戦国小町苦労譚
1570年 八月下旬
胡椒栽培遠比預想困難。靜子不禁這麼想,並深刻體會到現代是多麼富足的時代。
コショウ栽培は予想をはるかに超えて困難だ。静子はそう思わずにはいられなかった。そして、現代がいかに恵まれた時代かを痛感した。
買了90株胡椒幼苗和100粒種子,運到尾張時幼苗剩45株,種子剩70粒。
コショウの苗木を90本、種を100粒購入し、尾張に運んだときは苗木が45本、種は70粒。
其中長成的幼苗竟只有12株。至於種子,竟然只有6粒發芽,結果慘不忍睹。
そこから育った苗木は何と12本。種に至っては発芽したのが6粒という散々な結果だった。
而且幼苗中有大約2株中途枯萎,發芽的種子中又有2粒在發芽後數日變色,然後就腐爛了,真是雪上加霜。
しかも、苗木は途中で2本ほど萎(しお)れてしまい、さらに発芽した種は2粒が発芽後数日で変色し、そのまま腐ってしまうおまけ付きだ。
栽培約兩個月後,健壯的幼苗有10株,自發芽後持續成長的種子只有4粒。
二か月ほど栽培して元気な苗木は10本、発芽から成長を続けている種は4粒だけだ。
能有成長的胡椒本身已可說是奇蹟,但還剩下一道最大難關:以現狀無法度過日本的冬天。
成長したコショウがあること自体、奇跡と思えたが最大の難関が一つ残っている。現状のままでは日本の冬を越えられないことだ。
為此急忙著手建造塑膠溫室。然而並非普通的塑膠溫室,還要追加一些小型設施,因此建造需要些時間。
そのための対策として、ビニールハウスの建設に急いで着手する。しかし、普通のビニールハウスではなく、ちょっとした施設が追加されるので、建設に少し時間が必要だった。
一邊奮力栽培胡椒,靜子也與弗洛伊斯會談,目的在取得更多作物。
コショウ栽培に奮闘しつつ、静子はフロイスと会談をする。目的はさらなる作物の入手だ。
既然無法擁有植物獵人,想取得海外作物只能依靠弗洛伊斯等人所在的耶穌會。
プラントハンターを持てない以上、海外の作物を手に入れるにはフロイスたちイエズス会を頼る他なかった。
也許是壞血病的事太過震撼,平常由洛倫佐隨行的弗洛伊斯身後,這次站著幾位年輕的修道士。
壊血病の件がよほど衝撃的だったのか、いつもはロレンソがお供だったフロイスの後ろに、何人かの若い修道者が控えていた。
他們都是15到17歲的年輕人,但靜子心裡對於有一名修女在場感到吃驚。
皆、15歳から17歳の若者だったが、1人だけ修道女がいたことに静子は内心驚いた。
(這個時代,修女能出國嗎?)
(この時代、シスターって海外に出られたっけ?)
雖感疑惑,還是認為某位富家千金被派來當修道女。
疑問に思ったがどこか裕福のお嬢さまが修道女として派遣された、と思うことにした。
在中世的天主教會,任何人都可以成為修女,但待遇上存在等級差異。
中世のカトリック教会で修道女は誰でもなれたが、扱いには格差が存在していた。
出身良家的女子多帶著相當的捐款進入,於修道院內享有相應待遇,只被分配輕鬆工作,學習識字,並從各類書籍研讀上帝的教誨。
良家の女子は相応の寄付金を持って入ることが多く、修道院内でもそれなりの待遇を受けていた。軽い仕事しか割り当てられず、読み書きを学び、さまざまな書物から神の教えを学んだ。
相反地,一般出身的修女則被分配做煮食、洗衣、打掃或農務等繁重勞動。由此推斷,來到日本的那位修女應該是身分相當高門第的女子。
逆に一般人の修道女は炊事洗濯掃除や農作業などの重労働が割り当てられた。そこから考えれば、日本へ来た修道女は相当身分の高い人間の娘、ということになる。
(不,也有可能是為了躲避獵巫吧……?)
(いや、もしかしたら魔女狩りから逃れるためかも……?)
「非常抱歉,這些人是希望在我這裡修行的人。雖然仍在修行中,認為教導他人實在太過冒昧。但我想這是神的旨意,所以決定接受他們。」
「申し訳ありません、この者たちは、私の元で修行をしたいと望む者たちです。修行中の身でありながら人に教えるなど、大変おこがましいと思いました。ですが、神のおぼしめしなのだと思い、受け入れることにしました」
弗洛伊斯注意到靜子的視線後苦笑著説明那些修道士。被介紹的他們向靜子看去,微微點頭致意,靜子也跟著低頭回禮。
静子の視線に気付いたのか、フロイスが苦笑しながら修道士について説明する。紹介された彼らは静子へ顔を向けると小さく頭を下げた。彼らに釣られて静子も頭を下げる。
「今天是為了新的作物委託而來。當然,我已備妥與委託相稱的資金。」
「本日は新たな作物の依頼で参った。無論、依頼内容に見合う資金は用意した」
說完話靜子喚了隨從。隨從把載有大木箱與文件的托盤置於弗洛伊斯面前,然後行禮離開。
言葉と共に静子は小姓を呼ぶ。大きな木箱と書類が乗せられたお盆をフロイスの前へ置くと、小姓たちは一礼して立ち去る。
弗洛伊斯先從文件那邊拿起,看了一眼內容。看完全部後,他露出和藹的笑容開口說道。
書類の方から手にとったフロイスは、中身を一見する。すべて見終えた後、彼は人の良い笑みを浮かべて言葉を口にした。
「頭巾宰相大人不僅對動物,對植物也感興趣嗎?」
「頭巾宰相殿は、動物だけでなく植物にもご興味がお有りでしょうか?」
「……我國戰亂與災害不斷,百姓長年饑困。即便大人日後統一日本,若百姓飢餓,便無從談起。因此,研究各式各樣作物是當務之急。」
「……わが国は合戦と災害続きで、常に民が飢え苦しんでいる。いずれお館様が日ノ本を統一しようと、肝心の民が飢えていては話にならない。よって、多種多様な作物の研究が急務となっている」
「是嗎。真的非常多樣化呢。香蕉、可可、咖啡、山竹、荔枝、紅毛丹、火龍果、芒果、無花果。多為水果類,且有許多是我首次聽聞的名稱。」
「そうですか。しかし、本当に多種多様ですね。バナナ、カカオ、コーヒー、マンゴスチン、ライチ、ランブータン、ドラゴンフルーツ、マンゴー、イチジク。果実が多く見受けられますし、初めて聞く名も多いですね」
「的確。來到這國時(……),四處嚐過的果實。需注意的是可可與咖啡。可可由西班牙帝國壟斷,咖啡由奧斯曼土耳其帝國獨占。或許會稍麻煩,若做不到也無妨,機會總會來的。」
「左様。この国に来るとき(・・・・・・・・)、各地で食した果実だ。注意する作物はカカオとコーヒーであろう。カカオはスペイン帝国が、コーヒーはオスマン・トルコ帝国が独占している。少々、手間がかかるかも知れぬが、無理なら無理で良い。いずれ機会はやってくるであろう」
「(來到這個國家……?難道一開始就以日本為目的嗎)我曾從同僚處聽說,咖啡是異教徒的飲品。就我個人而言,不會推薦。」
「(この国に来た……? 最初から日ノ本を目的としていたのでしょうか)コーヒーは異教徒の飲み物、と同僚から聞きしました。私個人としては、おすすめは致しません」
咖啡在1454年被正式允許一般民眾飲用後,便在中東與伊斯蘭世界廣泛流傳。
コーヒーは1454年に一般民衆の飲用が正式に認められると、中東・イスラム世界全域に広まる。
咖啡傳入歐洲後迅速引發咖啡熱,但當時咖啡豆是土耳其的專賣品。
欧州にコーヒーが伝来すると、一気にコーヒー熱が広まったが当時コーヒー豆はトルコの専売品であった。
為防止發芽,會先以滾煮處理一次,並由能嚴守祕密的專業工匠把關,防範措施相當縝密。
発芽しないよう一回煮沸し、秘密が厳守できる専門の職人で固めるほど念の入れようだった。
可可亦然,受西班牙的嚴密祕密保護,百餘年間,可可果實在周邊國家都被視為僅是羊糞。
カカオも同様でスペインの硬い秘密に守られ、100年以上カカオの実は単なる羊のふんと周辺国に思われていた。
這裡存在一條大漏洞。阿茲特克人知道可可種子,但熟知可可壺的人很少。
ここに大きな抜け道があった。アステカの人々はカカオの種を知っていたが、カカオポットを詳しく知っている人間は少ない。
而咖啡方面,雖然土耳其非常注意種子的發芽,但並不知道咖啡樹可用扦插繁殖。
そして、コーヒーもトルコは種の発芽に気を使っているが、コーヒーの木が挿し木で増やせることは知らない。
這是一種針對過度以祕密保護而導致除禁運物品外鮮少有人見過其真貌的弱點所設計的走私手法。
硬い秘密で守り過ぎていることから起こる、持ち出し禁止品以外に姿を知る人間が少ない点を狙った密輸方法だ。
雖非什麼值得稱讚的方法,但若不採取旁門左道,就無法進口海外作物。
余り褒められた方法ではないが、からめ手を講じなければ海外の作物は輸入できない。
靜子自己並非特別需要可可與咖啡,但因為時光穿越時曾輕易把帶去的巧克力讓給信長,又告訴信長黃豆咖啡能作代用品,於是這些作物變得必要。
静子自身は特に必要ではないカカオとコーヒーだが、タイムスリップ時に持っていたチョコを安易に信長へ譲ったこと、そして大豆コーヒーが代用品だと信長に教えたことで必要となった。
光想就頭痛不已,但面對滿懷期待的信長無法拒絕,結果只好與弗洛伊斯談判,設法取得可可與咖啡的幼苗。
考えるだけで頭が痛くなる話だが、期待に胸を膨らます信長を前に断れるはずもなく、こうしてフロイスからカカオやコーヒーの苗木を入手できるよう交渉する羽目となった。
「是因為咖啡是伊斯蘭的飲品嗎?」
「コーヒーがイスラームの飲み物だからでしょうか」
「您已知曉。若如此,我想您也能理解我以那樣回答的理由。」
「ご承知でしたか。ならば、私がそのように回答することも、ご理解していただけると思います」
「是的,我理解。不過,您是否也可這樣想:像咖啡這樣美味的飲品,若讓魔鬼獨占是不可容忍的。施以洗禮,從他們手中奪回來。雖是異教徒的戲言,某人若是我會如此想。」
「はい、理解しております。しかし、こうも考えられませんか。コーヒーのようなうまい飲み物を悪魔が独り占めするなど許されない。洗礼を授け、やつらから奪い取ってやろう、と。異教徒の戯(ざ)れ言ですが、某ならそう考えます」
靜子的回答讓佛羅伊斯啞口無言。不只是佛羅伊斯,羅倫佐與在後面伺候的修士們也一樣。然而,當他的頭腦跟上理解後,佛羅伊斯出乎靜子的預料,放聲大笑。
静子の回答にフロイスは絶句する。フロイスだけでなくロレンソ、後ろに控えている修道士たちも同様だった。だが、頭の理解が追いついたフロイスは、静子の予想に反して大笑いした。
「失禮。竟有此想,令我有些驚訝。確實如頭巾宰相大人所言。為成為惡魔之力的咖啡施以洗禮,阻止他們的獨占,也合乎上帝的旨意吧」
「失礼。その様なお考えをされるとは、少し呆気(あっけ)にとられました。確かに頭巾宰相殿の仰(おっしゃ)るとおりです。悪魔の力になるコーヒーに洗礼を授け、やつらの独占を防ぐのも神のおぼしめしにかなうでしょう」
佛羅伊斯笑了一陣,旋即露出清爽愉快的笑容。
ひとしきり笑ったフロイスだが、すぐにすっきりと爽やかな笑顔を浮かべた。
「關於作物的事,已了解。因要從資料的插圖中尋找,會花些時間,還請見諒」
「作物の件、承知しました。資料の絵から探す故、お時間を頂くことになりますがご容赦いただきたい」
「我知道會花時間。那麼,拜託您了」
「時間がかかることは承知しております。では、よろしくお願いいたします」
與佛羅伊斯的會談圓滿結束。雖然咖啡與可可的取得困難,但已給予與工作相稱的資金。因此能否取得,就得看他們的本事了。
フロイスとの会談は円満に終わる。コーヒーやカカオの入手は困難だが、仕事に見合う資金を渡している。ゆえに、入手できるか否かは彼らの腕次第だった。
靜子向耶穌會請求取得種子與苗木,是因為他們的影響力。
静子がイエズス会に種や苗の入手を依頼するのは、彼らの影響力が理由だ。
像紫捲心菜、球型高麗菜、四季豆、橄欖、寧波金柑(ニンポウキンカン)、山羊、綿羊等,普通能取得的物品,付些錢就能從葡萄牙商人那裡買到。
紫キャベツや結球型のキャベツ、いんげん豆、オリーブ、寧波金柑(ニンポウキンカン)、ヤギ、羊など、普通に手に入るものは多少の金を積めばポルトガル商人から入手可能だ。
山羊與綿羊除了毛與肉外,也很適合當除草動物。雖然傾斜地除草以山羊較擅長、平地以綿羊較適合,各有優劣,但只需稍加管理便能為人除草。
ヤギや羊は毛肉はもちろん、草刈り動物としても優秀だ。傾斜地の除草はヤギ、平地の除草は羊とそれぞれ得手不得手はあるものの、多少の手間をかけるだけで除草をしてくれる。
兩種動物的毛、皮、肉、乳幾乎無可浪費之處,尤其毛可作為優良的保暖衣料。
2種とも毛、皮、肉、乳と捨てるところが少なく、特に毛は防寒着として優秀だ。
因此進口了許多品種,例如山羊的薩能種與喀什米爾種、綿羊的雪特蘭種與薩斯道恩種(OldSouthdown)等。
ゆえに、ヤギのザーネン種やカシミア種、羊のシェトランド種やサウスダウン種(オールド・サウスダン)など多くの品種を輸入した。
說到綿羊,西班牙美利奴(Spanish Merino)最為著名。然而直到18世紀西班牙獨立戰爭時列國介入,將西班牙美利奴作為戰利品帶走之前,這一直是門外不出的珍貴品種。
羊と言えばスパニッシュ・メリノが最も有名だ。だが、18世紀のスペイン独立戦争に列国が介入し、戦利品としてスパニッシュ・メリノを持ち去るまで門外不出の秘蔵種だ。
「四季豆、捲心菜、紫捲心菜、青江菜、寧波金柑(ニンポウキンカン)正在增加種子。雖然是盆栽但也在栽種橄欖。山羊與綿羊由みつお先生負責。嗯,這大概就是葡萄牙商人的極限了吧」
「いんげん豆と、キャベツ、紫キャベツ、チンゲン菜、寧波金柑(ニンポウキンカン)は種を増やし中。鉢植えだけどオリーブも栽培中。ヤギと羊はみつおさんにお任せ中。うーん、ここいらがポルトガル商人の限界かなぁ」
遇到種植在困難地點的作物時,商人立刻就退縮;但宣教師則不然。
困難な場所にある作物となると、とたんに商人は及び腰になる。だが、宣教師は別だ。
他們把苦難之路視為試煉,欣然接受。因為在那方面的意志力不同,靜子決定依靠耶穌會。
彼らは苦難の道を試練と考え、難なく受け入れる。その辺りの精神力が違うため、静子はイエズス会を頼ることにした。
固然基督教的價值觀帶有強烈的缺陷,但這仍比組織並派遣植物獵人便宜。
無論、キリスト教の価値観が強い欠点はあるが、それでもプラントハンターを組織し派遣するよりは安い。
「要進口南蠻的小刀與製作材料的鐵塊。向伴天連(ばてれん)請求果實的種子。真是的,靜子妳真忙得不可開交。雖然沒聽過的果實的味道倒是令人期待」
「南蛮の小刀と材料の鉄塊を輸入する。伴天連(ばてれん)に果実の種を依頼する。ほんと、静っちはいろいろと忙しいねぇ。聞いたこともない果実の味は、楽しみではあるがな」
「南蠻的小刀是指大馬士革刀嗎?」
「南蛮の小刀ってダマスカスナイフのこと?」
聽到慶次的話,靜子摸了摸懸在腰間的小刀。
慶次の言葉を聞いて、静子は腰に下げている小刀を触る。
全長450mm,刃長295mm,刃厚5mm,層構造不詳。握把材質無法確定,但靜子認為既然來自印度,應該是水牛角。
全長450mm、刃長295mm、刃厚5mm、層構造は不明という性能だ。ハンドル(ナイフの握り部分)の素材は正確には分からないが、インドということで水牛の角と静子は考えた。
鞘(シース)為厚實牛皮製,看起來堅固耐用。整體做工良好,能感受到工匠的講究。
鞘(シース)は分厚い牛皮製で、堅牢で頑丈そうに見えた。全体的に良く出来ており、職人のこだわりが感じられる。
在某些扣具部分等使用了印度產的黃銅(しんちゅう)。
留め具部分など一部にインド産の真鍮(しんちゅう)が使われていた。
印度在12世紀便已以棉花作還原劑精煉金屬鋅並製造黃銅(しんちゅう)。
インドは12世紀には綿を還元剤として金属亜鉛を精錬し真鍮(しんちゅう)を製造していた。
該項技術於16世紀傳入中國,自此中國也生產金屬鋅與黃銅(しんちゅう)。
その技術は16世紀に中国へ渡り、以降中国も金属亜鉛と真鍮(しんちゅう)を製造した。
「然而究竟是何等心境的變化呢?明明一直蒐集名刀,卻突然賞賜我們刀,又求取南蠻的小刀,才蔵對此有些疑問」
「しかし、どの様な心境の変化でございましょうか。名刀蒐集をされておりましたのに、急にわれらに刀を下賜し南蛮の小刀を求めたことにこの才蔵、些(いささ)か疑問を感じます」
「發生了一點小事啦」
「ちょっとした事情ができちゃってね」
自姊川之戰後,足滿正式成為靜子的家臣;然而他持有天下五劍之一「三日月宗近」,因此惹出了麻煩。
姉川の戦い以降、足満は正式に静子の家臣となった。しかし、彼が天下五剣の内の一つ『三日月宗近』を持っていることで面倒事が起きた。
天下五劍是靜子積極蒐集的寶物,但尚未賞賜給任何人。只有足滿持有其中一把,外界會有不良風評,靜子認為如此不妥。
天下五剣は静子が精力的に集めているが、まだ誰にも下賜したことはない。足満だけ持っている状態は、外聞が悪いと静子は考えた。
因此為了取得平衡,把童子切安綱讓給慶次,把鬼丸國綱讓給才藏。雖未能交給長可,但約定一旦取得大典太光世或數珠丸恒次就會轉讓。
ゆえに、バランスを取るために童子切安綱を慶次、鬼丸国綱を才蔵に譲った。長可には渡せてないが、大典太光世か数珠丸恒次が手に入りしだい、譲る約束を交わした。
信長在姊川之戰後如何交涉不得而知,但他帶回了足利家重寶大典太光世。
信長が姉川の戦い後、どういう話し合いをしたか不明だが、足利家の重宝である大典太光世を持ち帰ってきた。
此外還有銘則宗、骨喰藤四郎、大般若長光等足利家的重寶被帶回,靜子推測可能是就密書之事進行了政治交易。
ほかにも二つ銘則宗、骨喰藤四郎、大般若長光など足利家の重宝を持ち帰ったところを見るに、密書の件で政治的取引を行ったのだろうと静子は推測した。
(不過數珠丸恒次作為日蓮上人的三遺品被保存在身延山久遠寺,究竟打算如何取得呢?)
(でも数珠丸恒次は日蓮上人の三遺品として、身延山久遠寺に保管されているのだけど、どうやって手に入れるつもりなのだろう?)
靜子想了想也想不出來,索性放棄深想。因為一想深入,似乎會看見些不妙的結果。
考えてみたが思いつかなかった静子は、思いきって考えるのを止めた。深く考えると何かろくでもない結果が見えてきそうと思ったからだ。
「話說回來,跟佛羅伊斯會談、取回目安箱的內容,都是滿滿需要移動的工作啊」
「それにしてもフロイスさんと会談、目安箱の中身を回収、と移動の多い仕事ばっかりだよ」
一邊按自己的肩膀,靜子抱怨道。
自身の肩をもみながら静子は愚痴を零(こぼ)す。
雖然與佛羅伊斯的會談讓靜子計劃進口新品種,但目的不止於此,還有確認目安箱內容這項重要工作。
フロイスとの会談で新たな品種の輸入を計画した静子だが、目的はそれだけではない。目安箱の内容確認という大事な仕事がある。
目安箱據說是德川吉宗於1721年(享保6年)設置,但相模國的北條氏和甲斐的武田氏等,也曾在戰國時代施行類似的目安箱制度。
目安箱は1721年(享保(きょうほう)6年)に徳川吉宗が設置したものと言われているが、相模国の北条氏や甲斐武田氏など、戦国時代にも目安箱の制度を実施した者はいる。
此外,目安箱的「目安」原指訴狀,江戶時代僅稱為箱子。稱為目安箱則是明治時代以後的事。
なお目安箱の目安は訴状のことで、江戸時代では単に箱としか呼ばれていなかった。箱が目安箱に変わったのは明治時代以降である。
投稿起初允許各種書信,但不久便開始施行嚴格的規則。
投書は当初さまざまなものが許されていたが、間もなく厳格なルールが適用される。
首先內容與江戶時代相同,只承認兩類作為投書內容:「對政治有幫助的意見」或「關於官員惡行・不正的通報」。其他則不在受理範圍,但會被歸檔管理。
まず内容は江戸時代と同じく『政治に役立つ意見』か『役人たちの悪事・不正に関する通報』の二つだけが投票内容として認められる。ほかは対象外とされるがファイリングして管理する。
要明記住址(村名)與姓名。可以投書的日子每兩個月一次,僅在上午九時到下午二時之間。
住所(村の名前)と氏名を明記する。投票できる日は二か月に1回、午前9時から午後2時までの間だけだった。
儘管規定如此嚴謹,每次仍有大量投書送來。當中不乏真假難辨、難以確認的告訴,但也有可供政治上有效利用的有益情報。
これだけ細かい規定がありながらも、毎回多くの投書が集まった。真偽の疑わしい、確認が困難な訴えも少なからず入っていたが、政治に有効活用できる有益な情報も入っていた。
當然並非所有訴求都能實現,其中也有優先度較低的事項。
無論、すべての訴えがかなえられることはなく、中には優先度が低い内容もある。
然而,依據目安箱的意見實行的政策不少,例如接受能開發土地的建議進行新田開發、為需要照護的兒童興建兒童養護設施、接獲山賊通報後討伐、以及對河川利用進行仲裁等。
しかし、開発できる土地の進言を受け新田開発を行う、養護を要する児童のために児童養護施設を建てる、山賊の通報を受け討伐を行う、河川利用の仲裁を行うなど、目安箱の意見を元に実現した政策はいくつもある。
「這次也會有很多吧」
「今回もたくさん入ってるだろうね」
「目安箱太受歡迎,甚至養成了給管理士兵送酒的習俗呢」
「あまりにも目安箱が大人気になったために、管理する兵に酒を贈る習慣ができちまったしな」
目安箱的內容是為了爭取民心或消解不滿所設置的。為免出差錯,箱子放置期間會配置數名警衛看守。
目安箱の中身は民の人気取りや、不満を解消するために用意された箱だ。不備があってはならぬとのことで、箱が置かれる間は何人かの見張り役が配置される。
但若季節為冬日,便要在下雪中站立,身邊無任何暖器;夏天則在烈日下守崗,不能待在陰涼處。
しかし、季節が冬であれば雪降る中、何の暖房器具もない状態で立たされるのだ。夏であれば炎天下の中、日陰に入れず見張り役となる。
為了體恤無法輪替、在惡劣環境下值勤的看守,靜子從自己的酒藏拿出一升瓶清酒贈予士兵。久而久之,為了酒有人自願承擔看守崗位,反而讓每次的挑選變得棘手。
交代もなく厳しい環境で見張り役を務めることをいたわるため、静子は自身の酒蔵から一升瓶分の清酒を兵士に贈った。それが、いつしか酒目的に目安箱の見張り役を買って出る人間が増え、毎回選別に苦労する羽目となった。
酒在戰國時代是不可或缺之物,同時也是帶來龐大利益的商品。
酒は戦国時代を語る上でなくてはならない道具であり、同時に莫大(ばくだい)な富をもたらす代物だ。
直到江戶時代之前,高品質的酒多由大寺院釀造,稱為僧坊酒。因此信長視其為競爭勢力,曾派遣間諜進入大寺院以摧毀其名聲。
江戸時代に入るまで、高品質な酒と言えば大寺院で酒造される僧坊酒(そうぼうしゅ)だ。ゆえに、信長は彼らの酒を対抗勢力と考え、名声をつぶすべく大寺院へ間者を送り込んでいた。
當然大寺院方面也向信長的釀造街派遣間者,但多被看門犬識破,悄然被處理掉。
無論、大寺院側も信長の醸造街に間者を送り込んでいるが、ほとんどは番犬により見抜かれ人知れず消されていた。
「喔喔,來了——啊,真、非常抱歉!辛、辛苦了!?」
「おっしゃ、来たーーーーあ、も、申し訳ありません! お、お疲れさまです!?」
當抵達目安箱放置處,見到靜子士兵幾乎要跳起來歡喜,但一見到才藏的瞪視,馬上收斂了態度。
目安箱が置かれた場所に到着すると、静子の姿を見た兵士が飛び上がらんばかりに喜ぶ。だが、才蔵のにらみに気付いてすぐさま態度を改める。
「從馬上失禮了。到了規定時間,目安箱的設置到此結束。之後向隊長報告就可以解散。酒已經送了,回去可以和同僚小酌。以上有什麼問題嗎?」
「馬上より失礼するよ。定刻になったので、目安箱の設置は終わりとします。この後、部隊長に報告したら解散して良い。酒は贈ってるから、後で同僚と呑むと良い。話は以上、何か質問はある?」
「不、沒有!」
「いえ、ございません!」
「……唔,那就好吧。工作辛苦了。其餘交給我們處理。」
「……まぁ良いか。仕事お疲れさん。後はこっちが引き取るよ」
靜子對神情恍惚的士兵半感無奈,但也覺得久留對方不好,便當作沒看見。
心ここに在らず状態の兵士に半分あきれた静子だが、長く引き留めるのも悪いと思い見なかったことにした。
士兵們被才藏愈加嚴峻的表情嚇得,匆匆跑開了。
ますます険しくなる才蔵の顔におびえながら、兵士たちは駆け足でその場を去った。
「喔,這次也相當沉重」
「お、今回も結構な重さ」
抱起目安箱時,靜子感到箱子沉甸甸的重量,但裡面裝的只是紙張,並沒重到讓人腿軟的程度。
目安箱を抱えると、箱からずっしりとした重さを静子は感じた。しかし、中に入っているのは紙、腰が抜けるほどの重さではなかった。
「請問,可以嗎?」
「もし、よろしいでしょうか」
靜子把目安箱綁在馬上、正要跨上馬,將腳踏進鐙(馬蹬)的瞬間,背後傳來聲音。
馬に目安箱をくくりつけ、馬に乗ろうと静子が鐙(あぶみ)に足をかけた瞬間、背後から声が飛んできた。
靜子從鐙(馬蹬)上收回腳,轉向聲音來源。雲水(修行僧)正看著她,他掀起深戴的斗笠露出臉,深深鞠躬致意。
鐙(あぶみ)から足を外して、声のした方に顔を向ける。雲水(修行僧)が静子を見ていた。彼は深くかぶった笠を上げて顔を見せ、深々とお辞儀をした。
「失禮,小僧名為不識庵。關於那個箱子,有些問題想請教,不知現在可否請問?」
「失礼、拙僧は不識庵と申します。その箱について、少々伺いたいことがあるのですが、今お尋ねしてもよろしいでしょうか?」
「啊,是的,沒關係。能回答的範圍我會盡量說明。」
「ああ、はい。構いませんよ。答えられる範囲でしたら、私がお答えします」
靜子帶著和善的微笑轉向雲水。才藏下馬,慶次則跨坐在馬上,兩人都在慎重觀察雲水。
人の良い笑みを浮かべた静子は、雲水の方に身体を向ける。才蔵は馬から下り、慶次は馬に跨(また)がったまま、しかし雲水を注意深く観察していた。
若有異狀,慶次會立刻抱起靜子撤離,而才藏作為主君則會揮槍迎敵。兩人這種不用言語便能默契行動的配合,讓雲水略微有了反應。
何かあればすぐさま慶次が静子を抱え上げて逃げ、その間に殿として才蔵が槍を振るう体勢だった。言葉にせずとも阿吽の呼吸で動いた2人に、雲水はわずかばかり反応を示した。
但他很快又露出笑容,向靜子提出疑問。
が、すぐに笑みを浮かべると静子へ疑問を口にする。
「聽說妳帶著的那個箱子是讓民眾投書意見的。失禮了,小僧不太明白為何要向民間徵集意見,可否請教緣由?」
「貴女が持っている箱は、民が意見を投書する箱であると聞きました。失礼ですが、民から意見を公募する理由が拙僧には分かりませぬ。どのような理由で民から意見を求めているのでしょうか」
「就像統治者會對被統治者發話,被統治者也會有想對統治者說的事。若統治者不傾聽被統治者的聲音,而被統治者也不聽統治者的話,國家就會走向不良的方向。」
「支配する側が支配される側に何か言うように、支配される側も支配する側に言いたいことぐらいあるじゃないですか。支配される側の声に支配する側は耳を傾け、同時に支配する側の声に支配される側は耳を傾けないと、国は良くない方向に向かってしまいます」
靜子的話讓雲水露出驚訝之色,這也不奇怪。在宛如野獸般只追求利益的亂世,像靜子這樣能兼顧雙方利益的意見幾乎不存在。
静子の言葉に雲水は驚いた顔をする。彼の驚きも無理はない。獣のように利ばかり求める乱世において、静子のように双方の利益になる意見は皆無だからだ。
而且她並非只談理想,而是基於現實去執行。雲水理解這並非易事,於是柔和地笑著頻頻點頭。
さらに理想を語っているわけではなく、現実に即して実行する。なかなかできることではないと理解した雲水は、柔らかい笑みを浮かべて何度か頷く。
「所謂為了他人,並不表示要輕視自己;也非只為自己而輕視他人。妳的想法高尚,且不只是空談夢想。」
「人のためと申して自分を蔑(ないがし)ろにするわけでもなく、さりとて自分のためだけに人を蔑(ないがし)ろにするわけでもない。貴女の考えは立派で、そして夢想を語るだけではない」
「我沒有想得那麼高尚。而且聽起來不錯,但歸根究柢還是為了自己。接受民間可開發土地的申報並進行墾殖,目的終究是為了增加稅收。」
「そこまで立派なことは考えていません。それに、聞こえは良いですが、結局は自分のためです。民から開発できる土地の報告を受け、開墾を行っても結局は税が増えることを目的としていますから」
即便興建免費養成所,也是為了維持作為勞動力的民眾;把可開墾土地當作公共工程開發,也是為了增加可徵收的稅額。
無料の養成所を建てても、労働力となる民を維持するのが目的だ。開墾できる土地を公共事業で開発しても、納められる税を増やすことが目的だ。
目安箱聽來像是傾聽民意的政策,但無可否認的是其運作優先考量織田家的利益。
目安箱は民の不満を聞くための政策と聞こえは良いが、織田家の利益を第一に考えて動いていることは否めない。
事實上,即便依目安箱的意見擬定政策,也傾向先推動有利於織田家的事項,對利益較低的則往往延後。
事実、目安箱の意見を元に政策を立てても、織田家の利益が高いものから進められ、低いものは後回しにされがちだった。
「說起來容易,做起來難。看看民眾的面容吧,大家看起來都很和樂。」
「言うはやすく行うは難し、です。ご覧なさい民の顔を。皆、良い顔をしています」
雲水這麼一說,靜子便望向路上的行人。身處亂世的他們都帶著笑容,那笑容一點也看不出可能明日就死去的徵兆。
雲水に言われて静子は道行く人たちの顔を見る。乱世を生きている彼らは、みな笑顔を浮かべていた。明日には死ぬかもしれない、ということが全く感じられない笑顔だった。
「領主所施行的政事結果會顯現在百姓的臉上。即便妳以利害計算來施政,只要百姓帶著笑容,就可以視為他們對妳的政表示感謝。」
「領主の行う政の結果は、民の顔に出ます。貴女が利を計算して政を行おうとも、民が笑顔を浮かべているのなら、それは貴女の政に感謝していると受け取って良いと思います」
「啊、謝謝你。當面被這麼說真的有點害羞呢」
「あ、ありがとうございます。面と向かって言われると照れますね」
靜子被雲水的讚美弄得害羞,為了掩飾尷尬輕撫了一下臉頰。雲水覺得那反應很純真,露出溫柔的笑容。
雲水の褒め言葉に恥ずかしくなった静子は、気恥ずかしさをごまかすために頬を軽くかく。その反応が初々しいと感じた雲水は、優しい笑みを浮かべる。
「雖然不捨,但我與友人有約,先行告辭」
「名残惜しいですが、友との約束がありますので、これにて失礼」
「啊、好。路上請多小心」
「あ、はい。道中お気をつけて」
綁好斗笠的繩子後,雲水向靜子深深鞠了一躬。靜子也被他帶著一起鞠躬。雲水抬起頭來,在最後微微一笑後離開了靜子等人。
笠の紐を結び直した後、雲水は静子に深々と頭を下げた。彼につられて静子も頭を下げる。頭を上げた雲水は最後に小さく笑みを浮かべた後、静子たちの元から立ち去った。
「真是個特別的人呢」
「変わった人だったね」
「嗯……是啊」
「ああ……そうだな」
雲水的背影消失後,靜子邊騎馬邊向兩人說話。接到慶次模糊的回應讓靜子感到疑惑,便轉頭看向他。
雲水の背中が見えなくなったころ、静子は馬に乗りながら2人に話しかける。慶次からあやふやな返答が帰ってきたことに訝(いぶか)しんだ静子は、彼の方へ顔を向ける。
慶次露出平常少見的認真表情,但當察覺到靜子的視線時,又像平常一樣展現無憂無慮的笑容。
慶次は普段見ないような真面目な顔つきをしていた。しかし、静子の視線に気付くと、いつものように屈託のない笑顔を浮かべる。
「剛才在回想一些往事。好了,悶悶不樂的話就到此為止,快點回去吧」
「ちょっと昔を思い出していた。さ、辛気くさい話は終わり。さっさと戻ろうぜ」
「欸、啊、嗯。對啊,快回去吧」
「え、あ、うん。そうだね、早く帰ろうか」
說完後靜子操縱韁繩回頭上路,慶次與才蔵並排跟在她身後,低聲以只有兩人能聽見的音量說起話來。
言うやいなや静子は馬の手綱を操って帰路につく。彼女の後ろに慶次と才蔵は並ぶと、2人だけに聞こえる声量で言葉を口にした。
「(有多少人)」
「(何人いた)」
「(保守估計……也至少有四十人)」
「(少なく見積もって……四十は下らない)」
「(還好什麼事都沒發生,但竟然無縫隙地部署了人,那個僧人難道是某個有權勢的人物嗎)」
「(何もなかったから良かったが、隙間無く人が配置されているなんて、あの僧はどこかのお偉いさんか)」
說完同時慶次長嘆一聲。靜子沒有察覺,但兩人感覺到雲水周遭有疑似護衛的人影,且立刻發現所有人都處於臨戰狀態。
言うと同時に慶次は大きくため息を吐く。静子は気付いていなかったが、2人は雲水の周囲に護衛と思わしき人間の気配を感じ取り、さらに全員が臨戦態勢であることをすぐに知った。
「(雖不明確但需要提高警覺。要派間諜過去嗎?)」
「(分からぬが注意しておく必要はある。間者を放つか?)」
「(徒勞無功。馬上就會被發現跟蹤而被消滅,這次還是撤退吧)」
「(無駄だ。すぐに尾行を知られて消されるのが落ちだ。今回はこのまま引き下がろう)」
下定結論的兩人將雲水放在心底一角,恢復平常表情。這是他們為了不讓靜子多操心所做的體貼。
結論が出た2人は雲水を心の片隅に追いやり、普段どおりの顔をする。静子に余計な心配をさせないための、彼らなりの配慮だった。
慶次從懷中取出煙管,點火吸了口菸。
慶次は懐から煙管を取り出すと、火をつけてたばこをふかす。
(不過,居然能在無意識中準備赴死,才蔵對靜っち真是相當傾心。哼,當然我也是。)
(しかし、無意識の内に死を覚悟するとは、才蔵は随分静っちにほれ込んでいるようだ。ふっ、無論俺もだが)
起初只是半出於好奇。就算是信長的命令,讓女性成為馬廻衆這種事聽來像是在被戲弄,正因如此慶次才產生了強烈的興趣。
最初は興味半分だった。幾ら信長の命令とはいえ、女の馬廻衆になることなどばかにしているにしか聞こえない。だからこそ慶次は強い興味を抱いた。
在明白那點之後,去思考信長為何要賦予靜子馬廻衆的理由。答案很快就出現了。
わざわざそこを理解した上で、信長が静子に馬廻衆を与えた理由を。その答えはすぐに出た。
靜子是個無法預測下一步行動、總讓人目不轉睛的人物。
静子は次の行動の予想がつけられず、とにかく目が離せない人物だ。
有時穿著打扮與信長會談,隔日又穿著工作服在弄土;看似對信長臣服,卻也會當面反駁。
着飾った服を着て信長と会談したかと思えば、翌日は作業着姿で土弄(いじ)りをしている。信長に従属しているかと思えば、真っ向から反論するときがある。
如果放任不管就不知道會做出什麼事,連一刻都不能鬆懈。這就是慶次對靜子的評價。
放置しておけば何をしでかすか分からず、寸分も目を離すことができない。それが静子に対する慶次の人物評価だった。
他認為這樣的看法不僅他一人,才蔵、長可以及士兵們也持相同想法。
そして、この考えは自分だけに限らず、才蔵や長可、そして兵たちも同じだと彼は考えていた。
(為了消滅飢荒而奪取天下。靜っち嚷著要建立與織田大人不同的天下——真好啊,大又深,且不懼於死亡的夢想。)
(飢饉(ききん)を滅ぼすために天下を取る。織田の殿様とは違った天下を吠えた静っちの夢――良いねぇ、でっかくて深く、それでいて死ぬことを恐れぬ夢だ)
吸過煙管後,慶次看著靜子的背影。人是根據領導者夢想的深度來決定是否追隨。
煙管をふかした後、慶次は静子の背中を見る。人は頭の夢の深さでついて行くことを決める。
那個夢越深越大,下層的人就越算幾度挫敗也會再起,一旦上戰場就會成為願意捨命的戰士。
その夢が深くて大きいほど、下の者は頭が何度負けようと立ち上がり、ひとたび合戦に出れば生を捨てたいくさ人となる。
考量到這一點,慶次認為靜子的夢深不可測,比海還要廣闊。
その点を考えれば静子の夢は、底が見えないほど深く、そして海より大きいと慶次は思った。
「(統一這個國家只是過程。真正的天下統一是要讓每個人都有飯吃。最後的敵人甚至是天……太無謀的想法了,但正因為如此好。因為夢想才要那麼大!)靜っち,今天晚餐是什麼呢?」
「(この国を統一するのは過程。真の天下統一は誰もが飯を食える国を作ること。最後の敵は天そのもの……無謀すぎる話だ。だがそれがいい。それぐらいでかい夢だからいい!)静っち、今日の夕餉(ゆうげ)は何かな?」
壓抑著滾燙的情懷,慶次帶著笑問起晚餐的事。
胸の熱い想いを押さえ込み、慶次は笑みを浮かべて夕餉(ゆうげ)のことを静子に聞く。
被問到的靜子扶著下巴琢磨菜單,這時一直未發言的才蔵輕輕清了清喉嚨。
質問を投げられた静子は顎に手を当ててメニューを考える。すると、今まで黙っていた才蔵が軽く咳(せき)払いをする。
「前幾日みつお殿做的炒飯和湯,那真是美味極了」
「先日、みつお殿が作られたちゃぁはんとすぅぷ、あれは美味でございました」
「喂喂才蔵,別偷偷提出需求啊。那我想吃親子丼那種的」
「おいおい才蔵、こっそり要望を出すな。それなら、俺は親子丼ってやつが良いな」
「想說什麼隨便說是自由,但別忘了真正要下廚的是彩ちゃん呢」
「好き勝手言うのは自由だけど、実際に調理するのは彩ちゃんなの忘れないでね」
對兩人的要求靜子無奈嘆氣,但並非真正討厭,反而看起來很享受想著晚餐的樣子。
2人の要望に静子はあきれてため息を吐く。しかし、本気で嫌がっている様子はなく、むしろ夕餉(ゆうげ)のことを考えるのを楽しんでいるように見えた。
「那麼,晚餐後想喝多少酒呢?」
「で、夕餉(ゆうげ)後の酒はどの程度欲しいの?」
慶次和才藏互相對視點頭後,帶著爽朗的笑容說道。
慶次と才蔵は互いの顔を見てうなずき合った後、爽やかな笑みを浮かべて告げる。
「一升(1.8 公升)」
「1升(1.8リットル)」
「不行。忍耐四合(720 毫升)就好。」
「駄目。4合(720ミリリットル)で我慢しなさい」
被拒絕許可後,兩人沮喪地垂下肩膀。靜子看著這兩人,帶著和煦的笑容繼續說道。
許可が下りなかったことに2人はがっくりと肩を落とす。そんな2人を見て静子はにこやかな笑みを浮かべて言葉を続ける。
「不過如果你們願意幫我的忙,我也不介意准許每人到七合(1.2公升)。那麼,兩位的答覆如何?」
「しかし私の手伝いをしてくれるのなら、1人7合(1.2リットル)まで許可を出すのもやぶさかではありません。さて、お二人の返答はいかに?」
靜子的提議讓兩人毫不猶豫地答應了。
静子の提案に2人は秒を置かず承諾した。
七月二十一日。
七月二十一日。
曾經統治畿內的三好三人衆在阿波國岩倉城主三好康長與三好氏的家臣、阿波國上櫻城主篠原長房等人的協助下,從阿波國渡海到和泉國。
かつて畿内を支配した三好三人衆は阿波国岩倉城主の三好(みよし) 康長(やすなが)や三好氏の家臣で阿波国上桜城主の篠原(しのはら) 長房(ながふさ)らの協力を得て、阿波国から和泉国に渡海した。
七月二十七日登陸後,他們立刻進軍,在攝津國中島的天滿森布陣。
七月二十七日に上陸すると、彼らはすぐさま進撃し摂津国中島の天満森に布陣した。
由盟主及擁立管領家嫡流細川昭元的三好三人衆軍兵力約為一萬三千人。
盟主に管領(かんれい)家の嫡流である細川(ほそかわ) 昭元(あきもと)を擁した三好三人衆軍の兵力はおよそ一万三千だ。
軍中有後來援助本願寺並令信長頭疼的紀伊國雜賀衆首領雜賀孫一(鈴木重秀),以及逃亡到北伊勢長島的齋藤龍興等人。
軍勢の中には後に本願寺に助勢し信長を苦しめる紀伊国の雑賀衆を率いる雑賀(さいか) 孫一(まごいち)(鈴木(すずき) 重秀(しげひで))、北伊勢の長島へ亡命している斎藤龍興などがいた。
八月進入後三好三人衆仍繼續進軍,收復昔日領地。接著為了以京為跳板,攻打了攝津國伊丹城主伊丹親興。
八月に入っても三好三人衆は進軍を続け、かつての所領を回復する。続けて、京への侵攻を足掛かりにするために摂津国伊丹城の城主・伊丹(いたみ) 親興(ちかおき)を攻めた。
並在靠近石山本願寺的野田與福島築起砦,而淡路國的三好一族安宅信康趕來,駐紮於尼崎。
さらに石山本願寺にほど近い野田と福島に砦を築くと、淡路国から三好一族の安宅(あたぎ) 信康(のぶやす)が駆けつけ尼崎に陣取った。
在攝津國池田城,城主池田勝正被聽信三好三人衆策反的家臣荒木村重和一族池田知正(池田長正的嫡男)驅逐出城。
摂津国池田城では城主の池田勝正が、三好三人衆の調略に乗せられた家臣の荒木村重と一族の池田知正(池田長正の嫡男)によって池田城から追放された。
娶了池田長正的女兒、成為池田家一族的荒木村重趁亂掌握了池田家。
池田長正の娘を娶(めと)り、池田家の一族衆になっていた荒木村重は、この混乱に乗じて池田家を掌握する。
將軍義昭視此事為大事,聯絡信長,並向畿內的守護們下達討伐三好三人衆的命令。
この事態を重く見た将軍の義昭は信長へ連絡し、畿内の守護たちに三好三人衆の追討命令を下した。
義昭的命令下,河內守護三好義継和河內下半國守護畠山昭高響應,試圖在河內國古橋城阻止三好三人衆的侵攻。
義昭の命令に河内守護の三好義継と河内下半国守護の畠山昭高は応じ、河内国古橋城で三好三人衆の侵攻を食い止めようとした。
然而他們未能阻止進軍,古橋城陷落。
しかし、彼らの進軍を止めることはかなわず古橋城は陥落した。
大和國守護松永久秀也移往位於大和與河內邊境的信貴山城,以此城為據點建立迎擊三好三人衆的防禦體系。
大和国守護の松永久秀も大和と河内の国境境にある信貴山城に移り、この城を拠点として三好三人衆の迎撃体制を作った。
但因後方的筒井與箸尾等國人衆可能會蠢動(無力者騷動之意),因此無法積極出擊討伐三好三人衆。
だが、後方にいる筒井や箸尾らの国人衆が蠢動(しゅんどう)(力のないものが騒ぎ動くこと)する可能性があったため、積極的に三好三人衆へ討って出ることができなかった。
信長對三好三人衆的進軍大為憤怒,補充損耗的兵力,八月二十日離開岐阜,二十三日進入位於京的宿所本能寺。
信長は三好三人衆の進軍に激怒すると、損耗した兵士を補填(ほてん)し、八月二十日に岐阜をたち、二十三日に京の宿所である本能寺に入った。
休整兩日後於二十五日再度進軍,二十六日在距離野田・福島約五公里南方的天王寺設置本陣。
二日間休息した後、二十五日に進軍を再開し、二十六日に野田・福島から5キロほど南方に離れた天王寺に本陣を置いた。
信長將先鋒部隊部署在天滿、川口、渡邊、神崎、難波等各處,將據守在野田・福島砦的三好三人衆遠距包圍。
信長は先陣部隊を天満・川口・渡辺・神崎・難波など各所に配置し、野田・福島の砦にこもった三好三人衆を遠巻きに包囲した。
現代的大阪已無當時的痕跡,但戰國時代的野田與福島是被河川環繞的要衝之州。
現代の大阪には面影が一つも残されていないが、戦国時代の野田・福島は河川に囲まれた要害の州であった。
處於劣勢的畿內守護們因織田軍四萬的到來而振奮,相反地三好三人衆未出兵,採取固守待援的籠城態勢。
劣勢だった畿内の守護たちは織田軍四万の到来に活気づき、反対に三好三人衆は兵を出さず籠城戦の構えを取った。
姉川之戰的傷損尚未恢復的信長無法以武力硬攻,遂採取逐步收緊包圍網的作戰。
姉川の戦いでの損害が癒やせていない信長は、力技で攻めこむことはできず、徐々に包囲網を狭める作戦に出る。
信長亦強烈要求義昭出馬,義昭應允出動,於九月三日進入位於攝津中島的細川藤賢居城。
また、信長は八月三十日に義昭の出馬を強く求め、義昭は応じて動座し、九月三日に摂津中島にある細川藤賢の居城に入った。
在野田・福島發生的信長與三好三人衆之戰被稱為日本史上首次的火槍戰,雙方沉浸在激烈的火槍攻防中。
野田・福島で起きた信長と三好三人衆の合戦こそ、日本史上初の鉄砲合戦と言われ、双方共に激しい鉄砲攻撃の応酬に明け暮れていた。
此時奉信長之命的足滿帶領弓騎兵隊四十名與護衛兵一百名在各陣間移動。
そんな中、信長から命を受けた足満と弓騎兵隊40名、そして護衛役の兵士百名が各陣を移動していた。
「在這裡嗎?」
「ここか」
在三好三人衆與火繩槍交火地點之一,足滿與二十名弓騎兵及五十名護衛兵抵達。
三好三人衆と火縄銃の撃ち合いをしている場所の一つに足満と弓騎兵隊20名、護衛役の兵士50名が到着する。
似乎事先聽到消息的士兵挺直背脊回答道。
あらかじめ話を聞いていたであろう兵士が、背筋を伸ばして答えた。
「久候多時!三好軍在那邊!」
「お待ちしておりました! 三好兵はあちらにいます!」
用雙眼鏡朝士兵指的方向看去,果然見到三好軍以天成的障壁與自造的掩體為遮蔽物,正在準備火繩槍。
兵士の指さした方を双眼鏡でのぞくと、彼の言葉どおり三好兵が天然の壁や自分たちで作った壁を遮蔽物にし、火縄銃の準備を行っているのが見えた。
「步兵,準備好投擲帶(staff sling)。」
「歩兵はスタッフスリングの準備をしろ」
隨著那句話,步兵們將磚塊裝填入投擲帶,弓騎兵隊則上弦準備箭矢。
その言葉と共に歩兵たちがスタッフスリングにレンガを装填(そうてん)し、弓騎兵隊が矢を番(つが)える。
當三好兵露臉欲發射火繩槍的瞬間,弓騎兵隊射出箭矢。共射出二十一支,其中命中敵兵十九支,命中率竟超過九成。
三好兵が火縄銃を撃(う)つために顔を出した瞬間、弓騎兵隊が矢を放つ。その数21本、そして敵兵に命中した数は19本、実に9割以上の命中率だ。
確認對方動搖後,步兵揮舞投擲帶投出磚塊。
向こうが動揺したのを確認した歩兵が、スタッフスリングをふるいレンガを投げる。
這些磚只是曬乾而已,但寬長各約10cm、厚約5cm的磚塊仍足以成為致命武器。
レンガは天日干ししただけのものだが、それでも幅と長さが10cm、厚さ5cmのレンガは十分人を殺せる凶器になる。
果不其然,有幾名士兵被直接擊中頭部倒在地上。
案の定、兵士の内の何人かが頭に直撃して地面に倒れ伏していた。
「好,差不多了。移往別處。」
「よし、十分だろう。別の場所に移動するぞ」
說完,足滿等人離開現場,在別處重複同樣的事。
そう言うと足満たちは今の現場を離れ、また別の場所で同じようなことを繰り返した。
足滿等人的任務是盡可能減少使用火繩槍的士兵數量。
火縄銃を使う兵士を可能な限り減らすことが、足満たちの仕事だ。
因為這次任務不需要連射能力,足滿等人提高了複合弓的威力。
今回の任務に連射能力は必要ないため、足満たちはコンパウンドボウの威力を上げた。
因此射程延長了。火繩槍的殺傷距離約有200公尺,但能貫穿甲冑的距離約只有50公尺;100公尺已足以致命。
そのおかげで射程が伸びた。火縄銃の殺傷距離は200メートルほどあるが、甲冑(かっちゅう)を貫通する距離は50メートルほどである。100メートルは十分、相手を殺傷できる距離だ。
所以一射箭就立刻退到後方,移出火繩槍射程,並由使用棍狀投擲索的兵士投擲磚塊作為掩護。
だから、矢を放ったら即後方に下がり、火縄銃の射程外に移動、その間にスタッフスリングの兵士がレンガを投げる作戦を行った。
若使用辣椒素炸彈便能輕易殲滅全數。但足滿認為辣椒素炸彈的目標僅限於雜賀鐵砲衆。
カプサイシン爆弾を使えば簡単に全滅できる。だが、足満はカプサイシン爆弾の対象は、雑賀鉄砲衆だけと考えていた。
(雜賀鐵砲衆以獨特戰法使火繩槍能連射;也就是說,他們常比其他部隊更為集中行動,因而辣椒素炸彈的效果更高。)
(雑賀鉄砲衆は独自の戦法で火縄銃の連射を可能にした。つまり、ほかより固まって動くことが多い雑賀鉄砲衆は、カプサイシン爆弾の効果が高く得られる)
足滿打算優先殲滅雜賀鐵砲衆,因此在鐵炮交火中,專挑織田軍處於劣勢的地點活動。
足満は雑賀鉄砲衆を優先的につぶそうと考えていた。そのために鉄砲同士の撃ち合いで、織田軍が劣勢な場所を回っていた。
機會出乎意料地很快到來,足滿發現了數處織田軍極為苦戰的地點。
そして、機会は意外と早く訪れた。織田軍が非常に苦戦している場所を足満はいくつか見つける。
「就是這裡。你們按步驟行事。」
「ここか。お前たち、手順どおりに事を行うぞ」
為執行對雜賀鐵砲衆的作戰,足滿將箭搭在複合弓上。
対雑賀鉄砲衆の作戦を実行するため、足満はコンパウンドボウに矢をつがえた。
當織田軍在野田、福島與三好三人眾交戰時,以靜子為首的慶次、才藏、長可及兵七千五百人則在尾張。
野田・福島で織田軍と三好三人衆が合戦を行っているころ、静子を筆頭に慶次、才蔵、長可と兵7500は尾張にいた。
雖然收到信長的徵軍命令,靜子並未遵從;她當然向信長說明無法從軍的理由,並告知為何不能從軍。
信長から従軍命令は来たが、静子はその命令に従わなかった。もちろん従軍できない理由をきちんと説明して、信長になぜ従軍できないかを伝えた。
「好了……接下來要通知大家即將赴死地。」
「さて……と、これから死地に行くことを伝えないとね」
靜子令全軍列隊,登上臨時搭起的平台,從上面注視士兵們。
静子は全軍を整列させると、急造した台に上る。彼女は台の上から兵士たちを見据えた。
有長官、有下屬、有前途的年輕人、有妻兒的人、曾經地位高於自己的、僅為溫飽而從命的、以及那些誤以為像她這樣的人是大人物而崇敬她的人。
目上の者、目下の者、前途ある若者、妻子ある者、かつては自分より身分が上だった者、ただ食べるだけのために従う者、そしてこんな自分を大人物と思い込み慕ってくれる者。
這是一支人員雜陳的軍隊。要向這樣的他們宣告即將赴死,靜子覺得何其困難。
さまざまな人間が入り交じった軍だ。そんな彼らにこれから死にに行けと宣言することの、なんと難しいことかと静子は思った。
但逃跑不被允許。若不在此戰獲勝,一切都會開始失序。要破壞命運的齒輪,不能容許有退避之念。
だが、逃げることは許されない。この戦いに勝たねば、何もかもが狂い始めるのだ。運命の歯車を破壊するには、逃げることを考えるなど許されなかった。
「我們現在要前往宇佐山城。」
「我々はこれから宇佐山城へ向かう」
靜子的話引起士兵們的騷動。
静子の言葉に兵士たちがどよめく。
宇佐山城是信長命森可成在近江滋賀郡築起的城堡,為了防備朝倉義景與淺井久政的南進,以及制衡琵琶湖與北國街道。
宇佐山城は朝倉義景と浅井久政の南進に備え、また琵琶湖と北国街道の押さえとするため、信長が森可成に命じて近江滋賀郡に築いた城だ。
現在信長交戰之處在攝津國,太遙遠,無法作為行軍目的地。
今、信長が戦っている場所は摂津国、移動する場所としては遠すぎた。
「綜合各方情報後判斷,淺井與朝倉在策畫不軌。因此我們將成為殿軍,以免織田本軍遭到夾擊,在宇佐山城化身人柱,阻止他們的南進。」
「さまざまな情報を照らし合わせた結果、浅井・朝倉が良からぬことをたくらんでいると考えた。よって、我らは織田本軍が挟み撃ちに合わぬよう殿部隊となり、宇佐山城にて連中の南進を防ぐ人柱となる」
士兵們沒有發聲,但靜子依然繼續說下去。
兵士たちは声を上げなかった。だが、静子は構わず言葉を続ける。
「目前的宇佐山城並無迎擊淺井、朝倉聯合軍的準備。若宇佐山城失守,他們將堂而皇之控制京城,那時留在攝津國的我方主君將失去退路,終被討取。換言之,宇佐山城是能阻擋敵軍的最後一道城牆。」
「今の宇佐山城には、浅井・朝倉連合軍を迎え撃つ準備がない。宇佐山城が落城すれば、連中は堂々と京を支配下に置く。そうなれば摂津国に残されたお館様は退路を失い、いずれ討ち取られる。つまり、宇佐山城は敵軍を止めることのできる最後の城だ」
「……」
「……」
「若織田家覆滅,許多人將遭屠殺;倖存者也會被洗劫一空,淪為奴隸。要阻止這一切,唯有我們流血、以命相搏阻止敵人的南進。再說一次,若不能在宇佐山城止住敵軍,這個國家便會滅亡。」
「織田家が滅べば、多くの人々は虐殺される。生き残った者もすべてを奪われ、奴隷となり下がる。それを止めるには我々が血を流し、命をかけて敵の南進を止めるしかない。もう一度言う。宇佐山城で敵軍を止められなければこの国は滅ぶ」
寂靜籠罩現場。沒有一人出聲,只是直視著靜子,等待她的下一句話。
静寂が場を支配する。1人として声を上げなかった。ただ真っすぐ静子を見たまま、彼女の次の言葉を待った。
「我問諸君。我們的生活是建立在祖先流血與犧牲之上。若……若你們心中有想守護之物,請為保護我們的國家出一分力。」
「皆に問う。我らの生活は、先祖が血と命を散らした上で成り立っている。もし……もし貴方たちの心に守りたいものがあるのなら、我らの国を守るために力を貸してほしい」
靜子想道,她從未覺得沉默如此沉重。從她開始說話以來,士兵們一句話也沒說,只默默傾聽她的話語。
今ほど沈黙が重苦しいと思ったことはない、と静子は思った。最初の言葉から兵たちは一言も言葉を口にせず、ただ黙って自分の語る言葉に耳を傾けていた。
「殿」
「殿」
在沉重的寂靜中,一名足輕上前。他名為玄朗,是個近乎初老、把靜子視為大人物並稱她為『殿』的人。他往前走了幾步,露出愉悅的笑容。
重苦しい沈黙の中、1人の足軽が前に出る。彼の名は玄朗と言う。静子を大人物と思い、彼女を『殿』と慕う初老手前の人間だ。彼は数歩前に出ると、陽気な笑みを浮かべた。
「沒必要堆砌那些艱深詞句,這不像您。您只要叫我們去送死就好。」
「難しい言葉を並べるなど、らしくありませぬぞ。貴女はただ我々に『死んでこい』と命じれば良いのです」
「玄朗……爺爺」
「玄朗……爺ちゃん」
「殿依舊是那個令人無法移開目光、放不下的人。戰鬥的意義什麼的,無關緊要。事情很簡單。來吧,下令吧。命我們前往死地。」
「あいも変わらず目が離せなく、放っておけない人ですな、殿は。戦う意義とかなんとか、そんなことはどうでも良いのです。事は単純なのです。さ、我々にお命じください。死地へ向かうぞ、と」
玄朗的話讓靜子幾乎落淚,她立刻抹了抹眼角。若前往宇佐山城,必然會流很多血、喪失無數性命。
玄朗の言葉に涙が出そうになった静子は、とっさに目頭を押さえる。これから宇佐山城に向かえば、多くの血が流れ、無数の命が失われることは確実だ。
(至今所做的一切都是為了主君……但宇佐山城是為了我。我沒有名將那種耀眼的魅力,只是個玩弄土地的小姑娘。為了像我這樣的人去捨命,怎會是甘心之事──!!)
(今までのことはすべてお館様のため……でも、宇佐山城は私のためだ。私は名将のような眩(まばゆ)い魅力もなく、ただ土を弄(いじ)っていただけの小娘だ。こんな私のために命を捨てて本望なはずがあろうか――!!)
內心嘆息的同時,靜子放開眼角,用力握拳。雙肩仿佛快被壓垮一般沉重,但她咬緊牙關,盡力舉起拳頭。
心の中で嘆きながらも、静子は目頭から手を離し力拳を作る。双肩は今にも押しつぶされそうなほど重い。しかし、静子は歯を食いしばり、めいいっぱい拳を突き上げる。
「奉命」
「御下知有り(おんげちあり)」
靜子確信她在迷惘、煩惱與痛苦中思考得出的答案,就是自己應走的道路。
迷い、悩み、苦しみの中考えて出した答えが、自分の進むべき道だと静子は確信した。
因此,現在的她毫無猶豫,完全不覺得別人的境遇比自己好。靜子目視應走之路,繼續說話。
ゆえに、今の彼女に迷いは一切なく、隣の芝は全く青く見えない。進むべき道を見据え、静子は言葉を続ける。
「(不會再考慮回到現代這種事。我會在這個時代與我那可愛的家人一同生活)我等將前往宇佐山城。但當心,即便在宇佐山城發生戰鬥,我等的名號也不會留在史書上」
「(現代に帰るとか、そういうことはもう考えない。私はこの時代で、愛(かな)しき家族と共に生きる)我らは宇佐山城へ向かう。だが心せよ、宇佐山城で戦いが起ころうとも、我々の名が史に残ることはない」
「――ッ!」
「――ッ!」
「但是!我們的血與生命將把這國家的明日連接到和平!諸君,抬起頭來!拿起武器!讓我們把自豪與覺悟示於敵人面前吧!」
「だが! 我々の血と命がこの国の明日を、平和へと繋げるのだ! おのおの方、顔を上げろ! 武器を手に取れ! 我らの誇りと覚悟を敵に見せつけてやろうぞ!」
片刻間,士兵們高舉拳頭向天,放聲怒吼。感受到他們熱情的慶次、才藏與長可不自覺地起了雞皮疙瘩;遠處看著靜子的鳶加藤亦是如此。
瞬間、兵たちが天高く拳を突き上げ、雄たけびを上げた。彼らの熱を感じた慶次や才蔵、長可は、無意識の内に鳥肌を立てる。それは遠くから静子を見ていた鳶加藤も同じだった。
(多麼熱血……不顧年紀,對合戰的興奮湧上心頭)
(何という熱……年がいもなく合戦への興奮が湧き上がってくるわ)
他對足滿的熱情感到在意,順帶看向靜子,終於理解:她無論從好方面或壞方面看,都是個讓人無法移開目光的人物。
足満の熱の入れようが気になり、それとなく静子を見ていた彼はようやく理解する。彼女は良い意味でも、悪い意味でも目が離せなくなる人物だ。
鳶加藤發現自己不自覺地用眼睛追隨她的言行,微微露出笑容。
無意識の内に彼女の言動を、目で追っていることに気付いた鳶加藤は小さく笑みを浮かべる。
(在這條生命耗盡之前,容我一直觀察您的動向,靜子殿)
(この生命尽きるまで、貴女の動向を見させてもらいますぞ、静子殿)
在野田、福島的織田軍一行,對於不知靜子隊所在感到些許不安。
野田・福島にいる織田軍の面々は、静子隊の居場所が分からないことに若干不安を覚えていた。
「放心吧。他們現在正忙著別的任務。」
「安心しろ。奴らは今、別件の仕事を行っている最中だ」
信長堅持不說明具體在做什麼,只簡單地回答「任務中」。
具体的に何を、という言葉は決して言わず、信長はあくまでシンプルに「任務中」とだけ答えた。
他試圖透過不斷重複簡單語句來掃除家臣們的不安。這招奏效了,織田家家臣們鬆了一口氣。
単純な言葉を延々と繰り返すことで、家臣たちの不安を払拭(ふっしょく)しようという試みだ。そしてそれは成功し、織田家家臣たちは安堵の息を吐く。
眾人矚目的靜子本軍此刻在坂本守備隊,於宇佐山城城主森可成之處。
注目の的である静子の本軍は、坂本守備隊で宇佐山城の城主である森可成の元にいた。
然而城內只有靜子、慶次、才藏、長可與少數兵士,其他兵士則在宇佐山佈下伏擊陷阱。
しかし、城の中にいるのは静子と慶次、才蔵、長可とわずかな兵士だけで、残りの兵士たちは宇佐山にブービー・トラップを仕込んでいた。
之所以佈置伏擊陷阱,是因為靜子等人抵達宇佐山時,遭到延曆寺的僧兵集團襲擊過。
ブービー・トラップを仕掛けている理由は、静子たちが宇佐山に到着したとき、延暦寺(えんりゃくじ)の僧兵集団に襲われたからだ。
靜子等人好不容易將其驅散並順利進入宇佐山城,卻發現森可成等人竟然不知道延曆寺僧兵的存在。
何とか追い払うことに成功し、無事宇佐山城に入ることができた静子たちは、そこで森可成たちが延暦寺(えんりゃくじ)の僧兵がいることを知らないという事態に気付く。
既然不知有多少人,僧兵的存在本身便成為心理負擔,靜子反而採取對僧兵施加壓力的手段。
どれだけいることが分からぬ以上、僧兵の存在自体が心理的負担になると考えた静子は、逆に僧兵へストレスを与える手段を講じた。
這手段便是佈置對精神層面打擊力極高的伏擊陷阱。
手段とは、精神面に与える威力が高いブービー・トラップを仕掛けることだ。
伏擊陷阱是利用地利或突擊心理盲點的游擊戰術之一。
ブービー・トラップは地の利を生かしたり、心理的な盲点を突いたりするゲリラ戦術の一つだ。
坂本守備隊即便加上靜子的軍隊也只有約一萬,對方聯合軍約三萬,差距接近數倍。
坂本守備隊は静子の軍を合わせても一万程度、対して連合軍は三万という数倍近い差がある。
面對即將來襲的淺井、朝倉與延曆寺的聯合軍,靜子採取利用伏擊陷阱降低僧兵情報傳遞速度並在心理上擊潰他們的作戰。
これから来る浅井・朝倉・延暦寺(えんりゃくじ)の連合軍を相手に、静子はブービー・トラップを利用して僧兵たちの情報伝達速度を落とし、心理的につぶす作戦に出た。
由於目的是讓士兵成為帶傷的目標,坂本守備隊的人難以理解這些伏擊陷阱,但在現場設置陷阱的士兵卻深刻體會到其必要性,甚至理解得令人厭惡。
兵士を手負いにする罠という目的から、坂本守備隊の面々にはなかなか理解が得られなかったブービー・トラップだが、反対に現場でトラップを設置している兵士たちは嫌というほど理解した。
當那些整日提心吊膽、被陷阱威脅的僧兵中有幾人精神崩潰、抱膝顫抖之時,負責設置陷阱的士兵們便不再多想。
四六時中、罠におびえる僧兵の何人かが精神的に追い詰められ、膝を抱えて震える姿を見たころから、設置している兵士たちは考えるのを止めた。
當靜子正在應付延曆寺的僧兵時,終於發生了歷史性的大事件。
静子が延暦寺(えんりゃくじ)の僧兵を対応している内に、ついに歴史の大事件が起こった。
九月十二日夜半,石山本願寺的法主顯如起兵,參戰野田・福島之戰。
九月十二日の夜半、石山本願寺の法主・顕如が挙兵し、野田・福島の合戦に参戦した。
他並非站在織田軍一方,而是倒向三好三人衆。自此日,信長與顯如之間長期的戰鬥──「石山合戰」開始了。
無論、織田軍ではなく三好三人衆側についた。この日より信長と顕如の長い戦いである『石山合戦』が始まった。
在幕府(織田)勢力與三好三人衆勢力的抗爭中,原本保持中立立場的石山本願寺起兵的理由有幾個。
幕府(織田)勢力と三好三人衆勢力の抗争に、今まで中立の姿勢を続けていた石山本願寺が挙兵した理由はいくつかある。
首先,因信長奪取了延曆寺的山門領,他們產生了危機感,擔心總有一天自己的領地也會被奪走。
まず信長が延暦寺(えんりゃくじ)の山門領を奪ったことで、いずれ自分たちの領土も奪われるのではないかという危機感を覚えた。
其次,像教如與證意等人主張把信長視為佛教之敵並徹底討伐的強硬派聲音,已經無法被忽視。
次に教如(きょうにょ)や証意(しょうい)など、信長を仏敵として征伐すべし、という強権派の声が無視できなくなった。
最後,信長的布陣形成對石山本願寺包圍之勢,他們擔心在三好三人衆之後,自己會成為下一個目標。
最後に信長の布陣が石山本願寺を取り囲むような形であり、三好三人衆の次は自分たちが標的にされるのではという不安を感じた。
顯如觀察信長迄今的行徑,認為下一個被盯上的就是他們,於是終於決定起兵。
信長のそれまでの経緯を見ても、次に狙われるのは自分たちと考えた顕如は、ついに決起に踏み切ったのである。
不過因為靜子的暗中工作奏效,顯如是在九月才開始考慮起兵,且將起兵視為最後手段,故他們準備決起的時間不足。
ただし、静子の裏工作が功を奏し、顕如が挙兵を考えたのは九月に入ってからであり、そして挙兵は最終手段と考えていたため、彼らは決起に対して備える時間が足りなかった。
然而那也只是時間問題,一旦石山本願寺站出來,畿內的各方勢力將會起身討伐信長。
しかし、それも時間の問題、石山本願寺が立ち上がったとすれば畿内のさまざまな勢力が信長討伐に立ち上がる。
對此深感不妙的信長,一邊將剛才坐著的床机(しょうぎ)踢飛,一邊大聲喊道:
そのことを嫌というほど理解した信長は、先ほどまで座っていた床机(しょうぎ)を蹴り飛ばしながら叫んだ。
「撤退啊!」
「撤退じゃあ!」
早在十日,就有情報傳到信長那裡,指出本願寺有不穩定的動向。
もともと、十日には信長の元へ本願寺が不穏な動きをしている情報が入っていた。
因此,信長將本陣從天滿森移至海老江,約在野田・福島以北十町左右的地方。
そこで、信長は本陣を天満森から、野田・福島から10町ほど北にあたる海老江に移した。
因為天滿森位於石山本願寺與野田、福島之間,地處容易被左右夾擊,立地有問題。
天満森は石山本願寺と野田・福島の中間地点にあり、左右から挟まれるという立地的に問題のある地だからだ。
然而,即便在海老江略有不同,但被左右夾擊的情況依舊不變。
だが、海老江でも多少の違いはあるものの、左右を挟まれた状態なのは代わりない。
若將軍義昭身亡,自己的地位也會岌岌可危。信長理解此點,便從野田·福島之戰撤回展開中的兵力,供奉義昭前往中島。
将軍である義昭が死ねば自分の立場も危うい。そのことを理解した信長は野田・福島の合戦で展開する兵を引き払い、義昭を供奉(ぐぶ)して中島に出ることにした。
此次的聯絡需要確實無誤,信長放出數隻聯絡犬。由於本願寺勢力沒有用犬作為通信手段的想法,聯絡犬未被針對,順利抵達目的地。
今回の連絡は確実性を必要としたため、信長は連絡犬を複数放つ。そもそも犬を連絡用に使う発想が本願寺勢力にはないため、連絡犬は狙われることなく目的の場所にたどり着く。
各陣將領理解事態緊急,立即進行撤離作業。
火急の事態だと理解した各陣の武将は、すぐさま撤収作業に入る。
然而,十三日石山本願寺勢已率先向織田軍射出火繩銃,進入交戰狀態。
しかし、十三日には早くも石山本願寺勢力が織田勢力に鉄砲を撃ち入れ交戦状態に入る。
上午佔優勢的織田勢,下午則被逼入守勢。
午前は押し気味状態だった織田勢力も、午後には守勢に追い込まれる。
次日十四日,本願寺勢離開石山逼近天滿森。信長亦出兵應對,雙軍在淀川堤上激戰。
翌十四日に本願寺勢力は石山を出て天満森まで迫った。対応するために信長も兵を出し、淀川堤で両軍は激突した。
織田軍先鋒為佐々成政,但因受傷而撤退,接替先鋒的前田利家沿堤路中段推進,因敵軍自兩側蜂擁而至,轉為混戰。
織田軍の1番手は佐々成政だったが負傷したため退き、変わって2番手に前田利家が堤通りの中筋を進み、そこで左右から敵軍に殺到したため乱戦となった。
這日早晨亦佔優勢,午後卻轉為防守,野村越中守陣亡,最後三好三人衆的軍隊切斷了淀川堤防,信長的陣地淹水,結果十分慘淡。
この日も午前は優勢だったが午後には防戦気味になり野村越中守が討ち死に、最後に三好三人衆の軍が切った淀川の堤で、信長の陣は浸水するなど散々な結果に終わった。
事態進一步惡化。
さらに事態は悪い方向に進む。
對三好三人衆提出和議誘導卻被完全拒絕,他們的援軍由根來衆、雑賀衆、湯川衆及紀伊國奧郡衆等組成,合計約二萬兵力前來支援。
三好三人衆に和睦を働きかけるが完全に拒否され、彼らの援軍として根来衆、雑賀衆、湯川衆、紀伊国奥郡衆、合わせて約二万の戦力が来援した。
他們在住吉與天王寺紮營,向織田勢射出約三千丁火繩銃。
彼らは住吉や天王寺に陣を張り織田勢力へ鉄砲3000丁を撃ちかけた。
若說野田·福島之戰是日本史上首場火繩銃交戰,則此役是火繩銃首次躍居前線的首場大戰。
野田・福島の合戦が日本史上の初の鉄砲合戦なら、このときの合戦は鉄砲が前面に躍り出た初の合戦である。
在劣勢之中,以足滿為首的弓騎兵隊仍大放異彩。
この劣勢にも足満率いる弓騎兵隊は活躍を見せる。
他們斷定敵方所謂卑劣或正大光明的指責為胡言,採取先以箭矢徹底殺傷再偽裝撤退的戰法。
彼らは卑劣だの正々堂々だの言ってくる敵の言葉をたわ言と断じ、徹底的に矢で殺した後に疑似撤退を行う作戦を行った。
過去足滿多以射殺火繩槍隊為業,從此刻起改為以製造負傷兵為目標。
今まで鉄砲隊を射殺していた足満だが、このときから負傷兵を生産する方に切り替えた。
他們的箭尖沾滿對人類危險的雜菌與黴菌,但外觀仍像普通箭頭,被刺中處不會立即死亡,而是因感染症而死。
彼らの矢尻には人間にとって危険な雑菌やカビにまみれている。しかし、見た目は普通の矢尻にしか見えないため、突き刺さったところですぐには死なない。単に感染症で死ぬだけだ。
若該感染蔓延,織田軍便有一線取勝的機會。
その感染症がまん延すれば、織田軍にもわずかながら勝機はあるからだ。
然而箭矢數量極度不足。更麻煩的是因為有弟弟義昭及其家臣在場,須遮掩面容,致視野受限。
だが、圧倒的に矢の数が足りなかった。面倒なことに、弟にあたる義昭やその家臣がいるため、顔を隠しているので視界が悪かった。
平素以高命中率自豪的他,此刻也有些射偏。
普段は高い命中率を誇る彼も、いくぶん矢を外し気味だった。
(得趕快回到靜子的身邊……!)
(早く静子の元に戻らねば……ッ!)
足滿焦急萬分,但情況難以好轉。自十三日開始與石山本願寺的戰鬥,連續以和局或敗戰收場。
焦る足満だが事態はなかなか好転しない。十三日から続く石山本願寺との戦いは引き分けか敗北を続ける。
感到形勢不利的信長在十六日暫停戰事,進入與石山本願寺的和議談判。
形勢不利を感じた信長は十六日に一時休戦し、石山本願寺との和睦交渉に入った。
然而幾乎可說是天已拋棄信長,十七日傳來最糟的消息至其陣所。
しかし、天は信長を見放したと言っても良いほど、十七日に信長の陣所へ最悪の情報がもたらされる。
有情報稱淺井、朝倉與延暦寺的聯合軍共三萬南下近江,正襲向坂本。
浅井・朝倉・延暦寺(えんりゃくじ)の連合軍三万が近江を南下し、坂本へ押し寄せている、という情報が。
九月十三日,傳來淺井·朝倉聯軍已向宇佐山城南下的報告。
九月十三日、宇佐山城に浅井・朝倉連合軍が南下したとの報が入る。
在被委以守備野府城的信長弟弟信治增援下,坂本守備隊兵力已膨脹至一萬人。
野府城(のぶじょう)を任されていた信長の弟・信治の加勢もあり、坂本守備隊は兵一万に膨れ上がっていた。
「眾將聽著,如今形勢如此,棄捨多餘的私事。靜子殿,汝之軍為7500,兵力於此群中為最,允汝參與此次軍議。」
「皆の者、今はこの様な状況時だ、余計な私事は捨てろ。さて静子殿、そなたの軍は7500、この中で誰よりも兵を持つ。この軍議にそなたが参加することをわしは認める」
坂本守備隊召開軍議,森可成讓靜子、慶次、才藏與長可參與其中。
坂本守備隊は軍議を開いたが、森可成はそこに静子と慶次、才蔵、長可を参加させた。
三人倒無大礙,然對靜子參與多數家臣表示反對,森可成一口回絕。
三人はともかく静子の参加にほかの家臣は反対意見を述べたが、森可成は一蹴する。
「哈哈……我理解諸位的厭惡。但今為織田家之危機,雖身為年少,仍願參與軍議。」
「たはは……皆さまの嫌悪は理解しております。ですが、今は織田家の危機、若輩の身ではありますが軍議に参加させていただきます」
靜子喃喃道,隨即攤開宇佐山城周邊的地圖。
さて、と呟(つぶや)くと静子は宇佐山城周辺の地図を広げる。
地圖簡潔且偏大。雖無細節資訊,但地形位置標示得一目了然。
地図は簡素かつ大きめのサイズだった。細かい情報はないものの立地が簡単に分かるように書かれていた。
「以下是我調查的內容。首先,三好三人衆侵入攝津國是為了牽制館主於攝津的誘餌。然而只有三好三人衆不足以成事,我一直覺得有某個巨大勢力在動。被延曆寺僧兵襲擊後,我終於確信是誰在動。」
「こちらで調べた内容をご報告させていただきます。まず三好三人衆の摂津国侵攻は、お館様を摂津国にくぎ付け状態にするための陽動です。ですが、三好三人衆だけでは物足りない。何か巨大な勢力が動く、と私は思っていました。延暦寺(えんりゃくじ)の僧兵に襲われたことで、ようやく誰が動いたか確信しました」
「是指本願寺勢力嗎?」
「本願寺勢力のことかね」
或許早有預感,森可成在靜子話語之後補充道。
予感はあったのか、静子の言葉に森可成は付け加えた。
「沒錯。而淺井、朝倉與延曆寺結盟,作為聯軍南下近江。很可能本願寺的一向眾亦加入,數量可視為三萬到四萬左右。」
「そうです。そして、浅井・朝倉と延暦寺(えんりゃくじ)は結託し、連合軍として近江国を南下してきました。恐らくですが本願寺の一向衆も加わっていると思われます。その数、三万から四万と見て良いでしょう」
「三萬!我們才只有一萬啊……」
「三万ッ! 我らは一万しかおらぬのに……」
森可成的家臣們動搖不已。照此情勢,將被聯軍以數量碾壓,顯而易見。
森可成の家臣たちに動揺が走る。今のままでは連合軍に数で踏みにじられることは、目に見えていた。
「……只能主動出擊」
「……討って出るしかない」
「請稍等。現在主動出擊還為時過早。人數處於劣勢時,有一種有效的戰法。」
「お待ちください。討って出るのは時期尚早です。数が劣勢のとき、有効な戦法がございます」
「是說拂曉突襲與夜襲嗎?」
「朝駆け夜討ちのことかね」
對森可成的話,靜子搖了搖頭,只豎起食指說道。
森可成の言葉に静子は首を横にふると、人さし指だけを立てながらこう言った。
「遊擊戰(ゲリラ)です」
「遊撃戦(ゲリラ)です」
遊擊戰是運用小規模的非正規部隊,不事先固定攻擊目標,而是臨機應變地實施奇襲、埋伏、破壞後方支援等擾亂行動或攻擊的戰術。
ゲリラとは小規模な非正規部隊を運用し、あらかじめ攻撃目標を定めず臨機応変に奇襲や待ち伏せ、後方支援の破壊などの撹乱行為や攻撃を行う戦法である。
遊擊戰術自古就有,但「ゲリラ」這個詞的語源是1808年西班牙獨立戰爭,西班牙軍與民眾對拿破崙軍採取的作戰在西語中被稱為「小戰爭(guerrilla)」。
古代からゲリラ戦術は存在したが、ゲリラという言葉が生まれたのは1808年にスペイン独立戦争でスペイン軍や民衆が、ナポレオン軍に対して行った作戦を「小さな戦争(ゲリーリャ)」とスペイン語で呼んだことが語源である。
對處於優勢的敵人,可以強行進行消耗戰或神經戰,給予精神上的打擊;但反過來,單靠遊擊戰要造成決定性的軍事損害則相當困難。
優勢な敵に対して、消耗戦や神経戦を強いて精神面にダメージを与えたりできる。だが反面、ゲリラ戦だけでは決定的な軍事的損害を与えることは困難である。
「幸好,我的軍隊處於『不存在』的狀態。分出大約一千人就能期待到足夠的效果。」
「幸い、私の軍は『存在しない』状態です。1000人ほど割けば十分な効果が期待できます」
「那倒是好,但具體要怎麼做呢?」
「そのことは良いが、具体的にどうするのだね?」
拂曉突襲與夜襲也可算是遊擊戰術之一,但那仍算是『有規矩的戰鬥』。
朝駆け夜討ちもゲリラ戦術の一つと言えるが、それでも『お行儀の良い戦闘』であった。
相對地,接下來靜子要採取的戰術,完全可以稱得上是『邪道』。靜子抱臂思索,他們究竟會不會接受呢?
反面、これから静子が行うことはまさに『外道』と言える戦術だ。果たして、彼らが納得するのだろうかと静子は腕を組んで考える。
「嗯……可以說出內容,但這可不是什麼令人舒服的話題喔?總而言之就是要做一些『邪道』的行為。」
「うーん。内容を言っても良いのですが……余り気持ちの良い話ではありませんよ? 一言で言えば『外道』な行為をするのですから」
「沒關係。我們沒有閒工夫去多嘴。館主也說過,無論多麼有風度地敗北,只要輸了,一切就會被視為惡行。為了守護自己的矜持,只有贏一途。因此,我已決心不擇手段。」
「構わん。四の五の言っている余裕は我々にない。お館様も仰(おっしゃ)った。いかに行儀よく敗れても、負ければすべてが悪行と化す。自分の矜持を守るためには勝つしかない、と。ゆえに、わしはどんな手も使う覚悟だ」
森可成雖然已下定覺悟,但似乎並非完全心服,仍流露出些微遲疑。
覚悟を決めている森可成だが、すんなり納得することはできないのか、わずかに迷いが見て取れた。
「明白了。舉例來說,包括潑沸油、縱火焚燒陣地、往敵方勢力的食物投擲污水等的食物汙染。還有其他手段,但大概到這裡就該停了吧,諸位看起來都不太舒服。」
「分かりました。一例をあげますと、沸騰した油を浴びせることや、陣への放火、敵勢力の食料へ汚水を投げる等の食料汚染などですね。ほかにもありますが、そろそろ止めておいた方が良いでしょう。皆さま、気分が悪そうですし」
正如靜子所言,森可成的幾名家臣面色皆變得難看。想像力豐富的他們已理解遊擊戰術的可怕之處。
静子の言葉どおり、森可成家臣の何人かは顔色が悪かった。想像力が豊かな彼らは、ゲリラ戦術の怖さが理解できたのだ。
「各位不必放在心上。我們是『不存在』的軍隊,即便在淺井・朝倉軍身上發生了什麼,只要堅稱不知不聞就沒問題。」
「皆さまは気になさらなくて大丈夫です。私たちは存在しない軍、浅井・朝倉軍に何か起きても知らぬ存ぜぬを通せば問題ありません」
「……小心些。」
「……気をつけたまえ」
靜子理解到森可成的話就是開綠燈,微微點了點頭。
森可成の言葉はGOサインだと理解した静子は、小さくうなずいた。