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88 使者大人再臨 7
「請讓開!那是應由王宮管理的東西!」
「そこを退(ど)いて戴こう! それは、王宮で管理すべきものである!」
「你在說什麼!女神大人的奇蹟像理所當然應該由我們神殿守護!王宮諸位請讓開!」
「何を言っておられるのか! 女神様の奇跡の像は、我らが神殿でお守りするのが当然! 王宮の方々には退(ひ)いて戴きますぞ!」
「你們兩方都不行!這兩尊奇蹟的女神像,是御使者親自指定我們為守護者的。其恩惠必須無償且平等地賜予所有人,王宮或神殿擅自帶走、藏匿並用於政治交易或牟利,絕不可允許!」
「両方共、そうはいかんぞ! このふたつの奇跡の女神像は、御使い様が直々に我らを守護者に命じられたもの。そしてその恩恵は、全ての人々に等しく無償で与えられねばならん。王宮や神殿が勝手に持ち去り、その奥に隠匿して政治的な駆け引きや金儲けに利用することなど許されん!」
就在王都中央廣場,女神像前對峙的三隊男人。
そう、王都の中央広場、女神像の前で対峙(たいじ)する、3組の男達。
有來自王宮的文官與近衛護衛、來自神殿的神官,以及被卡奧魯委託照看這座迷你女神像直到任務結束的男人們。無一人有後退之意。
王宮から来た文官達と、その護衛の近衛兵。神殿から来た神官達。そしてカオルがこのミニ女神像が役目を終えるまでの世話役を頼んだ男達。いずれも、一歩も退くつもりはなさそうであった。
這很正常。王宮與神殿若在此退讓,就會失去自身立場。不,若只有立場消失就好了,恐怕後果遠不止於此。
当たり前である。王宮側も神殿側も、ここで譲ったら、自分達の立場がなくなってしまう。いや、なくなるのが立場だけで済めば幸せであろう。
那些被卡奧魯託付掌管現場的男人們,也絕不打算放棄御使者交付的使命。
カオルに現場の仕切りを頼まれた男達も、御使い様から与えられた使命を放棄するつもりなど、欠片もない。
在眾多王都民的注視下,局勢一度僵持不下,終於不耐煩的王宮一方動手觸及其中一座迷你女神像,顯然打算強行帶走。神殿那邊見狀也急忙抓住另一尊。被託付照看的男人們終究無法以武力阻止王宮與神官,只能對著他們大聲咒罵。
多くの王都民達が見守る中、しばらく険悪な状態が続いていたが、遂に痺れを切らした王宮勢がミニ女神像のひとつに手を掛けた。強制的に持ち去るつもりのようである。それを見た神殿側も、慌ててもうひとつの女神像に手を掛けた。世話役を頼まれた男達も、さすがに王宮の者達や神官達を力尽くで阻止するわけにもいかず、罵声を浴びせることしかできない。
就在王宮近衛試圖輕輕抬起那座不斷吐藥的迷你女神像之際。
そして、王宮側の近衛兵達が薬を出し続けているミニ女神像をそっと持ち上げようとした瞬間。
啪嚓。
ぱりん
迷你女神像粉碎了,碎成粉末般的碎片。
ミニ女神像が砕けた。粉々に。
「「「「「啊……」」」」」
「「「「「あ……」」」」」
王宮勢愣在那裡,呆呆盯著那些變成細片落在地上的『曾經是迷你女神像的東西』。
細片となって地面に落ちた『ミニ女神像だったもの』を、呆然と見つめる王宮勢。
「看吧!女神大人絕不允許奇蹟之物落入不潔之人之手。奇蹟的管理,應由我們這些侍奉女神的神殿之人來……」
「それ見たことか! 女神様は、奇跡の品が不浄の者共の手に落ちることをお許しにはならぬのだ。奇跡の管理は、我ら、女神に仕える神殿の者達により……」
正當神官的上位者這麼說時,他們試圖抬起的那尊迷你女神像也粉碎了,碎成粉末般的碎片……。
神官達の上位者がそう言った瞬間、神官達が持ち上げようとしていたミニ女神像が砕けた。粉々に……。
那絕非因為拿法不當而壞了那種情形。明顯是無法想像的崩壞方式,正可稱之為『粉碎』。連原本形狀的痕跡都不復存在,這字面上的『粉碎』足以顯示女神的憤怒。
それは、『持ち方が悪くて壊れた』というようなものではなかった。明らかに、あり得ないような壊れ方。まさに『粉砕』という言葉がふさわしいものであった。元の形状を思わせる部分など全く残されていない、文字通りの『粉砕』。女神のお怒りを示すには充分であった。
「「「「「「「………………」」」」」」」
「「「「「「「………………」」」」」」」
中央廣場一片寂靜。
中央広場中が、静寂に包まれた。
並且有如匕首般刺向王宮與神殿的,是眾人無聲中充滿憤怒、厭惡與蔑視的視線。
そして王宮勢と神殿勢に突き刺さる、無言の人々からの怒りと嫌悪と侮蔑に満ちた、刺すような視線。
那是透過御使者由女神大人賜予的奇蹟女神像,以及那女神像所承載、救了王都百姓的無限藥壺。如今卻因為想無視女神旨意私自據為己有的卑劣王宮之人,以及腐敗的神殿神官們,兩者都被奪去了。永遠地消失了。
せっかく女神様から御使い様を介して賜った、奇跡の女神像。そしてその女神像が担いだ、王都民を救った無限の薬壺。それが、女神様の御意志を無視してそれらを我が物にしようとした下劣な王宮の者達、そして神殿の腐れ神官共のせいで、ふたつとも失われた。永遠に。
王宮關係者與神官們在群眾投射而來的目光下,流著汗僵在原地。
民衆達から注がれる視線に、汗を流しながら固まる王宮関係者と神官達。
「御使者曾叮囑我們『請幫忙照看這座迷你女神像直到它完成使命』。但現在,女神像因為將被心靈污穢的人奪去,便被女神抹去了存在,也就是說,它的使命已經結束了。」
「御使い様は、我らに『このミニ女神像が役目を終えるまでの世話役をお願いします』とおっしゃられた。そして今、女神像は心の穢れた者共に奪われようとしたため、その存在をお消しになられた。つまり、お役目を終えられた、ということだ。
因此,我等的任務亦就此結束。雖只有短短兩個晝夜,能服從御使者的命令實在榮幸。剩下的責任,就由你們去承擔吧。
なので、我らの任務もまた、たった今、終了した。僅か2昼夜のことではあったが、御使い様の命に従うことができて、光栄であった。後は貴様達で責任を取るがいい。
「那麼,各位協力者,請把此次視為畢生的驕傲,代代相傳吧。解散!」
では、協力してくれた者共よ、此度(こたび)のことを一生の誇りとして、子々孫々語り継ごうぞ。解散!」
看來,那位負責指揮受託照料者的人,原來是有身份的人。或許是偽裝成平民在街上閒逛的貴族之類,他以非平民的口吻做了宣告後,便迅速消失在人群中,接著其他協力者也紛紛跟著散去。
どうやら、世話役を任された者達を仕切っていたのは、身分のある者だったようである。たまたま平民の恰好をして街をぶらついていた貴族か何かだったのか、平民らしからぬ物言いでそう宣告すると、さっさと群衆の中へと姿を消した。そして、次々とそれに続く、協力者達。
當王宮一方與神官們回過神來時,發現將他們包圍的只剩下群眾,而非同僚。
王宮勢と神官達が気付いたときには、群衆達に取り囲まれているのは、自分達だけとなっていた。
......得趕緊逃。
……逃げ出さねば。
即便想逃,也不可能空手回去就能了事。無奈之下,他們試圖把那些迷你女神像的碎片當作『聖遺物』收拾帶走,但那恐怕不會以聖遺物形式對外公開。
そう思いはしても、手ぶらで戻って、ただで済むとも思えない。仕方なく、『聖遺物』としてミニ女神像の細片をかき集めて持ち帰ろうとしているが、それが聖遺物として一般公開されることは、おそらくないであろう。
畢竟,要解釋為何那些東西被粉碎到毫無原形,就得坦承他們所犯下的愚行,以及他們的行為被女神所拒絕。
何しろ、なぜそれが原形を全く留めない程に粉砕された状態なのかを説明するためには、自分達がしでかした愚行と、自分達の行為が女神様に拒絶されたということを白状しなければならないのだから。
若打算把所有罪責推到我們這些執行部隊頭上,那些為了功績而下令強行回收的上頭也絕對一起拖下水。
実働部隊である自分達に全てをひっ被(かぶ)せるつもりなら、手柄目当てで強引な回収を命じた上の者達も絶対巻き込んでやる。
那些一邊收集碎片、臉上快要哭出來的人們,全都這麼想。無論王宮還是神殿,都是如此。
泣きそうな顔で細片を回収している者達は、皆、そう考えていた。王宮側も、神殿側も、皆……。
此時,王宮與神殿已從昨日的傳令兵那得知東面村落的事件,正匆忙籌備盛大的慶祝會。
その頃、昨日伝令の兵士から東の村での出来事を知らされた王宮と神殿では、大急ぎで大祝賀会の準備が進められていた。
御使者到訪與奇蹟顯現,加之御使者又居住在此王都,政商與宗教界的人豈能不雀躍沸騰。
御使い様の御訪問、そして奇跡の顕現。更に、その御使い様はここ、王都に居住なされている。これで舞い上がらない王侯貴族や宗教関係者がいるわけがなかった。
御使者曾將王都從疫病中拯救,現在又親自前往疑為疫源的村落救援,任務完成後必將返回王都。迎接的使者應該已抵達村中,或正在行致謝詞,若早些也可能已啟程返回王都。待御使者返抵王都時,必須隆重迎接並表達感謝,然後——拉近關係、套交情。
王都を疫病から救い、今また、疫病の発生源と思われる村を救うために現地へと向かわれた御使い様。お勤めを果たされた後は、王都へ戻られる。既に迎えの使者達はとっくに村に着いている頃であり、今頃は挨拶の口上を述べているか、早ければ既に村を出発、王都へと向かわれているかも知れなかった。御使い様が王都に到着された時には、盛大にお迎えし、感謝の意を示し、そしてそして、……懇意にして戴かねば。
那些政商與宗教界的要人,各自都在憧憬一片玫瑰色的未來。
それぞれの薔薇色の未来を夢見る、政財界、そして宗教界の有力者達であった。
在全國國民之中,知道御使者不打算再回王都的人,只有兩位:被御使者稱作『中佐さん』的貴族家第三子,以及被告知租約終止的房東店主。而被稱為『中佐さん』者尚未返回王都,那個當時去中央廣場遲到的房東,仍不知要解除租約、離開王都的少女與御使者是同一人。
この国の国民で、御使い様がもう王都に戻る気がないということを知っているのは、その御使い様から『中佐さん』と呼ばれている貴族家の3男と、賃貸契約終了を告げられた不動産屋の店主の、ふたりだけであった。そして『中佐さん』は未だ王都に戻らず、あの時に中央広場に行くのが遅かった不動産屋は、賃貸契約を解除して王都を出ていく少女と御使い様が同一人物であることを、まだ知らなかった。
* *
* *
「迷你女神像還完好嗎……」
「ミニ女神像は、まだ健在かなぁ……」
那個女神形的藥水生成器會在五天後自動分解。
あの女神形ポーション生成器は、5日経つと自動的に分解するようになっている。
不可能讓一尊能半永久地不斷產出藥水的女神像存在。即便效果僅限於疫病,也會有人大聲宣稱『我國受到女神庇佑!』,重蹈那滅亡宗教國家的覆轍絕不可取。
半永久的にポーションを出し続ける女神像なんか、置いておけるわけがない。いくら効果が流行病に限定してあっても、『我が国は女神の加護を受けし国である!』なんて言い出す者が現れたりして、あの滅びた宗教国家の二の舞にはしたくない。
再說不談藥效,單是『能無限提供飲水的裝置』在軍事上就極具價值。若被宣稱成『有女神庇佑的水,我軍有女神相助!』恐怕會催生宗教狂熱者,所以我事先設計成會粉碎,避免日後被利用或保留原形。
それに、薬効は別にしても、「無限に飲み水が出てくるアイテム」というだけでも、軍事的には価値があるかも知れない。それも、「女神の加護のある水である。我が軍には女神が味方されているのだ!」とかいって、宗教的に狂信者を生み出されても困る。だから、後々利用されないように、原形を留めないように粉々に分解するよう仕込んでおいたのだ。
並且即便未滿五天,只要有人試圖搬動雕像,它就會在那一刻自毀。若有人嘗試移動一座時它不自然地碎裂,其他人就不會再去碰另一座了。
そして、5日経たなくても、誰かが像を動かそうとしたら、その時点で自壊するようになっている。ひとつを動かそうとして不自然に壊れたら、もうひとつに手を出そうとはしないだろう。
那種顯眼的地點,又不會有人讓周遭沒人監看,普通小偷根本不可能下手;若要在眾目睽睽之下公然動手,也只有王宮或神殿的人會做得出來。
あんな目立つ場所にあり、周囲に誰もいなくなるとは思えない状況で、ただの泥棒が手を出せるはずがない。衆人環視の中で堂々と手出しするなら、王宮か神殿の者しかいないだろうからね。
因此,至少會有一座會留到五天的時限結束為止。
なので、少なくともひとつは、5日間のタイムリミットいっぱいまで残るはずだ。
不過這還是未把瑟蕾絲的幫助算進去時的想法,既然瑟蕾絲已將病原體完全處理完畢,現在那東西其實已不再必要,所以兩座都壞掉也沒問題。若不是到期而是有人企圖帶走時弄壞,那些人可能會陷入大麻煩,但那與我無關,自作自受。
ま、それもセレスの助けとかを考えていなかった時点での話だから、セレスが病原体を全て何とかしてくれることとなった今、アレはもう必要ないんだけどね。だから、両方壊れても問題ない。もしタイムリミットではなく、誰かが持ち去ろうとして壊したならば、その人達はかなりマズい立場になるかも知れないけれど、それは私には関係ない。自業自得だ。
「卡奧魯醬,快要與南北向的街道相交了喔」
「カオルちゃん、間もなく南北方向への街道と交差しますよ」
弗朗塞特轉向我們,這麼告知。
フランセットが、こちらを向いてそう教えてくれた。
果然,與其從馬車的擋風玻璃後方眺望,不如在高處馬背上直接觀看來得更先看見……換句話說,想想看,弗朗塞特的視力是用了強化藥劑。大概是一般人尚無法在那距離辨識,當然不論障礙物、地形或地球的曲率等因素。
やはり、馬車の風防越しに前方を見る私達よりも、視点が高い馬上で直接見る方が早く視認できるようだ。……というか、考えてみれば、フランセットの視力はドーピングで強化されているんだった。多分、常人ではまだ視認できる距離ではないのだろう。障害物や地形、大地が丸いということ等は別にしても。
總之,先往南方走,沿海邊沿著大陸邊緣旅行,一邊享受各種魚料理。
とにかく、とりあえずは、南だ。海沿いで、魚料理を満喫しながら大陸の外縁部を旅する。
尋覓安居之地與可供繁衍的伴侶。
安住の地と、繁殖のための伴侶を求めて。
弗朗塞特和羅蘭倒無所謂,但絕不能讓艾米爾與貝爾搶先一步。這是為了我長瀬一族繁衍的旅程,絕不是為了你們的擴張之旅!
フランセットとロランドはともかく、エミールとベルに先を越されることだけは、何としても避けたい。これは私、長瀬一族の増殖のための旅であって、決してキミタチの増殖のための旅じゃないんだからね!
還有,羅蘭與弗朗塞特的馬!
そして、ロランドとフランセットの馬!
你們這兩個,可別盯上艾德夫妻的女兒吧?
てめーら、エド夫婦の娘を狙っていたりはしないだろうな?
真是一個比一個……真是的。
どいつもこいつも、本当にもう……。