戦国小町苦労譚
一五七三年 三月中旬
進入三月,信長向足滿下達了密命。連靜子也被對內容保密,直到足滿出發前不久告知他要離家,靜子才意識到有這回事。
三月に入り、信長は足満に密命を与えた。内容については静子にすら秘され、足満が出発する直前に家を空けると告げたため、その存在を認識したほどであった。
有可能會有自己不知情的危險降臨到親近之人身上。
自身の身内に自分が把握していない危険が降りかかる恐れはある。
但信長與足滿都認為,既然不打算告訴她,隱瞞會比較好,於是壓下所有疑問把他送了出去。
しかし信長も足満も、それを良しとして自分に話さないのなら、その方が良いと判断されたと思い、一切の疑問を飲み込んで送り出した。
不巧的是,靜子也需要前往京城,時間上也沒有多餘的餘裕去質問他。
折り悪く、静子もまた京へと赴く必要があり、時間的に問い質す余裕も無かったとも言える。
即使她去問,足滿堅信不告知較為妥當,屆時也無非是做出一副難看的表情罷了,這點毫無疑問。
仮に訊ねたところで、知らせない方が良いと確信している足満は、難しい顔をするだけだったであろう事は間違いない。
畢竟足滿所受的密命是要攜帶近衛前久前往上杉謙信的居城——春日山城。
何しろ足満が帯びた密命は、近衛前久を伴って上杉謙信の居城たる春日山城へと赴くことだからだ。
在融雪前殘雪尚多的時節硬要行軍,無論從政治或危險性角度,足滿認為對靜子隱瞞比較有利,為了她的精神衛生這樣做是明智的。
雪解け前の残雪が多く残る時期に、あえての強行軍。政治的にも危険度的にも静子には伏せておく方が、彼女の精神衛生を考えるならば得策だと足満は判断した。
「這次的行程性命攸關、極為艱苦,無需特地跟著我來。」
「此度(こたび)の道行(みちゆき)は命懸けの過酷なものとなる。わざわざ、わしについてくる必要はない」
「別介意。我是想來的,偶爾莽一回也無妨。」
「気にするな。私が行きたいと思ったのだ、偶には無茶も良いだろう」
雖然足滿話裡話外是在說別跟來,但前久心知肚明卻置若罔聞。察覺不可能改變主意的足滿輕輕嘆了口氣。
言外について来るなと告げる足満だが、前久は理解していながら聞き流す。翻意は無理だと察した足満は、小さくため息を吐いた。
「防寒對策要做好。冬山非人之所居,若準備不足會喪命。」
「防寒対策はしっかりとしておけ。冬山は人の領域にあらず、準備を怠れば命を落とす」
「我就知道你會這麼說,事先已拜託靜子大人準備好防寒裝備。」
「そう言うと思ってな、事前に静子殿へ防寒装備の準備を依頼しておいた」
足滿瞪向前久的眼神帶著一絲危險的光,但被瞪的那人仍不動聲色、態度輕鬆。
足満が前久を睨む目線に剣呑な光が宿る。しかし、睨まれている当人は飄々とした態度を崩さない。
「早就預料到會有這種情況,半年前就交代了,這跟這次的事無關,不過是偶然第一次用到而已,是針對雪山準備的正規裝備。」
「これを見越して半年も前から依頼してあるのだ、今回の件と結びつきはすまい。偶然今回初めて使うだけのこと、雪山を想定した本格的なものだ」
「……是嗎」
「……そうか」
看到前久從木箱裡拿出來的裝備,足滿點了點頭表示理解。
前久が木箱から取り出し始めた装備を見て、足満は納得した。
厚重皮革製的大衣經過油與蠟處理,明顯具備防潑水功能;內裡貼有起毛的毛皮,看來保溫性也很高。
厚手の革で作られた外套は、油と蝋で処理されて撥水能力を持っているのがよく判る。しかも内側に起毛した毛皮を貼り合わせてあり、保温能力も高そうに見えた。
同為皮製的長靴除了起毛處理外,鞋尖還有填充物,鞋底釘有鋲釘作防滑處理。
同じく革製の長靴も起毛処理は勿論、先端に詰め物がされており、底面には鋲が打ち込まれた滑り止め加工もなされていた。
此外還有攜帶型的簡易雪鞋,能視情況加以分別使用。
更には携帯用の簡易かんじきまで入っており、状況に応じて使い分けることが可能となっていた。
衣物也是把厚布縫成袋狀,內裡填入棉料,實用性很高。
衣類についても厚手の布を袋状に縫い合わせ、内側に綿を入れ込んだ実用性の高いものだった。
外觀看起來只是略顯臃腫,但連了解產品品質的足滿也能為此裝備背書。
外見からは少し着ぶくれしているぐらいにしか見えないが、製品の質を知っている足満から見ても太鼓判を押せる装備だった。
「遇到暴雪時會用得上,頭巾與圍脖也都準備好。」
「吹雪いた時に必要となるから、頭巾や襟巻も用意しておけ」
「原來如此,謝謝你的忠告。不管你怎麼說,你總是照顧我,讓我安心。」
「そうか、忠告に感謝する。何だかんだと言いつつ貴様が世話を焼いてくれるから、私は安心していられる」
「少廢話」
「ほざけ」
對前久的回應不滿的足滿仿佛在說話到此為止,轉身就走,留下前久一人;前久苦笑著跟在他身後。
前久の返しに不本意だと言わんばかりの足満は、話はこれまでだと背を向けると、前久を置いて歩き出す。前久は苦笑しつつも、彼の背中を追った。
足滿啟程赴越後的同時,靜子也已出發前往京城。她帶著兵士進入京城後,很快開始執行首要任務──購買但馬牛。
足満が越後へと発った一方で、静子も京へと出発していた。兵を伴って京へと入ると、彼女は早速最初の目的である但馬牛(たじまうし)の買い付けを実施する。
說到但馬牛,它早在平安時代編纂的《續日本紀》中就有記載,是自古以來在本國扎根的牛種。
但馬牛と言えば平安時代に編纂された続日本紀にも登場する、古くから本邦に根付いた牛だ。
目前日本和牛中約有八成屬於但馬牛的系統,可說是和牛的根源品種。
現在日本の和牛の内、八割ほどが但馬牛の系統となっており、和牛のルーツとも言える品種である。
但馬牛的特徵首推其美味。當然像一般牛一樣可負擔耕作與搬運,但牠們壽命長、可連續生產、繁殖力強,具備適合畜產的特性。
但馬牛の特徴は何と言ってもその食味にある。無論通常の牛と同じく農耕や荷役もこなすが、長命で連産可能、繁殖力が旺盛という畜産に適した特性を備えていた。
自古以來備受關注的但馬牛,之後也在各種書籍中留下身影。
古来より取り沙汰されてきた但馬牛は、以降も様々な書物にその姿を残している。
史實上甚至有被豐臣秀吉於築大阪城時賜予武士身分一天的但馬牛存在。
史実に於いて秀吉が大阪城を築城した際に、一日だけだが武士の身分を与えられた但馬牛さえも存在する。
明治時代為了與外來品種雜交以追求更佳改良,致使純血種大幅減少,一度面臨絕種危機。
明治時代に外来種との交雑で、更なる品種改良を求めた結果、純血種が激減してしまい、一時期は絶滅の危機に陥ったこともあった。
然而後來發現所謂奇蹟的四頭純血種得以保留,使其復甦並孕育出今日的和牛。
しかし、後に奇跡の4頭と呼ばれる純血種が残されていたことで復活し、今日の和牛を生み出したのだ。
購買有長久歷史的但馬牛,是因為信長非常喜愛但馬牛的牛肉。
長い歴史を持つ但馬牛の買い付けをするのは、信長が但馬牛の肉をいたく気に入ったためだ。
牠們被當作御用牛般對待,前往京城購買後,委由みつお負責飼育與品種改良。
御用牛のような扱いとなり、京へと赴いては但馬牛を買い付け、みつおに飼育と品種改良を任せていた。
靜子所購買的但馬牛為純血種,現代關於品種改良的知識對此並不完全適用。
静子が買い付けてくる但馬牛は純血種であり、品種改良が進んだ現代の知識はそれほど通用しない。
若輕率地與外來種雜交,將重蹈明治時代的覆轍。
安易に外来種との交雑などしようものなら、明治時代の失敗をなぞってしまうことになる。
在保留純血種優點的同時,需不懈追求更進一步的風味改良,但みつお反而將此視為樂趣。
純血種の良い点を残しつつ、更なる食味を求める飽くなき挑戦が必要となったが、みつおはむしろそれを楽しんですら居た。
通常由商人將購得的牛運到尾張,這次因靜子在京停留時間短,便決定等她返回尾張時一併運回。
いつもは買い付けた牛を商人が尾張まで運ぶのだが、今回は静子自身の京滞在が短期間であり、彼女が尾張に戻る際に一緒に運ぶこととなった。
事前交涉已經完成,交易順利成立無爭執,剩下的就是靜子在京的原本目的要達成罷了。
事前に交渉は済んでおり、特に揉めることもなく取引は成立した。後は静子が京へと来ることになった本来の目的を果たすだけとなった。
「總是還是無法習慣女扮男裝啊」
「いつまで経っても男装には慣れないなあ」
靜子來到京的理由,是為了把外國技師引進來。但所謂引進,並非像現代那樣有技術的個人可以自行亡命。
静子が京を訪れた理由。それは外国の技師を取り込むためだ。取り込むと言っても、現代のように技術を持つ個人が勝手に亡命など出来るはずがない。
對國家有益的技師流出國外會導致國力衰退。當然有漏洞,但一旦走漏洞被挖角的一方會提高警戒。
国家にとって有益な技師が国外へと流出するのは、国力の低下に繋がるためだ。無論抜け道はあるのだが、それをすれば引き抜かれた側が警戒心を抱くようになる。
為了避免政治摩擦,靜子透過一條盲點路線購買了這些技師。
政治的な摩擦を避けるため、静子は盲点となっているルートを通じて技師を買い入れた。
簡單說就是奴隸買賣。她買下了淪為奴隸的技師。
端的に言えば奴隷売買である。奴隷落ちした技師を買い取ったのだ。
當然若技師淪為奴隸,國家會監視其賣出對象;但若從買家那裡再被轉賣,國家的監管則未必涵蓋。
勿論技師が奴隷落ちした場合、国家がその売却先に目を光らせている。しかし、売却先から更に転売された場合についてはその限りではなかった。
因為他們會被用在礦山等極其嚴苛的勞役上被消耗,所以就不會再進一步追蹤調查。
鉱山労働などの過酷な労役で使い潰されると判っているため、それ以上の追跡調査が行われないのだ。
正因為在奴隸貿易尚未全面化、規模化之前,才能做出這種膽大手段。即便如此,被稱為大航海時代的戰國時代也有奴隸買賣。
奴隷貿易が本格化して大規模化する前だからこそできた荒業である。とはいえ、大航海時代とも言われる戦国時代でも奴隷の売買は行われていた。
尤其靠近日本的中國・澳門成為亞洲最大的奴隸集散地,非常適合藏匿擁有高超技術的奴隸。
特に日本から近い中国・マカオはアジア最大の奴隷集積地となっていた。高い技術を持った奴隷を隠すのには、うってつけの場所となる。
「……不過,基督教把人當作奴隸的理由也太誇張了吧」
「……しかし、凄い理由で奴隷にするんだね、キリスト教って」
查看這次購買的四名奴隸的履歷後,靜子露出乾澀的笑。四人都被判以火刑這種極刑,但名義上以寬大處置改為礦山勞動。
今回買い付けた奴隷四名の経歴書を確認して、静子は枯れた笑いを浮かべた。四人とも火刑という極刑が下されたが、寛大な処置という名目で鉱山労働へと切り替えられた。
雖說是寬大處置,但畢竟還是把能賣個價錢的奴隸出手賣掉,靜子覺得這說法真是冠冕堂皇。
寛大な処置とは言っているが、少しでも金になる奴隷として売り払うのだから、物は言い様だと静子は思った。
「嗯……否定天動說?未經許可製造主的偶像?批評教會教義?這是什麼。伴天連難道都是笨蛋嗎?」
「えーとなになに……天動説を否定した? 許可なく主の偶像を作った? 教会の教えを批判した? 何だこれ。伴天連って馬鹿しかいないのか?」
長可從背後湊過來瞧著靜子看的履歷表,發出一聲驚訝的嘆息。對不懂基督教的長可而言,這些罪名根本不值一死。
静子が見ている経歴書を、背後から覗き込んでいた長可が呆れ声を上げた。キリスト教を知らない長可にとっては、それが死に値する罪とは到底思えなかった。
就連詳知歷史背景的靜子也覺得荒謬。然而直到中近世,基督教圈就是如此一本正經地取締這些事。
歴史的背景も含めて詳しく知っている静子ですら馬鹿らしいと思っていた。しかし、これらを大真面目に取り締まっていたのが中・近世までのキリスト教圏だ。
「他們是非常認真的。社會討厭突如其來的變革,所以對我們看來像愚蠢的事,也可能成為動搖社會的重罪。」
「向こうは大真面目だよ。社会は急な変革を嫌うからね、私たちにとっては馬鹿みたいに思える内容でも、社会を揺るがす大罪になるんだよ」
「靜子大人,奴隸商人來了」
「静子様、奴隷商人が参りました」
把履歷放回桌上同時,隨從通報來客。戴上平常的頭巾後,吩咐長可待在預定的位置。
経歴書をお膳の上に戻すと同時、小姓が来客を知らせる。いつもの頭巾を被ると、長可に所定の位置に控えるよう指示を出す。
「請進」
「通しなさい」
交代完隨從後不久,一名看似葡萄牙人的奴隸商人與他帶來的四名男女被引入室內。
小姓に命じてから少しおいて、ポルトガル人らしき奴隷商人と、彼が連れてきた男女四名が室内へと通される。
他像個從冒險者出身、野心勃勃的葡萄牙商人,態度傲慢可見;但同時又像商人一樣打量靜子是否能成為金主。
野心溢れるポルトガル人冒険者上がりの商人らしく、不遜な態度が目についた。しかし、同時に商売人らしく金主となり得る静子の動向を見定めようとする態度も見えた。
雖覺得他有些難纏,靜子仍與他寒暄幾句。她不喜歡閒聊,但商人似乎想期待往後持續交易,因此喋喋不休地推銷自己。
意外に曲者だなと思いつつも静子は挨拶を交わす。無駄話は好まないのだが、商人は今後も継続した取引を見込んでいるのか、ベラベラと自分の事を売り込もうとしていた。
「殿,明智大人來了」
「殿、明智様がお見えになりました」
就在包括靜子在內眾人怒氣將達極限時,玄朗通報明智光秀到訪。
いい加減、静子を含む全員の憤りが限界に達しつつあったその時、玄朗が明智光秀の来訪を告げた。
「知道了」
「あいわかった」
靜子覺得正好,趁機把商人趕了出去。
ちょうど良いと思った静子は、これ幸いと商人を追い出した。
作為商人他本想拿到能通往下一樁交易的承諾,然而察覺到周遭散發的劍拔弩張,只好懊惱地離開。
商人としては次へ繋がる言質が欲しかったのだが、周囲が発する剣呑な雰囲気に気付き、臍(ほぞ)を噛む思いで立ち去った。
「辛苦了,玄朗爺」
「苦労をかける、玄朗爺」
商人退去後,靜子大大地嘆了口氣。光秀到訪是玄朗一時捏造的謊言。要人之間不可能毫無事先聯繫就互相拜訪。
商人が退出してから、静子は盛大にため息を吐いた。光秀の来訪は玄朗が咄嗟にでっち上げた嘘だった。要人同士が事前連絡もなく相手を訪(おとな)うなどあり得ない。
商人竟然沒察覺連在外待命的玄朗都注意到的鬱悶,這種厚臉皮在某種意義上也值得讚賞吧。
外で控えていた玄朗が気付く程の鬱憤に気付かない商人の図太さは、ある意味で賞賛に値するものであったのだろう。
話雖如此,卻絕不想模仿,也覺得自己模仿不了。
さりとて到底真似したいとも思わないし、真似できるとも思わなかった。
「承蒙厚愛,某人先告辭了」
「勿体なきお言葉。某はこれで」
送別玄朗行了一禮後,靜子又嘆了一口氣,重新把視線投向那四名奴隸。
玄朗が一礼して去っていくのを見送り、静子はもう一度ため息を吐いた。そして改めて四人の奴隷へと視線を向ける。
四人分別是四十多歲的男性、三十多歲的男性、一名看起來二十多歲的女性,以及一名看起來十多歲的少女。
四十路の男性、三十路の男性と二十代と見える女性、十代に見える少女の四人だ。
靜子本來與外國人接觸不多,不太識得外國人的容貌;但那名十多歲少女格外不同,引人注目。
そもそも静子は外国人との接点が少ないため、外国人の容姿はよく判らない。しかし、十代の少女は際立って異質だったため、強く彼女の目を惹いた。
她沒洗頭,頭髮油膩而蓬亂,但濕潤的黑髮與宛如寶石般鮮豔的碧綠眼眸令人印象深刻。
洗髪をしていないため脂ぎってぼさぼさになっているが、しっとりとした黒髪に宝石かと見紛うような鮮やかな翠眼が印象的だった。
履歷寫道年長男子能操多種語言,且有語言學者的頭銜,因此被錄用為口譯兼翻譯。
経歴書によれば年長の男は複数の言語を操る事が出来るとのこと。言語学者という肩書もあったため、通訳兼翻訳者として採用した。
三十多歲的男子是金屬加工的職人,女性不是妻子而是該男子的妹妹。靜子判斷職人只有男子一人,妹妹因連坐而淪為奴隸。
三十路の男性は金属加工職人であり、女性は妻ではなく男性の妹にあたる。職人は男性だけで、妹は連座で奴隷に落とされたと静子は考えた。
最後那名少女是個謎。履歷雖無職業註明,卻記載她被視為魔女,因此靜子推測她恐怕是個藥師。
最後の少女が謎だった。職業の記載がない代わりに、魔女の子であるという記載があった。このことから恐らく薬師であろうと静子は当たりを付けた。
「……他們應該餓了。某人要去換衣服,給他們準備飯食。」
「……腹を空かせておろう。某は着替えをするので、彼らに食事を与えよ」
看完履歷表後最困擾的,是上面沒有記載他們的名字。
経歴書を一読して最も困ったのは、彼らの名前が記載されていない事だった。
是不覺得奴隸需要名字,還是習慣由新主人取名不得而知,但沒有名字的確很不便。
奴隷に名前は不要と考えたのか、それとも新たな主が付けるのが常なのか、理由は判らないが名無しでは不便だ。
總之,靜子認為首先要填飽肚子。她最想做的就是脫離令人窒息的男裝束縛。
ともあれ、まずは腹ごしらえが必要と静子は考えた。何よりも息苦しい男装から解放されたかった。
留下對於自己的處遇被主人未決就離去而困惑的他們,靜子匆匆移到另一間房。換回平常的打扮後,她再次回到室內,坐在上座。
自身の処遇を決めることなく退出した主に困惑する彼らを置いて、静子はさっさと別室へ移った。いつもの恰好に着替え終わると、再び室内に戻り、上座へと腰を下ろす。
四人親眼見到靜子的真面目時,都同樣地驚訝不已。
静子の素顔を目の当たりにして、四人は一様に驚いていた。
對於除少女外的所有人來說,比自己年輕的女子坐在比周圍那些男子更上位的席次,叫人不驚訝也難。
少女を除く全員にとって、自分よりも年若い女が、周囲に控える男性よりも上座に座しているのだ。驚くなというのは無理な話だ。
「吃得習慣嗎?」
「食事は口にあったかな」
對靜子的問話,第一個反應的是少女。她點頭的幅度之大,幾乎讓人擔心她會傷到脖子。
静子の問いに、最初に反応したのが少女だった。彼女は首を傷めるのではと思える程に激しく首肯を繰り返す。
年長的那名男子表情沈鬱,但對食物內容似乎沒有異議,默默地吃著。剩下的兩人雖然困惑,卻被所供的菜餚滋味驚艷,根本不可能發出任何不滿。
年長の男は渋い表情だが、食事の内容に問題は無いようで、黙々と食べていた。残り二人は困惑しながらも、供された食事の味に驚いて、不満を述べるなどあり得なかった。
分給他們的餐點是雞肉奶油燉湯、白麵包、鹿肉炸塊、生菜沙拉,以及清澈的水。
彼らに与えられた食事はチキンクリームシチューに白パン、鹿肉の唐揚げ、生野菜のサラダ、そして澄んだ水だ。
在現代歐美肉食趨勢盛行的情況下,麵包與蔬菜常被當作配菜。然而直到近世初期,人們的飲食仍與日本無異,以穀物為主。
現代の欧米では肉食化が進み、パンや野菜は添え物扱いだ。しかし、近世初期までは日本と変わらず穀物中心の食事をとっていた。
不僅是庶民,豪農、地方領主、下級貴族等的飲食也以穀物為主。
庶民だけでなく豪農や地方領主、下級貴族などの食事も穀物が主体だった。
在貧窮地區,繳稅用的小麥之外,人們吃的是粗磨的黑麥、燕麥、大麥、蕎麥等,或用水或牛奶煮成的粥(porridge),或稀一些只用水煮的所謂gruel。
貧しい地域では税として徴収される小麦ではなく、ライ麦、えん麦や大麦、蕎麦などを荒く挽き、水や牛乳で炊いたポリッジや、それよりも薄くして水だけで炊いたグリュエルと呼ばれる粥として食べていた。
製作麵包需要把穀物磨成粉。磨粉是領主的專權事業,必須使用領主所有的磨坊並支付使用費。
パンはパン粉を作る際に製粉する必要がある。粉挽きは領主の専権事業であり、領主所有の粉挽き所を使用して使用料を払う必要があった。
因此,窮人別無選擇,只能在自家用石臼粗磨。
そのため、貧しい者は自宅の石臼を用いて粗く挽く以外になかったのだ。
就算想磨得細,也因耗時而產生摩擦熱使麥粉變質,只得使用粗粉。
細かい粒にしようにも時間をかければ摩擦熱で変質してしまうため、粗い粉を用いる他なかった。
再加上連食鹽都不加,只用水和麵團,為了保存而把麵包烤得又硬又乾。
更に食塩すら加えず水だけで練り、保存を第一に考えて焼しめるため固くてパサパサしたパンとなった。
因此所謂的麵包通常要浸在湯裡或用飲料泡軟後才吃。
このためパンと言えばスープに浸したり、飲み物でふやかしたりしてから食べるのが通常だった。
然而現在他們入口的麵包,白得令人驚訝,且非常柔軟。含水量高,不僅有鹽,還加入了雞蛋和奶油,充分發酵,是極上之品。
しかし、彼らが今口にしているパンは驚く程に白く、そして柔らかい。含有水分量も多く、塩は勿論、卵やバターをも加えて充分に発酵させた極上の品であった。
面對柔軟甚至有些甜味的白麵包,他們露出陶醉的表情也不足為奇。
柔らかく甘みさえ感じる白パンに彼らが陶然とした表情を浮かべるのも無理からぬことであった。
在西方,狩獵被視為貴族的特權,而在被獵食的肉品中,鹿肉最受青睞,因此鹿肉被視為奢侈的肉類。
西洋に於いて狩猟は貴族の特権とされ、狩猟される食肉の中では鹿肉が最も好まれたことから、鹿肉は贅沢な肉として遇された。
但被認為最極致奢侈的,卻是生鮮蔬菜。
しかし、最上の贅沢とされたのは生野菜であった。
在現代日本人人都能吃到新鮮蔬菜,這要歸功於發達的流通與優秀的保存技術。
現代日本では誰もが新鮮な野菜を口にすることができるが、これは発達した流通や優れた保存技術があっての事。
在那些尚未發達的中世,能吃到新鮮生蔬菜是少數王侯貴族的特權,他們在宅邸內擁有專用菜園和僕從。
それらが未発達な中世に於いては、新鮮な生野菜などというものは専用の畑と使用人を邸内に抱える、限られた王侯・貴族の食べ物とされた。
即便庶民是生產者,也多吃賣不掉、乾癟或快腐爛的蔬菜,所以吃生菜象徵著財富與權力。
庶民はたとえ生産者であったとしても、売れ残りの干からびた腐りかけの野菜を食べており、生野菜を食べるという事は富と権力の象徴となっていた。
「別急,誰也不會搶走的」
「慌てなくても、誰も取ったりしないよ」
面對狼吞虎嚥的他們,靜子說不用慌,但即便是大貴族也難輕易嘗到的美味擺在眼前,他們的手也沒有停下來。
がっつく彼らに静子は慌てる必要はないと語るが、大貴族であっても容易に口に出来ないご馳走を前にして、彼らの手が止まる事はなかった。
轉瞬之間,燉湯、炸鹿肉、生菜沙拉以及山積的麵包全部消失在胃裡。
瞬く間にシチュー、唐揚げに生野菜サラダ、山盛りに用意されたパンが胃袋の中へと消えていく。
「(喂,靜子,真的沒問題吧?)」
「(なあ静子、本当に大丈夫なのか?)」
等他們吃完飯時,長可忽然湊向靜子耳語。靜子立刻明白那句『沒問題』的含義,她撐開扇子遮住口鼻,回低聲說話給長可聽。
彼らの食事が終わるまで待っていると、ふいに長可が静子に耳打ちした。大丈夫、という言葉の意味をすぐに理解した静子は、扇子を広げて口元を隠すと、長可に耳打ちを返した。
「(我有做一定程度的調查。正因為做了調查,才會花這麼長時間卻只招到四個人)」
「(ちゃんと一定の調査はしているよ。それをしたから、こんなに長い時間を掛けたのに四人しか集まらなかったんだよ)」
長可擔心的是他們會不會是歐洲諸國或伴天連的間諜。
長可が気にしているのは彼らがヨーロッパ諸国や伴天連のスパイではないか、という点だ。
奴隸其實可能被派去蒐集日本境內情況當間諜,靜子從一開始就有這個想法。因此她拜託足滿做各種『檢查』。
奴隷が実は日本国内の内情を収集する役目を負ったスパイという可能性は、静子も最初から考えていた事だ。その為、色々な『検査』を足満に依頼している。
而經過他的『篩檢』後判定沒問題,並蓋了章的,就是現今坐在眼前的四人。
そして彼の『スクリーニング検査』を終えて問題なしと太鼓判を押されたのが、今目の前にいる四人だ。
「(到底檢查了什麼我不知道,但那個足滿大叔保證沒問題,所以我想應該沒事吧?)」
「(何をどう『検査』したかは知らないけど、あの足満おじさんが問題なしって保証したんだから、大丈夫だと思うよ?)」
「(啊……確實,足滿那傢伙很兇惡。那就沒問題嗎)」
「(ああ……確かに足満のおっさんは苛烈だからな。じゃあ大丈夫か)」
光是足滿調查過這句話就讓長可心服。雖然長可不知道,靜子判定無虞的其他理由,是因為他們被『破門』了。
足満が調査した、その一言で長可は納得した。長可には話していないが、静子が問題なしと判断した他の理由は、彼らが『破門』されている点だ。
所謂破門,是指把違反教義的信徒從宗門中驅逐。被破門後會失去作為基督徒的身分,但在中世近世不僅止於此。
破門とは教義に反している信徒を、宗門(しゅうもん)から追放する事を言う。破門されるとキリスト教信者としての立場を失うが、中・近世においてはそれだけではすまない。
會失去被承認為信徒的各種權利與所擁有的財產;若被破門者為王族,則會失去王位與領地,甚至喪失傳給嫡子的繼承權。
信者として認められている権利や自身が所有する財産、破門された者が王族なら王位や領土、さらには嫡子にそれらを相続する権利を失う。
更會失去在教會接受宗教儀式的權利,死後甚至被剝奪入葬於墓地的權利。簡單說就是「不被當做人看,遭到社會驅逐」,這就是中世近世基督教的破門。
更に教会で宗教的儀式を受ける権利を失い、死した後も墓に入る権利すら失う。端的に言えば「人として扱われず、社会的に追放される」、それが中・近世のキリスト教の破門である。
作為中世著名事件,例如「卡諾薩的屈辱」等帶有攻擊性的一面,但破門基本上是教會為了防止異端信仰所採取的措施。
中世に於ける有名な事件として『カノッサの屈辱』など攻撃的な面もあるが、破門は基本的には異端的信仰を防ぐ教会の措置だ。
因此當因教義解釋分歧而發生聖職者之間的爭執時,也有可能以互相破門──相互破門──作為結局。
それゆえ教義の解釈違いによる聖職者同士の争いが起きた際、互いに破門される相互破門という結末を迎える事もあった。
在十一世紀天主教會與東方正教會分裂時,雙方的最高領導人互相予以破門,這被視為分裂的原因,也是相互破門最典型的一例。
十一世紀にカトリック教会と東方正教会とに分裂したが、この時双方の最高責任者が相互破門となった事が分裂した理由であり、相互破門の最たる一例とされている。
(看這份履歷,最年幼的少女是庶子嗎。她看起來會承受很大的苦難。)
(この経歴書を見ると、一番年下の少女は庶子(しょし)か。これまた凄い苦労してそうだなあ)
在基督教世界,庶子意指「不義之子」。庶子不被賦予諸多權利,例如從父母繼承遺產的權利。
庶子とはキリスト教世界では『不義の子』という意味を持つ。庶子には親から遺産を相続する権利を初めとした諸々の権利が与えられない。
此外,庶子常常遭受社會嚴厲的眼光。這是因為在基督教教義中,從神學上被視為性行為是原罪。
また世間からも厳しい目を向けられる事が多い。これはキリスト教の教義、つまり神学的に性行為は原罪と考えられていたからだ。
然而,作為正當婚姻結果為了繁衍子嗣之性的行為被認為是上帝所允許的,不算是罪。
しかし、正当な婚姻の結果として子孫をもうけるための性行為は神に認められた事であり、罪には当たらないと考えられていた。
基於此觀念,婚姻以外的性行為被視為違背上帝旨意、受到魔鬼誘惑的罪孽深重且邪惡的行為。
その考えから、正当な婚姻以外での性行為は神の意志に背き、悪魔の誘惑にそそのかされた罪深き邪悪な行為と考えられるようになった。
(光是平民的庶子就已經辛苦了,還要被宗教審判當作女巫處理的女人的女兒,而且還被教會破門。短時間內到底做了什麼呢?)
(平民の庶子というだけでも辛いのに、更に宗教裁判にかけられて魔女とされた女の娘、しかも教会から破門か。短い間に一体何をしたのかな?)
沉思這些事情時,靜子發現大家都已經吃完了。她覺得自己不知不覺想太多,輕輕搖頭以重新整理思緒。
そんな事に思いを巡らせていると、静子は全員が食事を終えている事に気付いた。知らないうちに考え込み過ぎた、と思った彼女は頭を軽く振って思考を新たにする。
「你們對餐點滿意嗎?從沒有人留下食物,可見你們很滿意。首先,請能理解我話的人舉手。」
「食事は満足いったかな? 誰もが食べ残しをしていないことから、満足したと考える。では最初に、私の言葉を『理解』出来る者は手を上げて欲しい」
清了清喉嚨後,靜子等待他們的反應。稍作停頓後所有人都舉起了手,她鬆了一口氣,至少溝通沒有問題。
咳払いをした後、静子は彼らの反応を待った。少し間を置いて全員が手を上げた。少なくとも意思疎通に問題がない事に安堵する。
「(嘛,畢竟讓你們學過日語,所以理所當然)那就好。我已看過你們的履歷。」
「(まあ日本語の勉強をさせていたから当然か)ならばよし。君たちの経歴は見させて貰った」
說著靜子輕輕晃了晃履歷表。瞬間最年長的男子露出嚴峻的表情。
言いながら静子は経歴書を軽く振る。途端に最年長の男性が険しい顔つきを浮かべた。
「不過,這類東西只能作為參考。吾國,至少在上樣統治之下的土地,不以出身或膚色為差別。被教會破門?庶子?都無足輕重。即便種族或信仰不同,只要有能便可。」
「が、こんなものは参考程度だ。我が国、少なくとも上様の統治下にある地は、出自や肌の色で差別はしない。キリスト教を破門? 庶子? 全て考慮に値しない。人種や信仰が違おうとも有能でありさえすれば良い」
淡淡一笑後,靜子把履歷揉成一團向後丟去。最年長的男子驚得瞪大了眼,但靜子不理會他們的反應繼續說道。
薄く笑ったあと、静子は経歴書を丸めて後ろへ放り投げた。最年長の男性は驚愕に目を剥くが、静子は彼らの反応を無視して言葉を重ねる。
「本來不該由我自稱,但我自認有拋棄惡習、接受新文化的胸襟。即便有違基督教教義,只要有意義我便會承認。當然我本人並非基督徒,因此無法也無意按照教義來評斷。」
「本来ならば己で言うべきではないのだが、私は悪しき因習を捨て、新しい文化を受け入れる程度の度量を持っているつもりだ。キリスト教の教義に反していようが、それが有意義であるならば私は認めよう。尤も私自身がキリスト教徒ではないので、教義に則した判断など出来ないし、するつもりもない」
「……」
「……」
「你們不想再吃一次剛才的飯嗎?如果想,就向我展現你們的才能。若你們的才華出眾,我會支付相應的報酬。我的話到此為止。有任何問題就當場毫不客氣地問吧。」
「君たちは、今食べた食事をもう一度食べたいと思わない? もし思うのならば、私に己の才を示しなさい。君たちの才が優れているのなら、私はそれに応じた報酬を支払おう。私からの言葉は以上だ。何か質問があるのなら、この場で遠慮なく問うが良い」
為了增添份量,靜子以略顯居高臨下的口吻向四人宣告。
箔を付けなければならないため、静子は少し偉ぶった口調で四人に宣言した。
四人各自苦思,有時也彼此商量。似乎達成了結論,最年長的男子清了清喉嚨。
四人はめいめいに悩み、時に四人で相談しあった。やがて結論が出たのか、最年長の男性が咳払いをした。
「啊——我想代表發問。」
「アー、私が代表して質問をしたい」
那名男子以流利的日語說話。甚至讓人覺得他的日語或許比弗洛伊斯還要好。
流暢な日本語で男性が喋る。ともすればフロイスよりうまく日本語を使えているのでは、とも思えた。
「無妨,請說吧。」
「構わぬ。申すがよい」
「那麼……首先感謝妳給予我們充足的食糧。我們從未吃過如此的飯菜。光憑這些就知道這個國家有多富饒。」
「では……まずは我らに十分な糧を与えて頂いた事に感謝を。このような食事は未だかつて食べた事がない。これだけで、この国が如何に富んでいるかが解った」
「……」
「……」
「剛才妳說不問出身與膚色。既然如此我就要問,我們是猶太人。知道這點之後,妳能斷言剛才的話不會改變嗎?」
「先ほど貴女は出自や肌の色を問わぬと仰った。ならばこそ問おう、我々はユダヤ人だ。それを知ってなお、先ほどの言葉を違(たが)えることが無いと断言できますか?」
猶太人。現代(除少數情況)普遍被接納,但在中世及近世對他們的待遇非以「迫害」一詞能說盡。
ユダヤ人。現代では一部を除いて、一般的に受け入れられている人種だが中・近世に於ける彼らの扱いは、弾圧の一言では語りつくせない。
基本上在中世,歐洲普遍流行著「猶太人不得擁有任何權利」的觀念。雖省略細節,但猶太人在當時整個歐洲都遭到憎惡。
基本的に中世では「ユダヤ人はいかなる権利も所有出来ない」という考えがヨーロッパ中に蔓延していた。細かい理由は割愛するが、ユダヤ人は当時ヨーロッパ中で嫌われていた。
對猶太人最普遍的指責是「他們是放高利貸的。」
もっともありふれたユダヤ人への非難が「彼らは高利貸しである」という点だ。
為免誤解須補充,猶太教也禁止高利貸,拉比等領袖經常宣講禁止高利貸。
誤解なきよう付け加えるが、ユダヤ教でも高利貸しは禁止され、度々指導者たるラビたちによって高利貸しの禁止が説かれていた。
但若除了放貸別無生路,猶太教的拉比們也不得不承認高利貸,別無選擇只得在猶太教經典《塔木德》中對禁止內容做出放寬。
だが、金貸し以外に生きる道なし、となるとユダヤ教のラビたちも高利貸しを認めざるを得なくなり、ユダヤ教の経典とも言えるタルムードにある禁止内容の緩和をする以外になかった。
另一方面,中世基督教的聖職者多為資產階級,除擔任聖職外還扮演各種角色,其中之一就是放貸。但中世教會多次禁止聖職者放貸。
一方、中世キリスト教の聖職者は資産家であり、聖職者の他に様々な役割を持っていた。その中の一つに金貸しの役割があった。だが、中世教会は聖職者の金貸しを度々禁じた。
1179年的第三次拉特蘭大公會議曾宣布「放貸的基督徒不配以基督徒身分埋葬」。
1179年の第3ラテラン公会議において「金貸しをするキリスト教徒は、キリスト教徒として埋葬するに相応しくない」という宣言を出した。
然而,向來借錢的一方——國王、貴族和商人——出於各種理由仍需要有願意放貸的對象。
しかし、金を借りる側の王や貴族、商人達は様々な理由から金を貸してくれる存在が必要だった。
由於過去的放貸對象多為聖職者,惟有懼於教會威望而不會引發借貸糾紛。
今まで金を貸してくれる相手が聖職者であったため、教会の威光を畏れて賃借の問題はおきなかった。
但當聖職者被逐出放貸行業,而猶太人成為接替者時,歐洲人的敵意便轉向猶太人。
だが聖職者が金貸し業から駆逐されユダヤ人が後釜に収まった時、ヨーロッパ人の敵意はユダヤ人に対して向かう事となった。
向平日被輕視的猶太人借錢,光這點就足以覺得丟臉;抱有更強敵意的基督徒中開始有人主張,既然如此就不想把錢還給猶太人等人。
普段軽視しているユダヤ人から金を借りる。それだけでも屈辱だが、高まった敵意を抱いたキリスト教徒たちは、借金をしておきながらユダヤ人などに金を返済したくない、と考える者が出てきた。
有人利用這種怨懟,把無法償還歸咎為苦境所迫,藉口連篇開始拒絕還債。
そういった反感を利用し、返済を出来なくなった自分達の苦境を救う手段、と言い訳を並べて借金を踏み倒す者が出始めた。
甚至有人趁著猶太人被禁止攜帶武器、不得擁地的弱勢,發動暴動並進行屠殺,藉此機會毀掉債務文書。
中にはユダヤ人が武器携帯の禁止、土地の所有を禁止されているのに目を付けて、暴動を起こして虐殺し、その隙に借金の証文を破棄する者も現れた。
如果借據被毀棄,猶太人的所有者(多數情況下是國王)就無法請求償還,結果被迫放棄債權。
借用書が破棄されてしまうと、ユダヤ人の所有者(大抵は王)は返済を請求できなくなり、結果的に債権を放棄せざるを得なくなった。
「如同剛才所說,我再重申一次。你們只需展現才能,出身或膚色等都是瑣事」
「先ほども述べたが、もう一度宣言しよう。君たちは有能さを示せばよい、出自や肌の色など些末な事だ」
「明白了。我信賴您的話,願效力於您」
「解りました。そのお言葉を信用し、お仕えさせて頂きます」
「若你們認為我不配侍奉,盡管直言。我不會派人追究;我只會認為那樣的人就是我的水準。然而別弄錯了。若對自己的才華自滿、忘了精進,我將毫不留情地割捨你們」
「私が仕えるに相応しくない、と考えたのならば遠慮なく申すが良い。追手を掛けるような事はしない。私がその程度の人間だった、と思うだけだ。しかし考え違いをしてはならない。己の才に胡坐をかき、精進を忘れた時、私は容赦なく君たちを切り捨てる」
年紀最大的男子有反應,但靜子不理會,繼續說話。
最年長の男性が反応を示すが、静子は無視して言葉を続ける。
「那並非因為你們是猶太人。我認為人成為人,是因為有目標並持續前行,因而擁有活著的意義。我不需要只是張口等待餵食的家畜」
「それは君たちがユダヤ人だからではない。目標を持ち、歩み続けることで人たりえる存在になり、生きる意味を持つ、と私は考えている。ただ口を開けて餌を待つだけの家畜は必要ない」
靜子說罷,年長男子拍膝大笑。那笑容並非輕蔑,而是歡喜的笑容。
静子が言い切ると同時に、最年長の男性は膝を叩いて破顔した。それは侮蔑ではなく、歓喜の笑みに見えた。
「失禮了。年輕卻學問淵博。說實話,交談之前我還以為會遇到怎樣的蠢人。以前的主人多半口才了得,腦袋卻不行」
「失礼しました。お若いというのによく学ばれている。実を言うと、言葉を交わすまではどんな馬鹿の相手をするのか、と考えていました。今までの主は口ばかり達者で、頭の方はサッパリという方が多かったもので」
收起笑容的男子整理坐姿,其他三人見狀也跟著起身。
笑みをひっこめた男性は居住まいを正す。それを見た残りの三人も後に続いた。
「我們願意侍奉您,請盡情使用我們」
「我らは貴女様にお仕え致します。ご存分に我らをお使い下さい」
「可以認定你們合格成為我的主人嗎?」
「君たちの主人として合格、と見て良いかな?」
「不用說滿分,但可以說是最高分」
「満点とは申しませんが、最高点とだけ」
男子如此說著笑了,這次其餘三人也露出笑容。
そう言って男性は笑った。今度は残りの三人も同様に笑みを浮かべる。
默默聽著對話的長可等人雖然困惑,但感受到靜子與猶太人之間流露的和樂氣氛,便閉口不言。
黙ってやり取りを聞いていた長可達は困惑していたが、静子とユダヤ人との間に流れる和やかな雰囲気を感じて口を閉ざした。
「啊,我差點忘了一件事。我有一個請求」
「あ、忘れるところでした。一つだけお願いがございます」
「只要不是過分的要求」
「無茶な要望でなければ」
「不,只是簡單的請求。我們想要一個名字」
「いえ、単純な要望です。我らに名前を頂きたい」
聽到男子的話靜子微微歪頭,男子帶著自嘲的笑繼續說道。
男性の言葉に静子は首を傾げた。自嘲気味に笑いながら、男性は言葉を続ける。
「我們是猶太人。戰敗後被迫改宗為基督教,遭受各種侮辱性的稱呼,已經想不起原先的名字了。所以想在這裡重生,作為新的出發點」
「我らはユダヤ人。争いに敗れキリスト教へと改宗させられ、散々侮辱的な名で呼ばれた。我らは生まれ持った名前を思い出すことができません。ならばここで新たに生まれ直し、出発地としたいと思います」
在收復運動(レコンキスタ)完成後,改宗為基督教的猶太人與西北非的伊斯蘭教徒被稱為新基督徒。
レコンキスタ達成後、キリスト教に改宗されたユダヤ人や北西アフリカのイスラム教徒たちは、新キリスト教徒と呼ばれた。
但常被稱為改宗者『コンベルソ』,嚴重時甚至被蔑稱為『マラーノ』(在西班牙語中為「豬、骯髒的人」的侮辱語)。
だが改宗者という意味のコンベルソや、酷い場合によってはマラーノ(スペイン語で豚、汚い人という侮辱用語)と蔑称される事が多かった。
改宗的原因包括國家強制改宗令、為了逃避經濟困境或社會壓迫等。
改宗する理由は国家からの強制改宗令が出たり、経済的な苦境や社会的な弾圧から逃れる為であったりした。
但改宗為基督教等於放棄希伯來語或阿拉伯語的名字,改稱洗禮名。
だがキリスト教に改宗する事はヘブライ語やアラビア語の名前を捨て、洗礼名を名乗る事と同義だった。
此外,改宗後會受到猶太社群的批評目光,且總被基督徒懷疑為叛教者。
また改宗した事で、ユダヤ人共同体からは批判的な視線を向けられ、キリスト教徒からは背教の疑いを常に向けられた。
也有利用改宗免於以往限制,從而獲得權力而崛起的有力猶太人存在。
中には改宗をうまく利用し、今まで自分たちにかけられた規制の対象外となり、権力を得て成りあがった有力なユダヤ人もいた。
「那是要作為這個國家的子民生活的意思嗎?」
「それはこの国の民として生きるという意味かな」
「沒錯。我不想再被宗教擺布。雙方只在方便時把我們當同類,困難時又拋棄。我想與那種人決裂」
「その通りです。もう宗教に振り回されるのは御免です。どちらも都合の良い時だけ仲間扱いをして、困った時には切り捨てられる。あんな連中とは決別したいと思うのです」
男子像吐出般說道。靜子只是用眼神看向長可等人,他們微微點頭,認為男子的話沒有虛假。
吐き捨てるように男性が言う。静子が視線だけを長可達に向けると、彼らは小さく頷いた。彼らから見ても男性の言葉に偽りはないと判断した。
既然能逃過足滿的調查,本就不太可能是從哪裡派來的間諜。
もとより足満の調査を潜り抜けた以上、どこかからのスパイという点は考えていなかったのだが。
「嗯……那麼之後再告知名字。今天就休息吧」
「ふむ……では後に名前を知らせる。今日はもう休むが良い」
「這是主人賞賜的東西,我很期待」
「主人からの頂き物ですから、期待しております」
男子帶著得意的笑說道。
男性はニヤリと笑いながら言った。
日後,靜子賜名給他們。最流利日語的年長男子被命名為「虎太郎(こたろう)」,沉默的三十來歲男子為「弥一(やいち)」,他的妹妹為「瑠璃(るり)」,十來歲的少女為「紅葉(もみじ)」。
後日、静子は彼らに名を与えた。一番流暢な日本語を話せる最年長の男性は「虎太郎(こたろう)」、寡黙な三十路の男性には「弥一(やいち)」、その妹は「瑠璃(るり)」、十代の少女は「紅葉(もみじ)」という名をつけた。
在政治與軍事上皆敗北的足利義昭,被毛利家接收。
政治的にも軍事的にも敗北した足利義昭は、毛利家が引き取る事となった。
對外宣稱因病無法處理政務,為長期療養將征夷大將軍之位還給天皇。
対外的には体調を崩して政務が行えなくなり、長期療養のために征夷大将軍の位を帝へとお返しすると発表された。
但京城民眾與周邊諸國幾乎不信,認為他是因叛逆信長而被放逐。
だが京の民や周辺国の民は殆ど信じておらず、信長に反逆したために放逐されたと考えていた。
雖然還有行李整理與人員安置等事宜未了,但義昭離京之日便成為室町幕府閉幕之日。
まだ荷物の整理や人員確保などが残っているが、義昭が京を去る時、それが室町幕府の閉じる日となる。
不過他認為讓外界說是信長滅掉幕府不妥,於是宣稱自己的任務是培養義昭之子成為下一任合適的征夷大將軍,當然沒有人相信。
とはいえ信長が幕府を滅ぼしたという外聞は悪いと考え、自分の役目は義昭の子を次代の征夷大将軍に相応しい者に育てることだと宣言した。無論、誰も信じることはなかった。
在對反織田勢力施以威嚇後,靜子本應返回尾張,但抵達岐阜時接到信長召見,於是決定留在岐阜。
反織田勢力へ睨みをきかせた後、静子は尾張へ帰国する、はずだった。だが岐阜へと辿り着いた頃、信長から呼び出しを受けた為、静子は岐阜に残る事にした。
本可將軍隊駐紮在靜子新建的岐阜宅邸,但既無特別事務也未接到信長指示,於是將指揮交給玄朗,並命令一到尾張即解散軍隊。
新しく出来た静子の岐阜用邸宅に、軍を置いても良かったのだが、これと言った用事もなく、また信長からの指示もなかったため、指揮を玄朗に任せ、尾張に到着次第、軍を解散するよう命じた。
「又是心血來潮吧」
「また気まぐれかな」
靜子一邊喃喃自語著,便被帶到信長處。近來信長常把茶室當作密會場所,所以靜子被帶到的地方也是茶室。
そんなことを呟きつつ静子は信長の許へと案内される。この頃の信長は茶室を密会の場にしているため、静子が案内された場所も茶室だった。
與普通茶室不同的是,護衛被安排在稍遠處,刻意不顯眼。
普通の茶室と違う点は、少し離れた場所に警護の人間が目立たないよう配置されている点だ。
「上樣,您有召喚嗎?」
「上様、お呼びでございましょうか」
「進來」
「入れ」
在茶室外喊了聲,信長立即回覆可進入。靜子吐了口氣,然後靜靜向客用入口走去。
茶室の外から声をかけると、すぐに信長から入室の許可が返ってきた。静子は一度息を吐くと、静かに客用の入り口へと歩み寄る。
茶室的客用入口稱為「にじり口(ぐち)」。入口狹小,因此必須跪著進入,無法猛然衝入;慢慢進入暴露要害以示無敵意。據說にじり口是千利休看到舟座敷時想到的。
茶室にある客用の入り口は「にじり口(ぐち)」と呼ばれている。狭い入り口ゆえ膝をついて入る必要があり、勢いよく踏み込む事は不可能であり、急所を相手に晒しつつゆっくりと入ることで敵意の無さを示すことができる。にじり口は千利休が舟座敷を見て思いついたものと言われている。
由於千利休的侘茶尚未大成,客用入口只略低一些。當然,進茶室仍需脫去武器與盔甲這點不變。
まだ千利休のわび茶は大成していないため、客用の入り口は少し低い程度に抑えられていた。無論、茶室に入るには武器や防具を外す必要があるのは変わらない。
「失禮了」
「失礼します」
靜子輕輕開門、行了一禮後進入茶室。信長正在點(た)茶。
入り口を静かに開け、一礼した後、静子は茶室に入る。信長は茶を点(た)てていた。
「聽說你前些日子買了南蠻人的奴隸」
「先だって南蛮の奴隷を買ったと聞いた」
茶放在靜子的面前。靜子察覺信長意在要她說說買奴隸的理由,便把茶碗移近,開始說明購買奴隸的理由。
静子の前に茶が置かれる。奴隷を買った理由を話せ、と察した静子は茶碗を手元に寄せると、奴隷購入の理由を語る。
「為了獲得南蠻的技術。我能傳授的有其限度。要普及新技術,除了從奴隸商人手中買下技師別無他途。」
「南蛮の技術を得るためです。私が伝えられる事には限界があります。新しき技術を広めるには、奴隷商人から技師を買い取る以外にありません」
「買入的理由不夠充分」
「買う理由には弱い」
「正是為此的語言學者。」
「その為の言語学者です」
「哦?」
「ほう?」
信長的表情變了,靜子確信他顯露出興趣。
信長の表情が変わる。静子は信長が興味を示した事を確信した。
「既然伴天連會說我國的話,我方也必須理解他們的語言。這點非得帶來在彼方研究語言的人不可。但若以普通方式接觸,對方會起警戒心。」
「伴天連が我が国の言葉を喋っているのですから、こちらも彼らの言葉を理解する必要があります。こればかりは、向こうで言葉の研究を行っている者を連れてこなければなりません。が、普通に取り入れようとしても、相手が警戒心を持ってしまいます」
原本「言語學者」一詞指的是研究語言的人,而非會說多種語言的人。但此時為了向信長說明,靜子省略了那種差別。
本来の意味での言語学者は、言葉が多数喋られるのではなく、言語について研究を行っている者を指す。だが、今は信長に説明するため、その辺りの違いを静子は省略した。
「然而若是奴隸就能避開那種無謂的摩擦。當然還是有間諜混入的可能,所以那一點由足滿大叔檢查過了。」
「しかし、奴隷ならばその無用の軋轢を回避出来ます。無論、間者が入り込む可能性はありますので、その点は足満おじさんが検査しました」
「嗯……是伴天連那些人的語言啊。確實知道了也沒壞處。」
「ふむ……伴天連どもの言葉か。確かに知っていて損はないな」
信長扶著下巴沉思。知道南蠻的語言沒有壞處,也較有可能得知他們密談的內容。
顎に手を当てて信長は考える。南蛮の言葉を知っていて損はない。連中が密談している内容も知ることができる可能性が高まる。
若是足滿檢查過,那被當作間者綁有符號的可能性幾乎為零。知道有利之處後,信長微微一笑。
足満が検査をしたのならば、間者として紐が付いている可能性は限りなく低くなる。利点があると分かると、信長は小さく笑った。
「茶要涼了」
「茶が冷める」
「我就不客氣了」
「頂戴します」
說完靜子喝下信長沖的茶。茶已經完全涼了變溫,但她也說不出口,分成4、5口喝乾。
そう言うと静子は信長が点てた茶を飲む。すっかり冷めてぬるくなっているが、その事を言うわけにもいかず、4、5回に分けて茶を飲み干した。
「關於南蠻奴隸的事就先不談。說說我國之事吧。」
「さて南蛮の奴隷の件は良い。我が国の話をしよう」
「明白了」
「承知しました」
「照你獻策所言,把擒獲的一向宗大量送往石山本願寺。起初看不出效果,但聽了最近的報告,總算理解了你的盤算。」
「貴様の献策通り、捕らえた一向宗の者を大量に石山本願寺へ送り付けてやった。最初は効果が見えなんだが、最近の報告を聞いてようやく貴様の目論見を理解出来たわ」
信長一邊說著一邊咧笑。靜子心裡歪著頭想,她只是想阻止史實上信長的屠殺而已,難道還有其他效果嗎?
信長が語りながらニヤリと笑う。静子としては史実上で行われた信長の虐殺を阻止したかった、だけだがそれ以外に効果があったのか、と内心首を傾げる。
「本願寺現在僅能勉強支撐長島的一向眾。因教義無法拋棄他們。由於沒有武具,無法成為兵士。若接納飢餓的人群,會造成治安混亂與疫病流行。真是不錯的策略。」
「本願寺は今、長島一向衆を支えるだけで精一杯だ。教義の関係で見捨てる事は出来ぬ。武具がないゆえ兵にも出来ぬ。飢えた連中を受け入れれば治安が乱れ、疫病が流行する。中々の策よ」
聽了信長話,靜子終於恍然大悟。長島一向衆究竟有多少人口不明,但史實上據說有兩萬人被燒死,至少確實有數萬人存在。
信長の言葉で静子はようやく気付く。長島一向衆にどれだけの人口がいたか不明だが、史実で2万人が焼け死んだと言われているので、少なくとも数万人がいた事は確実だ。
那麼多難民湧向石山本願寺。身為接收方的顯如與幕僚們肯定頭痛不已。
それだけの難民が石山本願寺へ押し寄せる。受け入れる側の石山本願寺にいる顕如と側近たちは頭を抱えたに違いない。
他們幾乎沒什麼糧食,武具被沒收一無所有,金錢也只有少量,卻要養活數萬這樣的人。
何しろ食料は殆ど所持していない、武具は取り上げられ何もない、金子も少額しか持っていない。そんな人間を数万人も抱えなければならない。
且由於宗教性質,無法拋棄湧入的難民。但接納難民會使士氣低落、治安惡化,甚至可能引發疫病。
そして宗教の性質上、押し寄せた難民を見捨てる事は出来ない。しかし、難民を受け入れると士気が下がり、治安は悪化し、下手すると疫病が流行する。
結果他們得傾家蕩產來養活數萬難民。
結果的に彼らは私財を投げ打って、数万人の難民を養わなければならないのだ。
「這計策可用。我已命各方今後將一向宗剝得赤裸後送往石山本願寺。」
「この策は使える。今後も一向宗は丸裸にして石山本願寺へ送り付けるよう、各方面へ通達した」
「(知道有效後就毫不留情地實行計策果然沒變)明白了。吾軍對上一向宗時,也會盡量不殺敵,將其送往石山本願寺。」
「(効果あると分かれば、容赦なく策を実行するのは変わらないな)承知しました。我が軍も一向宗と相対した時、なるべく敵を殺さず石山本願寺へ送り付けるようにします」
「嗯。接下來,我賞賜你十萬石的領地。」
「うむ。さて次だが、貴様に10万石の領地を与える」
「欸?那個──即便獲得土地我也無法管理啊……」
「はい? あのー、土地を頂いても私は管理出来ないのですが……」
淺井氏滅亡後,秀吉自信長那裡被授與的領地約為十二萬石。換言之,擁有十萬石就等同於與光秀、秀吉、柴田等人並列的領地規模。
浅井滅亡後に秀吉が信長から任された領地が約12万石とされている。つまり10万石とは光秀や秀吉、柴田たちと肩を並べる領地を所有している事となる。
名實皆可稱為大名,但對靜子來說,老實說不想負責土地的管理。
名実ともに大名と言えるが、静子からすれば土地の管理などしたくないのが本音だ。
「別慌。先說好,十萬石之中有五萬是近衛家的。這是因為若整備畿內土地,近衛家的莊園會減少,所以做出的處置。關於這五萬石,妳不必做任何事」
「慌てるな。まず10万の内、5万は近衛家のものだ。これは畿内の土地整備をした場合、近衛家の荘園が減るゆえの措置だ。この5万石に関して、貴様は何もしなくて良い」
「可是,那也有五萬石啊。我覺得自己無法管理土地……」
「しかし、それでも5万石ですよ。私、土地の管理は無理な気がします……」
「會派遣補佐官。有了幾年時間,土地管理應該不會有問題」
「補佐官の派遣はする。数年もあれば、土地の管理に支障はなくなろう」
「(啊——既然是既定事項)知道了。或許會給各位添很多麻煩,還請多多關照」
「(ああ、決定事項なのですね)承知しました。色々とご迷惑をおかけする事になるかもしれませんが、よろしくお願い申し上げます」
靜子理解這在信長那裡已是既定事項,覺得無論說什麼都徒勞。她心想一如往常真希望能免於這種突如其來的命令,但說了也不會改善。
信長の中では決定事項だと理解した静子は、何を言っても無駄だと悟った。毎度の事ながら突然の命令は勘弁して欲しい、と静子は思った。だが言ったところで改善されるはずもない。
畢竟他是織田信長。
何しろ彼は織田信長なのだから。
「祈願被夾在中間的補佐官別因胃痛而倒下」
「板挟みになった補佐官が胃痛で倒れない事を祈ります」
「放心。要是真倒下就把他開除」
「安心しろ。倒れるぐらいならクビを切る」
靜子有點在意那個『クビ』是指解雇還是斬首,但她認為與其指出來,不如當作沒聽見,於是對信長的話置若罔聞。
そのクビは解雇(クビ)なのか、それとも斬首(クビ)のどちらか少し気になった。だが、指摘するより聞かなかった事にした方が良いと思い、静子は信長の言葉を聞き流した。
「さて、もうすぐ畿内は慌ただしくなる。各陣営に服従か徹底抗戦、どちらを選ぶのだと文を送った。今ごろ、連中はどうするか頭を抱えているだろうな」
「さて、もうすぐ畿内は慌ただしくなる。各陣営に服従か徹底抗戦、どちらを選ぶのだと文を送った。今ごろ、連中はどうするか頭を抱えているだろうな」
信長帶著得意的表情說道。能夠報復當初包圍織田的那些勢力,他顯得非常愉悅。畢竟作為反織田聯盟支柱的武田軍已經徹底敗北。
悦に入った顔で信長は語る。織田包囲網の意趣返しが出来て、彼はとても楽しそうだった。何しろ反織田連合の頼みの綱である武田軍は、完全に敗北したのだ。
在此時機,織田陣營一舉行動十分合情合理。信長一旦看到勝機,便不吝惜耗費,將可打的所有牌都打出去。
今の時期、織田陣営が一気呵成に動くのは道理だ。勝機ある時、手間を惜しまず打てる手を全て打つのが信長だ。
雖說他向各陣營試探是否表明旗幟,靜子察覺信長的目的不止於此。
各陣営に旗幟の宣言の打診をしたとの事だが、静子は信長の目的がそれだけではない事を察する。
這時期催促降伏,可以讓他彰顯寬容;若被拒絕,也能營造出開戰在所難免的氛圍。
この時期に降伏を促せば、自身の寛容さを知らしめる事が出来る。また、服従を蹴った場合、いくさもやむなしという空気が作れる。
但她覺得不會只有這些。信長不可能單純為了這些理由就寄出信件,靜子認為其中必有一個關鍵所在。
だが、これだけとも思えない。信長が単純にそれだけの理由で手紙など送るはずがない。何か一つ、肝になるものがある、と静子は考えた。
「……原來如此」
「……なるほど」
然後靜子察覺到了:足滿突然單獨承擔作業、在那之前前久訂購了防寒用具,以及信長寄給各陣營催促服從的信件。
そして静子は察した。足満が急に単独で仕事をこなす事、それ以前に前久が防寒用具を発注してきた事、そして信長が各陣営に送った服従を促す手紙。
把所有線索串連起來,靜子理解到信長向各陣營逼降不過是一個虛張聲勢,實際上無論哪一方結果對他都無所謂。
全てをつなぎ合わせると、信長が各陣営に服従しろと迫ったのは、ただのブラフで本当はどちらでも良い事だと静子は理解した。
他真正想掌握的陣營只有一個。其他陣營對信長而言,不論回信如何選擇都只是瑣碎之事。
彼が手中に収めたい陣営はただ一つだ。他は信長が送った服従の手紙の返答は、どちらを選ぼうが信長にとっては些末な事だ。
「承蒙款待,謝謝您的茶」
「お茶、馳走になりました」
但她沒有把答案說出口,不知道哪裡有誰在聽,而信長也不希望靜子多言。靜子將話吞了回去,放下已空的茶碗。
だが答えは口にしない。どこで誰が聞いているか不明だし、信長も静子が語る事を望んでいない。茶と一緒に言葉を飲み込んだ静子は、からになった茶碗を置いた。