戦国小町苦労譚
1569年 十二月上旬
十二月中旬,信長在京城的一角接連開設其旗下商人的店鋪。
十二月中旬、信長は京の一角にお抱え商人の店舗を次々と開店した。
飲食店、呉服店、雜貨店等門類繁多,但所販皆為尾張與美濃的特產。
飲食店、呉服屋、雑貨店と内容は多岐に亘るが、売り物は全て尾張・美濃の特産品だ。
然而即便商品豐富,若無購買的消費者聚集,市場仍無法成立。
だが商品が豊富にあろうと、購買する消費者が集まらなければ市場は成立しない。
針對此點,信長施行了吸引消費者聚集的策劃。
その点を認識していた信長は、消費者が集まる策を講じる。
信長認為商品資訊能有效傳達與擴散,乃是吸引消費者的首要關鍵。
信長は商品の情報が効率良く人々に伝達・拡散される事が、消費者を集客する上で何よりも重要と考えた。
於是他讓足滿製作能提高消費者購買慾的引札,並由靜子用她製造的ガリ版印刷機大量印刷,於市集與住區免費發送。
そこで彼は足満に消費者の購買意欲を高める引き札を作らせ、それを静子が製造したガリ版印刷機で大量に印刷し、市場や居住地で引き札の無料配布を行った。
使用引札的宣傳旋即在京中傳開,因好奇或戲弄而來者,以及以兼作敵情視察的商人紛紛前來。
引き札を使った宣伝は瞬く間に京を駆け巡り、冷やかしや物珍しさに集まる者や、敵情視察を兼ねた商売人たちが足を運んだ。
當消費者購買與商人間的交易漸趨活躍之時,信長以恢復因亂而荒廢的京城為名,對各類交易課徵一定之稅。
消費者の購買や商人間(しょうにんかん)取引(とりひき)が活発になり始めた頃、信長は動乱で荒廃した京の復興を名目に、あらゆる取引に一定の税を課した。
稅分為課在部分奢侈品的特別稅,與類似於現代日本消費稅的一般間接稅。
税は一部の贅沢品にだけかかる特別税と、現代日本の消費税に類似する一般間接税だ。
徵得之稅用於禁裏的修繕費、對處於破損狀態而被擱置之基礎設施的整修費,以及維持治安之巡邏隊所需物資的購入等。
徴収した税は禁裏の修理費、破損状態で放置されているインフラの整備費、治安を維持する警ら隊の備品購入費などに当てられた。
此外信長向京中的民眾公開所徵稅額與稅金使用用途。
更に信長は徴収した税額、そして税金の使用用途を京の民に公表した。
信長實行此等政策的理由,是因義昭作為將軍的能力不足。
この様な政策を信長が行っている理由は、義昭の将軍としての能力が十分でない事が原因だ。
義昭在信長的幫助下成為將軍,但自幼入佛門的他可倚靠的家臣稀少。
義昭は信長の力添えで将軍に就いたが、幼少の頃から仏門にいた彼は頼れる家臣が少なかった。
若維持現狀,幕府運作將很快陷入停頓。於是義昭打算向信長借用數名家臣以補不足,執掌幕府運營。
このままでは幕府の運営は早々に頓挫する。そこで義昭は信長から何人かの家臣を借りて足りない部分を補い、幕府の運営を行おうと考えた。
信長欣然應允義昭之請,派遣以村井貞勝為首的數名家臣赴京,代為承擔幕府業務。
信長は義昭の要請に快く応じ、村井貞勝を始めとした何人もの家臣を京へ派遣し、幕府の業務を肩代わりした。
信長的家臣代行幕府業務,乍看之下似乎是信長掌握幕府,實際上則是以輔佐義昭的身分支撐足利幕府。
信長の家臣が幕府の業務を肩代わりする。一見すると信長は幕府を掌握しているように見えるが、実際は義昭の補佐として足利幕府を支える立場だ。
此外,以抱持特定國人來維持幕府運作的方式並非信長首創。
また特定の国人を抱え込み、幕府を成り立たせる運営方法は信長が初めてではない。
第十代義稙時期的大內義興與細川高國、第十二代義晴時期的六角定頼等,二重政權可說是後期足利幕府的特色。
第十代義稙の大内義興と細川高国、第十二代義晴の六角定頼など、二重政権は後期足利幕府の特色とも言える。
即便以二重政權運作幕府,並招攬大量信長的優秀家臣,關鍵的義昭仍不足以稱得上具有將軍能力。
しかし二重政権で幕府を運営し、信長の優秀な家臣を多数抱え込んでも、肝心の義昭は将軍としての能力が十分と言えなかった。
此外,他為提升權威所行的土地裁判調停,以及對朝廷的干涉等一系列外交失誤,持續招致周遭的不滿。
また彼は権威を高める為に行った土地裁判の調停、更に朝廷への横槍など外交をめぐる数々の失策で周囲の不評を買い続けた。
信長憂慮各方對義昭的不滿,遂寄書促請義昭反省。
様々な人間が義昭に対し不平不満を持っている事に信長は憂慮し、義昭へ反省を促す手紙を送った。
「近來京中百姓對御所的閒言碎語不絕。請更深刻反省日常行為,改正造成百姓如此閒評的根由。」
『近頃、京の民からは御所への陰口が絶えませぬ。日ごろの行いをもっと反省し、民が陰口を叩くようになった原因を直して下さい』
家臣被信長用信斥責將軍的舉動嚇到,認為他對義昭的連番失策怒不可遏,然信長本人感受的更多是徒勞而非憎恨。
手紙で将軍を叱るほど信長は義昭の失策続きに激昂していると家臣たちは怯えたが、当の本人である信長は憎しみより徒労感が胸にしみていた。
為解除身體與精神的疲累,信長帶著少數侍從前往靜子處療養。
身体的な疲れと精神的な疲れを解消するため、信長は僅かなお供を連れ静子の元を訪れる。
清空頭緒去泡湯療養,是信長少數的紓壓方式之一。
頭を空にして湯治する事が、信長の数少ないストレス解消法だからだ。
「連嘆息也出不來」
「ため息も出ぬ」
信長一邊把杯中酒傾頓,一邊抱怨。平素不常飲酒的信長竟像猛喝熱酒般灌下,靜子由此知他承受甚巨壓力。
酒盃を傾けながら信長は愚痴を零す。酒を呑まない信長が熱燗を煽るように呑む様子から、彼が多大なストレスを受けていた事を静子は知る。
「我能體會您的心情」
「心中お察し致します」
靜子察覺信長的精神疲憊,卻找不到合適的話語。
信長の気疲れを察した静子だが、かける言葉が見つからなかった。
靜子深知半吊子的溫柔並非真正的善意,也明白信長並不只是渴求單純的憐惜。
中途半端な優しさは、優しさではない事を静子は良く知っていた。そして信長が単なる優しさを求めていない事も理解していた。
「大人,近衛大人已到」
「お館様、近衛様がお着きになりました」
「放行」
「通せ」
簡短回了一句給小姓後,信長一口喝盡杯中之酒。命小姓收拾酒杯與酒壺的同時,前久帶著爽朗的笑容走入房中。
小姓へ短く返事を返した後、信長は酒盃の中身を一口で飲み干した。小姓たちにお猪口や徳利を片付けさせると同時、前久が爽やかな笑みを浮かべて部屋に入る。
若只有前久一人到來倒無特別在意,但緊接著足滿也進入房中,靜子不禁感到驚訝。
前久一人なら特に気に留める事もなかった。だが前久に続き足満も部屋へ入ってきた事に、静子は驚きを隠せなかった。
「我已聽聞此事,織田殿。對您的辛勞深表體察」
「お話は聞いておりますぞ、織田殿。心労をお察し致します」
前久邊打招呼邊在一處就座。足滿掃了信長與前久一眼後,坐在兩人與靜子之間,從某種角度看也像是在守護靜子的位置。
挨拶しながら前久は適当な所に腰を下ろす。足満は信長と前久を一瞥した後、二人と静子の間に腰を下ろした。見ようによっては二人から静子を守っている位置でもある。
「哦,似乎被足滿討厭了」
「おや、足満殿に嫌われたようだ」
前久聳了聳肩,帶著揶揄地說。信長也從足滿的態度看出端倪,掩口抑笑。
肩をすくめながら前久がからかうように言う。信長も足満の態度から見抜いたようで、口元を隠して笑いをこらえていた。
足滿對兩人的態度沒有表現出在意,但在靜子眼中,他似乎略有不耐。
足満は二人の態度に対して気にする素振りを見せないが、静子には彼が若干苛立っているように見えた。
但看起來不像是因兩人的態度而惱怒,而是對其他某事感到惱怒。至於究竟為何事,靜子也無從得知。
しかし二人の態度に苛立っているというより、他の何かに対して苛立ちを覚えているように見えた。流石に何に対して足満が苛立っているかまでは、静子も分からなかった。
「呼呼,說正經的事吧。正如所知,公方大人的失態已經令人難以忍受。然而若我試圖為公方大人挽回名譽,無論如何都會被他拗起來;但若放任不管,幕府將從內部崩壞。」
「ふふっ、さて大真面目な話をしよう。知っての通り、公方様の失態は目に余る。しかしわしが公方様の名誉挽回を図ると、如何を問わずヘソを曲げられる。しかし、放置すれば幕府は内側から崩壊する」
「我這裡也傳來幾件風聲。尤其是對朝廷不顧前例的干涉,似乎比我預期的還要招致更多非議。」
「私の所にも幾つか話が来ております。特に前例を無視した朝廷への口出しは、私の予想を超えて不評を買っておるようです」
靜子從兩人的談話中理解到義昭的失態已達危險水準。
二人の話から義昭の失態は危険水準にまで達していると静子は理解した。
「……我能理解公方大人的失態是個問題,但這些事由我來聽合適嗎?」
「……公方様の失態が問題なのは理解出来るのですが、私が聞いても良い話なのでしょうか」
「無妨。現在正需要毫無顧忌的意見。靜子與足滿,也希望你們兩位思考今後之策。」
「構わぬ。今は忌憚なき意見が欲しい所だ。静子と足満、二人にも今後の事を考えて欲しい」
這可能會牽涉到從根本顛覆幕府運作的計畫。靜子不明白為何被牽扯進來,但從信長的回答理解到他欲聽取不受立場拘束之人的意見。
下手をすると幕府の運営を根底から覆す話になる。それに参加させられた理由が分からなかった静子だが、信長の返答で立場に縛られない人間の意見が欲しい事を理解する。
靜子與足滿對視片刻,微微點頭。
静子は足満と顔を見合った後、小さく頷いた。
「不知我能盡到多大助力,但若可接受,我不吝協助。」
「どこまでお役に立てるか存じませぬが、私で良ければ協力は惜しみません」
「……別抱太高期待。」
「……期待はするな」
「呼呼,要評斷的是織田殿。以我之見,不認為公方會乖乖觀察織田的動向,短期內極可能有所行動。然而公方並無自有軍隊,若要反叛織田,公方將從何處取得軍勢呢?」
「ふふっ、それを判断するのは織田殿です。さて、私の意見ですが公方殿が織田殿の動向を大人しく見ているとは思えません。近い内に何かしらの手を打ってきましょう。しかし公方殿は軍を所有しておりません。織田殿に叛く場合、公方殿はどこから軍を得るのでしょうか」
由足利將軍家運作的室町幕府名列日本政治機構的頂點,然而其實際狀態用「悲慘」一詞不足以形容。
足利将軍家が運営する室町幕府は、日本の政治機関の頂点に君臨している。だが室町幕府の実態は悲惨の一言だ。
自應仁之亂以降,幕府軍的主力──幕府奉公衆──被各地國人併入為家臣團。
応仁の乱以降、幕府軍の主戦力である幕府奉公衆は各地の国人に家臣団として吸収された。
領地方面以京為中心的畿內尚可,地方則已淪為無法地帶。
領地も京を中心とした畿内は別だが、地方は既に無法地帯と化している。
權力自永祿之變(三好家對足利義輝之暗殺)後已徹底喪失,經濟基盤薄弱,室町幕府可說已成為名存實亡的組織。
権力も永禄の変(三好家による足利義輝暗殺事件)以降、完全に失墜していた。経済基盤も弱く、もはや室町幕府は形骸化した組織と言っても過言ではない。
「並非一開始就必須備軍。可向各地下達御內書,秘密地對織田家實施政治與經濟封鎖,構築包圍網以削弱織田勢力。待其稍弱之時,再向諸國請求出兵,以『討伐逆賊』之正義名義鏟除織田。對於失去奉公衆的足利將軍家,此法當為最現實之策。」
「何も最初から軍を用意する必要はない。各地に御内書を送り、秘密裏に織田家のみを政治・経済的に封鎖する包囲網を作り上げ、織田家の勢力を弱める。程よく弱った所で諸国に軍勢の派遣を要請し、『逆賊討伐』の大義名分のもと織田家を潰す。奉公衆を失った足利将軍家では、この方法が最も現実的であろう」
足滿回答了前久的疑問。他說這是現實的作法,對當今的室町幕府而言,也可以說別無他選。
前久の疑問に足満が答える。彼は現実的と語ったが、今の室町幕府はそれ以外の選択肢がないとも言える。
「原來如此,是要利用諸國的軍勢吧。」
「なるほど、諸国の軍勢を利用するのですね」
「但織田家幾乎掌握了畿內的勢力。若公方要動用諸國兵力,恐怕會找淺井、朝倉、毛利、武田、上杉等勢力。若心生妥協,也有可能求助於本願寺或延曆寺。」
「だが織田家は畿内の勢力をほぼ掌握している。もし公方が諸国の軍勢を利用するなら、恐らく浅井、朝倉、毛利、武田、上杉辺りだ。誰でも良いと考え始めたら本願寺や延暦寺にも頼る可能性がある」
「如今幕府威信已失,不認為各方勢力能團結為一……」
「幕府の権威が失墜している今、各勢力が一つに纏まるとは思いませんが……」
靜子的指摘是正確的。
静子の指摘は正しかった。
歷史上義昭雖構築了對織田的包圍網,然與他預期相反,各勢力從未團結,反倒各自為政對抗織田。
史実では織田包囲網を作り上げた義昭だが、彼の予想に反し各勢力は一度も纏まる事なく、好き勝手に織田家へ反発した。
因此,即便信長遭敵對勢力發動戰事,他仍有時間與空間恢復局勢。
それ故、信長は敵対勢力から合戦を仕掛けられても、その後に立て直す時間的猶予があった。
包圍網各方不團結,意謂即使向某一勢力發動戰爭,亦可能得不到他方援軍,信長因此著手瓦解各勢力的聯合。
また包囲網を敷く勢力が纏まっていない事は、一つの勢力に合戦を仕掛けても他の勢力が援軍を送らない可能性があると考え、信長は各勢力の切り崩しに取り掛かった。
不論大小,信長對敵對勢力採取離間或殲滅,遂得以度過持續十一年的織田包圍網之危機。
大小問わず、信長は敵対勢力に対し調略もしくは殲滅を行う事で、十一年に及ぶ織田包囲網を切り抜けたのだ。
「一旦會有短暫的團結,但很快各自會追求私利,失去作為包圍網的凝聚力。換言之,縱使織田包圍網成形,只要能突破最初的包圍,仍有可能將其瓦解。」
「一度は纏まる。しかしすぐに各々が自己の利を求めはじめ、包囲網としての纏まりを失うであろう。つまり、仮に織田包囲網が出来あがった場合、最初の包囲網さえ切り抜ければ織田包囲網を潰せる可能性は残る」
「嗯……若要成形織田包圍網,現在能採取的行動是什麼?」
「ふむ……仮に織田包囲網が出来るとして、今から取れる行動は何だ?」
面對信長的提問,三人沉思片刻後各自給出答案。
信長の問いに三人は少し考えた後、それぞれの答えを口にした。
「是發展支撐物量的經濟基盤吧。」
「物量を支える経済基盤の発展ですね」
「我認為應鞏固物資的生產基盤。」
「物資の生産基盤を盤石にする事と思います」
「……雖有諸多事宜,但要事先進行研發,使火器能以工業化方式生產,或許是要點。」
「……色々とあるが火器の工業生産を行えるよう研究開発しておく事、か」
前久、靜子與足滿的答案皆十分關鍵。支撐物量的經濟基盤、擁有大量火器、以及支撐大軍的物資生產力,皆非易事。
前久、静子、足満の答えはどれも重要であった。物量を支える経済基盤、火器を多数保有する、大軍を支える物資生産力は簡単に用意出来るものではない。
需要耗費數年,甚至不慎可能達十年之久,逐步整備所需環境。
数年、下手をすれば十年という長い年月をかけて、少しずつ環境を整えていく必要がある。
「那麼今後就把那些當作各自的目標吧。」
「ならば今後はそれを各自の目標とせよ」
信長的一聲定下了各人的方向。
信長の一声で各々がする方向性が決まった。
隨後,前久想親眼見一眼オウギワシ,便與靜子一同離席。信長與足滿留在原處,沉默地對飲了一會。
その後、前久はオウギワシを一目見たく静子と共に席を外した。信長と足満の二人はその場に残り、暫く無言で酒を酌み交わしていた。
過了一陣,足滿面無表情地低聲說道。
それからいくばくかの時間が経った頃、足満が何でもない表情のまま呟く。
「不妨在木曾三川興建蓄水池。能否加快那工程,或是增派人手?」
「木曽三川に貯水池を作っておろう。あれの工事を早める、もしくは人を増やす事は出来ぬか」
「……增派人手是可能的。但其理由為何?」
「……人を増やす事は可能だ。だがその理由は何じゃ」
作為治水與利水對策,信長首先著手於木曾三川的蓄水池工程。
治水及び利水対策として、信長はまず木曽三川に対し貯水池の工事に取り掛かった。
最優先推動蓄水池工程的理由,是為了防止下游的洪水災害。
真っ先に貯水池の工事に取り掛かった理由は、下流部の洪水被害を防ぐ為だ。
梅雨和颱風來臨時,一次降下大量雨水會導致河川水位上升。當水量達到河川可容納的極限時會發生氾濫,對河邊村落造成巨大的損害。
梅雨や台風が到来し、一度に大量の雨が降ると河川が増水する。水量が河川の許容量の限界に達すると氾濫が起き、川沿いの村落に甚大な被害を与える。
但若設置貯水池,晴天時可從貯水池放出一定水量,颱風或豪雨時可事先放流騰出容量,將因大雨而增加的河川水部分蓄入貯水池中。
だが貯水池を設置すれば、晴天時は一定の水量を貯水池から放出し、台風や大雨時は前もって放流を行い容量を開け、大雨により増水した河川水の一部を貯水池に貯め込む事が可能だ。
調節從該貯水池放水的量,以防下游洪水災害的手法稱為洪水調節。
この貯水池から放水する量を調節し、下流部の洪水被害を防ぐ手法を洪水調節と言う。
「貯水池的水量龐大,若有一點處理不當,就足以釀成前所未有的災害。」
「貯水池の水量は莫大だ。ひとつ扱いを誤れば未曽有の災害が生じる程にだ」
「我明白你想說什麼。但是要不要執行,那由我來判斷。」
「貴様が何を言いたいかは理解した。しかし、それを実行するかはわしが判断する」
「無妨。我只是提出建議而已。」
「構わん。わしは提案をしているに過ぎぬ」
「……命令進行貯水池的擴建工程。」
「……貯水池の拡張工事を命じておく」
若實行足滿的策謀將會引發前所未有的災害。明明理解那點卻仍若無其事地把它當作策論提出,令信長感到一陣不祥的畏懼。
足満の策を実行すれば未曾有の災害が発生する。その事を理解していながら、平然と策として提案する事に信長は末恐ろしいものを感じた。
信長對尾張與美濃的開發按計畫進行,但其中隱含著明確的盤算。
信長の尾張・美濃開発は計画通り進んでいた。しかしそこには明確な思惑が込められていた。
最優先開發的地區是與三河國相接的東尾張,其次為包含知多半島的南尾張,第三則是與美濃國相接的北尾張。
最優先開発地域が三河国と接する東尾張。次に知多半島を含む南尾張、三番目が美濃国と接する北尾張だ。
然而最後一處──包含木曽三川下流域的西尾張──與他處不同,連策劃的前景都尚未明朗;無法擬定方針的原因,是因為西尾張不在信長的支配之下。
だが最後の箇所、木曽三川の下流域を含む西尾張は、他と違い策定の見通しすら立っていない。策定の見通しがたたない理由は、西尾張が信長の支配下でない事が原因だ。
位於尾張國與伊勢國邊界的木曽三川下流域,因木曽川的水流將其與陸地隔絕。
尾張国と伊勢国の国境にある木曽三川の下流域は、木曽川の流れによって陸地から隔絶された地域だ。
如同陸上孤島的地帶被分為七個輪中(わじゅう),過去稱為七島(ななしま)。但不知何時「七島」發音轉訛,遂被稱為長島(ながしま)。
陸の孤島のような地域は七つの輪中(わじゅう)に分かれ、かつては七島(ななしま)と呼ばれていた。だがいつの頃からか七島(ななしま)が訛り、長島(ながしま)と呼ばれるようになった。
此地屬於伊勢國桑名郡,但據《信長公記》記載則被視為尾張國河內郡。
伊勢国桑名郡にあるが「信長公記」によれば尾張国河内郡と認識されていた。
1501年(文亀元年),願證寺於杉江地建立,蓮如的第六子蓮淳出任住持。
1501年(文亀元年)、杉江の地に願証寺が創建され、蓮如の六男・蓮淳が住職に就任した。
自此以後,本願寺吸納當地的國人領主,在長島周圍增設中江砦、大鳥居砦等防衛設施以強化武裝,並興建數十座寺院與道場,完全掌控整個地區。
以降、本願寺は地元の国人領主層を取り込み、長島の周囲に中江砦・大鳥居砦などの防衛施設を増設して武装の強化を図り、数十の寺院・道場を建てて地域一帯を完全に支配した。
長島對信長而言也是一塊有因緣的土地。
長島は信長にとって因縁の土地でもある。
凡與信長為敵、或曾在過去與信長敵對而敗退者,常將長島作為逃匿之處。
信長に敵対した者、または過去に敵対し敗退した者の逃げこむ先が長島だ。
曾在津島南方河內擁有勢力的服部黨頭領服部友貞,於1560年(永祿三年)桶狹間之戰加入今川軍,與信長為敵。
津島の南にある河内に勢力を持っていた服部党の頭領・服部(はっとり) 友貞(ともさだ)は、1560年(永禄三年)桶狭間の戦いで今川軍に参加し信長と敵対した。
1567年(永祿十年)稻葉山城之戰中被信長擊敗的齋藤龍興,據說亡命至北伊勢的長島。
1567年(永禄十年)稲葉山城の戦いで信長に破れた斎藤龍興は、北伊勢の長島に亡命したと言われている。
對此信長並未攻打長島,而僅使北伊勢的在地領主歸服。
それに対して信長は長島を攻撃せず、北伊勢の在地領主を服属させるに留めた。
即便在永祿四年完成尾張統一時,信長仍放棄對包含長島的木曽川下流域的支配。
永禄四年に尾張統一を果たした時も、信長は長島を含む木曽川下流域の支配を諦めている。
掌控著令信長也猶豫進軍的輪中地帶的蓮淳,在此時期難掩焦躁。
信長も進軍を躊躇する輪中地帯を支配する蓮淳は、この頃苛つきを隠せなかった。
他感到不耐的理由有兩個。
彼が苛立ちを覚える理由は二つある。
其一是信長發明了革新的技術,卻將他們(本願寺勢力)排除在外。
一つは信長が革新的な技術を発明しているが、それに対し自分たち(本願寺勢力)を閉めだしている事だ。
換句話說,他的要求簡單明瞭:把技術給我,分我一份利益。
彼の言い分を分かりやすく言うと、技術を寄越せ、利益の分け前を寄越せである。
信長從未向本願寺屈服過;但蓮淳因信長從未攻打長島而恃寵生驕,認為身為武家的信長理所當然會向擁有宗教權威的他們屈服。
信長が本願寺に服従した事は一度としてない。だが彼が長島を一度も攻めなかった事に蓮淳は図に乗り、武家である信長が宗教的権威を持つ自分たちに服従する事は当然と考えていた。
另一個原因是仁比賣的存在。他們動用本願寺的情報網調查仁比賣,但近一年過去,仍未取得可靠信息。
もう一つは仁比売の存在だ。本願寺の情報網を使い仁比売を調べたが、一年近く経った今もまともな情報が手に入らなかった。
他們之所以調查仁比賣,關乎信長的收益。信長所支配的尾張與美濃,按石高約為一百萬到一百一十萬。
何故、彼らが仁比売を調べているのかは信長の収益に関係する。信長の支配する尾張・美濃は石高でいえば大体百万から百十万程度だ。
然而實際並非一百萬石,而是三倍的三百萬石。其原因至今成謎,蓮淳認為若得知仁比賣的存在,就能解釋信長是從仁比賣那裡承襲技術。
しかし実際は百万石ではなく、その三倍の三百万石だ。その理由は今まで謎だったが、仁比売の存在を知る事で、信長は仁比売より技術継承を受けたと蓮淳は考えた。
換言之,蓮淳認為把仁比賣納入本願寺勢力,便能直接瓜分信長的收益。
つまり仁比売を本願寺勢力に取り込む事で、信長の収益をそのまま頂戴出来ると蓮淳は思ったのだ。
為此必須找出仁比賣;但一年過去,他們仍未獲得任何有用情報。原因在於他們對仁比賣的形象有誤解。
その為にも仁比売を探し出す必要がある。だが一年経った今も、有益な情報は何一つ得られていなかった。それは彼らが仁比売のイメージを勘違いしているのが理由だ。
仁比賣是信長為靜子打造出的虛像。當然,信長並未把靜子的形象完全照搬給仁比賣。
仁比売は信長によって作られた静子の虚像だ。勿論、信長は静子そのままのイメージを仁比売に採用していない。
他們操弄資訊,讓周遭相信綾小路俊量於1518年去世,向回推算後仁比賣應是五十到六十歲前後的老太婆。
戦国時代の綾小路俊量が亡くなったのが1518年、そこから逆算すれば仁比売は五十歳から六十歳前後の老婆だと周囲が思い込むように情報操作していた。
雖然對於情報未能匯集蓮淳感到焦躁,但他並未對仁比賣過於焦急。
情報が集まらぬ事に蓮淳は苛立ちながらも、仁比売に関してはそれほど焦っていなかった。
關於信長賜予仁比賣高位或恩賞的事,沒有任何記載。
信長が仁比売に対し、高い地位や恩賞を与えた話は一つもない。
因此若承諾授予具有宗教權威的地位,他真心以為仁比賣會輕易歸入本願寺勢力。
ならば宗教的権威のある地位を与えると言えば、仁比売は簡単に本願寺勢力へ来るだろうと彼は本気で思っていた。
在現代若說出如此話多半會被人嗤笑,但戰國時代宗教權威勢力龐大,因而他們不會懷疑,認為仁比賣會很容易倒向自己這邊。
現代でそのような事を言われれば大半の人間は鼻で笑うだろうが、戦国時代は宗教的権威が幅を利かせている。故に彼らは疑わない、仁比売は自分たちへ簡単に寝返るだろうと。
「呼——終於結束了。幫維特曼他們刷毛還真累人呢」
「ふー、終わったー。ヴィットマンたちのブラッシングって結構疲れるよね」
然而對於仁比賣的真實身分靜子來說,所謂的宗教權威連路邊的一顆石子都不如。
ただし仁比売の実像である静子にとって、宗教的権威は道端に落ちている石ころ以下だった。
她一點也沒有敬畏神明的心,卻會在看到地藏、佛像或墓地時合掌祈禱。
神を畏れる心が一欠片もない彼女だが、地蔵や仏像、墓を見れば手をあわせる。
靜子並非否定宗教與神佛的無神論者。她只是對現代日本人常見的創唱宗教冷漠,且討厭加入特定宗派學習教義,是個無宗教派的人。
静子は宗教や神仏を否定する無神論者ではない。現代日本人に多い創唱宗教(そうしょうしゅうきょう)に対して無関心、かつ特定の宗派に入信し教義を学ぶ事が嫌いな無宗教派なだけだ。
當人們開始準備年末年始時,包括靜子在內的織田軍進入京城。
人々が年末年始の準備に取り掛かる頃、静子を含む織田軍は京へ入る。
這次不是軍事行動,目的是慰勞那些受義昭所累的家臣們。
今回は軍事行動ではなく、義昭の迷惑を被った家臣たちを慰労する事が目的だ。
由於受邀者為幕臣,不僅靜子,慶次、才藏、長可,還有森可成、柴田、佐々、佐久間、秀長、竹中兄弟等織田家的精銳家臣也隨軍前往。
招待者が幕臣という関係から静子だけでなく慶次、才蔵、長可に加え、森可成、柴田、佐々、佐久間、秀長、竹中兄弟と言った織田家の精鋭家臣団も従軍していた。
從織田家派往將軍家的家臣,例如明智與村井等,以及與信長有協力關係的細川藤孝、和田惟政、松永久秀、堺的豪商等人,都被邀請到慰勞會。
明智や村井を始めとした織田家から将軍家へ出向中の家臣たち、細川藤孝や和田惟政、松永久秀、堺の豪商など信長と協力関係のある人間が慰労会に呼ばれた。
身為將軍的義昭因為是造成眾人極大困擾的元凶,因而未被邀請參加慰勞會。
将軍である義昭は多大なる迷惑を周囲に振りまく原因ゆえ、慰労会には招待されなかった。
被委以款待料理重任的是五郎。
慰労の料理を振る舞う大任を仰せつかった人物は五郎だ。
數年前他還在京城一家無名小餐館做學徒,但下定決心後向みつお、足満、靜子學習料理,逐漸嶄露頭角。
数年前までは京にある無名の料理屋で見習いをしていた彼だが、心を新たにしてみつおや足満、静子から料理を学ぶ内に料理人としての頭角を現した。
不知不覺間,他不只成為濃姬的廚師,也被任命為信長的廚師,現在甚至升任為掌管織田家廚房的料理長。
いつしか濃姫の料理人だけでなく、信長の料理人としても取り立てられて、今では織田家の台所を預かる料理頭にまで出世していた。
一開始畏縮不前的五郎,鼓起心志振作精神,將慰勞會成功帶領至圓滿。
最初は腰が引けた五郎だが、身震いする心身に活を入れ、見事慰労会を大成功に導いた。
他做的料理甚至讓那些自稱與葡萄牙人或中國人交易、已嘗遍山珍海味的堺豪商也豎起大拇指稱讚美味。
彼が作った料理はポルトガル人や中国人と交易を行い、山海の珍味を食べ尽くしていると自負する堺の豪商たちも、旨いと太鼓判を押すほどだった。
尤其那些含水量高、無法久放的生菓子,讓參加者吃得讚不絕口。
特に水分を多く含む関係で日持ちしない生菓子は参加者の舌を唸らせた。
慰勞會後,靜子與五郎把製作各種調理用粉的技術傳授給信長御用的料理店,包括以大豆製成的黃豆粉(きな粉)、以糯米製成的白玉粉、以うるち米製成的上新粉、以馬鈴薯製成的片栗粉,以及以玉米製成的玉米澱粉等。
慰労会後、静子や五郎は大豆から作るきな粉、もち米から作る白玉粉、うるち米から作る上新粉、ジャガイモから作るかたくり粉、とうもろこしから作るコーンスターチなど、調理用の粉に関する製造法を信長お抱えの料理屋に伝授する。
兩個月後,信長御用商人的店裡就會開始販售みたらし団子和白玉團子等,為了購買這些,豪商與公家等有力者會來京城花錢消費。
二ヶ月も経てば信長お抱え商人の店でみたらし団子や白玉だんごなどが売られ、それらを求めて豪商や公家などの有力者たちが京へ金子を落としていく寸法だ。
在處理完政務與各項事務後,織田軍返回岐阜。森可成向信長報告完畢後,織田軍解散,各自啟程回鄉。
政務や様々な案件を全て片付け終えた後、織田軍は岐阜へ帰還する。森可成が信長へ報告し終えた所で、織田軍は解散となり各自帰途に着いた。
「各位,今年也辛苦了」
「皆様、今年もお疲れ様でした」
回到尾張後一週,靜子也和親近的人舉行了慰勞兼忘年會。
尾張に帰途してから一週間後、静子もまた身近な人間で慰労会兼忘年会を開いた。
參加者有慶次、才藏、長可、彩、奇妙丸、爺、足滿、みつお、鶴姬、芝,以及靜子,合計十一人。
参加者は慶次、才蔵、長可、彩、奇妙丸、爺、足満、みつお、鶴姫、芝、そして静子の十一人だ。
起初靜子打算採取較接近宴會的形式,但覺得難得的忘年會不應弄得拘謹,於是改為取消儀式的宴會形式。
最初は宴会に近い形式をと考えた静子だが、折角の忘年会を肩肘張る形式にするのは宜しくないと考え直し、儀礼を取り払った宴会形式に切り替えた。
最後靜子擺了好幾個大型七輪,在上面串燒,採用接近燒烤的形式。
最終的に静子は大型の切り出し七輪を幾つも並べ、その上で串焼きをするバーベキューに近い形を取った。
但採用破格的宴會形式的弊端是,只能邀請那些能容忍放蕩不羈行為的人。
しかし型破りな宴会形式を採用した弊害として、破天荒な行為を容認出来る人間のみしか招待出来なかった。
串烤的食材多種多樣,肉類有雞、鵞鳥、鵪鶉當然不缺,還準備了鹿肉與豬肉。
串焼きの材料は多岐に亘り、肉は鶏や鵞鳥、うずらは勿論、鹿や猪肉も用意した。
不僅有獸肉,還備有洋蔥、南瓜、蔥等時令蔬菜,以及ホンモロコ、寒ボラ、黑鯛等時令魚類。
獣肉だけでなく玉葱や南瓜、葱など旬の野菜や、ホンモロコや寒ボラ、黒鯛など旬の魚類も取り揃えた。
雖然是季節外的食材,也擺上了蝦、蟹、鮑魚、扇貝、栄螺(サザエ)、蛤蜊與養殖中的牡蠣等。
季節外れにはなるが海老や蟹、アワビ、ホタテ、サザエ、ハマグリ、養殖中の牡蠣も並べた。
把各種材料預先處理好,處理完的就串起來就算準備完成,之後由各自依喜好烤製,想要時再淋上醬汁即可。
それぞれの材料に下ごしらえをし、終わった材料から串に刺せば準備は完了だ。後は各自好きに焼いて任意の時にたれを掛ければ出来上がりだ。
「雖然發生了很多事,但如今得以平安迎接年末。姑且把那種拘謹的致詞到此為止,今天好好喝、好好吃,養精蓄銳吧。男人們,盡情高興吧。酒已備了許多。只要不做過頭的事,今天想喝多少就喝多少!」
「色々とありましたが、こうして無事年末を迎える事が出来ました。まぁ堅苦しい挨拶はこの程度にして、今日は大いに呑んで食べて、英気を養って下さい。男ども、喜ぶが良い。酒はたんまり用意した。行き過ぎた事をしなければ、今日は幾ら呑んでも良いぞ!」
瞬間間,男士們歡呼起來。
瞬間、男たちが歓声を上げる。
正如她所言,房間一角擺著四個裝清酒的酒桶(約十八公升),還有三個裝濁酒的酒桶。附近的桌上擺滿了燗酒用的燗壺、酒杯與酒盃。
彼女の言葉通り、部屋の一角に清酒の酒樽(約十八リットル)が四つ、濁酒が入った酒樽が三つ並んでいた。近くのテーブルには熱燗用の徳利やお猪口、酒坏が数多く並べられていた。
在靜子的監督下有在釀造清酒,但流入市面的清酒量極少。若說那清酒可以無限暢飲,男人們高興也是理所當然。
静子監督の元で清酒は製造されているが、市場に出回る清酒の量は極僅かだ。その清酒が飲み放題と言われれば、男たちが喜ぶのも無理は無い。
「那麼,辛苦了!」
「それじゃ、お疲れ様でしたー!」
「辛苦了!」
「お疲れ様でしたー!」
在乾杯的號召下一起齊聲呼應。靜子的致詞一結束,大家就各自為所欲為地行動起來。
乾杯の音頭に全員が続いて唱和する。静子の挨拶が終わると、各自が好き勝手に動く。
有人站起來互相斟酒、有的人默默繼續烤吃、有人比拼喝酒,真是徹底的無禮講。
席を立って酒を酌み交わす者、黙々と焼いて食べ続ける者、呑み比べ合戦をする者と、まさに無礼講だった。
順帶一提,維持身分、席次與禮貌不被破壞的做法稱為慇懃講(いんぎんこう)。
余談だが立場や席順、礼儀正しさを崩さない事を慇懃講(いんぎんこう)と言う。
而無禮講原本的含義是「原本不得離席的參加者站起身,去為他人斟酒」。
また無礼講の本来の意味は「座席を立ってはならぬ参加者が席を立ち、他人に酌をする事」である。
平安時代,公家社會的宴會席次從高位者開始嚴格決定,一旦坐定就絕不會移到其他席位。
平安時代、公家社会の宴会は席順が身分の高い人から厳粛に決まっており、一度その席に座ると決して他の席へ移る事はなかった。
但後醍醐天皇為探察推翻鎌倉幕府(北條氏)的意圖,於一次邀請美濃源氏的土岐頼貞、多治見國長、足助重成等人的酒宴上無視常識、禮儀與慣例。
しかし後醍醐天皇が鎌倉幕府(北条氏)を倒す意思を探るため、美濃源氏の土岐頼貞、多治見国長、足助重成らを招いた酒宴で常識や礼儀、しきたりを無視した。
之所以無視禮儀與慣例,是為了將身分關係擺在一旁,使內容不外漏,藉宴會之名掩護為欺瞞世間的協議場所以達成其目的。
礼儀やしきたりを無視した理由は、内容が外に漏れないよう身分関係を抜きにし、世間を欺くための宴にかこつけた協議の場である事が理由だ。
但不知情的人對酒宴的狀況大為驚訝,便稱那種放蕩失禮的酒宴為無禮講(ぶれいこう)。這就是無禮講的由來。
しかしそれを知らない人々は酒宴の様子に大層驚き、羽目を外す酒宴の事を無礼講(ぶれいこう)と呼んだ。これが無礼講の由来である。
起初只是享受串燒與美酒的慰勞會,但當大多數參加者開始醉意上頭後,氣氛便逐漸變得混亂。
最初は串焼きとお酒を堪能していた慰労会だが、参加者の大半が酔い始めた頃から徐々に混沌と化していった。
「喂、老頭。你真的好強……啊」
「お、おっさん。本当に強い……ぜ」
「不妙……嗚哇」
「不覚……うぷっ」
「哼哼哼,被附近居酒屋張貼照片禁止喝到飽的我來跟你比酒,還差得遠呢」
「ふふふっ、近所の居酒屋に顔写真付きで飲み放題禁止にされた私と酒勝負をするなど、百年早いですよ」
慶次和才藏竟然魯莽地與肝臟堅韌、名義上的俄羅斯人みつお比酒。連嗜酒如命的慶次都輸了,可見みつお真的很能喝。
慶次と才蔵は、無謀にも肝臓だけ名誉ロシア人のみつおと酒勝負をしていた。大酒飲みの慶次すら負けている所を見るに、本当にみつおは酒に強い事が分かる。
長可也和慶次等人一起倒在地上,靜子覺得麻煩,便讓三人自生自滅。
長可も慶次たちと共に床へ突っ伏していたが、面倒なので静子は三人を放置する事にした。
「真是了不起,みつお大人」
「素敵です、みつお様」
手拿大杯、宣布勝利的みつお,正在被鶴姬用迷醉的表情凝視著。
大杯片手に勝利宣言しているみつおを、鶴姫は恍惚とした表情で見つめていた。
鶴姬到底為みつお著迷於何處不得而知,但靜子覺得干預別人的戀愛是無趣的粗魯之舉,於是選擇遠遠地看著。
彼女がみつおの何に惚れ込んだのか不明だが、人の恋愛事情に無粋な首を突っ込むのは野暮を思い、静子は遠巻きに眺める事にした。
把其實是覺得遠觀比較有趣這個心聲深藏於心底不說出來。
遠巻きに観察する方が楽しいから、という本音を心の奥に仕舞いこんで。
「靜子,喝酒嗎——啊,你是不能喝的啊」
「静子、呑んでいるかー。あー、貴様は呑めないのだったな」
已經有酒意的奇妙丸對默默烤串的靜子搭話起來。
既に酔いが回った奇妙丸が、黙々と串を焼いている静子に絡む。
在戰國時代,國人與武士階級成年後,在農漁村會加入「若衆」、「娘仲間」等組織,接受成人所需的訓練後,才被允許飲酒。
戦国時代、国人や武士階級は元服を済ませた後、農漁村では「若衆」、「娘仲間」の組織に加入し成人に必要な訓練を受けた後、飲酒が許されるようになった。
但無論何時何地,未成年人為了嘗試成人的感覺而偷喝酒的事總是層出不窮。
しかし何時の時代でも、未成年が大人の気分を味わうために隠れて飲酒することは絶えない。
「你可是喝得很開啊」
「君はしっかり呑んでいるね」
「嗯,能喝酒的機會不多。爺也醉了,現在沒人會嘮叨!」
「おう、酒を呑める機会はそうないからな。爺も酔っておるし、今なら口煩い人間はおらぬ!」
奇妙丸一邊笑一邊把手中的酒杯傾了下去。
笑いながら奇妙丸は持っている酒盃を傾ける。
爺正和足滿一起喝酒,聊得興高采烈,幾乎沒在注意奇妙丸。奇妙丸覺得現在不會被嚴厲叮嚀也就不足為奇了。
爺は足満と一緒に呑んでいる上に、何やら楽しそうに会話しており、奇妙丸に殆ど注意を払っていない。今なら口煩く言われないと奇妙丸が考えるのも無理はなかった。
「就算隔天宿醉我可不管喔。嗯——蛤蜊真好吃。雖然活著運來很費工,但味道對得起那番辛苦」
「二日酔いになっても知らないよ。んー、ハマグリが美味しい。生きたまま運ぶのに苦労したけど、それに見合う美味しさだよ」
「我喜歡烤雞皮。有個缺點就是會想配飯」
「俺は焼き鳥の皮が好きだ。飯が欲しくなるのが欠点だがね」
「也要吃點蔬菜喔」
「野菜も食べなさいよ」
「哈哈哈哈,但我拒絕。說起來你在京城好像和伴天連有過會談,究竟做了些什麼?」
「はっはっはっはっ、だが断る。そう言えば京で伴天連と会談をしたそうだな。一体何をしてきたのだ?」
「現在還是個秘密吧。嘛,也沒什麼大好消息」
「今はまだ秘密かな。まぁそこまで良い話でもなかったよ」
在從京返回尾張的前一天,靜子與弗羅伊斯會談。靜子本來的目的就是與弗羅伊斯會面並進行某項交易。
京から尾張へ帰還する前日に、静子はフロイスと会談した。元々、静子の目的はフロイスと会談し、ある取引を行う事だった。
雙方並未多起衝突,均各自取得成果。從世俗角度看,弗羅伊斯獲得的利益較多。
特に揉める事なく双方は成果を得た。世間的に見ればフロイスの方が高い利益を得ている。
畢竟弗羅伊斯得到的是關於壞血病的治療資訊。壞血病只要攝取維生素C便可治療,而維生素C與壞血病關聯被揭示是在1932年。
何しろフロイスが得たものは壊血病の治療薬に関する情報だ。壊血病はビタミンCを摂取すれば良いが、ビタミンCと壊血病の関係が明らかになったのは1932年だ。
弗羅伊斯獲得的是三百多年後的技術與知識,而靜子得到的則是「對所有品種的輸入提供協助」的承諾。
300年以上先の技術や知識を得たフロイスに対し、静子が得たものは『あらゆる品種の輸入に対し、助力を惜しまない事』である。
簡單來說,就是耶穌會負責將靜子所需的農作物幼苗與動物運送到日本。
簡単に言えば静子が望む農作物の苗や動物を、イエズス会が責任を持って日本へ運ぶ事だ。
靜子最初向弗羅伊斯要求的三樣東西是:在東南亞栽培的胡椒幼苗、被認為是世界最古老的馬品種改良種—阿拉伯種,以及成為啤酒原料的啤酒花。
静子がフロイスへ最初に要求したものは、東南アジアで栽培されている胡椒の苗、世界最古の馬の品種改良種であるアラブ種、ビールの原材料になるホップの三つだ。
當然還有其他想要的品種,但因為靜子那邊的治療藥尚未見效,她便將要求限縮為三種。若有成果,弗羅伊斯也承諾會努力協助輸入。
それ以外にも要求する品種はあるが、静子側の治療薬に成果が出ていない事から彼女は三つに制限した。無論、成果が出れば輸入に尽力する約束を取り付けた。
(但壞血病的治療方法一旦確立……殖民主義可能會提前到來啊)
(けど壊血病の治療方法が確立する事は……植民地主義が早まる可能性があるのよね)
靜子心中升起一絲不安,於是沒有直接交出本來的特效藥歐芹糖衣錠,而是把以海綿栽培促成豆芽的方法當作壞血病的特效藥傳了出去。
一抹の不安を覚えた静子は、本来の特効薬であるパセリ糖衣錠ではなく、海綿を利用したもやしの促成栽培を壊血病の特効薬として伝えた。
豆芽只要有水、陽光與綠豆就可以。船上水與生蔬菜都很珍貴,但若使用吸水性高的海綿,就不用為栽培另外分配水了。
もやしは水と太陽と緑豆があれば良い。船上は水と生野菜が貴重品になるが、吸水性の高い海綿を使えば栽培用に水を割く必要がなくなる。
反觀歐芹糖衣錠是把歐芹、油、蜂蜜與竹酢液混合搓揉,再以白糖包裹成藥丸。用白糖包裹的理由是為了解濕以及防止因太苦而無法吞服。
対してパセリ糖衣錠はパセリと油と蜂蜜と竹酢液を混ぜて練り、それを白糖で包んだ薬玉だ。白糖で包む理由は、湿気対策と苦すぎて飲み込めない事への対策だ。
只要注意保存,它可以保存近一年,且比豆芽更短時間就能見效。正因為比船上栽培豆芽更有效率,靜子擔心會加速殖民地統治,因此將歐芹糖衣錠秘而不宣。
保存に気を使えば一年近く保ち、もやしより短期間で効果を得られる。船上でのもやし栽培より高効率だからこそ、植民地支配が早まる事を怖れた静子はパセリ糖衣錠を秘匿した。
一邊吃著烤蛤蜊,靜子冷淡地對仍在皺眉的奇妙丸說道。
焼けたハマグリを食べながら、未だ眉をひそめる奇妙丸へ静子は素っ気なく言った。
「嘛……有很多事啦,各種各樣的」
「まぁ……色々とあるのよ、色々と」
因為信長平定伊勢,周邊諸國頓時變得騷動起來。
信長が伊勢を平定した事で周辺国がにわかに騒がしくなる。
不僅是周邊諸國。現在西方的毛利、東方的武田與北條等有力國人,當然還有日本各地的國人,都在盯著信長的動向。
周辺国だけではない。今や信長の動向に西は毛利、東は武田や北条と有力国人は勿論、日本中にいる国人が注視している。
寺社勢力與朝廷也無一例外,對他的行動逐一關注。
寺社勢力や朝廷も、彼の動きに逐一目を向けているのは言うまでもない。
許多國人對信長的崛起抱持反感,卻只是保持觀望。
多くの国人たちは信長の台頭(たいとう)に嫌悪感を覚えつつも、注視するだけに留めている。
本願寺與比叡山延曆寺雖對信長索取矢銭感到厭煩,但因為他的政策對自己有利,並未將他視為敵人。
本願寺や比叡山延暦寺は、信長からの矢銭要求を煩わしく思いながらも、彼の政策が自分たちに利益を生んでいる点から敵対視はしていなかった。
朝廷幾乎已被馴服,一旦與之為敵很明顯會讓他們的財政陷入危機,因此除了觀望別無選擇。
朝廷は殆ど飼いならされている立場で、敵対視すれば自分たちの台所事情が火を噴く事は明らかであるため、様子見以外の選択肢はなかった。
對信長明確表示敵對的只有三好三人衆與朝倉家。
信長に対して明確な敵対の態度を示しているのは三好三人衆と朝倉家のみだ。
與朝倉家關係密切的淺井家,因義昭所寄的密書而發生分裂,爆發家內騷動。
その朝倉家と関係の深い浅井家は、義昭が送った密書が原因で家が真二つに割れるお家騒動が勃発した。
一方是重視與如今勢如破竹的信長維持關係的派別,另一方則主張遵從義昭的密書,聯合盟友朝倉家討伐信長。
今や飛ぶ鳥落とす勢いの信長との関係を重視する派と、義昭の密書に従って盟友の朝倉家と連携して信長を討つ派だ。
前者以淺井長政為首,後者以淺井久政為首。久政被強制隱居、幾乎喪失權限,但能掌控局勢的背後,是親朝倉派家臣的影響。
前者は浅井長政が筆頭、後者は浅井久政が筆頭だ。無理やり隠居させられ、権限をほぼ失った久政が権力を振る舞える背景に、親朝倉派の家臣が影響している。
「就算有公方的密書,也不覺得周邊諸國會輕易行動。如今足利將軍家僅成擺設,絕不會有人因將軍家的命令而動。既然率先與織田為敵無利可圖,現在最好暫時保留態度。」
『幾ら公方様の密書があろうと、周辺国が簡単に動くとは思えない。今や足利将軍家は単なる飾りであり、将軍家の命令に従う国人が出てくるとは到底思えない。織田家と率先して敵対しても得られる利益がない以上、今は態度を保留にしておく方が良い』
簡而言之,長政陣營的基本想法是『暫時觀望』。
端的に言うと長政陣営は『暫く様子見』が基本的な考えだ。
「公方的意向是抹殺織田。若密書屬實,我等有大義。此刻若討伐織田,淺井家對將軍家的發言力將得以提升。好好想想,現在的織田不願承認任何非己的權威。照此下去,淺井家終將被迫屈服,若拒絕便會被滅亡。為了淺井家存續,應與盟友朝倉家協力,討伐這個叛逆的織田。」
『公方様の意向は織田の抹殺。密書の内容が事実なら、我らには大義がある。そしてここで織田を討てば、浅井家は将軍家に対して発言力を増せる。よく考えろ、今の織田は自分以外の権威を認めようとしない。このまま行けばやがて浅井家は服従を強いられ、断れば滅ぼされる。浅井家を存続する為にも盟友の朝倉家と連携し、織田という逆臣を討つべし』
相對地,久政陣營的意見是『應率先遵從密書』。
対して久政陣営の意見は『率先して密書に従うべし』だった。
雙方都不願讓步,淺井父子的關係日益惡化。
双方、自分の意見を収める気はなく、浅井親子の関係は日に日に悪化の一途をたどる。
大多數家臣支持久政,但長政陣營則受到近江國商人聯合的支援。
家臣の殆どは久政陣営だが、長政陣営には近江国の商人連合が支援していた。
雙方處於拉鋸攻防之中,卻隱含著一旦因小事便可能決定勝敗的危險。
一進一退の攻防を繰り広げる状態だが、些細な事で優劣が決まる危険性も秘めていた。
「以上是近江國的近況報告」
「以上が近江国の近情でございます」
「嗯,不愧是你。賞賜那些間諜豐厚的酬勞,讓他們休息以備下次行動」
「うむ、流石だ。間者たちには十分な褒美を取らせ、次に備えて休息を取らせろ」
接過滝川的近江國報告後,信長滿意地點頭,並慰勞了滝川。
滝川から近江国の報告を受け取った信長は、満足気に頷いてから滝川を労る。
他的第六軍團即為情報機構,負責以間者進行他國情報蒐集,作為日常業務之一。
彼の第六軍団は情報機関であり、間者たちを使った他国の情報収集を業務の一環として行っている。
現正依照信長的意向,儘可能地調查近江國內情。
今は信長の意向に従い、近江国の内情を出来うる限り調べていた。
「精確的情報有時勝過萬兵之力。今後也就拜託你了」
「精度の高い情報は時として万の兵力をも超える。これからも、よろしく頼むぞ」
「承蒙褒獎,不勝榮幸」
「お褒めにあずかり、有り難き幸せに存じます」
讓滝川退下後,信長回想報告內容並沉思。
滝川を下がらせた後、信長は報告を思い返しながら思案する。
(好了,這樣誰是敵誰是友已經明朗。接下來在久政陣營中挑選出無能之人,並請近江商人聯合給予熱烈歡迎吧)
(さて、これで誰が敵で誰が味方か判明した。次は久政陣営で無能な者を選別し、近江商人連合に熱烈な歓迎をするよう依頼しておくか)
在信長眼中不存在中間地帶,非敵即友。
信長に中間は存在しない。敵か味方か、そのどちらかだ。
即便是盟國亦無例外,他調查淺井家的內情以區分敵友。
それは例え同盟国であろうと変わらず、彼は浅井家の内情を調べて敵と味方を切り分けた。
一旦敵方明確,下一步便是在敵中選出無能者。將無能者偽裝成有能者般對待,反覆熱烈歡迎,終將使其在組織中擁有強大的權力。
敵が明確になれば、次は敵の中から無能な者を選ぶ事だ。無能な者をさも有能な人物のように扱い、熱烈な歓迎を繰り返せば、やがてその人物は組織内で強い権力を持つ。
但若無能之人掌權,內部終會瓦解;一旦崩潰便成我方之機,屆時招攬有能之人、處罰無能之輩,便可掃除後患。
しかし有能でない人間が権力を持てば、内部はいずれ瓦解する。崩壊してしまえばこちらのもの、有能な人間を招き入れ、無能な者は処罰すれば後腐れもない。
(現在不是冒險的時機,應專注蒐集情報,為關鍵時刻做準備)
(今は危険を犯す時ではない。情報収集に徹し、いざという時の為に備えるべきだ)
即便年末,信長也無片刻可以放鬆。
年末であろうと信長には気の休まる時はなかった。
完成一項工作後,靜子洗去身上的髒汙,筆直走向浴室。
一仕事を終えた静子は体の汚れを洗い落とすと、一直線に風呂場へ向かった。
「彩醬。我先去把髒汙洗掉,先去洗澡,飯之後再吃。」
「彩ちゃん。私、汚れを落とすから先に風呂へ入るよ。食事はその後に取るよ」
「知道了。等會兒我會送來替換衣物」
「分かりました。お着替えは後ほどお持ち致します」
「拜託囉」
「宜しくー」
靜子揮動手後便前往溫泉。她不貪權力,但對於能每天泡溫泉這項特權,仍固執地不肯放棄。
手をひらひらと振った後、静子は温泉に向かう。権力は欲しがらない静子だが、毎日温泉に入れる特権だけは意地でも手放す気はない。
她認為泡澡的舒適感是活在戰國時代不可或缺的慰藉。
風呂に入る心地良さは、戦国時代を生き抜く上で無くてはならないもの、と考えているからだ。
正當她把髒汙稍微洗掉、準備進入浴室的瞬間,耳邊傳來了犬吠聲。
汚れを軽く落とし風呂場に入ろうとした瞬間、彼女の耳に吠え声が届いた。
回頭一看,見到維特曼們奔跑朝她這邊過來;他們到達靜子身邊後,在她身旁繞圈發出撒嬌般的聲音。
後ろを振り返ると、駆け足でこちらに向かってくるヴィットマンたちの姿が目に入った。彼らは静子の元にたどり着くと、彼女の周囲を回りながら甘えるような声を上げる。
「也需要洗髮精嗎?你們也要一起進去嗎?」
「シャンプーでも必要なのかな。お前たちも入るの?」
不知是否聽懂靜子的話,維特曼們發出輕微的吠聲。
静子の言葉が理解出来ているのか、ヴィットマンたちは軽い吠え声を上げた。
「知道了。今天得把水溫稍微調低一點呢」
「分かった。今日は少しお湯の温度を下げないとね」
狗和狼以氣味作為自我表現的工具,所以極度討厭氣味消失。
犬や狼は臭いが自己主張の道具である為、臭いが消える事を極端に嫌う。
特別是狼會用氣味傳達各種資訊,所以自己的氣味消失就是生死攸關的事。
特に狼の場合は臭いで様々な情報を伝えるので、自身の臭いが消えるのは死活問題だ。
但為了保持衛生與預防疾病,每月仍需要洗澡一至兩次;洗太頻繁會損傷皮膚,因此要注意。
しかし衛生状態を保つため、そして病気予防のためにも、月に一回か二回のシャンプーを行う必要がある。余りし過ぎると皮膚を痛めてしまうので、注意が必要だ。
「呼呼~。不過是從什麼時候開始變得能泡澡了呢。巴爾蒂從一開始就從容不迫,維特曼他們以前可是抗拒的呢」
「ふっふふ~ん。しかしいつからお風呂が大丈夫になったのだろう。バルティは最初から余裕だったけど、ヴィットマンたちは嫌がっていたものね」
他們彷彿認為水是用來喝的,無論靜子怎麼拜託,維特曼們都拒絕洗澡。
水は飲むものと言わんばかりに、幾ら静子の頼みでもヴィットマンたちは風呂を拒否した。
但巴爾蒂大概是個不在意的性格,只有她坦率地接受了靜子的洗澡。
しかしバルティは気にしない性格なのか、彼女だけは素直に静子のシャンプーを受け入れた。
看到那情形,維特曼們燃起了強烈的嫉妒之火。
それを見たヴィットマンたちは嫉妬の炎を激しく燃やした。
原本維特曼們並不特別怕水,但面對第一次泡澡還是不由得怯懦,他們大概認為這一點被巴爾蒂看穿了吧。
元々ヴィットマンたちは水が苦手ではないが、初めての風呂に思わず怯えてしまった。それをバルティに見透かされたとヴィットマンたちは思ったのだろう。
起初他們先練習潛入水中,接著自行練習在水中游泳。
最初は水中に潜る訓練を行い、続けて水中で泳ぐ訓練を自分たちだけで行った。
經過那種說來令人動容的努力,維特曼們終於成長到能潛水三公尺的程度。
そのような涙なくして語れない努力を続けたヴィットマンたちは、遂に三メートルの潜水が可能なまでに成長した。
他們在靜子看不到的地方努力,終於能毫無畏懼地堂堂入浴;經過那麼多努力體驗到的洗澡感想,用一句話形容就是「最棒的」。
静子が見ていない所で努力を続けた彼らは、ようやく風呂に怯える事なく堂々と入れるようになった。そこまで努力して味わったシャンプーの感想は、最高の一言だった。
「毛巾準備好、全部都準備OK。唔唔,好冷好冷……快點下去吧」
「タオルよし、全部準備オッケー。うう、寒い寒い……とっとと入ろう」
脫下小袖和內衣放進籃子後,抱著洗浴用具,靜子走進女性專用的溫泉。
小袖や下着を脱いで籠に入れた後、おふろセットを脇に抱えて静子は女専用の温泉に入る。
迅速洗淨自己的頭和身體後,她把無患子粉稀釋,替維特曼們洗髮。
自分の頭や体を手早く洗った後、ムクロジの粉を薄めてヴィットマンたちにシャンプーを行う。
果然一次替所有人洗髮會滿頭大汗,但她用熱水沖洗掉了汗。
流石に全員のシャンプーを一度に行うと汗が出たが、それはお湯をかけて洗い流した。
「呼~,真是極樂啊」
「ふぃ~、極楽だぁ」
靜子覺得,泡進溫泉的瞬間的愉悅勝過一切。
湯につかる瞬間の快楽は何者にも勝る、と静子は思った。
他們在專用的溫溫(約37度)浴池裡並排泡著,那副完全放鬆的臉,看起來一點也不像擁有神秘美感的狼。
ヴィットマンたち専用のぬるい(37度程度)風呂に彼らは並んでつかる。その緩みきった顔は、神秘的な美しさを持つ狼とは思えなかった。
「……說起來有把被褥之類送給弗羅伊斯,不知道他喜不喜歡啊」
「……そう言えばフロイスさんに布団とか贈ったけど、気に入ってくれたかなぁ」
靜子經由信長從弗羅伊斯那裡收到各種東西,覺得光收不太好,便送了「どてら(棉襖)」「炬燵(被爐)」「布団(被褥)」「木桶風呂(木桶澡盆)」給弗羅伊斯,好讓他能度過寒冬。
信長経由でフロイスから色々とものを貰った静子は、貰うだけでは悪いと思い冬の寒さを乗り越えられるようフロイスに『どてら』・『炬燵』・『布団』・『木桶風呂』を贈った。
若是懂的人會覺得這些會把弗羅伊斯他們這些宣教師給墮落,但對靜子來說不過只是防寒用具罷了。
知る人が知ればフロイスたち宣教師を堕落させる道具だと思うが、静子にとっては寒さを凌ぐもの程度の意識だった。
「日本的冬天很冷嘛~。溫暖的澡堂真是太棒了喵~」
「日本の冬は寒いからねー。あったかいお風呂は最高だにゃー」
一邊享受由頂級木曾檜散發的香氣,一邊在溫度適中的溫泉裡舒緩疲勞。
最高級品の木曽檜から漂う香りを堪能しながら、程よく温かい温泉で疲れを癒やす。
維特曼們也把頭靠在浴槽邊,發出放鬆的聲音。
ヴィットマンたちも浴槽の淵に頭を乗せて気の抜けた声をあげていた。
看著他們那享受的表情,靜子也在浴槽邊抱臂靠著臉閉起眼睛。
その気持ち良さそうな顔を見て、静子も浴槽の淵で腕を組み顔を乗せて眼を瞑る。
「……胸部好緊」
「……胸が苦しい」
因為胸部的壓迫,靜子睜開眼睛並把視線往下看。
胸の苦しさに静子は目を開けて視線を下げる。
她看到自己的胸被浴槽邊緣和自己的身體夾住,仿佛要被壓扁。
彼女の目には、浴槽の淵と自分の体に挟まれて押し潰されている自分の胸が見えた。
使用複合弓狩鹿的靜子,不知不覺間胸大肌已被鍛鍊起來。
コンパウンドボウで鹿狩りを行う静子は、知らずの内に大胸筋が鍛えられていた。
不論是弓道還是射箭,為了拉弓射箭不只要用手臂,還需要動用腿腰與上半身的肌肉。
弓道でもアーチェリーでも弓を射るためには腕だけでなく、足腰や上半身の筋肉を使う必要がある。
因此不只是手力,肩部周圍肌肉與背筋也會被鍛鍊,其中最強化的便是胸大肌。
その影響で腕力だけでなく肩周りの筋肉や背筋も鍛えられるが、その中でも最も鍛えられるのが大胸筋だ。
女性的胸大肌是支撐乳房的基底肌肉,若此處衰退胸型會走樣,但日常生活難以鍛鍊胸大肌,大多會隨年齡退化。
女性の大胸筋は乳房を支える土台の筋肉で、ここが衰えると胸の形が崩れる。しかし普段の生活では大胸筋を鍛える事が難しく、たいていは加齢と共に衰えてしまう。
不過因為射弓能適度鍛鍊胸大肌,所以有時會產生豐胸的效果。
だが弓は大胸筋が程よく鍛えられる為、バストアップ効果が出る事がある。
當然並非只要射弓就一定會豐胸,但靜子在成長期就常使用弓,加上原本的飲食習慣良好,反倒導致了胸部變大的效果。
無論、弓を扱えば必ずバストアップする訳ではないが、静子の場合は成長期に弓を扱う事が多くなり、また元々の食生活が良かった事が災いして、胸が大きくなる効果が出てしまった。
此外因為背筋被鍛鍊,姿勢變好,且運動與休息使體內新陳代謝提高。
それ以外にも背筋が鍛えられた事で姿勢が良くなり、運動と休息を行う事で体内の新陳代謝が高まっていた。
「我知道這不是長了贅肉,是種奢侈的煩惱沒錯。但胸部變大後纏裹裹胸布會變得痛苦。要是和弗羅伊斯見面時不需要再隱藏臉就好了,這樣就不用承受這些麻煩了」
「贅肉がついている訳じゃないから、贅沢な悩みだとは理解しているけどね。でも胸が大きくなるとサラシを巻くのが辛いのよ。フロイスさんと会う時、顔を隠す必要がなくなれば、こんな苦労を背負わなくて済むのだけどね」
嘆了口氣後,靜子在浴槽邊撐著臉。對她來說胸變大也沒有什麼大好處,反倒只注意到穿小袖時會稍微窘迫的缺點。
ため息を漏らした後、静子は浴槽の淵で頬杖をつく。彼女にとって胸が大きくなっても大した利点はなく、むしろ小袖を着る時に若干苦しくなるという欠点ばかりが目に付いた。
幸好靠著穿法的技巧不再感到難受,但若再繼續長大就會很麻煩,她這麼想。
着方を工夫したお陰で苦しさはなくなったが、今以上に成長されると面倒だと彼女は思った。
「啊─算了。不想任何事,把腦袋放空比較好呢」
「あーやめよう。何も考えず頭を空っぽにする方が良いね」
感到頭痛的靜子輕輕甩了甩頭,閉上眼睛伏在浴槽邊。
頭痛を感じた静子は軽く頭をふった後、目を閉じて浴槽の淵に突っ伏した。
弗洛伊斯一如往常拿起筆,撰寫要送往耶穌會的報告書。
フロイスはいつもの様にペンを手に取り、イエズス会へ送る報告書を書いていた。
「織田大人身旁戴頭巾的宰相令人畏懼。他擁有治療吐血之病(壞血病)的藥物。鄰國自古便將此藥當作治療之方。該治療法本為秘法,但經以某物交換後,得以取得記載製法的秘傳書。然而那所謂某物,是吾國也從印度進口的伊斯蘭馬(阿拉伯種)、胡椒的苗,以及稱為啤酒花的植物。關於此事我無權獨斷,已另行提交文件以取得批准」
『織田殿の傍にいる頭巾宰相は恐ろしい。彼は血を吐く病(壊血病)の治療薬を所持していた。日ノ本の隣国が古くから治療薬として摂取していたそうだ。治療薬は本来秘密の製法だが、あるものとの交換を条件に、製法を記した秘伝書を譲ってくれる所まで取引が行えた。しかしそのあるものとは、我が祖国も印度から輸入しているイスラムの馬(アラブ種)、胡椒の苗というもの、そしてホップと呼ばれるものだ。これに関しては私の一存で決める事は出来ぬ故、承認を得るための書類を別途提出した』
雖然弗洛伊斯先行寄出了承認書,但他絲毫不覺得會被拒絕。既然能取得針對不治之症的動植物治療藥,本部不大可能在馬匹進口上顯得難色。
承認書を先に送付したフロイスだが、拒否されるとは微塵も思っていなかった。動植物で不治の病に対する治療薬が手に入るのだから、本部が馬の輸入に難色を示すとは思えないからだ。
「從需求可推知,頭巾宰相偏好在日之本買不到的動植物。前些日子獻上寶石與金飾反應平平,甚至有幾樣被拒絕接收。但獻給織田大人的那隻大鷲因為他有馴養,顯示我的推測並非錯誤。由於他並未擁有大型動物,可推測他偏好從犬、貓、鳥等小型至中型動物著手」
『要求から頭巾宰相は日ノ本で手に入らない動物や植物が好みと思われる。少し前に宝石や金細工を献上したが余り反応は良くなく、更に幾つか受け取りを断られた。しかし織田殿に献上した大きな鷲は彼が飼い慣らしている事から、私の推測は間違っていないと思う。大きな動物を所有していない所から犬、猫、鳥など小型から中型の動物が好みと推測する』
寫到此處弗洛伊斯放下筆,稍作歇息。
そこまで書いてフロイスは筆を置き、一息をつく。
對他而言,這次的交易是個好買賣。當然有可能遭受欺瞞,但他認為那種可能性不高。
彼としても今回の話は良い取引と考えている。無論、嘘をつかれる可能性はあるが、その可能性は低いと彼は考えていた。
既無需說謊,且比起捏造謊言,說不知道反而更簡便。
嘘をつく必要がない上に、嘘をつくよりも知らないと答える方が楽だからだ。
他實在難以相信對方會特地向我們說謊以獲取什麼好處。
わざわざ自分たちに嘘をついてまで、彼が何かを得られるとは到底思えなかった。
「但若此實驗成功,教會即可重拾威望。為此無論如何都要促成與他的交易成功」
「しかしこの実験が成功すれば、教会の権威を取り戻せます。その為にも、何としても彼との取引に成功しなければなりません」
交易若成功、實驗若告成功,弗洛伊斯亦可獲益。
取引が成功し、実験が成功すればフロイスにも利益が生まれる。
他素來厭惡葡萄牙商人的販賣人口行為。當然並非出於博愛,而是他們的所作所為妨礙了傳教。
彼はかねてよりポルトガル商人の人身売買を嫌悪していた。勿論、人類愛などというものではなく、彼らの行動が布教の妨げになっているからだ。
然而對方回以『既然有賣家也就沒辦法』,商人們便不肯停止販賣人口。
しかし『売り手がいるのだからしょうがない』と返され、商人たちは人身売買を止めようとしない。
「必須加緊步伐。此國與他國不同,在文化與軍事上皆出眾。若出現驅逐令,這回恐怕連傳教本身都會被禁止」
「急がねばなりません。この国は他国と違い、文化や軍事力が秀でています。追放令が出されれば、今度こそ布教そのものが禁止にされかねません」
將報告整理完畢後,弗洛伊斯頗有想立刻寄出的衝動,但那願望難以實現。雖然京中治安已有所改善,夜間不帶護衛外出仍過於危險。
報告書を纏めあげると、フロイスは直にでも送りたい気持ちにかられたがそれは叶わない願いだ。京の治安が良くなったとはいえ、護衛もつけず夜間に外出するのは危険過ぎるからだ。
「唔……有些冷了呢。不愧是頭巾宰相,這所謂炬燵果然能減輕京中的寒意。說起來還有一種稱作どてら的衣裳。還有其他好像也有……正好是個好機會,我也要試試熱燗」
「うぅ……少し寒くなりましたね。しかし流石は頭巾宰相、このコタツとやらは京の寒さを軽減してくれます。そう言えばどてらなる衣装がありましたね。他にも確か……ちょうど良い機会ですのでアツカンにも挑戦です」
之後弗洛伊斯穿上どてら,重新坐進掘地炬燵,以烏魚子下酒喝著燗酒,身心皆感滿足後便入被褥就寢。
その後フロイスはどてらを着て掘り炬燵に入り直し、カラスミを酒のアテに熱燗を呑み、心身ともに満足した所で布団に入り就寝した。
深受尾張文化薰染的弗洛伊斯,隔日於報告中補充如下。
尾張文化に染まりきったフロイスは、翌日報告書にこう付け加える。
「頭巾宰相所贈的炬燵,實為惡魔之發明。其有使人墮落的可怕魔力。再穿上被稱為どてら的衣裳,便已無法抗拒。若有讀此報告而想來日之本的傳教士,我勸諸位多行德業以備」
『頭巾宰相から贈られたコタツという道具、これは悪魔の発明品だ。人を堕落させる恐ろしい魔力を持つ。更にどてらと呼ばれる衣装を着れば、もはや抗う事は不可能になる。もしこの報告書を読み、日ノ本へ訪れようと考えた宣教師たちは、徳を沢山積む事をお勧めする』
自前久在岐阜置宅數月以來,他耗費心力招攬公家要人與京周邊實力者,舉行宴會。
前久が岐阜に邸宅を構えてから数ヶ月、彼は公家の有力者や京周辺の実力者を集めて宴会を開く事に労力を費やしていた。
外人看來不過吟詠歌詩、喝酒作樂,但在公家社會宴會是重要儀式,也是從事政治活動的場域。因此不僅席次順序,座位本身亦被視為要緊。
傍から見ると歌を詠み、酒を呑んでいるだけに見えるが、公家社会で宴会は重要な儀式であり政治活動の場でもある。故に席順のみならず、座席そのものが重要視されている。
縱使當主被逐出京,近衛家仍維持堅實的影響力。被邀參宴卻不能拒絕,最初眾多要人抱持懷疑態度出席宴會。
当主が京から追放された身であろうと、近衛家は盤石な影響力を保ち続けている。宴会に招待されて断る訳にもいかず、最初は腹に一物があるといった態度で有力者は宴会に参加した。
然而前久已想出辦法,讓他們不再拒絕宴會。那便是以美食為藥,成為『猛毒』。
しかし前久は彼らが二度と宴会を断らなくなる策を講じていた。それは美食という『猛毒』である。
戰國時代,零落的公家經濟困窘,多遷居至地方莊園或依附有力的國人為生。
戦国時代、零落(れいらく)した公家は経済的に逼迫し、地方の荘園へ住み着いたり、有力な国人の世話になったりしていた。
處於嚴峻經濟情況的公家為了維持收入而忙碌,已無餘裕享受娛樂。
厳しい経済状況に置かれた公家は収入を得るために忙殺され、娯楽を楽しむ余裕がなくなる。
對他們而言,美食的誘惑成為強烈的『猛毒』。
そんな彼らにとって美食の誘惑は強烈な『猛毒』となる。
一旦嚐過便難以再抗拒,若強行抗拒則須承受巨大精神壓力。
一度知ってしまえば二度と抗う事は出来ない、無理に抗えば多大な精神的緊張を強いられる。
美食這一簡單的手段,否,因為是每天必做之事,反而能達到高效的效果。
美食という単純な策、否、毎日必ず行う食事だからこそ高い効果が得られるのだ。
而前久並非以昂貴或稀奇食材取勝,而是用公家熟悉的材料做出美味之餐。
更に前久は高価な食材や珍しい食材ではなく、公家の人間が見慣れている材料から、美味なる食事を作っていた。
前久宴席上供出的料理彷彿非人間之物,口耳相傳之下,眾人受邀便落入其毒牙,公家社會逐漸被美食的猛毒侵蝕。
この世のものとは思えぬ料理が供される前久の宴会は口伝で広まり、他の者が誘われては毒牙にかかり、と公家社会は美食の猛毒に侵されていった。
「歡迎諸位光臨,請寬舒享受今日的連歌會」
「ようこそお越し下さいました。ごゆるりと寛ぎながら本日の連歌会をお楽しみ下さい」
前久的連歌會兼宴席,基本上僅容十七人參加。然而全員皆為畿內實力者,且各自持有廣泛人脈的權力者。
前久の連歌会兼宴会は、基本的に十七名という少人数しか参加出来ない。しかし全員、畿内では実力者であり、一人ひとりが様々な人脈を持つ権力者でもある。
「近衛大人,今天以半歌仙(十八句)為佳嗎?」
「近衛殿、本日は半歌仙(十八句)でよろしいのでしょうか」
以五七五為上句、七七為下句,這兩句各稱為一句。
五七五を上の句、七七を下の句とし、この二つをそれぞれ一句と呼ぶ。
所謂十八句,從前久開始順時針輪到下一人接句,直到第十八人之句成為結束。
一八句とは前久から始まり、時計回りに次の句を付けて展開し、最後の人間である十八人目の句で完成とする。
此外尚有三十六句的「歌仙(かせん)」、四十四句的「世吉(よよし)」、百句的「長連歌(ちょうれんが)」(又稱「百韻(ひゃくいん)」)。
他にも三十六句の「歌仙(かせん)」、四十四句の「世吉(よよし)」、百句の「長連歌(ちょうれんが)」(「百韻(ひゃくいん)」とも呼ぶ)がある。
而將十部長連歌集結成一冊稱為「千句(せんく)」,再以十冊千句合成則被稱為「萬句(まんく)」。
なお長連歌を十作品集めたものが「千句(せんく)」。この「千句(せんく)」を十作品集めたものを「万句(まんく)」と呼ぶ。
「正是如此」
「左様でございます」
「以麻呂的立場來說,我認為稍微熱鬧些會更好。並非責怪近衛大人」
「麻呂(まろ)としては、もう少し賑やかな方が良いと思います。いえ、決して近衛殿を責めている訳ではございません」
「哈哈哈,諸位不必多慮。但近來公方的眼光甚為嚴厲,連邀集諸位來享受連歌會都會被懷疑是在圖謀不軌。因此無法多邀人。若能多邀些人參加,連歌會自然更顯華麗……失禮,於諸位面前言多了冗話。那麼便立即開始吧」
「はははっ、ご承知しております。しかし最近は公方様の眼が厳しく、皆様をお招きして連歌会を楽しむ事すら、良からぬ事を企てていてけしからんと疑われる始末です。それ故、多くの方々をお誘い出来ぬ状況でございます。もう少し人をお誘い出来れば、連歌会も華やかになるというもの……失礼、皆様の前でらちもない事を申しました。では早速、始めさせて頂きます」
前久如此輕描淡寫地帶過,但當然連這些牢騷亦是在計算之中才說出口。
さらりと流した前久だが、勿論この愚痴すらも計算に入れて言葉にしていた。
因為對食物如猛毒般上癮的人,將前久的宴會視為至高的樂事,即使有事無法親自出席也會派人代為出席。
食の猛毒が全身に回った人間は、前久の宴会が何よりも楽しみであり、例え用事で参加が出来ない状況でも代理人を立てるほどだ。
因為前久會送上梅干、出汁味噌、醬油等尾張的特產作為伴手禮。
お土産に梅干しや出汁味噌、醤油など尾張の特産品が前久より贈られるからだ。
他們對那味道已成中毒,但為了面子會擺出輕蔑的態度;不過若是來自近衛家的贈禮,就有理由不能輕易回絕。
彼らはその味に中毒症状を起こしているが、面子の関係から見下す態度を取っている。だが近衛家からの贈り物なら、無下に出来ないと言い訳が立つのだ。
「呵呵呵,麻呂什麼也沒聽見」
「ほほほ、麻呂(まろ)は何も聞いておりませぬ」
坐在前久旁的人一邊輕輕帶過,一邊吟誦了這句。
前久の隣にいる人物が軽く流しながら句を述べる。
然而表面雖然和顏悅色,內心對現將軍義昭卻恨得腸子都要翻滾了。
しかし表面上はにこやかなものの、内心は現将軍の義昭に腸が煮えくり返る思いだった。
他已被前久的猛毒佔據全身,成了無可救藥的醬油狂熱者。當然,他並非單獨一人。
彼は前久の猛毒に全身を侵され、手遅れ状態な醤油狂である。勿論、彼だけではない。
被出汁味噌與醬油迷惑心智的人,已多到雙手數不過來。前久利用這些有力者的人脈,對朝廷發動了間接的接觸。
出汁味噌や醤油に精神を狂わされた人間は、既に両手では数え切れないほどだ。その有力者たちの持つ人脈を使って、前久は朝廷へ間接的なアプローチを仕掛けていた。
「不愧是近衛殿,料理與酒都拿到上等貨色,廚師的手藝也極佳」
「流石は近衛殿。料理も酒も良いものを手に入れておられる。また調理人の腕前も良い」
「麻呂喜歡這個照燒,色澤光亮奪目,淋上的醬汁格外美味」
「麻呂はこの照ぬ(・)焼きが良い。眼麗しく輝いておるし、かかっている汁がいとうまし」
「不,麻呂認為這邊的塔塔醬(即タルタルソース)也難以放下」
「いや、こちらのたぬたぬ(・・・・)汁(タルタルソースの事)も捨てがたいと麻呂は思いますぞ」
宴會上的料理得到實力者們的一致讚許。即使是熟知京城料理、口味挑剔的他們也對這等逸品點頭稱讚,面對這般佳餚,前久暗自竊喜。
宴会の料理に実力者たちは太鼓判を押す。京の料理を知り尽くし、舌の肥えた彼らでも太鼓判を押すほどの逸品を前に、前久は密かにほくそ笑む。
「(呼呼呼,盡情品嚐,任由美食之毒將你們淹沒吧,連想要抵抗都無從談起……)能得各位垂青,實在榮幸。今日備有多款酒菜,請諸位慢慢享用。」
「(ふふふっ、存分に味わい美食の毒に溺れるが良い。抗おうと考えられぬほど……な)お気に召して幸いです。本日は酒と料理を多数ご用意致しました。どうぞ皆様、ごゆるりと堪能してください」
前久用他特有的手段,穩紮穩打地在朝廷中鞏固了自己的立足點。
前久は前久なりの手段を用いて、着実に朝廷への足場を固めていった。