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192 被覬覦的孤兒院 2
「擅自在孤兒院舊址住下的孤兒,就是你們嗎!我會出面說情讓你們能留在這裡,所以要聽我的話!」
「勝手に孤児院跡に住み着いている孤児達というのは、お前達か! 儂がここに住めるよう口を利いてやるから、儂の言うことを聞け!」
來了啊~!
来たああぁ~!
在街上被流氓糾纏好幾天之後,這回有個怪人來到我們這裡。
街でチンピラに絡まれてから数日後、今度はうちに変なのが来た。
外表倒也不算奇怪。看起來不太富裕、像個商人的男人,只有他一個人。
まぁ、見た目は別におかしくはない。あまり裕福そうには見えない、商人っぽい男がひとりだけ。
看來似乎不是來鬧事的樣子。
どうやら、荒事というわけではないらしい。
不過,他對出面應對的我說的第一句話就是那樣,真是只能說怪異……。
でも、応対に出た私に掛けられた最初の言葉がソレって、『変なの』としか言いようがないよ……。
「嗯……請問您是哪位……?」
「あの~、どちら様で……」
「我叫達爾利什,是戈諾謝爾商會的掌櫃。」
「儂は、ゴノシェル商会の番頭、ダルリッシュだ」
啊──,看來是個資訊不靈通的中小商家的人吧……。
あ~、情報に疎い、中小商家の人かな……。
「這件事是您個人所為,還是奉商會長之命?」
「この件は、あなた個人の行いですか? それとも、商会長さんの御指示で?」
「商會長不會插手這等小事。照顧你們的是我。」
「商会長は、このような些事には関わられることはない。お前達の面倒をみてやるのは、私だ」
好啦好啦,是掌櫃想賺點零用錢,或是等有了利潤再去報功爭取好處,大概就是那樣吧……。
はいはい、番頭の小遣い稼ぎか、ある程度金儲けの目途(めど)が立ってから報告して手柄にするつもりか、そんなトコか……。
商會長或大掌櫃會不會知道我們的事?還是只有這傢伙一個人什麼都不知道就自作主張?
商会長や大番頭はうちのことを知っているのかな? それとも、コイツだけが何も知らずに勝手にやっているのかな?
嗯,不管哪種,應該也沒太大差別吧。
ま、どっちにしても、大差ないか。
「拒絕。」
「お断りします」
「哼……」
「ふん……」
那個自稱達爾利什的掌櫃,對我的話既不驚訝也不生氣,只用一副瞧不起的眼神看著我們。
ダルリッシュとかいう番頭は、私の言葉に、別に驚いたり怒ったりするような様子もなく、こっちを馬鹿にしたような眼で見ている。
……嘛,認為說那種話我會默默服從的人也太天真了。大概只是為了搶佔談話主導權在虛張聲勢罷了……或者是他真把我們看得太簡單了。
……まぁ、あんな言い方をして、黙って従うと思う方がどうかしてるか。多分、会話の主導権を取るためにフカしただけなんだろう。……あるいは、余程こちらを甘く見ていたか。
他大概不是商會主或大掌櫃,只是眾多掌櫃之一,應該沒有那麼多權限或情報。要不是如此,他理應知道我們已經正式買下這裡並向領主申報了。
商会主や大番頭ではなく、何人かいる番頭のうちのひとりに過ぎないのだろうから、おそらくそんなに権限や情報を持っているわけじゃないのだろう。そうでないなら、ここは私達が正式に購入したことや、領主様と話がついていること等を知っているはずだ。
也就是說……。
つまり……。
也就是個雜魚而已。
雑魚(ザコ)、ってことだ。
「把你們賣的乾物和燻製的製法教給我,這樣我就會讓你們到我那裡去做事。」
「お前達が売っている干物や燻製の作り方を教えろ。そうすれば、うちで働かせてやる」
我們已經自己在賺錢了,為什麼要被這傢伙抽成……而且多半拿不到薪水,頂多被當成學徒,頂多給早晚兩頓飯而已吧。
既に自分達で稼いでいるのに、何が悲(かな)しゅーてこいつに中抜きされなきゃならないんだよ……。しかも、多分給金なんか貰えずに朝夕の二食を食べさせてもらえるだけの、丁稚奉公扱いがいいところだろう。
不過當學徒本身也有希望,可以學到手藝,日後當店員、掌櫃,再獨立創業。雖然那條路很窄……。
いや、丁稚奉公は、仕事を覚え、そのうち手代や番頭を経て独立できるという夢がある。そりゃ、狭き門ではあるけれど……。
但我們在工作上的技術與知識比他們優秀,已經獨立在賺錢,為什麼現在還要去當徒弟?而且很可能製法一被徹底偷走就會被趕走,還會被威脅『照著我們的製法做就丟到警備所!』,幾乎肯定會發生,還得在那種地方上班……。
でも、仕事に関する技術や知識はこっちの方が上で、既に独立して稼いでいるというのに、どうして今から丁稚奉公、それもおそらく製法を完全に盗まれた途端に放り出されて、『うちの製法を真似て作ったら警備所に突き出すぞ!』とか言われるのがほぼ確実なところで働かなきゃならないんだよ……。
完全是在走回頭路。
完全に、成り上がりルート逆行じゃん。
「要教你們製法,就得先付五百枚金幣作為契約金,另外還要抽銷售額的一成。當然會請商業公會作為保證人居中仲介,簽訂正式合約之類的……」
「製法を教えてもらいたければ、契約金として金貨500枚。それと、売上金の1割を戴きます。勿論、商業ギルドに保証人として仲介してもらっての正式な契約を結んでいただいて、ということで……」
就算說是五百枚金幣,雖然聽起來像一大筆錢,但折合日本圓也不過大約五千萬日圓左右。
金貨500枚といっても、大金のように思えても日本円ではたかが5000万円相当だ。
有了這項技術,在王都等各大城市,甚至他國的主要都市開分店大力經營,乾物與燻製品的市場佔有率會相當可觀。而且有了知名的招牌商品,也會帶動其他商品的銷售。這麼想來,那個價碼也說不上太高。
この技術で、王都を始め各地の大きな街で、そして他国の主要都市でも支店を出して大きく商売すれば、干物や燻製の市場占有率がかなり大きくなるだろう。そして有名な目玉商品があれば、他の商品の販売においても有利になる。そう考えれば、そう高い金額でもないだろう。
畢竟原料的魚若在漁港進貨,成本率不會太高。而且採購也不必侷限在本城,可以到其他港鎮或小漁村便宜買進。
何せ、原料の魚は漁港で仕入れれば、そう大した原価率にはならないからね。それに、仕入れるのは別にこの街だけではなく、他の港町や、小さな漁村とかで安く買い入れられるし。
然後在那些進貨地點附近設加工場所就好。
そして、それらの仕入れ場所の近くに、加工場所を作ればいい。
……但對這個男人來說,他只把我們當成普通孤兒,根本一點也不會想把那種錢付給我們吧。
……でも、この男にとっては、ただの孤児だと思っている私達にそんなお金を払うつもりなんか欠片もないよねぇ。
「哼,說什麼胡話……不乖乖聽話的話,就把你們從這裡趕出去,賣給人販子!」
「はっ、何を世迷い言を……。おとなしく言うことを聞かないというなら、ここから追い出して、人買いにでも売り飛ばしてやるぞ!」
……嗯,早就知道會這樣。
……うん、知ってた。
「我們不會服從不當要求……換言之,你等於公開宣稱要把我們『賣給人販子』。因此,作為正當防衛……」
「私達は、不当な要求に従うつもりはありません。……ということは、自動的に、あなたは私達を『人買いに売り飛ばす』と宣言されたことになります。なので、正当防衛として……」
啪地一響,我打了個響指,レイコ、ミーネ、アラル三人出現了。各自手裡都拿著我做的木劍……。
ぱちん、と私が指を鳴らすと、レイコ、ミーネ、アラルの3人が現れた。それぞれ、私が作った木剣を手にして……。
「咦……」
「え……」
接著把那個所謂的掌櫃狠狠地痛打一頓,綁了起來。
そして、番頭とやらをボコボコにしてふん縛った。
說真的,一個赤手空拳、肚子凸出的中年大叔,對上兩個肉體年齡十五歲的女孩再加上兩個不留情的孩子,根本不是對手。而且我們全員都裝備了木劍……我的那把也是レイコ遞給我的。
いや、腹の出た素手のおっさんひとりと、肉体年齢15歳の女の子ふたりプラス容赦を知らない子供ふたりじゃ、さすがに勝負にならないよ。しかも、こっちは全員が木剣装備。……私の分も、レイコが手渡してくれたので。
「那麼,レイコ你就看守。ミーネ和アラル去警備所,報告有個男子來威脅說『不聽話就把人賣給人販子』,把我們的名字說出來,請士官來查問。」
「じゃ、レイコは見張りをお願い。ミーネとアラルは、警備所に行って、『言うことを聞かないと、人買いに売り飛ばす』と言って脅迫する男が来た、って届けて。うちの名を出して、士官の人に聞いて貰うのよ。
「我會先去商業公會做同樣的通報,之後再去所謂的戈諾謝爾商會確認這是否為商會下的指示。」
私は商業ギルドに行って同じことを届けた後、ゴノシェル商会とやらに行って、これが商会としての指示によるものなのかどうかを確認してくるから」
「嗯,了解!」
「うん、了解!」
「知道了!那我走啦!」
「分かった! じゃ、行ってくるね!」
「欸……等、等一下!住手、別走!等──!!」
「え……。ま、待て! やめろ、行くな! 待てええぇ~~!!」
不過,ミーネ和アラル已經飛奔出去了。
しかし、既にミーネとアラルは飛び出していった後。
「哼哼!誰會相信孤兒的話!只要說你們襲擊我、勒索財物而我拒絕,就是想陷害我就行了。那樣反而會把你們當成罪犯抓起來……」
「ふ、ふん! 孤児の言うことなど、誰が信じるものか! お前達に襲われて、金品を要求されたが拒否したところ、私を嵌めようとしてありもしないことを、と言えば済むことだ。そうすれば、逆にお前達の方が犯罪者として捕らえられて……」
嗯,老套的伎倆。但……。
うん、お馴染みのパターンだ。でも……。
「不,說過了,我們不是在非法佔據這裡的孤兒,我們是付了大筆錢買下這裡,已向領主申報並合法營業的正常事業主。我們也正式加入了商業公會……而且我和這個孩子レイコ都是十五歲,已經是成人。」
「いや、だから、私達はここを不法占拠している孤児じゃなくて、ちゃんと大金を払ってここを買い取り、領主様に届けを出して営業している、普通の事業主ですよ。商業ギルドにもちゃんと加盟していますし……。そして私とこの子、レイコは15歳で、成人です。
也就是說,你是那種闖入正式商店、提出不合理單方面要求,被拒後憤怒,並為報復對兩名成年女性和兩名孩童宣稱要『販賣人口』的兇惡犯人。
つまりあなたは、正式な商店に押し掛けて非常識で一方的な要求をし、それを拒否されて怒り、腹いせに成人女性ふたりと子供ふたりに対して『人身売買のために捕らえる』と宣言された凶悪犯、ということになります。
而且會請警備所的人好好查明這是否為戈諾謝爾商會作為商會的行動,及是否出自商會主的命令。」
そして、それがゴノシェル商会としての行動であり、商会主の命令によるものかどうかを、警備所の人達にじっくりと調べていただくことになります」
「欸……」
「え……」
從剛剛開始,他的台詞就一直是『欸……』,真是的……。
さっきから、『え……』ばかりだな、この男の台詞……。
「不、不要、求求你了!若是那樣做了,大旦那會……」
「や……やめろ、やめてくれ! そ、そんなことをされたら、大旦那様に……」
我才不管呢~。
知らんがな~。
他臉色有點發青,但也不是發生了什麼意外的大麻煩吧……。
何だか、真っ青な顔をしているけれど、別に思わぬトラブルが発生したというわけじゃないだろうに……。
是啊,這不過是他根據自己判斷採取行動後的結果而已,所以不該慌張也不該後悔才對。
そう、自分の判断で、自分が行動した結果に過ぎない。だから、動転することも、後悔することもないはずだよね。
要是我們真的是一群孤兒,他本來就想用武力把我們吃乾抹淨。計畫落空了也沒用哭訴。你只是因為知識不足、能力不足而輸了,輸了就輸了,事後喊著『剛才那不算!』又有誰會理你?
もし私達が、本当に孤児の集まりだったなら、力尽くで食い物にするつもりだったんでしょ。アテが外れたからって、泣き言を言っても仕方ないじゃん。自分の知識不足、能力不足で勝負に負けただけなんだから、負けが決まった後で、『今の、なし!』とか言って喚いても、誰も相手にしないよ。
這個世界裡資訊傳遞與擴散很慢,內容也常常在途中大幅改變,包含這些因素在內,要會巧妙周旋。若連基本資訊都沒蒐集,只憑一己臆測胡鬧,就會變成這樣。
こういう世界は情報の伝達や拡散が遅いし、途中で内容がとんでもなく変化したりするから、そういうのも含めて、うまく立ち回らなきゃならない。ろくに情報も集めずに、自分の勝手な思い込みで馬鹿をやると、こういうことになる。
並不是每個人什麼都要知道。就算資訊不足,只要踏實努力、不惹人非議,也能穩穩賺錢,沒問題。
別に、みんなが何でも知ってなきゃ駄目、ってことじゃない。情報に疎くても、誰に文句を言われることもなく真面目にやっていれば、何の問題もなく堅実に稼げる。
換句話說,要是不走踏實經營而要冒險一搏,就必須具備資訊與分析力。沒有相當能力卻貪心,就會出事。
つまり、堅実にやるのではなく勝負に出るなら、情報と分析力が必須、というわけだ。碌な能力もないのに欲をかくと、こういうことになる。
「那我出發囉!」
「じゃ、行ってくるね!」
留下還在大喊的商人(老頭),我們前往商業公會和戈諾謝爾商會。
喚き続ける商人(おっさん)を残し、商業ギルドとゴノシェル商会へ。
然後在兩處的櫃台與販售處大聲喊了起來。
そして、その双方の窓口と売り場で、大きな声で叫んでみた。
「不好意思~!我們是『リトルシルバー』的,但戈諾謝爾商會的掌櫃跑來我們這裡強逼無理要求,還威脅說『不聽話就把人賣給人販子』,這種事對於這城裡的商業公會加盟店來說算正常嗎?我們已經派人去找警備隊求助了!」
「すみませ~ん! 『リトルシルバー』の者なんですけど、ゴノシェル商会の番頭がうちに来て、無理難題を強要して、言うことを聞かないと人買いに売り飛ばす、と言って脅迫してきたんですけど、それってこの街の商業ギルド加盟店としては普通のことなんですかねぇ! 一応、警備隊に遣いを出して助けを求めてるんですけど!」
嗯,無論哪裡,都引起了一陣大騷動。
うん、どちらでも、大騒ぎになった。
為了免得被抓去問話麻煩,我們乾脆早早撤退。把應付警備隊的事全丟給レイコ也不好,得趕快回去才行。
で、捕まって色々と問い質(ただ)されると面倒だから、さっさと引き揚げた。警備隊の人の相手をレイコだけに押し付けるのは悪いから、早く帰らなくちゃね。
之後先後有一次來自商家的來訪、一次是地頭的流氓,合計來了兩次類似的事,但之後就沒再來了。
その後、商家から1回、地回りのチンピラが1回と、計2回ほど似たようなのが来たけれど、さすがにその後は来なくなった。
我想商家那邊是透過某種網絡把消息傳開了。或許商業公會也稍微出面了。即便只是街上的商店會程度的組織,也不會對那種事坐視不理吧……。
商家の方は、何らかのネットワークで情報が流されたんだと思う。もしかすると、商業ギルドが少し働いたのかもしれない。街の商店会程度の組織ではあっても、さすがにアレは看過できなかっただろうからねぇ……。
另外,能把消息傳到流氓群體裡這點也讓人佩服。
そして、チンピラ達の間にもちゃんと情報が伝わるらしいのには感心した。
嘛,在流氓或犯罪者當中也可能有曾是孤兒,或在這裡還是孤兒院時受過照顧的人。因此會有人不贊成去動手干預專為孤兒而做的事業。
ま、チンピラや犯罪者達の中にも、孤児だった者や、ここが孤児院だった頃に世話になった者もいるだろう。だから、孤児のためにやっている事業に手出しすることを良しとしない者たちもいるはずだ。
總之,就是那回事。
とにかく、アレだ。
『リトルシルバー(我們)』在這座城裡站穩了腳步,對其他商店、一般市民以及流氓圈都建立了影響力。
『リトルシルバー(うち)』は、この街での地歩を固めた。他の商店、一般の人達、そしてチンピラ業界に対して。
現在,除非是極度的白癡或自信過頭的人,否則沒有人會公開來惹我們……至少表面上不會。
もう、余程の馬鹿か自信家以外は、うちに手を出そうとはしないだろう。……表立っては。
如今我們還沒有到那種值得有人冒險去奪取的吸引力。
今はまだ、うちには危険を冒してまで手に入れたいような魅力はない。
現在還不是呢。
今はまだ、ね。