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戦国小町苦労譚

千五百六十九年九月上旬

從稻米收穫到徵收賦稅一切結束之後,靜子便開始更常前往伊勢灣一帶。

米の収穫から税の徴収までを終えた頃から、静子は伊勢湾方面に訪れる事が多くなった。

因為她參與了信長的港灣都市群計畫。

それは信長の港湾都市群計画に携わっているからだ。

通讀精確日本地圖的信長,在知多半島擬建數座港灣城市,制定以海運連結伊勢與尾張的都市計畫。

正確な日本地図を熟読した信長は、知多半島に幾つかの港湾都市を建設し、伊勢と尾張を海運で繋ぐ都市計画を打ち立てた。

計畫目的在於將當地漁業與養殖業生產的物資迅速運往京、堺、三河,以獲取龐大利益。

現在の漁業や養殖業で生産されたものを、素早く京や堺、三河へ輸送する事で莫大な利益を得る事が計画の目的だ。

海運在重量與距離的單位成本上遠低於其他運輸方式,是大量長距離運輸的最佳方法。

海運は重量や距離当りのコストが、他の運搬手段に比べて格段に安く、まさに大量・長距離輸送に最適な方法だ。

雖然運輸時間比陸路長,但若如信長般掌握精密日本地圖,海路的大量運輸仍能充分享受其優勢。

輸送時間は陸路より長くなるものの、信長のように精密な日本地図を持っているならば、海路による大量輸送は十分メリットを享受出来る。

本來伊勢灣周邊便是海運興盛的地區。

元々、伊勢湾周辺は海運が盛んな地域だ。

以作為近江國與東國物資中繼地的伊勢桑名、阿濃津為首,還有作為伊勢神宮外港的大湊與鳥羽泊浦等地,都以此為中心進行大量貿易。

近江国と東国との物資の中継地点である伊勢桑名・阿濃津をはじめ、伊勢神宮の外港としての大湊や鳥羽泊浦などを中心に多くの交易が行われている。

特別是大湊,為東海道一帶神宮領年貢米的陸上卸貨地,故除了物資外人與金亦大量匯集,被說有相當可觀的關銭收入。

特に大湊は東海道一帯に広がる神宮領の年貢米が陸揚げされる著名の地ゆえ、物資の他に人や金も多く集まったため、相当額の関銭収入があったと言われている。

信長直營的港街,已經有各式船舶活躍往來。

信長直営の港街は、既に多種多様の船舶が活発に往来していた。

只要事先取得許可,不論畿內、西國或東國皆可停泊,且若支付保證金還能在港街進行商業交易。

事前に許可を取れば畿内、西国、東国を問わず停泊が可能、更に保証金を支払えば港街での商取引も可能だからだ。

雖說港街相當開放,但並未出現犯罪增加或與在地居民的摩擦,良好的治安得以維持。

開放的な港街ではあるものの、犯罪の増加や地域住民との摩擦は起こらず、良好な治安が維持されている。

商船能高效率運輸大量物資,因此一次商交易流動的金錢額與陸路相比天壤之別。

商船は多くの物資を効率よく輸送する。故に一度の商取引で動く金子は陸路と桁違いだ。

理解此點的信長認為,保障安全與對治安的信賴為港街繁榮的前提,於是動員警察隊全力剷除擾亂社會秩序者並預防犯罪。

その点を理解していた信長は、安全の確保と治安への信頼こそ港街が繁栄する大前提と考え、警ら隊の総力を上げて社会秩序を乱す者の摘発や、犯罪防止に力を注いだ。

此外與其他治安部隊不同,港街的警察隊接受六條(整理、整頓、清潔、清掃、作法、躾〈規矩〉)的教育。

また他の治安部隊と違い、港街の警ら隊には六箇条(整理、整頓、清潔、清掃、作法、躾)の教育を行った。

凡事徹底、不怠慢,日復一日默默致力於維持治安,信長的港街於短期內成功獲得商人的信賴。

凡事徹底を怠らず、日々黙々と治安維持に励む事で、信長の港街は短期間の内に商人の信頼を獲得する事に成功した。

其中一處若完工將成為尾張最大級規模的港街,靜子帶著才藏前往視察。

その内の一つ、完成すれば尾張最大級の規模になる港街に、静子は才蔵を連れて訪れた。

「琴小姐,您好嗎?」

「お元気ですか、琴さん」

在歡樂街的一家茶屋,坐在店前緣台上抽著煙管的風情女子一被發現,靜子便向她搭話。

歓楽街にある茶屋、その店の前に置かれた縁台に腰掛けて、キセルをふかしている艶のある女性を見つけるやいなや、静子は彼女に声をかける。

被稱作琴的女子似乎困倦、懶散地只轉了轉臉,認出是靜子後便挪出足夠讓她坐下的位子。

眠たいのか億劫そうに顔だけ向けた琴と呼ばれた女性は、相手が静子だと分かると彼女が座れる分の空間を開けた。

「哎呀哎呀是靜子大人。卑微的娼女有何貴幹?」

「これはこれは静子様。卑しい女郎に何の御用でしょうか」

「聽說幾日前在花街發生了喧嘩,之後的情況如何我就來看看。」

「数日前に花街で喧嘩があったと聞きましたが、その後どうなのかと思いまして」

靜子半信半疑地聽著琴的話,然後在她讓出的空位上坐下。

静子は琴の話を半分流しながら、彼女が開けた場所に座る。

「花街禁絕喧嘩,任何人一律兩敗俱傷處理。如織田大人所定,交由警察隊處理即可結案。店主,請上兩份茶與蕎麥餅。」

「花街は喧嘩ご法度、いかなる人物も喧嘩両成敗。織田様の決められた通り、警ら隊に引き渡して終わりですよ。店主、茶と蕎麦餅を二人前ね」

「是嗎,那就好。話說回來,蕎麥餅要兩份,你就這麼喜歡嗎?」

「そうですか、それは良かったです。所で蕎麦餅を二人前って、それだけ好きなのですか?」

「……才藏大人。靜子大人有時候真是會忘東忘西呢。」

「……才蔵様。静子様はたまに抜けている所がありますね」

「我不否認。」

「否定はしません」

說罷兩人一起嘆了一口氣。

そう言った後二人揃ってため息を吐く。

不明所以的靜子看著兩人的樣子,疑惑地歪著頭。

何が何だか分からない静子は、二人の様子を見て不思議そうに首を傾げる。

「就靜子大人的立場來說,那是『請客』。我們做著好生意,過去無論到哪裡,那些混蛋的『座』總會來糾纏。」

「静子様的に言えば『奢り』ですよ。こちとら良い商売させて貰っている身ですからね。今まではどこへ行っても、糞どもの『座』が絡んできましたから」

「我只是單純提供場地而已。若生意興隆,那不正是琴妳們努力的證明嗎?」

「私はあくまで場を提供した身ですよ。商売繁盛しているのなら、それは琴さんたちが頑張った証ではないでしょうか」

「……妳還是一如既往的特立獨行。很多人覺得女郎坐的地方不可饒恕,但妳卻無所謂地坐下來。」

「……相変わらず変わったお人だね。女郎が座っている場所など言語道断、という連中が多いっての、あんたは気にせず座るのだね」

對於靜子的言行感到無言的琴吸了口煙管,隨即把菸蒂丟進備用的撲灰器。

静子の言動に呆れた琴は、煙管(キセル)をふかした後、タバコを備え付けの灰吹きに捨てる。

占據歡樂街一隅的花街大致可分為三區,每區都有其有力者。

歓楽街の一角を占める花街には大きく別けて三つの区があり、それぞれの区に有力者が存在している。

一之區的有力者為琴,二之區為咲,三之區為音。

一之区の有力者・琴(こと)、二之区の有力者・咲(さき)、三之区の有力者・音(おと)。

三人注意不互相侵犯地盤,並獨佔花街的利益。

三人は互いの縄張りを犯さないよう注意しつつ、花街の利益を独占していた。

信長容許她們獨佔花街利益的理由,是作為她們管理包含性服務的娼女之回報。

花街の利益独占に対して信長が容認している理由は、彼女たちが性的サービスを含む女郎の管理を行っている事への見返りだからだ。

人潮擁擠的街,即便如何嚴厲取締,娼女也不會消失。

人で溢れかえる街は、どれほど厳しく取り締まっても女郎がいなくなる事はない。

於是信長想,既然如此便將對自己有利的花街從一開始納入歡樂街,將娼女集中安置其中即可。

ならば自分たちの利益になる花街を最初から歓楽街に組み込み、そこへ女郎を押し込めれば良いと信長は考えた。

因此信長施行了女郎令,並在各處懸掛刻有法令的木札。

それを理由に信長は女郎令を施行し、令の書かれた木札を至る所に掲げた。

娼妓被強制登錄到女郎名冊,禁止未登錄者營業;已登錄者亦被禁止在花街以外處所營業。

女郎名簿に登録する義務を女郎に課し、無登録での営業を禁じた。また登録者も花街以外での営業を禁じた。

違反者會被逮捕訊問,之後孤身一人被驅逐出街。

これらに違反した者は、逮捕され取り調べを受けた後、身一つで街から追放される。

但大多數違規者並非由警巡隊審問,而是遭到花街有力者對擾亂地盤者的制裁(私刑、凌虐)。

しかし大半の違反者は警ら隊の取り調べではなく、花街の有力者からシマ荒らしに対する制裁(リンチ)を受けていた。

「我只是把自己的工作做好而已」

「あたしは自分の仕事をこなしているだけですよ」

琴把煙管放在一旁,視線未移,帶著漫不經心的表情低聲說道。

煙管(キセル)を脇に置くと、琴は視線を変えず何気ない表情で呟く。

「真是,時間過得快。這城裡也滲入了各國的間者。據我所查有武田、上杉、北條,同盟國的淺井與德川,還有本願寺與延曆寺。其他也有不少,但就大勢而言大概就是這些了」

「本当、早いものだねぇ。この街にも様々な国の間者が入り込んでいますよ。調べた限り武田、上杉、北条、同盟国の浅井と徳川、そして本願寺に延暦寺だね。他にも色々といるが、大きな所ではそれぐらいよ」

花街以被信長容許獨佔利益為代價,承擔各種事務。調查外國間者也是其中之一。

花街は信長から利益の独占を容認される代わりに、様々な事を受け持っている。他国の間者を調べあげるのも、その内の一つだ。

此外還有對無許可的娼妓施以制裁以防性病蔓延,或以納貢代替稅賦等細則被訂定。

他にも無許可の女郎に制裁を加えて性病のまん延を防いだり、税の代わりに上納金を収めたりと細かい取り決めが交わされている。

「館公打算建立大規模的港灣都市群。即便是同盟國,也有必要事先查明吧」

「お館様は大規模な港湾都市群を作ろうとしているからね。たとえ同盟国であろうとも、調べておく必要があると考えたのでしょう」

「我對政事完全不懂呢。喔,店主,終於把蕎麥餅端來了嗎」

「あたしには政(まつりごと)が全く分かりませんわ。おっと、店主。ようやく蕎麦餅を持ってきたのかね」

一名看似店主的人從茶屋深處端著托盤出現,托盤上放著茶與平盤。

茶屋の奥から茶と平皿をお盆に乗せて、店の主人らしき人物が姿を現した。

他一邊為遲到道歉,一邊把雙手端著的托盤遞給靜子和琴。

彼は遅くなった事を謝罪しつつ、両手に持っているお盆を静子と琴に手渡した。

琴接過托盤後把錢交給店主。數了數錢是否足夠後,店主帶笑喃喃道「まいどあり」,然後退回店內深處。

お盆を受け取ると琴は代金を店主に渡す。代金が足りているか数えた後、店主は笑顔で「まいどあり」と呟いて店の奥に引っ込んだ。

「謝謝。琴小姐,多謝款待」

「ありがとうございます。琴さん、ご馳走になります」

「別客氣。多虧了靜子大人,才能輕易吃到甜點。該感謝的是我才對」

「良いって。こっちは静子様のお陰で甘い菓子が手軽に食えている身だ。感謝するのはあたしの方だよ」

蕎麥餅是將蕎麥粉、米粉、鹽、廢糖蜜(原本是砂糖)與水混合後,邊加熱邊揉製,整形再蒸熟而成。茶則是自古受人喜愛的艾草茶。

蕎麦餅は蕎麦粉、米粉、塩、廃糖蜜(本来は砂糖)、水を混ぜた後、火を通しながら練り上げ、形を整えて蒸したものだ。茶は古くから愛飲されているよもぎ茶だ。

海運使得船員容易營養不良,基於此,港街施行價格限制令,規定提供既美味又有營養且低價的餐食。

海運は船員が栄養不足になりやすい。その点を考慮し、港街の食事は美味しく、かつ栄養のあるものを低価格で提供する価格制限令が施行されている。

為了讓男女老幼皆可購買,甘酒與烤番薯的價格上限為五文,蕎麥糰子與掛蕎麥湯麵則限制最高十五文。

甘酒や焼き芋は老若男女問わず購入出来るよう最高で五文、蕎麦がきやかけ蕎麦は最高で十五文に価格を制限している。

其中最受歡迎的食物是烤番薯與烤鳥串,視停泊船舶情況,有時會出現長到需要警巡隊出動維持隊伍秩序的排隊人潮。

中でも人気を誇る食べ物が焼き芋と焼き鳥で、停泊する船舶次第では警ら隊が列の整理に駆り出されるほど長蛇の列が出来る事もある。

「蕎麥餅很好吃,但因為使用廢糖蜜,顏色就會變得單一呢」

「蕎麦餅は美味しいですが、廃糖蜜を使う関係で色が単色になってしまいますね」

「那正是店主展現手藝的地方吧」

「そこは店主の腕の見せどころでしょ」

廢糖蜜雖屬食品廢料的一種,但含糖量大約有六成左右。

廃糖蜜は食品廃材の一種ではあるが、六十パーセントほど糖分を含んでいる。

靜子曾將這廢糖蜜用作肥料、製取乙醇、朗姆酒、甲類燒酎(白酒)的原料,但最近則以和菓子的甜味劑形式提供。

静子はこの廃糖蜜を肥料、エタノール、ラム酒、甲類焼酎(ホワイトリカー)の材料に使っていたが、最近では和菓子の甘味料として提供していた。

「多謝款待。我該告辭了」

「ご馳走様でした。そろそろ私はおいとまします」

聊天兼資訊交換結束後,靜子向琴行了一禮,然後起身離席。

雑談を交えた情報交換が終わると、静子は琴に一礼して席を立つ。

「嗯,有事就聯絡我」

「ああ、何かあったら連絡するよ」

琴揮了揮手送別靜子。靜子再行低頭致意後,帶著才藏離開了。

琴は手をひらひらと振って静子を見送った。静子はもう一度頭を下げた後、才蔵を連れてその場を去った。

當她的背影消失時,琴一邊把菸草塞進煙管,一邊低聲喃喃道。

彼女の背中が見えなくなった頃、タバコを煙管(キセル)に詰めながら琴はポツリと呟いた。

「果然還是個難以捉摸的女子」

「相変わらず腹の底が読めない娘だ」

八月二十六日。

八月二十六日。

以秀吉為先鋒的織田軍開始對北畠家的重臣大宮入道所據守的阿坂城發起攻城。森可成也參軍於阿坂城之攻擊,長可與慶次自然而然也隨軍出陣。

北畠家の重臣である大宮入道が籠城する阿坂城に、秀吉を先駆けとした織田軍が城攻めを開始した。阿坂城攻めには森可成も参軍しており、必然的に長可と慶次も阿坂城攻めに参軍した。

在攻城開始前,森可成對長可僅說了句「若想被認為是一流武將,就要讓周圍的人認可你的才幹」,然後把他與慶次一同丟入足輕中。

城攻めが始まる前、森可成は長可に『一端の武将と認められたければ、周りが納得する才を見せてみろ』とだけ告げ、慶次と共に足軽の中へ放り込んだ。

把他與慶次一同投入,顯示森可成對子嗣尚未完全嚴苛,但即便如此也無意因為是兒子而特別優待長可。

慶次と共に放り込む辺り、子への甘さは完全に捨てられなかった森可成だが、それでも子どもだからという理由で長可を特別扱いする気はない。

雖然有些驚訝,長可並未耍脾氣,反而更加決心向父親展示自己的才能。

多少は驚いたものの長可はふて腐れる事なく、逆に父親へ己の才を見せつけてやると意気込んだ。

「勝藏,不要有奇怪的負擔。別擔心,要是失手也只是死而已」

「勝蔵、変な気負いはするなよ。何、心配するな。しくじったら死ぬだけさ」

對於因過於激昂而緊繃的長可,慶次露出如常的微笑。

意気込み過ぎて無駄な力が入っている長可に、慶次はいつもと変わらぬ笑みを浮かべる。

被慶次的態度分散注意後,長可為了讓自己冷靜下來,調整呼吸。

慶次の態度に気が紛れた長可は、自身を落ち着けさせるため呼吸を整える。

從鼻子吸氣約兩秒,接著屏息約五秒,然後耗費近十秒的時間從口中慢慢吐氣。

二秒ほど鼻から息を吸い、そのまま五秒間息を止める。そして一〇秒近く時間をかけて、口からゆっくり息を吐き出す。

若持續做三到四次,長可多餘的力道與緊張便會消失,身心進入放鬆狀態。

これを三回から四回続けて行うと、長可から余計な力や緊張が抜け、心身ともにリラックスした状態になった。

「這次城內就是戰場。十文字槍有時會因長度而處於不利……嗯……對了,就用那把武器試試看吧」

「今回は城の中が戦場だ。十文字槍では長さが不利になる事もある。ふむ……そうだ、例の武器を使ってみよう」

「初陣就來個試試看,真會想出有意思的事啊。那種我可不討厭。」

「初陣でお試しとは、随分と楽しい事を考えるじゃないか。そういうの、俺は嫌いじゃないぜ」

兩人聊著打發無聊時,忽然從遠處傳來士兵們的咆哮聲。

二人が退屈を紛らわす会話をしていると、突然遠くから兵士たちの咆哮が耳に届いた。

立刻明白,前軍已開始攻打阿坂城。命令隨即也傳到了長可和慶次所在的中軍。

すぐに理解する。前軍が阿坂城攻めを開始した事を。すぐさま長可と慶次のいる中軍にも、阿坂城攻めの命令が飛んだ。

長可聽到命令後為了激勵自己,一邊用力跺地一邊放聲吼叫,那聲音大到附近的雜兵都捂住耳朵。

命令を聞いた長可は自分を鼓舞するため、地面を力強く踏みながら咆哮を上げる。それは近くにいた雑兵たちが全員耳を塞ぐほどだった。

「嗚哇啊啊啊啊啊啊啊!!! 將軍的首級在哪裡ーーッ!!」

「うおおおおおおおおおおおおっ!!! 武将の首はどこだーーッ!!」

如同「豬突猛進」這詞般,長可勇猛地衝了出去。

猪突猛進という言葉が似合うほど、長可は勇ましく突っ走っていく。

長可每日默默訓練穿著甲冑也能有效奔跑,多虧如此,他超越了同樣奔跑的足輕與雜兵,不知不覺跑到中軍的最前端。

甲冑を身に纏った状態で効率良く走る訓練を、長可は日々黙々と励んでいた。そのお陰で彼は同じく走る足軽や雑兵たちをごぼう抜きし、いつしか中軍の先頭を走っていた。

他穿過織田軍與北畠軍雜兵攻防的夾縫,直奔城門而去,他的目標只有一個:奪取首級。

織田軍と北畠軍の雑兵たちが攻防を繰り広げる中を走りぬけ、長可はひたすら城への入り口を目指す。彼の目標は唯一つ、首級を上げる事だ。

為此他攜帶了好幾種武器,其中一把晨星在不知不覺中已被他緊握在手。

その為に彼は幾つもの武器を携帯していた。その内の一つであるモーニングスターを、彼はいつの間にか握りしめていた。

在日本,鬼所持的金砕棒(かなさいぼう)是一種與晨星相似的武器。

日本では鬼の持つ金砕棒(かなさいぼう)が、モーニングスターに類似する武器だ。

東西方皆然,鎧甲難以被斬開,但對於打擊的耐受力較低。

東洋西洋問わず、鎧は断ち切ることは困難であるが、打撃に対しては耐性が低い。

在寬闊空間裡,殴打武器會因為長短差而吃虧,但城內多為陡峭階梯與狹窄通道,長柄武器反而難以施展。

広い空間なら殴打武器はリーチの差が問題になるが、城は急な階段や狭い通路が多く、そのためリーチの長い武器は扱いが困難になる場合がある。

為了解決這個問題,長可直覺想到使用打擊武器;想到就立刻行動,他馬上請鍛冶屋製作晨星。

その問題点の解決策として、長可は打撃武器を直感的に思いつく。思い立ったが吉日、すぐさま長可は鍛冶屋へモーニングスターの製造を依頼した。

成品看起來沉重,但靠槓桿原理與離心力揮擊,不需要太多蠻力即可奏效。

出来上がったものは重量感ある見た目をしているものの、テコの原理と遠心力で殴打するため、人の力はそれほど必要としない。

「礙事啦ーーッ!!」

「邪魔、だーーッ!!」

長可的晨星突然從側面插入,砸進在城門前阻擋秀吉軍的敵兵的側腹。

城門前で秀吉軍を足止めしている敵兵の脇腹に、突如横から現れた長可のモーニングスターがめり込む。

只聽到骨頭碎裂與肉體被碾碎的聲音,敵兵還沒叫出聲就因骨與內臟被壓碎的劇痛而休克死亡。

骨が砕ける音と肉の潰れる音しかしなかった。敵兵は悲鳴を上げる前に、骨と内臓が潰された痛みでショック死していたからだ。

血肉與體液四濺,敵兵的屍體像破布般滾落。

血と肉、体液をまき散らしながら、敵兵の死体がボロ雑巾のように転がっていく。

親眼目睹一切的兩陣營士兵說不出話來,呆愣地看著長可站在那裡。

事の一部始終を目の当たりにした両陣営の兵士たちは言葉を失い、長可を見ながら呆然と立ち尽くす。

長可看準時機,將呆站著的北畠兵一個個痛擊致死。

長可はそれを好機と捉え、呆然と立ち尽くす北畠兵を次々と撲殺していった。

當長可的甲冑被血染紅時,北畠兵終於反應過來;但同時,他們的戰意全被徹底粉碎了。

やがて長可の甲冑が血塗れになった頃、ようやく北畠兵の頭の理解が追いついた。しかし追いつくと同時、彼らの戦意は完全に粉砕した。

「有、鬼啊ーー!!」

「お、鬼だー!!」

敵兵像被驚散的蜘蛛幼子般四處奔逃。

蜘蛛の子を散らすように敵兵が逃げ惑う。

「真是失禮的傢伙。」

「失礼な奴らだな」

長可一邊重新扛起晨星一邊低語,然後無視逃竄的敵兵,衝進城內。

モーニングスターを担ぎ直しながら長可は呟く。彼は逃げる敵兵を無視し、城の中へ突撃する。

阿坂城內已成亂戰,到處都是織田軍與北畠軍的小規模衝突。說北畠軍善戰實在難以成立,他們被織田軍的氣勢壓制,士兵紛紛喪命。

阿坂城内は既に乱戦状態で、至る所で織田軍と北畠軍が小競り合いを繰り広げていた。北畠軍は善戦していると言い難く、織田軍の勢いに飲まれ兵士たちは次々と命を散らせていた。

長可無視雜兵間的混戰,奔走城中尋找敵方武將的首級,但並未碰巧遇到目標。

長可は雑兵同士の乱戦を無視し、敵武将の首を求めて城の中を走り回る。しかし都合良く敵武将が出くわす事はなかった。

他一邊在城內奔跑,一邊試用適合狹窄處的武器對付雜兵,例如五英尺(約1.5公尺)的槍、或比刀更接近脇差的短刀等。

彼は城の中を走り回りながらも、雑兵相手に五フィート(約1.5メートル)の槍、刀というより脇差しに近い長さの刀など、狭い場所向けの武器の使い勝手を試す。

在這些武器中,他覺得長約一公尺的晨星既方便又好用。

その中で一メートル程度のモーニングスターは、お手軽で使い勝手が良いと彼は思った。

雖然一旦揮動後難以改變勢向是個缺點,但它幾乎能一擊擊倒雜兵,且外觀凶惡能使敵兵喪失戰意,這是它的優勢。

一度振り回すと勢いの向きを変え難い欠点はあるものの、ほぼ一撃で雑兵を撲殺出来、見た目の凶悪さで敵兵の戦意を喪失させられる利点があった。

最重要的是,晨星看起來沉甸甸的,無論敵友都能看出他的力量,這讓他感到無比愉悅。

何よりモーニングスターは重量感のある見た目をしており、敵味方問わず自分の力を見せつける事が出来る。それが彼にとっては何よりも心地よかった。

(空氣好熱,這就是戰場的氣息嗎……不賴!)

(空気が熱い。これが戦場の空気か……悪くねぇ!)

長可一邊碾碎迎面而來的敵兵,一邊在城中奔走尋找能成就武勲的武將。

歯向かってくる敵兵を潰しつつ、長可は城の中を走り回って武勲となる武将を探す。

當織田軍的勝利幾乎確定時,他終於發現了敵方武將。看到周圍由足輕護衛,長可推測那人應有相當的地位。

織田軍の勝利がほぼ確定した頃、ようやく彼は敵武将を見つけた。周囲を足軽たちが守っている所から、敵武将はそれなりに立場のある人間と長可は推測した。

他壓抑高昂的情緒,斬倒撲上的織田兵,開始分析那試圖突圍求生的敵將。

彼は高ぶる気持ちを落ち着けさせると、襲いかかる織田兵を斬り伏せ、活路を見出そうとする敵武将の分析を開始する。

(……雖然有點不夠過癮,但若錯過這個機會就無法在初陣取首級。好!)

(……少々物足りないが、この機会を逃せば初陣で首級を上げられない。よし!)

打起精神後,長可把晨星換成了槍,免得萬一把臉打爛就認不出那武將是誰。

気合を入れた後、長可はモーニングスターから槍に持ち替える。万が一、顔を潰したら武将が誰か分からなくなるからだ。

「怎麼樣! 就算是強大的織田軍,士兵的戰力也沒什麼了不起嘛!」

「どうした! 強大な織田軍と言っても、兵の強さは大したことないな!」

敵將一邊嘲笑織田兵,一邊向附近的雜兵揮刀。被恐懼吞噬的織田兵只能呆呆看著落向自己的刀鋒。

織田兵を嘲笑いながら敵武将は近くの雑兵へ斬りかかる。恐怖に飲まれた織田兵は、ただ呆然と自分へ降りかかる刀を見る事しか出来ない。

但敵將的刀並沒有落在織田兵身上,因為長可的槍擋下了那一刀。

だが敵武将の刀が織田兵を斬る事はなかった。長可の槍が敵武将の刀を受け止めたからだ。

他就這樣用蠻力把刀推回去。被意外情況攪亂心神的敵將無法承受長可的力道,身體向後仰去。

彼はそのまま力技で刀を押し返す。予想外の事に動揺していた敵武将は、長可の力を受け止められず、身体を後ろへ仰け反らせる。

「雜兵看多了應該膩了吧。來,讓我來應付你」

「雑兵ばかりで飽きただろう。来な、相手をしてやる」

面帶從容的長可用右手除拇指外的四指向上彎曲又伸直,對敵將做出廉價的挑釁。

余裕の表情を浮かべた長可は、右手の親指以外の四本指を、上向きに曲げたり伸ばしたりして敵武将に安っぽい挑発をする。

「小童!連那槍一起斬了你!?」

「小童が! その槍ごと叩き斬ってやる!?」

被激怒的敵將推開周圍的人揮刀欲斬長可,但他正要揮刀的瞬間,長可的槍精準地刺穿了敵將的喉嚨。

乗せられた敵武将は周りを押しのけて長可を斬るため、刀を振りかぶる。しかし彼が振りかぶった瞬間、長可の槍が正確に敵武将の喉を貫いた。

「我不需要像你這種會被廉價挑釁輕易唬住的名字,只把首級留給我就好」

「安っぽい挑発に簡単に乗るお前の名など要らん。首だけ置いていけ」

「咯……咳咳……」

「ごが……ごぼ……」

敵將發出說不成聲的叫聲倒下。連一場對切都沒發生,比他們整體小一圈的長可瞬間定下勝敗,眾人驚愕失聲。

声にならない声を上げて敵武将が崩れ落ちる。一度の斬り合いすらなく、自分たちより一回りも小さい長可が一瞬で勝敗を決めた事に、みな声を失った。

「我要把首級帶走了」

「首級、頂いていくぜ」

面對愣在原地無法理解情況的雜兵,長可彷彿理所當然地宣告道。

その場の状況が理解出来ず、立ち尽くしている雑兵たちに向かって、当然と言わんばかりに長可は宣言した。

曾抵擋過室町幕府三萬大軍、揚名天下為「難攻不落之城」的阿坂城,在織田軍的猛攻下當日即告失守。

かつて室町幕府三万の軍勢にも耐え、「難攻不落の城」の名声を天下に知らしめた阿坂城は織田軍の猛攻の前に即日落城した。

北畠家的首席家老般的重臣、阿坂城城主大宮入道含忍斎被擒。

北畠家の筆頭家老的重臣であり、阿坂城の城主である大宮(おおみや) 入道(にゅうどう) 含忍斎(がんにんさい)は捕らえられた。

可惜的是,他的長子——曾重創秀吉大腿的大宮入道含忍斎之長男、大宮大之丞景連逃脫了。

惜しくも彼の長男であり、秀吉の大腿部に重傷を負わせた大宮入道含忍斎の長男・大宮(おおみや) 大之丞(だいのじょう) 景連(かげつら)は逃げ延びた。

秀吉對景連這個曾使他大腿重傷之人竟然逃脫感到憤怒。

自身の大腿部に重傷を負わせた景連に、まんまと逃げられた事に秀吉は憤慨する。

他立刻命士兵去尋人,但似乎也不抱有太多希望,下令後長嘆一聲。

すぐさま探し出すよう兵士に命じるが、彼自身も良い結果が出るとは思っていないのか、命じた後に重いため息を吐いた。

長可也望著天空,沉重地嘆了口氣。

長可もまた、空を見ながら重たいため息を吐く。

之後他斬了幾個首級,但全都是默默無名之輩。想以初陣大放異彩的長可,這才體認到現實並不如人所願。

彼はあの後、首級を幾つか上げたが、どれも名の知られていない人物ばかりだった。初陣を華々しく飾りたかった長可だが、現実は甘くない事を思い知った。

「得把找人的方法再弄得更有效率才行啊」

「探す方法をもうちょっと効率良くしないとなぁ」

「喲,勝藏。怎麼樣?初陣有沒有出彩?」

「おっす、勝蔵。どうだ? 初陣は華々しく飾れたか?」

長可正苦惱於是否該學習築城之術時,當初在攻城時忽然消失的慶次突然冒出現身。

築城の勉強をするべきか長可が思案に暮れていると、城攻め時に忽然と姿を消した慶次がひょっこり姿を見せた。

平常肯定會盤問慶次都去了哪,但此刻心情低落的長可連追問的力氣都沒有。

普段なら何をしていたか問いただす長可だが、落ち込んでいる今の彼には慶次を問いただす気力すら湧かなかった。

「如果初陣真有華麗的結果,現在早就不會在這裡消沉了」

「初陣が華々しい結果なら、今ごろこんな所で腐っておらん」

「哇哈哈,那真是可惜。不過要是什麼都順利,也未免太無聊了」

「わはははっ、それは残念な話だ。だが、何もかも上手く行ったら、それはそれでつまらないと思うぞ」

「我知道,但被你這麼一說就生氣了。順帶問一句,為什麼那些雜兵奇怪地弱,你知道什麼原因嗎?」

「分かっているが、お前に言われると腹が立つ。所で一つ聞きたい。雑兵が妙に弱かったのだが、何か知らないか?」

長可回想起攻城時的情況。不像堅牢的阿坂城應有的士兵,雜兵和足輕們很快就投降了。

長可は攻城中の事を思い返す。堅牢な阿坂城の兵士に似合わず、雑兵や足軽たちはすぐさま降参した。

起初他還看他們是軟骨之輩,但一想到城主大宮入道拒絕織田軍的降伏勸告並表現出徹底抗戰的態度,就知道足輕們迅速投降是不尋常的。

最初は腑抜けどもと見下したが、城主の大宮入道が織田軍の降伏勧告に応じず、徹底抗戦の構えを見せた事を考えれば、足軽たちの素早い降伏は異常な状態である事が分かる。

「簡單的事。北畠的領地遭遇了罕見的歉收。我看過了,城內幾乎沒有儲備。大概連足輕和雜兵今天都快吃不飽了」

「簡単な話さ。北畠の領土は、稀にみる不作に見舞われた。見てきたが城の中には殆ど備蓄が残っていなかった。多分、足軽や雑兵たちは今日食うのも困るほどだったのだろうよ」

「……一點儲備都沒有嗎?」

「……蓄えが一切なかったのか?」

「用雜兵把糧倉逐一清查,也審問了俘虜,無論怎麼想都只能得出糧食枯竭的結論。遇上歉收又耗盡儲備,所以足輕們士氣才會低落吧」

「雑兵を使って食料庫を虱潰しに調べた。捕虜に尋問をしたが、どう考えても食料が枯渇している以外の結論は出ない。不作の上に備蓄が底をついている、だから足軽たちの士気が落ちていたのだろうよ」

「嗯——果然靜子很特殊。那傢伙一旦察覺到乾旱或歉收的徵兆,就會搞出些莫名其妙的對策。即便乾旱導致收成下滑,也總能保住一定的產量」

「ふーむ。やっぱり静子は特殊って事か。あいつの場合、日照りや不作の気配が見えたら、何かよくわからん対策しているしな。日照りで収穫が下がる事はあっても、一定の収穫量は常に確保しているし」

「嗯,要不是靜子在我家,軍備恐怕會更少。據說他在動員大軍時仍能留有餘裕」

「まぁうちは静っちがいなかったら、軍備がもっと少なかったと思うぜ。大軍を動かしているのに、まだ余裕があるそうだからな」

北畠所治的南伊勢雖然發生了歉收導致的糧食短缺,卻仍為了對抗織田軍而強行囤積糧食。

北畠の治める南伊勢は不作による食料不足が起きていながら、織田軍と戦うために強引な食料の買い占めを行った。

農民不論統治者是誰,只要有人保護他們就不會多計較。若認為統治者會輕易拋棄他們,便會立刻倒向另一方。

百姓は支配者が誰であろうと、自分たちを守ってくれる人間であれば問題視しない。これは支配者が自分たちを簡単に捨てる人間と理解すれば、すぐに手のひらを返す事を意味する。

信長理解這一點,便以懷柔策收買飢餓的百姓,贏得了他們的信任。

その点を理解している信長は飢えた民を懐柔する調略を行い、彼らの信を得た。

因為若能得到當地民眾的合作,就能取得有關北畠軍的情報、讓情報有意被阻斷,或散布假情報使北畠陣營陷入混亂。

地元民の協力が得られれば、北畠軍に関する情報を入手したり、意図的に情報が遮断されるようにしたり、虚偽の情報を流して北畠陣営を混乱させる事が可能だからだ。

面對軍備底線已現的北畠軍,織田軍不但軍備充足,還開始引入尚處試驗階段的後勤體系。

軍備の底が見え始めた北畠軍に対し、織田軍は十分な軍備があり、更に試行段階とはいえ兵站の導入を行っている。

從尾張、美濃運來的武器與糧食陸續送進陣中,已空載的行李駝隊得到補給。

尾張・美濃から武具類や食料が次々と陣中へ運ばれ、荷物のなくなった小荷駄隊に補給が行われていた。

這種差距不只讓北畠軍感到畏懼,連盟友的神戶氏與長野氏也對信長生出恐懼。

この差に北畠軍は勿論、味方の神戸氏や長野氏も信長に恐怖を覚えた。

他們推斷信長之所以把入侵南伊勢的時機定在九月,是為了把去年的稅糧放出並確保今年稅糧的存放地。

昨年の税で得た米を放出し、今年納められる税の保管場所を確保する為、信長は南伊勢への侵攻時期を九月に定めていた、と理解したからだ。

「這次織田軍老是在試探性的行動。二軍體制也是其中的一環」

「今回、織田軍は試す事ばかりしているな。二軍体制もその一環だ」

「那是什麼?」

「何だそれは?」

「不知道他是否預料到北畠會固守不出,但這次的作戰似乎打算讓五萬兵士每個月輪換一次。」

「北畠が籠城するのを見越していたかは知らないが、今回の合戦は五万の兵士を一ヶ月毎に交代させるそうだ」

信長起初打算投入十萬大軍侵攻伊勢。

信長は当初、伊勢侵攻に十万という大軍を導入する気でいた。

然而在思考伊勢侵攻的作戰時,他注意到一個重大問題:以十萬大軍入侵時,武器甲具和糧食的消耗量會是多少?補給物資的運輸成本又需要多少?

しかし伊勢侵攻の作戦を考えていく上で、彼は重大な問題に気付いた。十万もの大軍で侵攻する際、武具類や食料の消費量はどの程度か。物資の輸送コストはどの程度必要か。

他認為北畠陣營可能選擇固守,採取等待時日流逝的策略,因此決定把在前線戰鬥了一段時間的部隊撤回後方,給予補給與休整。

北畠陣営が籠城を選択し、年が過ぎるのを待つ作戦に出ると考え、信長は最前線である程度戦った部隊は、一旦後方に下げて補給と休養を与える事にした。

他認為若讓五萬兵士每三十至四十天輪換一次,不僅能對北畠陣營施加精神壓力,還能向其他國家展示仍有兵力餘裕。

五万の兵士を30日から40日ごとに交代させれば、北畠陣営に対して精神的な重圧を与えられ、更に他国に対してもまだ兵力に余裕がある事を見せつけられると彼は考えた。

信長雖然明白兵力逐次投入是愚策,但仍以是否能用五萬兵力完成整個作戰來計算。

無論、戦力の逐次投入は愚策と理解している信長は、作戦の全てを五万の兵士で行えるかどうかで計算した。

「是要對固守的北畠父子施加迫使投降的壓力嗎?」

「籠城する北畠親子を降伏させる為の圧力か」

「對,包圍大河內城四面以促使其投降的作戰。不過即便北畠父子處於劣勢,他們態度頑固不會改變,所以我覺得會很耗時。」

「そ、大河内城の四方を囲んで降伏を促す作戦さ。ただ北畠親子が劣勢に立たされても、頑なな態度を一切崩さないから時間はかかると思うけどな」

「哼,反正不會超過六十天就會投降。」

「ふん、どうせ六〇日もしない内に降伏する」

「也是。這麼想來,北畠氏也不得不說他們愚蠢。自古以來沒有儲備的固守,慘況宛如地獄,局勢幾乎不會好轉。」

「そうだな。それを考えると、北畠氏も阿呆と言わざるをえない。昔から備蓄のない籠城は地獄のように悲惨な上に、事態が好転する事はまずないのに」

「光是餓幾天就軟弱,真想這麼說,但看阿坂城的雜兵,瘦弱的雜兵放在敵軍倒是讓人高興,但若是自軍就會令人頭痛。」

「腹が減ったぐらいでひ弱な。と、言いたい所だが阿坂城の雑兵たちを見るに、やせ細った雑兵は敵側だと有りがたいが、自軍の場合は頭を悩ませる事になるな」

「織田軍不會發生糧食危機。而且今年正是靜子的政策結出成果的一年。」

「織田軍は食糧難にならんからねぇ。おまけに今年は静っちの政策が実を結ぶ年だし」

「啊,是岐阜米吧。靜子好像說那是能大量種出美味米的品種。」

「あぁ、岐阜米だったかな。確かあれは旨い米が沢山作れる品種、と静子が言っていたな」

岐阜米原本是為了在狹小土地上提高產量而研發的品種。

岐阜米は元々狭い土地で生産高を上げる為に研究開発された品種だ。

預期收成超過赤米和黑米,而且比赤米黑米美味得多。

赤米や黒米を超える収穫が見込め、更に赤米や黒米とは比較にならないほど美味しい。

此外因為是以抗病害蟲的品種雜交培育而成,即使有機栽培也能接近農藥栽培的產量。

また病害虫に強い品種を掛け合わせて作り上げたため、有機栽培でも農薬栽培に近い収穫量が可能だ。

那岐阜米的栽培從今年起已經擴及尾張與美濃全境。

その岐阜米生産が、今年から尾張・美濃全土に広まったのだ。

「我也看過報告書推測出來的數據……坦白說若不是靜子我會懷疑是不是弄錯了。」

「俺も報告書から推測された数値を見たが……はっきり言って静子じゃなかったら頭を疑っていたな」

「我也是。嗯,我比較喜歡尾張米。好像今年產量相當可觀,回去後很期待。」

「それは俺もだ。ま、俺は岐阜米より尾張米が好みだ。確か今年は結構な量を生産していたはずだから、帰ったら楽しみだぜ」

「尾張米會當作下賜品使用,不知道還會剩下多少。」

「尾張米は下賜品にも使われるから、どれほど残るか分からんぞ」

兩人在這些無聊的交談中返回營地。

そんなくだらないやり取りをしつつ二人は陣へ戻る。

隨後,織田軍稍作休整後包圍了北畠具教、具房父子據守的大河內城。

その後、織田軍は少し休憩を挟んでから北畠具教、具房父子が籠る大河内城を包囲した。

八月二十八日。

八月二十八日。

信長在大河內城東側的山上紮營,隨從有柴田勝家、森可成、佐々成政等。

信長は大河内城の東にある山に柴田勝家、森可成、佐々成政らを従えて陣を張る。

西側有秀吉、氏家卜全(ぼくぜん)、佐久間信盛等人,北側有斉藤新五、坂井右近將監等,南側則配置了丹羽長秀、池田恆輿、滝川一益等。

西側には秀吉、氏家卜全(ぼくぜん)、佐久間信盛らが、北側には斉藤新五、坂井右近将監らが、南側には丹羽長秀、池田恆輿、滝川一益らが置かれた。

此外在四周用鹿木柵結成二重、三重防線,前田利家等人在柵邊警戒。

更に鹿垣を四方に二重、三重に結わせ、柵ぎわを前田利家らが見張った。

包圍開始數日後,信長先動用充足的黑色火藥和在堺採購的火繩槍,藉由軍備差距讓北畠父子心服口服以求精神上屈服。

包囲開始から数日後、信長はまず潤沢にある黒色火薬と堺で調達した火縄銃を使って、北畠父子に軍備の差を思い知らせて精神的に屈服させる作戦に出た。

然而即便使用了遠超常規的黑色火藥、將城牆打得蜂窩狀並多次寄送勸降書到大河內城,十天左右過去仍未收到任何同意投降的回信。

しかし通常の合戦とは比較にならない量の黒色火薬を使用し、城の一部を蜂の巣状にしながら何度も降伏を勧告する書簡を大河内城へ送ったが、十日ほど経っても降伏に応じる旨の書簡は返ってこなかった。

包圍第十二天的九月八日,信長為打破僵局決定發動夜襲。

包囲してから十二日目の九月八日、信長は現状を打破するため夜襲を決意する。

但當日午後起伊勢山上出現灰色雲層,吹在皮膚上的風對於秋天來說偏溫暖。信長感受著這股微暖的風沉思後叫來森可成。

しかし、その日は昼過ぎから伊勢の山々の上に灰色の雲が現れ、肌に感じる風も秋にしては生暖かい。信長は生暖かい風を感じつつ思案した後、森可成を呼び出す。

「可成,今晚會下雨嗎?」

「可成、今宵雨は降ると思うか?」

「……難以明確斷言。但在這種情況下,常常會往不利的方向發展。」

「……はっきりと断言出来かねます。ですがこういう時、悪い方に当たる事は多いです」

「嗯。」

「ふむ」

信長思忖夜襲時下雨會帶來哪些風險。

信長は夜襲時に雨が降るリスクが何かを考える。

他理解到雨會讓火繩槍無法使用、視線變差導致距離判斷錯誤,僅會提高夜襲失敗的風險,因此稍微修改了夜襲的指示。

雨で火縄銃が使えず、視界が悪くなる事で距離感が狂う。それは夜襲が失敗するリスクを上げるだけだと理解した信長は、夜襲の指示を少しだけ変更した。

本來要由南方布陣的丹羽長秀、池田恒興、稻葉一鐵等發動夜襲的安排不變,但若下雨則改為不夜襲、保存兵力的命令。

南に布陣している丹羽長秀、池田恒興、稲葉一鉄らに夜襲を行わせる事自体は変わらないが、雨が降った場合は夜襲をせず兵力を温存するように命令を変更した。

並因雨使視界惡化可能被對方視為良機,故他提醒各方面的將領們「警戒敵方可能的夜襲」。

また雨で視界が悪くなる事は相手側が好機と考える可能性があるため、各方面にいる武将たちに『相手側からの夜襲を警戒せよ』と注意喚起を促した。

這策略奏效;史實中因陣雨使火槍無法使用,恒興等人在城兵抵抗下遭受損失被迫撤退,但因為遇到雨,按照信長指示未進行夜襲而撤退。

これが功を奏し、史実ならにわか雨で鉄砲が使えず、城兵の抵抗の前に損害を被って撤退を余儀なくされた恒興らだが、雨に見舞われたため信長の指示通り夜襲を行わず撤退した。

信長因為讓他們不魯莽突擊而撤兵感到滿意,慰勞丹羽等人並下令給夜襲士兵充足的休息。

無謀に突撃せず兵を引かせた事に機嫌を良くした信長は、丹羽たちを労い、夜襲の兵士たちに十分な休息を与えるよう指示した。

九月十一日,北畠父子仍然不接受投降勸告,並沒有解除徹底抗戰的姿態。

九月十一日、北畠父子は依然として降伏勧告に応じず、徹底抗戦の構えを解かない。

信長想在短時間內結束南伊勢的攻略,但對於堅守城池的對手,靠蠻力攻城會造成無法忽視的兵力損失。

南伊勢の攻略を短期間で終わらせたい信長だが、籠城する相手に力技は兵の損害が無視出来ない。

(在一座看似沒有糧食的城中堅守,卻為何家臣們的怨氣不高漲?)

(食料がないと思われる城で籠城しておきながら、家臣の不満が高まらない理由は何か)

儲備逐漸枯竭,援軍無從期待,也無法大量囤積食糧。

備蓄は枯渇気味、援軍は期待出来ない、食料を買い占める事もままならない。

在絕望的情況下能撐上數月的人並不多。

絶望的な状況で数ヶ月も耐えられる人間はそう多くない。

照理說不滿情緒會在家臣之間蔓延,但信長認為之所以完全感覺不到這種跡象,是因為有人從某處持續供給糧食。

本来なら不平不満によって家臣内に不穏な空気が漂うはずだが、その気配が一向に感じられない理由は、どこかから食料が供給されていると信長は考えた。

「叫來獵犬部隊!」

「猟犬部隊を呼べ!」

信長向附近的小姓下達命令。

信長は近くの小姓へ命令を飛ばす。

獵犬部隊是以受過訓練的犬為主體的軍用犬部隊。犬雖然有畏懼巨響的缺點,但牠們在戰鬥、傳令、偵測、追蹤、警衛、哨戒與運輸等與人共同作業時表現出高度的忠誠。

猟犬部隊とは訓練された犬を中心とする軍用犬部隊である。犬は轟音に弱い欠点を抱えているが戦闘、伝令、探知、追跡、警護、哨戒、運搬と人間との共同作業に従事する忠実さがある。

漢字中犬字另有「狗」,意指「下級的、劣等的」。因此信長使用的是「犬」而非「狗」。

犬の漢字は他に「狗」があるが、これは「下級の、劣っている」という意だ。故に信長は「狗」ではなく「犬」の漢字を使っている。

「招集夜間視力好的人,搜尋敵方的補給路。」

「夜目がきく者を集め、敵の補給路を探せ」

不久獵犬部隊的隊長們集合,信長向他們下達簡短命令。

少しして猟犬部隊の隊長たちが集まった。彼らに対し、信長は短い命令を出す。

簡短回覆後,獵犬部隊的隊長們從隊中挑選出精銳人員集合。

短く返事をした後、猟犬部隊の隊長たちは部隊の中から選りすぐりの人間を集める。

四日後,在士兵們熟睡的夜間到黎明時分執行調查的獵犬部隊發現,有數條補給路通向大河內城。

四日後、兵士たちが寝静まった夜中から明け方にかけた時間帯に調査を行った猟犬部隊は、数本の補給路が大河内城に続いている事を発見する。

再經過兩天的細密調查後,發現補給不是一次運送大量物資,而是交替使用多條補給路、分幾天運送少量物資。

更に二日間、綿密に調査すると補給は一度に大量の物資を運ぶのではなく、複数の補給路を使い分け、かつ数日かけて少量の物資を運んでいる事が分かった。

「表面上看似無謂的頑固,背後卻在籌算合理的戰略,真是了不起。若非發現這些補給路,我等恐怕還會一直顯得愚蠢可笑。」

「無意味な頑固さを見せておきながら、その裏で合理的な戦略を練っていたか。誠に見事である。補給路を発見しなければ、我々はいつまでも阿呆な面を晒していた事だろう」

接獲報告的信長稱讚北畠父子,因為他真心佩服北畠父子即使處於劣勢也不舉白旗、仍抱有奪勝的鬥志。

報告を受けた信長は北畠親子を褒め称える。劣勢に立たされても、白旗を上げず勝ち抜く気概を持ち続ける北畠親子を素直に凄いと思ったからだ。

「要摧毀那些補給路嗎?」

「補給路を潰しになりますか?」

「不,補給路不會被摧毀。在接下來幾日內,會讓他們運送由我方準備的補給物資。」

「いや、補給路は潰さない。数日の間は、こちらが用意した補給物資を運び込んで貰う」

「是、是」

「は、はい」

森可成因看不透信長的真意而困惑,但他並未表露真心話。

信長の真意が見えず、森可成は困惑する。しかし彼が真意を語る事はなかった。

九月二十日,信長將運送補給物資的人全部殺害,並將物資換成由我方準備的物品後運入大河內城。

九月二十日、信長は補給物資を運ぶ人間を皆殺しにし、物資を自分たちが用意したものにすり替えた後、大河内城へ運び込ませた。

他還命令武將們收割周遭田地的作物,並將周邊村落與城下的居民全數逼入城內。

更に彼は武将たちに周囲にある田畑の作物を全て刈り取らせた。そして周辺の村、城下の住人を全て城内に追いやった。

北畠陣營在數日內察覺異狀,但信長早有預料,於是切斷了北畠陣營的補給路。

数日で異変を察知した北畠陣営だが、それを見越して信長は北畠陣営の補給路を断つ。

他在補給路上設置多處簡易關卡,並命士兵徵收一半貨物作為通行稅。

補給路の間に幾つもの簡易的な関所を設置し、兵たちへ積み荷の半分を関銭として徴収するよう命じた。

即便知道這是明顯的刁難,北畠陣營也無計可施。

明確な嫌がらせを知っても北畠陣営は手も足も出ない。

若攻擊關卡,等於向織田陣營洩露那條道路的重要性;但若置之不理,補給將難以為繼,因應增加的居民,軍備在不到一個月內就會枯竭。

関所へ攻め込めばその道が重要である事を織田陣営に教えてしまう。しかし関所をそのまま放置すれば補給はままならず、増えた住人のために一ヶ月もしない内に軍備が枯渇する。

若放任居民餓死,終將引發居民的搶糧暴動,屆時根本無法與信長交戰。

住人を放置し餓死させれば、やがて住民による食料暴動が起き信長と合戦どころではなくなる。

各種不利消息接連傳入,北畠陣營瞬間籠罩在不安氛圍中。

様々な負の情報により、あっという間に北畠陣営は不穏な空気に包まれる。

「據報在城內偶爾可聽見怒吼聲。」

「報告では城内から時折怒号が聞こえるとか」

「是的。我們認為居民暴動爆發也只是時間問題。」

「はい。住人による暴動が発生するのも、時間の問題かと思われます」

聽到可成的話,信長心情愈發愉快。

可成の言葉に信長はますます上機嫌になる。

「但不可自滿。被逼入絕境的人可能會在此時一舉反撲,發動夜襲。提醒各武將勿怠於準備夜襲防備。」

「だが慢心するのは良くない。追い詰められた奴らが、ここで一気に巻き返しを図ろうと夜討ちを仕掛けてくる可能性がある。各武将たちに夜討ち対策の準備を怠らないよう喚起しておけ」

他的預感成真,北畠軍的船江眾對氏家卜全的陣所發動夜襲。

彼の予想は当たり、北畠軍の船江衆が氏家卜全の陣所に夜討ちをかけた。

然而依照信長指示做好夜襲防備的氏家卜全輕易擊退夜襲,並徹底追擊使船江眾潰滅。

しかし信長の指示に従って夜討ち対策を整えていた氏家卜全は夜襲を難なく防ぎ、更に徹底的に追い詰めて船江衆を壊滅させた。

雖然成功防住對氏家卜全陣所的夜襲,但因對北畠陣營逼得太緊,信長遭受了痛苦的反擊。

氏家卜全の陣所への夜討ちは防げたが、北畠陣営を追い詰め過ぎたため信長は手痛いしっぺ返しを受ける。

滝川一益從西方的魔蟲谷發起進攻,卻遭到城內弓箭與火繩槍連番射擊,甚至有數萬支槍尖塗油點燃後的竹槍被投下。

滝川一益が西の魔虫谷から攻め上がったが、城中から弓・鉄砲が隙間なく射ちかけられ、更には鑓先に油を塗って火を入れた数万本の竹鑓が投げ落とされた。

面對大河內城的激烈抵抗,滝川軍付出慘重損失,未獲戰果而撤退。

大河内城からの激しい抵抗に滝川勢は手痛い損害を受け、戦果を上げられず撤退する。

「他們已無還手之力,從四面八方發動波狀攻擊。」

「もはや奴らに力は残されていない。四方八方から波状攻撃を仕掛けるぞ」

滝川的敗退讓信長認為北畠軍如風中燭火,因而決定從四面八方發起波狀攻勢。

滝川の敗退に信長は北畠軍が風前の灯火であると考え、四方から波状攻撃を仕掛ける事を決断する。

從兵員換防結束的九月二十七日開始,織田軍對大河內城實施波狀攻擊。

兵の入れ替えが終わる九月二十七日から、織田軍は大河内城に対し波状攻撃を行った。

前所未有的猛攻,但織田軍一旦從城中出擊便立刻撤退,北畠軍因此無法如願行動,身心負擔愈加沉重。

今までにない猛攻、しかし城から打って出ればすぐさま撤退する織田軍の態度に、北畠軍は思うように動けず肉体的・精神的負担が重なるだけだった。

連在死中求活都做不到,北畠陣營陷入極為嚴峻的情勢。

死中に活を求める事すら出来ず、北畠陣営は極めて厳しい状況に陥る。

「不准有任何手軟。以要將人全數殲滅的心態攻城。」

「一切の手加減を許さぬ。皆殺しにする心構えで城を攻めよ」

然而信長不允許家臣手下留情,不論北畠會失去多少武將與兵士。

しかし信長は北畠がどれほど武将や兵を失おうと、家臣たちが手加減する事を許さなかった。

六日後的十月三日,北畠陣營終於舉起白旗,向信長提出和談的請求。

それから六日後の十月三日、遂に北畠陣営は白旗を上げ講和の打診を信長に送った。

接到和談打診的信長,馬上派使者前往大河內城。

講和の打診を受けた信長は、すぐさま大河内城へ使いの者を出す。

北畠具教、具房父子自大河內城出城;將茶筅丸立為具房的養嗣子,並迎入為北畠具教之女雪姬(千代御前)的女婿,使茶筅丸成為北畠家的繼承人。

北畠具教、具房父子は大河内城から出城する事。茶筅丸を具房の養嗣子とし、更に北畠具教の娘である雪姫(千代御前)の婿として迎え入れ、茶筅丸を北畠家の跡継ぎとする事。

使者向北畠陣營通告,若接受其他各種條件即允許投降。

その他様々な条件を全て受け入れれば降伏を認めると、使者は北畠陣営へ通達した。

內容完全是接管北畠家,但北畠具教、具房父子接受了信長的所有條件,從大河內城撤退。

内容は完全に北畠家の乗っ取りだが、北畠具教、具房父子は信長の条件を全て受け入れ、大河内城から退却した。

十月四日,信長在讓北畠具教、具房父子離城後,下令破壞田丸城等北畠麾下的城堡。

十月四日、信長は北畠具教、具房父子を大河内城から出城させた後、田丸城をはじめとする北畠配下の城を破却させた。

然後命滝川一益等人掌控城池,並確認茶筅丸進入大河內城。

そして滝川一益らに城を押さえさせ、茶筅丸が大河内城に入るのを見届ける。

並廢止了曾讓往來旅人困擾的伊勢各關所,頒布嚴禁徵收關銭的布令。

また往還の旅人を悩ませていた伊勢の諸関を廃止し、関銭の徴収を固く禁じる布令を発した。

十月五日,前往宇治山田,參拜伊勢神宮的內宮、外宮與朝熊山。

十月五日、宇治山田へ行き、伊勢神宮の内宮、外宮、朝熊山に参拝する。

十月六日,住宿於小作。

十月六日、小作に宿泊する。

十月八日,遷往伊賀上野城,信長在此解散軍隊。

十月八日、伊賀上野の城に移り、信長はここで軍を解散した。

十月九日,與馬廻衆一同前往京,但行至千草時遇到大雪被迫停留,於是住宿一晚。

十月九日、馬廻衆と共に京へ向かった。しかし千草まで進んだ所で大雪に足を止められ、一泊する事となる。

十月十日,在近江的市原住宿。

十月十日、近江の市原で宿泊する。

十月十一日,進京並向將軍義昭報告伊勢國已平定。

十月十一日、京へ入り伊勢国平定を将軍義昭に報告する。

在京處理了四到五天的政務後,信長於十七日返回美濃的岐阜。

京で四日から五日ほど政務をこなした後、信長は十七日に美濃の岐阜へ帰る。

得知行程的靜子以為長可等人會在十日回來,開始準備迎接他們。

そのスケジュールを知っている静子は、長可たちが帰ってくるのは十日と考え、彼らを迎え入れる準備をする。

但慶次與長可比靜子的預期晚一天,在十一日回到家。收拾好行李後先洗澡、再進食、最後喝酒就寢。

だが慶次と長可は静子の予想より一日遅い十一日に帰宅した。彼らは荷物を片付け終えるとまず風呂に入り、次に食事を取り、最後に酒を呑んで寝た。

他們回家之後,其他武將也為了入浴陸續來訪,在信長到來前享受了短暫的休憩。

彼らが帰宅して以降、武将たちも入浴を目的に次々と訪れる。彼らは信長が来訪するまで、束の間の休息を満喫した。

「……為何會落到我得做這種事的地步……?」

「……何故、私がこんな事をする羽目に……?」

十七日回到岐阜的信長,處理完積壓的政務後造訪靜子。

十七日に岐阜へ戻った信長は、溜まった政務を片付け静子の元へ訪れる。

在盡情享受溫泉之前,他向靜子下了一道指示;簡單來說就是「做飯」。

彼は温泉を満喫する前、静子にある指示を出した。それは端的に言うと飯を作れ、である。

戰國時代,能成為料理人的人很少,尤其能為武將或國人供餐的廚師更是寥寥無幾。

戦国時代、料理人になれる人間は少ない。特に武将や国人に食事を出せる料理人は極僅かだ。

因為一旦國人身體出狀況、患病,廚師會成為首當其衝的嫌疑對象,而且難以獲得能留名史冊的榮譽,然而責任卻相當重大,處境極其不遇。

何故なら国人が体調を崩して病にかかれば真っ先に疑われる立場であり、更に歴史に名を残すような名誉は中々得られないが責任は重大という、極めて不遇な立場だからだ。

再加上佛教觀念根深蒂固的戰國時代,像信長那樣享用奢華飲食被視為不道德。

更に仏教の考えが根強い戦国時代は、信長のように贅沢な食事をする事は悪徳と考えられていた。

但他反過來利用這點,向家臣們這麼說服道。

しかし彼はそれを逆手に取り、家臣たちにこう言い聞かせた。

「佛教的開祖釋迦佛陀說過『全ての命は等しく尊い』。那麼,為何你們要無視佛的教誨,對生命做出優劣之分?我認為對一切事物心存感謝、將之不浪費地吃盡才是佛的教導,你們怎麼看?」

「仏の開祖である釈迦仏陀は『全ての命は等しく尊い』と説いた。なのに、何故貴様たちは仏の言葉を無視し、命に優劣をつけようとするのだ? 全てのものに感謝し、残さず食す事こそ仏の教えとわしは思うが、貴様たちはどう思っておるのだ?」

話裡講的是正理,但信長的真心話是『不要事事挑剔別人吃的東西』。

正論を語っているが、信長の本音は『いちいち人の食べているものにケチをつけるな』だ。

他雖然對食物沒有太多執著,但討厭被別人無故指手畫腳。

彼は食べ物へのこだわりが薄いとはいえ、他人から意味もなく指図されるのを嫌う。

「但也別就這樣把『要做出好吃的飯』一丟給我就算了啊……」

「だからと言って旨い飯を頼むぞ、と丸投げは止めて欲しいなぁ……」

抱怨也無濟於事,靜子仍不由得嘆了一口氣。

愚痴を零しても仕方ないが、ついため息が出てしまう静子だった。

但靜子認為這場餐會是向信長傳達玻璃製品優點的好機會,便積極地構思菜單。

だが食事会はガラス製品の良さを信長に伝える良い機会と考え、静子は前向きに献立を考える。

她想到的菜單有雞肉與本しめじ的炊飯、松茸的吸物、舞菇與香菇的天婦羅,以及當季的溫野菜。

彼女が考えた献立は鶏肉と本しめじの炊き込みご飯、松茸の吸い物、舞茸や椎茸の天ぷら、季節の温野菜だ。

搭配餐前酒梅酒,甜點則是淋上冰淇淋的栗子布丁(マロンプリン)。

これに食前酒として梅酒、更にデザートとしてアイスクリームを乗せたマロンプリンを出す。

靜子能做出冰淇淋與布丁,幾乎可以說全拜みつお所賜。

静子がアイスクリームやプリンが作れるのは、殆どみつおのお陰と言っても過言ではない。

夏末在技術街成功重現齒輪與曲柄後,靜子開始思考開發遠心分離器。

夏の終わり、技術街でギアやクランクの再現に成功したため、静子は遠心分離器の開発を考えた。

然而她想得太多,遲遲無法畫出設計圖。不知從哪裡聽到那件事,みつお現身,不一會兒就把設計圖畫好了。

しかし彼女は深く考え過ぎたせいか、中々設計図が書けなかった。その話をどこから聞きつけたのか、みつおが現れてあれよあれよという間に設計図を書き上げた。

結構過於簡單讓靜子感到不安,但實際製造時驚人地容易做成。

構造がシンプル過ぎて不安になった静子だが、実際に製造すれば驚くほど簡単に作れた。

當然還存在各種缺點,但暫時作為遠心分離器,其性能已達標。

勿論、色々な欠点はあるものの、ひとまず遠心分離器としての性能は満たしていた。

後來從足満那裡聽說『みつお的興趣是日曜大工』,於是他懂得遠心分離器構造的原因明朗了。

後に足満から『みつおは日曜大工が趣味だ』と聞かされ、彼が遠心分離器の構造を理解していた理由が判明した。

不過即使沒有遠心分離器,只要把生乳靜置,生奶油也會自行分離出脂肪。

もっとも遠心分離器がなくとも、生クリームは生乳を静置しておけば、勝手に脂肪分が分離される。

把那生奶油裝進容器,上下搖動就能在短時間內做出奶油。

その生クリームを容器に入れ、上下に振れば短時間でバターが作れる。

但生奶油和奶油在日本料理並非必須調味料,所以靜子並沒有強烈要求。只是覺得有了會比較方便罷了。

だが生クリームもバターも日本料理では必須調味料ではない事から、静子は強く所望しなかった。あれば便利、という程度の気持ちだ。

只要取得牛奶或生奶油,做布丁或冰淇淋幾乎沒有障礙。

牛乳や生クリームが手に入れば、プリンやアイスクリームを作る障害はほぼない。

像香草精這類的東西自然無法取得,但即使沒有,也不會對做冰淇淋或布丁造成太大問題。

バニラエッセンスなどは流石に入手出来ないが、なくてもアイスクリームやプリン作りにさほど問題は発生しない。

栗子布丁的材料是煮熟的栗子、牛奶、砂糖、雞蛋。冰淇淋至少需要生奶油、砂糖、雞蛋、牛奶就足夠了。

マロンプリンの材料は茹でた栗、牛乳、砂糖、卵。アイスクリームは生クリーム、砂糖、卵、牛乳が最低限あれば良いからだ。

「(開始最為重要)久等了」

「(最初が肝心)お待たせしました」

端著放有高杯玻璃的餐盤,靜子帶著緊張的表情放到信長面前。

タンブラーグラスを乗せたお膳を、静子は緊張の面持ちで信長の前へ置いた。

「喔……這不是磁器也不是陶器的器皿。被陽光照耀著閃耀,散發出某種幻想般的美。」

「ほぅ……これは磁器とも陶器とも違う器だな。陽の光を浴びて輝いておるわ。それが何とも幻想的な美しさだ」

那高杯玻璃是一個美麗的蒼藍色切割玻璃。

タンブラーグラスは美しい蒼色のカットグラスだった。

能製造出可用於望遠鏡的玻璃鏡片是玻璃開發的最終目標。相對地,切割玻璃是為了讓反靜子派閉嘴而製作的。

望遠鏡に使えるガラスレンズの製造が、ガラス開発の最終到達点だ。対してカットグラスは反静子派を黙らす目的として作られたものだ。

玻璃匠的見習們認為,若做得好就能讓反對者啞口無言,於是全心投入要讓他們瞠目結舌的作品創作。

出来栄えによっては反発する人間を黙らせられる、とガラス職人見習いたちは考え、彼らをあ然と言わせる作品作りに没頭した。

他們偏好像笹葉、麻葉紋、矢來三筋紋等在江戶切子常見的圖樣,原因在於江戶切子把熟悉的和風紋樣做成切割玻璃。

笹っ葉に麻の葉紋、 矢来三筋紋など江戸切子に多いデザインを彼らは好んだ。これは江戸切子が身近な和の文様を切子にしている事が理由だ。

「這是南蛮所稱的玻璃器皿。我稱之為尾張切子。」

「南蛮でガラスと呼ばれる器です。私は尾張切子と呼んでいます」

由透明玻璃製成的蒼藍色切割玻璃散發出神秘的光輝。

透きガラスで作られた蒼色のカットグラスは神秘的な輝きを放っていた。

信長似乎一見鍾情,拿著空了的杯子在手上轉動,享受杯子的光澤。

信長は一目惚れしたようで、中身のなくなったグラスを手の上で転がしてグラスの輝きを楽しんでいた。

「大人,玻璃一旦破裂會變成鋒利的刀刃,可能會傷到您的手,請小心操作。」

「お、お館様。ガラスは割れると鋭利な刃物になりやすい為、お手を怪我する可能性がございます。取り扱いにはご注意をお願いします」

「嗯? 是嗎……如果在座之中還有人對靜子有不滿,就站出來吧。若有自信能超越如此美麗器皿的成果,便說出來。」

「ん? そうか……もし、この中に今でも静子へ不満を持つ者がいるなら名乗り出よ。これほど美しい器を超える成果が出せると、自信があるのならな」

沒有人對信長的提問發聲。

信長の問いに声を上げる者は一人もいなかった。

「好了,話到此為止。上菜!」

「さて、話はこれで終いじゃ。料理を持ってまいれ!」

信長瞥了家臣一眼後下令,外面整裝待命的少年僕從們依指示一一道來上菜。

信長は家臣を一瞥した後、号令を下す。外に控えていた小姓たちが、信長の指示に従い次々と料理を運ぶ。

「不愧是靜子,做出相當豐盛的筵席。」

「流石、静子じゃ。大した馳走を作りおる」

從梅酒到栗子布丁大致上都很受好評。尤其舞茸和香菇天婦羅大受歡迎,信長難得連續三次追加。武將們當然也紛紛再添。

梅酒からマロンプリンまで概ね好評だった。特に舞茸と椎茸の天ぷらが大好評で、信長にしては珍しく三回おかわりを要求した。勿論、武将たちもおかわりを要求したのは言うまでもない。

「真是美味啊。」

「まこと美味ですなぁ」

「這種菇菇與肉的拌飯,簡直想每天都吃啊。」

「このキノコと肉の混ぜ飯など、毎日食べたいぐらいですぞ」

(嘛,ホンシメジ在我那個時代也是奢侈品)

(まぁホンシメジは私の時代でも贅沢品だったからねー)

史實不明,但幸運的是信長借給的山是蘑菇寶庫。當然也有危險的毒菇,但那些會被埋進深洞中丟棄。

史実は不明だが、幸いにして信長から借りている山はきのこの宝庫だった。勿論、危険な毒きのこもあるがそれらは深い穴に埋めて捨てている。

喜愛蘑菇的人一定對靜子的地位垂涎三尺。

きのこ好きなら静子の立場は垂涎の的であろう。

松茸、舞茸、ホンシメジ,甚至人工栽培的香菇。其他雖然冷門,但好吃的蘑菇也會在當季採到。

松茸、舞茸、ホンシメジ、更には人工栽培の椎茸。その他にもマイナーだが、旨いきのこが旬に取れる。

此外其他人被禁止進入山林,若有違犯則會受到嚴厲處罰。

更に他の人間は山への侵入が禁止され、万が一それを犯せば厳しい処罰が下される。

「去溫泉療養身體,大快朵頤美食以養精蓄銳吧。」

「温泉で身体を癒やし、馳走をたらふく食べて英気を養うが良い」

信長對飽餐的家臣露出笑容,這麼說道。

信長は腹いっぱい飯を食う家臣に対して、笑みを浮かべながらそう語る。

在眾人皆帶著愉悅笑容用餐時,有一人默默吃著,那就是秀長。

誰もが楽しげな笑みを浮かべて食事を取る中、黙々と食べる人間がいた。秀長である。

挑動反靜子派的秀長計畫雖然失敗,但他本來就無論結果如何都沒問題。

反静子派を煽った秀長は企みが失敗したが、元より彼はいかなる結果であろうと問題なかった。

若反靜子派變強,他可在主流派與其間斡旋並加強對雙方的影響力;若主流派以武力壓制反靜子派,則可將其納入己方陣營。

反静子派が強くなれば、主流派との間をとりなして両方に影響力を強められる。主流派が力で反静子派を抑えれば、反静子派を自陣営に取り込む事が出来る。

若靜子失敗落馬,他便可救起她並納入旗下;若靜子取得成功,產出驚人結果,那也另有意思。

静子が失敗し失脚すれば、彼女を救い上げて自陣営に取り込む。静子が成功を収め、見事な結果を出せばそれはそれで面白い。

這次的騷動對他而言只是試探,根本沒打算毀掉靜子。

今回の騒動は彼にとって小手先調べで、静子を潰す気は毛頭なかった。

(那女孩意外地有膽識。沒想到會在過年前就展現成果。她並非單純隨波逐流,面對敵人有不留情面的攻擊姿態。大派支持她的理由似乎稍微能理解了)

(あの娘、意外と肝が座っておる。まさか年を超える前に成果を見せるとは。ただ単に流されるだけではない。敵に対しては容赦なく攻めてくる気構えがある。主流派が彼女を擁護する理由が少し分かった気がする)

僅從表面看,靜子只是被信長好好利用的存在。

表面だけ見れば、静子は信長に良いように扱われているだけの存在だ。

秀長認為她那看似孱弱的氣質是偽裝,內裡有不輸武將的鬥志。

しかし貧弱な雰囲気は偽装であり、内側は武将に劣らぬ闘争心があると秀長は考えた。

(若小看她為婦人,可能會嚐到慘重的教訓。暫且觀望一陣子吧。但到來日一到,那股力量要為織田大人不是,而是為你兄長所用,靜子殿。)

(女と侮れば手酷い火傷をおう可能性がある。ここは暫く様子見といかせて頂きましょう。しかし、来るべき時が来た時、その力は織田様ではなく兄者の為に使って頂きますよ、静子殿)

平定了伊勢後,通往天下布武的道路看似一帆風順。

伊勢を平定し、天下布武への道は順風満帆の歩みを見せていた。

然而他們不知往後的路是接二連三的難關,正是試煉與困難的連續。

しかしこれから先の道は、一難去ってまた一難、まさに試練と困難の連続である事を彼らは知らない。

圍繞織田家的不穩定氣息正在逐漸且穩定地擴散。

織田家を取り巻く不穏な空気は徐々に、そして着実に広まりつつあった。

隨著真正的冬季來臨,寒意格外刺骨。

本格的な冬の到来を迎え、寒さもひとしお身にしみる頃。

從櫻信之社(おうしんのやしろ)中的社務所兼住居走出,腰間掛著兩把愛刀,脖子圍著圍巾的足滿。

櫻信之社(おうしんのやしろ)にある社務所兼住居から、二振りの愛刀を腰に下げ、マフラーを首に巻いた足満が出てきた。

那條圍巾看起來不像是他自己挑的,是北歐風可愛的設計。

マフラーは彼が自分で選んだとは到底思えない、北欧系の可愛らしいデザインだった。

足滿一邊警戒四周,一邊在某棵樹根下坐下。表現出似乎在冥想的氛圍,但當然他根本沒打算冥想。

足満は周囲を警戒しつつ、ある木の根本に腰を下ろす。瞑想するような雰囲気を醸し出しているが、勿論彼は瞑想などする気は一切ない。

「……公方有沒有把密書送給淺井和朝倉?」

「……公方は密書を浅井と朝倉に送ったか?」

(是的。如您所預料,足利公方確實往各地發出密書)

(はい。貴方様の予測通り、足利公方様は密書を各地に出しております)

放眼望去周圍空無一人,但對足滿的詢問有老人的聲音回應。足滿面色不變,反而理所當然地繼續問話。

見渡す限り周囲には誰もいないが、足満の問いかけに対して老人の声が応えた。しかし足満は顔色一つ変えず、むしろそれが当然の様に問いかけを続ける。

「織田在催促各地的國人上洛,但朝倉卻置之不理。」

「織田が各地の国人に上洛を促しているが、朝倉はそれを無視しているな」

(根據屬下的調查,似乎是完全無視。)

(配下の調べでは完全に無視しているようです)

「送到淺井的密書是誰收的?是備前守,還是左兵衛尉?」

「浅井に届けられた密書は誰が受け取った。備前守か、それとも左兵衛尉か」

(是左兵衛尉大人先收到了。)

(左兵衛尉様が先に受け取っております)

「那麼他們很快就會與朝倉有往來。對那一帶要注意地監視。備前守另當別論,但左兵衛尉很有可能會執著於朝倉這等小角色。」

「ならば早急に朝倉とやり取りをするであろう。その辺りを注意深く監視しておけ。備前守はともかく左兵衛尉は、朝倉程度の雑魚に固執する可能性は高い」

淺井家多年來一直與六角家爭奪勢力。

浅井家は六角家と長年に渡り勢力争いを続けていた。

為了防禦來自六角家的攻擊,淺井家與近畿北部的名門朝倉家結成同盟。

そんな六角家からの攻撃を防ぐため、浅井家は近畿北部の名家である朝倉家と同盟を結んだ。

此後,據說淺井家與朝倉家彼此保持著深厚的互信。

以後、浅井家と朝倉家は互いに深い信頼関係を持っていた、と言われている。

但淺井家與朝倉家真的是地位對等嗎?看了幾個證據後,這個疑問便浮現。

しかし浅井家と朝倉家は対等だったのか。幾つかの証拠を見れば、その疑問が湧き上がる。

處在「詰めの城」位置的大嶽(おおづく)上的城並非淺井家的城,而是朝倉家的城。

「詰めの城」に位置する大嶽(おおづく)にある城は、浅井家の城ではなく朝倉家の城だ。

以小谷城為首,周邊淺井氏的所有城郭都採用了朝倉的築城技術。

小谷城をはじめ、周辺の浅井氏の城郭には、全て朝倉の城郭技術が使われている。

在淺井的領國近江國與朝倉的領國越前國的邊境附近,淺井竟然一座城都沒建。

浅井の領国である近江国と、朝倉の領国である越前国との国境付近に、浅井が城を一つも建てていない。

朝倉的根據地越前一乘谷裡,朝倉的家臣中混著淺井氏的館宅。

朝倉の本拠地である越前一乗谷には、朝倉の家臣たちに混じって浅井氏の館がある。

在禁制的書面用語上,朝倉景健用的是「下知」,而淺井長政的禁制則是「執達」,這類奇怪之處不勝枚舉。

禁制の書留文言で朝倉景健の「下知」に対し、浅井長政の禁制では「執達」である事など、おかしな点は枚挙にいとまがない。

尤其是朝倉一側的邊境附近竟無城堡存在,格外異常。

特に朝倉との国境付近に城が存在しない点が異常だ。

曾經一度同盟但後來反目成敵的信長一事上,為了在姉川合戰前強化美濃邊境的城防,他急忙進行修築等作業。

一度は同盟だったが後に敵対関係となった信長に対しては、姉川合戦前に美濃との国境にある城の防御を高めるため、急きょ修築等を行っている。

對於隔著愛知川對立的六角,也明確構築了負責國境防衛的「境界之城」。

愛知川を挟んで対立関係だった六角に対しても、明確に国境の防御を担当する「境目の城」を構築している。

但唯獨與朝倉之間沒有構築「境界之城」。

しかし朝倉との間にだけ「境目の城」が構築されていない。

正因為淺井家對朝倉不具邊境感,才足以說明淺井家極有可能是越前朝倉家的被官(服從守護大名的國人領主)。

朝倉にだけ国境という感覚が感じられない浅井家の態度こそ、浅井家が越前朝倉家の被官(守護大名に従属する国人領主)である可能性が高いと言える。

(恕我直言,朝倉氏乃有歷史的名門,把他們評為小角色恐怕要令人皺眉。)

(恐れながら朝倉氏は歴史ある名家。雑魚という評価は眉をひそめかねません)

「有歷史的名門又如何。足利氏名聲再久,也沒能力保護一位將軍。正因為有織田家的財力與軍力,他們才能存活。這就是現實。」

「歴史ある名家か、それが何になる。足利氏も名だけなら長いが、今や将軍一人を守る力すらない。織田家の財力と軍力があってこそ、奴は生きておれるのだ。それが現実だ」

(……您不是為了足利氏而行動嗎?)

(……貴方様は足利氏の為に動いているのではないのか)

「別誤會了,鳶加藤。對我來說公方死去或足利氏滅亡都無關緊要。當然淺井與朝倉亦然。但那女孩掛念備前守與御市的事。所以,我只是因此而行動罷了。」

「勘違いするな、鳶加藤。わしにとっては公方が死のうが、足利氏が滅ぼうが関係ない。無論、浅井や朝倉も同様だ。だがあの娘は備前守とお市の事を気にかけておる。だから、わしは動いているに過ぎん」

他以逗弄姬般的目光,用像觸碰易碎物般溫柔的手撫摸圍巾。然而鳶加藤在那溫柔目光的深處感到瘋狂,不由自主地脊背一陣發顫。

姫をあやすような目で、壊れ物に触れるような優しい手でマフラーをなでる。されど優しい目の奥に狂気を感じた鳶加藤は、無意識の内に背筋を震わせた。

「告訴你關於暗殺武田的事,也不是什麼廉價的『善意』理由。是因為你的能力對我有用。就只有這個理由。」

「お前に武田の暗殺を知らせたのも、優しさなどという安っぽい理由ではない。お前の能力がわしの為になる。ただそれだけだ」

(即便如此,能獲救多虧了您,這是事實。雖然年事已高、所剩時日不多,但請讓我為您工作到最後。)

(それでも貴方様のお陰で助かった事は事実。老い先短い身ながら、最後まで貴方様の為に働かせて頂きます)

「為我工作到死為止」

「死ぬまでわしの為に働け」

說完那句話,足滿便起身。

それだけ告げると足満は腰を上げる。

本來坐著時沒有的袋子放在樹根旁,足滿沒在意,朝社務所兼住居走去。不久在看不見他的背影時,鳶加藤輕聲喃喃道。

座る時にはなかった袋が木の根本に置かれていたが、足満は気にせず社務所兼住居に向かって歩く。やがて彼の背中が見えなくなった所で、鳶加藤は小さく呟いた。

(一次也沒鬆懈。他做得徹底……但也沒辦法。那位總是被背叛。即便如此,那股狂氣仍讓我的心膽熾熱。哼,我或許也已成為被狂氣吞噬的人了吧)

(一度も気を抜かれなかった。徹底しておられる……だが仕方なし。あの方は常に裏切られてきたのだからな。それでもあの狂気が、わしの心胆を熱くさせる。ふっ、わしも既に狂気に飲まれた人間かも知れんな)

他那麼低聲自語的同時,微風搖動了樹木。樹影止住後,原本放在樹根的袋子忽然消失不見了。

彼がそう呟くと同時、軽い風が木々を揺らす。 木々の揺れが収まると、木の根本にあった袋は忽然と姿を消していた。