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戦国小町苦労譚

千五百七十一年 十二月下旬

在章魚燒、鯛魚燒與大判燒的大型試吃會之前,靜子前往她掌握權益的港街。

たこ焼きとたい焼き、大判焼きの大試食会を前に、静子は自身が権益を握る港街へ足を運んだ。

靜子擁有牡蠣與海苔養殖,以及部分停泊設施的管理營運權,能向停泊的船舶徵稅。

静子は牡蠣や海苔養殖、また一部の係留施設を管理・運営する権利を持ち、停泊する船舶から税を徴収できる身だ。

然而靜子將大半稅收再投資於養殖場擴張,因而最初只養牡蠣的養殖項目,已成功擴展到蛤蜊(アサリ)、扇貝、鮑魚與栄螺(サザエ)等多樣化經營。

しかし、静子は税収の大半を養殖場の拡張へと再投資している。その甲斐もあって当初は牡蠣だけであった養殖対象は、アサリにホタテ、アワビ、サザエと手広く扱うことに成功していた。

順帶一提,屬淡水生的蜆(シジミ)也另設養殖場開始生產。

余談だが淡水生の貝であるシジミも別途養殖場を設けて生産に乗り出している。

在食用以外的品種方面,也伸手涉足以珍珠貝聞名的阿古屋貝(あこやがい),開始以珍珠養殖來穩定供給。

食用以外の品種では真珠貝として有名な阿古屋貝(あこやがい)にも手を伸ばし、真珠の養殖による安定供給を開始した。

原本被看作大型食用貝的栄螺與鮑魚因飼育困難屢屢失敗,但蛤蜊、蜆與扇貝已見養殖可行,能朝穩定供應展開。

大型の食用貝として見込んだサザエとアワビは飼育が難しく失敗の連続だが、アサリやシジミ、ホタテは養殖の目処が立ち、安定供給に向けてスタートが切れた。

作為資金來源的珍珠養殖因亦使用天然阿古屋貝,造成珍珠品質有差異,但收穫了不少大顆的珍珠。

資金源として見込んだ真珠養殖は天然の阿古屋貝も用いたため、真珠の質にばらつきがあったが大粒の物を多く収穫できた。

若能將貝統一養殖,來年或後年便有望穩定生產顆粒均一的8毫米珍珠。

貝自身も揃えて養殖する来年や再来年には、粒の揃った8ミリサイズの真珠を安定生産できるようになる見込みだ。

「這次甲級的珍珠很多呢」

「今回は甲の真珠が多いね」

「是啊,今年的珍珠似乎做得不錯」

「へいっ、今年の真珠は出来が良いようです」

聽到靜子的話,負責珍珠養殖的親方一邊抓後腦一邊勉強笑著應對。

静子の言葉に真珠養殖の頭である親方が、後頭部をかきながら愛想笑いをする。

珍珠會依大小分等級。靜子把直徑8毫米的定為甲、7毫米為乙、6毫米以下為丙等級。

真珠はその大きさでグレードが分かれる。静子は上から直径8ミリの物を甲、7ミリを乙、6ミリ以下を丙ランクとして定めた。

雖然有時能取得超過8毫米的大粒珍珠,但9毫米以上視為規格外,不列入甲級而定為最低等的丁。

8ミリを超える大粒の真珠が得られる事もあるが、9ミリ以上は規格外として甲ではなく最低ランクの丁とした。

其一原因是欲獲得9毫米以上珍珠需延長生育期間,貝的死亡風險會暴增,變成高風險高報酬的賭博。

これは9ミリ以上の真珠を得ようとすると生育期間を延ばす必要があり、貝の死亡リスクが跳ね上がりハイリスクハイリターンの博打になってしまう事が一点。

即便那賭博贏了,極限也大約只能到十毫米左右,整體而言風險與收益不成正比。

その博打に勝利しても10ミリ程度が限度であり、おおよそリスクに見合わないのが一点。

基於這些考量,目的是抑制從事珍珠養殖者追求更大尺寸的意識本身。

これらの事から真珠養殖に携わる人たちが大きいサイズを得ようとする意識自体を抑制する狙いがあった。

生產出的珍珠會依等級分配用途。

生産された真珠はグレードによって用途が分けられる。

甲乙等上位用作珠寶飾品,而丙以下的下位等級則作藥用(珍珠為優良的鈣質,磨成粉的散劑可作退熱藥)或化妝品等材料。

甲乙の上位ランクは宝飾品として装飾用に用いられるが、丙以下の下位ランクのものは薬用(真珠は良質のカルシウムであるため粉末にした散薬が解熱剤として用いられる)や化粧品などの材料とした。

阿古屋貝本身也適合食用,但為防止過度捕撈,原則上禁止捕獲。

また阿古屋貝自身も食用に適しているのだが、濫獲を防ぐため原則として捕獲を禁止した。

在取出珍珠時作為副產品得到的貝柱,例外地允許由養殖業者與周邊居民,以及屬於靜子等管理方的人食用。

真珠を取り出す際に副産物として得られる貝柱は例外的に養殖業者と周辺住民に加えて、静子達管理サイドに属す者のみが食すことを許された。

除貝柱外的肉片,去掉內臟後部分會再利用為新珍珠的核材,剩餘的有機物則加工成肥料。

貝柱以外の肉片は内臓を除く一部を新しい真珠の核材として再利用し、余った部分も有機物は肥料に加工する。

阿古屋貝的貝殼本身也帶有美麗的珠光,只要將貝殼磨光,就能在京或堺作為美術工藝品而受歡迎。

貝殻自身にも美しい真珠質を持つ阿古屋貝は、貝殻さえも磨けば美術工芸品として京や堺でもてはやされた。

「好,算完了。扣掉稅大概就是這個價錢了」

「うっし、計算終わり。税を引いて大体これぐらいのお値段だね」

不只珍珠,所有從事養殖的人在養殖未上軌道、品質與數量未穩定之前,都不被允許擁有販路。

真珠に限らず養殖業に従事する者は、養殖が軌道に乗り質・量が安定するまで販路を持つことを許されない。

這是為了防止將不達規定品質的物品流入市場,從而讓人形成養殖品劣於天然品的既定觀念,亦是為了維護靜子所管理的整個街的評價。

これは規定の品質に満たない物を市場に流した結果、養殖ものは天然ものに劣る二流品であるという固定観念を抱かれるのを防ぐためであり、また静子が管理する街全体の評価を保つためでもあった。

養殖業者終究是人,若沒有飯吃會挨餓。因此在養殖穩定之前,採取由靜子全部買下、篩選後交由御用商人批發的方式。

養殖業者も人間である以上は飯の種が無ければ飢えてしまう。そこで養殖が安定するまでの間は、全てを静子が買い上げて選別し御用商人に卸すという方式を取っていた。

只有累積穩定生產實績的業者,才能脫離靜子的掌控而擁有獨自的販路。

安定した生産実績を積み上げた業者のみが、静子の手を離れ独自の販路を持てるようになる。

即便如此,完全自由的獨立販路仍不被允許,只能透過信長所管理的批發組合進行買賣。

とはいえ、完全に自由な独自販路は許可されず、信長が管理する卸組合を通してのみ売買が可能となっていた。

「喔,多謝您了」

「おお、ありがとうごぜえます」

靜子將裝著金子的木箱交給親方,親方則把每顆珍珠以棉布包好,並將經過防止外壁互相接觸設計的木箱交給靜子的兵士。

静子が金子の入った木箱を真珠の親方に渡し、代わりに親方は一つ一つの真珠を木綿で包み、外壁や互いに接触しないよう配慮された木箱を静子の兵に渡していた。

「啊,說起來前些日子,附近有個小孩撿到一塊特別臭的石頭。聽說靜子大人您收集那類石頭,不知還需要嗎?」

「あ、そう言えば先日、近所の小僧が、何でもやたらくせぇ石を拾ったとか。確か、静子様はそういった石を集めておられると伺いましたが、まだお入り用ですか?」

在大約裝了八成時,親方突然想起一件事低聲說道。

8割がた積み終えた所で、ある事を思い出した親方がふいに呟いた。

「……想聽聽更詳細的情況,若有現物會更方便」

「……ちょっと詳しい話を聞きたいな。出来れば現物があると助かる」

「好,知道了。喂!叫幫忙的那小子和他,把那塊他撿到的臭石頭拿來!」

「へい、わかりやした。おい! 助んとこのせがれと、あいつが拾った臭う石、持ってくるように言ってくれ!」

親方向附近的年輕人喊道。年輕人挺直背,慌忙跑出。不久之後,牽著一塊因長期漂流而角被磨圓、變白變色的石頭與一名約十四歲的少年回來了。

近くにいた若い衆に親方は声を飛ばす。若い衆は背筋を伸ばすと、慌てて飛び出していった。少し間を置いて、長く漂流したのか角が取れて丸くなり白く変色した石と、14歳ぐらいの男子を連れて戻ってきた。

「哇,好臭!確實有味道」

「うわ、くせぇ! 確かに臭うぜ」

親方捏住鼻子揮手驅散臭味;一旁靜子從年輕人手中接過一塊比小型醃菜石還大的石頭,開始仔細檢查。

鼻をつまんで親方は手を振って臭いを追い払う。一方静子は若い衆から小ぶりな漬物石程もある石を受け取ると、入念にチェックを開始する。

漂流使外層被磨削,再加上長期曝曬於紫外線而氧化,雖然如此表層仍留有特徵性的喙狀物保留原形,靜子判定為例行之物後笑了。

漂流によって外部が削られた上に紫外線に晒され、酸化してはいるが表層に特徴的な嘴状の物が原型を留めており、例のモノだと判明した静子は笑う。

「這正是我在找的東西。先說重量……大約七百克左右。表面得磨掉才行,但這麼大的東西我會高價收購」

「これはまさに私が探しているものだね。とりあえず重さは……おおよそ700グラムかな。表面は削り取らないと駄目だけど、これほどの大物なら高く買い取るよ」

「要買下那塊……有臭味的?順帶問一下要多少錢?」

「買い取るって……その臭いのを? ちなみにいかほどで?」

「先暫且用60貫怎麼樣?」

「とりあえず60貫でどう?」

「60貫!?」

「60貫ッ!?」

從現代貨幣價值來算,60貫大約相當於約600萬日圓。對於能用數萬日圓過一個月的人來說,600萬是難以想像的大筆金額。

60貫は現代の金銭価値にすればおよそ600万円だ。数万円で一ヶ月過ごせる彼らからすれば、600万は途方もない大金になる。

「鄰國很重視這個東西,想要買下來。但那是只有鯨魚得了特定病才會有的東西。我們雖然捕鯨,卻還沒拿到過,所以你真的很走運呢」

「隣国がこれを珍重して欲しがっているのよ。でも鯨が特定の病気にかからないと取れない代物でね。うちは捕鯨しているけど、未だに入手できていないから本当に君は運が良いよ」

她那麼說著,指向那塊散發惡臭的白色石頭——不對,是抹香鯨的結石,也就是龍涎香(りゅうぜんこう)。

そう言って悪臭を放つ白い石、もといマッコウクジラの結石である龍涎香(りゅうぜんこう)を指さす。

龍涎香雖然是結石,卻是珍貴的天然香料。除了在解剖抹香鯨時從體內取出,或是偶然撿到被排泄並漂到岸邊的結石外,沒有其他取得方法。

龍涎香は結石ではあるものの貴重な天然香料だ。マッコウクジラを解体した際に体内から得るか、排泄された結石が海岸に漂着したものを偶然拾う以外には入手方法が無い。

龍涎香比水輕,會浮在海面上漂流,因此碰上好運的話,能一夕致富,是種夢幻素材。

龍涎香は水よりも比重が軽く、海面に浮いて漂流するため運次第で一攫千金を実現できる夢の素材でもある。

現代的伊勢灣只確認有魚貝類棲息,但有紀錄指出直到二十世紀左右,曾有鯨魚與虎鯨等大型海洋哺乳類出沒。

現代の伊勢湾には魚介類の棲息しか確認されていないが、20世紀ごろまではクジラやシャチと言った大型海棲哺乳類が生息していたという記録がある。

可以說這塊龍涎香是經過天文數字般的小概率才出現:一頭抹香鯨偶然路過伊勢灣近海、該個體又帶有膽石、恰好在此時排出結石而未被捲入外洋飄走、漂到岸邊且尚未被海浪拍碎前,正好被小孩撿到。

伊勢湾近くに偶然通りがかったマッコウクジラが居り、かつその個体が胆石を持ち、更にこのタイミングで体外に排泄した上で、外洋に流される事なく漂着し、波打ち際で砕かれる前に偶然にも子供が拾うという、天文学的な確率を潜り抜けたのがこの龍涎香だと言える。

龍涎香單獨聞起來只是一股惡臭,但若與其他香料混合後焚燒,能長時間保持香氣,並賦予豐潤且厚重的香味,是其他物品無可比擬的功效。

龍涎香は単体だと悪臭でしかないが、他の香料を混ぜた上で焚き上げると、その香りを長く保ちつつふくよかで重厚な香りを加えるという、他に例を見ない効能を持っている。

「啊,請拿去拿去。60貫沒問題」

「あ、どうぞどうぞ。60貫で良いです」

被提出如此龐大的金額,小僧一度萌生能再抬價的貪念,但很快就發現了致命的問題。

途方もない大金を提示され、これならもっと値を吊り上げられるかも欲が出かけた小僧だが、すぐに致命的な問題に気が付いた。

他撿到那塊臭石的事已經傳到親方和其他年輕人耳裡,而且賣了大錢的事也被知道了。

自分が臭い石を拾った事は親方や若い衆にも知れ渡っている上に、大金で売り渡した事も知られている。

現在再抬價不知道會被說成什麼,靜子又是在地區提供工作的人物。若被傳成從這種人那裡敲詐金子,後果不堪設想。

今さら値をつり上げたら何と言われるか分からないし、静子は地域一帯に仕事を与えている人物だ。そんな人物から金子を巻き上げたと噂されれば、どんな目に遭うか分からない。

因此判斷還是以靜子出價的價格交付最為聰明。

ここは静子が提示した言い値で渡すのが最も利口だと判断した。

「是嗎? 那我就叫人把60貫拿來」

「そう? じゃあ60貫を持ってこさせるよ」

靜子叫一名兵士去拿60貫,並將木箱交給那孩子的兒子。把龍涎香小心收進箱子後,她吩咐旁邊的兵士們。

兵士の一人に60貫を持ってこさせた静子は、助のせがれに木箱を渡す。そして龍涎香を大事に箱へ仕舞うと、傍にいた兵士たちに命じる。

「事情結束了。回居館去吧」

「用事は終わり。居館へ戻るよ」

把裝著珍珠的木箱帶回去後,靜子立刻把已依大小分等級的珍珠再更細緻地挑選分類。

真珠が入った木箱を持ち帰った静子は、早速大きさでグレード分けされた真珠を更に細かく選り分ける。

檢查標準有各種,但基本上以光澤、是否有傷、形狀、色澤四項來選別。

チェックの基準は様々だが、基本は照り、傷の有無、形状、色味の四つで選別する。

首先檢查珍珠的形狀是完全球體還是有歪斜。確認是否為真球的理由是,真球能畫出圓形,圓與『緣』掛鉤,被視為吉兆,因此有較高評價。

まず真珠の形状が真球か歪みがあるかをチェックする。真球であるかを確認する理由は、真球は真円を描き、円を縁とかけて縁起物として評価されるからだ。

是否有傷與光澤則關係到外觀。即便是完美的球體,若有傷痕或暗沉的珍珠,其價值也會下降。

傷の有無や照りは見栄えに関係する。いくら真円であろうとも傷があったり、くすみがある真珠では価値が下がってしまう。

檢查色澤的原因是,珍珠質不僅會形成白色,因各種因素也會帶上黑或紅等色調,出現有色的珍珠。

色味をチェックする理由は、真珠質は白色のみが形成されるのではなく、様々な要因で色味をおびて黒や赤い色味がついた真珠が出来上がることがあるためだ。

從阿古屋貝取出的珍珠以白色為上,帶色者則被視為次之。

阿古屋貝から取れる真珠は白色を最上とし、色付きは下とみなされる。

如此檢查完的珍珠會再細分為最高品質的特、較高品質的上、較低品質的下三類。

こうしてチェックが終わった真珠は最高品質に特、高品質に上、低品質に下と更に細分化する。

在珍珠中,最高品質為『特八甲(とくはっこう)(8毫米的最高品質珍珠)』及『特七甲(とくしちこう)(7毫米的最高品質珍珠)』,接著為『上八甲(かみはっこう)』、『上七甲(かみしちこう)』、『下八甲(しもはっこう)』、『下七甲(しもしちこう)』等級。

真珠の中で最高品質が『特八甲(とくはっこう)(8ミリの最高品質真珠)』及び『特七甲(とくしちこう)(7ミリの最高品質真珠)』になり、続いて『上八甲(かみはっこう)』、『上七甲(かみしちこう)』、『下八甲(しもはっこう)』、『下七甲(しもしちこう)』と設定される。

品質好的會以寶飾品方式處理,品質較差的則用於加工品。

品質が良いものは宝飾品として扱われ、下のものは加工品に回される。

「這是只用特八甲做成的珍珠項鍊。這個大概是銀與珍珠做的簪子吧」

「これが特八甲だけで作った真珠ネックレス。こっちは銀と真珠の簪(かんざし)かな」

靜子把珍珠項鍊掛在脖子上,指向頭上那支以細緻銀工鑲嵌珍珠的簪子。

首から真珠ネックレスを下げ、頭に繊細な銀細工に真珠が象嵌された簪を静子は指さす。

項鍊只是單純把8毫米珍珠串起來,但簪子以梅花為主題,用細緻的銀飾表現枝葉與花瓣,搭配大顆純白珍珠增添高級感,並刻意以帶色的珊瑚橘珍珠做花芯,周圍以金色花柱點綴,是件大膽且具挑戰性的力作。

ネックレスは単純に8ミリ真珠をつなぎ合わせただけだが、簪は梅の花をモチーフとし、枝葉に花弁を繊細な銀細工で表現し、大粒の純白真珠を配して高級感を出し、敢えて色味をおびたコーラルオレンジの真珠を花芯に据え周囲に金の花柱をあしらったダイナミックで挑戦的な意欲作だ。

沉穩的銀與白散發出高雅感,裝飾不過度,流露出沈靜的成人氣質。

落ち着いた銀と白が高級感を漂わせ、大きすぎない装飾がしっとりとした大人の雰囲気を醸し出していた。

「哈、哈。很合妳」

「は、はぁ。よくお似合いです」

然而,彩與蕭的反應相當微妙,但那也是無法避免的情況。

しかし、彩と蕭の反応は微妙だった。だがそれは仕方のない話だ。

簪子在江戶時代各種髮型流行時開始受到推崇;而在講求自然垂長秀髮之美的戰國時代,不加多餘裝飾、僅保留長而光澤的髮型才被視為美,因此簪子會引來微妙反應也是必然。

簪は様々な髪形が流行した江戸時代から流行りだしたもので、余計な装飾をせず長く艶やかな髪が美しいとされる戦国時代では微妙な反応になるのも仕方ない。

「反應好像薄弱呢。果然還是不太行嗎」

「反応が薄いね。やっぱりいまいちなのかな」

彩和蕭都有佩戴髮飾,但並未把頭髮綁起來;相對地,靜子會綁髮、戴髮飾,從戰國時代的時尚觀來看是個異端。

彩も蕭も髪飾りはつけているが、髪を結うことはしていない。対して静子は髪を結う、髪飾りをつけるなど戦国時代のファッションからすれば異端児だ。

無論地位多高,要被以異樣眼光看待是無可避免的。

いかに立場が上になろうと、奇異の目で見られるのは避けられない。

「不,不是那個意思」

「いえ、そういう訳では」

「哈哈哈,嗯,垂髮也不錯,只是好像不太適合我啊」

「はっはっはっ、まぁ垂髪(たれかみ)も悪くないのだけれど、私にはちょっと似合わないかな」

看著蕭慌張地幫忙緩頰,靜子苦笑。垂髮在戰國時代被認為是好的髮式,但靜子想得開:任何時代,新流行總會被視為奇怪的玩意兒。

蕭が慌ててフォローするのを見て静子は苦笑する。垂髪がよしとされる戦国時代だが、いつの世も新しい流行とは奇矯な扱いを受けるものだ、と静子は前向きに考えることにした。

「那個先放一邊。試吃大會還有幾天,紅豆和砂糖的運送都完成了嗎?」

「ま、それは置いておいて。試食大会が数日後だけど、小豆や砂糖の運搬は完了しているかな?」

「啊,是的。食材都已運送完畢。從技術街也把指定的器具一套一套全都運來了。剩下就是前一天五郎大人開始製作餡料了」

「あ、はい。食材は全て運び終えております。技術街からもご指定の道具類を一式、全て運び終えております。後は前日に五郎様が餡の調理に取りかかるだけです」

紅豆餡放一晚會讓味道融合,變得圓潤甘美。雖然在烹調中也有靜置的步驟,但完成後再靜置一晚的作業非常重要。

あんこは一晩寝かせると味がなじみ、まろやかな甘さになる。調理中にも寝かせる工程があるものの、完成後に一晩寝かせる作業は非常に重要だ。

花時間與工夫的原因是對和菓子來說,餡的味道就是生命。若餡的味道不好,不論用多麼昂貴的材料,整個點心往往會被毀掉。

時間と手間がかかる理由は、和菓子にとってあんこの味は命だからだ。あんこの味が悪ければ、どんなに高級食材を使おうとも菓子自体が台無しになる場合が多い。

這次要做的鯛魚燒與大判燒,大略來說就是餅皮和餡。說餡的味道就是一切也不為過。

今回作るたい焼きや大判焼きは、大ざっぱに言えば皮とあんこだけだ。あんこの味が全てと言っても言い過ぎではない。

「用於章魚燒的昆布和鰹節也沒問題。唉,看來在伊勢灣不能養昆布真是令人遺憾」

「たこ焼き用の昆布と鰹節も問題ないようね。しっかし、こう見ると伊勢湾で昆布作りが出来ないのが悔やまれる」

昆布養殖本身是可行的,但要做這件事,長島一向一揆的人會成為阻礙。若不排除長島一向一揆,就無法完全掌握伊勢灣。

昆布の養殖自体は可能だが、それをするには長島一向一揆衆が邪魔になる。長島一向一揆衆を排除しなければ、伊勢湾を完全に掌握できない。

但靜子並沒有那麼悲觀。像對待武田軍一樣,使長島一向一揆屈服的作戰正穩步進行。若順利,能一次性排除武田軍與長島一向一揆。

しかし、静子はそこまで悲観していなかった。武田軍と同じく長島一向一揆衆を屈服させる作戦は着々と進んでいる。うまく行けば武田軍と長島一向一揆衆を一度に排除できる。

如此一來伊勢灣就會完全由信長掌握,靜子也能開始著手昆布養殖。

そうなれば伊勢湾は完全に信長が掌握することになり、静子は昆布養殖に取りかかれる。

(目前為止順利。照計畫信玄在找德川的麻煩,侵略遠江國(とおとうみのくに)。)

(今のところ順調。予定通り信玄は徳川に難癖をつけて、遠江国(とおとうみのくに)を侵略している)

織田與武田、織田與德川、武田與德川曾互為同盟國。然而在永祿十二年(1569年)武田單方面解除同盟,武田與德川(武田與織田則在數年後解除同盟)成為敵對關係。

織田と武田、織田と徳川、武田と徳川は相互に同盟国だ。しかし永禄十二年(1569年)に武田から一方的に同盟を破棄され、武田と徳川(武田と織田は数年後に同盟破棄)は敵対関係となった。

自此直到武田滅亡之前,織田・德川與武田之間再也沒有恢復同盟關係。家康將居城遷到濱松城,也是為了加強對武田家的防衛。

以降、武田が滅ぶまで織田・徳川と武田の間に同盟関係が復活することはなかった。家康が浜松城へ居城を移したのも、武田家に対する防衛強化である。

(沒想到在那個時期把那兩人丟下不管。嘛,三方ヶ原台地調查完就回去了就是了。)

(そんな時期にあの二人を置いてくるとは思わなかったわ。まぁ三方ヶ原台地調査後、帰っちゃったけど)

雖然是意料外的事,但對靜子的計畫而言只是瑣碎問題。計畫並未混亂,輕易就能修正軌道。

想定外の出来事ではあったが、静子の計画からすれば些細な問題だった。計画は狂わず簡単に軌道修正できた。

(預定是1500……不,1300吧。彈藥四萬,那個是15發,爆破約3000,但能用的大概只有1500左右。不管怎樣,按蘭徹斯特法則計算的結果相當不錯。接下來只要照計畫他們出陣就行,那樣大概有八成能取得勝利。)

(予定では1500……いや、1300ね。弾は4万、あれは15発、発破は3000ほどだけど、使えるのは1500程度かな。いずれにしても、ランチェスターの法則で計算した結果は上々。後は計画通り、彼らが出陣すれば良い。そうすれば、8割方勝利を掴むことが出来る)

無論多麼熟知歷史,人們未必會如史實般行動。實際上因為家康採取了意料之外的行動,靜子被迫稍微修正計畫軌道。

どれだけ歴史を知ろうとも、人が史実通り動くとは限らない。現に家康が予定外の行動を取ったため、静子は若干計画の軌道修正を余儀なくされた。

但家康的行動反而對靜子而言是件可喜的事。這提醒了因為知道歷史而鬆懈、在無意識中開始掉以輕心的靜子,讓她重新收斂心志。

だが家康の行動は、むしろ静子にとって望ましい事だった。歴史を知っているという利点にあぐらをかき、無意識の内に油断しかけていた静子の心を引き締めたのだ。

對於給予她這種令人心情振奮的緊張感的家康,靜子感激不盡。

心地良い緊張感を与えてくれた家康には感謝してもしきれなかった。

「靜子大人,足滿大人前來了」

「静子様、足満様がおこしになられました」

「喔,什麼緊急的報告嗎?啊,兩位可以回去繼續工作了」

「おや、何か緊急の報告かな。あ、二人は仕事に戻って良いよ」

靜子見到足滿從外面來,便理解可能有緊急報告,於是對彩與蕭說請他們先離席。

足満が向こうから訪ねて来る事に、何か緊急の報告があると理解した静子は彩と蕭へ席を外すよう言った。

兩人向靜子行了一禮後離開了房間,足滿則幾乎同時走了進來。

二人は静子に一礼すると、部屋を後にする。入れ違うように足満が部屋に入ってきた。

「真少見,竟然是你們那邊來拜訪」

「珍しいね、そっちから訪ねてくるなんて」

「終於把最後一件工作做完了」

「ようやく最後の仕事が終わったからな」

聽到那句話靜子的表情微微變動。熟悉現代技術的足滿被靜子極祕地委託過各種工作,而所謂最後一件事具有非常重大的意義。

その言葉に静子の表情が僅かに動く。現代の技術を知る足満に、静子は色々な仕事を極秘に依頼していた。その中で、最後の仕事と言えば非常に重要な意味を持つ。

「完成了嗎?那個困難的東西?」

「完成したの? あの難しい奴を」

「在油壓系統和溫度維持上費了不少功夫。比起說明,還是看實物比較快吧」

「油圧システムと温度維持に苦労したがな。語るより現物を見る方が早いだろう」

足滿從懷中掏出一塊黑色塊狀物並朝靜子拋去,靜子單手接住那塊黑物,為確認手感抓了幾次後拿到面前。

懐から黒い塊を取り出すと、足満はそれを静子に向かって投げる。黒い塊を片手で受け取った静子は、感触を確かめるために何度か握った後、それを目の前に持ってくる。

仔細檢視後,靜子露出了一抹得意的笑容。

じっくり検分した後、静子はにんまりと笑みを浮かべた。

「嗯,沒錯。這東西和我們時代使用的生質焦炭不相上下」

「うん、間違いないね。私たちの時代で使われているバイオコークスと遜色ない代物だよ」

「果然沒有那個時代那麼豐富的材料。不過這樣燃料問題就解決了。終於可以造出高爐了」

「流石にあの時代ほど材料は豊富にない。だが、これで燃料の問題はクリアだ。ようやく造れるぞ、高炉がな」

生質焦炭是以植物性廢棄物為原料製成、作為石炭焦炭的替代品。

バイオコークスとは植物性廃棄物を材料に作られた石炭コークスの代用品だ。

大致來說就是把天然形成石炭時的壓力與溫度給予植物性廢棄物。但要達到規定壓力必須有油壓壓榨機,為了製作這套系統耗費了大量心力。

大ざっぱに言えば天然の石炭が作られた時の圧力と温度を、植物性廃棄物に与えれば良い。だが規定の圧力を得るには油圧プレスが必要不可欠で、このシステムを作るのに多大な労力を費やした。

而且若熱度超過特定溫度,原料的植物性廢棄物會燃燒成炭;若低於則不會產生生成生質焦炭所需的化學反應。

また熱は特定の温度を超えれば、材料になる植物性廃棄物が燃えて炭になり、下回ればバイオコークスを生成するための化学反応が発生しない。

但維持規定溫度並不像油壓那樣棘手。只要把熱的東西潑水,觀察水的反應即可推測當時的溫度。

だが規定の温度を維持するのは油圧ほど厄介ではなかった。単純に熱せられたものに水をかけ、そのときの水の反応で現在の温度は推測できたからだ。

「沒錯。接下來從南蠻進口煤來製造焦炭,副產物還能得到硫酸、氨和硫磺。有了焦炭就能冶煉鋼」

「そうだね。後は南蛮から石炭を輸入してコークスを作る。副産物に硫酸やアンモニア、硫黄が手に入る。コークスが手に入れば鋼が精錬できる」

生質焦炭的缺點是單獨使用不能完全替代石炭焦炭。石炭焦炭可產生超過1500度的熱量,而生質焦炭單獨最多只能達到1400度。

バイオコークスの欠点は、それ単体で石炭コークスの代用品とならない点だ。石炭コークスは1500度を超える熱量を出せるが、バイオコークスだけでは1400度が限界だ。

並且不像石炭焦炭具有還原作用,因此只能作為維持溫度所需的燃料角色。

また石炭コークスと違って還元作用を持たず、それゆえ温度維持に必要な燃料としての役割しか果たさない。

然而在戰國時代,石炭焦炭是若非自製就不會有的珍貴品,大家都想盡量減少使用量。

しかし、戦国時代に石炭コークスは自前で作らなければ存在しない貴重品だ。可能な限り使用量を減らしたいという思いがある。

「既然做到這一步,就不需要再偷偷摸摸了吧。武田也應該在穩步準備要剷除織田家了」

「ここまで来れば、もうこそこそする必要はないね。武田も着々と織田家を潰す準備をしているだろうしね」

「調查過了,本願寺那個禿子已經回應了送來的起兵請求書。接下來會找藉口,武田那個禿子將加緊對腹黑狸的侵攻。」

「調べておいたが、本願寺のハゲが送った挙兵要請の書状に応じている。これから難癖をつけて武田のハゲは腹黒狸への侵攻を強めるぞ」

「嗯,兩人都剃髮了所以其實沒頭髮啦。撇開這點不談,這是個好徵兆。出陣的話,勝負幾乎就定了。當然仍不可掉以輕心。」

「いや、両人とも剃髪しているから髪はないけどさ。それは置いとくとして、良い傾向ね。出陣すれば、ほぼ勝ちは決定したもの。ま、油断は禁物だけどね」

聽了靜子的話,足滿靜靜地笑了。若前久看到,會回看好幾次——那是一種平時從他身上難以想像的柔和笑容。

静子の言葉に足満は静かに笑う。前久が見れば何度か見返すほど、普段の彼からは想像もつかないぐらい柔らかな笑みだった。

「補給路線交給我。我掌握了幾條可以往返運輸到濱松城的路線。」

「補給ルートは任せろ。浜松城までピストン輸送出来るルートは幾つか把握している」

「打仗到最後是吃得多又好的人會贏。尤其一開始會被告知要固守城池,給多少好吃的飯讓士兵不感到壓力很重要。」

「いくさは最終的に旨い飯を沢山食っている方が勝つからね。特に最初は籠城と聞かされるから、どれだけ旨い飯を与えてストレスを感じさせないかが重要よ」

「罐頭不行,但瓶裝是可行的。飯也已驗證可以用瓶裝保存。不過畢竟沒罐頭那麼耐保存。不過很快就會進到士兵肚子裡,這次不用太擔心。」

「缶詰は無理だが瓶詰なら可能だ。飯も瓶詰で保存が可能なのも検証済だ。ただ、やはり缶詰ほどの保存力は望めない。ま、すぐに兵の腹の中に収まるから、今回は気にする必要は無いな」

瓶裝一詞有兩種意思:一是將醋、酒、蔬菜等裝入瓶中;二是透過水浴加熱瓶裝以長期保存內部食物的做法。

瓶詰とは酢や酒、野菜などを瓶の中に詰める行為と、瓶詰を湯煎して中の食べ物を長期保存する方法の二種類の意味がある。

後者後來被金屬製的罐頭取代,但那是在十九世紀以後的事。

後者は後に金属で作られた缶詰に変わるが、それは19世紀になってからのことだ。

「像魚的煮物或牡蠣的油漬這類海鮮製品會很好。既然要關在城裡,海味看起來會像是美味的珍饈。」

「魚の煮付けや牡蠣のオイル漬けのように、海鮮類で作ったものが良いね。城の中に籠もるから、海の幸はご馳走に見えるだろうし」

「要大量製造含高湯的味噌方塊。一般的味噌湯在城內本就是奢侈品,但時節不同,冷天裡喝一碗味噌湯是無可取代的。」

「だし入り味噌キューブの量産をしなくてはな。普通の味噌汁自体、城内では贅沢品だが時期が時期だ、寒いときに飲む味噌汁は何ものにも代えがたい」

「好,糧食問題差不多解決了。況且時節合適,腐敗應該不用太擔心。夏天就比較要擔心些。」

「おっけー、食料の問題はほぼ解決ね。ま、時期が時期だし腐敗は心配ないんじゃないかな。夏だとちょっと心配だけどね」

就兵站而言,靜子依賴足滿。戰國時代,不,整個日本人都有輕視後勤的傾向。

兵站の意味で静子は足満を頼っていた。戦国時代、否、日本人は兵站軽視の傾向が強い。

據說這部分原因在於偏好那種鮮明、短時間內就能分出勝負的事。不過,華麗的勝利也是靠踏實工作一點一滴堆積出來的結果。

それは鮮やかに、短時間で決着が付く話を好むことが要因の一つと言われている。しかし、鮮やかな勝利も、地道な作業の積み重ねによって得た結果だ。

重要的不是在戰鬥中贏,而是在開戰以前就已確保勝利。

戦いで勝利を得るのではなく、戦う前から勝利を得ておく事が大事だ。

「我還跟茶丸君說孫子書裡寫著要現地取得糧食。不過後勤很難。我也查了很多,讀了好幾本專業人士寫的書。就算是那些人也會遇到意想不到的問題。」

「食料の現地調達をしろ、と孫子には書いていると茶丸君に教えちゃったけどね。まぁロジスティクスは難しいよ。私も色々と調べたし、プロが書いた書物を幾つも読んだ。そんな彼らでも思いもよらない問題に直面するからね」

「那麼這些問題也由我來承擔吧。」

「まぁその辺の問題もわしが引き受けよう」

「知道了。後勤的全權交給你,足滿叔叔按你喜歡的方式行動。向我報告也可以事後再說。」

「分かった。兵站における全権は与えるから、足満おじさんの好きなように動いて。私への報告も事後で構わないよ」

「……你自己先說的嘛,竟然這麼容易就同意了呢。」

「……言った手前だが、簡単に了承するのだな」

「有些場合需要立刻決斷,一一向我請示會浪費時間。只要知道結果就沒問題了。要是出事負責任的是我的工作。」

「即断即決が必要になる場面だってあるし、いちいち私に許可とって、なんてするのは時間の無駄。結果さえ分かれば問題ないよ。何かあって責任取るのは、私の仕事だしね」

聽了靜子的回答,足滿淡淡地笑了。在下克上的時代把權力交給諸將,甚至不用逐一上報,諸侯們大概會相當混亂吧,他心想。

静子の返答に足満は薄く笑う。下克上の時代に諸将へ権力を与え、あまつさえ報告を逐一上げなくて良いとの事なのだから、諸侯は大変混乱するだろうと彼は思った。

(就像從名為靜子的母體中放出許多蛇一樣。只盯著蛇會被靜子吞掉,只執著於靜子又會被蛇吞掉。要是變成敵人會很麻煩的局面。)

(静子という母体から蛇が何匹も放たれているようなものだ。蛇にばかり注視すれば静子に喰われ、静子だけに固執すれば蛇に喰われる。敵に回すと厄介な状況よ)

慶次、長可、才藏、高虎,還有我,共五人。高虎還差一點,但各自已迅速成長為一方武將。此外在宇佐山城之戰失去的精銳也正在逐步收復。

慶次、長可、才蔵、高虎、そして自分の5人。高虎はまだもう一つだが、それぞれが今や一端の武将にまで急成長している。更に宇佐山城の戦いで失った精鋭兵も取り戻しつつある。

再有一年就能成為足以對抗武田軍的軍隊吧。

後一年あれば十分武田軍に対抗できる軍へとなるだろう。

「知道了,後勤就交給我吧。」

「分かった、兵站はわしに任せておけ」

足滿心裡想著期待一年後,淡淡地笑了。

一年後が楽しみだ、と心の中で思いながら足満は薄く笑った。

章魚燒和鯛魚燒試吃會當日,信長庭園周圍非常喧鬧。畢竟信長邀請了重要家臣,連他們的正室和嫡子也都來了。

たこ焼きやたい焼きの試食会当日、信長の庭園周りは非常に騒がしかった。何しろ主要な家臣、彼らの正室や嫡子までを信長が招待したからだ。

看到信長凡事都會召集家臣辦活動,就能理解他愛熱鬧辦祭典的傳聞是真的。

何かにつけて家臣を呼んでのイベントを開く信長を見て、彼が祭り好きだという噂が事実であると理解出来る。

這次因為人數眾多,和正月元日一樣,從出入口到一定距離都部署了護衛士兵。

今回は人数が人数のため、正月元日と同じく出入り口からある程度の距離まで警護の兵士が配置されていた。

「靜子大人來了——!」

「静子様が参られましたー!」

迎接的士兵大聲呼喊來賓的名字。從一端到另一端約有兩百公尺,武裝的足輕肩並肩排列著。

出迎え役の兵士が大声で来訪者の名を叫ぶ。端の兵士から差し渡し200メートルを、武装した足軽たちが肩を並べている。

靜子以帶些僵硬的笑容瞥了一眼那景象。她本不以為會變成如此誇張的場面,覺得這樣的迎接有些過度。

静子はその様子を引きつった笑みで一瞥した。彼女はそこまで大それた催しになるとは思っていなかったので、この出迎えは過剰ではと思った。

不過她又想起受邀者多為要人,於是改變主意認為並非過度警備。

しかし、曲がりなりにも招待客は重鎮ばかりと思い返し、過剰な警備ではないと思い直すことにした。

「咳」

「コホン」

清了清喉嚨換了心情後,收起表情邁步向前。

咳払いをして気分を変えた後、表情を引き締めて前へ歩き出す。

依舊男裝,但腰間佩著大包平。覺得比一般量產更有面子,久違地從倉庫拿出這件逸品。腹前的小短刀則是她常隨身攜帶的大馬士革短刀。

いつもの男装だが腰には大包平を携えていた。数打ちよりは箔が付くと思って久々に倉から出した逸品だ。腹前の短刀は常に持ち歩いているダマスカスナイフだ。

隨從是馬廻衆的慶次與才藏。才藏著正裝,慶次則在這場合仍堅持自己的風格,也就是一如既往的傾奇者打扮。

従者は馬廻衆である慶次と才蔵だ。才蔵は正装だが慶次はこの場においても自己流のスタイルを貫いていた。つまり何時もの傾奇者の恰好である。

(怎麼說……真是驚人的迎接啊。果然還是想在幕後烤章魚燒。)

(何というか……凄い出迎えだなぁ。やっぱり裏方でたこ焼き焼いていたかった)

表面上靜子保持平靜,但內心想早點回去。也難怪,信長時常舉辦的試吃會不曾這麼盛大過。

表面上は平静を保っている静子だが、内心は早く帰りたい気持ちだった。それもそのはず、信長が折に触れて催している試食会はここまで大々的ではない。

通常在慰勞家臣時,表面上會以信長主辦的試吃會之名,用些新奇料理款待他們。

いつもは家臣たちを労う際に、建前上は信長主催の試食会として目新しい料理でもてなしていた。

從未有過如此集結這麼多人,並將警備做到與陣內同等級才舉行試吃會的先例。

これほど多くの人を集め、警護も陣内と同じレベルにしてまで試食会を開いた前例はない。

(被說「把光忠作的刀賞給妳,出個面吧」,不該為了這種餌而上鉤)

(光忠作の刀を譲ってやるから顔を出せ、と言われたけど餌に釣られるんじゃなかった)

靜子不需要知行地,獎金除必要部分外都分給部下,對美食與茶道具沒興趣,唯一狂熱的是名物蒐集。

知行地は不要、報奨金も必要分以外は部下へばらまく、美食や茶道具に興味がない静子が唯一熱狂している趣味が名物蒐集だ。

像宗三左文字那種信長的愛刀當然無法得到,但其他能入手的,她會不惜一切獲得。

流石に宗三左文字(そうざさもんじ)のような信長の愛刀は手に入らないが、それ以外で手に入るなら万難を排して手に入れようとしている。

這只是關於信長所擁有的光忠作太刀被下賜的事,只看她平時討厭這種活動卻肯大老遠跑來就知道了。

それは信長が所有している光忠作の太刀が下賜される話だけで、普段嫌がるこの手のイベントにのこのこ顔を出した事からも明らかだ。

(應該不是實休光忠吧。大概是後世被稱為燭台切光忠的那把。也有可能是義輝下賜的最上光忠)

(流石に実休光忠(じっきゅうみつただ)じゃあないよね。多分、後の世に燭台切光忠と呼ばれた方かな。いや義輝から下賜された最上光忠(もがみみつただ)の可能性も)

光忠作太刀中最有名的是燭台切光忠,曾由信長到秀吉,再從秀吉到伊達政宗。

光忠作の太刀でもっとも有名なものが、信長から秀吉、秀吉から伊達政宗に持ち主が変わった燭台切光忠(しょくだいきりみつただ)である。

然而光忠作的刀還有其他幾把,其中被說是信長異常執著、在本能寺之變最後揮舞的那把,是所謂的實休光忠。

しかし、光忠作の刀は他にも何種類か存在する。その中で信長が異常に執着し、本能寺の変にて最後に振るった刀が実休光忠と言われている。

最上光忠原為足利將軍家所持的名物,義輝曾下賜給信長。之後信長在任命最上義光為「出羽守」時,把最上光忠作為土產讓給了他。

最上光忠は足利将軍家が所有していた名物だが、義輝が信長に下賜した。その後、信長は最上義光を「出羽守」に任命した時の土産として、彼に最上光忠を譲った。

最上義光雖然很高興,但之後因種種原因被秀吉沒收了最上光忠。

喜んだ最上義光だが、その後様々な理由によって秀吉に最上光忠が没収されてしまった。

這把刀從秀吉到秀賴的手,然後在家康、秀忠等人之間輾轉,最後又回到最上家。然而現在刀與其所有者都不明所在。

秀吉から秀頼の手に渡り、更に家康、秀忠と様々な人物の間を渡り歩いた後、最後に最上家へ戻ってきた。しかし、現在は刀と所有者は共に所在不明となっている。

信長也蒐集其他光忠作,據說合計超過30口。之所以蒐集到這種程度,是因為信長被光忠作華麗的刀所吸引。

その他の光忠作も信長は蒐集し、その数は合計で30口(ふり)以上あったとされる。これほどまでに蒐集した理由は、信長が華やかな光忠作の刀に心惹かれたためだ。

(算了吧。多半へし切長谷部之類的不可能,這種被餌引誘大概也就這次而已。倒是對方說想知道外洋的事比較讓人好奇。我也準備了各種資料就是了)

(まぁいいか。多分、へし切長谷部とかは無理だろうし、釣られるのは今回ぐらいかな。それより外洋の事が知りたい、と言われた方が気になる。一応、色々な資料は用意したけどさ)

她自己不知道,但信長擁有幾把名物可以下賜以用來差遣靜子,例如來源不明的鶴丸國永與有正三位位階的日本號等。

なお彼女は知らないが、どういう経路で入手したか不明な鶴丸国永(つるまるくになが)や正三位の位を持つ日本号(ひのもとごう)など、信長は静子をこき使う時用の下賜する名物は幾つも所有している。

只是刻意不多拿出來,讓靜子看起來數量不多罷了。

単に出すのを控えめにして、静子には数がないように見せているだけだ。

一踏入庭園,景色便大不同。不是枯木蕭條,而是一片綠意盎然鋪展在眼前。雖然花不多,但有些綻放,為冬景色添了色彩。

庭園に入ると景色は一変した。枯れた木々という殺風景ではなく、緑溢れる風景が目の前に広がった。少ないながらも花が咲いており、それが冬景色として色を添えていた。

「喔,真厲害呢」

「おぉ、凄いね」

靜子見著眼前的景色發出感嘆。庭園各處擺著鋪有毛氈的長椅,還豎著大型的妻折傘(亦稱爪折傘)。

目の前の光景を見て静子は感嘆の声を上げる。庭園の所々に毛氈(もうせん)が敷かれた長椅子に、大きな妻折(つまおれ)傘(爪折傘とも言う)が立てられていた。

和喜愛紅色的信長相稱,毛氈與妻折傘都是紅色。已有許多人不畏冬寒,在各處談笑。

赤好きの信長らしく毛氈と妻折傘のどちらも赤色だった。既に多くの人間が冬の寒さなどものともせず、あちらこちらで談笑していた。

「你在講什麼啊。竟不知粒餡的美味,真是大笨蛋!!」

「何をいっとりゃー。粒あんの旨さを知らぬとは、大たわけじゃ!!」

「大笨蛋兼愚蠢的是你。竟不懂漉餡的美味,還一副了不起的樣子!!」

「大たわけにど阿呆は貴様だ。こしあんの旨さを知らぬサルが、偉そうな口を利きおってからに!!」

「粒餡不像漉餡那樣味道到最後都一樣。每咬一口都有不同風味,居然不懂這點!」

「粒あんはこしあんの様に、味が最後まで同じじゃない。噛むたびに色々な味になるのに、それが分からぬとはな!」

「笨蛋。漉餡可以用過濾後的剩渣做另一道菜。像粒餡那樣全部混在一起是極端的愚蠢!」

「阿呆め。こしあんはこした後の残りを使って、もう一品作れるのじゃ。粒あんのように混ぜてしまうのは愚かさの極み!」

「什麼啊!」

「なにおう!」

「要來一架嗎,猴子!」

「やるかサル!」

散步途中,柴田和秀吉如常因粒餡與漉餡扭打起來。移開視線後,靜子、才蔵與慶次轉身不看裝作沒看到。

散策している途中、柴田と秀吉がいつもの如く粒あんとこしあんで取っ組み合いをしていた。二人から視線を外した後、静子と才蔵と慶次は回れ右をして見なかったことにした。

看到各處烤著章魚燒、鯛魚燒、大判燒,靜子沉浸在懷念之情。當然沒有現代那種專用醬,章魚燒是用醬油高湯來吃。

あちらこちらで焼かれるたこ焼きやたい焼き、大判焼きの光景を見て静子は懐かしい思いにふける。流石に現代のようなソースはないため、たこ焼きは醤油出汁で食べることとなった。

也有檸檬醬油、蛋黃醬、柑橘醋醬等。若有專用章魚燒醬最好,但那種醬大量使用香辛料與香草。

他にもレモン醤油やマヨネーズ、ポン酢などもある。たこ焼き専用のソースがあれば一番良いが、ソースには香辛料やハーブがふんだんに使われている。

由於戰國時代的日本難以集到香辛料與香草,這次就改用其他調味料來食用。

戦国時代の日本では香辛料やハーブを集めるのは困難ゆえ、今回は別の調味料で食べて貰う事になった。

「呼呼呼,用出汁吃的章魚燒真好吃。鯛魚燒也難以取捨,但章魚燒能享受多種風味我喜歡。我倒無所謂,但偏好這種柑橘醋醬。」

「ほっほっほ、出汁で頂くたこ焼きは旨いのぅ。たい焼きも捨てがたいが、たこ焼きは色々な味を楽しめるのが良い。妾は何でも良いが、このぽん酢とやらが好みじゃ」

「妾喜歡味噌。ねね殿果然還是醬油嗎?」

「妾は味噌がお好みです。ねね殿はやはり醤油ですかの?」

「呵呵,醬油的香氣令人難以抗拒。最近消耗不均讓夫困擾,所以偶爾也想用味噌。」

「ほほっ、醤油の匂いが堪りませぬ。最近では消費が偏って夫が困った顔をするので、たまには味噌も使おうとは思っておりまする」

「若是不夠就從靜子的倉庫拿去想拿多少就拿多少。把這種好東西藏著不說,這樣做也不該有人抱怨吧。」

「何、足りぬとあらば静子の倉から好きなだけ持って行けば良い。こんな旨いものを黙っていたのじゃ。それぐらいしても文句はなかろう」

(雖然在聊些驚人的對話……在被發現前先逃吧)

(何か凄い会話しているけど……こっちに気付く前に逃げよう)

以濃姬為首的武將妻妾們也聚在一起,談笑風生。

濃姫を筆頭に武将の妻たちも集まって会話に華を咲かせていた。

雖然靜子偶爾聽到不安的談話,但若被捲入最後誰知道會被說些什麼,所以策略性撤退。

時折不穏な会話が耳に入った静子だが、絡んだら最後、どんな事を言われるかわかった物ではないので戦略的撤退をする。

「真像廟會的氣氛呢」

「まるで縁日みたいな雰囲気だね」

到處都能聽見愉快的對話。雖然情勢仍不可掉以輕心,但大家暫時忘卻,盡情享受當下。

そこかしこで楽しそうな会話が聞こえる。未だ油断ならない状況だが、それを忘れてみな今を楽しんでいた。

「我不知道什麼是縁日,咀嚼咀嚼……鯛魚燒真不錯」

「縁日が何か分からないが、むぐむぐ……たい焼きは中々に旨い」

「慶次殿,雙手抱滿大口大嚼,作為武人實在不慎重」

「慶次殿、両手いっぱいに抱えて頬張るのは武人として不用心ですぞ」

「不是嘴上還夾著蔥的傢伙有資格說這話」

「口にネギつけてる奴の言葉ではないな」

慶次和才藏不知何時已經雙手抱著章魚燒和鯛魚燒。靜子覺得在庭園享受也開始膩了,於是坐到一張合適的長椅上。

いつの間にか慶次と才蔵は、両手にたこ焼きやたい焼きを抱えていた。庭園を満喫するのも飽きてきたと思った静子は、手頃な長椅子に腰掛ける。

「玩得開心嗎?」

「楽しんでおるか」

正當吐口氣時,信長恰好發現了他們。他帶著堀秀政和池田恒興,還有一個看起來顯然年輕的小姓。

一息吐いた所でタイミング良く信長に発見された。彼は堀秀政と池田恒興、それから見るからに年若い小姓を連れていた。

靜子直覺上認為時機來看應該是森可成的孩子森蘭丸(在《信長公記》記載為亂丸而非蘭丸,但為了易懂使用蘭丸)。

時期からして森可成の子である森蘭丸(信長公記には蘭ではなく乱で記述されているが、分かりやすさを重視し蘭丸を使用)だろうと静子は直感的に理解した。

「大人,當然很享受」

「これはお館様。勿論楽しんでおります」

「就那樣就好。嗯,依我看來,比起你,後面那兩個人似乎更享受」

「そのままで良い。ふむ、わしの目には貴様より、後ろの二人の方が満喫しておるように見えるがな」

慶次即使信長出現也不太在意,繼續吃著鯛魚燒。才藏則筆直站著,但嘴巴周圍沾滿了泡在章魚燒醬油高湯裡的蔥花。

慶次は信長が現れてもさして気にせずたい焼きを食べていた。一方才蔵は直立不動で立っていたが、口の周りがたこ焼きの醤油出汁に入っていたネギまみれだった。

信長瞥了瞥用手按著額頭的靜子,豪爽地大笑。從那模樣可以看出如今的信長心情很好。

額を手で押さえた静子を一瞥した信長は豪快に笑う。その様子から今の信長は上機嫌だということが分かった。

「趁還沒忘記趕緊處理一下。跟上來」

「忘れない内に片付けておこう。付いて参れ」

靜子一瞬想著「什麼?」但很快就意識到是要賜予光忠作的刀。信長等人開始走路,靜子等人跟在後面。

何が、と一瞬思った静子だがすぐに光忠作の刀を下賜してくれる話だと気付く。歩き始めた信長たちの後ろに静子たちはついて行く。

蘭丸偶爾只有轉頭回望看著靜子,幾次後注意到的堀敲了敲蘭丸的頭。

たまに蘭丸が首だけ振り返って静子を見たが、何度目かで気付いた堀が蘭丸の頭を小突いた。

之後兩人交談了幾次,但那更像是堀在責罵蘭丸而非互相爭論。

その後、二人は何度か言葉を交わしたが、それは言い合うと言うより堀が蘭丸を叱っているように見えた。

靜子完全猜不出他們在做什麼,便看向在後面的慶次與才藏,兩人也聳肩表示不懂堀和蘭丸在做什麼。

何をやっているか皆目見当も付かなかった静子は、後ろにいる慶次と才蔵に視線を向けるが、二人も堀と蘭丸のしている事が分からず肩をすくめた。

「從這裡以後只有靜子。其他的都給我退下」

「ここから先は静子だけだ。他は控えておれ」

信長瞥了除了靜子以外的人一眼,更像是瞪了他們一下以示警告,然後未等其他人回應就進了房間。

静子以外を一瞥、というより睨んで釘を刺した後、信長は他の者の返事を待たず部屋へ入る。

慶次聳了聳肩,靠到附近的柱子上放鬆姿勢。才藏對慶次的隨性嘆了口氣。

慶次は肩をすくめた後、近くにあった柱に背を預けると姿勢を崩した。慶次の自由さに才蔵はため息を吐く。

不過看他在慶次旁邊坐下,似乎也像慶次一樣打算等靜子的事情結束。堀和恒興也效仿才藏,坐在慶次附近。

しかし、彼の傍に腰を下ろした所を見るに、慶次と同じく静子の用事が終わるのを待つつもりのようだ。堀と恒興も才蔵に倣って慶次の近くに腰を下ろす。

(這樣真的可以嗎……?)

(これは良いのだろうか……?)

「蘭丸,別站著,過來這裡」

「蘭丸、立っていないでこちらに来なさい」

唯一的小姓蘭丸顯得惶恐不安。也許看不下去的堀帶著嘆息叫了蘭丸幾聲。蘭丸飄忽地移動幾次視線後,也在堀旁坐下。

唯一、小姓の蘭丸だけがおろおろとしていた。そんな蘭丸を見かねたのか、堀がため息交じりに蘭丸へ声をかける。何度か視線をさまよわせた後、蘭丸も堀の近くに腰を下ろした。

(啊,果然是森蘭丸啊)

(あ、やっぱり森蘭丸だったんだ)

想著那件事的同時,靜子也進了房間。她感到背後有蘭丸強烈的視線,但在關上襖門的瞬間,傳來有人朝頭部揮下拳頭的聲音傳入靜子的耳中。

そんな事を思いつつ静子も部屋へ入る。背後から蘭丸の強い視線を感じたが、襖を閉める直前頭に拳骨を振り下ろした音が静子の耳に届く。

那並非敵意或殺氣,但靜子不明白為何蘭丸會有那種態度,於是歪著頭。

敵意や殺気ではないが、なぜ蘭丸にあのような態度を取られるか分からず、静子は首を傾げる。

「(有機會的話就問本人或森大人吧)抱歉讓您久等了」

「(機会があれば、本人か森様にでも聞くかな)お待たせしました」

經過幾間空房後,靜子到達目的房間。雖說是出於安全考量,但反覆出入即便對靜子也令人感到厭煩。

幾つかの空部屋を経由して静子は目的の部屋にたどり着く。セキュリティ上の都合とはいえ、出入りを繰り返すのはいくら静子でもげんなりする。

「你來晚了,靜子」

「遅いぞ、静子」

一進房,從上座傳來信長的聲音。語氣並不像字面那麼生氣,反而聽起來很愉快。

部屋に入るやいなや、上座の方から信長の声が飛んでくる。言葉ほど怒っている様子はなく、むしろ楽しそうな声色だった。

「非常抱歉」

「申し訳ございません」

「並非在責備你。而且我不拘泥於形式,你也可以放鬆些」

「別に責めている訳ではない。それと、わしは形式に拘泥する気はないから、貴様も気楽にして良いぞ」

如同所言,信長顯得非常放鬆。雖然看起來有些散漫,但也可解釋為對靜子放下戒心。

言葉通り信長は非常にリラックスしていた。幾分だらしなく見えるが、それは静子に気を許しているとも取れる。

不過她有更在意的事,所以並不太在意信長放鬆警惕這點。

それよりも気になる事があるので、静子は信長が気を抜いている事を余り気にしていなかった。

「那個,順帶一提擺在眼前排成一列的刀到底是……?」

「あの、所で目の前に並んでいる刀は一体……?」

在信長和靜子之間,太刀掛上排列著十把刀。原本應該只會賜下一把光忠作,但眼前有十把刀讓靜子感到困惑。

信長と静子の間に、太刀掛に飾られた刀が10本並べられていた。下賜されるのは光忠作一本のはずだが、目の前に10本も刀がある事に静子は困惑する。

「哼,若想要光忠作就用你自己的眼睛找出來。若能精準選出光忠之刀,就把那把你選的刀給你」

「ふっ、光忠作が欲しいなら自らの目で当ててみせよ。見事、光忠の刀を選んだならば、選んだ刀を貴様にくれてやる」

信長一邊趾高氣昂回答靜子的疑問。既是想把收藏展示給人看,又想誇耀自己能湊齊這麼多把刀。

踏ん反り返りながら信長は静子の疑問に答える。コレクションを人に見せつけたくてしょうがない気持ちと、これだけ数を揃えた事を自慢したい信長だった。

靜子一邊想著「面對收藏,大家都會變得像小孩子吧」,一邊拿出口罩、手套和拿刀用的布。

コレクションを前にすると、人は誰でも子どもっぽくなるのかなと思いながら静子はマスクと手袋、それから刀剣を持つための布を取り出す。

口罩是為了不讓唾液沾到刀劍,手套與布則是為了避免灰塵或髒物附著在刀劍上,若沾到也可用來擦拭的工具。

マスクは刀剣に唾液をつけないため、手袋と布は刀剣にホコリやゴミが付着しないように、また付着した場合に汚れをぬぐう道具でもある。

靜子還拿出刀劍用的保養油等護理用具。

その他にも刀剣油など刀剣用の手入れ道具を静子は取り出す。

「……準備真是周到啊」

「……随分と準備が良いな」

「以防萬一所以準備了」

「万が一を考えて用意しておきました」

回應了帶著半分無奈的信長低語後,靜子從左至右依序查看刀劍。全部看完後,靜子認出只有六口是光忠作,其餘是其他刀劍。

半分呆れている信長の呟きに答えると、静子は左から順に刀剣を見ていく。全てを見終えた静子は、光忠作が6本だけで残りは別の刀剣だということが分かった。

(大倶利伽羅廣光、鶴丸國永、へし切り長谷部、宗三左文字呢。真是,為何會想試試看呢。算了,這個就收下吧)

(大倶利伽羅広光に鶴丸国永、へし切り長谷部、宗三左文字だね。しっかし、なんで試そうと思ったのだろう。まぁいいか、これを頂こう)

看完並收好用具後,靜子向信長行了個禮,然後拿起了一把刀。

全てを見終えて道具を仕舞った後、静子は一度信長に礼をしてからある刀を手にとった。

「那麼我想要請求這一口光忠作。」

「ではこの光忠作の一口を所望いたします」

話還沒說完,信長的臉色便迅速改變,這也理所當然,因為靜子選的那把光忠作正是信長鍾愛的實休光忠。

最後まで言い終える前に信長の顔がみるみる変わる。それも当然だ、何しろ静子が選んだ光忠作は信長が愛してやまない実休光忠だからだ。

辨別實休光忠有其方法。名字由來的三好實休在最後以光忠斬敵時,刀刃曾稍有崩口,這就是區分實休光忠與其他光忠作的方式。

実休光忠には見分け方が存在する。名前の由来になった三好実休が最期に光忠で敵を斬りつけた時、刃が少しこぼれてしまった。これが他の光忠作と実休光忠を分ける方法だ。

這種判定法並非靜子所創,而是在史實中有類似記錄。

この判定方法は静子が考えたのではなく、史実に似たような記録がある。

信長曾叫堺的豪商將光忠作並列,讓人找出實休光忠;有「鑑定人」之稱的木津屋當時精準指出了實休光忠。

信長が堺の豪商たちに光忠作を並べて実休光忠を当ててみせろ、と言ったところ、鑑定人と名高い木津屋が見事実休光忠を当てた。

當時木津屋能從二十餘口光忠作中辨出實休光忠,所依據的就是那把實休光忠有崩口的說法。

この時、木津屋が20口以上ある光忠作から実休光忠を当てた方法が、実休光忠にある刃こぼれの話だ。

因為是在安土城舉行的實休光忠辨認遊戲,故此前的實休光忠也有崩口,且這也證明在信長所持的光忠作裡,沒有其他有崩口的刀。

安土城で行われた実休光忠当てゲームゆえ、それ以前の実休光忠にも刃こぼれがあり、かつ信長が所有している光忠作には、他に刃こぼれしている刀がない証拠である。

「別急,靜子。再看看其他刀如何?你瞧,這把的刀裝實在精美!」

「そう急くな、静子。もう少し他の刀も見てみぬか。ほれ、これなぞ実に見事な拵えをしておる!」

說罷信長拿起大倶利伽羅廣光,像催促般遞向靜子。誰都看得出信長心神不定,但靜子仍十分冷靜地回應。

そう言って信長は大倶利伽羅広光を手に取り、催促するように静子へ差し出す。誰の目にも信長が動揺しているのは分かるが、静子は至って冷静に言葉を返す。

「再佔用館主大人的時間實在失禮。我這等人,這把有崩口的一口就已足夠。」

「これ以上、お館様のお時間を取るのは失礼に当たります。私如き、この刃こぼれした一口で十分でございます」

「咕……你果然知道啊」

「ぐっ……貴様、知っておるな」

「那是指什麼事呢?」

「何の事でございましょうか」

若是普通的下賜品,靜子也會挑把合適的就結束,但可惜這次下賜的是靜子也熱衷的刀劍,因此這把她無法讓步。

普通の下賜品なら静子も手頃なもので終わらせたが、残念ながら静子も熱を入れる刀剣が下賜品だ。ゆえにこればかりは譲れなかった。

「呵呵呵,靜子也會這樣說話了呢」

「くっくっくっ、静子も言うようになったな」

信長慌亂了一會兒,卻忽然露出不懷好意的笑容。或是因為冷靜下來,亦或是對如此堅持己見的靜子生出好感。

暫く慌てていた信長だが、ふいに不敵な笑みを浮かべる。落ち着いたのもあるだろうが、これほど我を通す静子に好感を抱いたのもある。

「但你有弱點,靜子……命令。把實休光忠獻給我!我會給你兩口名物作交換。」

「だが、貴様には弱点がある。静子……命令じゃ。実休光忠をわしに献上しろ! 代わりに名物を二口くれてやる」

「哇,太卑鄙了!」

「うわ、卑怯ですよ!」

靜子的弱點,就是無法違抗信長的命令。在設法應付那些無理要求的過程中,靜子已經對信長的命令形成無意識的反應。

静子の弱点、それは信長の命令には逆らえない、という事だ。無理難題を何とか解決している内に、静子は信長の命令に対して無意識に反応するようになっていた。

靜子抱頭思索。她心中忠犬般的服從與名物蒐集的念頭相互拉扯。沉吟片刻後,靜子嘆了口氣,向信長提出折衷案。

静子は頭を抱えて考える。彼女の中では、忠犬精神と名物蒐集精神がせめぎ合っていた。暫くして静子はため息を吐くと同時に折衷案を信長に示す。

「那麼……以獻上實休光忠為交換,我要求一口光忠作以及另外兩口刀!」

「でしたら……実休光忠を献上する代わりに、光忠作一口と他二口の刀を所望します!」

「嗯,無妨。」

「うむ、構わぬぞ」

這個幾乎是走投無路時說出的折衷案,卻被信長爽快地接受。對他而言,只要能把實休光忠拿回來,其他刀放手也沒問題。不,情形還有些不同。

やけっぱちで言った折衷案だが信長はあっさり了承した。彼からすれば実休光忠さえ返ってくれば、他の刀は手放しても問題ないとの事なのだろう。否、少し違った。

「……等等,什麼時候刀變少了!」

「……って、いつの間にか刀が減っている!」

起初是光忠六口與其他刀四口,現在卻只剩大倶利伽羅廣光、鶴丸國永、へし切り長谷部,還有兩口光忠作,共計五口陳列著。

最初は光忠6本と他の刀4本だったが、今は大倶利伽羅広光に鶴丸国永、へし切り長谷部、光忠作が2本の計5本しか並んでいなかった。

不知何時信長已把一些刀收起,眼前擺著的正是原本打算下賜給靜子的那些刀而已。

いつの間にか信長が刀を片付けていた。さらに今、静子の目の前に並んでいる刀は、元から信長が静子に下賜する予定の刀だけだ。

「居然在這時候表現出小氣來」

「こ、ここにきて吝嗇さを発揮するとは」

「說我小氣可失禮了。這不就是高超的策略嗎?」

「吝嗇とは失礼な奴じゃ。高度な駆け引きと言わぬか」

「唔唔唔。那麼,我要大倶利伽羅廣光和長谷部國重(也就是へしきり長谷部),還有這把光忠作(燭台切光忠)。」

「ぬぐぐぐっ。で、では大倶利伽羅広光と長谷部国重(へしきり長谷部)、それからこの光忠作(燭台切光忠)を所望します」

「好吧。三口都拿去吧。」

「良かろう。三口とも持って行くが良い」

見到靜子投降的樣子,信長露出得意的表情。靜子以為自己能勝,但畢竟是與長期在朝廷、將軍、國人間周旋、做政治博弈的信長對局,勝算不大。

静子が降参した姿を見て、信長は勝ち誇った顔をする。勝てるかなと思った静子だが、流石に朝廷や将軍、国人たちと政治的駆け引きをし続けた信長だ。

以靜子的策略沒有勝算。不過靜子也並非真心渴求實休光忠,於是她轉而積極地想著能得到三口刀也值得高興。

静子程度の策では勝ち目はなかった。もっとも静子も本気で実休光忠が欲しかった訳ではないので、三口貰える事に喜ぼうと前向きに考えることにした。

三口刀果然無法徒手攜帶,於是她決定背著燭台切光忠與へし切り長谷部,手提大倶利伽羅廣光。

流石に三口は手で持ち運べないので、燭台切光忠とへし切り長谷部を背負い、大倶利伽羅広光を手で運ぶ事にした。

「回去料理家臣也懶得麻煩,暫時陪我聊會兒吧。」

「戻って家臣へ気を遣うのも億劫だ。暫くわしの話に付き合え」

「(雖然我也算是家臣……)哈,遵命。」

「(一応、私も家臣なのだけど……)はっ、承知しました」

信長滿意地點頭,從懷中掏出一袋裝著鯛魚燒和大判燒的點心攤在面前,取下腰間的竹水筒,打開蓋子喝了一口茶。

静子の返事に満足げに頷くと、信長は懐からたい焼きや大判焼きが入った袋を取り出し、自分の目の前に広げる。腰の竹水筒を外すと、蓋をあけて中のお茶を一口飲んだ。

「那麼,要從什麼開始說起呢?」

「さて、何から話そうかの」

這會是場長談,靜子心裡雖感厭煩,仍輕輕點了點頭。

これは長丁場になる、そう思った静子は内心辟易しながらも小さく頷いた。