戦国小町苦労譚
1569年 三月上旬
信長的焦躁在二月上旬已達到極點。
信長の苛立ちは二月上旬に限界に達していた。
他在二月率三千軍駐紮於別所,並向港鎮尼崎徵收箭錢,然而尼崎眾拒絕了這項要求。
彼は二月、三千の軍勢を率いて別所に陣取る。そして港町である尼崎に矢銭を課したが、尼崎衆はこれを拒否した。
在堺衆之後,面對尼崎眾的態度,信長判斷有必要施加軍事壓力。
堺衆に続き尼崎衆の態度に、信長は軍事的圧力を加える必要があると判断した。
他與尼崎眾交戰後,將四個獨立町鎮——市庭町、別所町、風呂辻町、辰巳町——悉數燒毀殆盡。
彼は尼崎衆と一戦を交えた後、それぞれが独立した町である尼崎四町(市庭町、別所町、風呂辻町、辰巳町)の悉(ことごと)くを焼き尽くした。
這種徹底的焦土策略使諸城鎮陷入大混亂。主張向信長臣服的一派、堅決抵抗的一派、主張與本願寺等他勢力聯手的一派等,內部出現了分裂。
この徹底した焦土作戦に諸都市は大混乱に陥った。信長への恭順を主張する派、あくまで徹底抗戦を主張する派、本願寺など他勢力と連携を主張する派など、内部に分裂が生じた。
卻不知內部自相瓦解正是信長的真正目的。
内部分裂による自壊こそが、信長の真の目的だとも知らずに。
結果,曾煽動尼崎眾的堺衆屈服,事實上的堺接收於二月十一日實行,信長的上使眾被派遣到場。
結局、尼崎衆を扇動していた堺衆は屈服し、二月十一日に事実上の堺接収が実行され、信長の上使衆が派遣された。
堺的會合衆支付了二萬貫的箭錢,並向信長發誓此後不再雇用兵士且不收留牢人(離開主家失去俸祿者;自江戶時代中期起稱牢人為浪人)。
堺の会合衆は矢銭二万貫を出し、以降兵士を雇わない事と牢人(主家を去って俸禄を失った者。江戸時代中期頃から牢人を浪人と呼ぶようになった)をかかえない事を信長に誓った。
做到這一步才算被赦免,但信長為了警告其他諸城,對堺課以嚴苛的年貢。
ここまでしてようやく許された訳だが、信長は他の諸都市への警告を兼ねて、堺へ厳しい年貢を課した。
因此堺有人遭受重大損失而沒落,也有人藉此機會擴張勢力,兩者分野分明。最先嶄露頭角者首推今井宗久。
これによって堺には大損を被(こうむ)り凋落した者もいれば、この機に勢力を伸ばした者とがはっきり別れた。頭角を現した者の筆頭が今井宗久だ。
他因為率先向信長示服,從此成為承接信長火繩槍訂單、負責火藥與火器的御用商人。
彼はいち早く信長に服従の姿勢を見せた為、以降信長の鉄砲受注を一手に引き受ける鉄砲・火薬の御用商人となった。
因此今井宗久一躍成為堺眾首腦;然而看似順遂的他仍有意想不到的陷阱在前方等候。
これにより今井宗久は一気に堺衆のトップに躍り出る。しかし順風満帆に見えた彼にも思わぬ落とし穴が待ち受けていた。
今井宗久為討信長歡心而邀請其參與「茶之湯」,卻出乎他意料地喚醒了信長對茶之湯的興趣。
信長の歓心を買おうと「茶の湯」に誘った今井宗久だが、彼の予想に反して信長は茶の湯に目覚めてしまった。
信長可能產生了與當年將平氏逐往西方、達成上洛的木曾義仲相同的心情。
信長はかつて平家を西へ追いやり、上洛を果たした木曽義仲と同じ気持ちを抱いた可能性がある。
畢竟茶之湯在當時是貴族名流的嗜好,也就是一種地位象徵。
何しろ茶の湯は当時の貴人たちのたしなみ、つまりステータスシンボルだ。
他可能認為,為了打破對公家和京都人的自卑,不僅要有武力,還要掌握最先端的文化並收藏天下名器,以此證明自己是配得上掌握天下的實力者。
公家や京の人間へのコンプレックスを跳ね除ける為にも、武力だけでなく最先端の文化を身につけ、天下の茶器を持つことで、天下を握るに相応しい実力者たることを証明しようと考えた可能性があった。
信長雖然覺醒於茶之湯,卻無視了先準備最基本茶具、隨習熟度逐步更換器具等一切常規。
茶の湯に目覚めた信長だが、彼は最低限の茶器を揃え、自身の習熟に合わせて段階を踏んで道具を変えていくという定石の一切を無視した。
即使在現代,蒐藏古董與美術品也非僅有錢就能買到好東西。
現代でも同じだが骨董品や美術品などの蒐集は、お金さえ出せば良いものではない。
胡亂收集昂貴物品只會顯得暴發戶趣味,若無識假能力也可能買到贗品;但信長以武力作後盾加以威逼,迫使人獻出優質之物,並憑藉壓倒性資金將之掃蕩買下。
値の張る物を矢鱈と集めては成金趣味になってしまうし、真贋を見抜く目利きを持っていなければ偽物を掴まされることもある。しかし信長は武力を背景に威圧することで質や品の良い物を供出させ、圧倒的資金力に物を言わせて根こそぎ買い占めた。
後世稱之為「茶器狩り」「名物狩り」「名器狩り」的信長茶器蒐集,令堺與京都的茶人心驚膽顫。
後の世に「茶器狩り」・「名物狩り」・「名器狩り」と称される信長の茶器収集は、堺や京の茶人を心底震え上がらせた。
或許透過名物狩り稍微紓解了鬱悶,信長的情緒似乎好轉了些。
名物狩りで少しは憂さ晴らしが出来たのか、信長の機嫌は幾分持ち直したかに見えた。
然而他仍對衣食住的生活環境感到不滿,尤以遠離舒適的臥所、無法好好沐浴的狀況,特別是難以入口的飲食最令他不悅。
だが依然として衣食住の食住環境に不満を感じていた。中でも快適からは程遠い寝所、入浴がままならない環境、特に口に合わない食に不満を感じていた。
已有九名廚師被解雇,急需儘快解決,但看似能提出對策的靜子因信長的命令無法離開尾張。
既に九人もの料理人が首となっており、一刻も早い解決が求められたが、解決策を示せそうな静子は信長の命令で尾張を離れられなかった。
結果直到三月上旬,秀吉與光秀持續承受著近乎殺氣般的威壓。
結局、三月上旬まで秀吉や光秀は、信長の殺気にも似た威圧に晒され続ける事となった。
三月上旬,靜子終於得以卸下陣前指揮之職,擠出一定的餘裕。
三月上旬、ようやく静子は陣頭指揮を執る立場を離れ、ある程度の余裕を捻出出来た。
稍早些時候,二月上旬三臺木製車床完成,二月下旬手搖洗衣機完成並開始運作。
それより少し前、二月上旬に三台の木製旋盤が完成し、二月下旬に手回し洗濯機が完成し稼働を開始した。
雖說難關已過,但在前途仍不明朗之際她不願離開尾張;然而由於秀吉與光秀來信間隔縮短,她判斷再拖延已不可行。
山場は過ぎたとは言え、まだまだ先行き不透明な時期に尾張を離れるのは勘弁願いたい彼女だが、秀吉と光秀から届く手紙の間隔が短くなった事に、これ以上の先送りは難しいと判断した。
她率五百名手勢並帶著慶次、才藏、長可三人前往京城。隊伍因嚴密護衛帶來龐大補給,靜子親自準備的行李眾多,隨行的輸運物資之駝隊亦一同前往,呈現出後世大名行列的景象。
手勢五〇〇名と慶次、才蔵、長可の三人を引き連れて京へ向かった。厳重な警護付の隊列になるため静子自身が準備した荷物も多かったが、便乗して京まで物資を運搬する荷駄の列も連なり後の大名行列の様相を呈した。
靜子本人需先於行李抵京,率少數精銳以頻繁換馬的方式先行。
静子自身は荷物に先んじて京入りする必要があり、少数精鋭を率い、次々と馬を乗り換える事で先行した。
遲到的駝隊在秀吉所派士兵的協助下,晚了數日卻無大礙地平安抵達京城。
遅れて京に来る荷駄隊も秀吉から派遣された兵士のお陰で、数日遅れで大過なく無事に京に到着することとなる。
先行抵達京城的靜子受到光秀迎接。
先行して京に到着した静子は光秀に出迎えられる。
「辛苦了,辛苦你來。強行軍定有疲勞,請多照顧殿下。」
「ご苦労、よく来てくれた。強行軍の疲れがあろうが、お館様の事をよろしく頼む」
「明智大人親自來迎,敬感榮幸。」
「明智様自らのお出迎え、恐悦に存じます」
他抱著胃痛,對靜子一開口便如此說道。
胃痛を抱えている彼は、静子に向かって開口一番そう告げる。
她覺得情況比想像的還嚴重。雖然這是她首次與光秀見面,但他對靜子是女性這件事並不感到驚訝。
想像以上に深刻な状態だと彼女は思った。光秀と顔を合わせるのは、今回が初だが彼は静子が女である事に驚いていなかった。
事實上,幾乎所有與她初次見面的人,無不對靜子的性別與年輕感到驚訝。
実際、彼女と初顔合わせをした人物は、ほぼ全員が静子の性別と若さに驚きを隠さなかった。
即便考慮到光秀可能從人處聽聞過靜子的事,對靜子的關注度之低仍意味著他已忙到無暇多顧。
光秀が人から静子の事を聞いた可能性を加味しても、静子への関心の低さが、彼がそこまで気を回せないほど切羽詰まっている事を意味していた。
「浴所方面已交由部下準備。先行著手為館主準備的午餐。」
「風呂の方は配下の者に準備させています。先にお館様へお出しする、昼餐の準備に取り掛かります」
「啊,抱歉,麻煩你了。廚房方面已令其準備妥當。」
「ああ、済まないがよろしく頼むよ。調理場の方は準備を終えさせている」
說罷他按著胃部離去,若放任不理恐有胃潰瘍倒下之虞。
そう言うと彼は胃の辺りを押さえながら立ち去った。放置すれば胃潰瘍で倒れそうな勢いだ。
照這樣下去,信長的壓力會向手下傳播。最壞的情況下,這可能會成為導致內部崩潰的原因。
このままでは信長のストレスが配下に伝播していく。最悪の場合、それが一因になり内部崩壊を起こす可能性もあった。
靜子思考信長為何對食事感到強烈壓力,答案非常簡單。
信長が何故、食事に強いストレスを感じているか静子は考える。答えは非常に単純だ。
在京城有地位的人基本上不運動。相對地信長出身武家,必然需要攝取比京城人更多的鹽分才能維持體力。
京で地位がある人間は基本的に運動をしない。対して信長は武家の出身だ。必然的に京の人間より多く塩分を取らなくては体が維持出来ない。
並非哪一方優越,而是信長等武家文化與貴族等公家文化的歷史背景不同。
どちらかが優れているではなく信長たち武家文化と、貴族などの公家文化では辿ってきた歴史的背景が違う。
但公家認為不懂京城味道的人等同於野蠻未開之人,因而沉浸在優越感中。
だが公家は京の味が理解出来ぬ者、イコール野蛮な未開人だと考えて優越感に浸る。
他們沉浸於自我為日本中心的優越感,恣意解釋自己的文化為上位,將他文化稱為野蠻,最後強加自己的文化於人。
自分たちこそが日本の中心だと優越感に浸り、自分たちの文化を恣意的に上位であると解釈し、他の文化を野蛮呼ばわりした挙句、自分たちの文化を押し付ける。
卻未察覺這類行為才是人類史上頻繁引發衝突的最低劣「野蠻」行為。
そういった行為こそ、人類史上頻出し衝突を産む最低の「野蛮」な行為だと気付かないまま。
把話題焦點拉回到食物上。
話の焦点を食に戻そう。
出身尾張的信長偏好濃重口味。即便京城的文化人暗地裡嘲笑他的味覺,但掌握京中實權的是信長。
尾張出身の信長は濃い味付けを好む。その事で京の文化人が陰で信長の味覚を馬鹿にしようとも、京の実権を握るのは信長だ。
現實冷酷,不讓信長滿意,京城的未來不會光明。
現実は非情である。信長を満足させなければ、京の未来は明るくならない。
為此被找來有些不愉快,但抱怨無濟於事,靜子轉而思考信長對餐食不滿的原因。
その為に引っぱり出されるのは少々不愉快だが、愚痴を言っても仕方ないと考え、静子は信長の食事に対する不満の原因を考える。
順帶一提,關西與關東口味不同有相當複雜的緣由。
余談だが関西と関東で味付けが異なるのには、なかなか複雑な事情がある。
例如蕎麥麵的湯汁,關西使用清澈雅緻的湯,關東則用色澤濃厚的湯。此差異被認為源於「高湯文化的不同」。[*1]
例えば蕎麦のつゆは、関西では透き通った上品なつゆ、関東では色の濃い濃厚なつゆが使われる。この違いは「ダシ文化の違い」に起因するとされている。[*1]
關西風與關東風共有的一點是,皆透過結合麩胺酸與肌苷酸來引出鮮味。
関西風と関東風のどちらにも共通して言える事は、グルタミン酸とイノシン酸を合わせて旨みを引き出している点だ。
麩胺酸多存在於昆布與醬油,而肌苷酸則廣為人知地存在於鰹節。
グルタミン酸は昆布や醤油に多く含まれる成分であり、一方イノシン酸は鰹節に多く含まれる事が知られている。
對於這些鮮味成分的不同處理方法反映於飲食文化的歷史背景。
この旨み成分に対するアプローチの差が食文化の歴史的背景として現れてくる。
關西本有使用昆布的習慣,以昆布補充麩胺酸、以鰹節補足肌苷酸,再用鹽或淡口醬油調味。
関西ではもともと昆布を使う習慣があったため昆布でグルタミン酸、鰹節でイノシン酸を補い、塩もしくは薄口醤油で味を調えていた。
因此即便是色澤淡的高湯也能實現強烈的鮮味。
このため色の薄いダシでも強い旨みをもつ料理が実現できた。
另一方面,關東從昆布產地運入的時期較晚,再加上交通不發達,昆布屬於高級品。
一方関東は昆布の生産地から運び込まれる時期が遅く、更に交通機関の未発達により昆布は高級品の部類だった。
因此沒有使用昆布的習慣,改以濃口醬油補充麩胺酸。
よって昆布を使う習慣がなく、濃口醤油でグルタミン酸を補った。
如此一來,將鰹節(肌苷酸)與濃口醬油(麩胺酸)結合構成鮮味,產生色澤較深的關東風湯汁。
これにより鰹節(イノシン酸)に濃口醤油(グルタミン酸)を加える事で、うま味を構成し、色の濃い関東風のつゆが生まれた。
總結來說,關西以昆布取得麩胺酸,因此只需少量淡口醬油;關東以濃口醬油取得麩胺酸,故不需昆布。
纏めると関西では昆布でグルタミン酸を取ったため薄口醤油を少ししか使わなくて済み、関東では濃口醤油でグルタミン酸を取った為昆布は不要だった。
即便將來昆布在關東大量流通,是否會普及仍有疑問。
仮に関東にも昆布が大量流通したとしても普及したかは疑問が残る。
原因在於關東的水為硬度較高的「硬水」。用硬水煮昆布時,水中的鈣會附著於昆布,使鮮味難以萃取。
それは関東の水は、硬度が高い「硬水」だからである。硬水で昆布を煮ると、水に含まれるカルシウムが昆布に付着し、うまみが抽出されにくくなる。
而附著的鈣會與昆布成分結合,形成澀渣使高湯變濁;此外用硬水煮時,昆布的香氣同時會釋出較明顯的腥味。
そして付着したカルシウムが昆布の成分と結合し、アクとなってだしを濁してしまう。更に硬水で煮ると昆布の香りと同時に臭みが良く出てしまう。
即便用「硬水」也不是無法製作昆布高湯,但費工且需比軟水耗費更長時間。
「硬水」でも昆布出汁を作る事は不可能ではないが、手間がかかる上に軟水よりはるかに長い時間を要する。
因此困難眾多,關東未使用昆布是歷史上的必然。
と課題点が多く、関東で昆布が使われなかったのは歴史的必然であった。
(如果只是些許不便主上會默默忍受,他卻大聲表達不滿,表示問題不在表面而在根本)
(少々の不便なら黙って我慢するお館様が、声を大にして不満を口にするのは、表層ではなく根っこの部分に原因があると思うのだよね)
大致上能預測,但缺乏決定性資訊。想到這點後,靜子向參與信長料理者以及與其生活相關的人蒐集情報。
ある程度の予想はつくが決定的な情報がない。そう思った静子は信長の料理に携わった人、そして彼の生活に関わった人から情報を仕入れる。
如預期獲得答案後,靜子立即著手料理。到午餐正合適的時候,她完成了菜餚。
期待通りの答えが帰ってきた為、静子はすぐさま調理に取り掛かる。昼食にちょうど良い時間に、彼女は料理を完成させた。
「讓您久等了」
「お待たせしました」
她與端著托盤的小侍一同進入信長所在的房間。
お盆を持った小姓と共に信長がいる部屋にはいる。
信長坐在最上座,他的左側坐著秀吉與光秀。
一番上座に信長が着座し、彼の左手側に秀吉と光秀が座っていた。
「喔,我一直在等……嗎?」
「おお、待っておった……ぞ?」
秀吉一看到靜子臉色一亮,但見到端上來的料理後表情變得困惑。
秀吉が静子を見るやいなや顔を明るくするが、出された料理を見て困惑の表情に変わる。
一句話說是樸素的料理。
一言で言えば質素な料理だった。
碗中的飯、長蔥味噌湯、雞肉馬鈴薯燉、小松菜燙拌、蕪皮的淺漬。
茶碗に盛られた飯、長ネギの味噌汁、鶏肉じゃが、小松菜のおひたし、カブの皮の浅漬け。
撇開雞肉馬鈴薯不談,從秀吉的觀點看,靜子端出來的餐食在尾張是武將日常會吃的東西。
鶏肉じゃがは別としても、秀吉から見れば静子が出した食事は、尾張では武将ならば日常的に食べている物であった。
「請用餐」
「どうぞ、お召し上がり下さい」
靜子一邊把托盤放在信長面前,一邊這麼說。
盆を信長の前に置くと同時に静子はそう言った。
「在上菜前,先問他為何選了這道料理吧」
「食す前に、何故この料理を選んだか聞こう」
信長的表情依舊嚴峻。這讓秀吉與光秀心頭一緊,但靜子仍帶著不做作的自然笑容回答。
信長の表情は変わらず険しいままだ。その事に肝が冷えた秀吉と光秀だが、静子は力みのない自然体の笑みを浮かべたまま答える。
「失禮地說,我查過這幾日大人所吃的菜單。果如我所料,盡是講究的京風佳餚。若只是幾日,或因新奇而不覺辛苦,但連日宴饗難免會膩。這是我的推測,大人是否對進食感到痛苦?」
「失礼ながらお館様がここ数日召し上がられた献立を調べました。私の予想通り、贅を凝らした京風のご馳走ばかりでした。数日程度ならば物珍しさもあり苦にはならないでしょうが、連日ご馳走尽くしでは飽きが来るのは必然。これは私の推測ですが、お館様は食事を取る事に苦痛を感じていませんか?」
「……還是一如既往,像親眼所見似的在說話的傢伙。」
「……相変わらず自分で見たかのように語る奴じゃ」
「就以那句話當作肯定。話回到正題,讓人不會厭倦的日常餐食與通常一次性的宴饗,其意圖不同。我認為對於在美食中已有些倦怠的大人,更合適的是能喚起故鄉尾張風味的家常料理。」
「その言葉をもって肯定と受け取らせて頂きます。話を戻しますね。飽きが来ない日常の食事と、通常は一回限りのご馳走とは意図する所が違います。美食に食傷気味のお館様には故郷尾張を思わせる日常の料理こそ相応しいと考えました」
「哼,能給予心靈平穩的料理嗎。好吧,不客氣地吃了。」
「ふっ、心の平穏を与える料理か。良かろう、遠慮無く頂くぞ」
信長用筷子夾起雞肉馬鈴薯燉裡的馬鈴薯放入口中。
信長は鳥肉じゃがのじゃがいもを箸で掴み口の中に入れる。
沉默了一會兒。然而看到信長臉上的兇狠逐漸消失,靜子確信這次的作戰成功了。
暫く無言だった。だが信長の顔から徐々に険しさがとれていく所を見るに、今回の作戦は成功したと静子は確信した。
「能讓心靈滿足的飯嗎……」
「心を満足させる飯、か……」
吃完料理的信長喃喃自語。
料理を平らげた信長がポツリと呟く。
靜子聽來覺得,他那句低語似乎包含了作為孤獨感的寂寞。
彼の呟いた言葉が、孤独感としての寂しさが含まれているように聞こえた静子だった。
「可以嗎,靜子殿」
「宜しいかな、静子殿」
帶著才藏收拾信長餐具的靜子,從背後被呼喚而回頭。
才蔵を連れて信長の食器を下げていた静子は、背後から呼び止められて振り返る。
呼喚她的是光秀。他走到靜子面前,儘管背後有家臣,仍向靜子深深鞠躬。
呼び止めたのは光秀だった。彼は静子の前まで来ると、背後に家臣がいるにも関わらず、静子へ深々と頭を下げた。
「多謝。」
「感謝する」
靜子察覺那短短一句是對於化解信長不滿的謝意,便慌忙向光秀行禮。
短いながらもそれが信長の不満を解消してくれた事に対する謝辞だと気付いた静子は、慌てて光秀に頭を下げる。
「啊,真是受之有愧。」
「お、恐れ多いことです」
「哈哈哈,不必謙遜。不過聽聞歸聽聞,果然真的是年輕女子。雖有些吃驚,但在那位大人面前不動搖的膽識實在了不起。」
「はははっ、謙遜せずとも良い。しかし話には伺っていたが、本当に若い女子だったのだな。少し驚いたが、あのお館様を前に動じない胆力は見事である」
光秀帶著和善的笑容豪爽地大笑。
光秀は人の良い笑みを浮かべて豪快に笑う。
「那我就先告辭了。今後也請成為大人的助力。」
「それでは失礼する。これからもお館様の力となってくれ」
說完光秀便離去。站在他後方的家臣向靜子一拜後,跟上了光秀。
そう言って光秀は立ち去る。彼の背後にいた家臣は静子に一礼をした後、光秀の後を追った。
光秀有各種評價,但在靜子的眼裡,他看來是一個認真嚴謹的人。
様々な評価がある光秀だが、静子の目には真面目な性格の人物に見えた。
但不可掉以輕心。他是討取日本統一在即的信長,並且也取走繼承者信忠性命的人。
しかし油断は禁物だ。彼は日本統一直前の信長を討ち、更に後継者の信忠も討ち取った人物だ。
既然光秀發動本能寺之變的理由尚不明,就不可能完全信賴他。
光秀が本能寺の変を起こした理由がはっきりしない以上、完全に彼を信用するのは不可能だ。
(……還有另一個需要注視的織田家家臣……但現在不輕舉妄動比較好吧)
(……もう一人、織田家家臣で注視しておく人物がいるのだけど……今は下手に動かない方がいいかな)
既然無法取得確證,拙於持續懷疑織田家家臣只會招來不必要的騷亂。
確証が持てない以上、下手に織田家家臣を疑い続けるのは余計な騒乱を招く。
靜子認為現在是積蓄能夠撲滅所有可能導致本能寺之變徵兆的力量的時期。
今は本能寺の変が起こる予兆を、全て潰せる力を蓄える時期だと静子は思った。
(為此需要很多協力者……但輕易拉幫結派也是個問題啊——)
(それには沢山の協力者がいるのだけど……下手に派閥を作るのも問題だなー)
「靜子大人?怎麼了。對明智大人有什麼想法嗎……?」
「静子様? 如何なされました。明智様に何か思う所でも……?」
光秀不見後仍朝他方向看的靜子,才藏歪著頭問道。
光秀が見えなくなってからも彼の方を向いていた静子に、才蔵が首を傾げながら尋ねる。
「我在想好像忘了問有關京城治安維持巡邏隊的事。」
「京治安維持警ら隊の事聞きそびれたなぁ、と思ってね」
「啊,京城治安維持巡邏隊是由明智大人接手了。」
「ああ、京治安維持警ら隊は明智様が引き継ぎましたからね」
「本想了解現狀……不過,下次再說吧。」
「現状を知りたかったけど……ま、今度でいいか」
才藏似乎對靜子的話表示理解,便沒有再多說什麼。
静子の言葉に納得したのか、才蔵はそれ以上何も言わなかった。
「那我得去廚房把碗筷收拾一下了」
「それじゃ、台所に食器を片付けてこないとね」
除了改善飲食外,交付給靜子的事務仍堆積如山。
食事事情の改善以外にも静子に委ねられる案件は山積みになっていた。
首先用從尾張運來的岡部式木桶浴與足浴用桶,解決信長對浴室的不滿。臥床處則只是單純搬進被褥而已。
まず尾張から輸送した岡部式木桶風呂と足湯用の桶で、信長の風呂に対する不満を解消させる。寝所は単純に布団を運び込んだだけだ。
未經信長許可禁止製造被褥。因此靜子決定搬運信長放在別墅的一套被褥。
信長の許可無く布団の製造は禁止されている。よって静子は信長が別荘に置いている布団一式を持ち運ぶ事にした。
木桶浴、足浴桶、被褥一套、其他坐墊與陶瓷器等,為了消除信長的不滿一併運入京城,但後來信長開始以不同於靜子原本企圖的方式使用那些物品。
木桶風呂、足湯用の桶、布団一式、その他座布団や陶磁器など、全て信長の不満を解消させる為に京へ運び込んだが、後に信長はそれらを静子の目論見と違う使い方をし出した。
首先,陶瓷製的餐具是為信長使用而準備的,上面施以各種紋飾。
まず陶磁器製の食器は、信長が使うために用意されたものであり、様々な意匠が施されている。
其中有些器物擺好茶碗、味噌湯和盛放菜餚的盤子,才構成一幅完整畫面的巧妙設計。這要歸功於信長像對瀨戶陶器一樣,對靜子的技術街所製的磁器實行各種保護政策。
中には茶碗と味噌汁、おかずを乗せる皿を並べて、初めて一つの絵となるカラクリが施されたものもある。これは信長が瀬戸の陶器と同じように、静子の技術街で作る磁器に対して、様々な保護政策を行ったお陰だ。
在磁器本身於戰國時代就罕見的情況下,他們更是理所當然地使用高度設計性的餐具。
磁器自体が珍しい戦国時代に、更にデザイン性が高い食器を当たり前のように扱う。
對此,那些一直以來嘲笑信長為「沒有文化教養的粗暴山猿」的京都與堺的文化人,除了驚訝外還產生了自卑感。不用說,他們在得知足湯、注滿熱水的木桶浴與敷布團後更是無言以對。
その事に今まで信長を「文化的教養のない粗暴な山猿」と馬鹿にしてきた京や堺の文化人は、驚きと共に劣等感を抱くことになる。足湯や湯の張った桶風呂、布団を知って更に言葉を失ったのは言うまでもない。
信長把握時機,把陶磁器作為褒賞賜給數人,彷彿那是理所當然之物,根本不值得特別在意。
信長はタイミングを見計らって、何人かに陶磁器を褒美として下賜した。まるでそれらは当たり前のもので、何の気もとめる必要がないと言いたげに。
受贈者對陶磁器的獨創性讚嘆不已。也有人想以人身攻擊的方式說這種東西還不夠看,真是鄙陋,卻因為自己根本無法準備出更勝一籌的物品,結果只損害了自己的名譽。
与えられた人たちは陶磁器の独創性に驚嘆した。中にはこの程度の品をひけらかすとは鄙ものよと人格攻撃しようとした者も居たが、自身がそれ以上の品を到底用意出来ない事から、結果的に自分の名誉を傷つけるだけとなった。
靜子事後說,那時信長露出一副冷酷邪惡的表情。把具有文化性且從未見過的物品送給那些自稱是文化人的傢伙,想必令他大快人心。
この時、信長は非情に邪悪な顔をしていた、と静子は後に語る。自分こそが文化人であると嘯(うそぶ)く連中に、文化的で、かつ見たことがない品物を贈るのだから、さぞかし胸のすくような思いだったであろう。
但信長自己也沒有注意到一件事:無論人們居住地、文化背景或種族如何不同,都存在一種共同的深層恐懼。
だが信長自身も気付いていない事がある。人間は住んでいる地域や文化的な背景、人種が違っていようと共通する深い恐怖がある。
其中一項便是「未知的事物令人恐懼」。換言之,被信長贈與陶磁器,京都與堺的文化人除了驚訝外還湧起難以言喻的恐懼。
その中に「未知なるものは怖い」がある。つまり信長から陶磁器を譲られた事に、京や堺の文化人は驚きとともに言い知れぬ恐怖を抱いた。
尤其信長把陶磁器賞賜給他們近乎是一種「炫耀」,且幾乎沒有敵意或惡意,反而成為讓恐懼加倍的一個原因。
特に信長は彼らに陶磁器を譲ったのは「自慢」に近く、敵意や悪意が殆どなかった為にそれも恐怖を倍増させる一因となった。
柴田與佐佐對靜子表示敵意,原因比起她是女人,更在於她作為一個「未知存在」的特性。
柴田や佐々が静子に敵意を向けるのも、彼女が女であるというより「未知なる存在」という点が強い。
信長向那些文化人復了意趣,享用美食大為滿足,在浴中消除疲勞,在布團上舒適入眠,七日之後。
信長が文化人の連中に意趣返しをし、食事に大変満足し、風呂で疲れを癒やし、布団で心地よく眠る事七日後。
如今已無對信長畏懼的部下,他們生氣勃勃地執行各自任務。信長原先近似殺氣的氣場也已收斂,現今披上一層和緩的氛圍。
今や信長に怯える配下はおらず、彼らは生き生きと己の任務を遂行していた。信長自身も最初の殺気にも似た雰囲気は鳴りを潜め、今は和らいだ雰囲気を纏っていた。
因為在京的目的已達成,靜子向信長表示要回尾張;但回來的回答是「暫時留在京中」。
京での目的は達成された為、静子は尾張へ帰る旨を信長へ伝える。しかし帰ってきた答えは「しばし京に滞在せよ」だった。
為了問原因,靜子前往見信長。
理由を聞くために静子は信長の元へ出向く。
理由其實很簡單:數日前有南蠻的傳教士申請謁見,聽說要在明日與那位南蠻傳教士見面。
理由は実に簡単だ。数日前に南蛮の宣教師が謁見を申し込んできた。その南蛮の宣教師と会うのが明日という話だ。
(啊——時期雖有偏差,但對方應該是路易斯·弗洛伊斯吧)
(あー、時期はズレているけど、相手はルイス・フロイスだね)
去年上洛時,信長並未與路易斯·弗洛伊斯見面。
昨年の上洛時、信長がルイス・フロイスと引見する事はなかった。
雖然從家臣和田惟政那裡聽聞路易斯·弗洛伊斯的來龍去脈,但他以『不知道該如何接待南蠻人』為由拒絕會面。
家臣の和田惟政からルイス・フロイスの状況は聞いているものの、彼は「南蛮人をどの様に出迎えればよいか分からぬ」という理由で会うのを断った。
據說當時只收下一件贈物,其他的為了表達不見面的歉意而退還給路易斯·弗洛伊斯。
その時は贈り物を一つだけ受け取り、その他は会わない事を謝罪するためにルイス・フロイスへ返したと言われている。
「我仍然不太明白何謂南蠻。正好,今天來聽聽關於世界的事。你是南蠻出身吧」
「今ひとつ南蛮というものが分からぬ。ちょうど良い、今日は世界について聞こう。貴様は南蛮出身だからな」
「…………………………欸? 啊、是、是的。對、對呀……(那個設定還有效啊)」
「…………………………え? あ、はい。そ、そうでしたね。はい……(まだ有効だったんだ、その設定)」
雖然來自未來的事並未被察覺,但信長已看穿靜子並非南蠻出身。
未来から来た事は気付かれていないものの、信長には静子が南蛮出身ではないと見破られていた。
因此在被說成南蠻出身時,靜子一時難以理解。但甩開雜念、切換思路後,她慌忙點頭應和信長的話。
だから南蛮出身だと言われた時、静子は理解が追いつかなかった。しかし雑念を払い頭を切り替えると、慌てて信長の言葉に頷く。
「只要你知道的就好……那裡不太方便說。靠近一點。」
「貴様の知っているだけで良い……そこでは話しにくい。もっと近う寄れ」
聽了這話靜子向信長靠近了兩步,但他似乎還不滿意,有股想說『再靠近一點』的意味。
そう言われて静子は二歩ほど信長に近づく。だが納得してないのか彼は「もっと近くによれ」と言いたげな雰囲気だった。
她無奈一步步向前試探信長的反應,竟然來到上座前方,然而信長的表情仍沒有改變。
仕方なく一歩、一歩前に進みながら信長の様子を確認する。遂には上座の手前まで来てしまったが、それでも信長の表情は変わらなかった。
(欸……這、這樣上去真的可以嗎?不、怎麼想也太過分了……)
(えぇ……こ、この上に上がって良いの? いや、いくら何でも……)
「沒關係。快上來吧。」
「構わん。さっさと上がって来い」
面露迷惘的靜子,信長催促她上到上座去。
戸惑いを隠せない静子に、信長は上座に上がれと促す。
小姓與部下難掩驚訝,但更吃驚的是靜子。上座是高位者坐的地方,且離入口最遠。
小姓や配下は驚きを隠せなかったが、それ以上に静子の方が驚いていた。上座は身分の高い人が座る所であり、入り口からもっとも遠い席だ。
靜子稍微猶豫,但還是屈身上了上座。能被允許接近到這種程度,她認為信長必有其他用意。
少しだけ迷った静子だが、背を屈めて上座に上がる。ここまで接近を許すのは、信長に何かしらの思惑があると考えたからだ。
當靜子移到幾乎就在信長眼前時,信長輕輕點頭,示意那裡可以。
静子が信長のほぼ眼前にまで移動した所で、信長は小さく頷く。そこで良い、という合図だ。
「光靠言語有時不夠用。我準備了一塊手持的黑板,拿來輔助說明會比較好。」
「言葉だけでは分からぬ時もある。手で持てる黒板を用意した。それを説明の補助に使うと良かろう」
伴隨話語,一塊黑板被遞出。仔細一看黑板上寫著字。
言葉とともに黒板が手渡される。よく見ると黒板には文字が書かれていた。
「不要把注意力放在這個,回答我的問題。」
『これに意識を向けず、わしの質問に答えろ』
她差點情不自禁看向信長的臉,但在最後一刻忍住,靜子若無其事地輕輕撣去黑板。
思わず信長の顔を見そうになったがすんでの所で止め、静子は何事もなかったかのように黒板を軽く払う。
她用手巧妙抹去信長寫的字,然後把黑板還給他。
手で信長が書いた文字をうまく消すと、黒板を信長へ返す。
「內容沒有問題吧。殿下也可能會寫些東西,不如由說話的人拿著黑板如何?」
「質に問題はないですね。お館様も何か書くと思われますので、話す人が黒板を持つ事にしませんか?」
「嗯……好主意,就這麼辦。首先……我不分得佛與神的差異。那些和尚罵伴天連為異教徒,但無論哪方都是神,究竟神與佛有何不同?」
「ふむ……良い案だな、それで行こう。最初に……わしには仏と神の違いが分からぬ。坊主どもは伴天連を邪教徒と罵っておる。だが、どちらも神である事に変わりはない。一体、神と仏にいかなる違いがあるのか」
「宗教勢力雖有堅固的支配力,但其信仰的根本是什麼?」
『宗教勢力は強固な支配力を持っているが、その信仰の根幹を為すものは何だ』
話說完的同時被遞上黑板。靜子盡量不把注意力放在黑板上,回答信長的提問。
言い終えると同時に黒板を渡される。なるべく黒板へ意識を向けず、静子は信長の質問に答える。
「嗯……佛與神在顯示力量這一點上沒有任何區別。但顯現的方式不同。佛以性質來顯示力量,神只是以人格來顯示力量罷了。」
「そうですね……仏も神も『力を顕す』という点では何の代わりもありません。しかしその顕し方が違います。仏は力を『性質』で顕し、神は力を『人格』で顕しているに過ぎません」
「寺院既是要塞都市,也是武器製造的基地。此外掌控商業與物流的據點,從中獲取利潤並積累鉅額財富。」
『寺院は要塞都市であり、武器製造の基地でもあります。また商業及び物流の拠点を支配しており、そこから利潤を産んで莫大な富を得ています』
「顯示力量的方式不同嗎。照那樣想,神與佛的差別不大。歸根究底,取決於人怎麼看待力量。」
「力を顕す形が違うか。確かにその考えなら、神も仏も大差はないと言える。結局は、人が『力』をどう捉えるかだけだな」
「在畿內勢力強的寺社有哪裡?」
『畿内における寺社で勢力の強い所は』
「我個人不信佛也不信神。不是說完全不信,而更應說是我不盲信。」
「私は個人的には仏も神も信じておりません。いえ……信じていないというより盲信していないと言った方が良いでしょうか」
「首先是日之本最大的富豪組織——比叡山延曆寺:擁有大量莊園領地,從事近似高利貸的苛刻放款,掌控商業與物流據點,從中獲利。現任比叡山天台座主為伏見宮貞敦親王的第五子、應胤入道親王。」
『まず日ノ本最大の富豪組織であり、荘園領地を多数領有し、高利貸しのような足元を見る貸付を行い、商業及び物流を支配している比叡山延暦寺。現在の比叡山の天台座主は、伏見宮貞敦親王(ふしみのみやさだあつしんのう)の五男である応胤入道親王(おういんにゅうどうしんのう)です』
「哦,雖說我這麼說有些不是味兒,但從你身上完全感覺不到對佛的信仰啊?」
「ほぅ、わしが言うのも何だが、貴様からは仏の信仰心がまるで感じられぬが?」
「至於本願寺...」
『本願寺は』
「我祖母常說:從一開始就完全依賴神佛並不好……不是一開始就求神佛,而是先把自己的努力做到位。當那些都做完後,才應該在無法靠人力達成的事上祈求神佛的助力。」
「私の祖母は常々言っていました。最初から全て神仏に頼り切るのは良くない、と……最初から神仏に頼むのではなく、まずは己の努力を全てやり遂げる。それら全てをやり終えて、初めて人の手に届かぬ事に対して神仏の力を乞うべきだ、と」
「本願寺掌握畿內的流通據點,並以類似御館於岐阜施行的樂市樂座政策之原型獲取利潤。本願寺第十一世是顯如,顯如為法名,院號為信樂院,諱為光佐。妻為如春尼,她的姊姊是武田德榮軒信玄的正室三條之方。」
『本願寺は畿内の流通拠点を押さえています。そして、お館様が岐阜で施行された楽市楽座政策の原型で利潤を生んでいます。本願寺の第十一世は顕如。顕如は法名であり、院号は信樂院、諱は光佐。妻は如春尼で、彼女の姉は武田徳栄軒信玄の正室である三条の方』
「是把自己的所作呈現給神,然後等待結果嗎?」
「己の仕事を神に見せて、その結果を待つという事か」
「你還是一如既往地詳盡。」
『相変わらず詳しいな』
「盡人事而待天命。就是所謂盡人事、待天命。」
「盡人事而待天命。人事を尽くして天命を待つ、と言います」
「為何這麼瞭解我不能說……但我絕不會背叛御館樣。」
『何故、詳しいかはお話できませぬが……私は決してお館様を裏切りません』
「不過這麼說可能不太好,但從一開始就依賴神佛不是比較輕鬆嗎?」
「しかしこう言っては何だが、最初から神仏に頼む方が楽ではないのか?」
「那點不必追問。僅因出身不明就排斥有才能者是愚不可及。而且看你至今的作為,我認為你值得信賴。」
『そこは問わぬ。出身が分からぬからといって、才ある者を遠ざけるなど愚の骨頂。それに貴様の今までの行動を見て、わしは貴様を信用するに足る者と見ておる』
「打個比方,某國有位無所不能的萬能王。屬下們認為萬能王的決定總是正確,任何事都要仰賴王的判斷,甚至夫妻吵架也不例外。」
「例え話でございますが、ある国になんでも出来る万能な王がいたとします。配下たちは万能な王の決断は常に正しいと考え、どんな事も王の判断を仰ぎます。例え夫婦喧嘩の事ですら」
「在下才疏學淺,但會盡力不負您所託。」
『非才の身ではございますが精一杯ご信頼に応えられるよう努力致します』
「從一開始就依賴強者的態度,確實令人反感。原來如此,所以是先把自己能做的都做完,然後等待天意。不是個壞主意……話題回到一開始,伴天連到底是什麼樣的存在?」
「最初から強者に頼る態度は、確かに気分が悪くなるな。なるほど、だから己が出来る全てをやり尽くした後、天の采配を待つのか。悪くない考えだ……話を最初に戻そう。伴天連とはどういったものだ?」
「把話題拉回來。現階段對寺社勢力採取敵對態度是否妥當,你怎麼看?不用客氣,坦率說來。」
『話を戻そうか。現時点で寺社勢力に敵対する事についてどう思う。遠慮はいらん、包み隠さず話せ』
信長做了個故意的清嗓聲。似乎想改變一下氣氛。
信長はわざとらしく咳払いをする。空気を変えようとしたのだろう。
當然,他是想改變的是自己與靜子之間的氣氛,而非周圍的人。
無論、周囲の人間ではなく自分と静子の間にある空気だが。
「南蠻……我稱之為歐洲,它是歐洲最大的宗教。其他宗教雖然存在,但規模可以說較小。」
「南蛮……私は欧州と呼んでいますが、欧州最大の宗教です。他の宗教もない事はないですが小規模と言ってもいいでしょう」
「目前與寺社勢力為敵並非上策。首先應處理對御館有敵意的朝倉與淺井左兵衛尉殿。若任其置之不理,終有一天會以某種形式敵對御館。我建議將淺井新九郎納入我方陣營。」
『現時点で寺社勢力と敵対は得策ではありません。まずはお館様に敵意を持っております朝倉と浅井左兵衛尉殿をどうにかするべきかと。このまま放置しておけば、いずれ何らかの形でお館様に敵対すると思われます。私としては浅井新九郎様をこちらの陣営に引き込む事を具申いたします』
「像這邊的佛教那類東西嗎?」
「こちらの仏教みたいなものか」
「看來情況比我想像的糟得多啊。」
『どうやら状況はわしの想像よりはるかに悪いようだな』
「是的。像日之本的佛教一樣,歐洲廣泛信仰伴天連。來自歐洲的人被稱為宣教師,來到此地傳教布道。」
「そうですね。日ノ本の仏教のように、欧州では伴天連が広く信仰されています。欧州からこちらへは宣教師と呼ばれる人たちが来日し、布教活動を行っています」
「並非威脅……但一次性樹敵過多會陷入四面楚歌。對御館來說或許令人焦急,但請在一定容許範圍內應對。」
『決して脅す訳ではございませんが……一度に敵を作り過ぎれば四面楚歌に陥ります。お館様にとっては歯がゆいかもしれませんが、ある程度許容範囲を設けて対応をお願いします』
「原來如此。帶著太多先入為主的觀念也不好。關於伴天連的話題就到此為止。」
「なるほどな。余り先入観があっても良くないじゃろう。伴天連の話はこの程度で良い」
談話結束了。靜子終於鬆了口氣,輕撫胸口。
話は終わった。ようやく終わった事に静子はほっと胸を撫で下ろす。
雖說實際只有約兩小時,但她覺得彷彿談了近半天。
時間にして二時間程度だが、彼女は半日近く話し込んでいた気持ちを抱いた。
向信長鞠躬後,靜子慢慢從上座起身。談話既已結束,沒理由繼續久留,上座光是坐著就讓她胃緊縮不適。
信長に頭を下げ、静子はゆっくり上座から下りる。話が終わったのだから上座に長居する理由もないし、何より上座にいるだけで胃が締め付けられる。
「辛苦了。今天回去好好休息吧。」
「ご苦労だった。今日は帰って身体を休めるが良い」
「多謝您的厚意。那麼我今天就失陪了。」
「勿体なきお言葉。では本日は失礼させて頂きます」
「嗯,明日也請多多關照。」
「うむ、明日も宜しく頼むぞ」
被那句不能放過的話刺到,靜子不禁回頭看向信長。
聞き捨てならない言葉に静子は思わず信長を見返す。
他露出頑皮的笑容,對靜子說道。
彼はいたずらっ子のような笑みを浮かべて、静子にこう言った。
「明日也要你同席。」
「明日は貴様にも同席して貰う」
隔日,依照信長的宣告,靜子被安排一同出席與弗洛依斯的謁見。
翌日、信長の宣言通り静子はフロイスとの謁見に同席させられる事となった。
因為出於防範的理由需遮住臉,她戴上頭巾、穿上武家的正裝,胸前纏上晒布,盡量讓自己看起來像男人,做得十分周到。
防犯的な意味で顔を隠す必要がある、との事で頭巾を被って武家の正装を着用し、胸部にサラシを巻いて可能な限り男に見えるようにする念の入れようだ。
(嗯,胸部好悶……!!不,並不是能拿來炫耀的豐滿。還有臉會悶熱……)
(む、胸が苦しい……ッ!! いや、人に自慢出来るほど胸が大きい訳じゃないけどさ。それに顔が蒸れる……)
她原以為要被做到這種程度只是為了讓她參加謁見,但仔細想想她理解到這次的謁見並非簡單的小事。
ここまでして謁見に参加させたいのかと思ったが、よくよく考えれば今回の謁見は簡単な話ではないと彼女は理解する。
京與堺有許多法華信徒。然而法華宗為了擴大信徒,常常以誹謗中傷他宗等手段,頗具強硬的一面。
京や堺は法華信徒が多い。しかしこの法華宗、信徒拡大をするために他宗の誹謗中傷をするなどかなり強引な面が多い。
因此,即便未至於合戰,也常常演變成血腥的抗爭。
その結果、合戦とまではいかなくとも血なまぐさい抗争に発展する事がよくあった。
這大概是為了避免捲入此類紛爭所做的配慮。但靜子的心裡其實覺得沒必要做到這種程度才讓她出席。
そういういざこざに巻き込まれないための配慮なのだろう。しかしそこまでして出席させなくても良いのではないか、が静子の本音だった。
如同史實,信長在二條城興建工地的橋上與フロイス會見。
史実通り、信長は二条城を作っている工事現場の橋の上でフロイスと引見する事となった。
先到的是信長,過了片刻之後出現了疑似司祭的人與疑似信徒的人。
先に到着したのは信長で、それから少し経ってから司祭らしき人物と信徒らしき人が現れた。
(是路易斯·フロイス司祭,還有通譯的羅倫索修道士吧)
(ルイス・フロイス司祭、それから通訳のロレンソ修道士だね)
在遠處低頭的兩人中,年約四十的男性是フロイス司祭。
遠くの方で頭を下げている二人の内、四〇近くの男性がフロイス司祭。
靜子以為對面那位可能是日本人、耶穌會會員的羅倫索了齋修道士(イルマン)。
反対側が日本人イエズス会員のロレンソ了斎修道士(イルマン)かなと静子は思った。
(找不到基督徒保護派的和田惟政耶。據文獻記載應該是把フロイス抬上輿子朝這邊過來才對……?)
(キリシタン保護派の和田惟政が見当たらないな。確か文献ではフロイスを輿に乗せてこちらに向かったはずなのだけど……?)
她只是移動眼神尋找和田惟政那樣的人,但哪裡也看不到那個人影。
目だけ動かして和田惟政らしき人物を探す。だがそれらしき人物はどこにも見当たらなかった。
她做那件事時,信長示意他們靠近些。
彼女がそんな事をしている内に、信長は彼らに近くへ来るよう合図した。
「我是路易斯·フロイス。今日蒙賜拝謁之榮,謹表感謝。」
「ルイス・フロイスです。本日は拝謁の栄誉を賜り感謝いたします」
フロイス以非日本人特有的語調自我介紹,並表達對會見的謝意。
日本人ではない外国人特有のイントネーションでフロイスが自己紹介と、会見への謝意を伝える。
「今天日照強烈,戴帽子比較好。」
「今日は日差しが強い。帽子をかぶると良い」
(我的臉會被悶住吧)
(私は顔が蒸れそうですよ)
因為陽光強烈,頭巾裡有些悶熱。但也不能摘下,只能忍耐。
陽が強い為に頭巾の中は少々暑かった。だが外す訳にもいかず、我慢する他なかった。
靜子看著路易斯·フロイス。外表有典型歐洲人的面貌與體格,身高比一般日本人高一截,但相對地偏瘦。
静子はルイス・フロイスを見る。外見は欧州人特有の顔つきや体つきだ。身長は平均的な日本人より一段高いが代わりに細身だった。
フロイス具備出色的觀察力與分析力,他所撰寫的報告在耶穌會中獲得高度評價。
フロイスは秀でた観察力と分析力を持ち、彼の書いた報告書はイエズス会で高い評価を得ている。
「為紀念能與織田大人結識,今日特地準備了贈禮。」
「織田様とお近づきになれた記念にと、今日は贈り物を用意させて頂きました」
(啊,是那個有名的東西要拿出來了)
(あ、有名なアレが出るのだ)
雖然從一開始就像遊戲已經通關,多少少了些趣味,但果然書上所知與親眼所見的感動還是不同。
最初からゲームクリア状態で若干面白みがない感じがしたが、やはり書物で知るのと自分の目で見るのでは感動に差が出てしまう。
即便知道フロイス將獻上何物,靜子仍情不自禁地感到興奮。
フロイスが何を献上するか知っていても、ついわくわくしてしまう静子だった。
「金平糖(コンフェイト)與有平糖(アルフェロア)奉上。」
「金平糖(コンフェイト)と有平糖(アルフェロア)でございます」
信長見了也不由自主放鬆表情,顯得頗為感動。不僅是他,周圍的武士們也在瞬間被那奇特之物吸引。
それを見た信長は思わず表情をゆるめるほど感銘を受けた。彼だけではなく、周りにいる武士たちも、その不思議なものに一瞬にして魅了された。
唯有知道那是什麼的靜子在內心感動,表面上卻仍顯得冷靜。
唯一それが何か知っている静子だけが、内心は感動していたが見た目は冷静な態度をしているように見えた。
具有優秀洞察力的フロイス不可能忽視這點,但他很快又想,因為對方以頭巾遮臉,看起來不會顯得驚訝。
優れた洞察力を持つフロイスが、それを見逃すはずはなかった。しかしすぐに、顔を頭巾で隠しているから驚いたように見えないと考え直した。
「頗為有趣。」
「中々に興味深い」
原以為信長會立刻拿起來,但他用手示意要把裝有金平糖的燒瓶交給靜子。
すぐに手にとるかと思われた信長だが、彼は金平糖が入ったフラスコ瓶を静子へ渡すよう手で指示をした。
「(啊——是要我說明吧)這個,裝在燒瓶裡的是コンフェイト。以罌粟籽裹上糖蜜凝固而成的糖果。」
「(あー、何か教えろと)こちら、フラスコ瓶に入ったものはコンフェイトですね。ケシの実に糖蜜をかけて固めた砂糖菓子です」
「這、這是……?」
「こ、こん……?」
可能沒聽清發音,信長露出奇怪的表情再度詢問。靜子稍微讓自己冷靜後,便再次說出作為金平糖語源的葡萄牙語單詞。
発音が聞き取れなかったのか、奇妙な顔をして信長が聞き返す。静子は若干気持ちを落ち着けさせてから、もう一度金平糖の語源となったポルトガル語の単語を口にした。
「コンフェイト,翻成日語就是金平糖(こんぺいとう)。」
「コンフェイト、でございます。日ノ本の言葉に訳すと、金平糖(こんぺいとう)でございます」
「……原來如此。這個像筒狀的東西是什麼?」
「……なるほど。こっちの筒のようなものはなんじゃ」
「アルフェロア。翻成日語就是有平糖(ありへいとう)。」
「アルフェロアでございます。こちらも日ノ本の言葉に訳すと、有平糖(ありへいとう)でございます」
金平糖與有平糖都是南蠻菓子的一種。只要注意防潮,兩者如同砂糖般,可維持二至三年的風味不變。
金平糖も有平糖も南蛮菓子の一種だ。どちらも湿気さえ気をつければ、砂糖と同じく二年から三年は味が変わらないとされている。
特別是金平糖若以傳統製法製成,只要防潮,據說可保存二十年至三十年,保存性非常好。
特に金平糖は伝統的製法で作れば、湿気さえ気をつければ二〇年から三〇年は持つといわれるほど保存性が良い。
因為能補充活動所需的熱量、促進唾液分泌,且觀見繽紛糖果有助於減輕壓力,有時會與冰糖一同與非常食的乾麵包併包。
活動に必要なカロリー摂取、唾液の分泌を促進する、カラフルな菓子を見る事でストレスを軽減する効果がある事から、氷砂糖と共に非常食の乾パンと同梱される事がある。
(兩者都源自葡萄牙語,所以聽起來有點難以分辨……咦?)
(どっちもポルトガル語を語源としているから、ちょっと聞き取りにくいのかな……おや?)
靜子感到視線,轉頭望去。弗羅伊斯和羅倫索臉色變得蒼白,明顯帶著畏懼地看著靜子。
視線を感じた静子はそちらへ顔を向ける。フロイスとロレンソが顔色を無くし、明らかに畏怖を抱いて静子を見ていた。
宣教師們獻上的南蠻點心等,無論是哪國人都以驚訝的眼光接受。
宣教師たちが献上した南蛮菓子などは、どの国人でも驚きの目をもって迎え入れられた。
連弗羅伊斯視為日之本代表的信長也是如此,然而在他身旁的一名隨從識破了自己贈禮的來歷。
それはフロイスが日ノ本の代表と考えている信長ですら同じだった。しかし彼の側に控えている人物の一人に、自分の贈り物が何なのか看破されてしまった。
弗羅伊斯心中湧起難以言喻的恐懼,但以信仰之心強行壓下。
フロイスは言い様のない恐れを抱いたが、それを信仰心で無理やり押さえつける。
(神啊,保佑我)
(神よ、ご加護を)
弗羅伊斯聽過一些關於他的傳聞,但又認為那些並不可靠。
フロイスは彼の噂をいくつか聞いていたが、余り当てにならないと考えなおした。
信長表面上幾乎不採納部下意見,只信自己所見,但實際上會吸納部下意見,將其中佳者與自身看法對照後做出判斷。
信長は配下の意見をほぼ聞き入れない、自分で見たものしか信じない。だが現実は配下から意見を取り入れ、その中で最上のものと自分の意見を突き合わせて判断を下している。
弗羅伊斯想,在來到日之本並晉見了多位統治者後,還是第一次遇到像信長這樣的類型。
日ノ本に来て何人もの支配者と謁見したが、信長のようなタイプは初めてだとフロイスは思った。
他是一位擁有良好理性與明晰判斷力的罕見英才,兼具宏大的智慧與接受他人意見的度量。
善き理性と明晰な判断力を有した稀に見る優秀な人物であり、大いなる賢明さを持ち合わせながら他者の意見を聞き入れる度量を持つ。
弗羅伊斯也理解了家臣們對信長或多或少懷有畏懼的原因。更令人不寒而慄的,是那位掩面武士(即靜子)。
家臣たちが信長に対してどことなく恐れ慄いている理由も納得出来た。それ以上に不気味なのが、顔を隠した武士(静子の事)だが。
信長以悠然的神情與弗羅伊斯交談。
信長はゆったりした表情でフロイスと会談する。
大致上是信長向弗羅伊斯提問,而弗羅伊斯回答的形式。
どちらかと言うと信長がフロイスに質問をし、それに対してフロイスが答えるという感じだが。
問題涵蓋廣泛:年紀、居住何國、印度是何種國家、學日語花了多久等,盡是好奇心旺盛的信長風格提問。
その内容は多岐に渡り、年齢はいくつか、住んでいる国はどこだ、インドとはどういう国だ、どれだけ日本の言葉を勉強するのにかかったか、など好奇心旺盛な信長らしい内容だった。
在回答這些問題後,弗羅伊斯對信長偶爾會向那位掩面武士詢問些什麼感到有些在意。
その問いに答えた後、時々顔を隠した武士に何かを尋ねている事を、フロイスは若干気にしていた。
「弗羅伊斯,主上的親族不想見你嗎?」
「フロイスよ、主の親族は汝と会いたいと思っておらぬのか?」
「啊、不、沒事……沒關係」
「は、あ、いえ……大丈夫です」
問題突然轉為私事,弗羅伊斯一時答不出來。
突如として質問がプライベートな内容に変わった事に、フロイスは回答につまる。
但信長並不太在意,繼續說下去。
しかし信長は大して気にせず言葉を続けた。
「是嗎。不過親應該要好好對待。想盡孝時若沒有親人在身邊會很寂寞啊。」
「そうか。だが親は大事にするべきだ。孝行したい時に、親がいないのは寂しいからな」
簡而言之就是「想孝順時父母已不在」,這話是對弗羅伊斯的關懷。
端的に言うと「親孝行したい時には親はなし」である。いわばフロイスを気遣った内容だ。
「謝謝。不過我從父母那裡學到:無論有何苦難等待,無論經歷何等挫折,完成賦予我的使命才是最大的孝行。我會遵守這教誨。」
「ありがとうございます。ですが私は父や母に教わりました。どの様な苦難が待ち構えていようとも、どんな挫折を味わおうとも、自分に課せられた使命をやり遂げる事こそ最大の親孝行であると。私はその教えを守ります」
「那麼若在我國上帝的教導未能廣傳,閣下將如何行動?」
「では我が国でデウスの教えが広まらなかった場合、貴殿はどうするのだ?」
信長認為宣教師的使命是將上帝的教導傳到他國,他對弗羅伊斯若教義未能廣傳時會如何行動產生了些興趣。
宣教師の使命は他の国にデウスの教えを広める事だと信長は思った。ならばフロイスは教えが広まらなかった場合、どう行動するのか少しだけ彼は興味をもった。
「即使信徒只剩一人,我也決心為那人終身留在日之本。」
「例え信者が一人になろうとも、私はその者の為に終生日ノ本へ留まる決意であります」
那是毫無猶豫的回答。弗羅伊斯的表情,尤其是他的眼神,說明那句話是真摯無偽的心聲。
迷いのない答えだった。フロイスの表情、そして何よりも彼の目は、その言葉が嘘偽りなき本音である事を語っていた。
信長判斷弗羅伊斯是為了宣揚他所信奉的宗教而來到此國。
信長はフロイスが、自身の信仰する宗教を広めるためにこの国を訪れたと判断する。
弗羅伊斯未察覺的是,信長對弗羅伊斯等耶穌會十分了解,也知道宣教師們充當祖國的偵查,協助侵略的事實。
フロイスは気付いていないが、信長はフロイスたちイエズス会を詳しく知っていた。宣教師たちが本国の斥候となり、侵略の手助けをしている事も知っている。
他亦知悉耶穌會的宣教活動遵循所謂的『適應政策』運作,換言之他是日本境內對耶穌會瞭若指掌的人。
彼らイエズス会の宣教活動が『適応政策』に則って動いている事も知っている。いわばイエズス会の事を日本中で誰よりも詳しく知っている国人だ。
因此信長需要判斷弗羅伊斯究竟是殖民政策的先鋒,抑或僅是出於真誠信仰而行動。
だからこそ信長はフロイスが植民地政策の斥候兵なのか、それとも単に本気で信仰心の為に動いているのか判断する必要があった。
「你怎麼看?」
「貴様はどう思う?」
信長心中已傾向於『允許布教』,但仍需知曉他人的看法,便向部下發問。
信長は自分の中では『布教の許可を出す』と結論を出した。しかし他人がどう思っているかを知る必要があり、配下の者たちに声をかける。
被問的人自然不爽,但也不能不說出自己的想法。
かけられた方からすればたまったものではないが、自身の考えを言わない訳にはいかない。
然而被問及的大多數武士只給出保守的回答。
ただ声をかけられた武士の殆どは無難な答えしか口にしなかった。
「……你認為如何?」
「……貴様はどう思う?」
對於沒有人能提出正經見解感到不耐的信長,轉而向靜子發問。
まともな考えが出てこない事にしびれを切らした信長は、静子に向かって尋ねる。
「從今以後,他們將面臨許多試煉。佛僧會斥之為異端,妨礙他們的布道;也會有人拒絕接受他們的思想;更有人會對他們破口大罵。」
「これから先、彼らには多くの試練が待ち構えています。仏僧たちは彼らを邪教と罵り、布教の妨害をするでしょう。彼らの考えを受け入れない人たちも出てくるでしょう。彼らに罵詈雑言を投げつける人も出てくるでしょう」
說到此處,靜子閉了眼一次,重新張開後繼續說道。
そこまで言うと静子は一度目を閉じ、再び開いてから言葉を続けた。
「路易斯·弗羅伊斯大人、羅倫索了齋大人,二位能為敵人祈禱嗎?能遵行『愛你的仇敵,為那些責備你們的人祈禱』(馬太福音五章四十四節)嗎?」
「ルイス・フロイス様、ロレンソ了斎様、お二人は敵のために祈れますか? 『汝の敵を愛し、汝らを責むる者のために祈れ(マタイによる福音書五章四十四節)』ますか?」
「那句話……是的,我主的教導是『你不可憎恨;要愛你的仇敵』。」
「その言葉……はい、我が主の教えは『汝、憎むなかれ。汝の敵を愛せよ』です」
靜子的話裡引用了聖經的一節,佛羅伊斯的表情僅僅僵了一瞬。
静子の言葉に聖書の一節が出てきた事に、フロイスは一瞬だけ表情を強ばらせる。
但他很快放鬆了表情,帶著充滿慈愛的微笑回答。
だがすぐに表情を緩めると、慈愛に満ちた笑みを浮かべて答えた。
「那麼就沒問題。館主,我……某人建議應該允許他們的傳教。」
「ならば問題ありません。お館様、わた……某は彼らの布教を認めるべき、と進言させて頂きます」
「理由是?」
「その理由は」
「如果他們以愛心傳教,某人沒有反對的理由。而且某人不想與他們拔刀相向或交戰。某人希望成為他們的朋友。」
「彼らが愛をもって布教をするのなら、某には反対する理由がございません。それに某は彼らと刃を交え、戦いたくはありません。某は彼らの友になりとうございます」
說起來像那樣,但實際上靜子並沒有想得很深。
それっぽい事を言っているが、実は静子はあまり深く考えていない。
她只是隨意把想到的話堆在一起,努力讓自己看起來像個識者罷了。
なんとなく思いついた言葉を並べて、なんとなく識者のような雰囲気が出るように頑張っているだけだ。
「要與南蠻人成為朋友嗎?我還以為妳會更積極地說服他們。」
「南蛮人と友か。もっと積極的に説き伏せるかと思ったぞ」
這個想法似乎被信長看穿了,他露出一抹帶惡意的莞爾笑容。
その考えが信長に見透かされたのか、彼はニヤリと意地の悪い笑みを浮かべる。
表面上像是在發問,實際上是在打聽靜子的宗教觀;但靜子沒注意到那層意思,照所想的說出話來。
疑問を口にしているようで、その実静子の宗教観を尋ねていた。だが静子はその辺りに気付かず、思ったままの言葉を口にする。
「冒昧請教,館主。請想像某人說服他們、讓他們垂首的情景。那時某人的臉是什麼表情?」
「僭越ながらお館様。某が彼らを説き伏せて、頭を下げる姿をご想像して下さい。その時の某はどのような顔をしていましたか?」
「……」
「……」
「沒錯。不是為了瞧不起他們而去說服他們。是為了讓他們認識某這個存在,並且認識館主,所以成為朋友。」
「そうです。彼らを見下すために説き伏せるのではないのです。某という存在を、そしてお館様の事を、これから知ってもらうために友となるのです」
對靜子的話,信長露出一抹莞爾之笑。
静子の言葉に信長はニヤリと笑った。
「有趣」
「面白い」
【參考文獻】
【参考文献】
[*1]Column Latte
[*1]Column Latte
關西和關東的蕎麥麵湯汁顏色為何不同?從出汁學習日本飲食文化 (1/2)
関西と関東、そばつゆの色が違うのはなぜ?出汁から学ぶ日本食文化 (1/2)
參考URL:latte.la/column/26965537
参考URL:latte.la/column/26965537