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戦国小町苦労譚

1572年 三月上旬

「頭好痛」

「頭が痛い」

靜子把手按在額頭上呻吟。因為兼續爽快地說出身份,靜子的護衛們警戒心提高,但本人絲毫不放在心上。

額に手を当てて静子は唸る。兼続があっさり素性を明かしたお陰で、静子の護衛達は警戒心を高めるが、本人は全く意にも介さなかった。

像才藏那樣的人,只要露出一點可疑的舉動就可能出手的氛圍。但兼續似乎把周圍的反應視為理所當然,坦然接受。

才蔵などは少しでも怪しい素振りを見せようなら手を出し兼ねない雰囲気だ。しかし、兼続の方は周囲の反応は当然、と言わんばかりに受け入れていた。

「我來是要看清如實的靜子殿。隱瞞身分偷窺之類不合我的性子。首先,我並非間諜」

「俺はありのままの静子殿を見分しに参ったのだ。素性を隠して覗き見するなど性に合わん。第一、俺は間者ではない」

對抱著頭的靜子,那位引起頭疼的人不以為意、笑著回答。警戒尚未解除,但被任命為照料者的慶次如往常般笑著。

頭を抱える静子に、頭痛の種は悪びれずに笑いながら答える。依然として警戒は解けないが、世話役に任じられた慶次はいつものように笑っていた。

「說不定差點就會演變成織田與上杉的戰事,真的」

「下手すれば織田と上杉のいくさになるところだったんだよ、本当に」

「既然是戰,那也沒辦法。若是戰場,實城大人肯定會說要在那裡了斷一切。要是由我開啟戰端並英勇犧牲就更好」

「いくさとなれば是非も無し。いくさ場にて全ての決着をつける、とお実城様なら仰るであろう。戦端を開いた俺が華々しく散れば尚良し」

「別那種『我出去一下』的語氣說要去死好嗎。你要是早死了其實會相當麻煩的」

「そんな、ちょっと出かけてくる、みたいなのりで死ぬとか言わないで欲しいな。キミが早く死ぬと割と困るんだよね」

靜子在心裡補充道,是上杉家的繼承者之爭。

上杉家の後継者争いで、と静子は心の中で付け足す。

與六,後來的直江兼續,在上杉謙信死後,上杉景勝與上杉景虎之間爆發的內亂中扮演重要角色。

与六、後の直江兼続は上杉謙信が死んだ後、上杉景勝と上杉景虎との間で起こった内乱で重要な役目を果たす。

御館之亂後,為換取恩賞而倒戈投向景勝陣營並立下大功的毛利秀廣,因山崎秀仙的意見使得他的恩賞被取消而勃然大怒,於是發生了殺害正在與直江信綱會談的山崎秀仙及直江信綱的事件。

御館の乱後、恩賞と引き替えに景勝陣営に鞍替えし大きな功績を残した毛利(もうり) 秀広(ひでひろ)が、山崎秀仙の意見によって恩賞をなかったことにされた事に激高、直江信綱と会談中の山崎秀仙及び直江信綱を殺害する事件が起こる。

失去繼承人的直江家,將兼續迎為直江信綱之妻・お船的婿養子。兼續繼承直江家後與狩野秀治一同持續支持上杉家。

跡継ぎを失った直江家は、兼続を直江信綱の妻・お船の婿養子に迎える。兼続は直江家を継ぐと狩野秀治と共に上杉家を支え続けた。

「啊,或許那時一起在場的年長男孩是長尾喜平次氏(長尾喜平次顯景,後來的上杉景勝)?」

「あ、もしかしてあの時、一緒にいた年上の子って長尾(ながお) 喜平次(きへいじ)氏(長尾 喜平次 顕景(あきかげ)、後の上杉景勝)?」

「你真會發現。想不到他會在那種地方不帶侍從就出來走。當時間者們驚愕的表情真是好看啊」

「よく気付いたな。まさかあの様な場所に、供もつけず歩くとは思わなかったようだ。あの時の間者たちの驚いた顔は見物だったぞ」

「真是惡劣的騷擾」

「酷い嫌がらせだ」

「殿曾說要感謝當時之事,但這次是我的任性,還請見諒」

「殿はあの時のお礼をと仰っていたが、此度は俺の我が侭だからご遠慮願った」

不知道也不想知道他把人派往京的用意是什麼。也不想輕率地探查,弄出像捅到草叢驚出蛇那樣的事。

何を考えて京に派遣したか分からないし、知ろうとも思わなかった。下手に藪を突いて蛇を出すような真似はしたくない。

總之靜子不想與上杉家牽扯,但這次再次意識到對方並不這麼想。

とにかく上杉家と絡む気がない静子だが、先方はそう思っていない事を改めて知る。

(上杉家還滿陰森的。深陷下去恐怕不只燙傷,還會更糟,還是保持一定距離比較好吧)

(上杉家って割と不気味なのよね。深入りしたら火傷では済まなそうだし、ここは一定の距離を保つのがベターかな)

可以說顛覆戰國時代常識的是織田信長,但能與他比肩的怪人是上杉謙信。

戦国時代の常識を覆したのは織田信長であると言えるが、彼に比肩し得る変人が上杉謙信である。

他有獨到的價值觀,做過許多不受當時思想、信條或道德觀束縛的行為。

独自の価値観を持ち、当時の思想・信条、道徳観に囚われない行動を幾つもなしている。

一邊思考那些事,靜子一行進入某個城鎮。

そんな事を考えている内に、静子一行はとある街へ入る。

那是從去年起由信長委託運營管理的城鎮,離靜子的宅邸也不遠,且通往港町的主幹道路已被整備。

昨年から信長より運営・管理を任された街で、静子の邸宅からもほど近く、かつ港街へ通ずる主幹道路が整備されていた。

因為這城鎮位於連接港町與各地的途中,城內有很多商人出沒。

港町から各方面を結ぶ途上に街があるため、街中には商人の姿が多い。

由於靜子的宅邸近在咫尺,靜子軍大部分在此居住,士兵及其家屬的勢力也不遜於商人。

静子の邸宅が近いという立地上、静子軍の大半がこの町に起居しており、兵士やその身内達も商人に負けない勢力となっていた。

人聚物多自然帶來金錢。商人從港町前往岐阜或京時會先在此地住宿,因此在尾張領也顯得十分熱鬧。

人が集まり、物があるとなれば当然金が落ちる。商人が港町から岐阜や京を目指す際に、まずこの街で宿泊するため、尾張領でも屈指の賑わいを見せていた。

因為靜子的宅邸與靜子軍集結,居民大多以為靜子是此地領主,然而實際上她甚至不是代官。

静子の邸宅があり、静子軍が集結している事から、住人の大半は静子が土地の領主だと思っているが、実際は代官ですらない。

原則上都市計畫由統治者信長決定,但這個城鎮例外地將所有權限交給了靜子。因此融入近代化設計的城鎮在其他城鎮中格外出類拔萃。

原則的に都市計画は支配者たる信長がするものだが、この街に限っては全ての権限を静子に与えていた。そのため近代的設計が織り込まれた街は他の街とは一線を画す出来となっていた。

最引人注目的是道路,乃是直接引入街道的主幹大道。

一際異彩を放つのは道路、それも街道をそのまま引き込んだ目抜き通りである。

在中世與近世的日本,通常不會為了街道整備而花心思,主要是出於軍事理由:迫使敵軍走無路可走能消耗他們。

中世・近世の日本では主に軍事的な理由で、街道整備が為されることは無かった。道なき道を進軍する事を強いれば敵を消耗させることが出来るためだ。

例外中的例外是武田信玄所開發的信玄堤與棒道。這些是靠信玄的魅力、財力與掌握人心的手腕才能完成的大規模公共工程。

例外中の例外が武田信玄が開発した信玄堤(しんげんつつみ)や棒道(ぼうみち)だ。これは信玄の持つカリスマ・資金力・人心掌握術があったからこそ出来た大規模公共事業だ。

在其他地區幾乎沒有大規模堤防或街道整備,離開城下町後多是田埂小路,還彎彎曲曲地難以通行。

他国では大きな堤防や街道整備は殆ど行われず、城下町を離れればあぜ道程度、それもぐにゃぐにゃと曲がりくねって大変移動しにくい道ばかりだった。

這種道路易使物流停滯,且在十字路口易發生擄人事件。為了解決這些問題,靜子整備了寬闊且筆直的主幹道。

このような道は物流が滞りやすく、また交差点(辻)での人さらいが発生しやすい。それらを解消するため、静子は幅広い直線の主幹道路を整備した。

並設置相當於護欄的木製防護柵,把行人與牛車馬車分隔,劃出人行道與車道的界線。

またガードレールに当たる木製の防護柵を設置し、歩行者と牛車や馬車を分離、歩道と車道の境界を設けた。

多虧如此,與港町之間的物流量大幅增加,不僅流入尾張,甚至流向美濃各地的物資也激增。

このお陰で港街との物流量が大幅に増加、尾張は勿論美濃にまで様々な物資が流れ込む事となった。

當然,人員移動與物流增加也使其他國家的間者更容易混入,但這些問題以嚴格的法律來應對。

無論、人の移動や物流が増える事は、そのまま他国の間者が入り込みやすくなるが、それらは厳しい法で対応していた。

「靜子殿,那是什麼?」

「静子殿、あれはなんじゃ?」

與靜子並肩而行的兼續指出路邊的某物。靜子順著指向看去,了解那是什麼。

静子の横を歩いている兼続が、道の脇にあるものを指さす。指さす先を視線で追った静子は、それが何か理解する。

「那是牛馬飲水槽。字面上就是牛馬用的給水場」

「あれは牛馬飲水槽。文字通り、牛馬用の給水場だよ」

所謂牛馬飲水槽就是字面上的牛馬用水槽。雖然是飲用水,人喝也沒問題,但其高度與寬度是為牛馬設計,不適合人飲用。

牛馬飲水槽とは文字通り牛馬用の水槽だ。飲料水なので人が飲んでも問題ないが、牛馬に合わせて水槽の高さや幅が設計されているため、人が飲むには向いていない。

「牛馬用的給水槽真是稀奇」

「牛馬用の給水槽とは面妖な」

「在商人間還蠻受歡迎的啦。不過因此要是想搞怪,旁人會一擁而上把你揍扁,所以別惡作劇比較安全喔。喔唷」

「商人には割と人気だけどね。その関係で変な事しようとすると、周りの人からよってたかって殴られるから、悪戯しない方が身のためよ。っとと」

正在向兼續解說時,靜子的馬轉向了牛馬飲水槽。因為朝港街的方向行進,或許補水不足,靜子便放開馬讓牠自行行動。

兼続に説明している途中、静子の馬が牛馬飲水槽へ向きを変えた。港街へ向かった関係で水分補給が不十分だったかな、と思った静子は馬を自由にさせる。

到了牛馬飲水槽,馬擺動脖子示意想喝水。靜子探頭往飲水槽裡看,發現裡面幾乎沒水,於是需要汲起水來。

牛馬飲水槽に着くと、馬は首を動かして水が欲しい事をアピールする。静子が牛馬飲水槽を覗くと、中は殆どなかったため水を汲み上げる必要があった。

「知道了。馬上幫你放水過來」

「分かったよ。今、水を入れてあげるからね」

撫摸讓馬冷靜後,靜子啟動靠近牛馬飲水槽的手押泵汲水。水漸漸蓄滿,馬便把臉伸進去開始喝水。

馬を撫でて落ち着かせると、静子は牛馬飲水槽の傍にある手押しポンプを動かして水を汲み上げる。程よく水が溜まったところで馬が顔を突っ込んで水を飲み始めた。

「等一下喔。沒事的話可以去那邊觀光一下」

「暫く待ってね。暇ならその辺を観光してきても良いよ」

坐在家臣擺的折凳上,靜子放鬆了肩膀。兼續一時不知該怎麼做,但想想既然是來看靜子的,離開她反而本末倒置,便坐到她身旁。

家臣が置いた床几に腰掛けると、静子は肩の力を抜く。どうするか考えあぐねた兼続だが、静子見分に来たのだから静子の許を離れるのは本末転倒と考え、彼女の傍に腰を下ろす。

也是因為她過於毫無防備讓他擔心。但他的擔憂很快被證明是杞人憂天。

無防備すぎる彼女が心配になったのも理由だ。だが、彼の心配は杞憂に終わる。

「哦,不就是靜子大人嗎。這種地方休息,請務必惠顧我家的茶屋」

「お、静子様ではないですか。こんな所で休憩とは、是非ともうちの茶屋をご利用下さい」

「可惜不是我在休息,是馬啦」

「残念だけど私じゃなく馬が休憩なんだよね」

在人行道上走的男子停下腳步,親切地對靜子搭話。兼續被那份自在嚇了一跳,但周遭的人都見慣不怪,沒有人在意。

歩道を歩いている男が立ち止まると、静子へ気さくに声をかける。余りの気楽さに兼続はギョッとしたが周囲は慣れたもので誰も気にしていなかった。

「真可惜呢。喔不行了,得快回去,不然會被媽罵。請多關照喔」

「残念ですわ。おっといけねぇ、早く帰らねぇと母ちゃんに叱られちまう。どうぞご贔屓に」

話音未落,男子便有點快步地離去。接著又有各式各樣的人向靜子搭話。對這些人,靜子有時帶著幽默回應。

言うやいなや男は駆け足気味に立ち去った。それからも色々な人間が静子に声をかけてきた。それらに対して時にはユーモアを交えつつ静子は答える。

「靜子大人,要是在這裡悠哉,玄朗大人的雷可會劈下來喔」

「静子様、こんな所で呑気にしておられますと玄朗様の雷が落ちますよ」

「到時我會逃跑,請放心」

「その時は逃げるからご安心下さい」

「別在那邊閒聊了,來我店裡花點銀子吧—」

「そんな所で油売っていないで、おらの店で金子を落として下さいよー」

「哈哈哈,拿得出讓我掏錢的東西再來吧—」

「はっはっはっ、私にお金を出させるだけのものを持ってくるのじゃー」

兼續目瞪口呆地看著眼前景象。其間車道上他首次見到的人力車與馬車接連通過。

目の前の光景が信じられず、兼続は目を丸くする。その間にも車道は彼が初めて見る人力車や馬車が次々と通過していく。

他們從靜子身旁經過時會低頭或脫帽打招呼。靜子則輕輕招手回應。

彼らは静子の横を通り過ぎる時、頭を下げたり被っている帽子を脱いだりして挨拶する。それに対して静子は軽く手を上げて答えた。

看起來不像支配者與被支配者的關係,更像熟人間的問候。對於一頭霧水的兼續,笑容滿面的慶次說了一句。

支配する者と支配される者というより、顔見知りの挨拶にしか見えない。何がなんだか分からず呆然としている彼に、ニコニコと笑顔を浮かべた慶次が一言言った。

「好好看清楚,那就是靜っち」

「よぉく見物しておけよ、あれが静っちだ」

結果,好奇心驅使兼續暫時與靜子分開,改為前去遊覽街道。靜子不在意,便將帶路交給慶次,然後帶著手下離去。

結局、街が気になった兼続は一旦静子と別れて、街を見物する計画に変更した。静子は特に気にせず慶次に道案内を任せると、そのまま配下を連れて去って行った。

慶次等靜子一行看不見後,告訴兼續她會在哪家店,便轉身離開。

その慶次も静子一行が見えなくなると、どこの店にいるからと兼続に教えると彼に背を向けて立ち去った。

兼續心想,不曉得是靜子他們信任他,還是瞧不起他,實在難以判斷。

静子たちから信頼されているのか、それとも侮られているのか、判断に迷うと兼続は思った。

「那樣可以嗎。才蔵殿一直盯著我的行動看……那麼慶次殿也算是靜子殿的馬廻衆吧。完全相反性格的兩人居然不鬧翻,真奇怪」

「良いのかあれは。才蔵殿は俺の行動を逐一見ていたのだが……あれで慶次殿も静子殿の馬廻衆なの、だよな。全く正反対なのによくいがみ合わないな」

把慶次交給的銀錢袋放進懷裡後,兼續朝先前注意到的方向走去。靠近一看,那是一個裝著一疊紙的木箱。

慶次から渡された金子袋を懐にしまうと、兼続は先ほどから気になったものに足を向ける。近づくとそれは紙の山が入った木箱だった。

「為什麼會在這種地方放一疊紙……?」

「何故、このような場所に紙の山が……?」

兼續歪著頭拿起最上面的一張紙。紙上寫的內容,是介紹這城裡住宿設施的資訊小冊子。

首を傾げながら兼続は一番上の紙を手に取る。紙に書かれていた内容は、この街にある宿泊施設の情報雑誌だった。

街上有幾家旅籠,能對應從獨自旅行的行商到大批同行的富商等各式各樣的人。

街には幾つかの旅籠(はたご)があり、一人旅の行商から大人数で移動している豪商まで幅広い人間に対応出来る。

然而旅館分布在哪個區域、提供的服務價格多少,對初到的商人們來說沒有方法得知。

しかし、街のどの辺りに宿泊施設があり、どれぐらいの値段でサービス提供しているか、初見の商人たちには知る方法がない。

不管服務多好,如果使用者不知道就沒有意義。好東西不會自動傳開。不做適當的資訊發信就是浪費寶物。

どれほど良いサービスを提供しようとも、利用者が知らなければ意味はない。良いものが勝手に広まる訳ではない。然るべき情報発信をしなければ宝の持ち腐れだ。

為了解決這些問題,城裡各處都設有旅籠導覽小冊子。兼續拿起的正是其中一本。

それらを解消するのが、街の至る所に配置された旅籠案内雑誌である。兼続が手に取ったのはその内の一冊だ。

當然資訊雜誌是免費發放的,不會耍小聰明說一本要多少錢。但背面有寫著「請將冊子轉交給認識的人以擴散」之類的內容。

もちろん情報雑誌は無料配布だ。一冊幾ら払え、というこすい事はしない。ただ、裏側に『知り合いに冊子を譲渡して広めて下さい』という内容が書かれている。

「嗯——,沒有晚餐,不過有料理店林立的街道,叫人去那邊用餐。隔天早膳是有提供的。難道因此降低了住宿費嗎。喔!付了費就會幫你把貨物寄存在倉庫,這倒不是隨便能做的事」

「ふーむ、夕餉はないけど料理屋が並ぶ街道があるから、そちらを利用しろと。翌日の朝餉は出るのだな。それで宿泊料金を下げておるのか。おお! 料金を払えば倉に荷を預かってくれるのか。中々できる事ではないな」

兼續移到不妨礙通行者的位置,再次攤開旅籠資訊小冊子。

兼続は通行人の邪魔にならない場所まで移動すると、旅籠の情報雑誌を再度広げる。

內容盡是新奇的事項。兼續一邊發出感嘆,一邊閱讀小冊子。路過的人即便對他投以疑色,他也毫不在意。

内容は全てが目新しいものばかりだった。兼続は感嘆の声を上げながら情報雑誌を読み進める。通りかかる人間が彼を訝しげに見てもお構いなしだった。

「這是什麼,點數札……哦喔,對常客會給各種特典啊。各旅籠不同,客人要選哪裡住宿可真讓人頭痛」

「なんじゃ、この点数札というのは……ほほぅ、よく利用する客には色々と特典を付けてくれるのじゃな。旅籠によって変わるし、客はどこに宿泊するか悩むのぅ」

旅籠有公會,該公會發行點數卡。入住加入公會的旅籠會累積點數,依點數提供各種特典。

旅籠には組合があり、その組合はポイントカードを発行している。加入している旅籠に宿泊するとポイントが付き、点数に応じて様々な特典が提供される。

用點數換得到的特典由各家旅籠自行決定。

ポイントで得られる特典は各旅籠が好き勝手に決めている。

各種特典應有盡有,即使是相對較低的點數也能換到尾張的特產,對外地人來說實在難以抗拒的商品陳列。

色々な特典が用意されており、比較的低いポイントであっても尾張の特産品が貰えるなど、よそ者には堪らない品ぞろえであった。

「原來如此。飯食由飯屋負責,住宿交給旅籠分擔,因而可以把住宿費壓低。而且是互相幫助,錢不會一直集中到某個組合裡去」

「なるほどなぁ。飯は飯屋、寝泊まりは旅籠、と分けておるから宿泊料が下げられる。しかも持ちつ持たれつだから、どこかの組合にお金が集まり続けるということもない」

一邊自言自語,兼續便朝料理屋林立的街道走去。雖然對料理屋成排林立感到新奇,但相比之下,酒便宜這點對兼續更為重要。

呟きつつ兼続は料理屋が並ぶ街道へ足を向ける。料理屋が建ち並ぶ事に物珍しさを感じたが、それ以上に酒が安いという事の方が兼続には重要だった。

而且尾張與美濃的酒,正是主君謙信大力稱讚的酒。作為嗜酒如命的越後人,不在意外地的酒這點幾乎是不可能的事。

しかも尾張や美濃の酒は、主君である謙信が手放しに褒めていた酒だ。何よりも酒飲みの越後人として、他国の酒が気にならない方が無理な話だ。

不過就在快要下決心的地方,他停下了腳步。他自問若喝了酒是否能夠自我節制,答案很快便出來了。

だがもう少しという所で彼は足を止める。酒を呑んで果たして歯止めが利くのか、彼は自問自答する。答えはすぐに出た。

(嘛、下次再說吧。接二連三地討錢,實在跟流浪漢沒兩樣)

(ま、また今度だ。流石に続けざま金子の無心など破落戸と変わらない)

在花街吃了苦頭的兼續帶著斷腸之感折回,他努力把酒的念頭從腦中趕走,冷靜地觀察起街道來。

花街で痛い目を見た兼続は断腸の思いで踵を返す。その後は頭の中から酒を追い出し、冷静に街を見ていく。

街道大致被劃分為五個區畫。街中心有各式各樣的公共設施林立。從中心往右有兩處與農業相關的區畫,左側上方是商業區,下方則是工業區。

街は大きく5つの区画が設けられていた。街の中心には様々な公共施設が建ち並んでいる。中心から右側に農業関係の区画が2つ、左側は上が商業、下が工業地区となっている。

最熱鬧之處是進行買賣的商業區。各種商品陳列其上,叫賣招攬顧客的聲音此起彼落。

一番賑やかな場所は商売が行われる商業地区だ。様々な商品が並び、客の呼び込み声があちらこちらでしていた。

兼續覺得物品如此充足,夜盜或小偷應該會頻繁發生。然而當他抓住附近的人詢問後,很快就解開了疑問。

これだけ物が溢れれば、夜盗や物取りが頻発するのではと兼続は感じた。しかし、それは近くの人を捉まえて質問した際に解決する。

街上對犯罪有嚴格的取締,並且定期有兵卒巡邏。此外還有專門追緝在街上犯案之人的追跡部隊,據說專責追捕。

街では犯罪に対する厳しい取り締まりがあり、定期的に兵が巡回している。更に街で犯罪を犯した者を追う専門の追跡部隊までいるとの話だ。

據說他們曾追捕殺害鍛冶一家的犯人,一路追到安土附近將其逮捕,可見追蹤能力之強。

鍛冶一家を殺した犯人を追い、安土辺りまで追いかけて捕縛した噂もあるほど、追跡能力に長けているとの事だ。

雖然犯罪者容易陷入自暴自棄,但鮮少有再犯,對犯罪採取的嚴格態度成為強大的威懾力,贏得了商人與旅人的信賴。

犯罪者が自暴自棄になりやすいが再犯が起きない事、犯罪に対する厳格な態度が強い抑止力となり、商人や旅人の信頼を獲得している。

再者與岐阜的市場不同,這裡不是惱人的喧鬧,而是一種熱鬧的氣氛。不必詳細調查也能看出交易非常活躍。

更に岐阜の市場と違い、五月蠅いというより賑やかな雰囲気だ。詳しく調べなくても活発な売買が行われている事が分かる。

若要了解一個國人的本性就看其百姓,兼續想起了謙信的這句話。

国人を知りたくば民を見よ、謙信の言葉を兼続は思い出す。

(大家都生氣勃勃的。即便織田家四面八方都是敵人,能夠持續作戰的理由大概就是這個)

(みな、生き生きとしておる。織田家が四方八方敵だらけになっても、戦い続けられる理由はこれか)

大多數的統治者會從百姓身上奪取一切,然而織田家所治理的尾張與美濃並非單純奪取,而是與民共存。百姓能安然生活以換取納稅,織田家收取稅後則保護百姓。

大抵の支配者は民から全てを奪う。しかし、織田家の支配する尾張・美濃は奪うのではなく共存する。民は安らかに暮らせる代わりに税を納める。税を受け取った織田家は民を守る。

沒有了百姓織田家無以為繼,反過來單靠百姓也無法享有和平。

民がいなければ織田家は食べていけず、さりとて民だけでは平和を享受する事は不可能。

(難怪會覺得實城大人難纏。和我們的實力相當……不,還更勝一籌)

(こりゃお実城様が手強いと思う訳だ。我らと同じ力……否、それ以上だ)

作為戰人,兼續很期待與織田家的交戰;但他也想,即便不開戰,若織田家與上杉家能攜手合作,或許能拯救更多百姓。

いくさ人ゆえ織田家とのいくさは楽しみに思う兼続だった。しかし、いくさをせずとも織田家と上杉家が手を取り合えば、多くの民が救われるのではないか、とも思った。

(要怎麼回報報告,這件事變得相當棘手了)

(どういう風に報告するか、難しい話になってしまったな)

兼續苦笑著朝慶次所在的方向走去。靜子的驗收還在後頭,他一邊打算好好享受接下來的事,一邊邁出一步。

苦笑しながら兼続は足を慶次がいる方へ向ける。静子見分はこれからだ、じっくり楽しもうと思いながら彼は一歩足を進めた。

「可以嗎?」

「よろしいのですか?」

與兼續分別後先回家的靜子把他的事說給彩聽,彩的回應極為單純。

兼続と別れて先に家へ帰宅した静子は、彼のことを彩に話した。それに対する彩の返答は至極単純だった。

織田與上杉雖是同盟,但尚未到家臣彼此頻繁往來的親密程度,彩質疑是否能擅自把那人帶回家裡而不會有問題。

織田と上杉は同盟だが、家臣が行き来するほど親密な関係ではない。それを勝手に自宅へ引き込んで問題ないのかが彩には疑問だった。

「反正是關於館主大人的事,想必他們會逐一查清他的行動。而且我現在也不牽涉重要案件。當然會向館主確認該怎麼處理」

「どうせ、お館様のことだから彼の行動も逐一調べているでしょう。それに今、私は大事な案件に関わっていないしね。ま、お館様にはどうするべきか確認はとるけども」

「雖然是那樣……」

「それはそうですが……」

「別太在意,沒什麼問題。若偷偷摸摸反而可被說成『上杉家的武士做間諜之類的事不可饒恕』,要堂堂正正行事又無法逃脫維特曼他們的監視」

「何、気にしなくても問題ないよ。下手にコソコソすれば『上杉家の武士が間者の真似事など言語道断』と言えるし、堂々とするならヴィットマンたちの監視から逃れるのは不可能だしね」

靜子的宅邸不言而喻是維特曼家族的勢力範圍。要同時避開人與動物的監視幾乎是不可能的事。

静子の邸宅は言うまでも無くヴィットマンファミリーの縄張りだ。人による監視と動物による監視、その両方をかい潜るのは至難の業だ。

若兼續要偷偷扮演間諜,那就抓住這一點掌握主導權;若不這麼做堂堂正正行事,靜子目前也沒有需要隱匿的機密。

もしも兼続がコソコソと間者の真似事をするならば、その点をついて主導権を握れば良い。それをせず堂々としても、今の静子に秘匿せねばならない機密は無い。

「話雖如此也不能掉以輕心,暫時把維特曼他們或丸太之類的放進房裡吧。丸太警戒性還算高」

「とはいっても油断は禁物、暫くヴィットマンたちや丸太辺りを部屋に入れておくか。割と警戒心強いからね、丸太は」

彩朝丸太所在的方向瞥了一眼。看到丸太毫無警戒地露出肚皮,而且大字形躺著,要說他很有警覺性實在讓人聯想不起來。

彩はちらりと丸太がいる方へ視線を向ける。警戒心ゼロで腹丸出し、しかも大の字に寝ている丸太を見て、警戒心が高いと言われても頭の中で結びつかなかった。

不過既然有維特曼在就沒有問題,彩便決定不追究丸太的事了。

しかし、ヴィットマンたちがいれば問題ないと思い、彩は丸太の事を置いておくことにした。

「就這麼辦吧。我去準備要送給館主的大信。」

「そうなさって下さい。私はお館様に文を送る支度をしてきます」

起初連讀寫都做不好,但在靜子的嚴格教導下,彩如今已成為會讀寫與算盤的才女。

最初は読み書きすらろくに出来なかった彩だが、静子がきっちり仕込んだお陰で、今や読み書き算盤が出来る才女となった。

不服輸的蕭也努力學習,但畢竟用功時間不同,還只會讀寫。不過或許因為繼承了前田利家的血統,算盤的功夫進步飛快。

負けず嫌いの蕭も奮闘しているが、流石に勉学した時間が違うので、まだ読み書きしか出来ない。それでも前田利家の血を引く者ゆえか、算盤の腕はめきめきと上達していた。

「拜託囉—」

「ヨロシクねー」

「其他人就請由蕭殿來聯絡比較妥當,他應該比我來得好」

「他の者たちには蕭殿から連絡して頂きます。私よりは良いでしょうしね」

自從搬到臨時宅邸後,或者說新宅邸本來就是以多人為前提,織田家的家臣們開始把自己的孩子派來做靜子的侍女、邸宅的使用人或下人。

仮邸宅に移り住んでからか、それとも新しい邸宅は大人数前提だからか、織田家家臣たちは自身の子を静子の侍女、もしくは邸宅の使用人、下働きにと派遣するようになった。

雖說是臨時宅邸,光靠彩與蕭兩人無法打理,能有人幫忙本來就是件可喜的事。但也出現了另一個問題:彩出身平民,這在家中管理上成了個障礙。

仮邸宅と言っても彩や蕭だけでは管理しきれず、それ自体は有り難い話だった。だが別の問題が出た。彩が平民の出というのが、家の管理においてネックになってしまった。

在靜子的麾下,無論好壞都需要實力與運氣不可或缺。

静子の所は良い意味でも、悪い意味でも実力と運が必要不可欠だ。

如今被委以數百兵力的玄朗,最初是鍛造匠人,村子被襲後成為奴隸,之後逃離買主成為夜盜,卻被靜子的部隊平定。

今でこそ数百の兵を任されている玄朗であるが、最初は鍛冶職人であり村を襲われて奴隷になり、その後買い主から逃げて夜盗になるも静子の部隊に鎮圧される。

總算免於處罰,接著被指派做近乎肉盾的工作。但他設法活下來,立下各種武功,終於被編入靜子的隊伍,擁有這樣的經歷。

何とか処罰は免れたが、今度は肉盾に近い仕事をさせられた。だが何とか生き延び、様々な武功を上げてようやく静子隊に組み込まれた経歴の持ち主だ。

弓騎兵隊的頭領級仁助與四吉,也都有波瀾壯闊的人生。

弓騎兵隊の隊長格である仁助と四吉も、波瀾万丈な人生を歩んでいる。

他們信奉靜子,也是因為曾嚐過谷底,出身卑微,但靜子只以實力來評價人。

彼らが静子を信奉するのも、どん底を味わい、最底辺の出自であるにも関わらず、実力のみを評価してくれるからだ。

在宅邸之中,靜子的實力主義不變,把已成才女的彩留作身邊侍從,並採用她為家中事務的統理者。

邸宅の中でも静子の実力主義は変わらず、才女となった彩を側仕え、かつ家の取りまとめ役に採用している。

不過,有些人對此感到不快。

ただし、これを面白くないと思う人物がいた。

即便事先被告知任用與身分無關,對於一直在身分社會中生活的人來說,並非那麼容易改變觀念,靜子多少有些放棄的心情。

人事に身分は影響しないと事前に知らされていても、今まで身分社会で生きてきた者にとっては、そう簡単に意識を変えられないかと静子は若干諦め気味だった。

當然,若做得不對會遭到家長的痛罵,所以那些不快的人也只能停留在心裡不再多說。

もっとも、下手な事をすれば家長から手痛い叱責が待っているため、面白くないと思う者たちも、思うだけに終わっていたが。

「其實我覺得沒必要太在意。要不把彩醬收為我妹妹也行喔」

「別に気にする必要はないと思うけどね。何なら彩ちゃんを私の妹にする手もあるよ」

「……像我這樣的人實在受之有愧,但若是那樣便會全然依靠靜子大人。我還想知道自己能做到多少,還請再給我一點時間」

「……私如きには有り難いお話ですが、それでは静子様に頼り切る事になります。もう少し、我が身でどこまで出来るか知りとうございます」

「是嗎?嘛,要是你願意隨時都可以」

「そう? まぁその気になったらいつでも良いよ」

「多謝你。到時還請你多多關照。那麼,話就此打住,還請處理這些書類」

「ありがとうございます。その時にはよろしくお願い申し上げます。では、話は終わりにして、こちらの書類の処理をお願い申し上げます」

深深行禮後,彩在靜子眼前將書類堆疊起來。靜子想到桌子發出ミシリ的悲鳴聲,或許並非幻聽。

深々と礼をした後、彩は静子の眼前に書類を積み上げる。ミシリ、と机が悲鳴を上げたのは、決して幻聴ではないだろうと静子は思った。

帶著乾笑,靜子拿起第一張紙。

乾いた笑いを浮かべつつ、最初の一枚目を手に取る。

「哈、哈哈,還真不少呢」

「は、ははっ、割と多いね」

「因為是制定本年度計劃的月份,需處理的書件很多。十分抱歉,還請於今日之內詳審」

「今年度の計画を立てる月ゆえ、色々と処理する書類が多いのです。申し訳ありませんが、本日中に精査をお願い申し上げます」

「唔──好吧我會做,但不要太期待喔」

「えー、まぁやるけどさ。あんまり期待しないで欲しいね」

「還請於今日之內詳審」

「本日中に精査をお願い申し上げます」

彩再三確認般重申後,便離開房間去向信長報告兼續的事。留下的靜子嘆了重重一口氣,再次翻閱紙張。

念を押すような形で再度告げた後、彩は信長に兼続の件を報告するために部屋を後にする。残された静子は重いため息を吐いた後、改めて紙に目を通す。

「……嗯,算是相當不錯的觀點」

「……ふーむ、割と良い着眼点の計画だね」

「喔,靜っち你在這裡啊」

「お、こんな所にいたか静っち」

正在看附帶資料時,慶次帶著笑容走了進來。他毫不客氣地猛地推開出入口的襖,順勢闖入房中。

紙と付随していた資料に目を通していると、にこやかな笑みを浮かべた慶次が入ってきた。礼儀もへったくれもなく、入り口の襖を勢いよく開けると、その勢いのまま部屋へ入ってくる。

不過即便看見那一幕,靜子只是擔心襖會不會被弄壞而已。

もっとも、それを見ても静子は襖が壊れないか心配するだけだった。

「是與與六殿有關的事嗎」

「与六殿の件かな」

「答對了。所以──」

「正解。なのでーーー」

「你不會說想一整晚談個沒完所以要我拿酒來吧?」

「夜通し語り合いたいから、お酒を出してくれ、とは言わないわよね?」

瞬間,慶次在笑容中僵住。靜子一手扶著臉頰,微笑著對滿臉冷汗的慶次繼續說話。

瞬間、慶次が笑顔のまま固まる。頬に手を添えた静子はにっこりと笑顔を浮かべて、冷や汗を流す慶次に向かって言葉を続ける。

「也不會說想要下酒菜烏魚子吧」

「肴としてカラスミが欲しい、とも言わないわよね」

「不、不,那正是我心意。果然是靜っち,真懂我啊──所以拜託了,好嗎?」

「い、いやぁその通りだよ。流石は静っち、よく分かったなー。だからお願い、な?」

慶次知道全被看穿後,雙手合十向靜子膜拜。靜子瞇眼瞪了他一會兒,但覺得再想也沒意義,便一手捂住臉。

全部察せられた事を知った慶次は、両手を合わせて静子を拝む。暫く半眼で睨んでいた静子だが、考えるのが馬鹿らしくなり片手で顔を覆う。

「晚餐是鰤魚與蔬菜的火鍋。若到時不喝酒就許可你」

「夕餉はブリと野菜の鍋よ。その時にお酒を呑まないなら許可しましょう」

「嗚,火鍋卻禁酒真是殘酷」

「うっ、鍋で酒禁止はきっついな」

「這已算是相當讓步了。一般人我會說不行的」

「これでも割と譲歩しているのよ。普通なら駄目って言う所だしね」

慶次摺起手臂呻吟,但果然無法再多讓一步。

腕を組んで唸る慶次だが、流石にこれ以上の譲歩は出来ない。

既然為了墊付金子也費了好大勁,這裡除了接受靜子的條件或不接受之外,慶次別無選擇。

金子の立て替えでも割と骨を折ったのだから、ここは静子の提案を飲むか、飲まないかのどちらか以外に慶次が選べる選択肢はない。

「沒辦法,只好接受那個條件」

「仕方ない。その条件を飲もう」

「那麼晚餐後來取鑰匙吧。我會一併把通往藏地下室的鑰匙交給你」

「なら夕餉後に鍵を取りに来て。蔵の地下室に通じる鍵も一緒に渡すから」

倉庫基本上為地上兩層,但唯獨存放酒的倉會設有地下1層。原因是地下較容易維持適合保存的溫度與濕度。

蔵は地上2階が基本だが、酒を保管する蔵のみ地下1階が設けられている。これは地下の方が保存に適した温度と湿度を維持出来るのが理由だ。

若在一樓或二樓,一有人打開倉門濕度與溫度便會改變。但只要地下設備齊全,僅靠開關門的程度便不會讓溫度或濕度大幅變化。

一階や二階の場合、人が蔵の扉を開けた時に湿度や温度が変化してしまう。その点、地下は設備が整っていれば扉の開け閉め程度では気温や湿度が大きく変化することはない。

為了維持品質並防止輕易被搬運走,酒特意貯存在地下藏窖裡。

品質維持及び、容易く持ち出させないようにするため、あえて酒は地下蔵に保管されているのである。

「那就拜託了ー」

「じゃあそれでよろしくー」

討論結束後,慶次揮手告辭離去。嘆了一口氣後,靜子又將視線落回手中的文件。

話し合いが終わると、慶次は手をひらひらと振って立ち去る。一つため息を吐いた後、静子は手に持っている書類へ再び視線を落とした。

之後直到晚餐時間,她就不停地處理文件。

それから夕餉の時間になるまで、彼女はひたすら書類の処理をし続けた。

對兼續來說接連不斷感到驚訝。屋內住著許多獸類他也感到驚訝,但最令他吃驚的是靜子竟然和慶次等人一同圍坐在餐桌旁用餐。

兼続にとっては驚きの連続だった。屋敷の中に多くの獣が住んでいる事も驚いたが、何より驚いたのは静子が慶次たちと食卓を一緒に囲む事だった。

說到武士的飯菜,常以糙米為主,赤米或黑米為基本。配菜也多是醃菜或梅干等鹹味,頂多才會有點蔬菜燉物。

武士の飯といえば玄米がたっぷり、それも赤米や黒米が基本だ。副食も漬け物や梅干しなど、塩辛いものだけ、良くて野菜の煮物が出る程度だ。

然而這裡的飯是白飯,味噌湯用的是豆味噌而非糠味噌,主菜是蔬菜和鰤魚鍋。不只是靜子,慶次、才藏等家臣,甚至侍女彩也都吃白飯。

それが飯は白飯、味噌汁は糠味噌ではなく豆味噌、メインは野菜とブリの鍋だ。それも白飯を食べているのは静子だけでなく、慶次や才蔵たち家臣、そして侍女の彩に至るまで白飯だ。

不只是主食,連配菜也是大家吃同樣的東西。兼續驚愕地想,這已經不是毒之類的問題了。

飯だけでなく副食も何もかも同じ物を食べていた。毒云々以前の話だと兼続は驚愕した。

「咦,口味不合嗎?」

「あれ、口に合わなかったかな」

注意到兼續筷子沒動的靜子停下用餐並問道;被那句話喚回神志的兼續慌忙搖頭否認。

箸が進まない兼続に気付いた静子が食事を止めて質問する。その言葉で我に返った兼続は、慌てて首を横に振る。

「不,白飯並非常可得之物,難掩我的驚訝。」

「いえ、白飯など滅多に食える物ではないゆえ、驚きを隠せませぬ」

「我也會考量營養,有時會摻入些赤米或黑米。不過那些餓著肚子的孩子們可不買帳。」

「一応栄養価を考えて、たまに赤米や黒米を混ぜる事はあるよ。あっちの欠食児童たちには不人気だけどね」

靜子一臉無奈地指向一方;順著她指的方向看去,慶次、才藏與長可正熱鬧地吃著飯。

あきれ顔で静子はある方を指さす。彼女の指さす方を向くと、慶次と才蔵、長可が賑やかに飯を食べていた。

仔細一看,他們像爭奪般搶著鍋裡的菜料,大口吃飯後又續碗。

が、よく見ると奪い合うように鍋の具を取り、飯をかき込んではお代わりをしていた。

靜子每天都確保足夠的白飯量,但為了營養會吃糙米,或在白飯中摻入約五%的赤米或黑米,以補充維他命與礦物質。

毎日、白飯だけでも十分な量を確保している静子だが、栄養価を考えて玄米食や、白飯でも5%ほど赤米や黒米を混ぜて、ビタミンやミネラル類を補充している。

此外赤米與黑米與白米同煮會讓外觀更美,也能享受赤米與黑米獨特的香氣。

また赤米や黒米は白米と一緒に炊くことで見た目が美しくなり、赤米や黒米独特の香りが楽しめるご飯となる。

若全用赤米或黑米,飯反而不見得好吃,但這種「混合飯」讓飯菜擁有各種變化。

全てを赤米や黒米にすれば美味しいと思えない飯になるが、このような「かやくご飯」にすることで、飯にも色々なバリエーションを持たせていた。

不過對於平時習慣吃白飯的慶次等人來說,摻有赤米或黑米的混合飯或糙米飯頗不受歡迎。

もっとも、常日頃白飯を食べるような慶次たちにとっては、赤米や黒米などの混ぜ物ご飯や玄米食は割と不評なのだが。

「話說連侍女也能吃飯,可見資產相當豐厚呢。」

「それにしても、侍女まで飯が食えるなど、よほどの財をお持ちですね」

「嗯?鰤魚是另外的事,但鍋裡的菜和米是我種的,味噌也是我做的。所以並沒有花很多錢。」

「ん? ブリは別だけど、鍋の野菜と米は私が栽培したものだし、味噌は私が作ったものよ。だから、それほどお金はかけてないよ」

「什麼?」

「は?」

聽到靜子的話,兼續更加困惑。

静子の言葉を聞いて、兼続は更に悩む。

(等等,栽培?為何織田家的要人會做農夫的事?她是在掩飾財產不讓人知道嗎?不,不對。看她的眼神完全是認真的,根本不像在騙人。)

(待て待て、栽培だと? 何故、織田家の重鎮が百姓の真似事をしている。これは彼女なりに財を知られないよう誤魔化しているのか。いや、違う。どう見ても本気の目だ。とても人を騙そうとしているようには見えぬ)

他曾被上杉家稱為傾奇者、無常識,但靜子的言行卻連讓兼續也感到困惑。

自分も上杉家で傾奇者だ、常識知らずだと言われたが、静子の言動はそんな兼続すら困惑するものだった。

(再想想,與六。她說是栽培,但大概只是負責管理吧。)

(考え直そう、与六。栽培していると言ったが、ただ管理しているだけだろう)

「說起來靜醬,最近弄的那個設施是做什麼用的?」

「そういえば静っち、最近作った施設は何のためにあるんだ?」

「那是用來養育要放流的鮭魚稚魚的地方。」

「あれは放流する鮭の稚魚を育てているところだよ」

兼續勉強就要接受了,但慶次和靜子的隨意對話又讓他思緒再次墜入深淵。

無理矢理納得しかけた兼続だが、慶次と静子の何気ない会話でまた思考が奈落へと突き落とされる。

(等、等、放流?鮭的稚魚?究竟為了什麼要做這種事?而且為什麼是靜子親自養?不,就算是家臣,也隨時可能被人暗算,應該盡量隱匿自己的技術才對。)

(待て待て、放流だと? 鮭の稚魚だと、一体何のためにそんな真似をしておる。というか、何故静子殿自らが育てているのだ。いや、家臣といえどもいつ寝首をかかれるか分からぬ身、自身の技術はなるたけ秘匿すべきなのだろう)

簡言之,鮭與鱒類的人工孵化是捕捉在產卵期的魚,注意不讓水濺到卵以採卵,受精後再放入適合孵化的水槽。

サケやマス類の人工ふ化は、端的に言うと産卵時期の魚を捕まえ、水がかからないように注意しながら採卵し、受精させた後、ふ化に適した環境の水槽に浸ける。

這種技術就是近年用於鮭鱒人工孵化的乾導法,該技術在19世紀後半由C. G.阿特金斯博士確立。

これが近年、サケやマス類の人工ふ化に使われる乾導法という技術だ。この技術は19世紀後半にC. G. アトキンス博士によって確立された。

另外,之所以要避免水濺到卵上,是因為一旦濕到會被誤認為已受精,會做出與受精卵相同的生長但終究不會孵化的未受精卵。

なお、水がかからないようにする理由は、水がかかると卵が受精したと考え、受精した卵と同じ成長をするが、決してふ化しない未受精卵になるからだ。

「再過一陣子,就會和別人養的稚魚一起放流。我從前年就開始做,所以還有一兩年看不到成果。不過嘛,我想明年左右就會有很多鮭魚回來吧。」

「もう少ししたら、他の人が育てている稚魚と一緒に放流するよ。一昨年からやっているから、後1年か2年は成果が出ないけどね。ま、来年ぐらいにいっぱい帰ってくると思うよ、鮭」

(不不不不,等一下。能捕到鮭魚的河川可被授予為知行地。武田會把捕到的鮭魚實際上近一半徵為稅。為什麼要把能增加鮭魚的技術這樣隨便教給別人!)

(いやいやいやいや、待て待て。鮭が獲れる川は知行地として与えられるほどの川。武田は獲った鮭の実(じつ)に半分近くを税として納めさせておる。その鮭を増やす技術を、何故ほいほい他の者に教えておるのだ!)

他如此困惑也無可厚非,但事實上靜子在施行某項政策,使得即便別人知道她的技術也沒什麼問題。

彼が悩むのも仕方ないが、実は静子はある政策を行っており、彼女の技術を他人が知っても特に問題なくしている。

那就是專利。專利是保障對社會有益的發明者或組織在一定期間內擁有排他權利的制度。

それが特許だ。特許とは社会に有益な発明をした人物や組織が、一定期間独占的な権利を有する事を保障する制度だ。

它可以壟斷商工業或向想利用專利的人收取專利費。專利雖是雙刃劍,但可防止工匠把有益技術秘而不宣而讓技術消失。

商工業を独占したり、特許を利用したい者たちから特許料を徴収したりできる。特許は諸刃の剣ではあるものの、職人が有益な技術を秘匿したまま、技術が消失する事が防げる。

此外也能防止發明者失去開發動力或喪失開拓新事業、新市場的意願。

また、発明者が開発意欲を失ったり、新しい事業、新しい市場の開拓に対する意欲が失われる事も防げる。

當然,這不是無限制的優先權。市場壟斷會有一定限制,若對專利費有異議,支付方也可提出異議。

無論、制限なき優先権ではない。市場独占には一定の制限がかかり、特許料についても支払う方に不服があれば異議申し立てが可能となっている。

最重要的是,若把被認定為專利的內容賣給他國,會受到嚴厲的處罰。

もっとも大事な事だが、特許と認定された内容を他国に売れば、厳しい罰則が課される。

視技術等級而定,至少全家斬首;若屬於基礎研究等核心技術,可能族滅,所謂一族郎黨全數斬首的情況都有可能。

技術のランクにもよるが最低でも一家全員斬首、基礎研究などの根幹技術になれば族滅、いわゆる一族郎党全員が斬首に処されることもある。

如果有一族以外的相關者,相關者也會被進行包含拷問的審問。

一族以外の関係者がいれば、関係者にも拷問を含む尋問がされる。

關於專利已制定各種刑法,但對於資訊外洩與間諜行為則特別採取嚴厲處置。

特許に関しては様々な刑法が制定されているが、情報漏洩やスパイ行為は特に厳しい対応が取られるようになっている。

(唔,不明白)

(ぬー、分からぬ)

兼續對那些事情不知情,思索良久後終於放棄思考。正當他乖乖想吃白飯、一把把飯送入口中時,入口的襖門猛然被打開。

その辺りの事情を知らない兼続は散々考えて、そして最後に考えることを放棄した。大人しく白飯を食おうと飯を口に入れた瞬間、入り口の襖が勢いよく開け放たれた。

「靜子啊……哈里哈里鍋要延期是怎麼回事啊〜!」

「静子ぉ……はりはり鍋が延期とはどういう事じゃあ〜!」

大力打開襖門的是お市。茶々和初在後面張開雙手擺出大力打開襖門的姿勢。兼續半是無奈地想:這裡的住人打開襖門要這麼用力,難道是禮節嗎。

勢いよく襖を開けたのはお市だった。後ろで茶々と初が、両手を広げて襖を勢いよく開けるポーズをしていた。ここの住人は勢いよく襖を開けるのが礼儀なのか、と兼続は半分呆れた。

「不是我就說過嗎?因為要把肉熟成,所以要稍微等一下才行。」

「いや、だから言ったじゃないですか。肉を熟成させるのだから、少し待ちますよって」

「嗯,我沒聽到啊。所以妾身不知道。」

「うむ、聞いておらんぞ。だから妾は知らぬ」

「別在那兒擺架子說得理所當然。即便在解體前就已經在熟成,還是需要再等一會兒。放心,明天就能吃了。」

「そこを偉そうに言わないで下さい。幾ら解体前に熟成しているとはいえ、もう少し待つ必要があるのですよ。大丈夫です、明日には食べられますから」

鯨的體溫比人類略高。為此為了避免在高溫下腐敗,會剖開腹部(內臟不丟棄而保留),把牠放入海中約16小時以維持低溫,讓肉熟成。

鯨は人間より少し体温が高い。そのため、高い温度で腐敗しないよう腹部を裂き(内臓は捨てずに残す)、16時間ほど海中に入れて温度を低温に保ち、肉の熟成をする。

捕鯨後運到港口的鯨會在神事結束後必定進行此作業。故而神事結束後至少要等上一天才拿得到鯨肉。

捕鯨後、港に運ばれた鯨は神事の後に、この作業が必ず行われる。ゆえに神事が終わった後、1日待たねば鯨の肉は手に入らない。

這件事本應事先告知,但似乎沒有傳到お市耳裡。

その事は事前に伝えていたはずだが、お市の耳には届いていなかったようだ。

「唔,沒辦法。那麼今天就用那鍋饒了你們吧」

「ぐぬぅ、仕方ない。ならば今日はその鍋で許してやる」

「饒你也好不饒你也好,這可是我的晚餐啊……話說你們那邊也準備了晚餐吧?」

「許してやるも何も、これは私の夕餉ですが……というかそちらにも夕餉が用意されているでしょう」

「冷掉的飯根本沒法吃。而且好吃的東西應該大家圍著一起吃,濃姫大人也說過這話。這樣,母親不會幫你們料理這些瑣事,交給靜子去照顧吧。」

「冷えた飯など食えたものではない。それに旨いものは皆で囲んで食べるべきだ、と濃姫殿も言われていたしな。これ、母はお前らの面倒なぞ見ぬぞ。静子に見て貰え」

話音未落お市就坐到空位上。茶々與初也想坐到旁邊,但お市無情地把自己的孩子們趕開。

言うやいなやお市は空いている席に腰を下ろす。茶々や初も隣に腰を下ろそうとしたが、お市は無情にも我が子を追い払う。

不過茶々和初習以為常,便轉向靜子那邊找了合適的位置坐下。

だが慣れたもので、茶々と初はそのまま静子の方へ行くと、適当な場所に陣取った。

(不分男女。美食應該大家圍在一起吃啊。真是非凡的做法……但不錯)

(男も女も関係ない。旨いものは皆で囲んで食べるべき、か。何とも型破りな話だ……だが悪くはない)

不知不覺間兼續露出了笑容。

知らず知らずの内に兼続は笑みを浮かべていた。

「風呂とは良いものだ」

「風呂とは良いものだ」

初次體驗人生浴池的兼續心滿意足。全身暖呼呼的兼續朝慶次住的庵前去。

人生初の入浴を経験した兼続はご満悦だった。全身ぽかぽか状態の兼続は、慶次が寝泊まりしている庵へ向かう。

臨時宅邸庭院裡的那座庵大約也就六疊榻榻米大小,談不上寬敞,但有種與俗世隔絕的寧靜風情。

仮邸宅の庭にある庵は大きく見積もっても6畳程度と、広いとは言い難いが俗世から切り離された静寂な風情があった。

「まずは一献」

「まずは一献」

慶次把酒倒入兩只茶碗,遞給兼續一只。兼續接過後,慶次咧嘴一笑然後盤腿坐下,兼續也照做。

慶次が用意した茶碗二つに酒を注ぐと、片方を兼続に差し出す。兼続が受け取ると、慶次はニヤリと笑うと胡座をかく。兼続もそれにならう。

「真是奇特的器具啊」

「変わった器だな」

「靜子說這叫茶碗酒。原本是用來喝茶的器皿卻拿來喝酒,實在痛快不是嗎」

「静っち曰く茶碗酒って奴さ。本来は茶を飲む器で酒を呑む。何とも痛快な話ではないか」

「確實是」

「確かにな」

茶道已作為上流階級的娛樂落成,但偏偏用那種器皿來喝酒。雖然離經叛道,兼續覺得十分痛快。

茶の湯は上流階級の娯楽として定着しているが、その為に使われる器であえて酒を呑む。型破りな話だが、何とも小気味よい話だと兼続は思った。

注意到酒映照月光的兼續朝茶碗裡凝視。

酒が月明かりを反射するのに気付いた兼続は、茶碗の中を覗き込む。

「如同水般清澈。映出月光也理所當然。」

「水のように透き通っておる。月明かりを映すのも当然と言えよう」

「看夠了就別多看了,先喝吧。」

「眺めるのはそこまでにして、まずは呑もう」

話音剛落慶次就一口將茶碗酒喝乾;稍晚一些,兼續也如法炮製一飲而盡。

言うやいなや慶次は茶碗を傾けて、一気に飲み干す。少し遅れて兼続も慶次と同じく茶碗の酒を一気飲みする。

「……好喝!唯有這句可言。」

「……旨い! それしか語れぬ」

「美好的東西不需要言語。」

「良いものに言葉はいらないさ」

兩人互相把酒再倒入空茶碗。

カラになった茶碗へ互いに酒を注ぐ。

「是啊……嗯,這下酒菜也好吃。酒越喝越順口。」

「そうだな……うむ、この肴も旨い。酒がどんどんすすむな」

咬下一片烏魚子,接著灌下一口酒,無法言喻的美味在口中蔓延。

カラスミを一切れ口に入れ、続いて酒を口に流し込む。何とも言えぬ旨さが口の中に広がった。

對於平常下酒菜大多是鹽,甚至幾次才有一次的兼續來說,烏魚子堪稱出乎意料的佳餚。

酒のあてなど常に塩で、それも数回に一回つけば良い方の兼続にとって、カラスミは望外の逸品であった。

之後兩人在讚嘆酒的美味之餘閒聊起來,話題各式各樣,當然有關機密的事彼此也不能隨便多說。

それからは酒の旨さに太鼓判を押しつつ、二人は談笑する。話す内容は色々だった。勿論、機密に関する事は互いに口が軽くなる訳にはいかなかったが。

「不過,真讓人羨慕。能喝到這樣的酒實非易事。我主君稱讚也不足為奇」

「いや、しかし本当に羨ましい。このような酒を呑めるなど然(そ)う然(そ)うない。我が主君が褒めるのも無理はない」

「靜っち沒有知行地啊。不能給她土地的代替,會在各方面幫她調度。嘛,偶爾喝太多被罵也是有過的」

「静っちは知行地がないからな。土地を与えられない代わりに、って言って色々と融通してくれる。まぁたまに飲み過ぎて叱られる事もあるけど」

雖然被罵了,慶次看起來完全沒長教訓。他笑著把茶碗送到口邊,忽然有股好香味從不知哪裡飄來。

叱られている割に、全く懲りていない雰囲気の慶次だった。笑いながら兼続が茶碗に口をつけると、どこからともなく良い匂いが漂ってきた。

兼續好奇地環顧四周,慶次似乎也注意到那股香氣,不停地探尋香味的來源。

気になって周囲を見回すと、慶次も匂いに気付いたようで、しきりに匂いの元を探っていた。

「要進來了」

「入るぞ」

話音未落,襖就被推開。接著才藏和長可手提大盤進了屋,兩人立刻發現香味來自才藏手裡的盤子。

その言葉と同時に襖が開けられる。続いて大皿を片手に才蔵と長可が部屋に入ってきた。匂いの元は才蔵が持っている皿だと二人は気付く。

才藏把大盤放在中間,隨便找了個位子坐下,將手裡的酒瓶放在盤旁,長可也照樣坐下。

大皿を中心に置くと才蔵は適当な場所に腰を下ろす。持っていた酒瓶を大皿の横に置くと、長可も同じように座る。

「你竟然來這邊,真少見。哎呀,還有烤鳥,夠闊氣的」

「お前がこっちに来るなんて珍しいな。お、焼き鳥とはまた豪勢だな」

「……靜子大人說『男人談話就該配這個吧?』,便賜給我們酒和下酒菜」

「……静子様が『男が話し合うならコレでしょ?』と仰って、我々に酒と肴を下されたのだ」

「挺有品味的嘛。那就趕快……嗯,好好喝」

「中々粋(いき)な事するじゃん。では早速……うむ、旨いな」

慶次理解到,靜子是把才藏派來,叫他放下戒心敞開心胸談話。

今も兼続を警戒する才蔵に、静子は腹を割って話し合えと、彼をここへ送り込んだのだと慶次は理解した。

長可好像不在意,迅速把酒倒入自己的杯中,手拿烤鳥邊吃邊觀察才藏的行為。

長可は気にしていないのか、手早く酒を自身の茶碗に注ぐと、焼き鳥片手に才蔵の行動を見守っていた。

「先喝了。別說你喝不下」

「まずは呑め。呑めぬとは言わさぬぞ」

話音剛落,才藏就在已空的兼續杯中斟滿酒。兼續喝了不少,仍然帶著笑容。

言うやいなや空っぽになった兼続の茶碗に、才蔵がなみなみと酒を注ぐ。随分呑んだ兼続だが彼は笑みを浮かべていた。

「喂,別小看越後人。這點算得了甚麼!」

「おい、越後人を舐めんなよ。これぐらいどうってことねぇよ!」

被斟的酒對兼續不算什麼,他一口喝乾,得意地笑了。才藏伸出自己的杯子,兼續明白是叫他再斟,便也一樣把酒斟得滿滿的。

注がれた酒などなんのその、兼続は酒を一気に飲み干す。ニヤリと笑うと、才蔵は自分の茶碗を突き出す。注(つ)げ、という意味だと理解した兼続は、同じように酒をなみなみと注ぐ。

才藏也像兼續一樣一口喝乾了酒。

才蔵も兼続と同じように酒を一気に飲み干した。

「別輕視我,小子。我可是和大酒量的人混在一起。越後人算不得甚麼,一手就能搞定」

「侮るなよ、小僧。こっちは大酒飲みと付き合っているのだ。越後人など片手で捻ってくれる」

「你才別小看越後人。我會證明,先前和慶次殿喝的那些量,對我毫無劣勢可言」

「そっちこそ越後人を舐めるなよ。先に慶次殿と呑んでいた量など、この俺にとっては不利にならない事を証明してやる」

之後雙方就互相乾杯,慶次和長可一邊喧鬧一邊也喝得很起勁。

そこからは互いに酒を一気に呑む、慶次と長可がなんやかんやはやし立てながら、自分たちもしっかり呑んでいた。

不顧節奏靠著氣氛和衝動狂歡,翌日四人自然都差不多宿醉了,這不用多說。

ペースを考えずノリと勢いで呑んで騒いだため、翌日、四人は揃って二日酔いに近い状態になったのは言うまでもない。

即便是上杉家的人也無法進入工藝街或釀造街,但港街和與靜子有關的街區則可自由出入。

技術街や醸造街はたとえ上杉家の者でも入る事は叶わぬが、港街と静子が関わっている街は普通に出入り出来る。

兩者都有一點共通,餐館林立之處飄著挑動胃口的香氣。尤其港街因為海產豐富,店家更多,各家競相較勁。

二つのどちらにも言える事だが、料理店が並ぶ場所は胃が刺激される香りが漂っていた。特に港街は海の幸が豊富に集まる関係で料理店が多く、それゆえ各店がしのぎを削っていた。

「每家店的味道都在呼喚胃口」

「どの店も腹に訴える匂いだ」

兼續一邊聞著四周的香氣一邊喃喃自語。雖然不是特別餓,但這些香味讓人想吃東西。

周囲に漂う匂いを嗅ぎながら兼続は呟く。そこまで腹は空いていないが、それでも何か食べたくなるほどかぐわかしい料理の香りだ。

「哈哈,這裡是靜っち一手操辦的地方。哪家都好吃,但最受歡迎的還是『鰻靜』。聽說那裡從靜っち那兒得到了秘傳的『タレ』,開始賣鰻丼和鰻重,結果大受歡迎。鰻魚豐收的日子會大排長龍」

「ははっ、ここは静っち肝いりの場所だからな。どこも旨いが、やはり一番人気は鰻静だろう。あそこは静っちから秘伝の『タレ』とやらを貰って、鰻丼や鰻重を始めたそうだがこれが大流行(おおはやり)。鰻が沢山獲れた日にゃ長蛇の列が出来るぜ」

旁邊走的慶次一邊煩惱要進哪家店,一邊向兼續解說。

隣を歩く慶次が、どの店に入ろうか悩みつつ兼続に説明する。

「想吃吃看,但那麼有人氣的話排隊也很辛苦」

「食ってみたいが、そこまで人気だと並ぶのも大変だな」

「太受歡迎了,偶爾還會因此打起架來。多虧如此,靜っち甚至開始計畫養殖鰻魚」

「大流行過ぎて、たまに喧嘩まで起きるほどだ。お陰で静っちが鰻の養殖を計画するまでになった」

「……之前也聽說過,但為何特意要增加鰻數量,魚不是隨便就能捕到嗎?」

「……前も聞いたが、何故わざわざ増やそうとする。魚など幾らでも獲れよう」

養殖是指人工培育目標生物的產業。若是像現代那樣擔心海洋資源枯竭倒另當別論,在這種無法出洋的時代,海洋資源要枯竭並不容易發生。

養殖とは対象の生物を人工的に育てる産業だ。現代のように海洋資源の枯渇が心配されるならともかく、外洋にも出られない時代では海洋資源が枯渇するような事は中々起きない。

若是百年一遇的異常氣候另當別論,但戰國時代的氣候即使比現代寒冷,仍相對穩定,海洋資源不會面臨危機。

何百年に一度の異常気象が起これば話は別だが、戦国時代の気候は現代より寒くとも安定を保っている。海洋資源が危険に晒される事はない。

「即便捕到,又有多少會進到百姓的肚子裡呢?」

「獲れたとして、民の口にどれだけ入るかね」

「啊?」

「は?」

兼續一時不明白慶次問題的用意。慶次把沒塞菸的煙管含在口中上下晃動,卻表情認真。

一瞬、兼続は慶次の質問の意図が分からなかった。慶次は煙草が入っていない煙管を口で上下に動かしながらも真面目な表情をする。

「即便魚大量捕獲,百姓究竟能吃到多少。若只有上面的那些人吃,下層的人吃不到,那也沒任何改變」

「魚が豊富に獲れようとも、民がその魚をどれだけ食える。お上の連中だけが食って、下々の連中が食えないのなら何も変わらない」

「……也就是說,不靠靠運氣從海上撈取,而是要自己增加能確實獲得的飯碗?」

「……つまり、運次第の海に頼らず自分たちで確実に取れる食い扶持を増やす、という事か」

「若織田大人統一天下,戰事自然會減少。像以前靠搶奪確保飯碗的戰事就沒法進行。那樣一來便是物資的爭奪,爭來爭去,最終什麼都會被耗盡」

「織田の殿様が天下を統一すれば、自ずと戦はなくなっていく。今までのように食い扶持を確保する戦は出来なくなる。そうなったらものの取り合いだ。取り合いをすれば、やがて何もかも食らいつくしてしまう」

慶次帶著幾分寂寞續說。他是地地道道的戰士,若失去戰場就會失去一個死去的場所。對戰士而言,失去那樣的死處是件最痛苦的事。

少し寂しそうな声色で慶次は言葉を続ける。彼は生粋のいくさ人だ、いくさがなくなれば彼は死に場所を失う。いくさ人にとって、死に場所を失うほど辛いことはない。

即便如此他仍不離開靜子身邊。即使失去戰場,他也想看看她在信長麾下想要創造的新世界。

それでも彼は静子の所を離れない。例えいくさ場を失う事になろうとも、彼女が信長の元で作ろうとする新しき世を見てみたいのだ。

慶次自己也覺得性格難搞。一方面尋求作為武士的死之地,一方面又想看看新世代會成為什麼樣子,抱著這樣矛盾的心情。

自分でも難儀な性格だと慶次は思った。いくさ人としての死に場所を求めながら、新しき世がどの様な形になるのか見てみたい、そんな矛盾する想いを抱くのだから。

「哦,立在那裡的不是慶次大人嗎」

「おや、そこにおわすは慶次様ではございませぬか」

被突然搭話的慶次回頭看去,那裡站著一位豐滿且肉感十足的女性。從她身後有女侍伺候,可看出她是個顯赫人物。

急に声をかけられた慶次は後ろを振り返る。そこにはでっぷりと肉付きの良い女性がいた。お供の女が後ろに控えている所から偉い立場の人間だと窺える。

「是咲殿嗎。真稀奇,妳會親自來到這裡」

「咲(さき)殿か。珍しいな、こっちに出向いてくるなんて」

「呼呼呼,總算被允許在這邊開店了嘛。也算來視察兼參觀」

「ほっほっほ、ようやくこっちに店を構えて良いって許可が下りたからね。下見も兼ねての見学さ」

本名不詳、在女郎間被稱為咲的她,是港街花街二之區的有力者。琴與音身材纖細且美人,而咲較為豐腴,不能算是美人。

本名不明、女郎からは咲と呼ばれる女性は、港街にある花街・二之区の有力者だ。琴と音が細身で美人なのに対し、咲は太っている方であり、決して美人とは言い難い。

然而總是溫柔、偶爾嚴厲但帶著愛的叱責的咲,深受二之區女郎愛戴,甚至被稱作「媽媽大人」。

しかし、いつも優しく、時に厳しくも愛のある叱咤をする咲は、二之区の女郎から「かかあ様」と呼ばれるほど慕われている。

「啊啊,你們那邊好像出現了瘡毒吧」

「ああ、おたくんとこは瘡毒(そうどく)出したものな」

瘡毒,也就是俗稱的梅毒,有感染者曾從咲所管理的二之區出來。更糟的是,正好是在獲准在靜子所管的街開分店的前夕。

瘡毒、またの名を梅毒という感染症にかかった人間が、かつて咲が管理する二之区から出てしまった。それも静子の街へ支店を構える許可が出る直前である。

由於這種病基本上透過性行為傳染,故在靜子管理的街開店的許可被撤回,並加上必須沒有新增患者為條件。

基本的に性行為で感染する病気ゆえ、静子が管理する街へ支店を構える許可は取り消され、新たな患者が出ない事が条件に加えられた。

「曾一度真是讓人頭痛,但多虧靜子大人總算治好了」

「一時は本当に参ったけど、静子様のお陰で何とか治ったよ」

「喔──那麼二之區的封鎖解除了嗎」

「おー、という事は二之区閉鎖は解除されたのか」

既然出現了梅毒,為了防止感染擴大,靜子曾暫時封鎖二之區。雖然生意慘淡,但這種事基於契約也只能接受。

梅毒が出た以上、感染拡大を防ぐ為に静子は二之区を一時的に封鎖していた。商売あがったりだが、こればかりは契約の関係上、受け入れて貰う以外にない。

「呼呼呼,總算能重新營業了。接下來要把損失賺回來。那麼,我先失陪了」

「ほっほっほ、ようやく商売再開だよ。これから損した分を取り戻さないとね。それじゃ、あたいはこれで失礼するよ」

向慶次等人道別後,咲帶著隨從往某處離去。

慶次たちに別れの挨拶をした後、咲はお付きを引き連れてどこかへ立ち去った。

「嗯——真是各種事情啊。啊,不行。我們也去買酒回去吧」

「ふーむ、色々とあるのぅ。っと、いかん。俺たちも酒を買って帰ろう」

「相當有趣的話題。今晚就當酒餚吧」

「中々に興味深い話だった。今夜の酒の肴にしよう」

兩人笑著往酒鋪走。雖然靜子的倉庫裡酒堆得滿滿,但偶爾也想喝點外頭賣的酒,兩人買了幾種合適的酒便返家。

笑いながら二人は酒屋へ向かう。静子の倉に酒はたんまりあるが、たまには外で売られている酒も呑んでみたい二人は、手頃な酒を何種類か購入して帰路につく。

一路平安回到家,然而當來到靜子宅邸前時,察覺到異狀。

道中何事もなく帰宅した二人だが、静子の邸宅前まで来た時、異変に気付く。

「咦? 人是不是有點多?」

「あん? なにやら人が多くないか」

平常並不算擁擠、人來人往也少的靜子宅邸前,此刻竟是一片人潮。從那些人的服裝看出是身分高者的隨從。

普段はそれほど人が多いわけでもなく、人の出入りも少な目な静子の邸宅前が人でごった返しになっていた。格好からして身分の高い者の従者だという事が分かった。

兩人雖然疑惑,但繞開他們進了屋。剛一進門,一股從未聞過的氣味撩動鼻腔。細聞之下像是發酵食品帶點酸味,卻又有些特殊。

二人は首を傾げながらも彼らを避けて家へ入る。入ってすぐ、嗅いだことのない香りが鼻腔をくすぐった。よく嗅げば発酵食品のような酸っぱい感じだが、一癖ありそうな香りと分かる。

「……啊,不會吧!」

「……あ、まさかっ!」

想到什麼的慶次慌忙奔出。一瞬間驚訝的兼續隨即追了上去。慶次憑敏銳嗅覺奔向氣味來源,但不久被攔下。

何かに思い至った慶次が慌てて駆け出す。一瞬、驚いた兼続だがすぐに彼の後を追う。鋭敏な嗅覚で香りの元へ走る慶次だが、少しして彼は足止めされる。

「此處以後殿上正坐,任何人不得通過」

「ここより先は殿がおられる。何人たりとも通すわけには参らぬ」

擋在慶次前面的正是堀。見到他,慶次跺了跺腳,因為他已明白是誰來到這家裡,正在做什麼。

慶次の前に立ちはだかったのは堀だ。彼を見て、慶次は地団駄を踏む。誰がこの家に来て、何をしているか理解したからだ。

「該死,雖然猜到他會做些什麼,沒想到竟然是今天!」

「くそ、何かしようとしているのは分かっていたが、まさか今日だったとはっ!」

「放棄吧」

「諦められよ」

跟不上話題流向的兼續瞪大了眼睛。

話の流れについて行けない兼続は目を丸くする。

「無妨」

「構わぬ」

正當兼續想問慶次到底發生了什麼、話還沒出口時,走廊深處傳來一聲帶著不容置疑威嚴的聲音。

一体何が起きているか、慶次に尋ねようと兼続が言葉を口にしようとした瞬間、廊下の奥から有無を言わせぬ迫力を秘めた声が飛んできた。

那話一落,堀立刻退到一旁下跪。慶次也露出尷尬表情,退到走廊側邊。

その言葉を耳にした瞬間、堀は脇に避けて跪いた。慶次もばつの悪そうな顔をして、廊下の脇へ避ける。

「美味的東西應該大家共享,但要先嘗第一口的當然是我」

「旨いものは皆で共有すべきだ。が、一番に味わうのはわしだがな」

從裡面出現的是信長。他盯著仍然慌張的兼續,勾起嘴角說道。

奥から現れたのは信長だった。彼は未だオロオロとしている兼続を見据えると、唇の端を吊り上げて言葉を発した。

「你是上杉的人嗎」

「貴様が上杉の者か」

這一句話令場面陷入寂靜。

その一言で静寂が場を支配する。

滴著冷汗的兼續想要說些什麼,但一句話也說不出口。

冷や汗を流した兼続は、何かを言おうとした。だが、言葉が口から出る事はなかった。

僅僅承受從信長身上散來的壓力,對現在的兼續已是極限。當年作為上杉景勝的左右手另當別論,眼下他只是近習,年約十二歲的孩子。

信長から感じる重圧に耐えるだけで、今の兼続は精一杯だった。上杉景勝の右腕になっている時ならまだしも、今は近習、それも12歳程度の若造だ。

信長歷經無數戰役,在妖魔鬼怪橫行的京都多年與公家與佛家爭鬥、時而合作掌理政事,面對這樣的信長,他不自覺地腿軟。

数多の戦を駆け抜け、魑魅魍魎が跋扈する京で何年も公家や仏家と争い、時に協力して政治を取り仕切っている信長を前に、彼は知らずの内に足がすくんでいた。

然而為了不讓對方看出來,兼續盡力擺出虛張聲勢。

だがそれを悟られまいと兼続は精一杯の虚勢をはる。

「呼……堀啊,馬上靜子會把那個所謂南蠻的食物『披薩』烤好。你帶人把它運過去,據說剛出爐最好吃。命令他們快點去運。」

「ふっ……堀よ、まもなく静子が南蛮の食い物『ぴざ』とやらを焼き上げる。貴様は人を連れてそれを運ばせよ。焼きたてが旨いらしいからの。はよぅ運ぶように厳命しろ」

信長看透了一切,卻沒有揭穿兼續的虛張聲勢,轉而向堀下了命令。堀瞥了兼續一眼,隨即恭敬向信長行禮,然後靜靜離去。

全てを見抜いた信長だが、兼続の虚勢には触れず堀へ命令を飛ばす。一瞬だけ兼続を見た堀だが、すぐに恭しく信長へ礼をすると、静かに立ち去った。

「若想知道我想做甚麼,就好好看靜子和民眾。你所尋的答案就在那裡」

「わしが何をしたいか知りたくば、静子と民をよく見ておけ。そこに貴様の求める答えがある」

說完那句話,信長未曾回頭,從兼續身旁走過消失在走廊的那頭。信長消失了一會兒後,兼續終於吐出一口氣。

それだけ言うと信長は一度も振り返らず、兼続の横を通り過ぎて廊下の向こうに消えた。信長が消え去って暫くしてから、兼続はようやく息を吐き出す。

不知不覺間緊張到了連呼吸都忘了。信長的存在異質得令人難以適應。感覺他極為自然,卻又彷彿一不小心就會把人喉嚨撕裂般的氣場。

知らず知らずの内に緊張し、呼吸する事すら忘れていた。それほど信長の存在は異質だった。極めて自然体なのに油断すれば喉を食い千切られるような雰囲気を感じた。

(那個……若是敵人,連佛門也能滅絕的第六天魔)

(あれが……敵ならば仏家すら滅ぼす第六天魔)

第六天魔也成了信長的綽號。不過,這個稱號並非始於信長。

信長のニックネームにもなっている第六天魔。しかし、この名が付けられたのは信長が初ではない。

作為有名的人物,最早曾被如此稱呼的是曾任延曆寺天台座主、後來還俗成為足利將軍的足利義教;當他與延曆寺為敵時,也被稱作第六天魔。

有名な人物としては最初は延暦寺の天台座主についたが、後に還俗(げんぞく)して足利将軍となった足利義教も、延暦寺と敵対した時に第六天魔の名で呼ばれていた。

還有像發動第二次延曆寺焼き討ち的細川政元等人,凡是與延曆寺對立者,常被延曆寺方面或民眾稱為第六天魔。

他にも二回目の延暦寺焼き討ちを行った細川政元など、延暦寺と敵対すると延暦寺関係者や民衆から第六天魔の名で呼ばれる事が多い。

(無法以言語表達,真是個難以形容的人)

(言葉では表せぬ、何とも言えない人だ)

兼續像被附身般,久久凝視著信長離去的方向。

兼続は暫く取り憑かれたように、信長が去った方を見続けていた。