戦国小町苦労譚
千五百七十一年 十二月下旬
信長與靜子在歡談時,慶次等人也閒得無聊,圍坐一團談笑;途中長可也加入,氣氛更加熱鬧。
信長と静子が歓談しているころ、慶次たちも暇を持て余し、車座となって談笑していた。途中から長可も加わり、一層賑やかになった。
唯一只有蘭丸坐立不安,時不時把視線投向信長和靜子消失的襖門。
唯一、蘭丸だけはそわそわと落ち着きがなく、時折信長と静子が消えた襖へ視線を向けていた。
「喂,蘭,你從剛才一直東張西望,真煩人」
「おい、蘭。さっきからキョロキョロと鬱陶しいぞ」
長可看不下去,甚至是真的覺得煩惱,眯了眯眼瞪著蘭丸。
見かねた、というよりは本気で煩わしがっている長可が、若干目を細めて蘭丸を睨む。
「啊,兄上您不在意嗎!把人都趕走和女子密會,某心裡真不是滋味!」
「あ、兄上は気にならぬのですか! 人払いをして女子と密会など、某は気が気でならないです!」
「你那是妄加猜測,這種方面擔心也只是徒勞。順便說一句,你礙事,滾到別處去」
「お前がしているのは邪推だ、その方面での心配などするだけ無駄だ。ついでに邪魔だからどっか行け」
蘭丸的拚命訴求毫不見效,長可一邊用左手挖耳,一邊向蘭丸比出右手食指左右搖動的趕人手勢。
蘭丸の必死の訴えもどこ吹く風、長可は左手で耳をほじりながら右手の人差し指を蘭丸に見せ、左右に動かしながら手を払う動作をする。
「那是殿下的命令。我等只得服從。若不能服從,你就不配當小姓。」
「殿のご命令だ。我らはそれに従うのみ。従えぬとあらば、お前に小姓は務まらぬ」
蘭丸被小看惱怒起來,但堀勸阻了他。輕歎一聲後,堀向長可道歉。
小馬鹿にした態度に蘭丸は逆上するが、堀が彼を諫める。小さくため息を吐いた後、堀は長可に詫びる。
「抱歉了。蘭丸不滿殿下對靜子殿的器重。請當作孩童的私心聽一聽就算了。」
「すまぬな。蘭丸は殿が静子殿を重んじるのが気に入らぬのだ。童(わらわ)の僻みと思って聞き流してやって欲しい」
「我就知道是那樣。突然被提拔為小姓,開始覺得自己長大了,愛插一腳。討厭的理由也是因為靜子是女子吧。啊——真討厭,小鬼的嫉妒真醜陋」
「そんな所だと思ったぜ。急に小姓に取り立てられて、一人前になった気分で差し出口を挟むようになったんだろう。気に入らぬ理由も、静子が女子だからだろう。あー、やだねー、餓鬼の嫉妬は醜いぜ」
知道長可也說過一模一樣的話,慶次與才藏朝長可投以帶著諷刺的視線。
長可も全く同じことを言っていたのを知っている、慶次と才蔵は長可に生暖かい視線を向ける。
「不、不是那種理由!某只是把殿放在第一位!」
「そ、そのような理由ではござらぬ! 某は殿を一番に考えているだけでございます!」
「那麼就得服從殿下的命令了」
「じゃあ殿の命令には従わないとな」
「哼っ!」
「ぬぐっ!」
當長可和蘭丸爭鬧,準確說是長可單方面戲弄蘭丸之際,信長與靜子在討論國策。
長可と蘭丸が喧嘩、もとい長可が一方的に蘭丸をからかっている頃、信長と静子は国策を論じていた。
「……總之,我認為攻打唐國沒有必要」
「……と、いうわけで私としては唐攻めは不要と思います」
內容是天下統一後的海外政策,某種意義上是有點提早的話題。
内容は天下統一後の海外政策という、ある意味気の早い話である。
能將海外納入討論,也是因為靜子帶來了那張在戰國時代看來不相稱的、經精確測量繪成的精密世界地圖。
海外をも視野に入れた議論が出来るのも、静子が齎した戦国時代には相応しくない、正確な測量による精密な世界地図があるからだ。
因此信長瞭解到日本是多麼渺小且偏僻,歐洲又是多麼遙遠,也正確理解了那些能從遠方跨海伸手到日本的南蠻人的本事。
お陰で信長は日本が如何に小さくかつ僻地にあるのか。またヨーロッパが恐ろしく遠くにあり、遥かな土地より日本まで手を伸ばす南蛮人の手腕を正確に理解した。
「就算要忽視南蠻人珍視的香料產地,也請說明轉向位於世界盡頭的澳洲的利點」
「南蛮人が珍重する香辛料の産地を無視してまで、世界の果てにある豪州へ舵を取ることの利点を述べよ」
「請先看這個。」
「まずはこちらをご覧下さい」
對於信長的提問,靜子從世界地圖附屬的資料集中拿出一張摘要的紙遞上,上面記載了澳洲蘊藏的金、銀、銅、鐵等地下資源的埋藏量。
信長の質問に静子は世界地図付属の資料集から要約した一枚の紙を差し出す。それには豪州に眠る金・銀・銅・鉄などの地下資源に関する埋蔵量が記されていた。
一般人談到澳大利亞多會以為是農業國,實際上它也是擁有龐大天然資源的資源大國。
オーストラリアと言えば農業国と思われがちだが、実は膨大な天然資源を持つ資源国でもある。
尤其是作為製造鋁之原料的鋁土礦(ボーキサイト)蘊藏量居世界第一,某些地點礦脈甚至裸露於地表,可進行露天採掘。
特にアルミの原料となるボーキサイトの埋蔵量は世界一を誇り、場所によっては地表に鉱脈が露出しており、露天掘りが可能である。
本島與塔斯馬尼亞島是在約1642年被發現,當時的歐洲人即便發現澳大利亞,若無法取得輕且價值高的香辛料,便認為那是不毛之地。
本島とタスマニア島が発見されたのは1642年ごろだが、当時のヨーロッパ人はオーストラリアを発見しても、軽くて値が張る香辛料が取れないのならば不毛の土地だとした。
「在航海與運輸技術尚未發達的當下,香辛料固然珍貴,但終有一天會因大量生產而供需平衡、價值下降。然而地下資源若不支配出產之地,是無法獲得的。」
「航海技術や輸送技術の発達していない今でこそ、香辛料は珍重されますが、いずれは大量生産により需要と供給が釣り合い価値が下がります。しかし地下資源は、産出する土地を支配しなければ、得ることができません」
起初栽培胡椒的動機只是為了讓料理能輕易使用,然而隨著信長開始將目光投向海外,靜子的嗜好轉而具有重要意義。
気軽に料理に使えるようにしたいというのが胡椒栽培のきっかけだったが、信長が海外へと目を向け始めると、静子の道楽が一転して重要な意味を持ち始めた。
這證明了香辛料產地可以被擴大,且大量生產會使其價值降低。
それは香辛料の産地拡大と、大量生産による価値の低下を証明したことだ。
現在歐洲人視香辛料為戰略物資,但為了顯示其終將轉變為工業化所需的金屬資源,靜子在尾張完成了胡椒生產的實驗。
今でこそヨーロッパ人は香辛料を戦略物資として重要視しているが、いずれは工業化に必須の金属資源へと変遷することを示すべく、尾張での胡椒生産を成し遂げた。
因此證明了不用越過險惡的海洋向海外擴張,只要費些工夫,日本也能成為香辛料的產地。
その結果、険しい海を越えて海外へ進出しなくても、手間暇さえ掛ければ日本でも香辛料の産地になれることが証明された。
起初半信半疑的信長,看到歐洲商人高價購買靜子獻上的胡椒後,終於理解靜子的看法是正確的。
最初は半信半疑だった信長も、静子から献上された胡椒をヨーロッパ商人が高く買い取った事で、ようやく静子の意見が正しいと理解した。
「此外,大陸東部與南部是肥沃的穀倉地帶,天災也較少,能生產大量糧食。」
「また、大陸の東部と南部は肥沃な穀倉地帯です。自然災害も少ないため、膨大な量の食物が生産出来ます」
澳大利亞東南部的山地是降雪帶,但東部與南部其餘地區氣候較溫暖,是肥沃的產糧區。
オーストラリアの東南部山岳地帯は降雪地帯だが、それ以外の東部と南部は比較的温暖な気候で肥沃な穀倉地帯だ。
相對於整個大陸而言是少量的土地,但產量超過日本的總生產量。
大陸全土から見れば僅かな土地だが、生産量は日本の総生産量を凌ぐ。
現代的澳大利亞雖然為缺水所苦,但多為放任式畜牧業偏重所致,若以計畫性農業經營則不會成為問題。
現代のオーストラリアは水不足に悩んでいるが、野放図な畜産重視による弊害であり、計画的に農業を営めば問題にならない。
「那麼,米呢?」
「米はどうじゃ」
「完全可以栽培。」
「充分に栽培可能でございます」
這件事不太為人所知,但澳大利亞也有栽培稻米。
余り知られていない事だが、オーストラリアでも米は栽培されている。
不只限於水稻栽培,透過稻作、穀作、豆科牧草栽培與放牧的輪作,能從有限的土地獲得非常多的產出。
米栽培だけに留まらず、稲作、穀作、マメ科牧草栽培と放牧をローテーションすることで限られた土地から、実に多くの産物を得ることが出来る。
與日本不同,自然災害較少且有近似四季的季節感,因此澳大利亞可說是適合稻作的。
日本と違って自然災害が少なく、それでいて四季に近い季節感があるため、オーストラリアは稲作に適していると言える。
「有原住民,但只要不侵犯他們的聖地,他們會友善相待。由於他們的聖地位於貧瘠的荒野,因此我們不會與之產生接觸。」
「先住民がおりますが、彼らの聖地を侵さぬ限り友好的です。彼らの聖地は不毛な荒野部にあるため、我々が関わる事はございません」
澳大利亞有原住民族(阿伯里吉尼)。但只要不闖入他們的聖地烏魯魯(英國探險家稱為艾爾斯岩),他們通常會以友好態度相待。
オーストラリアには先住民族(アボリジニ)が居る。しかし、彼らは聖地ウルル(イギリスの探検家がエアーズロックと名付けた)に侵入しなければ、友好的な態度で接してくる。
即便膚色和外貌不同。正因如此,英國的移民最初並未與他們發生衝突。
たとえ肌の色や見た目が違っても、だ。これが理由でイギリス人の入植者は最初彼らと争いを起こすことはなかった。
但作為移民的英國囚犯漸漸變得傲慢,最終以所謂的運動狩獵之名大肆屠殺多數阿伯里吉尼。
しかし、入植者であるイギリスの流刑囚は次第に傲慢な態度を取るようになり、ついにはスポーツハンティングと称して多くのアボリジニを虐殺するにまで至った。
在新南威爾斯州的圖書館保留有日記,顯示當時的英國移民將屠殺阿伯里吉尼當作一種運動娛樂。
サウスウエールズ州の図書館には、当時のイギリス入植者がアボリジニの虐殺を、スポーツ感覚で楽しんでいた事を示す日記が残されている。
約在1600年左右約有一百萬人、七百多個部族的阿伯里吉尼,直到1937年遭受白人屠殺,塔斯馬尼亞島的阿伯里吉尼滅絕,大陸上的人數減至數萬人左右。
1600年ごろは100万人、700以上の部族がいたアボリジニは1937年まで白人による虐殺を受け、タスマニア島のアボリジニは絶滅、オーストラリア本島は数万人程度まで減った。
之後還有傲慢的白人至上主義所推行的強制同化政策,許多阿伯里吉尼被迫放棄文化直到1970年。
それ以降も傲慢な白豪主義による強制同化政策が行われ、1970年まで多くのアボリジニが強制的に文化を捨てさせられた。
「我方認為與他們友好相處較為妥當。理由有好幾項,但最重要的是與他們爭鬥毫無意義。不過切不可深度介入……保持若即若離、適度關係最為妥當。」
「私としては彼らと友好的に接する方が得策と考えております。理由は幾つかありますが、やはり一番は彼らと争う意味がない点です。とはいえ深く関わることは禁物……付かず離れず、程よい関係がもっとも良いと思います」
組織性的運動狩獵、向水源下毒、把阿伯里吉尼置於離島任其餓死等行徑,皆由英國移民所為,但靜子心中絲毫沒有白人至上主義的想法。
組織的なスポーツハンティング、水場に毒を流す、アボリジニを離島に置き去りにして餓死させるなどをしたイギリス入植者だが、静子には白人至上主義のような思考は一欠片もない。
當然也不是完全沒有私心。雖是單一部族,但若能建立與先住民族的聯繫,對與其他部族協商也會有幫助。
無論、下心がないわけではない。一部族とは言え先住民族とのコネクションを得れば、他の部族と話し合いをするのにも役立つ。
靜子所欲的,不過是肥沃糧倉地帶的農產品與地下資源。為了防止他國入侵,有必要整理出獨立國家的體裁,但靜子認為那需要時間。
静子が欲しいのはあくまで肥沃な穀倉地帯での農産物と地下資源だ。他国の侵略を防ぐために独立国としての体裁を整える必要はあるが、それには時間が必要と静子は考えていた。
「為阻止南蠻人的侵略,或許也需要軍事力量。」
「南蛮人の侵略を許さぬためには、軍事力も必要か」
「澳洲是超出我們想像的大陸。要塑造一個國家,得以十年、二十年來打算才好。」
「豪州は我々の想像を超える大陸です。国を形作るには十年、二十年と見ておいて良いでしょう」
「果真是一切從頭開始建構啊。再多時間也不夠用。」
「まさに全てを一から作るということだな。刻が幾らあっても足りぬわ」
聳肩的信長,話雖如此,臉上卻流露出與言語相反的愉悅表情。
肩をすくめる信長は、言葉とは裏腹に楽し気な表情をしていた。
在連民眾都不存在之地建立國家需要龐大的人力,但這同時也能讓他打造出心中理想的國家。
民すら居ない場所に国を築くとなれば膨大な労力を必要とするが、それは同時に自分が思い描く理想の国家を作り得ることでもあった。
「然而若不先解決眼前的敵人,在澳洲建立國家只不過是畫餅充飢。」
「しかし、まずは目の前の敵を片付けなければ、豪州での国家樹立など絵に描いた餅だ」
「哈。目前首要是武田。只不過這邊沒問題,眼下武田正按我之棋譜行動。」
「はっ。差し当たっては武田でございましょう。ですがこちらは問題ありません。今のところ、武田は我が棋譜通りに動いております」
「可靠啊。我會按照你的策略,維持不與武田交鋒的態度。我也已寫信告訴腹黑狸不要公開與武田對立。現在那狸子想必正盛怒吧。」
「頼もしいぞ。わしは貴様の策通り、武田と事を構えぬ態度を維持する。腹黒狸にも武田と表立って対立するなと文を送った。今ごろ狸はさぞかしおかんむりであろうな」
「……回應就免了。武田之後是上杉……不過目標是佐渡金山,所以對上杉採取安撫政策應該沒問題。武田是為了讓織田之名響徹日之本的祭品,理應滅亡。」
「……返答は控えます。武田の次は上杉……とはいえ佐渡金山(さどきんざん)が目的ですので、上杉に関しては宥和政策で問題ないでしょう。武田は織田の名を日ノ本に轟かせるための生け贄なので滅んで頂きますが」
「武田是祭品?若讓其他人聽到恐怕會嚇得腿軟啊。」
「武田が生け贄か。他の者が聞いたら腰を抜かす発言じゃ」
話雖如此,信長不敵地笑了起來。他已聽過靜子的說明,對於即便與武田開戰也能取勝已有算計。然而若明說出來,武田可能會提高警戒而不輕易行動。
言葉とは裏腹に信長は不敵に笑う。彼は静子から説明を受け、既に武田といくさをしても勝てる算段が付いていた。しかし、それを前面に出せば武田が警戒して動かなくなる可能性がある。
「甲州兵一人相當於尾張兵五人」,信長無論如何都要推翻那個印象。無論平時或戰時,兵力的形象都很重要。
『甲州兵1人は尾張兵5人に匹敵する』、それを覆す必要が、信長にはどうしてもあった。平時においてもいくさにおいても、兵のイメージは重要だからだ。
僅僅擁有強兵的形象,就能避免無謂的戰爭,並對敵人施加看不見的壓力。
強兵のイメージが付くだけで無駄ないくさを回避でき、かつ敵に見えない圧力を与える事が出来る。
「此前也說過,會優先給你金子。充分準備,盡情揚名吧。」
「先も言ったが貴様へ優先的に金子を与える。充分に準備し、存分に名を上げよ」
「是!」
「はっ!」
靜子在信長話語下深深鞠了一躬。
信長の言葉に静子は深々と頭を下げた。
在靜子軍中唯一未參加試食會的足滿,正於離神社稍遠的竹林中砍集竹子。
静子軍の中で唯一、試食会に参加しなかった足満は神社から少し離れた所にある竹林で竹を集めていた。
過去不太需要竹子的足滿,一旦能做出生質焦炭,竹子便成為很好的原料。但去除水分需時,於是他只要有空就伐採去晾乾。
今まで竹を必要としなかった足満だが、バイオコークスが作れるとなれば竹は良い原料になる。しかし、水分を抜くのに時間がかかるので、時間を見つけては伐採して乾燥させていた。
最理想的原料是蕎麥殼,其顆粒大小與含水量接近理想值。無需乾燥或粉碎加工,蕎麥殼可以直接投入生質焦炭的製造。
最も適した原料はそば殻で、粒の大きさや水分量が理想に近い。乾燥や粉砕加工は不要、そば殻がそのままバイオコークス製造に投入できる。
此外蕎麥殼並不被重視,通常用途僅限於改良土壤或作枕頭材料,且那些用途也並非非得使用蕎麥殼不可。
またそば殻は重要視されていない。用途としては土作りに利用されるか、枕の素材に使われる程度で、それらもそば殻でなくてはならない訳ではない。
因此蕎麥殼可說是作為生質焦炭原料的理想素材。
ゆえにそば殻はバイオコークスの原料としては理想的素材と言える。
儘管如此,僅靠蕎麥殼仍有不安之處,足滿持續研究各種材料以期能用多樣原料製造生質焦炭。
とはいえ、そば殻だけでは不安が残るため、足満は様々な材料でバイオコークスが製造出来るように研究を続けていた。
「要雇人嗎。不,伐採需時。若是我用刀很快,但其他人得準備鉈,還挺麻煩的。」
「人を雇うか。いや、伐採に時間がかかる。わしなら刀ですぐだが、他の者は鉈でも用意する必要があるし億劫だ」
足滿腰間所掛的太刀,分類上屬於大太刀,是現代科學與傳統技術融合而成的傑作。
足満が腰に下げている太刀、分類的には大太刀に入る刀は、現代科学と伝統技術が融合して出来た傑作だ。
為實戰而鍛的厚刃蛤刃製成的足滿之刀,斬擊能力足以讓任何名刀望塵莫及。除去需費心保養外,稱其為至高武器也不為過。
実践向けに刃が厚い蛤刃(はまぐりば)で出来た足満の刀は、斬撃能力ならばいかなる名刀にも追随を許さない。手入れが少々面倒な点を除けば、至高の武器と言っても過言ではない。
此外,他所配戴的籠手也運用了相同的技術。
また、彼が手に装備している小手にも同じ技術が用いられている。
對足滿來說,斬竹之事自然是小菜一碟。一揮即可斬斷一根,若並排站立則能同時砍倒數根。
当然ながら竹を斬るなど、足満にとっては朝飯前だ。一振りで一本、並んでいれば数本纏めて竹を伐採出来る。
常被誤解的是,日本刀並不好操控,外行人揮舞名刀很快就會讓它失去效用;同樣地,即便是達人若使用鈍刀,也會迅速造成刃口崩損。
誤解されやすいが日本刀は扱いが難しく、素人が名刀を振るってもすぐに使い物にならなくなる。同時に達人であろうとなまくら刀を使えば、すぐに刃こぼれを起こす。
只有技藝卓越之人親自使用名刀時,日本刀才會顯現真正的價值。也正因如此,操控日本刀需要極高的技術。
卓越した腕前を持つ者が名物を扱って、初めて日本刀は真価を発揮する。それほどに日本刀を扱うには高度な技術が必要になるのだ。
「哼!」
「ふんっ!」
足滿一聲吆喝,從根部將看似合適尺寸的竹子切斷。讓倒下的竹子順著重力倒下後挪開,再用腰間的鉈在根部劈成十字。
手頃なサイズに見えた竹を、足満はかけ声と共に根元から切断する。少しして重力に従って倒れた竹をどけた後、根側を腰の鉈で十字に割る。
這是為了防止切面積水孳生蚊蟲,同時也能讓其更快腐爛。
これは切断面に水が溜まって蚊が湧くのを防ぐと共に、早く腐らせるための措置だ。
「這樣應該差不多了。要是有小貨車就能一口氣搬完,無奈那是奢求了」
「これぐらいで良かろう。軽トラでもあれば一気に運べるのだが、それは高望みが過ぎるというものだ」
足滿回想起當年用日本刀伐竹的情景。當時正值靜子的時代,用刀伐竹雖然費了不少工夫,但伐倒後的搬運非常輕鬆。
足満は今と同じように、日本刀で竹を伐採した時の事を思い出す。当時は静子の時代だったため、刀での伐採は色々と手間がかかったが、伐採後の運搬は非常に楽だった。
切成適當長度堆上小貨車,用繩子綑好防止從貨斗掉落,便能毫不費力地運走。
適当なサイズにカットして軽トラに積み、荷台から落ちないよう縄で纏めれば苦も無く運搬できた。
(要是有像手推車那類的東西就好了……不,還是算了。被運送的模樣實在太滑稽。)
(トロッコみたいなものがあれば……いや、よそう。運ばれている姿が非常に間抜けだ)
足滿想像自己和竹子一起被手推車運走的樣子,但立刻把那念頭掃出腦海。扛起為了除生物焦炭用途以外所需的青竹後,他邁出一步。
竹と一緒に自分がトロッコで運ばれている姿を想像した足満だが、すぐにそれを頭の中から追い払う。バイオコークス用とは別の用途で必要な青竹を担いだ足満は一歩足を踏み出す。
但他的腳很快停住。就在同一時間,不知從何處飛來一支箭,插在足滿身旁的地面上。
だがすぐにその足は止まる。それと同時にどこからともなく矢が飛来し、足満のすぐ傍の地面に突き刺さった。
立刻環顧四周卻找不到射手,嘆了口氣後把插在地上的箭拔了出來。
すぐさま周囲を見回したが、射手を見つける事は叶わなかった。ため息と共に地面に刺さった矢を引き抜く。
箭的中央綁著一張紙,所謂的箭文。瞥了一眼那紙條後,足滿重新扛好竹回到神社。
矢の中央付近に紙が結ばれた、いわゆる矢文というものだった。文を一瞥した後、足満は竹を担ぎ直して神社へ戻る。
「喲,花了不少時間,是發生了什麼事嗎?」
「おや、時間がかかっておりましたが何かありましたか」
回到神社時,一個大叔級的成員,みつお一邊處理魚一邊招呼他。另一個五郎正拼命調整火候。稍遠處鶴姬和侍女柴站在一旁。
神社に戻るとおっさんずの一人、みつおが魚を捌きながら声をかけてきた。もう一人の五郎は必死になって火の加減を調整していた。少し離れた所に鶴姫と侍女の柴が控えていた。
「我是在找合適的青竹所以耽擱了。這邊也開始準備吧」
「手ごろな青竹を探していたから時間がかかった。こちらも準備を始めよう」
「拜託了」
「よろしくお願いします」
足滿對みつお的話輕輕點頭。他把扛來的青竹去枝(剪去竹枝)後切成合適長度,接著把竹節除了最底下一個之外全都挖空。
みつおの言葉に足満は小さく頷く。彼は運んできた青竹に枝打ち(竹枝を切り落とす行為)をした後、手頃な長さにカットする。次に竹の節を一番下以外全てくり抜く。
以上是足滿的工作。完成必要處理後,他走向五郎正在操控的營火,將剛才飛來的箭文丟進火裡。
これまでが足満の作業だ。必要な処理を終えた足満は、その足で五郎が調整しているたき火に近づくと、先ほど飛んできた矢文を投げ入れた。
紙和箭瞬間就著火了,但足滿並未放在心上,又回到みつお身邊。
一瞬にして文ごと矢に火が燃え移ったが、足満はさして気にもとめず再びみつおの元へ向かう。
五郎對他突然走近丟箭入火而歪頭,但認為足滿做怪事是常有的事,便專心調整火候。
近づいてきていきなり矢を投げ入れた事に首を傾げた五郎だが、足満が奇怪な行動を取るのはいつもの事と思い、火を調整する作業に集中した。
「把魚用網脂包好放進竹筒,然後烤竹就能做成青竹烤河魚」
「魚を網脂で包んで竹に入れれば、後は竹を焼くだけで川魚の青竹焼きが出来ます」
「接下來是青竹炊飯吧。如果同時間能煮出豚汁就完美了」
「次は青竹の炊き込みご飯だな。その合間に豚汁が出来れば完璧だ」
「不是豬,而是野猪啦」
「豚ではなく猪ですけどね」
「嗨——大叔和足滿先生,火準備好了喔——」
「おーい、おっさんと足満さん。火の準備が出来たぜー」
「不是大叔,是みつお啦」
「おっさんではなくみつおです」
他們一邊進行例行的互動,三人繼續做菜。基本上多是處理好材料後連竹一起烤的料理,因此花了不少時間把竹加工成可烹調的樣子。
恒例のやりとりをしつつ三人は料理を続ける。基本的に下ごしらえをした後、竹ごと焼く料理が多いので、竹を調理用に加工するのに多くの時間を費やした。
「剩下就只要烤了。みつお去看看夫人的狀況吧」
「もう後は焼くだけだ。みつおは奥方の様子でも見てやれ」
當準備完成開始烤竹時,足滿對みつお說了句話。五郎似乎也有同感,吹著口哨瞥了みつお一眼。
準備が終わって竹を焼き始めた頃、足満はみつおに言葉を投げる。五郎も同じ意見なのか、口笛を吹きつつみつおを一瞥した。
「怎麼了,好噁心喔。你又不會在打什麼主意吧?」
「何ですか、気持ち悪いですね。また何か企んではないでしょうね?」
「哼~就要裝傻到底嗎。那……夫人懷孕幾個月了?」
「ほ〜、あくまでとぼける気か。で……奥方は何ヶ月だ」
足滿一說完,みつお臉色僵住。慌忙轉向五郎,卻見他看著みつお的表情傻笑不已。
足満の指摘にみつおの顔が強ばる。慌てて五郎の方を向くと、彼はみつおの表情を見てニヤニヤと笑っていた。
明白一切都被人知道的みつお縮成一團,小心翼翼地問道。
全て知られていることを理解したみつおは、身体を小さく縮こませておずおずと尋ねる。
「……你們是什麼時候發現的?」
「……いつ気付きました?」
「從一開始就知道了。你的態度太明顯了。平常不這樣,老是特別關心夫人的話,誰都看得出來。真是的,說什麼因為孩子的……你應該先把應該做的事好好做完啊」
「最初からだ。貴様の態度はあからさまだ。何時もと違って奥方をやたら気にかけていれば、誰だって察するさ。全く、なーにが子どもだから、だ。きっちりやることをやりおってからに」
「不是的,我也是……確實覺得年齡差有點……但因為各種原因,嗯就是那樣的」
「いや、私もですね。流石に年齢差が……と思いましたがその、色々とありまして、ですね」
不知是羞愧湧上心頭,みつお用手捂住臉身體搖晃。足滿輕拍他肩膀,搖著頭說道。
羞恥心が込み上げたのか、みつおは顔を手で覆って身体を揺らした。足満はみつおの肩を軽く叩き、首を横に振りながら言葉を口にする。
「坦率點吧,みつお。」
「素直になれ、みつお」
「等一下。足滿先生應該明白的吧,(這個時代的人)把生孩子看得很重要」
「いや待って下さい。足満さんなら分かるでしょう。(この時代の人は)子を産む事を大事に思っている事を」
因為提到時代會讓五郎覺得奇怪,みつお把那部分壓低聲音反駁。但足滿只聳了聳肩,意思是不用多說了。
時代云々を言うと五郎が訝しむため、その部分だけ声を小さくしてみつおは反論した。だが、足満は皆まで言うなとばかりに肩をすくめる。
「沒什麼好害羞的。男人嘛,誰不喜歡年輕的女人」
「恥ずかしがる事は無い。男はみな、若い女が好きなのだ」
「那樣的說法會讓我聽起來像個沒節操的男人吧」
「その言い方だと、私が節操なしな男に聞こえるじゃないですか」
「不是嗎?」
「違うのか?」
「我會全力否認。不是說我討厭鶴姫啊?她對任何事都很用心,身為姬君卻不驕傲,真可說是古樸美好的大和撫子。畜牧又髒又臭又重活,她也不露怨色地來幫忙……等等,那是什麼?」
「全力で否定させて頂きます。いや、別に鶴姫さんが嫌いな訳ではないですよ? 何事にも一生懸命な姿は素敵ですし、姫君だというのに傲慢なところもありませんし、ほんと古き良き大和撫子とでも言いましょうか。畜産は汚れるし臭いし重労働なのに、嫌な顔も見せず手伝ってくれますし……って何ですか」
雖然自覺在努力辯解,但足滿和五郎卻擺出一副像是在說『多謝款待』的態度。連五郎都把手按在額頭,故意嘆了口氣。
一生懸命弁明していたつもりのみつおだが、足満と五郎はご馳走様と言わんばかりの態度だった。五郎など額に手を当てて、これ見よがしにため息を吐いていた。
「你聽到了嗎,五郎先生。這就是傳說中的『みつお的賣弄愛情』啊」
「聞きましたか五郎さん。これが伝説の『みつおの惚気』ですよ」
「我知道的,足滿。好像是織田大人問要不要把女兒納為側室,然後那位大叔盛大地炫耀一番結果就作罷的那件事吧」
「知っていますよ足満さん。確か織田の殿様から娘を側室にどうか、と言われたのに対して、おっさんが盛大に惚気てお流れになった件ですね」
「沒錯,五郎。就是在織田大人面前,差不多炫耀了半刻鐘的那件事。真讓人臉紅心跳呢」
「そうですよ五郎さん。織田の殿様を前に、半刻近く惚気たアレですよ。ほんと、暑いですよね」
「是啊,足滿。我已經被那股熱情弄得渾身大汗了」
「そうですね足満さん。わたしゃもう熱に中(あ)てられて汗みずくですよ」
像婦人們的井邊閒話一般,足滿與五郎蹲在地上悄悄議論。みつお抱頭苦惱,不知如何是好地看著眼前兩人。
奥方衆の井戸端会議さながらに、足満と五郎は地面にしゃがみ込んでコソコソと話し合う。みつおは頭を抱えて目の前の二人をどうしようか考えていた。
「所以說啊,みつお,你要好好珍惜你的妻妾」
「という訳だみつお、お前は奥方を大事にしてこい」
「對啊,老頭。再這樣下去,竹會被你那股炫愛給燒起來的」
「そうだぜ、おっさん。このままじゃ竹がおっさんの惚気で燃えてしまう」
但他也明白無論對那兩人說什麼都像對牛彈琴,根本不會聽。大大嘆了口氣後,他對足滿與五郎低聲說了『請負責料理』,然後朝鶴姫那邊走去。
だが二人に何を言っても馬の耳に念仏で、聞く耳をもたないだろうことを理解した。盛大にため息を吐いた後、足満と五郎に「料理をお願いします」と呟いて鶴姫の元に足を向けた。
「料理已經快結束了嗎,みつお大人?」
「もう料理は終わりでしょうか、みつお様」
鶴姫淡淡一笑,對みつお說了聲慰勞的話。
薄く微笑んで鶴姫はみつおにねぎらいの言葉をかける。
鶴姫本想把剛才坐著的位子空出讓みつお坐下,但當她剛要起身時,みつお把手放在她肩上阻止了她。
先ほどまで座っていた場所をあけて、そこにみつおを座らせようと思った鶴姫だが、彼女が腰を浮かせたところでみつおは肩に手を置いて止めた。
「不行的,請多多愛惜身體。我沒事的」
「駄目ですよ、もっと身体を労って下さい。私は大丈夫ですよ」
還沒等鶴姫開口,みつお已在她旁邊坐下。因為剛才在火邊,冬風的寒意還有些刺骨。
鶴姫が何か言う前にみつおは彼女の隣に腰を下ろす。先ほどまで火の元にいたため、冬風の寒さが少し骨身にこたえた。
但みつお毫不表露,替鶴姫披上了羊絨圍巾。這是用他悉心飼養的羊絨山羊所取的毛,拿到靜子的技藝街交由人編製的逸品。
しかしみつおは決して顔に出さず、鶴姫の肩にカシミアストールを掛ける。丹精込めて育てたカシミアヤギから取った毛を、静子の技術街に持ち込んで編んだ逸品だ。
(嚴格說起來並非真正的カシミア,但為省事就當作カシミア吧。不過,靜子小姐真厲害,能用一張紙就調動那麼多人)
(正確にはカシミアではありませんが、面倒ですのでカシミアにしておきましょう。しかし、静子さんは凄いですねぇ。あれだけの人間を紙一枚で動かせるのですから)
若只是みつお個人拿著毛去,十之八九會被門前拒絕。事實上,在出示靜子交來的文書之前,對方還是以冷淡的態度相待。
みつお個人が毛を持ち込んでも間違いなく門前払いされるのが落ちだ。事実、静子から渡された文を見せる前は、そっけない態度をとられていた。
從羊絨山羊的毛紡成線,再把它們染成指定的顏色。雖然有些細節差異,但像絲綢或棉布一樣手工編織,就能做出所需的成品。
カシミアヤギの毛から糸を作り、それらを指定の色に染める。細かい所の違いはあるものの、絹や木綿と同じように手で編めば求める製品は出来上がる。
說起來容易,但要分辨那些差異需要極大功夫。對職人而言,出身可疑的人帶來的東西本音上是沒人想沾手的。
口で言うのは簡単だが、その違いを見極めないといけないため、大変な労力を要する。職人からすれば素性のあやしい人間が持ち込んだものなど、関わりたくないのが本音だ。
(不過,一拿出靜子小姐的文書,態度立刻改觀。那改變真是驚人)
(しかし、静子さんの文を見せたら態度が一変しましたね。あれは凄い変わり身です)
「怎麼了,みつお大人?」
「どうなされました、みつお様?」
鶴姫歪著頭好奇地看著陷入沉思的みつお。
考え込んでいるみつおを鶴姫は首を傾げて不思議そうに見つめる。
「沒事,沒什麼大不了的。我只是突然覺得自己是個幸福的人。能有兩位可以信賴的摯友,還有這麼可愛的夫人在身旁」
「いえ、大した事ではありませんよ。私は幸せ者だなぁ、とふと思っただけです。心許せる親友が二人もいますし、こんなに可愛らしい奥方が隣にいますからね」
說著,みつお摟著鶴姫的肩,將她拉向自己。多年相處得知,鶴姫比起被當作姬來對待,更喜歡被當成一個個人來看待。
言いながら鶴姫の肩を抱くと、みつおは彼女を自分の方へ引き寄せる。数年の付き合いで知った事だが、鶴姫は姫様扱いされるより一個人として扱われる方を好む。
那是因為在戰國時代,女性常被當作政治工具或掠奪的戰利品。尤其鶴姫嬰兒時體弱,曾被親族粗暴對待。
それは戦国時代、女は政治の道具か略奪の品という扱いだからだ。特に鶴姫は赤子のころ、身体が弱かったために親族からぞんざいに扱われた。
當時的精神創傷使鶴姫產生了渴望:她希望別人認同的是她這個人本身的價值,而非她的身分地位。
そのときの精神的外傷が、鶴姫に立場ではなく、己自身に価値を認めて欲しいと望む心理が生まれた。
「請放心。我不會去任何地方。不是會在留下みつお大人後便成佛離去的。我就算咬著石頭也要活下去」
「大丈夫でございます。妾はどこにも行きませぬ。みつお様を残して仏にもなりませぬ。石にかじりついてでも生きぬいてみせます」
察覺到みつお心中所想的鶴姫,把手蓋在みつお的手上。みつお愣了一瞬,很快便露出笑容,並在摟著她的手臂上稍微用力些。
みつおの心の言葉を察した鶴姫は、みつおの手に自分の手を重ねる。一瞬、驚いたみつおだがすぐに笑みを浮かべると、肩を抱く腕に少し力を入れる。
「對不起。我竟說出把妳和她相提並論的話。這樣下去,我還是個無可救藥的丈夫呢」
「すみません。貴女に彼女を重ねるような事を言ってしまって。これではいつまで経っても、駄目な夫ですね」
「不會那樣的。みつお大人對妾來說實在是太過尊貴的主人了」
「そんなことはございません。みつお様は妾には勿体ないぐらいの主(あるじ)様でございます」
鶴姫把頭靠在みつお的肩上,表情看起來真心幸福,毫無陰影。みつお放開摟著她的手臂,將手放在鶴姫的頭上輕撫她的髮。
鶴姫はみつおの肩に頭を乗せる。表情は本当に幸せそうで、一片の翳りも感じられなかった。みつおは肩を抱いていた腕を離すと、鶴姫の頭に手を置いて彼女の頭を撫でる。
「甜得讓人想吐糖似的呢」
「砂糖を吐きそうなぐらい甘いな」
「看著的人都覺得害羞了」
「見ているこっちが恥ずかしいですな」
「別再戲弄了。好不容易的氣氛都被破壞了」
「茶化すのはやめて下さい。せっかくの雰囲気が台無しです」
對於足滿和五郎的戲謔,みつお帶著嘆息這麼說道。
足満と五郎の茶化しに、みつおはため息交じりに言った。
響應本願寺請求的甲斐國武田信玄,近來心情不佳。他心中已有要剿滅織田家的盤算,而各國也正在按他的構想行動。
本願寺の要請に応じた甲斐国の武田信玄は、このところ機嫌が悪かった。彼の頭の中には織田家を潰す算段ができており、彼の思い描いた通りに各国が動いていた。
在一切都照他計畫推進的局勢中,卻有一個存在沒有如他所願地行動。
全て己の思惑通り進んでいる情勢の中で、ただ一つ思い通りに動かない存在があった。
與他的盤算不符的人,是靜子。
彼の思惑から外れる人物、それは静子である。
與其說她不按他的計畫行動,不如說他覺得被她從天而下俯瞰並先行一步。根本就不在同一個舞台上,甚至覺得自己好像被她戲弄。
思惑通りに動かないというより、こちらを天から俯瞰し先回りされているように感じた。そもそもが同じ土俵に立てておらず、良いように弄ばれているような気さえする。
(近衛家的姑娘行動難以預料。若有人說一個小姑娘能做什麼那也無可厚非,但總有些地方讓人介意)
(近衛家の娘は動向が読めぬ。小娘一人に何が出来るかと言われればそれまでだが、何かが引っかかる)
難以想像僅憑一名女子就能顛覆自己所布的局面,但多年征戰養成的直覺與經驗不斷警告要提防靜子。
たかが女子一人に自分の描く譜面が覆されるとは思えないが、長年のいくさで培った勘と経験が静子に注意せよと警鐘を鳴らす。
因此為求安心而蒐集情報,卻無法如願。外圍的消息雖能取得,關鍵部分卻像被挖空般遺漏。
ゆえに安心を得るため情報を集めているが、これが思うように集まらない。外枠の情報は集まっても肝心の部分の情報が、ぽっかり穴が開いたように抜け落ちる。
有時看似擔任要職或獨占祕密技術,但等技術達到一定軌道便毫不吝嗇地交給信長。
重要な立場を担っていたり、秘匿技術を独占していたりするかと思えば、技術がある程度軌道に乗れば信長に惜しげもなく引き渡している。
如同五里霧中,看不清前路,信玄感到焦躁。
まるで五里霧中であり、先行きの見通せぬ状況に信玄は苛立っていた。
信玄打算換個角度,向靜子以外的周遭武將蒐集情報,然而這也不奏效。
視点を変えようと思い、信玄は静子ではなく周囲の武将たちから情報を得ようとした。しかし、それもうまく行かなかった。
首先慶次的行為看起來不像個家臣:無任何報備便離家數日,回來後也只是整日吃喝。
まず慶次は家臣とも思えぬ行動ばかりが目に付いた。何の連絡もなく数日家を空けたと思えば、帰ってきても終始飲み食いしているのみ。
連信玄及其他武田家家臣都感到難以置信的,是在靜子被信長召去城中時,慶次卻與曾交好之女性在港町遊蕩的情報。
信玄も含めて武田家家臣も信じられないと思ったことは、静子が信長に呼ばれて城へ向かっている時、慶次は情を交わした女と港街を練り歩いていたとの情報だ。
明明是馬廻眾卻完全不盡職,受護的靜子也對此緘口不言。信玄等武田家家臣對此是如何的主從關係感到苦惱,不在話下。
馬廻衆なのにまるでその責務を果たさない、警護される静子自身がそのことについて何も言わない。どういった主従関係なのだと、信玄以下武田家家臣は頭を抱えたのは言うまでもない。
還查了其他人,才藏幾乎不離靜子,而且和長可一樣基本不接受邀約。無論是有利於自身的事或會危及身分的提議,他都一概不聞。
他にも当たったが才蔵は静子から殆ど離れない上に、長可と同じで基本誘いに乗らない。己を利する話も立場を危うくする話も、どちらも等しく聞く耳を持たない。
至於長可,怒點莫測,明明還在笑著卻忽然情緒大變,甚至在某些情況下殺了對方。
長可に至っては逆鱗が何処にあるのか判らず、それまで笑っていたのに突如豹変し、場合によっては相手を殺めた。
比那兩人更難以溝通的是足滿;無論老幼男女,凡是試圖探入他內心的人都會被例外地殺害。
二人に輪をかけて話を聞かないのが足満だ。何しろ老若男女を問わず、己の内面に踏み込まんとする者は例外なく殺める。
(不明白她如何駕馭這些性格各異的將領。對於那麼多意志堅強之人,她用的是何種手段)
(異色揃いの武将たちを御せる理由が分からぬ。あれだけ我の強い者たちを、どのような手法で操っておるのだ)
靜子沒有可以作為褒賞分給部下的知行地。
静子には配下に褒章として分け与えられる知行地がない。
而且看不出信長會給予知行地。正因如此,在保有戰國時代初期思維濃厚的武田家,無法理解靜子所做之事。
また、信長からも知行地が与えられる様子はない。だからこそ、戦国時代初期の思考が強い武田家では、静子のしている事が理解できない。
要理解靜子,必須先理解信長所為之事。
静子の事を理解するには、信長がしている事を理解出来なければならない。
織田家不同於他家,賜給家臣的不是知行地而是地位與金錢。也就是推崇所謂貨幣經濟,雇傭以金錢往來為主,而實踐得最徹底的就是靜子。
織田家は他家と違い家臣に与えるのは知行地ではなく立場と金銭だ。いわゆる貨幣経済を推奨し、雇用も金銭のやり取りで行われている。それを一番実践しているのが静子である。
然而僅此仍不足以吸引周遭人心,必須打造一套讓人覺得拿到能買到產物的金錢比擁有生產物的知行地更「划算」的機制。
しかし、それだけでは周囲はついてこない。物を生み出す知行地よりも、産物を贖える金銭を受け取る方が『お得だ』と思わせる仕組みを作らなくてはならない。
為此開發土地、興起各種產業並使其發展,創造市場物產充盈的狀態。然後將所得的金錢集中起來,分發給家臣,讓他們享受奢華。
その為に土地を開発し、様々な産業を興して発展させ、市場にものが溢れる状態を作り上げる。そうして得られた金子を一旦集め、家臣たちにばらまいて贅沢をさせる。
家臣們用收到的金錢購買物品、維持生活並享受奢侈。
家臣たちは受け取った金子で物品を購入し、生活をし贅沢もする。
如此一來,人們便會認為與其面對大自然耕作土地、等待受運氣左右的收成,不如獲得穩定支付的薪資來得輕鬆。
そうすると自然を相手に土地を耕し、運に左右される収穫を待つよりも、安定して支払われる賃金を得る方が気楽であると考えるようになる。
若能去除既有觀念以全新眼光看待或許能理解,但自祖父之代以來家中紛爭、家臣互相爭鬥頻繁的信玄始終無法理解靜子的盤算。
固定観念を取り払い真っ新な目で見れば理解も出来ようが、祖父の代からお家騒動や家臣同士の諍いが多かった信玄には、静子の思惑がどうしても理解出来なかった。
「無論多微小的事都行,盡全力調查織田」
「どんな些細な事でも良い。全力で織田を調べ上げろ」
感到比現在更需要蒐集情報的信玄,向家臣發出催促。
今以上に情報収集が必要だと感じた信玄は、家臣に発破をかけた。
「啊哈哈哈,真是變得相當有趣呢」
「あっはっはっ、中々愉快な事になっておるな」
聽完由軒猿傳來的靜子報告,謙信開懷大笑,這反應與聽了間諜報告而面露愁色的信玄正好相反。
軒猿から上がった静子の報告を聞いて、謙信は豪快に笑った。間者の報告を聞いて渋面を作った信玄とは正反対の反応だった。
「這不是可笑之事,お実城大人。織田正穩步殲滅敵人」
「笑い事ではございません、お実城様。織田は着々と敵を潰しております」
景綱清了清喉嚨提出苦言。他頭疼也不是沒有理由。曾一度陷入存亡危機的信長,如今反而開始剿滅加入包圍網的國人們。
景綱が咳払いをしながら苦言を呈する。彼が頭を痛めるのも無理はない。一時は存亡の危機に立たされた信長だが、現在は逆に包囲網に参加した国人たちを潰しにかかっていた。
六角氏已滅亡,淺井氏大部分支城已陷落,朝倉氏甚至連金ヶ崎城也已失守。延曆寺則有在坂本的光秀把守,連復興的跡象都沒有。
六角氏は滅亡、浅井氏は既に殆どの支城が落とされ、朝倉氏は金ヶ崎城まで落ちている状態だ。延暦寺は坂本にいる光秀が目を光らせており、再興の気配すらない。
本願寺雖然石山本願寺尚未失守,但一向一揆雖曾數度襲擊織田軍,因為過於零星效果薄弱。
本願寺は石山本願寺こそ落ちていないが、一向一揆衆が何度か織田軍に攻撃を仕掛けるものの、散発過ぎて効果は薄かった。
「沒辦法啊。明明高舉反織田,卻仍未能團結起來,能不讓人嗤之以鼻嗎」
「仕方なかろう。あれだけ反織田を掲げておきながら、未だに纏まらないのだからな。これを笑わずにおられようか」
「……對此我無可奉言。但光是坐視不理是不會有任何作為的」
「……それについては何も申しませぬ。しかし、手をこまねいていては始まりますまい」
聽了景綱的話謙信咧嘴一笑。他也不認為信長會就此擊破包圍網。
景綱の言葉に謙信はニヤリと笑う。彼もこのまま信長が包囲網を打ち破るとは思っていなかった。
「若甲斐的巨獸武田一出手,織田軍必然不堪一擊。我等曾與之交鋒,深知其強大」
「甲斐の巨獣・武田が動けば、織田軍などひとたまりもないでしょう。彼らの強さは、刃を交えた我々がよく知っておりますゆえ」
武田與上杉、以及北條時而結盟時而交戰。武田和北條的強悍令人刻骨銘心。
武田と上杉、そして北条は時に同盟を結び、時にいくさをする関係だ。武田や北条の強さは骨身に染みている。
不熟悉武田戰法的織田軍,面對不到十分之一的武田部隊就會被擊潰,這是顯而易見的。
武田の戦いを知らぬ織田軍では、10分の1の武田軍に蹴散らされるのが目に見えていた。
「真是如此嗎?」
「果たしてそうかな?」
但是謙信對景綱的想法生起疑問;反過來說,正因為對事物了解過多,或許反而存在被忽略的盲點,這是他近來開始思索的。
だが、謙信は景綱の考えに疑問を抱いた。逆を言えば知りすぎているからこそ、見落としている盲点があるのではないか、と彼は最近思うようになった。
近在眼前反而看不見,與武田軍的戰事過於熟悉,可能因此忽略了變化和機會。
灯台下暗し、武田軍とのいくさが余りにも身近過ぎるが故に、変化や機会を見落としている可能性があった。
「我們和武田交手多次。正因如此,才會有時覺得自己判斷錯誤。或許織田軍會刺中我們想不到的盲點,並擊潰武田軍也說不定。」
「我々は武田と何度もやり合った。だからこそ、見当違いをしていると思う時がある。もしかしたら、織田軍は我々では思いもよらぬ盲点を突き、武田軍を打ち破るやもしれぬぞ」
「不會吧,那怎會?」
「まさか、そんな」
景綱這麼說著卻無法完全否定。信長憑著近乎惡運的強運,擊破本應將他滅亡的織田包圍網,雖然付出巨大損失卻仍然倖存。
言いつつも景綱は完全に否定できなかった。信長は悪運ともいえる強運で、本来なら滅んで然るべき織田包囲網を切り崩し、多大な損害を出しつつも生き延びた。
景綱不禁想到,也許這次也會發生讓人想不到的事情。
今回もまさか、と思う事が起きるかも知れないと景綱は考えてしまった。
「當然,也有非常容易敗北的情況。但織田公是個帶有惡運的人。而且還有靜子殿的存在。我不相信她會袖手旁觀。」
「無論、いともたやすく負ける場合もある。だが、織田殿は悪運の持ち主だ。それに静子殿の存在もある。彼女が大人しくしているとは思えぬ」
「她真的有那樣的能力嗎?」
「果たしてそこまでの力があるのでしょうか」
「也許有,也許沒有。但軒猿說她最近活動得很積極。如果她真心打算對武田作戰,我們就無法預測結局了。」
「あるやもしれぬし、ないやもしれぬ。だが、最近の彼女は活発に活動していると軒猿が言うておる。もし、彼女が本気で武田戦を考えているのなら、わしらは結末が予想出来なくなる」
謙信對於在萬事上都展現無可比擬成果的靜子,唯獨在軍事上沒有插手這點感到違和。
万事に比類なき成果を示してきた静子が、こと軍事に関してだけ手出しをしていない事に謙信は違和感を覚えていた。
謙信認為,擁有那等睿智的人不可能在軍事上一無所知。
あれほどの叡智の持ち主が軍事に付いては疎いと言うことはあり得ない、そう謙信は考えた。
「無論如何,織田大舉行動時,其起點很可能就是靜子殿。武田與北條大概已知道她的存在,但今後能收集到多少關於她的情報將成為勝負的關鍵。」
「いずれにせよ、織田が大きく動くとき、起点は静子殿になるであろう。武田も北条も静子殿の存在は既に知っているだろうが、今後は彼女の情報をどれだけ集められるかが勝負の鍵となろう」
「哈,命令軒猿凡事即使是瑣碎也要回報。」
「はっ、軒猿には些細な事でも報告を上げるよう命じます」
「如果能用『他們』就能立刻接觸,但逞強行事會錯失良機。」
「『彼ら』が使えればすぐに接触はできるだろうが、無理を押しては機を失う」
謙信回想起靜子在京時曾讓人靠近她的那對二人。雖可在岐阜或尾張佯裝偶遇與她碰面,但也有引起周遭多餘戒心的危險。
静子が京にいるとき、彼女に近づけさせた二人組を謙信は思い返す。岐阜か尾張で偶然を装って合わせることが可能だが、周囲に余計な警戒心を抱かせる危険もある。
「這個……那個……」
「それが……その……」
聽了謙信的話,景綱難得露出吞吞吐吐的態度。
謙信の言葉を聞いた景綱が、珍しく歯切れの悪い態度をとる。
「怎麼了?『他們』出什麼問題了嗎?」
「どうした。何か『彼ら』に問題でも起きたのか」
「……那個,是這樣的。那傢伙說要『去看看靜子殿』就往尾張去了。幾日前的事。」
「……あの、ですね。奴が『静子殿を見物してくる』と申して、尾張に向かってしまったのです。数日前に」
「———噗、哈哈哈哈!真是有趣的事。那傢伙看了靜子殿大概觸動了某根弦。放著吧,他遲早會自己回來的。」
「——————ぷっ、ふぁっふぁっふぁっ! 何とも愉快な話じゃ。奴は静子殿を見て琴線に触れる何かを感じたのだろう。放っておけ、その内ひょっこり帰ってくるであろう」
起初謙信像被驚到般愣住,接著卻破顏大笑。看著這樣的謙信,景綱深深嘆了口氣。
初めは鳩が豆鉄砲を食ったような謙信だったが、一転破顔し大笑した。そんな謙信を見て、景綱は深いため息を吐いた。
試食會在熱鬧中結束。途中為了調停柴田和秀吉的爭執用了酒,之後變成即席宴會,姑且不論這點。
試食会は大盛況の内に終了した。途中、柴田と秀吉の喧嘩を仲裁するために酒を使った後、即席の宴会になった事に目をつむれば、だが。
踏入十二月下旬,沒有大戰,開始準備過年,久治郎前來造訪靜子。靜子歪著頭想著是否曾下過訂單,久治郎便拿出一樣東西給她看。
12月も後半にさしかかり、大きないくさもないため正月の準備に入った静子の元に久治郎が訪ねてきた。何か注文していたかな、と首を傾げる静子に久治郎はあるものを見せる。
「您忘了嗎,靜子大人。雖然是很久以前了,您不是命令要從南蠻人那裡收下這個嗎?」
「お忘れですか、静子様。随分と前ですが、南蛮人よりこれを受け取るようお命じになられたではございませんか」
久治郎一如往常帶著腹中有計的傻笑,舉起的東西是一個鳥籠。不只鳥籠,腳邊還有幾個裝獸類的小型籠子。
何時もの如く腹に一物あるようなニヤニヤ笑いで久治郎が掲げたもの、それは鳥かごだった。鳥かごだけではない、獣を入れる小型の檻が幾つか足下にあった。
靜子終於想起久治郎帶來的是什麼,她向對方道歉忘記了此事,準備引他入客廳。
ようやく静子は久治郎が何を持ってきたのか思い至った。忘れていた事を謝罪して彼を応接の間に通そうとする。
「不不,您看起來很忙,只要給我報酬我便告辭。」
「いやいや、お忙しいそうですし、お代さえ頂戴すればあっしはお暇いたします」
然而久治郎一邊拍著額頭一邊告辭。靜子想著年底前生意應該多,便沒多想,照他說的吩咐彩去拿錢來。
しかし、久治郎は額をペチペチ叩きながら辞する。正月前だし商売の話が多いのかな、と思った静子は深く考えず彼の言うとおり、代金を持ってくるよう彩に命じた。
「那麼我就先告辭了。如有需要請務必找我。」
「それでは、あっしはこれにて。何かお入り用でしたら、ぜひともあっしにお声掛け下さい」
給了比約定多一點的錢後,他高興地離去了。幾乎同時,維特曼等人跑來到靜子身邊。
約束の金額に少し色をつけて渡すと、彼は上機嫌で去って行った。それと入れ替わるようにヴィットマンたちが静子の元に駆けつけてくる。
平常來到靜子身邊會撒嬌,但這次似乎馬上察覺到新動物的氣味,對著籠子低聲嗥叫表示警戒。
静子の元にやってくると普段は甘えるのだが、今回はすぐに新しい動物の臭いに気付いたのか檻に対して低いうなり声を上げて警戒していた。
「喂喂,沒事的。而且這些是重要的動物,不能弄傷牠們。」
「こらこら、大丈夫よ。それに、これは大事な動物なのだから、傷つけちゃ駄目よ」
摸過維特曼等人一番後,靜子與彩、蕭三人把籠子搬進屋內。兩人對這些初次見到的動物退縮了,但其實靜子也是第一次見到。
ヴィットマンたちを一通り撫でた後、静子は彩と蕭の三人で檻を家の中に運び込んだ。初めて見る動物たちに、二人は腰が引けていたが実は静子も見るのは初めてだった。
原因很簡單:靜子從歐洲商人那裡買來的動物,都是在靜子那個時代已經滅絕的物種。
理由は簡単だ。静子がヨーロッパ商人から購入した動物は、静子の時代には絶滅してしまった動物たちだからだ。
首先是因過度捕獲於十九世紀滅絕的大海雀。外表類似企鵝,但被分類為大型海鳥。
まずは乱獲によって19世紀に絶滅したオオウミガラスだ。外見がペンギンに似ているが大型の海鳥に分類される。
全長超過八十公分,是海雀類中體型最大的。形似南極的企鵝,但原本大海雀曾被稱作「企鵝」。
全長が80センチ以上と、ウミスズメ類の中でもっとも大きな身体を持つ。南極にいるペンギンと似ているが、本来はオオウミガラスがペンギンと呼ばれていた。
然而在大海雀滅絕後,南極的企鵝才開始被稱為企鵝。
しかし、絶滅してしまった今、南極ペンギンがペンギンと呼ばれるようになった。
牠對人類的警戒心很低,甚至還會主動接近人類,充滿好奇。把牠從籠中放出來餵食時,牠毫無戒心地走向靜子。
人間に対する警戒心が薄く、それどころか自ら人間に近寄るほど好奇心が旺盛だ。餌を与えるために檻から出すと、無警戒に静子に近づいてきた。
雖覺得十分像企鵝又可愛,但考量環境變化會造成壓力,便適度控制互動,只給予餵食。
ペンギンそっくりで可愛いと思ったが、環境の変化がストレスを与えている事を考慮し、構い過ぎない程度に抑えて餌を与えた。
在檢查並餵完大海雀後,接下來是同樣因為過度捕獲於十九世紀滅絕的海貂。
オオウミガラスのチェック及び餌やりを終えると、次は同じく乱獲によって19世紀に絶滅したウミベミンクだ。
與大海雀不同的是,前者是被捕作食用,而海貂則是以毛皮為目的被捕。
オオウミガラスと違う点は、オオウミガラスは食用に捕獲されていたが、ウミベミンクは毛皮が目的で捕獲された。
美洲原住民也為了毛皮和肉而狩獵水貂,但來自歐洲的殖民者更為熱衷,為了補足毛皮需求持續濫捕。
アメリカ先住民族も毛皮と肉を求めてミンク狩りをしたが、ヨーロッパからの入植者がより熱心で毛皮の需要を補うために乱獲し続けた。
牠們警戒心高、敵意外露,不過海濱水貂並非特別警戒,整個水貂類普遍有這種傾向。
こちらは警戒心が高く、敵意むき出しだがウミベミンクが特別警戒心が強いわけではなく、ミンク種全般にその傾向がある。
靜子從樣子判斷牠們餓了,便把剩下的魚丟進籠子。瞬間,海濱水貂衝向魚,很快就吃光了。
様子から空腹だと察した静子は、残っていた魚を檻に放り込む。途端、ウミベミンクは魚に殺到し、あっという間に平らげた。
吃飽後似乎很滿足,就那樣躺下開始睡覺。是大膽還是愚笨令人猶豫,但既然溫順,便把牠們像大海雀一樣運到飼育地。
満腹したら満足したのか、そのまま横になって眠り始めた。大胆なのか、それとも間抜けなのか悩む所だが、大人しいのならこれ幸いと彼らもオオウミガラスと同じく飼育地に運ぶ。
最後是滅絕動物中最有名的鳥──旅鴿。牠曾是鳥類中數量最多的,一說有五十到六十億隻。
最後が絶滅動物の中でもっとも有名な鳥であるリョコウバトだ。鳥類の中で最も個体数が多く、一説には50から60億匹いたと言われている。
然而,旅鴿也與前兩種一樣,因歐洲人與美國人的濫捕在20世紀初滅絕。
しかし、リョコウバトも先の二種と同じく、ヨーロッパやアメリカ人による乱獲が原因で20世紀初頭に絶滅した。
旅鴿的肉被稱為非常美味,在都市也以高價交易。加上美國容易取得火藥原料硝石、硫磺與木炭。
リョコウバトの肉は大変美味と言われ、都会でも高い値段で取引された。加えてアメリカは火薬の原料である硝石・硫黄・木炭が容易に入手できる環境だった。
因此,當牠們成群遮天蔽日時,對著牠們開槍,旅鴿和鉛彈就會一起落下。
そのため、その影で昼間を陰らせる程の群れを成す彼らに向かって銃撃するとリョコウバトと鉛玉が落ちてきた。
之後重複利用彈殼繼續射擊,就只需消耗火藥便能狩獵旅鴿。
後は弾を再利用して撃ち続ければ、火薬を消費するだけでリョコウバトを狩ることが出来た。
旅鴿雖數量龐大,但繁殖力弱,少數個體無法繁衍,而且因數量曾經很多,反而不易發出保護的聲音,在此期間連雛鳥也持續遭到濫捕。
莫大な数がいたリョコウバトだが、繁殖力は弱く、僅かな個体だけでは繁殖が出来ず、また数が多かった事が災いして保護する声が上がりにくく、その間にヒナまで乱獲され続けた。
19世紀末,曾遮天蔽日的旅鴿消失後人們終於開始採取保護措施,但已傾斜的天秤無法回復。
19世紀末期、それまで空を覆うほどいたリョコウバトの姿が消えたことで、ようやく保護に乗り出したが、既に傾いた天秤を戻すことはできなかった。
數量進一步減少使旅鴿價值上升,因而偷獵者不斷,20世紀初野生個體被獵人射殺後,野生種旅鴿滅絕。
更に数が減った事でリョコウバトの価値が高まり、それに応じて密猟者が後を絶たず、20世紀初頭に野生種がハンターに撃ち落とされた事で、野生種のリョコウバトは絶滅した。
雖然動物園裡曾有少數旅鴿被飼養,但在野生種滅絕數十年後,最後一隻在動物園的個體因老衰死亡,旅鴿此種因此滅絕。
動物園で僅かながら飼育されていたリョコウバトだが、野生種が絶滅してから数十年後、最後の個体が老衰で死んだ事でリョコウバトという種は絶滅した。
「日本也是如此,毫不考慮後果地狩獵真的好嗎?」
「日本もそうだけど、後先考えず狩るのはどうなのかな」
個體數多未必就是幸運。會出現「少一隻又怎樣」的心態,因此容易輕率地狩獵。
個体数が多い事が幸せとは限らない。一匹減った所で、という心理が働いて安易に狩猟してしまう。
昔日本曾有成群朱鷺遮天蔽日,江戶時代因數量過多以致田畑被破壞,有農民上呈申請獵捕朱鷺的記錄。
かつて日本には空を覆うほどトキがおり、江戸時代にはトキの数が余りに多すぎて田畑が荒れてしまうため、百姓がトキの狩猟許可を上に嘆願した記録もある。
然而進入明治時代後,不到一百年便滅絕。
しかし、明治時代に入ってから僅か100年足らずで絶滅してしまった。
為了羽毛的狩獵、環境劇變、農藥導致的汞中毒等多重因素疊加,導致日本的特有種朱鷺在21世紀初滅絕。現存的朱鷺只有中國的族群。
羽目的の狩猟、環境の激変、農薬による水銀中毒など、様々な要因が重なって21世紀初頭に日本固有種のトキは絶滅した。現在残っているトキは中国のトキだけだ。
「日本的橡實也可以……嗎?」
「日本のどんぐりでも大丈夫……か?」
試著給了搗碎的橡實,旅鴿並不在意,便開始狼吞虎嚥地吃起飼料。
砕いたドングリの実を与えてみたが、リョコウバトは特に気にせず餌に食らいついた。
旅鴿的食物為樹果與種子,牠們會為了尋找食物豐富的地區而遷徙。除了橡實外,還吃草木的種子與果實、小型昆蟲以及蚯蚓等。
リョコウバトの餌は木の実や種子で、餌が豊富にある地域を求めて移動した。ドングリ以外にも草木の種子や実、小さな昆虫にミミズなども食べる。
由於美洲大陸氣候多樣,牠們能在食物豐富的區域之間遷徙。
アメリカ大陸の気候は多種多様だったため、餌が豊富な地域を移動して回ることが可能だった。
「……暫且先做生態觀察吧」
「……とりあえず生態観察でもするか」
靜子對旅鴿的肉有些好奇,但不想浪費花大錢買來的旅鴿,便克制住沒有下手。
少しだけリョコウバトの肉が気になった静子だが、大金を払って購入したリョコウバトを無駄に減らしたくないので自重した。