最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い~帝位に興味ないですが、死ぬのは嫌なので弟を皇帝にしようと思います~
第一百八十話 特勞兄上
「事情就是這樣」
「というわけです」
我走到特勞兄上那裡,說明了事情。
トラウ兄さんの下へ行き、俺は事情を説明する。
我原本預期他會憤怒衝去向父上質問,但特勞兄上卻相當冷靜。
激怒して父上のところに乗り込むところくらいまでは想定していたのだが、トラウ兄さんはいたって冷静だ。
即便話題是關於藩國,他仍不看我,照常坐在書桌前。
話が藩国の事でも俺のほうを見ず、いつもどおり机に向かっている。
「嗯……實在想不出什麼出色的文詞呢」
「うーむ、なかなか秀逸な文が思いつかないでありますよ」
「特勞兄上……有在聽我說嗎?」
「トラウ兄さん……話聞いてました?」
「我有在聽,只是不懂你為什麼會來問我而已」
「聞いていたでありますよ。ただ自分に聞いてくる理由がわからなかっただけで」
「……你不會生氣嗎?」
「……怒らないんですか?」
我帶著疑問反問道。
不思議に思って聞き返す。
總覺得從特勞兄上身上看不出憤怒。
どうもトラウ兄さんからは怒りの感情が見えなかったからだ。
的確,特勞兄上點了點頭。
実際、トラウ兄さんは頷いた。
「該生氣的時期早已過去。就是這麼一回事」
「怒るような時期はもう過ぎた。そういうことでありますよ」
「你是說不會執著於過去嗎?」
「過去には拘らないと?」
「我會在意的」
「拘りますぞ」
到底是哪一個……
どっちだ……。
果然特勞兄上是個怪人,我無法理解他在想什麼。
やっぱりトラウ兄さんは変人だ。何を考えているのか理解できん。
我正這麼想時,特勞兄上轉過身面向我。
そんな風に思っているとトラウ兄さんが俺のほうに向き直る。
「阿爾諾特,你認為藩國殺了我兄長維爾海爾姆嗎?」
「アルノルト。君は藩国が我が兄、ヴィルヘルムを殺したと考えているかな?」
「……我認為那是其中一個原因」
「……要因の一つだとは思っています」
「我同意。但他們大概只是被利用而已。前往北部視察的長兄身邊只有極少的側近。在防守最薄弱之時發生了戰鬥,長兄被流箭奪去了性命……那個維爾海爾姆會被一支亂箭殺死?除非他狀況非常糟糕,或被下了藥,否則根本不可能。」
「同意でありますよ。しかし彼らは利用された程度でしょう。北部の視察に向かった長兄の傍には限られた側近しかいなかった。最も守備の薄いときに戦いが起き、長兄は流れ矢によって命を落とした……あのヴィルヘルムが流れ矢程度でやられると? よほど調子が悪かったか……薬でも盛られなければありえない話でしょう」
他雖然愛開玩笑,但並非愚笨。
ふざけているだけで馬鹿ではない。
這就是我對特勞兄上的評價,然而我從未像今天這般真切感受到這點。
それがトラウ兄さんへの評価であるわけだが、今日ほどそれを実感したことはない。
直視著我的眼神甚至讓人感到一股威嚴。
真っすぐにこちらを見つめる瞳には凄みすら感じられる。
果然他是皇太子維爾海爾姆的弟弟。從小看著兄長背影長大,他的眼中應該映著許多事。
やはりこの人は皇太子ヴィルヘルムの弟だ。あの人の背中を子供のときから見て育ったこの人の目には多くのことが映っているんだろう。
「說是暗殺?我們調查了那麼徹底,根本找不到類似的跡象啊?」
「暗殺だったと? あれほど捜査したのにそれらしき形跡は見つかりませんでしたよ?」
「不會犯那種會被發現的愚蠢錯誤。他們是那種會嘗試暗殺皇太子且能成功的人。而且他們應該完全掌握我們的調查方式。」
「見つかるようなヘマはしないでしょう。皇太子の暗殺を試みて、成功させるような者です。こちらの捜査方法もしっかり把握しているはずでしょうからな」
「……你是說,殺害長兄的,不僅是某個外人,而是個熟悉帝國的人嗎?」
「……長兄を殺したのは長兄はもちろん、帝国をよく知る人物と言いたいんですか?」
「毫無疑問他們有牽連。但要找出那個人,並非我的職責。」
「関わっていることは間違いないでしょうな。しかし、それを見つけるのは自分の仕事ではないでありますよ」
說完,特勞兄上朝窗外望去。
そう言ってトラウ兄さんは窓から外を見る。
窗外映入眼簾的是熱鬧的城下町景象。
そこから見えるのは活気ある城下町の様子だ。
「皇族是為了支撐並繁榮帝國而存在。長兄正是懷抱這樣的理念生活。如果因此帝國能繁榮,那麼從結果而言,長兄的死也不能說是徒然。」
「皇族は帝国を支え、繁栄させるためにある。長兄はそういう考えの下に生きてきた。ならば結果的に帝国が繁栄したならば、長兄の死も無駄ではなかったと言えるでありますよ」
「……這樣就好嗎?」
「……それでいいんですか?」
「……作為弟弟,失去兄長無疑很痛苦。我曾深信他會成為一位良好的皇帝。但……我們父上失去愛子的痛苦更加難以承受。如果父上為了帝國之福要招待藩國,接受這個邀請也是盡孝之舉。」
「……弟として兄を失ったのは辛いであります。良き皇帝になると信じて疑わなかった。けれど……息子を失ったわれらが父上のほうが辛いでしょう。その父上が帝国のために藩国を招くというなら受け入れるのも親孝行というもの」
「……我明白了。那麼藩國的接待官就由──」
「……わかりました。では藩国の接待役は」
我來負責。
俺が引き受けます。
正當我要這麼說時,特勞兄上用手打斷了我的話。
そう俺が言おうとしたとき、トラウ兄さんが手で俺の言葉を遮った。
接著。
そして。
「我來承擔吧。這才是最妥當的。」
「自分が引き受けるでありますよ。それが一番でしょう」
「你是認真的嗎!?」
「本気ですか!?」
「我是真心的,完全是認真的。如果對方想要結好,拒絕他們反而失禮。若不以最隆重的款待來迎接,便無法跨越過去。由與皇太子同母所生的我來擔任接待官,才是示誠意的方式。而且把討厭的事推給弟弟也不是件好事。」
「本気も本気、大真面目でありますよ。向こうが友好を結びたいというなら、はねのけるのは無礼にあたる。最上級の歓迎をしなければ過去は乗り越えられない。皇太子と同じ母から生まれた自分が接待役になるのが誠意を示す方法でしょう。それに嫌なことを弟に押し付けるのはあまり良いことではないでありますし」
「感覺有點被推著做這件事……而且對方那邊反而可能更難相處。」
「わりと押し付けられている気が……それに向こうはむしろやりにくいかと」
「我知道。但若是真心希望改善關係,那種程度就得克服。」
「承知の上でありますよ。しかし、関係改善を本気で望んでいるならそれくらいは乗り越えてもらわないと」
說完,特勞兄上晃動著他在皇族中最大的龐大身軀,從椅子上站起來。
そう言ってトラウ兄さんは皇族一の巨体を揺らしながら椅子から立ち上がる。
小時候我總覺得他像隻大熊,這印象並沒有錯。
子供の頃、大きな熊みたいだと思ったもんだが、その印象は間違っていない。
這人就是一頭熊。
この人は熊だ。
而且他眼底至今仍有股強烈的光芒。
なにせ今も目の奥には強い光が宿っている。
「如果所謂的關係改善是假的……我會讓他們付出代價。」
「もしも関係改善が嘘だと言うなら……自分が代価を払わせてみせるでありますよ」
「特勞兄上……」
「トラウ兄さん……」
「不過……如果來了個年幼可愛的女孩,我可能會動搖信念……」
「でも……ロリ可愛い子が来たら信念を曲げてしまうかもしれないであります……」
「那一點你真的不會動搖啊……」
「そこはブレないんですね……」
看著特勞兄上為這種無關緊要的事苦惱,我無奈地把房門打開。
どうでもいいことで苦悩して見せるトラウ兄さんに呆れつつ、俺は部屋の扉を開ける。
既然特勞兄上要擔任藩國的接待官,我得向父上報告。
トラウ兄さんが藩国の接待役を引き受けるというなら、それを父上に報告しなければいけない。
父上若得知特勞兄上願意擔任,自會放心交付。
父上としてもトラウ兄さんが引き受けてくれるなら任せるだろう。
別看他這樣,他除了對美少女沒抵抗力之外幾乎沒有弱點。
こう見えて美少女以外に弱点はないからな。
「阿爾諾特」
「アルノルト」
走出房間並排走在走廊上時,特勞兄上突然叫了我的名字。
部屋を出て廊下を並んで歩いているとトラウ兄さんが唐突に俺の名前を呼んだ。
我看向身旁的特勞兄上,他出奇地面色凝重。
隣のトラウ兄さんを見るといつになく真剣な顔をしていた。
「怎麼了?」
「なんでしょうか?」
「我會告訴雷奧納特要提高警戒。這場典禮恐怕不會平安結束。」
「レオナルトに警戒するように言っておくでありますよ。この式典は無事には終わらないはず」
「這是什麼意思?」
「どういう意味です?」
「前來帝國的,多半是宗主國的重要要人。若他國要有所動作,這時正是下手的良機。」
「帝国にやってくるのは親帝国の要人ばかりであります。他国が何かを仕掛けるならばこの時がねらい目でありましょう」
「會發動攻勢?攻入帝國嗎?」
「攻め込んでくると? 帝国に?」
「不能說完全沒有那個可能。也許正因為這個擔憂,莉澤羅特女史拒絕了父上的請求,駐守在國境。身處最前線的她大概察覺到什麼。」
「ないとは言えないということですよ。それを危惧してか、リーゼロッテ女史は父上の要請を拒絶して国境に張り付いている。最前線にいる彼女には何か感じるものがあるのでしょう」
「……我也會把這件事告訴雷奧。」
「……レオにも伝えておきます」
「……不過光是警惕外部就行嗎?唉,這種事也不是我能左右的。」
「……とはいえ外ばかり警戒していていいものか。まぁこればかりは自分にはどうしようもないことですが」
說完意味深長的話後,特勞兄上加快了步伐。
意味深な言葉をつぶやいたあとにトラウ兄さんは歩く足を速める。
我跟上他的步伐,問出了我一直想問的問題。
その歩く速さに合わせつつ、俺はずっと疑問だったことを聞いてみた。
「特勞兄上……為什麼不爭皇位?」
「トラウ兄さんは……どうして皇帝の座を狙わないんです?」
「……我兄維爾海爾姆是理想的皇太子。因此我只做自己喜歡做的事。但我卻無法給他任何幫助。無論怎麼悔恨也無法釋懷,那份無奈有多深啊。所以,曾有那麼一瞬間,我也想過要繼承皇位。」
「……我が兄ヴィルヘルムは理想の皇太子だった。だから自分は自分が好きなことをやっていたでありますよ。そして……なんの助けもしてあげられなかった。どれほど悔やんでも悔やみきれないでありますよ。どれほど無念だったことか。だから後を継ぐことも考えたことも……一瞬くらいはあったのでありますよ」
「只是一瞬間嗎……」
「一瞬ですか……」
「那念頭很快就消散了。我無法成為比維爾海爾姆更偉大的皇帝。既然維爾海爾姆喪命後帝位之爭已經開始,下一任皇帝必須超越維爾海爾姆,而我無法超越我的兄長。」
「すぐに立ち消えた思いであります。自分はヴィルヘルム以上の皇帝にはなれない。ヴィルヘルムが命を落として帝位争いが始まった以上、次の皇帝はヴィルヘルム以上でなければならない。自分は兄を超えられないであります」
他如此低聲自語後,在靠近王座殿的附近停下了腳步。
だからと呟き、トラウ兄さんは玉座の間の近くで足を止めた。
他深吸一口氣,一邊看著我,不,應該是看著站在我身後的人,然後說:
そして深呼吸をして俺のことを、いや俺の後ろにいる人物を見ながら告げた。
「我對阿爾諾特和雷奧納特抱有期待。若兩人合力,必能成為超越維爾海爾姆的皇帝。他們不同於另外三位。」
「アルノルトとレオナルトには期待しているでありますよ。二人でならきっとヴィルヘルム以上の皇帝になれるはず。ほかの三人とは違う」
「……這可以算是你要站在雷奧納特那一邊的宣言嗎?特勞戈特?」
「……それはレオナルトの側につくという宣言でいいか? トラウゴット」
我一轉頭,就看到艾利克站在那裡。
振り返るとそこにはエリクが立っていた。
特勞兄上和艾利克的視線交錯。
トラウ兄さんとエリクの視線が交差する。
「怎麼解讀就由你自行決定吧,艾利克。」
「受け取り方は任せるでありますよ。エリク」
「你在說我無法超越維爾海爾姆嗎?」
「私ではヴィルヘルムを超えられないとそう言うか?」
「過去也許不是,但現在我認為不行。曾與維爾海爾姆互相切磋的艾利克,理應會避免讓帝位之爭激化。但你也變了,艾利克。」
「以前なら違ったでしょうが、今は無理だと思っているでありますよ。ヴィルヘルムと切磋琢磨していたエリクならば帝位争いを激化させないように振る舞ったはず。他の二人のようにエリク、あなたも変わったでありますよ」
「如果我出手,帝位之爭只會更加混亂,這會導致帝國的弱化。你為何不明白?」
「私が動けば帝位争いはより混迷を極める。それは帝国の弱体化につながる。なぜそれがわからん?」
「我說的是這點改變了。既能不讓帝國弱化,又能避免家族間無謂流血,這種事你本應能做到。若你要超越我兄維爾海爾姆,你就擁有那樣的力量。」
「それが変わったと言っているでありますよ。帝国を弱体化させず、かつ家族で無駄な血を流さないようにする。それくらいはやってのけて当然のはず。我が兄ヴィルヘルムを超えるというなら。それだけの力があなたにはあった」
「不現實。我採取的方法才是能最大限度減少傷害的方式。」
「非現実的だな。私のやり方が一番被害を抑えるやり方だ」
「我並不是叫你死守理想。我只是說,不會認可那些連追求理想也不願的人。不追求更美好事物的人,沒有明天。」
「理想にしがみつけと言っているわけではないのですよ。ただ理想を追おうともしない者は認めないと言っているだけであります。よりよいものを求めない者には明日はない」
特勞兄上說完轉身離去,艾利克也同時回身離開。
トラウ兄さんはそういうと踵を返す。それと同時にエリクも踵を返した。
露出那寬闊的背影,特勞兄上繼續對我說。
大きな背中を見せながらトラウ兄さんはそのまま俺に告げる。
「阿爾諾特……一個人無法擊敗艾利克。因此要與雷奧納特合作。不要像我一樣把所有責任推給那些優秀的兄弟。」
「アルノルト……一人ではエリクには勝てないでありますよ。だからレオナルトと協力するのであります。自分のように優秀な兄弟にすべてを押し付けてはいけない」
「……是,我會銘記在心。」
「……はい。肝に銘じておきます」
「那我就先出發了。」
「では行ってくるでありますよ」
「欸?等、等一下!」
「え? ちょっ!」
他這麼一說便突然開始奔跑。
そう言ってトラウ兄さんはいきなり走り出した。
我正要叫住他,卻發現他已經用力把王座大廳的門推開了。
呼び止めようとしたが、その前にトラウ兄さんは玉座の間の扉を勢いよく開いてしまっていた。
「父上!關於藩國的接待官!就是這位特勞戈特!」
「父上! 藩国の接待役ですが! このトラウゴットが!」
「吵死了!!不要在會議中闖進來!!」
「やかましいわ!! 会議中に入ってくるでない!!」
「嗚哇啊啊!!??非常抱歉!!」
「ひぃぃぃぃ!!?? 申し訳ありません!!」
我心想早說過會這樣,一邊捂著頭半哭半泣地朝剛從王座廳逃出來的特勞兄上跑去。
言わんこっちゃないと思いつつ、俺は頭を押さえて半泣きで玉座の間から逃走してきたトラウ兄さんの下へ向かったのだった。