戦国小町苦労譚
1572年 一月上旬
靜子照例過年,第二天也出席了宴會,在三日過後完成了對織田家重臣的拜年走訪。
静子は例年通り正月を過ごし、二日目の宴会にも顔を出し、三が日以降に織田家重臣への挨拶巡りを終えた。
平時緊跟在靜子身邊的馬廻衆慶次、才藏、長可、高虎,以及侍奉的蕭也都回到親族處,平日喧鬧的靜子宅短暫地保持了寂靜。
普段は静子の傍を離れない馬廻衆の慶次や才蔵、長可、高虎、側仕えの蕭も親族の元に帰参しており、いつもは騒がしい静子邸も、束の間の静けさを保っていた。
「好悠閒啊」
「のどかだねぇ」
一邊喝著彩泡的茶,靜子怔怔地喃喃道。外面一片雪景,但耐寒的動物們在庭院裡嬉戲。
彩が入れた茶を飲みながら、静子はぼんやりと呟く。外は一面雪景色だが寒さに強い動物たちは庭ではしゃいでいた。
有孩子在結冰的池面上滑著玩,偶爾會跌倒滑到不該去的方向,但那也算是可愛之處。
氷の張った池を滑って遊ぶ子もいた。たまに転んであらぬ方へ滑っていく事もあるが、それもご愛敬だ。
只有過年,人們才能忘卻世間喧囂,度過一段悠閒時光,然而時代不會給她太多寬限。
正月だけは世間の喧噪も忘れ、ゆったりとした時間を過ごせた。しかし、時代は彼女に多くの猶予を与えない。
在仍屬松之內的十日未明,收到光秀的來信,內容關於為築造坂本城而派出的黑鍬眾。
未だ松の内である十日未明、光秀より文が届く。内容は坂本城築城の為に派遣した黒鍬衆についてだ。
從自家栽培的黑鍬眾中挑選出築城專門的職人,並與數件資材一併派往坂本城;但不知是否發生了什麼問題,光秀來信懇求延長職人的派遣期限。
子飼いの黒鍬衆より築城専門の職人を選抜し、幾ばくかの資材とともに坂本城に派遣していたのだが、何かしら問題が発生したのか、光秀から職人の派遣期間を延長して欲しいという嘆願が来ていた。
坂本城肩負監視延曆寺的重責,容不得半點馬虎,靜子因此調整了原定計畫,將本該於年末結束的派遣期間延至新年事務告一段落為止。
坂本城は延暦寺の監視という大事な役目を担う城だ。生半可な城では問題が出るため、静子は予定を調整して、本来年末だった派遣期間を年が明け一段落つくまでに延長した。
光秀的事了結後,緊接著收到信長的朱印狀,命令為攻取志賀郡北部的城池下令生產武具。
光秀の件が終わると、入れ替わるように信長から朱印状が届く。志賀郡北部の城攻めを行うため、武具の生産を命じる内容だった。
命令技術街與後方部隊的物流衆以「コンテナ」運送武具類。最近物流衆以コンテナ運輸為主。
技術街と後方部隊の物流衆に、武具類を『コンテナ』で運ぶように命じた。最近の物流衆はコンテナ輸送がメインとなっている。
「コンテナ」的優點首在於能大幅降低運輸成本。使用標準化容器可讓一次可運載的量僅以コンテナ數量即可輕易計算,這也是其利點之一。
コンテナのメリットはなんと言っても輸送のコストが格段に下がる点だ。規格化された容器を使う事で、一度に運べる量がコンテナの数だけで容易く計算出来る点もメリットだ。
後方支援工作常被輕視,但只有信長、光秀與秀吉認為後方支援在作戰中至關重要,且不可輕忽。
後方支援作業は軽く見られがちだが、信長と光秀、そして秀吉のみ後方支援作業はいくさをする上で重要、かつ軽んじてはならない作業と認識していた。
然而在戰國時代,被命令去從事後方支援等於奪走立功的機會;再怎麼說必要,也會在時機與場合上造成主從間的深刻裂痕。
だが、戦国時代で後方支援作業を行えと命じられる事は、武功の場を奪う事を意味している。幾ら必要と説かれても、時と場合によっては主従関係に深い溝を作る事になる。
不必顧慮那些的靜子,對信長而言是極為重要的存在。信長的防衛網得以維持,很大程度上仰賴靜子負責的物資運輸部隊──物流衆的存在。
それらを全く考慮しなくて良い静子は、信長にとって非常に重要な存在であった。信長の防衛網が維持出来ているのも、静子の物資輸送部隊である物流衆の存在が大きい。
靜子根據信長交付的情報與自己蒐集的情資,制定了物資運送計畫。但有個存在在干擾她──自過年起無所事事的市。
静子は信長から渡された情報と、自身が収集した情報をもとに、物資運搬に関する計画を立てる。だが、それを邪魔する存在がいた。正月から暇を持て余すお市だ。
「好無聊,有沒有什麼事,靜子?」
「暇じゃ、何かないか静子」
「書櫃裡有《徒然草》的抄本喔」
「本棚に徒然草の写本がありますよ」
面不改色地盤坐著的市,靜子敷衍地回了句。雖說《徒然草》被評為日本三大隨筆之一,但在市看來不過是無聊之物。
当たり前のように居座っている市に、静子は生返事をする。徒然草は日本三大随筆の一つに評されるほど優れた作品だが、市から見れば退屈なものにしか映らなかった。
市見靜子完全敷衍的樣子便鼓起臉頰,然而忙於整理眼前公文的靜子全然沒發覺。
適当さ丸出しの静子を見て市は頬を膨らませる。しかし、目の前の書類整理に忙しい静子は全く気付かなかった。
「靜子——好無聊——」
「しずこー、ひまー」
「無聊——」
「ひまー」
茶々一邊舉起雙手一邊喊道,稍晚一些的初便模仿茶々的姿勢。
茶々が両手を挙げながら言うと、少し遅れて初が茶々のポーズを真似する。
「如果是花大錢買來的《鳥獸人物戲畫》抄本全卷,就放在上層的架子上」
「大金払って買った鳥獣人物戯画の写本全巻なら、上の棚に置いています」
《鳥獸人物戲畫》是以動物與人為題,將當時世相與諷刺以滑稽的畫風表現出的繪卷。
鳥獣人物戯画(ちょうじゅうじんぶつぎが)とは、当時の世相や風刺などが動物や人間を用いて戯画的に描かれた絵巻物だ。
為紙本墨畫作品,分甲、乙、丙、丁四卷,甲卷中兔子與青蛙相撲的描寫尤其有名。
紙本墨画の作品で甲・乙・丙・丁の四巻からなり、ウサギとカエルが相撲を取っている描写のある甲巻が特に有名である。
由於將動物擬人化,且手法與現代漫畫相通,有時被譽為「日本最古的漫畫」。
動物を擬人化し、現代の漫画に通ずる効果なども織り込まれた作風から、『日本最古の漫画』と評されることもある。
關於成書時期不明,各卷之間無連貫性,筆致與畫風也大相逕庭,因此被認為是經由12至13世紀間多位作者於不同时期所作的各自作品彙集而成。
成立については不明瞭であり、各巻に繋がりが無く、筆致や画風も大きく異なっているため、12〜13世紀にかけて幅広い年代に複数の作者によって書かれた別個の作品を集大成した結果、鳥獣人物戯画が出来上がったと考えられている。
「《源氏物語》、《清少納言抄》(也就是《枕草子》)、《方丈記》(はうぢやうき)之類的——」
「源氏物語、清少納言抄(枕草子のこと)、方丈記(はうぢやうき)とかは——」
「哎呀,不是那個。說是無聊,問有沒有什麼有趣的事嘛」
「ええい、そうではない。退屈じゃから、何か面白い事はないのかと聞いておるのじゃ」
「也可以回娘家好好休養一下啊」
「ご実家に戻られてゆっくり過ごされるという手も」
「哼,我是沒能阻止淺井家的背叛的妾啊。親族們都疏遠我,除了我哥哥,大家都很冷淡」
「はん、浅井家の裏切りを阻止出来なかった妾じゃぞ。親族の皆は妾を疎んでおるわ。兄上以外、皆よそよそしいものよ」
聽了市的話,靜子意識到自己的失言。市為了促成淺井家與織田家的同盟而嫁入淺井家,然而淺井家經過內鬥後,家長淺井長政被逐出家門。
市の言葉を聞いて静子は己の失言を悟る。市は浅井家と織田家が同盟を結ぶため、浅井家に嫁いだ。しかし、浅井家はお家騒動の末、家長の浅井長政が追い出されてしまった。
與此同時,淺井家與織田家的同盟也被解除。未能阻止此事而被親族白眼相待也不足為奇。
同時に浅井家と織田家の同盟は破棄された。その事を防げなかったと、市が親族に白眼視されても不思議ではない。
「實在是……對不起」
「何というか……すみません」
「不必介意。那些仗著兄上威光胡亂指責的人就讓他們去吧,放下那些小人。靜子陪我消磨時間就好」
「構わぬ。兄上のご威光を笠に着て物申す奴らなど放っておけば良い。そんな小さき奴らなど置いておいてだ。静子は妾の暇潰しに付き合うのだ」
「是啊」
「のだー」
「是啊」
「のだー」
市與女兒茶々與初一同催促。靜子判斷再逃避話題已無可能,輕輕嘆了一口氣。
市、そして娘の茶々と初が揃って催促をする。これ以上、話題を逸らすのは無理だと判断した静子は小さくため息を吐く。
說實話她還想再維持目前的狀態一陣子,畢竟在外人眼裡她只是在敷衍地處理公務而已。
本音を言えばもう少し今の状態を維持したかった。何しろ傍目には適当な事務処理をしているようにしか見えないのだから。
如果把重要的處理表現得很慎重,會比較容易讓人留下印象。不過像現在這樣夾雜閒聊的話,人們就不容易認為是在處理重要的案件。
大事な処理を大事そうにすれば人の印象に残りやすい。しかし、今のように雑談混じりですれば、大事な案件を処理していると思われにくい。
也就是說,因為不會留在人家的印象中,所以較不必擔心情報外洩。若要說缺點的話,就是可能會像現在的市一樣被打斷作業。
つまり、他人の印象に残らないから情報が漏れる心配が少ない。欠点があるとすれば、今の市のように作業に割り込まれてしまうことが挙げられる。
「(高爐的主力是足滿大叔,我只要把材料備好就行,沒必要那麼拘謹吧)知道了,知道了。那麼昨晚雪下得很大,就來玩雪橇吧」
「(高炉のメインは足満おじさんだし、私は材料を揃えておくだけだから、そこまで構える必要もないか)わかりました、わかりました。それでは昨晩、雪がよく降りましたしソリでもいたしましょう」
一聽到『雪橇』這個陌生的詞,市的眼睛就閃亮起來。靜子從一開始就覺得頭痛,但還是勉強忍住把準備做好。
ソリという聞き覚えの無い単語を耳にした瞬間、市が目を輝かせる。始める前から頭が痛くなった静子だが、何とか耐えて準備を整える。
準備好必需品後,靜子帶著市等人來到兵士訓練所。現在又遇上正月休假,誰都沒有。
必要なものを揃えた後、静子は市たちを連れて兵士訓練所に来ていた。今は正月休みも相まって誰もいない。
(雖然是訓練用的坡道,不過這裡應該可以)
(訓練用の坂だけど、ここで良いっか)
本來是透過前傾姿勢上坡來鍛鍊士兵的腿部與腰力的設施,但現在不能講究太多。整修完善的坡道不常見,就算有也是人行道,會妨礙到他人。
本来は前傾姿勢で坂を上がる事で、兵士の足腰を鍛える為の設備だが、贅沢は言っていられない。整備された坂など中々ないし、仮にあっても歩道ゆえ他の人間の迷惑になる。
「總、總算吧。呼──好累啊」
「よ、ようやくか。ふー、疲れたぞ」
雖然穿了雪鞋,但沒鍛鍊過的市等人要爬坡也是很費力的。既然正月休假沒人在,只能放棄用轎子上去了。
かんじきを装備しているとはいえ、鍛えていない市たちでは坂を上がるのも重労働だ。正月休みで人がいないのだから、駕籠であがるのは諦めて貰うほかない。
「請增強體力。那、那麼先坐上這個」
「体力をつけて下さい。ま、まずはこれに乗って下さい」
「唔、嗯。這樣可以嗎?」
「う、うむ。これで良いか?」
市照著指示坐上雪橇。把外露的衣物塞進雪橇裡後,靜子把手放在市的背上。
言われるがまま市はソリに乗る。はみ出ている衣服をソリの中に押し込むと、静子は市の背中に手を添える。
「那麼,出發囉」
「では、いってらっしゃーい」
話音未落,靜子不等市回應就用力推了他的背。帶著勢頭的雪橇在雪地上瀟灑地滑行並加速。
言うやいなや、市の返事を待たず静子は市の背中を強く押す。勢いのついたソリは雪の上を颯爽と滑り加速していく。
「嗚、嗚、嗚~~~~~~~~!」
「お、お、お〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!」
雪橇滑行時,市一直發出奇怪的聲音。雖然不是急坡也不是緩坡,但因為沒特別說明就放他滑下去,所以在某種意義上成了驚叫機器。
ソリが滑る間、市は変な声を上げ続ける。急勾配でもないが緩やかでもない坂で、特に説明もなく滑らせたため、ある意味絶叫マシンとなっているためだ。
「那麼彩醬載初大人,我載茶々大人一起滑喔──」
「では彩ちゃんは初様を、私は茶々様を乗せて滑るよー」
「知道了」
「承知しました」
雖然回答了,但看到實際速度比想像的還快,彩的臉微微僵住。相反地初興致勃勃,彩小小嘆了口氣後上了雪橇。
返答したが思ったよりも速度が出ていたのを目の当たりにしたせいか、彩の顔が若干引きつっていた。対して初は乗り気満々なため、彩は小さくため息をついてソリに乗り込んだ。
像推市一樣推了彩的背使其滑下。那個結束後把茶々放上雪橇,靜子用腳蹬地加把勁,然後自己坐上雪橇滑下。
市と同じように彩の背中を押して滑らせる。それが終わってから茶々をソリに乗せると、静子は足で地面を蹴って勢いを付けると、ソリに乗り込み滑り降りる。
「嗬哈哈──!」
「ひゃっはーーーー!」
「哇──!」
「ひゃーーーー!」
靜子和茶々兩人一邊發出奇怪的聲音一邊滑行。大約滑了100公尺左右後,下到底了坡。
静子と茶々、二人揃って変な声を上げながら滑る。およそ100メートルほど滑った所で、坂を下りきった。
「呼──真有趣。咦,市大人在哪裡?」
「ふー、面白かった。あれ、お市様は?」
擦去額頭的汗後,靜子發現本該先滑下來的市不見了。環顧四周,看到抱著雪橇正一步步往上爬的市的背影。
額の汗をぬぐった静子は、先に滑り降りたはずの市の姿がない事に気付く。周囲を見回すと、ソリを抱えて坂を上っている市の背中が見えた。
「看起來非常合他心意,說要再滑一次」
「大変お気に召されたようで、今一度滑ると仰っておられました」
「那就太好了」
「それは良かった」
「靜子──再一次──」
「しずこー、もういっかいー」
「再一次──」
「もういっかいー」
對市的行動力聳了聳肩後,茶々和初就來催促要滑雪橇。這樣下去都分不清誰是小姓了,靜子苦笑著重新扛好兩個雪橇。
市の行動力に肩をすくめると、茶々と初がソリ滑りの催促をしてきた。これではどちらが小姓か分からないな、と苦笑しつつ静子は二つのソリを担ぎ直した。
滑了大約30次身體冷了,靜子等人於是結束雪橇遊戲。為了暖身他們泡了溫泉。
30回ほど滑った所で身体が冷えたため、静子たちはソリ遊びを切り上げた。冷えた身体を暖めるため温泉につかる。
「呼~真是極樂啊」
「ふ〜、極楽じゃ」
市把下巴靠在池邊享受溫泉。茶々和初在乳母的協助下泡著湯。
市は縁に顎を乗せて温泉を満喫した。茶々や初は乳母に補助されながら湯につかっていた。
「(啊──好療癒)彩醬也要好好暖和喔」
「(はー癒やされる)彩ちゃんも十分に温まってね」
「是的,我已經充分暖和了」
「はい、十分頂いております」
靜子也帶著彩一起享受溫泉。起初彩以身分不同為由婉拒,但靜子擔心她因為受寒而身體不適,便硬拉著她來了。
静子も彩を連れて温泉を満喫していた。当初、身分違いの自分が一緒になるのは、と断っていた彩だが、冷えた身体で体調を崩したら大変だと思った静子が無理に連れてきた。
(幸好發現了新的源泉使得使用上更方便。看了計畫書,我的新居好像會被做成像出島那樣……不過也無所謂)
(新しい源泉が発見されて使いやすくなったのが幸いだわー。何か計画書見ると、私の新居は出島みたいにされているけど……まぁいっか)
本來溫泉館因為靜子的家大改造而幾乎無法使用。但為了取水而挖井時,在某處湧出了與現有溫泉相同品質的泉水。
本来、温泉館は静子の家が大改造されている為、殆ど使用不可に近かった。しかし、水確保のために井戸を掘った所、とある地点で現在湧き出ている温泉と同等の湯が湧き出てきた。
原本就有泉水湧出的地點與新湧出的源泉距離有段距離,於是信長更改了計畫,把新湧出的源泉納入靜子家的室內,改變了房屋格局。
最初から湯が湧いていた所と、新たに湧き出た源泉は距離が離れていたため、信長は計画を変更し、新たに湧いた源泉を静子の家の中に取り込むよう間取りを変更した。
到目前為止屋宅的擴建都是以最初的源泉為基點,但因為改為以新湧出的源泉為中心興建新的屋宅,於是最初的溫泉館就能自由使用了。
今まで最初の源泉を基点に屋敷の増改築が行われていたが、新たに湧いた源泉を中心に新たな屋敷の建築をするよう変更になったため、最初の温泉館が自由に使えるようになった。
「呼,真舒服呢。靜子的宅邸一完工,我就沒法隨意使用,真可惜啊」
「ふぅ、心地良いのぅ。静子の新しい邸宅が完成すると、妾は自由に使えなくなるのが残念だが」
若靜子的新居完工,原本的溫泉館歸信長管理,新的源泉則屬於靜子一族。那樣一來,市也不能再那麼隨便使用了。
静子の新居が完成すれば、元の温泉館は信長管理、新しい源泉は静子一同のものとなる。そうなると市も気軽に利用出来なくなる。
本來市住在信長別墅就是暫時之計。情勢一變,也不是不可能搬去別的城池居住。
元より市が信長の別荘に住むのは一時的な措置だ。事情が変わればどこかの城に移動する事もあり得ない話ではない。
「是這樣嗎?」
「そうなのですか?」
「兄上為了讓親族安靜,將妾派來這裡。不過,也不會一直留在這裡的。再過不久,茶茶或初子會被嫁去別處。那樣的話,妾也會失去留在這裡的理由。再說,若兄上滅了淺井家,妾也不知道能不能繼續和新九郎殿維持夫妻關係。」
「兄上は親族を黙らせるために、妾をここへ送り込んだ。だが、いつまでもおられる訳ではないからのぅ。遠くない内に、茶々や初はどこかへ嫁ごう。そうなれば、妾もここにおる理由がなくなる。それに兄上が浅井家を滅ぼしたら、妾も新九郎殿と夫婦が続けられるか分からぬ」
為了上洛、為促成淺井家與織田家的同盟,市嫁給了長政。可是,久政一背叛,那段淺井與織田的同盟就作廢了。
上洛のために浅井家と織田家の同盟を結ぶため、市は長政へ嫁いだ。しかし、久政が裏切った時点で浅井家と織田家の同盟は破棄された。
現在因為信長收留了被久政逐出的長政,長政和市的婚姻關係得以維持。不過,自從信長攻略久政的根據地小谷城之後情況如何還不得而知。
現在は久政が追放した長政を信長が保護している関係で、長政と市の婚姻関係は続いている。とはいえ、信長が久政の本拠地・小谷城を攻略した以降はどうなるか不明だ。
一般來說,市和長政的婚姻會被解除,市會再嫁給別人吧。
普通に考えれば市と長政の婚姻は解消され、市は別の誰かの元へ嫁ぐ事になるだろう。
畢竟お市是絕世美人,嫁出去的機會多得是。但那樣她會幸福與否,只有她本人知道。
何しろお市は絶世の美人だ。嫁ぎ先は幾らでもあるだろう。だがそれでお市は幸せなのか、は本人のみしか分からない。
「那就未可知了。因為不能用了就隨手丟棄,這種印象似乎不太好呢」
「それはどうでしょうかねぇ。使えなくなったからぽいする、というのは印象が余り宜しくない気がしますね」
「兄上才不會在意外人的評價。他那常常不知道在看哪裡的眼神,像是在述說遙遠之物般編織言語,凡人根本無法理解,兄上就是那樣的人。」
「他人の評など兄上が気にするはずもない。いつもどこを見ているか分からぬ目で、遠い何かを語るように言葉を紡ぐ。およそ常人には理解できぬものよ、兄上は」
「我倒覺得他不過是當代第一的任性之人罷了」
「単純に当代一の気儘人(きままびと)なだけかと思いますが」
「哈哈哈,那大概是因為靜子看得見和兄上相同的『東西』吧。我們凡人做不到的事。因此兄上才對靜子如此中意。」
「はっはっはっ、それは静子が兄上と同じ『もの』が見えている為であろう。妾たち凡人では無理な話よ。だからこそ、兄上は静子をいたく気に入っておられる」
「總是被交付些胡亂的工作,希望能稍微慰勞一下啊」
「いつも無茶な仕事ばかり任されているから、少しは労って欲しいものです」
「那是因為兄上認為『靜子可以做到』。兄上才華洋溢,凡事自己決定,要求家臣照他的指示行事。但既然不是那樣,而是將一切委託給靜子,認為兄上中意她是理所當然的。」
「それは兄上が『静子なら出来る』と思うたからよ。兄上は才溢れておるゆえ、何もかも自身だけで決定し、家臣には指示通りに動くことを求める。そうではなく全てを静子に任せるのだから、兄上が気に入っていると考えるのは至極当然と思うがな」
靜子模糊地想著,大概就是如此吧。正如市所說,她被相當自由地委以職務,但因為不知道其他人如何完成信長交付的事,無法清楚自覺。
そんなものなのかな、と静子は漠然と思った。市の言うとおり、そこそこ自由に仕事を任されているが、他人がどの様に信長の仕事をこなしているか知らないため、いまいち自覚出来なかった。
最後靜子下定論:不自大也不卑屈,照平常般行事才是最佳。
結局、驕り高ぶらず、かといって卑屈にならず、いつものようにするのが一番と静子は結論を出した。
「說起來捕鯨船快要回來了呢。那天的晚餐就吃鍋啦,而且是哈里哈里鍋嗎?」
「そう言えばもうすぐ捕鯨船が帰ってくるの。その日の夕餉は鍋、それもはりはり鍋かの」
「……所以要求京菜和昆布就是為了那個嗎?」
「……京菜と昆布を要求したのはその為ですか」
因為古時在京都栽種而被稱作京菜(きょうな),現今稱為水菜的十字花科作物,與鯨肉搭配的鍋料理就是はりはり鍋。
古くから京都で栽培されていたため京菜(きょうな)と呼ばれ、現在では水菜と呼ばれるアブラナ科の作物と、鯨肉を用いた鍋料理がはりはり鍋だ。
はりはり的名稱據說表現了水菜爽脆的口感。此外,與其他鍋不同,它用昆布熬出湯頭,僅以鯨肉和水菜做成的簡約鍋物。
はりはりの由来は、水菜のシャキシャキとした食感を表現したと言われている。また、他の鍋と違って昆布で出汁を取り、鯨肉と水菜だけで作る簡素な鍋だ。
「呼呼,靜子自從在港口鎮涉足漁業相關後,能吃到各種東西呢。說起來有個奇怪的處理用在魚上,叫什麼來著……絞め?」
「ふふっ、静子が港街で漁業関係に携わってから、色々なものが食えるからのぅ。そう言えば不思議な事を魚にしておったの。何と言ったか……絞め?」
「是指活け締め和神經締め嗎?」
「活け締めと神経絞めのことですか?」
「對,就是那個了」
「そう、それじゃ」
市點了點頭,雙手輕輕拍掌表示領會。
合点がいったように、市は両手を軽く叩いた。
活け締め是指漁獲後施於魚體的處理方法。一般為放血以維持鮮度的處理,但有時也泛指單純將魚處死的行為。
活け締めとは漁獲した後に魚へ施す処理法のことだ。一般的には血抜きして鮮度を保つ処理法のことだが、単純に魚を殺すことを活け締めという場合もある。
基本上以菜刀進行,但因為名為「手カギ」的工具更具通用性,港口鎮大多以「手カギ」來活け締め。
基本は包丁で行うが『手カギ』と呼ばれる道具の方が汎用性が高いため、港街ではもっぱら『手カギ』で活け締めが行われている。
神經締め顧名思義是破壞魚的延髓及中樞神經的處理法。地方上也有人稱為延髓斬或神經抜き。
神経締めとは名前の通り、魚の延髄及び中枢神経を破壊する処理法だ。地方によっては延髄斬り、神経抜きと呼ばれている。
與活け締め不同,神經締め需以錐破壞腦及延髓,並沿脊椎插入鋼絲或鐵線等以破壞中樞神經,是項需熟練技術的工序。
活け締めと違い、神経締めは錐で脳及び延髄を破壊し、背骨に沿ってピアノ線や針金などを入れて中枢神経を破壊するという熟練の技術を要する。
這項處理的理由是為延緩魚的死後僵直以保鮮。然而神經締め不會用於小型或中型魚,因為處理後魚肉會變鬆散。
この処理を施す理由は、魚の死後硬直を遅らせて鮮度を保つためだ。ただし、神経締めは小魚や中型サイズの魚にはしない。処理をすることで身がゆるくなってしまうからだ。
活け締め雖在日本發祥,但真正發展開來是在冷凍與運輸技術大幅進步的昭和泡沫期之後,歷史意外地不算久遠。
活け締めは日本で発祥した技術だが、活け締めが花開いたのは冷凍技術や輸送技術が格段に進歩した昭和バブル期以降となり、意外と歴史は浅い。
因為古時以鹽漬或風乾魚為主,保鮮技術無從發展。
それは古い時代では塩干魚が中心だったため、魚の鮮度を保つ技術が発展しなかったためだ。
然而近代對高鮮度魚的需求出現,於是活け締め與神經締め等技術應運而生。
しかし、近代では鮮度の高い魚を求めるニーズが出てきた。それゆえ活け締めや神経締めという技術が生み出されるに至った。
「單純是為了防止魚腐敗。魚血若殘留,會加速腐敗啊」
「単純に魚の腐敗を防ぐ為です。魚の血が残っていると、それが原因で腐敗が早まりますからね」
「原來如此。看起來像是沒在想事,其實是經過各種思考後的行動呢」
「なるほどのぅ。何も考えてないように見えて、色々と考えた上の行動なのか」
「……常被人這麼說,我真的看起來那麼沒在想事嗎?」
「……よく言われるのですが、そんなに私って何も考えてないように見えるのですか」
「好了,該差不多從湯裡上來了。熱過頭也不好呢」
「さて、そろそろ湯から上がろう。のぼせても良くないしの」
市無視半眯著眼怒視的靜子,匆匆從溫泉中離開。靜子輕嘆一聲,隨後跟著市上了岸。
半眼で睨む静子を無視して、市はさっさと温泉から出ていった。静子は小さくため息を吐くと、市に続いて温泉から上がる。
擦乾身體換上浴衣後,靜子喝了杯加冰的麥茶,鬆了口氣。
身体をふいて浴衣に着替えると、静子は氷入りの麦茶を飲んで一息吐く。
(雖然不太為人所知,但只要在水裡加入硝石就會帶走熱量,所以其實做冰並不難。嘛,我家有空氣式製冰機,所以不需要那麼麻煩就是了)
(割と知られていないけど、水に硝石を入れると熱を奪うから、氷を作るのは意外と簡単なのよね。まぁ空気式製氷機があるから、うちはそんな手間は必要ないけど)
將硝石加入水中,硝石會奪取水的熱量使溫度下降。於是把含硝石的冰再混入更多硝石,用沒有添加物的水去冷卻,就能製出冰。
水に硝石を入れると、硝石が水の熱を奪って温度を下げる。それで出来た硝石入りの氷にさらに硝石を混ぜ、何も入っていない水を冷やせば氷は作れる。
之後把含硝石的冰與水和硝石分離回收硝石。這樣一來無論季節都可以反覆使用硝石來製冰。
後は硝石入りの氷を水と硝石に分離して硝石を回収する。こうすれば時期を問わず何度も硝石を使って氷を作ることが可能だ。
當然,不用硝石、僅靠空氣也能製作製冰機或冷凍庫。實際上靜子雖然效率難稱良好,已經開發出早期的空氣式製冰機,但製冰機仍存在各種問題。
もっとも硝石を使わず、空気だけで製氷機や冷凍庫を作る事は可能だ。現に静子は効率は良いとは言い難いが、初期の空気式製氷機を開発した。しかし、製氷機には色々と問題がある。
那些問題並非出在製冰機本身,而是起因於冰的價值發生變化。
その問題は製氷機自身ではなく、氷の価値が変化することに起因する。
如果製冰機普及,冰的價值會急遽下跌,現在從事製冰業的許多人會失去工作,冰品流通的物流也會受波及。
製氷機が一般的になれば氷の価値は激減し、現在製氷業に携わっている多くの人々が失業し、氷を流通させる物流にも影響が及ぶ。
結果可能導致經濟停滯,並造成大量經濟損失,因此把冰定位為奢侈品反而是較為合適的安排。
結果として経済が停滞し、多くの経済的損失が見込まれるのである。氷は贅沢品という位置づけが程よいのである。
空氣式製冰機以簡單原理構成,但效率難言良好。要做一整塊冰板所需的時間,與現代相比不可同日而語。
空気式製氷機は単純な原理で出来ているが、効率は良いとは言い難い。氷板一枚作るのに現代とは比較にならないほど時間を要する。
不過若僅限於製作小塊冰,就能克服這個問題。採用一種稱為螺桿方式(オーガ方式)的機構,讓水慢慢流過充分冷卻的圓柱壁。
しかし、小さな氷を作るに限定するならこの問題をクリア出来る。オーガ方式という仕組みで、よく冷やした円柱の壁にゆっくり水を流す。
把在圓柱壁上形成的冰膜削下收集,最後施加壓力成型成想要的冰塊即可。可用流水作業大量生產,但無法做出透明漂亮的冰。
円柱の壁に出来た氷の膜を削って集め、最後に圧力をかけて望む形の氷を作るだけだ。流れ作業で行えるため、大量の氷を作るのに適しているが、透明で美しい氷は作れない。
(斯特林引擎完成了嗎——那次報告說總算進入了驗證機的開發。話說僅靠油壓與氣壓就能讓作業效率提升到這種程度,真是出乎意料。)
(スターリングエンジンの完成はまだかなー。この間の報告では、ようやく検証機の開発に入れたって言っていたけど。それにしても油圧や空気圧があるだけで、これだけ作業効率が上がるとは思わなかったよ)
靜子可能忘了,發動機的發明正是產業革命的象徵。發動機這種機關的出現,同時也是產業革命的開始。
静子は忘れているが、エンジンの発明は産業革命の象徴だ。エンジンという機関が出来たことが産業革命の始まりでもあるのだ。
即便是原始型的引擎,斯特林引擎一旦完成,能實現的事將多得難以相比。
原始的なエンジンとはいえ、スターリングエンジンが完成すれば出来る事は比較にならないほど多くなる。
若不計成本,發電機、冰箱、冷氣等設備也都可望實現。
コストを無視すれば発電機や冷蔵庫、エアコンなども可能になる。
當然即便被發明,成本也不會低廉,充其量只會被像信長那樣的少數權力者所採用。
もっとも、発明されたとしてもコストが馬鹿にならないので、良くて信長のような限られた権力者が用いるに留まるのだが。
「靜子——茶——」
「しずこー、ちゃー」
茶々雙手舉起,向靜子要她手裡的茶。靜子苦笑著說這樣還真分不清誰像小姓,然後把茶碗遞給茶々。
両手を挙げて茶々は静子の持っている茶を欲しがる。これではどちらが小姓か分からない、と苦笑しつつ静子は茶々に茶碗を手渡す。
茶々開心地接過後一口喝光。對於泡完溫泉燙熱的身體來說正合適,她滿足地把茶碗遞回給靜子。
嬉しそうに受け取ると茶々は一気に飲み干す。温泉で火照った身体には丁度良かったのだろう、満足げな表情で茶碗を静子に差し出した。
「再來一杯」
「おかわりー」
「……看來還得再準備兩個茶碗才行啊」
「……茶碗、もう二つほど必要になりそうだなぁ」
靜子的預感應驗,找到茶々的市與初也來索取同樣加冰的茶。靜子只能無奈地嘆氣。
静子の予感は当たり、茶々を見つけた市と初も同じように氷入りの茶を求めてきた。ため息しか出ない静子だった。
照例年慣例,除了慶次之外大家在元旦過後約七天就回到靜子的宅邸。等眾人都安定了幾天後,靜子便前往港町。
例年通り慶次以外は元日から七日過ぎれば、静子の邸宅に戻ってきた。全員が落ち着いてから数日後、静子は港街へ向かった。
理由是去迎接年初首班回航的捕鯨船。
年明け初の捕鯨船が帰還したのを出迎えるのが理由だ。
港町捕鯨興盛,但與其他地方不同,捕鯨有各種組織與規定。首先所有從事捕鯨者都必須加入捕鯨組合。
港街では捕鯨が盛んだが、他と違い捕鯨には色々な組織や決まりが存在する。まず捕鯨を行う者は全て捕鯨組合に加入しなくてはならない。
加入日期當然會被記錄,身高、體重、年齡與健康狀況等也會被登載。這些資訊全部保存於鯨寺。
加入日は勿論、身長や体重、年齢や健康状態などが記録される。それらの情報は全て鯨寺に保管される。
所謂鯨寺,是為捕獲的鯨製作位牌、賜予戒名並建立與管理供養塔的寺院。日本有幾處此類寺廟,其中最有名的是四國八十八處的龍頭山金剛頂寺。
鯨寺とは、捕鯨した鯨用の位牌を作成し、戒名をつけて供養塔を建立及び管轄する寺だ。日本では幾つかあり、もっとも有名な寺は四国八十八箇所の龍頭山金剛頂寺だ。
寺內除了鯨用的位牌與供養塔、捕鯨組合的名簿外,還保存著被稱為捕鯨帳的捕鯨相關文件。
寺には鯨用の位牌や供養塔、捕鯨組合の名簿の他に、捕鯨帳と呼ばれる捕鯨に関する書類が保管されている。
捕鯨帳記載了捕鯨的日時、捕獲鯨的大小、大概地點、參與捕鯨組合的成員名單、解體部位的出售對象或處置方法等詳盡的捕鯨資訊。
捕鯨帳には捕鯨した日時、獲れた鯨の大きさ、大まかな場所、関わった捕鯨組合のメンバーリスト、解体した部位の売却先や処分方法など、捕鯨に関する詳細な情報が記録されている。
與魚不同,對鯨有嚴格的規則。最重要的一點是,若未記錄於捕鯨帳,即便是幸運地被沖上岸的鯨,也不得任意處理。
魚と違い鯨には細かい規則が存在する。一番大事なことは、捕鯨帳に記録されなければ例え運良く浜に打ち上げられた鯨であろうと、一切手を出してはならない決まりだ。
這是基於「鯨被沖上岸意味著海中發生了不好的事」的觀念而定的規矩。
これは鯨が浜へ打ち上がるという事は、海に良くない事が起きているという考えからきている。
此外,被捕的鯨並不會立即被解體,而是要遵循一定程序舉行神事。
その他にも捕鯨した鯨はすぐに解体されず、一定の手順に従った神事を行う決まりがある。
首先向鯨寺報告捕鯨事宜,由住持為鯨賜予戒名。
まず鯨寺に捕鯨の報告をし、住職が鯨に戒名を付ける。
接著切下鯨的舌頭並流入海中,這是為了向海神傳達「我們感謝鯨,將不遺餘力地全部使用完畢」的誓言。
その後、鯨の舌を切り取り海へ流す。これは『私たちは鯨に感謝し、余すことなく使い切ります』という誓いを海神へ届けるためだ。
將舌頭流入海中,如果被視為海神使者的虎鯨吃下所流的鯨舌,就被解釋為誓言已傳達給海神。
舌を海に流し、海神の使いと見なされるシャチが流した鯨の舌を食べた場合、海神への誓いは届けられたと解釈する。
若萬一虎鯨未吃舌頭,則被認為有人心懷不安或虧欠,捕獲的鯨會在建立供養塔後被妥善安葬。
この時、万が一シャチが舌を食べなかった場合、心にやましい者がいると海神に思われていると考え、捕鯨された鯨は供養塔を建てた後、丁寧に葬られる。
「話說舌頭也相當重啊……」
「舌といっても結構重い……」
作為地球現存最大的動物種類,藍鯨的舌頭大約就重達四噸。即便是比那更小的個體,其舌頭也有數百公斤,搬運並不容易。
地球に現存する最大の動物種であるシロナガスクジラは、舌だけでおよそ4トンもの重量がある。それより小さい個体とはいえ、数百キロの重さがある舌を運ぶのは容易ではない。
若沒有專用的運搬車,不僅無法將舌頭流入海中,連移動都不可能。
専用の運搬車がなければ海に流すことは勿論、動かす事すら不可能だった。
「真是抱歉啊,元旦那天把腰弄傷了,呵呵呵」
「すまんのぅ、元日に腰をいためてしもうてな。ひょっひょっひょ」
鯨寺的住持一邊輕拍自己的腰一邊道歉。原本應由鯨寺住持推動運搬車,但因為急性腰痛而無法做到。
腰をとんとんと軽く叩きながら、鯨寺の住職が謝罪を口にする。本来は鯨寺の住職が運搬車を押すのだが、ぎっくり腰になったため不可能となった。
因此由靜子被選為代理。我原本以為可以找別人代替,但因為位階等複雜的因素牽扯在內,結果還是行不通。
そこで代理として静子が選ばれた。自分以外でも良いのでは、と思ったが位だの何だのとややこしい事が影響して駄目だった。
「因為是神事,所以不能說『幫忙』。啊,為了舌頭虎鯨已經聚過來了」
「神事だから手伝って、とも言えないし。ああ、もう舌目当てでシャチが集まってきた」
幾頭把頭部從海面伸出來做被稱為「スパイホッピング」的偵察動作,看來運送食物的運搬車被發現並傳達給了群體。
何頭かが頭部を海面から出して周囲を偵察する『スパイホッピング』と呼ばれる動作をしている。食料を運んでくる運搬車の発見が群れに伝わったようだ。
起初只有大約三頭的港口,現在已經聚集了超過十頭的虎鯨。虎鯨只有一個物種,但依食性和體型大致可分為四類。
最初は3頭ほどしかいなかった港に、10頭以上のシャチが集まっていた。シャチは一種しか存在しない種だが、食性やサイズからおおよそ4つに分類される。
體型大的會攻擊鯨魚,他們偏好的鯨魚部位是舌頭和嘴。
大きいものなら鯨すら襲うシャチで、そんな彼らが好む鯨の部位は舌と口だ。
順帶一提,說到シャチ聽起來可愛,但英文名是「殺手鯨」,學名被稱作「冥界的魔物」,是個可怕的名稱。
余談だがシャチと言えば可愛く聞こえるが英名は「殺し屋クジラ」、学名は「冥界の魔物」という酷い名前がつけられている。
「啾啾」
「キュイキュイ」
體型龐大卻發出與之不相稱的可愛叫聲的虎鯨。接下來把運搬車移到指定位置,住職做供養祈禱後,把鯨的舌頭放入海中就完成了。
巨体に見合わず可愛い鳴き声で鳴くシャチたち。後は運搬車を所定の位置にまで移動させ、住職が供養の祈祷を捧げたのち、鯨の舌を海へ流せば完了だ。
「啊!你這混蛋!」
「あっ! てめっ!」
在運搬車剛搬好時,突然從身後傳來一聲叫喊。靜子有不好的預感,迅速回頭,看到一個男人一手拿著小刀朝這邊跑來。
運搬車を運び終えた所で、ふいに背後から誰かの叫び声が聞こえた。嫌な予感がした静子は素早く後ろを振り返る。小刀を片手にこちらへ走っている男の姿が目に入った。
「住職,退後!」
「住職、下がって!」
靜子的聲音讓住職也察覺異常,發出驚惶的叫聲躲到運搬車後面。看到那男人行動毫無改變,靜子理解自己是目標。
静子の声で住職も異常事態を察したのか、すっとんきょうな声を上げて運搬車の後ろに隠れる。それを見ても男の行動が少しも変わらない所を見るに、狙いは自分だと理解する。
(怎、怎麼辦。因為是神事把所有刀械全都放下了!)
(ど、どうしよう。神事だから刃物系は全部置いて来ちゃった!)
刃物因為有「切」的意義被視為不吉,神事中基本不使用,也不允許佩刀。平時守在周圍的護衛因為是神事而離開,這反而成了禍根。
刃物系は『切る』という事から不吉なものとされ、神事では基本的に使わないし帯刀が許されない。普段は周囲を固める護衛も神事という事で離れていた事が災いした。
對方只是露出小刀,但也可能隱藏其他東西。正當煩惱如何應對不利局面時,不知從哪裡飛來一塊石頭,正好打向那男人。
相手は小刀だけ見せているが、それ以外にも何かを持っている可能性がある。不利な状況をどうしようか考えあぐねている時、どこからともなく男めがけて石が飛んできた。
那塊從視線外飛來的石頭沒被躲開,兩塊石頭相撞的衝擊使男人失去平衡,向前摔倒。
視界の外から飛んできた石を避けられず、男は二つの石がぶつかった衝撃でバランスを崩し、前のめりに転ぶ。
他摔倒時似乎鬆開了小刀,小刀在地上滾動滑到靜子腳邊。靜子判斷是機會,開始跑去奪刀。
転んだときに小刀を手放したようで、小刀は地面を転がり静子の足元へと滑ってくる。チャンスと判断した静子は、小刀を奪うべく走り出す。
另一方面,已經爬起來的男人也注意到小刀滾到前方,慌張站起來就衝了過去。
一方、起き上がった男も小刀が前に転がっていることに気付き、慌てて立ち上がると駆け出す。
「得手了!」
「チェストー!」
差了一點但男人較快拿到小刀。然而在男人站起來之前,靜子已經狠狠踢中了他的臉。
僅かな差だが男の方が早く小刀を手にした。だが、男が立ち上がるより先に、静子が男の顔を思い切り蹴り上げた。
那男人整個注意力都放在拿小刀上,無法躲開靜子的踢擊,被正面命中,帶著衝力滾到地上。
小刀を手に取る事だけに意識を集中していた男は、静子の蹴りを避けられずまともに喰らい、勢いのまま地面を転がる。
即便靜子是女性,從視界外遭到踢擊仍會造成重創。尤其是頭部若被擊中要害,會震盪腦部而喪失行動能力。
いくら静子が女でも意識の外から蹴りを食らえば痛手となる。特に頭は当たり所が良ければ脳を揺らし行動不能となる。
雖然不確定靜子的踢擊是否傷及腦部,但看那男人沒有再站起來,靜子為成功奪去其意識而感到慶幸。
静子の蹴りが脳までダメージを与えたか不明だが、男が再び立ち上がってこない所を見るに、上手く意識を刈り取れた事を喜ぶ。
「小刀之類真是危險危險。那麼,趕快——」
「小刀とか危ない危ない。さて、さっさと————————」
正說到一半,抽搐的男人抬起上半身。扭動身體起來後為了逃跑跳入海中。沒想到會跳進冰冷的海裡逃走,靜子慌忙朝海面看去。
言いかけた所で、痙攣していた男が上半身を起こした。身体をひねって起き上がると、逃げるために海へ飛び込む。冷たい海に飛び込んで逃げるとは思わず、静子は慌てて海の方を向く。
看到跳下去的男人被拋向空中。搞不清發生什麼事,靜子環顧四周,發現虎鯨的背鰭聚集在男人周圍。
飛び込んだ男が宙を舞うのが目に入った。何が起きたか分からず、静子が周囲を見回すとシャチの背びれが男の周りに集中している事に気付いた。
被拋起的男人身體重重砸向海面。不一會兒,男人的身體又被拋向空中。看到虎鯨的背鰭,靜子理解牠們是用尾鰭或全身把人拋來拋去。
宙を飛んだ男の身体が海面に叩きつけられる。間を置かず、男の身体が再び宙を舞う。男が宙を舞うとき、シャチの背びれが見える事から尾びれや体全体を使い放り投げているのだと理解する。
虎鯨的甩擊相當強力,可以把一百公斤的海獅從海面拋到超過二十公尺的高度。
シャチの打ち上げは強力で100キロのアシカを、海面から20メートル以上飛ばす事も出来る。
有一說牠們用尾巴把獵物拋到海面,是為了教幼獸學習狩獵,但至今仍不清楚確切原因。
一説には尻尾で獲物を海面上に放り投げる行為は、子どもに狩りを覚えさせるためと言われているが、現在もはっきりした理由は判っていない。
可以確定的是,即便虎鯨是為了玩耍而拋擲,人類也會面臨生命危機,是極其危險的攻擊。
一つ確かな事は、例えシャチがお遊びで打ち上げをしたとしても、人間にとっては生命の危機に瀕する危険な攻撃だということだ。
看著那人被拋了大約五次後,虎鯨開始聚集到靜子附近。看到牠們噴水,靜子注意到虎鯨們在催促她快把鯨舌交出來。
5回ぐらい飛ばされているのを眺めていると、静子の近くにシャチが集まってきた。潮を吹いているのを見て、シャチたちが早く鯨の舌を寄越せと催促している事に静子は気付く。
「住職,住職。虎鯨非常生氣。快重新開始神事吧」
「住職、住職。シャチがとっても怒っている。早く神事を再開しよう」
催促著快要癱坐的住職重新開始神事。住職因為慌亂跳過了很多程序,但現在沒時間在意那些了。
腰を抜かしかけている住職に発破をかけて神事を再開する。混乱していたのか色々とすっ飛ばした住職だが、今はそんな事に拘っている暇はなかった。
全部結束後,靜子把運搬車傾斜把鯨舌落入海中。瞬間虎鯨蜂擁而上,接連撕咬鯨舌。
全てが終わると静子は運搬車を傾けて鯨の舌を海へ落とす。途端にシャチたちが群がり、鯨の舌を次々と食い千切っていく。
那些用男人玩耍的虎鯨也似乎注意到鯨舌,最後把男人用尾巴丟飛後,直奔鯨舌所在之處。
男で遊んでいたシャチたちも鯨の舌に気付いたのか、最後に男を尻尾で飛ばした後、一目散に鯨の舌がある所まできた。
群中有虎鯨幼獸,也和大人們混在一起拼命吃著鯨舌。
群れの中にはシャチの子どもがいたが、大人たちに混じって一生懸命鯨の舌を食べていた。
「呼,總算港口沒被毀掉。住職,我們回去吧」
「ふぅ、何とか港が壊されずに済んだ。住職、戻りますよ」
拾起那男人使用的小刀後,和那快要軟腳的住職一起回去。
男が使っていた小刀を拾うと、そろそろ腰が抜けそうな住職と共に戻る。
(嗯——直接涉及殺傷行為,應該可以認為是被視為危險人物吧。雖然很在意,但反正那男人大概沒帶能表明身分的東西。可能是武田,不過現在沉默的北條也可疑。上杉要是做暗殺會讓家臣的團結瓦解,所以應該不會做這種事吧)
(んー、直接的な殺傷行為に及んだ、という事は危険人物に見られていると考えて良いかな。流石に気になるけど、どうせ男は身分を知らせる物を持っていないだろうね。考えられるのは武田。けど今も沈黙している北条も怪しいかな。上杉は暗殺なんてしたら家臣の結束がボロボロになるから、そういった事は実行しないと考えて良いかなぁ)
確認小刀的銘文能在某程度上特定凶器的來源,但這也很微妙。靜子無從判斷是他在居住地買的,還是任務途中弄到的。
小刀の銘を確認すれば凶器の出元をある程度は特定出来るが、それも微妙な所だ。住んでいる場所で購入したか、それとも任務の途中で手に入れたか静子には判断がつかないからだ。
一邊覺得不抱太大期待,靜子把小刀收好。帶著住職回到參與神事的人那裡,瞥見他們困惑的表情。
あまり期待出来ない、と思いつつ静子は小刀を仕舞う。住職を連れて神事に参加している人たちの元に戻ると、彼らの困惑した表情を一瞥する。
「發生了些突發狀況,但總算把神事完成了。海神大人已允許解體鯨魚,還請多多協助」
「偶発的な問題が起きたけど、何とか神事は終わらせました。海神様の使いは鯨の解体をお許しになりましたので、よろしくお願いします」
靜子告知神事平安結束後,他們鬆了口氣。
静子が無事神事が終わった事を告げると、彼らはホッと胸をなで下ろした。
雖然出了一些狀況,但今年首次的捕鯨神事已經結束。之後那個男人下落不明。虎鯨曾幾度擱淺,但之後就不知被沖到哪裡去了。
多少の問題はあったものの、今年初の捕鯨の神事は完了した。あの後、男はどうなったか不明だ。シャチが何度か打ち上げをしていたが、飽きて以降どこに流されたか分からない。
靜子覺得沒必要去找他,就放著不管了。反倒是安撫趕來港街的警備衆、讓他們停止下跪道歉更費力。
探す必要性も感じなかった静子はそのまま放置することにした。それよりも港街の警備衆がすっ飛んできて土下座して謝罪するのを宥める方が大変だった。
「這次真是十分抱歉」
「この度はまことに申し訳ございませぬ」
「唉唉,人誰都有犯錯。這次不用自刎了,比起那個,想想怎麼挽回這次的過失吧」
「まーまー、人間誰にでも失敗はあるって。今回の件で腹を斬る必要はないよ。それより失敗をどう挽回するかを考えてね」
「哈、哈哈——!感謝靜子大人的寬恕」
「は、ははっー! 静子様のご寛恕に感謝いたします」
「(不用那麼哭吧)天還很冷,請保重身體,好好盡職」
「(そんな泣くことかな)まだまだ寒い日が続くけど、体調に気をつけて職務に励んで下さい」
他們又深深鞠了一次躬後離去。比起刺客,應付警備衆讓靜子更感疲憊,她輕輕嘆了口氣。
もう一度深々と頭を下げた後、警備衆たちは立ち去った。刺客よりも警備衆の対応に疲れた静子は小さく息を吐く。
「用石頭支援真是幫大忙了。但沒想到你會在這裡」
「石での援護はありがたかった。けど、まさかここにいるとは思わなかったよ」
靜子一手按在額頭上,朝那個對刺客投石的慶次,以及在京遇見的年少少年看去。
額に手を当てながら静子は、刺客に石を投げた人物である慶次、それと京で出逢った年下の少年の方へ向く。
「只是湊巧罷了。其實丟石頭是他先動手的,若要道謝就向他說吧」
「たまたまだよ。というか石投げはこいつの方が早かったから、礼ならこいつに言ってやってくれ」
「我沒做什麼大事。而且之前在京也受過他的照顧」
「俺は大した事してないさ。それに前、京で世話になったしな」
慶次咧嘴一笑,用大拇指指向那少年。少年也不甘示弱地露出陽光的笑容。
にかっと笑いながら慶次は親指で年下の少年を指さす。少年も負けじと陽気な笑みを浮かべていた。
見兩人關係奇妙地處得那麼好,靜子不禁側首。打聽後才知道是在花街相遇投契,然後一起玩鬧。正當她起了不祥的預感時,有人輕拍了她的肩膀。
二人の仲が妙に良い事に静子は首を傾げる。聞けば花街で出逢って意気投合、そのまま一緒に騒いでいたとの事だ。少し嫌な予感がした時、静子の肩にポンッと手を乗せる人がいた。
回頭一看,是琴,帶著和善的笑容。
振り返るとにっこりと人の良い笑みを浮かべた琴がいた。
「靜子大人,能請您替這兩位把帳結了嗎?」
「静子様、その二人のツケ、払って頂けますか」
她用左手大拇指與食指圈成一個圈說道。她朝慶次一轉身,兩人已雙手合十向靜子行禮。
彼女は左手の親指と人差し指で輪っかを作りつつ言った。勢いよく慶次の方へ振り返ると、二人とも静子に両手を合わせて拝んでいた。
「……多少錢?」
「……お幾らですか」
靜子想著若因此讓馬廻衆被牽連關進牢裡會丟臉,決定先墊付費用。琴笑著報出要收的金額。
こんな事で馬廻衆が引っ張られて牢屋に放り込まれては恥だ、と考えた静子は代金を立て替える事にした。琴はにっこり笑って請求する金額を提示する。
「……玩到什麼程度會變成這麼多錢啊」
「……幾ら遊んだらそれだけの値段になるのよ」
「兩位實在玩得太開心了,不以最上等的款待招待,對我們來說會丟臉」
「お二人ともそれはそれは楽しそうにはしゃいでおられましたので、最上級のもてなしを供さないのは我々にとって恥でございます」
「你們這是在下套吧」
「ハメたね」
「我不太明白靜子大人的意思」
「静子様の仰る意味が分かりかねます」
琴對靜子半睜眼的瞪視從容地化解。靜子判斷再爭辯無益,重重嘆了口氣拿出錢包。
半眼で睨んだ静子の言葉を、琴は悠々といなす。これ以上、押し問答をしても無意味だと判断した静子は、重いため息を吐きつつ財布を取り出す。
「好」
「はい」
「多謝光臨,期待下次再來」
「毎度ありがとうございます。またのご利用をお待ちしております」
「這種事絕對不想再有第二次了」
「こんな事は二度とご免です」
琴聽了靜子的牢騷輕笑,然後湊到她耳邊低聲說話。
静子の愚痴にクスリと笑った後、琴は静子の耳に口を寄せる。
「(請小心。那童子是上杉家的近侍,名為與六。他的目的尚未掌握。))」
「(お気をつけ下さい。童子は上杉家の近習である与六でございます。何が目的かはまだ掴めておりませぬ)」
說完這句話後,琴若無其事地離去。得知少年意外的身世讓她頭疼,但若現在說出來只會引發更多混亂,靜子便閉口不言。
それだけ伝えると琴は何事もなかったかのように立ち去った。少年の思わぬ素性に頭が痛くなったが、今それを言えばさらなる混乱が発生すると思い静子は口を閉じた。
「哎呀哎呀,兩位先記著日後出人頭地再還吧,那我們就回去了」
「やれやれ、二人とも出世払いでよろしく。それじゃあ帰るよ」
「哎呀,等一下」
「あいや、待たれよ」
正要帶大家回家,卻被那少年──日後的直江兼續與六攔住。雖然有不好的預感,但在當下無法無視他,只好停下腳步。
全員を連れて家に帰ろうとしたが、それを少年、後の直江兼続である与六が引き止める。嫌な予感がしたが、今の状態で彼の言葉を無視するのは無理があったため足を止めた。
「雖然有不好的預感,但還是先聽他說說吧」
「嫌な予感がするけど、一応話だけ聞こうじゃない」
「剛才路費花光了。因為雪回不了娘家,想暫時借住一陣子」
「先ほどで路銀が尽きた。雪で実家に帰れぬゆえ、暫く厄介になりたい」
「你在說什麼呢。沒路費就去工作不就好了,那附近也有招住進來幹活的」
「キミは何を言っているのかな。路銀がないなら働けば良いじゃない。その辺は住み込み労働ぐらい募集しているよ」
頭更痛了。即便他不是直江兼續,也不能輕易讓人住進來工作。但若拒絕他而此事被謙信知道,使他對自己留下壞印象,那就大事不妙了。
頭が痛くなった。例え彼が直江兼続でなくとも、簡単に住み込み労働をさせるわけにはいかない。だが彼を拒絶してその事が謙信へ伝わり、悪印象を持たれてしまったら大問題だ。
因為信長一向避免與謙信、信玄正面對抗,而採取懷柔政策;自己不能把那政策給破壞掉。想得太複雜的靜子邊嘀咕邊繼續思考。
信長が謙信と信玄に対して直接対決を避け、懐柔する政策を常にとっているからだ。自分がその政策をぶち壊しにする訳にはいかない。難しく考えすぎた静子は唸りながら更に考える。
「別去靜子的地方了,來我這裡暫住一陣子吧,這樣應該沒問題吧?」
「静っちの所じゃなくて、俺の所へ暫く泊まりな。それなら問題ないだろう?」
慶次向煩惱中的靜子伸出援手。慶次住在一間小庵裡,從那裡前往靜子的宅邸必然會被人注目。
悩んでいる静子に慶次が助け船を出す。慶次は小さな庵に寝泊まりしている。そこから静子の邸宅に移動するには、必ず人の目がつく。
靜子下定結論:與其把事告知所有人招來混亂,不如先留下空檔只讓慶次知道,這樣效率較高。
全員に話を通して混乱を招くより、スキの一つを作っておいて慶次にだけ話を通しておく方が効率的だと静子は結論づけた。
「……那就這樣。好好『應對』的話,剛才借給你的錢就免了。失敗的話就加倍喔」
「……じゃあそれで。ちゃんと『対応』できたら、さっき貸した金子はなしにしてあげる。失敗すると倍にするけどね」
「喔耶!童子,雖然有點狹,但到我的小庵裡住下吧」
「おっしゃ! 童子、ちと狭いが俺の庵で寝泊まりしろ」
「既然要受你照顧,我不會對住處挑三揀四。會麻煩你照顧到雪融的時候為止」
「世話になるのだから場所に文句をつけるような真似はせん。雪が溶ける頃まで厄介になるぞ」
兩人緊緊握手,宛如莫逆之交般親近,但對靜子來說卻是讓人頭疼的事。
二人は固い握手を交わす。莫逆の友と言わんばかりに仲良くなった二人だが、静子には頭が痛くなる話だ。
「喔,差點忘了。我叫與六,是上杉家的近侍。今後請多關照,哈哈哈哈!」
「おっと、忘れていた。俺の名前は与六、上杉家の近習だ。これから宜しくな、はっはっはっはっ!」
正在擬定接下來如何進行談話的靜子,卻被兼續的一句話從根本上徹底粉碎。
これからどう話を進めるか計画を立てていた静子だが、兼続の一言で土台から木っ端微塵に粉砕された。