戦国小町苦労譚
千五百六十九年 五月上旬
四月上旬,包含靜子村在內的五個村落,接到信長發出的朱印狀後正式宣告解體。
四月上旬、静子の村を含む五つは、信長から朱印状が発行された事で正式に解体することとなった。
今後,從她的村向北到岐阜周邊、向南到知多半島的根部,將展開正式的再開發計畫。
今後、彼女の村から北は岐阜周辺、南は知多半島の根本まで、本格的な再開発事業が始まる。
知多半島周邊將興建數個港鎮,並以道路連接那些港鎮及其間的村落。
知多半島の周辺にはいくつかの港街が造られる。また、その港街と途中にある村などを道路で連結する。
道路每一里(一里因時代與地區不同而異,靜子那裡的一里為4公里)就設置一座道祖神。
道路は一里(時代や地域により様々な長さだが、静子の一里は4km)ごとに道祖神を配置する。
這些是作為旅人標記所設置,並會栽種榎等樹木,讓旅人能夠歇息。
これは旅行者の目印として設置するもので、榎などの木を植えて旅行者が休息を取れるように配慮されていた。
此外,僅限主要街道,預定每五里設置一處取水地、每十里設一間茶屋。
更に主要街道限定だが五里ごとに水場、十里ごとに茶屋が設置される予定だ。
包含取水地的土地屬於織田家領地,但任何階層的人都可自由飲水,並豎立告示指若非法佔領將以武力消滅。
水場を含む土地は織田家の領土だが、いかなる身分の者でも自由に水を飲む事が許され、不法占拠をすれば武力を以って殲滅する旨の立て札が設置されている。
茶屋則以法律規定其價格,必須以旅人能輕易負擔的價錢提供飲食。
また茶屋には、旅行者が手軽に利用出来る価格で提供するよう法規制されている。
此外,道祖神上刻有一般人無法辨識的隱秘資訊。
なお道祖神には通常の人間には分からない裏の情報が刻まれていた。
道祖神的設置位置以經緯度管理。
道祖神の設置場所は、経緯度(けいいど)で管理されているのだ。
雖然經緯度看似只有靠GPS衛星才能得知,實際上透過觀測太陽與星辰就有方法能算出觀測點的經緯度。
GPS衛星がなければ分からないように思われがちな経緯度だが、実は太陽や星の観測から、観測地点の経緯度を知る方法は存在する。
所需的知識只到中學程度、工具是中學生平常會用的器具,外加數名協助觀測的人即可完成。
必要なものは中学校レベルの知識、中学生が普通に使う道具、後は数人の観測協力者がいれば出来る。
當然不可能達到現代的精度,誤差容易達公里級,且僅能測量陸地;若要測得海上的經緯度,則必須有克羅諾米特(高精度便攜發條時計)。
勿論、現代レベルでの精度は望むまでもなく、容易にkm単位の誤差が出る。その上、陸地しか計測出来ず、海上の経緯度を知るにはクロノメーター(高精度な携帯用ぜんまい時計)が必須だが。
該再開發計畫將以幹線道路連結尾張的主要城市,並以支道巡繞連通所有村落,最終通往港鎮的街道網。
この再開発事業では尾張の主要都市を幹線道路で結び、その他全ての村に支道を巡らせ港街へと至る街道を繋げる。
被幹線連結的主要城市,雖然規模不同,但相當於現代的縣廳所在地;為此在城市中央設立立法、行政、司法機關,西側配置工業與商業區,東側配置農業以及釀造·漁業區。
幹線道路で繋がれる主要都市は規模こそ違えど現代で言う県庁所在地に当たる。それに見合うよう、都市の中央に立法機関・行政機関・司法機関を置き、西側に工業地帯と商業地帯、東側に農業地帯と醸造・漁業地帯を配置する。
並在各地設置軍事設施,在美濃與尾張交界及關原附近建造要塞。
そして各地に軍事施設を、美濃と尾張の国境、そして関ヶ原付近に要塞を建造する。
果然這項計畫不是數年就能完成的,可能需十年,甚至數十年,是名副其實的大型國家專案。
流石にこの計画は数年でどうにかなるものではない。十年、下手をすれば何十年もかかる、まさに大型国家プロジェクトである。
因為要從零開始建立基礎建設,當然如此;一旦基礎設施上軌道,本身就會帶來收益。
インフラをゼロから作り上げるのだから当然だが、インフラの整備が軌道に乗ればそれだけで利益を生む。
也就是說,原本由寺社壟斷的物流與商業控制,將由信長親自掌管;不過與寺社勢力不同,他必須透過不斷試錯來摸索。
つまり従来は寺社が独占的に握っていた物流と商業の制御を、信長自身で執り行うことにしたのだ。ただし寺社勢力と違って、彼は試行錯誤を繰り返す必要がある。
信長缺乏寺社多年累積的統治經驗,自然對於推行新制度時可能出現的問題及其因應,缺乏相當的見識。
信長には寺社勢力が長年培った支配のノウハウが蓄積されておらず、自ずと新制度を敷く上で発生しうるトラブルへの対処等の見識が無い。
為了有效匯集這些經驗,信長下令所有有責任的人,除了定期報告外,還要每半年彙整並提交記載自問題發生原因、處理過程到結果的一套障害對應報告書。
そのノウハウを効率良く集めるため、信長は責任ある立場の人間全員に定期報告書に加えて、トラブル発生に際して発生原因からその対処、結果までの一連の流れを記した障害対処報告書を半年ごとに取りまとめて報告するよう申し渡した。
信長也對公文用紙進行改革。使用美濃紙作為公用紙的他,注意到紙張尺寸參差不齊、缺乏統一性。
この紙にも信長は改革を入れる。美濃紙を公用紙として使用している信長は、紙のサイズがバラバラで統一性がない点に注目した。
即便制定度量衡,若實際使用的不是被制定的標準,那也毫無意義。
度量衡を制定しても、実際に使われるものに制定した度量衡が使われなければ意味はない。
考量到這一點,信長頒布了『用紙標準規格令』,制定相當於現代 A0 到 A6的七種尺寸。
その点も考慮して、信長は現代のA0からA6にあたる、七つの寸法を制定した『用紙標準規格令』を出した。
當然,與制度同時也實施由靜子大量製造的『量尺』免費發放;與此同時,延續去年的政策,村民的強制遷移也在推進。
勿論、制定と同時に静子が量産している「ものさし」の無料配布も行った。それと同時に、昨年に続き村人たちの強制移住政策が進められた。
某個幾乎可以稱為晴朗的日子,以代一為首的三十名早期村民在村口集合。
快晴と言っても良いある日、代一を筆頭とした初期の村人三十名は村の入口へ集合した。
「村長,承蒙您一直以來的照顧。」
「村長、今までお世話になりました」
因信長的遷移計畫,他們將離開習慣居住的土地,不僅只有代一等人。
信長の移住計画により彼らは住み慣れた土地を離れる。代一たちだけではない。
「靜子女史,承蒙您大力照顧。老實說,若非有您,我等恐怕早已餓死。」
「静子殿、貴女には大変お世話になりました。正直な所、貴女がいなければ我々は餓死していたでしょう」
基於防衛線的考量,二作等人也被要求遷移。
防衛ラインの都合上、二作たちもまた移住する事となった。
信長原以為與作為山民的二作等人談判會艱難,然而並未發生爭執,談得相當順利。
代一はともかく、山の民である二作たちとは話が難航すると思っていた信長だが、特に揉める事はなくすんなり話が通った。
「不,我不過是製造了契機而已。正因為諸位竭盡全力爭得了自身的立足之地,才有今日。」
「いえ、私はきっかけを作ったに過ぎません。皆さんが力を振り絞り己の居場所を勝ち得たからこそ、今があるのです」
「哈哈,一如往常謙遜。偶爾也該為自己的偉業感到驕傲啊。嗯,倒也想像不出村長會趾高氣揚的樣子。」
「ははっ、相変わらずご謙遜を。少しは己の偉業を誇られても良いのですよ。まぁ、村長がふんぞり返っている所は想像出来ませんが」
「說得也是。倒不如說,靜子大人給人的印象是輕飄飄出現,乾脆俐落地解決問題,然後若無其事地離去。」
「そうだな。どちらかと言うと、静子殿はフラっと現れて、問題をあっさり片付けて、何事も無かったかのように去っていく印象が強いですな」
不知是不是說中要點了,忽然從四處傳出笑聲。為難的靜子以微笑掩飾自己的答話。
それがツボだったのか、どこからともなく笑い声が上がった。返答に困った静子は笑みを浮かべて誤魔化す。
「當時可笑不出來。我心想『為什麼會是這種小女孩!』之類的念頭。若是成果未達成,我可真想討回一箭呢。」
「当時は笑えませんでした。何でこんな小娘が! とか思いましたしね。もし成果が出なかったら、それこそ一矢報いてやろうとも思いましたよ」
「哈哈,嗯,我也覺得被那樣想也沒辦法啊。」
「ははっ、まぁ私もそう思われても仕方ないなぁと思いました」
即便那是一種誤解,他們也在此地居住、過著生活。
例えそれが誤りであっても、彼らはこの土地に住み、今まで生活してきた。
若突然出現一個像靜子那樣的小姑娘,並宣稱她現在是村長,村民們自然不可能輕易接受。
それが突然静子のような小娘が出てきて、今から彼女が村長だと言われても村人たちはそう簡単に納得出来るはずがない。
「但是您給了我們生存的希望。使我們不再為食物憂心、簡化了農作業、帶來了平靜。然而……現在才說得出口,這卻也產生了一個問題。」
「ですが貴女は我々に生きる希望を与えてくれました。食べ物に困らず、農作業を簡略化し、我々に平穏を与えてくれました。しかし……今だから言えますが、これがある問題を産んでしまいました」
「問題?有什麼事嗎?」
「問題? 何かありましたっけ?」
雖然有些失敗,但還沒聽說有會讓計畫大幅動搖的事。
多少の失敗はあったものの、計画が大きく揺らぐような失敗は耳にしていない。
靜子一頭霧水歪著頭,代一帶著抱歉的表情這麼說。
何の事か不思議に思って首を傾げている静子に、代一は申し訳無さそうな顔でこう言った。
「因為過於平靜,村裡有一部分人起了不滿。他們不喜歡村長是女性,抱持著非常失禮的怨言……」
「平穏になりすぎた為に、村の一部から不満が上がったのです。村長が女なのが気に入らない、という非常に失礼な不満が……」
「欸?我沒有聽過這種抱怨耶。」
「え? そういった苦情は聞いた覚えがないのですが」
「我們和彩大人想盡辦法壓下去,但強行壓制大概是不對的,附和的人反而愈來愈多……然而這種事也不能讓村長知道。最後只好以讓所有人遷移來避免了。」
「我々と、彩様で何とか押さえ込んだのですが、やはり無理に押さえたのがいけなかったのでしょう。同調する者が増える一方で……しかし、こんな事村長の耳に入れる訳にもいかず。結局、全員を移住させる事で回避する他ありませんでした」
總結代一的說法如下。
代一の話をまとめるとこうだ。
到第二年還好,但從第三年起靜子幾乎不再參與村務。代一等人理解那是因為信長的事務繁忙,無法插手這邊。
二年目までは良かったが、三年目から静子は殆ど村の事に関わりを持たなくなった。代一たちは信長の仕事が忙しい為に、こちらに関われないと理解していた。
同時也出現了對名義村長靜子不滿的人,其中有人甚至想策畫讓靜子出錯、把她趕出村子的想法。
一方で名ばかりの村長な静子に不満を持つ者も出始めた。中には静子が失敗するように画策して村から追い出してやろう、などと考える連中もいた。
代一與那些人多次交涉卻無法達成共識。代一認為這樣下去連年貢都會受影響,因而透過彩懇求信長想辦法。
そうした連中と代一は何度も話しあったが平行線のまま終わった。このままでは年貢にも影響が出ると考えた代一は、彩を通して信長にどうにかして欲しいと懇願する。
結果就是在村裡新增的五十名百姓及其家屬的大規模遷入。
その結果が村に新しく追加した五十人の百姓と家族の大移住である。
靜子終於理解了織田將那額外的五十名百姓與家人整批遷來背後的內情。
突然、追加した五十人の百姓と家族を丸ごと移住させた、信長の裏事情を理解した静子だった。
「啊、啊——原來如此,所以才把那麼多人抽走啊。不過既然有不滿,應該直接說出來就好呀。」
「あ、あー、なるほど、それであれだけ引っこ抜いていったのですね。でも不満があるのなら、直接言ってくれれば良いのに」
「我也那樣想過,但織田大人說『既然這麼想當村長,就讓她做吧』然後就遷移了他們。」
「それは私も思ったのですが、織田様が『そんなに村長がやりたいのならやらせてやろう』と言って移住させてしまいました」
「哈……是這樣嗎。」
「はぁ……そうなのですか」
「他現在大概正後悔呢。織田大人曾說:『我不認為靜子能做到那樣的事,因此只要求她所做成果的一半,也就是你們所說能做到的事的一半;若連這都做不到,就把你們打上半人之下的烙印放逐。』」
「多分、今頃後悔していると思いますよ。織田様は『静子ほどの事が為せるとは思っておらん。ゆえに静子が為した成果の半分を要求する。何貴様たちが出来ると言ったことの半分だ。これが出来ぬとあらばまさに半人前以下の烙印と共に放逐してやろう』と仰っていましたし」
「哇啊」
「うわぁ」
靜子對織田要求的內容了然於心。
どんな事を要求しているか手に取るように分かった静子だ。
信長雖不會提無法達成的不可能任務,但會要求到必須拼命努力才能完成的程度。
達成不可能な無理難題は言わない信長だが、死にもの狂いで頑張らなければ為し得ないレベルを要求する。
換言之,信長不會給對方任何容易的要求;但這並非只有信長一人這樣。
つまり信長は相手に楽な要求を一つもしない。だがこれは信長に限った話ではない。
戰國時代,性命輕如鴻毛而責任沉重是常態。以現代觀念難以置信的要求,也得拿生命去完成。
戦国時代、命は軽いが責任は重いのが標準だ。現代感覚では信じられないような要求も、命をかけて遂行する必要がある。
因此回報也相當豐厚,若有能力還能更上一層樓。
その分、見返りも大きい上に能力があれば更に上を目指せるが。
「主公的命令很辛苦。若有疑問會被追問個不停,只要有一點問題就得好好回應……若對回應再有疑問就會接著問更多……」
「お館様の命令ってしんどいですよ。何か疑問があれば質問攻めですし、ちょっとでも問題があればちゃんと返答しないと駄目ですし……その返答で疑問があれば更に質問が……」
「是、是的。那是我去懇求時也感受到的。我無法不敬佩一直承擔那一切的村長。但總是依賴別人也是問題,那種事也可能再度發生。我們會依照村長的教誨,靠自己的雙手開創未來,並尋找能死去的場所。基於這些理由,這次我們接受了織田大人的遷移計畫。」
「は、はい。それは私も嘆願しにいった時に感じました。あれをずっと続けてきた村長には頭が上がりません。しかしいつまでもおんぶに抱っこ状態は問題ですし、あのような事がまた起きないとも限りません。我々は村長の教え通り、自分たちの手で未来を切り開き、そして死に場所を見つけようと思います。それらの事もあって此度の織田様の移住計画を受け入れました」
「嘛,沒想到在這年紀還會和代一一起再經營村子。」
「まぁこの歳で、代一と一緒にまた村を切り盛りするとは思わなかったが」
「原本是為了避免與山民起衝突才把村民分開的。沒想到短短數十年又回到原處了。」
「元々、山の民と揉め事にならないように、村の人間を分けたのだが。僅か数十年で元の鞘に納まったな」
兩人一邊說著那話一邊笑著,對即將前往新天地的惶恐毫無感覺。
二人はそんな事を言いながらも笑っていた。これから新天地へ行く不安など微塵も感じられなかった。
靜子確信他們沒問題。即便今後再遇困難,他們也一定能克服。
静子は確信した。彼らは大丈夫だ。今後、彼らに困難が訪れようとも、必ず乗り越えられる、と。
「哈哈……那我們就差不多要出發了。村長……不,靜子大人,至今為止多謝了。您給予的恩情我們永遠不會忘記。」
「ははっ……それでは我々はそろそろ向かいます。村長……いえ、静子様、今までありがとうございました。貴女から受けたご恩は決して忘れません」
「若有困難請隨時呼喚我們。雖然可能幫不上大忙,但為了回報您的恩情,我們隨時會趕來。」
「困ったことがあったら、何時でもお呼びください。大した力にはなれないかもしれませんが、我々は貴女からのご恩に報いるため、何時でも駆けつける所存です」
兩人一邊說完便深深低頭,接著村民們也齊齊低頭。
二人はそう言うと同時に深々と頭を下げた。続いて村人たちも頭を下げる。
「各位,謝謝你們。我是個幸福的人。能被這麼多人牽掛……請多保重。我在此衷心祈願各位在這片土地上的新生活多福多幸。」
「皆様、ありがとうございます。私は幸せ者です。これだけ多くの人に想って頂けるのですから……どうかお元気で。私はこの地で、皆々様の新しい生活が幸多からんことを心よりお祈りいたしております」
靜子幾乎要哭出來,但在最後一刻忍住,向他們深深鞠躬。
静子は泣きそうになったが、それをすんでの所で耐え、彼らに深々と頭を下げた。
這就是她迄今為止打理的村子、以及數年來擔任村長的最後一項責務。
それが今まで切り盛りした村の、そして数年に亘って担った村長としての最後の務めだった。
靜子目送他們直到看不見為止。
代一たちが見えなくなるまで静子は彼らを見送る。
在看不見他們背影後,過了一會兒靜子也往自己家走去。
彼らの背中が見えなくなり、暫くしてから静子も自分の家へ足を向ける。
她邊走邊想,人與人之間的緣分真是奇妙。
歩きながら彼女は、人の縁とは不思議なものだと思った。
被無法理解的超自然現象送到戰國時代,卻與原本不可能交集的人交流。
理解出来ない超常現象で戦国時代へ飛ばされ、決して交わる事のない人と交流をする。
起初曾抱怨為何會是自己,但現在已能覺得穿越時光是件好事。
最初はどうして自分が、と現状を嘆いた事もあったが、今ではタイムスリップして良かったと思えるようになった。
(我沒想要在歷史上留名。只是我所參與的會如何改變這個戰國時代……織田幕府會完成,還是歷史流向無變仍發生本能寺之變呢。無論哪種,現在去想歷史會不會改變都是徒勞。)
(歴史に名を刻む気はない。ただ私が関わった事で、この戦国時代がどう変わるか……織田幕府が完成するのか、それとも歴史の流れは変わらず本能寺の変が起こるのか。どちらにせよ、今さら歴史が変わる云々なんて、考えるだけ無駄だね)
歷史已經開始改變。信長現在正積極地想把淺井長政拉進自己陣營。
既に歴史は変わり始めている。信長は今、積極的に浅井長政を自陣営に引きこもうとしている。
究竟這能阻止淺井長政的背叛,還是他會因為其他原因而背叛?
果たして、これが浅井長政の裏切りを阻止するのか、それともまた別の理由で浅井長政は裏切るのか。
無論結果如何,靜子決定要做自己能做的事。
どちらに転んでも静子は己が出来る事をやる、そう新たに決意した。
她沒有沉溺於感傷的閒暇,忙於工作,轉眼就過了兩週。
彼女に感傷に浸る暇はない。仕事に忙殺されてあっという間に二週間が過ぎた。
到那時長可、慶次、才藏的臨時住所已完工,再過一週奇妙丸的臨時住處也會完成。
その頃には長可や慶次、才蔵の仮住まいが完成し、後一週間で奇妙丸の仮住まいも完成する状況だ。
但只要有空,他們就會沉迷於待在靜子的家裡,尤其是吃飯時間,幾乎必定會出現。
しかし彼らは暇さえあれば静子の家に入り浸る。特に食事時となれば、必ずと言って良いほど現れるのだ。
現在一開始就做五人份的飯菜(靜子、彩、慶次、才藏、長可)。
今では最初から五人分(静子、彩、慶次、才蔵、長可)の食事を作っていたりする。
「……這些吃不飽的孩子們。是想把我家的食物吃光嗎」
「……欠食児童どもめ。うちにある食料を食い尽くす気か」
雖然還不到需要嚴重看待的地步,但如果這樣繼續下去,就得重新檢討米的分配計畫。
問題視するレベルではないとはいえ、このまま続くなら米の分配計画を見直す必要がある。
尤其是尾張米(ともほなみ系列)很棘手。不知信長在想什麼,他把靜子獻上的尾張米分別送給了德川、淺井,還有在京的義昭與天皇。
特に尾張米(ともほなみ系列の米)が大変だ。何を考えてか知らないが、信長は静子から献上された尾張米を徳川と浅井、そして京にいる義昭と帝にそれぞれ送った。
他大概是想向周圍宣告自己領地生產出美味的米。結果遠超出信長的預期,所有人都成了尾張米的俘虜。
自らの領土に美味なる米が生産されている事を、周囲に知らしめようとしたのだろう。だが結果は信長の予想を遥かに上回った。全員、尾張米の虜になってしまったのだ。
平常吃麥飯的家康也會嘟囔說「如果是這種米我想每天都吃」。
普段は麦飯の家康も「この米なら毎日食べたい」と零すほどだ。
天皇和義昭等人都直說「把苗子給我」,但尾張米是為日本中部地區,更精確說是愛知縣的環境培育改良的,在近畿地方栽種很困難。
帝と義昭など「苗をよこせ」という始末。だが尾張米は日本の中部地方、もっと細かく言えば愛知県の環境に合わせて品種改良されているため、近畿地方での栽培は困難なのだ。
最重要的是尾張米的資訊是軍事機密。因此信長以生產困難為由拒絕了對方的要求。
何より尾張米の情報は軍事機密だ。故に信長は生産が厳しい事を前面に押し出して相手の要求を断った。
之後,將軍與天皇像是要預訂尾張米般送來各種東西,那又是另外一則故事。
その後、尾張米の先行予約とでも言いたげに、将軍と帝から色々と送られてきたのはまた別の話。
就是那三個每天吃著尾張米的「欠食兒童」三人組(慶次、才藏、長可)。
そんな尾張米を毎日食べている欠食児童三人衆(慶次、才蔵、長可)だったりする。
「到了明年,就能生產供十人食用的量……唔,今年大概得稍微節省一下吧」
「来年になれば、一〇人は賄える量が生産出来るのだけど……うーん、今年はちょいちょい節約しないと駄目かな」
「織田的殿下把尾張米生產設為許可制。到目前為止可以持有苗子的只有靜醬。取得生產許可的只有靜醬以前村民,對吧?」
「織田の殿様が尾張米の生産を許可制にしているからねぇ。今の所苗の状態を持って良いのが静っちだけ。生産の許可が下りているのは、静っちの元村人だけだっけ?」
「嗯。所以做了相當面積的水田,明年應該沒問題。大約每公頃平均四十到五十俵……總共60公頃所以最多約三千俵。生產沒問題,但一次性全部被收走很麻煩呢」
「うん。だから結構な広さの水田を作ったから、来年は問題ないのだけどねぇ。大体1haにつき四十から五十俵が平均として……全部で60haだから最大3000俵かな。生産は問題ないのだけどねぇ……一旦全部回収されるのが面倒だね」
尾張米不同於其他稅收,生產出的所有東西都由信長回收。
尾張米は他の税と違い、生産したモノ全てが信長によって回収される。
從中抽取稅額沒有改變,但與眾不同的是尾張米不會被返還,取而代之的是每俵換給三到四俵的岐阜米。
そこから税を引き抜くのは変わらないのだが、他と違って尾張米は返却されず、代わりに1俵につき3から4俵の岐阜米が渡される。
也就是說,若繳納50俵尾張米作為稅,最多可以得到200俵的岐阜米。
つまり尾張米50俵を税として納めると、最大で200俵の岐阜米が手に入る計算だ。
幸好作為試用品發放的岐阜米在庶民間大受歡迎,而尾張米則受到武家與公家歡迎,形成一種定位分工,因而沒有引發大混亂。
幸いにして試供品として配った岐阜米は庶民に大受けし、対して尾張米は武家や公家に受けるという、一種の住み分けが出来た為、大きな混乱は生まれなかった。
事實上,圍繞如彗星般出現的尾張米,信長、家康、長政、義昭與天皇之間進行了激烈的政治角力。
実は彗星の如く出現した尾張米を巡って信長、家康、長政、義昭、帝の間で、激しい政治的駆け引きが行われていた。
當然靜子不知道,即便知道也會以「我無關係」的態度帶過,雖然也不是說她能做什麼。
勿論、静子は知らないし、もし知ったとしても『我関せず』という態度で通すだろう。何かが出来ると言うわけでもないが。
即使信長可能忘了,尾張米對水的管理非常嚴苛。
信長にも忘れられているが、尾張米は水の管理が非常にシビアだ。
即便抗病性強,也不是完全不會生病。如果不能對疾病進行精確的照護,和其他米一樣也可能全滅。
そして病気に強いとしても、一切病気にかからない訳ではない。病気に対して的確なケアが出来なければ、他の米と同じで全滅する事もある。
總之,與其他稻米相比,栽培尾張米非常麻煩。而這些麻煩之處對國人們來說難以理解。
要するに尾張米は他の米に比べて、栽培するのが非常に面倒臭い。しかもこの面倒な部分は、国人たちには理解し難い所だ。
「嘛,既然好吃也沒辦法。再說每天吃也不會膩呀」
「まぁ旨いのだから仕方ない。おまけに毎日食べているのに飽きないからな」
「……那倒也是,你吃了那麼多配菜。對了勝藏君,那個煙燻醃菜,不知道你從哪拿來的,但包著的那些是要送給本多大人的,要小心一點喔」
「……そりゃ、君はあれだけ副食を食べてればね。所で勝蔵君、そのいぶり漬け、どこから取ってきたか知らないけど、包んでいる奴は本多様に送るものだから気をつけてね」
瞬間長可的臉色一片蒼白。從他那表情,靜子理解到他從本多忠勝準備的煙燻醃菜中偷拿了幾根。
瞬間、長可の顔色が真っ青になる。その態度から、静子は彼が本多忠勝用に包んでいたいぶり漬けから、何本か拝借した事を理解する。
「待會跟彩醬說一聲。那麼,今天久違地用用石窯吧」
「後で彩ちゃんに話をしておいてね。さて、今日は久々に石窯を使うかな」
或許是因為別墅建立,靜子開始經常收到濃姬等人的信。與其說是信,大概有九成是請求。
別荘が出来たせいか、静子は濃姫たちからよく手紙を貰うようになった。手紙というよりは九割方、要望ではあるが。
其中在姊姊的信裡寫著想要一種叫做パオン的南蠻食物(葡萄牙語的麵包)。
その中でおねからの手紙に『パオン(パンのポルトガル語)という南蛮の食べ物が欲しい』という要望が書かれていた。
這個願望是可以實現的,但問題是使麵包發酵的天然酵母。戰國時代的日本只能自己製作天然酵母。
叶えるのは可能だが、問題はパンを膨らませる為の天然酵母だ。戦国時代の日本では天然酵母を自分で作るしかない。
「不曉得要做什麼」
「何を作るかは知らんが」
「要試吃的話」
「試食なら」
「請交給我們」
「お任せ下さい」
長可、慶次、才藏三人齊聲宣稱。
長可、慶次、才蔵が三人息を合わせて宣言する。
「你們真親昵。今天要做的是南蠻的主食,換句話說就是這邊的米。」
「仲良いね君たち。今日作るのは南蛮の主食だよ。こっちで言えば米だね」
十六世紀的歐洲因路德對羅馬教會的抗議(宗教改革的開端)以及針對羅馬天主教會的叛亂(德國騎士戰爭)而發生內部分裂。
十六世紀の欧州は、ルターによるローマ教会への抗議(宗教改革の始まり)や、ローマ・カトリック教会に対する反乱(ドイツ騎士戦争)によって内部分裂を起こしていた。
因宗教改革的影響,羅馬天主教會正逐漸失去自十一至十三世紀鼎盛時期所擁有的政治權力。
宗教改革による影響で、ローマ・カトリック教会は十一世紀から十三世紀の最盛期に誇った政治権力を失いかけていた。
然而「麵包是神的肉、葡萄酒是神的血」的觀念仍未消失。
しかしそれでもパンは神の肉、ワインは神の血という考えは失われてはいない。
不過,即便靜子有所誤解,或即便沒有基督教影響,歐洲的主食也還是會以小麥(麵包、義大利麵)為主。
もっとも、静子も勘違いしているがキリスト教の影響がなかろうと、欧州は小麦(パン・パスタ)以外主食にはならなかっただろう。
總之,稻米需要大量水分和高溫,歐洲的氣候幾乎無法栽培。
何しろ米を育てるには大量の水と高温が必要であり、欧州の気候ではまず栽培出来ない。
而馬鈴薯要到大航海時代才從安第斯傳入歐洲;結果是在寒冷氣候下能生長的小麥成為主要作物。
そしてジャガイモは大航海時代にアンデスから欧州に渡るまで存在しない。結果、寒冷な気候でも育つ小麦がメインとなったのである。
「是啊……世界上的主食有稻米、小麥和馬鈴薯,來想想各自能做些什麼吧」
「そうだねぇ……世界の主食である米と小麦とジャガイモ。それぞれで何か作るかな」
靜子成功在冬季栽培馬鈴薯,個人食用所需的數量已能確保。
ジャガイモの冬栽培に成功した静子は、個人で消費するなら問題ない程度の量を確保出来た。
品種雖不明,但可以確定不是雄性不稔的男爵薯,因為冬季栽培的馬鈴薯結了果實。
品種は不明だが雄性不稔の男爵薯ではないのは確実だ。何故なら、冬栽培のジャガイモに実が出来たからだ。
馬鈴薯原本是以塊莖繁殖、藉種薯種植後收取塊莖的營養繁殖植物,即使不結果也沒有問題,但對靜子來說果實很重要。
本来、ジャガイモは芋を植えて芋を取る栄養繁殖植物であり、実がつかなくても何の問題もない。しかし静子にとって果実は重要だった。
因為果實內含有數十顆真正種子,由真正種子長出的苗有可能在塊莖數量、重量與大小上勝過親株,產出更優良的苗。
何しろ果実の中には真正種子が数十個入っている。そして真正種子から育った苗は、芋数や重さ、大きさで親に勝る優秀な苗が出てくる可能性があるからだ。
「說到馬鈴薯,你是指那個圓圓的傢伙嗎?老實說,看起來根本不像能吃的東西。」
「ジャガイモっていうと、あの丸い奴かい? 正直な所、あれが食べられるものには見えないのだがな」
「欸? 不久前不是才吃過馬鈴薯嗎?」
「え? ちょっと前にジャガイモ食べたはずだよ?」
靜子這麼一說,三人互相看了看對方,但三人都沒記得吃過馬鈴薯。
静子がそう言うと三人は顔を見合わせる。だが三人ともジャガイモを食べた記憶はない。
「你看,就是那個雞肉、洋蔥和馬鈴薯的燉菜,三個人爭著拿大盤子的那道菜啊。」
「ほら、鶏肉と玉葱とジャガイモの煮物。三人で大皿の取り合いをしたアレだよ」
「……! 啊、啊——! 那個嗎。欸,裡面有馬鈴薯嗎?」
「……! あ、あー! あれか。え、アレにジャガイモが入っていたのか?」
長可應聲點頭,拍掌合十地說道;慶次和才藏似乎也想起來了,跟長可一樣合了手。
合点が言った長可が両手をポンと合わせながら言う。慶次と才蔵も思い出したのか、長可と同じように両手を合わせた。
「我有說過啦……不過算了。先做麵包吧。」
「ちゃんと言ったのだけどね……まぁ良いか。まずはパンかな」
靜子從幾種天然酵母的來源中選了葡萄乾。
幾つかある天然酵母の元から静子はレーズンを選んだ。
葡萄乾作為保存食很優秀,在天然酵母中也與麵包相當相性好。
レーズンは保存食として優秀な上に、天然酵母の中ではパンと相性が良い。
會帶點酸味,雖然不及乾酵母,但比不發酵的麵包要膨脹得多。
少し酸味は出るしドライイーストほどではないが、無発酵パンよりは遥かに膨らむ。
做法非常簡單。
作り方は非常に簡単だ。
先把葡萄曬成葡萄乾,然後用水沖洗一下去除表面汙垢。
まず葡萄を干してレーズンにした後、水でサッと洗って表面の汚れを落とす。
接著把葡萄乾放入煮沸消毒過的容器,加入水至葡萄乾完全浸沒。
次に煮沸消毒した容器へレーズンを移し、レーズンが完全に浸るまで水を加える。
之後每天搖晃容器約四次,並打開蓋子讓它接觸空氣就行。
後は一日に四回ほど容器を振り、蓋を開けて空気に触れさせれば終わりだ。
當葡萄乾全部浮起並出現白色泡沫時即完成。
レーズンが全て浮き、白い泡が出たら完成だ。
有了天然酵母,剩下就是做吐司麵包了。
天然酵母があれば後は食パンを作るだけだ。
不過手邊沒有牛奶和奶油,只用砂糖、鹽、油、天然酵母和麵粉做出山型吐司。
ただし牛乳やバターが手元にないため、それらを使わずに砂糖と塩、油と天然酵母、小麦粉だけで山型食パンを作る。
雖然發酵及石窯溫度調整耗時,但還是烤出了好幾個吐司。
発酵や石窯の温度調整で時間はかかったものの、数個の食パンを焼き上げる。
「接下來做個蛋三明治就完成了吧。馬鈴薯這次只是和雞腿肉一起用鹽麴燉煮,挺簡單的。」
「後はタマゴサンドを作れば終わりかな。ジャガイモは今回、鶏モモ肉と一緒に塩麹で煮ただけだから楽だし」
就這樣一下子天就黑了,轉眼成了傍晚。
そうこうしている内にあっという間に夕方になった。
結果大家的晚餐變成了看起來莫名其妙的菜單:蛋三明治、南蠻雞塔塔醬三明治、雞腿肉與馬鈴薯的鹽麴燉菜、味噌湯和尾張米。
お陰で全員の夕ごはんがタマゴサンド、鶏南蛮タルタルソースサンド、鶏モモ肉とジャガイモの塩麹煮、味噌汁と尾張米という意味不明なメニューになってしまった。
但以麵包為主的料理頗受好評。
だがパン系での料理は好評を得る事が出来た。
靜子早就想在今年做一個實驗。
今年はある実験を行おう、と静子は前々から考えていた。
她要做的實驗有兩項:「桶栽稻米」和「農作物的空中栽培」。
彼女の行う実験は『稲のバケツ栽培』と『農作物の空中栽培』の二つだ。
桶栽顧名思義是用水桶栽種稻米的方法,雖然效率談不上高,但作為讓孩子透過實作學習稻作原理的教材十分有用。
バケツ栽培は名前の通りバケツを使って稲を栽培する方法だ。決して効率が良いとは言わないが、子どもたちに稲栽培の仕組みを実体験を通して学習させられる教材として重宝する。
重點反而是農作物的空中栽培。
むしろメインは農作物の空中栽培だ。
這也稱為倒栽法,是將作物懸離地面栽培的方法。
これは逆さ栽培とも言われ、地面から離して栽培する方法だ。
優點是不需要將荒地開墾成田地,比起傳統在土壤中種植更能有效利用空間。
メリットとしては荒れ地を畑に開墾する必要がなく、従来の土壌に植えて栽培するより空間を効率的に利用出来る。
缺點是保水能力低,比一般栽培需要更多水,且栽培結束後需更換土壤。
デメリットは保水能力が低いため通常の栽培より多く水を必要とし、また栽培が終わった後に土の交換作業が発生する点だ。
即使是在通常無法開墾為田地的山城等地,能夠栽培作物的好處也足以抵消那些缺點。
それでも山城など通常なら畑を開墾する事が出来ない場所で、作物を栽培出来るメリットはデメリットを打ち消してくれるほど大きい。
在這種空中栽培中,被認為最好的作物是薩摩芋。
この空中栽培で最も良いとされるのが薩摩芋だ。
通常薩摩芋在平地栽培,而用多層棚來栽種薩摩芋的方式,就是所謂的空中栽培。
通常、薩摩芋は平地で栽培されるが、この薩摩芋を多層の棚で栽培する方法が空中栽培だ。
根據多層棚的層數,少量的土地每一平方米就能收穫到二十公斤的薩摩芋。若是在能從地下水脈抽水的城中,就能大量種植薩摩芋。
多層棚の段によっては僅か一平米につき、二〇キロもの薩摩芋が収穫出来る。その気になれば地下水脈から水を汲み上げる城で、大量の薩摩芋栽培が行える。
即便陷入圍城戰、補給線完全被封鎖,也能自給一定程度的食料。若附設將士兵糞尿加工成堆肥的設施,還能建立循環的環境。
籠城戦になり補給路が完全封鎖されても、ある程度の食料が自前で確保出来る。兵士たちの糞尿を堆肥に加工する施設を併設すれば循環環境を構築出来る。
與松樹並列,薩摩芋的空中栽培作為萬一的備用措施相當合適。
松の木と並んで、薩摩芋の空中栽培は万が一の備えとしてはうってつけだ。
靜子的實驗就是研究薩摩芋空中栽培中效率最佳的方案。
この薩摩芋の空中栽培で、最も効率が良いプランを調べるのが静子の実験だ。
所謂最佳的環境,是用極少的土和堆肥就能大量收成,且耗水量也少。
ベストと言える環境は、僅かな土と堆肥で多く収穫出来、更に水の消費が少ない事だ。
為了找出那個理想環境,靜子每天持續做測量。
その理想環境を探し出す為に、毎日計測を続ける静子だった。
時光略過,進入五月前夕,正努力盯著每日數值的靜子收到了寄來的茶葉。
そして時は少し経ち五月に入る直前、毎日数値と睨めっこしている静子の元に茶葉が送られてきた。
因季節關係,這些茶葉相當於一番茶,但送來的不是抹茶(未揉捻而乾燥成粉末的茶葉)。
季節柄一番茶に該当する茶葉だが、届けられた茶葉は抹茶(茶葉を揉まずに乾燥して粉末にしたもの)ではない。
按栽培方法分成種類,準備了煎茶、玉露與被覆茶(三種)。
栽培方法で種類を分けており、煎茶、玉露、かぶせ茶の3種類を用意した。
煎茶是從新芽長出到採摘為止完全不遮蔽日光;玉露則是在新芽長出後、約在採茶前三週開始以被覆栽培(覆蓋遮光布)栽培再採摘。
新芽が出てから摘むまで一切日光を遮断しないのが煎茶。新芽が出た頃から茶摘みの三週間ほど前から、被覆栽培(遮光布を被せる)で育てて摘むのが玉露。
在採茶前約十天到一週進行被覆栽培,以比玉露更低的遮光率栽培後採摘的就是被覆茶。
茶摘み十日から一週間ほど前に、被覆栽培を行い、玉露より低い遮光率で育てて摘むのがかぶせ茶だ。
為什麼要遮光以抑制茶樹光合作用,與口味有關。
何故、遮光して茶の木に光合成をさせないかは味に関係する。
茶葉進行光合作用時會增加澀味成分兒茶素(カテキン),並降低鮮味成分茶氨酸(テアニン)的含量比例。也就是說,抑制光合作用可以抑制兒茶素的增加,提升茶氨酸的相對含量來調整風味。
茶の葉は光合成を行うと渋み成分のカテキンを増やし、旨み成分のテアニンの含有比率を減らす。つまり光合成を抑えると、茶の葉のカテキンの増加を抑え、テアニンの含有比率を上げる調整が可能だ。
結果上,煎茶帶有適度的澀味與清爽香氣,玉露則有甘味與厚實的滋味以及被覆栽培特有的覆被香(覆い香),被覆茶則呈現介於煎茶與玉露之間的風味差異。
その結果、煎茶は程よい渋みと爽やかな香り、玉露は甘みとコクのある味と遮光栽培独特の覆い香と言われる香り、かぶせ茶は煎茶と玉露の中間的な味わいという違いが出る。
「寄了好多啊。應該說收成如此豐富嗎?」
「随分と沢山送ってきたね。それほど豊作だったと思うべきかな」
打開壺蓋的靜子一開口就這麼說。
壺の蓋を開けた静子は、開口一番そう言った。
「要試喝茶嗎?」
「お茶を試飲しますか?」
「嗯,當然要。啊,也可以放涼了,把飯和梅干也端來吧。」
「うん、勿論するよー。あ、冷めていても良いからご飯と梅干しも出してね」
「那個是……? 啊……好,知道了。雖然是冷飯,我會端上來。」
「それは……? あぁ……はい、分かりました。冷や飯ですがお出しします」
「雖然會好奇那段時間在做什麼,但算了。反正沒飯吃的孩子們也會被香味吸引過來,請幫我準備包括彩在內的五人份吧。」
「その間は何なのか気になるけど、まぁ良いか。どうせ欠食児童たちも匂いに気付いて来るだろうから、彩ちゃん含めて五人分お願いね」
「知道了。請稍等。」
「分かりました。少々お待ちください」
向靜子行禮後,彩便去廚房準備。
静子に頭を下げた後、彩は準備をするため台所に向かった。
她之所以會收到茶葉,原因非常簡單。
彼女が茶葉を送られる理由は至極簡単だ。
靜子不是自己持有茶園,而是與已擁有茶園的農家簽約。
静子は茶畑を持つのではなく、既に茶畑を持つ農家と契約を結んだのだ。
戰國時代茶雖是高級品,但有像宇治茶那樣的高級茶,也有被視為較次等的茶。
戦国時代、茶は高級品ではあるものの、宇治茶のように高級茶もあれば、少し下に見られる茶もあった。
岐阜有美濃茶,但不如被列為日本三大茶的靜岡茶、宇治茶、狹山茶或鹿兒島茶那樣有名。
岐阜は美濃茶があるものの、日本三大茶に数えられる静岡茶・宇治茶・狭山茶もしくは鹿児島茶ほど有名ではない。
因此即便是靜子,只要做得好也能簽約。更何況背靠信長之名,至少協商是相當容易的。
よって静子でも上手く行けば契約を結ぶ事は可能だ。何より信長の名を使えば、話し合いぐらいは簡単に出来る。
但能否締結契約則取決於靜子的交涉手腕。
しかしそこから契約にこぎつけるまでは、静子の話術に左右されたが。
在確認茶園狀況後,最終靜子與四戶農家簽訂了獨占契約。
茶畑の状態を確認しつつ、最終的に静子は四人の農家と独占契約を結んだ。
所謂契約並不嚴苛,更像是互相約定:依照靜子的指示調整茶樹環境並栽培,採摘的茶葉按指定加工等。
契約と言っても堅苦しい内容はなく、静子の指示通りに茶の木の環境を整えて育成し、摘んだ茶葉は指定通りの加工を行うなど、互いの取り決めに近い。
因為是獨占契約,從一番茶到四番茶的份額理所當然都屬於靜子;不過靜子會以米、鹽等食糧作為茶葉的代價寄給農家。
そして独占契約なので一番茶から四番茶まで、静子の取り分は当然の如く全てだ。ただし茶葉の代金代わりに米や塩などの食料を静子は農家に送っている。
她與茶園農家簽獨占合約的原因,是因為漁村曾哭訴「想不到處理小魚的方法」。
彼女が茶畑の農家と独占契約をした理由は、漁村から『小魚の処理が思いつかない』と泣きつかれたのが原因だ。
起初她想把小魚做成肥料撒在田裡,但小魚並非穩定供給,時常因日而異。
最初は肥料にして畑にでもまこうかと考えたが、小魚が安定して供給される訳ではなく、日によってまちまちだった。
靜子了解即便把魚壓榨去脂、乾燥再研磨成「魚粕」,也難以找到合適用途,於是思考魚粕最適合施用於哪些作物。
魚を圧搾して脂肪分を取り除き、乾燥させてから粉砕した「魚粕」を作っても、使いどころが難しいと理解した静子は、魚粕が効率的な作物はなにか考える。
結果她決定與有茶園的農家簽獨占合約,讓他們使用魚粕。
結果、茶畑を持つ農家に使わせようと独占契約を結んだのだ。
換言之,若非漁村在處理小魚上陷入困境,靜子根本不會有簽獨占茶園合約的念頭。
つまり漁村が小魚の処理に困らなければ、静子は茶畑を持つ農家と独占契約を結ぶ気は微塵もなかったのだ。
三十分後。
三十分後。
奇怪的是,慶次、才蔵、長可三人不知從何得知消息,連奇妙丸和他的教導者老爺子也來參加試茶。
本当に何処から聞きつけたのか慶次、才蔵、長可の三人に加え、奇妙丸と彼の教育係の爺まで試し茶に集まった。
「今天究竟會端出什麼?」
「今日は一体どういうものが出てくるのだ?」
期待難掩的長可這樣問向靜子。
期待を隠せない長可が静子にそう尋ねる。
「……今天要試的是用於煎茶道的茶葉。順帶一提,跟使用抹茶的抹茶道不同,煎茶道是用急須把熱湯沖入茶葉再飲用,所以跟大家所熟悉的茶道大不相同喔」
「……今日はね、煎茶道の為の茶葉を試すのよ。ちなみに抹茶を用いる抹茶道と違って、急須を用いて茶葉に湯を注いで飲む形式だから、皆の知っている茶道と随分違うよ」
一般來說,談到茶道多指用抹茶的抹茶道,而用急須煮的煎茶道則不太為人所知。
一般的に茶道とは抹茶を用いる抹茶道の事を言い、急須で淹れた茶を飲む煎茶道は余り知られていない。
據說把原本來自中國文化的煎茶傳入日本的是江戶時代初期開創黃檗宗(禪宗之一)的隱元隆琦。
元々中国文化であった煎茶を日本に広めたのは江戸時代初期に黄檗宗(おうばくしゅう)(禅宗の一つ)を開いた隠元(いんげん) 隆琦(りゅうき)とされている。
戰國時代的煎茶道,可說是一種莫可名狀的未知文化。
戦国時代において、煎茶道は海の物とも山の物ともつかぬ未知の文化と言える。
順帶一提,現代的茶道由三千家主導,但煎茶道無明顯主流門派,呈現群雄割據之勢。
因みに現代における茶道は三千家(さんせんけ)が主導しているが、煎茶道は主流派が存在せず群雄割拠の様相を呈している。
「不說理論了,急須一套已經備好,按煎茶、覆蓋茶、玉露的順序來喝吧」
「論より証拠、急須一式は用意しているから、煎茶、かぶせ茶、玉露の順で飲むよ」
靜子雖非專門學過煎茶道,但煎茶道本來就不拘泥形式,以喝煎茶的「煎茶趣味」為基本理念。
専門的に煎茶道を学んでいない静子だが、元々煎茶道は形式にとらわれず煎茶を飲む「煎茶趣味」が基本的な考えだ。
因此只要掌握三點注意事項——『不使用沸騰的熱水』、『不搖動急須』、『不一次性把茶倒滿茶碗』——就沒問題。
よって茶を入れる時に気をつける『沸騰した湯を使わない』・『急須を回さない』・『一気に湯呑みへ注がない』という三つのポイントを押さえておけば問題ない。
湯溫方面,煎茶大約以80度為佳,覆蓋茶和玉露則約60度左右較適宜。
なお湯の温度だが煎茶は大体80度、かぶせ茶と玉露は60度ぐらいが良しとされている。
把熱水倒入冷卻器中降溫,邊等候邊開始準備茶葉。
湯冷まし器にお湯を入れて冷ましながら、茶葉の準備にとりかかる。
準備完成後,把已冷至約80度的熱水注入急須,等待茶葉舒展(約一分半)。
準備を終えた後、80度近くまで冷めた湯を急須に注ぎ、茶葉が開く(およそ一分半)のを待つ。
玉露和覆蓋茶也以相同方法沖泡。
玉露やかぶせ茶も同じようにして茶を入れる。
「嗯,先只喝茶試試吧。順帶一提,慶次先生,你剛才一直盯著那邊放著的冷飯看,那個待會兒會好好拿出來的喔」
「まぁまずはお茶だけ飲んでみて。ついでに慶次さん、さっきからあそこに置いている冷や飯を見ているけど、それは後でちゃんと出すからね」
聽了靜子的話,表情有些尷尬的慶次為了轉移另外兩人的追問,一口把玉露喝光了。
静子の言葉にばつの悪そうな顔をした慶次は、他の二人からの追求を逸らすために玉露を一気飲みした。
「嗯——怎麼說呢,沒放糖卻是甜的茶啊」
「んー何というか砂糖が入ってないのに甘い茶だな」
「細細品味喝。嗯……確實和用於茶會的茶味道不同。」
「味わって飲め。ふむ……確かに茶の湯で飲む茶と味が違うな」
「我沒經驗過茶會的茶所以不清楚,但這個很好喝,靜子!」
「茶の湯を経験した事がないから分からんが、これは旨いぞ静子!」
「好喝,想不到其他形容詞了。」
「旨い、それだけしか思いつかん」
「年紀大了的人參加茶會會覺得累,所以我偏好這種方式。」
「年寄りには茶の湯は疲れます故、こちらの方が好みでございます」
對於獲得不錯評價而滿足的靜子把飯盛入茶碗,注入茶,最後再加上梅干。
それなりに良い評判が出た事に満足した静子は、茶碗に飯を盛り、茶を入れ、最後に梅干しを添えた。
也就是所謂的茶泡飯。雖然淋白湯的情況有時也會被稱為茶泡飯,但淋白湯時會稱為湯泡飯以作區別。
いわゆる茶漬けである。白湯をかけた場合でも茶漬けと呼ばれる事はあるが、白湯をかけた場合は湯漬けと呼んで区別されている。
據說茶泡飯的起源在番茶和煎茶普及、茶成為庶民嗜好品並穩定下來的江戶時代中期之後。
茶漬けの始まりは番茶や煎茶が普及し、茶が庶民の嗜好品として定着した江戸時代中期以降と言われている。
煎茶含有些許鮮味成分(麩胺酸鈉),味道比白湯好;不過庶民基本上用的是番茶(不是嫩葉而是成熟葉)來淋著吃。
煎茶には若干の旨味成分(グルタミン酸ナトリウム)が含まれており、白湯より味が良かったが、庶民は基本的に番茶(煎茶のように若葉ではなく成長した葉)をかけて食していた。
「不是湯泡飯而是茶泡飯啊,原來還有這種吃法啊」
「湯漬けではなく茶漬けかぁ。こういう食い方もあるのだな」
「可是為什麼會拿出這種料理來呢?」
「しかし何でまた、こんな料理を出してきたのだ?」
「……是什麼時候來著。做了試作品給人吃的時候,大約有四個人說這很不公平之類的話吧?」
「……いつだったかなぁ。試作品を作って食べていたら、ずるいとか言っていた人が四人ぐらいいたのだけど?」
那一瞬間,慶次、才蔵、長可、奇妙丸四人都轉開了目光。
瞬間、目を逸らした慶次、才蔵、長可、奇妙丸の四人だった。
五月上旬,一封信送到了靜子手上。
五月上旬、静子の元に一通の手紙が届く。
信上沒有寫寄信者的名字,彩起初以為是惡作劇,但用的是上等紙,若是惡作劇也太費工夫了。
差出人の名前が記載されておらず、悪戯目的なのかと訝しんだ彩だが、それにしては上質な紙が用いられており、悪戯にしては手が込んでいる。
帶著疑問,但確認一輪無誤後還是把信交給靜子,請她做最後判斷。
疑問に思いながらも、一通りの確認を済ませた後、最終的な判断を仰ぐため静子に手渡した。
「這是奉書紙呢。用這種紙來寄信的話,代表著……」
「これ奉書紙(ほうしょがみ)だね。これで手紙を出してくるという事は……」
靜子從手感和紙的厚度判斷出是奉書紙,於是打開信閱讀內容。
手触りや紙の厚みから、奉書紙だと理解した静子は手紙を開いて内容を読む。
這種厚紙以楮為原料,基本結構與椿紙無異,但混入黃葵的根和白土等,使之更堅韌、更厚實,這點不同。
楮を原料とした厚手の紙で、基本的な構造は椿紙とは変わらないが、黄葵の根や白土などを混ぜ、強度と厚みを持たせている所が異なる。
這種紙自室町時代開始被漉造,因為室町幕府曾把奉書紙當作公文書使用,所以被稱為有命令書含義的「奉書紙」。
この紙は室町時代から漉かれており、また室町幕府が奉書紙を公文書として使用していた事から、命令書という意味の「奉書」紙と呼ばれるようになった。
「嗯……嗯嗯……嗯嗯嗯……」
「ふむ……ふむふむ……むむむむ……」
「請問,究竟是誰寄來的?」
「あの、一体誰からですか?」
彩戰戰兢兢地問著,對著眉頭緊鎖讀信的靜子。
眉間にしわを寄せて手紙を読む静子に、彩は恐る恐る尋ねる。
彩對靜子露出一種連在信長來信時都沒見過的表情,感到一抹不安,但靜子沒有回答她的質問,而是這麼說。
信長の手紙の時ですら見せた事のない表情に、一抹の不安を感じた彩だが、静子は彼女の問いに答えずこう言った。
「彩醬!隨便花多少都可以,幫我把在岐阜的別館打掃乾淨!啊,還有我要收集各種食材,但我要把關,所以先別寄來喔!」
「彩ちゃん! 幾ら使っても良いから、岐阜にある私の別館の掃除をしておいて! あ、それから色々と食材を集めるけど、私が精査するから送るのは待ってね!」
彩明白這樣不行,面不改色地向靜子的頭劈下了一記手刀。
これは駄目だと理解した彩は、表情を変えず静子の頭にチョップを振り下ろした。
「哎唷」
「ぎゃふん」
「冷靜下來了嗎,靜子大人」
「落ち着きましたか、静子様」
「好痛……喔,冷靜下來了,如果能把手放下我會很感激」
「痛いです……お、落ち着いたから、その手を下ろしてくれるとありがたいかなぁ」
見到彩揮起手,靜子迅速護住頭向後退了好幾步。
彩が手を振り上げたのを見て、静子は素早く頭を庇いながら数歩後ろに下がった。
彩大大嘆了一口氣後,緩緩放下手。看起來分不清誰是主子。
盛大なため息を吐いた後、彩は手を静かに下ろす。どちらが主人か分からない光景だった。
「那麼,是誰寫的信呢?讓靜子大人興奮到忘我的對象,老實說我很難想像」
「それで、どなたから文を頂いたのでしょうか。静子様が我を忘れるほど興奮する相手は、正直想像がつきかねます」
「先說清楚,這不是公方大人寄來的奉書。我和公方大人沒什麼來往」
「一応断っておくけど、これは公方様からの奉書じゃないよ。私は公方様に用はないし」
「是的,我知道。而且我也不認為公方大人會特地給靜子大人寫信」
「ええ、それは存じております。それに、公方様が静子様にわざわざ文を寄越すとも思えません」
「嘛。如果要寄信,應該是寫給館主吧。那麼,是誰寄來的呢……呵呵呵,聽了別嚇到,是現任近衛家當主!看,花押不是公家式而是武家式。近衛大人從將近十年前就改用武家式花押,肯定沒錯」
「まぁね。送るならお館様宛でしょう。で、誰から来たかというと……ふっふっふ、聞いて驚くなかれ。現近衛家当主様からよ! ほら、花押が公家様式ではなく武家様式でしょ。近衛様は十年近く前から、武家様式の花押を使っているから間違いないね」
「(問為何知道那方面的事情……也沒意義吧)失禮了,請問現任近衛家當主曾被指控參與公方大人兄長之被殺一事……?」
「(どうしてその辺りの事情を知っているか……は尋ねても意味ありませんね)失礼ですが、現近衛家当主は公方様の兄殺しに加担した罪がございましたが……?」
「嗯?然後呢?」
「うん、それで?」
面對似乎在說『那有什麼問題?』態度的靜子,提出問題的彩一時語塞。
何が問題かと言いたげな態度の静子に、質問した彩は言葉に詰まった。
「那些事情我比彩醬還了解。但即便考慮到那些不好的傳聞,近衛家仍然值得被納入織田陣營」
「その辺の事情は彩ちゃんより詳しく知っているよ。でもね、そういう悪い噂を考慮しても、近衛家は織田陣営に取り込む価値があるの」
「……明白了。若靜子大人如此斷言,想必是位相當有能力的人吧」
「……分かりました。静子様がそこまで仰られるなら、さぞかし有能な御方なのでしょう」
「也是啦。話說到現在為止寄信都被徹底無視,怎麼會突然願意聽話呢?不過想也沒用。總之把這件事妥善處理,把近衛家當主拉攏到織田陣營」
「まぁね。それにしても、今まで手紙出しても完全に無視されていたのに、どうして急に話を聞く気になったのだろう。ま、考えても仕方ないか。とにかくこの話を上手く纏めて、近衛家当主を織田陣営に取り込もう」
靜子握緊拳頭,打起精神。
握り拳を作って静子は気合を入れる。
隨後,靜子如宣言般把她挑選的最高級食材搬進信長為她準備的別館。
その後、静子は宣言通り信長が用意していた静子用の別館に、自身が選んだ最高級の食材を運び込む。
她像個婆婆般檢查房間角落是否打掃乾淨,若做不好就再重做,十分仔細。
姑よろしく部屋の隅まで掃除が出来ているかチェックし、出来てなければ再度やり直しという念の入れようだった。
由於靜子動作誇張,近衛家當主會談的消息很快就傳到在京的信長耳中。
派手な動きをする静子だから、当然近衛家当主と会談する話は瞬く間に京にいる信長の耳へ入った。
平日裡不多與人交往、埋首幕後的靜子做了周到準備去面見近衛家當主,信長也無法看透她的真正目的。
普段、必要以上に人と関わらず、裏方に徹している静子が周到な準備をして近衛家当主との会談に臨む。何が目的か、信長も彼女の腹の底が読めなかった。
更何況她連詳情也沒告訴彩,只像口頭禪般回答「近衛家當主會成為織田陣營的助力」。
おまけに詳しい内容は彩にも伝えておらず、ただ口癖のように「近衛家当主は織田陣営にとって良い力となる」としか答えない。
信長無法理解那股「助力」到底是什麼,為此感到頭痛。
その良い力が何なのか、信長には理解出来なかった為、頭を悩ませる事になる。
雖然有些猶豫,他從靜子過去的行動判斷她對自己無敵意,遂僅在她周圍安插了幾名兼任護衛的間諜。
若干悩んだものの、彼は静子の今までの行動から自身への敵意はないと考え、彼女の周囲に護衛を兼任する間者を数名忍ばせておくに留めた。
就在靜子身邊開始有些騷動時,近衛家第十六代當主近衛前久與近衛家家臣兼家司的進藤長治抵達岐阜。
そんなこんなで静子の周囲が少しだけ騒がしくなった頃、近衛家第十六代当主の近衛前久と近衛家家臣であり家司の進藤長治が岐阜に到着した。
「那麼,死人所宣告的是假還是真的呢?」
「さて死人の宣告は嘘か真か」
前久一邊眺望岐阜的街景一邊如此低語。
岐阜の町並みを眺めながら前久はそう呟いた。
身為五摂家之一的近衛家當主,前久年方三十三,卻有種讓人誤以為二十多歲都不奇怪的青春容貌,臉上流露出不似公家人般的豪爽氣度。
五摂家のひとつである近衛家当主の前久は、年は三十三歳だが二十代と言われても違和感を抱かない程に若々しい雰囲気を醸し出す顔つきをしており、公家の人間らしからぬ豪胆と言っても過言ではない、ある種の風格のようなものを纏っていた。
前久年僅十九便擔任關白,是朝廷中首屈一指的政治家,然而在永祿十一年信長奉持足利義昭上洛後,他因涉嫌參與暗殺第十三代將軍足利義輝而被朝廷放逐。
前久は僅か19歳で関白を務めるほど朝廷随一の政治家だったが、永禄11年に信長が足利義昭を奉じ上洛を果たした後、彼は第十三代将軍・足利義輝殺害関与の嫌疑で朝廷から追放された。
被放逐後他流寓於黑井城的下館,兩個月後被免去關白之職,遂寄居於攝津國大坂的石山本願寺。
追放された後は黒井城の下館に流寓し、二ヶ月後に関白を解任されると摂津国大坂の石山本願寺に寄寓した。
「不、不過……那個出現在夢裡的死人所說的話,或許不必當真吧?」
「し、しかし……その夢に出てきた死人の言う事を、真に受けなくても良いのではないでしょうか」
「誠然。然而那傢伙那瘋狂般的眼神讓人難以忘懷。只是回想就比留在古河城時更令我毛骨悚然。因此必須會談,儘快讓那傢伙超渡」
「確かにな。しかしあ奴の狂人めいた目は忘れられぬ。思い出すだけで古河城に残った時よりも、身の毛がよだつ思いがしたわ。故に会談を行い、さっさとあ奴を成仏させぬとな」
不顧長治的進言,前久邊開玩笑邊豪爽地笑了出來;然而臉頰上流下一道汗,連長治當然,連前久自己也未察覺。
長治の進言もどこ吹く風、前久は冗談を混ぜながら豪胆に笑った。しかし頬に一筋の汗が流れている事を、長治は勿論の事、前久本人も気付いていなかった。
之後兩人邊在岐阜稍作觀光,花了半個時辰左右抵達靜子的別館。
それから暫く岐阜の観光をしながら、二人は半刻ほどかけて静子の別館に到着する。
「……好小啊」
「……小さいな」
這是前久的第一直覺。
前久の第一感想はそれだった。
位於岐阜的靜子別館,與周遭其他織田家家臣的宅邸相比小了整整兩圈。
岐阜にある静子の別館は、周囲にある別の織田家家臣の邸宅と比べて二回りも小さい。
要說不好就是寒酸,要說好則是去除浮華,只留下必要的最低限。
悪く言えばみすぼらしい、良く言えば過飾を払い必要最低限のみを残しているとも言える。
靜子的別館是帶有縁側的傳統日式宅院。當然,也採用了瓦屋頂等幾項先進的技術。
静子の別館は縁側のある伝統的な日本家屋だ。勿論、瓦屋根など幾つか先進的な技術を導入してはいる。
「倒也不差。」
「だが悪くない」
前久很喜歡這種深簷使視覺上重心偏低、安定沉著的宅邸風格。
軒を深く取り、視覚的に低重心の落ち着いた佇まいの家を、前久はとても気に入った。
但也不能一直在門前站著不動,長治敲了幾次門。
しかしいつまでも門の前で佇む訳にもいかず、長治が門を何度か叩く。
也許有人事先在門附近待命,門很快就被打開。
予め門の近くで人が待機していたのか、すぐに門は開けられた。
「歡迎光臨,近衛大人。」
「ようこそお越しくださいました、近衛様」
出迎他的是彩。她不是平日便於行動的打扮,而是穿著適合與公家人士會面的裝扮。
出迎えたのは彩だった。普段の動き易い格好ではなく、公家の人間と会うに相応しい身なりをしていた。
「我主君正在裡面等候。」
「我が主が中でお待ちしております」
前久雖然對沒有護衛士兵感到驚訝,但仍點頭接受彩的引導。
前久は護衛の兵士がいない事に驚きはしたものの、彩の言葉に頷くと彼女の誘導に従う。
從穿過門到進屋內,前久無法掩飾被那令人毛骨悚然的寂靜所動搖;連僕人的生活聲都沒有,彷彿是個與塵世隔絕的地方。
門から家の中に入るまで、恐ろしく静かな事に前久は動揺を隠せなかった。使用人の生活音すらしない、俗世と切り離された場所と勘違いしそうなほどだ。
「靜子大人,近衛大人到了。」
「静子様、近衛様をお連れしました」
說罷,彩輕輕推開障子。
そう言って彩は障子を静かに開ける。
「遠道而來,歡迎光臨,近衛大人。」
「遠い所からようこそお越しくださいました、近衛様」
「……啊、啊啊。」
「……あ、あぁ」
近衛前久並非愚者;他事先已盡可能打聽過有關靜子的事。
近衛前久は愚者ではない。事前に静子という存在を、可能な限り調べ尽くした。
他也知道靜子是女性。但仍無法將這位比自己小一輪、卻在織田家臣中被重視的人物與所掌握的資訊對上。
静子が女性である事も彼は知っていた。それでも自分より一回りも年若い人物が、織田家家臣の中で重要視されている人物と一致しなかったのだ。
他一時語塞,但整理情緒後還是進行了例行的寒暄,並坐到靜子指定的位置。
言葉に詰まった彼だが、気を取り直してひと通りの挨拶をし、静子指定の場所に座る。
「先聲明一下。互相試探不過是浪費時間。不得隱瞞,雙方坦誠以待,直說本心。」
「先に宣告しておく。腹の探り合いは、互いに時の浪費以外の何物でもない。隠し事はなし、互いに本音を出して語り合おう」
當然,前久並不打算老實說出真心話。
勿論、前久は素直に本音を語る気はなかった。
他認為即便宣稱要談真心話,靜子也會隱藏真正想法;前久打算從那點切入以掌握會談主導權。
本音で語ろうと言っても、静子は本音を隠して会談をすると考えたからだ。そこを突いて会談の主導権を握ろうと前久は思った。
然而那樣的企圖過於徒然。
しかしそれは余りにも無意味だった。
「是這樣。那就直截了當地說吧。我方有兩個要求:一是希望您能傾向織田陣營,二是希望解除與本願寺法王顯如長子教如殿的猶子(ゆうし)關係。」
「そうですね。では単刀直入に申します。こちらの要望は二つです。一つは織田陣営に味方していただく事。そしてもう一つは本願寺法王顕如の長子である、教如殿との猶子(ゆうし)を解消して頂きたく思います」
因為根本沒必要向靜子隱藏真心。
何故なら、静子に本音を隠す必要など無いのだから。
「不過,遠道而來必定辛苦,或許也有些疲倦。我們已備妥膳食,如蒙允許請用用看。」
「とは言え、遠路遥々ご足労願いましたことですしお疲れもありましょう。お食事を用意させて頂きましたので宜しければご賞味下さい」
靜子說罷,便引導兩人往縁側旁的客室。
そう告げると静子は縁側にある客間へと二人を案内する。
前久坐在上座,長治則坐向南方的緣側;引導完兩人後,靜子在襖前的下座落座。
最上座へ前久が座り、南向きの縁側の方へ長治が座す。二人を案内し終えた静子は襖前の下座に着座した。
她瞥了前久一眼,輕輕拍手示意,襖隨即被掀開,彩進入房內,熟練地將盛著茶碗的膳桌放到三人面前。
彼女は前久を一瞥した後、軽く手を叩いて合図をする。すぐに襖を開けて彩が部屋に入り、慣れた手つきで茶碗を乗せたお膳を三人の前に置く。
「尾張比起京城算是鄉下,不能說是最上乘之物,但已盡力準備了我們能備的最佳膳食。請先品嘗這道。」
「尾張は京と比べると田舎ゆえ、一流の物とは言いかねますがこちらが用意できる精一杯の物を準備いたしました。まずはこちらをお召し上がり下さい」
兩人注目於眼前擺放的茶碗。
二人は目前に置かれた茶碗に注目する。
這是帶蓋的茶碗,乍看之下看不出裡面放了什麼,兩人都歪著頭。
一見すると何が入っているか分からぬ蓋付きの茶碗に、二人とも首を傾げる。
一開始以為是茶,但因為有蓋且附有木製湯匙,便判斷不是茶。
茶が入っているのかと思ったが、蓋がある上に木製の匙が添えられている点から、茶ではないと考えた。
輕觸之下能感覺到實實在在的熱度,推測裡面是羹類(あつもの)。
軽く触れるとしっかり熱を伝えてくることから、中身は羹(あつもの)であることが推測できた。
「哦……從未見過這類料理,這到底稱作什麼?」
「ほぅ……このような料理は見たことが無いが、一体何という名の料理かな?」
對於前久的提問,靜子柔和地微笑著回答。
前久の問いに、柔らかく微笑んで静子が返答する。
「這是最近在尾張才開始能做的料理,稱為茶碗蒸。以雞蛋為主材的蒸料理。」
「つい最近尾張で作る事が可能になりました、茶碗蒸しと申します。鳥の卵を主役とした蒸し料理にございます」
聽了靜子的解說後,長治掀開了蓋子。
静子の弁を受けて、被せられていた蓋を長治が開ける。
首先映入眼簾的是米白色的光滑蛋羹,接著是作為配料放入的厚實椎茸的黑色,旁邊還有疑似魚卵的紅褐色與鮮豔綠色的柑橘皮。
まず目に飛び込んで来るのは生成り色の滑らかな生地。続いて具として入れられた肉厚の椎茸の黒。更に脇に添えられた魚卵と思しき赤茶色に、鮮やかな緑色を示す柑橘類の皮らしきもの。
這些鮮明的色彩在入口前就已讓長治對美味抱有期待。
目にも鮮やかな色彩は、口にする前から長治に美味の期待を抱かせた。
「趁熱食用最佳,但也不能不試毒就請您直接用餐。若您願意,我可代為試毒,如何?」
「熱い内に召し上がって頂くのが最良ですが、毒味もせず召して頂く訳にも参りませぬ。ご希望でしたら私が毒味役を行いますが、いかが致しましょうか」
「無須了。毒味這事由某來做。十分抱歉,但這並不能保證貴女沒有下過手腳。」
「それには及びませぬ。毒味に関しては某が仕(つかまつ)ります。大変申し訳ありませんが、貴女が細工をしないという保証にはなり申さぬ」
「明白了,這是理所當然的體諒。我這邊無意提出異議。」
「分かりました、当然のご配慮と存じます。此方としましては異論を差し挟むつもりはありません」
靜子對長治的提議點了點頭。
長治の申し出に静子は頷く。
將茶碗蒸先收走後,長治隨機挑選並重新分配到各自的膳盤上。
茶碗蒸しを一旦下げると、それぞれのお膳へ長治が無作為に選んで再配膳する。
放回的茶碗蒸先由靜子食用,確認其狀態後長治食用,最後隔一會由前久食用,便以此程序進行用餐。
置かれた茶碗蒸しをまず静子が食し、その様子を確認して次に長治が食する。最後に時間を置いて前久が食べるという流れで会食を進める運びとなった。
靜子掀開茶碗蒸的蓋子,用匙舀起放入口中。
静子は茶碗蒸しの蓋を取ると、匙で掬って口の中に入れる。
長治確認她已入口約四次後,與前久對視示意,然後才揭開蓋子。
四度ほど彼女が口に入れた所を確認した長治は、目線で前久に確認を取ってから蓋を開く。
飄散的芳香立即抓住了長治的胃。濃郁的高湯香氣夾帶著清爽的柑橘香,使人愉悅。
ふわりと漂う芳しい香りが長治の胃を即座に掴んだ。馥郁たる出汁の香りに、爽やかな柑橘系の香りが心地よい。
明明並非特別飢餓,卻壓抑不住食慾,長治不由自主拿起匙子舀起乳白色的部分送入口中。
空腹という腹具合ではなかったと言うのに食欲を抑えられず、長治は思わず匙を取り生成り色の部分を掬って口に運ぶ。
「好柔軟……比完全煮爛的粥還要軟。」
「なんという柔らかさ……完全に煮崩した粥よりもまだ柔らかい」
再也說不出話來。
続く言葉が出なかった。
放入口中瞬間滑順地在口中融化,同時留下濃厚的高湯滋味才慢慢消散。
口に含んだ瞬間トロリと蕩ける滑らかな口当たり。反面濃厚な出汁の味を口に残して消えてゆく。
面對前所未有的未知口感,長治又舀了一匙送入口中。雖然腦海裡總有可能下毒的念頭,但他的手卻不受意志控制地動了。
今までに体験したことのない未知の食感に、長治はもう一匙掬って口に運ぶ。毒が入っている可能性は常に頭の片隅にはあったが、彼の手は意に反して動いていた。
他咬向厚實的香菇。隨著菇類豐饒的香氣,一塊塊爆發的鮮味汁液在口中肆虐。
肉厚の椎茸に齧り付く。茸の持つ芳醇な香りとともに、弾ける旨みの塊となった汁が口の中を蹂躙する。
「這些呈赤茶色的小粒究竟是什麼?」
「この赤茶色をした粒々は一体何かな?」
坐於上座、已揭蓋察看內部的前久開口詢問。
最上座にて蓋を外して中身を見分していた前久が問いを発する。
「這是把近海偶然捕獲的鮭魚卵以醬油醃製,放入雪室靜置熟成的東西。味道略有癖性但能補精,所以請像這樣將蛋基底、鮭魚卵與柚子皮一同品嚐。」
「これは近海で偶然獲れました鮭という魚の卵を醤油に漬けこみ、雪室にて寝かせておいた物となります。少々癖がありますが精が付く食べ物ですので、このように玉子生地と鮭の卵、柚子の皮を一緒に食べてみて下さい」
被這般說明後長治只好不得不吃,便瞟了前久一眼抬頭看著他。
そうまで言われては食べるしかなくなった長治はちらりと前久を仰ぎ見る。
前久默然點頭,作為信號長治也插入匙子,連同醬油醃製的魚卵一同將茶碗蒸送入口中。
前久は無言で頷き、それを合図に長治も匙を差し入れイクラの醤油漬けとともに茶碗蒸しを口に含む。
本易變得單調的味道,被較為濃重的鹹味所收束;魚卵每次咀嚼時『噗啵』地爆開,吐出海味的鮮美。
やや単調になりがちな味を強めの塩味で引き締める魚卵がプチプチと噛みしめる度に弾け、魚介の旨みを吐き出す。
柑橘類的果皮清爽地沖淡那種腥味。認識到這是一道經過非常縝密計算的精緻料理。
その生臭さをすっきりと爽やかに押し流す柑橘類の皮。これは非常に計算されつくした繊細な料理であると認識した。
「那麼味道如何?你剛才除了說『柔軟』之外沒說別的啊。」
「して味はどうなのだ? 先ほどから柔らかいとしか言っておらぬぞ」
被作為主人身分的前久問話,長治陷入窘迫。
主人たる前久の言に窮する長治。
想立刻回應,卻對於自己知識無法表述的味道,只能坦率地陳述感想。
即座に応えたいが己の知識では表現し得ない味に素直に感想を述べる。
「我保證在我迄今所嚐之物中,這是最上等的滋味。但我沒有能表達此味的方式。連類似的食物都完全想不起來。首先請讓我全部細細品嚐,來擔任試毒的角色給您看。」
「私が今まで口にした物の中で、最上の味であることは保証致します。ですが私はこの味を表現する術を持ちませぬ。似たような味の食べ物すら皆目見当がつきませぬ。まずは全てを味わい毒見役を果たしてご覧に入れます」
如此回答後,長治又向茶碗蒸發起挑戰。吃到中途時,又出現了不同的配料。
そう答え、長治は改めて茶碗蒸しに挑む。中ほどまで食べ進んだところで、また異なった具材が現れる。
他對那呈純白光滑表面、形如勾玉的未知食材皺起眉頭。
真っ白でつるりとした表面を晒す勾玉のような形をした未知の食材に、彼は眉をひそめる。
「那是所謂的百合根。如字面,乃百合的鱗莖,也就是根。可當作類似芋頭的東西看待。」
「それは百合根と申します。言葉通り百合の鱗茎、つまり根っこですね。芋のようなものとお思い下さい」
聽了靜子的話長治歪著頭。對他來說,百合根是作為百合(ひゃくごう)這味漢方的藥材的認知。
静子の言葉を聞いて長治は首を傾げる。百合根は百合(ひゃくごう)という漢方の薬というのが長治の認識だ。
他以為是帶強烈苦味與澀味的藥,因而戰戰兢兢地把百合根放入口中。
苦味と渋みが強い薬と思っている彼は、百合根を恐る恐る口に入れる。
放進口中的瞬間,百合根帶著一絲苦味卻甘美而脆弱地融化。甜、鹹、苦、酸混然一體,編織出一場味覺的饗宴。
口に入れた瞬間、百合根は僅かな苦みを含みつつも甘く儚く蕩けた。甘さ、塩辛さ、苦さ、酸っぱさこれらが混然一体となっておりなす味覚の饗宴。
正因為他有辨味的舌頭,才被深深地著迷。
なまじ味が解る舌を持つだけに、深く深く魅せられる。
發現時已舀到最後一片,竟失禮地連匙子也含在口中,他驚愕不已。
気が付けば最後の一片まで掬い取り、無作法にも匙まで口に含んでいることに愕然とした。
「可惜現在不是當季,無法呈上最完美的茶碗蒸,真是遺憾,但能得您喜歡真是太好了。見您如此高興,做這道菜也算是值得。雖然稍微有些涼了,近衛大人也差不多該品嚐了吧?」
「あいにく季節が外れておりますので、完全な茶碗蒸しをお出しできなかったのが残念ですが、お気に召していただけたようで何よりです。そこまで喜んでいただけると作った甲斐があったというものです。少し冷めてしまいましたがそろそろ近衛様も召し上がっては如何でしょう?」
長治心中不由發毛:若到當季這道料理會不會更加美味?此時焦躁的前久終於拿起茶碗蒸,舀了一匙送入口中。
季節が至ればこの料理は今よりも更に旨くなるのかと戦慄が走る思いの長治に、ついに焦れた前久が茶碗蒸しを手に取ると、一匙掬って口に運ぶ。
(原來如此……能理解長治為何說不出話來。看似簡單,卻擁有驚人的完成度。)
(なるほど……長治が絶句していたのも頷ける。単純に見えて凄まじい完成度の料理である)
微留餘溫的茶碗蒸與平時吃到的冷掉料理截然不同,真是道美味佳餚。盯著前久一匙一匙細嚐的模樣,靜子催促準備下一道。
僅かに熱を残した茶碗蒸しは、普段口にする冷え切った料理とは一線を画す、まさにご馳走であった。一匙一匙を確かめるように口にする前久を眺めつつ、静子が次の準備を促す。
「在各位準備就緒後,將為您端上主菜。」
「食事を摂る姿勢になって頂けたところで主菜をお持ち致します」
靜子拍了兩下手。深處的襖門再次打開,端托盤的彩出現。
静子が柏手を打ち鳴らす。再び奥の襖が開き、盆を持った彩が現れる。
這次的料理因為份量或重量,分成兩次端上來。
今回の料理は重量があるためか二回に分けて運ばれてきた。
對於眼前擺放的物件,前久有些眼熟。
目前に並べられた物体に前久は見覚えがあった。
「這是櫃嗎?能品嚐到你引以為傲的尾張米啊」
「これは櫃ですかな? ご自慢の尾張米を頂けるのですな」
「是的,那也是目的之一,但不止如此。或許您已聽聞,曾在京城肆意捕撈鰻魚」
「ええ、それも狙いとしてありますがそれだけではありません。もしかするとお耳に届いているかもしれませんが、かつて京で鰻を乱獲したことがございまして」
微微染紅雙頰,帶著苦笑這麼說道。
僅かに頬を染めつつ苦笑交じりにそう話す。
「為了把那些鰻魚做得更美味,經過多番研究的成果就是這個,稱為櫃まぶし」
「その鰻を美味しく食べるために研究を重ねたその成果がこちらになります。櫃まぶしと称します」
說罷揭開了櫃子的蓋子。
そう言い添えて櫃の蓋を取る。
立刻一股強烈的香氣在周遭瀰漫。把鰻魚腹部剖開塗上醬汁再烤,醬汁滲透進飯裡,形成一片棕色的土地。
途端に暴力的な香りが辺りに溢れ出す。飯の上に乗せられた鰻の腹を開いてタレを塗して焼いたもの、飯にまでタレが染み込み茶色い大地を作っている。
又撒上的山椒粉帶來一陣清爽的涼意。
さらに上から振りかけられた山椒の粉が一服の涼風を添える。
「首先就這樣直接享用吧」
「まずはこのままお召し上がりください」
靜子親手盛飯到碗裡。端來的碗中,肥美的鰻魚和吸滿醬汁的飯散發出強烈的香氣。
静子自身が手ずから碗に飯をよそった。差し出された碗には脂の乗った鰻が、タレを吸った飯が暴力的な香りを放っている。
按捺不住猛地握起筷子,長治將筷子插入鰻魚與飯中。或許是何等名廚所烤,筷子毫無阻力地插入。舀起飯與鰻送入口中,細細咀嚼。
矢も楯もたまらず握りこむように箸を取ると、長治は鰻と飯に箸を差し入れる。よほどの名人が焼いたのか抵抗らしい抵抗もなく箸が沈み込む。掬い上げた飯と鰻を口に入れ、噛みしめる。
「ーーーーーーーーー!!!!」
「ーーーーーーーーー!!!!」
連聲音都消失了。不,長治已無言可說。
最早声もなかった。否、長治には語る言葉が存在しなかった。
明知有失禮,他還是把碗貼上嘴,用筷子像抓一般猛塞入口。
無作法であることは承知の上で、彼は碗に口をつけて箸で掻き込むようにして流し込む。
充滿油脂的鰻一入口便鬆散化開,隨著油脂釋放出濃郁到幾近纏綿的美味,甜鹹醬汁則將味道緊緊收束。
たっぷりと脂の乗った鰻は口に入れるとホロリと解け、脂とともにしつこいほどの旨みを解き放ち、それを甘辛いタレが味を引き締める。
主角雖是鰻魚,卻也多虧了連帝王將軍都傾心的尾張米相襯方能成就。
主役は鰻であるものの、帝や将軍すらも魅了した尾張米があってこそだ。
吸飽了鰻的油脂與醬汁,卻不損米本身的美味,沉穩地承載著,呈現出渾然一體的滋味。
鰻の脂とタレを吸い込み、なおかつ米自身の旨みを損なわずにどっしりと受け止め、混然一体となった味を饗する。
若非尾張米難以擁有這種黏性,咀嚼時湧出的每一分鮮美在長治口中四散開來。
尾張米でなければこれほどの味を含ませることはできないであろう粘りと、噛みしめる度に溢れ出す旨みが長治の口中いっぱいに広がる。
「接下來請搭配藥味一起享用」
「次は薬味を添えてお召し上がりください」
在靜子的聲音下長治回過神來。
静子の声で長治は我に返る。
他已完全忘了最初的目的,目不轉睛盯著能帶來更多味覺驚喜的靜子。
最早当初の目的など頭にはなく、更なる味わいを提供してくれる静子を凝視する。
當旁邊的盤子上盛著三種藥味的碗被遞來時,他像搶奪般勢急地接過碗。
櫃の横に添えられた皿より三種の薬味を乗せた碗を差し出されると、彼はひったくるような勢いで碗を受け取る。
長治只認得切碎的蔥,對那像黑紙般的細條與淡黃綠色的研磨泥完全沒見過。然而在他想清那是什麼之前,櫃まぶし已入喉。
長治が解るのは刻んだ葱のみ、何やら黒い紙のような細切りと薄黄緑色のすりおろしは見たこともない。しかし彼はそれが何か、を考える前に櫃まぶしを口の中に入れていた。
「這些藥味是青蔥、切碎的海苔、以及磨碎的山葵。山葵相當辛辣,請注意不要一次全部放入口中」
「この薬味は青葱、刻み海苔、わさびのすりおろしでございます。わさびはかなり辛いので一気に口に入れないようにお気を付けください」
靜子的聲音奇妙地留在耳邊,雖聽著有些放空,卻能理解她所說的內容。
静子の声は不思議と耳に残り、聞き流しているのに告げられた内容は理解できていた。
在吃到腹漸飽、鰻的油膩感即將開始覺得膩之前,這些藥味恰巧在那個時機出現。
食べ進み腹が満ちてくるとともに、鰻の脂がしつこく感じられるようになる直前のタイミングでの薬味たち。
蔥的辛味中和了油膩,切碎的海苔傳來一股海苔的海鹹香,再配少量山葵吃下,一下子把厚重感沖散。
葱の辛みで脂が中和され、刻み海苔が磯の香りを伝え、そして少量のわさびとともに食べることでしつこさを一気に押し流す。
這道絕品在飽腹感與味覺習慣上皆精算周到,巧思滿滿直到最後也不會讓人膩。
腹の満ち具合や味への慣れを計算し、最後まで飽きさせない工夫が凝らされた絶品の料理だ。
調整藥味便能千變萬化,每個人都能追求屬於自己獨特真實的美味,還帶著樂趣。
薬味を調整すればその味は千変万化し、各人が異なる己の真なる美味を追及できる楽しさまである。
「最後一碗請改成茶泡飯來享用」
「最後の一杯はお茶漬けにしてお召し上がりください」
被如此告知後,空碗又盛上飯與鰻,撒上切碎海苔與山葵,還有燻製漬物,然後用土瓶將茶澆入碗中。
そう告げられ、空になった碗に更に盛られた飯と鰻、その上に刻み海苔とわさび、そして燻り漬けが乗せられた碗に土瓶より茶が回しかけられる。
正當肚子快飽、想放下筷子時,茶的馥郁香氣再次挑起食欲。
腹がくちくなり、そろそろ箸を置こうかと思ったところに、茶の芳醇な香りで再び食欲をそそられる。
他疑惑地想著,普通的茶不會散發出如此濃郁的香氣。
通常のお茶ではここまでの香りは立たない、と彼は訝しげに思った。
「前幾日買到好茶,經過烘焙成焙茶(ほうじ茶)試過了。清爽順口,應該很適合做茶泡飯」
「先日良いお茶を仕入れることができましたので、焙(あぶ)ってほうじ茶にしてみました。さっぱりとして口当たりが良いのでお茶漬けに合うと思います」
(原來如此……即便只是煮出來就很香的茶,經過烘焙竟然能放出更為馥郁的香氣)
(なるほど……煮出すだけでも良い香りを放つお茶が、焙ることでさらに馥郁たる香りを放つようになるのか)
長治察覺自己已多次被常識顛覆。
長治は幾度も常識を覆されていることを自覚した。
他再度將成了茶泡飯的櫃まぶし入口。茶、藥味、鰻與醬汁各有不同香氣,卻奇妙地不互相衝突,協調成令人心安的滋味。
お茶漬けとなった櫃まぶしを改めて口に入れる。お茶と薬味と鰻とタレ、それぞれ違う香りだが不思議と喧嘩をせず、調和して心安らぐ味わいとなっていた。
茶泡飯滲入接近飽足且微疲憊的胃腸,回過神來時竟已連一粒飯都不剩地吃光了。
満腹も近くなりやや疲れた胃腸にお茶漬けが染み渡る。気が付けば飯粒一つ残すことなく完食してしまっていた。
「那裡面有毒嗎?不,算了。我也來吃吧」
「して毒は入っておったか? いや、もう良い。私も頂こう」
前久如此說著,打開櫃蓋,深深吸入那股飄散的香氣。
前久はそう言うと櫃の蓋を取り、漂う香りを存分に吸い込む。
已經吃完茶碗蒸好一段時間,胃袋急得催促著要他快吃。
既に茶碗蒸しを食べ終えてかなりの時間が経っている。胃袋は早く食えとばかりに己を苛む。
如同長治那樣,他先把一碗飯原味吃下,轉眼就吃光了。
長治がそうしたように、まずは素のままで一杯の飯を彼は瞬く間に平らげた。
接著把調味料一種一種地放上,各自細細品嘗。最後把所有調味料與茶一起淋上,吸溜著相當燙的茶泡飯。
次に薬味を一種類ずつ乗せてはそれぞれに味わい楽しむ。最後に全ての薬味とお茶を掛け充分に熱いお茶漬けを啜り込む。
然後像是出神一般吐了一口氣。
そして放心したかのように吐息を漏らす。
「看起來您很滿意,接下來我把餐後的茶端上來。」
「ご満足頂けたようですので、食後のお茶をお持ちいたしますね」
她這麼說著,和彩一起把櫃まぶし收走,然後端著新的托盤擺著茶碗回來。
そう声をかけて彩とともに櫃まぶしを下げ、新たに盆に茶碗を乗せて戻ってくる。
和茶碗蒸不同,沒有蓋子的茶碗散發出誘人的香氣。
茶碗蒸しの時とは異なり、蓋がついていない茶碗からは香ばしい香りが立ち上る。
不只是茶的香味,還帶著一絲酸味。
お茶だけの香りではなく、どこか酸っぱい香りも漂っていた。
「這是有點特別的款式,餐後喝下去令人奇妙地能平靜下來,請您品嚐。」
「少し変わり種になりますが、食後に飲むと不思議と落ち着くお茶です。ご賞味ください」
長治撫著飽滿的肚子,伸手拿起茶碗抿了一口。
満ち足りた腹をさすりながら長治は茶碗に手をかけて、一口呷る。
除了香烤感,還有柔和的澀味與海的氣息,最後是那股澆淋一切的梅香。
香ばしさとともに柔らかな渋味と磯の香り、そして最後にすべてを雪(そそ)ぐ梅の香り。
「這叫梅昆布茶。把名為昆布的海藻曬乾削片,與茶一同沖泡,然後把乾梅剝散放入。」
「梅こぶ茶と申します。昆布という海藻を乾燥させて削りお茶とともに淹れ、干した梅の実をほぐし入れてあります」
受到這番算盡的款待,前久覺得現在斷定靜子這個人還太早。
計算され尽くした歓待を受け、前久は静子という人物を評するには時期尚早だと思い至った。
他明白,面對一個在會談前就做足算計的人,若過早正面碰上,只會露出自己的底牌。
会談の前からこれほどの計算をする人物に、早々にぶつかっては己の底を露呈するのが落ちだと思い知った。
必須先建立一段友情之後再進入交易,否則自己會被對方玩弄於掌心。
しばらく友誼を結んだ後に取引へと進まねば、己は良いように掌で転がされてしまう。
再者,累積友情的過程中也會有類似的場合。為了把對飲食的欲望正當化為交易所需,前久向靜子開口。
それに友誼を重ねるということは、またこのような席もあろう。己の食への欲を取引に必要なことと正当化した前久は静子に切り出す。
「靜子殿,我似乎有些太心急了。您方的要求我已銘記在心,不知可否改日再相見?」
「静子殿、私は少々焦り過ぎていたようです。そちらの要望はしかと承りました。また日を改めてお会いすることは叶いますかな?」
靜子確信自己的款待招來了良好結果,柔和地微笑並點頭。
静子は己の歓待が良い結果を引き寄せたことを確信すると柔らかく微笑み、頷くのであった。