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戦国小町苦労譚

父親們的苦惱

在前久從靜子那裡承接的別邸,三個男人聚在一起。信長、前久與足滿這三人,最近常常相聚,討論一件事。

前久が静子から譲り受けた別邸に、三人の男たちが集っていた。信長、前久、足満の三人は、このところ頻繁に集まっては、とある事柄について話し合っていた。

「那麼,靜子的婿事要如何處理?」

「して、静子の婿取りは如何(いかが)する?」

靜子的迎婿問題。這是無法回避的重要之事,也是必須儘速解決的課題。

静子の婿取り。これは避けては通れない重大事であり、早急に解決すべき課題でもあった。

若還是村長時或許另當別論,但現今的靜子是最接近天下的織田家重臣,雖然非正式,亦是五摂家之一近衛家的姬。

村長であったころならいざ知らず、今の静子は天下に最も近い織田家の重臣であり、非公式ながら五摂家である近衛家の姫でもある。

僅憑此點從政治角度來看,選婿就需再三謹慎,且靜子自身還懷抱著非同小可的問題。

これだけでも政治的に見て、婿選びは慎重にも慎重を重ねる必要があるのだが、静子自身にも並々ならぬ問題を抱えていた。

靜子所面臨的問題,是她那巨大的事業權益。她對帳面數字並不看重,但她創造的收益已膨脹到甚至超越大領地國人的程度。

静子の抱える問題とは、その絶大なる事業権益である。本人は帳簿上の数値に意味を見出していないが、彼女が生み出す収益は大領地の国人すら凌ぐ程にも膨れ上がっていた。

按此時代習俗,靜子的婿將整套繼承那龐大權益。

この時代の習わしとして、静子の婿はその莫大な権益をそっくり受け取ることになる。

金錢、權力與武力一夕間落入手中,常常會使得能力不及的人成為壓垮自己的原因。

金・権力・武力と全てが突然手に入り、往々にして身の丈に合わない力を持った人間は、その身を持ち崩す。

「我只允許靜子所青睞的婿。即便靜子點頭,若對靜子有損害,便斬之。」

「わしは静子が望んだ婿以外は許さん。仮に静子が認めたとしても、静子に不利益をもたらすならば斬る」

足滿的主張一貫是『必須是靜子認可的對象』。

足満の主張は一貫して「静子が認めた相手」であることだった。

靜子周遭的男人們總被足滿衡量,因此靜子身邊連一絲不安的傳聞都沒有。

静子の周囲に居る男達は常に足満に値踏みされているのだ。それ故に静子の周りには浮いた噂の一つすらありはしない。

因為戰國時代是男性主導的社會,理所當然有男人存在,但那些視靜子為女人好靠近的傢伙,會事先被足滿排除,所以此類關係的可能性為零。

戦国の世は男社会であるため、当然男はいるのだが、静子を女と見て与し易しと近寄る輩は、事前に足満によって排除されるため、そういった関係になる可能性は皆無であった。

「足滿殿的話我理解。但若一人獨居,靜子殿也會覺得難堪。亂世中過了二十還未嫁,難免遭人指為老大不小的可笑女人。」

「足満殿のお言葉も判ります。しかし流石に独り身では静子殿も肩身が狭くなりましょう。乱世にあって二十歳を越えて独り身とあらば、大年増の誹(そし)りを免れませぬ」

前久的指摘也有道理。若是現代日本三十多歲未婚並不罕見,但在戰國時代會被視為有問題的女子。

前久の指摘も尤もだ。現代日本ならば30代の独身など珍しくもないが、戦国時代であれば訳ありの女と見做される。

那是因為武士的存在方式以『守護家業(將血脈傳承後世)』為至上。

それは武士の在り方が「家を守る(血筋を後世に伝える)」のを至上としていることに起因する。

不娶配偶而終身獨身,會被斷定為缺乏作為振興家業的當主之自覺。

配偶者を娶らず、生涯独身を貫くというのは、その家を盛り立てる当主としての自覚がないと断じられるのだ。

儘管如此,仍有如上杉謙信、細川政元、井伊直虎等終身獨身的例外存在。

それでもなお、生涯独身を貫いた上杉謙信や細川政元、井伊直虎などという例外もいる。

「問題在於靜子腦中藏有能顛覆天下的秘法。織田家的財政興隆,正是靜子帶來的知識與技術所致。」

「問題は、静子の頭の中に天下をひっくり返す秘法が眠っておることじゃ。織田家の財政が隆々たるのも、静子の齎した知識や技術あってのことじゃ」

靜子的腦中蘊藏各種技術與未知資訊。雖有時信長會命她公開,但多數是她自願公開的。

静子の頭には、様々な技術や未知の情報が眠っている。信長自身が公開を命ずることもあったが、大半は自ら進んで公開していた。

對靜子而言不足道的技術,放在這個時代,其影響力難以估量。

静子にとっては取るに足らない技術であっても、この時代では如何なる影響を及ぼすのか計り知れない。

若在信長目光所及不到之處輕易施行技術改革,將成為治領的問題。

信長の目が届かない場所で安易に技術改革などを行われては、領地を統治する上で問題となる。

「而且,靜子殿即便入贅也可能繼續農務。如此一來,那家勢力會急速壯大。」

「更に、静子殿は家に入っても畑仕事を続けそうですな。となると、その家は急激に力を付けることになります」

問題在於即便靜子入了夫家,她也不會安分守己地過著婦人生活。

仮に静子が家に入ったとしても、大人しく奥方暮らしなどするとは思えない点が問題だった。

若只是種夠自家吃用的田地無妨,但以靜子的性格,帶動周遭進而規模化是可想而知的。

自分が食べる程度の田畑を作るぐらいなら問題ないが、静子の性格からすると、周囲を巻き込んで大規模化するのは目に見えている。

如此不自覺地散播利益,吸引信奉者與合作者,終將成為無人能忽視的龐大勢力;其範圍由家擴及村落,經城鎮而成國。

そうして無自覚に利益をばら撒き、周囲に信奉者と協力者を巻き込み、いずれは誰もが無視できない一大勢力となる。その範囲は家から村となり、街を経て国となる。

「之所以要還把靜子留在尾張,是因為她一旦定居便會生根。她單憑一人就會產生財力與權力,實在麻煩。」

「静子を未だに尾張に縛りつけているのも、奴が居ついた場所に根を張るからだ。その身一つで財力も権力をも生み出してしまうから、タチが悪い」

「不經意地使國富足,於是國人因多了餘裕而起錯覺,那樣一來就會回到亂世了呢。」

「意図せず国を肥やし、生まれた余裕で国人たちは勘違いをする。そうなると乱世に逆戻りしますね」

「若光是收成提高就能稱霸天下,那我早已當過十回天下人了。」

「収穫量が上がった程度で、天下が取れるなら、わしは既に十回は天下人になっておるわ」

信長一飲而盡杯中酒。他察覺到靜子的意圖:靜子手握諸多技術卻逐步釋出其背後的理由。

杯を呷って信長は一息に飲み干す。信長は静子の意図に気付いていた。静子が多くの技術を抱えながらも、それを小出しにしていた理由。

技術是要累積的,若只一步到位給予最先端的東西,沒有支撐的根基便會崩壞。

技術とは積み上げるものであり、一足飛びに最先端のものだけを与えても、それを支える土台が無ければ崩壊してしまう。

首先肥沃土地,待生活有餘裕再聚集工匠,雖然給定方向,卻讓他們從基礎做各種研究。

まずは土地を肥やし、生活に余裕が出たところで職人を集め、方向性こそ与えるものの、様々な研究を基礎からやらせている。

從連溫飽都難以為繼的境況中,竟產出能支撐長期計畫的剩餘糧食,信長讚賞這是了不起的成就。

今日食べる物にも事欠く状況から、長期的な計画を立てられるだけの余剰食糧を生み出したのは見事、と信長は評価していた。

若一開始就想率先製造新式火槍,恐怕不久即會失敗。

真っ先に新式銃を作ろうとしていたならば、遠からず失敗していたはずである。

「我信任靜子,但婿則不在此限。」

「わしは静子を信用しておる。しかし婿はその限りではない」

「根本就有哪個人值得讓靜子殿入贅呢?以她的才識,守著家過日子無疑會覺得無聊。」

「そもそも静子殿が家に入っても良いと思われる男がおりましょうや? 彼女ほどの才覚があれば、家を守る暮らしなど退屈に過ぎると思います」

「……有一理。若是靜子,必不會安於餘暇的安穩生活。她會藉由效率化工作創造餘裕,終有一天開始自行其事。」

「……一理ある。静子ならば余った時間で安穏と暮らしなどすまい。仕事を効率化して余裕を生み出し、いずれ勝手な事をし始める」

「那一面也許有點像お濃。」

「その辺りは、お濃に似てしまったのかもしれん」

邊斟酒邊,男人們的談話仍然繼續著。

盃を傾けながら、なおも男たちの会話は続く。

「而她的武將與兵士會如何,諸位應不難想像吧?」

「それに彼女の武将や兵がどうなるか、は簡単にご想像頂けるでしょう?」

「或有些人會留在織田家,但大多數會跟隨靜子。尤其是黑鍬衆對靜子忠心耿耿。畢竟她這麼栽培,亦可說是理所當然。」

「織田家に残る奴はいるだろうが、大半は静子に付いていくだろう。特に黒鍬衆は静子に対する忠心が強い。あれだけ手をかけたのだから、当然と言えば当然だがな」

「看來我還沒見靜子殿之前,那些人就被培育起來了。那些人自靜子殿承繼各種技術,平時忙得沒空休息,甚受歡迎。」

「私が静子殿と会う前から育てていたようだな。連中、様々な技術を静子殿から継承しているから、平時でも休む暇がないほど人気とか」

「平時他們從水車到屋宅無不能建,打仗時則負責陣地配置與城塞築造,出場機會繁多。有一次他們甚至在敵人據守的城前開始製造攻城器械,那真是相當有趣。城裡的人見著一件件巨型武器搭起來,嚇得很快來投降了。」

「平時にあっては水車から屋敷までを建て、いくさとなれば陣立てに城塞建設等、奴らの出番は枚挙にいとまがない。一度など、敵が籠もる城の目の前で、連中が攻城兵器を作り始めた事があったが、あれはたいそう愉快だった。城の連中、どんどん組み上がる巨大な兵器に怯えて、早々に降伏を申し入れてきよったわ」

自室町時代起職業分化與專業化已進,人人皆成為尖端的專家。

室町時代より職業は分化や専門化が進み、それぞれが先鋭化したスぺシャリストだった。

但靜子的黑鍬衆如羅馬兵般,被徹底灌輸土木建築技術領域的所有基礎。

だが静子の黒鍬衆はローマ兵の如く、土木建築技術という分野全ての基礎を徹底的にたたき込まれた。

某些技術已完全專業化,但因每人能駕馭的作業範圍寬廣,即便部隊分散,各隊仍能維持均質的技術水準。

完全に専門職化している技術もあるが、一人一人が熟(こな)せる作業の幅が広いため、部隊がいくつかに別れても各部隊で均一の技術力を維持出来る。

「突然想到,若靜子殿入贅某家,她或許會解散軍隊。這樣一來她的後方支援部隊幾乎會消失。目前要是失去她的後方支援部隊,恐怕相當困難吧?」

「ふと思ったのですが仮に静子殿がどこかの家に入ると、彼女は軍を解散してしまうでしょう。そうなると静子殿の後方支援部隊が殆どいなくなります。現状で彼女の後方支援部隊がいなくなるのは厳しいのでは?」

「那很嚴重。如今織田軍的將領們都是以靜子的後方支援部隊為前提行動。整修道路、運輸物資、修理武具與城郭、設置陣地,若要全由自己承擔,將耗費大量時日。」

「厳しいな。今や織田軍の将たちは、静子の後方支援部隊を前提に動いておる。道を整備し、ものを輸送し、武具や城を修理し、陣を立てる。それら全てを自前で賄うとなれば相当刻を要する」

「人一旦習得了便利,就回不去曾經辛苦的過去了。」

「人間、一度楽を覚えると苦労した過去には戻れん」

靜子結婚後帶來問題不僅是權力,她所掌軍隊的處置亦令信長頭痛。

静子が結婚すると問題になるのは権力だけではない。彼女が抱えている軍の扱いもまた、信長にとっては頭が痛くなる問題だった。

側近的慶次與才藏各有一二怪癖,兵士們也因靜子以獨到想法打造,成為了與眾不同的軍團。

側近の慶次や才蔵は一癖も二癖もある面子、兵もまた静子が独自の考えで構築したために色物軍団となっていた。

那些一般會立刻瓦解的怪傑群軍,之所以能作為一支合格軍隊運作,正因為靜子作為其頂點存在。

普通ならすぐに崩壊してしまうくせ者揃いの軍が、それなりの軍として動いているのも静子という人間が頂点にいるためだ。

即便婿繼承也未必能運作,若處理不當會在空中瓦解,軍隊完全崩潰。

仮に婿がそのまま引き継いでも機能はしない。下手な事をすれば空中分解して、完全に軍が崩壊する。

倘若靜子的軍隊解體,對織田軍而言將是大問題。除戰力面外,更重要的是靜子軍支撐著織田軍的後勤。

そして静子の軍が崩壊すると、織田軍としては非常に問題になる。戦力的な面もあるが、もっとも重要な点は静子軍が織田軍の兵站を支えていることにある。

與追求武功的將領不同,靜子甘於做隱身的角色而不怨言,因此成為織田軍不可見的支柱。

武功を求める武将たちと違って、静子は影役に徹しても文句を言わない。それゆえ織田軍の縁の下の力持ちを務めてきた。

起初雖有些生硬,但如今靜子的後方支援部隊已成為織田軍不可或缺的一隊。

最初はギクシャクしたものの、今では静子の後方支援部隊は織田軍にとってなくてはならない部隊だ。

方面軍能順利壓制敵軍,正是因為把後勤交給靜子軍,自己得以專注於擊倒敵人。

方面軍が円滑に敵を制圧出来るのも、兵站を静子軍に任せ、自身は敵を倒す事に集中出来るからだ。

因此失去靜子軍的後方支援部隊,對織田軍而言將是無法承受的巨大損失。

それゆえ静子軍の後方支援部隊が失われる事は、織田軍にとっての許容できない大損害となる。

「……果然,選婿是件嚴峻的事嗎?」

「……やはり、婿選びは厳しいか」

「照目前情況看,缺點太大了。」

「現状を考えると、欠点が大きすぎます」

「根本上靜子並沒說想要與誰結婚。就算我或織田殿說什麼也無濟於事。」

「そもそも静子が誰かと結婚したい、と言っておらんのだ。わしや織田殿が何か言っても詮無き事だ」

「但說到底,女人的幸福難道不是抱著自己的孩子嗎?想到我們因為自己的方便而阻止她,心裡多少有些不忍。」

「しかしだな。女の幸せは我が子を抱く事ではないのか? それをわしらの都合で止めていると思うと、少しだけ心苦しい」

或許因為酒興,或因在場者無礙訴說心聲,信長平時不會有的感傷話語脫口而出。

酒が入っているせいか、それとも本音を語っても問題ない面子だからか、普段の信長からは想像できない感傷的な台詞がこぼれる。

「但若照現狀下去會有問題。靜子可能會被周遭的爭鬥捲入。」

「だが今のままでは問題だ。静子が周囲の騒動に巻き込まれる可能性はある」

「哈哈,織田殿您真是多慮了。」

「ははっ、織田殿は心配性ですな」

「我不是擔心。我只是不喜靜子因獨身而遭人指指點點。若又出現像笨兒子般的人,我這回就把他那頭斬下去。」

「心配しているのではない。静子が独り身だという事で、周囲からあれやこれやと言われるのが嫌なだけじゃ。また馬鹿息子のような者が出たら、今度はそっ首をはねてやる」

前久與足滿覺得那不就是擔心嗎,但若多問恐怕會惹麻煩,於是選擇不追究。

それは心配していると同義では、と思った前久と足満だが、突っ込むと五月蠅そうなので聞き流す事にした。

「果然是這樣啊——」

「やはりだなーー」

「不,這可就未必——」

「いや、それはどうかとーー」

「你們倆那點——」

「二人ともそれはーー」

夜深了男人們的會話仍未止歇。結果未能得出結論,只好留到下次再議。

夜が更けても男たちの会話は尽きない。結局、結論は出なかったために次回に持ち越しとなった。

但三人忘了,他們將問題一再延宕推到下次的次數已超過十次這一事實。

だが三人は忘れている。問題を先送りにして持ち越した回数が、既に10を越えているという事実を。