戦国小町苦労譚
千五百七十一年 四月下旬
織田家所擁有的將士之精銳、將領的戰術眼光,以及統帥部隊之力,並非只有靜子軍展現出來。
織田家が擁する将兵の精強さ、将の戦術眼、そして兵を統率する力を見せつけたのは、なにも静子軍だけではない。
同樣參戰的明智軍與柴田軍也以不同於靜子軍的強勢壓倒其他勢力。
同じく参加している明智軍と柴田軍も、静子軍とは違った強さで他の者たちを圧倒していた。
在破壞力方面,織田家中首屈一指的猛將柴田軍無人能及。他不必挪動本陣便能以用兵摧散對陣軍,令畿內的國人們心生戰慄。
破壊力に関しては織田家随一の猛将・柴田軍が、他の追随を許さなかった。本陣を動かすことなく相対する軍を蹴散らす用兵は、畿内の国人たちを震え上がらせた。
另一方面,明智軍展現出千變萬化、變幻自在的用兵。
一方明智軍は千変万化する変幻自在の用兵を見せつけた。
能從全局觀望的人看得出明智軍如何行動,卻被虛實交錯的運用所迷惑,難以辨識出真正的主攻。
全体を見渡すことができる観客は、明智軍がどの様に動いているか判るが、虚実を入り混ぜる運用に惑わされ本命の攻撃を見分けることができない。
對於視野受限且陷入混戰的一方,更是常在意想不到處遭突擊,若轉為防守則會遭夾擊,若集合兵力又會與本隊脫節,屢被玩弄於股掌之間。
ましてや視野が制限される上に混戦となる相手側にとっては思わぬところに突撃を受け、防御に回れば挟撃を食らい手勢を掻き集めれば本隊と分断されると翻弄された。
不知不覺本隊被打散,等驚覺時大將旗已被奪走。
いつの間にか本隊を散り散りにされ、気が付けば大将旗は奪われていた。
與明智軍對陣的武將們,總是被迫退居下風,未及掌握戰況便被迫敗北,心中震顫著難以言喻的恐懼。
常に後手に回らされ、戦況を把握することを許されぬままに敗北を強いられる、明智軍と相対した武将は言い知れぬ恐怖に震え上がった。
有人從中途開始便將這場試合理解為不是試戰而是織田軍用以示威、展示實力的行動。
途中から試し合戦ではなく、織田軍の強さを見せつける示威行動と理解した者もいた。
但光是說出這點也無濟於事,況且要是說出口反而會被視為怯懦,既然條件相同,不把織田家的陰謀挫敗便難免被人嘲為敗犬的遠吠。
だがそれを言っても何も始まらない上に、仮に口にすれば臆病者と侮られるのは明白、条件が同じである以上は織田家の目論見を挫いて見せねば負け犬の遠吠えの誹りは免れない。
因此為了守住自尊,只能閉口不言。賞金的誘惑一旦上了眼,他們的命運便已注定。
よって矜持を守るためには口を閉ざすより他なかった。賞金に目がくらんだ時点で、彼らの運命は決まっていたのだ。
接下來就看是以如鬼神般的強力正面擊破的柴田軍,還是以神算鬼謀翻弄人的明智軍,或是每戰皆換策略、體現臨機應變的靜子軍中誰會擺佈局面。
後は鬼神の如き強さで真正面から打ち破る柴田軍か、それとも神算鬼謀を以て翻弄する明智軍か、一戦ごとに姿を変え、臨機応変を体現した静子軍の誰に調理されるか、それだけだった。
結果,試合變成織田三軍爭奪霸權的場面。最後留到尾聲的部隊也被明智軍輕易擊倒。靜子與柴田軍相遇,勝者將與明智軍交鋒。
結局、試し合戦は織田三軍が覇を争う形となった。最後まで残っていた軍も明智軍に呆気なく倒される。静子は柴田軍と相まみえる事となり、勝った方が明智軍と戦う組み合わせとなった。
「別做拙劣的小伎倆了。對方在合戰經驗上非常豐富,耍些臨時抱佛腳的策略是行不通的,這一點一眼就看得出來。諸位,他們是百戰練磨的精兵,且更重要的是,一直活到今日的也是運氣極佳的人。」
「下手な小細工はやめましょう。向こうは合戦の経験が豊富です。付け焼刃の策を振りかざしたところで通用しないのは目に見えているからね。皆の者、彼らは百戦錬磨の精兵、そして何より今日(こんにち)まで生き抜いた運の強さの持ち主です」
聽了靜子的話,士兵們收緊了臉色。光是對陣就讓人幾乎屈服的壓力。這已不是過去那種鬆散的軍隊,連最基層士兵都是精銳,是真正的強者。
静子の言葉に兵たちが顔を引き締める。相対するだけで屈しそうなほど重圧だった。今までのどこか抜けたような軍ではない。末端の兵まで精鋭の、本当の強者だと理解した。
「這次很單純。我們要以出其不意的方式打擊那些以為我們會使出奇策的敵人,從正面由全軍發動突擊。雖然會變成敵我混雜的白刃戰,但對方士氣不足,反而能讓我們保持衝鋒勢頭穿入敵陣。老實說,我覺得除了這招之外,柴田軍沒有更好的戰術可取。」
「今回は単純です。奇策を弄すると思っている相手の意表を突く形で、真正面から全軍による突撃を仕掛けます。敵味方入り乱れる白兵戦になりますが、向こうは勢いがなく、逆にこちらは勢いを保ったまま敵軍の中へ突撃できます。正直な所、これ以外に柴田軍に取れる戦術はないかなと思います」
慶次等人也持同樣想法。他們對柴田軍模擬各種戰術,但無論如何都找不到勝機。
慶次たちも同様の考えだった。柴田軍に対して様々な戦術を使いシミュレートしたが、どうしても勝ち筋が見つからなかった。
即便同為織田軍,聯合行動也很少見。因此靜子等人對柴田軍的戰鬥方式也僅僅是道聽塗說。
同じ織田軍といえども共同で事に当たるのは稀だ。ゆえに静子たちは柴田軍の戦いぶりを伝聞でしか知らない。
況且靜子迄今推行的方針不僅讓靜子軍變強,也提升了織田軍整體的底蘊,其他部隊也樂於接受士兵的訓練。
その上、静子が今まで行ってきた政策は、何も静子軍だけが強くなるだけではない。織田軍全体の底上げがされている。他軍であろうと兵の訓練も快く受け入れた。
(真是令人頭疼。沒想到會以這種方式看出我到現在為止的成果)
(参ったなぁ。こんな形で自分の行ってきた結果が分かるとはね)
對此靜子只能苦笑。
このことに静子は苦笑するしかなかった。
「雙方軍,準備!」
「両軍、準備を!」
司儀的聲音在周圍迴盪。照著那聲音,雙方軍隊各自就位,剩下的只等開戰信號一到,靜子便可發出突擊的訊號。
司会進行役の声が辺りに響き渡る。その声に従い、両軍とも所定の配置につく。後は開始の合図を待ってすぐさま、静子は突撃の合図を出せば良い。
「合戰開始!」
「合戦始めぇ!」
開戰信號傳入耳中,同時靜子發出了突擊的號令。
開始の合図が耳に届くと同時、静子は突撃の合図を出した。
「突擊!」
「突撃!」
然而,那聲音並非只有一處。此前沒有動用本軍的柴田軍,也像靜子軍一樣以全軍發動了突擊。
だが、その声は一つだけではなかった。今まで本軍を動かさなかった柴田軍もまた、静子軍と同じく全軍での突撃を仕掛けた。
此事在靜子軍中引起了些微動搖,這一絲動搖成了致命傷。突擊的氣勢柴田軍更勝一籌,在最初的激碰中削弱了靜子軍的勢頭。
この事に僅かながら静子軍に動揺が走った。この僅かな動揺が命取りとなった。突撃の勢いは柴田軍の方が勝り、最初の激突で静子軍は勢いを削がれてしまった。
一旦如此,要恢復氣勢便很困難;況且已成敵我難辨的混戰,後撤再發動突擊也不可能了。
こうなると勢いを取り戻す事は難しい。その上、敵味方の区別がつかない混戦状態だ。後方に下がって再度突撃は不可能だ。
而且混戰導致慶次、才藏、長可和靜子四人被分隔開來。
また混戦により慶次、才蔵、長可、静子の4人は分断されてしまった。
「後方薄弱啊,靜子大人!」
「背後が甘いぞ、静子殿!」
正當靜子欲行動重整陣型時,柴田帶著精銳從她背後突然襲來。
立て直しを図ろうと静子が動こうとした時、柴田が精鋭を連れて彼女を背後から急襲した。
(竟然本軍的突擊本身是誘餌!在混戰空隙從背後急襲,平素喜好正面斬敵的柴田大人竟會採取這種戰術!!)
(まさか本軍の突撃自体が囮! 混戦の隙に後方から急襲とか、正面から相手を破るのが好きな柴田様が、まさかこのような戦術を取るとは!!)
從後方調動軍隊,對於武力偏好弓箭與火繩槍等遠距離武器的靜子而言,擅長近戰的柴田是極為不利的對手。
後方から軍を動かし、武力もどちらかと言えば弓や火縄銃など遠距離武器が得意な静子にとって、接近戦が得意の柴田は相性が非常に悪かった。
「(既然如此……)嗚喔喔喔喔喔喔喔!」
「(こうなったら……)うおおおおおおおおおっ!」
然而,靜子瞬間判定若此刻逃走軍隊將徹底瓦解,於是帶著恐懼向柴田發起突擊。
しかし、今ここで逃亡すれば軍が完全に瓦解すると瞬時に判断した静子は、恐怖しながらも柴田に向かって突撃を仕掛ける。
「嗯!其他人別出手!!」
「むっ! 他の者は手を出すな!!」
靜子的突擊或許讓柴田也意外,他露出一瞬困惑的表情,但那也只是一瞬,作戰老練的他立刻收起表情迎戰靜子的攻勢。
静子の突撃は柴田も予想外だったのか、一瞬困惑した表情を浮かべる。だがそこも一瞬、合戦慣れした彼はすぐさま表情を引き締めると、静子の攻撃を迎え撃つ。
(愚昧,馬上長槍容易失去對馬的掌控,她不可能不知!!)
(愚かな、馬上槍は馬の制御が失われやすい事を、彼女が知らぬはずはあるまいのに!!)
「切耶——!」
「ちぇいやー!」
「哼……啊!!」
「ふん……なっ!!」
攻擊本身單調,柴田輕易防下。照理說馬的姿勢會崩掉而失去控制,原本應該如此。
攻撃自体は単調で柴田は難なく防ぐ。普通ならその後、馬の姿勢が崩れて制御不能に陥る、はずだった。
然而,靜子在放開韁繩的狀態下仍能控制馬匹,姿勢僅微微崩了一下便立刻恢復體勢,隨即再次向柴田發起攻擊。
しかし、静子は手綱を離した状態で馬を制御し、僅かに姿勢が崩れただけですぐに体勢を立て直すと、柴田に再度攻撃を仕掛ける。
但雖然她能戰鬥到某種程度,臨戰經驗豐富的柴田不會被臨時學來的武術所迷惑。短短五合左右的交鋒便讓柴田看穿了靜子的一切。
だが、ある程度戦えるとはいえ、歴戦の猛者である柴田に付け焼き刃の武術が通用するはずがなかった。5合ほど打ち合っただけだが、それで柴田は静子の全てを見抜く。
從那之後,靜子只能竭力防禦柴田的攻擊。
そこからの静子は、柴田の攻撃を防ぐだけで精一杯となる。
(唔!一擊好沉!!這樣撐不了多久吧)
(くぅ! 一撃が重い!! これは長く持たないかな)
在自己撐住的間隙擊倒周圍柴田軍的士兵、使他孤立,這種不利的賭注是靜子能採取的最後手段。
自分が耐えている間に、周囲にいる柴田軍の兵を倒し、彼を孤立させる。そんな分の悪い賭けが静子の取れる最後の手段だった。
但對手是精英中的精英,並非能輕易擊敗的將領。
だが、相手は精鋭中の精鋭、簡単に打ち破れるような将ではなかった。
結果靜子大約只撐了兩分鐘,終於無法完全抵擋柴田的攻擊而從馬上摔落。
結局、静子が持ったのは二分程度で、柴田の攻撃を受け止めきれず落馬した。
雙手已無力的靜子無法做出有效抵抗,迅速下馬的柴田輕鬆奪走了大將旗。
もはや手に力の入らない静子は抵抗らしい抵抗が出来ず、素早く馬を下りた柴田に呆気なく大将旗を奪われた。
「勝者,柴田軍!」
「勝者、柴田軍ー!」
試合規則是奪取對方的大將旗即可分出勝負。司會從櫓上高聲宣布柴田軍勝利。
試し合戦は相手の大将旗を奪えば決着がつく。司会進行役が櫓から柴田軍の勝利を叫ぶ。
聽到歡呼的柴田微微吐出一口氣。乍看之下柴田的閃擊戰似乎將靜子軍徹底擊潰,但實際上那是一場充滿賭注的危險較量。
叫びを聞いた柴田は小さく息を吐く。一見、柴田の電撃戦は静子軍を完膚なきまで叩きのめしたように見えるが、実のところ博打だらけの危険な勝負だった。
柴田把精銳布置在自己周圍,並把剩餘兵力投入以牽制慶次、才蔵與長可三人。
柴田は精鋭を自分の周りに配置し、残りの兵を慶次、才蔵、長可の3人を抑える為に投入した。
由於柴田軍的士兵訓練程度低於慶次等人,若長時間交戰必然瓦解。因此柴田帶著精銳大幅繞行,從後方突襲靜子。
柴田軍の兵は慶次たちの軍より練度が低いため、長時間打ち合いをすれば瓦解する事は目に見えていた。ゆえに、柴田は精鋭と共に大きく回り込み、背後から静子を襲撃した。
因為靜子從後方指揮,他斷定她必定在軍後。果然一見到靜子,柴田便不顧周遭一切朝她突擊。
後方から指揮を執る静子ゆえ、必ず軍後方にいると彼は睨んでいた。その予想は正しく、柴田は静子を見つけるやいなや、周りを一切無視して静子へ突撃した。
最後雖然摻雜了些運氣,他還是打敗了靜子,成功奪取大將旗。
最後は運が絡んだものの静子を打ち負かし、大将旗を奪う事に成功した。
(但,為何不退到後方?)
(だが、何故後方に下がらなかった)
柴田原以為憑靜子的性格會派兵前出,而她本人從後方射箭;但實際上靜子是單騎迎上與柴田交手。
静子の性格から前に兵を出し、後方から弓を射ると柴田は考えていた。だが、実際は静子が単騎で柴田に打ち合いを仕掛けてきた。
苦思片刻的柴田忽然看向映入眼簾的靜子軍,答案在腦中浮現。
暫く悩んだ柴田だが、ふいに視界に入った静子軍を見て答えが脳裏に浮かんだ。
(原來如此。大將若不保護親信,親信便不會跟從;或是親信對大將既無忠義,因此覺得沒必要被保護。)
(なるほど。大将が子飼いを守らなければ子飼いはついてこない。また子飼いが大将に忠義も何も感じず、それゆえ守る必要がないと考えるからか)
在戰國時代,除非有相當的理由,支城一被攻擊,國人便有義務出後詰(援軍)。
戦国時代、よほどの理由が無い限り、支城が攻撃されれば国人は後詰め(援軍)を出す義務がある。
若不出後詰,支城之人便不再信任國人,可能投靠敵方或棄城而去。
もし後詰めを出さなければ、支城の者たちは国人を信用しなくなり、敵に寝返るか、城を捨てる。
此現象不只發生在被襲的城池,而會連鎖至其他城,為免支城被奪、亦為免失去家臣的信任,國人必定會出後詰。
この現象が襲撃された城だけに止まらず、他の城にも連鎖的に起こるため、国人は支城を落とされないため、また家臣からの信用を失わないため必ず後詰めを出す。
軍隊中亦是相同道理:若總大將在理應站出時什麼也不做,兵卒會失去對其信任,只顧保全性命,最壞甚至會變成逃兵。
これは軍でも同じ事が言える。総大将が立ち上がるべき状況で何もしなければ、兵は総大将を信用しなくなる。己の命を永らえる事に終始し、最悪の場合脱走兵になる場合もある。
若當場靜子不向柴田突擊,靜子軍將完全瓦解,無法重整。
あの場で静子が柴田に突撃しなければ、静子軍は完全に瓦解し、立て直す事は不可能になる。
因此靜子即便魯莽也突擊了。柴田斷定,靜子藉此向周遭表明在必要時她也有迎前的覺悟。
だから静子は無謀であろうと突撃してきた。そして時と場合によれば、静子もまた前へ出る覚悟があると周囲に見せつけた、と柴田は結論づけた。
(這並非她們追求效率的作風。然而,倒也不壞。真不賴,靜子殿)
(効率を求める彼女らしかぬ行動。しかし、悪くはない。悪くはないぞ、静子殿)
在心中暗自笑了一番後,柴田將心情切換到決勝戰。
心の中でひとしきり笑った後、柴田は決勝戦へ気持ちを切り替えた。
決勝戰是柴田軍對上明智軍。雙方各有長短,柴田以武力,明智以戰術彌補短處,攻防互有進退。
決勝戦は柴田軍と明智軍だ。双方とも一長一短あるものの、柴田は力で、明智は戦術で短所を補い、一進一退の攻防を繰り広げた。
最終因體力差距,柴田軍擊敗了明智軍主力,柴田從光秀手中奪得大將旗。
最終的に体力の差で柴田軍が明智軍の本軍を倒し、柴田が光秀から大将旗を奪い取った。
「對於這次的結果不要滿足,要比現在更努力」
「今回の結果に満足せず、今以上に励め」
信長以平常無波的表情對跪著的柴田說道。對他而言,織田軍有人勝出是既定事實,這次的試合只是將此事昭示給周圍。
跪いている柴田に信長は至って普通の表情で告げる。彼にとって織田軍の誰かが優勝するのは確定事項だった。今回の試し合戦は、それを周囲に知らしめただけに過ぎない。
至於第二名,因靜子爽快放棄而歸於明智軍。靜子軍已不復有與明智軍一戰的實力。
二位については、静子があっさり辞退した事で明智軍のものとなった。もはや静子軍に明智軍と戦えるだけの力は残っていなかった。
此刻若再逞強最壞會有人喪命。況且前三名皆被織田軍佔據,靜子已無繼續戰鬥的意義。
今、無茶をすれば最悪死人が出る。そもそも上位3つを織田軍がしめている時点で、静子には戦う意味がなかった。
但明智軍同樣疲乏。反而是能打兩場仍有體力的柴田軍更讓人覺得異常。
だが、力が残っていないのは明智軍も同様だった。むしろ2戦も戦ってもまだ体力がある柴田軍の方が異常だった。
「該退之時退,乍看簡單實則難。矜持、榮譽、污名、他人的責難與嘲弄……那些會使人心迷。然你理解了這些,卻仍決定退卻,又成長了一分。」
「退くべき時に退く、それは簡単なようで難しい。矜持、誉(ほまれ)、汚名、他の者からの誹(そし)りや嘲(あざけ)り……それらが考えを曇らせる。だが貴様はそれらを理解して、なお退く事を決断した。また一つ成長したな」
信長既已達成原先目的,認為自軍再受損只會成為負擔,便接受了靜子的退讓,並在結束時說了句似是而非的格言以化解負面印象。
信長も当初の目的を果たした以上、自軍の損害はマイナスになると考え、静子の辞退を受け入れた。そして終わりの時にそれっぽい格言を口にして、マイナスイメージを打ち消した。
靜子領了第三名的報償,但拿到金子也想不到如何使用,抓了一把放入小袋後,將剩餘交給才蔵,命他分配給士兵。
三位の報償を受け取った静子だが、金子を渡されても使い道が思いつかず、一つかみ程度の金子を小袋に入れた後、残りを才蔵に渡して兵へ分配するよう命じた。
想不到用處的話,就讓別人去用吧。
使い道が思いつかないなら他人に使って貰え、である。
雖然意外的臨時獎金讓士兵們有些得意忘形,但在發放時才蔵以無言的壓力示意,沒有人做出放縱的行為。
予期せぬ臨時報酬に浮き足立つ兵たちだが、渡される時に才蔵から無言の圧力を与えられたため、はじけた行為をする兵は1人も出なかった。
「京也平靜很多,當年上洛時那等慘不忍睹的景象已經看不到了」
「京もだいぶ落ち着いたね。上洛当時の酸鼻を極める様子はどこにもないし」
「到處都有屍體橫陳,還滋生了昆蟲。辻(交叉路口)必有屍山……甚至還有野狗和熊來覬覦屍體。從那等荒蕪之況在短短數年內能恢復到如今,實在不易」
「あちらこちらに死体が転がり、虫が湧いておりました。辻(交差点)には必ず死体の山……しかも死体を狙って野犬や熊が出る始末。あの荒れようから僅か数年で、よくぞここまで持ち直したものです」
當信長上洛時,京的情況慘不忍睹。
信長が上洛した時、京は酷い有様だった。
自應仁之亂起整整一百年,破壞的痕跡未獲修復,維持治安的人也多已逃散到地方。
応仁の乱から100年もの間、破壊の痕跡は修復されず、また治安を守る者たちは地方へ逃げる有様だった。
因此京中屍體處處,屍首腐爛招來蒼蠅和蛆蟲,空氣中彌漫著刺鼻的惡臭。
それゆえ京には死体が平然と転がっている上に、腐乱していたためにハエやウジが湧き、酷い臭いが充満していた。
即便是相當於現代交叉路口的辻,也堆滿屍山;啄腐肉的烏鴉、野狗乃至野豬都出現在街中。
現代の交差点に当たる辻にも死体の山はあった。腐肉食のカラスや野犬、猪までもが町中に姿を見せた。
治安形同虛設,夜盜、竊賊與浪人等肆意搶劫商人與富戶。
治安はあってなきが如し、夜盗や物盗り、野武士などが平然と商人や金持ちの家を襲った。
信長上洛掌權後首先處理的,是屍體的處理、治安的維持與街道的清掃。
上洛して京の実権を握ると、信長がしたのは死体の処理と治安維持、街の清掃だ。
他以武力剿滅夜盜與竊匪,把被遺棄的屍體運出城外安葬,清理京中各處,並讓四方知道他在嚴加監視。
武力をもって夜盗や物取りを殲滅し、放置されている死体を街の外へ運んで埋葬し、京の至る所を清掃して目を光らせている事を周囲に知らしめた。
並讓治安隊徒步巡邏,對輕微犯罪也嚴加取締,還把孤兒送入孤兒院教育,免其淪為夜盜或竊賊。
また治安維持隊に徒歩パトロールをさせ、軽微な犯罪でも取り締まらせた。加えて孤児たちを孤児院に入らせ夜盗や物取りにならないよう教育を施した。
乍看之下似乎對信長無利可圖,但他上洛的目的之一就是活絡畿內的經濟活動,這些作為實際上能為他帶來利益。
一見すると信長に利はなさそうに見えるが、彼は畿内の経済活動を活発にする事が上洛時の目的の一つであり、きちんと彼にとって利に繋がる行動だった。
只是沒有人能理解他所描繪的以流通帶動經濟活絡的構想罷了。信長當時的作為要到他上洛數百年後才會被真正理解。
ただ誰も彼の描く流通による経済活動の活発化が理解出来なかった、それだけだ。この時の信長の行動が真に理解されるのは、彼が上洛してから実に数百年後の事だった。
換言之,信長的願景實在超前了太多時代。
逆を言えば、それだけ信長の描くビジョンは時代を先取りしすぎていたのだ。
「殿,剛才有傳令前來,和田大人與フロイス大人欲明日造訪」
「殿、先ほど伝令が参り、和田様とフロイス様が明日伺いたいとの事です」
正在與才蔵閒聊整理文書時,從襖那頭玄朗上報。
才蔵と雑談しながら書類整理をしていると、襖の向こうから玄朗が報告を上げた。
「哦,若是フロイス大人倒能理解,但和田大人也跟來還真少見。無甚問題,准許明日來訪」
「おや、フロイス殿なら分かるが、そこに和田殿まで加わるとは珍しい。特に問題ないので、明日の訪問を許可します」
「是!」
「はっ!」
(真不知道他們到底有何目的)
(ほんと、何が目的なんだろう)
雖心生疑問,但無從理解與自己無特別交集的和田所想,靜子便迎來了隔日。
疑問に思ったが、特に接点がない和田の考えが分かるはずもなく、静子は明日を迎える。
試合結束兩日後,和田惟政與路易斯·フロイス、羅倫索·了齋,以及在フロイス麾下修行的修道士們前來拜訪。
試し合戦が終わって二日後、和田惟政とルイス・フロイス、ロレンソ了斎、フロイスの元で修行している修道士たちが訪ねてきた。
以往フロイス曾來訪,但和田惟政親自陪同卻是頭一遭,靜子略感困惑,女扮男裝與フロイス一行會談。
今までにもフロイスが訪ねてくる事はあったが、和田惟政まで付いてくる事は今までなく、少々困惑しながらも静子は男装してフロイスたちと会談する。
「今日在百忙之中撥冗光臨,感謝您們寶貴的時間」
「本日は忙しい中、貴重なお時間をいただきありがとうございます」
以フロイス為首的眾人深深鞠躬。靜子不明白為何他們來見自己而非信長,只得觀察對方出手如何。
フロイスを初めとして全員が深々と頭を下げる。どうして彼らは信長ではなく自分に会いに来たのか分からず、静子は相手の出方を見るより他なかった。
「請抬起頭。那麼,請問到我這裡有何要事?」
「面を上げて下さい。して、某に何用でしょうか」
「那麼,請聽某人的話」
「では某の話を」
和田一說話,小姓便捧來一盆。將視線落在擺在眼前的盆上,裡頭放著一封被仔細包好的文書。
和田の言葉と共に小姓が盆を運んでくる。目の前に置かれた盆に視線を落とすと、丁重に包まれた文が1つ置かれていた。
靜子瞥了和田一眼後,拆開盆中的信閱讀。細讀完畢後,她輕嘆一聲,把信摺好放回盆上。
静子は和田の顔を一瞥した後、盆の手紙を開いて読む。熟読した後、静子は小さくため息を吐いて手紙をたたみ盆の上に乗せる。
「很抱歉,但我無法贊同信中的內容」
「申し訳ございませんが、文の内容に賛同する事は出来ません」
說罷,靜子將盆推向和田。平時不輕言拒絕的靜子表明了明確的拒絕意志,令慶次等人神色驟變。
言葉と共に静子は盆を和田の方へ押す。滅多な事では拒絶しない静子が、明確な拒絶の意思を示した事に慶次たちの顔つきが変わる。
三人雖不知文中所述,但都認為裡頭寫的事不妙。
文の内容は分からないが、良くない事が書かれていると三人は考えた。
「別這麼衝動。他們想必也不知信的內容。細節就免了,大概是寄信者的一廂情願。若知情,身邊之人定會攔阻」
「おやめなさい。彼らも文の内容は知らぬのでしょう。詳細は控えますが、おそらく送り主の独断です。知っていれば、周りが引き止めるでしょうから」
靜子用手制止瞪視困惑的和田的長可。正如她所料,和田只是奉命將信送來,對內容毫不知情。
困惑気味の和田を睨む長可を、静子は手で制する。静子の予想通り、和田は単に手紙を静子へ届けてくれと命令されただけで、その内容は一切知らされていない。
(本以為他有外交手腕,卻政治嗅覺欠佳,未能發揮長處。)若談及信的內容會讓和田大人為難。某人以為此事不如不多言、讓對方回去,對雙方都有利。請聽聽和田大人的意見。
「(外交力はあると思ったけど、政治センスが悪くて長所が生かしきれていないね)文の内容を語れば和田殿がお困りになるでしょう。ここは一つ、何も言わずお引き取り頂く事が、両者の為になると某は考えております。和田殿の意見を伺いましょう」
被問及也無法回答的和田。雖不知信中內容,但如果內容不利,自己的立場會受威脅。對方是織田家的重臣,萬一處置不當,恐怕會再度喪失知行地。
話を振られても回答に困る和田だった。文の内容は分からないが、内容が良くなければ自分の立場が危ぶまれる。相手は織田家の重鎮、下手をすればまた知行地が没収される事となる。
和田接過信收入口袋後,輕咳一聲。
文を受け取り懐に仕舞うと、和田は一つ咳払いをする。
「如你所言,我不知信的內容。但既然你如此主張,彼此置於不知大概比較妥當」
「そなたの言うとおり、わしは文の内容を知らぬ。だが、そこまで申すなら、互いに知らない事にした方が良いのであろう」
正當和田欲起身另行拜訪時,傳來有人倒下的聲響。三人對聲響作出反應,齊動作護在靜子前方,但他們所聽到的卻是呻吟聲。
出直そう、と和田が腰を上げた瞬間、人の倒れる音がした。音に反応して三人が静子を庇うように動くが、彼らの耳に届いたのはうめき声だった。
眾人探尋聲源,位置很快明白:在和田腳邊,フロイス正發出呻吟。眾人原本的注意力都在和田身上,因此發現他倒下時遲了一拍。
全員が声の出所を探る。場所はすぐに判明した。和田の足下でフロイスがうめき声を上げていたのだ。全員の意識が和田に向いていた為、彼が倒れた事に気付くのが遅れてしまった。
「フロイス大人!」
「フロイス様!」
羅倫索與年輕的修道士們把倒下的佛羅伊斯扶起。被人扶起也沒有反應,佛羅伊斯用肩膀粗重地喘息。
ロレンソや若い修道士たちが、倒れたフロイスを起こす。助け起こされた事にも反応せず、フロイスは肩で荒い息をする。
即便遠遠觀望的靜子也能清楚看出佛羅伊斯意識混濁、痛苦不堪。起初她以為是感冒,但以時節來看心生不祥預感。
遠目から見ている静子でも、フロイスが意識混濁を起こしているとはっきり分かるほど彼は苦しんでいた。最初は風邪かと思った静子だが、時期からして嫌な予感を覚える。
「失禮」
「失礼」
靜子撥開周圍的人走到佛羅伊斯身側,檢查他的體溫與眼睛狀況。
周囲の人をかき分けて静子はフロイスの横に移動すると、フロイスの熱や目の状態を診察する。
佛羅伊斯的體溫如火般炙熱,眼睛出現結膜炎,臉上還長了發疹。
フロイスの体温は火のように熱く、目は結膜炎を起こしている。そして顔面に発疹が出ていた。
「請問這幾日佛羅伊斯殿是否高燒臥床?當時咳嗽是否很嚴重?」
「質問です。ここ数日、フロイス殿は高熱で寝込んでいたりしていませんでしたか。その際、咳き込みが酷くありませんでしたか」
「欸?啊、是的……確實佛羅伊斯大人這幾日都有臥病在床。」
「え? あ、はい……確かにフロイス様はここ数日寝込んでおられました」
「果然如此嗎」
「やはり、ですか」
靜子深深吐了口氣。毫無疑問佛羅伊斯已罹患某種疾病,靜子在腦中開始構思接下來的計畫。
静子は深いため息を吐く。もはやフロイスはある病にかかっている事は疑いようがなく、静子はこれからの計画を頭の中で組み立てていく。
「他得了什麼病?」
「彼はいかような病に?」
「佛羅伊斯殿罹患赤斑瘡(あかもがさ)。恐怕正值發疹期……大約會有四天的發熱期。」
「フロイス殿は赤斑瘡(あかもがさ)にかかっています。恐らく発疹期……四日間は発熱が続くでしょう」
聽到赤斑瘡這詞和田的表情僵住。古稱赤斑瘡、現代稱為麻疹的疾病,與天花與水痘同樣令人畏懼。
赤斑瘡という言葉に和田の表情が強ばる。古くは赤斑瘡、現代では麻疹と呼ばれる病は天然痘や水痘と共に恐れられた病だ。
尤其戰國時代是天花與麻疹最盛行的時期。即便到了江戶時代,因營養不足而時常爆發流行,仍有許多人死於疫病。
特に戦国時代は天然痘や麻疹が一番流行った時期だ。江戸時代以降も栄養不足が原因でたびたび流行が起き、多くの人が病で亡くなった。
以靜子為首的慶次、才藏、長可及其部下對麻疹有抗體,但和田與那些年輕修道士是否有抗體則令人存疑。
静子を筆頭に慶次、才蔵、長可、そして彼らの兵は麻疹に対する抗体を持っているが、和田や若い修道士たちは抗体を持っているか怪しかった。
「誰在!」
「誰ぞある!」
「您在召喚嗎,殿?」
「お呼びですか、殿!」
靜子的怒喝讓玄朗立刻趕來;他瞥了一眼房間便察覺事態不妙。
静子の怒声に玄朗がすぐさま駆けつける。彼は部屋を一目見て、ただならぬ事態だと察する。
「京都極有可能爆發麻疹,派快馬去通報明智大人,告知必須緊急應對。命令空閒者準備隔離病棟。數量以十五為準,但要有能做三十個的心理準備。」
「京に麻疹が流行する可能性が高い。明智様へ早馬を送り、急ぎ対策が必要と連絡しろ。手の空いている者に隔離病棟を作る準備をさせよ。数は15、だが30作れる心構えで対応せよ」
「是!」
「はっ!」
恭敬行禮後玄朗匆匆離去,他的命令聲立刻迴盪開來,靜子的屋敷被一片緊張氣氛籠罩。
恭しく礼をした後、玄朗は駆け足でその場を去る。すぐさま彼の号令が響き渡り、静子の屋敷が緊張感に包まれる。
短短時間內五名衛生兵衝入房內,將還未弄清狀況的修道士們推開,開始診察佛羅伊斯。結果與靜子所判斷相同。
僅かな時間で衛生兵5人が部屋に駆け込むと、いまだ事態が飲み込めていない修道士たちを押しのけ、フロイスを診察する。結果は静子と同じだった。
「如殿所料,確為麻疹。恐怕病菌已散佈到京都各處……」
「殿の予想通り、麻疹でございます。恐らく、菌は京の至る所へ散らばっているかと……」
「必須立即隔離感染者。請與明智大人及京都治安維持隊協力,封鎖疫情,否則仍會有更多人倒下。雖然要勞煩諸位,還請多費心。」
「急ぎ感染者を隔離する必要があります。明智様、そして京治安維持警ら隊と協力し、病を封殺します。でなければ、また多くの人々が病に倒れるでしょう。あなた方には苦労をかけると思いますが、よろしくお願いします」
靜子低頭致意時,衛生兵們微笑著搖了搖頭。
頭を下げる静子に衛生兵はにこりと笑うと首を横にふる。
「請抬起頭,殿。若非有您,我等早已喪命。能報答您厚恩,今後的忙碌算不得什麼。」
「頭をお上げ下さい、殿。あなた様がいなければ、我々は皆死んでおりました。大恩に報いられるのなら、これからの忙しさなど些細なことです」
將佛羅伊斯放上擔架後,衛生兵們匆忙離開房間,前往將他送至隔離病棟。
フロイスを担架に乗せると、衛生兵たちは彼を隔離病棟に運ぶため急いで部屋を後にした。
「很遺憾,你們也很可能已被感染。雖然失禮,請務必遵從他們的指示。」
「残念ながらあなた方も感染している可能性が濃厚です。失礼とは存じますが、彼らの指示に従って頂きます」
羅倫索等人終於理解事態,但他們還未採取行動時,新的衛生兵便闖入房內,未給他們反應機會就將他們帶走。
ようやく事態を把握できたロレンソたちだが、彼らが何か行動を起こす前に新しい衛生兵たちが部屋に入り、有無を言わさず彼らを連行した。
不知他們是否聽見,靜子向他們宣告:與佛羅伊斯等人同行的人,不可能沒被感染。
聞こえたかどうか不明だが静子は彼らに向かって宣言した。フロイスたちと行動を同じくしていた彼らが感染していないと考えるのは無理がある。
修道士們與基督徒一同行動,若如此可能進一步增加感染者,因此除了將具高度傳染力的病患收容於隔離設施外,別無他法可取。
修道士の彼らがキリシタンと共に行動し、それが更に感染した人間を増やす可能性が高い以上、感染力の強い病にかかった人を隔離施設に収容する以外、取れる対策はない。
「我們也會把該做的事做好。」
「我々もやる事をやりますよ」
聽到靜子的話,三人神情收緊,點了點頭。
静子の言葉に三人は表情を引き締めて頷いた。
靜子報告京都極可能流行麻疹的消息,不僅明智等人震驚,遠在岐阜的信長也深受衝擊。
京に麻疹が流行する可能性が濃厚、という静子の報告に明智たちは勿論、岐阜に戻っている信長も衝撃を受けた。
信長與部分家臣直到數日前仍在京都,但一切沒有任何徵兆;短短數日內情勢便改變,讓人再次認識到疫病的可怕。
信長や家臣の一部が数日前まで京にいたが、それらしい兆しは一つもなかった。それが僅か数日で状況が変わる所に、改めて病の恐ろしさを認識した。
京都治安若動盪,會導致商業停滯,並可能被敵方勢力煽動暴動;反過來說,若由織田家主導防疫,則能向周邊展示織田家的力量。
京の治安が乱れる事は商活動の停滞、敵勢力が暴動を扇動する可能性がある。逆に言えば織田家主導で流行病を防げば、それは周囲に織田家の力を見せつけられる。
信長認為壓制麻疹流行對織田家長遠有利,遂命光秀與畿內的國人遵從靜子的指示。
麻疹の流行を押さえ込む事は、将来において織田家の利益になると考えた信長は、光秀や畿内の国人たちへ静子の指示に従うよう命じた。
「說是輕鬆倒也輕鬆……只是女扮男裝的時間變長,會感到疲累。」
「楽と言えば楽なのだけど……男装の時間が長くなって疲れる」
光秀與國人們行動迅速,命令一到,翌日便前來向靜子拜會並請示方針。
光秀や国人たちの動きは早かった。信長からの命が届くや否や、翌日には静子の元へ挨拶に窺い指示を仰いだ。
疫病不分對象,無論國人、朝廷或寺社,皆會肆虐,畿內的國人們記得那份恐怖。
流行病は相手を選ばない。国人だろうが、朝廷だろうが、寺社であろうが、所構わず猛威を振るう。その恐ろしさを畿内の国人たちは覚えていた。
靜子交代他們的指示內容非常簡單。
静子が彼らに出した指示の内容は非常に簡単だ。
已請細川與光秀另行處理朝廷與將軍家的應對,其餘疑似感染者則隔離於隔離病棟(長屋)。給予指定的膳食。解除隔離在康復期起算四日後。負責應對者限於過去十年內曾罹患麻疹並持有抗體者。
細川と光秀には朝廷や将軍家の対応を追加で依頼したが、他は感染したと疑わしき者は隔離病棟(長屋)に隔離する。指定する食事を与える。解放するのは回復期から4日後。対応する者は過去10年に麻疹に罹患し抗体を持つ者に限定した。
從佛羅伊斯麻疹感染被發現起五日後,彷彿引發連鎖反應般,開始有人出現麻疹症狀,患者數量像滾雪球一樣增加。
フロイスの麻疹感染発覚から5日、連鎖反応を起こすかの如く麻疹の症状を訴える人は現れ、患者数はネズミ算式に増加していった。
從那情形看來,可以認為京城大約從三週前就已暴露於麻疹病毒之下。
その様子から、三週間ほど前から京は麻疹ウィルスに曝露(ばくろ)(細菌・ウイルスなどにさらされること)されていたと考えて良い。
「殿。柴田大人、丹羽大人、滝川大人、木下大人、森大人、佐々大人已派後援來到」
「殿。柴田様、丹羽様、滝川様、木下様、森様、佐々様から後詰めが来ております」
「後援……?啊,確實會被抽走很多人力,所以治安維持會留下隱憂。請回話告知我會欣然接受那項安排」
「後詰め……? ああ、確かに色々と人を取られるから、治安維持に不安が残りますね。そのお話、ありがたく頂戴すると連絡して下さい」
靜子認為他們是預見到麻疹應對會使人力吃緊才借出兵力,於是對此表示感謝;麻疹處理一樣不能因此疏忽京城的治安維護。
麻疹対応に追われて京の治安維持を疎かにする訳にはいかない。その事を見越して兵力を貸してくれたと静子は思い、彼らに感謝した。
「是」
「はっ」
傳令兵行了一禮便迅速離去;然而幾乎同時,又有另一名傳令兵趕來。
一礼すると伝令兵は素早く立ち去った。しかし、彼と入れ替わりのように別の伝令兵がやってきた。
「殿。將軍家的使者來了……」
「殿。将軍家の使者が来ておりますが……」
「派他去細川大人那裡。對將軍家的應對一律拜託給細川大人,朝廷來的也同樣。現在沒有餘裕接待他們」
「細川様の所へ行かせなさい。将軍家への対応は、全て細川様にお願いしております。朝廷から来ても同じです。今は彼らの相手をする余裕がありません」
「是」
「はっ」
這幾日光是應付接二連三湧上的情報就已忙得不可開交,還要去應付朝廷或將軍家對靜子而言根本不可能。
ここ数日、矢継ぎ早に上がってくる情報に対応しているだけでも忙しいのに、更に朝廷や将軍家の相手をするなど静子には不可能だった。
「(偏偏在忙的時候上頭就做些多餘的事啊。真希望他們能再沉得住氣一點)衛生衆還沒到嗎?」
「(忙しい時に限って上は余計な事をするなぁ。もうちょっとどっしりと構えて欲しい)衛生衆の到着はまだですか?」
「預計明天早上到達」
「明日の朝に到着の予定です」
「慶次、勝藏,將後援的兵力兩人分配,負責京城治安維持。才藏由我護衛……反織田聯盟的動向難以預測,務必繃緊神經執行任務。若是企圖造成治安惡化的對手,多少粗暴手段也可使用」
「慶次さん、勝蔵君。後詰めの兵を二人で分けて、京の治安維持に当たって下さい。才蔵さんは私の護衛で……反織田連合の動きが読めない状態なので、気を引き締めて任務にあたって下さい。治安悪化を狙う相手なら、多少手荒な真似をしても構いません」
「明白」
「承知した」
兩人各持兵器離開房間。雖然在另一層意義上可能會下起血雨,但維持治安需要堅決的態度;若怠慢,對方便會乘虛而入。
それぞれ得物を片手に二人は部屋を後にする。別の意味で血の雨が降る可能性が高いが、治安維持には毅然とした態度が必要だ。それを怠れば、相手が弱みにつけ込んでくる。
之後每小時還要應付約二十名傳令兵,吃過簡單的午餐後,靜子前往京內十七個隔離病棟中,佛羅伊斯所在的第八隔離病棟探視。
その後も1時間に20人ぐらいの伝令兵と相手をし、簡素な昼食を取った後、静子は京にある17の隔離病棟の内、フロイスが入っている第8隔離病棟へ足を運ぶ。
「想必退燒差不多了,佛羅伊斯大人的情況如何?」
「そろそろ下熱している頃かと思いますが、フロイス殿の様子は如何でしょうか」
「是。今晨意識清醒,能對我們的詢問作出明確回答。恐怕三日後即可出院」
「はっ。今朝は意識もはっきりし、こちらの質問に明確な受け答えが出来ました。恐らく、3日後には退院可能と存じます」
向負責佛羅伊斯的衛生兵打聽後得知,他從今晨起已轉趨好轉。但即便進入恢復期,麻疹仍具傳染力,仍需觀察數日。
フロイス担当の衛生兵を捕まえて話を聞くと、今朝より快方に向かっているとの話だ。だが、回復期に入っても麻疹は依然として感染力を持つため、数日は様子を見る必要がある。
「謝謝。話說回來,這裡也一下子增加了許多人呢」
「ありがとうございます。それにしても、ここも一気に人が増えましたね」
「是的。這是第八隔離病棟,但已達收容極限」
「はい。ここは第8隔離病棟ですが、既に収容限界に達しています」
「已在加緊準備第十八、十九隔離病棟,但那也可能很快達到極限」
「第18,19隔離病棟を急いで用意させていますが、それもすぐに限界に達するかもしれませんね」
「麻疹的傳染力令人忌憚,畢竟數日內就會送進如此多的人。這可說是與病魔的戰鬥。當然,我們絕無要敗的念頭」
「麻疹の感染力は恐るべきものです。なにしろ、数日でこれほど多くの人が運び込まれます故。これはまさに病とのいくさと言っても良いでしょう。無論、我々は負ける気は毛頭ございません」
衛生兵握拳示意幹勁。他因天花失去了雙親,又因麻疹失去了兄弟姊妹與自己的孩子。
衛生兵は力拳を作ってやる気を見せる。彼は天然痘で両親を、麻疹で兄妹と我が子を失った。
不只他一人,許多衛生兵都是因病而喪失家人。若是現代,這些病多半只是去醫院就能治癒的病症。
彼だけではない。衛生兵は病によって家族を失った者が多い。現代なら病院へ行けば良い程度の病でだ。
失去摯親時的無念成為原動力,使他們不以在戰國時代常被輕視的衛生兵工作為忌,反而率先承擔起來。
親しき者を失った時の無念が原動力となり、衛生兵という戦国時代では馬鹿にされやすい仕事を嫌がらず、それどころか率先して行う力となっている。
(他們將成為未來的醫者)我等若在此勉力,國家則得安寧;但不可因此逞強過度而倒下。
「(彼らが将来の医を担う人となるでしょう)我らがここで励めば、国は安らかなり。されど、それで無理をして倒れてはいけません」
「是!銘記於心!那麼,某人告辭了」
「はっ! お言葉肝に銘じます! では、某はこれで失礼致します」
正襟危坐並低頭致意後,衛生兵小跑離去;他所負責的患者多到雙手難以數清。
姿勢を正して頭を下げた後、衛生兵は小走りに去って行った。彼が担当する患者は両手では数え切れない。
靜子覺得必須充實更多衛生衆。為此需要比現在更多的武功;要充實軍隊,除了立功別無他法。
もっと衛生衆を充実させる必要があると静子は思った。それには今以上に武功が必要だった。軍を充実させるには武功を上げる以外に方法はない。
「失禮了。佛羅伊斯大人,容態如何?」
「失礼します。フロイス様、容態は如何でしょうか」
人在病弱時瑣事也易生爭端,為免生不必要的混亂,佛羅伊斯被移到與其他患者不同的個室。靜子與才藏一同進入那間房。
病で弱っている時は些細な事でもめ事に発展する。余計な混乱を生まぬよう、フロイスは他の患者と違い個室に移動させていた。その部屋へ静子は才蔵と共に入る。
「這位是頭巾宰相大人,咳咳……以這種形式見諒」
「これは頭巾宰相殿、ごほっごほっ……このような形で失礼します」
「別在意,請安靜休養。(一直想問,為何有人叫我頭巾宰相呢。現在再問似乎有些突兀……也許是因為我還沒自我介紹。但這個要我戴的,乃是館主所命,不知是否能明說身分)」
「お気になさらず、安静にして下さい。(前から思っていたけど、何で私は頭巾宰相って呼ばれているのだろう。何か今さらな気がして聞くに聞けない……って自己紹介していないせいか。でもこれを被っていろと言ったのはお館様だし、素性を明かして良いものなのか)」
「咳咳,咳嗽仍未完全止住,但鼻水已經止了。皮疹再一會兒就會乾淨消失,在這麼艱難的時期造成麻煩,實在抱歉」
「ごほっごほっ、咳がまだ続きますが鼻水は収まりました。発疹はもう少しすれば綺麗になくなります。大変な時期ですのにご迷惑をおかけしました」
或許是在京城自然會得到消息,或是從和田處得知織田家的狀況,佛羅伊斯帶著歉意的表情向人道歉。
京にいれば嫌でも情報は入るのか、それとも和田から織田家の事情を知らされているのか、フロイスは申し訳なさそうな表情で謝罪してきた。
「不必道歉。你染上流行病,我是想阻止疫情擴散,僅此而已」
「謝罪する必要はありません。貴方は流行病にかかった、某は病の流行を防ぎたい、それだけの話です」
「即便如此我仍想表達感謝之意,咳咳……讓我說聲謝謝。多虧你把我從死地救回,感激不盡」
「それでも感謝の気持ちは、ゴホゴホ……述べさせて頂きます。死の淵にいた所を助けて頂きありがとうございました」
身為基督徒生病時向神祈禱是理所當然,但他熟悉日本文化,因此認為在日本表達感謝之情很重要。
病気の時に神へ祈るのがキリスト教徒だが、彼は日本文化を熟知している。ゆえに、日本では感謝の気持ちを述べる事は大事だと考えていた。
「看您這情況,明天就能吃固體食物。接下來幾天可能還會感到不便,還請多多諒解。」
「そのご様子なら、明日には固形の食事を取れましょう。あと数日は窮屈かと存じますが、何とぞご理解のほどお願いします」
「嗯,那沒問題。更重要的是,對於你們幫我做到這種地步我感到十分抱歉。」
「ええ、そこは大丈夫です。それより、ここまでして頂いて申し訳ない気持ちです」
「無論是伴天連還是市井的僧侶,對衛生兵來說病人就是病人。救治病人是衛生兵的工作。我不過是負責統籌他們而已。如果要表達感謝,請轉達給他們。」
「伴天連であろうと、生臭坊主であろうと、衛生兵にとって病にかかった者は一人の患者。患者を助ける事が衛生兵の仕事です。某は彼らを纏めているに過ぎない。もし、感謝の気持ちを述べるなら、彼らに示してやって下さい」
說完後靜子便轉身背向弗洛伊斯,但剛出門又回頭向他深深鞠了一躬。
それだけ言うと静子はフロイスに背を向ける。しかし、部屋を出たところでフロイスの方へ向き直ると、頭を深々と下げた。
「您同行的修道士似乎也染上麻疹。暫時會將他隔離在此病棟,但會以萬全體制應對,請安心。」
「お連れの修道士様も麻疹にかかっているご様子。しばしこの病棟に隔離しますが、万全の体制をしいて対応しますので、ご安心下さい」
隨著話語,才蔵關上了房門。
言葉とともに才蔵が部屋の扉を閉めた。
麻疹肆虐驚人,自弗洛伊斯感染被發現一週後,感染者已超過3000人。
麻疹の猛威は凄まじく、フロイス感染発覚から一週間後には3000人以上の感染者が出た。
無法查明是因接觸到卡他期的弗洛伊斯而由此擴散,還是原本就有感染者而弗洛伊斯從那人感染,現在已無從調查。
カタル期のフロイスと接触し、そこから感染者が広まったのか、それとも元々感染者がおり、フロイスはその人物から感染したのか、今では調べようもなかった。
已知的是無法阻止麻疹擴散,麻疹不僅蔓延至畿內一帶,還波及中國地方、中部地方,甚至關東地區。
分かっている事は麻疹の感染拡大を阻止する事は叶わず、畿内一帯は勿論、中国地方、中部地方、果ては関東方面まで麻疹は広まった。
幸好畿內由於信長以及朝廷和將軍家下令各國對麻疹採取適切應對,沒有趁機作亂的不法之徒出現。
幸いにも畿内は信長、そして朝廷や将軍家が麻疹に対して適切な対応を各国に命じた事で、この隙に事を起こすような不届き者は出なかった。
此外,多虧靜子持續施行疫病對策,尾張與美濃雖發生小規模流行,但很快被封鎖,未演變成大流行。
また、静子が疫病対策をとり続けていたお陰で、尾張・美濃では小規模な流行は発生したものの、すぐに封殺されて大流行することはなかった。
這次麻疹流行可以說是因交通便利改善所引起。
今回の麻疹流行は交通の便が良くなった事で引き起こされたと言っても良い。
現代若搭乘飛機或船舶就能環遊世界,但這也成為將原本為風土病的疾病擴散至全球的原因。
現代では飛行機や船舶に乗れば世界中を移動出来るが、これが本来は風土病だった病を世界に広めた原因になってしまった。
同理,信長為活絡日本商業而整備尾張、美濃、畿內的交通網,結果商人與受僱的人員開始頻繁移動。
それと同じで信長が日本の商活動を活発にしようと尾張や美濃、畿内の交通網を整備した結果、商人や彼らに雇われた人々が活発に移動するようになった。
這使得原本侷限於極少數地區的人群所帶的疾病擴散至各地。
それがごく限られた地域にいる人で収まっていた病を各地に広げてしまうことになる。
既然沒有檢測疾病的工具,改善交通便利也必須承擔助長疫情蔓延的弊端。
病気を検査する道具がない以上、交通の便を良くする事は病の流行を助ける弊害も甘受しなければならなかった。
「請報告現況。」
「状況報告をお願いします」
「是。現在已部署300名衛生兵於20個隔離病棟,專門處理麻疹治療。但麻疹的猛威極為驚人,僅京周邊患者數就有接近一萬之勢。恐怕寺社的不合作也影響了感染擴大。」
「はっ。現在、300名の衛生兵を20の隔離病棟に配置させ、麻疹の治療に当たらせています。しかし、麻疹の猛威は凄まじく、京周辺だけで患者は万に届く勢いです。おそらく寺社が非協力的な事が、感染拡大に影響していると思われます」
自弗洛伊斯感染被發現兩週後,靜子如例接受現況報告,內容難言樂觀。
フロイスの感染発覚から二週間後、静子は恒例の状況報告を受けたが良い内容とは言い難かった。
病患多向神佛祈禱的風氣,加上寺社勢力不合作,導致防疫緩慢不前。
病にかかると神仏に祈る風潮と、寺社勢力が非協力的な事が影響して防疫が遅々として進んでいない。
不僅是寺社勢力,曾在反織田聯盟的武家也對防疫消極。各陣營的政治盤算交織,使靜子等人能防疫的範圍僅限於京周邊。
寺社勢力だけではない。反織田連合にいた武家たちもまた防疫に対して消極的だった。各陣営の政治的な思惑も絡んで、静子たちが防疫出来る範囲は京周辺が限界だった。
因此京城因麻疹死亡者只因併發症而數十人,但畿內某些地區因麻疹喪生者已超過1000人。
その関係で京において麻疹による死者は、合併症を起こした者たち数十名だけだったが、畿内の一部では麻疹によって命を落とした者が既に1000名を超えていた。
無法調查的畿內外狀況只能推測,但有抗體的商人報告稱情況慘不忍睹,甚至有商業城市已變成死亡之城。
調査出来ない畿内以外の状態は推測しか出来ないが、抗体を持つ商人からの報告によれば悲惨の一言では済まない状態だった。商業都市が死の街へ変わっている所もあったとの事だ。
當然也有人合作。細川家與京中的有力者欣然接受織田家的提議,提供興建隔離病棟的土地及各種救援物資。
無論、協力的な人物もいる。細川家や京の有力者は織田家の申し出を快く引き受け、隔離病棟を建てる土地の用意や、様々な救援物資を提供してくれている。
另外因弗洛伊斯獲得治療,耶穌會也主動提議協助,基督徒因此對靜子等人也相當合作。
またフロイスが治療された事でイエズス会も率先して協力を申し出てくれ、その関係でキリシタンも静子たちに協力的だった。
寺社中也有合作的地方;畿內與長島不合作,但美濃與尾張的本願寺則對信長表示支持。
寺社にも協力的な所はある。畿内や長島は非協力的だが、美濃や尾張の本願寺は信長に協力的だ。
「……沒辦法。請取得我們管轄區域的感染與死亡人數,及其他地區的感染與死亡人數。以能讓民眾看見的方式顯示差距,他們才會傾聽我們的話。」
「……仕方ないですね。我々が管轄する区域の感染者数と死亡者数、それ以外の場所での感染者数と死亡者数を入手して下さい。民へ目に見える形にして、差を知らせれば我々の言葉に耳を傾けてくれるでしょう」
靜子認為若織田家與其他地方在死亡人數趨勢上有差異,能夠感受到明確死亡事實的民眾會轉而求助於織田家,而非寺社。
織田家とそれ以外で死亡者数の推移に差があれば、明確な死を感じ取っている民は寺社ではなく織田家へ来ると静子は考えた。
即便如此,若民眾仍然依賴寺社也只能斷然放棄,因為沒有足夠的力量去救助那些不願接受幫助的人。
それでもなお、寺社を頼るなら致し方なしと切り捨てる他ない。嫌がっている相手を救えるほどの余力はない。
「是,知道了。」
「はっ、承知しました」
「若有任何情況立刻回報。若早馬數量不足,只要提出要求,還可再增加四人。」
「何かあればすぐに報告を上げて下さい。早馬の数が少なければ申し出れば、後4人は増やせます」
各隔離病棟配有6名專責回報的早馬。因為些微的人為錯誤有時會導致大事故,即便是瑣碎事項也必須回報。
各隔離病棟には報告専門の早馬を6人置いている。些細なヒューマンエラーが時に大事故へ繋がる事があるため、些細な内容でも報告を上げる必要があった。
然而即便有早馬,若環境讓人難以回報也無用。於是靜子派遣數名士兵督促逐一回報,營造隔離病棟易於回報的氛圍。
しかし、早馬を置いても報告を上げにくい環境では意味がない。そこで静子は何人かの兵を使って報告を逐一上げさせ、隔離病棟に報告を上げやすい空気を作った。
若隔離病棟能順利上報資訊,之後由司令部的靜子與士兵們精查,找出解決方法。
隔離病棟からスムーズに情報が上がれば、後は司令部にいる静子と兵たちが精査し、問題の解決方法を見出す。
最後將整理好的解決方案書面送回隔離病棟。當然有些可由現場解決的事務,但考慮到其應對方式可能供其他隔離病棟採用,仍規定事後回報為必要。
最後に解決方法を纏めた書類を隔離病棟に送る。無論、現場で片付けられる内容もあるが、その対応方法が他の隔離病棟で使える可能性も考慮し、事後でも報告を義務づけた。
這樣彙整的經驗集會被整理,最後上報給信長。積累而成的知識可說是信長的一張王牌。
こうして集まったノウハウ集が整理され、最後に信長へ報告される仕組みになっている。集積された知識こそ信長の切り札の一つと言っても良い。
「是!」
「はっ!」
報告完畢的士兵行禮後離開房間。靜子在聽完報告後,還整理了要交給光秀的報告書。
報告を終えた兵は一礼すると部屋を後にした。その他にも報告を聞き終えた静子は光秀に渡す報告書を作成する。
由於立場所限無法輕易移動,靜子只能透過報告書來告知情況。
立場上、安易に移動できない静子は、報告書で状況を知らせるしか方法がなかった。
並不是用右筆寫報告書,所以不會造成那方面的時間損失或認知差異,但所有的報告都得由靜子親自書寫。
右筆(ゆうひつ)を使って報告書を書くわけではないので、その分時間のロスや認識の違いが起きないが、全部を静子が書かなければならない。
途中一邊接收報告一邊整理要送給光秀的報告書後,靜子今天的工作就結束了。
途中、報告を受けながら光秀に送る報告書を纏めると、本日の静子の業務は完了した。
「嗯~!光是處理文書也太累了。明天ヴィットマン他們就會到,可能還要待命大約兩週吧」
「ん~! 流石に事務処理ばかりだと疲れるね。明日にはヴィットマンたちが到着するし、後2週間ぐらい待機かな」
本來因為幾日內就會返回所以沒帶來的ヴィットマン們,考慮到目前需要在京停留數週,還是把他們召來效率比較好。
数日で帰還するから連れていかなかったヴィットマンたちだが、数週間京に滞在が必要な現状を考えると、彼らを呼び寄せた方が効率が良い。
若他們加入護衛,沒有比這更讓人安心的了。慶次和長可致力於維持治安,身邊還有才蔵在,仍然多一分慎重總是好的。
護衛役に彼らが加わるならこれほど心強い事はない。慶次や長可が治安維持に努め、傍に才蔵がいるとはいえ用心するに越したことはない。
靜子的擔心應驗了。慶次、長可與才蔵常常外出,使得她的屋敷被間諜侵入了。
静子の心配は当たっていた。慶次や長可、才蔵が留守にしがちな彼女の屋敷には間者が入り込んでいた。
頻繁的人員出入成了掩護,讓間者得以混入。當然,外表看起來並非如此但情報防護嚴密的靜子,沒有任何間者能從她那裡套到重要情報。
人の出入りが激しい事が隠れ蓑になり、間者が入り込んでくるのを許してしまった。無論、見た目に反して情報のガードが堅い静子から、重要な情報を聞き取れた間者はいない。
即便如此,聰明的人也可能從散落到末端的資訊中察覺核心部分。必須盡可能注意,避免情報外洩。
それでも頭の良い人間なら、末端に流している情報から中核部分を察する可能性もある。できうる限り、情報が漏れないよう配慮する必要があった。
同時也不怠忽防範,一旦情報洩漏便將損害降到最低的對策。
それと同時に、情報が漏れた時に被害を最小限に抑える対策も怠らなかった。
沒有發生特別顯著的問題,隔日ヴィットマン他們抵達靜子處。以此為界,間者就很難接近靜子了。
特に目立った問題は起こらず、翌日静子の元にヴィットマンたちが到着する。それを境に間者が静子へ近づくのは困難となる。
因為ヴィットマン日夜守護在周遭,且就算有人想進入存放資料的地方,他們也會立刻發現。
四六時中、ヴィットマンたちが周囲を囲っている上に、資料が保管されている場所へ入ろうにも、すぐに彼らが気付くからだ。
召來ヴィットマン還有其他理由。
ヴィットマンたちを呼んだ理由は他にもある。
若無併發症,麻疹在10至14日內可痊癒。現在自確認フロイス感染已過約15日,最初被送往隔離病房的患者已痊癒並陸續獲釋。
麻疹は合併症がなければ10日から14日で完治する。今はフロイスの感染を確認してから15日が過ぎた頃なので、初期に隔離病棟へ運ばれた患者が完治し、順次解放されていた。
僅據掌握就約有1萬2500名患者,皆在信長具影響力的畿內地區。
把握しているだけで約1万2500名が、信長の影響力がある畿内での患者数だ。
其中死亡者僅有約60名兒童因併發症或營養不良亡故、約30名成人,以及約120名超過60歲者。
内、死者は合併症や栄養失調で亡くなった子が約60名、大人が約30名、60歳を超えた人たちが約120名だけだった。
也就是說,隨著麻疹痊癒者逐漸增多,可能會調動比現在更多的人力。靜子不想在那種時期讓周遭覺得護衛不夠,因此召來了ヴィットマン。
つまり、麻疹が完治した者が徐々に増えるので、今以上に人員が割かれる可能性がある。そんな時期に護衛が不安と周囲に思われたくないので、静子はヴィットマンたちを呼んだ。
在織田家無影響力的地區,感染者仍持續增加,其中有八成死於疾病。
織田家の影響力がない地域は感染者が今もなお増え続け、その内の8割が病死していた。
相對地,京郊的死亡率相較於感染人數少得異常。
これに対し、京周辺は感染者数に対して死亡者数は異常と言えるほど少なかった。
原因是採用了現代也會進行的維生素A攝取。對疑似麻疹感染者事先給予維生素A,現代已證明可降低死亡率。
理由は現代でも行われるビタミンA摂取をしたためだ。麻疹感染が濃厚な人物には、事前にビタミンAを投与すれば死亡率が下がる事が現代では証明されている。
但因沒有大量抽取或濃縮維生素A的工廠,靜子透過飲食讓人經口攝取含維生素A的艾草、小松菜與蛋黃。
しかし、ビタミンAを大量に抽出・濃縮する工場がないため、静子は食事によもぎ、小松菜、卵黄を含めてビタミンAを経口摂取するようにした。
維生素A在肝臟中形成,會被限制不致於過量產生,因此無需過度擔心過量攝取。
ビタミンAは肝臓で作られ、必要以上に生成されないよう制限されているため、過剰摂取の心配は必要ない。
蛋黃姑且不論,艾草與小松菜都是容易栽種且容易取得的作物。讓大量患者攝取是可行的。
卵黄はともかくよもぎや小松菜は栽培が容易、かつ入手しやすい作物だ。多くの患者に摂取させる事は可能であった。
靜子把包括周遭護衛在內的一切準備就緒,但數日後人力卻以與她預想不同的方式被分配。
周囲の警護を含めて準備を整えた静子だが、それから数日後、彼女の予想とは違う形で人員が割かれることとなった。
除去發生併發症者與免疫力來不及增強者外,感染麻疹的患者都能在不失去性命的情況下康復。
合併症が起きた人間と、抵抗力の強化が間に合わなかった者以外、麻疹にかかった患者は命を落とす事なく病を治す事ができた。
麻疹痊癒者前來靜子的屋敷,邊道出感謝之詞邊拜謝,屋敷前因此聚成了人牆。
そして麻疹が完治した人は静子の屋敷を訪れ、感謝の言葉を述べながら拝むため、屋敷には人垣が出来上がった。
結果是,間者難以在頻繁的人員出入中混入。
その結果、間者には人の出入りが激しい状態に紛れて忍び込むのが困難となった。
病患逐漸減少,與此呈反比的是湧向屋敷的人潮,於是靜子等人在屋敷周邊部署了兵士,避免人群混亂。
徐々に病人が減り、それに反比例して屋敷へ人が押し寄せてくるので、静子たちは屋敷周辺が人で混乱しないよう兵士を配備した。
要躲過兵士與民眾的注視而侵入屋內十分困難。
兵士からの視線と人々からの視線をかいくぐって、屋敷内部に侵入する事は難しい。
就算打扮成傳令兵想混入,入門時門房會詢問所屬與傳令號碼,不知道的人回答不出就會被捕。
伝令兵の格好をして侵入しようにも、入る時に門番から所属と伝令番号を尋ねられ、これを知らない間者は答えられず、そのまま捕縛されていった。
「不行,哪裡都是人、人、人,這樣根本不可能潛入。」
「駄目だ、どこも人、人、人だらけだ。これでは忍び込むのは不可能だ」
在人煙稀少的小徑上,四名間者秘密集合。
人通りの少ない細道で4人の間者が秘密裏に集まる。
人員出入頻繁時,會把確認所屬與傳令號碼所造成的損失與讓間者混入的風險權衡,優先選擇損失較小的一方。
人の出入りが激しい時は、所属と伝令番号の確認に対するロスと間者が入り込むリスクを天秤にかけ、ロスが少なくなる方を優先した。
但目前病患數已開始減少,因此無需再顧慮那種損失。
しかし、現在は患者数が減り始めているため、ロスを考慮する必要がなくなった。
因此開始要求確認所屬與傳令號碼,不知道的人被突問奇怪的事而答不上來,因而被懷疑的衛兵逮捕。
そのため、所属と伝令番号を確認するようになり、それを知らない間者は突然謎の事を聞かれて答えに窮し、答えられない者を怪しんだ衛兵に引っ捕らえられていた。
「怎麼辦,這樣下去……」
「どうする、このままでは……」
間者的性命輕易。若沒獲得有益情報,頂多被貶,嚴重的則得負責被斬首。
間者の命は軽い。有益な情報を得られなければよくて左遷、悪ければ責任を取って斬首だ。
正因為知道自己命薄,間者們在無法取得核心情報的情況下變得焦躁。
自分たちの命が軽い事を知っているからこそ、間者たちは核心部分に当たる情報を得られず焦っていた。
「找到了~」
「みぃーつけた」
也正因如此,他們沒注意到朝自己悄悄靠近的危險。背脊一陣寒意竄起的瞬間,現場的四名間者中三名彈開躲開,但最後那一人呆立在原地。
だからこそ自分たちに忍び寄る危険に気付けなかった。ぞわりと背筋に悪寒が走った瞬間、その場にいた間者の内、3名は飛び退けたが最後の1人はその場に呆然と立ち尽くしていた。
伴隨著劃破空氣的聲音,還有肉體破碎與水濺飛散的聲響。那個呆立者的頭被碾碎,變成慘不忍睹的樣子。
空気を裂く音がすると同時、肉が潰れる音と水気のものが飛び散る音がした。立ち尽くしていた間者の頭が潰れ、見るも無惨な姿へ変わっていた。
「從昨天開始在人周圍鬼祟出沒的老鼠是你們嗎?」
「昨日から人の周りをちょろちょろしていたネズミはお前らか」
長可用巴爾迪什將一名間諜擊斃,邊瞥了剩下的間諜一眼邊說話。長可的突然出現令間諜動搖,但他們很快恢復冷靜,拿起武器與長可對峙。
間者の1人をバルディッシュで絶命させた長可が、残りの間者を一瞥しながら語る。突然の長可登場に間者たちは動揺するも、すぐに冷静さを取り戻し武器を手に長可と相対する。
即便是通常不利的三對一,長可仍掛著興奮的笑容。他舔了舔嘴唇,威嚇般揮起巴爾迪什對準間諜。
3対1という普通なら不利な状況でも、長可は楽しそうな笑みを崩さない。唇を舐めると長可は間者たちを威嚇するようにバルディッシュを振り上げた。
巴爾迪什厚重的刀鋒讓間諜們短暫退怯。長可沒有放過那短短的一線縫隙。
肉厚感のあるバルディッシュの刃に、間者たちは僅かな間だが怯んだ。その僅かな隙を長可は見逃さなかった。
長可瞬間拉近與間諜的距離,將巴爾迪什砸向最前方間諜的頭顱。頭蓋骨粉碎,腦漿四濺。
間者との距離を一気に詰めると、一番手前にいる間者の頭にバルディッシュを叩き込む。頭蓋骨が砕け、脳みそが脳汁と共に飛び散る。
為了避開噴濺出來的飛沫,間諜本能地舉手護住。露出破綻的那一刻,長可的巴爾迪什插入了間諜的側腹。
ぶち撒けられた飛沫を避けようと、間者が思わず手をかざす。隙だらけの状態を晒した間者の脇腹に、長可のバルディッシュが食い込む。
被斬至半腰的間諜無法防護,被摔向土牆。瞬間三對一變成一對一,留下的間諜驚愕不已。
胴を半ばまで切断された間者は受け身など取れず土壁に叩きつけられる。瞬く間に3対1が1対1になった事に、残された間者は愕然とする。
「不逃我倒要稱讚你。那麼,是想被砸碎頭顱好呢?還是被劈成兩半比較合你胃口?讓你選想要的死法吧」
「逃げなかった事は褒めてやる。さて、頭を潰されるのが良いか? それとも身体を真っ二つがお好みか。好きな死に方を選ばせてやるぜ」
語氣傲慢,但以實力差距來說豪言也是理所當然。間諜不是倖存,而是處於被長可容留的狀態。
傲慢な物言いだが、実力差を考えれば大口も当然だ。間者は生き残ったのではない、長可に生かされている状態だ。
他一旦起念自己的命便會消失,明白這點的間諜汗出一行。他尋找有無突圍之法,但那只是徒勞。
彼がその気になれば自分の命は消える、それを理解した間者は一筋の汗を流す。この場を乗り切る方法はないか、彼は模索する。しかし、それは無駄な事だった。
對沉默的間諜,長可未做宣告便橫掃巴爾迪什。沉重的刀刃在遠心力下加速,間諜的雙腿無法承受,一腿被割斷,另一腿的膝骨粉碎。
沈黙している間者に対し、長可は宣告なくバルディッシュを薙ぐ。重量感ある刃が遠心力で加速する。間者の足が耐えられるはずもなく、片足は千切れ、もう片方の足は膝の骨を粉砕した。
「啊啊啊啊啊啊啊啊啊啊啊啊啊!!」
「ああああああああああああああっ!!」
痛楚在片刻後蔓延全身,痛到幾近昏厥。但喊叫聲還未持久,長可將武器從巴爾迪什換成晨星,以全力揮擊重擊右肩。
少し間を置いて気を失うほどの痛みが、間者の全身を駆け巡る。だが叫べたのもつかの間、長可がバルディッシュからモーニングスターに持ち替えると、フルスイングで右肩を強打した。
不只有右肩,左肩、肘、腹、下巴,長可默然卻帶笑地連續毆打。被扯裂的肉塊黏在牆與地上,血與脂肪染紅地面與壁面。
右肩だけではない、左肩、肘、腹、顎、と長可は無言で、されど笑みを浮かべて間者を殴り続ける。引きちぎられた間者の肉片が壁や地面にへばりつき、血や脂が地面や壁を染める。
最終望著成了寂靜屍骸的間諜,長可以一如往常的表情開口道。
やがて物言わぬ骸と化した間者を見下ろし、いつもと変わらない表情で長可は言葉を発する。
「真是的,別讓我在這種無聊的事上浪費時間。啊,稍微暢快了一點」
「全く、くだらない事に時間を使わせるな。あー、ちょっとすっきりした」
踢開間諜的屍體後,長可招呼待命的士兵。雖有被慘狀噁心掀起的士兵,但擔心吐出會被責備,勉強忍了下來。
間者の死体を蹴り飛ばした後、長可は控えていた兵たちを呼ぶ。凄惨な光景を見て吐き気がこみ上げてくる兵士はいたものの、吐いたら何を言われるか分からず無理に飲み込んだ。
「反正也沒什麼值錢的東西。挖個坑埋了吧」
「どうせ大したものは持っていない。穴を掘って埋めておけ」
長可判斷身上沒有任何能證明身分的東西。所以他未發問便收場了。
身元を証明するものはなに一つないと長可は踏んでいた。だからこそ、間者に質問を投げる事なく片付けた。
暗自處決間諜的並非只有長可,靜子軍的隊長們也進行著同樣的間諜狩獵。
間者を人知れず始末しているのは長可だけではない。静子軍の隊長格も同様の間者狩りを行っていた。
他們在京內將間諜一一清除,這足以向尚存的間諜傳達下一個就是你們的警告。
京内にいる間者を次々に始末していく。それは生き残っている間者へ、次はお前だぞと教えるに十分な内容だった。
察覺危機的間諜如散開的蜘蛛子般逃散。剩下的只剩織田家安插的間諜,或是已完全融入的間諜這兩種類型。
危険を察知した間者たちは、蜘蛛の子を散らすように去って行く。残ったのは織田家が放っている間者か、それとも完全に溶け込んでいる間者の二種類しかいなくなった。