「也是。不過靜酱到處投資,那在外人看來就是闊氣。金錢與權力,足以讓人誤入歧途」

「そうだな。ただ静っちはあちこちに投資しているだろ? あれが他人には羽振りが良く見えるのさ。金と権力、人が道を踏み外すには十分なもんさ」

「金錢和權力,到頭來也只是為了成就某事的工具而已呢」

「金も権力も、結局は何かを成すための道具にすぎないのにね」

「不這麼想的人在這世上反而更多」

「そう思わない奴の方が、この世には多いのさ」

靜子說完,慶次聳了聳肩。

静子の言葉に慶次は肩をすくめる。

「嘛,這種程度應該沒問題。注意是該注意,但太過掛心也不好」

「ま、この程度なら問題ないだろう。注意を払うのは良いけど、気に掛けすぎても良くないぜ」

「就這麼做。抱歉,把你留住這麼久」

「そうする。ごめんね、長々と引き留めちゃって」

「別介意。陪與六玩挺有趣的。如果要說問題的話,大概就是與六完全忘了自己是人質這點吧?」

「気にするな。与六の相手をするのは楽しいもんだ。問題があるとすれば、与六が人質って立場を完全に忘れているところかな?」

自從謙信傳出向信長投降的消息後,信長與謙信之間已有數次往來。依據當時交換的文書,兼續正式成為織田家的預かり,直到謙信親自到訪信長為止,實際上被當作人質處置。

謙信が信長に降伏するという報せが届いて以来、信長は幾度か謙信とやり取りをしていた。その際に交わされた文書により、兼続は正式に織田家預かりの身となり、謙信が信長の許を訪れるまでの間、事実上の人質として扱われることになる。

信長對於如此重大案件竟只派一名近侍作人質感到疑惑,但他也想到若謙信違反約定,可以宣稱只是讓一名童子頂罪而已,於是接受了兼續的人身。

これ程の重大案件に人質が近習一人かと信長は訝しみもしたが、もし謙信が約定を違えれば童一人に責を負わせて切り捨てたと喧伝できるとも考え、兼続の身柄を受け入れた。

而如今兼續仍在慶次的監視下,於靜子的宅邸起居。

そして今も兼続は慶次監視の下、静子の邸宅にて寝起きしている。

然而即便名為監視,實際上並未多少限制行動,兩人時常一同外出逛街,常常深夜才回來也很常見。

しかし、監視付きとは言えど、行動が制限されることなど殆どなく、時折二人揃って街へと出かけては、夜遅くに帰ってくるということもザラだった。

「那不是慶次先生也有問題嗎?」

「それは慶次さんにも問題があるんじゃない?」

「無禮了。我是有在好好監視的」

「失礼な。きちんと監視はしているぞ」

「可在監視的名義下兩人一起外出遊玩,看起來就是玩伴而已」

「監視という名の下に連れ立って遊んでいるようにしか見えないけれども」

他們午間才起床,然後帶著兼續去某處遊玩,回來後大吃一頓就睡覺。

昼頃起き出したかと思えば兼続を連れてはどこかへ遊びに行き、帰ってくればたらふく飯を食って寝る。

別人說慶次是誘使對方放鬆以觀其真性情,不過從外表看大概也只是玩樂而已。

慶次は油断を誘って本性を見ている、というがどう見ても遊んでいるようにしか見えなかった。

兼續在需要禮儀的場合也會呈現出武家的態度。

兼続も礼儀が必要とされる場では武家らしい態度で臨む。

但也許是和慶次很合得來,兩人一在一起就立刻放鬆精神。外人看起來有些散漫,但靜子認為那是去掉一切身分後,年齡相符的少年模樣流露出來了。

だが慶次とよほど相性が良いのか、二人揃うと途端に精神が緩む。傍目にはだらしなく見えるが、何もかも立場を取り払った年相応の少年らしさが出ている、と静子は思った。

「嘛,只要他們過得快活就好了。反正不久上杉會來向上樣問候,想到那時再說就能睜一隻眼閉一隻眼了」

「ま、元気に過ごしているなら良いか。その内、上杉が上様へ挨拶しに来るから、その時までと考えれば目をつむれるしね」

「就是那回事。那麼我就先告辭了」

「そういう事。じゃ、俺はこれで失礼するさ」

話音剛落,慶次便離開房間。靜子感覺他興高采烈得像要跳著走,大概又要去街上玩吧。

言うやいなや慶次は部屋を後にする。スキップでもしそうなぐらい楽しげな雰囲気だと感じたので、また街にでも遊びに行くのかなと静子は察した。

「話說回來……上杉大概什麼時候會來呢。嗯,那交給上樣決定,沒必要我操心。我該處理新宅慶賀的參加者名單了」

「さて……上杉はいつ頃来るのかな。ま、そこは上様が考えているから、気にする必要はないか。私は新築祝いの参加者の処理をしよう」

說罷靜子又轉回書桌前。

そういつつ静子は机に向き直った。

當靜子忙著籌備新居慶祝時,信長則在進行與本願寺和睦相關的準備工作。

静子が新築祝いの準備に忙殺されている頃、信長は本願寺との和睦に関する準備を行っていた。

謙信的投降震撼甚大,本願寺慌忙向信長提出和睦的打診。

謙信の降伏がよほど衝撃だったのか、本願寺は慌てて信長へと和睦の打診をしていた。

朝倉與淺井也受了衝擊,但對信長而言,他們已不足以成為需要特別在意的對手。

朝倉や浅井も衝撃を受けていたが、信長にとって彼らはもう意識する程の相手ではなかった。

信長打算在與本願寺的和議條件中,務必讓對方承認通貨發行權。

信長は本願寺との和睦条件に、必ず通貨発行権を認めさせる気でいた。

幸運的是,本願寺尚未意識到通貨發行權的重要性。

幸いにも通貨発行権の重要さに本願寺は気付いていなかった。

這部分除了本願寺未能理解掌握通貨發行權的用意外,亦因信長提出了一些本來無法接受的過分要求作為掩飾。

それは通貨発行権を握る狙いを理解していなかったのもあるが、信長が他に到底許容できない無茶な要求を出したのが原因だ。

信長向本願寺提出無理要求是有其道理的,也就是所謂的「抬高再降價(ふっかけ)」手法。

信長が無茶な要求を本願寺に提示したのは訳がある。いわゆる「ふっかけ」である。

那是被稱作Door-in-the-face技巧,利用要求落差的交涉術;在日本則稱為譲歩的要請法。

ドア・イン・ザ・フェイス・テクニックと呼ばれる、要求の落差を利用した交渉術だ。日本では譲歩的要請法と呼ばれている。

做法是先提出極端無理的要求,當然對方無法接受而予以拒絕。

これは最初に無茶な要求を行う。当然、相手は受け入れられず断る。

接著逐步降低要求,最後讓對方覺得自己已經讓步到某程度,從而接受原本真正想要的條件,這就是交涉術的要領。

そこから徐々に要求を下げ、最終的に自分が望んだ要求を、あたかもそれだけ譲歩したと思わせて、相手に要求を飲ませる交渉術だ。

這手法運用了所謂的「互惠原則」,像是「以恩報恩」或「對示好之人回以好意」等心理,讓接受施舍或好意者產生必須回報的想法。

これは「恩には恩で返す」や「好意を向けられた相手に好意を返す」など、施しや好意を受けた場合、何かしらのお返しをしなければという思考になる「返報性の原理」と呼ばれる心理法則を用いている。

採用這種交涉術的理由顯而易見。信長打算對外營造出自己曾「讓步」的假象,但在實際上確保只有自己想要的要求被通過。

そんな交渉術を使う理由は明白だ。信長はこれから「譲歩した」ふりを対外に見せつつ、己が望む要求だけは確実に通す気でいた。

信長認為本願寺會盡可能找各種藉口拒絕接受,因此他早已有所準備。事實上,本願寺方面也寄來近乎哭訴般的懇求書。

本願寺は何かしら難癖を付けてでも要求が飲めないと交渉してくる、と信長は考えていた。事実、本願寺側からは泣き言にも近い嘆願書が届いた。

「咯咯咯,愚蠢的傢伙們」

「くっくっくっ、愚か者どもめ」

信長暗自竊笑,將事先準備好的第二份(……)和解條件文書寄給本願寺;這當然也在他的預料之中會被拒絕。

信長はほくそ笑みながら、予め用意していた二つ目(・・・)の和睦条件が書かれた文を、本願寺へと送りつける。当然、それも本願寺が拒否する事は想定済だった。

縱使那些條件被接受,對信長而言也只是把原本的條件包成附加贈品;若被拒,他只需再寄出第三封和解條件。無論如何,信長都不會受損。

よしんば条件を飲まれたとしても信長にとっては、本来の条件におまけが付いてくる。断られれば三通目の和睦条件を送るだけだ。どちらに転んでも信長に損はなかった。

「遲早會有人先放棄的。若來自其他處的壓力或抱怨增多,就拖延回應。很快他們就會不耐煩而採取行動」

「そのうち、音を上げるだろう。他所からの圧力や苦情が多くなれば返答を遅らせよ。じきに痺れを切らして行動を起こす」

若能操弄交涉使其陷入膠著,反而是有利情勢。從世間觀感來看,信長已經假意讓步兩次。

交渉が難航していくさを仕掛けてくるのなら好都合だった。世間的には信長は二度も譲って見せたのだ。

若因談判不如意就發兵攻打,那本願寺便無正當理由可言。信長示範了度量,而本願寺則顯得自私狹隘,民眾會支持哪一方自是明白無疑。

交渉が思い通りにならぬからと、いくさを仕掛けてくるのなら本願寺に大義はない。度量を見せた信長と、自分本位で狭量な本願寺。人々がどちらを支持するのかは明らかであった。

一旦急忙提出和議,本願寺便已無勝算。信長暗自享受著,猜測顕如等人究竟何時會接受和議,或會不顧一切地發起攻勢。

焦って和睦を申し出た時点で、本願寺に勝ち目はなかった。信長は、いつ顕如たちが和睦を受け入れるのか、はたまた破れかぶれで仕掛けてくるのかを密かに楽しんですらいた。

與那種心機外交無緣的慶次,今天也帶著兼續到處在尾張閒逛。

そんな腹黒い外交とは無縁の慶次は、今日も兼続を連れて尾張をあちこち散策していた。

兼續身為人質,然而看管他的慶次根本不在意,整日帶著兼續到處遊玩。

兼続は人質の身分であるが、監視役の慶次は全く気にもしていない。兼続を連れて日がな一日遊び回っていた。

「嗯……果然如傳聞,百姓臉色都很明朗。看不到病人或消瘦的老人,就連孩童也活力四射地到處玩耍。」

「むう……噂に違わず、民草の表情が明るい。病人や、やせ細った老人など何処にもいない。童子すら元気に遊び回っているな」

「現在是這樣,但十年前可糟得很。織田大人甚至想著要連根拔起這一帶,開設商貿交易所。」

「今ではこうだが、十年も前なら酷いもんだったぞ。織田の殿様はこの辺り一帯を取り潰して、商取引の座を開こうか、と考えていたぐらいだからな」

尾張雖多肥沃之地,但並非每塊田地都肥沃,有些人住在貧瘠之地。

肥沃な大地が多い尾張だが、無論全ての土地が肥沃だった訳ではない。中にはやせ細った土地に住む者もいた。

「接下來要去的是靜她最初負責的那個村子的人,說不定能聽到有趣的故事喔?」

「これから向かうのは、静っちが最初に手掛けた村の連中だな。面白い話が聞けるかもしれないぜ?」

「那倒令人期待。」

「それは楽しみだ」

兩人一邊聊著,便進入了靜子最初被委任的村落。

そんな会話をしつつ二人は、静子が最初に任された村へと入る。

首先映入兼續眼簾的,是一處異樣的光景。

まず兼続の目に飛び込んできたのは、異様な光景の一言につきた。

連綿排列的塑膠溫室、與水車小屋相連的垂直農場設施等,與他腦海裡的田園風景完全不同。

立ち並ぶビニールハウス、水車小屋と連結した垂直農場用の設備など、彼の脳裏にあった田園風景とは全く異なる景観であった。

「真是……這到底是什麼?」

「何とも……なんだこれは?」

兼續被眼前景象弄得一頭霧水,愣住片刻後,踉蹌地走近。

兼続は目の前の光景に混乱し、呆然と立ち尽くした後、ふらふらと歩み寄った。

「喂!是誰在糟蹋田地!」

「こらあ! 誰だ、畑を荒らす奴は!」

被側面傳來的怒喝聲驚醒,兼續終於回過神來。似乎無意識間走了很遠,腳已踩進了田裡。

横合いから掛けられた怒声に、兼続はようやく我に返った。無意識の内にかなりの距離を歩いていたようで、彼の足は畑の中にまで踏み込んでいた。

慶次似乎在尋人,視線沒看著兼續,也沒發現兼續已踏入田中。

慶次は誰かを探していたのか、兼続から視線を外しており、彼も兼続が畑に踏み込んでいた事に気付かなかった。

「你們是誰……咦,不是慶次大人嗎!喂,你快從田裡出去!」

「誰だおまえさんら……って慶次様じゃないですか! あ、お前は早く畑から出ろ!」

慶次終於也明白了現況,拉著仍有些迷茫的兼續離開田地,向氣得發怒的男子低頭致歉。

ようやく慶次も現状を理解した。未だ混乱気味の兼続を引っ張って畑から出すと、怒り心頭の男性に頭を下げた。

「抱歉,都是我沒看著,弄壞了田地。」

「すまん、俺が見ていなかったばかりに畑を荒らしちまったな」

「不、不不,沒那麼嚴重,沒關係。那這邊的小孩是誰?」

「い、いやいや、そこまで酷くないので大丈夫です。んで、こっちの子供は誰ですか?」

「喔——是靜她的客人嗎?」

「あー静っちの客人か、な?」

因為『人質』聽起來不太好,慶次便隱瞞了兼續的身分。那名男子似乎也沒特別在意兼續,聽了慶次的話露出釋然的表情。

人質というと見聞が悪いと思い、慶次は兼続の素性を誤魔化した。男性もそこまで兼続に興味はないのか、慶次の言葉を聞くと納得した表情を浮かべる。

「真是抱歉。因為看到從未見過的景象,一時愣住竟糟蹋了田畑,特此致歉。」

「申し訳ない。見た事もない光景であったゆえ、呆然としてしまい田畑を荒らしてしまった。この通り謝罪いたす」

「不,該是我對不起先怒吼你。啊,我叫田吾作。村長……靜子大人的客人,對我們來說也是客人。這兒雖沒什麼,還請慢慢坐。」

「いや、こっちこそ怒鳴ってすまんな。あ、俺は田吾作って言うんだ。村長……静子様の客人なら、俺らにとっても客人だ。何にもねぇとこだけど、ゆっくりしていってくれ」

「我叫與六。並非如此。在我們眼裡,什麼都是新鮮事物。」

「与六と申す。そんな事はない。こちらから見れば、何もかもが目新しいものばかりだ」

田吾作態度一變變得友好。兼續再次體會到光是提到靜子的名字,就能讓人如此轉變,可見靜子深受百姓敬愛。

先ほどとは打って変わって、田吾作は友好的な態度になる。静子の名前を出しただけでこうも変わるのか、と兼続は改めて静子が民にどれほど慕われているか理解した。

「不過真是,還是有好多謎樣的東西呢。」

「しっかし、相変わらず謎なものが多いねぇ」

「呵呵,這裡有許多靜子大人忙不過來的事都交給我們做。多虧這樣,從別村來的人通常都會眼花撩亂。」

「へへっ、ここは静子様が忙しくて出来ない事を、色々と任されておりますから。お陰で他の村からきた奴らは、たいてい目を回すんでさあ」

「如果不介意,可以問問你們具體在做些什麼嗎?」

「差し支えなければ、具体的に何をしているか聞いても良いか?」

聽到兼續的話,田吾作露出彷彿等不及要說的表情;兼續沒有注意到旁邊的慶次苦笑,便等著田吾作繼續說下去。

兼続の言葉に田吾作は、待ってましたと言わんばかりの表情を浮かべた。横で慶次が苦笑い浮かべている事に気付かず、兼続は田吾作の次の言葉を待つ。

「喔,等一下……找到了,是這個。我們先是在試用這個。」

「おう、ちょっと待って下せえ……あった、これだ。まずはこいつを試してます」

田吾作這麼說著回到原路,不久就手裡拿著東西回來。兼續仔細端詳那物品,卻看不出是何物。

そう言って元来た道を戻った田吾作だが、すぐに何かを手に持って戻ってくる。兼続は田吾作が持っているものをじっくり見るが、それが何か分からなかった。

因為外人看來,只覺得像透明箱裡漂浮著草木而已。

何しろ傍目には、透明な箱に草木が浮いているようにしか見えないのだから。

「這玩意叫做水耕栽培,是一種新的農法。靜子大人想研究它,但她實在沒時間,所以我們承擔了水耕栽培的研究。這東西管理難,我沒學問,根本不懂為什麼沒有土也能長得好。」

「こいつは水耕栽培っていう新しい農法なんでさあ。静子様はこいつの研究をしたいようだが、どうにも時間が取れないって事で、うちが水耕栽培の研究を引き受けたって訳です。管理が難しいし、俺には学がないから土も無いのに何で育ってるのか分からないんですがね」

所謂水耕栽培,是不同於傳統以土栽培的農法,改以浸在水中的方式種植。通常使用無機肥料,但現代也有採用有機液肥等有機肥料的栽培法。

水耕栽培とは従来の土で栽培する農法と違い、水に浸して栽培する農法だ。通常は無機肥料を使用するが、現代では有機液肥など有機肥料を用いた栽培も行われている。

「……確實完全看不出到底發生了什麼。」

「……確かに何が起きているのか皆目見当もつかぬ」

「對吧!雖然不知道怎麼回事但就是能長!真的,靜子大人這頭腦果然和我們不一樣!」

「だろう! なんだか判らねぇけど育つ! ほんと、静子様は頭の出来からして俺らとは違うぜ!」

雖然對水耕栽培感到驚訝,但更令兼續吃驚的是田吾作對靜子所想之事,竟如同自己受到讚賞般喜悅。

水耕栽培にも驚いたが、兼続がもっとも驚いたのは静子が考えた事を、まるで自分が褒められたかのように喜ぶ田吾作だった。

「田吾作大人果然很敬愛靜子大人啊。」

「田吾作殿は、静子殿を敬愛しておられるのですね」

「呵呵,雖然如今大家都一樣了,但一開始反彈很激烈。畢竟突然是個女的,而且還比我們年輕的姑娘成為村長。就算是織田大人的命令,也有很多人覺得那有點……不太能接受。」

「へへっ、まぁ今でこそ皆同じだけど、最初は反発が酷かったんだ。何せいきなり女の、それも俺らより年下の娘っこが村長になるんだぜ。幾ら織田様の命令でも、それはちょっと……と思う奴がいっぱいいたさ」

「村長……? 難道靜子殿以前是這裡的村長嗎?」

「村長……? もしかして静子殿は昔、ここの村長をされていたのですか?」

「是啊!我們村子繳納年貢很差,當時為了不把村子廢除,便派了靜子大人來。幾年之後,短短時間裡這個曾經吃不飽的村子就恢復了。看,那邊有個年紀較大的孩子吧?他以前是又瘦又餓的孩子,但現在吃得飽飽長得很壯,他那母親還抱怨準備飯菜很辛苦,可見他是個大食量的人」

「おうよ! 俺たちの村は年貢の納めが悪くてな。そのとき、村の取り潰しをしない代わりに、静子様が派遣されたって話よ。それから数年、あっという間に食い詰め村は蘇ったんだ。ほら、あそこに年嵩の子供がいるでしょう? あいつ、昔はガリガリの飢えたガキだったが、今じゃあ腹一杯飯食って大きく育った。あいつの母ちゃんが飯を用意するのが大変ってぼやく程の大食らいさ」

兼續轉頭朝田吾作指的方向看去。被指的地方有好幾個孩子在玩耍。大家的膚色紅潤。田吾作所指的那個人,尤其高且身材寬大。

田吾作が指さす方に兼続は顔を向ける。指した先には何人かの子どもが遊んでいた。みな、血色の良い肌をしていた。田吾作の指さした人物は、中でも一際背も高く横幅も大きかった。

「怎麼樣,能稍微看到靜子所目指的那個世道了嗎?」

「どうよ、静っちが目指す世の中、少しは見えたかな?」

一直沉默的慶次向正被孩子們玩耍景象吸引的兼續發問。正沉醉於孩子們的兼續,被慶次的話嚇了一下。

今まで黙っていた慶次が、子どもたちの遊ぶ光景に釘付けになっている兼続へ質問する。子供たちに見惚れていた兼続が、慶次の言葉でハッとする。

「已經足夠了。不過,這樣一來,以作戰為生的人就變得不必要了。雖然是悲哀的事,但在這種世道裡,只以打仗為生的人是無用的啊」

「十分だ。しかし、これではいくさ人は不要になるな。悲しい話だが、このような世に、いくさだけを生業とする者は役に立たぬのだからな」

這樣說著的兼續,與話語相反,露出了開朗的笑容。

そう語る兼続は、言葉と裏腹に朗らかな笑みを浮かべていた。

五月中旬,信長與本願寺達成和睦。信長最想要的通貨發行權由他順利取得。

五月中旬、信長と本願寺との間で和睦が成立した。信長がもっとも欲しがっていた通貨発行権を、彼は見事獲得した。

此外還有為前來信長處的人提供便利、協助整理土地所有者、預見經濟發展而出資道路整備等基礎建設事業等,其他細項的約定也有訂定。

その他にも信長の許を訪れる者への便宜を図ること、土地の所有者整理に協力すること、経済発展を見越して道路整備などのインフラ事業に資金を出資することなど、他にも細かい取り決めが交わされた。

從外界來看,信長並沒有取得土地,也未獲賠償金。表面上看來算是相當溫和的和議,但本願寺對信長仍然抱持警戒的態度。

周囲から見れば信長が土地を得た訳でもなく、また賠償金を得た訳でもない。随分と穏当な和睦に見えたが、本願寺自体は信長を警戒する姿勢を見せた。

然而已達成目標的信長毫不在意,下令家臣加緊開發通貨。

しかし、既に目標を達した信長は気にすることなく、家臣たちへ通貨の開発を急ぐよう命じた。

「交通便利了,經濟必然會發展。資金由本願寺出,無須顧慮,大量僱用人手。特別要把工作優先分配給生活困苦的人。」

「交通の便が良くなれば、必ずや経済は発展する。資金は本願寺が出すゆえ、気にせず多くの人を雇え。特に生活に困っている者へと優先して仕事を回せ」

此外信長也命令家臣進行道路整備。總之道路整備是首要且最重要的。沒有路人就不能移動,人不動則物不動。

合わせて信長は道路整備も家臣に命じた。とにもかくにも、道路整備が最初で最重要だ。道なくして人は動かず、人動かずして物動かず、だ。

要促進物流、活性化經濟,僅有京都周邊的道路整備不夠。不論是日本各地,哪怕被稱為偏僻之地,信長都打算在所有地方築路。

物流を促進させ、経済を活性化するには京周りだけ道が整備されているのでは足りない。日本各地、僻地と言われようとも、信長は全ての場所に道を通す気でいた。

當然,關於道路從運用到關所都有多項法令規定,並且要求本願寺也必須遵守這些法。

無論、道路に関しては運用から関所まで、幾つもの法が取り決められていた。これら法については本願寺にも順守するよう約束させた。

「土地全部要實施檢地。阻撓者可用武力壓制。土地所有者以差出方式決定。」

「土地は全て検地しろ。邪魔する奴は武力で黙らせても良い。土地の持ち主は差出方式で決定しろ」

為了確定土地所有者,連同道路整備一併交付家臣。這有兩個企圖,一是弄清土地所有者,整理統治體系。

土地の所有者を確定させるため、道路整備と合わせて家臣に命じる。これは二つの目論見があった。一つは土地の所有者をはっきりさせ、支配体系を整理する事だ。

另一個是包括寺社勢力與公家所擁有的莊園在內,要取得各處究竟有多少土地的精確數據。

もう一つは寺社勢力や公家が持つ荘園を含めて、一体どこにどれだけの土地があるか正確な数値を手に入る事だ。

要對領地一括管理,精確數據是不可或缺的。以數據為基礎徵稅可以減少混亂,也能消弭因地區差異產生的爭端。

領内を一括管理するには、正確な数値が必要不可欠だ。データを元に徴税を行う事で混乱は少なく、地域間で差が出る事による抗争もなくなっていく。

「聽好了,絕對不能偷工減料。檢地弄虛作假的人,不論地位一律斬首。」

「良いか、手は一切抜くな。検地を誤魔化した者は、立場を問わず打ち首だ」

只這一句話,家臣們個個面色蒼白。信長過去有把違反紀律者不問身份就斬首的前例。因此若在調查上弄虛作假,等著的就是近似於家破滅的嚴罰。

その一言で家臣の顔は真っ青になる。信長は規律を破った者を、立場問わず打ち首にした過去がある。ゆえに調査を誤魔化せば、待っているのはお家取り潰しに近い厳罰だ。

明白這點的家臣們害怕惹怒信長,遂全力以赴,不敢有絲毫鬆懈地執行任務。

それを理解した家臣たちは、信長の機嫌を損ねる事を怖れ、一切手を抜かず仕事を遂行していく。

另一方面,因為信長與本願寺和睦,謙信與加賀、越中國的一向宗也達成了間接的和睦。當然,因為從祖父那代就一直有爭鬥,所謂的和睦並非易事。

一方、信長と本願寺が和睦した事で、謙信は加賀や越中の一向宗と間接的な和睦をする事となった。無論、祖父の代から争っている間ゆえ、和睦と言ってもすんなりとは行かない。

但本願寺與信長和睦,且和睦條件中有『為前往信長處的人提供便利』這一項。

しかし本願寺が和睦した事と、和睦条件に「信長の許へ訪れる者に便宜を図る」というものがあった。

另外還有一條:對於不遵守此條件者,無論織田方面如何處置,本願寺不會插手干預。

そしてこの条件を守らなかった者は、織田側がどのように処分しても本願寺は口を挟まない、という条件も。

「真有種奇妙的感覺。在京都攜手的人們竟然齊聲向織田殿那裡去。」

「何やら不思議な気持ちだ。京で手を取り合った者たちが、揃って織田殿の許へ向かうなど」

謙信率領五千精銳離開春日山城。無論信長與本願寺如何簽訂約定,謙信無法完全信任那份約定。

謙信は精鋭兵5000を引き連れて春日山城を出る。いかに信長と本願寺との間で約束を交わそうとも、謙信はそれを完全に信じるわけにはいかなかった。

因此軍中有直江景綱、河田長親等多名謙信的側近隨行。

それゆえ軍の中には直江(なおえ) 景綱(かげつな)や河田(かわだ) 長親(ながちか)など、謙信の側近が幾人もいた。

並將越後的留守托付給本庄實乃等人。

更に本庄(ほんじょう) 実乃(さねより)などに越後の留守を任せた。

「……我的身分屬於織田家,早已不再是將軍。這次是例外中的例外。」

「……わしの身は織田家にあり、とうの昔に将軍ではない。今回は例外中の例外だ」

「哈哈哈,應該是如此。如今……咦,還沒說什麼呢?別那麼一臉可怕的樣子嘛。」

「はっはっはっ、そうだろうな。今では……おや、まだ何も言ってはおらぬぞ? そう怖い顔をしないで欲しいな」

足滿不情願地對謙信回話,前久覺得有趣便取笑足滿。

足満は謙信に対して不承不承に言葉を返す、それが面白かったのか前久が足満をからかう。

話到一半足滿瞪了前久一眼,前久便沒說下去,但嘴角掛著笑意。

言葉の途中で足満が前久を睨んだため、前久は最後まで言わなかったが口元には笑みを浮かべていた。

足滿看出對方明顯在取樂,忿忿地咂了咂舌。

明らかに面白がっている様子だと理解した足満は、忌々しげに舌打ちする。

「別急躁。很快就能見到了。」

「カリカリするな。もうすぐ会えるさ」

「……你這傢伙想說什麼?」

「……貴様、何が言いたい」

「喲?可以說了嗎?」

「おや? 言っても良いのかな?」

前久聳了聳肩,足滿認為不管說什麼都無用,咂舌一聲後催馬加快腳步。

肩をすくめる前久に、何を言っても無駄だと理解した足満は舌打ちした後、馬の足を早めた。

「哈、哈,好像戲弄太過了。等一下,朋友。我不是無故地戲弄你。你這人太愁悶……咳咳,太難相處了。要不要多笑一點?」

「はっはっ、からかいすぎたようだ。待て友よ。何も無下にからかったのではない。お主は辛気くさ……コホン、気難しげな顔をしすぎておる。もう少し笑ってはどうかね」

「多此一舉。無論我是不是擺著難相,與你何干。」

「余計なお世話だ。わしが気難しい顔をしていようが、貴様には関係なかろう」

「這是朋友的忠告。你可以稍微聽一聽吧?」

「友からの助言だ。少しは聞いてくれても良いであろう?」

「不值得考慮」

「考慮に値せぬ」

謙信眼中帶著羨慕地看著足滿與前久的互動,甚至覺得忌妒。他們雖然隨意交談,卻能拋開虛假,說出真心,擁有能如此相待的朋友彷彿是一種難得的奇蹟。

足満と前久のやり取りを、謙信は眩しげに見る。羨ましいとさえ思った。二人は何気なく会話をしているが、建前を排して本音で話せる友がいるということが得難い奇跡のように思えた。

越後比起其他地區,武士更執著於土地,因而內亂與家臣間的對立從未停歇。特別是在上杉家早期,各地竟各自形成派系。

越後は他の地域に比べて武士が土地に拘る傾向が強く、それゆえ内乱や家臣同士の対立が絶えなかった。特に初期の上杉家では地域ごとに派閥が出来るほどだった。

據說早期謙信的側近大熊(おおくま)朝秀(ともひで)出奔並後來仕於武田家,也是因嫌惡越後那種特殊環境,或是被派系爭鬥逼出門的緣故。

初期の謙信の側近である大熊(おおくま)朝秀(ともひで)が出奔し、後に武田家へ仕えたのも越後の特殊な環境に嫌気がさした、もしくは派閥争いの影響で追い出されたとも言われている。

正因為那樣的環境,謙信沒有可以信賴的朋友。雖說身處那種立場無法追求朋友,但看在眼裡仍不免生出羨慕之情。

そうした環境ゆえ、謙信には心許せる友がいなかった。友など求められぬ立場とはいえ、こうして目の前で見ると羨ましいという気持ちがわいてきた。

「朋友真是好東西。可以毫無顧忌地交談,若要走向艱難之路,會無條件地守在身旁」

「友とは良いものだ。心気兼ねなく言葉を交わし、困難な道を歩もうとすれば、何も聞かず傍にいてくれる」

「御實城樣」

「御実城様」

「抱歉。只不過是貪求不存在之物罷了」

「すまぬ。ただの無い物ねだりだ」

說完這句,謙信催馬加快了步伐。叫他的人景綱雖未能洞察謙信內心深處,但已猜到他想表達的意思。

それだけ言うと謙信は馬の歩を早めた。声をかけた景綱は謙信の心中までは察せなかったが、彼が何を言わんとしたかは察した。

然而,景綱沒有把那事說出口,因為一旦說出,謙信的辛苦便會化為泡影。

しかし、その事を景綱は言葉にしなかった。言えば謙信の苦労が水泡に帰するからだ。

即便是從本願寺獨立傾向較強的加賀或越中的一向宗,也認為無法同時對付謙信的精銳兵與打敗過武田的織田軍,於是雖以在路上放置神輿之類的小手段為嫌,卻避免真正的對峙。

幾ら本願寺から独立傾向が強い加賀や越中の一向宗でも、流石に謙信の精鋭兵と武田を打ち破った織田軍とを同時に相手は出来ないと考え、道に神輿を置くなどのちょっとした嫌がらせをしつつも本格的な対峙は避けた。

簡單說,神輿就是供神安座的輿,因此被視為神的領域。

神輿とは端的に言えば神が鎮座する輿(こし)だ。それゆえ、神輿は神の領域と考えられていた。

「去丟掉吧」

「捨ててこい」

不過,這種小嫌戲對足滿毫無意義,反而讓人見識到足滿某種可說冷酷的現實主義(現實主義)。

もっとも、嫌がらせと言っても足満には何ら意味なく、逆に足満の、ある意味では冷酷とも言える現実主義(リアリズム)を思い知っただけだ。

他斷定路上的神輿是垃圾,將其投擲到附近的懸崖。沉重的神輿因墜落的衝擊到處碎裂。

彼は道に置かれた神輿をゴミと断じ、付近の崖へ投げ捨てた。重量ある神輿が落下の衝撃であちこちが砕け散る。

足滿連看都不看一眼那副被摧殘的神輿,便繼續行軍。這與謙信士兵畏懼神罰不敢靠近的態度成了鮮明對比。

無残な姿になった神輿を一瞥もせず足満は行軍を再開する。神罰を畏れて近づこうとしない謙信の兵たちとは、対極の態度だった。

「可怕。他不怕神罰嗎?」

「恐ろしい。彼は神罰を怖れぬのか」

即便是歷戰的猛者景綱,面對神罰也會生畏懼;反倒景綱的態度才是戰國時代武士的常態。像足滿如此能毫不在意地丟棄神輿的行徑,反而是異端。

歴戦の猛者である景綱でも、こと神罰となれば畏怖する。むしろ景綱の態度こそ、戦国時代の武士では普通だった。足満のように神輿を平気で投げ捨てる真似が出来る方が異端だった。

「對他來說,神也佛也並非值得畏懼的對象吧。我無法理解。不過,像那傢伙的想法,恐怕誰也無法理解」

「彼にとっては神も仏も畏れる対象ではないのでしょう。私には理解は出来ませぬが。ま、奴の考えなど、誰にも理解出来はしないでしょう」

「抱著那種人,織田殿不會感到不安嗎?」

「あのような者を抱えて、織田殿は不安にならぬのか」

「剛開始確實讓人驚訝吧。但織田殿或許認為有時也得駕馭像他這樣的人。偶爾會交代他一些差事。以我之見,無法推測織田殿把事交給他的用意」

「流石に最初は驚いたでしょう。しかし、時には彼のような人物をも使いこなす必要がある、と織田殿は考えているのでしょうね。時折、彼に仕事を命じています。私程度では織田殿が何を目的で仕事を任せているか、推し量る事など出来ませぬが」

話語與語氣相反,前久以輕鬆的口吻回答了景綱的疑問。

言葉とは裏腹に、前久が軽い口調で景綱の疑問に答える。

足滿對神佛既無敬意也無畏懼,前久所理解的是,現在的足滿已不同於昔日將軍時代的他。

足満は神仏に対して敬いも、畏れも、何ら特別な感情を持たない。前久に分かった事は、今の足満は昔の将軍時代の彼とは違うだけだ。

如今的足滿丟棄了道德、倫理與良心,是如冰般冷酷的現實主義者。但因為他的根本並未改變,前久仍然與他交往如初。

今の足満は道徳も倫理も良心も投げ捨てた、氷のように冷たい現実主義者だ。それでも根っこ部分が変わっていない為、前久は変わらず足満と付き合っていた。

「近衛大人您也不畏懼神罰嗎?」

「近衛様も神罰を怖れぬのですか」

「曾被斷絕的緣分又重新連起來了。若這亦是神佛所促成,那麼這次就要把它珍惜到底,不計得失去維繫,這才稱得上朋友」

「一度は断たれた縁が、また結ばれたのです。これも神仏のお引き合わせ、ならば今度は最後まで、損得を抜きにして付き合うのが友というものです」

「您重視與朋友的緣分超過神罰嗎?」

「神罰より友との縁を大事になされるのですか」

「主動去捲入神罰之中,世人會笑說是愚不可及。但這段緣分亦是神佛所賜,珍惜它有那麼奇怪嗎?不,確實有些奇怪吧」

「進んで神罰に巻き込まれにいくなど、世では愚の骨頂と笑われましょう。しかし、この縁もその神仏が与えて下さったもの。これを大事にするのはそれほどおかしい事でしょうか。いえ、確実におかしいのでしょうね」

景綱無言以對。表面上看似不和,前久與足滿在深層上卻連結著,得失與世間風聲在那裡毫無意義。

景綱は何も言えなかった。表面上は仲が悪く見えても、前久と足満は深い部分で繋がっている。そこに損得や世間の風評は一切意味を成さない。

他們只是為朋友而行動。單純,在戰國時代甚至可說是異端。

ただ、友のために動く。シンプルで、そして戦国時代では異端とも言えるものだ。

「不,我倒是覺得羨慕。再次覺得朋友真是可貴」

「いえ、某は羨ましく思います。友とはかくもありがたいもの、と再度思い申した」

原本嚴肅的表情頓時消散,景綱露出和善爽朗的笑容說道。

今までの厳しい表情が霧散し、景綱は人の良い朗らかな笑みを浮かべて言った。

與信長和睦的本願寺,同時開始進行情報蒐集。若不查明武田軍為何一夜之間潰敗,就無法決定對信長的應對之策。

信長と和睦した本願寺は、並行して情報収集を行っていた。何故、武田軍は一夜にして敗北したのか、その原因が分からなければ信長への対応が取れないからだ。

經過數月得出的結論,內容令顕如與頼廉大為震驚。

数ヶ月かけて分かった事、それは顕如や頼廉を驚かせる内容だった。

「那麼織田從一開始就打算針對武田行動嗎?」

「では織田は、最初から対武田を考えて行動していたというのか?」

令顕如等人震驚的,是信長在攻略織田包圍網時,是以將被牽出來的武田一舉殲滅為前提在運作。

顕如たちを驚かせた内容、それは信長が織田包囲網を攻略する時、引きずり出される武田を潰す事を前提に動いていた事だ。

信長判斷,包圍織田需要一支強力的軍隊,而擔當此事的可能性比謙信更高的是武田。果如他所料,武田自甲斐出陣,並在三方ヶ原之戰中敗北。

織田包囲網には強力な軍が必要、そしてそれは謙信より武田が担う可能性が高い、と信長は読んでいた。そして彼の予想通り、武田は甲斐より出陣し、三方ヶ原の戦いで敗北を喫する。

武田參與織田包圍網、以及其後本願寺和其他勢力的行動,從一開始就被信長設局引導,成為他計畫的一部分。

武田が織田包囲網に参加した事も、その後の本願寺や他勢力が行った事も、最初から信長がそうなるように仕組んでいた、という事になる。

要旨是,反織田聯合不過在信長手掌中起舞而已。

要するに、反織田連合は信長の手のひらで踊っていたにすぎない。

「那麼在和睦的內容上,也可以認為那傢伙在耍什麼花招了吧!?」

「では和睦内容にも、奴が何か仕掛けていると考えて良いのではないか!?」

「等一等。我等也想過。但他並未要求土地,也未要求我等退去。而且若再強硬推拒,織田便會認為我等無和睦之意。」

「待て。それは我らも考えた。しかし、奴は土地を要求したり、我らに退去を求めたりしてはおらぬ。それに、あれ以上突っぱねれば我らに和睦の意思なし、と織田に取られる」

「我等有毛利的支援。我等只要守城耐住就行。金米充足無虞。趁此包圍他們的資金來源,他們自會失去國力。」

「我らには毛利の支援がある。我らは籠城してひたすら耐えれば良い。金も米も無尽蔵にある。その間に奴らの資金源を包囲すれば、勝手に国力を失う」

「冒昧言之」

「恐れながら」

間諜的報告讓顕如的側近們慌亂不已,但頼廉一開口,他們便齊齊停止發言。

間者の報告で慌てる顕如の側近たちだが、頼廉が言葉を発するとぴたりと発言を止めた。

「與其封鎖織田的經濟,不如考慮對付擊敗武田、作為織田主力的近衛靜子的對策比較妥當。」

「織田の経済を封鎖するより、武田を打ち破った織田の主力である近衛静子(・・・・)の対策を考えた方が良いと思います」

「這話有道理……但終究是個女人吧?要怎麼應對……不,失禮了。」

「それは一理あるが……所詮、女であろう? どうこうする……いや、失礼した」

賴廉的話遭一位僧人反駁,但賴廉瞪了眼,那僧人便慌忙收回意見。賴廉掃視顕如的側近後繼續開口。

頼廉の言葉に一人の僧が反論する。だが頼廉が睨むと、僧は慌てて意見を引っ込めた。頼廉は一度、顕如の側近たちを見据えてから言葉を続ける。

「各位或許認為只是對付女子,但我們已敗在那女子的計策之下。這是不可否認的事實。即便在此辯解,我等的立場也不會改變。難道還想繼續輕視她,然後再次被擊倒到無可挽回的敗局嗎?」

「おのおの方、女子相手にと思われますが、我らはその女子の策に負け申した。これは否定出来ぬ事実。ここで言い訳を述べても、我らの立場は一向に変わりませぬ。それとも侮ったまま再び足元を掬われ、手の施しようもないほど敗北する未来をお望みか?」

賴廉的話讓顕如也沉默不語。

頼廉の言葉に顕如までもが黙する。

實際上顕如也多少輕視她畢竟是女子。但既是軍事指揮官又是優秀政治家的賴廉並未侮蔑靜子。

実は顕如をしても所詮は女と若干侮っていた。しかし、軍事指揮官であると同時に優れた政治家の頼廉は静子を侮らなかった。

他察覺正因為靜子是女子,才讓眾人忽視她能攀升至此的事實。

彼は静子が女だからこそ、これ程に上り詰めるまで誰もが見落としていたのだと察した。

而至今仍有人因她是女子而輕視她。賴廉意識到那是可怕的事——無論她做什麼、立下何等功績,仍會被輕視。

そして今もなお、彼女が女である事で侮る人物がいる。それは恐ろしい事だと頼廉は悟った。何しろ何をしても、どんな手柄を立てても侮られるのだ。

若能讓對手輕視自己,便能逆轉不利局面。靜子能自然而然做到這點,賴廉甚至羨慕她的地位。

相手を侮らせる事が出来れば、不利な状況を覆す事が出来る。それを自然と行えるのだから、静子の立場が非常に羨ましいと頼廉は思うほどだった。

「無論是女子,或者正因為是女子,才更能讓對手掉以輕心。我等已不知不覺落入靜子的圈套。掉以輕心是大敵。我等應把她視為與織田並立的敵人,而非僅僅一名女子。否則,我等將步上武田的下場。」

「女子どもであれ、否、女だからこそ相手を油断させられる。我らは知らず知らずの内に、静子の術中にかかっております。油断大敵。我らは奴を女ではなく、織田と肩を並べる敵と認識するべし。さもなくば、武田と同じ末路を我らは辿る事になる」

「可是……具體應如何是好?關於織田我們有些調查,可那個所謂的靜子則完全是未知之人。」

「しかし……具体的にどうすれば良いのでしょうか。織田については調べていますが、その静子とやらは全く未知の存在です」

「那就是和睦的目的。慢慢用時間去調查靜子。現在關於她所知的只有:她擁有卓越的才智、熱衷於蒐集刀劍、受管理土地上的人民愛戴,以及她所率的軍隊無與倫比。」

「その為の和睦。時間をかけて、ゆっくり静子について調べるのです。今、本人の事で分かっているのは卓越した知を持つ事、刀の蒐集に熱を入れている事、奴は管理する土地の者に慕われている事、そして奴の率いる軍が他に類を見ない事です」

賴廉清了清喉嚨,轉變了氣氛。他本人把女子視為敵人到此程度也覺屈辱,但若讓憤怒蒙蔽雙眼,將被後世嘲笑為輕易負於女子的軟弱之人。

咳払いして頼廉は空気を変える。彼自身、ここまで女を敵とみるのは屈辱ではあった。しかし、その怒りで目を曇らせれば、女にあっさり負けた軟弱者、と後世で笑われる。

於是賴廉轉換心態,決定忍耐以求勝利,而非沉溺於屈辱。

ならば屈辱よりも耐えて勝利を得るべし、と頼廉は頭を切り換えた。

「他軍有八名側近:森勝蔵、可児才蔵、前田慶次、足滿、藤堂与吉、玄朗、仁助、四吉。全都是出身特殊的人物。這種若常人恐難成軍、個性強烈的傢伙卻能被整合起來,僅此便足以證明其指揮能力卓越。」

「奴の軍には八人の側近がいる。森勝蔵、可児才蔵、前田慶次、足満、藤堂与吉、玄朗、仁助、四吉。全員が異色の出自の者だ。普通なら軍として機能しない、色の強い連中を纏め上げている。それだけでも指揮能力は優れていると言って良い」

「確實……特別是前田慶次那種傾奇者,甚至名聲傳到我等耳中。為了貫徹自己的生涯,那種絕不屈服於任何人的男人,為何會安份守己地待在軍中,令人百思不解。」

「確かに……特に前田慶次などわしらの耳にも届くほどの傾奇者。我が生き様を通すためには、何者にも屈さぬような男が、何故大人しく軍にいるのかほとほと不思議でならん」

「這正是他的強處。但再強的人也有弱點。在弄清那些弱點之前,只能耐心等待。」

「それこそが奴の強み。だが、どんな強者にも弱点は存在する。それを知るまでは耐えるしかない」

賴廉的話很有說服力。以現狀與織田正面衝突無勝算。而且就算守城,織田方面有種神祕的爆破筒,令城門形同無用。

頼廉の言葉には説得力があった。今のまま織田と正面衝突しても勝ち目はない。また、籠城しようにも織田側には謎の発破筒が存在するため、城門が意味をなさなくなっている。

那麼佯裝與對方握手,另一隻手則暗中等待可以出手的時機,直到能狠狠一擊為止,這是本願寺當前最有望的選擇。

ならば片方の手で手を握るふりをして、反対の手で殴りつけられる時期までひたすら待つ、これが今の本願寺に取れる最も有望な選択肢だった。

「目前我等最好是忍耐到底,直到找出能削弱織田氣勢、擊破近衛靜子的弱點。讓嘲笑者去說吧,等我等最後勝利,那些嘲弄便會消失。」

「今の我らは織田の勢いを挫く弱点を、近衛静子の弱点を見つけるまで、耐えに耐え続けるが最良。嘲笑う者には言わせておけばよい。我らが最後に勝てば、それらの嘲りは消え去る」

「正是如此!下間刑部卿法橋大人所言不誤!」

「そうじゃ! 下間刑部卿法橋殿の言うとおりじゃ!」

參與軍議的一名僧人站起來激動地喊道,這聲音也開始引來其他人的附和。

軍議に参加している一人の僧が立ち上がると、興奮気味に叫ぶ。その声に他の者も同調し始める。

「沒錯,最後贏就好了。」

「そうじゃ、最後に勝てば良いのじゃ」

「讓織田去說吧。獸一般的武士怎會勝過高蹈雲上的僧人!最終有佛護佑的我等必將勝利!」

「織田には言わせておけば良い。獣の如き武士に、雲上人たる僧が負けるはずなし! 最後は仏の加護ある我らが勝利する!」

「立刻著手準備守城。有甚麼好說的,金糧充足,十年二十年也能忍耐。」

「早速、籠城に向けて手を打とう。何、金も米も無尽蔵にある。十年でも二十年でも耐えて見せる」

之前的沉默宛如假象,所有人都意氣風發地發聲。一直擔心士氣下滑的賴廉對他們的態度稍感寬慰。

今までの沈黙が嘘のように、全員が意気揚々と声を上げる。士気低下を気にしていた頼廉は、彼らの態度に少し安堵する。

但賴廉與顕如等人未曾察覺。靜子根本不藏匿自己的弱點,反而故意示人。她把弱點曝露出來,並建立互相掩護的體制,讓那些所謂弱點無法成為致命漏洞。

だが頼廉も、そして顕如たちも気付かない。そもそも静子は自分の弱点を隠さず、敢えて晒している事に。晒した上で、それが弱点となり得ないよう、互いに庇い合える体制を整えている。

若能注意到這一點,應對或許還能改變,惟可惜的是他們始終未曾察覺到。

その事に気付ければまだ対応は変わったのだが、残念ながら彼らがその事に気付く事はついぞなかった。