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戦国小町苦労譚

一五六九年三月上旬

這次會見持續了兩個多小時。

この日の会見は二時間あまり続いた。

這是典型的信長式會見,從日本這個島國遙想那無垠的世界。

日本という島国から見果てぬ世界へ思いを馳せる、信長らしい会見だった。

信長向弗羅伊斯詢問世界的事,弗羅伊斯回答,信長偶爾向靜子確認,再以自己的方式解讀資訊。

信長は世界の事についてフロイスへ質問をし、それに対してフロイスが答え、時折静子に確認を取り自分なりに情報を解釈することに終始した。

表面上雖然是溫和且具文化性的會見,但弗羅伊斯尚未達成最初的目的。

表面上は穏やかかつ文化的な会見であったが、フロイスは当初の目的を未だ果たせずにいた。

以弗羅伊斯為首的傳教士們早已渴望獲得用以傳教的允許狀(相當於掌權者擔任後見的許可證)。

フロイスをはじめとした宣教師たちは、予(かね)てより布教のための允許状(いんきょじょう)(権力者が後見する許可証のようなもの)を欲していた。

上次雖然得以謁見卻無法交談,無從著手展開傳教。這次感覺有了回響的弗羅伊斯鼓起勇氣向信長提出。

前回は謁見すれど会話をすることが叶わなかったため、布教に繋げる取り掛かりを得られなかった。だが此度(こたび)の会見に手応えを感じたフロイスは、思い切って信長に切り出した。

「再次拜見織田大人,此次會見有件事懇請您審慎考慮」

「改めまして織田様、此度の会見にて是非ご検討をお願いしたいことが御座います」

「何事如此正式。無需顧慮,儘管說來聽聽」

「なんじゃ、改まって。気にするでない、遠慮なく申すが良い」

「我們如今在京不可傳教……還望賜予相助。倘若我們得以傳教,必定酬謝相當的回報」

「我らは今、京での布教を許されぬ身……どうかお力添えを頂けないでしょうか。我らの布教が叶った暁には相応のお礼をお約束いたします」

第十三代將軍足利義輝曾保護弗羅伊斯等傳教士,並允許他們在京傳教。但他遭刺殺後,情勢一變,傳教士們遭到逐出京城。

第十三代将軍・足利義輝はフロイスたち宣教師を保護し、京での布教活動を許した。しかし彼が暗殺されると状況は一転し、今度は京から追放された。

幾年過後,信長上洛並驅逐了先前掌控京城的三好三人眾。

その状態で数年経過し、信長が上洛して今まで京を支配していた三好三人衆を駆逐した。

到去年(1568年)為止弗羅伊斯對信長並無特別關注,但聽聞京中情勢後促成了與他的會見。

昨年(1568年)までは信長にさして強い関心を持っていなかったフロイスだが、京の情勢を聞いて彼との会見に漕ぎ着けた。

但初次會見毫無成效,故此次無論如何都想獲得允許狀。

だが初回の会見は何の成果も上げられなかった。だから今回はどうしても允許状を手に入れたかった。

在京的基督徒弗羅伊斯等人準備了三根銀錠,而庇護他們的和田惟政又自費準備了七根銀錠。

フロイスたち京のキリシタンは銀の延べ棒三本を用意し、彼らを保護している和田惟政は自分の世話で七本の銀の延べ棒を用意した。

他們打算以此獻上換取允許狀,但對於信長來說,這個想法反而起了反作用。

それを差し出して允許状を頂こうとフロイスたちは考えた。しかしその考えは、信長に限って言えば逆効果だった。

信長掃了一眼所獻的十根銀錠後,問向弗羅伊斯等人。

信長は献上された銀の延べ棒一〇本を一瞥したのち、フロイスたちにこう尋ねた。

「弗羅伊斯,你對我有些誤解」

「フロイスよ。貴殿はわしを少し誤解しておるな」

「……嗯?」

「……え?」

弗羅伊斯被這話驚了一下,抬起了臉。

フロイスはその言葉に驚き、顔を上げる。

信長面對那些銀錠與其說是喜悅,反而露出不悅之色。

信長は銀の延べ棒を前にして喜んでいるというより、逆に不快げな表情を浮かべていた。

「我對你們多少有所了解。為了準備這麼多銀錠,想必費了不少苦心。然而想一想吧:如果我接受這些作為我協助你們傳教的代價,我就會變成那種以暴力掌握權力、恣意妄為的腐敗權力者。」

「わしは貴様たちの事をある程度は知っておる。これだけの銀を用意するのに、相当苦労した事は想像に難くない。しかし、考えてもみよ。わしが貴様たちの布教に協力する対価としてこれを受け取れば、わしは暴力を以て権力を握りそれを恣(ほしいまま)にする腐敗した権力者と同じになってしまう」

以權力為背書索取賄賂,並以許可換取私利,這正是信長所厭惡的一向宗那些可惡的僧人無異。

権力を背景に賄賂を要求し、引き換えに許可を与えて私腹を肥やす。それはまさに信長の嫌う一向宗などの糞坊主どもと同じであった。

信長想像自己若接過那些銀錠時會露出怎樣的表情。

信長は想像する。その銀の延べ棒を受け取った時、自分が一体どんな表情をしているかを。

那種流露下賤笑容的面容,已非他自己的臉,而像個畜生的臉孔。

下卑た笑みを浮かべるそれは最早己の顔とは思えぬ畜生の顔であった。

「別誤會啊弗羅伊斯。你為了實現自己的信念已盡最大努力。我因為自己的信念而拒絕賄賂。你所做的原本是有效的努力,這本身無可厚非,只是我之前不知我不喜歡那樣而已。」

「勘違いするでないフロイスよ。貴殿は己の信念の実現のために最大限の努力をした。わしはわしの信念ゆえに賄賂を拒絶した。従来であれば効果的であった努力をした事自体は正しい。わしがそれを好まぬ事を知らなかっただけじゃ」

「……是的」

「……はい」

「正義有如人之眾多,並無絕對之正義。自覺自己欲為何事並為實現它而行動是正確的,但那也必然會與他人的正義相衝突。回到正題,對於在京的傳教許可本身沒問題,但至於成為允許狀則需些時間。放心,不會太久,只是幾日而已。」

「正しさとは人の数だけ存在し、絶対的な正義など存在せぬ。己が何を為そうとしているのかを自覚し、それを実現するため行動する事は正しい。だがそれが他者の正義とぶつかる事もまた必然。話を戻そう、京での布教活動に対する許可自体は問題ないが、允許状となると少し時間を頂こう。何、そこまで時間はかからん、数日の事だ」

弗羅伊斯聽了大為鬆了一口氣。如果能拿到允許狀,就可以在京傳教。

その事にフロイスはホッと胸を撫で下ろす。允許状が手に入るなら京への布教が出来る。

佛教徒的阻撓今後仍會發生,但只能靠增加信徒,讓我方也有一定的話語權。

仏教徒からの邪魔はこれからも発生するだろうが、それは信徒を増やしてこちら側もある程度の意見を言える立場になるしかない。

少數派的意見被忽視是世道常情。

少数派の意見が黙殺されるのは世の常だから。

「承蒙聆聽我們的請求,衷心感謝。日後將再正式前來致謝。」

「我らが願いを聞き入れて頂き、心より感謝申し上げます。後日、改めて正式にお礼に伺います」

弗羅伊斯深深一拜,然後再次向信長致謝。

フロイスは深く頭を下げてから、もう一度信長に礼を重ねた。

其後信長叫來和田惟政,指示他與弗羅伊斯一同參觀二條城的修築工地。

その後、信長は和田惟政を呼び寄せると、フロイスと共に二条城の普請現場を見学するよう指示した。

看完工地的弗羅伊斯又回到信長處,告辭後啟程回去。

普請現場を見終えたフロイスは、再び信長の所へ戻り、暇を告げると帰途についた。

「弗羅伊斯大人,我們的宿願終於實現了呢」

「フロイス様、我らの悲願がついに叶いましたな」

羅倫佐欣喜地說道。

ロレンソが喜ばしげに語る。

足利義輝將軍被暗殺後,他們被逐出京城逃往堺。四年時光流逝,如今終於獲准在京停留,甚至得到傳教的許可。

将軍足利義輝が暗殺されてから、彼らは京を追われ堺に逃げ延びた。それから四年の月日が経った今、ようやく京での滞在を許可され、更に布教の許可まで得られたのだ。

但與羅倫佐不同,弗羅伊斯面色凝重。察覺反應遲鈍的羅倫佐擔憂地注視著弗羅伊斯並問道。

しかしロレンソと違ってフロイスの表情は硬かった。流石に反応が鈍い事に気付いたロレンソは、フロイスを心配げに見つめながら尋ねる。

「是否有甚麼令人掛心之處?」

「何か気がかりな点がございましたか?」

「……在織田大人左右的那名侍從,聲音像少年般高亢。他似乎對我們相當了解。」

「……織田殿の側に控えていた、少年のように高い声の従者。彼は我々の事を詳しく知っている感じだった」

「啊、嗯、啊啊……就是那個戴頭巾的人吧。聲音確實像女人一般高亢……但會是值得如此在意的人物嗎?」

「え、あ、あぁ……あの頭巾を被っていた人ですね。確かに女人のように高い声でしたが……そこまで気にかける人物なのでしょうか?」

「『要愛你的仇敵,為那責備你的人祈禱』……他口中所念者為聖經一節。此等聖經篇章僅我等宣教師所有,何以他能背誦?且他對我等文化亦相當瞭解。然如此精通我國者來到此地之消息,我等並未接獲。」

「汝の敵を愛し、汝らを責むる者のために祈れ……彼が口にした言葉は、聖書の一節だ。我々宣教師しか持っていない聖書の一節を、何故彼は諳(そら)んじる事が出来たのか。それに我々の文化についても詳しい。だがあれほど我が祖国の事に精通した人物が、この日ノ本に来たという知らせは受けていない」

即便宣教師傳揚歐洲文化,也未曾有日本人能洞悉歐洲文化。

ヨーロッパの文化を宣教師が伝える事はあっても、日本人がヨーロッパの文化を看破した事は一度もない。

弗羅伊斯認為此人或為精通歐洲之人物,抑或有自歐洲來者移居日本,仕於信長。然若真為行事如此賣力之人,留下一兩處蹤跡也不足為奇。

フロイスはヨーロッパに精通した人物、もしくはヨーロッパから誰かが日本に移り住み、信長に仕えていると考えた。だが、それほど精力的に行動する人物なら、軌跡の一つや二つ残されていても不思議ではない。

但奇怪的是,關於那人的痕跡一個也沒有。

だが不思議な事にあの人物に関する痕跡が一つもない。

「總之,他的言行確實在某種程度上影響織田殿。去問和田殿他究竟是何許人也。」

「ともかく、彼の言動が織田殿にある程度の影響を与えているのは間違いない。和田殿に彼が何者か尋ねよう」

「不過……和田大人可知道?他是那群人中唯一遮臉之人,卻並未受到織田大人的責罰。」

「しかし……和田様はご存知でしょうか。あの中で唯一顔を隠していたのに、織田様からお咎めを受けておりませんし」

「嗯嗯嗯……恐怕只能放棄了……嗎?」

「むむむ……諦める他ない……か」

他明白此刻已無法尋人,只得帶著未向信長詢問的懊悔返回已安排的宿處。

今から人探しは不可能と理解した彼は、信長に尋ねなかった事を後悔しつつ確保していた宿に戻る。

因為是忙碌的一天,弗羅伊斯感到疲憊,但振作精神坐到書桌前。

目まぐるしい一日だった為に疲れを感じたフロイスだが、気合を入れて机に向かう。

弗羅伊斯因語言與文筆天賦備受器重,於1561年在果阿被祝聖為主教,並從事處理各宣教地通信之職務。

フロイスは語学と文筆の才能を高く評価されており、1561年にゴアで司教に叙階され、各宣教地からの通信を扱う仕事に従事した。

此外他常寄出告知自身現狀的信函與報告書,該等報告在耶穌會獲得高度評價,繼弗羅伊斯而來日本的宣教師們在擬定適應政策時,曾將其作為參考而熟讀。

その他にも自分の現状を知らせる手紙や報告書を度々出していた。この報告書はイエズス会で高い評価を受けていた。フロイスに続いて日本へ来る宣教師たちが、適応政策をする際に参考資料として熟読したほどだ。

坐於案前的弗羅伊斯一邊回想今日之事,一邊揮筆記錄。

机に向かったフロイスは今日の事を思い出しつつ筆を走らせる。

「今日會見了代表日本之人物織田殿。流言不可盡信。人言稱其冷酷、無情、感情用事,然實際會面則可斷定那些謠言毫無根據。」

『本日、日ノ本を代表する人物である織田殿と会見を行った。人の噂とは当てにならぬ。冷酷、非情、感情的な人物と聞いていたが、実際に会えばその噂は事実無根と断ぜられる。

「他乃極為理智且聰明之人,傾聽我等言語,若生疑問便立刻發問,足見其好奇心旺盛。」

彼はとても理知的で聡明な人物だ。我々の話に耳を傾け、疑問に思えばすぐに質問をするなど、好奇心が旺盛と言える。

「但反面而言,他對任何事皆無所信。既不信吾之神,亦不信僧侶所信之釋迦等異教之神。雖名義上歸依法華經,然連此亦未有真心信奉。」

だが反面、彼は何も信仰していない。我が神は勿論、坊主たちの信仰する仏陀という異教の神すら信仰していない。法華経に帰依しているが、それすらもまともに信仰していない。

「本以為他會驕矜自負,自恃為神,然並非此狀;若問其是否憎惡佛教徒,亦談不上。」

自分が神だと驕り高ぶるかと思っていたが、そういう感じではない。仏教徒を憎んでいるかといえば、そういう感じでもない。

「總之,他對信仰之態度可謂奇怪無比。我對其所思所想全無頭緒。」

とにかく彼の信仰に対する態度は奇妙の一言に尽きる。一体何を思っているのか、私では皆目検討もつかない』

此外他還記載了多項報告,諸如獲准在京停留之可能性高、被允許布教等事宜。

その他にも京への滞在を許可される可能性が高い事、布教を許される事など色々な報告を記載する。

在寫完全部內容後,弗羅伊斯放下筆。但回顧時發現遺漏一事,遂再執筆於文末補寫。

やがて全てを書き終えたフロイスは筆を置く。だが見返してある事が抜けていた事に気付き、彼は筆を手に取ると文の最後に書き足す。

「織田殿麾下僅有一人相當奇異。其以頭巾遮面,聲音高得如少年般,被推測年輕,然卻充滿可與賢者比肩之智慧。從織田殿之態度觀之,此人應為織田殿之智囊。事實上,我等能獲得布教許可,很大程度上仰賴其意見。」

『織田殿の配下で一人だけ奇妙な人物がいた。顔を頭巾で隠し、声はまるで少年のように高く若年であることが推察されるというのに、賢者に匹敵するほど叡智に溢れている。織田殿の様子から、彼は織田殿の知恵袋と思われる。実際のところ、我々に布教の許可が下りたのは、彼の意見による所が大きい。

「且不止於此。其他人或多或少對織田殿懷有畏懼,但唯有他能如常以極自然的姿態與織田殿相處,而織田殿對此並無言語。」

それだけではない。他の人物は織田殿に何処か畏怖を抱いていたが、彼だけはあるがまま、極めて自然体で織田殿と接していた。それに対して織田殿は何も言わない。

「雖屬推測,然彼大概深得織田殿信任,憑其卓越之智慧逐一實現織田殿之所求。否則難以解釋彼何以受如此信賴。」

これは推測だが、彼は極めて織田殿の信認が厚く、優れた叡智を以て彼の要望を次々と実現していったのであろう。でなければ彼があれほど信頼される理由が思いつかない。

「若此人能信奉我之神,恐怕再無比此更令人振奮之事。」

そのような彼が我が神を信仰してくれるのなら、これほど心強い事はないだろう』

弗羅伊斯判定靜子為男子,且為信長的側近。

フロイスは静子の事を男、それも信長の側近であると判断した。

當然,信長故意使人誤解之事不言自明。

無論、信長が意図的に誤解するように仕向けたというのは言うまでもない。

弗羅伊斯便將靜子便宜行名為「頭巾宰相」,並欲透過各種人脈蒐集情報。

フロイスは静子の事を『頭巾宰相』と便宜上名付け、色々な伝手を頼って情報を収集しようとした。

然而以「以頭巾遮臉、聲音高亢之人」為線索,資訊實在過於有限,難以聽得有價值之報告。

しかし『頭巾で顔を隠した声の高い人物』と、情報量が少なすぎたために良い報告を耳にすることは叶わなかった。

就在此時,出現了一位令他困擾的人物。

そうこうしている内に彼を苦しめる人物が現れる。

乃天台宗僧人朝山日乘(あさやまにちじょう)。

天台宗の僧である朝山日乗(あさやまにちじょう)だ。

受後奈良天皇賜號日乘上人之他,一向主張驅逐基督教宣教師。

後奈良天皇から日乗上人の号を賜った彼は、一貫してキリスト教宣教師の追放を訴えていた。

他先向信長執拗請求驅逐宣教師。某次弗羅伊斯訪見信長,恰巧日乘同席在側。

彼はまず信長へ執拗に宣教師追放を訴えた。ある時、フロイスが信長の元へ訪れると、たまたま日乗が同席していた。

因某些瑣事,弗羅伊斯與日乘展開了宗旨辯論。經過長達兩小時之激辯,日乘被弗羅伊斯之言激怒,咬牙站起。

そこでふとしたことからフロイスと日乗による宗論が始まった。二時間に及ぶ長い議論の結果、フロイスの言葉に日乗は激しく怒り、歯ぎしりしながら立ち上がった。

他喊著「斬下羅倫索的首級」,衝向掛在房間一隅之信長長刀,開始拔出刀鞘。

ロレンソの首を斬ると叫んだ彼は部屋の片隅にかけてあった信長の長刀に向かって突進し、長刀の鞘を外し始めた。

此等行為實難容忍,信長、和田惟政、佐久間信盛與其他領主齊力將日乘制伏。

流石にこの行動は看過出来ず信長、和田惟政と佐久間信盛、他の領主たちが一斉に日乗を取り押さえる。

被數人合力按住、動彈不得的日乘被盯視著,然後有人斷然說道:

数人掛かりで取り押さえられ、身動き叶わぬ日乗を見据えて言い放った。

「知道用口舌不能勝你就拔刀乎?若容許你的暴舉,讓這齣鬧劇無休無止,陪伴下去的我們也會淪為未開的土人,你認為如何?」

「口で敵わぬと知ると刃を抜くか。貴様の暴挙を許せばこの茶番に延々付き合わされた我らも未開の土人と成り果てるのじゃが、貴様はそれをどう考えておる?」

其他領主亦同意,然而保護弗羅伊斯等伴天連的和田惟政則說道:「若非在織田殿面前,我當即斬下日乘之首。」

他の領主たちも同意見だったが、フロイスたち伴天連を保護している和田惟政は「織田殿の前でなければ、直ちに日乗の首をはねていた」と語った。

與弗羅伊斯的宗論因日乘的暴走而終結,然其後他仍繼續推動驅逐宣教師的活動。

フロイスとの宗論は日乗の暴走で終わったが、その後も彼は宣教師追放工作を続けた。

見信長並未下令追放伴天連,他便轉而前往義昭處。

しかし信長が伴天連の追放を指示しないと見るやいなや、次は義昭の元へ向かった。

他在這裡也沒得到好的答覆,於是像把最後的堡壘寄望在正親町天皇身上一樣向他哭訴。

ここでも良い返事を貰えなかった彼は、最後の砦と言わんばかりに正親町天皇に泣きついた。

終於在此處拿到『伴天連追放綸旨』的他,拿著它意氣風發地前往義昭處。

ようやくここで『伴天連追放綸旨』を受け取れた彼は、それを持って意気揚々と義昭のところに向かった。

但義昭看到『伴天連追放綸旨』後對他這麼說。

しかし『伴天連追放綸旨』を見た義昭は彼に対してこう言った。

「傳於內裏。誰可入都、誰該被放逐乃余之管轄,非陛下應差遣之事。余已許可該司祭在日本自由布教,且另得爾父織田彈正忠殿之許可。故無驅逐之理由。」

「内裏に伝えよ。誰を都に入らせるか、追放するかは余の管轄であり、陛下が差配するべき事ではない。余は司祭に対して、この日ノ本で自由に布教をする許可状を与えている。また、これに加えて御父織田弾正忠殿の許可状も得ている。よって、彼を追放する理由はない」

平白地說就是「朝廷不要多事,政治由身為征夷大將軍的我來操持」。

平たく言うと「朝廷がゴチャゴチャ言うな。政治は征夷大将軍である自分が取り仕切る」である。

然而信長對『伴天連追放綸旨』採取了交由內裏處理的態度,這使得京中再次掀起驅逐宣教師的動向。

しかし信長は『伴天連追放綸旨』に対して、内裏に一任する態度を示した。これにより、京では再び宣教師追放の動きが高まっていった。

當信長與秀吉,以及光秀、靜子等織田家的實質重臣都不在時,濃姬召來足滿問一件事。

信長と秀吉に光秀、静子という織田家の事実上の重鎮が留守にしている時、濃姫はとある事を質問するため足満を呼び出した。

「足滿啊,妾向來有件掛心之事,可否問汝一件?」

「のぅ足満、妾は予てより気に掛かっていることがあるのじゃが、ひとつ尋ねても良いか?」

用膳時,濃姬向正坐在面前的足滿拋出話來。

昼餉を摂りつつ、濃姫は目の前に控えている足満に言葉を投げる。

足滿明白無論如何回答都只能選「是」,他輕輕嘆了口氣點頭。

どちらに転んでも「はい」しか選択肢がないと理解している足満は、小さくため息を吐きつつ頷く。

「哦,是嗎。那就問一件……你珍而重之掛着的那把刀,是從哪裡得來的?」

「おぉ、そうか。では一つだけ……お主が大事に下げているその刀、何処で手に入れたのじゃ?」

「只是趁驅趕野盜時拿到的一把罷了。」

「野盗どもを追い払った時、一本頂戴したまでです」

「是嗎。那麼那些野盜來歷相當不凡。畢竟竟然擁有三条宗近所作的『三日月』。」

「そうか。ではその野盗は大層身分が良い者だったのじゃな。何しろ三条宗近の作・三日月を所有していたのだからな」

聽到『三日月』一詞,足滿微微顫動。常人會忽略的短暫瞬間,濃姬的目光沒有放過,將他從動搖中恢復的舉止一一捕捉無遺。

三日月という言葉に、足満は僅かばかりの動揺を見せる。常人なら見逃す僅かな時間を、濃姫の目は見逃さず、彼が動揺から立ち直るまでの所作を余すところなく捉えていた。

「對於那般名刀竟毫無所知,只是粗率對待,實在令我羞愧。」

「そのような名刀とはつゆ知らず、ぞんざいに扱っていた己の不明を恥じております」

「呵呵,別想隱瞞。足滿啊……汝以為妾不知你那把刀對你多重要乎?」

「ふふっ、隠すでない。のぅ足満……お主がその刀を大事に扱っている事を、妾が知らないと思うてか?」

慢慢咀嚼白飯並吞下後,濃姬以不造作的自然笑容這麼說道。

白飯をゆっくり咀嚼して飲み込んだ後、濃姫は力みのない自然な笑みでこう言った。

「但就算是妾也感到驚訝,居然被人殺了——」

「しかし流石の妾も驚いたぞ。まさか殺された―」

還沒等濃姬說完,足滿動了。他以肉眼難察的速度掏出藏在懷裡的小刀,毫不猶豫地投擲出去。

最後まで濃姫が言い終える前に、足満が動いた。彼は目にも留まらぬ速さで懐に隠していた小刀を取り出すと、躊躇いなく投げた。

「真是個急性子的男子(おのこ)啊。」

「せっかちな男子(おのこ)じゃ」

然而那把小刀並非刺向濃姬,而是插在入口的一道襖上。

しかしその小刀は濃姫ではなく入り口の襖の一つに突き立っていた。

足滿無視濃姬的話,隨手拔起刺在襖上的小刀。

足満は濃姫の言葉を無視して、襖に刺さった小刀を手に取り無造作に引き抜く。

拔出沒多久,襖那邊伴隨小小的水聲,接著傳來重物倒下的聲音。但他毫不在意,擦去小刀上的紅色液體後又將其收入懷中。

引き抜かれて少しすると、襖の向こうで小さな水音と共に重量物が倒れる音がした。しかし彼は気にもとめず、小刀についた赤い液体を拭き取ると、それを懐にしまった。

「本想好好和武田的間者玩玩,卻這麼快就壞掉了。」

「せっかく武田の間者で遊ぼうと思ったのに、すぐに壊れてしまったのじゃ」

「……只讓我說一句。你是我遇見的女人中,品味最差的一位。」

「……一つだけ言わせてもらう。貴様はわしが出会った女の中で、最高に悪趣味な女だ」

「稱讚也不會有益。只是處理掉的間者差不多已達三十,或許不會再有更多落到妾手上。那麼,死人殿為何如今又現身?」

「褒めても何も出ぬぞ。しかし始末した間者が、そろそろ三十に達する故、妾の手元にはこれ以上来ぬかも知れぬな。それで、死人殿はどうして今更姿を現したのじゃ?」

足滿為無法轉移話題而啐了一聲。對他而言,不論是刀傷之事不足為奇,還是本就無所謂,濃姬的存在都是過於危險的。

話題を逸らせなかった事に、足満は舌打ちをする。刃傷沙汰など珍しくもないのか、それとも元より意にも介さないのか、どちらにせよ彼にとって濃姫の存在は危険に過ぎた。

因為他不知她從何處得來情報,才會發現他的真實身分。

何処から情報を仕入れて、自分の正体に気付いたのかが分からなかったから。

「別那麼戒備。如前所言,妾只是想請汝幫助殿的夢想。即便汝出身非凡亦無妨。」

「そう警戒するでない。前にも申したが、お主には殿の夢の手伝いをしてもらいたいだけじゃ。例えお主がやんごとない生まれでもな」

「……此點吾明白。但吾也不清楚原因。只被一名奇怪的老婆婆說了『完成你的役目』罷了。究竟那役目為何,吾毫無頭緒。」

「……それは理解しておる。だがわしも理由までは把握しておらん。奇妙な老婆に『己の役目を果たせ』と言われただけだ。一体、何が役目なのか皆目見当がつかない」

「唔……好吧。有人在的,去收拾掉。」

「ふむ……まぁ良い。誰ぞある、片付けろ」

濃姬一宣告,不知從哪處出現了數名女侍,她們熟練地收拾她面前的什器與襖後的間者屍體。

濃姫がそう宣言すると、どこからともなく女使用人が複数現れ、彼女の前にある什器(じゅうき)と襖の向こうにある間者の死体を慣れた手つきで片付けていく。

她們收拾完畢並悄然退出後,濃姬露出興味盎然的笑容這麼說道。

彼女たちが片付けを終え、静かに出て行ったのを確認した後、濃姫は楽しそうな笑みを浮かべてこう言った。

「那麼,足滿。好無聊,有什麼有趣的故事乎?」

「さて、足満よ。退屈じゃ、何か面白い話はないかえ?」

靜子在將急迫之事先安排妥當並接手剩餘工作後,便像要逃離權謀詭譎的京都一般返回尾張。

危急の用件に取りあえず目処を立てた静子は残りの作業を引き継ぐと、権謀術数の渦巻く京から逃れるように尾張へと戻る。

她對於回程隨從人員比去程更多感到在意,但認為那也意味著安全有所保障。

往路よりも復路の方が随伴する人員が多くなっている事が気になったが、その分安全は確保されると静子は前向きに考える。

途中平安抵達岐阜,隊中超過半數的人留駐於岐阜。等到抵達尾張時,與出發時相同,僅有五百名部下以及慶次、才藏、長可同行。

道中何事も無く岐阜に到着し、そこで隊の半数以上は岐阜に駐留した。尾張に到着する頃には出発時と同様、五百名の配下と慶次、才蔵、長可だけだった。

(果然京裡的和服真是漂亮呢)

(流石に京の着物は綺麗だったなぁ)

她在心裡喃喃自語,俯視自己的穿著。是簡約的馬乘袴(近似於劍道等的稽古服)。平日所穿為小袖,但款式也同樣簡單。

心の中で呟きながら彼女は自身の格好を見下ろす。シンプルな馬乗り袴(剣道等の稽古着に近い)だ。普段着は小袖だがこちらもシンプルな柄だ。

她尚未滿二十歲。想打扮的心情與常人無異。

彼女はまだ二十歳に満たない。おしゃれをしたい気持ちは人並みにはある。

(既然難得,不如買件圖案漂亮的小袖吧)

(せっかくだし綺麗な柄の小袖でも買おうかな)

靜子想像的不是單調花紋重複的小袖,而是帶有季節感、繪有多彩圖案的染織或刺繡小袖。

静子は単調な文様の繰り返しではなく、季節感のあった多彩な絵文様が描かれる染めや繍が使われている小袖をイメージした。

她覺得不錯,回家後透過彩下訂了大約五件,條件是繪有多彩圖案的小袖。

悪くない、と思った彼女は帰宅後、彩を通して多彩な絵文様が描かれている小袖、という条件を付けて五着ほど注文した。

接受訂單的匠人們想到那可怕的難度與為了湊齊五件所需的人力,心情變得黯然。

注文を受けた職人たちは恐ろしい難易度と五着を揃えるために必要となる人手に思いを馳せ、暗澹たる気持ちになった。

(話說回來真是豐收。真沒想到能取得……童子切安綱(どうじぎりやすつな)與大包平(おおかねひら))

(それにしても上々の収穫。本当に手に入ると思わなかったなぁ……童子切安綱(どうじぎりやすつな)と大包平(おおかねひら))

在信長對茶道產生興趣的同時,靜子在未向任何人說明理由的情況下開始蒐集刀劍。

信長が茶の湯に目覚めたのと同時期、静子は誰にも理由を明かさず刀剣を蒐集し始めた。

不過她並不擅長熟練使用日本刀。她之所以蒐集,也是為了在將來防止名刀散逸,但蒐集目的並非作為美術品,而是為了實用。

とは言え彼女は日本刀を巧みに扱う腕前はない。後年になって散逸する名刀を集めるためでもあるが、美術品としてではなく実用する目的で集め出した。

但要輕易取得名刀或名槍並不容易。大多是他人的物品,且往往為地位高的人所擁有。

だが簡単に名刀や名槍が手に入れば苦労はしない。大抵は人のもの、それも身分が高い人物が所有している事が多い。

然而她很幸運;因為討好了信長,再加上與フロイス的會面中出色地協助,達成了作為獎賞下賜的約定。

しかし彼女は運が良かった。信長の機嫌を良くした事、そしてフロイスとの会見で見事補佐を成し遂げたことで褒美として下賜するとの約定を取り付けた。

因此靜子便抱著如果願望成真就賺到了的心態請求了兩把刀,那就是童子切安綱(どうじぎりやすつな)與大包平(おおかねひら)。

そこで静子は願いが通れば儲けものとばかりに二本の刀を所望した。それが童子切安綱(どうじぎりやすつな)と大包平(おおかねひら)だ。

平常只以感狀了事的靜子難得希望得到實物,這讓信長心情大好,並奮起要把過去的補償都給她。

普段は感状だけで済ませる静子が珍しく現物を希望した事に、信長は気を良くして、今までの分も報いてやろうと奮起した。

他動用人手尋找大包平(おおかねひら),幾乎以武力為後盾強迫現任持有者進貢獻上。

人を使って大包平(おおかねひら)を探し出し、殆ど武力を背景に現持ち主に献上させた。

童子切安綱(どうじぎりやすつな)原本為足利將軍家世代相傳的名刀,但這把也是以武力為背景,幾乎是恐嚇搶奪而得。

童子切安綱(どうじぎりやすつな) は足利将軍家が重代の名刀として所有していたが、こちらも武力を背景にほぼ脅して奪い取ったような形だった。

值得一提的是史實中童子切安綱(どうじぎりやすつな)由義昭傳到秀吉、家康、秀忠手中。

なお史実では童子切安綱(どうじぎりやすつな)は義昭から秀吉、家康、秀忠と受け継がれた。

大包平(おおかねひら)長期為信長重臣池田恒興的次子池田輝政一脈的池田家所收藏,池田家之前的來歷不詳。

大包平(おおかねひら)は信長の重臣・池田恒興の次男池田輝政の代から長らく池田家が所有していた。池田家以前の伝来は不明である。

因此靜子也不知道信長取得大包平(おおかねひら)的來路。

故に静子も信長が大包平(おおかねひら)を入手した経路を知らない。

「他說只要把下一件工作做好,就會賞給我鬼丸國綱……把天下五劍齊聚在手上簡直像做夢一樣」

「次の仕事を頑張れば、鬼丸国綱(おにまるくにつな)を頂けるとおっしゃってたし……天下五剣が手元に揃うなんて夢みたい」

在現代本來幾乎不可能擁有的名刀,能置於自己管理之下,並朝目標邁進。

現代ならまず所有不可能な名刀を、自分の管理下に置き、目的に向かって邁進できる。

理解到這一點的靜子悄悄地竊笑起來。

その事を理解した静子は密かにほくそ笑むのだった。

然而與她的心情相反,靜子每天忙得不可開交,要處理田畑工作、在技術街的會議,以及整合醸造相關的街區建設等事務。

だが彼女の気持ちとは裏腹に、田畑の仕事に技術街での打ち合わせ、更に醸造関係を纏めた街の建設と、静子は常時忙しい日々を送っていた。

靜子最專注的是玻璃開發。

静子が最も傾注してるのがガラス開発だ。

並不是因為玻璃稀奇才要開發,她的目的是製作使用玻璃鏡片的望遠鏡。

何も珍しいから開発するのではない。ガラスレンズを使った望遠鏡を作る事が彼女の目的だ。

望遠鏡由口徑較大的物鏡和口徑較小的接目鏡兩部分構成。

望遠鏡は口径の大きな対物レンズと、口径が小さい接眼レンズの二つで構成されている。

另外伽利略式望遠鏡物鏡為凸透鏡、接目鏡為凹透鏡,可得正立像但視野非常狹窄。

なおガリレオ式望遠鏡は対物レンズが凸レンズ、接眼レンズが凹レンズで正立像になるが視野がとても狭い。

開普勒式望遠鏡物鏡與接目鏡皆為凸透鏡,成倒立像,但視野寬廣。

ケプラー式望遠鏡は対物と接眼レンズがどちらも凸レンズで倒立像になるが、反面視野が広い。

處於顛倒的倒立像,若運用所謂正立稜鏡的技術,就可以使影像正立。

逆さまになる倒立像だが正立プリズムと呼ばれる技術を駆使すれば、正立像にするのは可能だ。

進一步應用此技術還能製作測距儀,基本上是三角測量,若懂畢氏定理,製作相對容易。

更にこの技術を応用すれば測距儀も作れる。基本は三角測量であり、ピタゴラスの定理を知っていれば作成は比較的容易である。

玻璃原料可在美濃、尾張集結,研磨劑也可用於江戶切子上的金剛砂(ガーネットの粉末)。

ガラスの材料は美濃・尾張で集まり、研磨剤も江戸切子で使われている金剛砂(ガーネットの粉末)で可能だ。

要完成開普勒式望遠鏡沒有任何材料上的問題,問題在於一個玻璃匠人都沒有。

ケプラー式望遠鏡の完成で問題になる素材は一つもない。問題はガラス職人が一人もいない事だ。

精確來說問題是有沒有職人願意從事這種西方的玻璃技術。

正確にはガラスという西洋の技術を、やりたいという職人が果たしているのか、という所だ。

然而靜子的憂慮最終落空。

だが静子の懸念は空振りに終わる。

想要打造超越被稱為玻璃工藝的東西、懷抱熱情的人,在職人街竟有八人。

玻璃として知られるガラス工芸以上の物を造りたいと意欲を燃やす人間は、職人街に八人もいたのだ。

他們雖是十幾歲後期到二十歲出頭的年輕世代,但比靜子想像的更充滿幹勁。

十代後半から二十代前半という若い世代だが、彼らは静子が考える以上にやる気に満ち溢れていた。

他們向靜子學習基礎之後,改造三段式登窯開始製作玻璃。

彼らは基礎的な事を静子から学ぶと、三段式登り窯を改造してガラス製作に取り掛かる。

然而那條路並非如鋪好的軌道般平坦。

だがその道のりは敷かれたレールを歩むような平坦な道のりではなかった。

玻璃熔化需要超過1300度的高溫,他們花了一個月才抓到把登窯內部溫度穩定保持在1300度以上的竅門。

ガラスを溶かすには1300度以上もの高温が要求されるが、彼らは登り窯内部の温度を1300度以上に安定して保つコツを掴むのに一ヶ月を費やした。

他們一個月來似乎毫無成果地持續浪費貴重燃料,當然其他匠人不會覺得有趣,紛紛抱怨不如把燃料分給他們用還比較好。

彼らは一か月もの間何の成果も上げないままに貴重な燃料を浪費し続けているように見えた。当然他の職人たちとしては面白いはずもなく、無駄に使うぐらいならこちらに回して欲しいとの苦情や不満が噴出した。

靜子因為急需玻璃,對他們設下了「在兩個月內製造出玻璃」的期限。

ガラスがどうしても必要だった静子は、彼らに「二ヶ月以内にガラスを製造する事」という期限を設けた。

並且若兩個月未達成,將判定為無才,從此禁止這八人再從事與玻璃相關的事,施以嚴厲處分。

そしてこの二ヶ月を守れなかった場合は、才能なしと判断し、以降八人にガラスへ関わる事を禁ずるという厳しい措置を取った。

這樣其他匠人的不滿雖然平息,但這八人在背後仍被嘲笑為「灰かぶり屋(只燒薪製灰的人)」。

これで他の職人たちの不満は収まったものの、八人は陰で「灰かぶり屋(薪を燃やして灰を作るだけの人間)」と揶揄され続けた。

雖然掌握了登窯並勉強製出可稱為玻璃製品的東西,但問題仍然很多。製成的玻璃因為鐵分未能完全去除,根本談不上能用作鏡片的透明度。

登り窯を御し、ガラス製品と呼べるものの製造に漕ぎ着けはしたが、まだまだ課題は多かった。出来たガラスは鉄分の除去が不完全だったため、とてもではないがレンズに使えるような透明さはない。

「唔……離水晶玻璃還差得遠呢」

「うーん、クリスタルガラスには程遠い、か」

靜子一邊檢視擺放好的玻璃一邊喃喃自語。

並べられたガラスを確認しつつ静子は呟く。

從淡茶色到混雜色彩的玻璃,根本沒有一塊可以說是透明的。

薄茶色なガラスから、色が混在しているガラスなど、およそ透明と言えるガラスはひとつもなかった。

形狀也有問題。由小碗狀將玻璃展開的作業是靠遠心力來伸展,這項操作需要相當的熟練技術。

また形も問題だった。小鉢の状態からガラスを広げる作業は、遠心力を利用して広げるが、この作業が熟練の業を要する。

他們剛好能進行玻璃加工,卻無法製造出沒有變形且品質均一的玻璃。

ようやくガラス加工が出来るようになった彼らでは、歪みがなく均一な品質を保ったガラスを製造することは出来なかった。

「對不起……」

「済みません……」

懷抱高遠理想的八人被無情的現實打擊,徹底意氣消沈。

高い理想を抱いただけに、ままならぬ現実を突き付けられた八人はすっかり意気消沈していた。

「嘛,我並不認為一開始就會完美成功。先換爐子吧。登窯因為空間大熱傳導率差。たんく窯……不行的話就坩堝窯吧」

「まぁ最初から完璧に成功するとは思ってないよ。まずは窯を交換しよう。登り窯じゃ広さがあって熱伝導率が悪い。たんく窯……は無理だからるつぼ窯かな」

坩堝窯不適合大量生產,但燃料消耗比改良過的登窯或たんく窯低。

大量生産に向かないるつぼ窯だが、その分燃料の消費が改造登り窯やたんく窯より低い。

要確立玻璃加工的製法,除了大量製作以外別無他法,但仍必須抑制燃料消耗。

ガラス加工の製法を確立させるためには、とにかく数を作らせる以外にないが、それでも燃料の消費は抑えなければならない。

燃料持續消耗下去,他們很快又會遭到不滿的指摘,這是顯而易見的。

変わらず燃料を消費し続ける彼らに、再び不満が付きつけられるのは目に見えていた。

「窯的材料日後會運進來,設計圖是這個。很遺憾沒能雇人,所以只能由你們組裝。」

「窯の材料は後日運び込まれるとして、設計図はこれね。残念だけど人は雇えなかったから、君たちが組み立てるしか無い」

「是、是」

「は、はい」

即便攤開設計圖,沒有人抬頭也不足為奇,他們已被徹底擊潰。

設計図を広げても誰一人として顔を上げない。無理もない、彼らは徹底的に打ちのめされている状態だ。

好不容易花了兩個月才掌握訣竅,卻又要把環境徹底改變重新開始,彷彿面臨深淵般的難題,沒有人能從中找到希望。

二か月かけてやっとコツが掴めた所で、また環境をごっそり変えてやり直しという深淵を覗くが如き難題に誰もが希望を見出せないでいた。

「……你們的幹勁就只有這點嗎?」

「……君たちのやる気はその程度だったの?」

靜子想著只好稍微扮演惡役來激勵他們,雙臂抱起開口說道。

少しばかり悪役になって発破をかけるしかない、と考えた静子は腕を組んで言葉を口にする。

當然,她預料到這點不會讓他們抬頭。於是她接著說。

勿論、この程度で彼らが顔を上げないのは予想していた。だから彼女は続けてこう言う。

「你們應該看見了。那條新路、沒有人走過的路,你們本該帶著不安與期待去看。但只因幾次失敗,你們就想放棄那條路。你們的熱情就只有那樣嗎?會因為一點失敗就喪失熱情,真是可悲嗎?」

「君たちは見たはずだ。新しい、誰も通った事のない道を、不安と期待で見ていたはずだ。だけど数回の失敗で、君たちはその道を諦めようとしている。君たちの情熱はその程度だったのかな? 多少の失敗で情熱を失うほど情けないものだったのかな?」

「……」

「……」

「給你們七天。那之前好好想想自己的去向。可以在這裡放棄,也可以不放棄繼續挑戰。我不會強迫,一切由你們自己做決定。」

「七日あげる。それまでに身の振り方を考えてごらん。ここで辞めるも良し、諦めず挑戦し続けるもよし。私は強要しないよ、全て君たち自身で答えを出すんだ」

她只說了那些話,便收起資料轉身背對他們。

それだけ言うと彼女は資料を纏めて彼らに背を向ける。

但就在要出門之前,她背對著八人說了這句話。

しかし外へ出る直前、彼女は八人に背を向けたままこう言った。

「與其害怕失敗,不如害怕不去挑戰。」

「失敗を恐れるよりも、挑戦しない事を恐れなさい」

另一方面,靜子則被迫要為持續進行未見成效、消耗資源的開發辯解。

一方静子はと言うと何の成果も挙げないままに、資源を浪費し続ける開発を継続することの申し開きをする必要に迫られていた。

如果靜子擁有知行地,並以其轄下土地的資源來開發,就不會發生這種局面了。

もし静子が知行地を持ち、その支配下にある土地の資源で開発を行っていたのなら、この様な事態にはならなかったであろう。

然而她所浪費的資源是從織田家所支配的土地徵集而來。

しかし彼女の浪費する資源は、織田家が支配する土地から集められたものだ。

在織田家內,靜子的地位因信長的提拔以及在常人難以獲得成效的領域持續交出成果,已經鞏固為一名要員的地位。

織田家における静子の地位は信長の取り立てもあり、また常人では成果が出しにくい方面で成果を出し続けたこともあり、最早重鎮としての立場を確固たるものにしていた。

有人當然會把她視為女人、又年輕、非戰場立功者,只是在安全地帶做農務、偶然走運的暴發戶。

女人であり、しかも若輩かつ戦場で功を立てたわけでもない、安全圏で畑仕事をしているだけで偶然運が良かっただけの成り上がりという風に見る輩も当然居た。

但那些人只是織田家的旁支,且曾為急先鋒的柴田與佐々雖然偶然,但已被主流派收編。

ただそれらは織田家において傍流であり、更に急先鋒だった柴田と佐々も偶然とはいえ主流派に懐柔されてしまっている状況だ。

相比之下,主流派的人們對靜子的功績與此次實驗亦表示理解。

対して主流派の面々は、静子の功績や此度の実験についても理解を示していた。

本來無需理會誹謗中傷便無大礙,但有人把不喜靜子的人集合起來,打造為一個勢力。

本来は誹謗中傷の類を無視していても問題は無かったのだが、静子を良く思わない面々を纏め上げ一つの勢力として立ち上げた人物が居た。

名為木下秀長(後為豐臣秀長)。他作為秀吉的異父弟,已在織田家內暗中擴張影響力。

名を木下秀長(後の豊臣秀長)。秀吉の異父弟として織田家内部で密かに影響力を伸ばしていた男であった。

他從不公開批評靜子,而是接觸懷有反意的人,將各種『某某也這樣說』的傳聞串連起來,以此手法煽動反靜子勢力。

彼は決して表だって静子を批判する姿勢を取る事なく、反意を抱く人物に接触しては誰それも同じような事を言っていたという噂どうしを結びつける手法でもって反静子を煽った。

反靜子勢或許認為是出於自發團結,卻絕想不到秀長在幕後伸手把他們打造成傀儡,從中坐收漁利。

反静子勢は己の意思で団結したと思っているであろうが、裏から手を伸ばし傀儡に仕立てあげ漁夫の利を得ようと秀長が画策していようとは夢にも思わなかった。

反靜子勢藉著人數優勢在各處喧鬧,聲稱眼見靜子未有成果卻繼續浪費,違反了信賞必罰的信念;身為靜子支持派的織田家主流也被迫應對。

反静子勢の面々は数を頼みに各所において静子が成果をあげることなく浪費を続けているのを見過ごすのは信賞必罰の信念に反すると騒ぎ立て、静子擁護派である織田家主流も対処に迫られていた。

若只是靜子支持派與反對派間的家臣爭執,信長一喝即可結束,然而反靜子派擁立茶筅丸(後為織田信雄)為急先鋒,事情就不那麼容易收尾了。

静子擁護派と反静子派が家臣同士の諍いなら信長の一喝で終わったが、反静子派が茶筅丸(後の織田信雄)を急先鋒として担ぎ出した為、簡単に終わらない状況になってしまった。

結果,這場騷動被歸為信長管轄而暫時平息。信長透過森可成下達通告,要她在一年內拿出某種成果。

結局、この騒動は信長預かりとして一旦沈静化させた。そして信長は森可成を通じて、一年以内に何らかの成果を見せよとの通達を出す。

收到信長的通達後,靜子獨自苦惱。她本來對地位與名聲無興趣,因此一人承擔責任她並不介意。

信長からの通達に静子は一人苦悩する。元より地位や名声に興味が無いため、己一人が責任を取らされるのは構わない。

但鏡片開發,是為了提高過於偏重攻勢的織田家的守備所必需的技術。

だがレンズ開発は、攻めばかり強くなり過ぎた織田家の守りを高める上で必須の技術だ。

在面臨多方面攻擊的守勢時,必須研製能夠迅速取得情報的觀測器械。

多方面から攻め込まれる守勢の折に、情報をいち早く取得する観測機器を作り出す必要があった。

技術並非藏於一人便可,需廣泛傳播以築成孕育新技術的基礎。

ただ技術という物は一人が秘蔵していれば良い物ではなく、広く伝播させることで新たな技術を生み出す素地を築く必要がある。

雖然知道玻璃職人工匠見習們的拼命努力,但必須避免因責任被追究而使開發中斷。

ガラス職人見習い達の必死の努力を知ってはいるが、ここで責任を取らされて開発が断絶してしまう事は回避せねばならない。

最壞的情況下,她決意承擔所有責任,之後以一村長身分守望他們。

最悪の場合は全ての責任を己が取り、後は一村長として彼らを見守る覚悟を決めた。

七日後,靜子再次造訪那八名玻璃職人見習的工房。

七日後、静子は再び八人のガラス職人見習いの工房を訪ねる。

八人與上次不同,看起來像要赴死般投入工作的男子。光是那模樣就讓靜子明白了答案,但她仍特意問道。

八人は前回と違い、命がけの仕事に赴く男の顔をしていた。それだけで静子は回答を理解したが、あえて彼らに問いかけた。

「答案出來了嗎?」

「答えは出た?」

「是的……我們一直在苦思。用不夠的腦袋苦思,反覆苦思……最後得出的答案是,我們不想輸。」

「はい……俺たち、ずっと悩みました。足りない頭で悩んで、悩んで……そうして出た答えが、負けたくないだったのです」

「……」

「……」

「拜託你。請再給我們一次機會!」

「お願いします。どうか、俺たちにもう一度機会を!」

隨著那句話,八人低下了頭。

その言葉と共に八人が頭を下げる。

「一年。從現在起一年內若無所成,我將以我為首,連你們都要被追究責任。會被沒收全部財產,甚至喪命、名譽掃地。在清楚知道這一切的前提下,可以理解為你們是在請求再一次機會嗎?」

「一年。今から一年以内に成果を収めなければ私を筆頭に君たちも責任を問われる事になる。全財産を没収の上に命も絶たれ名誉も地に落ちる。それを覚悟の上で、もう一度機会が欲しいと言っていると考えて良いかな?」

「是的!如果這次還不行,我們會在審判之前自行了結性命。但我們從一開始就沒有打算失敗!」

「はい! これで駄目なら、俺たちは沙汰を待つまでも無く、己で命を絶ちます。ですが最初から失敗するつもりは、俺たちの中ではありません!」

「很好,我相信你們所說的話,也相信你們心中那股不畏失敗的意志。」

「良いでしょう、その言葉と、君たちの中にある失敗を恐れぬ心を信じます」

之後,靜子交給他們開發資金與凸透鏡的設計圖。

その後、静子は彼らに開発資金と凸レンズの設計図を渡した。

期限是翌年夏末的九月上旬。

期限は翌年の夏の終わりの九月上旬。

若在那之前未能完成可用於望遠鏡的玻璃鏡片,即便靜子以自身下臺作為代價,也不見得能保證開發能繼續。

それまでに望遠鏡に使えるガラスレンズが完成しなければ、静子自身の失脚を以てしても開発の継続を許されるか定かではない。

他們的課題有兩項:板玻璃的製造技術,以及將板玻璃研磨成凸透鏡的技術。

彼らの課題は板ガラスの製造技術と、その板ガラスを凸レンズに研磨する技術の二つだ。

那簡直只能稱為職人技,靜子也無法教導的領域。

それはまさに職人技としか言えない技術であり、静子も教えられぬ領域の話だ。

八人除了靠摸索尋找之外別無他法。

八人はそれを手探りで見つける以外にない。

即便如此,與從前不同的是,他們發覺靜子本人也將性命賭在這項開發上,因而展現出在絕境中尋找生路的決死決心。

それでも以前と違い、己だけでなく、静子自身もこの開発に命を懸けていることに気付いた彼らは、死地に活路を見出す決死の意思を見せていた。

看著他們的面容,靜子相信他們一定能做到。

彼らの顔つきを見て、静子はきっと出来ると信じられた。

但靜子認為,要讓反靜子派閉嘴,除了鏡片外還需要另一種看得出價值的玻璃工藝品。

だが反静子派を黙らせるには、レンズの他にもう一つ目に見えて価値が分かるガラス工芸品が必要と静子は考えた。

因此她在鏡片的前置階段,又把切子(カットグラス)的設計圖也交給了他們。

そこで彼女はレンズの前段階として、切子(カットグラス)の設計図も彼らに渡した。

若是像江戶切子、薩摩切子等被稱讚的美麗玻璃工藝品,就較容易說服反靜子派的人。

江戸切子、薩摩切子などと言われる美しいガラス工芸品であれば、反静子派の面々を説得しやすくなる。

話雖如此,靜子並非只涉入玻璃鏡片,還參與許多其他專案。

とは言え静子はガラスレンズにだけ関わっているのではない。他にも沢山のプロジェクトに関わっている。

確認那些專案進度是靜子的工作之一,但與以往相比有一件事不同。

それらの状況を確認するのが静子の仕事の一つなのだが、今までと一つだけ違う事がある。

那就是竹中半兵衛,以及他的弟弟竹中久作,愈來愈常跟在她身邊。

それは竹中半兵衛、そして彼の弟である竹中久作がついてくる事が多くなった事だ。

看起來弟弟是在護衛兄長竹中半兵衛,但對於兄長竹中半兵衛的目的則全然不明。

弟は兄の竹中半兵衛を護衛していると思われるが、兄の竹中半兵衛は何が目的か全く分からなかった。

雖然可以確定不是惡意的糾纏,但因為目的不明,靜子還是覺得有些詭異。

悪意あるつきまといではないのは確実だが、目的が分からないので若干不気味に思った静子だった。

不過她不知情也是情有可原,因為竹中半兵衛是出於個人興趣在觀察靜子的行動。

だが彼女が知らないのも無理はない。竹中半兵衛は個人的興味で静子の行動を観察しているのだから。

「哼……這就是算盤嗎。之前前田又左衞門大人所使用的並不是這種形狀啊。」

「ほぅ……これが算盤ですか。前に前田又左衞門殿が使っていたのは、この様な形をしておりませんでしたが」

「那個是算盤(スワンパン)。我的是以十進法概念製作的計算輔助器具。十進法……大概可以理解為用0到9來計數的方式。」

「あれは算盤(スワンパン)です。私のは十進法の概念で作られた計算補助器具です。十進法……まぁ数の数え方が0から9を使って数えると思っていただければ」

「原來如此……如果可以的話,下次希望您教我用法。」

「なるほど……出来れば、今度使い方をご教授頂きたい」

「啊、啊哈哈,只有基礎的事,如果願意由我教也沒問題。話說在那邊做出『跟我無關』表情的勝藏君,這本來是要教你的內容,裝作不知道可不行喔。」

「あ、あはは、基礎的な事だけですが、私でよろしければ。所でそこで関係ないって顔をしている勝蔵君。本来は君に教える内容だから、知らないふりしても駄目だよ」

瞬間間,長可露出極為不悅的表情。即便現在學業已有所進步,他似乎仍喜歡動手多於動腦。

瞬間、長可は物凄く嫌そうな顔をする。勉学はある程度出来るようになった今でも、頭より身体を動かす方が好きなようだ。

靜子心想要是他能體會到學習新事物的喜悅就好了,但強迫反而會招致反效果。

新しい事を知る喜びを覚えてくれたらな、と静子は思うが無理強いは逆に悪化を招く。

「算盤啊……靜醬,那個算盤也教教我可以嗎?」

「そろばんか……静っち、そのそろばんは俺にも教えてくれないか?」

聽話的慶次罕見地露出積極的姿態。

話を聞いていた慶次が珍しく意欲的な姿勢を見せた。

「先問一句,你學珠算想做什麼?」

「一応、理由を尋ねるけどそろばん覚えて何するの?」

「捉弄叔父。」

「叔父をからかう」

「……不要像傾城町那次一樣玩得太過頭喔。」

「……傾城町の時みたいに遊びすぎないでね」

以前到京城時,慶次不做正事,成天在名為傾城町(島原)的公娼區消磨光陰。

以前、京へ行った時、慶次は仕事をせず傾城町(島原)という公娼地で遊び呆けていた。

當時是靜子教他折『紙飛機』,結果他開始用那玩意捉弄路人,品味極差。

その時に「紙飛行機」を教えた静子だが、それで彼は通行人をからかうという非常に趣味の悪い事をし出した。

當然不是對一般路人,而是針對那些品質不好的客人。

勿論単なる通行人ではなく、質の悪い客相手だけだが。

(話雖如此,用寫著漢文的紙折成飛機再放飛,真的合適嗎?)

(だからと言って漢文を書いた紙で、飛行機を折って飛ばすのはどうなのかな)

漢文的內容大概是類似「不要做愚蠢的事」之類,但看著一張寫著不明內容的紙飄來飄去,還是有種詭異感。

漢文の内容も「馬鹿な事をするもんじゃない」的な内容だが、よく分からない内容が書かれた紙がふよふよと飛んでいる様は一種の不気味さがあった。

多虧如此,品質不好的客人都不敢靠近,花街的人倒是很歡迎,但對靜子來說卻是頭痛的事。

お陰で質の悪い客が近寄らなくなって花街の人間には好評だったが、静子には頭痛の種だった。

不過深諳傾奇者性情的靜子,雖然身為立場要唸些小話,但還是喜歡傾奇者那份風流。

しかし傾奇者をよく理解していた静子は、立場上小言は言うものの「傾奇者」故の風流を好んでいた。

「嗯,車床運轉正常,水車型洗衣機在試驗中,齒輪還在研究,曲柄在製作試作型……剩下回去帶二十個土嚢袋就差不多了?」

「さてっと、旋盤は正常に稼働していた、水車型洗濯機は試験中、歯車は研究中、クランクは試作型を作成中……後は土嚢袋を二十個持って帰ればいいかな?」

木製車床在去年十月終於完成了試作型,藉此找出不具合,上個月完成了兩台車床。

木製旋盤は去年の十月にようやく試作型が完成した。そこで不具合を洗い出し、先月に二台の旋盤が完成した。

但為了修正問題從試作型再追加了零件,成品總重接近100公斤,主要零件接近10公斤,一旦安置就不是容易移動的東西。

しかし不具合を直すために試作型から更にパーツが追加され、製品は総重量が一〇〇キロ近くになった。メインパーツは一〇キロ近くある為、一度設置してしまうと容易く位置を動かせるような代物ではなかった。

結果只能分零件搬運,到了要運轉的地方再花一整天組裝。

結局、パーツごとに運搬し稼働させる場所で、一日近く使って組み立てる事となった。

雖然苦勞不少,但也獲得相稱的成果。

苦労は沢山あったもののそれに見合う成果が得られた。

所謂水車型洗衣機,顧名思義就是以水車為動力的半自動洗衣機樣式。

水車型洗濯機は名前の通り、水車が動力源の全自動洗濯機もどきだ。

這部分在動力傳遞上遇到難題:重視強度時傳力差,重視傳力時又缺乏強度。

こちらは力の伝達部分で難航している。強度を重視すれば力の伝達が悪く、逆に力の伝達を重視すれば強度がなくなる。

基於這個關係,才採用了齒輪與曲柄之類的機構來傳動。

その関係で歯車やクランクという機構を伝えた訳である。

工匠街大概多半是老婆當家,工匠們正被妻子催促著。

職人街はカカァ天下が多いのか、職人たちは妻たちから急かされている状態だ。

反正只要把洗衣物放進去,時間一到就會洗好,不必在烈日下或凍得發抖的寒冷中下河用洗衣板搓洗。

何しろ洗濯物を入れていれば、後は時間が経てば洗濯が終わるのだ。炎天下の中、または身も凍る寒さの中、川に入って洗濯板で洗わなくても良い。

而且不像手搖洗衣機那樣被時間綁住,這樣一來妻子們催促工匠也情有可原。

おまけに手回し洗濯機のように時間が拘束される事もない。とくれば妻たちが職人たちをせっつくのも無理は無い。

「如果是土嚢袋的話,我也想要幾個。做隔間剛好用得上。」

「土嚢袋でしたら某も少々数が欲しいです。仕切りを作るのに丁度良いので」

竹中半兵衛這麼說,但當然不會像靜子那樣把它當成「運肥料用的袋子」來用。

竹中半兵衛はそう言うが勿論、静子のように「肥料運び用の袋」という使い方をしない。

靜子自己沒注意到的是,土嚢在軍隊中是陣地構築不可或缺的物資。只要用到處可得的土,就能築出具有抗彈性的牆。

静子自身は気付いていないが、土嚢は軍隊で陣地の設営になくてはならないものである。どこにでもある土で耐弾性のある壁を作ることが出来るのだ。

乍看之下靜子做的東西多半是讓生活環境更舒適的工具,但實際上只要改良用法,很多都能轉作軍用。

ぱっと見静子の作るものは生活環境を快適にする道具が多いが、実は使い方に工夫を加える事で軍事転用出来るものが多い。

畢竟工具類本來就是從流通於民間市場的軍用物品發展而來,這點也理所當然。

元々、道具類は民間市場に出回る軍用物品から開発されたのだから当然と言えよう。

發掘出這些無一遺漏,正是一直觀察靜子的竹中半兵衛的目的。

そのようなものを余さず見つける事が、静子をよく観察している竹中半兵衛の目的である。

其中成效最顯著的便是土嚢袋與網。

中でも成果を上げているのが土嚢袋と網だ。

土嚢袋只要裝滿土堆疊,就能形成連火繩槍或箭矢也穿不透的堅固牆體;若浸水後從高處投擲,單憑這點就能變成致命武器。

土嚢袋は土を入れて積み上げるだけで、火縄銃や矢すら通さない強固な壁が出来上がる。水を含ませて高い所から投げれば、それだけで人を殺せる武器に変わる。

材料是麻線,但多虧靜子做的シュリヒテン剝皮機,麻線很容易取得。

麻糸が材料だが、静子の作ったシュリヒテン剥皮機のお陰で麻糸は簡単に入手出来る。

換言之,用到處可得的土就能製作;若把土取出運輸方便,稍微的破洞縫補就足以實用;不用時還能當作生火材料,幾乎沒有可浪費之處,是種萬用的軍需物資。

つまりどこにでもある土で作る事が出来、土を抜いておけば運搬は容易、多少の穴程度なら繕えば充分実用に耐える、また使えなくなったら火を焚きつける材料にすれば良い、と捨てる箇所の無い軍事物資なのだ。

網子在作為投網方面也大顯身手。

網も投網という点で大活躍だ。

投向騎兵或步兵群時,網會纏住他們,使行動受到極大限制;接著朝網射箭,就足以造成混亂。

騎兵や歩兵の集団に投げれば網が絡まり、行動に大きな制限が加えられる。後は矢を網に向かって射てば、それだけでパニックになる。

在山地等本就限制行動的場所使用效果更好。問題在於,即便設置,也無法保證對方百分之百會被勾住。

山岳など行動が制限されやすい場所で使えば効果は更に上る。問題があるとすれば、設置しても百パーセント相手が引っかかってくれる保証がない点だ。

「竹中大人您以前是做田畑相關的工作嗎?」

「竹中様って田畑関係の仕事をされていましたっけ?」

最大問題是靜子本人沒有察覺到這些東西可以被如此轉用。

一番の問題は、そういう転用が出来るものだと静子自身が気付いていない点だ。

竹中半兵衛偶爾會想,如果這點能改進,靜子或許能做出更多便利的軍用物品。

この辺りが改善されれば、静子からもっと便利な軍用物品が出来るかもしれない、と竹中半兵衛はたまに思う。

「用來築簡易牆很方便的。不必擔心,我會好好付報酬的。」

「簡易的な壁を作るのに便利なのですよ。ご心配には及びません、きちんと代金をお支払いします」

「啊,不,那點我不在意。只是想不到只用來做腳手架的袋子會在哪些場合需要罷了。」

「あ、いえ、その点は気にしていません。ただ足場を作るだけの袋を、必要とする場面が思いつかなかったので」

「嘛,各種各樣啦。各種各樣。」

「まぁ色々ですよ。色々」

說法含有玄機,不過靜子認為各人自有各人看法,便沒再多問。

含みのある言い方だが、人それぞれと思った静子はそれ以上尋ねなかった。

被後世尊為「越後之虎」「越後之龍」「軍神」的上杉平三輝虎(「不識庵謙信」為法號,自1570年12月開始使用)所統治的越後國。

後世に『越後の虎』・『越後の龍』・『軍神』と崇められた上杉平三輝虎(「不識庵謙信」は法号。1570年12月から称した)の治める越後国。

輝虎在居城春日山城(春日山城)聽取軒猿的報告。

その輝虎は居城・春日山城(かすがやまじょう)にて、軒猿からの報告を聞いていた。

「織田領的情況如何?」

「織田領の状況は、如何なる様子であった?」

「是,果然如館主所料,織田軍儲備了龐大的軍需物資。保守估計……足以維持五萬兵力約六十日行動。」

「はっ、やはりお館さまの読み通り、織田軍は膨大な軍需品を保有していました。軽く見積もって……五万の軍勢を六〇日ほど動かせる量でございます」

侍立在旁的直江景綱回應了輝虎的詢問。

傍に控えている直江(なおえ) 景綱(かげつな)が輝虎の問いに応える。

他是侍奉長尾為景、晴景與景虎(後為上杉輝虎)三代的老臣。

彼は長尾為景・晴景・景虎(後の上杉輝虎)の三代わたって仕えた宿老だ。

他主要在內政與外交上活躍,亦以七手組大將身分在軍事方面有功,堪稱長尾家(上杉家)家臣中最為親近的側近。

主に内政・外交面で活躍したが、七手組大将として軍事面でも活躍した、まさに長尾家(上杉家)家臣の中で側近中の側近である。

「是嗎。民情如何?」

「そうか。民の様子はどうじゃった」

「並無飽受壓政之苦。這亂世竟是令人驚訝的繁榮,軒猿等人幾乎不敢置信自己的眼睛。對山賊、浪人等亦有嚴密取締,治安相當良好。不過……」

「圧政に苦しむ様子はないと。この乱世に驚くほど活気に溢れていた、と軒猿たちは我が目を疑ったようです。野盗や乱波なども厳しく取り締まり、治安はかなり高いとの事です。ただ……」

「不過,什麼?」

「ただ、なんだ?」

「報告說有好幾處維持治安的手段過於強硬。軒猿回報稱那裡犬很多。」

「その治安を維持する体制が、過剰に高いところが何箇所かあるとの事です。軒猿の報告では犬が多かったとの事です」

聽完直江的報告,輝虎閉目沉思。

直江の報告を聞き終えた輝虎は目を閉じて考える。

在上杉眼中,織田領的繁榮異常,輝虎認為恐怕不只有自己有此感。

織田領の繁栄は上杉の目から見て異常だった。恐らくそう考えるのは自分だけではない、と輝虎は思っていた。

其證據是,多名武田、北條及同盟國德川與淺井的間諜已滲入織田領進行情報蒐集。

その証拠に、織田領には武田や北条、同盟国である徳川や浅井の間者が、幾人も入り込んでは情報収集に勤しんでいた。

(防守堅固之地……竟還有人能操縱犬類,實在棘手。)

(堅牢な防御を誇る場所……更に犬を操れる人間か。これほど厄介な事はないな)

輝虎充分理解犬的可怕,他知道落武者死於野犬襲擊乃主要原因之一。

輝虎は犬の恐ろしさを十分に理解している。落ち武者が死ぬ主な原因の一つが、野犬に襲われる事だと知っているからだ。

無論軒猿或他國間者多麼訓練有素,對付野犬都處於劣勢。野犬成群、有紀律,單獨或少數人行動的間者從一開始就不利。

いかに訓練された軒猿や他の国の間者であろうと、野犬を相手にするのは分が悪すぎる。特に野犬は統率の取れた群れで動く為、単独や数人で動く間者では最初から劣勢なのだ。

「那麼,到底是何等之人使織田領繁榮?定是智慧滿溢之輩。」

「して、一体いかなる者が織田領を繁栄させたのじゃ。さぞかし叡智溢れる者であろうな」

輝虎慢慢睜開眼向直江問道。

ゆっくり目を開きながら輝虎は直江に問いかける。

「然而……極為奇怪的是,竟一個也沒聽到類似那般人物的傳聞。」

「それが……全くもって奇妙な事に、それらしい人物の話を一つも聞かなかったそうです」

「……難道連被賜予知行地或獲下賜巨額財富的事也一件沒聽到?」

「……知行地を与えられたとか、莫大な富を下賜された話が、一つもないと申すのか?」

「奇怪的是,這類事一件也沒有。頂多曾有一段時間織田大量發行感狀,其他就沒了……」

「奇怪な事に、その手の話が一つもありません。一時期、織田が感状を大量に発行していたぐらいで、それ以外の話は……」

「越發詭異。若立下如此功勞,自該得到相應賞賜,然而織田與該人似乎都不為所動,或許只以一紙感狀自足……」

「ますます奇っ怪な話だ。それほどの功を収めた者なら、相応しい褒美が与えられて然るべきだ。だがそれを織田と、その人物は気にしなかった。あるいは感状で満足したか……」

「那是不可能的事。」

「それはあり得ぬ話かと」

把尾張的石高翻倍後,世上不可能有人會只以一張感狀為足。

尾張の石高を二倍にして、褒美が感状一枚で満足する人間などこの世にいるはずがない。

這是輝虎與直江認為的常識。當然,因為靜子不符合那套常識,他們無法找到她。

それが輝虎と直江にとって常識だった。勿論、静子にその常識が当てはまらないのだから、彼らが静子に辿り着けないのだ。

「……將尋找那人列為最優先。那人使肥沃的尾張更為富饒,這等力量必能為我國所用。」

「……その人物を探し出すのを最優先にしろ。肥沃な大地を持つ尾張を、更に豊かにしたのだ。その力、必ず我が国の為になる」

「是,命令軒猿傾全力尋找。」

「はっ、軒猿に総力を上げて探し出すよう命じます」

「嗯。恐怕其他諸國也會有相同想法。往後誰先找到此人,便決定勝負。」

「うむ。恐らく他の国も、わしと同じ考えに至るであろう。これから先、誰が最初にその者を見つけるかが勝負になる」

輝虎的預感成真了。

輝虎の予感に似た考えは当たっていた。

「找出使織田領富饒之人。此人之力於亂世極其寶貴。」

「織田領を豊かにした人物を探し出せ。その者の力、この乱世では貴重な存在だ」

當他向軒猿下令時,他的宿敵武田信玄也向所屬忍者發布了大規模搜尋靜子的命令。

彼が軒猿に命令を出した頃、彼の宿敵・武田信玄もまた自身の持つ忍び集団に、静子捜索の大号令を出していた。

「那位使織田領富饒之人似乎偏好隱匿。但其力量……我要為我所用。命令風魔,務必找到此人。」

「織田領を富ませた人物は隠れるのが好みの様子。だが、その力……わしの為に使わせて貰うぞ。風魔に命じよ、必ずやその人物を見つけ出せと」

同一時刻,北條亦如輝虎與信玄一般,向風魔發布了搜尋靜子的總動員令。

時を同じくして北条も輝虎や信玄と同じく、静子捜索の大号令を風魔に出した。

當然,覬覦靜子的地方豪族不只是敵國。

勿論、静子を狙う国人は敵国だけではない。

「半藏,派人仔細查明靜子殿的行動,盡量不要刺激她。務必謹慎行事。」

「半蔵、配下を使い静子殿の行動をつぶさに調べよ。なるべく刺激はするな? あくまで慎重に行え」

盟國三河國的國人家康也同樣是瞄準靜子的對象之一。

同盟相手の三河国の国人家康もまた、静子を狙う人物の一人だった。

與另外三人不同的是,他對靜子的能力評價準確,且比信長還要高。

他の三人と違う点は、彼が静子の能力を正確に、そして信長以上に高く評価している所だ。

而且,他的想法不同於其他諸人,並非要從信長手裡奪走靜子,而是暗中窺視並從旁取走她的技術。

そして静子を信長から奪い取るのではなく、覗き見をしてその技術を横から頂戴する事もまた、他の国人たちと違う考えだった。

那是因為他並不想出其不意地超越信長,而且稍微遲一些更容易讓信長覺得這項技術是以極自然的方式擴散開來。

それは彼が信長を出し抜く気がなく、また少し遅れる方が極めて自然に技術が広まったと信長に思われやすいからだ。

像甲斐與越前那樣的敵國,以及同盟國紛紛渴求尾張・美濃的技術,並非僅僅因為它能實現大量生產。

甲斐や越前のような敵国、そして同盟国がこぞって尾張・美濃の技術を欲するのは、何も大量生産が可能だからという理由だけではない。

信長已經證明了這一點:即便在天候多變、作物難以正常生長的亂世,只要精進農業技術,就能獲得穩定的收成。

信長は立証したのだ。天候が荒れやすくて作物がまともに育たぬ乱世であろうと、農業の技術を極めれば安定した収穫を手に入れられるという事を。

「哈啾……嗯嗯嗯,會不會是感冒了呢」

「へくち……むむむ、風邪を引いたかな」

不過一如既往,靜子本人完全不理解自己的價值。

ただし毎度ながら静子本人は、自分の価値を全く理解していなかった。