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戦国小町苦労譚

1572年 七月上旬

本願寺與武田主導的包圍網正逐步完成,然而被包圍的織田領內並沒有戰時特有的緊張感。

本願寺と武田が主導する包囲網は完成しつつあったが、包囲されているはずの織田領内には戦時特有の緊張感が存在していなかった。

潛伏在織田領內的本願寺間諜回報,織田家並未察覺武田的背叛,也不知道包圍網正在收緊。

織田領内に潜伏している本願寺の間者からは、織田家は武田の裏切りに気づいておらず、包囲の網が狭まりつつあるという事も認識していないという報告が齎(もたら)された。

聽到那報告的顯如與他的側近們暗自竊喜。後世被稱為「大坂之左右之大將」的下間頼廉,聽報告時甚至低聲喃喃道「勝った(勝了)」。

その報告を耳にした顕如や彼の側近たちは策がなったことにほくそ笑む。後世において「大坂之左右之大将」と呼ばれる下間(しもつま) 頼廉(らいれん)などは、報告を聞くやいなや「勝った」と呟くほどだった。

「在弱兵齊聚的織田,想打敗名震天下的武田,百中無一。上次是朝倉的笨蛋拖了後腿,讓織田逃走;此次是從未敗北的武田,漏網之魚萬中無一。」

「弱兵揃いの織田では、天下にその名を響かせる武田に勝つなど百に一つもありはせぬ。前回は朝倉の阿呆が足を引っ張り、織田の逃亡を許したが、此度は負け知らずの武田だ。討ち漏らすことなど万に一つもあろうはずがない」

這種認識不僅存在於本願寺,主張反織田的國人與將軍義昭也同樣如此。

この認識は本願寺だけではなく、反織田を掲げる国人や将軍義昭も同じだった。

事實上,武田三十多年來未被他國入侵,反而多次對外用兵獲勝,最差也能逼成和局。

事実として武田は三十年以上も他国から国土を侵されたことがなく、逆に他国を攻めては勝利を収め、最悪でも引き分けに持ち込んでいる。

相對而言,織田家所擁有的尾張兵以弱卒著稱,甚至有人揶揄甲斐的兵一人相當於五名尾張兵。

逆に織田家が擁する尾張兵は弱卒として有名であり、武田が抱える甲斐兵一人は尾張兵五人に値すると揶揄される程の評価であった。

「此次就交給武田吧。我等逞強只會擾亂武田的步調。依武田之請行動,我等則專注於諸侯的整合與幕後工作。」

「此度は武田に任せよう。我らが出しゃばり武田の足並みを乱すのは得策ではない。武田からの要請に応じて動き、我らは諸侯の取りまとめや裏方仕事に徹することとしよう」

「是!」

「はっ!」

接受顯如的下令後,側近們各自開始執行該做之事。

顕如の下知を受け側近たちは各々のやるべきことに取り掛かる。

他們腦中唯有武田統一天下後自己將如何運作,對於不可預見事態的防備甚至未曾掠過腦際。

彼らの頭には武田が天下を統一した後、自分たちがどの様に立ち回るかということしかなく、不測の事態への備えなど脳裏を過ることすらなかった。

然而他們大意了。

しかし彼らは油断していた。

無論兵力多弱,一旦被逼入絕境,如諺語所示「窮鼠咬貓」,也會對掠食者露出獠牙,甚至割斷其喉嚨。

いかに弱兵であろうとも死地に追い込まれれば『窮鼠猫を噛む』の諺が示すように、捕食者に対して牙を剥き、その喉笛を掻き切ることすらあるという事を。

還有另一項誤算。尾張兵絕非徹底的弱兵。或許從前曾是如此,但現在明顯已不同。

更にもう一つの誤算がある。尾張兵は決して弱兵などではない。かつてはそうであったかも知れないが、今は確実に違う。

尾張本就多肥沃良田,日常取得糧食容易。

元々尾張には肥沃な土地が多く、日々の糧を得ることが容易であった。

相對地,位處險峻山岳的甲斐,連維持生計都需相當實力,也就是在生存競爭中鍛鍊,因而基礎體力不同。

一方険しい山岳部にある甲斐では糊口を凌ぐにも相応の実力を求められる。つまり生存競争で鍛えられているため、基礎となる地力が違うのである。

因而每名士兵的基礎實力差異,成為將尾張視為弱兵、武田為精銳的原因之一;但這僅限於比較把一般人動員上戰場的非常備軍時。

このことに起因する兵士一人辺りの実力差が、弱兵の尾張と精強なる武田という評価を得る一因となっていた。しかしこれは一般人を戦場に連れ出す、非常備軍を比較した場合に限る。

即使是一般人,經由訓練亦能獲得堪比運動員的體能,基礎能力是能透過鍛鍊累積而提升的。

一般人であっても訓練次第ではアスリートに匹敵する身体能力を獲得し得るように、基礎能力とは鍛錬を積み重ねることで高めることが出来る。

然而在以農民徵兵充當足輕的戰國時代,訓練他們幾乎是不存在的概念。

しかし農民を徴兵して足軽とする戦国時代において、彼らを訓練するなどという考えは無きに等しい。

僅限子弟門客或家臣親族等有限的將兵候補,會接受戰鬥訓練。

子飼いの配下や家臣の親族等、限られた将兵候補に限れば戦闘訓練も施されてはいた。

此常識被信長打破。憑藉雄厚財力實行兵農分離,建立常備軍。

この常識を信長は打ち破った。豊富な財力を背景に兵農分離を行い、常備軍を抱えるようにしたのだ。

而靜子更將此向前推進一步。為降低新兵的損耗率,建議設置大規模兵士訓練所,施以徹底的新兵訓練。

そして静子は更にそれを一歩推し進めた。新兵の損耗率を下げるため、大規模な兵士訓練所を設け、徹底した新兵訓練を施すように進言したのだ。

其結果,被嘲為弱兵的尾張軍發生了翻天覆地的變化。

その結果、弱兵と嘲られた尾張兵は一変した。

極為苛烈的基礎訓練,在通過者之間被稱為「佛的一週間、修羅的三か月、地獄的半年、死を望む三か月」,令人畏懼。

苛烈を極める基礎訓練は、それを修了した新兵たちの間で「仏の一週間、修羅の三か月、地獄の半年、死を望む三か月」と恐れられるようになっていた。

不過通過靜子的兵士訓練所者,能享受與其殘酷經歷相稱的利益。

ただし静子の兵士訓練所を潜り抜けた者には、過酷な経験に相応しい利益を享受することができる。

其一,訓練修了者不愁仕官;成為他們雇主的武將深知那訓練有多麼嚴苛。

第一に、訓練修了者は仕官先に困らない。彼らの雇用主となる武将は、その訓練が如何に過酷であるかを知っているからだ。

有人甚至將嫡子從帶有親情的父母處送走,投入訓練所。

肉親の情が入り込む親許から離し、嫡子を訓練所に放り込む者すら居た。

其二,只要能做基本的應對且未涉犯罪,身份出身不再受拘束。

第二に基本的な受け答えができ、犯罪に手を染めていなければ一切の身分を問わない点だ。

在長子繼承為常識的戰國與江戶時代,繼承家督的嫡男以外的待遇說白了就是不遇。

長子相続が常識である戦国時代や江戸時代において、家督を継ぐ嫡男以外の扱いは有体に言って不遇であった。

若嫡男不測,他們作為備案會被留在家中一室,被稱為「部屋住み」。

嫡男にもしもの事があった場合の予備として、家の一室に留め置かれ『部屋住み』と呼ばれることになる。

他們不但無法自立立家,連娶妻也不被許可,生活如同揣摩家長臉色的寄人籬下。

自身の家を立てることはおろか、妻を娶ることも許されず、家長の顔色を窺う居候のような扱いを受けた。

即便代代更替,嫡男繼承家督後,部屋住み的處境仍未改變;他們被當作當主的備案來供養,過著只為應對當主萬一的生活。

代替わりをし、嫡男が家督を相続しても部屋住みは変わらない。当主となった嫡男に養われつつ、当主の万が一に備えるだけの人生を送ることになるのだ。

因此不願被人飼殺的很多人選擇出奉公或出養為人,次男以降者尤多。備案只需一人,三男以後甚至連「部屋住み」都做不得。

それゆえ飼い殺しの人生を嫌い、奉公や養子に出る次男以降も多かった。予備はひとつあれば良く、三男以降は『部屋住み』にすらなれない。

不過嫡男的地位伴隨著責任。

とはいえ嫡男の立場には責任が付き纏う。

接受父母全部財產的代價,是要負起不只自己家人的生活,還要養活兄弟姊妹、為兄弟尋找奉公或出養之處,姊妹出嫁時也須支付嫁妝的責任。

親からの財産を全て受け取る代わりに、自身の家族はもとより、兄弟姉妹の食い扶持を稼ぎ、兄弟の奉公先や養子先を探し、姉妹が嫁入りするとなれば持参金を持たせてやる責任があった。

放眼世界,能有奉公或出養這些選擇的日本已屬較好情況。

世界的に見れば養子や奉公という選択肢がある分、日本はマシな部類であった。

世界上,特別是歐洲,奉公或出養的觀念僅存在於德國一部分地區,基本上人要麼被家長飼殺,要麼只給少許遣散費就被驅逐。

世界、特に欧州では奉公や養子に出るという考えはドイツの一部にしかなく、基本的に家長に飼い殺しにされるか、僅かばかり手切れ金を渡され放逐されるのが常だった。

因此家內的家督爭奪容易發生,家長死亡時有時不但不哀悼,反而有人慶祝。

それゆえ身内での家督争いが起きやすく、家長が死亡した際に死を悼むどころか祝福することさえあった。

但繼承財產者也像在日本一樣,需承擔對兄弟姊妹的責任。

ただ財産を相続した者には、日本と同じく兄弟姉妹に対する責任が課せられた。

此外還有成為聖職者的路,或作為騎士服侍王者的道路,但特權為有力者所掌握,家族勢力的實力在很大程度上決定了能否走上那些道路。

他にも聖職者になる道や、騎士として王に仕える道もあるのだが、特権は有力者が独占しており、自身の属する一族がどの程度実力を持っているかが大きく影響した。

把話題拉回來,最後一項好處是訓練期間會保證提供膳食與住宿。即便被認定不具備作為士兵的適性而脫落,也有一段觀察期用以判定。

話を戻して最後の利点は、訓練の期間中は食事と住処が保証される事だ。兵士としての適性がなく脱落するとしても、判断されるまでの見定め期間が存在する。

在此期間可獲得三餐與溫暖的床鋪。然而訓練極為嚴酷,若只是為了吃住而應徵,根本不划算。

その間は三度の食事に温かい寝床が得られるのだ。しかし課せられる訓練は熾烈を極めるため、寝食のためだけに志願するのでは割に合わないこと甚だしい。

當反織田勢力的本願寺、朝倉、淺井暗中活動時,將軍義昭也在暗地裡策劃著。

反織田筆頭の本願寺や朝倉、浅井が暗躍している頃、将軍義昭もまた陰で画策していた。

雖然彼此不合、關係微妙,但表面上與信長笑臉相迎,背地裡卻在準備對決。

そりが合わず微妙な仲となってはいたが、表面上は信長とにこやかに付き合い、裏では対決の準備を進めていた。

自1570年第一次織田包圍網崩潰兩年後,第二次織田包圍網正穩步且悄然地靠近信長的腳下。

千五百七十年の第一次織田包囲網が崩壊してから二年、第二次織田包囲網が着実に、そして静かに信長の足下に忍び寄っていた。

六月下旬,靜子為了螺旋槳船的試運轉前往知多半島一帶。雖然試運轉在長良川也沒問題,但螺旋槳船是以在外洋活躍為設計考量。

六月下旬、スクリュー船試運転のために静子は知多半島方面へ向かう。試運転ゆえ長良川でも問題なかったが、スクリュー船は外洋で活躍することを念頭に置いて設計されている。

因此在海上試運轉更合乎理。反過來說,河川不必拘泥於螺旋槳船,現有的和船就足以應付。

よって海で試運転する方が理に叶っている。逆を言えば河川はスクリュー船に拘る必要はなく、現在の和船で十分賄えた。

「那麼,請開始吧」

「それでは始めて下さい」

被信長授與視察全權的靜子發出了試運轉開始的號令。

信長より視察の全権を与えられた静子が、試運転開始の合図を下す。

此次試運轉的螺旋槳船準備了兩種型式:單人乘與雙人乘兩種。

今回試運転するスクリュー船は2タイプを用意している。一人乗りと二人乗りの2種類である。

單人乘顧名思義,僅有一名乘員須獨自操控一切。

一人乗りはその名が示す通り、乗員が一人のみで全てを操作する。

它像現代摩托艇那樣將操舵裝置與螺旋槳整合,舵控與動力輸出調整都需由一人完成。

操舵装置とスクリューが一体化した現代のモーターボートのようになっており、操舵も出力調整も全て一人でこなす必要がある。

雙人乘則將裝置分工,舵手與輸出調整手相互協作來操作船隻。

二人乗りは装置が分かれており、操舵手と出力調整手とが互いに連携しあい船を操作する。

不做成三人以上的理由是裝置簡單,多於專任以外的乘員反而會礙事。況且操縱本就需嚴格訓練,無法挪出多餘人手。

三人乗り以上にしない理由は、装置が単純であり専任以外の乗員は邪魔になるためだ。そもそも操縦に厳しい訓練を要するため、余剰人員など割きようがない。

兩種型式的基本船體結構相同:以外燃機關──斯特林引擎的轉動,透過曲柄機構傳遞來驅動樹脂製螺旋槳旋轉。

船の基本構造はどちらのタイプにも共通している。外燃機関であるスターリングエンジンの回転をクランク機構によって伝達し、樹脂製のスクリューを回転させる仕組みだ。

各型的差別在於引擎輸出。雖需安排專任操縱手,但能將裝置放大,隨著大型化輸出會大幅增強。

それぞれのタイプの違いはそのエンジン出力にある。専任の操縦手を用意する必要がある代わりに、装置を大型化することができ、大型化に伴って大きく出力が増強する。

儘管所搭載的系統與零件大致通用,開發時程仍延長,原因在於變速箱與扭力轉換器。

搭載されるシステム及びパーツ類が共通しているにも関わらず開発期間が長期化したのは、ギアボックスとトルクコンバーターに原因があった。

要有效率地運用螺旋槳船,必須能動態且迅速地變更螺旋槳的轉速與轉矩。

スクリュー船を効率的に運用するには、スクリューの回転速度と回転力を動的に素早く変更する必要がある。

為了實現此點,需要作為變速機構的變速箱與扭力轉換器。

これを実現する為に変速機構であるギアボックスとトルクコンバーターが必要となった。

一般對於交通工具而言,從靜止到起動雖速度可慢,卻需要強大的力量(扭矩)。

乗り物全般について言える事だが、停止状態から初動へと移行するにはスピードは遅くとも強い力(トルク)が必要となる。

另一方面,當速度建立起來時,若轉速不足會成為阻力,因此即便所需力小,也必須以高速旋轉。

一方、スピードが乗っている状態では回転数が少ないとそれが抵抗となってしまうため、小さい力であっても高速で回転する必要が出てくる。

為了切換這種狀態便需要變速箱,而為了讓切換順暢,就希望有扭力轉換器。

この状態を切り替えるためにギアボックスが必要となり、その切り替えをスムーズに行うためトルクコンバーターが望まれた。

不過扭力轉換器的開發極為艱難,尚無開發展望,因此採用離合器方式來操作齒輪切換。

ただしトルクコンバーターの開発は困難を極め、未だ開発のめどが立たない。そのためギアの切り替えはクラッチ方式で操作するようにしている。

因為沒有油壓倍力機構,換檔需要費力,因此需要專業人員。

油圧による倍力機構が無いためギアチェンジには力が必要であり、専門の人員を必要とした。

「請從イ型開始」

「イ型から初めて下さい」

因為型式名稱過長,靜子給單人型取代號イ型,雙人型取代號ロ型,這個代號就直接沿用為現行名稱。

タイプの名称が長いため、静子は一人タイプをイ型、二人タイプをロ型と開発コードネームを割り振った。それがそのまま名称に採用されて今に至る。

「イ型、試驗開始!」

「イ型、試験始めぇ!」

發令的足輕敲起太鼓,回應之下イ型的船隻慢慢啟動。雖然有接受座學與模擬機訓練,但第一次接觸實機,船的動作仍顯生硬。

合図係の足軽が太鼓を叩く。それに呼応してイ型の船は少しずつ動き出した。座学や模擬機で訓練していたとは言え、実機を触るのは初めてであったためか、船の動きはぎこちない。

有些船在換檔時手忙腳亂,幾乎沒從起始位置前進。不過隨著時間過去,加速還是開始起來了。

中にはギアチェンジに手間取り、開始位置からほとんど進めていない船もある。それでも時間とともに加速が乗り始めた。

「接著請開始ロ型」

「続いてロ型を開始して下さい」

「ロ型、試驗開始!」

「ロ型、試験始めぇ!」

當イ型達到巡航速度時,雙人乘的ロ型迎來試驗。果然因有專任負責人,速度順利提升。

イ型が巡航速度に達したころ、二人乗りのロ型が試験を迎える。流石に専任の担当者がいるためスムーズに速度が上がっていく。

「順利嗎?」

「順調かな?」

イ型與ロ型的試驗都順利進行。靜子樂觀地想,照這樣很快就能投入實戰;然而,技術試驗總會有漏洞等待著。

イ型、ロ型ともに順調に試験を行っていた。この分ならすぐに実戦投入出来るかな、と静子は楽観視していた。だが、技術試験には付き物の落とし穴にはまることになる。

「……嗯? 警笛? 發生什麼事了嗎?」

「……ん? 警笛? 何かあったのかな?」

試驗進行到一半左右時,突然響起示警的警笛。

試験が半分ほど進んだ頃、突然異常を知らせる警笛が鳴り響いた。

傳令立即跑來,將異常原因報告給靜子。那是連靜子與參與開發的九鬼水軍都未曾想到的原因。

すぐに伝令が駆け付け、異常の理由を静子に報告する。それは静子も、開発に関わっていた九鬼水軍も想像しなかった理由だった。

「動力停止(熄火)了嗎?」

「動力停止(エンスト)をした?」

「是。高速運轉中引擎突然停止了,目前技術人員正在確認原因。」

「はっ。高速運転中に突然機関停止致しました。現在、技術者たちが原因を特定中です」

在以高速旋轉齒輪進行移動試驗時,イ型與ロ型都遭遇了熄火的故障。且不是一次兩次,而是不斷重複發生。靜子也明白這確實是異常事態。

ギアを高速回転させての移動試験中、イ型とロ型ともにエンストを起こす不具合に見舞われた。それも一回や二回ではなく、何度も起こす状態だ。流石に異常事態だと静子も理解する。

(發生熄火?齒輪的開發有缺陷?不,應該不會。雖然確認了齒輪箱的設計圖,但就外行人也看不出有異常的機構。而且在低速狀態下運作正常,只要齒輪已切換,就不會因齒比差異而出現異常。)

(エンストを起こす? ギアの開発に不備があった? いや、そんなはずはない。ギアボックスの設計図を確認したけど、素人目にも異常と思える機構はなかった。それに低速状態では問題なく動作している、ギアが切り替わっている以上はギア比の違いによる異常が出るとは思えない)

開發者正在拆解一個齒輪箱進行調查,方針將視結果而定。如果齒輪箱有不具合,改修需要多少時間無法預料。

開発者が一隻のギアボックスを分解して調査中ゆえ、その結果いかんで方針が決まる。もし、ギアボックスに不具合があれば、改修にどれだけ時間を要するか判らない。

緊張的氣氛瀰漫。大家雖然沒說出口,卻都在期待報告。沈重的氛圍在片刻後消散。

緊迫した空気が漂う。みな、口にこそ出さないが報告を心待ちにしていた。重苦しい雰囲気が霧散したのは、それから一刻後の事だった。

「……也就是說因為轉速不足而熄火了,對吧?」

「……つまり回転数が足りなくてエンストしていた、という事?」

聽完報告後靜子鬆了一口氣。反覆熄火的原因是螺旋槳的變形比預期嚴重,導致水阻增加,在高速齒輪下扭矩不足而轉速下降,無法維持指定轉速。

報告を聞いて静子はホッと胸をなで下ろす。エンストを繰り返した理由は、スクリュープロペラの変形が想定よりも大きく、水の抵抗が大きくなったため高速ギアでのトルク不足から回転数が下がり、指定の回転数を維持出来なくなっていた事が原因だ。

也將齒輪箱拆解調查是否有其他原因,但所有零件都沒有故障,連接處也沒有問題。

他に原因はないかギアボックスを分解して調査したが、全てのパーツに故障部分はなく、連結部にも問題はなかった。

立刻進行口頭詢問調查。靜子等人在日落前不久結束調查,決定明日再下結論,當日解散。

すぐに聞き取り調査を行う。日が沈む少し前に聞き取り調査を終えた静子たちは、結論を出すのは明日と決めてその日は解散した。

隔日,確認口頭調查結果後,眾人討論今後方針。

翌日、聞き取り調査結果を確認した一同は、今後の方針を議論する。

「這次試驗證明了螺旋船的實用性。無論イ型或ロ型都只進行了低速運轉測試,但驗證結果顯示已超過櫂(かい)所能達到的速度。本次在高速運轉時發生的不具合,只要調整齒比以增加扭矩餘裕即可解決。以上結論,認定螺旋船已進入實用階段。」

「今回の試験でスクリュー船の有用性が実証できました。イ型、ロ型ともに低速回転での試験しか行えていませんが、検証の結果櫂(かい)で出せる速度を上回っていることが判明しました。今回発生した高速回転時の不具合は、ギア比を調整してトルク幅に余裕を持たせれば解決できます。以上をもって、スクリュー船は実用段階に入ったと結論づけます」

靜子向在場眾人宣告。確認口頭調查與機構調查報告後,螺旋槳的變形只能透過更換素材解決,但若改用金屬會變重且加工困難。

集まった一同に静子は宣言する。聞き取り調査や機構の調査報告書を確認した結果、スクリュープロペラの変形は素材を変えるしかなく、金属にすると重くなり加工も難しい。

由於齒輪箱結構本身沒有問題,決定在低速齒輪與高速齒輪之間增設中速齒輪以解決問題。

ギアボックスの構造には問題点がないため、低速ギアと高速ギアの間に中間速のギアを挟むことで解決を図るという結論になった。

大家都鬆了口氣,因為問題並非由機構自身的重大不具合所致。螺旋槳是出海航行所需的機構。

機構自体に大きな不具合が存在して発生したのではない、という事に一同は胸をなで下ろす。スクリュープロペラは外洋に出るために必要な機構だ。

因此信長的期待很高。經過數年開發所進行的試驗若露出丟臉的結果,會受到何種懲罰,大家都戰戰兢兢。

それゆえ信長からの期待は大きい。数年の開発を経て行う試験で、無様な結果を晒せばどんな罰が下るか、みな戦々恐々としていたのだ。

之後取消了所有高速運轉的試驗項目,只重新開始低速運轉的試驗,雖然仍發生一些小故障或因人員熟練度而起的誤操作,但未出現致命性問題。

その後、高速回転時の試験項目は全て除外し、低速回転時の試験のみを再開したが、小さな不具合や人員の習熟度に起因する誤操作などが発生したものの、致命的な問題は発生しなかった。

為向信長報告試運轉的試驗結果,靜子整理試驗結果報告書。因為是給信長用,像商業報告一樣先寫結論。

試運転の試験結果を信長に報告するため、静子は試験結果書を纏める。信長用ゆえビジネス報告書と同じく最初に結論を記載する。

若限定於河川的小規模運用,使用目前的推進器艪(ろ)會更有效率。

河川での小規模運用に限定するのなら、現在の推進器である艪(ろ)を使う方が効率的である。

不過,艪櫂船一旦變大型或達到一定速度效率便急劇下降,因此若要以少數人操作大型船以實現大量運輸,最終判定以原動機(エンジン)式螺旋船更為有利。

ただし、艪櫂船は大型化や一定の速度に達すると途端に効率が落ちるため、大型船を少ない人数で運用して大量輸送を実現する場合は原動機(エンジン)式スクリュー船に軍配が上がる、が結論となった。

艪與螺旋槳都以推開水來獲得推進力,原理相同,但艪與槳適合低速小型船,螺旋槳則能從休閒船到載運油輪等廣泛應用。

なお艪もスクリュープロペラも水を押しのけて推進力を得るという原理は同じだが、艪や櫂は低速な小型船にこそ適性が高いのに対して、スクリュープロペラはレジャーボートから輸送タンカーまで幅広くカバー出来る。

「目前在河川運輸上的優勢不多。若能在海運實現大量且高速的運輸,將帶來巨大利益……」

「現在の河川輸送では利点は少ない。海運での大量かつ高速輸送を実現することで大きな利益が得られる……っと」

靜子把信長可能會想出的疑問及回答儘量寫入試驗結果書。畢竟他一有疑問就會像暴風雨般提出問題。

信長が考えつくであろう疑問の回答を、静子は可能な限り試験結果書に記載する。何しろ彼は少しでも疑問を感じれば嵐のように質問を投げつけてくる。

身心俱疲,因此大家多半敬而遠之不想寫給信長的報告書。

身体的にも精神的にも疲れるので、信長への報告書は敬遠されがちだ。

曾有幾位技術者自認能勝任而自行提交報告書,但自從有傳聞說報告被退回並附上一疊被問題填滿的紙張,還被催促「答覆呢?」之後,靜子代寫成了默契。

自分にも出来ると報告書を自分で提出した技術者も何人かいたが、報告書が突き返された上に質問で埋まった紙束も付いてきて、更に返答はまだかと矢の催促をされたという話が出回って以来、静子が書くのが暗黙の了解になってしまった。

因此技術者們對靜子相當服氣,無法擺出架子。

だから技術者たちは意外と静子に頭が上がらない。

有位技術者說:信長的提問不是簡單說一句結論就好,而是必須構築一套能讓本人信服的理論來說明。

ある技術者は語る。信長の質問は単純に回答を口にすれば良いのではなく、本人を納得させる理論を組み立てて話さなければならない、と。

即使本人技術已臻完美,能否把它說得讓別人理解則是另一種才能。

本人が技術を完璧に習得しても、それを他人が理解できるように説明できるかは別の才覚である。

「嗯——大概就是這樣吧。最近總覺得自己像個中階管理職,不過還是當成錯覺會比較好吧。」

「うーん、こんなものかなぁ。なんだか最近、中間管理職のような立場な気がするけど、気のせいにしておいた方が良いよね」

靜子把寫好的厚厚報告書放入運送用的木製文件箱,其後由侍女們處理並送交信長。

書き終えた分厚い報告書を、静子は運搬用の木製書類ケースに入れる。後は信長に届けて貰うまでの処理を小間使いたちが行ってくれる。

把文件箱交給蕭請他寄送給信長後,靜子踮起腳舒展身體。

書類ケースを蕭に渡して信長への発送を依頼すると、静子は背伸びをして身体をほぐす。

「呼~,接下來是確認改良型史特林引擎和高爐。那邊有足滿大叔在準備各種東西,我可以在試驗日前悠哉地等著。」

「ふぃ〜、次は改良型スターリングエンジンと高炉の確認だね。あっちは足満おじさんが色々と準備しているから、私は試験日までまったり出来る」

「如果您有空,請幫忙處理這份文件。」

「お手すきでしたら、この書類を処理お願い致します」

就在靜子踮腳伸展時,彩出現在她身旁,將一大疊文件遞給她。

背伸びしている静子の肩へ手を置くと同時に、いつの間にか真横に立っていた彩が山のような書類を差し出してきた。

所謂高爐,實際上存在兩階段的作業流程:製造生鐵的「製鐵(せいてつ)」與將製鐵所得之鐵精煉成鋼的「製鋼(せいこう)」。

一口に高炉と言っても、銑鉄をつくる「製鉄(せいてつ)」と、製鉄された鉄を鋼に精錬する「製鋼(せいこう)」の二段階の運用工程が存在する。

「製鐵」基本上是從細長的壺狀頂部交替投入焦炭與鐵礦石,利用爐內高溫將鐵礦石熔解的作業。

「製鉄」は基本的に細長いとっくり型の頂から、コークスと鉄鉱石を交互に投入し、炉内の熱で鉄鉱石を溶かす作業だ。

投入高爐的焦炭會被自爐下方吹入的熱風點燃。視高爐而定,也有投入微粉炭等作為還原劑的情況。

高炉に投入されたコークスは、炉下部より吹き込まれる熱風によって燃焼する。高炉によっては還元剤として微粉炭などを投入する事もある。

燃燒的焦炭會產生一氧化碳與氫等還原性氣體。這些還原氣體在高爐內形成上升氣流,既能熔解鐵礦石,也會將鐵礦石中含有的不純物還原並去除。

燃焼したコークスは還元ガスとなる一酸化炭素や水素を発生させる。この還元ガスが高炉内の上昇気流となって鉄鉱石を溶かすと同時に、鉄鉱石に含まれる不純物を除去(還元)する。

也就是說,焦炭在爐中既提供溶解鐵礦石所需的高溫,又擔任還原劑以去除鐵礦石中的不純物,兩者兼具。

つまりコークスは鉄鉱石を溶かす温度を炉の中に作るのと、鉄鉱石にある不純物を除去する還元剤という2つの役割を担っている。

經還原氣體去除不純物後的熔銑(ようせん)(熔融的鐵)會依重力流向爐底。

還元ガスによって不純物が除去された溶銑(ようせん)(溶けた鉄)は、そのまま重力に従って炉の底へ流れる。

並在爐下部與正在燃燒的焦炭接觸,與焦炭燃燒時產生的碳發生反應,形成含數百分比碳的鐵,並在爐底的熔池中聚集。

そして炉下部にある燃焼中のコークスと接触し、コークスが発熱時に発生する炭素と反応して、炭素を数パーセント含む鉄となって炉底の湯溜まり部に溜まる。

此時鐵礦石中的不純物會在熔銑之上成層沉積,稱為爐渣,與熔鐵分別從高爐排出。爐渣作為製鐵過程的副產品會再利用。

この時、鉄鉱石に含まれる不純物は溶銑の上に層となって溜まる。これをスラグと呼び、溶けた鉄とは別に高炉から排出される。スラグは製鉄時の副生品として再利用される。

能一次完成去除鐵礦石中氧等不純物並熔解的高爐原型,誕生於十四至十五世紀的德國萊茵河支流。

鉄鉱石に含まれる酸素などの不純物を除去し、溶解までのプロセスを一挙に行える高炉の原型は、十四〜五世紀にドイツのライン川支流で誕生した。

在早期,利用水車驅動風箱以增加送風量,熱源與還原劑則使用木炭。

初期は水車でふいごを動かして送風量を増やし、熱源と還元剤に木炭を利用していた。

直到十八世紀初才開始以焦炭作為燃料,因此在那之前大量砍伐樹木,導致森林遭到破壞。

燃料としてコークスが利用されるのは十八世紀初頭なので、それまで多くの木が伐採され、結果森林が破壊されていった。

雖然還有開墾田地等其他原因,但高爐的鐵生產被認為加速了歐洲的森林減少。

他にも田畑開墾などの理由はあるものの、高炉による鉄生産が欧州の森林減少に拍車をかけたとされている。

現代高爐誕生約三百年,但高爐仍相較於現代化學工廠保有優勢,原因在於能以簡單的設備一邊去除雜質一邊一次性製得熔鐵。

近代高炉が誕生して約三百年経つが、依然として高炉が近代的な化学プラントより優位性を保持している理由は、単純な設備で不純物の除去をしながら溶銑を一挙に行える点だ。

此外,高爐與其他化學廠不同,壽命較長。雖然每天二十四小時暴露於高溫環境,但只要每隔十數年更換一次爐內耐火磚便能繼續運轉。

また高炉は他の化学プラントと違い寿命が長い。毎日高温環境に二十四時間晒される炉だが、炉内のレンガを十数年ごとに張り替えるだけで操業を続けられる。

對於二十四小時、三百六十五天連續運轉的高爐來說,延長壽命幾乎是必要的要求。

二十四時間三百六十五日連続操業する高炉において、長寿命化は必須とも言える要求だ。

其他化工廠若損壞部位嚴重,可能需要重建,因此在這一點上高爐也保持優勢。

他の化学プラントの場合、破損箇所によっては作り直しになるため、この点でも高炉は優位性を保っている。

「有點擔心啊」

「割と心配だなぁ」

靜子因為擔心得胸口發悶,毫不掩飾地說出來。高爐的試運轉不是一次完成,而是在進行幾項單體試驗後,最後進行結合測試。

心配で胸が苦しい静子は、不安を隠さず口にする。高炉の試運転は一度に行うのではなく、幾つかの単体試験が行われた後、最後に結合試験が行われる予定だ。

今天是高爐重要設備──送風機及其動力來源斯特林引擎的試運轉日。

本日は高炉において重要な設備である送風機、その動力となるスターリングエンジンの試運転日だ。

雖然在時程上有餘裕,但若試運轉發生異常,後續的試驗日會被延宕,作為最後試驗工序的高爐結合試驗日也會延後。

スケジュールに余裕を設けているとはいえ、試運転で不具合が発生すれば後の試験日がずれ込み、最後の試験工程である高炉の結合試験日が遅れてしまう。

由於這是個只要一項延遲就會拖累整個進度的關鍵路徑,靜子不像以往那樣心裡有餘裕。

一つでもスケジュールが遅れれば全体が遅れるクリティカルパスゆえ、今までと違って静子も心の余裕があまりなかった。

「主帥不安,部下也難以放心。要沉住氣。」

「大将が不安では下の者も落ち着かん。どっしりと構えておけ」

足滿責備輕佻不安的靜子。他與靜子相反,臉上掛著一貫的沉著冷靜。內心如何無人得知,但至少看起來足滿比較鎮定。

そわそわする静子を足満はたしなめる。彼は静子とは反対に、いつもの沈着冷静な表情をしていた。内心は誰にも分からないが、少なくとも足満の方が落ち着いているように見える。

「話是這樣啦。啊,對了。那邊的燒結試驗結束了嗎?」

「そうはいってもねぇ。あ、そうだ。そっちの焼結(しょうけつ)試験は終わったの?」

「……那個就算沒有我也沒問題。而且還要從鐵礦石的粉碎開始,結果要出來還早得很。」

「……あれはわしが居らずとも問題ない。それに鉄鉱石の粉砕から始めるから、結果が出るのはまだ先だ」

由於鐵礦石大小不一,若直接填入高爐會造成堵塞。

鉄鉱石はサイズが画一ではないため、そのまま高炉へ装入すると目づまりを起こす。

為了防止這種情況,會先將鐵礦石粉碎成粉,與同樣粉碎的焦炭及十幾百分比的石灰石混合,再燒結以統一形狀,這個工序稱為燒結。

それを防ぐ為に、鉄鉱石を一度粉砕して粉末化し、同じく粉にしたコークスと十数パーセントの石灰石を混ぜ、焼いて形を統一する工程を焼結と言う。

雖然有時不進行燒結,但整形的處理對於煤焦炭或生物焦炭也是相同。完成這些下準備後,鐵礦石與各類焦炭才會被投入爐中。

焼結は行わないが形を整えるのは石炭コークスやバイオコークスも同じだ。これらの下準備を終えてようやく鉄鉱石やコークス類が炉へ投入される。

「想盡早做實證試驗,看看生物焦炭的利用價值到底有多大。」

「バイオコークスの利用価値がどこまであるか、早めに実証試験したい所だね」

雖然它不作為還原劑,但熱分解氣體燃燒能使爐內溫度比僅使用煤焦炭時更高,結果有縮短熔解時間的優點。

還元剤にはならないが熱分解ガスの燃焼効果で炉内の温度を、石炭コークスだけより高く上げられ、結果的に溶解する時間を短く出来る利点がある。

但究竟能替代多少比例,還是只有透過反覆實證試驗才能確認。幸好與現代不同的是,製造實驗用高爐並不算太困難。

ただしどれだけの割合で代替できるか、こればかりは実証試験を繰り返すしかない。幸いにも現代と違って実験用の高炉を製造する事はさして難しくない。

「事情不只如此。如果有生物焦炭,也可以當作斯特林引擎的熱源。雖然可能無法期望像那種以空氣為作動氣體、能發電一千瓦的德國製高品質機種那樣卓越。」

「それだけではなかろう。バイオコークスがあれば、スターリングエンジンの熱源にも出来る。作動ガスが空気で1kWの発電が出来るドイツ製ほど、高品質なものは望めないかもしれぬがな」

「在多數使用氦氣的情況下,德國能用空氣運轉,我覺得相當厲害。」

「ヘリウムガスが多い中、ドイツは空気でやっているから割と凄いと思うけどね」

「因此,我們也比較省事。要在這裡生成氦氣太麻煩,根本無法實現。」

「その分、我々は楽をさせて貰っている。この場でヘリウムガスを生成など面倒で叶わぬ」

以最大輸出約一千瓦等級、作動氣體為空氣的斯特林引擎已開始走向實用化。當然不可能完全達到標稱規格,輸出會有些下降。

最大出力1kWクラスで、作動ガスが空気のスターリングエンジンは実用化し始めている。無論、スペックそのままの数値を出せるわけはなく、幾分出力は落ちるだろう。

約兩百年前設計的引擎之所以在現今,特別是在軍用潛艦上受到注目,是因為它比柴油機或反應堆更安靜,且可利用那些裝置所產生的廢熱來運作。

約二百年前の設計であるエンジンが現在、特に軍事用潜水艦で注目を浴びているのは、ディーゼル機関や原子炉より静音、かつそれらが出す廃熱で動作させられる点である。

事實上,現代日本的「そうりゅう」型潛艦上就搭載了被稱為AIP(非大氣依賴)推進系統的斯特林引擎。

実際、現代日本のそうりゅう型潜水艦には、AIP(非大気依存)推進機関と呼ばれるスターリングエンジンが搭載されている。

然而,そうりゅう型潛艦搭載斯特林引擎的原因,是因為當時沒有高效的燃料電池,也缺乏良好的氫氣儲存方法,考量到萬一發生事故而放棄搭載燃料電池。

しかし、そうりゅう型潜水艦にスターリングエンジンが搭載された理由は、効率的な燃料電池がなく、水素の良い貯蔵方法がなかったため、万が一の事故を考慮して燃料電池の搭載が見送られたからなのだが。

「高爐完成後,終於可以開始生產鋼了。工業製品需要比鐵更硬的鋼,所以很繁複。另外,零件一開始還是靠手工製作……比如滾齒機之類的。」

「高炉が完成すれば、いよいよ鋼の生産に取りかかれる。工業品は鉄より硬い鋼が必須だから大変だよ。後、部品作るのは最初手作業って所も……ホブ盤とか」

滾齒機是一種用來加工齒輪齒形的齒切機。齒切加工是讓稱為滾刀的專用切削工具旋轉,在齒輪加工之前(即齒輪胚)切出齒形的作業。

ホブ盤とは歯車の歯切り加工に使われる歯切り盤の一種だ。歯切り加工とはホブと呼ばれる専用の切削工具を回転させ、歯車加工前(歯車ブランクとも言う)に歯を切っていく事だ。

齒輪自古以來就是重要零件,但能使用滾齒機進行工業化生產是在十九世紀後半;在此之前齒輪的製造都是手工完成的。

古くから歯車は重要なパーツではあったが、ホブ盤を使った工業的な生産が行えるようになったのは十九世紀後半の事だ。それまで歯車の製造は手作業で行われていた。

「現在多是手工。若要大量製造尺寸均一的齒輪,滾齒機是不可或缺的。」

「今は手作業だからな。均一なサイズの歯車を大量に求めるなら、どうしてもホブ盤は必要になる」

「齒輪是重要零件啊。用鐵製滾刀加工黃銅的滾齒機已經成功,但還是需要鐵製齒輪。木製齒輪嘛……比起滾齒機更像用帶鋸切出來的。」

「歯車は重要な部品だからねぇ。鉄製のホブで真鍮削り用のホブ盤は成功しているけど、やっぱり鉄製の歯車は必要だよ。木製の歯車は……ホブ盤より糸鋸らしいけどね」

雖然可以用鐵製滾刀製造黃銅齒輪,但要做鐵製齒輪則需要鋼製滾刀。木製齒輪因強度不同,與其用滾齒機,不如用帶鋸切割較好。

鉄製のホブで真鍮歯車を製造は可能だが、鉄製の歯車は鋼製のホブが必要になる。木製は強度が異なるため、ホブ盤を使うより糸鋸でカットする方が良い。

「現在多為手工,因此在齒輪箱量產時造成了相當負擔。啊,等高爐完成後,只要用鋼製出和鐵製滾刀相同的東西就好,說起來還算輕鬆吧。」

「今は手作業が多いから、お陰でギアボックスの量産時は割と負担をかけちゃったよ。ま、高炉が完成したら、鉄製のホブと同じものを鋼で作ってくれれば良いだけだから、まだ楽と言えば楽かな」

(不過最初的那番手工作業最辛苦……嘛,只要靜子不覺得吃力就好)

(その最初の手作業が一番苦労するのだが……まぁ静子が苦労しないのなら良いか)

各行各業的先驅總是會吃苦,但有了滾齒機,齒輪才得以量產,效率遠勝於工匠一個一個手工製作,因此若要向前發展,這是不可或缺的機床。

どの業界でも先駆者は常に苦労する。しかしホブ盤がある事で歯車の量産が可能になり、職人が一つ一つ手作業で作るより桁違いに効率が上がるので、先を目指すのであれば必要不可欠な工作機械だ。

「機械工具比起製造,統一規格反而更麻煩。那麼,斯特林引擎的準備差不多好了嗎?」

「工作機械は作るより仕様統一が面倒だけどね。さて、そろそろスターリングエンジンの準備が終わったかな?」

清了清喉嚨的靜子強行轉換話題,將當時在推動滾齒機等標準化過程中那些令人厭惡的記憶強行從腦中驅逐。

咳払いをした静子は強引に話題を変え、ホブ盤などを標準化や規格化していた時の忌まわしい記憶を頭の中から強引に追い出す。

為了不讓後來接手的人困擾,靜子把技術街所使用的所有東西都做了標準化和規格化。

後に続く人間が困らないように、静子は技術街で使われるものは全て標準化や規格化した。

這樣下一代能更有效率地習得技術;當然最後還是得靠五感與身體記憶發揮作用。

これによって次の世代は技術の習得を効率よく行える。もっとも最後は五感や身体で覚えた事がものを言うが。

但每天從早忙到晚,坐在桌前把文件寫完,無論身體或精神都很疲累。

だが毎日、朝から晩まで机に向かって書類を書き上げるのは肉体的にも精神的にも疲れる。

即使很重要,對靜子來說那類工作幾乎是第一次接觸,這也是感到疲倦的原因之一。

重要とはいえ、静子にとってその手の作業は初めてに近い体験だというのも疲れる原因となっていた。

結果就是寫標準化、規格化的文件、與職人開會、反映回饋再開會,如此反覆進行,令人頭暈目眩。

結局、標準化や規格化の書類を書いては職人と会議、フィードバックを反映してまた会議、と気の遠くなる作業の繰り返しだった。

而且這種苦差事不只一項,靜子的心力消耗無法估量;她一方面知道很重要,卻也產生「已經受夠了」的兩難也不奇怪。

そしてこの苦労が一つだけでなく幾つもあるのだから、静子の心労は計り知れない。彼女が大事だと思いながらも、もう嫌だというジレンマを抱えてしまうのも無理はなかった。

「殿,剛才有報告,約四半刻(約三十分)後即可進行試驗。」

「殿、先ほど報告がありまして、後四半刻(約三十分)で試験を行えるとの事です」

略帶消沉時,聽到靜子的疑問,玄朗不等她開口就去各處確認,並將結果回報給她。

若干やさぐれていると、静子の疑問を聞いた玄朗が彼女に言われるまでもなく、各所へ確認を取りに行き、その結果を静子に報告してきた。

想到有如此優秀的部下很幸福,靜子收起笑容,表情變得嚴肅。

優秀な部下がいて幸せだ、と思いつつ静子は顔を引き締める。

「好。那到時間就移動吧。」

「よろしい。では時間になったら移動しましょう」

四半刻後,靜子等人前往試驗場。

四半刻後、静子たちは試験場へ移動する。

到那時,先前外出的慶次和才藏也回來了;長可的衣服有些許血跡,但靜子接受了「角力時留下的」說法,未再多問。

その頃には何処かへ行っていた慶次や才蔵も戻ってきていた。長可の服が若干血で汚れていたが、角力の時についたという理由に静子は納得し、それ以上尋ねなかった。

其實他們只是找到躲藏各處的間諜,邊打沙包邊審問罷了。

実際はあちこち隠れていた間者を見つけては、サンドバッグ打ちをしつつ尋問をしていただけなのだが。

到達試驗場時,斯特林引擎的氣缸已在預熱。

試験場に到着すると、既にスターリングエンジンのシリンダが温められていた。

這次試驗使用的是2活塞的斯特林引擎。

今回、試験で使われるスターリングエンジンは2ピストンエンジンだ。

主要零件有四個:兩個活塞及其相連的加熱部和冷卻部,以及暫時蓄存作動流體的再生器。

2つのピストンとそれぞれに繋がっている加熱部と冷却部、そして一時的に作動流体を蓄える再生器の4つが主な部品だ。

作動流體亦稱作作動氣體。外燃機需將外來熱能轉換為運動能,這種轉換時所使用的物質就稱為作動流體。

作動流体とは別名作動ガスとも呼ばれる。外燃機関は外部から得た熱エネルギーを運動エネルギーに変換する必要があり、この変換時に使われる物質が作動流体と呼ばれるものだ。

在斯特林引擎中,基本上使用大氣壓的空氣,高性能機型則會使用壓縮的氦氣或氫氣。

スターリングエンジンにおいては基本が大気圧の空気、高性能になると圧縮したヘリウムガスや水素ガスが利用される。

這次使用的不是氦氣或氫氣,而是採用空氣作為作動氣體的斯特林引擎。

今回はヘリウムガスや水素ガスではなく、空気ガスを利用したスターリングエンジンだ。

運作方式是:首先被加熱部加熱的空氣推動曲柄機構中高溫側的活塞和氣缸,接著高溫空氣移至冷卻部,推動冷卻側的活塞和氣缸。

動作はまず加熱部で加熱された空気がクランク機構のうち、高温側にあるピストンとシリンダを動かし、続いて高温の空気が冷却部へ移動して冷却側にあるピストンとシリンダを動かす。

之後藉由作動流體反覆加熱與冷卻,高溫側與冷卻側活塞的往復運動透過連桿被轉換成曲軸的旋轉運動。

後は作動流体が加熱と冷却を繰り返す事で、高温側と冷却側それぞれにあるピストンの往復運動が、コネクティングロッドを介してクランクの回転運動へと変換される。

曲軸的旋轉運動經由輸出軸傳至齒輪箱。

クランクの回転運動は、出力軸を通してギアボックスに伝えられる。

齒輪箱可以用來減速以提高力量(扭矩),或是增速以降低力量,視用途而定;這次因為是給送風機使用,需高速低扭矩的齒輪箱。

ギアボックスは速度を下げて力(トルク)を上げるか、速度を上げて力を下げるか、用途によって使い分ける。今回は送風機のため、高速・低トルクのギアボックスが必要だ。

將齒輪箱的齒輪組合設定為送風機用,最後由齒輪箱的輸出軸帶動葉輪,將熱風送入高爐內。

ギアボックスの歯車の組み合わせを送風機用に設定し、最後にギアボックスの出力軸で羽根車に回転運動を伝えて、高炉の中に熱風を送り込む。

如此大規模的設備打造出的是附設於高爐的熱風爐;熱風爐提高了高爐內的溫度,使產鐵量飛躍增加。

これだけ大がかりな設備を投入して出来るのが、高炉に併設される熱風炉だ。熱風炉によって高炉内の温度は高まり、出銑量が飛躍的に増大する。

送風溫度越高越好,但要達到現代那種千度以上的熱風是不可能的。

送風する温度が高ければ高いほど良いが、現代のような千度を超える熱風を送風する事は叶わない。

即便如此能一天產數噸鐵,在戰國時代仍屬破格的生產力。

それでも一日に数トンの鉄を生産出来るのだから、戦国時代では破格の生産力だ。

高爐性能雖佳,但有一個缺點是無法使用砂鐵。

高炉は高性能だが砂鉄が使えない欠点がある。

原因是砂鐵中含有的鈦在高爐內燃燒會形成二氧化鈦,會阻礙熔融鐵的流動,因此只能使用鈦含量低的鐵礦石於高爐中。

これは砂鉄に含まれるチタンが高炉内で燃えると酸化チタンになり、溶けた鉄の流れを阻害してしまうためだ。そのためチタンが少ない鉄鉱石しか高炉には使えない。

然而日本國內鐵礦石產量稀少,只能倚賴海外產地;最近的產地是中國,但中國鐵礦石含鐵量低,性價比差。

だが鉄鉱石は日本では産出量が少なく、海外の産出国を頼るしかない。一番身近な産出国は中国になるが、中国の鉄鉱石は鉄含有量が少ないためコストパフォーマンスが悪い。

因此從印度、越南、泰國等多國進口鐵礦石。

よってインド、ベトナム、タイと複数の国から鉄鉱石を輸入した。

能在戰國時代向日本輸入鐵礦石與煤炭,也是因為掌握南蠻貿易大權的耶穌會存在;當然,這需要相當數量的銀錠作為代價。

戦国時代に日本へ鉄鉱石および石炭の輸入が行えたのも、南蛮貿易に大きな権利を持っているイエズス会がいたからだ。もちろん、それに見合う銀の延べ棒が必要となったが。

「銀子還真是花了不少啊。嘛,只要高爐成功,他們也能獲利,算是先期投資吧。」

「割と銀が飛んだなぁ。まぁ高炉が成功すれば彼らにも利益があるから、先行投資って事なのだろうけど」

表面看似與商業無關的耶穌會,其實從南蠻貿易中穩定獲利。

一見、商売には関係ないイエズス会だが、きちんと南蛮貿易から利益を得ている。

印度及東南亞諸國與歐洲或日本之間的航路由耶穌會及其背後的天主教會掌握。

インドや東南アジア諸国とヨーロッパ、もしくは日本との交易路はイエズス会、彼らの後ろにいるカトリック教会が握っている。

因此每次貿易出海,商人都得向他們繳款;好聽是奉獻,難聽就是使用航道的保護費。

よって交易で船が出る度に、商人は彼らにお金を納めなければならない。よく言えば献金、悪く言えば交易路を使用するみかじめ料だ。

此外他們在亞洲各處港口,以及擁有地區最大奴隸市場的澳門等地持有一定權益。

更に彼らはアジアに点在する港や、アジア地域最大の奴隷市場があるマカオなどで一定の権益を持っていた。

換言之,靜子越多從事南蠻貿易,耶穌會向商人徵收奉獻的機會就越多。

つまり静子が南蛮貿易を行えば行うほど、イエズス会は商人から献金を徴収する機会が生まれるのだ。

他們只要坐等大筆錢入袋,若是為了促成貿易興盛的投資,自然大方出手。

座しているだけで大金が懐に入るのだから、交易が盛んになるための投資なら気前よくやる。

事實上,由於靜子增加了出口品,貿易隨之增加,結果耶穌會的財政就是一路上升。

実際、静子が輸出品を増やしたために交易が増え、結果イエズス会の財政は右肩上がりしたのだから。

「與其說那些,史特林引擎差不多要運轉了」

「そんな事より、そろそろスターリングエンジンが動くぞ」

「喔喔,不行。現在專心在眼前的事」

「おっといけない。今は目の前に集中っと」

在足滿的指點下從沉思邊緣回過神的靜子,將多餘的雜念從腦中趕走。她把視線轉向史特林引擎,幾個人正在轉動位於輸出軸上的手柄。

足満の指摘で思考の淵から戻ってきた静子は、余計な雑念を頭から追い出す。視線をスターリングエンジンの方へ向けると、何人かが出力軸にあるハンドルを回していた。

史特林引擎光靠加熱作動流體是不會動的。需要驅動活塞以產生作動流體的流動。

スターリングエンジンは作動流体を温めるだけでは動かない。ピストンを動かして作動流体の流れを作る必要がある。

而且若作動流體未達到一定的溫差,史特林引擎便無法作為外燃機關運作。

そして作動流体が一定の温度差に達さないと、スターリングエンジンは外燃機関として動かない。

「看來還需要一點時間呢」

「少し時間がかかりそうね」

她扶著下巴注視著工匠們。或許是感到些壓力,工匠們一邊低聲討論一邊轉動手柄。

顎に手を当てて職人たちを見守る。若干、プレッシャーになったのか、職人たちは小声で何か話し合いながらハンドルを回していた。

大約轉了三十圈手柄後,史特林引擎終於啟動了。

そして三十回ほどハンドルを回した頃、ようやくスターリングエンジンが始動した。

「喔——!」

「おおっ」

長可發出感嘆聲。慶次和才藏雖未出聲,卻也被史特林引擎吸引。過了片刻,當出力達到所需數值時,經由齒輪箱帶動的送風機開始運轉。

長可が感嘆の声を上げる。慶次や才蔵も声こそ上げなかったが、スターリングエンジンに釘付けだった。少しして出力が必要数に達した頃、ギアボックスを介して送風機が始動する。

風力起初很緩,卻很快就變得足以把地面的土塵吹飛。實際送熱風的試驗安排在別日,但從現況來看應該沒有特別問題,她深信不疑。

最初はゆっくりだった風力だが、すぐに地面の土埃を吹き飛ばすほどのパワーになった。実際に熱風をおくる試験は別の日だが、現状を見る限りとくに問題はないだろうと確信した。

而她的確信是正確的。提高高爐溫度的熱風爐試驗直到最終試驗都沒有重大問題,順利成功。

そして彼女の確信は正しかった。高炉の温度を高くする熱風炉の試験は、最終試験まで大きな問題なく成功を収めた。

關於高爐的試運轉進行得很順利,沒有發生大的故障。雖然小故障累積使測試日程延後了幾天,但仍在可追回的範圍內。

高炉に関する試運転を行ったが、どれも大きな不具合が起きず順調に進んだ。小さな不具合が積み重なって数日試験の予定がズレたが、巻き返し可能な範囲だった。

與螺旋船的故障相比,令人驚訝的是高爐的試驗幾乎沒有出現值得一提的問題,順利完成到最終試驗。

スクリュー船のトラブルと比べて、恐ろしい程に問題らしい問題が起きなかった高炉の試験は最終試験まで終わった。

靜子向相關人員致謝,舉行盛大的慶功,並將所有報告書提交給信長,享受片刻的休息。

関係者たちに労いの言葉をかけ、盛大な打ち上げを行い、全ての報告書を信長に提出した静子は、つかの間の休息を満喫していた。

「呼——,一度還真不知道會怎麼樣呢」

「ふいー、一時はどうなることかと思った」

「辛苦了,靜子」

「よく頑張ったな、静子」

足滿對癱倒在自室書桌上喘息休息的靜子說了聲慰勞。

自室の机にぐったり突っ伏して休憩している静子に、足満は労いの言葉をかける。

高爐的試驗結束後,在奇妙丸的初陣式之前並沒有特別要做的事。

高炉の試験が終われば、奇妙丸の初陣式まで特にやる事はない。

他正在接受爺爺的斯巴達式嚴苛訓練,所以不在此地,但風聞說他的表現已有相當可觀的進步。

彼は爺からスパルタ式の特訓を受けているのでこの場にいないが、風の噂ではそれなりに見られる様になっているとの事。

靜子在心裡為他打氣,希望他能作為織田家的嫡男好好盡職。

織田家の嫡男として立派につとめを果たして欲しい、と静子は心の中でエールを送った。

「足滿大叔你也辛苦了~。謝謝你幫忙處理很多應付不來的事~」

「足満おじさんもお疲れー。色々と手が回らないところを手伝ってくれてありがとー」

靜子也向足滿道了慰勞的話。

静子も足満へ労いの言葉をかける。

「別放心上。這是我喜歡做的事」

「気にするな。わしが好きでやっている事だ」

他雖擺出無所謂的態度,但嘴角帶著一抹微笑。靜子再次趴在桌上揉著頭,思考著高爐未來的安排。

何でもないという態度だが、彼の口元には小さな笑みが浮かんでいた。再び机に突っ伏した静子は頭をごろごろさせつつ、高炉のこれからの事を考える。

如果能做出製鐵,接下來就想製鋼,但靜子有無法做到的理由。那是因為用於製鋼的轉爐和耐火磚一樣,存在一個兩難。

製鉄が出来れば次は製鋼を、と行きたい所だが、静子にはそれが出来ない理由があった。それは製鋼を行うための転炉は耐火レンガと同じくジレンマを抱えている。

也就是說,為了做出鋼的轉爐本身就需要鋼。準確來說,支撐轉爐的支柱與用來操作的橫桿若不是鋼,強度不足會斷裂。

つまり鋼を作る転炉のために鋼が必要となるのだ。正確には転炉を支える支柱と動かすための横棒が、鋼でなければ強度が足りず割れてしまうからだ。

為了解這個兩難,靜子必須想出一個辦法。先把高爐產出的鐵成型,再像日本刀一樣鍛打,使其包含必要的碳量,變成鋼。

このジレンマのために静子は一工夫しなくてはならない。高炉で出来た鉄を一旦成型し、日本刀のように叩いて必要な炭素量を含む鋼に変える。

但無法直接把熔銑就那樣成型,因為混有磷和硫,會使即便成為鋼也變得脆弱。要防止這點就必須進行稱為熔銑預備處理的工程。

だが溶銑をそのまま成型することは出来ない。リンや硫黄が混じっていて、鋼にしても脆くなってしまう。これを防ぐには溶銑予備処理と呼ばれる工程を行う必要がある。

簡單來說就是去除熔銑中不純物的工作。基本上會進行脫矽、脫磷、脫硫三項處理,為此投入的材料有石灰、氧化鐵、螢石等。

簡単に言えば溶銑に含まれる不純物を取り除く作業だ。基本的に脱珪、脱リン、脱硫黄の三つを行う。その為に投入する材料は石灰、酸化鉄、蛍石などだ。

把這些投入熔銑並攪拌,此時不注入氧氣。若注入氧氣熔銑會變得高溫,結果脫磷反應反而變慢。

これらを溶銑に投入して攪拌する。この時、酸素は送り込まない。酸素を送り込むと溶銑が高温になり、結果脱リン反応が鈍くなってしまうからだ。

石灰與氧化鐵容易取得,螢石在日本也有產出(如岐阜縣平岩礦山等),因此不會太困難。

石灰や酸化鉄の入手は容易で、蛍石も日本で産出(岐阜県平岩鉱山など)するために苦労する事はない。

將經過熔銑預備處理的鐵,利用日本刀的技術精煉成鋼。用那些鋼打造轉爐,才能夠真正進行鋼的大量生產。

溶銑予備処理を行った鉄を、日本刀の技術で精錬して鋼にする。それらで転炉を作り上げてようやく鋼の大量生産が行えるのだ。

若想追求更高品質的鋼,轉爐精煉後還需進行調整鋼中成分濃度的二次精煉工程。

更に高品質な鋼を求めるなら転炉で精錬後、鋼に含まれる成分の濃度を調整する二次精錬の工程を行う必要がある。

二次精煉是製鋼的最終工序,也是決定鋼材品質的重要步驟。

二次精錬は製鋼の最終工程にあたり、そして鋼材の品質を決める重要な工程である。

在現代,通常以高爐精煉、熔銑預備處理、轉爐精煉、二次精煉這四個流程作為製造高級鋼的標準工程。

現代では高炉で精錬、溶銑予備処理、転炉で精錬、二次精錬の四プロセスが高級鋼を製造する標準的な工程となっている。

「是用高爐製造的鐵再精煉成鋼啊……」

「高炉で製造した鉄を精錬して作った鋼かぁ」

高爐的試驗順利結束。雖然產生了相當多的爐渣,但一開始就不可能把爐渣減到很少。

高炉の試験は問題なく終了した。スラグがかなり出たが、最初からスラグを少なくする事は不可能だ。

能順利將鐵熔化,雖然不是用轉爐但仍能精煉出鋼,光這點就可以說是奇蹟了。

問題なく鉄を溶かし、転炉ではないものの精錬して鋼が出来た事だけでも奇跡と言える。

將煤炭改為焦炭的焦化爐,以及高爐產出的爐渣,都會作為副產品再利用。

石炭をコークスに変更するコークス炉や、高炉から出るスラグも副産物として再利用される。

特別是焦炭爐會產出各種副產品。排出的燃燒廢氣若直接排放會造成汙染,因此必須精煉成潔淨的廢氣。

特にコークス炉は様々な副産品が手に入る。燃焼排ガスをそのまま外へはき出せば公害を引き起こすゆえ、排出されたガスは精錬してクリーンな排ガスにする必要がある。

焦炭爐的構造基本上是燃燒室與以耐火磚砌成的碳化室交錯排列的爐體。

コークス炉の構造は基本的に燃焼室、レンガ壁で出来た炭化室が交互に配置された炉だ。

燃燒室的熱會將碳化室內的煤以蒸燒方式處理。生成的焦炭因為溫度很高,會被冷卻才能在高爐中使用。

燃焼室での熱が炭化室にある石炭を蒸し焼きにする。出来たコークスは高温のため、高炉で使用出来るように冷却される。

因為用水冷卻會降低品質,所以在稱為乾式熄火設備的場所,改用惰性氣體(如氮氣等不易發生化學反應的氣體)來冷卻。

冷却に水を使用すると品質が下がるため、乾式消火設備と呼ばれる場所で、不活性ガス(窒素など化学反応が起きにくい気体)を使って冷却する。

也有利用此時產生的高溫氣體來產生推動發電用渦輪的蒸汽的系統。

この時発生する高温ガスを使用し、発電用のタービンを回す蒸気を生成するシステムもある。

將煤蒸燒時,揮發分會以氣體形式釋出。該氣體含有焦油、粗輕油、硫酸、氨等有害成分,直接排放是危險的。

石炭を蒸し焼きにすると揮発分がガスとなって放出される。ガスには粗軽油や硫酸、アンモニアなどの有害成分を含んでいるため、そのまま外へ放出するのは危険だ。

首先以氨水冷卻高溫氣體。要高效率地去除焦炭爐氣中含有的硫化氫與氯氣,稀釋的氨水是最合適的。

まず高温のガスをアンモニア水で冷却する。コークス炉ガスに含まれる硫化水素や塩素ガスを効率的に除去するには希薄アンモニア水がもっとも良い。

之後將已除去劇毒物質的氣體精煉出焦油、粗輕油、硫酸與氨,剩餘的氣體則回用作焦炭爐的燃料。

後は劇薬を除去されたガスからタールや粗軽油、硫酸、アンモニアに精錬し、残ったガスはコークス炉の燃料として再利用する。

此外可以用硫酸與氨製造氮肥硫酸銨(別名硫安),也可以以此等為原料製造硝酸銨(別名硝安)。

なお硫酸とアンモニアを使って窒素肥料の硫酸アンモニウム(別名硫安(りゅうあん))を生成するか、それらを材料にして硝酸アンモニウム(別名硝安(しょうあん))を生成する事が出来る。

硫安作為肥料很重要,硝安除了用作肥料外還有各種用途。

硫安は肥料として重要だが、硝安は肥料の他に色々な使い道がある。

硝安與水混合會發生吸熱反應,故意降低純度的硝安與水混合並冷凍後,可做成便攜保冷劑。

硝安は水と混ぜると吸熱反応を起こすため、純度をわざと落とした硝安と水を混ぜて凍らせれば、携帯保冷剤が出来上がる。

但硝安若處理一個不慎就會爆炸,對周遭造成巨大傷害,故靜子決定盡量限制只以降低純度的硝安作為便攜保冷劑使用。

ただし硝安は取り扱いを一歩間違えれば爆発し、周囲に甚大な被害を引き起こす。そのため静子は極力純度を悪くした硝安を、携帯保冷剤として取り扱うだけに限定しようと考えた。

「做得不錯的感覺耶。這樣轉爐的支柱大概也能在半年左右完成嗎?」

「出来は良い感じね。これなら転炉の支柱も半年ぐらいで出来そうかな?」

「這還說不準。少量時或許成功,但大量生產就常常出問題。」

「さてな。少量ならうまくいっても、大量生産となると成功しなくなるケースは良くある」

「嘛,那方面就要一點一點增加產量,確認會不會出現問題。」

「ま、そこは少しずつ生産量を増やして、問題が出ないか確認しないとね」

高爐的試驗取得了成功,但這並不代表結束;反而是從此刻開始。

高炉の試験は成功を収めた。だがこれで完了という訳ではない。むしろここから始まるのだ。

技術日新月異,現有高爐的鐵品質仍然偏低。接下來要花數十年,甚至不排除超過一百年的時間,邊研究邊穩健地生產高品質的鐵與鋼。

技術は日々進歩する。今の高炉では鉄の品質が低い。これから何十年、下手すれば百年以上かけて、じっくり研究しつつ高品質な鉄や鋼を生産していく。

當鐵與鋼的品質提升,現今的木造船也會逐漸被鐵船取代。改用鐵材後可建造更大型的船隻,物流將大幅改變。

鉄や鋼の品質があがれば、今は木造の船もやがて鉄に変わる。鉄に変われば今より更に大型の船が建造出来、物流は大きく変わる。

但高品質的鋼同時也能製造出更強力的大砲,進一步應用高爐與轉爐的技術也可能製造炸藥。

だが高品質な鋼は同時に強力な大砲を製造する事も可能にする。更に高炉や転炉の技術を応用して爆薬を製造する事も可能になる。

然而技術終究是工具,會用於和平或成為人類歷史上的危險物,端賴使用者的意志決定。

だが技術とは所詮道具であり、平和の為に使われるか、それとも人類の歴史の中で危険なものとなるのか、それは使う側の意思で左右される。

舉例來說,就是哈伯-博世法。

例を挙げるならハーバー・ボッシュ法であろう。

在哈伯-博世法誕生之前,人類長期受制於「馬爾薩斯的極限」(即若不依土地的生產力抑制人口,生活資源將以等差數列式無法跟上人口增長而必然短缺的觀念)而困於貧困。

ハーバー・ボッシュ法誕生前まで、人類は『マルサスの限界(土地の生産力にあった人口に抑制しなければ、等差数列(とうさすうれつ)的に増加する生活資源が必ず不足する考え)』による貧困に悩まされてきた。

然而隨著哈伯-博世法使氨的合成成為可能,許多化學肥料得以誕生,農作物產量等生活資源顯著增加。

しかし、ハーバー・ボッシュ法によってアンモニアの合成が可能になると多くの化学肥料が誕生し、農作物の収穫量など生活資源は飛躍的に増加する事となった。

因此人類首次突破了「馬爾薩斯的極限」,人口出現史無前例的飛躍性增加。

これによって人類は初めて『マルサスの限界』を超え、人口は歴史上例を見ないほど飛躍的に増加した。

據說如果現代無法再靠哈伯-博世法合成氨,約有30億人會餓死。

もしも現代、ハーバー・ボッシュ法によるアンモニア合成が出来なくなった場合、およそ30億人が餓死するであろう、と言われている。

哈伯-博世法對人類繁榮貢獻巨大,但氨的合成同時也使硝酸這種炸藥原料的大量生產成為可能。

人類の繁栄に大きく貢献したハーバー・ボッシュ法だが、アンモニアの合成は同時に爆薬の原料となる硝酸の大量生産をも可能とした。

現代多採用「奧斯特瓦爾德法(亦稱氨氧化法)」的工業製程,而氨在此扮演重要角色。

現代では「オストワルト法(アンモニア酸化法とも言う)」による工業的製法が行われているが、この時アンモニアが重要な役割を果たす。

奧斯特瓦爾德法是將氨與氧混合成氣體,並使用鉑與其礦石中一種雜質銠約一成混合的催化劑加熱處理。

オストワルト法とはアンモニアを酸素との混合気体にし、プラチナとプラチナ鉱石に含まれる不純物の一つロジウムを一割程度まぜたものを触媒にして加熱する。

此過程會生成一氧化氮,該一氧化氮與空氣中的氧結合變為二氧化氮,然後使二氧化氮與溫水反應,生成硝酸與一氧化氮。

すると一酸化窒素が発生し、これが空気中の酸素と結合して二酸化窒素に変わる。この二酸化窒素を温水と反応させ、硝酸と一酸化窒素を発生させる。

最後一個步驟產生的一氧化氮會被回收再利用,再次轉為二氧化氮,並生成硝酸與一氧化氮。

最後の工程で発生した一酸化窒素は再度利用され、再び二酸化窒素となって硝酸と一酸化窒素になる。

如此一來,採用奧斯特瓦爾德法只要有氨、空氣(純氧可提高產量)與溫水,就能製造炸藥。

このようにオストワルト法を用いればアンモニアと空気(純粋な酸素の方が生産量は増える)、温水があれば爆薬が製造出来る。

硝酸可在國內大量生產,不再受他國情勢影響,於是原本一旦資源耗盡就會結束的戰爭得以延長。

硝酸が他国の情勢に影響されず自国内で大量生産が可能となったため、今まで資源が尽きれば終わった戦争が長期化する事となった。

因此哈伯-博世法被形容為「平時從空氣製造肥料,戰時從空氣製造火藥」。

このためハーバー・ボッシュ法は「平時には肥料を、戦時には火薬を空気から作る」と形容される事となった。

「總之先提升品質是理所當然的,暫時在民間使用檢驗,之後再做軍事利用可能比較好吧──」

「とりあえず品質を向上させるのは当然として、しばらくは民間で使用して検証、後に軍事利用が良いかなー」

足滿點頭,彷彿在說那樣就沒問題。

それで問題ないと言わんばかりに、足満は静子の言葉に頷いた。