戦国小町苦労譚
千五百七十一年 九月中旬
當信長將坂本化為焦土之時,靜子奉勅與秀吉一同攻打小谷城,牽制住淺井久政。當然這是由靜子軍與秀吉軍組成的臨時聯合部隊,但指揮系統各自獨立。
信長によって坂本が焦土と化しているころ、静子は勅命を受けて秀吉と共に小谷城を攻め、浅井久政を釘付けにしていた。無論静子軍、秀吉軍の両軍からなる寄り合い所帯だが指揮系統はそれぞれ独立していた。
兩軍正攻打守備側要衝的大手口。
守備側の要である大手口を両軍は攻めていた。
大手口既是城防重點也是要害,一旦被突破,敵軍便會蜂擁而入,因此守方在此投入大量人力並布置精銳。
大手口は城の防衛の要であるとともに急所でもある。ここを抜かれると敵軍が大挙して攻め込んでくるため防衛側も多くの人員を割き精鋭を配していた。
時間上在信長攻打坂本之前就已開始圍城,但攻城向來對守方有利,局勢一直僵持不下,甚至可以說是處於劣勢。
時期的には信長の坂本攻めの前から攻囲戦を行っているが、城攻めは防衛側が有利であり一進一退の状態が続いていた、否、むしろ劣勢ですらあった。
不過劣勢是有原因的:靜子軍退下了精銳,只以新兵和訓練不足的部隊反覆進行規律性的戰鬥。
しかし劣勢には理由があった。静子軍は精鋭部隊を下げ、新兵や練度の低い部隊のみを用いて規則正しい戦闘を繰り返していた。
每天在固定時刻發起攻勢,不做強硬的硬碰硬,而是漫無目的地施加壓力,日暮即撤。
毎日決まった時刻に戦端を開き、無理な力押しをせずに漫然と圧力をかけるに終始し、日暮れと共に撤退する。
在敵方眼中,這無非是徒然消耗、無法取得戰果的愚策。
敵側からすれば徒(いたずら)に消耗するだけで戦果のあがらない愚策にしか見えなかった。
當然,這是為了在對方心中植入某種想法的陷阱;守軍便以為織田軍只會在白天攻擊,夜間則完全不動。
無論、これは相手にある考えを植え付けるための罠だ。つまり織田軍は昼間しか攻めてこず、夜間は全く何もしてこないと防衛を担う者たちは考えた。
若持續七日同樣手法,夜間巡視自然會趨於怠忽,而這份鬆懈正是靜子所渴望的。
七日も同じことを続ければ夜半の見回りも等閑(なおざり)になりがちだ。その油断こそ、静子が欲してやまないものであった。
「諸位,今天是十二日。館主攻打坂本應該已經結束。既然如此,我們也差不多可以轉為攻勢,盡情立下武勳吧」
「さて皆さん、今日は十二日です。お館様の坂本攻めは終わっている頃でしょう。であれば、我々もそろそろ攻めに転じても良い頃合いです。存分に武功を立てましょう」
靜子面向在場諸人平淡地說道。她依舊不露鋒芒,但與她相識已久的才藏知道她正暗中準備些什麼。
集まった面々に向かい静子は淡々と語る。相も変わらず気負いを感じさせない態度の静子だが、長い付き合いのある才蔵は彼女が何かを仕込んでいる事を理解した。
「百聞不如一見,與其詳說不如親眼所見為快」
「百聞は一見に如かず、詳しく語るより見る方が早いでしょう」
說完這句話便打住,靜子請玄朗集合指定的兵士,並命才藏從月ヶ瀬城取回某樣東西。
それだけ言うと話を打ち切った静子は、玄朗に頼んで指定の兵士たちを集めさせた。また才蔵に月ヶ瀬城からあるものを回収するよう命じた。
「今日將使用些許危險的東西,會有廣泛影響,請比平常後撤並待命」
「本日、少々危険なものを使います。広範囲に影響が出るので、いつもより部隊を下げて待機してください」
兵士們雖然完全不知所云,但對於後撤的命令並未表示不滿。
何の事かさっぱり分からなかった兵士たちだが、後ろに下がれという命令に不満はなかった。
當各小隊都接到通知後,靜子提弓站了起來。
各小隊に連絡が行き届くと静子は弓を手に立ち上がる。
如常抵達大手門前,先到的秀吉一見到靜子立刻帶著秀長與半兵衛奔向她。
いつものように大手門前に到着すると、先に来ていた秀吉が静子の姿を見るやいなや秀長と半兵衛を連れて静子のもとへ駆け寄ってきた。
「差不多該說要做什麼了吧。半兵衛好像知道些什麼,可他根本就不告訴我」
「そろそろ何をするか、教えて欲しいものじゃのぅ。半兵衛は知っておるようだが、わしにも全く教えてくれぬ」
「呵呵,我也半信半疑,但既是與靜子殿的約定;據說今日要示範計策,應會告知詳細吧」
「ふふっ、某も半信半疑ですが静子殿との約束ですゆえ。ですが、本日策を披露するとの事ですので、詳細を教えて頂ける事でしょう」
這次作戰僅事先告知半兵衛,但半兵衛也只知概要,未掌握細節。眾人以為是為防止情報外洩,然而靜子另有目的。
今回の作戦は半兵衛にのみ事前に説明をしていた。しかし半兵衛も概要だけを知らされており詳細までは把握していなかった。情報漏れを警戒しての事かと彼らは考えたが、静子は別の事を狙っていた。
既然攻打大手口,淺井方面的間諜極可能潛入我軍。為了向他們傳遞『要做些事』的訊息,靜子刻意只隱匿核心部分而故意放出些資訊。
大手口を攻めている以上、浅井側からの間者は自軍に入り込んでいる可能性が高い。その彼らに「何かをするぞ」と教えるために、静子は核心部分のみを隠蔽しつつ敢えて情報を流していた。
「哈哈,口頭解釋容易……不如親眼看來得快」
「ははっ、口で説明するのは簡単なのですが……それより見る方が早いと思います」
「咦,為何如此。到了開戰在即的階段也不必再過度提防間者吧?」
「ぬ、何故じゃ。流石に開戦を目前に控える段になってまで間者を警戒する必要もあるまい?」
「兄上,靜子殿看起來頗有自信。不如就靜觀其變也是一種趣味。若內容太讓人失望的話……就喝杯清酒解悶吧」
「兄上、どうやら静子殿は自信があるご様子。ここは一つ、黙って成り行きを見守るのも一興ですぞ。あまりにも白ける内容であれば……そうですね、清酒の一杯でも振る舞って頂きましょう」
當靜子對仍顯得好奇的秀吉感到為難時,秀長帶著笑容替她解圍。被弟弟秀長這麼一說,秀吉只好乖乖退讓。
なおも知りたそうな態度の秀吉に静子が困っていると、秀長がにこやかな表情で彼女に助け船を出す。流石に弟の秀長から言われては、素直に引き下がるしかないと秀吉は考えた。
「沒辦法。但執行時要好好告訴我喔!」
「仕方ない。じゃが、実行するときはちゃんと教えるのじゃぞ!」
強調過後,秀吉帶著兩人回到自己的陣地。臨行時秀長朝她投以似有話要說的目光,靜子因此理解需在實行前通知秀吉。
念押しした後、秀吉は二人を連れて自分の陣へ戻っていった。去り際に秀長が何か言いたげな視線を向けてきた事を見るに、実行直前に秀吉へ連絡する必要があると静子は理解した。
(不愧是秀長,真會操縱秀吉。某種意義上可以說是在操控他)
(流石は秀長だね。ほんと、秀吉の扱いがうまい。ある意味、秀吉を操っているとも取れるね)
秀吉若猶豫,他會輕推其背;若秀吉生氣,則善於安撫消解怒氣,且總是第一時間幫秀吉取得所欲之物。
秀吉が悩めばそっと背中を押し、秀吉が怒ればうまくなだめて怒りを解消させ、秀吉が望むものをいの一番に手に入れてくる。
某種意義上可說秀長在控制秀吉,但他只是總帶笑容,從不自誇武功。
ある意味では秀吉をコントロールしていると言っても良い秀長だが、彼はいつもにこやかな表情をするだけで決して自らの武功を誇ることはなかった。
(好啦準備已經完成,應該可以認定他已知曉昨晚的事)
(まぁ準備は完了しているけど、昨晩の事は知っているとみて良いね)
秀長觀察敏銳,從靜子至今的行動大致能猜到她的企圖。可以認為竹中半兵衛即便不知細節,也掌握了大致流程。
察しの良い秀長だ、静子が今までしてきた事から、何を企んでいるかおおよそは掴んでいるだろう。恐らく竹中半兵衛も詳細は知らずとも、おおよその流れは掴んでいると考えて良い。
這兩人是不想成為敵人的,靜子這麼想著,移向既定位置。
敵に回したくない二人だ、と静子は思いつつ所定の場所に移動する。
「半刻後(約一小時)開始」
「半刻後(約一時間)に開始します」
果如所言,靜子一小時不動。時間到一小時後,近午時她終於行動,先召秀吉等人到她身旁。
言葉通り静子は一時間じっとするだけで動かなかった。そして一時間後、昼前にようやく静子は行動を起こす。彼女はまず秀吉たちを自分のもとへ呼び寄せる。
「終於到了。等好久了!」
「ようやくか。待ちわびたぞ!」
秀吉激動期待地歡呼,半兵衛與秀長苦笑;對像孩子般興奮的秀吉,靜子也苦笑。
期待に胸を躍らせる秀吉に半兵衛と秀長は苦笑する。子どものようにはしゃぐ秀吉に、静子も苦笑いを浮かべる。
「好了,接下來要做的極其簡單,就是破壞那扇門」
「さて、これからする事は至って簡単。あの門を破壊します」
清了清喉嚨改變氣氛後,靜子一邊指向大手口的大手門一邊說明。
一つ咳払いをして空気を変えた後、静子は大手口にある大手門を指さしながら説明する。
破壞大手門——若能做到,現在的情勢將大為改變。雖然三人已經理解靜子要做的事,但很快便產生了疑問。
大手門を破壊する、それができれば今の状況は大きく変わるだろう。静子が何をするか理解した三人だが、すぐに疑問がわき上がる。
「你打算用什麼方法摧毀大手門?」
「いかような方法で大手門を破壊されるのです?」
那是摧毀大手門的方法。若以摧毀大手門為目的,便與靜子到現在為止反覆進行的平凡交戰相矛盾。
それは大手門の破壊方法だ。大手門の破壊が目的なら、今まで静子が凡戦を繰り返してきた事と矛盾する。
既沒有殲滅防守的足輕,只是反覆消耗,這和那又有何關聯,三人不明白。
防衛する足軽たちを殲滅する様子もなく、ただ消耗を繰り返していた事と何が関係しているのか、そこが三人には分からなかった。
「哎呀哎呀,現在就讓你們看看,請稍待片刻」
「まぁまぁ、今からご覧に入れますので、しばしお待ち下さい」
輕輕化解三人的困惑後,靜子移到一個剛好的位置。
困惑する三人を軽くいなすと静子は丁度良い位置に移動する。
她上馬,用雙筒望遠鏡確認大手門。確認目標物已牢固安裝且對方尚未發覺後,靜子把擴音器放到口邊,用一貫毫不在意的語氣開口。
馬に乗り、双眼鏡で大手門を確認する。しっかりと目当ての物が取り付けられており、相手側はそれに気づいていないことを確認した静子は、メガホンを口に当てるといつもと変わらぬ様子で言葉を紡いだ。
「告訴守衛大手口的淺井士兵,現在要認真進攻了。首先會破壞大手門,不想死的人請離開大手門。」
「大手口を守る浅井兵に告ぐ、そろそろ大真面目に侵攻します。まずは大手門を壊すので、死にたくない人は大手門から離れていて下さい」
語氣毫無氣勢,反而讓人放鬆防備的話響徹大手口。淺井兵一瞬愣住,回過神後四處爆出嘲笑。
迫力なく、逆に気が抜けそうな言葉が大手口に響く。一瞬、呆気にとられた浅井兵だが我に返ると、あちこちで嘲笑がわき起こった。
但靜子早已料及他們的態度,放開擴音器後拔弓上弦。
しかし、彼らの態度は織り込み済みで静子はメガホンを離すと、弓を構える。
(果然在這時失手會很丟臉。好好瞄準——)
(流石にここで外したら恥ずかしい。よーく狙いをつけてっと)
「喂喂,要用箭把門打壞?笑話還是留在嘴上吧。」
「おいおい、矢で門を破壊するってか。冗談は口上だけにしとけよ」
淺井兵喝倒彩,但靜子沒有理會,瞄準安置在大手門上的某物。當她覺得目標穩定的瞬間放箭,箭劃出弧線漂亮地射中大手門的一處。
浅井兵が野次を飛ばすが静子は取り合わず、大手門に仕掛けたあるものを狙う。狙いが定まったと感じた瞬間、静子は矢を飛ばす。それは弧を描いて綺麗に大手門の一カ所に当たった。
瞬間伴隨如雷霆般的巨響大爆炸,大手門向後被炸飛。
瞬間、落雷のような轟音を伴う大爆発と共に大手門が後方へ吹き飛んだ。
它直線衝飛約三公尺,碾壓直線上的淺井兵,然後那巨大的大手門發出沉重聲響落在地上(……)。落下的衝擊揚起砂塵。
直線上にいる浅井兵を轢き潰しながら三メートルほど飛んだ後、巨大な大手門は重量感のある音を響かせて地面に落ちた(・・・)。落下時の衝撃で砂塵が巻き上がる。
過了片刻砂塵散去,視野變得清晰,但沒有人發出一句話。
少しして砂塵が晴れ、視界が良好になるが誰一人として言葉を発しなかった。
淺井兵、織田兵,以及靜子身後的秀吉、半兵衛、秀長,無一人能理解剛才發生了什麼。
浅井兵も、織田兵も、そして静子の後ろにいた秀吉や半兵衛、秀長も、誰一人として何が起きたか全く理解出来なかった。
此時靜子放下弓,再次把擴音器貼在口邊,用與先前無異、毫無激動的聲音說道。
そんな中、静子は弓を下ろすと再びメガホンを口に当てて、先ほどと変わらず気負いの欠片もない声で言葉を発する。
「好了,大手門已被破壞,現在開始侵攻。從現在起數十秒內接受投降。全軍將發起攻勢,請盡早決定。那麼──一個、兩個、三個」
「さて、大手門の破壊が終わったので、これから侵攻を開始します。今から十数える間だけ降伏を受け付けます。全軍で攻め込むので早めに判断して下さいね。それではひとーつ、ふたーつ、みーっつ」
織田兵因過於震驚而呆滯,但被靜子不合現場氛圍的輕快數數聲喚回,終於想起該做的事準備戰鬥。
余りの状況に呆然としていた織田兵だが、静子の場にそぐわない軽快なカウントにようやく己のすべきことを思い出し戦闘準備をする。
然而,沒有人懂得究竟是靜子做了什麼導致大手門被炸飛。
だが、誰一人として静子が何をした結果として大手門が吹き飛んだのか理解できなかった。
「四──、五──」
「よーっつ、いつーつ」
弓騎兵隊也從混亂中恢復,慌張地舉弓。那聲響一響,四處的織田兵開始擺出衝鋒的姿態。
弓騎兵隊も混乱から立ち直り、慌てて弓を構える。その音に反応してあちらこちらにいる織田兵が突撃の構えを取り始める。
「六──、七──」
「やーっつ、ここのーつ」
「等、等一下!投、投降。我會下去的,別攻擊我啊!」
「ま、待ってくれ! こ、降参だ。そちらに下るから、攻撃しないでくれぇ!」
就在靜子只要揮手一下就要開始侵攻的前一刻,淺井軍提出投降。靜子仍舉著手,單手拿著瞄準鏡觀察他們的情況。
後は静子が腕を振り下ろせば侵攻が開始する一歩手前で、浅井兵側が降伏を申し出た。静子は手を上げたまま、スコープを片手に彼らの様子を確認する。
(哎呀,是不是威嚇過頭了?他們看起來非常害怕,有點讓人覺得可憐)
(ありゃ、少々脅しすぎたかな? 凄く怯えていて、ちょっと可哀想になってきた)
有人愣愣地站著,有人顫抖抱頭,還有人失禁昏厥。雖然不知道發生了什麼,但可能想到有一種能一擊炸飛城門的武器,且可能會對準自己,看到從根部被撕裂飛散的前大手門的殘骸,便把自己的未來投射到那物上而絕望了,靜子如此想道。
呆然と立ち尽くす者、震えて頭を抱える者、中には失禁したまま気絶している者もいた。何をされたか分からないが一撃で城門を吹き飛ばす武器があり、それは己に向けられる可能性があることに思い至ったのだろう、付け根から引き千切れ吹き飛んだ元大手門だった物体に己の未来を重ねて絶望したのでは、と静子は思った。
她仔細觀察後判斷淺井兵沒有抵抗意志,便對著他們說道。
深く観察したが浅井兵に抵抗の意思がないと判断すると、静子は彼らに向かって言葉を発した。
「那麼請把所有武器全部向後丟棄,雙手於後頸交叉伏於地面。若有任一人仍然站立或不配合解除武裝,將視為有抵抗之意。」
「それでは武器全てを後方へ投げた後、両手を首の後ろで組んで地面に伏せて下さい。一人でも立っていたり、武装解除に応じなかったりしたら抵抗の意思あり、と見なします」
淺井兵照著指示把所有武器往後丟。昏迷者的武器由附近的人奪下,然後用力往後拋。
言われるがまま浅井兵は、所持している全ての武器を後ろへ投げる。気絶している者は付近にいる者が、腰に下げた刀や槍を奪い取ると、後ろへ力いっぱい投げていた。
慌慌張張地解除武裝的人陸續伏地。確認視線範圍內無人站立後,靜子向仍帶困惑的士兵下達號令。
大慌てて武装解除し終えた者から地面に伏した。目に見える範囲で立っている者がいない事を認識した静子は、いまだ困惑気味の兵たちに号令を出す。
「先鋒隊,確認大手口狀況!」
「先行隊、大手口の様子を確認!」
「是……是!」
「は……はっ!」
玄朗一瞬呆滯反應遲鈍,但立刻轉換心情回報,率領五百名穿過大手口。
一瞬、呆けていて反応が遅れた玄朗だが、すぐさま頭を切り換えて返事をすると500名を引き連れて大手口をくぐり抜ける。
回收被丟棄的武器並確認淺井兵的狀況,並未感覺到抵抗的意思。
投げ捨てられた武器を回収し、浅井兵たちの様子を確認するが、抵抗の意思は感じられなかった。
「一個一個脫下盔甲。被拍肩者起來!」
「一人ずつ甲冑を脱がす。肩を叩かれた者から立ち上がれ!」
確認武器已被運至織田軍帳內後,玄朗接著剝奪所有淺井兵的盔甲。因費時,將淺井兵分成數個小組脫去盔甲。
武器が織田軍の陣まで運ばれた事を確認した玄朗は、次に浅井兵全員の甲冑を剥奪する。時間がかかるため、幾つかのグループに分けて浅井兵の甲冑を脱がした。
解除武裝後給予少量路費和一、兩天的糧食,然後讓他們各自回家。最後這份施捨超出常理,淺井兵不禁回望織田兵。
武装解除が済めば僅かな路銀と1,2日の食料を持たせ、各自帰路につかせた。流石に最後の施しは理解の範疇を超えたのか、浅井兵は思わず織田兵を見返す。
「吾主大慈大悲。對於像你們這種雜兵的死也會哀傷。因此投降者解除武裝後若要回家,將予以放過。」
「我が殿は大変に慈悲深い。貴様らのような雑兵の死にも悲しまれる。ゆえに降伏した者は武装解除後、家へ帰るならば見逃す事となっておる」
玄朗回答了困惑的淺井兵。他與靜子不同,用具有迫力的聲音繼續說道。
困惑した浅井兵の疑問に玄朗が答える。彼は静子と違って迫力のある声で言葉を続ける。
「不過!殿的慈悲也只有一次!你們別以為可以永遠依賴殿的慈悲。下次在戰場上遇到你們,我會毫不留情地斬殺。好了,快走吧!」
「しかし! 殿の慈悲も一度限りじゃ! 貴様ら、殿の慈悲にいつまでも甘えられると思うなよ。次にいくさ場で会えば、容赦なく斬り捨てる。さぁ、もうゆけ!」
說完話後玄朗就驅散了淺井的士兵。士兵們紛紛脫下武具,回家去了。
言うことを言い終えると玄朗は浅井兵を追い払う。次々と兵が武具を脱ぎ捨て、家へと帰る。
不到一小時,所有在大手門的淺井兵全都遣返。被捲入大手門的屍體也與生石灰一同埋入深坑,覆土成了簡陋的墓塚。
一時間もしない内に、大手門にいた浅井兵は一人残らず帰された。大手門に巻き込まれた死体も深い穴に生石灰と共に埋められ、盛り土をして簡素な墓とした。
「解體啊!」
「解体じゃあ!」
將淺井士兵從大手口驅離後,玄朗與部署好的兵力一起大聲下令。黑鍬衆像等不及似地高聲應和,衝向建築物進行突擊。
浅井兵を大手口から追い払うと、玄朗は兵配備と共に大声で命令を飛ばした。その命令に待ってましたと言わんばかりに黒鍬衆が喚声を上げて建物へ突撃する。
他們的任務是拆除防禦設施。平時多半是在蓋建築的他們,難得做拆除這種工作,心情都頗為高昂。
彼らの役目は防衛施設の解体だ。普段、建物を建てる事が多い彼らは、滅多にしない解体という作業に気分が高揚していた。
他們把板子撕下,有時還會破壞結構,逐步拆解建物。被拆下的資材陸續運出,作為中古材料以破格價格賣給近江商人聯合。
板を引っぺがし、時には破壊したりして建物を解体していく。解体された資材は順次運び出され、中古資材として近江商人連合たちに破格の値段で売り払われた。
織田軍能破壞小谷城的防禦網,黑鍬衆因為拆解工作而心滿意足,近江商人聯合也能以破格價收購資材,真可說是各取所需的局面。
織田軍は小谷城の防衛網を破壊でき、黒鍬衆は解体作業で満足し、近江商人連合たちは資材を破格の値段で買い取れる。まさにみな幸せな状態だ。
若要說不幸的人,大概就是淺井久政,以及不得不眼見自己所築防禦設施在眼前被拆毀、從頭到尾目睹一切的長政了。
敢えて不幸な人を挙げるなら浅井久政、そして自分の築き上げた防衛施設が目の前で解体されていく様を、一部始終見る事になった長政であろう。
「繼續拆除!」
「どんどん解体せよ!」
玄朗催促黑鍬衆,黑鍬衆揮動手斧,用破壞的聲響回應。
玄朗が黒鍬衆たちに発破をかける。それに対し、黒鍬衆たちは手斧を振るい破壊音で応えた。
另一方面,位於織田軍本陣的靜子正遭受秀吉的連番質問。
一方、織田軍の本陣にいる静子は、秀吉からの質問責めにあっていた。
「是爆藥?就憑那麼一點量,怎麼把大手門破壞的?」
「爆薬じゃと? それだけの量で、どうやって大手門を破壊したのじゃ?」
「嗯……詳細的計算就省略了——」
「ええとですね。詳しい計算は省きますけどーー」
對於興致不盡的秀吉靜子頗感無奈,但即便他問完,後頭還有秀長與竹中半兵衛等著。靜子正認為這恐怕要耗上一整天時,秀長忽然開口了。
興味が尽きない秀吉に静子は辟易としていたが、彼が終わっても後ろに秀長と竹中半兵衛は控えていた。これは一日潰れそうだな、と静子が諦めていると、ふいに秀長が口を開いた。
「兄上,該讓我們也來問幾個問題了。剛才一直沒機會插嘴。」
「兄上、そろそろわしらにも質問させて頂きたい。先ほどから口を挟む暇がございません」
「嗯、不過啊……」
「ぬ、しかしだな」
「‘不過’也不准有。兄上從今以後禁止提問。」
「しかしも案山子(かかし)もございません。兄上はこれ以降、質問は禁止です」
秀長罕見地加重語氣,秀吉只好不情願地退到後方。秀長苦笑於他仍未放棄,然後轉向竹中半兵衛。
珍しく語気を強めた秀長に、秀吉はしぶしぶといった態度で後ろに下がった。今もなお諦めていないことに秀長は苦笑すると、竹中半兵衛の方をむく。
「恐怕會問到相同的問題。既然如此,就請半兵衛殿先問吧。」
「恐らく同じ質問をするであろう。であれば、半兵衛殿からどうぞ」
「多謝。那麼……此次的戰事,靜子大人您有何企圖?」
「これはかたじけない。では……今回のいくさ、静子殿は何を目論んでおられたのですか?」
向秀長行了個禮後,竹中半兵衛發問。秀長似乎也打算照宣告問相同的問題,一面微笑著點頭。
秀長に一礼した後、竹中半兵衛は質問を口にする。秀長も宣告通り同じ質問をする気だったようで、笑みを浮かべながら頷いていた。
在秀吉對靜子發問時,竹中半兵衛回想起靜子至今的所作所為。她明明擁有能輕易破壞大手門的能力,卻至今未主動攻擊,只是一再進行平凡的交鋒。
秀吉が静子に質問している間、竹中半兵衛はこれまで静子がしたことを思い返していた。大手門を簡単に破壊できる力を持ちながら、彼女は今日まで攻めず凡戦を繰り返していた。
起初竹中半兵衛以為那只是為了把敵人引到大手口的拖延戰,但現在大手門輕易被破,他便認為其中另有算計。
最初は敵を大手口に引き付けておくための凡戦かと竹中半兵衛は考えたが、大手門を簡単に破壊した今、別の思惑が込められているのではと彼は結論づけた。
「其實沒什麼大計……要說的話,大概是『製造一種模糊不明的狀態』吧。」
「別に大した思惑はないのですが……強いてあげるなら『あやふやな状態を作った』でしょうか」
「模糊不明的狀態?」
「あやふやな状態?」
對於靜子帶著害羞的笑,竹中半兵衛便用同樣的語氣反問。
照れ笑いする静子の言葉に竹中半兵衛はオウム返しに問う。
「聽了我的解釋的竹中大人知道我所設的『陷阱』。但淺井一方呢?還有那些看著此戰的間者呢?從他們的角度來看,我到底做了什麼,難道不會感到疑惑嗎?」
「私の説明を聞いた竹中様は、私がした『仕掛け』を知っています。でも浅井側は? また、このいくさを見ていた間者たちは? さてはて、彼らから見て私は一体何をしたのでしょうか、となりませんか」
「嗯,確實……」
「む、確かに……」
靜子所做的,是現代也會用來破壞門扇的方法。
静子がしたことは、現代でも行われる扉を破壊する方法だ。
沿著門的接縫貼上像賽姆特克斯這類的塑膠爆藥,最後斜對角貼上並在中央埋入信管。
門のつなぎ目に沿ってセムテックスなどのプラスチック爆薬を貼り、最後に対角線に貼り付けて中央部分に信管を埋める。
之後用各種方法引爆信管,爆炸的衝擊會使門向後飛開,或僅破壞固定的金具使門在原地倒塌。
後は信管を様々な方法で起爆すれば、爆発の衝撃で扉が後方へ飛ぶか、固定の金具だけが破壊されてその場に倒れる。
這次靜子所做的也幾乎一樣。她用的不是賽姆特克斯,而是阿爾弗雷德·諾貝爾發明的世界首款塑膠炸藥──凝膠炸藥(Gelignite)。
今回、静子がしたのもそれとほぼ同じことだ。セムテックスではなくアルフレッド・ノーベルが発明した、世界初のプラスチック爆薬であるゼリグナイトを使用した。
與矽藻土炸藥不同,凝膠炸藥有不會滲出硝化甘油的優點,因此自當時起就是相當便利的炸藥。
珪藻ダイナマイトと違い、ゼリグナイトはニトログリセリンが染み出さない利点ゆえ、当時から便利な爆薬だった。
(本來是為金、銀礦山開發炸藥,結果不小心產生了意想不到的副產品呢)
(金山や銀山用にダイナマイトの開発をしていたけど、思わぬ副産物が出来ちゃったのよね)
近年已被安霍炸藥取代而較少見,但談到用於礦山開採的炸藥,達那邁特仍然很有名。
近年はアンホ爆薬に取って代わられ日の目を見ない爆薬だが、鉱山発掘に使用する爆薬と言えばダイナマイトが有名だった。
將硝膠(nitrogel)與硝酸銨、降低熱釋放的抑燃劑(如食鹽)混合,就能製成用於礦山開採的達那邁特炸藥。
ニトロゲルに硝酸アンモニウム、減熱消炎剤(食塩など)を混ぜれば鉱山採掘用のダイナマイトが完成する。
但硝化甘油是不穩定的物質,製作需要高度的設備。此外在把硝化纖維素與硝化甘油混合時,若溫度與濃度管理失敗,就會發生爆炸事故。
しかし、ニトログリセリンは不安定な物質で、製作に高度な設備を要求される。更にニトロセルロースをニトログリセリンと混合するとき、温度と濃度管理に失敗すると爆発事故が起こる。
現代會先加壓並使其能在高溫下穩定後再混合,但在戰國時代要製造加壓室相當困難。因此靜子採用了以低溫室代替加壓室、在那裡進行混合的方法。
現代では加圧し、高温でも安定するようにしてから混合するが、戦国時代に加圧室を作ることは難しい。そこで静子は加圧室の代用として低温室を作り、そこで混合する方法を採用した。
混合耗時且只能少量製作,但即便如此,僅憑達那邁特的威力就足以帶來超出預期的效果。
混合に時間がかかる上に、少量しか混合出来ないが、それでもダイナマイトの威力だけで充分すぎるほどのお釣りが返ってくる。
「在植入夜間無戰鬥的既定觀念後,趁夜色暗中安置爆藥,因而不知內情的敵人便無法信任城門。無論門造得多堅固,都會懷疑能否承受。那份不安化為侵蝕自身的壓力,終使正常思考無法為。若與付城戰術結合,敵人便無法保持理智」
「夜間戦闘は無いという固定観念を植え付けた上で、夜暗に乗じて爆薬を仕掛けましたので細工を知らぬ敵は門に信用がおけなくなる。どれほど強固に作ろうとも、門が耐えきれるか不安を感じる。その不安が自身を蝕む重圧となり、やがて正常な思考ができなくなる。付城戦術と組み合わせれば、もはや敵は正常でいられなくなる」
「不過,也會有人保持理智吧。那類對手很難對付的」
「しかし、正気を保つ人間もおりましょう。そういった相手はしぶといですよ」
竹中半兵衛的疑問很有道理。就算對防禦設施感到不安,僅憑這點人也不會輕易崩潰。
竹中半兵衛の疑問はもっともだ。いくら防衛施設に不安を抱いても、それだけで人は簡単に壊れない。
即使有人帶著不安仍堅忍度過也不奇怪。
不安を抱えながらも耐え抜く人間が出てきても、不思議ではなかった。
「確實一兩個人或許撐得住。但只是忍耐就能解決問題嗎?」
「確かに一人か二人ぐらいは耐えられるでしょう。しかし、耐えて解決する問題ですか?」
「……也就是說,光是忍耐毫無意義嗎」
「……耐えるだけ無意味、ということか」
「用付城戰術把周圍包圍,後援再也指望不上。守城的大手門會在瞬間被輕易突破。織田軍難道還有其他暗招?以現在的城與兵力能守得住嗎?越是聰明的人越會無謂地想得更深,而一旦聰明人倒下……決策便變得困難」
「付城戦術で周囲を取り囲まれて後詰めは期待出来ない。城を守る大手門はいとも容易く一瞬で突破される。織田軍は他にも隠し球を持っていないか? 今の城と兵で守り切れるのか? 頭の良い人間ほど、無意味に深く考えてしまう。そして頭の良い人間が潰れれば……もはや意思決定は困難となる」
織田軍用付城斷絕援軍,一擊炸毀本該堅固的大手門。這點從結果明明白白可見,但『如何』被炸飛卻不得而知。
織田軍が付城を用いて援軍を断ち、堅牢なはずの大手門を一撃で吹き飛ばした。これははっきりと結果が残っているので判る。だが『どのように』して吹き飛ばしたのかが判らない。
能看見結果卻不明白過程,會極度誘發對方的不安。對方會疑心暗鬼是不是還有別的底牌,從而產生精神上的消耗。
結果が見えるのに過程が不明瞭な状態は、相手にとってこの上なく不安感を誘う。他にも何か隠し玉があるのではないかと疑心暗鬼になり、精神的な消耗を強いる。
讓人產生的是不安而非恐懼是有原因的。恐懼有具體的對象,而不安則沒有清晰的目標,因此不安需要耗費大量精神力來控制。
恐怖ではなく不安を覚えさせるのには理由がある。恐怖は具体的な対象を伴うが、不安は対象がはっきりしない状態だ。よって不安は制御するのに多大な精神力を必要とする。
『不知道織田軍會做什麼』這種不安是模糊的,且不安的程度因人而異。再加上更多憂慮,會從負面思考中滋生更強的不安。
織田軍が何をするか分からない、という不安は漠然としていて、そして不安の程度は人によって違う。更に心配を加えればネガティブな思考から、より強い不安を抱いてしまう。
「(嘛,大致上是足滿大叔想出來的理論啦)最後會提出投降。幾乎不用受太多損失,就能把對方兵力整個併入我軍。他們自動自發地自亂陣腳,又自動投降)」
「(まぁ、大体は足満おじさんの組んだ理論だけどね)最後は降伏を申し出るでしょう。大して損害も受けず、相手の兵力を丸ごと自軍に取り込める。勝手に自爆して、勝手に降伏してくれる」
靜子的攻城戰術基本上是足滿設計的。
静子の城攻めは基本的に足満が考案したものだ。
首先用付城包圍,使後援無法靠近,使城內的人與外界隔絕、得不到資訊。接著在城內種下不安與憂慮的種子,慢慢削去冷靜。
まず付城で囲って後詰めが近づけなくし、城にいる連中が外界から隔絶され情報が入らない状態にする。次に城内部に不安と心配の種を植え付け、冷静さを削り取っていく。
周圍已被包圍,織田方不需焦躁,即便敵方主動出擊,也可撤退至付城並守在堅固的城中迎擊。敵人終將放棄攻略,逃回自己的城。
既に周囲は包囲されている状態だ。織田側は焦る必要はなく、仮に敵方が打って出てきても付城まで撤退し強固な城に籠もって迎撃すれば良い。やがて敵は攻略を諦め、自身の城へ逃げ帰る。
無法突圍、外界資訊全部斷絕後,城內會在投降或徹底抗戰間分裂,家臣間會產生不和。
抜け出すことが出来ず、外部の情報は一切入らなくなると城内部では降伏か徹底抗戦かで意見が割れ、家臣内で不和が起こる。
當不和適度蔓延時,便進行看似有人洩露內部情報的作為,使家臣相互陷入疑心暗鬼。
こうして程よく不和が蔓延したころ、誰かが内部情報を漏らしたように見える工作を行い、家臣同士を疑心暗鬼状態に陥らせる。
被栽贓為洩密嫌疑人的人,會被逼證明自己沒有洩露資訊——這是魔鬼的證明。然而,證明沒有洩密幾乎不可能。
情報漏洩の容疑者に仕立て上げられた人物は、情報を漏らしていない、という悪魔の証明を強いられる。しかし、漏らしていないことを証明することは不可能だ。
一旦拼命辯白或對嫌疑情緒化反駁,周遭就會把那看成可疑的態度。
そして必死に弁明したり、嫌疑に対して感情的に反論したりすれば、周囲からは怪しい態度に見える。
可憐的嫌疑人生命受威脅,必然會拼命,但一旦被懷疑,就連這種反應也無法被理解。
憐れな容疑者は命がかかっているから必死になるのは当然だが、疑い始めればそんな事にすら気付かなくなる。
屆時平日不會公開的閒言閒語和口角會無所不在,最終形成派系並演變成肢體衝突。
こうなると普段は表ざたにならない陰口や悪口の応酬が所構わず起き、最後には派閥が生まれて刃傷沙汰に発展する。
作為最後一招,靜子方面鼓動內部背叛。對外宣稱只有最先投降者可獲赦免,製造容易背叛的環境。
最後の仕上げとして静子側から裏切りを推奨する。最初に投降した者のみ助命に応じる、と外から呼びかけて裏切りやすい環境を作る。
即便不有人響應呼籲,也可抓走一名合適的人。之後他們會自行互相懷疑,拼命尋找並指認並不存在的叛徒。
仮に呼びかけに応じなくても、適当な人間を一人誘拐すれば良い。後は勝手に互いを疑い居もしない裏切り者を探して血眼になる。
無論城多堅固,一旦守城之人的意志被摧毀,城就會輕易淪陷。
いかに強固な城に籠もろうとも、城を守る人間の心がへし折れれば容易に陥落する。
「我們這邊不消耗,對方上層的人會自行瓦解,然後能輕易從對方徵得資源……怎麼了?」
「こちら側は消耗せず、相手も上の人間だけが勝手に自滅していく。そして相手から容易く資源を徴収できる……ってどうしました?」
在說明途中,靜子注意到秀吉等三人神色不佳。靜子擔心是不是說了冒犯之語,但竹中半兵衛搖頭否認。
説明している途中で、秀吉たち三人の顔色が良くないことに静子は気付いた。何か気に障ることを言ったか、と不安になった静子だが、それを否定するように竹中半兵衛は首を横にふる。
「不,沒問題。只是有點驚訝罷了」
「いえ、問題ありません。少々、驚いただけです」
「是、是嗎。那麼說明就到此為止,後日再續。」
「そ、そうですか。では説明はこの辺りで、続きはまた後日ということで」
秀吉等人對靜子的提案未表示異議並點頭。
静子の提案に秀吉たちは異論を唱えず頷いた。
「不像他那副表情,竟能想出如此狠絕的攻城法子。」
「抜けた顔に似合わず、えげつない城攻めを考えつく奴だ」
返回自己陣營途中,秀吉忽然低聲說出這話。竹中半兵衛與秀長似乎也同意,點頭表示贊同。
自身の陣へ戻る途中、ふいに秀吉は口ずさむ。竹中半兵衛と秀長も同じ意見なのか、頷いて秀吉の意見に賛同した。
三人皆具豐富想像力,一想到若靜子把計策付諸實行,將陷入無可奈何的境地便覺得不妙。
三人とも想像力が豊かゆえ、静子が考えたことを実際にやられた場合、どうしようもない状態に陥ると気付いたのだ。
「後援不上,內部若起不和,逃兵會接踵而至。若連誰該信任都無從判斷,軍隊便無法運作,真是如此啊。」
「後詰めが来ない。内部に不和が起これば、脱走兵は後を絶たず。一体誰を信じて良いか判断出来ない状況になれば、もはや軍として動くことは叶わず、ですなぁ」
秀長仰望天空隨口嘲諷幾句,或許因此心情稍解,秀吉苦笑著開口說道。
空を見上げながら秀長が軽口を叩く。それで幾分気が紛れたのか、秀吉は苦笑しながら言葉を発した。
「半兵衛,不需要做到那麼殘酷。看著敵人那般可憐也過意不去。」
「半兵衛、あそこまでの苛烈さはいらんぞ。流石に敵が憐れじゃ」
「那是要使敵人陷入恐懼,並促使周邊投降,並非純粹殘酷的策謀。」
「あれは敵を恐怖に陥れて、周囲に降伏を促すことも計算に入れているので、そこまで苛烈な策ではございません」
「確實。被攻擊的城雖被隔絕資訊,但外頭的城池卻明白發生了什麼。若想到會被如此攻法……可能很容易就會崩潰。」
「そうですなぁ。攻められている城は情報を遮断されていても、外部の城は何が起きているか理解しておりますからのぅ。そんな攻め方をされると思えば……容易く落ちるやも知れませぬ」
「呃……哄哈哈!我、我自然也注意到了。不過,我認為沒必要做到那地步。」
「ぬ……ぬはははっ! も、勿論わしも気付いておるぞ。ただ、そこまでする必要はないと思ってな」
見兩人都表示認同讓秀吉慌了下,冷汗直流地敷衍說了幾句。態度已經顯而易見,但竹中半兵衛與秀長並未深究,只是苦笑以對。
二人の納得している様を見て焦ったのか、秀吉が冷や汗を流しながら言い繕う。バレバレの態度だが竹中半兵衛と秀長は深く突っ込まず、苦笑するだけに留めた。
(……果然,漸漸看懂了)
(……なるほど、読めてきました)
竹中半兵衛一邊不經意地聽著秀吉與秀長的談話,一邊理解了一件事。
秀吉と秀長の話を聞き流しながら、竹中半兵衛はあることを理解した。
(靜子殿正在做的是以最小的犧牲奪取城池。將城孤立無援,造成不知會採取何種行動的不安,營造易於投降的環境。周遭見狀便會畏懼,想著「下一個會是我嗎?」)
(静子殿がしていることは、犠牲を最小限にして城を落とすこと。城を孤立無援にし、何をしてくるか分からない不安を抱かせ、降伏しやすい環境を作る。それを見た周囲は、次は自分の番だ、と怯える)
竹中半兵衛移目望向秀長。秀長笑容可掬,然而眼神並未隨之笑起,竹中半兵衛知道他已經得出與自己相同的結論。
竹中半兵衛は視線を秀長の方へ向ける。にこやかな笑みを浮かべている秀長だが、彼の目は笑っていなかった。竹中半兵衛は、自分と同じ答えに彼がたどり着いたことを知る。
(不是以武力而是以心理戰取下城池。是難以模仿的可怕戰術。往後被靜子殿攻陷的城,某種意義上既是幸福又可憐,是種令人費解的局面。)
(武力ではなく心理戦で落とす。簡単に真似できない恐ろしい戦術だ。これから先、静子殿に落とされる城は、ある意味では幸せであり憐れでもある不可思議な事態になるな)
竹中半兵衛在心中補上一句,眼前的目標大概是月ヶ瀬城吧。
さしあたっては月ヶ瀬城か、と竹中半兵衛は心の中で言葉を付け足した。
當靜子與秀吉聯軍主力正在攻略小谷城大手門時,別動隊則在攻打月ヶ瀬城。
静子・秀吉連合軍の本隊が小谷城の大手門を攻略していたころ、別動隊が月ヶ瀬城攻めを行っていた。
戰術不變,周圍以兩重、三重的附城包圍,切斷補給線,阻隔後援靠近,其後反覆採取攻而退、攻而退的遲滯戰法。
戦術は変わらず周囲を二重、三重に付城で囲み、補給路を断ち、後詰めが近づけないようにした。その後は攻めては下がり、攻めては下がりの遅滞戦術を繰り返した。
後援不來、補給線被徹底摧毀,月ヶ瀬城主月瀬丹後守頼次因不再有守住城池的信心而抱頭苦惱。
後詰めがこない事、補給線が完全に潰されたことで、城を守りきれる自信がなくなった月ヶ瀬城の城主・月瀬丹後守頼次は頭を抱える。
信長在虎御前山築砦,但西側緊鄰月ヶ瀬城,一旦失誤便有被夾擊的風險。因此對信長而言,月ヶ瀬城與附近的山本山城在戰略上必須攻下。
虎御前山に砦を築いた信長だが、すぐ西に月ヶ瀬城があり、一つ間違うと挟撃される恐れがあった。ゆえに信長にとって月ヶ瀬城と、近くにある山本山城は戦略上、必ず落とす必要がある。
因此動用靜子的黑鍬衆,運用預製工法開發出「一夜付城」,以此包圍兩座城池。
そこで静子の黒鍬衆を使い、プレハブ工法を応用して開発した『一夜付城』を使って二城を取り囲むようにした。
「一夜付城」如同現代的預製件技術,不在築城地現場製作構件,而是在事先安全處生產加工所需部材,然後在築城地組裝完工。
一夜付城は現代のプレハブ技術のように、付城を建てる場所で部材を作るのではなく、予め安全な場所で付城に必要な部材を生産・加工し、付城を建てる場所で組み立てる方法だ。
此工法因效法秀吉的墨俣城而得名,但有缺點──外觀似已成形,中身卻空虛無實。
秀吉の墨俣城(すのまたじょう)にあやかって名付けられた工法は、見た目は出来ていても中はスカスカ状態という欠点がある。
然而,眼見一夜之間附城成形,對守城的兵民而言有挫折戰意的效果;下層人員若普遍喪失鬥志,城主別無他法只能投降。
しかし、目の前に一夜で付城ができるという事は、城へこもる兵や民に対して戦意を挫く利点が得られる。下の者が総じて戦意を失えば、城主に打てる手は降伏しかなくなる。
彷彿證明了此點,守衛月ヶ瀬城的士兵們日益喪失戰意。
これを証明するかのごとく、月ヶ瀬城を守る兵士たちは日を追う事に戦意を失っていた。
第一天附城完成,第二天城內生出不和,第三天得知山本山城無後援來襲的消息,他們便提出投降。
一日目で付城が出来上がり、二日目で城内に不和が生まれ、三日目に山本山城の後詰めが来ないとの情報を知った彼らは降伏を申し出た。
關於山本山城的情報是假的,但周遭有敵城存在的情況給他們帶來了窒息感,讓人無法做出正常判斷。
山本山城の情報は嘘だが、周囲に敵の城がある状態は彼らに閉塞感を齎(もたら)し、正常な思考ができる頭を失わせた。
「好,必要的都已取得。」
「よし、必要分は入手した」
拿到靜子所委託的物品後,才蔵幾乎是立刻朝靜子與秀吉聯軍本陣前去。
静子から依頼されたものを手にすると、才蔵は早速と言わんばかりに静子・秀吉連合軍本陣へ向かった。
「雖然未經城內鏖戰便讓月ヶ瀬城陷落,但某人還是覺得有些不滿足。」
「城攻めすることなく月ヶ瀬城を陥落させられましたが、某はちと物足りない感じです」
一名從者帶著有點困惑的表情低聲道。戰場上的表現可望晉升,但靜子的戰法幾乎不怎麼交戰,這在是否能「立功」的問題上根本成了問題。
従者の一人が少し困った表情で呟く。いくさ場の働き次第で出世を望めるが、静子の戦法は殆ど戦うことがなかった。これでは働き云々以前の問題だ。
「月ヶ瀬城對淺井與朝倉而言是重要據點。要在不損失、不戰鬥的情況下使其陷落,難度可見一斑。兵法也說過:以戰奪城是下策,不戰而奪城是上策。」
「月ヶ瀬城は浅井・朝倉にとって重要な拠点だ。それを損害なく、戦わず陥落させることの難しさを知れ。兵法も言っておる、戦って城を落とすは下策、戦わず城を落とすは上策、とな」
「哈……」
「はっ……」
雖然面露些許不服氣,但才蔵不顧從者匆匆趕向本陣。對他來說長時間離開靜子並不常見,因此心神不寧。
若干納得いっていない顔をしているが、才蔵は従者を無視して本陣へ急いだ。彼にとって静子の許を長期間離れることは滅多にないことだからだ。ゆえに落ち着かない。
他稍微逼馬一把,以平常所需時間的三分之二抵達本陣,隨即前往靜子處。雖非召開軍議,但才蔵得知靜子與秀吉等人在一起。
馬に多少の無理をさせて、普段かかる時間の2/3で本陣に到着した才蔵は、早速静子の元へ向かう。軍議を開いているわけではないが、才蔵は静子が秀吉たちと一緒にいる事を知る。
終於見到靜子的身影時,才蔵小小鬆了一口氣,但立刻伏身致詞。
ようやく静子の姿を見た時、才蔵は小さくホッと胸をなで下ろした。だが、すぐさま平伏すると言葉を口にする。
「靜子大人。依您所命,已從挑選的人手中交出例行之物。」
「静子様。ご命令通り、適当に見繕った者たちから、例のものを差し出させました」
「多謝,出乎意料地快。叫士兵們休息一下。至於下一個山本山城……就看館主的意思了吧。」
「ありがとうございます、意外と早かったね。兵たちには休息を取らせておいて。次の山本山城は……お館様次第かな」
說著的同時靜子接過才蔵交來的東西,那是一封文書。然而她打開文書時,裡面是空白,不,只有在角落寫著能證明是那人所書的花押。
言いながら静子は才蔵に頼んでいたものを受け取る。それは文だった。しかし、彼女が文を開くと、中には白紙、否、その者が書いたと証明する花押だけが隅っこに書かれていた。
與她同在的秀吉與竹中半兵衛當然如此,秀長也對此不知其用,因而歪頭疑惑。
一緒にいる秀吉や竹中半兵衛は勿論、秀長もそれで何をするか分からず首を傾げる。
「喂,靜子。那張白紙要拿來做什麼?」
「おい、静子。その白紙は何に使うのじゃ?」
好奇的秀吉以扇指著文書發問,靜子一邊攤開文書讓秀吉等人看,一邊回答。
気になった秀吉が扇子で文を指しながら尋ねる。文を広げて秀吉たちに見せながら静子は答える。
「這個?只要在上面寫明向織田家通敵即可。嗯,文的收信人是困守小谷城的淺井。」
「何って、これに織田家へ内通することを記載するだけですよ。まぁ、文の送り先は小谷城に籠もっている浅井宛ですが」
「月ヶ瀬城不是已經陥落了嗎?為何還特地要寫通敵的文?」
「月ヶ瀬城は陥落したのじゃろ? なぜ、わざわざ内通する文を書くのじゃ?」
「除了那封內通文之外,還會附上一封寫著『人心難以掌握,目睹結束崩壞令人徒然』的信。至於讀信的淺井會如何判斷……就隨他喜好了。」
「内通する文とは別に『人の心とはままならぬもの。崩れゆく結束を見るのは虚しいものよのう』という手紙を付け足します。後は文を読んだ浅井がどう判断するかは……まぁお好きにという事で」
「……?——!?」
「……? ーーッ!?」
秀吉起初不明白,但瞬間理解言語含意時,脊背一陣發冷。竹中半兵衛、秀長與才蔵一得其解便冷汗直流。
最初は分からなかった秀吉だが、言葉の意味を理解した瞬間、背筋に寒気が走った。竹中半兵衛や秀長、才蔵も答えにたどり着くやいなや冷や汗を流した。
若靜子接下來的計策成功,將對山本山城強加類似「惡魔的證明」。一旦內通文落到淺井手中,他就會認為月ヶ瀬城是因為有叛徒才失守。
静子がこれから行う策が成功すると、山本山城にとって悪魔の証明を強いることになる。内通の文が浅井の手に渡れば、彼は裏切り者がいるせいで月ヶ瀬城が落ちたと考える。
即便淺井不那麼想,只要他認為有內通者存在即已是成功。畢竟對國人而言,對家臣可能的背叛必須倍加警惕。
仮にそう考えなくても、内通した者がいると浅井が思えば御の字だ。なにしろ国人にとって家臣の裏切りには万全の注意を払う必要があるのだ。
光是「山本山城也一樣」這句話就足以讓淺井久政陷入疑心暗鬼。若山本山城同樣被攻下,他們將陷入更大的劣勢;而若真有內通者,他們的行動就會被洩露。
山本山城も同じ、という言葉だけで浅井久政は疑心暗鬼に陥る。山本山城も同じように落ちれば、彼らは更に劣勢に立たされる。しかし、内通者がいるのなら、自分たちの動きが知られる。
倘若山本山城是被內通者之手攻下,則後援可能被殲滅。對已無發送援軍餘裕的淺井而言,後援全軍覆滅是必須避免的情況。
もしも内通者の手によって、山本山城が落ちていれば後詰めが殲滅される恐れがある。もはや援軍を送る猶予がない浅井にとって、後詰めの壊滅は避けたい事態だ。
但是,國人有義務向支城派後援兵。如果忽視此義務,家臣為了守護一族會輕易背叛國人。
だが、国人は支城へ後詰めを送る義務がある。この義務を怠れば家臣は一族を守るために国人を簡単に裏切る。
要派後援還是直接拋棄,淺井久政將會深感苦惱。
後詰めを送るか、それとも見捨てるか、浅井久政は大いに悩むことになるだろう。
「淺井將為難,家中互相猜疑,受到無端懷疑的山本山城之人會陷入疑心暗鬼。若任其發展下去,淺井家的團結會脆弱地瓦解,並自行爆發內亂。等淺井家恰好衰弱時,一舉……徹底摧毀」
「浅井は頭を悩ませ、家中は互いに疑い合い、謂われのない疑いを向けられた山本山城の者たちは疑心暗鬼に陥る。そのまま放置しておけば、浅井家の団結は脆く崩れ去り、勝手に内紛を始めるでしょう。浅井家が程よく弱った所で一気に……潰す」
說出「徹底摧毀」這句話的同時,靜子重重拍了一下桌子。有些疼痛,但她未表現在臉上,繼續說下去。
潰す、と言葉を発すると同時、静子はテーブルを強く叩く。少々痛かったが顔には出さず、言葉を続けた。
「小谷城是座堅牢的城。但即便再堅固的城牆,也可能因為只要一處裂縫而崩壞。無論把城築得多堅固,只要兵士們的心志崩潰,城就會淪陷。若這次的計策能在淺井家造成裂痕,日後必會對我方有利」
「小谷城は堅牢な城です。ですが強固な壁も、たった一つの亀裂が原因で崩壊します。どれほど城を強固にしようとも、兵たちの心が折れれば陥落します。今回の策で浅井家に亀裂を作れれば、のちのち有利に働くことになりましょう」
證明那番話的一樁事件發生了。
その言葉を証明する事件が起こる。
因為久政無端懷疑山本山城的城主阿閉貞征,貞征與久政之間出現了裂痕。而且那裂痕非但沒有消失,反而隨著時間推移愈趨擴大。
久政が無闇に山本山城の城主・阿閉(あつじ) 貞征(さだゆき)を疑ったため、貞征と久政の間に溝が出来た。更に溝はなくなるどころか、時間が経つに連れて広がる一方だった。
當裂痕擴展到絕非淺薄的程度時,阿閉的心中住進了魔念—那個「與信長內通」的念頭。
決して浅くない溝にまで広がった時、阿閉の心に魔が住み着く。『信長に内通する』という魔が。