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戦国小町苦労譚

1572年 七月下旬

雖然螺旋槳船仍有課題,但在斯特林引擎、高爐及其附屬設施等方面並無大礙,試運轉順利完成。

スクリュー船には課題が残るものの、スターリングエンジン、高炉及び付随する施設の全てにおいて大きなトラブルもなく、無事に試運転を完了した。

靜子為此鬆了口氣。

そのことに静子はホッと胸をなでおろす。

或許是因為重大事項告一段落,心情稍微寬裕了些,她想起原本延後的某處設施視察時期迫近。

重大案件が一段落したことで少し心に余裕が出たためか、先送りにしていたある施設の視察時期が迫っていることを思い出す。

該設施已經進入正式運作,並非非去不可,但身為組織長不能置之不理,於是靜子帶著慶次等人前往工廠。

こちらは既に本格稼働しているため是が非でも視察せねばならないというものではないのだが、組織の長と言う立場上放置するわけにもいかず、静子は慶次たちを伴って工場へと向かう。

「哇,這裡也好大喔」

「ひゅー、こっちも大きいねぇ」

高爐的設施很巨大,但這次要視察的設施──織田家設立的『製絲工廠』──在另一層意義上以廣闊的占地規模稱得上巨大。

高炉の施設は巨大だったが、今回視察する施設——織田家が設立した『製糸工場』——は広大な敷地を持つ別の意味で巨大な施設だった。

工廠的廠區由四個區域構成。

工場の敷地は四つの区画で構成されている。

有員工居住的居住區、被稱為商業區的支援區(內有學校、醫院、托兒所、商店、餐飲店等)、負責從飼養蠶到繭乾燥流程的蠶生產區,以及從外部引入的麻與棉的纖維、乾燥繭中紡出絲的繅絲區。

従業員が住む居住区画、学校に病院、保育所、商店、飲食店などが並ぶ商業区とも呼ばれる支援区画、蚕の飼育から繭の乾燥までの工程を担う蚕生産区画、外部から持ち込まれる麻や木綿の繊維、乾燥済みの繭から糸を紡ぎ出す繰糸区画だ。

「不像玻璃,量產是絕對必要條件,所以花了好幾年時間……但現在在尾張算是首屈一指的大型設施,在織田家內很有名」

「ガラスと違って、量産が絶対要件だったから年単位で時間が掛かったけど……今じゃ尾張屈指の大規模施設として織田家内では有名な場所よ」

邊聊著這些話,靜子一行穿過工廠正門。

そんな事を話しながら静子一行は工場の正門をくぐる。

工廠規模已大到可說是一座小城,但與以他者出入為前提的城市不同,非關係者不得入內。

もはや一つの街と言っても過言ではない規模の工場だが、他者の出入り前提である街とは異なり関係者以外は立ち入りを許されない。

其中能使用正門的,只有像信長與靜子這類參與工廠運營的人員。

中でも正門を利用できるのは信長や静子など工場運営に関わっている者のみである。

在廠內居住的員工,以及物資的出入等,都是使用後門或側門進出。

施設内で暮らす従業員たちや、物資の搬出入なども裏門や脇門を使って出入りするのである。

「首先請讓我們參觀蠶室吧」

「まずは蚕室から見せて貰いましょう」

靜子這麼一說,工廠長這位負責人親自帶領他們到有蠶室的區域導覽。

静子がそう告げると、工場の責任者たる工場長自らが蚕室のあるエリアに案内する。

如果把信長視為創辦人兼社長,靜子則相當於營業統括本部長,因此工廠的最終負責人——工廠長也匆匆趕來,擔任引導角色。

信長を創業者兼社長とするならば静子は営業統括本部長にも匹敵する立場にあるため、工場においては最終責任者である工場長もおっとり刀で駆け付け案内役を務めているという訳だ。

蠶室合計有十四棟。

蚕室は合計で十四棟ある。

十棟為飼養一般蠶的棟、兩棟為孵化蠶卵並飼育至2齡的棟、一棟為進行人工飼料與品種改良研究的研究棟,最後一棟則是飼育特殊蠶品種「小石丸」的棟。

十棟が通常の蚕を飼育する棟、二棟が蚕卵を孵化させて2齢(れい)になるまで飼育する棟、一棟が人工飼料や品種改良の研究を行う研究棟、そして最後の一棟が特別な蚕の品種「小石丸(こいしまる)」を飼育する棟だ。

有一個用來表示蠶發育程度的詞,叫做「蚕齢」。

蚕は発育の程度を示す言葉として「蚕齢(さんれい)」というものがある。

從卵孵出的蠶全身覆滿絨毛,稱為毛蠶,也因看起來黑且似螞蟻而被稱作蟻蠶,這一狀態算作1齡;完成第一次蛻皮的為2齡,此後每次蛻皮分別稱為3齡、4齡,成熟到能做繭的個體稱為5齡。

卵から孵った蚕は全身に毛を纏っており毛蚕(けご)や黒く蟻のように見えることから蟻蚕(ぎさん)とも呼ばれる状態を1齢と数え、最初の脱皮を終えたものを2齢、以後脱皮を繰り返す度に3齢、4齢と呼び、繭を作る段階まで成熟した個体を5齢と呼ぶ。

每棟飼育數量達二萬到三萬。因為要在五月到十一月這段有限期間內確保一年的絲線供應,需要準備如此大量的繭。

1棟あたりの飼育数は二から三万にも及ぶ。五月から十一月という限られた期間で一年分の絹糸を確保するには、それほど多くの繭を用意する必要があるためだ。

談到蠶的飼料當然是桑葉,但這裡也在試驗性地使用人工飼料。

蚕の餌と言えば桑の葉だが、ここでは試験的に人工飼料も用いている。

人工飼料以乾燥桑葉磨成的粉末為主原料,混合玉米澱粉、榨油後的脫脂大豆粉末、為補充維生素而加入的蕎麥粉末,以及乾燥粉碎的柚子皮粉末等。

人工飼料は乾燥させた桑の葉を粉末にしたものを主材料に、とうもろこしのデンプンや油を搾った後の脱脂大豆を粉末にしたもの、ビタミン類を補うためとして蕎麦の粉末、柚子の皮を乾燥粉砕した粉末などを混合している。

在現況能取得新鮮桑葉的情況下需求不高,但為以防萬一仍在進行研究。

新鮮な桑の葉が得られる現状では必要性が低いが、万が一に備えて研究を行っているのだ。

因為成為粉末狀,耐長期保存,且不佔太大儲藏空間,這是其優點。

粉末状になっているため長期保存にも耐え、貯蔵場所も大きくは取らない利点がある。

除了用人工飼料飼育之外,亦對蠶的生態進行詳細研究,這是為提升生產性與品種改良所不可或缺的研究。

人工飼料での飼育と並行して、蚕の生態についても詳しく研究されている。生産性向上や品種改良のためには外すことの出来ない研究だ。

另外所謂與一般品種分開飼育的小石丸,是自奈良時代就開始飼養的蠶品種,可說是現有品種的祖先。

そして通常品種とは別枠で飼育されている小石丸とは、奈良時代から飼育され始めた蚕の品種であり、現在ある品種の祖先とも言える存在だ。

作為日本古來在地品種的小石丸,雖然絲線極細卻紡出高品質的絲,其絲既有強勁的彈性又具無與倫比的光澤,即使現代也被視為最高級的絹絲。

日本古来の在来種である小石丸は、非常に細いながらも上質の糸を紡ぎ出す。その糸は力強い弾力と比類なき光沢を合わせ持ち、現代でも最高級の絹糸とされている。

反面,相較於一般蠶,小石丸每個繭可採得的絲較短;一般品種平均約1300到1500公尺,而小石丸即便較長也只有約500公尺左右。

反面、通常の蚕よりも繭一つあたりから採取できる糸が短く、通常品種であれば平均して1300から1500メートルほどになるのに対して、小石丸は長くても500メートルほどにしかならない。

而且產卵數也少且對疾病較為脆弱,需與其他蠶分開環境飼育,因此並不適合大量生產。

更に産卵数も少なく、病気にも弱いため他の蚕とは環境を分けて飼育せねばならないため、大量生産には向かない品種でもある。

這樣說來小石丸似乎只剩缺點,但其絲織成的織物擁有與眾不同的光澤與柔順,作為頂級品總是有不斷的需求。

こういうとデメリットばかり目立つ小石丸だが、その絹糸で織られた織物は他とは一線を画す光沢としなやかさを持つため、最高級の物として常に需要が絶えることがない。

「現在是午餐時間,所以沒有人呢」

「昼時ですから誰もいませんね」

蠶到了2齡時,朝夕各進行兩次餵食更換與飼育箱清掃。

蚕は2齢になれば朝と夕方の2回、餌の交換と飼育箱の掃除を行う。

蠶的飼育箱是在無蓋的木箱底部放置蠶籠,罩上蠶網,在其上鋪滿作為飼料的桑葉,最後放上蠶。

蚕の飼育箱は蓋の無い木箱の底に蚕籠(こかご)を置き、蚕網(かいこあみ)を被せ、その上に餌となる桑の葉を敷き詰め、最後に蚕を乗せている。

蠶的飼育方法依蚕齢而不同,1到3齡的蠶會將桑葉切成一公分方塊後餵食。

蚕の飼育方法は蚕齢によって区別され、1から3齢の蚕には桑の葉を1センチ角に切って与える。

清掃方式也很簡單,將蓋有新桑葉的蠶網覆在蠶上,靜置約三十分鐘後,蠶會移至有新食物的蠶網上。

掃除の仕方も簡単であり、蚕の上に新しい桑の葉を乗せた蚕網を被せる。その状態で三十分ほど待つと、蚕は新しい餌のある蚕網に移動する。

再將這個新的蠶網覆到另一個蠶籠上,將尚未移動的蠶移過去,然後清掃積有舊桑葉、蛻下的殼與糞便的蠶籠,以備下次移動即可。

この新しい蚕網を別の蚕籠の上に被せて、移動していなかった蚕を移した後、古くなった桑の葉や脱皮した抜け殻、糞が積もった蚕籠を掃除して次の移動に備えれば良い。

從4齡開始採用所謂的條桑育法,即連枝剪下桑枝,保持原狀直接當作蠶的飼料餵食的飼育法。

4齢からは条桑育(じょうそういく)という方法を採用している。桑を枝ごと切り、その状態のまま蚕に餌として与える飼育法だ。

餵食與清掃仍為朝夕兩次,但因4齡到5齡時體長會急速增長,為避免過度擁擠,會使用兩個飼育箱繼續飼養。

餌やりと掃除は朝夕2回と変わらないが、4から5齢にかけて体長が一気に大きくなるため過密を避けて飼育箱を2個使い飼育を継続する。

清掃方式自2齡起無改變,但因食量增加,需要在中午檢查餵食量。

掃除の仕方は2齢から変わらないが食べる餌の量が増えるため、昼に餌の量をチェックする必要がある。

一般的養蠶農家早晚都要照料蠶,白天也得掛在桑樹上忙個不停,除了淡季外幾乎一整天都被工作壓得喘不過氣。

通常の養蚕農家ともなれば朝夕は蚕の世話をし、日中も桑の木に掛かり切りとなり閑散期以外は一日中仕事で忙殺される。

但這裡不同,桑園設在外面,每天都有新鮮的桑葉送來。

しかし桑畑を外部に持ち、毎日新鮮な桑の葉が運びこまれるここは違う。

早晚依舊忙碌,中午則只是確認飼料剩多少,不夠就補充,幾乎沒有其他事要做。

朝夕は変わらず忙しいが、昼時は餌の残り具合を確認し、少なければ補充する程度で殆どやる事がない。

到了五齡時會為了開始營繭而出現驚人的食欲,因此必須頻繁補充飼料,並檢查是否有準備開始結繭的蠶。

5齢ともなれば営繭(えいけん)(繭作り)に向けて盛大な食欲を発揮するため、頻繁に餌を補充してやり営繭を始めようとしている蚕がいないかもチェックする必要がある。

靜子等人目前視察的區域是飼育四齡蠶的地方,乍看之下飼育箱裡已備有足夠的飼料到傍晚為止。

現在静子達が視察している場所は4齢の蚕が飼育されているエリアだ。そして一見した限りでは夕方までに十分な餌が飼育箱には用意されていた。

雖然沒有特別問題,但廠長仍滿頭冷汗。

特に問題がない状況だが、工場長は嫌な汗をかいていた。

「啊、啊哈哈。因為是臨時的事……是的」

「あ、あはは。何分、急な話でしたので……はい」

廠長一邊拭去冷汗一邊辯解,他感到惶恐也不足為奇。

工場長が脂汗を拭いながら言い訳をする。彼が恐縮するのも無理はない。

因為在靜子到來之前,信長曾突襲視察工廠,對工廠內那種鬆懈的氣氛表示不悅。

何しろ静子の視察前に抜き打ちで工場を視察していた信長が、工場内に漂う弛緩した空気に不快感を示したからだ。

多虧如此,廠長以下數名負責人剛被信長親自訓斥,責備他們要以更緊張的態度工作。

お陰で工場長以下数名の責任者は、信長から直々に説教を頂き、もっと緊張感をもって従事するようお叱りを受けたばかりだった。

若沒有靜子制定的服務規程中「只要維持一定品質與產量,勤務態度不問」的條文,幾個人的首級恐怕真會飛掉。

静子が定めた服務規程に、一定の品質と生産数を維持していれば勤務態度は不問と言う条文が無ければ、何人かの首が物理的に飛んでいた可能性すらあった。

「我並不在意。前提是能維持產量才行。」

「別に気にしてはいないですよ。生産量を維持していれば、の話ですが」

靜子一邊提醒剛鬆口氣的廠長,一邊朝下一個飼育流程走去。

安堵した工場長に釘を刺しつつも、静子は次の飼育工程へと進む。

蠶從孵化後約三週就會進入開始營繭的時期。

蚕は孵化してから約三週間後に、営繭をはじめる時期に達する。

那個時期的蠶稱為熟蠶,會完全停止進食。牠們體內的蠶絲腺所累積的絲質透過體表呈暗黃,並伴隨些微的身體收縮。

その頃の蚕を熟蚕(じゅくさん)と呼び、餌を全く食べなくなる。身体は体内の絹糸腺に溜まった絹物質が体表を透かして暗黄色に見え、その際、僅かながら身体が縮む。

這些個體連同桑葉一併移動後,從上方罩上網,蠶便會為了逃離狹窄空間而穿過網孔向上移動。

そうなった個体は桑の葉ごと移動させた後、上から網を被せる。そうすると狭苦しい空間から逃げようと蚕が網の目を通って上に移動する。

當牠們適度移動後連同網一起撈起,就能將蠶的排泄物、桑葉與糾在網裡的蠶分離。

程よく移動したところで網ごとすくうと、蚕の排泄物と桑の葉、そして網に絡んだ蚕が分離できる。

把要營繭的蠶和雜物分離後,接著進行上蔟。這項作業是把蠶移到用稻草等編成的稱為蔟的網籠裡。

営繭する蚕とゴミを分離し終えると、次は上蔟(じょうぞく)を行う。わらなどで編んだ蔟(まぶし)と呼ばれる網に蚕を移す作業だ。

若只有數十隻,一隻一隻手動轉移無妨,但若要上蔟數萬隻就需要龐大人力,而省力的方法便是使用回轉蔟。

数十程度なら一匹一匹手作業で移しても問題ないが、数万匹を上蔟する場合は膨大な労力を要する。これを省力化する方法が回転蔟(かいてんまぶし)だ。

回轉蔟採用特殊的蔟。

回転蔟には特殊な蔟を用いる。

把大小略有差異的外框與內框兩個木框用金具十字交叉固定,然後在上面安裝如紙扇般格子狀編成的多層蔟並用金具固定。

外枠と内枠という大きさが僅かに違う2つの木枠を金具で十字に交差するように止め、そこに障子のように格子状に編まれた蔟を何段も設置して金具で固定する。

每個格子格子都會有蠶進入並結繭。

この格子一つ一つに蚕が入って繭を作ることになる。

回轉蔟的要點在於將蔟吊起,讓蠶自行移動進入格子。原理很簡單,先在回轉蔟上放入一定數量的蠶並將其懸吊。

回転蔟の肝は、蔟を吊り下げて蚕自身に格子枠へと移動して貰うことにある。原理は単純で、まず回転蔟に一定数の蚕を乗せて吊す。

蠶為了找安全的結繭處會一隻隻鑽入蔟內的格目。

蚕は安全な営繭場所を求めて蔟内のマス目に一匹ずつ入り込む。

沒能進入格目者會往上移尋找安定之處,當蠶集中於一點過多時,牠們的重量會使重心改變,最終回轉蔟便會以固定外框與內框的金具兼回轉軸為中心轉動半圈。

マス目に入れなかった蚕は落ち着く場所を求めて上へと移動し、蚕が一点に集まり過ぎると蚕自身の重みで重心が移動し、やがて回転蔟自身が外枠と内枠を止めている金具兼回転軸を中心にグルリと半回転する。

如此一來原本在上方的蠶會發覺自己已移向下方,於是再度向上爬行,在此過程找到格目並開始結繭,如此反覆,所有蠶便會均勻地落入各格。

すると上にいたはずの蚕は自身が下に移動していることに気付き、再び上を目指して上る過程でマス目を見つけて営繭を始める。この繰り返しで全ての蚕が均等にマス目へと収まる。

當然也會有因回轉而掉落的蠶,但回轉蔟下方有距離地拉著布,掉落後只要人再把牠們移回回轉蔟,就能正常結繭。

無論回転の勢いで落下する蚕も居るのだが、回転蔟の下には少し離して布が張られており、落下しても再び人が回転蔟に移してやれば問題なく営繭をしてくれると言う構造になっている。

除了協助掉落的蠶外似乎可放任不管,但此時的溫度與濕度管理非常困難。

落下した蚕を補助する以外は放置でも問題ないように見える作業だが、この時の温度と湿度管理が非常に難しい。

繭的品質在上蔟後三到四天內就會決定,因此這個作業最需要細心。

繭の品質は上蔟後の3日から4日で決定するため、この作業がもっとも神経を使う。

雖然不同季節適合的溫度與濕度會改變須注意,但大約七到八天後會進行稱為收繭的把繭從蔟上取下的作業。

上蔟する季節で適切な気温と湿度が変わるため注意する必要はあるものの、およそ七日から八日で収繭(しゅうけん)と呼ばれる蔟から蚕の繭を外す作業を行う。

因為也有結繭較慢的蠶,工廠規定要在蠶開始結繭十天後才進行收繭。

繭を作るのが遅い蚕もいるため、工場では蚕が繭を作り始めてから十日後に収繭を行う決まりとなっている。

取出繭的作業使用稱為毛羽取機的機械,功能是把繭從蔟上取下並去除附著的絨毛。

繭を外す作業は毛羽(けば)取り機と呼ばれる機械を使う。これは蔟から繭を外し、繭についている毛羽をとる機械だ。

繭的毛羽指的是蠶在蔟上結繭時為了抓附而吐出的絲或附著的雜物,若留下會使繭互相糾纏,需將其移除。

繭の毛羽とは、蚕が蔟に繭を作るとき、足がかりに吐いた糸やゴミなどを指す。これを残しておくと繭同士が絡んだりするため、取り除く必要がある。

在史實上沒有機械的時代,人們用稱為繭掻棒的工具把繭從蔟上取下,再用手搖的毛羽取器除去繭上的絨毛。

史実でも機械が存在しない時代は、繭掻(まゆか)き棒と呼ばれる道具で蔟から繭を外し、繭についている羽毛を手回しの毛羽取り器で取り外した。

這間工廠雖然是手工,但備有繭掻棒與毛羽取器,能一次完成繭的回收與除毛羽的工程,效率飛躍提升。

この工場でも手動ではあるが繭掻き棒と毛羽取り器を用意し、繭の回収と蔟についている毛羽を取り除く工程を一度に行えるため、効率は飛躍的に上がっている。

被去除的絨毛經過煮洗後會用作棉被等的填充材料。

取り除かれた毛羽は煮洗いした後、布団の中綿などに使われる。

「現在正好是繭正在形成的時期。我本想確認運作狀況,但也沒辦法。就去最後的乾燥室吧。」

「現在は丁度繭が作られている時期ですね。稼働具合を確認しようと思いましたが、仕方ありません。最後の乾燥室へ向かいましょう」

查看蔟上蠶被安置的日期後,發現還不到收繭的日子。既定日期在幾天後,現在並不能硬要人展示。

蔟に蚕を乗せた日付を確認すると、まだ収繭する日ではなかった。設定された日は数日後ゆえ、今から見せろという訳にもいかない。

因為抽出的蠶絲品質沒有問題,判斷應該沒有特別狀況,靜子便朝最後的作業──乾燥室前進。

上がってくる絹糸の品質に問題は出ていなかったので、特別問題はないだろうと判断し、静子は最後の作業である乾燥室へ向かう。

「哈、哈!」

「は、はっ!」

工廠長滿頭冷汗地回答。

工場長が冷や汗を流しながら返事をする。

走出棟樓後,靜子走進靠近棟樓、帶有煙囪的建築物裏。

棟から出ると、静子は棟の近くにある煙突を持つ建物へ入る。

若放著不管,繭內的蛹會羽化成蟲,從繭上鑽出洞來。為防止此情形,需要以接近一百度的熱風吹約六小時左右,使其乾燥。

繭はそのままにしておくと中の蛹から成虫が繭に穴を開けて出てきてしまう。これを防ぐ為におよそ100度近い熱風に6時間ほど当て、乾燥させる必要がある。

如此一來繭內的蠶便會死亡,得以以繭的狀態長期保存。若無熱風設備,亦可先冷凍數日使蠶死亡,再以日曬晾乾的方式處理。

これにより繭の中の蚕が死に、繭のまま長期保管する事が可能となる。なお、熱風を当てる設備がない場合は、数日冷凍して蚕を死なせてから天日干しをする方法もある。

「嗯嗯,在這裡把乾燥好的繭裝袋,最後放到低溫且乾燥的倉庫保存,對吧?」

「ふむふむ、ここで乾燥させたものを袋詰めし、最後に低温で湿気の少ない蔵で保管されるのですね」

「是、是的。就是那個步驟,嗯。」

「は、はい。その手順になっております、はい」

乾燥完成的繭會先存放於倉庫。養蠶只能在五月到十一月期間進行,因此會囤積一整年的繭,以便全年持續生產絲線。

乾燥を終えた繭は一旦蔵に保管される。養蚕は五月から十一月までの間しか行えないため、この間に一年を通して絹糸が生産出来るよう一年分の繭がストックされる。

因此若只是養蠶,工廠外的場所也有人在做。

ゆえに蚕を育てるだけなら、工場以外でも行っている。

不採取多點生產而選擇集中型工廠的理由,是能在完全封閉的環境下維持一致的生產,且能將生產過程中產生的各種物質循環利用。

生産拠点を増やさず集中型の工場にした理由は、完全に閉じた環境で一貫した生産が可能であり、そして生産過程で発生する色々なものを循環させることが出来るからだ。

在循環型工廠中,從生產物、副產物到廢棄物都會被盡可能再利用。尤其蠶被尊稱為「お蚕様」,幾乎沒有浪費。

循環型工場では生産物に副産物、廃棄物に至るまで全てを余すことなく再利用する。特に蚕は「お蚕様」と呼ばれるほど無駄がない。

平常會被丟棄的飼料殘餘、糞便、蛻皮殼、採收時的桑葉碎屑等,乾燥混合後可成為肥料或家畜飼料。

通常なら廃棄される餌の食い残しや糞、脱皮殻、収穫した時の桑のくずなどは、乾燥させて混ぜると肥料や家畜の飼料になる。

尤其是把蠶的糞便乾燥後稱為蠶沙(さんしゃ),亦可作為漢方藥材。現代的冰淇淋或綠色口香糖的綠色色素,是從蠶沙中提取葉綠素來使用的。

特に蚕の糞を乾燥させたものは蚕沙(さんしゃ)と呼ばれる漢方薬にもなる。現代のアイスクリームやグリーンガムの緑色素は、蚕沙から葉緑素を取り出して利用している。

被再利用的並不只有蠶與桑,人類的排泄物與食材剩餘也會再次利用,基本上作為肥料。取絲後留下的蠶蛹則用作鯉魚飼料。

再利用するのは何も蚕や桑だけではない。人の排泄物や食材の余り物も再利用する。基本的には肥料として再利用する。絹糸を取った後に出る蚕の蛹は鯉の餌に利用する。

肥料會用在工廠外的田地,或以低價販售給其他村落。

肥料は工場外にある田畑に利用したり、または他所の村へ低価格で販売したりしている。

工廠還有從蠶繭、棉花、麻料製絲的區域,以及以機械織布等織造布的區域,但這次只視察養蠶區。

工場は他にも蚕の繭や木綿、麻から製糸するエリアや、機械織りなどで布を編むエリアもあるが今回は養蚕エリアだけの視察にした。

靜子移往保管書類的工廠長辦公館。在那裡確認作業報告書、日誌、台帳,以及針對發生問題時的原因與對策彙整等各種文件。

静子は書類が保管されている工場長たちの工場長館へ移動する。そこで作業報告書や日誌、台帳、問題が起きたときの原因と対策を纏めたものなど、様々な書類を確認する。

「就工廠內的清潔狀況、工作環境、工具保養與文件記錄來看,並無特別問題。」

「工場内の清掃具合などの職場環境、道具の手入れ、書類の記録を確認する限り、特に問題はありません」

那一瞬間,工廠長與下屬幹部們都鬆了一口氣,有人甚至大力嘆出一口長氣,顯得十分安心。

その瞬間、工場長以下幹部たちはホッと胸をなで下ろした。中には盛大に息を吐いて安堵する者もいた。

靜子心想或許上次信長的視察實在太可怕了,但若把這話說出口會讓他們為難,於是她把疑問吞了回去。

前回の信長の視察がよほど怖かったのだろうか、と静子は内心思ったが口にして尋ねると彼らが困るため、疑問を飲み込んだ。

「這次只視察養蠶區,其他區域改日再視察。」

「今回は養蚕区画のみにし、他の区画は後日視察する事にします」

「是、是的。恭候大駕。」

「は、はい。お待ちしております」

「對了,拿出目前的見本帳。讓館主大人看看紋樣和圖案的設計。」

「そうそう。現時点での見本帳を出して下さい。お館様に文様や柄の設計を見て頂きます」

然而剛剛的安心只是短暫,他們又再次被拉回緊張狀態。

だが安堵したのもつかの間、再び彼らは緊張状態に追い込まれる。

見本帳是將工廠生產的絲線、棉布、麻布等材料裁成小片,貼在紙板上所成的樣本冊。

見本帳とは工場で生産される絹糸や木綿、麻などから作られる生地を小さく切り取って台紙に貼り付けた帳面である。

與現代的彩色印刷型目錄或傳單不同,見本冊貼的是實際布料,因此能直接確認色澤、觸感與材質的質感,這是它的優點。

現代のカラー印刷されたカタログやリーフレットと異なり、本物の生地が貼り付けてあるため色合いや触り心地、素材の質感を直に確認できる利点がある。

無論用再高品質的素材做和服,若賣不出去也無意義。但即便只是做見本,一件和服也會消耗大量的絲線。

どれほど高品質な素材を用いて着物を作ろうとも、売れないのでは意味がない。しかし見本とは言え着物一着となると膨大な量の糸を消費する。

因此會準備許多可確認色澤、質感與圖樣等的最小單位布片,作為見本冊示範,在確認設計後再接單。

そこで色合いや質感、図柄などを確認できる最小単位の小片を幾つも用意し、見本帳として示した上でデザインを確認してから注文を受けるのである。

如此一來顧客能得到理想中的和服,製作方也能避免浪費,對雙方都有利。

こうすることで顧客は思い通りの着物が得られ、制作側は無駄な消費が無く双方に利がある仕組みと言える。

因此見本冊被視為影響和服乃至原料絲線銷售的重要資料,至少每年會更新一次。

それゆえ見本帳は着物ひいては素材である糸の売り上げを左右する重要な資料とされ、一年に最低一回は更新される。

雖然也有製作見本冊上沒有的設計,但接受訂單的職人需從頭製作,缺點是在交貨前需要很長時間。

見本帳にないデザインの着物も作られてはいるが、注文を受けた職人が一から仕上げるため納品されるまでに長い時間が掛かるという欠点があった。

「這就是見本冊。」

「こちらが見本帳になります」

「謝謝。」

「ありがと」

靜子從工廠長手中接過見本冊,稍微翻看。設計樣式已超過二百種。

工場長から見本帳を受け取った静子は、軽く中を確認する。既にデザインのパターンは200種類を超えている。

實際銷售量另當別論,但至少證明了他們有能力構思出那麼多設計。

実際にどれだけ売れているかは別の話だが、少なくともそれだけの数のデザインを書き起こせる能力がある事を証明している。

「那麼今天的視察到此結束。」

「それでは今日の視察はこれで終了とします」

靜子抱著見本冊,對肅然恭敬的工廠長們如此說道。

見本帳を抱えると、かしこまっている工場長たちに向かって静子はそう言った。

回到宅邸後,靜子確認見本冊的內容。不僅是圖樣,同時也是染色的樣本冊。

邸宅に帰宅した静子は見本帳の内容を確認する。模様は勿論だが染色の見本帳でもある。

這是因為不同人對「深色」或「淺色」的印象不同。使用白布與色樣冊時,成品往往會出現「與想像不同」的「顏色不匹配」問題。

これは人によって「濃い色」や「薄い色」に対するイメージが違うのが原因だ。白生地と色見本帳を使うと、どうしても出来上がりが「思い描いたものと違う」という「色のミスマッチ」が起こる。

為避免此問題,色樣冊是貼上染過的布料;但即便如此,顏色不匹配仍會發生。

これを避けるために、色見本帳は染めた布を貼り付けている。だが、これでも色のミスマッチは発生してしまう。

布料的染色方法多種多樣,會使色澤出現細微變化,導致看起來與想像中的顏色不同。

布の染め方には様々な手法があり、それによって色合いが微妙に変わるため、思い描いた色と違う色合いに見えてしまう。

人的目光,即便是相同的顏色,先看了布片再看反物時也會覺得濃淡不同。

また人の目は、同じ色でも布きれを見た後に反物を見ると、濃淡が違うと感じてしまう。

這些情形累積在完成的反物上,讓購買者覺得與心中想像不同。

こうした事が重なり出来上がった反物に対して、購買者は思い描いたものと違うと感じてしまうのだ。

現在不是讓購買者從白布和色卡中挑選,而是讓他們挑選已完成的反物,原因是為了盡量避免購買者感覺成品的色調不同。

現在、白生地と色見本帳ではなく、完成された反物を購買者に選んで貰う理由は、仕上がりものに対して違う色合いだと購買者が極力感じないようにするための対策だ。

「嘛──在這個時代也沒法整天說什麼色調不對之類的」

「まー、この時代だと違う色合いだなんだ、なんて言っていられないけどね」

雖說是色彩不搭,但換句話說也可以說購買者有辨別「微小色差」的敏銳度。

色のミスマッチと言ったが、言い換えれば購買者には「僅かな色の違い」を見分ける繊細さがあるとも言える。

目前靜子的顧客中還沒有如此敏感的人,但無法斷言將來不會出現。

今の所、静子の顧客にそれほど繊細な人物はいないが、今後出てこないとは断言出来ない。

「說起來,那件前陣子做好的和服,好像還沒確認過穿著的舒適度吧」

「そう言えば、この間出来た着物、着心地を確認していなかったかな」

靜子確認和服,確切說是作為和服原型的小袖的穿著感。換好後沉吟了一會兒,披上羽織再進一步檢查狀況。

着物、正確には和服の元となった小袖の着心地を静子は確認する。着替えてから暫く唸った後、羽織を着てから更に状態を確認する。

「喂──靜子,有空,陪我消磨一下時間」

「おーい、静子。暇じゃ、暇潰しに付き合え」

正對著姿見確認和服的完成度時,お市毫不客氣地把門一推開進來。

姿見(すがたみ)を前に着物の出来具合を確認していると、お市が無遠慮に入り口を開ける。

對靜子毫無顧及,但就算指出也不會改善。畢竟お市的自由放任連信長也已經放棄了。

静子に対する配慮も何もあったものではなかったが、指摘したところで改善されるはずもない。何しろお市の自由奔放さは信長も諦めている事なのだから。

「那是什麼奇怪的打扮」

「なんじゃ、その珍妙な格好は」

看到穿著樸素的矢羽根紋樣(亦稱矢絣)小袖,外罩紺色、繡有櫻花花瓣的金線刺繡羽織的靜子,お市露出疑惑的表情。

地味な矢羽根(やばね)文様(矢絣(やがすり)とも言う)小袖、その上に紺色に桜の花びらをあしらった金刺繍の羽織を着ている静子を見て、お市が不思議そうな顔をする。

所謂金線刺繡並無鮮明的光彩,若要挑剔就是色澤有些黯淡,但要積極說則是沉穩的色調。

金刺繍と言っても鮮やかな輝きはなく、悪く言えばくすんだ色合いをしている。良く言えば落ち着いた色合いをしていた。

「說奇怪真是失禮了。這是領先世間流行的穿著哦」

「珍妙とは失礼ですね。世の流行を先取る服装ですよ」

「是嗎。不過現在應該還沒流行才對。因而可以說是奇怪的打扮吧」

「そうか。じゃが今は流行っておらぬのだろう。だから珍妙な格好と言えるな」

「唔,說到痛處了。那,有事嗎」

「ぐっ、痛いところを。で、何のようですか?」

無法反駁冷靜的吐槽,靜子抓頭轉移話題。

冷静な突っ込みに反論出来なかった静子は、頭をかきながら話題を逸らす。

お市似乎也沒放在心上,像是被問到有事才想起來似的,雙手合掌。

お市もそこまで気にしていなかったようで、用事を尋ねられると思い出したような表情で両手を打ち合わせる。

「噢,對了。有空,陪我消磨時間吧」

「おお、そうじゃった。暇じゃから暇潰しに付き合え」

「我很忙所以拒絕。接下來還得確認文書」

「忙しいのでお断りします。これから文の確認をしなければなりませんし」

「什麼,無趣。偶爾忘掉工作去玩也是很重要的喔」

「なんじゃ、つまらん。たまには仕事を忘れて遊ぶのも大事じゃぞ」

「你只是想自己玩而已吧?總之,不把工作處理好會被彩醬罵的,去找別人當玩伴吧」

「単に自分が遊びたいだけですよね? ともかく、仕事を片付けないと彩ちゃんに怒られますので、遊び相手は別の人を探して下さい」

「不行喔,我就是有空的」

「駄目じゃ、妾は暇なのじゃ」

支撐這種以自我為中心的絕對自信究竟從何而來,讓靜子頭都痛了。

この自分本位を支える絶対的な自信はどこから来るのだろうか、頭が痛くなった静子だった。

但辯不過也不會讓お市放棄,靜子與她相處近一年,十分能察覺到這點。

だが押し問答をしてもお市が諦めるとはとうてい思えない。それは1年近く付き合っている静子にも十分察せられる。

「既然有空就去陪孩子吧」

「そもそも暇ならお子様の相手をして上げて下さい」

「不用擔心,交給乳母就好了」

「何も心配いらん、乳母に任せておる」

「啊……是嗎」

「ああ……そうですか」

察覺無論說什麼都沒用,靜子只好放棄,陪お市消磨時間。

何を言っても無理だと悟った静子は、諦めてお市の暇潰しに付き合う事にした。

七月十日,靜子為了一樁差事前往京城。信忠(奇妙丸)的具足始之儀定於十九日,所以她想趁空檔把一筆交易處理好。

七月十日、静子はある用事で京へ向かった。信忠(奇妙丸)の具足始(ぐそくはじめ)の儀が十九日に決定したので、その合間にある取引を片付けておこうと思ったからだ。

那是一筆珍珠的交易。靜子計算了珍珠的品質與產量後,判斷從明年起能夠穩定供應。

それは真珠の取引だ。真珠の質と生産量を計算した結果、翌年から安定した供給が可能であると静子は判断した。

以前都是先賣給商人,之後再販售給寺社或武家。然而這次靜子想打進的販路是海外,也就是歐洲諸國。

今までは商人に売り払い、その後寺社や武家相手に販売されていた。しかし、今回静子が手に入れたい販路は海外、つまりヨーロッパ諸国だ。

珍珠被稱為人類最早遇見的寶石。世界最古的珍珠被稱為「トリハマ・パール」,可追溯到約五千五百年前的繩文時代。

真珠は人類が最初に出会った宝石と言われている。世界最古の真珠は「トリハマ・パール」と呼ばれるおよそ5500年前の縄文時代にまで遡る。

在《魏志倭人傳》、《古事記》、《日本書紀》、《萬葉集》等也有珍珠的記載,作為奈良時代的珍寶,正倉院收藏了四千多顆保存良好的珍珠。

魏志倭人伝、古事記、日本書紀、万葉集などにも真珠の記述は見られ、奈良時代の宝物として正倉院に保存状態の良い真珠が4000個以上も収められている。

世界最著名的珍珠是波斯灣、紅海及斯里蘭卡周邊所產的天然珍珠,稱為「東方珍珠」。

世界でもっとも有名な真珠はペルシャ湾や紅海、スリランカ周辺で採れる天然真珠のオリエンタルパールである。

這裡的歷史也可追溯到公元前,在二十世紀養殖珍珠興起之前,它一直是珍珠的重要產地。

こちらも紀元前から歴史があり、20世紀に養殖真珠が台頭するまで真珠の一大産地だった。

另有美洲大陸從加州半島到南美秘魯,以及歐洲的蘇格蘭和德國河流可採集的淡水珍珠也很有名。採得的珍珠供給王侯貴族與教會。

他にもアメリカ大陸ではカリフォルニア半島から南米ペルー、ヨーロッパではスコットランドやドイツの川で採取できる淡水真珠が有名だ。採取された真珠は王侯貴族や教会に供給された。

也就是說,靜子的商談對象是教會,具體來說是耶穌會。理由是基督教大量將珍珠用於宗教裝飾。

つまり、静子の商談相手は教会、細かく言えばイエズス会だ。理由はキリスト教は真珠を宗教的な装飾に多く利用するからだ。

此外,基督教中自古便有將耶穌基督與珍珠視為同一的思想。基督教的異端諾斯底派亦把珍珠視為最理想完成形的象徵。

またキリスト教には、イエスキリストと真珠を同一視する思想が古くからある。キリスト教の異端であるグノーシス派も、真珠はもっとも理想的な完成形の象徴としていた。

珍珠的崇敬不僅限於基督教。伊斯蘭教與佛教中,珍珠也被當作珍貴的寶物對待。

真珠を尊ぶのはキリスト教だけではない。イスラム教や仏教においても、真珠は貴重な宝物として扱われている。

不只限於宗教。歐洲諸國在中世與文藝復興時期的王侯貴族,視珍珠為最稀有的寶石,並用作權力的象徵。

また宗教だけではない。ヨーロッパ諸国における中世・ルネサンス時代の王侯貴族は、真珠をもっとも希少な宝石と考え、権力の象徴として利用していた。

不僅是宗教或權力者的權威象徵,珍珠在世界各地還被視為長壽之藥,相信具有種種功效。

宗教や権力者の権威付けだけではない。真珠には世界中で長寿の薬と考えられ、様々な効能があると信じられている。

嚴格說來它不是礦石,卻是人類最早接觸的寶石,自古以來便持續吸引著人們。

厳密には鉱石ではないが、人類が最初に出会った宝石であり、古代から人々を魅了し続けたものだ。

「我實在想不出這圓滾滾的珠子,為何南蠻人要出高價購買。」

「この丸っこい玉なんぞに、南蛮人が高い金を出す価値があるとは思えないのだがな」

長可看著當作退燒藥帶著的珍珠,喃喃自語。也無怪乎,日本雖然珍惜珍珠,但幾乎不像歐洲那般作為裝飾品使用。

解熱剤代わりに持っている真珠を、長可は眺めながら呟く。無理もない。日本でも真珠はもてはやされているが、ヨーロッパのように装飾品として使った事が殆どない。

因此長可不認為它能賣個高價也在情理之中。而且靜子生產了大量大小不一的珍珠,因此無論如何也看不出來有多值錢。

ゆえに長可が高く売れる物と思わないのも当然のことだ。そして静子が大小あわせて多くの真珠を生産している関係で、どうしても値打ちものに見えなかった。

「珍珠自古與月相聯,被視為水的象徵。伴天連的聖經中多次出現珍珠,被視為靈性上完成的物件。所以我想不會被拒絕的。」「

「真珠は古来から月と関係付けられ、水のシンボル扱いだからね。伴天連の聖書に何度も真珠は出てくるし、霊的に完成された代物とみているんだよ。だから断る事はないと思うよ」

靜子回答了長可的疑問。不過說到靈性或水的象徵,長可仍然無法領會。或許覺得麻煩,他便把珍珠塞進腰袋,放棄思考。

長可の疑問に静子が答える。しかし、霊的だ水のシンボルだと言われても、長可にはぴんとこない。その内、面倒になったのか真珠を腰袋に突っ込んで考えることを放棄した。

到達京城的翌日,靜子換上平常的男裝。剛換好,便以奧爾岡蒂諾為首,弗羅伊斯與修道士等多位耶穌會成員來訪她的宅邸。

京についた翌日に、静子はいつもの男装に着替える。着替え終えると同時に、オルガンティノを筆頭に、フロイスや修道士など多くのイエズス会メンバーが静子の邸宅を訪れた。

也不奇怪。作為商談的問候,她送了大約三十顆特八甲的珍珠。聰明的奧爾岡蒂諾光憑這些應該就能明白談的是什麼。

無理もない。商談の挨拶代わりに特八甲の真珠を30粒ほど送ったのだ。聡明なオルガンティノなら、それだけで何の話か理解したのだろう。

「雖然突然造訪,仍賜予謁見之機會,誠摯感謝。」

「急な来訪にもかかわらず、謁見の機会を設けて頂き誠にありがとうございます」

奧爾岡蒂諾代表鞠躬致謝。靜子心裡讚嘆他不愧是奧爾岡蒂諾;內心想談生意,卻完全不表露在臉上,依舊帶著一貫的和善氣度。

オルガンティノが代表して頭を下げる。流石はオルガンティノ、と静子は感心した。内心では商談の話をしたいのに、それを顔に一切出さない。いつもの柔和な雰囲気をしていた。

「請抬起臉來。這次不是拘謹的正經話題,但因為是生意上的事,或許會有些嚴肅的面向。」

「面を上げて下さい。今回は堅苦しいお話ではないのですよ。ですが商売のお話なので、少々厳しい面が出るかもしれません」

「哈哈,我知道的。」

「ははっ、それは存じております」

「言歸正傳,閒聊固然可行,但也不宜讓各位久候。首先請看我們的商品。」

「さて、雑談も良いですがお待たせし過ぎるのも問題ですね。まずは我々の商品をご覧下さい」

拍手示意後,侍從們端著膳盤一手進入房中。

両手を叩いて合図をすると、小姓たちがお膳を片手に部屋へ入ってきた。

膳盤上擺了幾顆珍珠,侍從在奧爾岡蒂諾等人面前將其放下,行禮後退出房間。

お膳には真珠が数粒のせられており、小姓たちはそれをオルガンティノたちの前に置くと、一礼して部屋を後にする。

「請盡情觀賞。這是我國生產的(・・・・・)珍珠。」

「存分にご覧下さい。我が国で生産された(・・・・・)真珠です」

奧爾岡蒂諾對「生產」一詞微微反應,卻未發問,連同墊在下方的布一併拿起膳盤上的珍珠。他覺得色澤與光澤完美得前所未見。

生産という言葉に一瞬反応したオルガンティノだが、質問を口にせずお膳に置かれた真珠を下に敷かれた布ごと手に取る。色や艶は今まで見た事がないほど完璧だと彼は思った。

形狀也近乎完美的圓形,布包著提起一顆時在布上滾動。迄今所見的珍珠多半形狀不規則,圓的極為罕見。

また形も真円に近く、布で包んで一粒持ち上げると布の上でコロコロと転がった。今まで見てきた真珠は形が歪で、丸いものは滅多に見た事がない。

「品質極佳的珍珠。」

「素晴らしい出来の真珠です」

珍珠的品質即便讓不擅長飾品的奧爾岡蒂諾也讚嘆不已。然而即便不熟悉飾品,他長期觀察珍珠的經驗讓他發現了一些異狀。

真珠の質は、装飾品に疎いオルガンティノでも唸るほどの出来映えだった。ただし、疎いといえども真珠を良く見るオルガンティノはある事に気付いた。

「然而,這似乎與我所知的不同。這等近乎完美的真圓,若只有一顆可稱為奇蹟,但要收集這麼多顆,必然有人為之手介入才可能。」

「しかし、これは私の知るものと違うようです。そして見事なまでの真円、一つなら奇跡と言えましょう。ですが、これだけの数を集めるには、何かしら人の手が入ってなければ出来ません」

歐洲習慣使用淡水珍珠,與海水珍珠在色澤與光澤上不同。不僅如此,形狀幾乎一致這點,令他感到違和。

ヨーロッパは淡水産真珠を使用しているため、海水産真珠と色合いや艶が違う。それだけではなく、形が殆ど均一な所に、彼は違和感を覚えた。

在通常情況下,珍珠中混有些微形狀差異並不奇怪,但這些珍珠形色統一得令人毛骨悚然。憑這種違和感與靜子的行為,他推測這是人工養殖的珍珠。

通常なら少しは形が違うのが混ざっても不思議ではない真珠において、不気味なほど形や色が統一されていた。その違和感と静子の行動から、人工的に作られた真珠だと推測した。

「佩服您的慧眼。我們從鄰國取得了珍珠技術,終於能在我國進行珍珠生產。」

「ご慧眼恐れ入ります。隣国より真珠の技術を取得し、ようやく我が国での真珠生産が可能となりました」

「惶恐承教。但遺憾的是,我等無法將有人為介入的物獻給我們的主。」

「恐縮です。しかし、残念ながら人の手が入っているものを、我らが主に捧げる訳には参りません」

靜子理解奧爾岡蒂諾的反應是理所當然的。向被崇敬的對象獻上養殖品而非天然品,即便內在相同也會有抵觸感。

オルガンティノの反応は当然だと静子は理解していた。崇める対象に天然ものではなく養殖ものを捧げるのは、例え中身が一緒と理解していても抵抗感があるのだろう。

正因如此,靜子決定不把珍珠供給耶穌會,而是瞄準那些站在他們背後的人來供應。

だからこそ、静子は真珠をイエズス会ではなく、彼らの後ろにいる人たちに供給すると狙いを定めた。

「我理解這一點,也明白強迫我們去使用是不禮之舉。但王侯貴族們會如何?」

「それは理解しております。そして使え、と我らが強要するのは無礼だという事も。しかし、王侯貴族たちは如何でしょうか?」

這一句讓奧爾岡蒂諾大致猜到靜子要表達的意思。

その一言でオルガンティノは静子が言いたい事を大体察した。

「承蒙關照。頭巾宰相大人是想賣給支援我們的王侯貴族,而非賣給我們?」

「恐れ入りました。頭巾宰相殿は我々にではなく、我々を支援している王侯貴族に売ろうとお考えなのですか」

「或許失禮,但訪我國的外國商人中,能獲得本國王侯貴族信任者有多少?因此我們認為應該先把珍珠賣給你們。」

「失礼と存じますが、我が国を訪れる異国の商人たちで本国にいる王侯貴族たちの信頼を獲得している者はどれほどおられるでしょうか。ゆえに我々はあなた方へ真珠を売ろうと考えました」

「原來如此,我了解情況。細緻的質地與其他珍珠所沒有的透明感光澤很美,我個人認為是好珍珠。但若談到買賣就另當別論,而這些珍珠是否能為王侯貴族接受亦屬另一問題。」

「なるほど、事情は理解しました。キメが細かく、他の真珠にはない透明感のある照りは美しい、と私個人は良い真珠と思います。ですが、売買となればお話は別です。そしてこの真珠が王侯貴族たちに受け入れられるかも別問題であります」

「當然。無論我們如何強調其品質,從你們角度看來仍可能被視為來歷不明、類似珍珠的物品,這是理所當然。我們所謂的買賣,可說是事前的交易。」

「勿論です。いかに良い出来と我々が力説しても、あなた方から見れば素性の知れぬ真珠に似た何か、と考えるのは当然のことです。売買のお話、と申しましたがこの場はいわば事前の取引です」

如今雖為世界上最普遍的阿古屋珍珠,但在戰國時代阿古屋珍珠的交易幾乎等於不存在。歐洲的王侯貴族們有可能會拒絕也是十分可能的。

今でこそ世界でもっとも一般的なアコヤ真珠だが、戦国時代はアコヤ真珠の取引など皆無に等しい。ヨーロッパの王侯貴族たちが忌避する可能性も十分ある。

然而,靜子有勝算:中世與近世的歐洲因過度濫捕珍珠貝導致珍珠流通量極度減少,以及哥倫布對日本珍珠的熱衷,這兩點。

しかし、静子には勝算があった。中世や近世ヨーロッパは真珠貝を乱獲し過ぎて、真珠の流通量が極端に減っている事、コロンブスが日本の真珠に熱心だったという二点だ。

因此即使耶穌會不把珍珠用作教會裝飾,靜子仍判斷王侯貴族們可能會尊重珍珠。

ゆえにイエズス会が教会の装飾品として使わなくても、王侯貴族たちは真珠を尊ぶ可能性はあると静子は判断した。

「既然您已考慮至此,想必也能理解接下來我要說的事吧。」

「そこまでお考えになられているのなら、次に私が何を言うかもご理解頂けるでしょう」

奧爾岡蒂諾像是在試探靜子般開口。雖然面帶和煦的氛圍,卻讓人無法猜測他心底到底在想什麼。

静子を試すようにオルガンティノは言う。にこやかな雰囲気は崩していないが、それが腹の底で何を考えているか推測すらさせなかった。

察覺到他話意的靜子向站在入口的小姓示意,讓他拿來某樣東西。不久,擺有幾個桐木盒的膳桌被放到奧爾岡蒂諾面前。

彼が何を言いたいか察した静子は、入り口にいる小姓に合図してあるものを持ってこさせる。少しして幾つかの桐箱が乗ったお膳がオルガンティノの前に置かれた。

「將送上供王侯貴族觀賞之珍珠,以及以該珍珠製作之飾品。請盡情拿去讓他們觀覽」

「王侯貴族たちに見せる為の真珠と、その真珠を使った装飾品をお譲りします。存分に彼らに見せつけて下さい」

聽到靜子這番話,奧爾岡蒂諾露出笑容。她的回應對他而言可謂完美。

静子の言葉を聞いたオルガンティノは笑みを浮かべた。彼女の回答はオルガンティノにとって完璧と言えた。

再怎麼說好聽,身在日本的奧爾岡蒂諾也沒有能力動用大筆資金。況且即便買下珍珠,不把它做成飾品也無法評斷其好壞。

幾ら良いと言われても、日本にいるオルガンティノに大金を動かすほどの力はない。また、仮に真珠を購入しても真珠の良さは、装飾品にしなければ善し悪しを判断出来ない。

只要有珍珠與以珍珠製成之飾品兩者,就能看出歐洲王侯貴族會有怎樣的反應。當然,個人的喜好會各異,這點只能接受並放棄爭論。

真珠と真珠を使った装飾品、二つがあればヨーロッパの王侯貴族たちが、どの様な反応を示すか分かる。無論、個人的な趣味で好悪が分かれるが、そこは仕方ないと諦めるほかない。

「不愧是聰明的頭巾宰相大人。那麼就用這些來試探王侯貴族的反應吧。若他們喜歡,屆時再談商談。不過本國距此遙遠,耗時請您諒解」

「流石は聡明な頭巾宰相殿です。それではこれらを用いて、王侯貴族たちの反応を窺いましょう。もし、彼らが気に入ったのなら、改めて商談のお話をさせて頂きます。ですが、本国はここより遙かに離れた場所、時間がかかるのはご承知頂きたい」

「我已明白」

「承知しております」

在那段對話結束後,靜子與奧爾岡蒂諾的商談就已結束。商談結束後稍作寒暄,奧爾岡蒂諾等人為了教會事務離開了靜子的宅邸。

その会話のやり取りを最後に、静子とオルガンティノの商談は終わった。商談後、少し会話を交わした後、オルガンティノたちは教会の用事を片付けるため、静子の邸宅を後にする。

他們離去約半刻鐘後,靜子脫去男裝換回平時的衣服。

彼らが去って半刻ほどしてから、静子は男装をやめて普段着に着替えた。

「啊~,累死了。本以為會被緊緊盯住,結果他們反而態度相當謹慎呢」

「っあ〜、疲れた。がっつり食い込んでくるかと思ったけど、割と慎重な態度を見せてきたねぇ」

靜子伸展身體放鬆。男裝因各處束縛關係會讓身體僵硬,結束後若不活動一下,隔日會很慘。

背伸びをして静子は身体をほぐす。男装は身体のあちこちを固定する関係で、身体が固まってしまう。終わった後、身体をほぐしておかなければ翌日悲惨な事になる。

「聽說伴天連不喜歡做買賣,結果還是挺入戲的嘛」

「伴天連は商売を嫌っているとの噂だったが、割と話に食いついてきたな」

長可也伸了伸懶腰放鬆身體。他不善於嚴肅的話題,連談商事都會覺得肩膀緊繃。他一邊捏著肩膀,視線卻始終警戒四周。

長可も背伸びをして身体をほぐす。硬い話が苦手な彼は、商談話ですら肩がこる。肩を揉んでいたが、その視線は常に周囲を警戒していた。

才蔵總是處於能隨時庇護靜子的位置,整個人放鬆但保有戒備。慶次看似毫無防備,實則一手常握著刀。

才蔵はいつでも静子を庇える位置に身を置き、全身の力のみを抜いた脱力状態だった。慶次は一見隙だらけに見えるが、片手が常に刀を握っていた。

在這種狀態下若攻向靜子,最多也只是使三人之中某人受傷;運氣差些,反而有可能被襲擊者斬傷。

この状態で静子に襲いかかっても良くて三人の内の誰かが負傷させられる程度、運が悪ければ逆に襲いかかった人間が斬られるのが落ちだ。

他們警戒周遭並非無故。自商談結束時起,三人便察覺有人在暗中偵伺。

彼らが周囲を警戒しているのには理由がある。商談が終わった頃から、三人は間者がいると認識していた。

但從對方身上感覺不到殺意或敵意,只感到如薄霧般模糊的氣息。身處敵地卻能將存在感完全抹去,三人對那等本領無不讚嘆。

だが相手からは殺意も敵意も感じられず、ただぼんやりした霧のような気配だけしか感じられなかった。敵地に入り込んでいながら、これほど存在を消せる腕前に三人は舌を巻いた。

三人一邊警戒一邊試圖探查對方所在卻無法定位。那也無可厚非,對方乃是鳶加藤。

三人は警戒しつつも相手の居場所を探るが特定出来なかった。それも仕方ない、相手は鳶加藤なのだから。

鳶加藤見三人處於過度警戒,便如同消失般離開了靜子的宅邸。確認間者已離去後,三人輕輕呼出一口氣。

三人が無用な警戒を抱いていると知った鳶加藤は、そのまま消えるように静子の邸宅から立ち退いた。間者が立ち去った事を理解すると三人は小さく息を吐いた。

「那麼,還有一件工作要處理吧」

「さて、もう一つの仕事を片付けましょうか」

一無所覺的靜子一邊寫信一邊與三人說話。

何も知らない静子は、手紙を出しながら三人に話しかけた。

另一端,奧爾岡蒂諾回到教會後召集了同派系的人。耶穌會看似一體,實則存在鴿派與鷹派兩種勢力。

一方、オルガンティノは教会に戻ると、同じ派閥の人間を集めた。イエズス会は一枚岩に見えてハト派とタカ派の二種類が存在する。

耶穌會的宿願是於中國傳播基督教,但基本方針是「入鄉隨俗」。不過也有人不同意此見,對於在日本的布教意見向來分歧。

イエズス会の悲願は中国でのキリスト教布教だが、基本的に「郷に入りては郷に従え」が活動の基本指針だ。だがその意見に賛同しない人物もおり、日本布教は常に意見が割れていた。

耶穌會的不幸在於掌管日本布教總責的竟是屬於鷹派的卡布拉爾。據說奧爾岡蒂諾為此對未來的布教感到憂心。

そんなイエズス会の不幸は、タカ派にあたるカブラルが日本の布教総責任者だという事だ。このことにオルガンティノは、今後の布教が不安だと嘆いたとも言われている。

另一位屬於鷹派的人是加斯帕爾·科艾略。他甚至制定計畫要將日本人改宗為基督徒,讓日本成為基督教國家,作為進攻鄰國中國的先鋒。

他にタカ派にあたる人物はガスパール・コエリョだ。彼は日本人をキリスト教に改宗させ、日本をキリスト教国家にし、隣国の中国へ攻める先兵にする計画まで立てた。

因此科艾略獲得特別差的評價,甚至在耶穌會內有人說「伴天連被驅逐是因為他」。

それゆえコエリョは特別悪い評価を受け、同じイエズス会からも「伴天連追放令が出たのは彼のせい」と言われるほどだった。

但在方濟會與道明會眼中,耶穌會是溫和派,甚至被視為懦弱之人聚集,科艾略並非特例。

しかしフランシスコ会やドミニコ会から見れば、イエズス会は穏健派、悪く言えば腰抜けどもの集まり扱いで、コエリョが特殊な人という訳ではない。

反而像科艾略這樣的人在多數修道會中更為常見。當然,若一開始來的是道明會的修士,日本不會有如此廣泛的布教情況。

むしろコエリョのような人物が大多数を占める修道会の方が多かった。もっとも、最初からドミニコ会の修道士が来た場合、日本でこれほど布教が広まる事はなかったであろう。

「我們從頭巾宰相殿那裡得到了珍珠。借用他的話,這似乎是人手所製之物」

「頭巾宰相殿から真珠を頂きました。そして彼の言葉を借りれば、これは人の手で作りしもののようです」

奧爾岡蒂諾向聚集的鴿派人士展示阿古屋珍珠。阿古屋珍珠的光澤令眾人都發出讚嘆。

集まったハト派の人間に、オルガンティノはアコヤ真珠を見せる。アコヤ真珠の輝きにみな感嘆の声を上げる。

「能做出這種東西,頭巾宰相殿是否得到了神的智慧?」

「このようなものを作り出せるとは、頭巾宰相殿は神の英知を得し者ですか」

「卡布拉爾大人警戒不願相見也令人能理解。和之前遇到的日本人完全不同」

「カブラル殿が警戒して会わないのも納得です。今まであった日本人とまるで違う」

即便被告知是人工製品,他們仍被珍珠優雅的光彩所迷住。性急的人已開始盤算要如何從靜子那裡獲得珍珠。

いくら人工物だと言われても、彼らは真珠の優美な輝きに魅了されていた。気の早い人間は、既にどの様な方法で静子から真珠を得ようか算段していた。

「我曾告訴他,既為人工製作之物便不能獻給神,但這珍珠確實是極具魅力的寶石」

「人の手で作られたものゆえ神に捧げる事は出来ない、と私は彼に言いましたが、この真珠は魅力的な宝石です」

奧爾岡蒂諾一邊隔著布在手心把玩珍珠一邊說話。他對在教會使用養殖珍珠有所遲疑,但對出售給歐洲王侯貴族則無那般排斥。

布越しに手のひらで真珠を弄びながらオルガンティノは語る。養殖真珠を教会で使用するのは躊躇う彼だが、ヨーロッパの王侯貴族たちに売る事に対しては忌避感を抱かなかった。

他反而以現實角度思考,覺得或許能從那裡獲得活動資金。

むしろ彼らから活動資金を得られるかもしれない、と現実を見て物事を考えていた。

「正如奧爾岡蒂諾所言。為了籌措我們的活動資金,這珍珠可以派上用場」

「オルガンティノ殿の言うとおりです。我々の活動資金を得るためにも、この真珠は使えます」

「本國的權勢者若非潔淨之人,連見面都不會有機會。但要保持身形潔淨、穿著華麗的服飾也需要資金」

「この国の権力者は清潔な人物でなければ会うことすら出来ぬ。だが身体を身綺麗に保ち、華やかな衣装を纏うにも資金がいる」

「可悲的是,要在這國布教需要大量活動資金。然而即便向果阿提出,也難以說服他們接受」

「悲しいかな、この国で布教をするには、多くの活動資金が必要だ。だがゴアにそれを申し出ても、中々納得して頂けない」

在奧爾甘蒂諾的話語下,修道士們紛紛發表意見。披著破爛衣服進行傳教在基督教中被視為正統的傳教方式,但在日本通常會被拒之門外。

オルガンティノの言葉に修道士たちが口々に考えを言う。ボロを纏っての布教はキリスト教における正しい布教スタイルだが、日本ではたいてい門前払いだった。

原因有很多,但最大的是氣味。氣味會因濕度而放大,雖然在乾燥的歐洲可能不成問題,但在高溫多濕的日本,如果身體不乾淨便會非常難聞。

様々な要因があるが大きいのは臭いだ。臭いは湿度で増幅されるため、乾燥している欧州では問題なくとも、高温多湿の日本では身体を清潔にしていなければ酷く臭う。

據說宮本武藏除了出生時的浴湯外一生未曾入浴,即使相隔一百公尺以上,也能藉由氣味辨出他的位置。

産湯以外、一度も風呂に入らなかった宮本武蔵は、100メートル以上離れていても臭いで居場所が知られていたと言われている。

反觀歐洲則曾相信洗澡會使人容易生病。如今成為宣教師的他們原本多出身上流階級,其中也有人由軍人或醫生轉而成為宣教師。

対して欧州は風呂に入ると病気になりやすいと信じられていた。今は宣教師の彼らも元は上流階級の人間で、中には軍人や医者から宣教師になった者もいる。

「然而,過於華麗的服裝會招致卡布拉爾大人的不悅」

「しかし、華美に過ぎる服装はカブラル殿の怒りを買う」

經過適應主義之後對洗澡的厭惡感雖然減弱,但並非完全消失。

適応主義により入浴に対しての嫌悪感は薄くなったが、決してなくなった訳ではない。

而作為日本傳教首領的卡布拉爾對適應主義持否定態度,討厭宣教師以整潔的打扮出現。

そして日本布教のトップであるカブラルが適応主義に否定的で、宣教師が清潔な格好をするのを嫌悪している。

「要傳教需要當地的協助者。若得不到權力者的庇護,傳教便難以進行。為何卡布拉爾大人不願去了解這件事?」

「布教するには現地の協力者が必要。権力者の庇護を得られなければ、布教もままならない。何故、カブラル殿はその事を知ろうとしない」

「正是如此。為了傳教我們施行各種方策,卻被一律否定,實在令人無法忍受。」

「左様。布教のためゆえ、様々な手を講じているのに、全てを否定されるのは我慢ならぬ」

為了傳教,即便是令人厭惡之事也當作神的試煉來度過。他們抱持那樣的覺悟處理事務,然而卡布拉爾凡是他不喜歡的事都一概否定。

布教のためなら例え嫌悪する事でも、神の試練と考えて乗り切る。その覚悟をもって事にあたっているが、カブラルは自分が気に入らない事は全て否定する。

因此在宣教師之間對卡布拉爾的不滿積累了起來。

そのため宣教師の間でも、カブラルに対する不満が溜まっていた。

「喂喂,各位。說人閒話並不好。先深呼吸,稍微冷靜一下吧。」

「まぁまぁ、皆さん。人の陰口を叩くのは良くありません。息を整えて一旦落ち着きましょう」

「可是,奧爾甘蒂諾大人……」

「しかしオルガンティノ殿……」

「我能理解諸位的不滿。然而主曾教導:放下怒氣,拋棄憤怒,寬恕你所憎恨的人。卡布拉爾大人使我們注意到些許未曾察覺之處。我們當以感謝之心,而非懷恨在心」

「皆さまの不満も理解出来ます。しかし、主は仰いました。怒りを解き、憤りを捨てよ。憎き相手を許せ、と。カブラル殿は我々が気付かなかった所を気付かせてくれました。感謝こそすれ、憎しみを抱く方ではございません」

奧爾甘蒂諾一番話,眾人沉默。被他如此說明,再多的抱怨也只會淪為一時怒氣的發言。

オルガンティノの言葉に全員が黙る。彼にそこまで言われては、これ以上の愚痴はただ怒りにまかせた言葉になるからだ。

「暫且先保留關於珍珠的事。先將一些送往果阿,待收到回覆後再討論如何處置。」

「ひとまず真珠については保留にしましょう。幾つかをゴアへ送り、その返答を以て、再度扱いについて話し合う事にしましょう」

再繼續討論下去就會變成抱怨卡布拉爾的場面。奧爾甘蒂諾這麼想,雖然有些強硬,便結束了會議。

これ以上の話し合いは、カブラルへの不満を言う場になる。そう考えたオルガンティノは、いささか強引ではあったが、話し合いの場を終了させた。