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戦国小町苦労譚

千五百七十三年 二月中旬

將軍足利義昭因自作自受而陷入窮地。

将軍、足利義昭は自業自得により窮地へと追い込まれていた。

被視為戰國最強、並成為反織田思想根基的武田軍,遭到本被認為勢力較弱的織田・德川聯合軍徹底擊潰。

戦国最強と目され、反織田思想の根幹となった武田軍は、格下と思われた織田・徳川連合軍に完膚なきまでの敗北を喫した。

判斷時局錯誤。反織田聯合的國人們一旦認清事實,便如蜘蛛兒散開般離去。

時流を読み間違った。それを思い知った反織田連合の国人達は、蜘蛛の子を散らすように離れていった。

朝倉即便擁有兩萬兵力,也未曾交鋒就逃回了本領越前。

朝倉に至っては2万もの兵を擁しながら、一度も矛を交えることなく自領である越前へと逃げ帰った。

反織田勢力的先鋒本願寺,因接納長島一向宗的殘兵而自招困局。

反織田勢力の急先鋒、本願寺は長島一向宗の敗残兵受け入れで自縄自縛に陥っていた。

信長只給予敗兵最低限的糧食便放出,因此等他們抵達本願寺時已成為飢餓且帶著殺氣的難民。

信長は敗残兵に必要最低限の食料しか持たせずに解放したため、本願寺へと到達する頃には飢えて殺気立った難民と化していた。

若棄之不顧,自稱救濟衆生的本願寺便喪失大義;若接納,又可預見將因糧食短缺而不久崩潰。

これを見捨てれば衆生救済を謳う本願寺は大義を失う。受け入れれば遠からず食料不足から破綻するのが見えていた。

因以教義為憑而動員民眾,行動受限,反而無法抗衡以教義之名直衝滅亡的信長策略。

教義を拠り所に民衆を動員しただけに行動を縛られ、教義ゆえに破滅へと突き進む信長の策に抗することが出来なかった。

義昭陣營的內部崩壞也已開始。首先,自義輝遭刺殺以來一直支持他的細川藤孝起了反心。

義昭陣営の内部崩壊も始まっていた。まず義輝が暗殺された時から支え続けてくれた細川藤孝が離反した。

他接著透過光秀投向織田,令義昭陣營的內情盡數外洩。

そのまま光秀を通じて織田へと下り、義昭陣営の内部事情までが筒抜けとなった。

細川藤孝在離反前對義昭說的最後一句話是「實在是極為厭倦了」。

細川藤孝が離反する前に、義昭へと告げた最後の言葉が「ほとほと愛想が尽き申した」であった。

茨木城主荒木村重也因自三好家轉向織田家,而再次宣布臣服於信長。

茨木城主の荒木村重も、三好家から織田家へと移ったこともあり、改めて信長に臣従することを宣言した。

無論義昭如何竭力,已無人願意支持他,更別說在此時再發兵的稀奇勢力存在。

既に義昭がどれほど手を尽くそうとも、彼に味方する者はおらず、増してやこの期に及んで兵を出そうなどと言う奇特な勢力は存在しなかった。

在那情勢下,領軍將武田軍一舉擊潰的信長來到京城。

その状況下で、武田軍を鎧袖一触に下した織田軍を率いた信長が京へとやってくる。

不僅義昭,連同參與反織田聯合的國人們都度過不眠之夜,惶恐於無法逃避的死亡氣息。

義昭だけでなく、反織田連合に与(くみ)した国人たちは眠れぬ夜を過ごし、逃れ得ぬ死の気配に怯え暮らしていた。

「呵呵,真可愛的小傢伙啊」

「ふふっ、愛い奴よ」

一舉成為時事人物的信長,卻被一隻西洋來的貓所迷住。

一躍、時の人となった信長であったが、彼は西洋の猫に心を奪われていた。

不僅是他,公家首席近衛前久、在織田家掌握京中要務的明智光秀,以及看清義昭的細川藤孝三人也同樣如此。

彼だけでなく、公家筆頭の近衛前久、織田家における京の要たる明智光秀、そして義昭を見限った細川藤孝の三人も同様だった。

掌控朝廷的關白二條晴良遭信長疏遠而失勢,曾為其護衛的義昭亦已如死水般孤立無援,加上信長向天皇的奏請,前久獲准歸洛。

朝廷を牛耳っていた関白、二条晴良は信長から疎んじられて勢力を失い、彼を擁護していた義昭も死に体となっているため孤立し、信長から帝への奏上もあって前久は帰洛を許されていた。

前久原計畫在二條城前建新居,但在那之前仍照舊留在岐阜。

前久は二条城前に新居を構える予定だが、それまでは今まで通り岐阜で過ごしていた。

「多麼惹人喜愛的舉止……」

「なんという愛くるしい仕草……」

今天以展示洋貓為名,三人受特別邀請前來。

今日は舶来の猫をお披露目するという名目で、3人は特別に招待されていた。

此外,因為信長贈與並飼養了一隻土耳其安哥拉,四人的交情也因此非比尋常地深厚。

尤もターキッシュアンゴラを信長から譲り受けて飼っている関係からも、4人の親交はそれなり以上に深くなっていた。

「喵喵」

「ニャーニャー」

「喵嗚」

「うにゃあ」

陣容豪華對貓而言毫無意義。貓兒們放縱行為,無人責備,致使被抓爛的榻榻米支離破碎,障子與襖滿是洞穴,呈現一片慘況。

錚々たる顔ぶれだが、猫にとっては関係ない。猫たちは奔放に振る舞い、誰もそれを咎めないため、爪を立てられた畳はボロボロになり、障子や襖は穴だらけという惨状を呈していた。

信長等人非但不責備牠們,反而被牠們自顧自梳毛的神態逗得面露笑容。

信長たちはその行状を咎めるどころか、我が物顔で毛づくろいをする姿に頬を緩めていた。

連為貴人精心準備的華麗點心也未動,他們愛上了這種不受約束的自由貓生。

貴人の為にと贅を凝らされた菓子にも手を付けず、何者にも縛られぬ自由な猫の生き様を愛した。

「簡直像貓咪咖啡館呢」

「まるで猫喫茶ですね」

熟悉現代動物咖啡館的靜子脫口而出。她在後方本以為若露出過於放鬆的表情會有損他們的面子,這想法果然正確。

現代のアニマル喫茶を知る静子は、思わず口を滑らせた。緩みきった表情を見ては彼らの沽券に係わると思い、後方に控えていた彼女だったが、その考えは正しかった。

恐怕四人的現狀,絕對無法示於手下。

恐らく4人の現状は、彼らの配下には到底見せられない有様だろう。

或許因日常被要求嚴格自律、長期處於緊張生活,才會被貓那既可愛又優雅、甚至帶著高貴氣質的自由奔放所吸引。

日々、厳しく己を律する事を求められ、常に緊張を強いられる生活を送っているせいか、猫の愛らしくも美しい佇まいと、気品さえ感じる自由奔放な振る舞いに魅せられるのだろう。

正當她如此思忖時,見貓兒們大張哈欠、蹲著要睡覺,察覺到午睡時間的靜子站起來拍手,讓眾人都聽見。

そんな事を考えていると、猫たちが大きく欠伸をすると、うずくまって眠ろうとしている事に気付いた。昼寝の時間だと察した静子は、全員に聞こえるよう立ち上がって手を叩く。

「好了,散會囉——」

「はい、お開きですよー」

四人轉頭,毫不掩飾地表露不滿。無論多不甘心,再繼續下去都會成為貓的負擔,必須讓牠們休息。

4人は不満さを隠そうともせずに振り返った。如何に不満であろうとも、これ以上は猫の負担になるため休ませる必要があった。

對於暗中示意要多延長一會兒的四人,靜子用手比了個叉並堅定地說。

暗にもう少し延長しろと要求する4人に、静子は指でバツ印を作って強く言い放つ。

「不行。再這樣下去貓會不高興的」

「駄目です。これ以上は猫が嫌がります」

若惹貓不悅,四人也只能退讓。

猫に嫌われるとあっては4人も引き下がる他はない。

「沒辦法,就讓貓休息吧。要不要在旁邊下局將棋?」

「仕方あるまい、猫を休ませるとしよう。隣で将棋でも指さぬか?」

「上樣,小人來陪您下棋」

「上様、某がお相手仕ります」

「我來做紀錄吧」

「某が記録を取りましょう」

「那麼我就去外面透透氣吧」

「それでは私は、少しばかり外の空気にあたるとします」

四人各自開始行動,靜子察覺到他們的舉止有些奇怪,便出聲制止。

4人はそれぞれに動き始めるが、その所作が奇妙なことに気付いた静子は、制止の言葉を投げかける。

「請等一下!諸位,大家懷裡放的是什麼?」

「お待ちなさい! 皆さま、何を懐に入れておられるのですか?」

四人僵住到彷彿能聽見一聲驚愕的聲音,露骨地背過身去以避開靜子的視線。與此同時,不知從哪傳來了貓的鳴叫。

ぎくりと言う擬音が聞こえてきそうな程に固まった4人は、静子の視線を避けるように露骨に背を向けてそっぽを向いた。と、同時にどこからともなく猫の鳴き声が聞こえる。

靜子因此全部察覺到——他們各自把一隻心愛的貓藏在懷中。面對他們意外的偷竊手癖,靜子覺得頭疼。

静子はそれで全てを察した。彼らはそれぞれにお気に入りの一匹を懐に隠しもっていたのだ。意外な手癖の悪さに静子は頭が痛くなった。

「那麼就這樣吧。每人最多一隻,讓步就到此為止」

「では、こうしましょう。おひとり様一匹まで、譲歩できるのはここまでです」

「好!我拿到保證了,諸位,把牠們帶進來」

「よし! 言質を取ったぞ、ものども入って来い」

隨著信長的話語,抱著運貓專用籠子的小姓從入口走了進來。他們把各自小姓從懷裡掏出的貓接過,並指示把貓放進籠中讓牠們躺好。

信長の言葉とともに、入り口から猫運搬専用の籠を抱え持った小姓たちが入ってくる。彼らはそれぞれの小姓に懐から出した猫を預け、籠に猫を寝かせるよう指示していた。

靜子對他們準備之周到目瞪口呆。四人隨後離開房間:信長帶著西伯利亞貓、前久帶著英國短毛貓、光秀帶著ノシュク・スコグカット、細川藤孝帶著埃及貓。

彼らの準備の良さに開いた口が塞がらない静子だった。やがて4人は信長がサイベリアン、前久がブリティシュショートヘア、光秀がノシュク・スコグカット、細川藤孝がエジプシャン・マウを連れて部屋を後にした。

靜子和僕役們把剩下的貓放進籠裡,然後坐下歇了一口氣。

静子は使用人たちと共に残った猫をケージに入れると、腰を下ろして一息ついた。

「竟然如此迷戀貓啊。帝與京中百姓也都沉迷於土耳其安哥拉」

「ここまで猫に熱狂するとはなあ。帝や京の民たちもターキッシュアンゴラに夢中だし」

正親町天皇深愛信長所贈的土耳其安哥拉。與宇多天皇一樣每天撰寫貓日記,事事都會對周遭說「我家的孩子最可愛!」

信長より贈られたターキッシュアンゴラを、正親町天皇は深く愛した。宇多天皇と同じく猫日記を毎日認(したた)め、事あるごとに「うちの子が一番可愛い!」と周囲に自慢していた。

不僅滿足於日記,正親町天皇還為土耳其安哥拉建了專用的小屋,設置五名照料者,並在附近待命一名獸醫。

日記だけに飽き足らず、正親町天皇はターキッシュアンゴラのために専用の小屋(・・・・・)を建て、猫の世話役として5人を置き、近くに獣医を待機させた。

那股狂熱讓競逐帝寵的女性們嫉妒不已,後宮女官與公家也對這種愛恨交織的景象目瞪口呆。

その熱狂ぶりは帝の寵を競う女性たちを嫉妬させ、後宮女房や公家衆も愛憎入り混じる光景に絶句した。

比正親町天皇稍晚,當土耳其安哥拉也被贈予京中百姓時,京民稱牠為「お白(しろ)さま」並十分疼愛。

正親町天皇より少し遅れて京の民にも、ターキッシュアンゴラが贈られると、京の民は「お白(しろ)さま」と呼んで非常に可愛がった。

民眾自動自發地自願照顧土耳其安哥拉,孩子們也主動成為牠們的玩伴。

民たちは誰に言われるまでもなくターキッシュアンゴラの世話を買って出て、子供たちも進んで遊び相手となっていた。

靜子認為,不知道明天會發生什麼的時代背景,可能是人們沉迷於像貓這類寵物的一個原因。

明日をも知れぬ時代背景が、猫のような愛玩動物に心酔する一因となったのではと、静子は考える。

狗雖然也是寵物,但因一度在京中肆虐的野狗形象已深入人心,要讓狗的人氣復興看來困難。

犬も同じく愛玩動物ではあるが、一時期京で猛威を振るった野犬のイメージが定着しており、犬人気の復権は難しく思われた。

「說起來,足滿大叔要和將軍談判吧。近衛大人說沒問題,但真的沒問題嗎?」

「そう言えば、足満おじさんが将軍と交渉するんだっけ。近衛様は問題ないと仰ってたけど、大丈夫かなあ」

這次談判的目的,是讓義昭拿出兒子當人質交給信長,並在蟄居期間由家臣勸諫他。

今回の交渉では、義昭に息子を人質として信長に差し出させ、蟄居中に家臣から諫めさせるのが目的だ。

但感情化的義昭一旦固執起來便不顧周遭。他因未被處決而心生恃寵,甚至可能採取徹底抗戰的態度。

だが感情的な義昭は意固地になると周囲を顧みない。処刑されないのを良いことに、徹底抗戦の構えを取る可能性すらあった。

在這次談判中,足滿能否約束義昭,將受到檢驗。

この交渉の場において、足満が如何に義昭を制御できるか、それが試される場となる。

「他可能會記恨,會再挑起一場戰端吧」

「逆恨みして、もう一回ぐらい戦いを吹っかけてきそうだなあ」

靜子嘟噥著預想那樣的未來,卻不知信長對她所說的目標僅是最低限,真正的目的另有他處。

そんな未来を予想してぼやく静子は知らない。信長が静子に語った目標は、あくまでも最低限であり、真の狙いは他にあることを。

信長的真正目的,是要讓足利將軍家自行結束幕府,向室町幕府送上最後一擊;足滿正是最適合的人選。

信長の真の目的。それは足利将軍家が(・・・・・・)自ら幕府を閉ざす(・・・・・・・・)事だ。室町幕府に引導を渡す、足満はまさにうってつけの人材と言えた。

織田家與足利將軍家的所謂談判,根本稱不上是談判。足滿一開口便單方面提出要求。

織田家と足利将軍家との交渉は、おおよそ交渉と呼べるものではなかった。足満は開口一番、一方的に要求を突き付けた。

「若有人有異議就說出來吧,那時便會成為我的敵人」

「異論があるなら申してみよ。その時点でわしの敵(・・・・)となるがな」

在寂靜籠罩的場中,足滿傲視著侍奉足利將軍家之人,情形異常至極。

静寂が支配する場で、足満が足利将軍家に仕える者たちを睥睨する。その様は異様の一言に尽きた。

本應以織田代表出席的足滿,竟坐在原本義昭應該就坐的上位;而義昭則被當成墊在足滿屁股下的坐墊。

織田家の交渉役として出向いたはずの足満が、本来義昭が座すはずの上座に腰を下ろしていた。肝心の義昭は、足満の尻の下に敷かれ、座布団の役目を仰せつかっていた。

義昭臉部腫得厲害,四處都是青紫的瘀傷,可見足滿曾痛打義昭使其噤聲。

義昭の顔は見事に腫れ上がり、あちらこちらに青あざを拵えているところから、足満が義昭を殴って黙らせたことが窺えた。

「織田想扶持這個愚蠢的子孫做將軍,但我不會承認這等事。足利將軍家應該將征夷大將軍的職責歸還,這才是世道所趨」

「織田はこの阿呆の子を将軍として盛り立てようとしている。が、わしはそんな話を認めはせん。足利将軍家は征夷大将軍の役目を返すのが世の流れよ」

「啊、兄上……那也太過分了……唔!」

「あ、兄上……それはあまりにも……ぐふっ!」

義昭想要反駁,卻被足滿不予理會,足滿踩住義昭的頭,將他的臉在地板上摩擦。

義昭が反論をしようとするが、足満は聞く耳持たずとばかりに義昭の頭を踏みつけ、彼の顔を床にこすり付けさせた。

義昭無法抗拒足滿的膂力,只能發出呻吟,額頭被迫摩擦地板。

足満の膂力に抗えるはずもなく、義昭は呻き声を上げつつも床に額をこすり付けることとなる。

「到了這個地步還不懂嗎!你們這些愚蠢的人。若天下太平,像你們這種無能者遊蕩也無妨。但現在是亂世。你若戀棧將軍位、持續顯露無能,人民便會輕視那代代相傳的將軍。若武田打敗織田就會回到足利的時代?癡言妄語,光是武田取代織田,足利的時代絕不會再來。亂世中無力即是罪。誰也不會追隨無力的將軍。足利將軍家不過是穩固地盤前的過渡,失去利用價值後便會被冠罪而遭斷罪」

「この期に及んで未だ分からぬか! 愚か者どもが。天下泰平(たいへい)ならば、貴様ら無能が遊んでいようと世は回る。しかし今は乱世だ。貴様が恋々と将軍位にしがみ付き、無能を晒し続ければ民は営々と受け継がれた将軍を軽んじるようになる。武田が織田を倒せば、足利の世が戻ってくるだと? 世迷言を、武田が織田に代わるだけで足利の世など二度とは来ぬ。乱世に於いて力なきは罪。力なき将軍に従う者などおりはせぬ。足利将軍家は地盤を固めるまでの繋ぎに過ぎず、利用価値がなくなれば罪を押し付けられて断罪されるのが落ちよ」

假設武田打敗織田・德川聯軍並實現上洛,信玄甚至會將自己信奉的宗教拿來作政治利用,他絕不會猶豫去利用足利將軍家的權威。

仮に武田が織田・徳川連合軍を打ち破り、上洛を果たしていたとする。自らが信仰する宗教すら政治利用する信玄だ。足利将軍家の権威を利用するのに躊躇うはずがない。

與信長一樣,甚至更殘酷地利用義昭,為了改寫勢力版圖反覆肅清,並把一切都當成義昭的罪來審判。

信長と同じく、いやもっと苛烈に義昭を利用し、勢力図を塗り替えるために粛清を繰り返し、その全てを義昭の罪として裁くだろう。

結局是,沒有戰鬥力量的足利將軍家不過是個會被吞噬的弱者。

結局、戦う力を持たない足利将軍家は、食われるだけの弱者に過ぎない。

「你們要選擇連上京一起被滅,還是波風不起地離去,隨你選擇。在你們下結論前告訴你們一件事:當你們再次向織田舉旗反叛時,站在最前頭的就是我」

「上京(かみぎょう)ごと滅ぼされるのを望むか、それとも波風を立てずに去るか、好きな方を選べ。結論を下す前に一つだけ教えてやろう。貴様らが再び織田へ反旗を翻した時、その先陣に立っているのはわし(・・)だ」

足滿把手搭在腰間佩刀的柄上。那一聲響讓足利將軍家的人抬頭看向足滿,隨即噤若寒蟬。

足満は腰に佩いた刀の柄へと手を掛ける。その音で足利将軍家のものは足満を見上げ、そして言葉を飲み込んだ。

他們看著足滿的表情顫抖起來。認識從前那個他的人,對他的變貌感到困惑。足滿的神情並非一般人會有的,而像是惡鬼羅剎般的面容。

彼らは足満の表情を見て震え上がった。昔の彼を知るものは、その変貌ぶりに困惑する。足満の表情はおよそ人が浮かべるものではなく、悪鬼羅刹の類がするそれだった。

不用多說意見,僅僅與那雙眼對視就會喪命。被既帶有異樣熱度又冰冷得讓背脊發涼的視線盯著時,會清晰地想像到自己被一刀斬落的未來,連抬頭也做不到。

意見を述べるまでもなく、視線を合わせるだけでも殺される。異様な熱を帯びつつも、背筋を凍らせる程に冷たい視線に見据えられると、己が一刀の下に切り伏せられる未来を鮮明に思い描き、顔を上げることすらできなくなった。

足利家畢竟是武家一門。或許內中有人性格豪爽,但大家一律沉默、低頭顫抖。眾人對足滿抱持『畏懼』,甚至覺得他像是非人、或是慘死怨靈顯現一般。

足利家とて武家の一門。中には豪胆な者もいたのだろうが、皆一様に押し黙り、下を向いて震えていた。彼らは足満を『畏怖』した。人ではなく非業の死を遂げた怨霊が顕現したのでは、とさえ思った。

「先聲明,我並不怨恨拋棄了我的足利家,一點也沒有。我只是秤量諸多因素,選擇了對足利家最有利的道路罷了」

「断っておくが、わしはわしを見捨てた足利家を恨んでなぞおらぬ、微塵もな。わしは様々な要因を天秤にかけ、足利家にとって最も良い道を選んでいるに過ぎぬ」

足滿帶著玩笑似地說話,但沒有人發笑。不,根本笑不出來。

冗談めかして語る足満だが、誰も笑いはしなかった。否、笑えなかった。

若是發出笑聲,沒人能預料足滿會如何行動,也沒有人願拿性命下注賭一把。

笑声を立てた瞬間、足満がどのような行動をとるか誰も想像できず、自分の命を賭けての博打を打てるものはいなかった。

「我也不是鬼。若你們接受我的條件,就給你們一個有終之美。說是足利家被武田挑唆(・・・・・・・)之類的辯解好了。我會向織田說上一句好話」

「わしとて鬼ではない。こちらの条件を飲むのなら、有終の美をくれてやる。足利家は武田にそそのかされた(・・・・・・・)とでも申し開きをせよ。わしから織田に口をきいてやろう」

「明、明白了。我們接受織田家的條件,全部投降。」

「わかり、申した。織田家からの条件、全て受け入れて降伏いたします」

結果這場根本不是交涉,而只是織田家提出降伏條件的宣讀會。足利將軍家自始便只有投降或死亡兩條路可選。

結局、これは交渉ではなく織田家からの降伏条件を告げる場に過ぎなかった。足利将軍家には最初から降伏するか、死ぬかしかなかったのだ。

織田擊敗武田後,時局開始傾向織田家。原本參與反織田聯合的國人紛紛倒戈,乃至曾是急先鋒的本願寺也開始出現分歧。

織田が武田を破ったことで、世の流れは織田家へと傾いた。今まで反織田連合に加担していた国人も次々と離反し、急先鋒であった本願寺ですら意見が割れ始めていた。

在完全孤立的足利將軍家,根本無法立於交涉的舞台之上。

完全に孤立した足利将軍家では、そもそも交渉の舞台に立つことすら出来ない。

「記住我說的話」

「その言葉、忘れるな」

說完這句,足滿從義昭面前起身,毫不在意周圍的視線,轉身離開了房間。

それだけを告げると足満は義昭から立ち上がり、周囲の視線を意にも介さず部屋を後にした。

等到他的腳步聲消失,足利將軍家一眾才大口吐出一口氣,這就不言而喻了。

彼の足音が聞こえなくなった頃、足利将軍家一同が盛大に息を吐きだしたのは言うまでもない。

信長交代給義昭的條件有數項,主要如下。

信長が義昭に申し付けた条件はいくつかあるが、主要なものは以下の通りだ。

一、足利義昭自主辭去征夷大將軍之位(・・・・・・),將該職位歸還朝廷。

一つ、足利義昭は征夷大将軍を自主的に退き(・・・・・・)、その地位を朝廷へ返す。

一、將足利家傳承的寶刀名刀及其他私有財產全部移交給織田家(實際上是足滿)。

一つ、足利家に伝わる宝刀や名刀、その他私有財産の全てを織田家(実際は足満)へと譲り渡す。

一、從京中遷出,今後由毛利家代為保管。

一つ、京より立ち退き、以後は毛利家預かりとする。

一、將嫡子足利義尋作為人質送交信長。

一つ、嫡子である足利義尋を、信長に人質として差し出す。

聽說與將軍義昭的交涉已順利結束後,靜子感到閒得無聊。剩下的只是隨信長回國而返,但出發的消息遲遲未到。

将軍義昭との交渉も無事終了したと聞かされ、静子は暇を持て余していた。後は信長の帰国に従って、戻るだけなのだが、なかなか出立の報せがこない。

因為回程途中會繞道參拜伊勢神宮,她正為此做準備,但連那事一結束便真正沒事可做了。

帰路の途中で伊勢神宮へと寄る関係から、その準備をしていたが、それすらも終えると本格的にやることがなくなった。

信長作為權力者有許多往來與需決裁的案件,前久要視察在建的自宅、拜會相關人等,日子忙碌不休。

信長は権力者としての付き合いや、決裁すべき案件が山ほどあり、前久は建設中の自宅を視察したり、関係者への挨拶をしたりと多忙な日々を送っていた。

靜子則因信長只挑選少數人拜訪,在沒有農地的京城裡連消遣時間都難以打發。

対する静子は信長が厳選した少数の者しか訪ねてこないため、農地の無い京では暇を潰すことすらままならなかった。

起初靜子為該做些什麼而煩惱,但後來決定做京城特有的調查。

最初は何をしようかと思い悩んだ静子だが、京ならではの調査をしようと思い立った。

那是市場調查。雖然在尾張、美濃已掌握到末端,但京的情況不同。

それは市場調査だ。尾張・美濃に於いては末端まで把握しているが、京は勝手が違う。

靜子想要詳細調查各店鋪從何處、以何量進貨,那些貨品流入市場多少,剩餘又流向何處。

どこの店が何をどこからどれだけ仕入れ、それがどれだけ市場へ流れ、余剰は何処へと流れていくのか細かく調査しようと静子は考えた。

掌握市場機制很重要,調查寺社勢力的金脈所在也是一大目的。

市場の仕組みを把握するのも大事だが、どこに寺社勢力の金脈があるかを調べるのも大きな目的だ。

以本願寺為代表的寺社勢力在畿內形成如網狀的經營網路,透過調節作物與商品的供給量維持高價,像寡占企業般謀取暴利。

本願寺に代表される寺社勢力は、畿内に網の目のようなネットワークを形成し、作物や商品の供給量を調整して高い市場価格を維持し、暴利を貪るという寡占企業さながらの事業を展開していた。

他們擁有武裝的僧兵,依靠專賣品操作市場,這樣的龐大組織與朝廷及多數武家皆有聯繫,僅以武力強行剿除效率並不高。

武装した僧兵を抱え、専売品による市場操作を行う巨大な組織。朝廷や多くの武家と繋がりを持つ彼らを潰すには、単純な武力に任せたごり押しでは効率が悪い。

因此靜子關注的是經濟。討論經濟當然要用經濟學,但身為高中生的靜子負擔沉重,這方面足滿最為精通。

そこで静子が着目したのが経済だ。経済を議論するならば経済学の出番となるが、高校生であった静子には荷が重く、そちらは足満が最も詳しい。

不過受過現代日本高等教育的靜子擁有大量基礎知識,加上自幼以歷史為嗜好,已能把握一定程度的經濟脈動。

しかし現代日本の高等教育を受けた静子は膨大な基礎知識を持っており、元より歴史を趣味としていたことで、ある程度の経済の動きを把握していた。

日本史與經濟乍看無關,但實際上政治與經濟密不可分。

日本史と経済では一見関係無さげに思えるが、実際は政治と経済は切って離すことの出来ない関係にあった。

尤其信長所採取的施策多根源於經濟,因此當時的人難以理解他,視為異端。

特に信長が取った施策は、経済に根差したものが多く、それゆえ彼は当時の人間から理解されず、異端とされていた。

後世稱信長為不畏神明之人,正因他在事關運數的商業事務上,敢於正面挑戰以神佛為依歸的寺社勢力。

後の世に於いて信長が神をも畏れぬ人間と呼ばれるのも、運否天賦が左右する商売事をするに当たり、その運命を司るとされた神仏を奉じる寺社勢力に真っ向から立ち向かったからだ。

「嗯——生活必需品還挺貴的。特別是油很貴」

「うーん、割と生活必需品が高いね。特に油が高い」

戰國時代,油作為燈油(ともしびあぶら)的需求很高。

戦国時代、油は灯油(ともしびあぶら)としての需要が高い。

寺社特別多夜間舉行儀式,因此掌握油品專賣的油座多由寺社控制,當中還有擁有神人資格的油神人(あぶらじにん)商人。

特に寺社は夜間に行う行事が多く、それゆえ油を独占的に扱う油座(あぶらざ)が寺社に多く、中には神人の資格を有した油神人(あぶらじにん)と呼ばれる商人がいた。

其中有名的油座是離宮八幡宮的大山崎油座。不過隨著應仁之亂使幕府權威喪失,他們的勢力也一同衰落。

特に有名な油座が、離宮八幡宮(りきゅうはちまんぐう)の大山崎(おおやまざき)油座である。もっとも応仁の乱で幕府の権威が失墜すると同時に、彼らの権力もまた地に落ちていた。

「但也不能說要立刻做什麼吧」

「だからといって、今すぐどうこうするとかは考えられないかな」

縫隙已見,但若判斷時機錯誤,將遭到意想不到的反擊。

付け入る隙は見えていた。しかし、時期を見誤れば思わぬ反撃を受けることになる。

「靜子大人,上樣到了」

「静子様、上様がおいでになりました」

正思考該如何介入時,小姓通報信長來訪。由於沒什麼急事,便命人先讓信長進來,自己整頓準備後立刻前往。

どういった介入が望ましいのか考えていると、信長の来訪を小姓が告げた。特に急ぐ用事もないことから、すぐに向かうので先に信長を通すように命じて準備を整える。

「除足滿外退下」

「足満以外は下がれ」

信長、隨行的足滿與迎接的靜子坐定後,信長一開口就命人退下。小姓們屏息,但在信長無言的壓力下無法反抗,只得起身離席。

信長と彼に同行していた足満、そして出迎えた静子が座ると、信長は開口一番人払いを命じた。小姓たちが息を飲むが、信長の無言の圧力に逆らえず席を立った。

只有蘭丸露出微妙表情,但他怎能違抗信長的命令,便與眾人一同出房。

蘭丸のみが微妙な表情を浮かべていたが、信長の命令に背けるはずもなく、皆と一緒に部屋を出る。

只剩三人的房間內,信長啜了一口備好的茶後開口道。

三人のみとなった部屋で、信長は用意された茶を一口飲んで声を発した。

「那麼,你在圖謀什麼」

「それで、何を企んでおる」

「欸?」

「え?」

「……近來你打著市場調查的名義到處嗅探,想必又想出什麼計策了。先說清楚你打算做什麼,我是這麼說的」

「……ここのところ、市場調査と嘯(うそぶ)いて、あちこち嗅ぎ回っていたではないか。またぞろ、何事か策を思いついたのであろう。何をするつもりなのか先に申せ、と言っておるのだ」

看著對信長質問裝傻的靜子,信長嘆了口氣後說明了來龍去脈。靜子開始做市場調查的事很快就傳到了信長耳中。

信長の問いに対して惚けてみせる静子を見て、信長はため息を吐きつつ経緯を説明した。静子が市場調査を始めたことは、すぐに信長の耳に入った。

然而,沒有人知道這到底為了什麼、能有什麼用。

しかし、それが何を目的にしているのか、何の役に立つのか誰にも分らない。

外行人看來不過是在調查銷售額,對於有經驗的商人來說,至少應該掌握自己販售商品的狀況。

何しろ素人目には売り上げを調べているだけだ、それなりの商人ならば自分の商う商品に関してぐらいは把握している事柄である。

被譽為天下人懷刀的靜子親自操辦此事,實在令人難以置信。

天下人の懐刀と呼び名も高い、静子自らが手掛けることには到底思えなかった。

「啊……是的。簡單說就是為了削弱本願寺的勢力」

「ああ……はい。端的に言えば、本願寺の力を削ぐためです」

她吹了犬哨讓犬隻警戒四周,清了清喉嚨後提出了計策。

犬笛を吹いて犬達に周囲を警戒させると、静子は咳払いをして策を口にした。

「以本願寺為首的寺社勢力掌握著畿內的經濟,因此他們財力雄厚,即便我們以武力壓制,他們仍可憑藉經濟力繼續抗戰。故此,我的想法是切斷支撐補給的經濟力量」

「本願寺をはじめ、寺社勢力は畿内の経済を一手に握っています。故に彼らの財力は莫大であり、我々が武力で力圧(ちからお)ししようとも、彼らは経済力を背景に抗戦を続けるでしょう。ならば、補給を支える経済力を断つというのが、私の考えです」

「那跟市場調查有何關係,說來聽聽」

「それと市場調査に何の関係があるのか申せ」

「他們對市場的控制是建立在『座』之上。他們以獨占販售權、免稅權、不入權等特權為盾,排除競爭原理,從生活必需品中謀取暴利。因此我們要調查那些他們壟斷的商品,以更便宜的價格投放市場。若同樣商品能更便宜買到,精明的商人自然會追逐,他們也不得不降價,便難以如願籌措資金。歷來支持軍事力的乃是經濟力,失去經濟力,養得起的兵力自會衰弱」

「彼らの市場支配は座に支えられています。独占販売権、非課税権、不入権等の特権を盾に競争原理を排し、生活必需品で暴利を貪っているのです。そこで彼らが独占している商品を調べ、より安い価格で市場へと流すのです。同じ商品がより安く買えるとあれば、利に敏(さと)い商人ならば飛びつきます。そうなれば彼らとしても値を下げざるを得ず、思うように資金を調達できなくなります。いつの世も、軍事力を支えるのは経済力です。経済力を失えば、自ずと養える兵力に翳(かげ)りが生じます」

靜子說,所謂『座』就是一小撮擁有特權的人壟斷商品,並以高價在市場流通,這是寺社勢力得以致富的源泉。

座とは特権を持つ一握りの人間が商品を独占し、高額で市場に流通させる仕組みである。これが寺社勢力に富を齎す源泉だと静子は言う。

破壞這個機制,恢復競爭原理運作的市場,削弱既得權益的寺社勢力,促進活躍的經濟活動,並將利益回饋到民眾。

この仕組みを破壊し、競争原理の働く市場を取り戻すことで、既得権益を持つ寺社勢力の力を削ぎ、活発な経済活動を促進させ、民にまでその利益を還元する。

「嗯。和足滿走的是不同方向嗎」

「ふむ。足満とは違う方向か」

「咦,足滿大叔也在想些什麼嗎?」

「あれ、足満おじさんも何か考えていたの?」

「簡單說就是金融政策,為此要掌握通貨發行權。一旦掌握了,誰行使什麼權利都無所謂。只要商業以貨幣為媒介,不論誰控制市場,都可從中抽成。掌握貨幣的人,便是經濟的掌控者」

「……端的に言えば金融政策だ。その為に通貨発行権を握る。これさえ掌握すれば、誰がどんな権利を振るおうと関係ない。金を介して商業が成り立つ限り、誰が市場を支配しようとも、更にその上前を撥ねる事が出来る。通貨を支配する者、即ちそれが経済の支配者となる」

以信用為背景從無中創造金錢,讓資金流動產生更多利潤,這正是足滿所追求的。

信用を背景に無から金を産み、金を回すことで更なる金を生み出して利益を得る。足満の目指すところはそれだ。

商業交易的原則是物物交換,貨幣的存在是為了便利交易。若所有交易都以貨幣進行,那麼製造貨幣者將成為物的價值支配者。

商取引の原則は物々交換であり、それを便利にするため通貨が存在する。全ての商取引が通貨で行われれば、通貨を製造する者が物の価値の支配者となる。

使江戶時代幕府統治穩固的原因之一,雖將貨幣鑄造委託他人,但獨占通貨發行權並持續掌控經濟。

江戸時代の幕府支配を揺るぎないものとしたのも、貨幣鋳造こそ他に委託したものの、通貨発行権を独占し経済を支配し続けたからである。

可以說,通貨發行權是統治者的證明。

いわば通貨発行権は支配者の証と言える。

「嗯,確實……要發行紙幣嗎?」

「まぁ確かに……紙幣を発行するの?」

「那就是不兌換紙幣」

「それも不換紙幣(ふかんしへい)をな」

不兌換紙幣是指不保證可與金幣或銀幣兌換的紙幣。因不受金銀價值影響,而憑藉政府信用流通,因此也稱為信用紙幣。

不換紙幣とは金貨や銀貨の交換が保証されていない紙幣を指す。金銀の価値の影響を受けず、政府の信用で流通する貨幣なので、信用紙幣とも言われている。

現代先進國採用不兌換紙幣,透過經濟政策與供給量的調整來維持貨幣價值的信用,這稱為管理貨幣制度。

現代の先進国は不換紙幣で、経済政策や供給量の調整を行う事で、通貨価値の信用を維持している。これを管理通貨制度(かんりつうかせいど)と言う。

相對地,十九世紀到二十世紀前半的紙幣稱為兌換紙幣,是以可兌換為金幣或銀幣為前提的紙幣。

対して十九世紀から二十世紀前半の紙幣は兌換紙幣(だかんしへい)と呼ばれ、金貨や銀貨に交換する前提の紙幣だった。

與其說是貨幣,不如說更像是對可成為貨幣的金銀等貴金屬的存證。與不兌換紙幣不同,兌換紙幣會受可兌換之金銀等貴金屬價值的影響。

貨幣というより、貨幣となる金や銀などの貴金属の預かり証の意味合いが強い。不換紙幣と違い、交換する金銀などの貴金属の価値の影響を受ける。

「以朝廷和織田家作為權威與信用的擔保,並讓寺社協助市場流通。若那些人也使用,認知度會更高」

「権威と信用は朝廷と織田家で担保し、市場への流通には寺社にも協力させれば良い。あ奴らが使うとなれば認知度は高くなる」

從極端來說,不兌換紙幣只是紙片,要使那紙片具有價值須具備條件。

不換紙幣は極論するとただの紙である。その紙切れを価値あるものとするには条件がある。

那些條件是信用、認知度,以及充分的市場供給量。

それは信用、認知度、そして十分な量が市場に供給されることだ。

信用由朝廷保證,但之所以通行,是因為貨幣本身是有價值的貴金屬。

信用は朝廷が保証するのだが、それが通用したのは貨幣そのものに価値がある貴金属であったためだ。

要為不具實物價值的紙幣提供擔保,僅靠朝廷不足,還需織田家的後援支持。

貨幣そのものに価値がない不換紙幣を担保するには朝廷だけでは足りず、織田家が後押ししてやる必要があった。

當然織田家也會承擔負擔,但可以因此獲得各種特權作為回報。

無論織田家にも負担がかかるが、代わりに様々な特権も得られる。

首先採取由朝廷委託發行貨幣的形式,就能以偽造貨幣者為朝敵,在大義名分之下加以處罰。

まず通貨発行を朝廷から委託されたという形式をとれば、通貨の偽造をした相手を朝敵として大義名分の下、処罰することができる。

此外,獲得朝廷的信任也是一大優勢。即便朝廷已失去實權,延續千年傳承的帝王權威仍無可比擬,得到其背書是巨大的利益。

他にも朝廷より信認を得られる事も大きい。政治の実権を失った朝廷であろうとも、延々と受け継がれた帝の権威は比類なきものであり、後ろ盾を得る事は大きなメリットとなる。

最後一點是,發行不可兌換紙幣會引發什麼變化,沒有人能掌握。

最後に不換紙幣を発行することで、どのような変化が起こるか誰も把握していない点だ。

對經濟和金融不熟悉的武家當然無法應對,公家或寺社面對未知情勢亦是如此;等他們弄明白這會帶給織田家何種利益時,已經為時過晚。

経済や金融に疎い武家は勿論、公家や寺社であろうとも未知の事情へは対処できない。それが如何なるメリットを織田家に齎すかを知る頃には手遅れとなっている。

「武田敗北後,本願寺必然不得不同意與織田家和解。他們本就背負大量包袱,現在與織田為敵無異於自殺。於此之際,應以條件讓他們承認各種事項。他們遲早會反旗,屆時只是作做接受條件的樣子罷了。」

「武田が敗北したことで、本願寺は織田家と和睦をせざるを得ない。ただでさえ、大量のお荷物を抱えているのだ。今、織田家とことを構えるのは自殺行為でしかない。その際に、条件として様々な事を認めさせれば良い。奴らはいずれ反旗を翻すつもりだ、空手形として条件を飲む振りをするだろう」

「宋錢與明錢差不多到極限了,需要新貨幣。但若像現在那樣依賴唐朝,免不了會受其影響。決定精錢與鐚錢的交換比率(即永祿十二年至隔年頒布的撰錢令),商人卻抱怨手續繁瑣。既然如此,由我方掌握新貨幣的發行最為妥當。」

「宋銭(そうせん)や明銭(みんせん)はそろそろ限界じゃ。新しい貨幣が必要となる。が、それを今のように唐頼りでは、唐の影響を少なからず受ける。精銭(せいせん)と鐚銭(びたせん)の交換比率を決めた(永禄十二年から翌年に発令した撰銭令(えりぜにれい))が、商人からは手間がかかると苦情も多い。ならば、新しい貨幣の発行を掌握するのがもっとも良い」

「貨幣的權威由朝廷保證,價值由朝廷背書,製造與發行由織田家負責,流通則由寺社推動。這麼一來,在目前時機削弱對方的經濟基盤並非上策。」

「貨幣の権威は朝廷が保証し、その価値を担保し、製造・発行を担うのが織田家、流通を推進するのは寺社ですね。そう考えると、今の時期に相手の経済基盤を縮小させるのは得策じゃないですね」

「沒錯。要讓新貨幣流通,要利用寺社的流通網。不過靜子的策也不壞,現在只是應該優先貨幣。」

「そうだ。新しい貨幣を流通させるには、寺社の流通を利用する。しかし静子の策も悪くはない。今は貨幣を優先すべきなだけだ」

靜子點頭表示了解。信長也想削弱寺社勢力的經濟力,但若要推動新貨幣流通,利用寺社既有的網絡更為便利。

なるほどと静子は納得した。信長としても寺社勢力の経済力を削ぎたい、しかし新しい貨幣を流通させるには寺社勢力が持つネットワークを利用する方が都合も良い。

在奪取經濟力與促進新貨幣流通之間權衡後,信長判斷就算貨幣流通後仍能奪取其經濟實力,於是決定先行推動新紙幣的流通與提高其知名度。

経済力を奪うか、新しい貨幣の流通促進かを天秤にかけ、信長は貨幣が流通した後でも経済力を奪えると判断し、先に新紙幣の流通と認知度向上を優先すると決めたのだ。

「那麼伴隨新紙幣流通,同時應強制商人記載帳簿。不是強行徵收高稅,而是雖然麻煩,但依照營收課稅,要求每年提交一次帳簿,既可退還多繳稅款,也能打擊逃稅者。對不願記載帳簿的人,事先課以高額稅讓他們吃苦頭即可。」

「では新紙幣の流通と同時に、帳簿の記載を商人たちに義務付けると良いでしょう。上から押し付けられた高い税を払うのではなく、手間はかかるが売り上げに応じた税を課し、年に一回帳簿を提出させることで払い過ぎた税の還付や、税を誤魔化す連中を締め上げることに使えます。帳簿の記載に応じない連中は、予め多くの税を課して痛い目を見させれば良いかなと」

「原來是帳簿。此策不錯。」

「なるほど、帳簿か。悪くはない案だ」

「我雖不知帳簿到底是何物,但若能藉此看清金流,那就執行吧。」

「帳簿が何か分からぬが、それがあれば金の流れが見えるというのなら実行するが良い」

「以後我會教你。首先,要取得通貨發行權。這是最先也是最重要的事項。有無此權,情況完全不同。本願寺來和解時,這一點絕對不能讓步。」

「後で教えてやろう。ひとまず、通貨発行権を得る。これが最初にして最大の重要事項だ。これがあるとないでは話が全く違う。本願寺が和睦してきた時、この点だけは絶対に譲ってはならん」

「明白。本願寺還得同意其他稅制與土地改革,但通貨發行權一定要確保得到承認。」

「分かった。本願寺には、他にも税制や土地の改革を認めさせねばならんが、通貨発行権は確実に認めさせよう」

本願寺提出和解時,信長打算讓其接受幾項條件:道路整備、土地所有者問題、稅制改革、市場改革等。

本願寺が和睦を申し入れてきた時、信長はいくつかの条件をのませる気でいた。道路整備、土地の所有者問題、税制改革、市場改革などだ。

道路整備當然是為了完善流通。即便作為軍用道路整理,平時亦大有助益;若能開闢近路,人與物的流通自會促進。

道路整備は勿論、流通を整備するためだ。軍用道路として整備しても、普段の流通でも非常に役立つ。近道が出来たりすれば、人や物の流通が促進されるのは当然の結果だ。

土地所有者問題是指現有土地存在多重所有者的情形。

土地の所有者問題とは、現在の土地には複数の所有者がいる問題だ。

有時先祖世代管理土地者與從幕府受領土地者互相主張所有權而爭端,甚至演變為武力衝突。

先祖代々土地を治めていた者と幕府から拝領した者が互いに所有権を主張して争い、武力衝突へと発展する場合もあった。

在這種情況下,各方都會徵稅,農民可能面臨二重甚至三重納稅的情形。信長的土地改革就是要整頓此事。

この状態でもそれぞれが税を徴収するため、百姓たちは税の支払い先が二重、下手すれば三重になる場合もあった。これを整備するのが信長の土地改革だ。

具體來說,以差出方式實施檢地,明確土地所有者。以此差出方式於全國規模檢地的,就是後來的太閤檢地。

具体的には差出方式で検地を行い、土地の所有者をはっきりさせる。この差出方式で検地を全国規模で行ったのが後の太閤検地である。

「不過土地問題好像會很棘手吧?」

「でも土地問題って割と揉めそうですよ?」

「到時就以軍隊相威嚇讓他們閉嘴。」

「その時は軍隊をちらつかせて黙らせる」

「喔,是這樣嗎。」

「あ、そうですか」

靜子插了一句,但對信長而言似乎早已有所打算,順暢地答了出來。

静子が突っ込みを入れたが、信長としては既に考えていた事のようで、よどみなく回答が出た。

也就是說,服從差出方式,否則就死。雖相當強硬,但信長認為不這麼做土地問題終生無法解決。

つまり差出方式に従え、さもなくば死ねという事だ。かなり強引だが、そうでもしなければ土地問題は一生片付かない、と信長は考えた。

「土地所有者一旦明確,公家與寺社便會喪失莊園權利。但百姓不用再面對複雜的多重課稅,負擔自然減輕而歡欣。對織田家而言也能簡化支配體系,更易整備,是否如此?」

「土地の所有者がはっきり決まると、公家や寺社は荘園の権利を失う。しかし民は複雑な多重課税を考えなくても良くなり、結果的に負担が軽減されて喜ぶ。織田家にとっても支配体系を簡略化出来、整備しやすくなる、という事ですか」

「正是如此。市場改革不用多說,是樂市樂座令。此令亦有地方要求,內容會因地而異。」

「その通りじゃ。市場改革は言うまでもなく、楽市楽座令じゃ。これは地元の要請もあるゆえ、内容は地域ごとに変わるがな」

「是的。首先整備道路促進流通,其次整理土地,最後進行市場改革。因為通貨發行需自始即持續進行,故各項並行而非單純依序實施。」

「そうですね。まずは道路整備をして流通を促進させ、次に土地の整理を行い、最後に市場改革でしょうか。通貨の発行は最初から続けていく必要があるので、順番ではなく並列で行う事になりますね」

「說得好。大致的方向已定,日後再做細部調整。我肚子餓了,準備點好吃的飯來。」

「その通りじゃ。さて、おおよその話はこれで決まった。後日、細かい調整をするとしよう。わしは腹が減った。何ぞ美味い飯を用意しろ」

談話結束後,信長放鬆姿勢說出此話。靜子一邊感慨他轉換話題的速度依舊之快,一邊離開房間去準備飯菜。

話し合いが終わると、信長は姿勢を崩してそんな事を口にする。切り替えの早さは相変わらずだなと思いつつ、静子は食事の準備をするため部屋を後にした。

隨著信長的政務結束,靜子也返回岐阜,途中在伊勢神宮停留,為式年遷宮捐獻三千貫文。

信長の政務が終わったのに従い、静子もまた岐阜へ帰国する。途中、伊勢神宮に立ち寄り、式年遷宮の為の資金として3000貫文を寄進した。

織田軍的突訪讓伊勢神宮的神官大為驚慌,但在得知捐獻原因後鬆了一口氣。

突然の織田軍訪問に、伊勢神宮の神官たちは大慌てしたが、寄進の理由を聞いてホッと胸をなで下ろした。

另外,信長在勉勵家臣們後才回國,耗時較預期久。終於抵達岐阜,靜子回到尾張時驚愕不已。

その他、信長が家臣たちを激励しつつ帰国したため、予想より時間がかかった。ようやく岐阜へ帰り着き、静子は尾張に戻ったところで愕然とする。

「好大。」

「でかい」

原因是在靜子去京都期間宅邸完工,且已經搬入新居。若僅是搬家原本無妨,彩也事先交代了搬遷相關事宜。

それは静子が京へ行っている間に邸宅が完成し、既に新居へと引っ越しが済んでいたことに起因する。引っ越しだけなら問題はない。彩にも引っ越しに関する話は事前に依頼していた。

問題是自家大門相比以前變得遙遙巨大。雖然不是城堡,防衛設施較少,但守城門的士兵與從前無異。

問題は自宅の門が、以前のそれと比べて遙かに巨大になっていたことだった。城ではないため防衛施設こそ少ないものの、城門を守る兵などは以前と変わらずだ。

「好大啊——」

「おっきいなー」

看著宅邸,靜子無法想到其他感想。房屋大致可分為三部分。

家を見て、静子はそれ以外の感想が浮かばなかった。家は大きく三つに分けられていた。

首先是最大的本殿。與其說是住宅,不如說是政治設施更為貼切,功能近似現代的廳舍,供她以外的人辦理政事時使用。

まず一番大きい本殿(ほんでん)だ。家と言うより政治的な施設という方が正しい。現代でいう庁舎に近い役割があり、彼女以外が政治を行う場合にも利用される。

因為也考慮到信長會在此處執行政治與政務,所以比起靜子的家,它更像是織田家的統治機能設施。

信長が政治や政策を行うために利用される事も考慮しているので、静子の家というより織田家の統治用施設という面が強い。

當然,靜子若要接見或召開會議,也會使用本殿這個設施。

無論、静子も接見したり会議を開いたりする場合、利用する施設は本殿になる。

接著是比本殿小兩圈的裏殿(うらでん)。這裡可以說是靜子的家,是她的私人空間。

次に二回り小さい裏殿(うらでん)だ。ここが静子の家と断言出来る、彼女用のプライベート空間だ。

不過,因為有時家臣或其家屬會留宿,所以並非全部都是她的專屬空間。

とはいえ、家臣やその家族が泊まったりする事もあるので、全部が彼女の空間ではない。

本殿也有廚房,但裏殿靠近食物儲藏倉,並設有水源與浴室。靜子當然,還有彩與蕭的房間。

本殿にも台所はあるが、裏殿は食料保管の倉に近く、水場や風呂もある。静子は勿論、彩や蕭の部屋もある。

階級越低房間越窄,侍女們則會共用房間。

位が低くなるに従って部屋が狭くなり、侍女たちは共同で部屋を使う事になる。

此外還有維特曼家族、土耳其安哥拉的タマ與ハナ、雪豹ゆっきー、扇鷲シロガネ等靜子飼養的動物們的休息處,也都在裏殿之內。

他にもヴィットマンファミリーやターキッシュアンゴラのタマ、ハナ。雪豹のゆっきー、オウギワシのシロガネなど、静子が飼っている動物たちの寝所も、裏殿の中にある。

最後是側殿(そくでん)。這是信長等武將住宿的設施。由於本殿為政治用途,才需要這樣的住宿設施。

最後が側殿(そくでん)だ。信長をはじめ、武将たちが寝泊まりする施設だ。本殿という政治施設がある関係上、このような施設が必要となった。

與其他處不同,這裡只是幾間縮小版的武家屋敷並列而已。只有信長專用的比別人大一圈,也成為容易辨認的標記。

他と違って武家屋敷を小さくしたものが、いくつか並んでいるだけだ。信長用だけが一回り大きいのは、分かりやすい目印とも言える。

此外還有一片片溫室、田地、存放糧食與武具、靜子蒐集的刀劍與進貢品等的倉庫、養殖雞鴨等家畜的區域、馬廄、負責防衛的兵士宿舍及附屬設施、工坊等各式各樣的設施。

この他にもビニールハウス群や田畑、食料や武具、静子が蒐集した刀、献上品などを収納する倉、鶏や家鴨のような家畜を飼育する区画、厩舎、防衛を担当する兵士の寄宿舎や付随する施設、工房など多種多様の施設が存在する。

將這些以城牆包圍,外側有護城河的就是靜子的新居。比起家,更準確地說是據點。負責新居的工作人員也比以前更多了一層。

それらを城壁でぐるりと囲み、外側に堀があるのが静子の新居だ。家というより拠点という方が正確なのかもしれない。新居に従事するスタッフも前より一段と増えた。

「這真是只能笑了啊。」

「もう笑うしかないよね、これは」

這麼抱怨著,靜子走進了裏殿。

そんな事をぼやきつつ静子は裏殿へ入る。

「話說你們應該有專用的房間才對吧?」

「ところで君達には専用の部屋があるはずだけども?」

正要進去時,靜子發現慶次、才蔵、長可等一貫的成員都站在身後。

入ろうとして後ろに慶次や才蔵、長可などいつものメンバーが揃っている事に静子は気付く。

「那麼寬敞的地方我反而沒辦法安心。」

「あんな広い場所では落ち着かん」

「某乃為馬廻衆也。」

「某は馬廻衆ですゆえ」

「我、我倒無所謂,只是貓們不肯離開嘛。」

「お、俺は別に構わんのだが、猫たちが離さなくてだな」

靜子心想,新居還是和以前一樣。足滿與高虎說要去查看全體便離開了,但從他們的言行,靜子模糊地猜想他們也可能會搬來這個據點吧。

新居になってもいつも通りか、と静子は思った。足満と高虎は全体を見てくると言って立ち去ったが、言動から彼らもこの拠点に移り住む事になるのだろうか、と静子は漠然と思った。

「總之,還是老樣子嗎。」

「結局、いつも通りか」

一邊抱怨著走進新家,在玄關處便察覺到剛才還有大量人員來往的痕跡。

そんな事をぼやきつつ、新しい我が家に入った。そして玄関で気付く。つい先ほどまで、大人数が往来していた形跡が見てとれた。

帶著不祥的預感,靜子前往放鬆用的房間。

嫌な予感を覚えつつ、静子は寛ぐための部屋に移動する。

「喔哦,總算回來了嗎?」

「おお、ようやく帰ってきたのかえ」

靜子的壞預感應驗了。應該是主人靜子放鬆的房間裡,濃姫比主人還要更放鬆地佔著。

静子の嫌な予感は的中した。裏殿の主人が寛ぐべき自室に、主人の静子より更に寛いでいる濃姫がいた。

不僅她,市、まつ、ねね等一貫的面孔也全都到齊了。

彼女だけではない。市やまつ、ねねなど、いつも通りの面子も勢ぞろいしていた。

「……請問諸位在做什麼?」

「……何をしておられるか伺っても宜しいでしょうか」

「看不出來嗎。正悠閒著呢。」

「見て分からぬか。寛いでおるのじゃよ」

「不,那個我看得出來,簡直到了極致。我的問題是,為何你們在我的家中這般寬鬆?」

「いえ、それは分かります、これ以上ない程に。私の質問は、何故私の家で寛いでおられるのか、です」

「是來為新居慶賀的,卻發現那位重要的屋主不在。既然如此,我等就先在屋主回來之前暫時享受罷了。」

「新居の祝いに来たのじゃが、肝心の家主が不在でのう。ならばと家主が帰り着くまで寛がせて貰っているのじゃよ」

前半和後半完全無法接上,讓靜子頭痛不已。

前半と後半が全く繋がらなさすぎて、頭が痛くなった静子だった。

「讓你久等了。」

「お待たせ致しました」

「喔喔,總算來了。我等得好苦。」

「おお、ようやくか。待ちわびたぞ」

靜子重重嘆息時,彩端著一個膳食進來。向靜子行了個禮後,彩把膳放到濃姫等人的面前。

静子が重いため息を吐いていると、彩がお膳に何かを載せて入ってきた。静子に一礼した後、彩はお膳を濃姫たちの前に置く。

膳上放著布丁。不是現代常見的黃色,而是白色的布丁,但沒有蜂窩狀孔洞,表面光滑漂亮。

お膳にはプリンが乗っていた。現代のように黄色ではなく、白色のプリンだが「す」がなく、綺麗な表面をしていた。

「你們是打算把人家的食材吃光嗎?」

「人の家の食材を食べ尽くす気ですか」

「反正那些東西用不完會腐敗,妾只是把它們有效利用而已。」

「どうせ使い切れずに腐らせるであろうから、妾が有効利用しているまでじゃ」

「嗚呃,說到痛處了……」

「うぐ、痛い所を……」

對於供給遠超過消費的靜子來說,能幫忙消耗食材的人實在讓人感激。

消費より供給が随分オーバーしている静子にとって、食材を消費してくれる人物はありがたい。

不過濃姫會消耗什麼、消耗多少完全難以預測,這點讓靜子困擾。

だが、濃姫は何をどれだけ消費するか分からないので、その点だけが静子の頭を悩ませていた。

不過若不被消耗很可能會腐爛,因此對於消耗食材這件事應該是值得歡迎的。

もっとも、消費しなければ腐らせてしまう公算が高いため、食材の消費は歓迎すべきであった。

「話說回來,全都鋪上榻榻米,真是下定決心了啊」

「それにしても、総畳張りとは思い切ったのう」

「因為榻榻米的生產跟不上,所以還有些房間還沒鋪好呢」

「畳の生産が追いつかないので、まだ畳が入っていない部屋もありますがね」

「先前進行的研究已經成功,才使得能夠大量生產呢」

「前からしていた研究が成功して、大量生産が行えるようになったのじゃな」

榻榻米在江戶時代,因德川吉宗推行享保改革、積極進行干拓,藺草得以大量生產、價格下跌,但在那之前是昂貴的高級品。

畳は江戸時代、徳川吉宗が享保の改革を行い、干拓が積極的に進められた事で、材料のい草が大量生産されて価格が下落したが、それまでは高級品であった。

當然,信長也遵從靜子的建議,積極從事干拓,藺草的生產量因此劇增。

無論、信長も静子の進言に従い、干拓を積極的に行い、い草の生産量は飛躍的に向上した。

藺草的栽培基本上分為三個階段。最初是畑苗(一次苗),這是用來培育作為母苗的田地,與其他作物無異。

い草の栽培は基本的に三段階に分けられる。最初の畑苗(一次苗)、これは他と変わらず元となる苗を作る畑だ。

在十二月左右栽種苗,然後一直等到隔年八月進行分苗。

12月ごろに苗を植え付け、そのまま苗わりを行う翌年の8月まで待つ。

時機一到,藺草會從苗畑移到二次苗的田裡。把苗拔起,洗去泥土,逐株分開再種植。

時期がきたらい草は苗畑から二次苗の畑に移動させる。苗を引っこ抜いて泥を落とし、苗を一本一本割って植えていく。

剛種下時只是單株一株,但藺草生命力旺盛,會接連冒出新芽。幾個月之後,最初那種孱弱的模樣便消失無蹤,長成令人驚豔的健壯幼苗。

植えた直後は一本の苗だが、い草の生命力は強く、次々と新しい芽が出てくる。数ヶ月もすれば最初の弱々しい雰囲気などどこ吹く風、見違えるほど立派な苗へと成長する。

把這樣培育好的苗種到要栽種的本田。所進行的工作和把一次苗移到二次苗田的內容相同,但因為苗較大,在栽培田裡的作業需要熟練的技術。

こうして出来た苗を栽培する本田に植える。行う作業は一次苗を二次苗の田んぼへ移し替える内容と同じだが、苗が大きい分栽培する田で行う作業には熟練の腕を要求される。

插苗後兩年零七月,藺草便會收穫。之後浸入所謂泥染——將染土溶於水中的液體,然後乾燥,方才算完成。

苗を植えてから二年後の七月に、い草は収穫される。その後、泥染めという染土を溶かした水につけ込んだ後、乾燥させてようやく完成となる。

藺草的栽培需要熟練技術,但靜子研究以機械取代大部分流程並獲得成功,使得尾張的藺草產量飛躍提升。

い草の栽培は熟練の腕を要するが、静子は全行程の殆どを機械で代用する研究を行い、見事成功した事で、尾張のい草生産量は飛躍的に向上した。

「透過開發藺草的移植機、收穫機、畳表的織造等專用機械,才得以大量生產高品質的榻榻米;但這回因為需求暴增,供給已經追不上了」

「い草の移植機、収穫機、畳表の製織などなど、そういう専用の機械を開発する事で、高品質な畳を大量生産する事が可能になりました。が、今度は需要が跳ね上がったせいで、供給が追いついていないのです」

「大量生產也是有利有弊啊」

「大量生産も一長一短じゃのぅ」

「但就算這樣,不去做的話生活品質永遠不會提升」

「だからといって、やらなければいつまで経っても生活の質はあがりません」

「是啊。撇開那個不說,茶點沒了,叫些好吃的來吧」

「そうじゃな。それはさておき、茶請けがのうなったから、何か旨いものでも頼む」

說完後靜子看向膳桌。膳桌上的布丁不知何時已全都不見了。

言われて静子はお膳を見る。お膳の上にあったプリンは、いつの間にか全てなくなっていた。