戦国小町苦労譚
一五七二年 九月下旬
因與織田家有約定,鶴姫被迫住院養護,直到嬰兒約四個月、能穩定抬頭為止。
織田家と交わした約定もあって、鶴姫は赤子の首がすわる四か月目頃まで入院生活を余儀なくされていた。
みつお有時也覺得獨自生活輕鬆不錯,但很快便發現自己想錯了。
みつおも偶には一人の生活も気楽で良いと考えたのだが、すぐに思い違いを悟ることになった。
他心想:「自己以前到底是怎麼一個人生活的呢?」獲得家人後一起生活成為理所當然,過去的孤獨生活完全想不起來。
自分は今までどうやって一人で暮らしていたのだろう、と。家族を得て一緒に生活するのが当たり前になり、かつての孤独な暮らしを全く思い出すことが出来なかった。
「你這是在酸人家單身嗎」
「貴様、独身(ひとりみ)に対する嫌みか」
「老頭,想炫耀戀情就去跟織田殿說去吧」
「おっさん、惚気なら織田の殿様相手にしてくれ」
「塔吉鍋不僅器型特別,而且不用加水的奇特料理,實在好吃。沒想到蔬菜竟能變得如此甘甜」
「たじん鍋とは器の形もさることながら、水も加えぬ面妖な料理と思いましたが、実に美味いです。野菜がこれほど甘くなろうとは」
向足滿、五郎以及最近認識的四郎商量,但三人的回應遠不能讓みつお滿意。
足満、五郎、そして最近知り合った四郎に相談した。しかし、三人からの返答はみつおが満足するものでは到底なかった。
「太過分了。說到四郎先生,他根本連話都沒聽吧」
「ひどい言われようです。四郎さんに至っては話すら聞いていないじゃないですか」
「話我是聽過了,但在下無甚建言可提供」
「話は聞いておりましたが、某から差し上げられる助言はござらん」
「是啊。說起來老頭你是不是以炫耀戀情為樂?聽著都讓人尷尬」
「そうだな。というかおっさんは惚気るのが趣味なのか。聞いているこっちが恥ずかしいわ」
「因為他沒有自覺。明明我們這裡根本沒有女人,他卻毫不留情地炫耀」
「自覚症状がないからな。こちとら女っ気など無い生活だと言うのに、容赦なく惚気てくる」
他們態度冷淡粗暴。但對於みつお準備的鍋,三人卻毫不客氣地吃了起來。
けんもほろろである。それでいてみつおが用意した鍋は遠慮なく食べていく三人だった。
「不過,你們意外地變得很要好呢」
「しかし、皆さん意外と仲良くなりましたね」
「是你締結了友誼。應當不是壞人。嘛,倒也沒有像一開始的五郎那麼愚蠢」
「貴様が友誼を結んだのだ。悪い人間ではなかろう。まぁ最初の五郎ほど阿呆な事はしておらんかったがな」
「等一下,足滿先生。你一開始對我有什麼印象?」
「ちょっと待って足満さん。俺の事、最初どう思っていたの?」
「把原本就能吃的食材,弄成勉強能不能吃的存在的偽料理人」
「そのままでも食える食材を、食えるか食えぬかギリギリの存在に変える似非(えせ)料理人」
「太過分!料理失敗是常有的事啦!」
「酷い! 料理に失敗はつきものだよ!」
「閉嘴。教你做醋煮魚時明明說少量就好,結果卻只用醋煮,這點我不能原諒」
「やかましい。酢煮魚を教えた時、ちょっとで良いといったのに、酢だけで煮たのは許さん」
「唔,那個是……」
「うっ、それは……その」
「嘛——那也是我們教法不當,算了」
「まーそれは私たちの教え方も悪かったので、はい」
向高湯中加入約小匙1至2杯的醋來煮魚,風味會大幅提升。
出汁に対して酢を小さじ1〜2杯程度を加えて魚を煮るとぐっと風味がよくなる。
和醋締魚一樣,腥味會減弱,且因蛋白質凝固作用也能防止煮散,是一舉兩得的烹調法。
酢締めの魚と同様に、生臭さは薄れ、タンパク質の凝固作用もあって煮崩れを防いでくれる一石二鳥の調理法だ。
但五郎只記得料理名,竟做出把魚丟進冰冷醋裡煮的暴行。
しかし五郎は料理名しか覚えておらず、冷えた酢に魚をぶち込んで煮るという暴挙に出た。
不但腥臭,酸味強到會嗆到,入口後幾乎無法吞下,成了像劇毒般的料理;雖說是強迫不情願的五郎吃下去的。
生臭さい上に咽(むせ)るほどに酸味も強く、口に運んでも飲み込むことは至難という劇物が出来上がった。嫌がる五郎に無理やり食わせたのだが。
「該死,給我酒!把酒拿來!不喝根本撐不住」
「ええい、酒だ! 酒を持ってこーい! 飲んでないとやっておれん」
「欸……好吧,不過」
「ええぇっ……まぁ良いですけど」
足滿那敷衍的話讓みつお露出困惑的表情。
足満の投げやりな言葉に、みつおは困惑の表情を浮かべる。
「老、老頭。我要做點東西,借用廚房一下」
「お、おっさん。何か作るから、厨(くりや)を借りるぜ」
みつお嘆了口氣起身,五郎似乎想到了下酒菜,就請求借用廚房。沒理由拒絕的みつお笑著點頭同意。
ため息を吐きつつみつおが立ち上がると、五郎が酒のツマミでも思いついたのか、厨房を貸してほしいと頼む。断る理由がないみつおはにこやかな笑みを浮かべて頷く。
兩人出去後,場中只剩下足滿和四郎。交往時間短的四郎苦思話題,足滿又不太健談,場面被寂靜支配。
二人が出て行くと、足満と四郎だけとなった。付き合いが短い四郎は話のネタを考えあぐね、足満はそこまでお喋りではないので、場を静寂が支配する。
「……足滿殿果然與眾不同呢」
「……足満殿は変わっておられますね」
打破沉默的是四郎。他對默默吃飯的足滿提出心中疑問。
沈黙を破ったのは四郎だった。彼は黙々と食事をする足満に対し、疑問に思っていた事を口にする。
「看起來是這樣嗎」
「そう見えるか」
「連吃飯時您也不脫下籠手」
「食事時ですら、貴方は篭手を外されませぬ」
「果然是不凡的亂波啊。能發現一般人察覺不到的地方」
「流石は乱波(らっぱ)といった所か。普通なら気付かない所に気付く」
瞬間,四郎的表情僵住。但足滿並不在意,一邊吃飯一邊繼續說話。
瞬間、四郎の表情が固まる。だが足満はさして気にせず、食事をしつつ言葉を続ける。
「這並不奇怪。從武田那邊逃來的亂波的事早就傳到我耳裡。為何逃來我不知,也不感興趣」
「不思議ではなかろう。武田から逃げてきた乱波の話は、わしの耳に届いておる。なぜ逃げたかは知らぬが、興味も無い」
「是嗎?原來您從一開始就知道我的真實身分。不過,為何您會放過我呢」
「そう、ですか。最初から正体をご存知だったのですね。しかし、なぜ貴方は私を見逃されるのですか」
「我沒有斬你的理由。你要是打算調查織田,那與我無關。即便是因為討厭待在武田而逃來也一樣。要是想讓我斬你,就對我的朋友動手吧。一有舉動,我就會當場砍下你的頭」
「わしには斬る理由がない。貴様が織田を調べていようが、わしには関係ない。武田の許が嫌で逃げたとしてもな。わしに斬られたくば友に手を出すが良い。素振りを見せた瞬間にはそっ首を刎ねてくれよう」
「那是不可能的。みつお殿對我極為照顧,我無意成為以恩報怨的無恥之人」
「それは出来かねる話ですね。みつお殿には良くして頂いております。恩を仇で返すような恥知らずになるつもりはござらん」
「果然在甲斐稅很重嗎?」
「やはり、甲斐では税が重いのか」
足滿對甲斐有從現代得來的情報。曾以興盛自豪的強國甲斐,因為幾乎每年都發生戰事,為籌措戰費而被課以沉重的稅負。
足満は甲斐について、現代で得た情報がある。隆盛を誇る強国として名を馳せた甲斐も、毎年のようにいくさをした関係で、戦費を賄うために重い税が課せられていたのだ。
特別有名的是信玄之父信虎與信玄的庶子勝頼。信虎的揮霍另當別論,勝頼因為金山枯竭,不得不將稅負轉嫁到其他地方,結果形成重稅。
特に有名なのが信玄の父である信虎と信玄の庶子である勝頼だ。信虎の浪費はともかく、勝頼は金山が枯渇したため、税を他に振り分けるしかなく、結果的に重税となった訳だが。
此外在武田家徵稅由家臣執行,家臣被賦予裁量,乃至於即便是信玄也無法插手干預。
また武田家では税の徴収を家臣が行い、家臣にはその裁量が与えられていたため信玄であろうとも口を出せない状態だった。
因此各領地的稅賦各異,有些地方的稅重到令人陷入困窮。
そのため領地ごとに税はまちまちであり、場所によっては困窮する程の重税となっていた。
足滿對四郎曾在哪裡不甚關心,但從出奔的情形判斷,他很可能居住在近年被武田支配的土地上。
四郎がかつてどこにいたか興味を持たない足満だが、出奔する程の様子から近年武田に支配された土地に住んでいたのだろうと当たりをつけていた。
這不只限於武田,家康與信長也會如此。通常在國主的根據地,檢地較為寬鬆,稅率也被壓低。
これは武田だけに限った話ではなく、家康や信長も行っている。得てして国主のお膝元では検地も甘く、税率も低く抑えられていた。
但對新近支配的土地會施以嚴格檢地,並為補償付出的戰費而課以重稅,這是常態。
しかし新しく支配した土地には厳しい検地が行われ、費やした戦費を補てんするべく重い税が課せられるのが世の常であった。
要刷新支配體制本身就需要成本,多少有不得已之處,但新來者往往被課以重稅,並經常被要求承擔勞役、兵役等其他苛刻的奉仕。
支配体制を刷新する以上コストもかかるため、仕方のない面もあるのだが新参者には得てして重税が課せられ、労役や兵役などのその他の奉仕まで求められる過酷な徴税(ちょうぜい)を受けることが多い。
有傳聞說,試圖從德川轉投武田的家臣,其領地的領民因理解稅會變得比現在更重而表示反對。
徳川から武田へと寝返ろうとした家臣の領地では、税が今以上に重くなることを理解した領民が反対したという話もある。
「如果把稅交出去就只能餓死,與其如此,不如把希望押在一線上,這樣說你能理解嗎?」
「税を差し出せば飢えて死ぬしかなく、ならばいっそ一縷の望みに賭けてと言えばお分かりいただけましょうか?」
「無論何處新來者都會被嚴厲對待。但撇開這點不談,稅實在太重,果然是因為金的產量下降了嗎?」
「どの世界でも新参者は厳しい扱いを受ける。が、それを差し引いても税が重すぎる、やはり金の生産量が落ちているからか」
說到信玄便會想到金山開發,但據說晚年產出的金已枯竭。
信玄といえば金山開発が有名だが、晩年には産出する金が枯渇したと言われている。
然而這並不準確。信玄的金山──黑川金山與湯之奧金山,在江戶時代仍持續產金。
しかし、これは正確ではない。信玄の金山である黒川金山や湯之奥金山は、江戸時代に入っても金を産出し続けている。
因此並非金山枯竭,實際上是武田家的財政困難與技術性問題導致採掘停滯。
それゆえ金山から金が枯渇した訳ではなく、実際は武田家の財政難や技術的な問題によって採掘がとん挫したのだ。
在金山開採金礦非常耗費人力成本。而且從山中挖出的金礦石本身並無價值,必須精煉並整形成金,才能真正成為可用之金。
金山で金を掘るには非常に人件費がかかる。そして金山から掘った金鉱石はそのままでは価値が無い。精錬し、金としての形を整える必要がある。これでようやく金として使えるのだ。
甲斐的金山因礦脈多露出地表,只要掘開地表便能產金。
甲斐の金山は鉱脈が露頭(ろとう)している事が多かったため、地表を掘り返すだけで金の産出が出来た。
但一旦向地底深處掘進情形便不同,礦山常伴隨落盤、崩落與陷沒,因此需要在加固坑道的同時掘進。
しかし地中深く掘り進めると都合が変わってくる。鉱山には落盤・崩落・陥没が付き物である。このため坑道を補強しながら掘り進める必要がでてきた。
坑道越延伸採算越差,再者武田家所需的金超過採掘速度,逐漸使得支付給採金者的工資不足。
坑道が伸びる程に採算は悪化し、更に武田家は採掘する以上のペースで金を必要としたため、徐々に金堀衆へ払う賃金が不足した。
隨之採金者不再服從命令,形成產金下降的惡性循環。換言之並非金山枯竭,而是財政困難與技術不足導致所謂的金枯竭。
それに伴い金堀衆が命令に従わなくなり、金の産出が落ちる悪循環へと陥っていた。つまり金山が枯渇したのではなく、財政難と技術不足が金枯渇の原因だ。
甲斐的金山在江戶時代復活,是因為坑道掘進法與金銀吹替等採礦與精煉技術有了飛躍性的進步。
江戸時代になって甲斐の金山が復活したのは、坑道の掘り方や金銀吹替えなど、鉱山における採鉱と精錬の技術が飛躍的に進歩したためだ。
其中進步最大的是所謂的「水平坑道(也稱横相)」這一手法。
もっとも進歩したものは「水平坑道(横相(よこあい)とも呼ぶ)」と言う手法だ。
傳統採掘法是斜向下掘進,若遇到地下水湧出便無法排水,即便是優良礦脈也只能放棄。
従来の採掘法は斜め下に向かって掘り進む。このため地下水が湧きだすと排水できずに、優良鉱脈であろうと諦めざるを得なかった。
但水平坑道會事先試掘,探明礦脈所在後沿水平面掘進,這樣一來即便掘出地下水也能較容易地排除。
しかし水平坑道は事前に試掘して、鉱脈のある部分を探って水平に掘り進める。これにより、坑道を掘削した際に地下水が出ても排水が容易となった。
反過來說,若無法透過試掘查明礦脈走向就無法採用此法;可以說這是建立在高度測量技術之上的採掘方式。
反面鉱脈の走っている方向を試掘で調査出来なければこの採掘法は取りえない。高度な測量技術があっての採掘法だと言える。
「大家交不出稅就相繼餓死。到了這種地步也沒辦法,我帶著母親和妻兒逃走。之所以逃到織田領,也是因為那裡勢力強盛,我以為不會那麼容易整肅我們。」
「みな、税を払えず次々と餓死していきました。ここに至ってはやむなし、と某は母と妻子を連れて逃げました。織田領へ逃げたのも、飛ぶ鳥落とす勢いのここならば、そう簡単に事を構えないと思ったからです」
「我多少想得有些天真。那些人在織田領也毫不留情。幸好實驗對象增多,結果你們這些亂波的行動反而成了我的利得。」
「少し甘かったな。連中、織田領でも遠慮などなかったぞ。おかげで実験体が増えたから、結果的に貴様達乱波の行動はわしの利となった」
聽到「實驗體」一詞,四郎心中湧起無言的恐懼。察覺到這點的足滿只是微微一笑,未多言語。
実験体、という言葉に四郎は言いしれぬ恐れを抱く。その事を見抜いた足満だが、彼は小さく笑みを浮かべるだけで、それ以上は何も語らなかった。
「久等了。這是怎麼回事,這微妙的氣氛。足滿先生,你又是不是說了什麼可怕的事來嚇人了?」
「お待たせしました。って何ですか、この微妙な空気。足満さん、また何か怖いことを言って脅かしたんじゃないでしょうね」
帶著些許緊張的沉默瀰漫,但被沒有惡意的みつお一句話瞬間驅散。四郎鬆了口氣,足滿也收起剛才的笑容。
少し緊張を孕んだ沈黙が落ちていたが、悪意のないみつおの言葉で一気に霧散した。四郎はホッと胸をなで下ろし、足満は先ほどの笑みを引っ込めた。
「真是個失禮的人。我也懂得分寸這回事。」
「失礼な奴だな。わしも場をわきまえるという事ぐらいは心得ておる」
「沒錯沒錯。又不是那種把陪同探病的我們丟在一旁,和妻子兩人獨享世界的老頭。」
「そうそう。見舞いに付き添った俺たちをほったらかして、妻と二人だけの世界を作るおっさんじゃないんだしさ」
跟著みつお,五郎也回來了。五郎把幾樣下酒菜放在大盤子裡,將大盤置於桌中央後,他坐下。
みつおに続いて五郎も戻ってくる。五郎は大皿にいくつかのツマミを乗せていた。大皿をテーブルの中心に置くと、彼は腰を下ろす。
「那個,不是說過已經道歉了嗎?」
「それはすみません、と謝ったじゃないですか」
「頭一次就原諒你,但不會有第二次。自此絕不再陪你去探病。」
「一度目ゆえ許したが、二度目はない。貴様の見舞いには金輪際付き合わぬ」
「喔……みつお殿真是如此愛妻嗎?」
「ほぅ……みつお殿はそれほど愛妻家なのでしょうか」
四郎一邊將放在桌邊的酒倒入杯中,一邊提出疑問。
テーブルの脇に置かれた酒を盃に注ぎつつ、四郎は疑問を口にする。
「很會問啊四郎先生。那老頭把陪同的我們放著不管,抱著他太太談情說愛,最後甚至忘了我們的存在,簡直糟透了。更何況還是他邀我們來的。」
「よくぞ聞いてくれた四郎さん。おっさんはな、付き添った俺らを放置して奥さんを抱擁するわ、愛を語り合うわ、しまいには俺たちの存在を忘れるわ、散々なんだぞ。しかも誘ったのはおっさんだ」
「因為維持夫妻關係長久的秘訣是順暢的溝通與肌膚的接觸。不論年紀多大,肌膚的接觸都有使人心情安定的效果。」
「だって夫婦仲を長く保つ秘訣は、円滑な通じ合いと肌の触れあいですから。いくつになっても肌の触れ合いは、気持ちを落ち着ける効果があるのです」
「就是因為這樣。我從第二次起就不再陪同了。聽說五郎去了,結果也如我所預料。」
「これだからな。わしは二度目から付き合わなくなった。五郎は付き合ったらしいが、結果はわしの予想通りだった」
「我真想從後面把那老頭一腳踹飛,但看見他老婆的眼神太可怕了,只好匆匆退散。」
「おっさんを後ろから蹴り飛ばしたくなったけど、奥さんの目が怖かったんで、そそくさと退散した」
「你在說什麼,鶴姬不是那麼可怕的人啦。」
「何を言いますか。鶴姫さんはそんな怖い人ではありませんよ」
(這傢伙沒救了)
(駄目だこいつ)
三人一起嘆了口氣。四郎沒見過鶴姬,但從みつお的態度可看出鶴姬對みつお相當傾心。
三人そろってため息を吐く。四郎は鶴姫と会った事はないが、みつおの態度から鶴姫がみつおに相当惚れ込んでいる事が窺える。
彷彿因為太傻眼而無言,各自往杯中斟酒,夾著五郎特製的小菜。
呆れてものも言えぬと言わんばかりに、各自盃に酒を注いで五郎特製のツマミをつまんでいた。
「話說回來,如果要論有妻之人,四郎你不也一樣嗎?」
「そもそも妻帯者なら四郎さんもではありませんか」
「我可不會像某位みつお殿那樣把私人事情赤裸裸攤在陽光下。」
「某、みつお殿のように赤裸々な事情は晒しましぇぬ」
「四郎,口齒不太利落了喔。」
「四郎さん、呂律が回っていないぞ」
五郎一說,四郎搖了搖身子,接著突然伏倒在桌上。雖然發出了像是痛的聲音,但四郎並沒有抱怨,反而傳來悅耳的鼾息。
五郎が指摘すると四郎は左右に体を揺らしたと思ったら、いきなり机に突っ伏した。痛そうな音がしたが四郎が痛みを訴える事はない。代わりに小気味よい寝息が聞こえてきた。
「四郎你是酒量不行嗎!老頭兒,要把四郎翻成側躺!」
「四郎さん下戸かよ! おっさん、四郎さんを横にするぞ」
「我以為他酒量蠻好的。先把他側躺,免得要吐不出來……啊,這酒酒精度好高!可能是急性酒精中毒!要急救!」
「お酒には強いと思ったのですがね。ひとまず吐いても大丈夫なように、横向きに寝かせましょう……あ、これアルコール度が高い酒でした! 急性アルコール中毒かもしれません! 手当しなければ!」
「唉唉,真吵。」
「やれやれ、騒がしいな」
足滿看著慌忙跑向四郎的五郎和みつお,傾杯喝著酒。
慌てて四郎に駆け寄る五郎とみつおを眺めながら足満は盃を傾けた。
九月下旬,武田軍已結束作戰準備。在此期間,有一行人帶著少數部下前往家康居城——濱松城。
九月下旬、既に武田軍はいくさの準備を終えていた。そんな中、僅かな配下を連れて家康の居城・浜松城へ向かう一行がいた。
他是武田四天王之一,馬場(ばば)信春(のぶはる)。後世評價他「智勇常冠諸將」,被說有擔當國人之器量。
武田四天王の一人、馬場(ばば) 信春(のぶはる)だ。後の世において「智勇常に諸将に冠たり」と評され、国人になれる器量を持つと言われた人物だ。
關於其末路,《信長公記》也記載他為一位有著無與倫比戰功的武將。這樣的評價與三好氏本家末代當主三好(みよし)義継(よしつぐ)的評價相同。
最期についても、信長公記に比類なき働きをした武将と記されてもいる。これは三好氏本家最期の当主・三好(みよし) 義継(よしつぐ)の最期と同じ評価である。
他出陣七十餘次,直到最後的長篠之戰都未曾受過一丁點擦傷,因此在現代被稱為「不死身的鬼美濃」。
七十回以上、いくさに出ながら最期の長篠の戦いまで、一度もかすり傷すら負わなかった事から、現代では「不死身の鬼美濃」と評されている。
雖然比其他武田四天王出身較晚,但他是後世高度評價的將領。
他の武田家四天王より出世は遅かったものの、後世において高い評価を得ている武将だ。
他抵達了對武田家懷有反骨之心的濱松城。信玄聽報後只是淡淡地說了句「果然是馬場美濃守」。
そんな彼は武田家へ反骨心を募らせている浜松城へ到着する。信玄は報を聞いたとき「流石は馬場美濃守」と零しただけだった。
另一方面,家康對馬場的來訪感到慌張,神情怯懦。
一方、家康は馬場の訪問に動転し、おどおどしていた。
由於接到信長的指示,表示無法立刻應對後,馬場留下一句自己在三方原台地北端的根洗松(ねあらいまつ)後便離去。
信長からの指示もあり、すぐに応対出来ぬと言うと、馬場は三方原台地の北端の根洗松(ねあらいまつ)にいると言い残して去って行った。
在三方原之戰中,據傳武田軍曾在根洗松埋伏等候德川軍,馬場指定那裡作為會面地點,實在是歷史的諷刺。
三方ヶ原の戦いにおいて、武田軍が徳川軍を待ち構えていたと伝わる場所が根洗松と言われているが、そこを馬場が指定したのは歴史の皮肉と言えよう。
「殿,不必會面。與武田交戰多年,如今已無可談之事。」
「殿、会う必要はございませぬ。既に武田といくさをして数年、今さら話し合う事などございませぬ」
一名家臣建言,但家康心中不悅。正如家臣所言,現在已無與武田可談的事,斷絕同盟也是武田單方面的決定。
家臣の一人が進言したが、家康は腹の中で唸っていた。家臣の言うとおり、武田と今さら話し合う内容はない。同盟破棄も武田が一方的にしたものだ。
自同盟破裂後幾年來衝突不斷,戰局呈膠著狀態,實難想像武田會再度締結同盟。
同盟破棄から小競り合いを続けて数年経つ。戦況は一進一退の状態で、武田が再び同盟を結ぶとはとうてい思えなかった。
「不,去見面。這裡若逃跑會成笑柄,受人罵作懦夫我無法忍受。」
「いや、会おう。ここで逃げては笑いものとなる。臆病者と罵られるなど我慢出来ぬ」
「殿……是!」
「殿……はっ!」
思索後,家康決定與馬場會面。如果此刻逃避會談,武田定會宣稱三河是一群懦夫,這是顯而易見的。
考えた末、家康は馬場と会う事にした。ここで会談の申し出から逃げれば、三河は臆病者の集まりと武田が吹聴するのは目に見えていた。
這些嘲諷會長期存在,甚至可能導致原先支持的地方有力者倒向武田。
これらの嘲りは長く続く。今まで味方している地方の有力者が、武田に寝返る可能性もある。
雖然會是恐怖詭異的會談,但家康認為若拒絕其帶來的負面影響太大,無法承受。
不気味で恐ろしい会談になるが、家康は断った後に齎されるデメリットが大きすぎると判断した。
家康留下酒井忠次在城中,並吩咐若有萬一,便散布武田家是會謀刺的懦夫之流言。
家康は酒井忠次を城に残し、万が一のことがあれば武田家は暗殺を謀るような臆病者、という喧伝(けんでん)を行えと指示した。
他絕無求死之意,但堅決不允許之後三河受到不公待遇,這就是家康的意志。
死ぬ気は毛頭ないが、その後に三河が不当な扱いを受ける事だけは断じて認めない、家康の意思だった。
家康率著忠勝、康政、半藏等側近抵達根洗松,眾人目睹了驚人的一幕。
忠勝や康政、半蔵など側近を引き連れ、家康は根洗松に到着する。そこで一行は驚くべき光景を目にする。
馬場確實在場,但他的兵力皆退居後方,他上半身赤裸,刀也隨意放在遠處。
馬場は確かにいた。しかし、兵は後方に下げ、自身は上半身裸、刀も離れたところに無造作に置かれていた。
後方的士兵中,最前排甚至把武器放在地上。
後方にいる兵も、最前列は武器を地面に置いていた。
乍看之下他是赤手空拳,沒有護衛,士兵也與他保持不可及的距離,這讓馬場顯得更加詭異。
誰が見ても丸腰であり、護衛のものすらおらず、兵も万が一の時に駆け付けられぬ距離にいた。それがより一層、馬場の不気味さを強くしていた。
明知對武田懷有憎恨,卻以赤手空拳來面談。
武田に対する憎悪があると知っていながら、丸腰の状態で会談に挑むのだから。
「喔,意外得很有行動力啊。我原以為還需要再等一會兒。啊,好冷,果然老骨頭裸著可受不了。」
「おや、存外腰が軽いではないか。もう幾ばくか、刻が必要と踏んでおったが。おお寒い、流石に老骨に裸はこたえるわ」
馬場注意到家康到來,漫不經心地說道;他顫抖著因寒冷,把脫下的上衣穿回。
家康の到着に気付いた馬場が、飄々とした態度で語る。彼は寒さに体を震わせると、脱いでいた上着を着る。
「殿,那人赤手空拳。」
「殿、奴は丸腰です」
半藏對家康耳語。即便不由半藏開口,家康也已經明白。他完全不理解這等膽識與從容究竟從何而來。
半蔵が家康に耳打ちする。半蔵に言われなくとも、家康には分かっていた。これほどの胆力と余裕がどこにあるのか、家康には全く分からなかった。
有一點他察覺到:馬場的從容並非出於輕視家康。
一つ分かった事は、馬場の余裕は家康を侮っての行動ではない、という点だ。
「先聲明一點。雖說是會談,但其實還召來了另一位。在那人到達之前,請稍候片刻」
「最初に断っておこう。会談と申したが、実はもう一人、この場に呼んでおる。その人物が到着するまで、しばし待たれよ」
馬場這麼說著,靠在身後的樹上。那份禮貌的語調反而加深了馬場的詭異感。
馬場はそう言うと、背にしていた木にもたれかかる。丁寧な口調も逆に馬場の不気味さに拍車をかけていた。
家康稍微猶豫,但把腰間的刀放下,像馬場一樣背靠樹坐下。家臣們慌張,但一見家康的表情便明白他的覺悟,遂噤聲不語。
少し迷った家康だが、腰に下げていた刀を放り投げると、馬場と同じく木を背にする形で座った。家臣たちは慌てたが、家康の表情を見た瞬間、彼の覚悟を理解したため押し黙った。
「呼呼呼,關頭時膽量就穩得住。說實在的,屋形樣的識人之眼真是可畏」
「ほっほっほっ、いざとなれば肝がすわる。まっことお屋形様の人物眼は恐ろしいものがある」
「什麼?」
「何?」
「別慌。等候的人很快便會到」
「慌てるでない。間もなく待ち人も着こう」
正如馬場所言,馬蹄聲傳入家康耳中。然而他只聽見馬蹄聲一種,沒有其他聲響,起初以為是快馬來了。
馬場の言葉通り、馬の足音が家康の耳に届く。しかし、聞こえてくるのは馬の足音一つだけだ。それ以外の音が聞こえず、彼は最初、早馬でも来たのかと考えた。
不久當那腳步聲的主人進入視野,家康便意識到自己的想法錯了。
やがて足音の主が視界に入ると、家康は己の考えが間違っていたことに気づいた。
「啊,你是!」
「あ、貴様は!」
最先反應的不是家康而是忠勝。畢竟騎馬而來的是足滿,其他人對足滿──確切說是足滿所騎的馬感到驚訝。
最初に反応したのは家康ではなく忠勝だった。何しろ馬に乗って現れたのは足満だからだ。他の人物は足満、正確には足満が乗っている馬に驚く。
現代被認為已絕種的デストリア,以能承受龐大體格與重裝備而聞名。然而那僅是純血品種流失而已,中世與近世時期仍有混血存在。
現代では絶えたと言われているデストリアは、大きな体格と重武装に耐える名馬として名高い。しかしそれは純血種が失われただけであり、中世や近世においては交雑も進んでいる。
馬種的分類也不像現代以DNA決定,而是依用途大致劃分。因此有時會把完全不同的多個品種當作同一馬種來對待。
馬種の扱いについても現代のようなDNAで決定するのではなく、用途によって大まかに馬種を定めていた。そのため全く異なる複数の種を一つの馬種として扱っていたこともあった。
換言之,流傳至今的某些馬種中仍有可能保留デストリア的血統。
つまり今日まで引き継がれた馬種にもデストリアの血統が残っている可能性は高い。
然而當時就有評價稱這種馬除非作戰(いくさごと)否則不合用途,若流傳到馬已非戰場主角的現代,其生存狀況也十分微妙。
しかし当時ですら戦事(いくさごと)以外には適さない馬という評であり、馬が戦の花形でなくなった現代に残っていたとしても微妙なところではある。
「雖屢次被拒,總算肯聽我們說話了呢,足滿殿。不……公方大人」
「散々断られていましたが、ようやくお話を聞いていただけるようですね、足満殿。いえ……公方様」
聽到「公方」一詞,家康等人的臉色僵住。但足滿全不在意周遭視線,下馬後隨意找處坐下。
公方、という単語に家康たちの顔が硬直する。だが足満は周囲の視線など全く意に介さず、馬を下りて適当な所に腰を下ろす。
「我會聽你說」
「話は聞いてやる」
說完這句足滿便沉默。雖帶有尊大的態度,馬場卻不以為意,只是苦笑。
それだけ言うと足満は黙った。尊大な態度だったが、馬場は気にせず苦笑するだけだった。
家康仍未完全理解局勢,覺得問了也不會得到答案,便決定觀察馬場的動向。
未だ状況が飲みこめない家康だが質問して返答があるとは思えず、馬場の出方を窺うことにした。
「自從在三河開戰數年以來,武田與德川之間應該怨嗟已深。但即便知道這些,我仍要提出一項提議」
「三河といくさを始めて数年、武田と徳川の間では怨嗟が渦巻いておろう。だが、わしはそれを知ってなお、ある提案をする」
「提案是……?」
「提案だと……?」
「你能與我們對戰至今仍持久,屋形樣與我們都對你高度評價。因此讓你在戰場上喪命實在可惜」
「我らを相手にして、ここまで長く戦えている貴殿を、お屋形様もわしらも高く評価しておる。それゆえ貴殿をいくさで死なせるのは惜しい」
「來此說要策反我們?」
「ここに来て我らを調略だと?」
「正是如此。我此來是要邀德川殿歸附武田家」
「その通り。わしは徳川殿を武田家に与(くみ)するよう誘いに参った」
「那種提案,絕不可能接受!!」
「そのような提案、受け入れられるはずがなかろう!!」
家康怒喝著拒絕馬場的提議,但馬場看見家康的怒氣仍不改態度。
怒声を上げて家康は馬場の提案を拒絶する。だが馬場は家康の怒りを見ても態度を変えなかった。
「我知道。若德川殿投靠武田,織田家不會坐視不理。那正是你所懼怕的吧?但若那織田家不存在了,問題便迎刃而解,不是嗎?」
「分かっておる。もし徳川殿が武田家に与すれば、織田家が黙ってはいまい。それを貴殿は恐れているのであろう? だが、その織田家が存在しなくなれば、問題はなくなるであろう?」
聽到這句話家康頓悟:武田的目的並非德川領,而是織田領域;以及那句話所暗含的意思。
その台詞で家康は気付く。武田の目的は徳川領ではなく織田領にある事を。そしてその言葉の意味する事を。
領悟後家康露出驚愕表情,馬場則帶著愉悅的笑容。
理解した家康は驚愕の表情を浮かべる。対して馬場は楽しげな笑みを浮かべる。
唯獨足滿面無表情,一點也未改。
ただ足満だけは表情が一つも変わる事はなかった。
「不會吧!」
「まさかっ!」
「正是如此。此次我們要發動戰事。但我們的目的不是德川殿、也不是你的首級,而是織田家……討取織田彈正忠」
「その通り。こたび我らはいくさをする。だが我らの目的は徳川殿、そなたの首にあらず。織田家……織田弾正忠(だんじょうのちゅう)を討ち取る事なり」
討取信長。這並非誇張,武田家確實有讓人覺得這事可能成真的實力。
信長を討ち取る。それが誇張でも何でもなく、可能だと思わせるだけの力が武田家にはあった。
因此「真的會討取嗎?」這念頭浮上家康腦海,但他很快便將其驅散,轉而瞪向馬場。
それゆえ、本当に討ち取るのか、という考えが家康の脳裏に浮かぶ。だがすぐに頭から追い出し、家康は馬場を睨む。
「若要我們討伐織田,首先得處理位於後方的德川殿。然而,屋形樣不希望讓你在戰場上喪命,這是他的考量」
「我らが織田を討つには、まず背後に位置する徳川殿をどうにかする必要がある。しかし、貴殿をいくさで死なせたくないのがお屋形様のお考えよ」
換個角度來看,這也聽起來像是在說在武田眼中德川不足為懼。正因他們有信心即便開戰也能隨時討取家康,才會說出這番話。
とらえ方を変えれば、武田家において徳川家は相手にならない、とも聞こえる。仮にいくさとなっても、何時でも家康を討てる自信があるからこそ、出てくる言葉だ。
但家康無法否定馬場的話。至今斷斷續續的小規模衝突中,能稱為勝利的戰果寥寥無幾。
だが家康は馬場の言葉を否定出来なかった。今まで小競り合いを続けてきたいくさだが、勝利といえるものは数少ない。
若要討伐織田,武田家極可能發動總力戰;不像以往那樣達成目的後便撤兵,這次他們撤軍的可能性幾乎不存在。
そして織田を討つのなら、武田家は総力戦を仕掛ける可能性が高い。今までのように、武田家が目的を果たしたから、で兵を引く可能性は限りなく低い。
在那種情勢下,家康心中並沒有能擊敗武田家的自信。
その状態で武田家に勝てる自信は、家康の中にはなかった。
「若在戰鬥中殺了公方大人,我等必被謗為逆賊。故此,我等前來邀請武田家。」
「公方様もいくさで殺せば、我らは逆賊の誹りを受ける。それゆえ、武田家へお誘いに参った」
「……」
「……」
「而且我們擁有比叡山,我等的大義堅不可摧。」
「そして我らは比叡山を擁している。我らの大義は不動のものなり」
總結馬場的話,若武田家要討伐織田家,首先必須處理位於織田領背後的德川領。
馬場の言葉を纏めると、武田家が織田家を討つには、まず織田領の背後に位置する徳川領の対処をしなければならない。
但武田家對家康評價甚高,認為在戰中討取實在可惜。
しかし、武田家は家康を高く評価しているため、いくさで討ち取るのは惜しいと考えた。
因此要把家康拉攏為我方。若保證由武田家來討伐這個令人憂慮的織田家,他們就不會猶豫成為武田的盟屬。
ならば家康を味方に引き入れる。憂いとなる織田家も、武田家が討ち取ると確約すれば、武田家の縁者になる迷いはなくなる。
足滿也是同樣。萬一殺了公方,不論理由為何,會損害武田家的名譽與信玄稱霸之道。因此要他們要嘛成為縁者,要嘛在戰時躲藏起來。
足満も同じだ。万が一、公方を殺せば理由問わず、武田家の名誉、そして信玄の覇道に傷がつく。それゆえ縁者になるか、それともいくさの間、どこかに身を隠してほしいとの事だ。
「可否領會我所言?若繼續支持織田家,便會被視為同謀天下逆賊的國人,受此污名至子孫晚代。」
「わしの言わんとするところを汲んで頂けようか。このまま織田家に与すれば、天下の悪逆人に味方した国人という誹りを、末代まで受け続ける事になるぞ」
「你這傢伙ッ!」
「貴様ッ!」
「憤怒會使眼目昏暗。再冷靜想一想吧。織田家至今對你有做過什麼?織田家對你們三河而言,值得託付未來嗎?」
「怒りは目を曇らせる。今一度、冷静に考えるが良い。織田家は今まで、貴殿に何かしてくれたかね。織田家は貴殿ら三河にとって、今後を任せるに足る相手かね」
家康面露焦慮與憤怒,馬場則冷靜勸諭,而在此地,足滿幾乎如空氣般無存在感;或者說,他根本沒想表現出存在感。
焦りと怒りの表情の家康、それに対して冷静に諭すような馬場、この場において足満は空気のように存在感がなかった。否、単純に空気のように存在感を出さなかったとも言える。
「看來談話已結束了呢」
「話は終わったようだな」
說完那句,足滿靜靜起身,拂去身上的灰塵,跨上馬背。
それだけ語ると、足満は静かに立ち上がる。体についたホコリを払うと馬に跨がる。
「打算往哪裡去?」
「何処へ行くおつもりです?」
「我最初已說過,會聽你們說話(……)。話已結束,便沒有我留在這裡的理由。」
「わしは最初に言った。話は聞いてやる(・・・・・・・)と。話が終わった以上、わしがここにいる理由はない」
握緊韁繩,足滿輕輕嘆了一口氣。
手綱を握ると、足満は小さく息を吐く。
「姑且回話一句。你所說的公方已死。殘渣仍留在現世,但那無足輕重。另外,我並不信任織田。」
「一応、先ほどの返答だけはしてやる。貴様の言う公方は死んだ。搾り滓はまだ現世(うつしよ)にとどまっているがな。だが些細な事だ。それから、わしは織田を信用してはおらぬ」
馬場回視足滿,終於察覺一件事:足滿的眼神冰冷如霜,並帶有瘋狂之色,那並非人所為的眼神,馬場瞬間覺得像是怪物的眼睛。
馬場は足満を見返す。そこでようやくある事に気付く。足満の目は氷のように冷たく、そして狂気の色を孕んでいた。およそ人がする目ではない。化け物がする目だと馬場は瞬間的に思った。
「我在現世所信任的,只有一人。若他所求,我會與千百敵人對戰;若他命我死,我便當場斬首。我為那人而生,為那人而死。除此之外,其他人只分有無利用價值而已。」
「わしが現世で信を置く相手はただ一人。わしはその者が望めば万の敵であろうと戦い、死ねというならばその場で首を斬る。その者のために生き、その者のために死ぬ。そして、その者以外は全て利用価値があるか、ないか、それだけだ」
他鬆開韁繩的手,指向馬場。
手綱から手を離すと足満は馬場を指さす。
「而你們毫無利用價值,也不可能產生利用的可能性。頂多是大言不慚的活寶,因滑稽而令人發笑罷了。」
「そして貴様らに利用価値はない。利用価値が生まれる可能性もない。せいぜい大言壮語を吹聴して滑稽さゆえに笑えるのが関の山よ」
「什麼?」
「何ですと」
此時馬場表情變了,不只馬場,站在他身後的士兵們的臉色也變。足滿的言詞可被視為挑釁與侮辱。然而即使遭到那銳利的目光,足滿表情仍不改。
今度は馬場の表情が変わる。馬場だけではない、馬場の背後にいる兵たちの顔色も変わる。足満の言葉は挑発、侮辱ととれるのだ。だが、射貫く視線を受けても足満の表情は変わらない。
「哼,不識世事的愚者。若不想給後代留下恥辱,就回國守著顫抖吧。」
「ふん、世界を知らぬ愚か者が。後の世に恥を残したくなくば、国許に帰って震えておれ」
再次握緊韁繩,足滿轉向馬頭,背對馬場與家康,低聲喃喃一句。
再度手綱を握ると、足満は馬の向きを変える。馬場や家康に背を向けた所で、彼は一言呟いた。
「這場戰,勝利的(…)是我們。」
「このいくさ、勝った(・・・)のは我らだ」
足滿不聽馬場回應,策馬而去。留下的是自尊深受傷害的馬場等武田人,以及直到最後也不明就裡的家康等德川人。
足満は馬場の返答を聞かず、馬を走らせて去った。残ったのは矜持を酷く傷つけられた馬場たち武田家と、最後まで事情が理解出来なかった家康たち徳川家だ。
在微妙的氣氛中,家康也拒絕了馬場的提議。馬場似乎並不在意,聽了家康的回答後便乾脆離去。
微妙な空気が流れる中、家康も馬場の申し出を断る。馬場は特に気にした様子もなく、家康の返答を聞くとあっさり立ち去った。
因為馬場已離去,家康也無需留在根洗松,便帶著家臣返回居城。
馬場がいなくなった以上、家康も根洗松にいる必要はなく、家臣を連れて居城へ戻る。
家康拒絕馬場提議並非因信任信長。雖有意氣與自尊,但最主要是覺得足滿令人毛骨悚然。
家康が馬場の申し出を断ったのは、信長を信用した訳ではない。意地と誇りはあったが、何よりも足満が不気味だったのが大きい。
家康回想起足滿最後所喃喃的話;他說的是「勝った」不是「勝つ」。武田家何處有已經「勝った」的要素?這點讓家康揮之不去。
最後に足満が呟いた言葉を、家康は思い出す。『勝つ』ではなく『勝った』と彼は言った。どこに武田家に『勝った』という要素があるのか、それが家康には気がかりだった。
可以想像這可能是虛張聲勢,但從足滿的態度看,絕不像是在虛張聲勢。
はったりの可能性は考えられた。しかし、足満の態度からはったりとはとうてい思えなかった。
「半藏,關於公方……不,請查清為何足滿殿能那般斷言的理由。」
「半蔵、公方……いや、足満殿があそこまで断言出来た理由、調べてくれ」
「是!」
「はっ!」
受命的半藏感到此事不易,但這是關乎三河命運的重要任務,不能懦弱,他自我振作鼓勵。
命を受けた半蔵だが、容易でない事を感じる。だが三河の命運を決める大事な仕事であり、弱気になるわけにはいかない、と自分に活を入れた。
另一方面,足滿完成其職責後每天沉浸於興趣之中,向靜子報告完畢,藥效也取得良好數據,包含武田在內的所有人的行動正按計劃進行。
一方足満は、己の役目を果たしたため、毎日趣味に没頭していた。静子に報告を済ませ、クスリの効果も上々のデータがとれた。武田を含む全員の行動が、目論み通り進んでいた。
從此局之後輪到靜子的棋局(職責),而自己今後的角色是吸引間諜的視線,所以即便玩樂也無妨。
ここからの将棋は静子の手番(やくめ)で、今後の自分の役割は間者の視線を集める事だから、遊んでいても問題なかった。
適逢收穫季節,他們把各種食材帶到みつお的家中宴飲。雖各有工作,正因為平常因工作少見面,反而更常舉辦宴會。
収穫時期も相まって、色々な食材をみつおの家に持ち込んでは宴会をしていた。それぞれ仕事があるものの、否、仕事で普段会えないからこそ、宴会をよく開くようになった。
「酒不夠了啊,酒不夠了啊」
「さけっがたりぬぞ、さけっがたりぬぞ」
「今晚就大喝大鬧,跳舞唱歌一次吧──」
「今宵は飲んで騒いで、踊って歌うぞー」
一邊唱著奇怪的歌,足満挽著五郎的肩膀表演莫名的舞蹈,四郎和みつお打著節拍起鬧,眾人都醉得不得了。
奇妙な歌を歌いながら、足満は五郎と肩を組んで謎のダンスを披露する。それを四郎とみつおが音頭をとってはやし立てる。全員、見事に酔っ払っていた。
因為再過不久みつお的女兒就能挺住脖子,鶴姫也會回家,正因為只有現在能瘋玩一回,所以四人的大鬧顯得格外熱鬧。
もう少しでみつおの娘は首がすわるため、それに伴い鶴姫も家へ戻ってくる。それゆえ、今しか馬鹿騒ぎが出来ない事もあって、四人のどんちゃん騒ぎは賑やかなものだった。
因為有牧場在旁,鄰居不會來抱怨他們的喧鬧。
牧場がある関係で、隣人が四人の騒がしさに苦言を呈する事もない。
「欸呼啦,欸呼啦,咚咚咚。啪啦啪啦,寶物出來了。欸呼啦,欸呼啦,咚咚咚」
「えっほら、えっほら、どんどんどん。ざっくざく、宝が出るぞ。えっほら、えっほら、どんどんどん」
這回みつお和四郎雙手拿著簸箕,邊做挖地的動作邊跳舞。
今度はみつおと四郎がざるを両手で持ち、地面を掘る動作をしつつ踊る。
「好啊,大叔──!」
「良いぞ、おっさんー!」
雖然景象頗為超現實,但對醉漢無所謂,只要好玩其他一切都被忽視。
なんともシュールな光景だが、酔っ払っている人間には関係ない。面白ければ他は全て無視される。
接著有人學模仿、みつお賣起恩愛遭三人噓聲,還跳起奇怪的模仿舞弄得大家嘔吐不止,總之成了各種混亂的宴會。
その後もものまねをしたり、みつおが惚気だして三人がブーイングをしたり、奇妙なマイム・マイムもどきを踊って全員が嘔吐したりと、色々とカオスな宴会となった。
「好啦,天快黑了。把みつお送去醫院吧」
「さて、そろそろ日も暮れる。みつおを病院に送り届けるか」
看向外頭,太陽馬上就下山。宴會不像現代那樣從晚上開始,而是從白天舉行,天黑便結束。
外を見れば一刻もすれば日が沈む。宴会と言っても現代とは違い、昼間から行われるので、日が沈めば宴会は終了だ。
這陣子みつお不是回家,而是在住院的鶴姫那裡過夜,清晨回家做事,夜裡又去鶴姫身邊。
ここの所、みつおは家ではなく、入院している鶴姫の所で夜を過ごしている。早朝には家に戻って仕事をこなし、また夜になると鶴姫の許へ向かう。
靜子對他這副寵妻模樣也苦笑,但既然無法阻止便準備了みつお的床,至今尚未使用。
愛妻家ぶりに静子も苦笑いしたほどだが、止める理由はないのでみつお用のベッドを用意した。今のところ、使われている様子はないが。
「收拾好了。那就出發吧。我和五郎接著去地獄通り湊熱鬧,四郎殿你要怎麼做?」
「片付け終わったぞ。では行くか。わしと五郎はその後、地獄通りを冷やかしにいくが、四郎殿はどうするかね」
所謂地獄通り是指聚集遊郭的街道。那裡有人挑了不合身分的店,結果結帳時出事,傳聞有好幾個人被掏空家當。
地獄通りとは、いわゆる遊郭が集まった通りを指す。遊郭通りには身の丈に合った店を選ばなかったために支払いがとんでもない事になり、全財産を持って行かれた話がいくつもある。
這些傳聞越傳越離譜,久而久之便把遊郭街叫做地獄通り,帶有警惕失足會被打落地獄的意味。
その辺りの噂に尾ひれがつき、いつしか遊郭通りは失敗すると地獄に叩き落とされる事から、戒めの意味も込めて地獄通りと呼ばれるようになった。
「雖然承蒙邀請,但我有妻小在身,地獄通り就免了」
「せっかくのお誘いですが、妻子ある身、地獄通りはご遠慮いたす」
「嗯,也是。我和足満去湊熱鬧就好」
「ま、そうだな。俺と足満さんで冷やかしてくるよ」
聊著這些話,四人收拾好外出後各奔目的地。原本同行,到了進城時分成みつお與四郎、足満與五郎兩組。
そんな会話をしつつ、外出の準備を終えた四人はそれぞれの目的地を目指す。途中まで一緒だったが、街に入った所でみつおと四郎、足満と五郎の二組に分かれた。
足満和五郎與兩人分開後直接去地獄通り湊熱鬧,雖然被各種招攬,但他們一概當耳邊風繼續走著。
足満と五郎は二人と別れた後、そのまま地獄通りを冷やかしに行く。色々と声をかけられるが、二人はそのまま聞き流して歩く。
在地獄通り逛夠後走出,移到餐飲店林立的街道,打算喝一杯再回家。
十分冷やかした所で地獄通りを抜け、飲食店が並ぶ通りへ移動する。一杯ひっかけてから帰る腹づもりだ。
「那麼,下次見──」
「それじゃ、またなー」
「嗯,路上小心回去」
「うむ、気をつけて帰れよ」
在某個攤位喝一杯、隨便吃了點東西後,足満與五郎道別。送走步履蹣跚的五郎後,足満以看起來不像喝過酒的步伐踏上回家路。
適当な屋台で一杯の酒と軽くつまんだ後、足満は五郎と別れた。千鳥足な五郎の背中を見送った後、足満は酒を飲んでいたとは思えない足取りで帰宅の途についた。
接到足満的報告後,靜子更確信信玄已經落入某個圈套。靜子也知道信玄派間諜到織田領打探消息。
足満から報告を受けた静子は、より一層信玄が策にはまっている事を確信した。信玄が織田領に間者を放って調べている事は静子も知っていた。
根據織田領的情報,信玄有可能會更改上洛的時機,但因足満的報告,時機被改變的可能性消失了。
織田領の情報を元に、信玄が上洛する時期を変更する可能性があった。だが足満の報告によって、時期が変更される可能性は消えた。
信玄正在為使家臣意見一致而苦惱。若足満那樣挑釁性地說要改變攻擊時機,家臣反彈的可能性很高。
信玄は家臣の意見を一致させる事に苦心している。足満があれほど挑発して、攻める時期を変えると言えば、家臣たちが反発する可能性は高い。
(從這裡這樣拉開……大致會成為這樣……果然根洗松一帶會是布陣地吧)
(ここからこう引いて……大体こうなるから……やっぱり根洗松辺りが布陣地かな)
看著以地形調查資料繪製的地圖,靜子認為武田軍會在根洗松布陣。
地形調査データから作り上げた地図を見て、静子は武田軍が布陣する場所を根洗松と考えた。
現代的根洗松已不留當時任何痕跡,然而其前方的祝田(ほうだ)的坂道(現代稱為祝田舊坂)仍保有當時的面貌。
現代の根洗松は当時の面影を一つも残していない。しかし、その先にある祝田(ほうだ)の坂(現代では祝田の旧坂と呼ばれている)は、当時の面影を残している。
通說認為武田軍無視籠城的家康所據守的濱松城,改往三方原方向前進;德川軍一得知行經祝田之坂,便改策從守城轉為出擊武田。
通説では家康が籠城する浜松城を無視し、武田軍は三方ヶ原方面へ進路を変更した。移動先に祝田の坂がある事を知った徳川軍は籠城から武田へ打って出るよう策を変更する。
然而據說在移動中經過祝田之坂時,當德川軍欲從背後襲擊的瞬間,武田軍突然反轉與其正面衝突。
しかし祝田の坂を移動中の武田軍は、徳川軍が背後を襲撃しようとした途端、突如として反転して正面衝突したと言われている。
這個通說有許多疑點。首先,仍留有當時痕跡的祝田之坂陰暗,愈近出口愈窄。
この通説には不思議な点がいくつもある。まず、今も当時の名残を残す祝田の坂は薄暗く、出口に近づくほど狭くなる。
在如此地形下全軍一齊反轉,且三萬大軍能整齊無誤地展開魚鱗陣,依當時的軍事情況來看是不可能的。
このような場所で一斉反転し、さらに三万もの軍勢が一糸乱れず魚鱗の陣を敷くのは、当時の軍事情を考慮すれば不可能な話だ。
即便信玄能使全軍一齊反轉,選擇接近孫子所記載應避免的地形──祝田之坂──作為戰場也不合情理。
もし信玄が一斉反転を可能とさせたとしても、孫子に記載されている避けるべき地形に近い祝田の坂を戦場に選ぶのは理に叶わない。
此外,從守城突然改為攻擊時,擔任後詰的佐久間等人竟然一同前往,這點也令人費解。
また、籠城から攻撃に策を突如変更した時、後詰めの役割を担っている佐久間たちが一緒について行っている事も不可解だ。
儘管是後詰,織田軍若看不到家康積極攻擊武田的利,理應反對;但沒有資料顯示佐久間等人曾反對攻擊武田軍的後方。
後詰めとはいえ、織田軍にとって家康が武田軍を積極的に攻める事に利がない限り、反対する。だが佐久間たちが武田軍の背後を叩く事に反対したという資料はない。
援軍僅三千亦令人不解。援軍的將領佐久間、平手、水野各自都是有力的武將。
援軍が三千という点も不可解だ。援軍の将である佐久間、平手、水野はそれぞれ有力な武将たちだ。
尤其是佐久間,在光秀與秀吉崛起之前,他在織田軍中位居最有力武將之列。
特に佐久間は光秀と秀吉が台頭するまで、織田軍において最有力武将の地位にいる。
既然派出如此重量級的將領,總兵力竟僅三千,即便以守城為前提也令人不安。再者,《信長公記》未記載兵數,其他資料的兵數也互不相符。
それだけの面子を派遣しながら、合計の兵力が僅か三千では籠城を前提としても心許ない。そもそも信長公記に兵数の記載がなく、他の資料は兵数が一致していない。
綜合考量後,靜子得出了一個結論。
それらを考慮した結果、静子はある一つの結論に達した。
(原本是以萬為單位派兵,但為了即便武田攻下某城、有人在城內堅守,或即便不攻城直接通過也沒問題,似乎佈下了雙重策略。)
(元々万単位で派遣していたけど、武田が落とした城に籠城をしても、城攻めすらせず素通りしても問題ないように、二重の策を敷いていたんじゃないかな)
也就是說,織田的後援不只一處。據說織田軍派出了近兩萬的後詰,但這些兵力應該不是集中在浜松城一處,而是分散到包含浜松城在內的數座城池。
それは織田の後詰めは複数あった、という事だ。織田軍の後詰めは二万近く派遣された。しかし、それは浜松城一つではなく、浜松城を含む幾つかの城に分けられたと考えられる。
若武田軍不能攻下浜松城,縱使進攻尾張、美濃,也必須時刻提防背後的德川軍。
武田軍は浜松城を落とさなければ、尾張・美濃に攻め込んでも常に背後の徳川軍を気にする必要がある。
因此武田軍有必要將家康打到無法輕易發動軍事行動的程度。但浜松城堅固,若被堅守就無法輕易攻下。
ゆえに武田軍としては家康が簡単に軍事行動を起こせない程度には叩いておく必要があった。だが浜松城は堅牢ゆえ、籠城されれば簡単に落とす事は出来ない。
若有城池遭攻,其他城中的織田軍可以趕來救援,因此後詰被分散部署。
城が攻められれば、他の城にいる織田軍が救援に駆けつけるよう、後詰めを分散配置した。
可以推測信長的計策是讓武田軍因理解局勢而無法行動,將其釘住拖延時間。
そして状況を理解した武田軍が行動をとれず、釘付け状態にして時間を稼ぐのが信長の作戦だったと考えられる。
即便有過冬的裝備,武田軍也沒有持久消耗戰的體力;軍備耗盡就只能回師。
いかに冬越えの装備があろうとも、延々と戦い続ける体力は武田軍にはない。軍備が枯渇すれば帰還する以外に選択肢がない。
如此一來,記載有以萬為單位派遣後詰的《甲陽軍鑑》與德川家家臣的資料便能自洽,而僅有三千武將駐守浜松城的情況也能得到一定說明。
これならば万単位で後詰めが派遣された、と記載されている甲陽軍鑑や徳川家家臣の資料と辻褄があい、僅か三千で武将たちが浜松城にいた事も一定の説明がつく。
若家康提議從背後奇襲在祝田之坂的武田軍,佐久間等人也無理由反對。
祝田の坂にいる武田軍を、背後から急襲する作戦を家康が言い出しても、佐久間たちが反対する理由はない。
兵力減少便能減輕駐守岐阜的信長的壓力,且令武田行動愈發受限。
兵が減れば、それだけ岐阜にいる信長の負担が減るし、武田も動きにくくなる。
如果只是單純耗耐等待武田耗盡時間,聽來確實有些令人感到無奈。
ひたすら耐えに耐えて、武田が時間切れになるのを待つ、と聞けば情けなく聞こえる。
但對被四面八方敵人包圍的信長而言,這個作戰是最安全的。表現得軟弱反而避免冒然傷及武田的矜持,導致其趁勝追擊。
だが四方八方を敵に囲まれている信長にとっては、この作戦が一番安全なのだ。情けない状態の方が、下手に武田の矜持を傷つけ、再び余勢を駆って攻めてくるような事態にならない。
以謙遜抬高對方實力,讓對方自滿高傲,對信長來說更為安全。
へりくだって相手が強いと持ち上げてふんぞり返らせている方が、信長にとっては安全だ。
(嗯,果然很難呢)
(んー、流石に難しいな)
靜子一邊思考一邊移動棋子。武田軍採取魚鱗陣的可能性很高;她認為這是種在敵人因被突襲而驚愕時,一舉殲滅的作戰。
考えながら静子は駒を動かす。武田軍が魚鱗の陣を敷く可能性は高い。背後を叩けると思った相手が驚いている間に、一気に潰してしまう作戦だと静子は考えた。
針對此點,家康佈下鶴翼之陣常被說是錯誤,但靜子並不完全認為那是錯誤。
これに対して家康が鶴翼の陣を敷いた事は、よく間違いだと言われている。だが静子は必ずしも間違いだとは思っていなかった。
鶴翼陣若能在正面擋住敵攻擊,則在攻防兩方面都很優秀;當然通常處於劣勢的一方採取鶴翼陣往往是愚策。
鶴翼の陣は正面で敵の攻撃を受け止め切れる限り、攻防ともに優れた陣だからだ。無論通常は劣勢な側が鶴翼の陣を取るのは愚策でしかない。
那是一處能限制敵方動作的隘路,考慮到三方ヶ原之戰後要在浜松城進行籠城戰,雖不能算是最能減少損耗的最佳方案,但可說是較佳的選擇。
敵の動きを制限できる隘路であり、三方ヶ原の戦いの後、浜松城で籠城戦をする事を考えれば、損耗を少なくできるベストとは言えないがベターと言える選択だ。
(這邊用這種作戰……按照這樣……好,完成了)
(こちらはこういう作戦で……こういう通りに……よし、これで完成ね)
把所有棋譜寫完後,靜子將它們整理寄給竹中半兵衛。不久會收到竹中半兵衛提出指點後回傳的東西。
全ての棋譜を書き終えた後、静子はそれらを纏めて竹中半兵衛に送る。少しすると竹中半兵衛なりの指摘が入ったものが返ってくる。
反覆進行這樣的往返,以提高在三方ヶ原之戰獲勝的可能性;靜子已記不得反覆了多少次。
これを何度も繰り返して、三方ヶ原の戦いで勝利を収める可能性を高めている。何回繰り返したか静子も覚えていない。
「啊——好累。再也不想做了,這種事。」
「あ〜〜、疲れた。もう二度とやらないぞ。こういう事は」
除了肉體疲憊,設想會讓許多人喪命的作戰也讓靜子精神上疲憊。但三方ヶ原之戰的結果將決定織田軍的未來。
肉体的な疲労もそうだが、人がたくさん死ぬ作戦を考えるのは精神的に疲れる静子だった。だが三方ヶ原の戦いでいかなる結果を出すか、それで織田軍の今後が決まる。
無論為了信長亦或為了自己,三方ヶ原之戰都是無法避免的。靜子撐著腮頰,長長嘆了一口氣。
信長のためにも、そして自分のためにも、どうしても三方ヶ原の戦いは避けられない。静子は頬杖をつくと、盛大にため息を吐く。
(若一切照計畫進行,情勢會翻天覆地。變化不僅是外部,織田家內部也會有各種變化。唉——如果現在這種情況回到現代,恐怕會被當成危險人物吧。)
(作戦通りにいったら、状況は一変する。外だけじゃない。織田家の中も色々と変わる。はぁ〜〜、もし今の状態で現代に戻っても、危ない人コースじゃないかな)
靜子已經放棄回到現代的念頭,但仍認為突然被拉回現代的可能性並非零。不過,她來到尾張已經過了七年。
既に現代に戻る事を静子は諦めていた。とはいえ、突然現代に引き戻される可能性はゼロではないとも考えていた。だが、既に尾張に来て七年もの月日が経っている。
現在已不想再穿洋服,只有穿和服才覺得合適;若不把小刀和腰刀佩帶在身,無論去哪都會坐立不安。
洋服など今さら着ようとも思わないし、着物でなければしっくりこない。そして懐刀と腰に刀を下げていないと、どこへ行くにも落ち着かなくなってしまった。
在戰國時代沒問題,但若在現代穿和服掛刀,肯定會被警察找麻煩,搞不好還會被懷疑有精神疾病而強制送醫。
戦国時代なら問題ないが、現代で着物に刀を下げていたら間違いなく警察のご厄介になる。下手をしたら頭の病気を疑われて入院措置だ。
「(因為拚命工作沒去想,大家都怎麼樣了呢)媽媽會不會很擔心?」
「(がむしゃらに働いていたから考えなかったけど、みんなどうしているのかなぁ)母さん、心配しているかな」
「你媽媽怎麼了嗎?」
「母がどうかしたのかえ?」
「哇!」
「うえっ!」
突然耳邊傳來聲音,靜子驚訝地發出尖銳的聲音。慌忙轉向聲音來源,看到惡作劇成功、得意洋洋的濃姫。
突然、耳元で声がした事に驚いた静子は素っ頓狂な声を上げる。慌てて声がした方を向くと、イタズラが成功して楽しげな濃姫がいた。
「心不在焉,是在想什麼嗎?」
「上の空だったが、何か考え事かえ」
「請不要擅自進入別人的房間。」
「人の部屋に無断で入らないで下さい」
「叫了好幾次都沒有回應,擔心你倒在房裡。進來一看你在自言自語,就把耳朵湊過去聽而已。」
「何度も呼びかけたが、返事が一向にのうての。部屋で倒れているのではと危ぶんだのじゃ。入ってみればなにやら呟いておるので、耳を傾けていただけじゃ」
「唉,算了。煩惱起來真覺得愚蠢。」
「はぁ、もう良いです。悩むのが馬鹿らしくなりました」
看著濃姫,靜子的煩惱變得渺小。她輕輕搖頭驅散雜念,重新轉向濃姫。
濃姫を見ていると、自分の悩みが些細な事に思えてきた静子だった。頭を軽く振って雑念を追い出すと、改めて濃姫に向き直る。
「那麼,有什麼事嗎?還是說,你又來吃點東西?」
「それで、何のご用ですか? また、何か食べにいらしたのですか?」
「並不是特地來吃飯啦。我是想和まつ他們一起喝茶,順道來邀你,靜子你要不要一起?」
「飯を食べに来たわけではないのじゃが。何、まつたちと茶を飲むゆえ、静子もどうじゃと誘いに来たのじゃ」
「那個可以拒絕嗎?」
「それって断れるのですか?」
「可以拒絕。若是那樣,只會把你拖著走罷了。」
「断っても良いぞ。その場合、引きずって行くだけじゃからの」
靜子心裡暗想,那實際上不就等於不能拒絕嗎。她一度想像不如像孩子般撒潑耍賴,但又擔心會被用奇怪的方式帶走,便打消了這個念頭。
それは実質、断れないと同じではないか、と静子は心の中で突っ込んだ。いっそのこと、子どものように駄々をこねてみようかと思ったが、変な運び方されても困るので思いとどまった。
「知道了,我會配合。請不要緊緊黏著我。」
「分かりました、付き合います。だからひっつかないで下さい」
「就是靜子說的那種親密接觸吧。」
「静子の言うすきんしっぷ、という奴じゃ」
不知不覺已繞到靜子身後的濃姫溫柔地抱住她。濃姫把下巴搭在靜子的肩上,像貓一樣用臉頰磨蹭著。
いつの間にか静子の後ろに回った濃姫が、静子を優しく抱きしめる。濃姫は静子の肩にあごを乗せると、ネコのように頬をすりすりしていた。
「一開始覺得好傻,但這實際上挺不錯的。殿好像是害羞,所以沒再讓我做第二次了。」
「最初は何を馬鹿な、と思うたが、これが割と良い。殿は恥ずかしいのか、二度とさせてもらえなかったがの」
「畢竟這是直接的愛情表現。我也相當害羞呢。」
「まぁ直接的な愛情表現ですからね。私も割と恥ずかしいですよ」
「沒什麼好害羞的。妾很喜歡靜子。對了,剛剛你似乎在想起母親,如果覺得寂寞,就把妾當成母親吧。」
「何も恥ずかしがる事はない。妾は静子を好いておるぞ。そうじゃ、先ほどはなにやら母を思うておったが、寂しいのなら妾を母と思うと良いぞ」
「……比不上濃姫大人。只是我母親與濃姫大人完全不同,那個請求就做不到了。」
「……かないませんね、濃姫様には。ですが、私の母は濃姫様と似ても似つかないので、それは無理な相談ですね」
「靜子也開始會這樣說了。那麼,走吧。」
「静子も言うようになったの。さて、では向かうか」
濃姫從背後放開後站起身,朝茶室走去。動作太快讓靜子一瞬愣住,但很快理解過來便起身跟上濃姫的腳步。
背中から離れると、濃姫は立ち上がって茶の間へと向かった。あまりにも早い動きに、静子は一瞬呆然としたが、すぐに理解が追いつくと立ち上がって濃姫の後を追った。
「今天的茶點是什麼呢?」
「今日の茶菓子は何かの」
濃姫一邊聽著從後面追來的靜子的腳步聲,一邊喃喃自語著那番話。
後ろから追いかけてくる静子の足音を聞きながら、濃姫はそんな事を呟いた。