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110 復仇的彈道 3
「那是真的嗎!」
「その話はまことであるか!」
馬斯里厄斯伯爵家的當主,也就是雷費爾子爵家的寄親,向手下這樣怒喝。因為剛剛他從那人那裡收到了難以置信的報告。
レイフェル子爵家の寄親である、マスリウス伯爵家の当主が配下の者に向かってそう怒鳴った。今、その者から信じがたい報告を受けたためである。
「我、無意中聽到使用人們在傳聞,於是就去確認了阿拉貢·馮·雷費爾的住處,結果果然如傳聞所說……。」
「は、使用人達が噂しているのを小耳に挟み、気になりましたためアラゴン・フォン・レイフェルの住居を確認しましたところ、噂通りの状態で……。
我手提一個小包往門口走去時,結果──被烏鴉的糞便直接擊中,包也被打落在手中。掉在地上的東西被湧上來的狗群撕得亂七八糟。
手に小さな荷物を持って門に向かって歩いてみましたところ、……その、カラスの糞による直撃と、荷物を手から叩き落とされました。そして地面に落ちた荷は、群がった犬達によって滅茶苦茶にされました。
那明顯是有統率、有意圖的行為,絕不是人力能隨手所為的程度……」
あれは明らかに統率された意図的な行動であり、人間によってどうこうできるようなレベルのこととは、とても……」
「然後還有傳言說『是不是犯下會招致神罰的極惡罪行』?談到最近與雷費爾子爵家有關的那類極惡事件的話……」
「そして、『神罰を受けるような、極悪非道な罪を犯したのではないか』、という噂か。レイフェル子爵家絡みで、最近起こった極悪非道な事件と言えば……」
這話根本不必多想。
そう、考えるまでもなかった。
「……不能把瑪莉亞兒嫁給弒父的重罪人!當然,也不能把雷費爾家託付給那等人。即便陛下或女神能容忍,我也不能……不過說不定正因為女神並未寬恕,才會出現這種情況。」
「……マリアルを、家長殺しの大罪人と結婚させるわけにはいかん! そして勿論、そのような者にレイフェル家を任せるわけにもいかん。たとえ陛下が、そして女神が見逃そうとも、この私が……、というか、女神はお見逃しになっていないからこその、この事態か。
「女神既然沒有親自降雷,或許是要人間來審判吧。若有人無視她的旨意……」
直接雷を落とされないということは、人間の手で裁け、ということなのであろうな。そして、もしその御意思を無視したりすれば……」
馬斯里厄斯伯爵與隨從腦中閃過了傳說中女神塞雷斯蒂娜過去降下神罰的種種事例。沒錯,那些波及大量無辜者、令周遭陷入浩劫的神罰事件……。
マスリウス伯爵と配下の者の脳裏に、言い伝えにある過去の女神セレスティーヌによる神罰事件の数々が過(よ)ぎった。そう、周囲の無関係の者達を大量に巻き添えにしたという、神罰事件の数々が……。
「不行!明早就去雷費爾子爵家!立刻派人出發。也去阿拉貢那裡,轉告他明早到雷費爾子爵家來!」
「いかん! 明日の朝、レイフェル子爵家へ行くぞ! すぐに使いの者を出せ。アラゴンのところへも使いを遣(や)って、明朝、レイフェル子爵家へ行くよう伝えろ!」
「是!」
「はっ!」
之所以不去阿拉貢家而去子爵府,是因為無爵的阿拉貢家連僕從都沒有,根本無法接待一位伯爵。即便不是如此,也不會有人願意前往那個觸怒女神、被視為不潔的家門。
アラゴンの家ではなく子爵家の方へ行くのは、無爵であるアラゴンの家は使用人もおらず、とても伯爵を迎えられるようなところではないからである。そして、もしそうでなかったとしても、女神のお怒りに触れた不浄の家に行きたがる者などいるはずがなかった。
* *
* *
「明早,馬斯里厄斯伯爵會來」
「明朝、マスリウス伯爵が来られます」
「嗯,比想像中還早呢」
「そう。思ったより早かったね」
夜已深,卡歐爾在雷費爾子爵家一邊喝茶一邊與瑪莉亞兒商議對策。
夜も更けて、カオルはレイフェル子爵家でお茶を飲みながらマリアルと打ち合わせをしていた。
子爵府的人已沒有人認為卡歐爾是普通人,全都把他當作地位更高的存在來對待。
子爵家の者達は、既にカオルが普通の人間であるなどと思っている者はひとりもおらず、完全に格上の者として扱っている。
「明早,也就是朝二的鐘聲吧……」
「明朝、ということは、朝2の鐘か……」
卡歐爾如此低聲嘀咕。
カオルが、そう呟いた。
在這一帶,若說『明早』或『一早』等對外安排,通常指的是朝二的鐘聲,也就是相當於地球上午九點左右。作為貴族互訪的時刻,算是異常地早了。
そう、この地方(あたり)では、仕事や待ち合わせ等の対外的なことにおいて『明朝』とか『朝イチで』とかいう場合には、朝2の鐘、つまり地球で言うところの午前9時頃を指していた。貴族が他家を訪問する時刻としては、異例と言えるくらいの早い時刻である。
「大概是今天才得知的吧。而且,可能相當慌張……」
「多分、今日お知りになられたばかりかと。そして、かなり慌てておられるのではないかと……」
大概正如瑪莉亞兒所說。
おそらく、マリアルが言う通りであろう。
在這一帶的國家,甚至在這個世界大多數的國家裡,所謂『女神塞雷斯蒂娜的神罰』雖然帶著對她強烈的信仰與感謝,卻同時充滿了難以言喻的畏懼與恐怖。
このあたりの国で、いや、この世界の殆どの国において、『女神セレスティーヌの神罰』というのは、セレスティーヌへの信仰と感謝の念が非常に大きいにも拘わらず、とてつもない畏怖と恐怖に満ちたものなのである。
那並不是害怕自己會犯下招致神罰的罪行。
それは、自分が神罰を受けるような罪を犯してしまうことに対する恐怖ではない。
那種恐懼是──
その恐怖とは。
……「女神塞雷斯蒂娜過於粗糙,神罰的流彈會波及大量無辜百姓,導致國家層級的毀滅危機」的恐懼。
……『女神セレスティーヌがあまりにも大雑把過ぎて、神罰の流れ弾を受けた大量の無辜(むこ)の民が巻き込まれて、国レベルでの壊滅の危機に陥る』ということに対するものであった。
因此,可能招致神罰的行為通常會被處以極刑,在那面前任何人脈、賄賂、身分或權力都無能為力。
なので、神罰を受けかねない行為は極刑に処されるのが普通であり、そこにはコネも賄賂も身分も権力も、全てが無力である。
……這是理所當然的。誰也不會為了區區賄賂而接受整個國家或一族被滅絕的後果。
……当たり前である。少しの賄賂と引き換えに、国ごと一族郎党皆殺し、などという結果を受け入れようとする者などいるはずがない。
「那麼,勝負就留到明早吧……」
「では、勝負は明朝に……」
說著這句話,卡歐爾露出一個幾乎能把孩子逗哭的笑容。
そう言って、子供が泣き出しそうな笑顔を浮かべるカオル。
在他身後站著艾米爾、貝爾和法蘭塞特。雷葉特小小姐則睡在卡歐爾的膝上。
その後ろには、エミールとベル、そしてフランセットが控えていた。レイエットちゃんは、カオルの膝の上で眠り込んでいた。
之後艾米爾和貝爾消失在夜色中,其他人則回到大家的據點『便利な店(こんびに)』。為了明天好好睡一覺,恢復精神。
その後、エミールとベルは夜の街へと消え、他の者達は、みんなの本拠地である『便利な店(こんびに)』へと帰投。明日に備えてぐっすりと眠り、英気を養うのであった。
* *
* *
「這、這是怎麼回事,這麼多人……」
「な、何だ、この人出は……」
次日清晨,作為雷費爾子爵家寄親的馬斯里厄斯伯爵帶著隨從到訪時,子爵府周圍已聚集起大批人群。
翌朝、レイフェル子爵家の寄親であるマスリウス伯爵が供の者と訪れた時、レイフェル子爵家の周りには大勢の人集(ひとだか)りができていた。
不過既沒吵鬧,也沒有阻擋伯爵一行的路,只是站在公共道路旁,因此也不能責備他們。雖覺得可疑,但仍走進了子爵府,隨從敲了門環,執事便立刻現身引領眾人入內。
しかし、別に騒ぐわけでも、伯爵達の進路を塞ぐわけでもないため、公共の道の脇にいる人々に文句を言うわけにもいかない。そのため、不審に思いながらもレイフェル子爵家の敷地へと入り、供の者がドアノッカーを叩くと、すぐに執事が現れて皆を案内した。
「還安好嗎,瑪莉亞兒?」
「息災であったか、マリアル」
事發當時,伯爵曾一邊說著『若不救他們,何為寄親!』一邊援助並支持這位失去家人的瑪莉亞兒,但在事後處理告一段落後,他便有些疏於往來。
事件の直後は、『今助けずして、何が寄親か!』とばかりに、家族を失いただひとり残されたマリアルを助け、支えた伯爵であったが、事後処理が一段落してからは、少し足が遠のいていた。
這也不奇怪。伯爵因為在瑪莉亞兒身上耗費太多時間,導致自領地事務疏忽,被家臣責備,因此便專心處理積壓的公務。對馬斯里厄斯伯爵而言,瑪莉亞兒宛如己出,是他心愛的寄子之女。
しかしそれも無理はない。マリアルのことに時間を掛けすぎて自領のことがおろそかになってしまい、家臣達に叱られてしまったのである。そのため、溜まった仕事に専念していたのであった。そう、マスリウス伯爵にとって、マリアルは我が子も同然の、可愛い寄子(よりこ)の娘なのであった。
「是的,我過得很好。……此外,因為有『不得不做的事』,哪有時間病倒休養。」
「はい、元気でやっております。……それに、『やらねばならぬこと』があります故、病に伏せっている暇などありません」
說罷,馬利亞爾淡然地將視線移向她的叔父阿拉貢。
そう言って、すっと視線を叔父のアラゴンの方へと向けるマリアル。
房內共有八人。
室内にいるのは、8人。
雷菲爾子爵家這邊有三人:馬利亞爾、執事(管家)、副執事(副管家)。
レイフェル子爵家側が、マリアル、執事(バトラー)、副執事(アンダーバトラー)の3人。
但副執事的衣服明顯不合身,體格也過於魁梧,作為上級僕人既不顯聰慧也缺乏氣度……顯然是護衛偽裝而來。
但し、副執事は、明らかに服が身体に合っていないし、上級使用人としてはゴツ過ぎる。知的さや気品もあまり感じられない。……明らかに、護衛が扮装したものであった。
大概是考量到若阿拉貢動手,以體弱的馬利亞爾和年邁的執事恐怕不足以應付,所以才如此安排。
もしアラゴンが実力行使に出た場合、非力なマリアルや高齢の執事では心許(こころもと)ないと考えてのことであろう。
而阿拉貢一方,只有本人單獨到場。
そして、アラゴン側は、本人のみ。
去本家見本家的寄親馬斯里烏斯伯爵並不需要護衛,而且窮困的未婚無爵貴族本來也不會養僕人。
本家へ行くのに、そして本家の寄親のマスリウス伯爵と会うのに護衛の必要はないし、そもそも、貧乏な独身無爵貴族が使用人などを置いているわけもない。
若為了這次特意雇護衛,對伯爵與本家當家馬利亞爾而言是種失禮,也難免招來「去本家竟需護衛?」的無端猜疑,這並非阿拉貢此刻該採取的選擇。
今回のためにわざわざ護衛を雇うなどということをすれば、それは伯爵や本家の家長であるマリアルに対する非礼行為であるし、『本家に行くのに護衛が必要な状況なのか?』と、あらぬ勘繰りをされても仕方ない。それは、今のアラゴンがとっていいような選択肢ではなかった。
馬斯里烏斯伯爵這邊有伯爵本人和兩名護衛。
マスリウス伯爵側は、伯爵と、護衛がふたり。
一般來說護衛會在別室待命,但這次被帶進了房間,雖略顯失禮,但對場上最高位者、對馬利亞爾來說反而增加了安全感,心裡非常歡迎。
護衛は、通常であれば別室で待機させておくものであるが、今回は室内まで同伴させている。これはやや非礼に当たるが、この場での最上位者であり、マリアルにとっては自分達の安全度が増すため、大歓迎である。
阿拉貢以為這是為他與馬利亞爾的婚禮祝福,或是關於今後兩家交流的事,因而並未顯出在意。
アラゴンは、これが自分とマリアルの婚儀に関する祝福、もしくは今後のレイフェル子爵家とマスリウス伯爵家との交流に関する話だと思っているため、何も気にした風はなかった。
這樣算起來七人,剩下的一位是……。
これで、7人。あとのひとりは……。
「初次見面。我叫永瀨……是偵探。」
「お初にお目に掛かります。ナガセ、……探偵です」
「「偵探?」」
「「探偵?」」
卡歐爾討厭被叫作「カオル」的名字,改以『永瀨』自稱。她不喜歡無謂的謊言,也怕如果取個毫不相關的名字,等人用那名字喊她時會愣一下引起懷疑。
カオル、という名を知られるのを嫌がり、『ナガセ』の方を名乗るカオル。不必要な嘘を吐くのはあまり好きではないし、全く関連のない名を名乗った場合、その名で呼ばれた時に一瞬反応が遅れて不審を招くのを避けるためである。
阿拉貢與伯爵對不是名字而是『偵探』這個陌生詞感到困惑,歪著頭看著。
そして、その名前ではなく、『探偵』という聞き慣れない言葉に首を傾げるアラゴンと伯爵。
當然,卡歐爾並非用日語說「タンテイ」,而是在這國的語言中選了個帶有類似語感的詞,湊造出一個合適的專有名詞。
勿論、カオルは日本語で『タンテイ』と言ったわけではなく、この国の言葉で、それに似たニュアンスとなる言葉を選んで、適当な造語をでっち上げている。
「是的。尋找真相、探查事實的人。『偵探』。」
「はい。真実を探し、偵(さぐ)る者。『探偵』です」
伯爵與阿拉貢對為何會有此人到場感到疑惑,但伯爵很快從馬利亞爾特意讓她出席以及剛才的自我介紹察覺了她的身分與職責。
なぜそのような者がここに、と疑問に思った伯爵とアラゴンであるが、伯爵はすぐに、わざわざマリアルがこの場に立ち会わせたこと、そして今の自己紹介から、その役割を察した。
另一方面阿拉貢認為這是馬斯里烏斯伯爵的安排,應該是與他和馬利亞爾的婚禮或兩家往來有關,所以以為她大概是婚禮時負責某種儀式的巫女少女。
一方アラゴンは、この集まりがマスリウス伯爵からの指示によるものであるため、自分とマリアルの婚儀に関すること、もしくはその後のレイフェル子爵家とマスリウス伯爵家との関係に関する話のためだと思っているため、婚儀の際に何らかの儀式を受け持つ巫女役の少女あたりかと考えていた。
「那麼,事不宜遲,進入正題吧。」
「では、早速だが、本題に入ろう」
馬斯里烏斯伯爵落座後只向馬利亞爾致了簡短問候,便不向阿拉貢多言,直接開門見山。
席に着いたマスリウス伯爵が、マリアルに簡単な挨拶をしたのみで、アラゴンには言葉を掛けることもなく話を切り出した。
馬利亞爾是雷菲爾子爵家的家主,也是今日的接待人,但阿拉貢僅是無爵的旁支,這本非失禮;不過阿拉貢自以為自己是子爵家主,竟在伯爵面前露出不悅之色。
マリアルはレイフェル子爵家の当主であり、本日の招待者(ホステス)であるが、アラゴンは無爵の分家筋に過ぎないので別に非礼でも何でもないが、既に自分がレイフェル子爵家の当主であるかのようなつもりであるアラゴンは、不愉快そうな顔をしていた。伯爵の面前であるにも関わらず。
伯爵看破了卻完全不予理會。與即將發生的事相比,那不過是微不足道的小事罷了……。
そして、伯爵はそれに気付いていたが、完全にスルーした。これから始まることに較べれば、そんなことはほんの些細なことに過ぎないのだから……。
「阿拉貢,聽說你受到了女神的天罰。女神塞勒斯蒂娜通常不會干涉凡人每一個人的事,竟然會降下神罰,你究竟犯下了何等大罪!」
「アラゴン、お前は女神から神罰を受けているそうだな。女神セレスティーヌは、普通は人間ひとりひとりのことに関わったりはなさらない。なのに神罰を受けるとは、いったいどのような大罪を犯したというのだ!
「惹怒了女神,可能不只是你的性命,說不定整個國家,甚至整個大陸都會毀滅!說!你到底做了什麼可怕之事!!」
女神を怒らせたとなると、お前の命どころか、下手をすればこの国が、いや、この大陸全てが滅ぶかも知れないのだぞ! 言え! いったい何をしでかした!!」
「咦……」
「え……」
原本應是確保野望成就的最後談判場合,竟然遭到寄親的痛斥,出乎意料。
自分の野望が達成できる、最後の詰めとなるはずの話し合いの場での、まさかの寄親からの糾弾。
阿拉貢的臉扭曲,滿是驚愕。
アラゴンの顔が、驚愕に歪んだ。
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