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ポーション頼みで生き延びます!

15 雌伏

幾日後,香被正式錄用,工房也向斡旋所支付了介紹費。

あれから数日後、香は正式採用となり、工房からは斡旋所に紹介料が支払われた。

香做料理相當拿手,會恰好抓住大家工作告一段落的時機,或是設想讓分散來的人也容易應付,準備可以預先做的菜,做能在研究室思索時邊吃的飯糰、三明治等簡便食物,努力用巧思省力──嗯,靠巧思而非偷懶。空出來的時間就趁機到處走走或去圖書館,過得充實。圖書館的使用費依然很高。

香は料理にはかなり手際が良く、みんなの作業がひと区切りつく頃をうまく見計らったり、ばらばらに来られても対応しやすいよう工夫したり、作り置きしておけるものを用意したり、研究室で考え事をしながら食べられるおにぎり、サンドウィッチを始めとする簡易食を作ったりと、手抜き、げふんげふん、工夫による省力化に努めた。そしてできた空き時間に、街を出歩いたり図書館に通ったり、と有意義に時間を使っていた。図書館の利用料は相変わらず高かった。

而且她以『用茶與果實汁及其他各種東西混合而成』來解釋並使用的『香的特製消臭藥』,讓房間的惡臭也戲劇性地改善了。

また、『お茶と果実の汁、その他色々を混ぜて作った』と説明して使用した『カオル特製消臭薬』のおかげで、部屋の悪臭も劇的なまでに改善された。

就這樣,香在工房內建立了堅固的立足點。

こうして香は、工房内に確固たる立場を確立していったのである。

「咦,阿希爾先生,你在做什麼?」

「あれ、アシルさん、何造ってるんですか?」

香看到工房成員阿希爾難得不是做研究用品而在做賺錢用的東西,便搭話問道。

工房員のアシルが、珍しく研究用ではなく資金稼ぎ用の品を造っているのを見て、香は声をかけた。

「啊,是酒用水筒。裝烈酒用的酒壺吧。要輕便又堅固,且不會把味道滲進酒裡,做得好的可以賣給貴族之類的人,價錢不錯。」

「ああ、スキットルだよ。酒精の強い酒を入れる、酒用の水筒、ってとこかな。軽くて丈夫、酒に味が移らない、って条件があるんで、出来のいいのは貴族とかに割といい値で売れるんだよ。

「當然,像銀製且有華美裝飾的那種又是另一個等級,不過日常使用這種就足夠了。」

まぁ、銀製で綺麗な装飾がされたようなやつはまたレベルが違うんだけどね。普段使いにはこれくらいで充分さ」

竟然,與其他工房成員不同,這個阿希爾是貴族出身。

なんと、他の工房員とは違い、このアシルは貴族であった。

不過他是子爵家的第三子。因為有當承繼者的長子和作為萬一之備的次子,阿希爾繼承家業的可能性非常低。於是,現任家主也是他的父親,因為阿希爾喜愛研究並不那般符合貴族形象,便放任他自由發展。

とは言え、子爵家の三男である。跡取りの長男と、長男に万一のことがあった場合の予備である次男がいるので、アシルが家を継ぐ可能性はとても低い。そのため、現当主であるアシルの父親は、研究好きという貴族らしからぬアシルを自由にさせてくれていた。

並非完全不管或拋棄他,而是把將來交由阿希爾自由決定。兄弟和家人之間似乎相處融洽。

決して、放置とか見放したとかではない。将来をアシルの自由意思に任せてくれたのである。兄弟仲、家族仲は良好であるらしい。

容器啊……。

容器、か…。

差不多,可以稍微行動一下了吧。

そろそろ、少し動いてもいいかな。

「欸……啊對了,其實有個認識的人在做玻璃容器。她是興趣做的,平常沒拿出來賣,不過最近好像想試著賣看看……能不能讓我在工房的商品架上放幾個試賣?」

「へえ…。あ、そうだ、実は知り合いがガラス容器を造ってるんですよ。趣味で造ってるんで、売ったりはしていなかったんですけど、売ってみたいらしくて…。工房の商品棚にちょっと置かせて貰えませんかねぇ?」

商品架是為了讓訂購客參考、或展示工房技術力而陳列成品的架子,上面會標價,也算是商品。由於這工房以訂製為主,架上有足夠的空間。

商品棚は、注文客の参考になるよう、また工房の技術力を示すために製品を展示している棚であり、一応値札をつけており売り物でもある。この工房は注文製作が主であるため、棚には充分なスペースが空いていた。

「嗯~,大概沒問題,但這得向巴爾多先生請示許可才行。」

「う~ん、多分大丈夫だと思うけど、それはバルドーさんに許可を取らないとね」

「好,知道了。我去拜託看看。」

「はい、分かりました。お願いしてみますね」

然後,許可很容易就下來了。

そして、許可は簡単に下りた。

這工房多半會答應一個勤快、做菜好吃、而且肯留下來的少女的請求。

よく働き料理が美味く、そしてなにより居着いてくれた少女の頼みであれば、この工房では大抵のことは聞き届けられるのであった。

「什、什麼……」

「なっ………」

看到那個玻璃容器,巴爾多與另外五名研究者都說不出話來。

そのガラス容器を見て、バルドー以下5人の研究者は言葉を失った。

「真是太美了……」

「何と美しい……」

「設計和製作技術當然是好,但這玻璃的透明度、光澤……這到底是什麼東西?」

「デザインや作成技術も勿論だけど、このガラスの透明度、輝き…。何なんだよ、これ」

香帶來的『朋友興趣製作的容器』對工房的人而言是件驚艷的物品。

香が持ち込んだ『友人が趣味で造った容器』は、工房の者にとって驚きの品であった。

那個由閃耀的水晶玻璃所製成的香水瓶,由不對稱而別緻的瓶身與一個大的瓶蓋組成。

輝くクリスタルガラスで造られたその香水瓶は、非対称の洒落たデザインの本体と、大きなフタの部分とで構成されていた。

那個瓶蓋呈現帶翼女神的造型,存在感強到讓人分不清到底是瓶身還是瓶蓋是主角。嗯,確實應該是瓶蓋比較搶眼。

そのフタは、翼をつけた女神の形をしており、瓶本体とどちらがメインか判らないほどの存在感を持っていた。いや、確実にフタがメインであろう。

水晶玻璃。是向玻璃原料加入氧化鉛等物質而成,擁有遠超一般玻璃的透明度與光澤。

クリスタルガラス。ガラス原料に酸化鉛等を加えたもので、普通のガラスとは比較にならない透明度と輝きを有する。

把非晶體的玻璃冠以結晶體的水晶、クリスタル之名是種冒犯,但姑且當作只是商品名不予計較。總之,它比一般玻璃貴得多,在這裡尚未普及實用化。

非結晶体であるガラスに結晶体である水晶、クリスタルの名を付けるという暴挙であるが、これはまぁ、ただの商品名、という感じでスルーしよう。とにかく、ガラスよりずっと高価であり、ここではまだ実用化されていなかった。

本來因為切割比拉伸更能發揮光澤,水晶玻璃通常不會做過於細緻的雕琢。然而這個卻施作了非常精細的工藝,不是拉伸,而是在細小處處大量使用切割。

本来、延ばすよりカットした方がその輝きを活かせるため、クリスタルガラスはあまり細かい細工にはしない場合がある。しかしこれは、非常に細密な細工がなされていた。延ばすのではなく、細かい部分まで全てカットを多用して。

「香……不知道能不能見到做這個的人……」

「か、カオルちゃん…。これ造った人、会えないかな……」

「啊,製作者是個女性,家裡很嚴格……她好像都是在幫忙家業的間隙,偷偷藏著做,而且她不喜歡男性……」

「あ、製作者の女性、家が厳しくて…。家業の手伝いの合間に、親に隠れて片手間でこっそり造ってるらしくて。それに、男性が苦手な人で……」

「間隙、間隙就做......這就是她在家業空檔、順帶一做的東西……」

「か、片手間。これが、家業の合間の、片手間……」

啊,跟見不到比起來,聽到那個反而讓人受了打擊……。

あ、会えないことより、そっちでダメージはいったか……。

「那個,她可以按照規格接訂製單的。」

「あの、仕様を伝えて注文生産受けて貰えますから」

啊,復活了。

あ、復活した。

最後還是取消了在商品架上陳列的安排。

結局、商品棚への陳列は取り止められた。

因為擔心會引起騷動,也不希望外界以為工房有那麼高的技術,所以改以貴族的人脈帶去推銷,也就是直接去找可能會買的貴族推銷。

騒ぎになるのが目に見えていたし、工房にそれだけの技術があると思われても困るからである。そのため、その容器は貴族のツテで持ち込み販売、つまり買ってくれそうな貴族に直接声を掛けて売り込むこととなった。

……結果以三枚金幣售出。向工房支付了小金貨六枚作為手續費。相當於工房約一個月的伙食費。煮食用的柴火費另計。

……そして、金貨3枚で売れた。工房には手数料として小金貨6枚を支払った。工房の食費、約1カ月分である。調理に使う薪代は別で。

『能夠製出如所想般有預期效果的藥品,且那藥品會出現在當時心中所想的容器內』

『考えた通りの効果のある薬品を出す能力、その薬品はその時に考えた通りの容器にはいって出てくる』

沒錯,香即使沒有販售藥水或知識外掛,也能賺到錢。

そう、香は、ポーション売りも知識チートもなくても、お金が稼げるのであった。

作為幫工的平靜日子就這樣過去。

お手伝いさんとしての平穏な日々が過ぎていった。

靠偶爾賣出的水晶玻璃容器,錢也夠用了。圖書館可以隨心所欲常去。物品箱裡備有充足的食物、替換衣物以備不時之需,還有刀、打火石、毛毯等。說不定吧,只要沒意外,她已不打算再逃走了。

時々売るクリスタルガラスの容器でお金も充分。図書館には好きなだけ通えるようになった。アイテムボックスには不測の事態に備えて充分な食料、着替え等を蓄え、その他にもナイフ、火打ち石、毛布等を入れてある。いや、何事も無ければ、もう逃げ出す予定は無いんだけど。

她已經獲得了普通國民應有的知識,接下來只要得到靠山、鞏固自己的立場即可。並非討厭現在的生活,但一輩子都當幫工也太無趣。既然重生時得到了奇特能力,就想活得更自由一些。

もう普通の国民並みの知識は得たし、あとは、後ろ盾を得て、自分の立場を固めるのみ。今の生活が嫌ってわけじゃないけど、ずっとお手伝いさんをやって一生を過ごすのもあれだしねぇ。せっかくチートを貰って転生したんだから、もっと自由に生きたい。

況且,她還得到了這個世界唯一女神的許可──可以對世界施加影響。從隱匿求安全轉為獲得自衛之力、積極防衛也不壞。藥水嘛,或許能稍微幫上某些人的忙。

それに、せっかく、世界に影響与えても構わないとのお墨付きを戴いたのだ、この世界の唯一神たる女神様に。身を潜めての安全策から、自衛の力を得ての積極防衛に出るのも悪くない。ポーションも、少しぐらいは誰かの役に立ててもいいだろうし。

嗯,不勉強自己,先等待時機吧……。

まぁ、無理はせずに、しばらく機会を待つか……。

某日,香在工房門口打掃時,一個流浪兒走過,地上掉了一團捲起來的紙屑。

ある日、香が工房の玄関先の掃除をしていると、ひとりの浮浪児が通り過ぎて行った。そのあとに落ちた、丸められた紙くず。

香順手撿起那紙屑,放進口袋。

香はその紙くずをひょいと拾うと、ポケットに入れた。

正在打掃的人撿起被丟棄的垃圾。

掃除をしている者が、捨てられたゴミを拾う。

看似非常理所當然的舉動,若用心觀察的人會覺得有些奇怪。

ごく当たり前のことのようであり、見る者が見ればおかしいと思う場面。

沒錯,一個流浪兒會拿到昂貴的紙張,然後把它當垃圾隨手丟棄,這兩件事都不可能。

そう、浮浪児が高価な紙を持っていることも、それをゴミとして簡単に捨てることも、あり得ない。

香在廚房從口袋掏出那張紙,攤開讀起上頭的字。

香は台所でポケットから出した紙くずを広げ、そこに書かれた文字を読んだ。

『貧民區一名有孩子的母親。認真誠實,為養育女兒拼命工作,卻遭貴族洩憤而被暴行,身受重傷』

『貧民区の、子持ちの母親。真面目で誠実、娘を育てるため身を粉にして働いていたが、貴族の憂さ晴らしで暴行を受け大怪我』

在一群流浪兒中,只有一個會寫字的孩子寫下的稚拙字跡。

浮浪児たちの中でただひとりの文字が書ける子が書いた、拙い字。

香獲得了今晚的任務。

香に、今夜の予定がはいった。

收拾完工房的晚餐並把宵夜放進櫃子後,香換上便於行動的衣服,悄悄離開工房。大家都專注於工作和研究,沒有人會注意到;即便被發現,也只會被喚幾句『小孩子夜遊』之類的責備。

工房の夕食の片付けが終わり、夜食を作って戸棚に入れた香は、動きやすい服に着替えると、そっと工房から出て行った。みんなは仕事や研究に熱中しており、誰にも気付かれない。たとえ気付かれたとしても、子供の夜遊びは、と少々お小言があるくらいである。

走了一小段,前方出現一個流浪兒的身影。香保持足夠距離跟在後面。

少し歩くと、前方にひとりの浮浪児の姿が見えた。充分な距離を取りそのあとについて行く香。

不知何時,香的身後也有幾名流浪兒,他們保持距離,一邊警戒四周一邊跟隨。

いつの間にか、香の後方にも数名の浮浪児の姿があった。距離を取ったまま、周りを警戒しつつ香のあとに続く。

他們繼續前行,來到貧民區一間破舊小屋前,前方那名男孩停下來做了某個像是暗號的手勢,然後藏起身形。

そのまま歩き続け、貧民区にあるみすぼらしい小屋の前に着くと、前方の浮浪児の少年は立ち止まって何やら合図のような身振りをしたあと、姿を隠した。

(這裡嗎……)

(ここか…)

香已不知何時換了髮色和眼色,戴著面具、披著斗篷,走進了那間小屋。

いつの間にか髪と眼の色を変え、顔を仮面で隠し、身体をマントに包んだ香はその小屋へと入り込んだ。

「……誰?」

「…誰?」

對這個未經允許闖入家中的戴面具的可疑……確實是極為可疑的人物,年幼的女孩以最大警戒喝問。她心想必須守護受傷臥床的母親!哪怕以生命代價也在所不惜!

無断で家に入り込んだ仮面の怪しい…、そう、これ以上ないほどに怪しい人物に対し、幼い少女は最大限の警戒をして誰何した。怪我をして寝込んでいる母親を、自分が守らなくては! 命に代えても!

「我是來送東西的。」

「お使いだよ」

「……送東西?誰的?」

「……お使い? 誰の?」

女孩沒有放鬆警戒,反問道。

少女は警戒心を緩めずに問い返した。

「嗯,是瑟蕾絲的。」

「うん、セレスの」

「瑟蕾絲?那是誰?」

「セレス? 誰?」

「啊,說是瑟蕾絲蒂娜,你會知道嗎?」

「ああ、セレスティーヌ、って言えば分かるかな?」

「!!!』

「!!!」

在這個世界上,沒有人會以女神的名字來取孩童名字,視為不敬。

この世界に、女神と同じ名を子供につける不敬者は存在しない。

再者,也沒人會用女神的名義行惡。

また、女神の名を使って悪事を働く者もいない。

在這個世界裡,女神不是想像中的存在,直到數十年前仍會偶爾顯現,救助人們、頒布神諭,是真實存在的神。

この世界において、女神とは想像上のものではなく、数十年前までは時々姿を現して、人々を救い、神託を授けてくれた『実在する神』なのであるから。

「我想給我媽媽吃藥,可以嗎?」

「お母さんにお薬を飲ませたいんだけど、いいかな?」

「好!」

「うんっ!」

「辦好了。謝謝你帶路。」

「終わったよ。案内、御苦労さま」

「那我就和大家一起護送回工房。」

「じゃあ、皆と工房まで護衛するよ」

「好,麻煩你們了。」

「うん、よろしく」

香在保持距離、裝作無關的幾名流浪兒護送下踏上回工房的路。

距離を取り無関係を装った数名の浮浪児達に守られて、香は工房への帰路についた。