戦国小町苦労譚
千五百七十三年 十二月中旬
紮根於靜子府上的昌幸等真田眾,雖因環境不同而感到不安,但不到一個月便適應了尾張的生活。
静子の許に根を下ろした昌幸たち真田衆は、環境の違いもあって戸惑いはしたものの、一ヶ月と経たずに尾張の生活に適応していた。
出乎意料的好事是,依靠重視並肯定間者重要性的昌幸,武田家的間者紛紛出奔來投,陸續聚集過來。
嬉しい誤算として、間者の重要性を認めて評価してくれる昌幸を頼って、武田家の間者たちが続々と出奔して集まってきたという事があった。
「如今可以整個接收那位故去的信玄公傾心栽培起來的間者們。相對地,武田家失去費盡心力建立的情報網,連日常聯絡都已困難。我們如同濕手抓粟般奪走他們的手足,這不是很幸運嗎?」
「今は亡き信玄公が心血を注いで育て上げた間者たちを、そっくりそのまま貰えるのです。対して武田家は苦心して築いた情報網を失い、今や日々の連絡にも不自由しているとか。私たちは濡れ手で粟を掴むようにして、彼らの手足を奪えるのです。幸運だとは思いませんか?」
靜子的某位家臣向靜子警告,擔心昌幸那邊只增不減的間者會讓外來者大量滲入。
静子の家臣の一人が、昌幸の許に間者だけが増え続け、よそ者が大量に入り込むことを危惧し、静子に警告してきた。
靜子的回應就是如此。確實人數增加後管理會變難,雖然可能有武田家派來的間者,但那些也都被昌幸千方百計拉攏了。
それに対する静子の返答がこれだ。確かに数が増えれば管理が難しくなる。武田家から送り込まれた間者もいるだろうが、それすらも昌幸が手を尽くして取り込んでいた。
而且如靜子所指,當前的武田家情報網已失靈,已陷入除自領外毫無情勢可知的鎖國狀態。
そして静子の指摘通り、現在の武田家は情報網が機能しておらず、自領以外の情勢などさっぱり判らない鎖国状態に陥っていた。
擁有與敵國接壤領地的武田家家臣本試圖因缺外界資訊而留住間者,但天秤一旦傾斜便再難回復。
敵国に接する領地を持つ武田家家臣達は、外の情報を必要として間者を引き留めようとしたが、一度傾いた天秤が戻ることは無かった。
統括像『三ツ者』、『步行巫女』等諜報員的組織崩壞,面臨外界情報完全無法流入的危機,然而為了鞏固國內而疲於奔命的勝頼並不打算顧及這些。
『三ツ者』、『歩き巫女』と言った諜報員を統括する組織が崩壊し、外部の情報が全く入ってこないという危機に直面していたが、国内を纏め上げる事に必死の勝頼は、これらを顧(かえり)みようとはしなかった。
「人真不少呢。上次報告說大約200名,但看起來每天有人加入,實數應該更多吧」
「随分と人が増えたね。前の報告時点で200名ほどって話だけど、日々合流してきているみたいだし、実数はもっと多いんだね」
「因為也有信玄公直轄的集團,能掌握實情的恐怕只有信玄公一人吧」
「信玄公直轄の集団もありましたので、実態を把握していたのは信玄公のみだったかと」
昌幸將聚來的間者納入以自己為首的組織,並向靜子報告重新編整後的組織概況。
昌幸は集まってくる間者たちを、自分を頂点とした組織に取り込み、再編した組織の概要を静子に報告していた。
昌幸工作相當積極,在短時間內重建了指揮體系崩壞的組織,將其作為新的諜報網展開,逐步建立起各地資訊能陸續匯入的體制。
昌幸は精力的に働いていた。僅かな期間で指揮系統の崩壊した組織を再構築し、新たな諜報網として展開し、随時各地から情報が入ってくる体制を整えつつあった。
或許因為是倉促成形的組織,資訊密度有偏頗,但只要人員配置到位便能平均取得情報,並不被視為大問題。
急造の組織ゆえか、情報密度の偏りが存在するものの、人員が行き渡れば満遍なく情報を得られるため、さしたる問題とは考えられていなかった。
「沒必要強行改組指揮系統。大概只要在既有指揮系統之上設置真田殿為首,並插入監察人員即可吧?劇烈的組織改變會帶來混亂,維持現狀、按需調整便好」
「無理に指揮系統を組み替える必要はないね。従来の指揮系統の上に真田殿を据えるのと、監査要員を挟むぐらいかな? 急激な組織の改変は混乱を招きます。現状を維持しつつ、必要に応じて組み替えましょう」
「是」
「はっ」
「即便如此,能在短期間調查到這樣的程度實在不易。上樣也有嘉許之詞,期待你今後的作為呢」
「それにしても、短期間で良くここまで調べ上げたものです。上様からもお褒めの言葉を賜っています。これからの働きにも期待していますね」
「我將奮勉努力,盡力不負所望」
「ご期待に副(そ)えるよう奮励努力いたします」
對昌幸而言今正是關鍵時刻。過往的武功在織田家並無意義,但越努力越受評價,活動舞台也越來越廣。
昌幸にとって今が正念場であった。かつての武功など、織田家に於いては何ら意味をなさない。しかし、働けば働くほどに評価され、活躍の場は広がっていく。
他革新了間者組織,適時收集各地情報,將之彙整與精查後定期向信長報告;以打造此系統之功被視為武功。
間者組織を刷新し、各地の情報を適宜収集し、それらを集約・精査して信長へと定期的に報告する体制。このシステム作りを以て武功として賞された。
織田家若認為有用,其功績便不限於戰場,這一評價方針對於手下無兵力的昌幸而言極為可貴。
織田家にとって有用であるのなら、その功はいくさ場に限らないという評価方針は、手勢に兵力を持たぬ昌幸にとって非常にありがたかった。
出奔真田家時,能幹的將兵幾乎都留在本家,昌幸仍須維持『在家督之爭敗北被放逐』的體面。
真田家を出奔するに当たり、有能な将兵は殆ど本家に置いてきた。昌幸はあくまでも『家督争いに敗れて放逐された』という体(てい)でいなければならない。
儘管本家曾派追兵追捕自己,他仍對因自己而讓舊主蒙受無端懷疑感到愧疚。
自分に追手すら掛けた本家ではあるが、自分が原因で古巣にあらぬ疑惑を向けられる事に忸怩(じくじ)たる思いがあった。
「別太過操勞了」
「根を詰め過ぎないようにね」
靜子看著明顯過於緊繃的昌幸,苦笑著提醒他。
見るからに肩に力が入り過ぎている昌幸を見て、静子は苦笑しつつ忠告した。
冬深入十二月後,戰事的氣配遠去。雖然農閑期本是行動好時機,但有更迫切的理由使然。
冬も深まり十二月に入ると、いくさの気配は遠のいた。農閑期こそ仕掛けやすいのは道理だが、それどころではない差し迫った理由が存在した。
僅就織田家範圍內的情況來看,從京與近江等畿內穀倉地帶徵收的稅被統計後,發現大規模歉收。
織田家に関することだけを拾い上げても、京や近江と言った畿内の穀倉地帯からの税が集計され、大規模な不作が判明したからだ。
由於未做精確的檢地,無法計算平均收成,但百姓所言僅有往年約六成的收穫。
正確な検地が行われていないため、平均的な収穫量の計算は出来ないでいたが、百姓らの言に依ると例年の六割程度しか収穫出来ていないという。
在信長的統治地中,只有美濃與尾張糧食有餘,先前新納入麾下的畿內領地則根本談不上有任何餘裕。
信長の支配地に於いて、食料に余裕があるのは美濃と尾張のみであり、新たに傘下に収まった畿内の領地では、余裕など望むべくもない。
即便如常年產量,也僅能勉強維持生計,如今少了四成可謂非常事態。
例年並みであってすら、ぎりぎり食いつなげるという状態であったため、四割も足らぬとあっては非常事態と言えた。
若任其發展,百姓會餓死,若一向宗等人煽動,易引發一揆;一旦起事,連接堺、京與尾張的物流大動脈將停滯。
このまま放置すれば民は飢え、一向宗たちが扇動すれば容易に一揆に発展する。一揆が起これば堺と京、尾張を繋ぐ物流の大動脈が停滞することになる。
綜合考量後,信長放出了美濃與尾張的盈餘米,甚至把為新領地準備的備蓄米也撥出。
これらを考慮した結果、信長は美濃や尾張の余剰米や、新たな支配地用に積み立てていた備蓄米すら放出した。
多虧此策,畿內未發生騷動,但信長也已不再有足以用於戰事的閒裕。
この施策のお陰もあって、畿内での騒動は起きなかったが、信長にとってもいくさが出来る程の余裕は無くなった。
既無迫在眉睫的威脅,信長轉而下令強化對全域支配地的統治。
差し迫った脅威もないため、信長は支配地全域の統治強化に舵を切った。
因此受命管理各地的家臣們也開始致力於檢地與農業改革等富國政策的領地經營。
これにより各地の統治を任されている家臣達も、検地や農業改革といった富国政策を重視した領地経営に勤しむようになった。
「農業改革是好,但每有事都來找我實在讓人吃不消」
「農業改革は良いけど、何かある度に私を頼るのは勘弁して欲しいね」
靜子對於各地傳來的請求感到厭煩,諸如要派能指導農業的人手,或在極不合常理的短期內大量準備農機具等。
信長の支配地各所から、農業指導出来る人員を派遣して欲しいだの、非常識な程の短納期で農機具を大量に用意して欲しいだの、と言った要望が上がってくることに静子は辟易としていた。
她希望盡可能在當地創造產業以擴大內需,但要武將們耐心等候對急躁的人而言實在苛難。
なるべくなら現地で産業を起こして、内需を拡大する方針を取って欲しいと考えていたが、生き急ぐ武将たちに待てというのも酷な話であった。
能在當地周邊自給的事物,就透過商人的人脈設法調配;難以處理的則由靜子親自準備以應對。
現地近辺で賄えるものは、商人たちの伝手を通じて都合を付け、それすらも難しいものは静子が用意することで対応した。
就這樣季節流轉,十二月中旬來到,年關在即,人人都過著忙碌匆促的日子。
そうこうしている間にも季節は巡り、十二月も半ばとなる。年の瀬を目前に控え、誰しもが慌ただしい日々を送っていた。
靜子也在繁忙事務間抽空,抱著裝有金子木箱,前往家臣的住處。
静子も忙しい仕事の合間を縫って時間を捻出し、金子の入った木箱を抱えて家臣たちの家へと向かう。
「讓靜子大人親自費心前來,真是過意不去。若有差遣,無論何時我都會馬上前來」
「静子様にご足労頂くなど、勿体のうございます。御用とあらば何時でも馳せ参じましたものを」
玄朗向靜子深深地低頭行禮。從擊退武田軍開始,之後在長島一向一揆、淺井·朝倉之戰也立下顯著武功,因而被信長提升為士分。
玄朗が静子に深々と頭を下げた。武田軍の撃退に始まり、その後の長島一向一揆、浅井・朝倉戦でも目覚ましい武功のあった玄朗は、信長より士分に取り立てられていた。
所謂士分並非步兵足輕,而是被賜予騎乘之權的士分身份。
士分と言っても足軽ではなく、騎乗を許される士分として遇された。
被允許使用氏姓的玄朗,姓氏定為尾張楠木,通名仍為玄朗,而諱則從靜子處取一字為靜興。
名字を名乗る事を許された玄朗は、名字を尾張楠木(おわりくすのき)、仮名(けみょう)を玄朗とし、諱(いみな)を静子から一字を頂戴して静興(しずおき)と名乗るようになった。
給予了與身分相稱的衣服與家用品、武家屋第,佩戴著從信長拝領的刀,已成為不負其名的儀表。
身分に相応しい衣類や調度、武家屋敷も与えられ、信長から拝領した刀を佩き、その名に恥じない出で立ちとなっていた。
相較於當年連明日溫飽都難保的窮困時期,已完成令人難以置信的出身發跡,被視為一位小有成就的人士。
明日をも知れぬ食い詰め者であった頃からすれば、信じられない立身出世を成し遂げ、一廉(かど)の成功者とみられていた。
然而他自身並未改變,為了報答提攜自己的靜子之恩,誓言更加忠誠。
尤も彼自身は何も変わっておらず、己を引き立ててくれた静子の恩に報いるべく、一層の忠誠を誓っていた。
「像這種場合不然恐怕見不到玄朗爺的面容呢。這一年,真是辛苦了」
「こういう機会でも無いと玄朗爺の顔を見られないからね。この一年、本当にご苦労様でした」
靜子如此說完,後方侍從上前。侍從在玄朗面前放下膳食,行了一禮後退到後方。
静子がそう言うと、後ろに控えていた小姓が進み出る。小姓は玄朗の前に膳を置くと、一礼して後ろに下がった。
靜子從懷抱的木箱中取出用美濃紙包好的金子並排好,然後把膳滑向玄朗處。
静子は自身が抱える木箱から、美濃紙に包まれた金子を取り出して並べ、膳を玄朗の許へと滑らせた。
這相當於現代所謂的冬季獎金。從年末到新年往往有各種開銷。
現代で言うところの冬の賞与である。年の瀬から新年にかけては色々と物入りとなる。
對於新興家業的玄朗來說,那份負擔更為沉重,靜子為了補貼,便制度化了褒賞金。
新しく家を興した玄朗ともなれば、その度合いも一入(ひとしお)であるため、それを補填するためにも静子が褒賞金を制度化した。
「承蒙特別關照,十分感激」
「格別のご配慮、忝(かたじけの)う存じます」
因為也要分給其他家臣,並非巨額金錢,但玄朗仍對關心自己的靜子心懷感激。玄朗恭敬地從膳上接過金子,收入懷中。
他の家臣達にも配るため、そこまで大金という訳ではないが、それでも自分を気遣ってくれる静子に玄朗は感謝の念を抱いた。玄朗は恭しくお膳から金子を頂戴すると、懐に収めた。
「本來想聽聽近況的,但今天只有這段時間能走訪大家,抱歉就先失陪了」
「本当は近況とか聞きたいんだけど、今日しか皆のところを回れる時間が取れないから、悪いけど失礼するね」
「哈哈!承蒙寶貴時間,不勝感激。年關將近,路上人也多,路途中務必多加小心。若靜子大人有任何不測,對日之本將是損失。這玄朗無論如何都會趕來,若有需要請務必呼喚」
「ははっ! 貴重な時間を頂戴し、ありがたく存じます。年の瀬も迫り、人通りも多くございます。くれぐれも道中、お気を付け下さいませ。御身に何かあっては日ノ本にとっての損失。この玄朗、何を差し置いてでも駆けつけますので、御用の折はお声掛け下され」
「嗯,我會十分注意的。不過年底也要好好休息,休養身體也是重要的工作」
「うん、十分に気を付けるよ。でも年末はゆっくり休んでね。体を休めることも大事な仕事だから」
「是!」
「はっ!」
輕輕寒暄幾句後,靜子離開了玄朗的屋敷。接下來還得去仁助等人的家拜訪。
軽く言葉を交わした後、静子は玄朗の屋敷を後にした。これから仁助たちの家も回る必要がある。
本來照理應該由他們來屋敷受賞,而非由靜子親自出訪。
本来であれば静子が出向くのではなく、彼らを屋敷に招いて褒賞を渡すのが道理である。
然而對於那些直接效力於靜子的家臣,靜子希望親自上門確認其生活狀況並獎勵其功績,近侍們也被說服了,於是便以巡行隊列的形式進行褒賞發放。
しかし、静子直属の功があった家臣だけでも、自ら出向いて暮らしぶりを確認して、その功を賞したいという静子の思いに、近侍達も根負けして、行列を作りながらの褒賞渡しが行われている。
當然無法逐一走訪全員,出於安全考量,受訪對象限於側近和特別有功者。
無論、全員を回ることなど到底為しえないため、安全上の配慮からも側近や、特に功のあった者に対象が限られていた。
「確實是在這一帶……喔,在這兒在這兒」
「確かこの辺りに……お、いたいた」
靜子與足滿一同踏入一處寬闊地帶上零星矗立、宛如道場的建築。
開けた土地にポツンと建つ道場のような建物に、静子は足満とともに足を踏み入れた。
「哎呀哎呀,靜子大人。特地來到這等粗陋之處,請問有何差遣?」
「これはこれは静子様。このようなむさ苦しいところへお越し頂けるとは、どういった御用でございましょう?」
目的對象是才藏。這建築被稱作鍛練場,才藏與高虎因見到長可熱衷使用而受激勵,也開始在此訓練。
目的の人物は才蔵であった。この建物は鍛錬場と呼ばれ、長可が愛用しているのを見た才蔵や、高虎も触発されて鍛錬を行うようになった。
慶次總會找各種理由不同行動,但他在別處進行著異於常人的鍛練。
慶次は何かしら理由を付けて同行しないのだが、彼は見えないところで常識はずれの鍛錬を行っている。
然而作為傾奇者的他,自有一股驕傲,不願讓人看到自己拚命努力的模樣。
しかし、傾奇者としては必死に努力している様など見られたくはないという、彼なりの矜持があった。
「打斷你的鍛練很抱歉。看,想把說好的冬季褒賞交給你」
「鍛錬を中断させてごめんね。ほら、言っていた冬の褒賞を渡そうと思って」
「即便不用靜子大人親自費心,若受召喚我也會前來的」
「静子様にご足労頂かずとも、お呼び頂ければ参じましたものを」
「別放在心上,這是我自己樂於為之的事」
「気にしないで。私が好きでやっている事だしね」
靜子笑著從足滿手中接過金子,轉交給才藏。才藏整理衣服行禮後,恭敬地抱住金子。
笑いながら静子は足満から金子を受け取り、それを才蔵に手渡しする。才蔵は衣服を整え、一礼すると金子を恭しく押し抱いた。
「鍛練進展順利嗎?」
「鍛錬は順調かな?」
「實在不好意思,進度不甚理想」
「恥ずかしながら、捗々しくはございませぬ」
靜子一邊詢問,一邊看向才藏掛著的紙。視線所及之處,才藏帶著自嘲回答。
静子は訊ねながらも才蔵が吊るしたであろう紙を見やった。静子の視線の先を眺め、才蔵が自嘲しながら答えた。
才藏所進行的鍛練相當簡單:從樑上垂下線,將穿孔的紙綁在其端。
才蔵が行っている鍛錬は単純だ。梁から糸を垂らし、その先に穴を開けた紙を結びつける。
第一階段是用槍斬斷吊著的紙;第二階段是刺破紙片;最終階段則是打開鎧門,斬或刺那隨風搖曳的紙。
第一段階は吊るされた紙を槍で斬る。第二段階は紙を突く。最終段階は鎧戸を開けて、風に揺らぐ紙を斬る、もしくは突くのだ。
說起來簡單,真正去做時才會明白其難度。
口で言うのは簡単だが、いざ実行するとなると、その難しさが理解できる。
若以日常例子類比,便是準備一根約三公尺長的不鏽鋼曬衣桿,在桿端吊掛濕牛仔褲。
身近な例でたとえるなら、長さ3メートル程度のステンレス製物干し竿を用意し、先端に濡れたジーンズを吊るす。
在那種狀態下,盡量縮短握持處,卻又要把桿端放在基座上的難度吧。
その状態で、出来る限り手元を短く持って、先端を台座に載せようとする難しさだろうか。
重心偏向前方,連把尖端保持靜止都很困難;手握末端時,細微的動作在尖端會放大成巨大的擺動。
重心が前方に偏っているため、先端を静止させることすら難しく、末端を握っているため、少しの動きが先端では大きな動きとなって現れる。
若是才蔵所用的大身槍,槍尖以超過二尺的大馬士革鋼製成,其重量令人難以想像。
これが才蔵の用いる大身槍ともなれば、穂先が二尺を超えるダマスカス鋼製であるため、その重量たるや想像を絶するものがある。
除了前述的重心平衡問題外,柄身本身因重量而彎曲,使得連把槍對準作為標靶的紙張都變得困難。
前述の重心バランスに加えて、柄自体が重量でしなるため、標的となる紙に当てることすら余人には困難となる。
「斬る事に関しては苦労しませぬ。しかし、突くとなると勝手が違います」
「斬る事に関しては苦労しませぬ。しかし、突くとなると勝手が違います」
不愧為槍術名手的才蔵,毫不晃動槍尖,一氣砍裂了標的。接着把槍拉回身邊,採腰寄姿勢,抽動槍身再度發出一擊。
流石は槍の名手たる才蔵らしく、先端をぶれさせる事も無く気合一閃、標的を切り裂いて見せた。次に槍を手元に引き寄せ、腰だめに構えると、槍をしごいて繰り出した。
然而,槍尖刺穿的是離標的外的空間。槍基本上是用來敲擊的武器,但在戰場上並非總能有利於揮舞槍的好條件。
しかし、槍の先端は標的から外れた空間を貫いた。槍とは基本的に叩くものだが、いくさではそうそう都合良く槍が振るえる状況ばかりではない。
因此才蔵自我鍛鍊,習得即便左右無空隙也能發動的刺擊,以及由刺化為斬的變化技術。
そこで才蔵は、左右に空隙が無くとも攻撃できる突きや、突きから変化させることで斬撃に繋げる鍛錬を己に課していた。
是否使用視情況而定,但手中能用的招式越多越好。
使うかどうかは状況次第だが、切れる手札が多いに越したことはない。
「從上往下用重量敲擊,甚至能使對手在盔甲外受創;但若能銳利地刺入又迅速抽回,不僅能斬殺敵人,還能更快展開下一次攻擊。」
「上から下に重量を載せて叩けば、相手を鎧の上からでも弱らせられますが、鋭く突いて引き戻せれば相手を屠った上で、より早く次の攻撃を繰り出せるのです」
與其先敲倒再刺殺兩步走,不如刺出後抽回,並同時為下一次攻擊做準備。理想上當然是一擊必殺。
叩いて転ばせ、突き殺すという二動作よりも、突いて引き戻せば、次の攻撃準備にもなる。理想を言えば一撃一殺が望ましい。
這個想法在戰場上理所當然也有效,但作為在繁華街道護衛的馬廻衆,這種思維尤為強烈。
この考えは当然いくさ場でも有効だが、往来の多い街中などで護衛を務める馬廻衆としての考えが強く出ていた。
在人群中假借雜亂襲擊貴人的歹徒,必須在人的縫隙間迅速解決,並持續準備迎接下一波攻擊。
群衆に紛れて貴人を襲う輩を、人の隙間を縫って素早く仕留め、次の攻撃に備え続ける。
考慮到不只群眾,還可能被同僚當作盾牌,他努力思考並鍛鍊出即便只有一點空隙也能刺穿的精準度。
群衆だけでなく同僚を盾にされた場合も考慮し、僅かな隙間でも刺し貫ける精度を身につけようと懸命に考えた末の鍛錬であった。
「嘛,這種東西不是一朝一夕能練成的。是否有幫助不確定,但我姊說用長柄武器時扭轉一下會讓尖端更穩定。」
「まあ、こういうのは一朝一夕に身に着くものじゃないよ。参考になるかは判らないけど、姉が長柄の武器を使う時は捻ると先端が安定するって言っていたよ」
「哦!要扭轉嗎?」
「ほう! 捻るのですか?」
「叫什麼來著……陀螺效應?總之邊旋轉槍邊刺好像能讓槍尖收束。」
「なんだっけ、ジャイロ効果? ともかく槍を回転させながら突けば、先端は収束するみたいだよ」
「扭轉……好像看見一線光明了。」
「捻る……何やら光明が見えた気がいたします」
「只在手元扭轉的話,反而會晃嗎?嘛,我只是略知一二,僅供參考。」
「手元だけで捻ると、逆にぶれるんだっけな? まあ、聞きかじりだから参考程度にね」
「是,銘記在心。我會在自問自答努力是否正確的同時,持續鍛鍊。」
「はい、肝に銘じております。己の努力が正しいか、自問自答しつつ鍛錬を行って参ります」
「那就好。」
「ならば良し」
聽了才蔵的話,靜子豎起拇指道。
才蔵の言葉に、静子は親指を立てて言葉を口にした。
把冬季獎金發放完畢後,靜子終於開始準備年末,但也無法像從前那樣把所有工作親自做完。
冬の賞与を渡し終えた静子は、いよいよ年末の準備を始める。とはいえ、昔のように全ての作業を自分でする訳にはいかない。
雖然讓她覺得不耐煩,但必須下達指示讓手下去做事。
彼女にとってはもどかしくとも、指示を出して配下に作業をさせる必要があった。
「嗯……準備過年其實很有趣啦。」
「うーん。年越しの準備は楽しいんだけどね」
靜子挽起袖子、意氣風發地想加入年末準備,卻被彩和蕭勸阻道:「主人若為準備奔走,會讓家人被懷疑無能,請克制。」
腕まくりをしつつ、意気揚々と年越しの準備に加わろうとした静子だったが、彩と蕭から『主人が準備に奔走しては、家人の能力を疑われます。どうかご自重下さい』と諫められた。
結果靜子把要做的工作列成清單,下達按表執行的指示後,就再也沒有其他事要做了。
結果的に静子は、為すべき作業をリストアップし、それに従って作業を進めるよう指示を出せば、後は一切やることが無くなってしまった。
實際上家內事務由彩和蕭掌管,甚至不會向靜子詢問,使她意外地閒得發慌。
実質的に家内の事は彩と蕭が取り仕切っており、静子に対して質問すらないため、思いのほか暇を持て余すことになった。
靜子想,部下優秀讓她能輕鬆不少,但無所事事也令人困擾。
部下が優秀だと楽を出来るが、手持無沙汰なのも困るなと静子は思った。
「身居上位者的宿命啊。」
「上に立つ者の宿命だな」
足滿對靜子的抱怨作出回應。
静子の愚痴に足満が応じる。
過去負擔都集中在靜子一人,但因為常因征戰長期離家,彩與蕭代為看守而被鍛鍊出能力,能處理的工作範圍也擴大了。
以前は静子一人に負荷が集中していたが、いくさで長期間家を空けることが多くなり、彩や蕭が留守を預かることで鍛えられ、彼女達で処理できる仕事の範囲が増えた。
如今留給靜子的只剩聽取報告,以及只有她能裁決的案件或來自信長的命令書等。
もはや静子に残されているのは、報告を聞くことと、彼女でなければ決裁出来ない事案か、信長からの命令書などに限られる。
「我的職責好像只剩下籌錢和協調各部門了。」
「私の役目って、金策と各部署の調整ぐらいしかなくなってきたよ」
「就像社長或會長不掌握工作細節一樣。既然有空,不如去幹農活如何?」
「社長や会長が仕事の詳細を把握していないのと一緒だ。暇が出来たなら、畑仕事でもしたらどうだ」
「……沒有啦。大家都很優秀,我沒得做事。」
「……ないの。皆、優秀でね。私が作業することが無いの」
聽了足滿的話,靜子重重嘆息。除了一些需要細緻操作的品種栽培外,越來越沒有非她不可的工作。
足満の言葉に、静子は重いため息を吐いた。繊細な作業を求められる一部品種の栽培を除けば、静子でなければ出来ない作業は無くなってきていた。
每種作物都有專責人員,起初還會來請教,現在已能獨當一面並取得成果。
それぞれの作物に担当者が付き、最初こそは助言を求められる事もあったが、今では立派に成果を出していた。
教會他們識字後開始記錄栽培,優秀者甚至以此編成教材。
文字の読み書きを覚えさせたことで、栽培記録が付けられ、優秀な者がそれを元に教材を作るまでに至っていた。
這一切並非出於升遷之欲,而是善意地想讓總是忙碌的靜子輕鬆些,因此她只能閉口不言。
これら全てが出世欲などではなく、いつも忙しい静子に楽をさせようと言う善意から来ているため、彼女としても口を噤むしかない。
「說不定哪天芒果或其它南國系水果也能脫手了,可可大概明年五月會結果……咖啡豆也很順利……該不該進口新的作物種子來嘗試呢。」
「その内、マンゴーとか南国系の果実も手が離れるかもね。カカオも来年の五月ぐらいには実を付けそうだし……コーヒー豆も順調だし……。新しい作物の種でも輸入しようかしら」
「可以思考沒關係,但你剛才手已經停住了。剩餘思考時間不多了,趕在用盡之前下下一手。」
「考え事は構わぬが、さっきから手が止まっているぞ。持ち時間はもうないから、考慮時間を使い切る前に次を指せ」
足滿一邊指著沙漏,一邊將目光落在將棋盤上。
砂時計を示しながら足満は将棋盤に目を落とす。
戰局已經九成九確定為靜子的敗局。雖然還剩有大駒飛車,但被單騎留在敵陣,動彈不得,幾乎成了擺著的死子。
戦局は既に静子の負けが9割方確定している状態だった。大駒である飛車は残されているが、敵陣に単騎で取り残され、身動きが出来ずに見事に死に体となっていた。
保護王的陣形也半崩壞,只要給足滿一手的機會,靜子的敗北就確定。靜子被逼到必須持續對足滿給予王手,否則會立即敗北的窘境。
王を守る囲いも半ば崩壊し、足満に一手の猶予が出来れば静子の負けが確定する。静子としては足満に王手を掛け続けなれば、即座に敗北するという崖っぷちに追い込まれていた。
「不,若在這裡打桂馬,合駒不起作用,所以會將死吧!」
「いや、ここに桂馬を打てば、合駒は利かないから詰みだよね!」
「可惜,那樣還差一枚棋子。瞧,這樣逃走的話就無法進行下一次王手了。」
「残念ながら、それでは駒が一つ足りぬ。ほれ、こう逃げれば次の王手は出来まい」
「哼哼哼」
「ぐぬぬぬっ」
她盯著將棋盤看得像要把它舔下來似的,無論怎麼想都想不到能夠給王手的招法。若再空一手,之後就無法抵擋足滿連番的王手而只能投子認輸。
将棋盤を舐めるように見つめるが、どう考えても王手を掛ける事が出来ない。そして一手空いてしまえば、後は足満の王手連打を凌ぎきれずに投了となる。
「沒有了。被這傢伙誘到了呢……啪」
「ありません。こいつに誘われたね……ていっ」
靜子說出投降的話語並低下頭,但輸掉比賽還是很不甘心。出於這種心情,她用手指彈開自己的「歩」,擊向決定勝負的足滿的「銀」。
投了を示す言葉を告げて頭を下げる静子だが、負けるのは悔しい。そんな思いから、勝敗を分けた足満の『銀』に向かって、己の『歩』を指で弾いて飛ばす。
「別這樣」
「やめなさい」
足滿抓起被彈飛的棋子,重新放回原位。對於誠心認錯的靜子,足滿主導進行了感想戰,探討各個局面的最善手。
弾かれた駒を足満が掴みとり、元の位置に打ち直す。素直に態度を改めた静子に対して、足満主導で感想戦を行い、それぞれの局面での最善手を模索する。
結束後收拾起將棋盤與棋子,足滿用已經冷卻、溫溫的茶潤了潤喉嚨。
それが終わると将棋盤と駒を片付け、足満はすっかり冷めて温くなった茶で喉を湿らせた。
「下次不會再輸了。要替多年來的屈辱討回來!」
「次は負けないよ。積年の屈辱を晴らしてくれる!」
「你這麼說倒也是,但黑星累積得相當多。別被情緒左右,追究失敗的原因並努力精進。」
「そうは言うが、随分と黒星が溜まっておるぞ。感情に流されず、負けた原因を追究して精進せよ」
「明明是我教你將棋手法的!!」
「私が将棋の手ほどきをしたって言うのに!!」
「嗯,那就是年資的功勞了。」
「まあ、そこは年の功と言うものだ」
足滿理解到靜子想再戰,又將將棋盤放回並排好棋子。靜子將自己的棋子排好後,振子決定了先手。
静子が再戦を求めていると理解した足満は、再び将棋盤を戻して駒を並べる。静子も自分の駒を並べ終えると、振り駒をして先手を決めた。
「對了對了,自從搬到新居以來,宅內變得乾淨利落許多。」
「そうそう、新居に移って以来、屋敷内がすっきりしているな」
這次由靜子先手,兩人只剩下下棋的聲音時,足滿突然開口說話。
今回は静子が先手となり、互いに駒を指す音しかしないなか、不意に足満が言葉を発した。
如他所言,以前的靜子邸相較於地面積物品過多,給人雜亂的印象。
彼の言にある通り、以前の静子邸では敷地面積に対して物が多く、雑然とした印象となっていた。
然而搬到新居後,或許因為家人增多,連細微處也有人注意到,整理整頓做得非常徹底。
しかし、新居に移って以降は家人が増えたためか、細かいところまで目が行き届き、整理整頓が徹底されている感がある。
「教導他們5S,並徹底落實。像PDCA循環之類的或許還做不到,但5S是基礎。」
「5Sを教えて、徹底させているからね。PDCAサイクルとかはまだ無理だろうけど、5Sは基本だからね」
5S是在服務業或製造業中提出,為了能順利執行業務而制定的口號。
5Sとはサービス業や製造業に於いて、円滑に業務を遂行できるよう考えだされたスローガンだ。
由「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「躾」五項構成,若以羅馬字表示,五項之首字皆為S,因此稱為5S。
『整理』『整頓』『清掃』『清潔』『躾』の5項目からなり、ローマ字で表記すると、全て先頭がSとなることから5Sと呼ぶ。
5S並非宣揚什麼特別理念,而是將日常生活中應注意的事項明確化,並以組織整體而非個人來推動。
5Sとは特別な理念を説く訳ではなく、日々の生活に於いて心掛けるべき事を明らかにし、個人ではなく組織全体として取り組む処にある。
題外話是,有些企業會再增加項目,變成7S或10S。
余談ではあるが、企業によっては更に項目を追加し、7Sや10Sとする場合もある。
靜子把這最基本的5S徹底灌輸給在靜子邸服務的所有人。
静子はこの最も基本的な5Sを、静子邸に奉公する全ての人間に徹底して叩き込んだ。
如同每天讓員工朗讀社訓的經營者,她在每餐前安排確認5S的時間,能夠背誦者會獲得可見的獎勵──多一道配菜。
毎朝社訓を読み上げさせる経営者よろしく、5Sを確認させる時間を各食事前に設け、暗唱できればおかずが一品増えるという目に見える飴を与えた。
這對年輕人尤其見效,她從彩與蕭那裡聽取家人的工作表現,並在各種場合當眾嘉獎優秀者。
これは若年者ほど覿面(てきめん)に効果があり、家人の仕事ぶりを彩や蕭から聞き取り、ことあるごとに優秀者を皆の前で褒めた。
因為徹底實行5S會讓靜子對人有好印象,大家便競相學習並實踐5S。
5Sを徹底すれば静子の覚えがめでたくなるとあって、皆が競い合うようにして5Sを学び、また実践していく。
多虧了這些,新居裡已看不到泡在洗滌區的器皿,也不再見到蓋子敞開的長持(ながもち)。
このお陰もあって、新居では洗い場に漬け置かれた食器なども見なくなり、蓋が開いたままの長持(ながもち)も姿を消した。
維持良好整理整頓的工作場所,也使得小錯誤與事故明顯減少。
しっかり整理整頓が行き届いた仕事場を維持しているお陰もあって、小さなミスや事故が目に見えて減っていた。
如今正尋找更有效率的整理整頓方法,並已將累積的經驗化為系統化的知識。
今では、より効率の良い整理整頓法が模索され、蓄積されたノウハウを体系化するまでに至っていた。
「除了讀寫與算盤之外,灌輸這些生活基礎,即使到別家當僕婢也會派上用場。」
「読み書き算盤(そろばん)に加え、こういった生活の基礎を教え込めば、別の家に奉公しても役立つしね」
「現在好像也有在靜子的圖書館讀書的下女了呢。」
「今では静子の図書館で書を読む下女もいるらしいな」
起初不多的藏書,隨著蒐集進展逐漸占據了房間的空間。
当初は少なかった蔵書も、蒐集が進むにつれて部屋を圧迫するようになった。
於是靜子採用所謂的和裝本(袋綴),把一張美濃紙對摺裝訂來管理書籍。
そこで静子は一枚の美濃紙を二つ折りにして綴じる、袋綴のいわゆる和装本(わそうぼん)で本を管理するようにした。
把大小與形式各異的卷軸和紙束整理歸納,統一用規格化的美濃紙以ガリ版印刷並以線縫裝訂。原本收納在藏中,複製本編上連番後排列在木製書架上。
大きさも形式もバラバラの巻物や、紙束を整理して纏め、規格化された美濃紙にガリ版印刷して糸で綴じた。原本は蔵に保管し、複製本に連番を振って木製の書棚に並べた。
起初只是被稱為書庫,但因為靜子平時稱之為圖書室,久而久之圖書室這個稱呼就流傳開來。
初期には単に書庫と呼ばれていたが、静子が普段から図書室と呼ぶため、いつしか図書室の呼称が広まった。
「學習的機會應該公平地給予。至於有沒有適性,就看本人了」
「学習の機会は平等に与えるべきだよ。適性があるかは本人次第だけど」
「所學之事不會徒然,知識會成為任何人也奪不走的財產」
「学んだことは無駄にはならぬ。知識は誰にも奪えない財産となるのだからな」
足滿聽了靜子的話,微笑著點了點頭。
静子の言葉に足満は笑みを浮かべて頷いた。
隨從們忙得不可開交地準備跨年,但身為主人的靜子閒得無聊。好久沒讀書了,她便走向圖書館。
従者たちは年越し準備に忙殺されていたが、主人である静子は暇を持て余していた。久々に本でも読もうと、彼女は図書館に足を向けた。
「哦,是靜子殿」
「これは静子殿」
圖書室裡已有先客。那是被上杉家送來的人質長尾喜平次,日後的上杉景勝。他合上手中的書,從文桌前站起來行了一個禮。
図書室には先客がいた。上杉家から差し出された人質として逗留している長尾喜平次、後の上杉景勝である。彼は手にした本を閉じると、文机から立ち上がって一礼する。
靜子也不由得低頭回禮,然後開口搭話。
静子も思わず頭を下げて、礼を返してから声を掛けた。
「最近好像被叫做圖書室的主,你那麼喜歡嗎?」
「最近じゃ、図書室の主(ぬし)って呼ばれているみたいだけど、そんなに気に入った?」
「是的。這裡蒐集了古今東西的書籍,要全部翻閱一遍,花多久都無法想像」
「はい。ここには古今東西の書が集められており、全てに目を通すとなればどれほど掛かるか想像もつきませぬ」
「我花了不少錢,從各處大手筆收集來的。雖然花了很多錢,但覺得蒐藏相當值得」
「お金に飽かして、あちこちから掻き集めたからね。随分とお金を使ったけど、それに見合うだけの蒐集は出来たつもり」
「若論藏書數量,恐怕寺院還更多。但量與質天差地別,像這樣廣泛匯聚智慧的地方,在日本恐怕除了這裡找不到第二處」
「蔵書の量だけならば僧院の方が多いでしょう。しかし、量と質が段違いです。これほど広範に亘って叡智が集約されている場所など、この日ノ本中を探してもここ以外にはありますまい」
「聽你這麼說我就覺得值得花心力去蒐集了」
「そう言って貰えると集めた甲斐があるよ」
「而且除了少數部分外大多數都免費開放,起初讓人懷疑是否神智不清。但使用多了,就會理解其意義」
「しかも一部を除きその殆どを無料で開放するなど、最初は正気を疑いました。しかし、利用するにつれ、その意義が判るようになり申した」
「嗯?那是為了什麼?」
「ふーん。その心は?」
「大家若在此獲得知識,織田家整體的教養便會提升。下頭的人都在學習而上頭卻無學,可沒面子可言。那樣一來人人就會努力讀書,智慧便會在尾張全境生根」
「皆がここで知識を得れば、織田家全体の教養が高まります。下の者が学んでいるのに、上が無学では示しが尽きませぬ。そうなれば皆が勉強に励むことになり、尾張全体に智慧が根を下ろすことになりましょう」
「看起來妳的視野變得頗為遠大了呢」
「随分と遠くが見えるようになったみたいだね」
「只是南蠻的書籍難解,雖然已有翻成日本語,仍難以理解」
「ただ、南蛮の書は難解で、日ノ本の言葉に直されているのに理解が及びませぬ」
「那些也是先把手寫體改成印刷用的活字體,再把它譯成和語。原稿字跡像蚯蚓扭動一樣,我也幾乎看不懂」
「あれでも筆記体から印刷用のブロック体に直して、それを更に和訳しているんだよね。原本は蚯蚓(みみず)がのたくっているようで、私も読めないぐらい」
「那樣還能變得比較好讀嗎……」
「あれでも読み易くなっているのですか……」
喜平次露出震驚的表情低聲喃喃。
喜平次は愕然とした面持ちで呟いた。
「要不是南蠻人虎太郎替我們解讀,那種奇怪的手跡根本分不清」
「南蛮人の虎太郎が解読してくれないとね、あんなくせ字は見分けがつかない」
身為人質,但因靜子的親切態度,喜平次也放鬆了些,口氣變得柔和起來。
人質という立場だが、静子の気さくな態度に喜平次も気が緩んだのか、幾分口調が柔らかくなった。
「然而,那些出自與我們截然不同土壤孕育出的感性所寫的書,帶有和書沒有的情趣。若能的話我很想讀原書,但要習得南蠻語畢竟是……」
「しかし、我々とは全く違う土壌で育まれた感性で書かれる書には、和書にはない趣を感じます。出来るならば原書を読んでみたくあるのですが、流石に南蛮の言葉を習得するのは……」
「嗯,雖然也做了南蠻語的詞典。不過,未作成抄本的原書都收納於閉架書庫,要借閱也需上樣的許可,所以外借應該不可能吧?」
「うーん、南蛮語の辞書も作ってはいるんだけどね。ただ、流石に写本になってない原書は閉架書庫に仕舞ってあるし、閲覧するのにも上様の許可が必要だから、貸し出しは無理かなあ?」
如靜子所言,她的圖書室閉架書庫裡堆滿了現代所謂的稀覯本。
静子の言葉通り、彼女の図書室の閉架書庫には現代で言う稀覯本が山のように眠っていた。
例如哥白尼於1543年出版的《天體運行論》初版本。
例を挙げるとコペルニクスが1543年に出版した『天球の回転について』の初版本。
尼科洛·馬基維利的《君主論》與《戰術論》。
ニッコロ・マキャヴェッリの『君主論』や『戦術論』。
德西德里烏斯·艾拉斯謨的《愚人頌》與《校訂版 新約聖經》。
デジデリウス・エラスムスの『痴愚神礼賛』や『校訂版 新約聖書』。
馬丁·路德被認為發表的《九十五條論綱》。
マルティン・ルターが発表したとされる『95ヶ条の論題』。
例如諾斯特拉達姆斯的《米歇爾·諾斯特拉達姆斯師的預言集》初版本,據說於1555年在里昂由馬塞·博諾姆出版。
1555年にリヨンのマセ・ボノムにて出版されたと言われるノストラダムスの『ミシェル・ノストラダムス師の予言集』の初版本などだ。
有些甚至是所謂列奧納多·達文西手稿,現代已失傳的作品也在其中。
中にはレオナルド・ダ・ヴィンチ手稿と言う、現代では失われたものまでが存在していた。
其真偽尚未可知,但若真是二萬頁之多的龐大資料,萬一為真品,若讓它們遺失就太可惜了,於是靜子買下了它們。
その真贋については定かではないのだが、二万ページにも及ぼうかという膨大な資料が、万が一にも本物であった場合、遺失させるにはあまりにも惜しいと考えた静子が買い取った物である。
也有登載於天主教會視為危險書籍之列表《禁書目錄》上的書籍。
他にもカトリック教会が危険視した書籍のリストである『禁書目録』に名を連ねる本もあった。
那些書被帶到日本,是有執政者與宗教人士妥協的背景。
そういった本が日本に持ち込まれたのには、為政者や宗教家たちの妥協という背景があった。
天主教會一方面想處分被列為禁書的著作,然而要把耗費鉅資製作的書燒成灰卻令人不捨。
カトリック教会としては禁書に指定した書籍は処分したい。しかし、膨大な資金を掛けて作られた本を灰にするには惜しい。
他們真正的想法是,若能回收投入的費用,同時把實物葬入暗處就好。
出来る事なら掛かった費用は回収しつつ、現物は闇へと葬りたいというのが本音であった。
因此目光轉向賣到日本。日本非基督教國,且對知識渴求強烈、購買力不拘小節,商人與傳教士便爭相帶來這些書籍。
そこで白羽の矢が立ったのが日本への売却であった。非キリスト教国であり、旺盛な知識欲と金に糸目をつけない購買力から、商人や宣教師たちが挙(こぞ)って持ち込んだ。
照理說,語言不通的西洋書籍通常只有少數愛好者會收藏,但靜子卻大張旗鼓地宣布要收購。
通常であれば、言葉も判らない西洋の書籍など、少数の好事家が買い集めるぐらいだが、静子は大々的に買い取りを宣言した。
結果,從西洋帶來的書籍大多湧向靜子的手中。
その結果、西洋から持ち込まれる書籍の殆どが、静子の許へと集まってくるようになった。
對天主教會而言,危險的知識得以處分,並能獲得不菲的對價。
カトリック教会としても危険な知識は処分され、対価として少なくない金を得ることが出来る。
就這樣,雙方意圖達成一致後,靜子得以無限制地購買西方書籍。
かくして双方の思惑が一致した結果、静子は西洋の本を制限なく購入できるようになっていた。
那些由虎太郎改寫為方塊字體的版本,以及翻譯成日語的譯本,都會被製成刮版處理,然後送去ガリ版印刷。
これらを虎太郎がブロック体に書き直したものと、日本語に翻訳したものがガリ切りされ、ガリ版印刷に回される。
接著在原本與複製的印刷品上編上管理號,原本與原語版本被收藏於閉架書庫,至於日文譯本也經過審閱,只有被判定無問題者才會公開於開架書庫。
そうして原本と複製された印刷物に管理番号を振り、原本と原語版は閉架書庫に保管され、日本語訳に関しても検閲を受けて問題なしと判断されたものだけが開架書庫に公開されている。
只要是擺放在開架書庫的書籍,靜子府上工作的眾人皆可自由閱覽。
そして開架書庫に並べられた書籍であれば、静子邸で働く者は自由に閲覧が可能であった。
侍女們沉迷於『枕草子』與『源氏物語』,小姓們則讀著『徒然草』並相互討論內容。
侍女たちは『枕草子』や『源氏物語』に熱中し、小姓たちは『徒然草』を読んでは、内容について語り合った。
因為無法準備適合ガリ版印刷用的薄而硬的紙張,加上陳列空間的物理性問題,原本應有多冊的書往往總被人拿在手上,甚至出現輪候等候的情況,人氣極高。
ガリ版印刷に適した薄くて硬い紙が用意できないのと、陳列スペースの物理的問題により複数部数あるはずの本は常に誰かの手にあり、順番待ちが発生する程の人気を博していた。
被列為日本三大隨筆之一的『方丈記』,相比其他兩冊人氣較低。
日本三大随筆の一つにも数えられる『方丈記』は、他の二冊に比べると人気が無かった。
「嗯,南蠻的語言可以慢慢學。能夠翻譯的人越多越好,我很歡迎。再者他國的思想也不是那麼好小看的,雖然因為環境不同不可能全部套用,但也有在日ノ本能通用的概念。」
「まあ、南蛮の言葉については追々覚えていくと良いよ。翻訳出来る人が増えるのは大歓迎だからね。それに他国の思想もなかなかどうして馬鹿には出来ないよ。環境が違うから、全てが適用できるわけじゃないけれど、日ノ本でも通用する概念もあるしね」
說罷,靜子從一乗谷帶回來陳列的書架上抽出一本拿在手裡。
そう言いつつ、静子は一乗谷から持ち帰った書籍が並ぶ書棚から一冊を抜き出して手に取った。
這個圖書室只有一條未明文規定的默契規則:新到圖書室上架的書,第一個閱讀的人是靜子。
この図書室には明文化されていない暗黙のルールが一つだけあった。新しく図書室に並んだ本を最初に読むのは静子であるというルール。
因此,從一乗谷帶回、等待複製的原書陳列的書架一直未被動過,只有靜子按順序借閱並閱讀。
それが為、一乗谷から持ち帰られ、複製を待つ原書が並ぶ棚は手つかずであり、静子だけが順番に借りては読んでいる状態だった。
「好,今天就麻煩借出這本。」
「よし、今日はこれの貸し出しをお願い」
「好的,知道了。」
「はい、承りました」
靜子連同書本一起將木札交給司書。擔任靜子圖書室司書的是同時也是奇妙丸教導者的爺爺。
静子は本と一緒に、木札を司書に手渡した。静子の図書室で司書を務めるのは、奇妙丸の教育係でもあった爺であった。
奇妙丸元服後開始在信長處活動,他作為監視者的職責便告一段落。
奇妙丸が元服し、信長の許で活動するようになると、彼はお目付け役としての役目を終えた。
靜子素有修養,認為讓博學之士被埋沒可惜,便邀請他來擔任圖書室司書。
静子は教養もあり、学問に造詣の深い人材を埋もれさせるのは惜しいと考え、図書室の司書として働かないかと打診した。
他並無特別拒絕的理由,加上待遇極為良好,爺二話不說就接受了。自此以來,他獨自負責靜子圖書室的借閱事宜。
特に断る理由もなく、待遇は破格に良かったため、爺は二つ返事で引き受けた。それ以来、静子の図書室での貸し出しを一手に担っていた。
從圖書室借書的方式與現代大同小異。
図書室から本を借りる方法は現代のそれと大差ない。
首先向司書申請,領取相當於個人圖書室使用卡的木札。把想借的書送到借出臺,連同自己的木札一併遞交。
まず司書に申請して個人用の図書室利用カードに相当する木札を受け取る。借りたい本を貸出台まで運び、自分の木札と一緒に提出する。
司書爺會把書的管理編號寫在木札與臺帳上,並在臺帳上記載借出日期與借閱人。木札由司書保管,於還書時歸還木札。
司書である爺が、本の管理番号を木札と台帳に書き込み、台帳には更に貸出日と貸出先を記入する。木札は司書が預かり、図書室で管理し、本の返却を以て木札を返す。
若粗暴對待或污損書籍,將依損害程度處以罰金。
本を乱暴に扱ったり、汚損したりすれば被害に応じた罰金が科せられる。
「請拿。」
「どうぞ」
「謝謝你。」
「ありがとね」
記帳結束後,爺把書交給靜子,並將木札插入設於牆上的借出札槽。
記帳を終えた後、爺は静子に本を渡し、木札を壁に設けられた貸出札入れに差し込んだ。
「那我就先告辭了。別太鑽牛角,偶爾去外面呼吸一下新鮮空氣也很重要喔。」
「それじゃあ、私は失礼するね。あんまり根を詰めないで、偶には外の空気を吸うのも大事だよ」
接過書的靜子呼喚專心閱讀的喜平次後離開了圖書室,他是否有聽到她的忠告則成謎。
本を受け取った静子は、読書に集中する喜平次に声を掛けて図書室を後にした。本の世界に没頭している彼の耳に、彼女の忠告が届いていたかは謎である。
抱著書回房的途中,靜子決定繞道走一會兒。
本を抱えて自室に戻る途中、静子は少し回り道をすることにした。
「喲,近況如何?」
「やあ、調子はどうかな?」
「哎呀,主人。您親自來訪真少見。我們邊摸索邊進行中。」
「おや、御主人。直々のご来訪とは珍しい。手探りながら進めておりまする」
這裡是由虎太郎管理的葡萄酒釀造庫。儘管稱為釀造庫,其場地大多被用作貯藏空間。
ここは虎太郎が管理するワイン醸造蔵だ。醸造蔵と言っても、その敷地の殆どが貯蔵スペースとして利用される。
葡萄酒分為紅、白、ロゼ三種,主要製程大致相同。紅酒以帶皮發酵,白酒則去皮及籽後發酵。
ワインには赤、白、ロゼの三種類があり、主な製造工程は共通している。赤ワインは皮ごと仕込み、白ワインは皮や種子を取り除いて発酵させる。
關於ロゼ酒有數種製法,虎太郎採用了稱為セニエ法的方法,即在中途去除果皮再發酵。
ロゼワインについてはいくつか製法が存在するが、虎太郎はセニエ法と呼ばれる途中で果皮を取り除いて発酵させる製法を採用していた。
這次採收的甲州葡萄果皮呈淡赤紫色,果肉帶淡桃色且給人溫和的印象。酸味偏弱,甜度也不高,不能說非常適合釀酒。
今回収穫された甲州ぶどうは淡い赤紫色の果皮を持ち、果実は優しい印象の薄桃色を呈する。酸味は弱めで甘みもそれほど強くなく、ワイン造りに適しているとは言えなかった。
然而在西方,葡萄酒釀造的權益由教會掌握,他們紛紛開墾葡萄園、鑽研釀造技術。
しかし、西洋に於けるワイン造りの権益は教会が握っており、彼らは挙ってぶどう畑を開墾しては醸造技術を磨いていた。
有時也會把酒款待來訪教會的朝聖者,據說這就是居酒屋的起源。順帶一提,把酒裝瓶並以軟木塞封口成為現今做法,是十七世紀末的事。
中には教会を訪れる巡礼者にワインを振る舞う事もあり、これが居酒屋のルーツとも言われている。なお、現在のようにワインを瓶詰し、コルクで栓をするようになったのは十七世紀末の事だ。
因此屬於教會秘儀的葡萄酒製法被秘而不宣,就算是葡萄酒尚可外流,葡萄籽或苗木一旦涉及就難以帶出。
そうした背景もあって、教会の秘儀に属するワインの製法は秘匿され、ワインそのものならともかく、ぶどうの種子や苗木となると途端に持ち出しが難しくなる。
雖然已向イエズス会提出請求,但仍未有明確回應,若想在日ノ本釀製葡萄酒,只能使用甲州葡萄。
イエズス会に要望を出してはいるものの、未だに見通しが立たず、日ノ本でワイン醸造をしようと思ったら甲州ぶどうを用いる他なかった。
「裝進桶裡是接下來要熟成嗎?」
「樽に詰めているってことは、これから熟成するのかな?」
「我在橡木小桶中進行了發酵,但和故鄉的橡木習性不同,不知會帶出何種香氣。試喝起來給人稍嫌稀薄的印象。」
「樫の小樽で発酵を行いましたが、故郷のオークとは勝手が違うため、どんな香りが付いたか判りませぬ。味見をした限りでは少し水っぽい印象を受けました」
這次虎太郎釀造的是紅酒與ロゼ酒。
今回虎太郎が仕込んだのは赤ワインとロゼワイン。
首先把收穫的葡萄一粒粒從葡萄串上剝下。此時若清洗葡萄,會把附著在果皮上的酵母菌沖掉,因此盡量不要洗。
まずは収穫されたぶどうの実を房から一粒ずつに解(ほぐ)す。この際に、ぶどうを洗うと表皮についている酵母菌が落ちるため、極力洗わないようにする。
接著輕輕壓榨葡萄,使果汁流出,將整批倒入事先準備好的小木桶,進入發酵工序。
次にぶどうの実を軽く圧搾して果汁を流出させ、用意しておいた小樽に丸ごと移して発酵工程に入る。
之後每天攪拌數次以防發霉,並用數週時間讓其發酵。
後は一日数回かき混ぜてカビないようにしつつ、数週間かけて発酵を行う。
在發酵進行到一定階段時,會進行セニエ(法語,意為放血),以提高液體中果皮、果肉與種子的比例,讓酒體更有凝聚感。
ある程度発酵が進んだ段階で、セニエ(フランス語で血抜きを意味する)を行い、液体の中に果皮や果肉、種子の比率を高めて凝集感を出す。
這樣分離出來的液體成為紅葡萄酒,剩下的部分則作為玫瑰紅葡萄酒進入下一道工序。
こうして抜き取った部分が赤ワインとなり、残った部分はロゼワインとして次の工程に進む。
到此為止稱為一次發酵,一次發酵結束後只抽取果汁,對殘留的果皮與種子施加強大壓力進行壓榨,將這些混合物再度進行酒精發酵。
ここまでを一次発酵と呼び、一次発酵が終わると果汁のみを抽出し、残った皮や種子に強い圧力をかけて圧搾する。これらの混合物を再びアルコール発酵させる。
這一切結束後轉入儲存用的酒桶進行熟成,至此的工序稱為二次發酵。
これが終わると、貯蔵用の樽に移して熟成させる。ここまでの工程を二次発酵と言う。
隨著熟成期延長,酒桶底部會累積稱為澱(おり)的各種沉澱物,因此會進行幾次所謂的澱引作業,將上澄液另行換到別的桶中。
この後は熟成期間が進むにつれて樽の下部に澱(おり)と呼ばれる様々な沈殿物が溜まるため、澱引きという上澄みだけ別の樽に移し替える作業を何度か行う。
熟成完成的葡萄酒會為了去除殘留的沉澱物而進行過濾,最後裝瓶。
熟成を終えたワインは残った沈殿物を取り除くため濾過され、最後に瓶詰めを行う。
這些都屬於單純的作業,但因所用葡萄的品種、熟成所用酒桶的材質、桶的處理方式以及熟成年限等不同,葡萄酒的風味會有所變化。
いずれも単純な作業だが、用いるぶどうの品種や、熟成させる樽の材質、樽の加工処理や、熟成させる年月等によってワインの味わいは変化する。
即便是同一款酒,年輕時飲用與經長期熟成後品嚐,也會呈現不同的風味。
同じワインであっても若飲みするのと、長期間の熟成を経てから飲むのとでは違った味わいを見せる。
在品酒時不可或缺的器具之一是デキャンタ(醒酒器)。在餐館點瓶酒時,會把酒移到桌上用的容器中,這個容器即稱為デキャンタ。
ワインを飲むうえで外せないアイテムとしてデキャンタが挙げられる。お店などでボトルを注文すると、卓上用の容器に移してくれる。この容器をデキャンタと呼ぶ。
嚴格來說有『カラフェ』與『デキャンタ』兩種類型,用途各有不同,但此處僅討論デキャンタ。
厳密に言うと『カラフェ』と『デキャンタ』の二種類があり、それぞれ用途が違うのだが、ここではデキャンタのみを扱うこととする。
將酒從瓶中倒入デキャンタ的動作稱為デキャンタージュ,主要用來去除沉澱的澱。
ワインをデキャンタに移し替えることをデキャンタージュと呼び、主に沈殿した澱を除去するために用いられる。
即使裝瓶後葡萄酒仍會繼續熟成,過程中色素成分與單寧結合會形成澱。這些澱會大幅影響酒的風味,因此特意換瓶以除去澱。
瓶詰後もワインの熟成は進み、その過程で色素の成分やタンニンが結びついて澱となる。この澱はワインの味わいを大きく損なうため、わざわざ移し替えることで澱を取り除くのだ。
長期熟成的年份葡萄酒常會移入デキャンタ。不過依酒種不同,倒入デキャンタ反而可能減損其魅力,需加以注意。
長期間熟成したヴィンテージワインはデキャンタへ移すことが多い。ただし、ワインの種類によってはデキャンタに移すことで魅力を損なう事もあるため、注意が必要だ。
「上手くいけば美味しいワインになるかもね。ただ、血のような色合いが忌避されるかも知れないけど」
「上手くいけば美味しいワインになるかもね。ただ、血のような色合いが忌避されるかも知れないけど」
「売れなければ私が責任を以て消費しますし、南蛮人への手土産にもなりましょう」
「売れなければ私が責任を以て消費しますし、南蛮人への手土産にもなりましょう」
「くれぐれも呑み過ぎには注意してね?」
「くれぐれも呑み過ぎには注意してね?」
「ご心配には及びません。体を悪くする前に酔い潰れますので」
「ご心配には及びません。体を悪くする前に酔い潰れますので」
「それはそれで、風邪とか引いたりするから心配なんだけど」
「それはそれで、風邪とか引いたりするから心配なんだけど」
「一人酒は控えますのでご安心を」
「一人酒は控えますのでご安心を」
雖然覺得這並不是根本的解決方法,但再繼續嘮叨下去恐怕會適得其反,所以靜子決定相信他。
根本的な解決になっていないと思ったが、これ以上しつこく言うのも逆効果かと考え、静子は彼を信用することにした。
「嘛,適可而止喔。我不能喝,不過上樣似乎對葡萄酒有興趣」
「ま、ほどほどにね。私は飲めないけど、上様はワインに興味を持っておられるみたいだから」
「熟成結束時會挑出品質好的獻上給您」
「熟成が終わった段階で出来の良いのを選び献上致します」
「就交給你了」
「任せたよ」
說完這些靜子便轉身離開了釀酒作坊。
それだけ言うと静子はきびすを返してワイン醸造蔵を後にした。
美濃與尾張的市場已開始少量流入信長的新貨幣。由於供給尚不足以滿足需求,市場上混用各種貨幣流通。
美濃と尾張の市場には少量ずつだが信長の新貨幣が流入し始めていた。需要に対して供給が追い付いておらず、市場では混在して利用されている。
即便如此,隨著新銅幣的流入,零錢開始被逐步回收,市場因撰錢(えりぜに)引起的騷動也漸漸減少。
それでも新たな銅貨の流入により、僅かずつとは言え鐚銭が回収され始め、市場から撰銭(えりぜに)に起因する騒動が少なくなってきていた。
信長本無意改變貨幣的稱呼,但最常見的銅錢與既有的永樂錢同為圓形並有孔,因而有人稱其為「先を見通せる」、「商売の縁(円)が出来る」,漸漸就被稱為「円」。
貨幣の呼び方を変える気が無かった信長だが、最も身近な銅貨が従来の永楽銭と同じく丸型で穴が開いているため、「先を見通せる」、「商売の縁(円)が出来る」として、いつしか「円」と呼ばれるようになっていた。
與市場變動無關的是,靜子在新居附近開始建設新的設施,那是一所私塾,若以現代說法相當於私立學校。
そうした市場の動きを他所に、静子は新居の傍に新しい施設を建設し始めた。それは私塾、現代で言うならば私立学校に当たる。
過去採徒弟制度,由前輩傳授後輩尚算足夠,但向前輩求學的後輩人數過多,導致前輩本職被忽略,且對後輩的教育程度出現差異性,成為一個問題。
今までは徒弟制度よろしく先達が後輩に教え伝えるので十分であったが、先達に対して教えを乞う後輩の数が多くなりすぎ、先達は本来の業務が疎かになり、後輩に関しても教育の度合いにばらつきが出るという問題が発生していた。
因此決定緊急建校,將其獨立為專門的教育機構。
そこで急遽学校を建築し、専門の教育機関として独立させることにした。
雖名為學校,但收容人數不到一百,為平房建築,教室數也不多。
学校とは言っても収容人数は百人に満たず、平屋造りで部屋数もそれほど多くない。
不過除了教室外,還設有圖書室、技術教室、家政教室、音樂室、美術室、武道場和運動場等,設備大致相當於現代的國中水準。
ただし、教室以外にも特殊教室として図書室、技術室、家庭科室、音楽室、美術室、武道場に運動場と、現代の中学校程度の設備は整えられていた。
因為一切都從摸索開始,入學名額只限於在靜子府邸工作的者。
何もかもが手探りで始まった学校ゆえに、入学できる者は静子の邸宅で働く者のみに限られた。
教育內容除了基礎的識字外,必修到使用算盤進行四則運算。
教育内容は基本的な文字の読み書きに加えて、算盤を用いた四則演算までを必修とした。
此外必修技能包括料理、裁縫、打掃與洗衣等生活所需技藝,男女一視同仁地教導。
この他にも必修技術として料理に裁縫、掃除に洗濯と言った生活に必要な技能を男女わけ隔てなく教え込む。
作為選修科目,欲學者可學農具的維修保養、樂器演奏與譜面閱讀、繪畫與書法、華道、茶道等藝事。
選択科目として、希望者には農機具などの整備や修理、楽器の演奏や譜面の読み方、絵画や書道、華道、茶道と言った芸事なども学ぶことが出来る。
(在武藝方面會薙刀的人好像由蕭醬有人脈……那麼劍術的教習要找誰呢。宮本武藏還是以後的人選,塚原卜傳已亡,上泉信綱應該不可能。如此一來,或許只有曾受上泉信綱頒發免狀的柳生宗厳可選,但他現正仕於松永久秀,應該也很困難……還是去問問足満叔叔比較好)
(武芸で薙刀の指南が出来る人は蕭ちゃんに伝手があるらしいけど……さて、剣術の指南役は誰にしようか。宮本武蔵はまだ先だし、塚原卜伝はもう亡くなっているし、上泉信綱は無理だろうね。とすると、やはり上泉信綱から免状を与えられた柳生宗厳しかいないか。今は松永久秀に仕えているはずだから難しいかな……一回足満おじさんに相談してみるかな)
「哦,靜子,你在這裡啊……啊,就那樣待著就行了」
「お、静子。ここに居たのか……ああ、そのままで構わん」
當靜子思緒萬千時,背後有人喊她,她回頭一看。信忠邊在馬上揮手邊朝這邊靠近。正要從馬上下來的靜子被信忠用手按住。
色々と考え事をしていると背後から声を掛けられて振り返る。信忠が馬上から手を振りながらこちらに近づいてくる。馬から下りようとした静子を、信忠は手で制した。
「你出現在這裡還真少見呢」
「こっちに顔を出すのは珍しいね」
「偶爾也得看看靜子的臉嘛」
「偶には静子の顔を見ないとな」
一邊說著這種話,信忠卻不時向靜子偷看。
そんな事を話しつつも信忠は静子へちらちらと視線向ける。
從他的樣子看來應該有好事發生,但又不太好意思自己說出口,彷彿在暗示「你問我發生了什麼吧」。
その様子から何か良い事があったのだが、自分から言い出すのは憚られる。何があったか聞いてくれという雰囲気を漂わせていた。
本可以故意無視,但覺得被他鬧脾氣會麻煩,於是選擇讓步。
あえて無視する事も出来たが、それをして臍を曲げられても面倒だと考え、譲歩することにした。
「看起來心情很好,是不是發生了什麼好事?」
「随分とご機嫌だけど、何か良い事でもあったのかな?」
「呼呼呼,猜得出嗎?要是你一定要知道的話,也不是不告訴你」
「ふっふっふ、判るか? どうしてもと言うのなら教えてやらんでもない」
(真麻煩啊)
(面倒だなあ)
信忠越來越興奮,靜子的興致便無限下滑,但得意忘形的信忠根本看不見她的態度。
信忠のテンションが上がるほどに、静子のテンションは果てしなく下がっていった。しかし、有頂天の信忠には静子の態度も目に入らない。
「聽了會嚇一跳的,靜子!從明年開始,父上已決定任命我為東國征伐的總大將!」
「聞いて驚け、静子! 俺は年明けより、父上から東国征伐の総大将に任命されることが決まったのだ!」
「噢,太好了」
「へー、良かったね」
「喂!你可以稍微高興一點吧!」
「おい! もうちょっと喜んでくれても良いだろう!」
「嗯,太好了。乖孩子乖孩子」
「うん、良かったね。良い子良い子」
「別這樣啦!我都快二十了!不是會因為有人摸頭就開心的年紀!」
「やめぬか! 俺はもう二十前だぞ! 頭を撫でられて喜ぶ歳ではないわ!」
被摸頭的信忠羞得喊出聲,馬兒被那聲音嚇得差點動起來,於是拉緊繮繩以制住牠。
頭を撫でられた信忠が恥ずかしさのあまりに叫ぶ、その声に驚いた馬が動き出しそうになったため、手綱を引いて制動を掛けた。
就在那時,無法動彈的信忠的頭被靜子盡情揉撫一番。
その間、身動きできない信忠の頭を、静子は存分に撫でまわした。
「那麼,東國征伐要從何時開始?」
「それで、東国征伐はいつから始めるの」
結束撫摸信忠的頭後,靜子提起了東國征伐的話題。
信忠の頭を撫でるのをやめると、静子は東国征伐の話をふった。
說到東國征伐,對象可以認為是武田。上杉已成為臣下,但或許因此武田態度愈發僵化,不斷拒絕與織田方面交涉。
東国征伐と言うが、相手は武田と考えて良い。上杉は既に臣下となっているが、それが影響してか武田はますます態度を硬直させ、織田側との交渉を蹴り続けている。
對信長而言也早已把武田的態度算進去,屢次交涉是為了留下「已充分進行對話」的事實紀錄。
信長としても武田の態度は織り込み済みであり、度重なる交渉は『対話は十分行った』という実績の為であった。
「我個人是希望年初就能推進軍隊,但在此之前的情報完全不夠。得沉下來好好收集情報。尤其是敵方城池的配置、補給路、水源和河川的位置若能掌握就更好了。在掌握了這些之後,擬定必殺的作戰,一舉將其擊潰才是理想。當然,前提是武田不會先動。」
「俺としては年明け早々にでも軍を進めたいが、それに先立つ情報がまるで足りぬ。ここは腰を据えてじっくりと情報を集めなくてはならない。特に敵方の城の配置と補給路、水源地や河川の位置なども判れば尚良し。これらを押さえた上で、必殺の作戦を練って、一息に叩き潰すのが理想よ。無論、武田が動かぬ前提ではあるがな」
「如果說要先攻進去,到當地再想辦法作戰的話,我原本打算揍他一頓把他攔下,但看起來沒有那個必要了呢」
「取りあえず攻め込んで、現地で作戦を考えるとか言ったら、引っ叩いてでも止める気だったけど、その必要はなさそうだね」
「不會重蹈以前單騎突擊的把戲。正因為必須求勝,才要一擊斃命才行。」
「流石に以前の単騎突撃のような真似はせぬ。必勝を期さねばならぬからこそ、一撃で仕留めねばならぬ」
「也得考慮與德川、上杉的聯合作戰吧」
「徳川、上杉との連携も考えないとね」
「沒錯。上杉實際上不必真的出兵,只要顯示出要出兵的氣息,武田就不得不分兵應對。不過,也不是完全沒有令人擔憂的地方。」
「そうだ。上杉は実際に動かずとも良い。攻め込む気配を見せるだけでも、武田としては兵力を割かざるを得ないからな。とは言え、不安が無い訳でもない」
「那是指?」
「それは?」
「是北條。至今為止,那傢伙的旗幟仍未明朗。不過若成為敵人,就會跟武田一同殲滅。」
「北条だ。今もなお、奴の旗幟は定まっておらぬ。しかし、敵となるなら、武田と一緒に潰すまでだ」
「勝賴的妻子是北條的人。考慮到那點,北條應該沒辦法輕舉妄動吧?」
「勝頼の妻は北条の人間だからね。それを考慮しても北条は動けないんじゃないかな?」
「那就沒關係。武田一滅,無論北條如何掙扎,局勢已難以改變。只要把北條也剷除,剩下的都是烏合之眾,之後再慢慢施加壓力即可。」
「それならそれで構わん。武田が滅べば北条がどう足掻こうと、もはや状況は覆らぬ。北条さえ潰せば残りは烏合の衆よ。後はじわじわと圧力を掛ければ良い」
似乎腦中已經有了大致計畫,信忠的態度充滿自信。實際上他的想法並無錯誤。
既に頭の中では大枠の計画が見えているのか、信忠の態度は自信に満ち溢れていた。実際に信忠の考えは間違っていない。
以雙方戰力來看,謹慎推進計畫,確實滅掉武田之後,後事便好辦了。
彼我の戦力を考えれば、慎重に計画を推し進め、確実に武田を滅ぼしさえすれば、後はどうとでもなる。
若投降給織田便可,否則就當作敵人消滅。雖然是在模仿信長的手法,但這是老套的正道,並無大錯。
織田に降れば良し、さもなくば敵として潰すのみ。信長の手法を真似ているが、定石通りであり、そこに大きな間違いはない。
然而,靜子心中仍殘留著如同疙瘩般的奇怪不安。
しかし、静子には奇妙な不安がしこりのように残っていた。
(……別這麼想。若因無根據的不安而停手,將會失去機會)
(……やめよう。根拠のない不安で手を停めれば、機会を失う)
事情順利時最危險。正如好事多磨的故事,靜子對事事過於順遂感到不安。
物事が順調に運んでいる時こそ危うい。好事魔多しの故事にあるように、思い通りに物事が進み過ぎている事に静子は不安を感じていた。
有意識地把不安從腦中趕走後,靜子浮現出一抹和善的笑容。
意識して、頭の中から不安を追い出すと、静子は人の好い笑みを浮かべる。
「說不定能在數年內平定東國呢」
「上手くすると東国は数年で平定出来るかもね」
「真希望如此」
「そう願いたいものだ」
靜子的話讓信忠毫無牽掛地笑了。
静子の言葉に信忠は屈託なく笑った。
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