戦国小町苦労譚
千五百七十年 九月下旬
游擊戰沒有前線與道德,游擊的基本就只在這一句話。此處所稱的游擊戰,是指事先不定目標、在戰線外以小規模、零星方式進行的非正規戰鬥。
ゲリラ戦に前線と道徳はない、ゲリラの基本はこの一言に尽きる。ここで言うゲリラ戦とは予(あらかじ)め標的を定めず、戦線外において小規模・散発的に行われる非正規戦闘を指す。
靜子召集了對軍中惡逆非道行為不感厭惡的人。最終八百人自願參加。雖然比原定一千人的名額稍少,但判斷不會妨礙計畫。
静子は軍から悪逆非道な行為に対し、忌避感を抱かない者たちを集める。最終的に800名が志願した。当初予定していた定員の1000名より若干少ないが計画に支障は無いと判断した。
「……你們也不用跟來吧?」
「……君たちまでついて来ることないよ?」
她半帶無奈地對跟隨她的慶次、才藏、長可說。他們出身所謂名門,沒有必要沾染令人厭惡的髒活。
静子についてくる慶次、才蔵、長可に半分あきれ顔で言う。彼らは所謂(いわゆる)名門の出であり、忌み嫌われる汚れ仕事に手を染める必要はない。
相對地,靜子雖有綾小路這個姓氏,但在戰國時代並無家族勢力,也不需要守護那種門面的體面。
対して、静子は綾小路という名字があっても戦国時代では一族など持っておらず、その手の面目を守る必要がない。
「別在意。只是偶爾想做做這種事而已」
「気にするな。たまにはこういうのも良いかと思っただけだ」
「無論在哪裡都陪你一回」
「どのような場所でもお付き合いします」
「看起來挺有趣的嘛」
「面白そうだからな」
「嗯……好吧。不過要好好跟上喔」
「まぁ……良いけどさ。ちゃんとついてきてね」
對三人的輕口氣既覺無奈卻也為他們掛念自己而感到高興。
3人の軽口に呆れつつも我が身を案じてくれる事を嬉しく思う。
眾人混入夜色,疾馳在無路之徑。月光也照不進的漆黑夜裡,靜子以幾乎與白天無異的速度奔跑,三人目瞪口呆。
一同は夜陰に紛れて道なき道を疾駆する。月明かりも射さないぬばたまの夜を昼間と大差ないスピードで走る静子に3人は絶句する。
雖然帶了隻以防萬一的犬作引導,但在連伸出手指尖都難辨的黑暗中,大家拼命奔跑以免看丟走在前頭的靜子背影。
万が一の案内に犬こそ連れては居るものの、伸ばした己の指先さえ不確かな闇の中を先頭を切って走る静子の背中を見失わないよう必死で走る。
不久發現暗中浮現的光,雖無法確定是哪方勢力,卻發現疑似敵方的帳幕。眾人估計大概是淺井或朝倉的陣地。
やがて闇に浮かび上がる光を見出し、どの勢力かは判断できぬものの敵方のものと思しき陣幕を発見する。一同はおそらく浅井か朝倉の陣であろうと見当を付けた。
接近到距離帳幕約一百五十公尺時,靜子拿出帶來的黑色雙筒望遠鏡(倍率七倍、口徑五十毫米)窺視陣內情況。
陣幕まであと150メートルというところまで近づくと、静子は持ってきた黒色の双眼鏡(倍率7倍、口径50mm)で陣内の様子を窺う。
(他們輕忽了呢。那麼,就放火讓他們混亂吧)
「(油断しているね。ならば、混乱するように、陣幕へ放火しますか)」
無論如何警戒周遭,都不可能完美守住陣地。正因如此夜襲或清晨突襲有時會成功,但此次不是率領正規軍的夜襲,而是採用游擊戰法。
どれだけ周囲を警戒しようとも完璧に陣を守ることは不可能である。だからこそ夜討ち朝駆けが成功する場合もあるのだが、今回は正規軍を率いての夜襲ではなくゲリラ戦法を使う。
因此戰時禮法或人道等條條框框一概不顧。靜子從背上取下複合弓,將腰間的小道具放在地上,搭上一支前端纏有綿絮的箭。
よって、戦中作法や人道その他のお題目など一顧だにしない。コンパウンドボウを背中から下ろすと、静子は腰に下げていた小道具を地面に置き、先端に綿のついた矢をつがえた。
她用打火器取火,將火靠近綿絮點燃。製成火箭後,靜子迅速朝帳幕射去。帳幕稍微開始燃燒時,警備的人察覺到異狀。
ファイヤーピストンで火種を作ると、綿に近づけて火をつける。火矢を作り終えると、静子は素早く陣幕へ放つ。少し陣幕が燃え始めたころ、警備の人間が気付いた。
(好了,接下來給你們這個)
「(さーて、では次はこれをあげますよ)」
靜子接著搭上的箭,其箭身綁著一個筒子。她點燃從筒子伸出的導火線,像先前一樣迅速放箭。
静子が次に番(つが)えた矢には矢本体に筒が括りつけられていた。その筒から伸びている導火線に火をつけると、先と同じく素早く矢を放った。
這次的箭沒有射向帳幕,而是落在拼命撲滅火勢的士兵與帳幕之間。
今度の矢は陣幕ではなく、火を必死に消そうとしている兵士たちと陣幕の間に落ちた。
瞬間,守在靜子身後的三人聽到如雷鳴般的巨響。聲音平息時,現場的士兵們已負了大大小小各式傷勢。
瞬間、静子の後ろで見守っていた3人は雷鳴にも似た轟音を耳にする。音が収まったころ、その場にいた兵士たちは大小さまざまな傷を負っていた。
(好了,結束。回去囉)
「(はい、終わり。戻るよー)」
靜子把複合弓背回,迅速回收小道具,低聲對三人說話。
コンパウンドボウを背中に背負い、小道具を素早く回収すると静子は3人に小声で話す。
(我、我也說不上發生了什麼……總之先撤退吧。那邊也發現了敵襲)
「(な、何が何だか分からんが……取りあえず撤収だな。あちらさんも敵襲に気付いたし)」
如來時一樣極力不發出聲響,靜子等人半蹲著移動。以嗅覺敏銳的犬為先,四人一邊避開敵兵,一邊朝宇佐山城前進。
来たときと同じように極力音を立てず、静子たちは中腰で移動する。嗅覚が優れた犬を先頭に、静子たち4人は敵兵を避けつつ、宇佐山城を目指す。
能在木草繁盛之處於夜間不迷路行走,全靠犬的引導。
木や草が生い茂った場所を夜間迷いなく移動できる理由は、犬による案内のおかげだ。
如童話《漢賽爾與葛麗特》裡幼小兄妹撒麵包屑作為返程路標,靜子事先訓練旗下的犬,讓牠們記住特殊藥劑的氣味。
童話『ヘンゼルとグレーテル』において幼い兄妹がパンくずを撒いて帰りの道標(みちしるべ)としたように、静子は配下の犬を事前に訓練し特殊な薬剤の匂いを覚え込ませた。
並成功讓牠們追蹤浸有該藥劑的布。本次將那布做成夜色中隱匿的黑布,白天趁明亮時以一定間隔設置好。
そしてその薬剤を布に染み込ませたものを追跡させることに成功した。今回はその布を夜陰に紛れる黒布とし、昼間の明るいうちに一定間隔で設置していた。
在只有月光與星光的戰國時代,人類夜間很難發現黑布,但犬有銳利的嗅覺,即便稍遠也能輕易發現。
夜の明かりと言えば月明かりや星明りしか無い戦国時代において、人が夜間に黒布を発見することは困難だが、犬には鋭い嗅覚があり多少離れていても発見することは容易い。
讓犬帶路到黑布處並回收布料反覆操作,就算在連月光都沒有的真黑夜,也能不迷路前進。
犬に黒布の場所まで案内させて布を回収することを繰り返せば、月明かりさえもない真の闇においても道に迷うことなく移動できる寸法だ。
能毫無迷失地接近敵陣的原因也是氣味。三萬人的軍隊一旦行軍,無論怎麼隱藏,仍會留下行跡。
敵陣へ迷いなく移動できた理由も匂いだ。三万もの軍勢が移動すれば、どれだけ隠そうとも移動の痕跡は残る。
讓出入的商人或信長麾下的商人在敵陣中做生意,也能輕易留下那些痕跡。
出入りの商人や信長お抱え商人に敵陣で商売をさせれば、それらの痕跡を残すことも容易だ。
淺井・朝倉聯軍雖然害怕行軍中被發現,卻沒想到會有人從行軍後留下的痕跡讀出情報,因此留下了各種痕跡。
浅井・朝倉連合軍も行軍中の軍を発見されることは恐れていたが、行軍後に残った痕跡から情報が読み取られることまでは考え付かず、さまざまな痕跡が残されていた。
之後將痕跡對照地圖,就能在一定程度推算出敵方的移動速度與路線。由此再計算出下一個布陣位置,最後交由犬做最終調整而發現敵方的陣幕。
後は痕跡を地図に照らし出せば、敵の移動速度とルートがある程度割り出せる。そこからさらに計算して次の布陣位置を割り出し、最終調整を犬にさせて敵の陣幕を発見したのだ。
「對了,剛才那是什麼?」
「所でさっきのは何だったんだ?」
未被敵兵發現地接近宇佐山城附近時,慶次向靜子詢問。雖然知道她投擲了爆裂物,但以那驚天的爆音,乍看似乎沒有即死的士兵。
敵兵に見つかることなく宇佐山城の近くまで来たころ、慶次が静子に尋ねた。爆発物を投げ込んだのは分かったが、凄まじいまでの爆音に反して一見して即死した兵はいなかったように思う。
是把黑色火藥壓實,和附有雜菌的黑曜石、石塊、鐵鏽一起包裹。爆炸時黑曜石與鐵鏽會四散飛濺。
「黒色火薬を固めて雑菌が繁殖した黒曜石、石ころ、鉄のさびと一緒に包んだものだよ。爆発すると黒曜石とか鉄のさびが飛び散る仕組みね」
話雖如此,殺傷能力還是偏低呢。
「それにしては殺傷能力が低かったな」
游擊活動本質上是要「持續給予精神上的重壓」,所以如果敵人被輕易殺死反而不利。目的是把敵兵逼到精神崩潰邊緣,讓目睹其狀的周遭因恐懼而士氣下降。嗯,還有其他各種手段,但接下來幾天大概都會這樣做。
「ゲリラ活動はあくまで『精神的な重圧を与え続けること』だから、簡単に死なれると困るのよ。敵兵(イケニエ)を精神崩壊寸前まで追い込んで、その様子を見た周囲が恐怖で士気を落とす作戦だからね。ま、ほかにもいろいろとしているけど、数日はこんなことばっかりするよ」
如同她所宣稱,靜子徹底地進行了騷擾。
その宣言どおり、静子は徹底的に嫌がらせをした。
她把毒菇(攝取後不會致命的那類蘑菇)摻進淺井・朝倉聯軍的飯食,使士兵腹瀉;在可說是深夜的時間大量燃放爆竹;在行軍方向挖坑;散布類似撒菱的物件;捕捉野生的野豬讓牠衝向行軍中的聯軍——毫不猶豫地實行所有自己若被對待時會由衷厭惡的手段。
浅井・朝倉連合軍の食事に毒きのこ(摂取しても毒で死なない部類のきのこ)を混入させて兵士を下痢状態にしたり、深夜とも言える時間に大量の爆竹を鳴らしたり、進軍方向に穴を掘ったり、撒き菱(まきびし)もどきをばらまいたり、野生のイノシシを捕まえて進軍している連合軍に突っ込ませたりと、己がやられたら心底嫌だと思う事を躊躇なく実行した。
雖然曾數次被戒備的敵兵發現,但幸好沒有造成傷亡。
警戒している敵兵に何度か発見されることはあったが、幸いにも負傷者が出ることはなかった。
原本擔心志願從事游擊活動的我方會因為反覆使用卑劣手段而怨聲載道,結果反而對這些前所未見的未知戰法感到振奮,士氣高揚。
ゲリラ活動に志願した味方から卑怯・卑劣な行動を繰り返すことに不満が噴出するかと危惧していたが、今まで誰も見たことも無い未知の戦法にむしろ戦意高揚さえしている様子だった。
像長可一開始雖然露出不悅的表情,但翌日便率先投入游擊行動。
長可など最初は嫌そうな顔をしていたが、翌日には率先してゲリラ活動に参加した。
漸漸地他創出自己獨特的游擊戰術。
次第に彼独自のゲリラ戦法を編み出すに至った。
例如抓住敵方斥候後綁住手腳,埋入土中只露出頭部,然後把蜂蜜塗入耳朵和鼻腔放置。
例えば敵の斥候を捕まえたのち手足を縛った上で土に埋め、首から上だけが露出するようにする。その状態で蜂蜜を耳や鼻の中に塗り込んで放置する。
於是各種昆蟲被甜味吸引,蜂擁而入那些無法堵塞的孔洞;手段殘忍不仁。
すると甘い臭気に釣られて様々な虫が塞ぐことの出来ない穴に殺到するという非道な内容だった。
若同伴聽到受害者的慘叫而來救援,雖不致命,但在無法反抗的情況下任由蟲群蹂躪體內,此景足以使敵人陷入恐懼。
被害者の上げる悲鳴を聞きつけた味方が救出すれば死には至らないものの、抵抗できぬまま己の体内を虫どもに蹂躙される有様は敵を恐怖に陥れるに充分であった。
當靜子等人忙於游擊時,森可成帶著靜子隊6500人、森可成隊500人、信治隊1000人在坂本紮營。
静子たちがゲリラ活動にいそしんでいる間、森可成は静子隊6500、森可成隊500、信治隊1000を連れて坂本に陣を張る。
不管靜子等人如何運用游擊戰術,淺井、朝倉、延曆寺與本願寺聯軍在兵力上仍然佔優。
いくら静子たちがゲリラ戦術を行使しても、依然として浅井・朝倉・延暦寺・本願寺連合軍の方が兵力に勝る。
雙方正面交鋒的態勢難以改變,不過朝倉與淺井部隊有數成脫落,使兵力差距稍微縮小。
敵味方が相手取り正面から激突する流れは変えようがなかった。それでも、朝倉・浅井兵の何割かが脱落したことで兵力の差が少し縮まった。
「……要是還有三天,就能做些更縝密的事了呢」
「……後三日あれば、もう少し手の込んだことができたのだけれどね」
「沒那種悠長的閒暇。明天就必然會和聯軍開戰。」
「そんな悠長なこと言っている余裕はないぞ。明日にも連合軍と合戦になるのは必至だ」
「不是傳染病流行啊。勝藏君和才蔵さん該差不多回來,並調動兵力了。慶次さん把散落的人集結起來吧。大概再繼續游擊活動已不可能了。」
「感染症の流行ならず、か。そろそろ勝蔵君と才蔵さんは戻って、兵を動かした方がいいね。慶次さんは散らばっている人たちを集結させて。多分、これ以上のゲリラ活動は不可能だと思うから」
「了解」
「了解」
眾人回答後各自朝目的地奔去。
全員が返事を返すとおのおの目的地に向かって走りだす。
靜子也小心地融入周遭,先回到宇佐山城一趟。她以補給之名暗藏運送各種武具於宇佐山城。
静子も周囲に溶けこむように気をつけつつ、宇佐山城に一度戻る。宇佐山城には、補給と称していろいろな武具を隠し運んでいる。
這類物品在沒有靜子本人命令下是禁止帶出的。當周遭分散的士兵們以及慶次、才蔵、長可回到宇佐山城時,靜子命令大家整理儀容。
さすがにこの手の類いは静子本人の命がなければ、持ち出すことを禁じていた。周囲に散らばっていた兵士たちと慶次、才蔵、長可が宇佐山城に戻ると、全員に身なりを整えるよう静子は命じる。
「把那個東西運到坂本去。」
「例のものを坂本まで運ぶよ」
「了解!」
「了解しました!」
兩刻後,準備完畢的靜子隊其餘成員匆忙移往森可成的陣營。途中未遭僧兵襲擊,順利抵達。
二刻後、準備を終えた静子隊の残りは急いで森可成の陣に移動する。道中、僧兵の襲撃などなく、無事到着することができた。
靜子會合後,森可成立刻召開軍議,目標是「在此拖住敵軍」,並決心為此齊心作戰。
静子の合流後、森可成はすぐに軍議を開く。『ここで足止めをする』ことを目標とし、そのために一丸となって戦う覚悟でいた。
多虧游擊活動,聯軍兵力從3萬降至2萬5千,內中幾乎多為朝倉軍。
ゲリラ活動のおかげで連合軍は3万から2万5000に兵の数を落とし、内ほとんどが朝倉軍という状態だ。
森可成感想道,本願寺勢力以信仰為依歸而團結,一旦施加壓力,反而像面對壓迫時那樣更加凝聚。
本願寺勢力は信仰心を拠り所に結束しており、重圧を加えると弾圧に対抗する時のように余計に結束を強める結果になるだろうと森可成は感想を述べる。
「本來,本願寺是立於一向宗頂點的寺院。一向宗鼓吹自治、獨立運動,要建立由佛統治的國家。若惡言相向,就是圖謀奪取國家。表面上則希望廣傳佛法以救濟,並將國家稅收作為布施以獲得佛的加護。」
「もともと、本願寺は一向宗の頂点に立つ寺。一向宗は独立して仏の治める国を作ろう、という自治・独立運動が盛んです。悪い言い方をすれば、国を乗っ取る考えですね。一応、仏の教えを広めて救済し、国の税をお布施として仏の加護を得よう、と考えていたようですが」
「依照那種想法,我們就是阻礙嗎?」
「その考えに従えばわれわれは邪魔ということか」
森可成對靜子的話露出感慨。
静子の言に森可成がこぼす。
「這有點像我居住國家的諷刺,『寫成信者,讀作賺錢。ゆえに、宗教は信じる者を増やす』。總之無論多麼華麗的辭藻包裝,宗教勢力最終想要的還是錢,錢。還有,權力吧。」
「これは私が住んでいた国の皮肉なのですが、『信者と書いて儲かると読む。ゆえに、宗教は信じる者を増やす』と。要するにどれほど美辞麗句な言葉で飾っても、宗教勢力が欲しいのは結局お金ですよ、お金。後、権力もですかね」
「也就是說,寺院已不再擁有精神上的權威了嗎?」
「もはや寺に精神的な権威はない、ということか」
靜子點頭認同森的話。
森の言葉に静子はうなずく。
「森大人。一向一揆眾即使被燒死,也不會停止前進。要阻止他們的方法只有一個,迅速奪去他們的生命。」
「森様。一向一揆衆はたとえ身体を焼かれても、決して歩みは止めないでしょう。彼らを止める方法はただ一つ、速やかに命を奪うことです」
森可成凝視靜子的眼睛,彷彿讀出了她的決心。
森可成は決意を読み取るように、静子の目を見つめる。
「我將專注狙擊武將。」
「私は武将の狙撃に専念します」
靜子回望森可成的目光,清楚地說出了那句話。
静子は森可成の目を見つめ返し、はっきりとその言葉を口にした。
本願寺有一套『王法為本』的理念,即『順從現任統治者、協助政治與秩序是佛法之道』的觀念。
本願寺には「王法為本」 というものがある。「現在の統治者に従い、政治と秩序を助けることが仏法の道である」という考えである。
本來一向宗有建立『佛法領』(由佛統治之國)的自治獨立主張,而本願寺反而推廣『王法為本』以抑制一向宗的自主獨立動向。
本来一向宗は「仏法領(仏の治める国)を作り上げる」という自主独立の考えであり、本願寺はむしろ一向宗の自主独立の動きを抑制すべく「王法為本」を推進した。
正因如此,當初本願寺法主顕如主動前往向信長致意,即便被突然要求提供軍資(5000貫),也當即答應。
だからこそ当初、本願寺法主の顕如は、自ら進んで信長へあいさつに赴き、いきなり彼に軍資金提供(5000貫)を要求されても即座に応じた。
然而這種想法未被接受,一向宗門徒加強「自主獨立」運動,終於爆發一向一揆,加賀國主自盡,於是誕生了由一向宗統治的國家。
しかし、この考えは受け入れられず一向宗門徒は「自主独立」の動きを強め、ついには一向一揆が勃発。加賀の国主は自害しここに一向宗の国が誕生するに至った。
取得自己國家後一向宗振奮起來,『自主獨立』的運動加速,於是與各地掌控土地的國人們之間開始出現對立與衝突。
自分たちの国を得た事で一向宗は奮い立ち、「自主独立」の動きは加速していった。こうして各地で土地を支配する国人たちとの対立・抗争が始まった。
本願寺試圖壓抑與權力者正面對抗的動向,但在此期間信長的要求越來越苛刻,終於命令他們交出重要據點石山本願寺。
本願寺は権力者と真っ向から対立する動きを抑えようとするが、その間にも信長の要求は苛烈さを増し、ついには重要拠点の石山本願寺を明け渡せと言い放った。
本願寺受到各地門徒與僧侶的逼迫,要求「承認一向一揆的動向」。
本願寺は各地の門徒や僧から、「一向一揆の動きを認めてくれ」という突き上げを受ける。
此外,若持續接受信長的要求,本願寺將喪失自主性,無法維持獨立,內部也因此施壓;同時,時任將軍足利義昭還向他們提出「討伐信長」的請求。
さらに信長の要求を受け続ければ自主性が失われ、独立を保てないと本願寺内部から突き上げを受け、止めとばかりに時の将軍足利義昭からも「信長を討て」との要請を受けるようになる。
在此情勢之外,加上顕如個人的煩惱與不安,他於九月十二日終於決意向信長舉旗反抗。
こうした情勢に加え、顕如の個人的な悩みや不安が重なり、彼は九月十二日についに信長へ反旗を翻すことを決意する。
由此,淨土真宗的總本山「本願寺」不復存在,取而代之的是一個名為本願寺家的武裝宗教集團誕生。
これを機に浄土真宗の総本山「本願寺」は無くなり、代わりに本願寺家という武装宗教集団が誕生した。
「本願寺與毛利家結盟,由毛利家親近的『村上水軍』負責海上運輸補給。向與一向宗友好的勢力『雑賀衆』求援,他們亦予以響應。憑藉本願寺顕如的檄文,像長島一向衆與加賀一向宗國等各地的一向宗門徒將會同時武裝起義嗎?真是簡直四面楚歌啊。難道忘了靜子的『注意不要同時對付多個敵勢力』的指摘嗎?」
「本願寺は毛利家と同盟を結び、毛利家子飼いの『村上水軍』が海上輸送にて補給を担う。一向宗と友好的な勢力である『雑賀衆』へ救援を要請し、彼らは要請に応じる。本願寺顕如の檄文(げきぶん)によって長島一向衆や加賀一向宗国など、各地にいる一向宗門徒が一斉に武力蜂起か。見事なまでに四面楚歌(そか)だな。静子の『複数の敵勢力を同時に相手取ることが無いよう注意してください』という指摘は忘れたのかね?」
「……我知道的」
「……分かっておるわい」
對足満的指摘,信長不悅地撇開臉。此時,他們兩人正進行著祕密會談。
足満の指摘に信長は不機嫌な表情でそっぽを向く。今、彼らは2人で秘密の会談をしている最中だった。
在被敵人包圍的情況下,僅兩人會談在防衛上令人不安,但足満的劍術不是一般間諜能對付的。
敵に囲まれている状況で2人だけの会談は、守備の面で不安はあるが足満の剣技は間者程度ではどうにかなるものではなかった。
已有數具屍體散落在他們周圍。毋庸置疑那些是三好三人衆或本願寺派來的間諜。有的屍體甚至被連直刀一同劈成兩半。
すでに何体もの死体が彼らの周囲に転がっていた。言うまでもなく三好三人衆か本願寺が放った間者であろう。死体には直刀ごと真っ二つにされているものもあった。
「你還不明白嗎。長島一向衆一旦行動,便意味著你弟弟所在的小木江城會遭到攻擊。這還不止,淺井與朝倉也會配合本願寺行動。延曆寺也肯定會乘勢而動。如今四周已是滿目敵人,打算怎麼辦?織田的殿下。」
「分かっておらぬ。長島一向衆が動くということは、貴様の弟がいる小木江城が攻められるということだぞ。それだけではない。浅井や朝倉も本願寺に合わせて動く。きっと延暦寺もこの流れに乗じて動くだろうな。さて、もはや周りは敵だらけの状態だ。どうするのだ? 織田の殿様」
「帶著神輿(註:指足利義昭)返回京城。」
「神輿(注:足利義昭のこと)を連れて京へ戻る」
「那傢伙已經站在本願寺那邊了,不必特地帶他走。把他丟在本願寺那兒,他們會自會撿回去的。」
「あのばかはすでに本願寺側だぞ。わざわざ連れて行く必要もあるまい。本願寺のところに捨てておけば、やつらが勝手に拾って持って帰るだろう」
「即便腐爛,神輿終究仍是神輿。若讓他多出餘計,後果難堪。先回京城一回,之後再逐個擊破。你認為應先狙擊誰,願聽你高見。」
「腐っても神輿は神輿。やつに余計なことをされたら、たまったものではない。いったんは京へ戻る。その後は各個撃破だ。貴様としてはまず誰を狙うのが良いか、意見を拝聴したいな」
「焚燒比叡山延曆寺」
「比叡山延暦寺への焼き討ち」
對信長的詢問,足満毫不猶豫地回答。他從懷中掏出小刀,向夜色拋去。
信長の問いに足満は迷いなく答える。懐から小刀を取り出すと、彼は夜の闇に向かって投じる。
遠處傳來沉重物落地的聲音,但兩人並未理會。
遠くの方で重たい何かが落ちる音がしたが、2人はそれに注意も払わなかった。
「現在再裝出善人也無必要了。你已將國內所有舊勢力變成敵人。若因被稱為佛敵而膽怯退縮,那就由我這手終結他們的性命吧。」
「今更善人ぶる必要もあるまい。貴様はこの国にいる旧勢力をすべて敵に回した。仏敵だと言われて怖気づいて二の足を踏むのなら、いっそこの手でその生を閉ざしてやろう」
「哼,現在對這種程度已無任何猶豫。」
「ふん、今更その程度のこと躊躇(ためら)いもない」
「但願你的話不只是口頭說說。順帶在被問以前先回答你:狙擊比叡山延曆寺並非僅因其近在咫尺,而是為了逼迫你的家臣作出決斷。所謂天下,只有有決心把世上所有人都視為敵的人,才能擁有它。」
「その言葉が口だけでないことを祈る。さて、問われる前に答えておく。比叡山延暦寺を狙うのは何も近いからだけではない。貴様の家臣たちに決断を迫るためだ。天下とは、この世のすべてを敵に回す覚悟がある者だけ、手にすることができるということを」
「……」
「……」
「差不多該回去了。家臣們也該開始感到不安了。」
「そろそろ戻ろう。良い加減、家臣たちが不安に思うだろう」
「是啊」
「そうだな」
說罷兩人結束會談,返回本陣與家臣會合。面對因長時間未歸而難掩不安的家臣們,信長露出不屑的笑容,宣告道。
その言葉を最後に彼らは会談を終え、家臣たちのいる本陣へ戻った。長時間の不在に不安を隠せない家臣たちを前に、信長は不敵な笑みを浮かべて宣言した。
「為了回京,我們前往江口渡口。殿(殿後)由柴田與明智擔任,給我緊緊跟上。」
「京へ引き返すために江口の渡しへ向かう。殿(しんがり)は柴田と明智だ、しっかりついて来い」
然而,事態惡化得超出他的想像。
だが、事態は彼の想像を絶するほど悪化していく。
九月二十日,信長與本願寺的和議破裂後,顕如親率五千兵馬襲擊信長本陣。
九月二十日、信長と本願寺との和議が決裂すると、顕如は自ら兵を五千率いて信長本陣へ襲いかかった。
時光回溯至九月十七日,坂本口處,包含宇佐山城守備隊在內的織田軍九千與淺井、朝倉、延曆寺及一向宗的聯合軍二萬五千相互對峙。
時は少し戻って九月十七日、坂本口にて宇佐山城守備隊を含む織田軍9000と、浅井・朝倉・延暦寺・一向宗の連合軍2万5000がにらみ合っていた。
森可成封鎖周邊街道,在志賀與穴太布置伏兵。留下約一千人守衛宇佐山城,其餘兵力全部集結於坂本口。
森可成は周辺の街道を封鎖し、志賀や穴太に伏兵を配した。1000人ほどを宇佐山城の防衛に残し、残りすべての兵を坂本口に集結させた。
兵力配置為森可成隊五百人、信長之弟信治隊一千人、靜子隊七千五百人。
内容は森可成隊500人、信長の弟・信治隊1000人、静子隊7500人だ。
此戰的目的為爭取時間,靜子隊的裝備是以混凝土、竹與木材堆疊而成的盾牌、狼牙棒、手斧,以及約一米五的單手長矛。
此度の戦闘目的は時間稼ぎということで、静子隊の装備はコンクリートと竹と木材を重ねた盾とメイス、手斧、1.5メートルほどの片手槍だ。
因為處於劣勢,已無暇顧及對方感受,因此手段無所不為。他們所有武器都塗有各種雜菌。曾考慮塗抹辣椒素(カプサイシン),但數量遠遠不足而被放棄。
劣勢であり相手を気遣う余裕など皆無であるため手段は選ばなかった。彼らの武器にはすべて雑菌が塗り付けられている。カプサイシンを塗ろうと考えたが、数が圧倒的に足りないため中止した。
「靜子殿,請發檄鼓舞士氣」
「静子殿、檄を頼む」
正吞口唾時,近旁的森可成投以話語。靜子一瞬露出驚訝之色,旋即收起表情,輕輕點頭走上前。
緊張で唾を飲み込んだとき、近くにいた森可成が言葉を投げる。一瞬、驚いた顔をした静子だがすぐに表情を引き締め、小さくうなずくと前に出た。
「聽著,我的士兵們!」
「聞けい、わが兵たちよ!」
靜子的聲音讓靜子隊的面容改變。平日不多言的她,此刻首次發聲,眾人不由自主地將視線投向她。
静子の声に静子隊の顔つきが変わる。普段は声を上げない彼女が、ここで初めて声を上げたのだ。いや応なく彼女へ視線を向けてしまう。
「眼下我等遭受敵襲,然計畫毫無改變,一切如預想。自此刻起,作戰開始。」
「今、われらは敵の襲撃を受けた。だが、予定に何も変更はない。すべて想定どおりの状況だ。現刻より作戦を開始する」
靜子取出複合弓,以緩慢動作搭箭。
コンパウンドボウを取り出し、ゆっくりとした動作で静子は矢をつがえる。
「勇敢的勇士們,現在正是拿起武器,向愚昧的逆徒們施以死亡鐵錘之時!自今起我等為獸,撕裂不遜者的喉嚨!!」
「勇敢なる兵(つわもの)たちよ、今こそ武器を取り無知蒙昧な逆徒共に死の鉄槌を振り下ろせ! 今より我ら獣となり、不遜(ふそん)の輩(やから)の喉笛(のどぶえ)を食い破らん!!」
話音未落,靜子已放箭。
言い終えると同時、静子は矢を放つ。
「喔——!!!!」
「おおーー!!!!」
靜子隊的士兵高聲呼喊。
静子隊の兵士たちが大音声を上げる。
他們的聲音甚至傳到遠方的淺井・朝倉軍有力武將那裡,最前排的士兵因聲音太大情不自禁用手捂住耳朵。
彼らの声は遠く離れた浅井・朝倉軍の有力武将たちにも届くほどだった。最前列の兵士たちに至っては、余りの声量に思わず耳を手で押さえる。
其間靜子射出的箭劃出弧線,刺入最前排一名武將的脖子。
その間に静子が放った矢は弧を描いて飛び、そして最前列にいた武将の首に突き刺さった。
第一次以自己的意志殺死他人。她發出奪命一擊,無誤地帶來死亡,但靜子的心如平靜水面般寧靜。
初めて己の意思で他人を殺(あや)める。命を奪う一撃を放ち、過(あやま)たず死を齎(もたら)したが静子の心は、凪いだ水面のように静かであった。
可惜她沒有時間對此感到驚訝。因為先被斬取一名武將首級,聯合軍士兵勃然大怒開始突擊。
そのことに驚く暇は残念ながら彼女に与えられなかった。先制して武将首を取られたことに、連合軍の兵士は激昂し突撃を仕掛けてきた。
照理說戰國時代的合戰應先由遠程武器如弓或投石開始,之後才突擊。但那是建立在配備傳統武器防具的前提下。
本来なら遠距離武器の弓や石投げから始まり、その後突撃が行われるのが戦国時代の合戦の様式だ。ただし、本来の武器防具の類いを装備していれば、の話ではある。
「開始投石!」
「投石開始!」
裝備長柄投石索的投石兵齊射磚塊。
スタッフスリングを装備した投石兵が、一斉にレンガブロックを投擲する。
戰國時代的投石基本上是徒手進行,除非是武田信玄領導的投石隊,否則有效射程還不到五十公尺。
戦国時代の石投げは基本的に素手であり、武田信玄率いる投石衆でもなければ有効射程は50メートルにも満たない。
然而長柄投石索利用槓桿原理加強威力與飛距離,射程竟可達一百到一百五十公尺。
しかし、スタッフスリングはてこの原理で威力と飛距離を強化し、射程距離は実に100メートルから150メートルになる。
它擁有與和弓相當的射程,而且不同於箭矢,會灑落大小如成人拳頭般的方形岩石,身為士兵不由自主停下腳步也不奇怪。
和弓と同等の射程距離を誇り、さらに弓とは異なり大人の拳ほどもあろうかと言う角ばった石材が降り注ぐのだ。兵士としては思わず足を止めてしまうのも無理はなかった。
「裝填下一彈!」
「次弾装填(そうてん)!」
投石部隊只要準備好石彈即可反覆投擲。
投石部隊は弾となる石さえ準備しておけば、何度も繰り返し投擲を行う事が可能である。
另一方面,步兵一旦衝出便難以改變方向或停止,想停下也會被後方部隊接連推擠,若不慎還會被踩踏致死。
一方歩兵による突撃は一度走り出せば、簡単には方向転換も停止することも叶わない。足を止めようにも後続が次々と押し寄せるため下手をすれば踏み潰されて命を落とす。
在遭受四到五輪投石後,聯合軍終於接近到剩下約五十公尺的距離。
4回から5回の投石を受けた連合軍は、ようやく50メートル手前まで近づく。
投石部隊分左右撤退,接著出現在最前線的是可用手裝填、不用捲揚機的小型單手弩並配盾的士兵。
投石部隊は左右に別れて後退し、次に最前線に出たのは巻き上げ機を使わずに手で装填可能な小型の片手クロスボウと盾を装備した兵であった。
他們連接起盾牌成為一道牆,從盾縫中用弩狙擊,逐一擊倒敵兵。
盾を連ねて壁となし、その隙間よりクロスボウで狙撃して敵兵を次々と打ち倒していく。
即便未擊中致命,弩箭已被信長改造為促使大量出血的箭。
当たり所が良く即座に命を落とさずとも、クロスボウの矢は信長考案の出血を強いる矢に改造されている。
即使勉強拔出也會斷裂,止血需以切開處理,是相當凶狠的武器。
無理に抜こうとしても折れてしまい、出血を止めるには切開を必要とする凶悪な代物だ。
反過來因為中空構造帶來的輕量與重量不均,使射程極度縮短。
反面、中空構造に由来する軽さと重量バランスの偏りのため、射程距離が極端に短くなっている。
不過敵人已經這麼近,那也無妨。只要朝前射,閉著眼也會命中。
が、ここまで敵が近ければそれも問題にならない。前にさえ打てば目を瞑っていても命中するのである。
雖然仍以遠距離攻擊為主,但因兵力本就有差距,不先削減敵兵,將會被壓倒性的數量蹂躪。
遠距離攻撃に終始しているが、もともと兵力に差があるため接敵される前に兵を削らねば、圧倒的な数によって蹂躙されてしまう。
或許事先的游擊活動見效,淺井・朝倉的士兵顯得無精打采。然而一向宗已化為不畏死的死兵,若不先處理掉他們,織田軍就沒有勝機。
事前のゲリラ活動が功を奏したのか、浅井・朝倉の兵たちは精彩を欠いていた。しかし、一向宗は死をも恐れぬ死兵と化しているため、こちらをどうにかしなければ織田軍に勝機はない。
「淺井兵與朝倉兵可以放置不管。優先處決一向衆與僧兵。若能再瞄準指揮者就更好,雖然那有點奢望。」
「浅井兵と朝倉兵は放置して良い。優先的に一向衆と僧兵を始末して。できれば指揮を執っている人間を狙って。さすがにそれは高望みだろうけど」
長柄投石索裝填需要時間,士兵趁隙蜂擁而上。
スタッフスリングは装填(そうてん)に時間がかかる。その合間を縫って兵士たちが殺到してきていた。
靜子理解到已無法避免混戰,於是下達各部隊指示。
もう混戦は免れないことを理解した静子は、各部隊に指示を出す。
「前田隊搶先出擊給予一擊!可兒隊打開突破口!勝藏隊擔任遊擊並蹂躪敵軍!」
「前田隊は機先を制して一撃せよ! 可児隊は突破口を押し開け! 勝蔵隊は遊撃し蹂躙せよ!」
「明白!」
「承知!」
各隊應聲衝出。
それぞれの隊が返事と共に飛び出す。
慶次率領的前田隊以華麗服飾與異質行動吸引敵人注意,乘勢打出一擊即刻撤離,再整隊重複出擊。
慶次率いる前田隊は派手な衣装や異質な行動で敵の目を惹き、勢いに乗せて一撃を加えると即座に離脱し、また隊を整えて一撃するという行動を繰り返す。
才藏率領的可兒隊如同沉默的他,推開前田隊撕開的缺口,默默處置敵人。
才蔵率いる可児隊は寡黙な彼のように、前田隊が穿った穴を押し開き黙々と敵を始末していく。
像割草般無聲地收割敵兵,敵方士兵感到恐懼。
草を刈るかの如く声一つ上げずに敵兵を刈り取るさまに、敵の兵士たちは恐怖を覚えた。
長可(勝藏)隊簡直像難以控制的野馬,卻在無意識中掌握全場,憑藉如軍師般的戰術眼在敵方最不利的時刻發起攻擊。
長可(勝蔵)隊はとにかく手がつけられない暴れ馬状態だ。それでいて無意識に合戦全体を把握し、軍師並みの戦術眼から敵にとって最悪のタイミングで攻撃を仕掛けていた。
各部隊發揮士兵特性並專精分工,如同近代軍隊的兵種般分擔並掌控戰場。
各部隊ともに兵士の特性を生かし、それぞれに特化することで近代的な軍の兵科さながらに戦場を分担し支配していた。
(明明還年輕……不,正因年輕才冒出才華嗎。勝藏……我為你的表現感到驕傲。)
(若いのに……いや、若いからこそ才能が芽生えたか。勝蔵……わしはお前の活躍を誇りに思うぞ)
森可成在心中讚賞長可的活躍。
長可の活躍ぶりに森可成は心の中で彼を褒める。
起初為長可的肆無忌憚而苦惱,但短短一年他已長成成熟面容,甚至獲主人賜名字的一字,成長至此。
最初は長可の傍若無人ぶりに頭を悩ませたが、わずか1年で大人びた顔に代わり、ついには自分の主人から一文字名前を拝借するまでに成長した。
(即便在此陣亡也無遺憾。勝藏為了森家、為了館主,必定會盡職盡責。)
(ここで散ったとしても悔いはない。勝蔵が森家のため、お館様のため、立派に役目を果たしてくれよう)
森可成緊握十文字槍高喊。
十文字槍を握り締めて森可成は叫ぶ。
「前面就交給他們,我等從側面擊退來犯的敵人!諸士兵,跟我來!」
「前面は彼らに任せ、われらは側面より来る敵を倒すぞ! 兵どもよ、わしについて来い!」
十七日的戰鬥以織田軍對聯合軍造成約兩千至三千的損失而告一段落。
十七日の戦闘は織田軍が連合軍に、2000から3000ほどの損害を与えたところで終了した。
遭受重創的聯合軍不願無謂地反覆突擊消耗實力,決定先撤退一次以整頓軍隊。
手痛い損害を被った連合軍は無策に突撃を繰り返し徒(いたずら)に消耗するのを嫌い、一度撤退して軍を立て直す事に決めた。
翌日十八日召集各勢力代表開會,但各自優先自身利益,未能得出建設性結論,浪費了寶貴的一天。
翌十八日に各勢力の代表を集めて軍議を開いたが、それぞれが己の利益を優先するがために建設的な結論は出ずに貴重な一日を浪費した。
十九日續開的軍議仍然因互相試探而終,致使聯合軍陷入停滯。
更に十九日に持ち越された軍議でも、皆がそれぞれの腹の探り合いに終始したため連合軍は停滞を余儀なくされた。
他們無法互信的原因之一,是宇佐山城竟有多達一萬名兵力这一點。
彼らが互いを信じきれない原因の一つに、宇佐山城に1万もの兵士が居たことが挙げられる。
接受本願寺請求而起兵的淺井、朝倉與延曆寺將兵被告知宇佐山城的兵力約為一千名左右。
本願寺の要請を受けて挙兵した浅井・朝倉・延暦寺の将兵たちは、宇佐山城の兵力は1000名程度と報告を受けていた。
因此他們認為以三萬之眾猛攻,便可一舉殲滅。
そのため3万もの軍勢で押せば一気呵成に押しつぶせると考えていた。
然而實際情況卻是,配置了接近一萬的兵力。
しかし、ふたを開ければ、1万近い兵士が配置されていた。
負責偵察的延曆寺僧兵並未將兵力增加的情況告知淺井與朝倉,因而引起了淺井、朝倉側對延曆寺的不信。
斥候の役を担っている延暦寺の僧兵は、兵数の増加を浅井・朝倉側へ伝えていなかった。このことから浅井・朝倉側は延暦寺に不信感を抱くに至った。
延曆寺一方無法如實報告也並非全無理由。
延暦寺側が報告出来なかったのも無理はない。
靜子等人率領的兵士並未集中於一處,而是以小隊分散部署於宇佐山城周邊,致使斥候難以掌握敵方總兵數。
静子たちの率いる兵士たちは一か所に集結することをせず、少人数の部隊で宇佐山城周辺に配置されていたため、斥候たちは敵の総兵数を把握しきれていなかった。
再加上靜子等人的游擊活動見效,部隊間聯絡中斷、負傷兵持續增加,大家忙於應付而無餘力他顧。
さらに静子たちのゲリラ活動が功を奏し、部隊間の連絡が途絶し負傷兵が増え続けることへの対応に追われ、余裕がなくなってしまった。
不僅是淺井與朝倉與延曆寺之間,淺井與朝倉之間也滋生了不和的苗頭。
浅井・朝倉と延暦寺間だけでなく、浅井と朝倉の間でも不和の芽は育っていた。
因游擊作戰而負傷者多發的是朝倉一方,提出體調不良者則多為淺井一方。
ゲリラ活動によって負傷兵が発生したのは朝倉側、体調不良を訴える兵士が発生したのが浅井側だ。
若朝倉兵在那時再多些忍耐,或許可避免決裂,但現實是負傷兵增多,見到那悲慘景象朝倉兵率先慌亂逃散。
このときに朝倉兵がもう少し辛抱強く戦っていれば、決定的な決裂は回避できたのかも知れない。現実は負傷兵が増え、その悲惨な有様に色めき立って朝倉兵はわれ先にと逃げ出した。
對於朝倉在游擊活動下毫無抗戰、毫無實際抵抗便退卻,淺井方面的抗議也被朝倉含糊敷衍、不肯認錯地搪塞過去。
ゲリラ活動に対して朝倉側が抗戦した様子はなく、抵抗らしい抵抗もなしに退却したことに対する、浅井側からの抗議に対しても非を認めずにのらりくらりと話を逸らす始末だ。
這樣一來便無法信賴成為可倚靠的戰友了。誰會去倚靠一堵不知何時會倒塌的牆?淺井兵就是這麼想的。
こうなると背中を任せる味方たり得ない。いつ崩れるか判らない壁に寄り掛かる馬鹿は居ない。浅井兵はこう考える。
淺井方面認為,朝倉為了避免自身損耗,是否故意製造負傷者以便撤退?
己の損耗を嫌ったため、朝倉側はわざと負傷兵を出して退却したのではないか。
指揮官方面,野村合戰(姉川之戰)時是朝倉孫三郎(景健),但這次在本願寺出手的戰事則由朝倉孫次郎(義景)親自出陣。
指揮官も野村合戦(姉川合戦)では朝倉孫三郎(景健)だったが、本願寺が動いた今回の合戦には朝倉孫次郎(義景)が自ら出陣している。
彼此口稱共同作戰,卻是否在看不起我們,淺井人心生疑忌。
共同作戦と言いつつ自分たちを格下に見ているのではないか。
一旦陷入疑心暗鬼,淺井與朝倉雖同為敵人但目的不同,便會產生難以修復的不和,現在甚至互相算計、想要利用對方。
ひとたび、疑心暗鬼に陥れば、敵を同じくしてはいるが目的を違える浅井と朝倉だ。容易には修復できない不和が生まれ、今では互いを出し抜き利用しようとする始末。
對於淺井、朝倉與延曆寺的這等醜態,本願寺勢力感到極為失望。
そんな浅井・朝倉・延暦寺の醜態に本願寺勢力は呆れ果てていた。
聯合軍已陷入內部瓦解,名存實亡,當初『合力討伐織田家』的口號如今顯得徒然。
連合軍は内部崩壊に陥り軍の体を為していない、今では協力して織田家を討たん、という言葉がむなしくなるほどだった。
如此一來便無法發揮數量優勢,各勢力各自與織田軍對戰。
こうなると数の強みが出せず、各勢力がそれぞれ織田軍と戦う形となる。
聯合軍內部紛擾之際,織田軍向信長請求援軍,並進行補給以備下一戰。
連合軍がもめている間に織田軍は信長に救援要請を出し、次に備えるため補給活動を行う。
幸好京方來援,且青地茂綱率兩千兵與物資前來,作為織田軍的援軍馳援。
幸いにも京側から支援が有り、さらに青地茂綱が兵2000と物資を手土産に、織田軍の援軍として駆けつけてくれた。
兵力超過一萬,於先日前戰有戰功者高喊「連合軍不值一提」,氣勢大振。
兵の数は1万を超え、先日の合戦で戦果を挙げた兵たちは「連合軍恐るるに足らず」と気炎を上げた。
自信直接轉化為士氣,織田軍上下包括末端士卒前所未有地振奮燃燒。
自信はそのまま士気を高め、織田軍は末端の兵士を含めかつてないほど燃え上がっていた。
「……總覺得哪裡怪怪的?」
「……なーんか、おかしくないか?」
慶次帶著疑惑的表情喃喃自語。
慶次が不審そうな顔で呟(つぶや)く。
二十日的戰鬥也以織田軍勝利收場,但立功的慶次總覺得有些不滿,且不僅是他,才藏與長可也有相同感覺。
二十日の戦いも織田軍の勝利で終わったが、成果を上げた慶次はどことなく不服そうでもあった。慶次だけではない。才蔵や長可も同じようなことを感じていた。
「如此。朝倉與淺井兵的士氣低落,行動也遲緩。對我方當然是好事,但他們或許在策劃什麼。」
「左様。朝倉や浅井兵の士気が低い。そして、行動も鈍い。こちらとしては良いことだが、何かしら策を講じてるやも知れぬ」
「兩天都完全沒動也許另有端倪。」
「二日間、全く動かなかったのも何かあるかもな」
「我想只是彼此已無法互信而已。本來聯合軍是以討伐織田為由而結合,隨著這事變得現實,他們反而會優先考量織田討伐後的利益……」
「単に互いが信じられなくなっているだけだと思うよ。もともと、連合軍は織田討伐を理由に結託した。そのことが現実味を帯びてきたから、織田討伐後のうまみ(・・・)を優先しようとしているのだろうね」
躺著的靜子回答三人的疑問。雖非完全命中,但也差不到哪去,二十日的聯合軍意在多分一杯羹,想藉他方勢力消耗對方以攫取更多好處。
寝転がっている静子が3人の疑問に答える。当たらずと雖(いえど)も遠からずで、二十日の連合軍は甘い汁をより多く得ようと、ほかの勢力を使い潰そうとした。
敵方勢力小且散發,使得投石器等遠距離武器的成效下降,但能確認彼此互不信任也是一項收穫。
敵側の勢力が小規模かつ散発的であったため、スタッフスリング等の遠距離武器の成果が落ちたが、相互不信に陥っていると判ったのは収穫だった。
「嘛,切莫掉以輕心。這種時候他們也可能突然團結起來招架,直到他們撤退逃回比叡山之前都不能放鬆。」
「ま、油断は禁物だよ。こういうとき、突然団結心が高まってやられることもあるからね。連中が撤退し、比叡山に逃げ込むまで安心はできない」
「是啊。不過這次靜子大顯身手了,你一個人消滅了多少敵將,數不清啊。」
「そうだな。しかし、今回の静子は大活躍だな。お前1人がどれだけ敵の武将をつぶしたか、数え切れぬわ」
如長可所言,靜子的戰果可謂一言以蔽之:「異常」。
長可の言葉どおり、静子の戦果は『異常』の一言だった。
她或許天生擅長處理人心,所以很會在敵陣中找出武將等指揮官。找到之後就簡單了。
彼女は人をうまく扱う才能があるためか、敵陣の中にいる武将などの指揮官を探すのがうまかった。見つければ後は簡単だ。
斬首立功領賞是武將的基本。但靜子前提不同,無需獲得獎賞。她不需要超過現狀,只要單純地打倒敵人就足夠了(……)。
首級(しゅきゅう)を上げて褒美をもらうことが武将の基本だ。だが、静子は前提条件が違い褒美を手に入れる必要がなかった。現状以上を必要としない彼女は、ただ単に敵を倒せば良い(・・・・・・・)。
作為弓騎兵,且曾數年狩獵野生動物的靜子,在弓術方面已能與一流武將匹敵。
弓騎兵隊として、また数年も野生動物を狩猟していた静子は、弓の腕にかけては一流の武将にも比肩し得るものとなっていた。
即使是弓騎兵隊成績最佳者,有效射程也以90公尺為限;但靜子能以約七成的命中率射穿一百公尺以上的目標。
弓騎兵隊の成績最上位者でも有効射程90メートルが限界だ。だが静子は100メートル以上先の目標を、およそ7割の精度で射抜いていた。
為了處理被視為害獸的野鹿,她習慣從更遠處持續瞄準,這樣的日常讓她不知不覺間開花了弓術天賦。
野生の鹿という害獣を処分するため、より遠くから狙い続けることを日常とした彼女は、いつの間にか弓の才能を開花させていた。
複合弓的最大射程若只論到達距離可達1公里,但最大有效射程因弦的強度而異。
コンパウンドボウの最大射程は到達位置だけで言うなら1kmにも及ぶ。最大有効射程は弦の強さによって変わる。
靜子的弓使用提升威力的狩獵用75磅拉力的弦。
静子のそれは威力を高めた狩猟用の75ポンド弦を使用している。
複合十字弓甚至開發到可用繞輪裝填箭矢、拉力達185磅的型號,雖然貫穿力增加,但射程並沒有延長。
コンパウンドクロスボウは、巻き上げ機を使って矢を装填する185ポンドの物まで開発したが、貫通力こそ増すものの飛距離は伸びなかった。
最後改用能單手拉動的弦,並透過改良箭矢形狀來延長飛距離。當然,她從未想過這會先在戰場上被採用,而非狩獵上。
最終的に片手で引ける程度の強さの弦を用い、矢の形状を工夫する事で飛距離を伸ばした。最も、狩猟より先に戦場で使われることになるとは思いもしなかったが。
「要有效率地進行合戰,先於對手取得有利作戰地點很重要吧?」
「合戦を効率良く進めるには、有利に戦える場所を相手より先に取ることが重要よね?」
「確實。僅僅地利好,作戰也會更有彈性。」
「確かにな。地の利が良いってだけで、作戦も幅が広がる」
「除此之外,還有另一個方法。」
「それ以外にも、もう一つ方法があるの」
「哦?那是?」
「ほぅ、それは?」
「就是一個個剷除敵方有能的人。那些本身就能提升足輕士氣的人、傳令者、指揮或戰局分析能力高的人,先把他們擊潰會更有效。不過這樣做的缺點是以後可做棋子的武將會減少。」
「敵の有能な人間をつぶしていくことよ。存在自体が足軽たちの士気を上げる人間、伝令を行う人間、指揮能力や戦局分析能力の高い人間からつぶしていくとより効果的よ。ただ後に手駒にできる武将が減るって欠点もあるけどね」
聽到那番話,三人脊背都發冷。
その言葉に3人は背筋を凍らせた。
平時的靜子思想溫和得連昆蟲都不殺,但遇到合戰等非常時刻,她會重視合理性,採取徹底打擊對方心理的策略,並展現毫不猶豫執行的膽識。
平時の静子は虫も殺さないような考えをしているが、合戦などの非常時になると合理性を重視し、相手の心理を徹底的につく戦略をとり、そして躊躇(ためら)いなく実行に移せる胆力を見せた。
這種破除常規的做法也反映在指揮上。
その辺りの定石破りは指揮にも表れた。
通常軍隊的指揮系統以上命下達為原則,沒有具體命令時不得擅自行動。
通常、軍の指揮系統は上意下達が原則であり、具体的な命令が無い限りは勝手な行動は許されない。
指揮官陣亡等非常時有時允許現場判斷行動,但上級者的命令若不具絕對性,戰場上進行生死對換時便無法維持秩序。
指揮官死亡時等の非常時には現場の判断での行動が許される場合もあるが、上位者の命令は絶対でなければ命のやり取りをする戦場では秩序を保てない。
相對而言,靜子軍一句話概括就是『粗放』。她以一句話交代軍事作戰:『將聯合軍逼退到比叡山』。
対して静子軍は一言で言えば『大ざっぱ』である。彼女は軍事作戦を『連合軍を比叡山へ追い払う』の一言で済ませた。
但軍事學中的作戰九原則有一條是『簡明(簡單且明確)』。
だが、軍事学における戦いの九原則には『簡明(簡単で明確)』というものがある。
因此,『把聯合軍逼退到比叡山』這句話明確指出各自該做什麼、怎麼做,瞬間便浸透到靜子軍中。
ゆえに、己が何をどうすれば良いのか、がはっきりしている『連合軍を比叡山へ追い払う』は静子軍に一瞬で浸透した。
順帶一提,作戰九原則為:目的、攻勢、物量、戰力節約、運動、奇襲、警戒、簡明、協調。
余談だが戦いの九原則とは目的、攻勢、物量、戦力の節約、運動、奇襲、警戒、簡明、協調である。
靜子並非專門研讀軍事學,無法扮演真正軍師的角色。
軍事学を専門的に学んだわけではない静子には軍師の真似事は出来ない。
靜子認為不該用多餘指示讓部隊混亂,因而採用了近代普魯士軍創造的以部隊為單位的變形蟲式指揮系統。
余計な指示で部隊を混乱させては駄目だと考えた静子は、近代プロシア軍が作った指揮系統を部隊単位にするアメーバ型指揮系統を採用した。
這是讓部隊了解軍事作戰,接著賦予其角色與目標,作戰一旦開始便交由部隊長判斷決行的方式。
これは部隊に軍事作戦を認識させ、その後役割と目標を与えて、作戦が開始すれば後は部隊長の判断に任せる方式だ。
慶次、才藏、長可的任務是『製造敵軍混亂』。靜子直屬的弓騎兵隊負責『處理部隊長』。最後由靜子指揮、以步兵為中心的足輕隊負責『切斷部隊間聯繫』。
慶次、才蔵、長可の役割は『敵部隊の混乱』だ。静子直卒の弓騎兵隊は『部隊長の始末』だ。最後の静子指揮下の歩兵を中心とした足軽隊は『部隊同士の分断』だ。
慶次等部隊製造混亂,試圖重整軍心並大聲喝斥的人正是現場的指揮官。
慶次らの部隊が敵を混乱させ、それを立て直そうと声を張り上げ、叱咤する人間がつまり現場の指揮官である。
向己軍高聲呼喊的人陸續被弓騎兵隊射殺,剩下的只有驚慌失措、無法決定行動的殘兵。主力的足輕部隊逐個殲滅他們。
自軍に向かって叫ぶ者を弓騎兵隊が次々に射抜く。あとは右往左往して自身の行動を定められない敗残兵だけが残る。これを主力の足軽部隊が各個撃破する。
靠此戰法,雖寡兵卻與在數量上佔優勢的聯合軍維持了抗衡狀態。
この戦法で寡兵ながら数で上回る連合軍と拮抗状態を作り出していた。
靜子能輕易瞄準武將的理由之一是頭盔。頭盔蘊含威嚴、風格、信仰以及對該人重要的象徵。
静子が武将を難なく狙える理由の一つが兜だ。兜は威厳と風格、信仰、その人物にとって大切なものが盛り込まれている。
此外,頭盔也用於展示戰功或通報自身平安,因此通常做得很顯眼。換言之,戴著顯眼頭盔的人等同擁有一定的身分。
それ以外にも手柄をアピールするとき、自身の無事を知らせるときに使っており、基本的に目立つ兜に仕上がっている。つまり、目立つ兜を身に着けている者は、一定の身分を得ていることと同義だ。
靜子無需宣示功勞,便把顯眼的頭盔當作目標射擊即可。
静子は手柄をアピールする必要がないので、目立つ兜を的にして当てれば良い。
然而,此作戰成立是因為聯合軍無法協調,且逐步投入兵力。
しかし、この作戦は、連合軍が連携できずに戦力を漸次投入しているため成り立っている。
若聯合軍改變策略,甘冒損耗風險實行包圍殲滅,寡兵方因無法同時應對多面攻擊便會被無情碾碎。
連合軍が作戦を切り替え、損耗を承知で包囲殲滅作戦を採用すれば、多方面を同時に相手出来ない寡兵側は容赦なくすり潰される。
「我只是運氣好,並且只履行了身為將領的職責而已。並沒有什麼值得稱讚的。」
「私は単に運が良かっただけで、そして将としての義務を果たしただけにすぎないよ。別に褒められることでもないしね」
「別這麼說。光是有名將在就會提升足輕們的士氣。」
「そう言うな。強い将がいるだけで、足軽たちの士気が上がるんだから」
「……是啊。這點我理解。」
「……そうだね。そこは理解しているよ」
靜子並不認為士兵們的士氣能永遠維繫下去。
静子は兵士たちの士気が、いつまでも保つと思っていなかった。
聯合軍的兵力確實在穩定削減,但織田軍的士兵也不可能全無傷害。損失逐漸增加,兵力較少的織田軍正逐步陷入窮途。
連合軍の兵力は堅実に削れているが、無論織田軍の兵士も無傷という訳にはいかない。徐々に損害が増えており、兵数に劣る織田軍はじり貧になる。
不過,除了等信長返回京城並率兵抵達宇佐山城之外,沒有其他辦法能擋退聯軍。
だが、信長が京に戻り兵を率いて宇佐山城に到着するまで待つ以外、連合軍を退ける方法はない。
(史實上是在二十四日到達。那麼,就還有四天,只能咬緊牙關忍耐過去。)
(史実では二十四日に到着している。ならば、後四日は石に齧り付いてでも耐え抜くのみ)
隨後,不知是天助織田軍還是怎樣,聯軍內又開始互相推卸責任,這次還為了要向誰追究超出預期的損失而爭執起來。
その後、天が織田軍に味方したのか、連合軍内でまたも責任の擦(なす)り付け合いが始まり、今度は予想以上に膨らんだ損害を誰に請求するかでもめ始めた。
爭執也無可避免。現狀下淺井、朝倉一方完全沒有任何收益,不取得些好處的話,回去會被家臣責難。
もめるのも仕方ない。現状では浅井や朝倉側に実りが全くないのだ。何か利益を得ないと今度は家臣から責め立てられる。
結局,聯軍在此浪費了兩天,無法將織田軍一舉攻滅。
結局、連合軍はここで二日を空費し織田軍を攻めきれないでいた。
然而,正當信長處於八方受阻之時,森可成與靜子也迎來了最壞的局面。
しかし、信長が八方ふさがり状態であるように、森可成と静子にも最悪の事態が訪れる。
聯軍放棄了前日為了避免消耗所採用的戰法,轉而發起針對織田軍弱點的大規模攻勢。
連合軍は前日までの損耗を嫌う戦法を止め、織田軍の弱点を突く大攻勢に出た。
「勝藏隊,與森大人的軍隊合流,將敵人擊退。才藏隊在此牽制敵軍。慶次隊支援左翼!」
「勝蔵隊、森様の軍と合流し、敵を押し返して。才蔵隊はここで敵を食い止める。慶次隊は左翼側の支援を!」
從清晨到中午一直是正面單點的強攻戰術,到了中午為界則大幅轉變,改為三面同時夾擊。
早朝から昼までは正面一点のみの力押しだった戦法を、昼を境にがらりと変え三方面より同時挟撃へと切り替えてきた。
與其說是切換,朝方的攻勢其實是誘餌,為了讓側翼攻擊的兵力不被察覺。
切り替えたというより、朝方の攻めは側面攻撃をする兵たちの存在を気付かせないための囮(おとり)だったのだ。
一旦被接近交戰,弓騎兵與投石部隊就無法發揮射程優勢,未能拉開距離便陷入泥沼般的混戰。
接敵されてしまえば弓騎兵や投石部隊の射程距離を活かした戦法は使えない。距離を取れぬまま泥沼の混戦状態に陥った。
儘管如此,由於從靜子的位置可以遠距離狙擊,因而以騎兵的馬為重點目標。
それでも、静子の位置からならば遠くの人間は狙撃できるため、騎兵の馬を重点的に狙った。
「這下麻煩了。他們打算包圍並以數量壓倒我們。」
「これは厄介です。連中、包囲して数で押し切る考えです」
「我知道,但分散成這樣就麻煩了呢。」
「分かっていたけど、こうも分散されると厄介よね」
因為成了混戰無法維持陣形,所以不能連弩齊射;又被三面猛攻,拿盾牌築牆已無意義。
乱戦状態となり隊列を維持できないため弓を連ねての一斉射撃が使えない。三方面から攻めたてられるため盾で壁を作る意味が無い。
聯軍此刻已分析出織田軍的強項,並開始執行剷除這些優勢的作戰。
連合軍はここに来て織田軍の強みを分析し、それを潰す作戦を実行してきた。
「喂啊! 閃開,雜魚們!!」
「おらぁ! どけ、雑魚どもが!!」
想要與森軍合流的長可隊,卻被無數敵兵阻擋,無法靠近。
森軍に合流しようとしている長可隊だが、無数の敵兵が邪魔で思うように近寄れなかった。
「啧,他們敢朝老爹下手啊。你們! 快給我突出去!」
「チッ、あいつらおやじを狙ってやがるな。お前ら! とっとと突き抜けるぞ!」
即便鼓動士氣也抹不去人數差距,森軍人數穩定減少,長可感到焦躁。
激を飛ばしても数の差は消せない。着々と数を減らす森軍に長可は焦りを感じる。
(不快點動起來,我都不知道自己來這裡是為了什麼了!)
(急がねぇと、俺は何のためにここまで来たんだか分からなくなる!)
當長可把視線投向偉大父親的背影時,有一道不祥的影子掠過他的視野。
偉大な父の背中、その背に視線を向けたところで長可の視界を不吉な影が過(よぎ)った。
看見敵弓兵正準備向父親的背部射箭的情景。
敵の弓兵が父の背に矢を放たんとしている光景が。
「老爹!危險! 讓開!」
「おやじ! あぶねぇ! 避けろ!」
長可如此喊道,森可成反應過來把臉轉向長可的瞬間,敵箭深深刺入了他的身體。
そう長可が叫び、森可成が反応して顔を長可へ向けた瞬間、敵の矢が彼に深々と突き立った。
敏銳感知到戰場氣息的才藏頓悟:戰局已被決定,他們正漸漸落敗。
戦場の気配を鋭敏に感じ取った才蔵は悟る。戦の趨勢(すうせい)は決してしまったこと、そして自分たちは負けつつあることを。
「全員,向靜子大人那邊前進!」
「全員、静子様の元へ向かうぞ」
既然勝負已定,必有人擔任殿(しんがり)阻止敵人追擊。才藏不用別人下令便認為這是自己的職責。
勝敗が決した以上、誰かが殿(しんがり)を受け持ち敵の追撃を防ぐ必要がある。才蔵は誰に命じられるまでもなく、己の役目であると考えた。
才藏隊的成員似乎理解他的意圖,便無語跟在他身後。
才蔵隊の面々も彼の思惑を理解したのか、何も言わず無言で才蔵の後を付いていく。
「靜子大人,雖感遺憾但勝負已定。請您立刻撤退。」
「静子様、口惜しいですが勝敗は決しました。貴女は今すぐ撤退してください」
才藏向用複合弓射殺敵人的靜子低聲告知;但她沒有轉頭看向才藏,只是搖頭。
コンパウンドボウで敵を倒す静子へ、才蔵は静かに告げる。だが、彼女は顔を才蔵へ向けることなく、首を横に振る。
「我是責任者。我必須在這裡把職責盡到最後。」
「私は責任者です。ここで最後まで務めを果たさねばなりません」
「那是不行的。」
「それはなりません」
才藏立刻否定靜子的話,並在她開口之前接著說下去。
才蔵は静子の言葉を即否定する。そして、彼女が口を開く前に、さらに言葉を続ける。
「現在在這個場地上絕對不能喪命的人是您。您有責任為在宇佐山城的人指明道路。不論結果如何,請把職責盡到最後,靜子大人。」
「今、この場で絶対に命を落としてはならぬ人物は貴女です。貴女は宇佐山城にいる人間へ道を示す責務があります。結果がどうあれ、最後まで役目を全うしてください、静子様」
「才藏先生」
「才蔵さん」
「來,請快走。殿由在下護送。別擔心,我會把追擊的部隊打散然後追上去。」
「さ、お急ぎ下さい。殿は某(それがし)が仕ります。何、追い縋る部隊を蹴散らして追いついてみせましょう」
「殿啊ーーーーーー!!」
「殿ぉーーーーーー!!」
才藏用手指示退路時,遠處玄朗的聲音傳入靜子的耳中。路很窄且危險,但足輕們正在抑制聯軍的猛攻並開出退路。
才蔵が退路を手で示すと、遠くから玄朗の声が静子の耳に届く。細く危なげな道だが、連合軍の猛攻を抑えこみ足軽たちが退路を作っていた。
當靜子把臉轉向玄朗時,一名避開足輕防禦的敵兵朝玄朗斬去。
静子が玄朗の方へ顔を向けたとき、足軽たちの防御をすり抜けた敵兵が玄朗に斬りかかる。
「你在幹什麼,這個該死的小鬼!這裡是殿下要走的路!!」
「何すんじゃ、この糞餓鬼がぁ! ここは殿が通る道だ!!」
玄朗因被輕輕劃傷而勃然大怒,拔出小刀刺向敵兵的喉嚨。
軽く斬られたことに激高した玄朗が、小刀を手に敵兵の喉を突き刺す。
「殿下,在這裡——!」
「殿、こちらですぞー!」
他拔出小刀,將敵兵的屍體丟在一旁後,揮手大聲呼喚靜子。
小刀を抜いて敵兵の死体をその辺に投げ捨てると、彼は大きく手を振って静子を呼ぶ。
「……祝君武運。還有,若你死了我可不會原諒你喔!」
「……ご武運を。それと、死んだら許しませんからね!」
迷失會連累他人。靜子理解這點,迅速轉為撤退行動;才蔵對她的果斷微微一笑,率著少數兵向撤退中的靜子背影低聲說道。
迷えば彼らに迷惑をかける。そのことを理解した静子は、素早く撤退行動に移る。思い切りの良さに才蔵は小さく笑みを浮かべ、わずかな兵を率いて撤退する静子の背中に向かって呟(つぶや)く。
「請放心,我不會在這裡死。」
「ご安心を。某の死に場所はここではありません」
才蔵一轉身,神情變得堅定。成為一名戰士的他緊握長槍,斬倒眼前的敵兵。
才蔵が前を向くと同時、彼の顔つきが変わる。1人のいくさ人となった才蔵は、槍を強く握り締めると目の前にいる敵兵を斬り捨てる。
由於揮槍的速度太快,被斬的敵兵還沒搞清楚發生了什麼就倒下了。周遭一片動盪,才蔵卻無視,接連斬殺敵兵。
槍を振るう速度があまりに速いため、斬り捨てられた敵兵は己に何が起きたか判らぬまま倒れる。周囲の動揺をよそに、才蔵は次々と敵兵を斬り捨てていく。
談起剛力,先想到的是慶次,但才蔵在靜子麾下也待了好幾年,是個不輸他的膂力之人。
剛力と言えばまず慶次の名が挙がるが、才蔵もまた静子の元で数年過ごしているため、彼に劣らぬ膂力(りょりょく)の持ち主だ。
單純揮槍一擊,普通人根本來不及反應就會被砍中。
単純に槍を振るうだけでも、並の者なら反応などできず斬られる。
(起初只是出於好奇,也覺得要侍奉女人之類,像是在被人看扁。)
(最初は興味本位だった。女に仕えよなどと、ばかにしているのかとも思った)
一邊擋開長槍與箭矢,才蔵一邊連斬敵兵。敵兵被他如鬼神般的奮戰所震懾,當槍距內再無敵人時,才蔵便重新架好長槍。
槍や矢を防ぎながら才蔵は次々と敵兵を斬る。鬼神の如き奮戦に敵兵が怯み、槍の間合いに兵が居なくなると、才蔵は槍を構え直す。
(但隨著與靜子樣同行,終於理解為何織田大人重用靜子樣。那人耀眼,如同包容萬物的陽光。想必織田大人下意識不想放手。那感覺……我也是一樣。)
(だが静子様と共に行動するにつれ、なぜ織田様が静子様を重用するか分かった。あの方は眩(まばゆ)い、それも包み込むような陽の光。きっと織田様は無意識に手放したくないと思ったのだろう。それは……某も同じだ)
他露出不羈的笑容,輕輕吐了口氣。周圍屍體堆積如山,血腥令人作嘔,但才蔵毫不在意。
そこで不敵な笑みを浮かべると、才蔵は息を小さく吐く。彼の周りには死体が積み重なり死屍累々の体を為し、咽かえるような血臭が漂っているが才蔵は意に介さない。
「想死的就到前面來!可兒才藏,參上!!」
「死にたいやつは前へ出ろ! 可児才蔵、参るッ!!」
一聲自報,單手持槍的他衝入敵陣。
名乗りと同時、彼は槍を片手に敵兵の中へ突撃した。
環顧戰場後仰望天空,慶次喃喃自語。
戦場を見渡して、そして空を見上げて、慶次はぽつりと呟(つぶや)いた。
「這是場敗戰啊」
「こりゃ負け戦だな」
與悲觀的話語相反,他看起來十分雀躍。他抽了一口煙管,將灰彈在地上,重新架好長槍後,向靜子傳出撤退的建議。
悲観的な言葉とは裏腹に彼はとても楽しそうだった。彼は煙管をぷかりと吹かした後、中の灰をその辺りに捨てた。槍を構え直すと、彼は静子へ撤退するよう進言する伝令を放つ。
「那麼,從現在開始才是我的本番。」
「さぁて、ここからが俺の本番だ」
眼前已被三方包圍,若再久留等待的只有死亡。
すでに三方が包囲されている状態で、いつまでも残り続ければ待っている未来は死だ。
然而慶次臉上沒有不安也沒有悔意,反而像要去遊玩般擺出衝鋒的姿態。
しかし、慶次は不安も後悔も感じさせない表情で、これから遊びに行くような雰囲気のまま突撃の構えを取る。
有人對他喊停了。
その彼に待ったをかけた人物がいた。
「旦那,你不是應該在這裡死的人」
「旦那、あんたはここで死ぬ人じゃない」
那是一名無名士兵。男子張開雙手站在慶次面前,不斷搖頭。
それは名も無き兵士の1人だった。男は両手を広げて慶次の前に立ち、首を横にふっていた。
他背上插著好幾支箭,臉上流著血,顯然生命之火即將熄滅。
背中には何本もの矢が刺さっており、顔から血を流している様は命の炎が燃え尽きる寸前であることは明白であった。
儘管如此,男子的眼神並未死去,反而燃燒著決死的覺悟。
それでも、男の目は死んでいなかった。否、決死の覚悟が燃えていた。
「我腦子不靈光,難事看不懂。但……那人需要的不是像我這種人。我想,是像旦那你這樣的人最需要。」
「俺は頭が悪いから、難しいことは分からねぇ。でも……あの人に必要なのは俺みたいなやつじゃない。旦那みたいな人が、きっと必要なんだと思う」
慶次默默聽著男人的話,因為在那堅定的眼神中,他覺得言語是多餘的。
慶次は黙って男の言葉に耳を傾けた。男の覚悟を決めた目に、言葉は不要と感じたからだ。
「只要那人活著,家裡的老母、母親還有我的孩子都不用擔心了,對吧,旦那?」
「あの人さえ生きていれば、おふくろも、母ちゃんも、俺のガキも、何も心配いらねぇ。そうだろ、旦那」
「……嗯」
「……ああ」
「嘿、嘿嘿。那麼……拜託了。要是你能憐憫這個將死的老頭,請……保護那個人吧」
「へ、へへっ。じゃあ……頼んますわ。死にゆく爺(じじい)が哀れと思ってくれるなら、どうか……あの人を守ってくだせぇ」
周遭作戰的士兵們似乎也有同樣的心情,看到慶次便紛紛點頭。接受了眾人的期望後,慶次深深吐出一口氣,向士兵們露出微笑。
周囲で戦っている兵士たちも同じ気持ちなのか、慶次を見てはうなずいていた。たくさんの思いを受け止めた慶次は、一度大きく息を吐き出し、そして兵士たちに向かってほほ笑んだ。
「你們的夢想與明天交給我了!保重啊!」
「お前らの夢と明日は任された! 達者でな!」
那真是一個令人舒服的笑容。無名老兵以一個特有的、已接受死亡的透明笑容回應,然後低下頭。
それは実に気持ちの良い笑みだった。名もなき老兵は慶次の笑みに、こちらも死を覚悟した者特有の透明な笑みを返し頭を下げた。
當男子再次揚起頭時,他已不再是受傷的老兵,而成了以命換敵的修羅。慶次握緊馬韁,衝向靜子所在處。
男が再び顔を上げたとき、傷ついた老兵ではなく、己の命と引き換えに敵を屠る修羅の姿だった。慶次は馬の手綱を握ると静子の元へ駆け出した。
在目送慶次不回頭地衝過後,那些化為死兵的修羅們雖然因失血步履蹣跚,仍以意志鼓起力量衝向敵陣。
振り返ることなく駆け抜けていく慶次を見届けた後、死兵と化した修羅たちは出血からか緩慢にしか動かぬ足を気力で奮い立たせ敵陣へと突撃した。
之後,男子雖被敵將斬殺,卻咬破了敵將的喉嚨,兩敗俱傷;慶次並未得知此事。
その後、男は敵将に斬られつつも、その喉笛を食い破り相打ちとなり果てたが、そのことを慶次が知ることはなかった。
「沒事嗎?」
「大丈夫か」
慶次得知靜子與長可一同帶著受傷的森可成從坂本撤退後,便奔向作為殿留下的才藏處。
静子は長可と共に負傷した森可成を連れ、坂本から撤退していたことを知った慶次は、殿として残った才蔵の元へ駆け付ける。
當慶次與才藏會合時,他從頭頂到腳趾全身都被血染紅了。
慶次が才蔵と合流したとき、彼は頭の天辺(てっぺん)から足の爪先まで血塗(まみ)れだった。
他戰鬥已久,以至分不清哪些是自己的血,哪些是敵人的濺血。
どこまでが己の血で、どこまでが敵の返り血かわからぬほど、彼は長い間戦い続けていたのだ。
「沒問題」
「問題ない」
他一見到慶次便像往常一樣擺出難相回應。慶次一邊將衝上的敵兵掃開,一邊像平時那樣無憂無慮地帶著笑說話。
そんな彼は慶次の姿を見つけると、いつものように気難しい表情をしつつ返答した。斬りかかってくる敵兵をなぎ払いつつ、慶次はいつものように屈託なく笑みを浮かべて言葉を口にする。
「走吧」
「行くぞ」
「知道了」
「分かった」
兩人性格和一切都不同,但僅憑那份默契便能讀懂對方的想法。慶次與才藏帶著寥寥數人成功從坂本撤退。
性格も何もかも違う2人だが、それだけで相手の考えが分かった。慶次と才蔵はわずかな兵と共に坂本からの撤退に成功する。
宇佐山城之戰以織田軍敗北收場。然而淺井・朝倉聯軍被織田軍的殿部隊牽制,根本無法前進。
宇佐山城の戦いは織田軍の敗北に終わる。しかし、浅井・朝倉連合軍は織田軍の殿部隊に足止めされ、全く前へ進めていなかった。
儘管勝負已定,朝倉仍因難以推進軍隊而感到焦躁不安。
勝敗は決しているのに、なかなか進軍できないことに朝倉はいら立ちを覚える。
「敵方已徹底潰敗吧!為何還要拖這麼久!這不是在這種地方耗時間的時候!!」
「相手は総崩れしたのだろう! なぜ、これほど手間取っている! この様な場所で刻を取られている場合ではないのだぞ!!」
總大將義景對來報告的傳令大喊大叫。
総大将の義景が報告にきた伝令に怒鳴り散らす。
即便大吼也改變不了現況,但他無法理解僅約一千人的兵竟能牽制住將近萬人的軍隊這一現實。
怒鳴り散らしても事態は変わらないのだが、彼には僅か1000人程の兵に、万に届こうかという軍が足止めされている現実は理解できなかった。
「但……宇佐山的兵已成為死兵,他們那可怕的士氣使散兵畏懼不已。尤其是……中央的三千兵根本無法對付!」
「は……しかし宇佐山の兵は死兵と化し、その凄(すさ)まじい士気に雑兵たちがおびえております。特に……中央にいる3000の兵は手がつけられませぬ!」
如傳令所報,化為死兵的織田軍猛烈攻勢,讓本該勝利的淺井・朝倉聯軍被迫全面防守。
伝令の報告どおり、死兵と化した織田軍の猛攻に、勝った方の浅井・朝倉連合軍の兵が防戦一方を強いられていた。
「放、放開我!你、你幹什麼——!」
「は、離せ! き、貴様何をっ!」
「嘿、嘿嘿……我是個怕寂寞的人。既然如此,就陪我到黃泉去吧!」
「へ、へへ……俺は寂(さみ)しがり屋なんだ。だから、あの世まで付き合ってもらうぜ!」
織田兵用小刀刺向從背後抱住他的敵將的腹部。當然會連帶刺入抱著他的敵人,但織田兵絲毫不介意。
背後から組み付いた敵武将の腹を、織田兵が小刀で突き刺す。当然、組み付いている自分ごと突き刺すことになるが、織田兵は全く意に介さない。
在刀刺入他身體之前,他身上已插滿無數箭矢,腹部不斷流血,傷口外露內臟,因大量失血已失去視力。
彼は刀で身体を貫く前から身体には無数の矢が刺さっており、腹からは止めどなく血が流れ、傷口からは臓器がはみ出ており、出血多量によって視力がなくなっていた。
現在再多一處傷口,織田兵根本沒有遲疑的理由。
いまさら傷が一つ増えることに、織田兵が躊躇(ためら)う理由はなかった。
「咕巴……這、這個……啊……」
「ごば……こ……この……あ……」
「抱、抱歉……麻煩你帶路……拜託了……」
「わ、わりい……な。道案内……頼む……ぜ……」
刀仍插在體內的狀態下兩人斃命。他們的死相形成對比。淺井・朝倉軍那方面容因恐懼而扭曲,而織田兵則是一副毫無痛楚、平靜的臉。
刀を突き刺した状態で2人は絶命する。その死に顔は対照的だった。浅井・朝倉軍の方は恐怖に引きつった顔をしていたが、織田兵は痛みも何もかも感じさせない穏やかな顔だった。
他並非特殊,戰場各處都在上演著不畏死亡的織田兵的猛攻。
彼が特別ではない。合戦場の至る所で、死を恐れぬ織田兵の猛攻が繰り広げられていた。
捨身者不再自保。即便箭矢插入、被槍刀斬中,只要雙腳還能動,織田兵便會繼續戰鬥。
命を捨てた者は身を庇(かば)わない。矢が刺さろうとも、槍や刀で斬られようとも、足が動く限り織田兵は戦い続ける。
相對地,淺井・朝倉軍的士兵若不能活著回去,賞賜與一切都化為烏有,因傷而死也一樣。
対して浅井・朝倉軍の兵は、生きて帰らなければ恩賞も何もかもが無に帰する。傷が元で死んでも同じだ。
一邊是若不活著一切便無的士兵,另一邊是連命也已放棄的戰士,哪方更危險不言自明。
生きなければすべてがなくなる者と、命を含めてすべてを捨てている者、どちらが危険か考えるまでもない。
「嗚、嗚嗚!我、我才不想在這種地方死。我要逃命!」
「ひ、ひぃ! こ、こここんなところで死んでたまるか。俺は逃げるぞ!」
被像野獸般咆哮襲來的織田兵嚇到的朝倉士兵,因恐懼而縮成一團。
獣の咆哮を上げて襲い掛かってくる織田兵におびえた朝倉兵は、恐怖に縮み上がる。
當拼命衝撞的織田兵與朝倉・淺井士兵相撞,血花四濺、慘叫與怒吼同時響起,無數生命毫無顧忌地消逝。
遮二無二激突する織田兵と朝倉・浅井兵が重なると同時、血飛沫(しぶき)があがり、絶叫と怒号が上がり、無数の命が惜しげも無く散っていく。
織田兵倒下的同時,前線的淺井・朝倉士兵也有多人陣亡,數小時內持續阻止了淺井・朝倉聯軍的前進。
織田兵が倒れると同時、前線に立っている浅井・朝倉兵が何人も倒され、何時間もの間、浅井・朝倉連合軍の進軍を止め続けた。
即便織田兵持續猛烈突擊的數目已不足一百,淺井・朝倉聯軍仍被恐懼吞噬,難以推進。
凄(すさ)まじい突撃を続ける織田兵の数が100を切っても、浅井・朝倉連合軍は恐怖に飲まれなかなか前に進めなかった。
終於站著的織田兵不見了,眾人鬆了一口氣開始前進。
ようやく立っている織田兵がいなくなり、全員がホッと胸をなでおろして進軍を開始する。
然而,看似已死的織田兵其實有幾個還活著,他抓住跨過自己的人把他推倒在地,然後咬向他的喉嚨。
しかし、死んだように見えた織田兵は、実は何人か生きており、自分を跨(また)ぐ者を捕まえて地面に倒し、その喉に喰(く)らいつく。
看到那位以憤怒表情咬向喉嚨的織田兵,淺井・朝倉士兵發出恐懼的悲鳴。
憤怒の形相で喉に喰(く)らいつく織田兵を見て、浅井・朝倉兵たちが恐怖の悲鳴を上げる。
被恐懼支配的他們一次又一次砍向織田兵。雖有力氣不足而倖免者,但大多數人的喉嚨被咬碎。
恐怖にかられた彼らは何度も織田兵を斬る。力が足りず助かった者もいるが、大半は喉を食いちぎられていた。
就算倖存者一意識到自己喉間留有齒痕,便發出無聲的慘叫並發狂。那股恐懼與瘋狂傳遍前線部隊,淺井・朝倉軍陷入大混亂。
助かった者も自分の喉に歯型が刻まれたことを理解した瞬間、声にならない悲鳴を上げて発狂した。その恐怖と狂気が前線部隊に波及し、浅井・朝倉軍は大混乱に陥る。
在織田軍一萬一千人中,森可成隊五百人、青地茂綱麾下士兵一千五百人、信長的弟弟信治隊一千人、靜子隊多達四千五百人陣亡。
織田軍1万1000の内、森可成隊500人、青地茂綱の兵1500人、信長の弟・信治隊1000人、静子隊4500もの兵が犠牲となった。
對於那些犧牲士兵悲壯的末路,本該獲勝的朝倉與淺井士兵心生難以言喻的恐懼,無法追擊正在撤退的織田軍。
犠牲になった兵の壮絶な最期に、勝ったはずの朝倉と浅井兵は言い知れぬ恐怖を抱き、撤退する織田軍を追撃することができなかった。
他們親身體會到,即便是被嘲笑為弱兵的織田軍,一旦化為死兵究竟會有多麼可怕。
彼らは弱兵とからかわれる織田軍でも、死兵と化せばどれほど恐ろしいか身を以って理解した。
淺井與朝倉認識到若追擊那群決意玉碎向前衝來的敵人,即便動用全軍交戰也難以兩全無損,為避免不必要的損失,他們放棄追擊,撤回陣中。
玉砕覚悟で向かってくる集団へ追撃すれば、たとえ全軍で打ち合ってもただでは済まないことを思い知った浅井と朝倉は、不要な損害を避けるため追撃を諦め陣中へ撤退した。
坂本之戰以織田軍的敗北收場,信長因此陷入更為艱困的處境。
坂本の戦いは織田軍の敗北に終わり、信長はさらに苦境へ立たされることとなる。